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特許7047650建設機械のエンジンルーム構造及び建設機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】建設機械のエンジンルーム構造及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20220329BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20220329BHJP
   B60K 13/02 20060101ALI20220329BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20220329BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
E02F9/00 M
B60K11/04 F
B60K13/02 A
F01P11/10 A
F01P5/06 510B
F01P11/10 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018142705
(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公開番号】P2020020111
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】中原 涼太
(72)【発明者】
【氏名】徳田 歩
(72)【発明者】
【氏名】政 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸子
(72)【発明者】
【氏名】今本 優心
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-42384(JP,U)
【文献】特開2005-282362(JP,A)
【文献】特開平9-316926(JP,A)
【文献】国際公開第2014/155703(WO,A1)
【文献】特開2008-8257(JP,A)
【文献】特開2017-2509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60K 11/04
B60K 13/02
F01P 11/10
F01P 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のエンジンルーム構造であって、
エンジンルームの機械幅方向の一端側に形成される吸気口と、
前記エンジンルームに配置されるエンジンと、
前記エンジンの側方に配置され、前記エンジンルームに外部から空気を取り込むファンと、
前記ファンの側方に配置され、前記ファンによって取り込まれる空気が通過することにより冷却される熱交換器と、
前記エンジンの上方に配置されるエアクリーナと、
前記エンジンルームを開閉可能に構成するエンジンボンネットと、
を備え、
前記エンジンボンネットは、閉状態で前記エンジンルームの上面の一部として機能し、上側に凸の凸形状を有する上面カバーを含み、
前記上面カバーには、前記熱交換器を通過した空気の一部である第1空気を排気するための第1排気口が形成され、
前記上面カバーの内側と前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第1空気が前記第1排気口を介して排気されるまでの第1排気流路として機能し、
前記エンジンルームの機械幅方向の他端側には、前記熱交換器を通過した空気の他の一部である第2空気を排気するための第2排気口が形成され、
前記エンジンと前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第2空気が前記第2排気口を介して排気されるまでの第2排気流路として機能し、
前記第1排気流路と前記第2排気流路との間には仕切板が設けられることを特徴とする建設機械のエンジンルーム構造。
【請求項2】
前記エンジンボンネットは、前記上面カバーの後端から下側に屈曲して延在する後面カバーを更に含み、
前記上面カバーは、機械幅方向において、前記後面カバーよりも前記熱交換器が配置される側に長くなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の建設機械のエンジンルーム構造。
【請求項3】
前記エアクリーナは、筒形状を有し、筒軸が機械前後方向に対して上下方向に傾斜するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械のエンジンルーム構造。
【請求項4】
前記エアクリーナは、機械後方に向かって前記筒軸が下方に傾斜するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の建設機械のエンジンルーム構造。
【請求項5】
建設機械であって、
エンジンルームの機械幅方向の一端側に形成される吸気口と、
前記エンジンルームに配置されるエンジンと、
前記エンジンの側方に配置され、前記エンジンルームに外部から空気を取り込むファンと、
前記ファンの側方に配置され、前記ファンによって取り込まれる空気が通過することにより冷却される熱交換器と、
前記エンジンの上方に配置されるエアクリーナと、
前記エンジンルームを開閉可能に構成するエンジンボンネットと、
を備え、
前記エンジンボンネットは、閉状態で前記エンジンルームの上面の一部として機能し、上側に凸の凸形状を有する上面カバーを含み、
前記上面カバーには、前記熱交換器を通過した空気の一部である第1空気を排気するための第1排気口が形成され、
前記上面カバーの内側と前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第1空気が前記第1排気口を介して排気されるまでの第1排気流路として機能し、
前記エンジンルームの機械幅方向の他端側には、前記熱交換器を通過した空気の他の一部である第2空気を排気するための第2排気口が形成され、
前記エンジンと前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第2空気が前記第2排気口を介して排気されるまでの第2排気流路として機能し、
前記第1排気流路と前記第2排気流路との間には仕切板が設けられることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のエンジンルーム構造に関し、より詳しくは、建設機械のエンジンルームにおいて高い熱交換率を有する建設機械のエンジンルーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械の分野においては、エンジンルームの排気構造に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、エンジンルーム(22)を形成するエンジンガード(21)の上面部が、メンテンナス口(23)を開閉するボンネット(24)と、固定フード(25,26)によって構成されている(特許文献1の図1参照)。そして、可動ダクト(29)及び固定ダクト(32)によって排気ダクト(D)が構成されている。
【0003】
また、従来の建設機械の中には、エンジンルームにおいて、エンジンに吸入される空気からダストを除去するエアクリーナを、エンジンの上方に配置するものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-8257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、本願の発明者らは、エアクリーナがエンジンの上方に配置されると、熱交換器を冷却した空気を排気する際の排気流路が阻害され、熱交換率が低下するという問題があることに気づいた。
【0006】
そこで、本発明は、エンジンの上方にエアクリーナを備える建設機械において、熱交換率の低下を抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械のエンジンルーム構造であって、エンジンルームの機械幅方向の一端側に形成される吸気口と、前記エンジンルームに配置されるエンジンと、前記エンジンの側方に配置され、前記エンジンルームに外部から空気を取り込むファンと、前記ファンの側方に配置され、前記ファンによって取り込まれる空気が通過することにより冷却される熱交換器と、前記エンジンの上方に配置されるエアクリーナと、前記エンジンルームを開閉可能に構成するエンジンボンネットとを備え、前記エンジンボンネットは、閉状態で前記エンジンルームの上面の一部として機能し、上側に凸の凸形状を有する上面カバーを含み、前記上面カバーには、前記熱交換器を通過した空気の一部である第1空気を排気するための第1排気口が形成され、前記上面カバーの内側と前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第1空気が前記第1排気口を介して排気されるまでの第1排気流路として機能し、前記エンジンルームの機械幅方向の他端側には、前記熱交換器を通過した空気の他の一部である第2空気を排気するための第2排気口が形成され、前記エンジンと前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第2空気が前記第2排気口を介して排気されるまでの第2排気流路として機能し、前記第1排気流路と前記第2排気流路との間には仕切板が設けられることを特徴とする建設機械のエンジンルーム構造を提供している。
【0008】
また、前記エンジンボンネットは、前記上面カバーの後端から下側に屈曲して延在する後面カバーを更に含み、前記上面カバーは、機械幅方向において、前記後面カバーよりも前記熱交換器が配置される側に長くなるように構成されるのが好ましい。
【0009】
また、前記エアクリーナは、筒形状を有し、筒軸が機械前後方向に対して上下方向に傾斜するように配置されるのが好ましい。
【0010】
ここで、前記エアクリーナは、機械後方に向かって前記筒軸が下方に傾斜するように配置されるのが好ましい。
【0011】
更に、本発明は、建設機械であって、エンジンルームの機械幅方向の一端側に形成される吸気口と、前記エンジンルームに配置されるエンジンと、前記エンジンの側方に配置され、前記エンジンルームに外部から空気を取り込むファンと、前記ファンの側方に配置され、前記ファンによって取り込まれる空気が通過することにより冷却される熱交換器と、前記エンジンの上方に配置されるエアクリーナと、前記エンジンルームを開閉可能に構成するエンジンボンネットとを備え、前記エンジンボンネットは、閉状態で前記エンジンルームの上面の一部として機能し、上側に凸の凸形状を有する上面カバーを含み、前記上面カバーには、前記熱交換器を通過した空気の一部である第1空気を排気するための第1排気口が形成され、前記上面カバーの内側と前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第1空気が前記第1排気口を介して排気されるまでの第1排気流路として機能し、前記エンジンルームの機械幅方向の他端側には、前記熱交換器を通過した空気の他の一部である第2空気を排気するための第2排気口が形成され、前記エンジンと前記エアクリーナとの間に形成される空間は、前記第2空気が前記第2排気口を介して排気されるまでの第2排気流路として機能し、前記第1排気流路と前記第2排気流路との間には仕切板が設けられることを特徴とする建設機械を更に提供している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱交換器を通過した空気が第1排気流路と第2排気流路との2つの経路に分離されて整流される。そのため、エンジンの上方にエアクリーナを備える建設機械において、熱交換率の低下を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による油圧ショベル(建設機械)を示す斜視図。
図2図1のII矢視図。
図3】エンジンボンネットを機械後方から見た図。
図4図3のIV矢視図。
図5図4のV矢視図。
図6図1のVI-VI位置で切った断面図。
図7図2のVII-VII位置で切った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1. 実施形態>
本発明の実施形態による建設機械のエンジンルーム構造について、図1から図7に基づいて説明する。以下、本発明に係る建設機械の一例として、図1に示す油圧ショベル1を例示する。また、建設機械のエンジンルームの一例として、図6に示すエンジンルーム35を例示する。なお、各図面では、前後方向、左右方向及び上下方向を必要に応じて定義している。
【0015】
図1に示すように、油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2と上部旋回体3とを備えて構成される。上部旋回体3は、下部走行体2上に搭載されており、下部走行体2に対して鉛直軸まわりに旋回することが可能である。
【0016】
上部旋回体3は、キャブ(運転室)31と、キャブ31の後方に配置されエンジン61(図6参照)を内部に収容するエンジンルーム35とを備えて構成される。
【0017】
図1及び図2に示されるように、エンジンルーム35は、機械左側に配置されるカウンタウェイト4L、機械右側に配置されるカウンタウェイト4R、及び、左右のカウンタウェイト4L,4Rの間に開閉可能に設置されるエンジンボンネット5によって形成される空間である。
【0018】
図3図5に示されるように、エンジンボンネット5は、上面カバー51と、上面カバー51の後端から下側に屈曲して延在する後面カバー53とを備えて構成される。上面カバー51の前端には、ヒンジ55(55L,55R)が2箇所に設けられている。メンテナンス等において作業者がエンジンルーム35の内部にアクセスする場合に、エンジンボンネット5はヒンジ55を介して前方上側に開かれる。また、作業者によるメンテナンス等が終了すると、エンジンボンネット5は閉じられてエンジンルーム35の一部として機能する。
【0019】
上面カバー51は、上側に凸の凸形状を有しており、エンジンボンネット5が閉じられた状態においてエンジンルーム35の上面の一部として機能する。
【0020】
図4,5に示されるように、上面カバー51の右端には、エンジンルーム35の内部から空気を排気するための排気口510が形成されている。この排気口510については後に詳述する。
【0021】
後面カバー53は、略平らな面で構成され、エンジンボンネット5を閉じた状態においてエンジンルーム35の後面の一部として機能する。
【0022】
図3,4の破線領域に示されるように、上面カバー51は、機械幅方向(左右方向)において、後面カバー53よりも後述の熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)(図6参照)が配置される側(機械左側)に長くなるように構成されている。
【0023】
続いて、図6を参照しながら、エンジンルーム35の内部について詳細に説明する。
【0024】
エンジンルーム35の上面のうち上面カバー51の左側には、外部からエンジンルーム35に空気を取り込むための吸気口81が形成されている。また、エンジンルーム35の上面のうち上面カバー51の右側には、エンジンルーム35の内部から空気を排出するための排気口83が形成されている。
【0025】
エンジン61は、エンジンルーム35の略中央に配置されている。エンジン61の左側方には、エンジンルーム35に空気を取り込むためのファン63が設置されている。ファン63が駆動(回転)することにより、吸気口81からエンジンルーム35の内部に空気が取り込まれる。ファン63は、取り込んだ空気によって後述の熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)を冷却するのに用いられることから、冷却ファン63等とも称される。
【0026】
ファン63の左側方には、熱交換器としてラジエータ65及びコンデンサ67が設置されている。コンデンサ67は高圧冷媒を外気で冷却するための熱交換器であり、ラジエータ65はエンジン冷却水を外気で冷却するための熱交換器である。
【0027】
また、エンジン61の上方には、エアクリーナ69が設置されている。エアクリーナ69は、エンジン61へ吸入する空気に含まれる塵や埃などの異物を取り除くための装置である。図7に示されるように、エアクリーナ69は円筒形状を有している。そして、エアクリーナ69の円筒軸AXは、機械前後方向において上下方向に傾斜している。より詳細には、エアクリーナ69の円筒軸AXは、機械後方に向かって下方に傾斜している。
【0028】
吸気口81の下側には、吸気口81から取り込んだ空気をフィルタリングするためのフィルタ71が設置されている。
【0029】
フィルタ71の下流側には、上述した熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)が配置されている。ラジエータ65及びコンデンサ67は、フィルタ71によってフィルタリングされた空気によって冷却される。
【0030】
また、フィルタ71の下流側かつラジエータ65及びコンデンサ67の上側には、筒部材73が設置されている。筒部材73は、上述のエアクリーナ69に接続されており、フィルタ71を通過した空気の一部を取り込んで、エアクリーナ69に送るための部材である。
【0031】
このように、吸気口81を介してエンジンルーム35に取り込まれた空気は、フィルタ71によってフィルタリングされる。そして、フィルタリングされた空気の一部は筒部材73を介してエアクリーナ69に送られ、残りの空気はラジエータ65及びコンデンサ67を通過する。
【0032】
また、筒部材73の右側には、上下方向に延在し上端が上面カバー51の内側に当接する仕切板75が設置されている。仕切板75は、熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)周辺の吸気領域と排気領域とを分離している。
【0033】
また、上面カバー51の右側には、左右方向に延在し排気口510とエンジン61が配置される側とを上下に仕切る仕切板77が設置されている。さらに、仕切板77の下面には、エンジンから出力される機械音を吸収する吸音材79が設けられている。
【0034】
続いて、熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)を通過した空気がエンジンルーム35の外部へ排気されるまでの流路について詳細に説明する。
【0035】
熱交換器を通過した空気の一部は、エアクリーナ69の左側を通ってエンジンボンネット5の上面カバー51側に流れていき、その後、上面カバー51の内側とエアクリーナ69との間に形成される空間を通過し、最終的には排気口510から外部へ排気される。以下では、このような空気の流れを第1排気流路PT1と称する。なお、第1排気流路PT1を通過する空気は、本発明に係る第1空気の一例である。
【0036】
また、熱交換器を通過した空気の他の一部は、エンジン61とエアクリーナ69との間に形成される空間を通過し、最終的には排気口83から外部へ排気される。以下では、このような空気の流れを第2排気流路PT2と称する。なお、第2排気流路PT2を通過する空気は、本発明に係る第2空気の一例である。
【0037】
なお、第1排気流路PT1を通過する空気と第2排気流路PT2を通過する空気とは、上述した仕切板77によって分離されるため、合流しない。
【0038】
本実施形態によれば、熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)を通過した空気の一部は、上面カバー51の内側とエアクリーナ69との間に形成される第1排気流路PT1を通過してエンジンルーム35の外部に排気される。また、コンデンサ67及びラジエータ65を通過した空気の他の一部は、エンジン61とエアクリーナ69との間に形成される第2排気流路PT2を通過してエンジンルーム35の外部に排気される。すなわち、熱交換器を通過した空気が第1排気流路PT1と第2排気流路PT2との2つの経路に分離されて整流される。そのため、エンジン61の上方にエアクリーナ69を備える建設機械において、熱交換率の低下を抑制することが可能である。
【0039】
また、本実施形態によれば、仕切板77が排気口510の下側に設けられているため、エンジン61から出力される機械音が排気口510から直接漏れるのを防止することが可能である。更に、仕切板77の下側には吸音材79が設けられているため、機械音をより確実にシャットアウトすることが可能である。
【0040】
また、本実施形態によれば、図3及び図4に示されるように、上面カバー51は、機械幅方向(左右方向)において、後面カバー53よりも熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)が配置される側に長く構成されている(図3及び図4の破線領域)。
【0041】
そのため、図6に示されるように、熱交換器(ラジエータ65及びコンデンサ67)周辺の吸気領域と排気領域とを分離するための部材として簡素な板状の仕切板75を採用することが可能である。その結果、ラジエータ65に給水等を行うためのメンテナンス空間をラジエータ65の上方に大きく確保することが可能である。
【0042】
また、本実施形態によれば、図7に示されるように、エアクリーナ69の円筒軸AXが機械前後方向において上下方向に傾斜しているため、上面カバー51の内側とエアクリーナ69との間に、第1排気流路PT1のための空間が十分に確保される。
【0043】
また、本実施形態では、エアクリーナ69の円筒軸AXが機械後方に向かって下方に傾斜しているため、メンテナンス時における機械後方からのエアクリーナ69へのアクセス性も高い。
【0044】
<2.変形例>
本発明による建設機械のエンジンルーム構造は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、エアクリーナ69の円筒軸AXが機械後方に向かって下方に傾斜している場合を例示したが、これに限定されず、円筒軸AXが機械後方に向かって上方に傾斜するように構成してもよい。
【0046】
かかる変形例においても、円筒軸AXが機械前後方向において上下方向に傾斜するため、上面カバー51の内側とエアクリーナ69との間に、第1排気流路PT1のための空間を十分に確保することが可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、エアクリーナ69が円筒形状を有する場合を例示したが、これに限定されず、筒形状であれば、円以外の形状で構成されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように本発明にかかる建設機械のエンジンルーム構造は、油圧ショベルのエンジンルーム等に適している。
【符号の説明】
【0049】
1 油圧ショベル、2 下部走行体、3 上部旋回体、4L,4R カウンタウェイト、
5 エンジンボンネット、31 キャブ、35 エンジンルーム、51 上面カバー、
53 後面カバー、55 ヒンジ、61 エンジン、63 ファン、65 ラジエータ、
67 コンデンサ、69 エアクリーナ、71 フィルタ、73 筒部材、75 仕切板、
77 仕切板、79 吸音材、81 吸気口、83 排気口、510 排気口、
AX 円筒軸、PT1 排気流路、PT2 排気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7