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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両のトルク制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/14 20160101AFI20220329BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20220329BHJP
   B60L 7/14 20060101ALI20220329BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20220329BHJP
   B60L 58/14 20190101ALI20220329BHJP
   B60K 6/547 20071001ALN20220329BHJP
   B60K 6/48 20071001ALN20220329BHJP
【FI】
B60W20/14 ZHV
B60W10/08 900
B60L7/14
B60L50/16
B60L58/14
B60K6/547
B60K6/48
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018083746
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019189007
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 康夫
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-204360(JP,A)
【文献】特開平10-304509(JP,A)
【文献】米国特許第09340199(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/14
B60W 10/08
B60L 7/14
B60L 50/16
B60L 58/14
B60K 6/547
B60K 6/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関及び電動機の駆動力を駆動輪と連結される駆動軸に伝達系を介して伝達するハイブリッド車両のトルク制御装置であって、
アクセル開度に基づいて設定される目標駆動トルクが所定値未満である場合、前記電動機に回生トルクを出力させる制御部を備え、
前記制御部は、前記目標駆動トルクが正であり、かつ、正から負へ切り替わる所定の範囲内にある場合、前記回生トルクの出力を所定の期間に亘って停止させた後に、当該回生トルクの出力を開始するハイブリッド車両のトルク制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標駆動トルクを、前記アクセル開度と車速に基づいて設定する請求項1に記載のハイブリッド車両のトルク制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車速が低車速であるほど前記所定の期間の長さをより長く設定する請求項2に記載のハイブリッド車両のトルク制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両のトルク制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行用モータが搭載された電動車両において、車両が減速している最中に出力トルクの正負が切り替わると車両の伝達系のバックラッシュが発生するため、低速域において出力トルクの正負が切り替わる過程で調整トルクをモータに出力させて、伝達系のバックラッシュを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-85679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような制御装置にあっては、ブレーキ解放時に回生を解除し、調整トルクをモータに出力させているため、バッテリの電力が不足している状態では、バッテリが過放電状態となる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、バッテリの充電状態を悪化させずに、伝達系にかかる負荷や振動を抑制することができるハイブリッド車両のトルク制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、内燃機関及び電動機の駆動力を駆動輪と連結される駆動軸に伝達系を介して伝達するハイブリッド車両のトルク制御装置であって、アクセル開度に基づいて設定される目標駆動トルクが所定値未満である場合、前記電動機に回生トルクを出力させる制御部を備え、前記制御部は、前記目標駆動トルクが正であり、かつ、正から負へ切り替わる所定の範囲内にある場合、前記回生トルクの出力を所定の期間に亘って停止させた後に、当該回生トルクの出力を開始するものである。

【発明の効果】
【0007】
このように、本発明によれば、バッテリの充電状態を悪化させずに、伝達系にかかる負荷や振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置の回生トルク停止処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置のバッテリのSOCが目標SOCと等しい場合の回生トルク停止処理によるモータトルクの変化を示すタイムチャートである。
図4図4は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置のバッテリのSOCが目標SOC未満の場合の回生トルク停止処理によるモータトルクの変化を示すタイムチャートである。
図5図5は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置のバッテリのSOCが目標SOCより大きい場合の回生トルク停止処理によるモータトルクの変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両のトルク制御装置は、内燃機関及び電動機の駆動力を駆動輪と連結される駆動軸に伝達系を介して伝達するハイブリッド車両のトルク制御装置であって、アクセル開度に基づいて設定される目標駆動トルクが所定値未満である場合、電動機に回生トルクを出力させる制御部を備え、制御部は、目標駆動トルクが正から負へ切り替わる所定の範囲内にある場合、回生トルクの出力を所定の期間に亘って停止させた後に、回生トルクの出力を開始するよう構成されている。
【0010】
これにより、本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両のトルク制御装置は、バッテリの充電状態を悪化させずに、伝達系にかかる負荷や振動を抑制することができる。
【実施例
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置について詳細に説明する。
【0012】
図1において、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両のトルク制御装置を搭載したハイブリッド車両1は、内燃機関としてのエンジン2と、トランスミッション3と、モータ4と、バッテリ5と、駆動輪6と、エンジン2を制御するECM(Engine Control Module)7と、ハイブリッド車両1を総合的に制御する制御部としてのHCU(Hybrid Control Unit)8とを含んで構成される。
【0013】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なうように構成されている。
【0014】
エンジン2には、図示しない空調装置のコンプレッサ9が連結されている。コンプレッサ9は、ベルト22などを介してエンジン2のクランクシャフト21に連結されており、エンジン2のクランクシャフト21から出力される動力によって駆動される。
【0015】
トランスミッション3は、エンジン2から出力された回転を変速し、駆動軸61を介して駆動輪6を駆動する。トランスミッション3は、平行軸歯車機構からなる常時噛合式の図示しない変速機構と、図示しないアクチュエータとを備えている。
【0016】
エンジン2とトランスミッション3の間には、乾式単板式のクラッチ31が設けられており、クラッチ31は、エンジン2とトランスミッション3との間の動力伝達を接続または切断する。
【0017】
トランスミッション3は、いわゆるAMT(Automated Manual Transmission)として構成されており、図示しないアクチュエータにより変速機構における変速段の切換えとクラッチ31の断接が行なわれる。
【0018】
トランスミッション3と駆動輪6の間にはディファレンシャル機構32が設けられている。ディファレンシャル機構32と駆動輪6は駆動軸61により連結されている。
【0019】
モータ4は、ディファレンシャル機構32に対して、チェーン等の減速機41を介して連結されている。モータ4は、電動機として機能する。
【0020】
バッテリ5は、例えばリチウムイオン蓄電池で構成されている。バッテリ5は、モータ4に電力を供給する。
【0021】
バッテリ5には、バッテリ状態センサ5aが設けられている。バッテリ状態センサ5aは、バッテリ5の充放電電流、電圧及びバッテリ温度を検出する。バッテリ状態センサ5aは、HCU8に接続されている。HCU8は、バッテリ状態センサ5aの出力によりバッテリ5の充電状態(以下、「SOC」という)を検知できるようになっている。
【0022】
このように、ハイブリッド車両1は、エンジン2とモータ4の両方の動力を車両の駆動に用いることが可能なパラレルハイブリッドシステムを構成しており、エンジン2及びモータ4の少なくとも一方が出力する動力により走行する。
【0023】
エンジン2及びモータ4の駆動力は、クラッチ31、トランスミッション3、ディファレンシャル機構32、減速機41からなる伝達系を介して駆動軸61に伝達される。
【0024】
モータ4は、発電機としても機能し、ハイブリッド車両1の走行によって発電を行う。なお、モータ4は、エンジン2から駆動輪6までの動力伝達経路の何れかの箇所に動力伝達可能に連結されていればよく、必ずしもディファレンシャル機構32に連結される必要はない。
【0025】
HCU8は、例えば、モータ4を力行させるときには、バッテリ5が放電した直流電力を図示しないインバータにより交流電力に変換させてモータ4に供給する。一方、HCU8は、モータ4を回生させるときには、モータ4が発電した交流電力をインバータにより直流電力に変換させてバッテリ5に充電する。
【0026】
ECM7及びHCU8は、それぞれCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0027】
これらのコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECM7及びHCU8としてそれぞれ機能させるためのプログラムが格納されている。
【0028】
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、これらのコンピュータユニットは、本実施例におけるECM7及びHCU8としてそれぞれ機能する。
【0029】
ハイブリッド車両1には、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内LAN(Local Area Network)を形成するためのCAN通信線11が設けられている。
【0030】
HCU8は、ECM7にCAN通信線11によって接続されている。HCU8及びECM7は、CAN通信線11を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行なう。
【0031】
ECM7の入力ポートには、図示しないエンジン回転数センサを含む各種センサ類が接続されている。エンジン回転数センサは、エンジン2の機関回転数であるエンジン回転数を検出する。
【0032】
一方、ECM7の出力ポートには、図示しないインジェクタを含む各種制御対象類が接続されている。インジェクタは、エンジン2に燃料を供給する。
【0033】
ECM7は、各種センサ類の情報や各種制御対象類の制御状態によりエンジン2の駆動状態を検知することができる。
【0034】
HCU8の入力ポートには、上述のバッテリ状態センサ5aに加え、アクセル開度センサ81、車速センサ82等の各種センサ類が接続されている。
【0035】
アクセル開度センサ81は、図示しないアクセルペダルの開度を検出して、アクセル開度に応じた信号をHCU8に出力する。車速センサ82は、ハイブリッド車両1の走行速度を検出し、車速に応じた信号をHCU8に出力する。
一方、HCU8の出力ポートには、モータ4を含む各種制御対象類が接続されている。
【0036】
本実施例において、HCU8は、アクセル開度や車速などに基づいて、ドライバの要求する目標駆動トルクを算出する。HCU8は、目標駆動トルクが駆動輪6に出力されるようエンジン2やモータ4を制御する。
【0037】
HCU8は、ECM7にトルク指令を送信し、ECM7によりトルク指令に設定されたトルク値をエンジン2に出力させる。
【0038】
HCU8は、目標駆動トルクやバッテリ5のSOCなどに基づいて、エンジン2に出力させるトルクやモータ4に出力させるトルクを算出する。
【0039】
HCU8は、目標駆動トルクが所定値未満で、バッテリ5のSOCが目標SOC未満である場合、モータ4に回生トルクを出力させる。
【0040】
HCU8は、目標駆動トルクが所定値未満で、バッテリ5のSOCが目標SOCより大きい場合、モータ4に力行トルクを出力させる。
【0041】
HCU8は、目標駆動トルクが所定値未満で、バッテリ5のSOCが目標SOCである場合、モータ4にトルクを出力させない。
【0042】
HCU8は、目標駆動トルクが所定値未満で、エンジン2が起動状態で、正から負へ切り替わる所定の範囲内(ゼロを含む所定の範囲内)に目標駆動トルクがある場合、所定の期間に亘ってモータ4による回生トルクの出力を停止する。
【0043】
HCU8は、例えば、エンジン2が起動状態で、正から負へ切り替わる所定の範囲内(ゼロを含む所定の範囲内)に目標駆動トルクが入ってから所定の期間、モータ4による回生トルクの出力を停止する。
【0044】
なお、上述の所定の期間は、駆動軸61のトルクが正から負へ切り替わるために必要な時間が設定され、ハイブリッド車両1の車速が低いほど期間を長くするとよい。
【0045】
また、HCU8は、目標駆動トルクが正から負へ切り替わる所定の範囲から出た場合、回生トルクの出力の停止を解除するようにしてもよい。
【0046】
以上のように構成された本実施例に係るハイブリッド車両1のトルク制御装置による回生トルク停止処理について、図2を参照して説明する。なお、以下に説明する回生トルク停止処理は、HCU8が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
【0047】
ステップS1において、HCU8は、目標駆動トルクが所定値未満か否かを判定する。目標駆動トルクが所定値未満ではないと判定した場合、HCU8は、処理を終了する。
【0048】
ステップS1において目標駆動トルクが所定値未満であると判定した場合、ステップS2において、HCU8は、エンジン2が駆動状態か否かを判定する。エンジン2が駆動状態ではないと判定した場合、HCU8は、処理を終了する。
【0049】
エンジン2が駆動状態でない場合は、駆動軸61のトルクの正負が切り替わるタイミングで、モータ4のトルクの正負も切り替わり、伝達系のギアの負荷や振動の程度が小さい為、回生トルクの停止を行なわない。回生トルクの停止を行なわないため回生可能な機会を増やすことができる。
【0050】
ステップS2においてエンジン2が駆動状態であると判定した場合、ステップS3において、HCU8は、目標駆動トルクが所定の範囲内か否かを判定する。目標駆動トルクが所定の範囲内にないと判定した場合、HCU8は、処理を終了する。
【0051】
ステップS3において目標駆動トルクが所定の範囲内と判定した場合、ステップS4において、HCU8は、モータ4の出力トルクを停止させる。
【0052】
モータ4の出力トルクを停止させているため、エンジン2の駆動トルクのみが駆動軸61に伝達され、エンジン2の駆動トルクを以って伝達系のショックを抑制できるトルクに調整される。
【0053】
ステップS5において、HCU8は、モータ4の出力トルクを停止させてから所定期間が経過したか否かを判定する。モータ4の出力トルクを停止させてから所定期間が経過していないと判定した場合、HCU8は、処理をステップS3に戻して繰り返す。
【0054】
ステップS5においてモータ4の出力トルクを停止させてから所定期間が経過したと判定した場合、ステップS6において、HCU8は、モータ4に回生トルクを出力させる。
【0055】
このような回生トルク停止処理による動作について図3から図5を参照して説明する。図3は、バッテリ5のSOCが上述の目標SOCと等しく、モータ4にトルクを出力させていない場合を示している。
【0056】
図3に示すように、低・中速域で走行中のため目標駆動トルクが所定値未満であり、バッテリ5のSOCが目標SOCと等しく、モータ4にトルクを出力させていない状態で、時刻T1においてアクセル開度がオフにされると、目標駆動トルクが徐々に下げられる。
【0057】
ここで、アクセル開度のオフは、アクセル開度が所定の閾値未満である場合にオフと判定される。所定の閾値は、アクセルが踏まれていないことが想定される(アクセル開度ゼロ近傍を含む)値であり、ハイブリッド車両1の車両状態としてはコースト状態を想定している。
【0058】
時刻T2において、目標駆動トルクが正から負へ切り替わる所定の範囲に入ったことが検出されると、時刻T3において、モータ4への回生トルクの出力が停止される。
【0059】
モータ4への回生トルクの出力が停止されるため、エンジン2の駆動トルクのみが駆動軸61に伝達され、駆動軸61のゼロトルク跨ぎがエンジン2のゼロトルク跨ぎと相似関係となるため、バックラッシュの歯打ち音やショックを抑制させることができる。
【0060】
時刻T4において、目標駆動トルクが所定の範囲外になると、時刻T5において、モータ4への回生トルクの出力停止が解除され、時刻T6においてモータ4へ回生トルクが出力される。
【0061】
図4は、バッテリ5のSOCが上述の目標SOC未満で、モータ4が回生トルクを出力している場合を示している。
【0062】
図4に示すように、低・中速域で走行中のため目標駆動トルクが所定値未満であり、バッテリ5のSOCが目標SOC未満で、モータ4に回生トルクを出力させている状態で、時刻T7においてアクセル開度がオフにされると、目標駆動トルクが徐々に下げられる。
【0063】
時刻T8において、目標駆動トルクが正から負へ切り替わる所定の範囲に入ったことが検出されると、時刻T9において、モータ4への回生トルクの出力が停止される。
【0064】
モータ4への回生トルクの出力が停止されるため、エンジン2の駆動トルクのみが駆動軸61に伝達され、駆動軸61のゼロトルク跨ぎがエンジン2のゼロトルク跨ぎと相似関係となるため、バックラッシュの歯打ち音やショックを抑制させることができる。
【0065】
時刻T10において、目標駆動トルクが所定の範囲から外れると、時刻T11において、モータ4への回生トルクの出力停止が解除され、時刻T12においてモータ4へ回生トルクが出力される。
【0066】
図5は、バッテリ5のSOCが上述の目標SOCより大きく、モータ4が力行トルクを出力している場合を示している。
【0067】
図5に示すように、低・中速域で走行中のため目標駆動トルクが所定値未満であり、バッテリ5のSOCが目標SOCより大きく、モータ4に力行トルクを出力させている状態で、時刻T13においてアクセル開度がオフにされると、目標駆動トルクが徐々に下げられる。
【0068】
時刻T14において、目標駆動トルクが正から負へ切り替わる所定の範囲に入ったことが検出されると、時刻T15において、モータ4へのトルクの出力が停止される。
【0069】
モータ4への回生トルクの出力が停止されるため、エンジン2の駆動トルクのみが駆動軸61に伝達され、駆動軸61のゼロトルク跨ぎがエンジン2のゼロトルク跨ぎと相似関係となるため、バックラッシュの歯打ち音やショックを抑制させることができる。
【0070】
時刻T16において、目標駆動トルクが所定の範囲から外れると、時刻T17において、モータ4への回生トルクの出力停止が解除され、時刻T18においてモータ4へ回生トルクが出力される。
【0071】
なお、本実施例においては、目標駆動トルクとバッテリ5のSOCに基づいてモータ4の出力するトルクを決定したが、アクセル開度とバッテリ5のSOCや、車速とバッテリ5のSOCに基づいてモータ4の出力するトルクを決定するようにしてもよい。
【0072】
本実施例では、各種センサ情報に基づきHCU8が各種の判定や算出を行なう例について説明したが、これに限らず、車両が外部サーバ等の車外装置と通信可能な通信部を備え、該通信部から送信された各種センサの検出情報に基づき車外装置によって各種の判定や算出が行なわれ、その判定結果や算出結果を通信部で受信して、その受信した判定結果や算出結果を用いて各種制御を行なってもよい。
【0073】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0074】
1 ハイブリッド車両
2 エンジン(内燃機関)
3 トランスミッション(伝達系)
4 モータ(電動機)
6 駆動輪
8 HCU(制御部)
11 CAN通信線
31 クラッチ(伝達系)
32 ディファレンシャル機構(伝達系)
41 減速機(伝達系)
61 駆動軸
81 アクセル開度センサ
82 車速センサ
図1
図2
図3
図4
図5