(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】画像処理装置、放射線撮影システム、画像処理プログラム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
A61B6/00 350A
A61B6/00 360A
(21)【出願番号】P 2018133813
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長束 澄也
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-018317(JP,A)
【文献】特開2003-337935(JP,A)
【文献】国際公開第2013/141067(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/044437(WO,A1)
【文献】特開2004-049542(JP,A)
【文献】特開2002-099267(JP,A)
【文献】特開平09-018811(JP,A)
【文献】特開平06-308923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データと、前記動態画像データに対して
画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データとの少なくとも1つに画像処理を施
して表示装置に出力する画像処理装置であって、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する表示装置情報判別手段と、
前記表示装置情報判別手段の判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する処理方法選択手段と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施し
て重畳させた重畳画像データを生成する画像処理手段と、
前記
重畳画像データに基づく画像データを前記表示装置へ出力する画像出力手段と、
を備え
、
前記画像処理手段は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記動態画像データに施される画像処理は、前記動態画像データをぼかす処理、前記動態画像データを輪郭のみとする処理、前記動態画像データを非表示とする処理、前記動態画像データの輝度を下げる処理の少なくとも1つであることを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記解析画像データに施される画像処理は、前記解析画像データを補間強調する処理、前記解析画像データのコントラストを上げる処理、前記解析画像データ
の密度を表す画像を生成する処理の少なくとも1つであることを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
読影環境を判別する環境情報判別手段を備え、
前記処理方法選択手段は、
さらに、判別した
読影環境に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記表示装置情報判別手段は、
さらに、画面の解像度を判別することを特徴とする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データを取得する画像取得手段と、
取得した前記動態画像データを解析して解析画像データを生成する画像解析手段と、
を備えることを特徴とする請求項
1~5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
被検者に放射線を照射することで得られる動態画像データを生成可能な放射線画像撮影装置と、
請求項
1~6のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置が出力した前記
重畳画像データに基づく画像を表示する表示装置と、を備えることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項8】
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データ及び前記動態画像データに対して
画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施
して表示装置に出力する画像処理プログラムであって、
コンピューターに、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する第1の処理と、
前記第1の処理の判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する第2の処理と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施
して重畳させた重畳画像データを生成する第3の処理と、
前記
重畳画像データに基づく画像データを
前記表示装置へ出力する第4の処理と、
を実行させ
、
前記第3の処理は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
前記動態画像データに施される画像処理は、前記動態画像データをぼかす処理、前記動態画像データを輪郭のみとする処理、前記動態画像データを非表示とする処理、前記動態画像データの輝度を下げる処理の少なくとも1つであることを特徴とする請求項
8に記載の画像処理プログラム。
【請求項10】
前記解析画像データに施される画像処理は、前記解析画像データを補間強調する処理、前記解析画像データのコントラストを上げる処理、前記解析画像データ
の密度を表す画像を生成する処理の少なくとも1つであるこ
とを特徴とする請求項
8又は9に記載の画像処理プログラム。
【請求項11】
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データ及び前記動態画像データに対して
画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施
して表示装置に出力する画像処理方法であって、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する第1の工程と、
前記第1の工程における判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する第2の工程と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施
して重畳させた重畳画像データを生成する第3の工程と、
前記
重畳画像データに基づく画像データを
前記表示装置へ出力する第4の工程と、
を備え
、
前記第3の工程は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、放射線撮影システム、画像処理プログラム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線画像撮影装置等のデジタル化により、放射線画像の読影は、診察室に備えられたPCのモニター等で行うことができるようになってきている。
しかしながら、こうしたモニターは、カラー表示を前提とするカラーモニターであることがほとんどであるのに対し、通常の放射線画像はモノクロの画像である。
そこで、特許文献1に記載されたような、モノクロの放射線画像をカラーモニターに診断に適した表示形態で表示できるようにする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、放射線画像に所定の画像処理を施すことにより、撮影対象部位の動きの大きさや経時変化等を解析することが行われている。解析画像は、例えばモノクロの原画像にカラーの解析結果を重畳する等、カラーモニターに適した形になっているものが多い。
しかし、画像診断においては、長い間モノクロの放射線画像が用いられてきたこともあり、モノクロモニターを昔から使い続けている医療機関は少なくない。また、精度の高い診断を行うために、敢えて専用のモノクロモニターを用いて診断することも多い。このような医療機関では、解析画像をモノクロモニターに表示することになるが、上述したようなカラーモニターに適した解析画像は、モノクロで表示すると解析結果が分かりにくくなってしまう場合もある。
【0005】
また、モニターは、それぞれ解像度が決まっており、解像度が比較的高いモニターを用いている医療機関もあれば、その逆もある。このため、医療機関によっては、解像度の低いモニターに解析画像を表示することになるが、それでは解析結果が粗く表示され分かりにくくなってしまう。
つまり、解析画像は、表示させる表示装置の性能によっては、診断に適さないものとなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、放射線画像を解析して得られた解析画像を、使用する表示装置に最適な形で表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の問題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データと、前記動態画像データに対して画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データとの少なくとも1つに画像処理を施して表示装置に出力する画像処理装置であって、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する表示装置情報判別手段と、
前記表示装置情報判別手段の判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する処理方法選択手段と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施して重畳させた重畳画像データを生成する画像処理手段と、
前記重畳画像データに基づく画像データを前記表示装置へ出力する画像出力手段と、
を備え、
前記画像処理手段は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする。
また、本発明に係る画像処理プログラムは、
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データ及び前記動態画像データに対して画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施して表示装置に出力する画像処理プログラムであって、
コンピューターに、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する第1の処理と、
前記第1の処理の判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する第2の処理と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施して重畳させた重畳画像データを生成する第3の処理と、
前記重畳画像データに基づく画像データを前記表示装置へ出力する第4の処理と、
を実行させ、
前記第3の処理は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする画像処理プログラム。
また、本発明に係る画像処理方法は、
被検者に放射線を照射することで得られた動態画像データ及び前記動態画像データに対して画像処理により解析を行うことで得られる解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施して表示装置に出力する画像処理方法であって、
前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置であるかカラー表示を行う表示装置であるかを判別する第1の工程と、
前記第1の工程における判別結果に基づいて、前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに施す画像処理方法を選択する第2の工程と、
選択された画像処理方法で前記動態画像データ及び前記解析画像データの少なくとも1つに画像処理を施して重畳させた重畳画像データを生成する第3の工程と、
前記重畳画像データに基づく画像データを前記表示装置へ出力する第4の工程と、
を備え、
前記第3の工程は、前記表示装置がモノクロ表示を行う表示装置と判別した場合、前記動態画像データと前記解析画像データとに異なる画像処理を施す、又は一方のみに複数の画像処理の中から選択した画像処理を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放射線画像を解析して得られた解析画像を、使用する表示装置に最適な形で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態(第二実施形態)に係る放射線撮影システムの概略構成を表すブロック図である。
【
図2】
図1の放射線撮影システムが備える放射線画像表示制御装置の具体的構成を表すブロック図である。
【
図3】
図2の放射線画像表示制御装置が実行する表示制御処理を表すフローチャートである。
【
図4】
図2の放射線画像表示制御装置が格納している処理方法決定テーブルの一例である。
【
図5】
図1の放射線撮影システムが備える表示装置に表示される放射線画像の一例である。
【
図6】
図1の放射線撮影システムが備える表示装置に表示される放射線画像の一例である。
【
図7】
図1の放射線撮影システムが備える表示装置に表示される放射線画像の一例である。
【
図8】本発明の第二実施形態の放射線撮影システムが備える放射線画像表示制御装置の具体的構成を表すブロック図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の範囲は、以下の実施形態や図面に記載されたものに限定されるものではない。
【0011】
<第一実施形態>
はじめに、本発明の第一実施形態について、
図1~7を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
〔放射線撮影システム〕
まず、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下撮影システム100)の構成について説明する。
図1は撮影システム100の概略構成を表すブロック図である。なお、
図1における括弧書きの符号は、後述する第二実施形態のものである。
【0013】
本実施形態の撮影システム100は、
図1に示したように、放射線照射装置(以下、照射装置1)と、放射線画像撮影装置(以下、撮影装置2)と、放射線画像解析装置(以下、解析装置3)と、放射線画像表示制御装置(以下表示制御装置4)と、表示装置5と、を備えて構成されている。
【0014】
照射装置1は、照射制御装置11と、曝射スイッチ12と、放射線源(管球)13と、を備えて構成されている。
照射制御装置11は、曝射スイッチ12が押下されたことに基づいて、予め設定された放射線曝射条件(管電圧や管電流、照射時間(mAs値)等)に応じた電圧を放射線源13に印加することが可能に構成されている。
放射線源13は、図示しない回転陽極やフィラメント等を有している。そして、照射制御装置11から電圧が印加されると、フィラメントが印加された電圧に応じた電子ビームを回転陽極に向けて照射し、回転陽極が電子ビームの強度に応じた線量の放射線(X線等)を発生させるように構成されている。
【0015】
また、照射装置1は、一回の撮影操作(曝射スイッチ12の押下)に基づいて、所定時間幅のパルス放射線を所定周期で繰り返し照射することが可能に構成されている。
また、照射装置1は、放射線源13の放射線照射口の向きを変えることが可能となっており、立位の被検者にも臥位の被検者にも放射線を照射する(立位撮影も臥位撮影も行う)ことが可能となっている。
なお、照射装置1は、一回の撮影操作に基づいて、一回だけ放射線を照射する機能を備えていてもよい。
また、照射装置1は、撮影室に据え付けられた固定型のものとしても、車輪を備えた移動型のものとしてもよい。
【0016】
撮影装置2は、図示しない放射線検出部と、読み出し部と、を備え、放射線画像を生成可能に構成されている。
放射線検出部は、外部から放射線を受けることで放射線の線量に応じた量の電荷を直接的又は間接的に生成する放射線検出素子、及び各放射線検出素子と配線との間に設けられ放射線検出素子と配線との間の通電が可能なオン状態又は通電が不能なオフ状態に切り替え可能なスイッチ素子を有する画素が二次元状に複数配列された基板を有するものであればよく、従来公知のものを用いることができる。
読出し部は、複数の放射線検知素子にそれぞれ蓄積された電荷の量を信号値として読み出し、各信号値を基に放射線画像を画像データの形で生成することが可能に構成されていればよく、従来公知のものを用いることができる。
【0017】
また、撮影装置2は、照射装置1から受けた放射線に基づく放射線画像を生成することが可能となっている。
放射線が一回だけ照射された場合には一回だけ放射線画像を生成し、放射線が所定周期で複数回繰り返し照射された場合には放射線画像の生成も所定周期で複数回繰り返し行われる。
なお、放射線画像の生成は、他の装置からの信号を受信したことを契機として開始してもよいし、放射線を検知したことを契機として開始してもよい。
【0018】
解析装置3は、PCや携帯端末、あるいは専用の装置によって、撮影装置2が生成した放射線画像を解析して解析画像を生成することが可能に構成されている。
ここで、「解析」とは、撮影対象部位の動きを評価するための指標や、撮影対象部位の血流や換気機能(肺の場合)を評価するための指標(所定領域における血流の速さ、大きさ、方向、あるいは肺の特定領域の振幅、周期等)を得るための処理等のことを指す。
なお、この解析装置3が行う「解析」の具体的な方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法で解析を行うことが可能に構成することができる。
【0019】
表示制御装置4は、PCや携帯端末、あるいは専用の装置によって、解析画像を表示装置5の性能に応じた形で表示させることが可能に構成されている。
この表示制御装置4の詳細については後述する。
【0020】
表示装置5は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより、表示制御装置4が出力した画像(後述する処理済み解析画像を含む)を表示することが可能に構成されている。
【0021】
このように構成された本実施形態の撮影システム100は、照射装置1から、当該照射装置1と撮影装置2との間に配置された被検者へ放射線を照射することにより、被検者の放射線撮影を行うことが可能となっている。
特に、照射装置1から被検者へパルス放射線を繰り返し照射するとともに、撮影装置2において被検者の放射線画像を繰り返し生成することにより、被検者の動態画像を撮影することが可能となっている。以下、動態画像を撮影することを「動態撮影」、動態画像を構成する各放射線画像を「フレーム画像」と称する。
【0022】
そして、撮影して得られた放射線画像を解析装置3で解析し、その解析結果を含む解析画像を表示装置5に表示することが可能となっている。
表示装置5に表示される解析画像には、解析結果のみが表示された画像や、原画像に解析結果を重畳した重畳画像が含まれる。
【0023】
また、撮影システム100には、図示しないコンソール等を組み込むことも可能である。その場合、コンソールの表示部を表示装置5として用いることも可能である。
また、撮影システム100は、図示しない放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と接続して用いることも可能となっている。
【0024】
〔放射線画像解析装置〕
次に、上記撮影システム100が備える表示制御装置4の詳細について説明する。
図2は表示制御装置4の具体的構成を表すブロック図、
図3は表示制御装置4が実行する表示制御処理を表すフローチャートである。なお、
図3における括弧書きのステップ番号は、後述する第二実施形態のものである。
【0025】
表示制御装置4は、
図2に示したように、制御部41と、通信部42と、記憶部43と、を備えて構成されている。
これらは、バス44で接続されている。
【0026】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部41のCPUは、記憶部43に記憶されている各種プログラムを読出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、表示制御装置4各部の動作を集中制御する。
【0027】
通信部42は、無線モジュール等で構成され、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信ネットワークを介して接続された他の装置(撮影装置2や解析装置3、表示装置5等)との間で各種情報(信号やデータ)を送信することが可能となっている。
【0028】
記憶部43は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成され、制御部41が実行する各種プログラム(後述する撮影制御処理を行うためのプログラムを含む)やプログラムにより処理の実行に必要なパラメーターやテーブル(後述する処理方法決定テーブルを含む)等を記憶している。
【0029】
このように構成された表示制御装置4の制御部41は、例えば解析装置3から表示制御装置4へ解析画像を出力したことや、表示制御装置4に所定操作がなされたこと等を契機として、例えば
図3に示したような表示制御処理を実行する。
【0030】
この表示制御処理では、まず、放射線画像を解析して得られる解析画像を解析装置3から通信部42を介して取得する(ステップS1)。
本実施形態における「解析画像」には、モノクロ又はカラーの解析結果のみの画像や、解析を施す前の原画像に解析結果をカラーで重畳した重畳画像等が含まれる。
解析は、被検者の動きを調べるため、動態画像に対して行われる。このため、制御部41は、解析画像を複数のフレーム画像の形で取得することとなる。
なお、解析画像を解析装置3から直接取得するのではなく、他の装置やメディアに一旦されたものを間接的に取得するようにしてもよい。
このような処理を実行することにより、本実施形態の制御部41は、本発明における画像取得手段をなす。
【0031】
解析画像を取得した後は、解析画像に施すことが可能な複数の画像処理方法の中から何れかを選択する(ステップS2)。
本実施形態においては、判別した表示装置5の性能に基づいて、画像処理方法を自動で選択するようになっている。
【0032】
この処理では、まず、接続されている表示装置5の性能を判別する。
表示装置5の性能を示す情報は、表示制御装置4を表示装置5と接続した際に、表示装置5から受信する信号やデータ等から取得することとなる。
本実施形態においては、表示装置5の性能として、モノクロ表示を行うか、カラー表示を行うかを判別するようになっている。
また、本実施形態においては、画面の解像度から表示装置5が第一解像度よりも低い廉価、第一解像度以上で第二解像度よりも低い標準、第二解像度以上の高精細、のいずれであるかを判別するようになっている。
【0033】
このような判別を行うことにより、制御部41は、接続されている表示装置5を、例えば下記(1)~(5)のうちのいずれかに分類することになる。
(1)モノクロ高精細
(2)モノクロ標準
(3)カラー高精細
(4)カラー標準
(5)カラー廉価
【0034】
なお、本実施形態では、色と解像度の両方を判別することとしたが、これらのいずれかを判別する構成としてもよい。
また、表示装置5がカラー表示するものである場合には、更に表示可能な色の数を判別するようにしてもよい。
また、本実施形態では、解像度を3段階に分類したが、2段階又は4段階以上に分類してもよい。
このような処理を実行することにより、本実施形態の制御部41は、本発明における表示装置情報判別手段をなす。
【0035】
表示装置5の性能を判別した後は、例えば
図4に示したような処理方法決定テーブルを参照し、表示装置5の分類に対応する画像処理方法を選択する。
具体的には、性能を判別した結果、表示装置5がモノクロ高精細に分類されるものであった場合には、特に画像処理を施さない。
一方、表示装置5がそれ以外に分類されるものであった場合には、解析結果を補間強調する、解析結果のコントラストを上げる(強調する)、解析結果を密度で表示(集積度)表示する、原画像をぼかす、原画像を輪郭のみとする、(解析結果のみを表示する)、のうちの少なくともいずれかの画像処理を施す。
【0036】
なお、画像処理方法は、
図4の処理方法決定テーブルに記載されたものに限られるわけではなく、その他様々な画像処理を施すことが可能である。
例えば、原画像に変更を加えず解析結果を破線表示する、原画像の輝度を下げる、原画像を非表示にする(解析結果のみを表示する)、解析結果の輝度やコントラストを上げる、原画像と解析結果を分離して原画像のフレーム画像と解析結果のフレーム画像を交互に並べる、といった画像処理を施すようにしてもよい。
このような処理を実行することにより、本実施形態の制御部41は、本発明における処理方法選択手段をなす。
【0037】
なお、本実施形態においては、表示装置5の性能に基づいて画像処理方法を選択することとしたが、制御部41に、解析画像の読影環境を判別する本発明の環境情報判別手段としての機能を持たせ、判別した読影環境に基づいて、画像処理方法を自動で選択するよう構成してもよい。
この「読影環境」は、例えば、表示装置5が設置される部屋の明るさや、主な使用者(診断者)の画質の好み等を指す。これらの情報は、撮影システム100を設置する際等に予め登録しておく。
なお、この読影環境の判別は、表示装置5の性能判別の代わりに行ってもよいし、表示装置5の性能判別と併せて行ってもよい。
【0038】
画像処理方法を選択した後は、選択された画像処理方法で解析画像に画像処理を施す(ステップS3)。
このような処理を実行することにより、本実施形態の制御部41は、本発明における画像処理手段をなす。
【0039】
画像処理を施した後は、画像処理が施された処理済み解析画像を、通信部42を介して表示装置5へ出力する(ステップS4)。
このような処理を実行することにより、本実施形態の制御部41は、本発明における画像出力手段をなす。
【0040】
このように構成された放射線撮影システム100を用いれば、放射線画像の撮影、放射線画像の解析を終えた後、例えば
図5~7に示したような解析画像((a)は換気解析を行った場合、(b)は血流解析を行った場合)が表示装置5に表示される。
すなわち、表示装置5がカラー高精細に分類されるものであった場合には、
図5に示したようなそのままの(画像処理を施していない)解析画像が表示される。
一方、表示装置5がモノクロ高精細又はモノクロ標準に分類されるものであった場合には、
図6に示したような原画像がぼかされた解析画像が表示される。
なお、表示装置5がカラー標準、カラー廉価又はモノクロ標準に分類されるものであった場合には、
図7に示したように、解析結果が密度で表示されるようにしてもよい。
このように、解析画像における原画像又は解析結果の少なくとも一方に、何らかの画像処理を施すことにより、表示装置5が、モノクロ表示を行う場合、あるいは解像度の低いものである場合であっても、解析結果を見やすくすることができる。
【0041】
このように構成された本実施形態に係る放射線撮影システム100によれば、放射線画像を解析して得られた解析画像を、使用する表示装置に最適な形で表示することができる。
【0042】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、
図8を参照しながら説明する。説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
上記第一実施形態に係る放射線撮影システム100の表示制御装置4は、画像処理方法を自動で選択するようになっていたが、本実施形態に係る放射線画像表示制御装置4Aは、例えば
図8に示したように、ユーザーが操作可能な操作部45を有し、操作部45になされた操作に基づいて、画像処理方法を選択するようになっている。
【0044】
操作部45は、各種キーを備えたキーボードや複数のボタンの他、マウス等のポインティングデバイス、あるいはタッチパネル等で構成され、キーボードに対するキー操作、いずれかのボタン押下、マウス操作、あるいはタッチパネルに対するタッチ操作に応じて入力された操作信号を制御部41に出力することが可能に構成されている。
なお、操作部を放射線画像表示制御装置4Aに備えるのではなく、解析装置3や表示装置5に備えるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態における表示制御処理では、ステップS2A(
図3参照)において、
例えば表示装置5等に、複数の表示装置5の分類を選択肢として表示し、操作部45に操作がなされるまで待機する。
その後、接続されている表示装置5の分類を確認したユーザーによって操作部45が操作される(所望の選択肢に対応するボタンやキーが押下される、選択肢の表示位置がタッチあるいはクリックされる)と、なされた操作に対応する画像処理方法を選択する。
【0046】
なお、表示装置5の分類を選択肢とするのではなく、画像処理方法や、各画像処理方法を施した後の解析画像の見本等を選択肢としてもよい。
また、放射線画像表示制御装置4Aに、上記第一実施形態のような表示装置5の性能を判別する機能を持たせ、ステップS2Aにおいて、判別結果に基づいて画像処理方法の選択肢を絞り、絞られた選択肢の中からユーザーが選択できるようにしてもよい。
【0047】
このように構成された本実施形態に係る放射線撮影システム100Aによれば、第一実施形態と同様、放射線画像を解析して得られた解析画像を、使用する表示装置に最適な形で表示することができる。
また、ユーザー自身で表示の仕方を選べるので、ユーザーの好みに応じた表示が可能となる。
【0048】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、
図9を参照しながら説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
上記第一、第二実施形態に係る放射線撮影システム100,100Aは、表示制御装置4を備えたものとなっていたが、本実施形態に係る放射線撮影システム100Bは、例えば
図9に示したように、表示制御装置4を備えておらず、放射線画像解析装置3Aが、第一,第二実施形態の解析装置3の機能に加え、表示制御装置4の処理方法選択手段や、画像処理手段としての機能も有したものとなっている。
【0050】
なお、画像処理方法の選択は、放射線画像解析装置3Aに上記第一実施形態のような表示装置情報判別手段としての機能を持たせて自動で行うようにしてもよいし、上記第二実施形態のようにユーザーの選択に基づいて行うようにしてもよい。
【0051】
このように構成された本実施形態に係る放射線撮影システム100Bによれば、第一実施形態と同様、放射線画像を解析して得られた解析画像を、使用する表示装置に最適な形で表示することができる。
また、システムを構成する装置や配線の数が少なくなるので、システム構成を簡素にすることができる。
【0052】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100,100A,100B 放射線撮影システム
1 放射線照射装置
11 照射制御装置
12 曝射スイッチ
13 放射線源
2 放射線画像撮影装置
3,3A 放射線画像解析装置
4,4A 放射線画像表示制御装置
41 制御部
42 通信部
43 記憶部
44 表示部
45 バス
5 表示装置