(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220329BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220329BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220329BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 378
G03G21/14
B65H7/14
G03G15/00 473
(21)【出願番号】P 2018094355
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋悠
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-053250(JP,A)
【文献】特開2002-094748(JP,A)
【文献】特開2009-265627(JP,A)
【文献】特開2007-140050(JP,A)
【文献】特開2012-181223(JP,A)
【文献】特開2017-170858(JP,A)
【文献】特開2017-170859(JP,A)
【文献】特開2005-003818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0267644(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/14
B41J 29/00-29/70
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に静電潜像が形成される像担持体、前記静電潜像を現像してトナー画像を生成する現像器、転写位置において前記像担持体のトナー画像を用紙に転写させる転写器、前記転写器によって転写されたトナー像を用紙に定着させる定着器、および前記像担持体に残留したトナーを除去するクリーナーを含む印写部と、
互いに検知速度が異なる複数の自動検知モードのうちのいずれかの自動検知モードをユーザーが選択するための選択部と、
用紙を供給する給紙部、前記給紙部から供給された用紙を前記選択部で選択された自動検知モードの検知速度に応じた搬送速度で搬送する搬送ローラー、および前記搬送ローラーによって搬送された用紙を前記転写位置に供給するタイミングローラーを含む用紙搬送部と、
前記搬送ローラーによって搬送されている用紙の特性を検出する検出部と、
前記選択部で選択された自動検知モードと前記検出部の検出結果とに基づいて、用紙が属する紙種区分を検知し、検知した紙種区分に応じた画像形成条件で前記印写部を制御し、トナー画像を用紙に印刷する制御部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
さらに、それぞれ前記複数の自動検知モードに対応して設けられた複数のテーブルが格納された記憶部を備え、
各テーブルには、複数の紙種区分と、それぞれ前記複数の紙種区分に対応する複数の画像形成条件とが記載されており、
前記制御部は、前記記憶部に格納された前記複数のテーブルのうちの前記選択部で選択された自動検知モードに対応するテーブルを選択し、選択したテーブルに記載された前記複数の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を前記検出部の検出結果に基づいて選択し、選択した紙種区分に対応する画像形成条件で前記印写部を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の自動検知モードは第1および第2の自動検知モードを含み、
前記複数のテーブルは、それぞれ前記第1および第2の自動検知モードに対応する第1および第2のテーブルを含み、
前記第1の自動検知モードの検知速度は前記第2の自動検知モードの検知速度よりも遅く、
前記第1のテーブルには第1~第Nの紙種区分が設けられ、前記第2のテーブルには第1~第Mの紙種区分が設けられ、
NおよびMの各々は2以上の整数であり、NはMよりも大きい、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出部は、用紙の特性として用紙の坪量を検出し、
各紙種区分には固有の坪量範囲が予め割り当てられ、
前記第1~第Nの紙種区分の坪量は順次増大し、
前記第1~第Mの紙種区分の坪量は順次増大し、
前記制御部は、前記第1の自動検知モード時には、前記検出部によって検出された用紙の坪量と前記第1のテーブルとに基づいて前記第1~第Nの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択し、前記第2の自動検知モード時には、前記検出部によって検出された用紙の坪量と前記第2のテーブルとに基づいて前記第1~第Mの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1~第Mの紙種区分の各々を複数に分割することにより、前記第1~第Nの紙種区分が設定されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
少なくとも、前記第1~第Mの紙種区分のうちの各隣接する2つの紙種区分の境界部に紙種区分を追加することにより、前記第1~第Nの紙種区分が設定されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1~第Mの紙種区分のうちの第1~第mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、前記第1~第Nの紙種区分が設定されており、
mは1よりも大きくMよりも小さな整数である、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成条件は、前記印写部によってトナー画像を用紙に印刷するプロセス速度を含み、
前記第1~第Mの紙種区分のうちの第mの紙種区分に対応するプロセス速度は、第(m-1)の紙種区分に対応するプロセス速度よりも小さく、
前記第1~第Mの紙種区分のうちの第(m-1)および第mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、前記第1~第Nの紙種区分が設定されており、
mは2よりも大きくMよりも小さな整数である、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1~第Mの紙種区分のうちの第mの紙種区分は、前記第1~第Nの紙種区分のうちの第nおよび第(n+1)の紙種区分を含み、mは1からMまでの整数であり、nは1から(N-1)までの整数であり、
前記制御部は、前記第nおよび第(n+1)の紙種区分のうちのいずれか一方の紙種区分を選択した回数と前記第nおよび第(n+1)の紙種区分を選択した回数の和との比が予め定められたしきい値を超えた場合には、前記第2のテーブルのうちの前記第mの紙種区分に対応する画像形成条件を前記第nおよび第(n+1)の紙種区分のうちの前記一方の紙種区分に対応する画像形成条件に書き直す、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項10】
さらに、ユーザーが用紙の紙種区分を設定するための設定部を備え、
前記搬送ローラーは、前記設定部によって用紙の紙種が設定された場合には前記第2の自動検知モードが選択された場合の速度で用紙を搬送し、
前記制御部は、前記設定部で用紙の紙種区分が設定された場合には、前記第2のテーブルを参照し、設定された紙種区分に対応する画像形成条件で前記印写部を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項11】
さらに、前記制御部によって選択された紙種区分をユーザーに報知する報知部を備える、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1~第Mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、前記第1~第Nの紙種区分が設定されており、
前記報知部は、前記第2の自動検知モード時には、前記第1~第Mの紙種区分のうちの選択された紙種区分を報知し、前記第1の自動検知モード時には、前記第1~第Nの紙種区分のうちの選択された紙種区分に対応する、前記第1~第Mの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を報知する、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記検出部は、
用紙に対して光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射されて用紙を透過した光の強度を検出する受光素子と、
前記発光素子から出射された光の強度と前記受光素子によって検出された光の強度とに基づいて、前記用紙の坪量を求める演算器とを含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記選択部で選択された自動検知モードの検知速度が速いほど前記発光素子から出射される光の強度を増大させる、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成条件は、前記印写部によってトナー画像を用紙に印刷するプロセス速度を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記画像形成条件は、前記定着器によってトナー画像を用紙に定着させるための温度を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記画像形成条件は、前記転写器によってトナー画像を用紙に転写させるための電圧を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特に、用紙の種類を自動的に検知する自動検知モードを有する電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、光導電性物質を有する像担持体の表面を帯電手段によって一様に帯電し、像担持体の表面を露光手段によって露光することにより、像担持体の表面に電位差を発生させて静電潜像を形成する。そして、その静電潜像を現像器によって現像してトナー画像を形成し、そのトナー画像を用紙に転写し、熱や圧力などを用いてトナー画像を用紙に定着させる。
【0003】
このような画像形成装置では、多種類の用紙が使用される可能性がある。各用紙は、坪量、サイズ、透過性、光沢、剛性、平滑性などの様々な特徴を有する。高い画像品質を得るためには、各用紙毎に最適な画像形成条件(プロセス速度、現像条件、転写条件、定着条件、画像処理条件)を設定して、画像を形成する必要がある。
【0004】
従来の画像形成装置には、ユーザーが操作パネル、情報端末などを用いて用紙の種類(以下、紙種と称する)を設定すると、設定された紙種に応じた最適な画像形成条件で画像を形成するものがある。しかし、この画像形成装置には、ユーザーが紙種の設定を忘れたり、誤った場合には、画像不良、定着不良、JAMが発生するという問題があった。
【0005】
この対策として、用紙の厚み、透過性、平滑性などの特性を検出する検出部を設け、その検出結果に基づいて、紙種を自動的に判別する方法がある。たとえば特開2007-55814号公報(特許文献1)には、CMOSセンサによって用紙の表面を撮像し、撮像結果に基づいて紙種を判別し、その紙種に基づいて画像形成条件を設定する技術が開示されている。また、用紙の透過光量を検出し、その検出結果に基づいて、紙種を自動的に判別する術もある。
【0006】
また近年、装置の低コスト化、小型化が求められているので、用紙の特性を検出する検出部の数を少なくする必要がある。この対策として、複数の給紙部に共通の検出部を用紙搬送路に設ける技術がある。この技術では、用紙を給紙部に装填した時点では用紙の特性を検出することはできず、用紙をタイミングローラーまで搬送する途中で用紙の特性を検出する。このため給紙部の数に関係なく、1つの検出部を設ければよいので、装置の低コスト化、小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1つの検出部を用紙搬送路に設ける上記技術では、検出部まで用紙を搬送してから紙種を検出するか、用紙を搬送しながら紙種を検出することとなる。この技術では、用紙の搬送速度を速くすると、用紙のばたつきが大きくなり、また用紙が検出部を通過する時間が短くなるので、検出速度が速くなるが検出精度が低下してしまう。
【0009】
逆に、用紙の搬送速度を遅くすると、用紙のばたつきが小さくなり、また用紙が検出部を通過する時間が長くなるので、検出精度が高くなるが、検出時間が長くなり、画像の生産性が低下してしまう。よって、ユーザーが紙種の検出精度と画像の生産性とのバランスを考慮して、紙種の検出速度を選択できることが好ましい。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、ユーザーが紙種の検出速度を選択することが可能で、紙種に応じて良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る画像形成装置は、その表面に静電潜像が形成される像担持体、静電潜像を現像してトナー画像を生成する現像器、転写位置において像担持体のトナー画像を用紙に転写させる転写器、転写器によって転写されたトナー像を用紙に定着させる定着器、および像担持体に残留したトナーを除去するクリーナーを含む印写部と、互いに検知速度が異なる複数の自動検知モードのうちのいずれかの自動検知モードをユーザーが選択するための選択部と、用紙を供給する給紙部、給紙部から供給された用紙を選択部で選択された自動検知モードの検知速度に応じた搬送速度で搬送する搬送ローラー、および搬送ローラーによって搬送された用紙を転写位置に供給するタイミングローラーを含む用紙搬送部と、搬送ローラーによって搬送されている用紙の特性を検出する検出部と、選択部で選択された自動検知モードと検出部の検出結果とに基づいて、用紙が属する紙種区分を検知し、検知した紙種区分に応じた画像形成条件で印写部を制御し、トナー画像を用紙に印刷する制御部とを備えたものである。
【0012】
好ましくは、さらに、それぞれ複数の自動検知モードに対応して設けられた複数のテーブルが格納された記憶部を備える。各テーブルには、複数の紙種区分と、それぞれ複数の紙種区分に対応する複数の画像形成条件とが記載されている。制御部は、記憶部に格納された複数のテーブルのうちの選択部で選択された自動検知モードに対応するテーブルを選択し、選択したテーブルに記載された複数の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を検出部の検出結果に基づいて選択し、選択した紙種区分に対応する画像形成条件で印写部を制御する。
【0013】
また好ましくは、複数の自動検知モードは第1および第2の自動検知モードを含む。複数のテーブルは、それぞれ第1および第2の自動検知モードに対応する第1および第2のテーブルを含む。第1の自動検知モードの検知速度は第2の自動検知モードの検知速度よりも遅い。第1のテーブルには第1~第Nの紙種区分が設けられ、第2のテーブルには第1~第Mの紙種区分が設けられる。NおよびMの各々は2以上の整数であり、NはMよりも大きい。
【0014】
また好ましくは、検出部は、用紙の特性として用紙の坪量を検出する。各紙種区分には固有の坪量範囲が予め割り当てられる。第1~第Nの紙種区分の坪量は順次増大し、第1~第Mの紙種区分の坪量は順次増大する。制御部は、第1の自動検知モード時には、検出部によって検出された用紙の坪量と第1のテーブルとに基づいて第1~第Nの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択し、第2の自動検知モード時には、検出部によって検出された用紙の坪量と第2のテーブルとに基づいて第1~第Mの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択する。
【0015】
また好ましくは、第1~第Mの紙種区分の各々を複数に分割することにより、第1~第Nの紙種区分が設定されている。
【0016】
また好ましくは、少なくとも、第1~第Mの紙種区分のうちの各隣接する2つの紙種区分の境界部に紙種区分を追加することにより、第1~第Nの紙種区分が設定されている。
【0017】
また好ましくは、第1~第Mの紙種区分のうちの第1~第mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、第1~第Nの紙種区分が設定されており、mは1よりも大きくMよりも小さな整数である。
【0018】
また好ましくは、画像形成条件は、印写部によってトナー画像を用紙に印刷するプロセス速度を含む。第1~第Mの紙種区分のうちの第mの紙種区分に対応するプロセス速度は、第(m-1)の紙種区分に対応するプロセス速度よりも小さい。第1~第Mの紙種区分のうちの第(m-1)および第mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、第1~第Nの紙種区分が設定されており、mは2よりも大きくMよりも小さな整数である。
【0019】
また好ましくは、第1~第Mの紙種区分のうちの第mの紙種区分は、第1~第Nの紙種区分のうちの第nおよび第(n+1)の紙種区分を含み、mは1からMまでの整数であり、nは1から(N-1)までの整数である。制御部は、第nおよび第(n+1)の紙種区分のうちのいずれか一方の紙種区分を選択した回数と第nおよび第(n+1)の紙種区分を選択した回数の和との比が予め定められたしきい値を超えた場合には、第2のテーブルのうちの第mの紙種区分に対応する画像形成条件を第nおよび第(n+1)の紙種区分のうちの一方の紙種区分に対応する画像形成条件に書き直す。
【0020】
また好ましくは、さらに、ユーザーが用紙の紙種区分を設定するための設定部を備える。搬送ローラーは、設定部によって用紙の紙種が設定された場合には第2の自動検知モードが選択された場合の速度で用紙を搬送する。制御部は、設定部で用紙の紙種区分が設定された場合には、第2のテーブルを参照し、設定された紙種区分に対応する画像形成条件で印写部を制御する。
【0021】
また好ましくは、さらに、制御部によって選択された紙種区分をユーザーに報知する報知部を備える。
【0022】
また好ましくは、第1~第Mの紙種区分の各々を複数の紙種区分に分割することにより、第1~第Nの紙種区分が設定されている。報知部は、第2の自動検知モード時には、第1~第Mの紙種区分のうちの選択された紙種区分を報知し、第1の自動検知モード時には、第1~第Nの紙種区分のうちの選択された紙種区分に対応する、第1~第Mの紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を報知する。
【0023】
また好ましくは、検出部は、用紙に対して光を出射する発光素子と、発光素子から出射されて用紙を透過した光の強度を検出する受光素子と、発光素子から出射された光の強度と受光素子によって検出された光の強度とに基づいて、用紙の坪量を求める演算器とを含む。
【0024】
また好ましくは、制御部は、選択部で選択された自動検知モードの検知速度が速いほど発光素子から出射される光の強度を増大させる。
【0025】
また好ましくは、画像形成条件は、印写部によってトナー画像を用紙に印刷するプロセス速度を含む。
【0026】
また好ましくは、画像形成条件は、定着器によってトナー画像を用紙に定着させるための温度を含む。
【0027】
また好ましくは、画像形成条件は、転写器によってトナー画像を用紙に転写させるための電圧を含む。
【発明の効果】
【0028】
この発明に係る画像形成装置では、互いに検知速度が異なる複数の自動検知モードのうちのいずれかの自動検知モードをユーザーが選択するための選択部と、選択された自動検知モードの検知速度に応じた搬送速度で搬送する搬送ローラーと、搬送ローラーによって搬送されている用紙の特性を検出する検出部とを設け、選択された自動検知モードと検出部の検出結果とに応じて画像形成条件を変更する。したがって、ユーザーが紙種の検出速度を選択することができ、かつ紙種に応じて良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明の実施の形態1による画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した坪量検出部の構成を示す図である。
【
図3】
図1に示した用紙搬送部の詳細な構成を示す図である。
【
図4】
図1~
図3に示した印写部10および用紙搬送部20の制御方法を説明するためのブロック図である。
【
図5】
図4に示した記憶部に格納されたテーブルを示す図である。
【
図6】
図4に示した操作パネルに表示される画像を示す図である。
【
図7】
図4に示した操作パネルに表示される他の画像を示す図である。
【
図8】この発明の実施の形態2による画像形成装置で使用されるテーブルを示す図である。
【
図9】この発明の実施の形態3による画像形成装置で使用されるテーブルを示す図である。
【
図10】この発明の実施の形態4による画像形成装置の動作を説明するための図である。
【
図11】
図10で説明した画像形成装置の動作を説明するための他の図である。
【
図12】この発明の実施の形態5による画像形成装置で使用されるテーブルの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による画像形成装置100の構成を示す図である。
図1において、この画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、電子写真方式でフルカラーのトナー画像を用紙Pに印刷するものである。画像形成装置100は、印写部10、用紙搬送部20、操作パネル50、および制御装置51を備える。
【0031】
印写部10は、中間転写ベルト11、駆動ローラー12、従動ローラー13、イメージングユニット14Y,14M,14C,14K、光センサ15、二次転写ローラー16、定着器17、およびクリーナー18を含む。
【0032】
中間転写ベルト11は、無端のベルト状に構成されており、駆動ローラー12および従動ローラー13によって図中の左右方向に張り渡されている。駆動ローラー13がモーター(図示せず)によって回転駆動されると、中間転写ベルト11は図中の矢印Aの方向(左回り方向)に回転駆動される。
【0033】
イメージングユニット14Y,14M,14C,14Kは、中間転写ベルト11の下側の表面に沿って中間転写ベルト11の回転方向に順次配置されており、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナー画像を生成する。
【0034】
イメージングユニット14Y,14M,14C,14Kの各々は、感光体ドラム1(像担持体)、帯電器2、露光部3、現像器4、一次転写ローラー5、およびクリーナー6を含む。感光体ドラム1の表面は中間転写ベルト11の表面に接触している。感光体ドラム1および中間転写ベルト11の接触部において、両者は同方向に回転している。帯電器2、露光部3、現像器4、一次転写ローラー5、およびクリーナー6は、感光体ドラム1の表面に沿って、感光体ドラム1の回転方向に順次配置されている。帯電器2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。
【0035】
露光部3は、たとえば、レーザ光を出射するレーザダイオードと、感光体ドラム1の表面にレーザ光を走査するポリゴンミラーとを含む。露光部3は、画像情報に従って感光体ドラム1の表面にレーザ光を照射し、感光体ドラム1を露光させる。レーザ光が照射された部分と、それ以外の部分との間に電位差が発生し、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。
【0036】
現像器4は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し、感光体ドラム1の表面にトナー画像を生成する。現像器4は、たとえば、トナーおよびキャリアを含む二成分系の現像剤を用いて静電潜像を現像する。なお、一成分系の現像剤(トナー)を用いて現像しても構わない。
【0037】
一次転写ローラー5は、中間転写ベルト11の裏面側に設けられ、中間転写ベルト11を介して感光体ドラム1に押圧されている。トナーと逆極性の一次転写バイアス電圧が一次転写ローラー5に印加されると、感光体ドラム1の表面のトナー画像が中間転写ベルト11の表面に転写される。クリーナー6は、中間転写ベルト11への転写後に感光体ドラム1の表面に残留するトナーを除去する。
【0038】
イメージングユニット14C,14M,14Y,14Kの4つの感光体ドラム1には、4色のトナー画像が形成される。4つの感光体ドラム1に形成された4色のトナー画像は、中間転写ベルト11の表面に順次転写されて重ね合わされ、フルカラーのトナー画像となる。
【0039】
中間転写ベルト11の回転方向においてイメージングユニット14Kの下流には、トナー濃度センサ15、二次転写ローラー16、およびクリーナー18が設けられている。トナー濃度センサ15は、中間転写ベルト11の表面のトナー画像の濃度を検出し、検出値を示す信号を出力する。制御装置51は、トナー濃度センサ15の出力信号に基づき、所定のトナー濃度が得られるように、現像バイアス電圧などを制御する。
【0040】
二次転写ローラー16は、中間転写ベルト11を介して従動ローラー13に押圧されている。二次転写ローラー16および中間転写ベルト11間のニップに用紙Pが挿入されている期間に、トナーと逆極性の二次転写バイアス電圧が二次転写ローラー16に印加されると、中間転写ベルト11の表面のトナー画像が用紙Pに転写される。定着器17は、圧力および熱を印加してトナー画像を用紙Pに定着させる。クリーナー18は、用紙Pへの転写後に中間転写ベルト11の表面に残留するトナーを除去する。
【0041】
用紙搬送部20は、複数(
図1では3つ)の給紙カセット21A~21C、給紙トレイ22、給紙ローラー23A~23D、搬送路30A~30E、搬送ローラー31A,32、タイミングローラー33、排紙ローラー34、および排紙トレイ35を含む。
【0042】
給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22の各々には、用紙Pの束が収容される。給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22には、たとえば、互いに異なる4種類の用紙Pがそれぞれ収容される。給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に、同じ種類の用紙Pが収容されていても構わない。給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22には、それぞれ給紙ローラー23A~23Dが設けられている。給紙ローラー23A~23Dの下流側には、それぞれ搬送路30A~30Dの入口が設けられている。
【0043】
搬送路30A~30Dの出口は、ともに搬送路30Eの入口に接続され、搬送路30Eの出口は排紙ローラー34の上流側に設けられている。搬送ローラー31A,32、タイミングローラー33、二次転写ローラー16、および定着器17は、搬送路Eの入口および出口間に順次配置されている。
【0044】
給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に収容された複数種類の用紙Pのうちのいずれかの種類の用紙Pがユーザーによって選択されると、選択された種類の用紙Pに対応する給紙ローラー(たとえば23A)が回転駆動され、その用紙Pが搬送路(この場合は30A)および搬送路30Eを介して搬送ローラー31Aに供給される。
【0045】
搬送ローラー31A,32は、給紙ローラー(この場合は23A)から供給された用紙Pをタイミングローラー33まで搬送する。タイミングローラー33は、中間転写ベルト11の表面に転写されたフルカラーのトナー画像に同期して動作し、搬送ローラー31A,32によって搬送された用紙Pを二次転写ローラー16および中間転写ベルト11間のニップに供給する。二次転写ローラー16および中間転写ベルト11間のニップを通過した用紙Pは、定着器17を通過し、排紙ローラー34によって排紙トレイ35上に排出される。
【0046】
搬送ローラー31A,32間の搬送路30Eには、坪量検出部40が設けられている。坪量検出部40は、搬送路30Eを通過する用紙Pの坪量(g/m2)を検出し、検出値を示す信号を制御装置51に出力する。
【0047】
図2は、坪量検出部40の構成を示す図である。
図2において、坪量検出部40は、発光素子40a、受光素子40b、電源40c、および演算器40dを含む。発光素子40aおよび受光素子40bは、搬送路30Eを通過する用紙Pを介して互いに対向するように配置されている。
【0048】
電源40cは、制御装置51によって制御され、電源電圧VDCを出力する。電源電圧VDCは、制御可能になっている。発光素子40aは、電源電圧VDCによって駆動され、電源電圧VDCに応じた強度の光αを受光素子40bの方向に出射する。受光素子40bは、入射された光αの強度に応じたレベルの電気信号(たとえば電圧信号)を出力する。
【0049】
用紙Pの坪量(すなわち用紙Pの厚さ)が大きくなるほど、用紙Pの光透過率が小さくなる。したがって、発光素子40aおよび受光素子40b間に用紙Pがある場合、用紙の坪量が大きくなるほど受光素子40bに入射される光αの強度が低下し、受光素子40bの出力信号のレベルが低下する。発光素子40aおよび受光素子40b間に用紙Pがない場合、受光素子40bの出力信号のレベルは最大値になる。
【0050】
発光素子40aおよび受光素子40b間に用紙Pがある場合における受光素子40bの出力信号のレベルをAとし、発光素子40aおよび受光素子40b間に用紙Pがない場合、受光素子40bの出力信号のレベルをBとすると、用紙Pの坪量はAとBの比A/Bの関数となる。演算器40は、受光素子40bの出力信号のレベルの最低値Aと最大値Bの比A/Bに基づいて、用紙Pの坪量を求め、求めた坪量を示す信号φ40を制御装置51に与える。
【0051】
ところで、このような坪量検出部40を設けた場合、用紙Pの搬送速度を速くすると、用紙Pのばたつきが大きくなり、また用紙Pが坪量検出部40を通過する時間が短くなるので、坪量の検出速度は速くなるが検出精度が低下してしまう。逆に、用紙Pの搬送速度を遅くすると、用紙Pのばたつきが小さくなり、また用紙Pが坪量検出部40を通過する時間が長くなるので、検出精度が高くなるが、検出速度が遅くなり、画像の生産性が低下してしまう。したがって、ユーザーが用紙Pの坪量の検出精度と画像の生産性とのバランスを考慮して、用紙Pの坪量の検出速度を選択できることが好ましい。
【0052】
そこで、この画像形成装置100では、搬送ローラー31A,32に比較的速い速度Vfで用紙Pを搬送させて用紙Pの坪量を高速度で検知する高速度検知モードと、搬送ローラー31A,32に比較的遅い速度Vsで用紙Pを搬送させて用紙Pの坪量を低速度で検知する高精度検知モードとが設けられている。ユーザーは、高速度検知モードおよび高精度検知モードのうちのいずれか一方のモードを操作パネル50を用いて選択することが可能となっている。
【0053】
高速度検知モードでは、用紙Pを高速度Vfで搬送するので、画像の生産性は高くなるが、紙種の検知精度が低下し、画像の品質が低下する恐れがある。逆に、高精度検知モードでは、用紙Pを低速度Vsで搬送するので、紙種の検知精度が高くなり、画像の品質が高くなるが、画像の生産性が低下する。ユーザーは、画像の品質よりも生産性を優先する場合には高速度検知モードを選択し、画像の生産性よりも品質を優先する場合には高精度検知モードを選択する。
【0054】
さらに、この画像形成装置100では、坪量検出部40の出力信号を使用することなく、ユーザーが用紙Pの種類を手動で設定する手動設定モードも設けられている。手動設定モードでは、紙種が明確であるので、搬送ローラー31A,32に比較的速い速度Vfで用紙Pを搬送させる。
【0055】
図1に戻って、操作パネル50は、ユーザーによって操作されるタッチパネルを含む。ユーザーは、操作パネル50を操作して、プリント枚数、画像濃度、拡大/縮小率などを所望の値に設定する。操作パネル50は、ユーザーによって設定された結果を示す制御信号を制御装置51に出力する。
【0056】
またユーザーは、操作パネル50(選択部)を操作して、高速度検知モード、高精度検知モード、および手動設定モードのうちのいずれか1つのモードを選択する。手動設定モードを選択した場合にはユーザーは、操作パネル50(設定部)を操作して、給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22の各々に収容されている用紙Pの種類を設定することが可能となっている。また、操作パネル50(報知部)は、坪量検出部40の検出結果に基づいて検知された紙種、あるいはユーザーによって手動で設定された紙種を、給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22毎に表示する。
【0057】
制御装置51は、外部装置(たとえばパーソナルコンピュータ)から画像信号を受けると、その画像信号から4色の画像データを生成し、生成した4色の画像データをそれぞれイメージングユニット14C,14M,14Y,14Kに与える。また、制御装置51は、操作パネル50からの制御信号に基づいて、印写部10および用紙搬送部20を制御し、トナー画像を用紙Sに印刷する。
【0058】
特に、制御装置51は、ユーザーによって高速度検知モードが選択された場合には、搬送ローラー31A,32を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させるとともに、坪量検出部40の出力信号と高速度検知モード用テーブルTfとに基づいてM個の紙種のうちのいずれかの紙種を選択し、その紙種に応じた画像形成条件を選択する。そして制御装置51は、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。Mは、2以上の整数であり、たとえば7である。高速度検知モード用テーブルTfについては後述する。
【0059】
また、制御装置51は、ユーザーによって高精度検知モードが選択された場合には、搬送ローラー31A,32を制御して用紙Pを低速度Vsで搬送させるとともに、坪量検出部40の出力信号と低速検知モード用テーブルTsとに基づいてN個の紙種のうちのいずれかの紙種を選択し、その紙種に応じた画像形成条件を選択する。そして制御装置51は、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。Nは、Mよりも大きな整数であり、たとえば14である。低速検知モード用テーブルTsについては後述する。
【0060】
また、制御装置51は、ユーザーによって手動設定モードが選択されて用紙Pの紙種が設定された場合には、搬送ローラー31A,32を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させるとともに、設定された紙種と手動設定モード用テーブルTfとに基づいて、その紙種に応じた画像形成条件を選択する。そして制御装置51は、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。
【0061】
なお、制御装置51は、主たる構成要素として、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリ、および、各種インターフェイスを含む。典型的には、制御装置51では、プロセッサが不揮発性メモリに格納されている各種プログラムを実行することで、画像形成装置100における画像形成に係る処理などを実行する。
【0062】
また、プロセッサがプログラムを実行する代わりに、プロセッサの処理の全部または一部を専用のハードウェアを用いて実現してもよい。また、プロセッサがプログラムを実行する場合には、そのプログラムは、各種の記録媒体を介して不揮発性メモリにインストールされ、あるいは、通信回線を介してサーバー装置(図示せず)などからダウンロードされてもよい。
【0063】
次に、画像形成装置100の動作について簡単に説明する。ユーザーが操作パネル50を用いて、給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22にセットされた4種の用紙Pのうちのいずれかの用紙Pを選択するともに、高速度検知モード、高精度検知モード、および手動設定モードのうちのいずれかのモードを選択すると、給紙ローラー23A~23Dおよび搬送ローラー31A,32により、選択用紙Pが選択モードに応じた速度VFまたはVSで搬送され、タイミングローラー33によって二次転写ローラー16および中間転写ベルト11間のニップに用紙Pが供給される。
【0064】
また、高速度検知モードまたは高精度検知モードが選択された場合には、坪量検出部40によって用紙Pの坪量が検出され、検出された坪量に応じた画像形成条件が制御装置51によって選択されて印写部10に与えられる。手動設定モードが選択された場合には、ユーザーによって用紙Pの紙種が設定され、設定された紙種に応じた画像形成条件が制御装置51によって選択されて印写部10に与えられる。
【0065】
また、外部装置(たとえばパーソナルコンピュータ)から画像信号が与えられると、制御装置51は、その画像信号から4色の画像データを生成し、生成した4色の画像データをそれぞれイメージングユニット14C,14M,14Y,14Kに与える。
【0066】
各イメージングユニット14では、帯電器2によって感光体ドラム1の表面が一様に帯電され、露光部3によって露光され、対応する画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム1の表面に形成される。感光体ドラム1の表面の静電潜像は、現像器4によって現像されてトナー画像が形成される。4つのイメージングユニット14に含まれる4つの感光体ドラム1の表面に形成された4色のトナー画像は、一次転写ローラー5によって中間転写ベルト11の表面に順次転写されて重ね合わされ、フルカラーのトナー画像となる。
【0067】
中間転写ベルト11の表面に形成されたトナー画像は、二次転写ローラー5によってタイミングローラー33からの用紙Pに転写され、定着器17によって用紙Pに定着され、排紙ローラー34によって排紙トレイ35に排出される。また、感光体ドラム1の表面に残留したトナーはクリーナー6によって除去され、中間転写ベルト11の表面に残留したトナーはクリーナー18によって除去される。
【0068】
画像形成条件に含まれる印写部10のプロセス速度、転写ローラー5,16における転写電圧、定着器17における定着温度の各々は、用紙Pの坪量(すなわち厚さ)に応じて適切な値に設定される。したがって、この画像形成装置100では、用紙Pの種類に関係なく、良好な画像を用紙Pに印刷することができる。
【0069】
図3は、用紙搬送部20の詳細な構成を示す図であり、
図4は印写部10および用紙搬送部20の制御方法を説明するためのブロック図である。
図3において、用紙搬送部20は、さらに、エンプティセンサS1~S4、押上板24A~24C、ピックアップローラー25A~25C、捌きローラー26A~26D、給紙センサS11~S14、搬送ローラー31B,31C、搬送センサS21~S23、およびタイミングセンサS31を含む。また
図4において、制御装置51は制御部51aおよび記憶部51bを含み、用紙搬送部20は、さらに、給紙モータ27A~27D、搬送モータ28、およびタイミングモータ29を含む。
【0070】
制御部51aは、操作パネル50およびセンサS1~S4,S11~S14,S21~S23,S31の出力信号に基づいて、モータ27A~27D,28,29の各々の回転速度を制御する。給紙モータ27Aは、ピックアップローラー25A、給紙ローラー23A、および捌きローラー26Aを回転駆動させる。給紙モータ27Bは、ピックアップローラー25B、給紙ローラー23B、および捌きローラー26Bを回転駆動させる。給紙モータ27Cは、ピックアップローラー25C、給紙ローラー23C、および捌きローラー26Cを回転駆動させる。給紙モータ27Dは、給紙ローラー23Dおよび捌きローラー26Dを回転駆動させる。搬送モータ28は、搬送ローラー31A~31C,32を回転駆動させる。タイミングモータ29は、タイミングローラー33を回転駆動させる。
【0071】
エンプティセンサS1~S4は、それぞれ給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に用紙Sが装填されているか否かを判別し、判別結果を示す信号を制御部51aに与える。制御部51aは、エンプティセンサS1~S4の出力信号に基づき、給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に装填されていない用紙Pがユーザーによって選択された場合には、その旨を操作パネル50に表示させるとともに、プリント動作を開始しない。制御部51aは、エンプティセンサS1~S4の出力信号に基づき、給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に装填されている用紙Pがユーザーによって選択された場合には、印写部10および用紙搬送部20を制御してプリント動作を開始する。
【0072】
押上板24A~24Cは、それぞれ給紙カセット21A~21C内に設けられている。押上板24A~24Cの後端部(図中の左側端部)は、それぞれ給紙カセット21A~21Cの底面の後端部に支持部材によって揺動自在に支持されている。押上板24A~24Cは、それぞれ給紙カセット21A~21Cが画像形成装置100から抜き取られている場合には、それぞれ給紙カセット21A~21Cの底面に沿うように配置されている。
【0073】
用紙Pの束が押上板(たとえば24A)の表面に装填されて給紙カセット(この場合は21A)が画像形成装置100に挿入されると、押上板24Aの先端部(図中の右側端部)は弾性部材(図示せず)によって上方に付勢され、用紙Pの束の先端部はピックアップローラー(この場合は25A)と押上板24Aとの間に挟み込まれる。
【0074】
ピックアップローラー25A~25Cは、それぞれ給紙カセット21A~21Cに対応して設けられている。捌きローラー26A~26Dは、それぞれ給紙ローラー23A~23Dに対応して設けられている。捌きローラー26は、対応する給紙ローラー23とニップを構成している。
【0075】
なお、説明の簡単化を図るため、たとえば、給紙カセット21A~21Cのうちの1つを給紙カセット21と示し、給紙ローラー23A~23Dのうちの1つを代表的に給紙ローラー23と示し、ピックアップローラー25A~25Cのうちの1つを代表的にピックアップローラ25と示し、捌きローラー26A~26Dのうちの1つを代表的に捌きローラー26と示し、給紙モータ27A~27Dのうちの1つを代表的に給紙モータ27と示し、搬送ローラー31A~31Cのうちの1つを搬送ローラー31と示す場合がある。
【0076】
ピックアップローラー25は、対応する給紙カセット21内の用紙Pがユーザーによって選択された場合には、対応する給紙モータ27によって回転駆動されて給紙カセット21A内の用紙Pを1枚ずつピックアップし、対応する給紙ローラー23および捌きローラー26間のニップに供給する。その際、2枚の用紙Pが連れ送りされて(重送されて)、給紙ローラー23に到達する場合がある。その場合、2枚の用紙Pは、給紙ローラー23および捌きローラー26間のニップによって1枚ずつ分離されて給送される。給紙ローラー23Dおよび捌きローラー26Dは、対応する給紙トレイ22内の用紙Pがユーザーによって選択された場合には、給紙モータ27Dによって回転駆動されて給紙トレイ22内の用紙Pを1枚ずつ分離して給送する。
【0077】
給紙センサS11~S14は、それぞれ搬送路30A~30Dの入口に設けられている。給紙センサS11~S14の各々は、それぞれ給紙ローラー23A~23Dによって連れ送り状態が解除されたか否かを検出し、検出結果を示す信号を制御部51aに出力する。制御部51aは、給紙センサS11~S14によって連れ送り状態が解除されていないことが検出された場合には、紙詰まりが発生したと判断し、その旨を操作パネル50に表示させるとともに、印写部110および用紙搬送部20に対してプリント動作を停止させる。
【0078】
搬送ローラー31Aは搬送路30Eの入口に配置され、搬送ローラー31B,31Cはそれぞれ搬送路30B,30Cに配置される。搬送センサS21~S23は、それぞれ搬送ローラー31A~31Cの下流側に配置される。搬送センサS21~S23は、それぞれ搬送ローラー31A~31Cを用紙Pが通過したときに、用紙Pの先端を検出し、検出結果を示す信号を制御部51aに出力する。
【0079】
給紙ローラー23および捌きローラー26間のニップによって連れ送り状態が解除された用紙Pは、給紙ローラー23を駆動源として搬送ローラー31まで搬送される。ピックアップローラー25、給紙ローラー23、および捌きローラー26は、給紙モータ27によって駆動され、1枚の用紙Pを対応の搬送ローラー31まで搬送すると停止する。搬送ローラー31へ搬送された用紙Pは、搬送ローラー31,32によってタイミングローラー33へ搬送される。
【0080】
制御部51aは、ユーザーによって高速度検知モードが選択された場合には、搬送モータ28を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させる。また、制御部51aは、ユーザーによって高精度検知モードが選択された場合には、搬送モータ28を制御して用紙Pを低速度Vsで搬送させる。また、制御部51aは、ユーザーによって手動設定モードが選択された場合には、搬送モータ28を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させる。
【0081】
ここで、ピックアップローラー25、給紙ローラー23、および捌きローラー26の給紙速度は、搬送ローラー31の給紙速度VfまたはVsよりも速い。連続して用紙Pを搬送する場合、制御部51aは、ピックアップローラー23、給紙ローラー23、および捌きローラー26が先行用紙Pを搬送してから後行用紙Pの搬送を開始するまでの時間を調節し、先行用紙Pと後行用紙Pとの隙間(紙間)を制御する。この制御は、給紙センサS11~S14および搬送センサS21~S23の検出結果に基づいて行われる。
【0082】
また、制御部51aは、ユーザーによって高速度検知モードが選択された場合には、高速度Vfで搬送される用紙Pの光透過率を検出する必要があるので、電源40cを制御して電源電圧VDCを高レベルに設定し、発光素子40aから出射される光αの強度を高レベルに設定する。また、制御部51aは、ユーザーによって高精度知モードが選択された場合には、低速度Vsで搬送される用紙Pの光透過率を検出すればよいので、電源40cを制御して電源電圧VDCを低レベルに設定し、発光素子40aから出射される光αの強度を低レベルに設定する。
【0083】
タイミングセンサS31は、タイミングローラー33の上流側に設けられており、用紙Pの先端を検出し、検出結果を示す信号を制御部51aに与える。制御部15aは、タイミングセンサS31の出力信号に基づいて、用紙Pの先端をタイミングローラー33に位置合わせする。
【0084】
画出しの際には、制御部51aは、タイミングモータ29を制御してタイミングローラー33から二次転写ローラ16(
図1)へ用紙Pを搬送させるとともに、用紙Pが二次転写ローラー16を通過するのに合わせて中間転写ベルト11上のトナー像を二次転写ローラー16へ搬送させる。二次転写ローラー16によって中間転写ベルト11から用紙Pにトナー像が転写され、用紙Pに転写されたトナー像は定着器17によって用紙Pに定着される。トナー像が定着した用紙Pは排紙ローラー34(
図1)によって排紙トレイ35に排出される。
【0085】
図5(A),(B)は、記憶部51b(
図4)に格納されたテーブルTf,Tsを示す図である。テーブルTfは、高速度検知モードおよび手動設定モードの各々において制御部51aによって参照されるテーブルである。テーブルTsは、高精度検知モードにおいて制御部51aによって参照されるテーブルである。
【0086】
図5(A)において、テーブルTfには、7個の紙種(名称、坪量)と、それぞれ7個の紙種に対応する7組の画像形成条件(プロセス速度、定着温度、転写電圧)が記載されている。すなわち、テーブルTfの第1列(左端の列)には7個の紙種の名称(薄紙、普通紙、厚紙1~厚紙5)が記載され、その第2列には7個の紙種区分すなわち坪量[g/m
2]の範囲(51~60,61~90,…,261~300)が記載されている。
【0087】
テーブルTfの第3列には2個のプロセス速度[mm/s](200,100)が記載されている。用紙Pの紙種が薄紙または普通紙である場合にはプロセス速度は200mm/sに設定され、用紙Pの紙種が厚紙1~厚紙5のいずれかである場合にはプロセス速度は100mm/sに設定される。テーブルTfの第4列には7個の定着温度[℃](145,165,140,150,…,170)が記載され、その第5列には7個の転写電圧[V](1500,1800,1300,1600,…,2500)が記載されている。
【0088】
テーブルTfでは、用紙Pの坪量[g/m2]の増大に応じて、プロセス速度[mm/s]を遅くさせたり、定着温度[℃]を高くしたり、転写電圧[V]を高くしている。これは、用紙Pの坪量[g/m2]が大きくなると、用紙Pが厚くなるので、トナー像を用紙Pに確実に転写および定着させるためには、より大きな熱量および電界が必要となるからである。
【0089】
ユーザーが操作パネル50を使用して高速度検知モードを選択した場合には、制御部51aは、搬送モータ28を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させるとともに、坪量検出部40の出力信号φ40に基づいて用紙Pの坪量[g/mm2]を検出する。高速度Vfは、たとえば、用紙Pが普通紙である場合のプロセス速度(200mm/s)に設定される。制御部51aは、その坪量[g/mm2]と高速度検知モード用テーブルTfとに基づいて7個の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択し、その紙種区分に応じた画像形成条件を選択する。
【0090】
たとえば、用紙Pの坪量が80[g/mm2]であった場合、その用紙PはテーブルTfの第2行に記載された普通紙(61~90g/mm2)であると判別され、それに対応する画像形成条件(200mm/s、165℃、1800V)が選択される。そして制御部51aは、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。また制御部51aは、選択した紙種を記憶部51bに記憶し、報知時に、記憶部51bに記憶した紙種を操作パネル50に表示させる。
【0091】
ユーザーが操作パネル50を使用して手動設定モードを選択し、使用する用紙Pの紙種区分を設定した場合には、制御部51aは、搬送モータ28を制御して用紙Pを高速度Vfで搬送させるとともに、設定された紙種区分と手動設定モード用テーブルTfとに基づいて、その紙種区分に応じた画像形成条件を選択する。
【0092】
たとえば、テーブルTfの第4行に記載された厚紙2(121~160g/mm2)が紙種区分として設定された場合、設定された厚紙2に対応する画像形成条件(100mm/s、150℃、1600V)が選択される。そして、制御部51aは、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。また制御部51aは、設定された紙種を記憶部51bに記憶し、報知時に、記憶部51bに記憶した紙種を操作パネル50に表示させる。
【0093】
また
図5(B)において、テーブルTsには、7個の紙種名称と、14個の紙種区分(坪量範囲)と、それぞれ14個の紙種区分に対応する14組の画像形成条件(プロセス速度、定着温度、転写電圧)が記載されている。
【0094】
すなわち、テーブルTsの第1列(左端の列)には7個の紙種名称(薄紙、普通紙、厚紙1~厚紙5)が記載され、その第2列には14個の紙種区分すなわち坪量[g/m2]の範囲(51~55,56~60,61~75,…,281~300)が記載されている。テーブルTfの7個の紙種区分の各々を2分割することにより、テーブルTsの14個の紙種区分が構成されている。
【0095】
テーブルTsの第3列には2個のプロセス速度[mm/s](200,100)が記載され、その第4列には14個の定着温度[℃](140,145,160,165,135,140,…,170)が記載され、その第5列には14個の転写電圧[V](1450,1550,1750,1850,1200,1400,…,2600)が記載されている。
【0096】
テーブルTsでは、用紙Pの坪量[g/m2]の増大に応じて、プロセス速度[mm/s]を遅くさせたり、定着温度[℃]を高くしたり、転写電圧[V]を高くしている。これは、用紙Pの坪量[g/m2]が大きくなると、用紙Pが厚くなるので、トナー像を用紙Pに確実に転写および定着させるためには、より大きな熱量および電界が必要となるからである。
【0097】
また、高精度検知モード用テーブルTsにおける紙種区分の数(14個)は、高速度検知モード用テーブルTfにおける紙種区分の数(7個)よりも大きい。これは、高精度検知モードでは、高速度検知モードよりも高精度で用紙Pの坪量[g/m2]を検出できるので、より細かい紙種区分を設け、各紙種区分に応じた画像形成条件を設定し、良好な画像を得るためである。
【0098】
ユーザーが操作パネル50を使用して高精度検知モードを選択した場合には、制御部51aは、搬送モータ28を制御して用紙Pを低速度Vs(たとえば100mm/s)で搬送させるとともに、坪量検出部40の出力信号φ40に基づいて用紙Pの坪量[g/mm2]を検出する。低速度Vsは、たとえば、用紙Pが厚紙1~厚紙5のうちのいずれかである場合のプロセス速度(100mm/s)に設定される。制御部51aは、その坪量[g/mm2]と高精度検知モード用テーブルTsとに基づいて14個の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択し、その紙種区分に応じた画像形成条件を選択する。
【0099】
たとえば、用紙Pの坪量が80[g/mm2]であった場合、その用紙Pの紙種区分はテーブルTsの第4行に記載された普通紙(76~90g/mm2)であると判別され、その紙種区分に対応する画像形成条件(200mm/s、165℃、1850V)が選択される。そして制御部51aは、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。また制御部51aは、選択した紙種を記憶部51bに記憶し、報知時に、記憶部51bに記憶した紙種を操作パネル50に表示させる。
【0100】
図6(A),(B)は、操作パネル50に表示される画像を示す図である。特に、
図6(A)はモード選択用の画像を示し、
図6(B)は報知用の画像を示している。
図6(A)に示すように、モード選択用画像では、第1列(左端の列)の第1~第4行にそれぞれ「給紙部1」~「給紙部4」の文字が表示される。「給紙部1」~「給紙部4」は、それぞれ給紙カセット21A~21Cおよび給紙トレイ22に対応している。
【0101】
各行には、「手動」、「自動1」、および「自動2」と記載された3つのタッチボタンが配置されている。「手動」、「自動1」、および「自動2」は、それぞれ手動設定モード、高速度検知モード、および高精度検知モードに対応している。各行において、3つのタッチボタン(「手動」、「自動1」、および「自動2」)のうちのいずれかのタッチボタンにタッチすることにより、手動設定モード、高速度検知モード、および高精度検知モードのうちのいずれかのモードを選択することが可能となっている。
【0102】
「手動」のタッチボタンにタッチすると、モード選択用画像から紙種設定用画像に変更される。紙種設定用画像では、たとえば、
図5(A)で示した7個の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択して設定することが可能となっている。一般に、用紙Pの束の包装用紙には、その用紙Pの坪量[g/mm
2]が記載されている。ユーザーは、包装用紙に記載された坪量[g/mm
2]が属する紙種区分を選択して設定する。あるいは、紙種設定用画像においてユーザーが用紙Pの坪量を数字で入力すると、その用紙Pが属する紙種区分が自動的に選択および設定されるように構成されていても構わない。ユーザーによって紙種が設定されると、紙種設定用画像からモード選択用画像に変更される。
【0103】
また、タッチボタンにタッチすると、タッチボタンの状態(たとえば、明るさ、色、ネガ/ポジなど)が変化する。
図6(A)では、設定されたモードに対応するタッチボタンンには斜線が施されている。
図6(A)では、給紙部1~給紙部4が、それぞれ高精度検知モード、高速度検知モード、手動設定モード、および手動設定モードに設定された場合が示されている。
【0104】
また
図6(B)に示すように、報知用画像では、給紙部1~給紙部4の各々に対して自動検出または手動設定された紙種の名称および坪量範囲が表示される。
図6(B)では、給紙部1、給紙部3、および給紙部4の各々には「普通紙(61~90g/m
2)が入っています」と表示され、給紙部2には「厚紙1(91~120g/m
2)が入っています」と表示された場合が示されている。次回の給紙時に紙種を検出する場合でも、前回の検出結果が有効である場合には、その検出結果が表示される。
【0105】
また、
図6(A),(B)において、給紙部1に対して自動2(高精度検知モード)が選択され、給紙部1には「普通紙(61~90g/m
2)が入っています」と表示されている。
図5(A)で示したように、高速度検知モードでは、普通紙には1つの紙種区分(61~90g/m
2)が設けられている。また
図5(B)で示したように、高精度検知モードでは、普通紙には2つの紙種区分(61~75g/m
2と76~90g/m
2)が設けられている。
【0106】
しかるに、操作パネル50には、高精度検知モードにおいて61~75g/m2および76~90g/m2のどちらの紙種区分に該当しても、高速度検知モードの紙種すなわち「普通紙(61~90g/m2)」を表示する。これは、高精度検知モードの検出結果を高速度検知モードの検出結果と同じ態様で表示し、紙種を簡潔に表示することにより、ユーザーに分かり易くするためである。
【0107】
図7(A),(B)は、操作パネル50に表示される他の画像を示す図であって、
図6(A),(B)と対比される図である。
図7(A)は、
図6(A)と同じであり、モード選択用の画像を示している。
図6(B)の報知用画像では、給紙部1および給紙部2の各々に対して自動検出された紙種の名称および坪量範囲を表示した。しかし、まだ自動検出が行なわれていない場合や、自動検出後にユーザーが給紙カセット21A,21Bを抜き差しする場合がある。その場合には、
図7(B)に示すように、給紙部1に対して「高精度モードで自動検知を行ないます」と表示され、給紙部2に対して「高速度モードで自動検知を行ないます」と表示される。なお、給紙部1および給紙部2の各々に対して「紙種は不明です」と表示しても構わない。
【0108】
以上のように、この実施の形態1では、ユーザーが操作パネル50を用いて高速度検知モードまたは高精度検知モードを選択すると、選択されたモードに応じた搬送速度VfまたはVsで搬送ローラー31A~31C,32によって用紙Pが搬送され、搬送される用紙Pの坪量(g/m2)が坪量検出部40によって検出され、選択されたモードと検出された坪量(g/m2)とに基づいて画像形成条件が変更される。したがって、ユーザーが紙種の検出速度を選択することができ、かつ紙種に応じて良好な画像を形成することができる。
【0109】
なお、この実施の形態1では、用紙Pの特性として用紙Pの坪量(g/m2)を検出し、その検出結果に基づいて用紙Pの紙種を判別したが、これに限るものではなく、用紙Pの反射率、厚さ、含水量、表面状態などを検出し、その検出結果に基づいて用紙Pの紙種を判別してもよい。ただし、用紙Pの特性は、用紙Pのサイズ情報を含まない。
【0110】
また、この実施の形態1では、発光素子40aおよび受光素子40bを含む透過型光センサを使用して用紙Pの坪量(g/m2)を検出したが、これに限るものではなく、どのようなセンサを使用して用紙Pの特性を検出しても構わない。たとえば、用紙Pに光を照射する発光素子と、用紙Pで反射した光を受ける受光素子とを含む反射型光センサを使用して用紙Pの反射率を検出しても構わない。また、用紙Pの厚さを検出する変位センサ、用紙Pの含水量を検出する静電容量センサ、用紙Pの表面状態を撮像するカメラ、光の代わりに超音波を使用する超音波センサなどを使用して用紙の特性を検出してもよい。
【0111】
また、この実施の形態1では、操作パネル50を用いて高速度検知モード、高精度検知モード、および手動設定モードのうちのいずれかのモードを選択したが、これに限るものではなく、高速度検知モード、高精度検知モード、および手動設定モードのうちのいずれかのモードを選択するためのセレクタ、スイッチなどを別途設けても構わない。
【0112】
また、この実施の形態1では、高速度検知モードと手動設定モードとで同じテーブルTf(
図5(A))を使用したが、これに限るものではなく、高速度検知モードと手動設定モードとで別々のテーブルを使用しても構わない。
【0113】
また、この実施の形態1では、高速度検知モードおよび手動設定モードにおける用紙Pの搬送速度Vfを普通紙用のプロセス速度(200mm/s)に設定し、高精度検知モードにおける用紙Pの搬送速度Vsを厚紙用のプロセス速度(100mm/s)に設定したが、これに限るものではなく、用紙Pの搬送速度Vf,Vsを画像形成時のプロセス速度と無関係の速度に設定しても構わない。用紙Pの搬送速度Vf,Vsを画像形成時のプロセス速度よりも速くしても遅くしても構わない。
【0114】
[実施の形態2]
図8(A),(B)は、この発明の実施の形態2による画像形成装置で使用されるテーブルTf,Ts1を示す図であって、
図5(A),(B)と対比される図である。
図8(A),(B)を参照して、この画像形成装置が実施の形態1の画像形成装置100と異なる点は、高精度検知モード用テーブルTsの代わりに高精度検知モード用テーブルTs1が記憶部51bに格納されている点である。
【0115】
高速度検知用テーブルTfでは、7個の紙種区分(坪量範囲)が設けられている。高精度検知モード用テーブルTs1では、少なくともテーブルTfの各隣接する2個の紙種区分の境界部に1個の紙種区分を追加することにより、14個の紙種区分が設けられている。
【0116】
すなわち、高速度検知用テーブルTfの第1~第7行には、7個の紙種区分として、薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2、厚紙3、厚紙4、および厚紙5が設けられている。高精度検知モード用テーブルTs1では、テーブルTfの薄紙、普通紙、厚紙1、厚紙2、厚紙3、厚紙4、および厚紙5の間の6個の境界部にそれぞれ薄紙(56~65g/mm2)、普通紙(86~95g/mm2)、厚紙1(116~125g/mm2)、厚紙2(155~165g/mm2)、厚紙3(206~215g/mm2)、および厚紙4(256~265g/mm2)が追加され、さらに厚紙5(285~305g/mm2)が追加されている。
【0117】
また、高精度検知モード用テーブルTs1では、新たな7個の紙種区分が追加されたことに伴い、元の7個の紙種区分の坪量範囲が狭く補正されている。すなわち、元の薄紙(51~60g/mm2)、普通紙(61~90g/mm2)、厚紙1(91~120g/mm2)、厚紙2(121~160g/mm2)、厚紙3(161~210g/mm2)、厚紙4(211~260g/mm2)、および厚紙5(261~300g/mm2)が、それぞれ薄紙(51~55g/mm2)、普通紙(66~85g/mm2)、厚紙1(96~115g/mm2)、厚紙2(126~155g/mm2)、厚紙3(166~205g/mm2)、厚紙4(216~255g/mm2)、厚紙5(266~285g/mm2)に補正されている。さらに、14個の紙種区分の各々に対して、固有の画像形成条件(プロセス速度、定着温度、転写電圧)が設定されている。
【0118】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態2では、テーブルTfの紙種区分の境界部に新たな紙種区分を追加してテーブルTsを作成したので、実施の形態1と比べ、紙種区分の境界部における検知誤差を小さくすることができる。
【0119】
[実施の形態3]
図9(A),(B)は、この発明の実施の形態3による画像形成装置で使用されるテーブルTf,Ts1を示す図であって、
図5(A),(B)と対比される図である。
図9(A),(B)を参照して、この画像形成装置が実施の形態1の画像形成装置100と異なる点は、高精度検知モード用テーブルTsの代わりに高精度検知モード用テーブルTs2が記憶部51bに格納されている点である。
【0120】
高速度検知用テーブルTfでは、7個の紙種区分(坪量範囲)が設けられている。高精度検知モード用テーブルTs2では、テーブルTfの7個の紙種区分のうちの坪量(g/mm2)が小さな2個の紙種区分、すなわち薄紙(51~60g/mm2)および普通紙(61~90g/mm2)の各々が2分割されている。これは、坪量(g/mm2)が小さな用紙Pでは、定着温度の変化に対してカール量が大きく変化するので、紙種区分の数を大きくすることが好ましいからである。
【0121】
さらに、高精度検知モード用テーブルTs2では、テーブルTfの7個の紙種区分のうちのプロセス速度が200(mm/s)から100(mm/s)に減少する紙種区分、すなわち厚紙1(91~120g/mm2)が2分割されている。これは、プロセス速度が切り替わる領域では定着温度条件および転写電圧条件が大きく変化するので、紙種区分の数を大きくすることが好ましいからである。テーブルTfの7個の紙種区分のうちの坪量(g/mm2)が大きな紙種区分については、テーブルTs2とテーブルTfは同じである。
【0122】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態3では、画像形成条件が大きく変化する場合は紙種区分の数を増やし、それ以外の場合は紙種区分の数を増やさないので、高精度検知用テーブルの簡単化を図ることができる。
【0123】
[実施の形態4]
図10は、この発明の実施の形態4による画像形成装置の動作を説明するための図であって、
図5(B)と対比される図である。この画像形成装置では、
図10に示すように、実施の形態1と同じ高精度検出モード用テーブルTsが使用される。
【0124】
制御装置51は、高精度検出モードで紙種区分を検出した場合に、各紙種区分毎に検出回数を記憶する。同じ名称の2つの紙種区分のうちの一方の紙種区分の検出回数をn1とし、他方の紙種区分の検出回数をn2とすると、制御装置51は、100×n1/(n1+n2)[%]がしきい値(たとえば90%)を超えたか否かを判別する。
【0125】
図10では、同じ名称の2つの紙種区分、すなわち普通紙(61~75g/mm
2)および普通紙(76~90g/mm
2)のうちの一方の普通紙(61~75g/mm
2)の検出回数n1が他方の普通紙(76~90g/mm
2)の検出回数n2以上であり、普通紙(61~75g/mm
2)の検出回数n1の割合100×n1/(n1+n2)が90%を超えた場合が示されている。
【0126】
図11(A),(B)は、
図10で説明した画像形成装置の動作を説明するための他の図であって、
図5(A)と対比される図である。この画像形成装置では、
図11(A)に示すように、実施の形態1と同じ高速度検出モード用テーブルTfが初期テーブルTfとして使用される。
【0127】
制御装置51は、100×n1/(n1+n2)[%]がしきい値(たとえば90%)を超えた場合には、初期テーブルTfのうちの高精度検出モードで検出した紙種区分(ここでは普通紙[61~75g/mm2])を含む紙種区分に対応する画像形成条件(165℃、1800V)を高精度検出モード用テーブルTsの画像形成条件(160℃、1750V)に書き換えて、補正後テーブルTf1を生成する。
【0128】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態4では、高精度検知モードでの使用履歴の多い用紙Pの画像形成条件を用いて、高速度検知モード用テーブルTf(手動設定モード用テーブルTf)の対応紙種区分の画像形成条件を補正するので、ユーザーが高速度検知モード(または手動設定モード)を選択した場合でも良好な画像を得ることができる。
【0129】
[実施の形態5]
上記実施の形態1~4では、紙種を自動的に検出するモードとして2つの自動検知モード(高速度検知モードおよび高精度検知モード)を備えた場合について説明したが、3つ以上の自動検知モードを備えてもよい。本実施の形態5では、3個の自動検知モード(最高速度検知モード、高速度検知モード、および高精度検知モード)を備えた場合について説明する。
【0130】
図12(A),(B)は、この発明の実施の形態5による画像形成装置で使用されるテーブルの一部を示す図である。特に、
図12(A)は最高速度検知モード用のテーブルThを示し、
図12(B)は高速度検知モード用テーブルTf(手動設定モード用テーブルTf)を示している。高速度検知モード用テーブルTf(手動設定モード用テーブルTf)は、
図5(A)で示した通りである。高精度検知モード用のテーブルTsは、
図5(B)で示した通りである。テーブルTh,Tf,Tsは、記憶部51bに格納されている。
【0131】
図12(A)において、最高速度検知モード用のテーブルThには、5個の紙種(名称、坪量範囲)と、それぞれ5個の紙種に対応する5組の画像形成条件(プロセス速度、定着温度、転写電圧)が記載されている。すなわち、テーブルThの第1列(左端の列)には5個の紙種の名称(薄紙、普通紙、厚紙A~厚紙C)が記載され、その第2列には5個の紙種区分すなわち坪量[g/m
2]の範囲(51~60,61~95,…,231~300)が記載されている。
【0132】
テーブルThの第3列には2個のプロセス速度[mm/s](200,100)が記載され、その第4列には5個の定着温度[℃](145,165,145,155,165)が記載され、その第5列には5個の転写電圧[V](1500,1800,1600,2000,2400)が記載されている。
【0133】
テーブルThでは、用紙Pの坪量[g/m2]の増大に応じて、プロセス速度[mm/s]を遅くさせたり、定着温度[℃]を高くしたり、転写電圧[V]を高くしている。これは、用紙Pの坪量[g/m2]が大きくなると、用紙Pが厚くなるので、トナー像を用紙Pに確実に転写および定着させるためには、より大きな熱量および電界が必要となるからである。
【0134】
ユーザーが操作パネル50を使用して最高速度検知モードを選択した場合には、制御部51aは、搬送モータ28を制御して用紙Pを最高速度Vhで搬送させるとともに、坪量検出部40の出力信号φ40に基づいて用紙Pの坪量[g/mm2]を検出する。制御部51aは、その坪量[g/mm2]と最高速度検知モード用テーブルThとに基づいて5個の紙種区分のうちのいずれかの紙種区分を選択し、その紙種区分に応じた画像形成条件を選択する。
【0135】
たとえば、用紙Pの坪量が80[g/mm2]であった場合、その用紙PはテーブルThの第2行に記載された普通紙(61~95g/mm2)であると判別され、それに対応する画像形成条件(200mm/s、165℃、1800V)が選択される。そして制御部51aは、選択した画像形成条件で印写部10を制御し、トナー画像を用紙Pに印刷する。また制御部51aは、選択した紙種を記憶部51bに記憶し、報知時に、記憶部51bに記憶した紙種を操作パネル50に表示させる。
【0136】
最高速度検知モード時における用紙Pの搬送速度Vhは、高速度検知モード(および手動設定モード)時における用紙Pの搬送速度Vf、および高精度検知モード時における用紙Pの搬送速度Vsよりも速い速度に設定される(Vh>Vf>Vs)。Vh,Vf,Vsは、画像形成時のプロセス速度よりも速くても遅くても構わない。最高速度検知モードでは、他のモードと比べて、検知速度が速くなるが検知精度は低下する。
【0137】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態5では、最高速度検知モードを選択することにより、紙種の検知速度を速くすることができる。
【0138】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
1 感光体ドラム、2 帯電器、3 露光部、4 現像器、5 一次転写ローラー、6,18 クリーナー、10 印写部、11 中間転写ベルト、12 駆動ローラー、13 従動ローラー、14Y,14M,14C,14K イメージングユニット、15 光センサ、16 二次転写ローラー、17 定着器、20 用紙搬送部、P 用紙、21A~21C 給紙カセット、22 給紙トレイ、23A~23D 給紙ローラー、S1~S4 エンプティセンサ、S11~S14 給紙センサ、S21~S23 搬送センサ、S31 タイミングセンサ、24A~24C 押上板、25A~25C ピックアップローラー、26A~26D 捌きローラー、27A~27D 給紙モータ、28 搬送モータ、29 タイミングモータ、30A~30E 搬送路、31A~31C,32 搬送ローラー、33 タイミングローラー、34 排紙ローラー、35 排紙トレイ、40 坪量検出部、40a 発光素子、40b 受光素子、40c 電源、40d 演算器、50 操作パネル、51 制御装置、51a 制御部、51b 記憶部、100 画像形成装置。