(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】コネクタ、及びコネクタ構造体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20220329BHJP
【FI】
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2018247603
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003466(WO,A1)
【文献】特開2017-098080(JP,A)
【文献】特開2000-012162(JP,A)
【文献】米国特許第06039606(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周を、シールド部で包囲してなるシールド電線の端部に接続されるコネクタであって、
前記芯線に接続される内導体と、
前記内導体と電気的に絶縁された状態で前記内導体を包囲すると共に貫通孔が形成された筒部と、
前記筒部の後方に配されて前後方向に延びるとともに前記シールド部に重ねられる接続板部と、を有する第1外導体と、
前記シールド部及び前記接続板部の外側から、前記シールド部及び前記接続板部を圧着するシールド圧着部と、前記筒部の外側から前記筒部の少なくとも一部を覆う包囲部と、を有する第2外導体と、を備え、
前記包囲部により、前記第1外導体の前記貫通孔が塞がれて
おり、
前記内導体は絶縁性の誘電体に包囲されており、
前記第1外導体の前記筒部には、前記誘電体を保持するための係止片が、前記筒部の内方に突出して形成されており、前記係止片の近傍に前記貫通孔が形成されており、
前記係止片は、後端部を基部として、前方に片持ち状に延びて形成され、前記係止片の前端部が、前記誘電体に形成された係止凹部に後方から係止することにより、前記誘電体が前記筒部内において抜止状態で保持されている、コネクタ。
【請求項2】
芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周を、シールド部で包囲してなるシールド電線と、
前記シールド電線の端部から露出した前記芯線に接続される内導体と、
前記内導体と電気的に絶縁された状態で前記内導体を包囲すると共に貫通孔が形成された筒部と、
前記筒部の後方に配されて前後方向に延びるとともに前記シールド部に重ねられる接続板部と、を有する第1外導体と、
前記シールド部及び前記接続板部の外側から、前記シールド部及び前記接続板部を圧着するシールド圧着部と、前記筒部の外側から前記筒部の少なくとも一部を覆う包囲部と、を有する第2外導体と、を備え、
前記包囲部により、前記第1外導体の前記貫通孔が塞がれて
おり、
前記内導体は絶縁性の誘電体に包囲されており、
前記第1外導体の前記筒部には、前記誘電体を保持するための係止片が、前記筒部の内方に突出して形成されており、前記係止片の近傍に前記貫通孔が形成されており、
前記係止片は、後端部を基部として、前方に片持ち状に延びて形成され、前記係止片の前端部が、前記誘電体に形成された係止凹部に後方から係止することにより、前記誘電体が前記筒部内において抜止状態で保持されている、コネクタ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、シールド電線の端末に接続されるコネクタに係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-18898号公報には、上方に開口する金属製のベース部と、ベース部に上方から組み付けられる金属製のシェルカバー部と、を備えたコネクタが開示されている。ベース部の側壁には係止孔が貫通されている。シェルカバーには、係止孔に対応する位置に、係止孔に係止する係止突部が切り起こされている。係止突部が係止孔の孔縁部に弾性的に係止することにより、ベース部とシェルカバー部とが一体に組み付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成によれば、ベース部とシェルカバー部とが一体に組み付けられた状態で、係止孔と係止突部との間に隙間が形成されている。更に、ベース部には、他の部材を係止するために、複数の係止孔が形成されている。このため、ベース部とシェルカバー部とが一体に組み付けられた状態で、上記の隙間や係止孔から、外部からのノイズが侵入したり、ノイズが外部に漏洩したりすることが懸念される。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド性能が向上されたコネクタに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周を、シールド部で包囲してなるシールド電線の端部に接続されるコネクタであって、前記芯線に接続される内導体と、前記内導体と電気的に絶縁された状態で前記内導体を包囲すると共に貫通孔が形成された筒部と、前記シールド部に重ねられる接続板部と、を有する第1外導体と、前記シールド部及び前記接続板部の外側から、前記シールド部及び前記接続板部を圧着するシールド圧着部と、前記筒部の外側から前記筒部の少なくとも一部を覆う包囲部と、を有する第2外導体と、を備え、前記包囲部により、前記第1外導体の前記貫通孔が塞がれている。
【0007】
また、本明細書に開示された技術は、コネクタ構造体であって、芯線の外周を絶縁被覆で包囲してなる被覆電線の外周を、シールド部で包囲してなるシールド電線と、前記シールド電線の端部から露出した前記芯線に接続される内導体と、前記内導体と電気的に絶縁された状態で前記内導体を包囲すると共に貫通孔が形成された筒部と、前記シールド部に重ねられる接続板部と、を有する第1外導体と、前記シールド部及び前記接続板部の外側から、前記シールド部及び前記接続板部を圧着するシールド圧着部と、前記筒部の外側から前記筒部の少なくとも一部を覆う包囲部と、を有する第2外導体と、を備え、前記包囲部により、前記第1外導体の前記貫通孔が塞がれている。
【0008】
上記の構成によれば、第1外導体に形成された貫通孔は、第2外導体の包囲部によって塞がれている。これにより第1外導体及び第2外導体によって、外部からのノイズの侵入を抑制すると共に、外部へのノイズの漏洩を抑制することができるので、コネクタのシールド性能を向上させることができる。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記内導体は絶縁性の誘電体に包囲されており、前記第1外導体の前記筒部には、前記誘電体を保持するための係止片が、前記筒部の内方に突出して形成されており、前記係止片の近傍に前記貫通孔が形成されている。
【0011】
上記の構成によれば、係止片によって誘電体を筒部内に係止することができる。また、係止片の近傍に形成された貫通孔は包囲部によって塞がれているので、コネクタのシールド性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示された技術によれば、コネクタのシールド性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係る雌コネクタ構造体を示す断面図
【
図3】スリーブをシールド電線のシースに外嵌させる工程を示す斜視図
【
図4】スリーブがシールド電線のシースに外嵌された状態を示す平面図
【
図5】編組線がスリーブの上に折り返された状態を示す平面図
【
図6】
被覆電線にクリップを外嵌させる工程を示す斜視図
【
図7】アッパー誘電体に雌端子を載置する工程を示す斜視図
【
図8】アッパー誘電体とロア誘電体とを組み付ける工程を示す斜視図
【
図9】アッパー誘電体とロア誘電体とが組み付けられた状態を示す斜視図
【
図10】第1外導体の筒部に誘電体を挿入する工程を示す斜視図
【
図11】第1外導体の筒部に誘電体が挿入された状態を示す斜視図
【
図12】第1外導体と第2外導体とを接続する工程を示す斜視図
【
図13】第1外導体と第2外導体とを接続する工程を示す斜視図
【
図14】第1外導体と第2外導体とを示す分解斜視図
【
図17】実施形態2に係る雄コネクタ構造体を示す斜視図
【
図18】スリーブがシースに外嵌された状態を示す斜視図
【
図19】アッパー誘電体に雄端子が載置される工程を示す斜視図
【
図20】アッパー誘電体とロア誘電体とを組み付ける工程を示す斜視図
【
図21】アッパー誘電体とロア誘電体とが組み付けられた状態を示す斜視図
【
図22】第1外導体の筒部に誘電体が挿入される工程を示す斜視図
【
図23】第1外導体の筒部に誘電体が挿入された状態を示す斜視図
【
図24】第1外導体と第2外導体とを接続する工程を示す斜視図
【
図25】第1外導体と第2外導体とを接続する工程を示す斜視図
【
図26】第1外導体と第2外導体とを示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を雌コネクタ構造体10(コネクタ構造体の一例)に適用した実施形態1について、
図1から
図16を参照しつつ説明する。本実施形態に係る雌コネクタ構造体10は、シールド電線11の端末に雌コネクタ12(コネクタの一例)が接続されてなる。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。複数の部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0015】
シールド電線11
シールド電線11は、複数(本実施形態では2本)の被覆電線13の外周を、金属細線からなる編組線14(シールド部の一例)で包囲すると共に、編組線14の外周を絶縁材料からなるシース15で包囲してなる。各被覆電線13は、芯線16と、芯線16の外周を包囲する絶縁被覆17と、を備える。芯線16を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。芯線16は、1本の金属素線からなるものであってもよく、また、複数本の金属素線が撚り合わされた撚り線からなるものであってもよい。絶縁被覆17、及びシース15は、絶縁性の合成樹脂からなる。
【0016】
シールド電線11の端末においては、皮剥ぎ等の端末処理が施され、芯線16、絶縁被覆17、及び編組線14のそれぞれの端末が露出している。
【0017】
雌コネクタ12
雌コネクタ12は、雌端子18(内導体の一例)と、雌端子18の外周を包囲する絶縁性の誘電体19と、誘電体19の外周を包囲する外導体20と、を備える。外導体20は、第1外導体33と、第1外導体33に電気的に接続された第2外導体34とを、有する。
【0018】
雌端子18
雌端子18は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。雌端子18を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。雌端子18は、各被覆電線13の端末に接続されている。雌端子18は、被覆電線13の絶縁被覆17の外周に巻き付くように圧着するインシュレーションバレル21と、インシュレーションバレル21の前方に連なって芯線16の外周に巻き付くように圧着するワイヤーバレル22と、ワイヤーバレル22の前方に連なって、図示しない相手側端子が挿入される接続筒部23と、を有する。接続筒部23内には弾性接触片24が配されている。相手側端子が接続筒部23内に挿入されることにより、相手側端子と弾性接触片24とが弾性的に接触し、これにより、相手側端子と雌端子18とが電気的に接続されるようになっている。
【0019】
クリップ25
図6に示すように、シース15の端末から導出された2本の被覆電線13は、それぞれ、1つのクリップ25によって保持されている。クリップ25は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。クリップ25は、前後方向から見て、略W字状をなしている。クリップ25は、各被覆電線13の絶縁被覆17の外周に巻き付くように圧着されるようになっている。クリップ25は、前後方向に間隔を空けて並ぶ圧着片26を有する。2本の被覆電線13にクリップ25の圧着片が26圧着することにより、2本の被覆電線13の相対的な位置が保持されるようになっている。
【0020】
編組線14
編組線14は、複数の金属細線を筒状に編んでなる。編組線14のうちシース15の端末から露出した部分は、シース15の端末側に折り返されてシース15の外側に重ねられている。
【0021】
スリーブ27
図3から
図5に示すように、シース15の端末の外側であって、且つ、シース15の端末に重ねられた編組線14の内側には、スリーブ27がシース15の外周に巻き付くように圧着している。スリーブ27は金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。スリーブ27は細長い板状をなしている。スリーブ27の長手方向の端部は、側方から見て、一方は山形状をなしており、他方は谷形状をなしている。スリーブ27の両端部が隙間を空けて対向した状態で、スリーブ27がシース15の外周に圧着するようになっている。
【0022】
誘電体19
図7から
図9に示すように、雌端子18の周囲は、誘電体19によって包囲されるようになっている。誘電体19は、全体として、前後方向に延びる直方体形状をなしている。誘電体19は、上方に開口すると共に下側に配されるロア誘電体28と、ロア誘電体28に上方から組み付けられるアッパー誘電体29と、を備える。ロア誘電体28、及びアッパー誘電体29は、絶縁性の合成樹脂を射出成型してなる。アッパー誘電体29の側縁から外方に突出するロック爪30に、ロア誘電体28のうちロック爪30に対応する位置に形成された弾性変形可能なロック受け部31が弾性的に係止することにより、ロア誘電体28とアッパー誘電体29とが、一体に組み付けられるようになっている。ロック受け部31は略門形状をなしている。ロア誘電体28と、アッパー誘電体29とが組み付けられた状態で、誘電体19には、雌端子18が収容されるキャビティ32が、前後方向に延びて形成されるようになっている。本実施形態においては、複数(本実施形態では2つ)のキャビティ32が左右方向に並んで形成されている。
【0023】
第1外導体33
図10及び
図14に示すように、第1外導体33は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。第1外導体33を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。第1外導体33は、前後方向に延びる角筒状をなす筒部35と、筒部35の後方に配されて前後方向に延びる細長い板状をなすと共にシース15の外周に折り返された編組線14に重ねられる接続板部36と、筒部35と接続板部36とを前後に連結する第1連結部37と、を有する。
【0024】
筒部35の内形状は、誘電体19の外形状と同じか、やや大きく形成されている。筒部35の内部には、誘電体19が後方から挿入されるようになっている。筒部35は、底壁35Bと、底壁35Bの左側縁から上方に延びる左側壁35Lと、底壁35Bの右側縁から上方に延びる右側壁35Rと、上壁35Uとを、有する。上壁35Uは、左側壁35Lの上端縁から右方に延びる左半部35ULの右端縁と、右側壁35Rの上端縁から左方に延びる右半部35URの左端縁とが、左右方向について中央付近で互いに突き合わされた状態で、形成されている。左半部35ULの右端縁と、右半部35URの左端縁には、それぞれ、略台形状をなす凸部38と、略台形状をなす凹部39とが形成されており、凸部38と凹部39とが嵌合することにより、筒部35が拡開変形することが抑制されるようになっている。
【0025】
筒部35の左側壁35L及び右側壁35Rの後端部寄りの位置には、前後方向に延びる係止片40が、後端部を基部として、前方に片持ち状に延びて形成されている。係止片40は、前方に向かうに従って、左右方向について内方に延びて形成されている。係止片40の近傍には、係止片40を左側壁35L及び右側壁35Rから切り出すための貫通孔41が形成されている。係止片40は左右方向について弾性変形可能に形成されている。この係止片40の前端部が、誘電体19の後端部寄りの位置に形成された係止凹部42に後方から係止することにより、誘電体19が筒部35内において抜止状態で保持されるようになっている。
【0026】
筒部35の底壁35Bには、係止片40及び貫通孔41よりもやや前方の位置であって、且つ、左右方向の中央付近に、下方に突出するマーク43が形成されている。マーク43は、筒部35の底壁35Bが下方に叩き出されて形成されている。
【0027】
筒部35の底壁35Bの後端縁と、筒部35の左側壁35Lの後端縁のうち下から略二分の一の領域と、筒部35の右側壁35Rの後端縁のうち下から略二分の一の領域とには、下斜め後方に延びる第1連結部37が形成されている。第1連結部37は、後方から見て、下方について凸状をなす曲面形状をなしている。
【0028】
第1連結部37の後端縁には、左右方向について中央付近から後方に延びる接続板部36が形成されている。接続板部36は前後方向に細長く延びる板状をなしている。接続板部36の上面及び下面は、下方について凸状をなす緩やかな円弧状をなしている。
【0029】
第2外導体34
図13及び
図14に示すように、第2外導体34は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。第2外導体34を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。第2外導体34は、筒部35の外周に圧着する前圧着部44(筒圧着部の一例)と、シース15の端末に折り返された編組線14及びこの編組線14に重ねられた接続板部36に圧着する後圧着部45(シールド圧着部の一例)と、前圧着部44と後圧着部45とを前後に連結する第2連結部46と、を有する。
【0030】
前圧着部44は、上壁44Uと、上壁44Uの左側縁から下方に延びる左側壁44L(包囲部の一例)と、上壁44Uの右側縁から下方に延びる右側壁44R(包囲部の一例)と、左側壁44Lの下端縁のうち後端部寄りの部分から右方に延びる左圧着片47Lと、右側壁44Rの下端縁のうち前端部寄りの部分から左方に延びる右圧着片47Rと、を有する。前圧着部44が筒部35の外周に圧着された状態では、前圧着部44の上壁44Uは筒部35の上壁35Uを上方から覆い、前圧着部44の左側壁44Lは筒部35の左側壁35Lを左方から覆い、前圧着部44の右側壁44Rは筒部35の右側壁35Rを右方から覆い、前圧着部44の左圧着片47Lと右圧着片47Rは、筒部35の底壁35Bを下方から覆っている。
【0031】
前後方向について、前圧着部44の左圧着片47Lと右圧着片47Rとの間には隙間48が形成されている。この隙間48の前後方向の幅寸法は、筒部35のマーク43の前後方向の幅寸法と、同じか、やや大きく形成されている。
【0032】
左圧着片47Lの前端縁は、マーク43の後端縁に対して後方から当接可能になっている。また、右圧着片47Rの後端縁は、マーク43の前端縁に対して前方から当接可能になっている。これにより、筒部35と、前圧着部44とは、前後方向について位置決めされるようになっている。
【0033】
前圧着部44の上壁44Uには、上方から見て略四角形状をなす係止孔49が貫通されている。この係止孔49の孔縁部に、図示しないコネクタハウジングのランスが係止するようになっている。
【0034】
前圧着部44の上壁44Uの後端縁と、前圧着部44の左側壁44Lの後端縁と、前圧着部44の右側壁44Rの後端縁とには、後方に延びる第2連結部46が形成されている。第2連結部46は、後方から見て、上方について凸状をなす曲面形状をなしている。
【0035】
第2連結部46の後方には後圧着部45が設けられている。後圧着部45は、第2連結部46の後端縁から後方に延びる基板部50と、基板部50の右端縁から下方に延びる右圧着片51Rと、基板部50の左端縁から下方に延びる左圧着片51Lと、を有する。
【0036】
基板部50は、略長方形状をなすと共に、後方から見て上方に凸状をなす曲面形状をなしている。基板部50の後端縁には、シールド電線11の周方向について間隔を空けて、複数(本実施形態では4つ)の突部52が、シールド電線11の径方向の内方に突出している。突部52は、基板部50の後端縁から、シールド電線11の径方向の内方に、略直角に屈曲している。
【0037】
後圧着部45が編組線14及び接続板部36に圧着した状態において、突部52は、スリーブ27の後端部よりも後方の位置に配されるようになっている。突部52の、シールド電線11の径方向の内方への突出寸法は、後圧着部45が編組線14及び接続板部36に圧着した状態において、スリーブ27の後端縁に対して、後方から接触可能に設定されている。これにより、シールド電線11が後方に引っ張られた場合に、突部52が、スリーブ27の後端縁に当接することにより、シールド電線11が後方に移動することを抑制することができる。
【0038】
基板部50の右端縁には、前後方向に間隔を空けて、複数(本実施形態では2つ)の右圧着片51Rが延出されている。右圧着片51Rは、それぞれ、基板部50の右端縁の前端部と、後端部とに、設けられている。それぞれの右圧着片51Rの先端部には、右係止部53Rが形成されている。右係止部53Rは、右圧着片51Rの先端部を、内面側(編組線14側)に折り返された形状に形成されている。
【0039】
基板部50の左端縁には、前後方向の中央位置付記に、左圧着片51Lが延出されている。左圧着片51Lの前後方向の幅寸法は、一対の右圧着片51Rの前後方向についての間隔よりも小さく設定されている。左圧着片51Lの先端部には、左係止部53Lが形成されている。左係止部53Lは、左圧着片51Lの先端部を、内面側(編組線14側)に折り返された形状に形成されている。
【0040】
圧着構造
図15に示すように、前圧着部44が筒部35の外周に圧着した状態で、左圧着片47Lと右圧着片47Rとの間に形成された隙間48に、マーク43が収容されるようになっている。マーク43の下面が左圧着片47L及び右圧着片47Rの下面よりも上方に位置していてもよいし、マーク43の下面と左圧着片47L及び右圧着片47Rの下面とが面一であってもよいし、マーク43の下面が左圧着片47L及び右圧着片47Rの下面よりも下方に突出していてもよい。
【0041】
図1に示すように、前圧着部44が筒部35の外周に圧着した状態で、筒部35の係止片40及び貫通孔41は、前圧着部44の左側壁44L及び右側壁44Rによって、左右方向について外方から覆われるようになっている。これにより、筒部35の貫通孔41から誘電体19が露出しないようになっている。この結果、雌端子18又は芯線16で発生したノイズが筒部35の貫通孔41から外部に漏洩したり、外部のノイズが筒部35の貫通孔41から雌端子18又は芯線16に侵入したりすることを抑制することができる。
【0042】
後圧着部45が編組線14及び接続板部36に圧着した状態において、右係止部53Rは、接続板部36の左側縁に、シールド電線11の径方向に沿った方向から当接する。また、左係止部53Lは、接続板部36の右側縁に、シールド電線11の径方向に沿った方向から当接する。これにより、後圧着部45が、シールド電線11の径方向について拡開変形することが抑制されるようになっている。
【0043】
図16に示すように、前圧着部44が筒部35の外周に圧着し、且つ、後圧着部45が編組線14及び接続板部36に圧着した状態において、第1連結部37の上端部寄りの部分には、第2連結部46の下端部寄りの部分が、シールド電線11の径方向について外側から重なるようになっている。本実施形態では、第1連結部37の外側に第2連結部46が重なった部分では、第2連結部46の内面は、第1連結部37の外面に密着している。
【0044】
雌コネクタ構造体10の組み付け工程
続いて、本実施形態に係る雌コネクタ構造体10の組み付け工程の一例について説明する。雌コネクタ構造体10の組み付け工程は以下の記載に限定されない。
【0045】
シールド電線11の端末部分において、所定の長さでシース15を皮剥ぎすることにより、編組線14をシース15から露出させる。編組線14を所定の長さに切断し、編組線14から被覆電線13を露出させる。
【0046】
被覆電線13の端末において、所定の長さで絶縁被覆17を皮剥ぎすることにより、芯線16を絶縁被覆17から露出させる。芯線16の外周にワイヤーバレル22を圧着させると共に、絶縁被覆17の外周にインシュレーションバレル21を圧着させることにより、被覆電線13の端末に雌端子18を接続する(
図3参照)。
【0047】
図3及び
図4に示すように、シース15の端部にスリーブ27を外嵌させる。シース15の端部から露出した編組線14を折り返すことにより、シールド電線11の径方向について、スリーブ27の外側に編組線14を被せる(
図5参照)。
【0048】
図6に示すように、2本の被覆電線13に、下方からクリップ25を嵌着させる。
図7に示すように、シールド電線11の上下を反転させて、上下を反転させたアッパー誘電体29の上壁に、上方から雌端子18を載置する。
図8に示すように、ロア誘電体28を、アッパー誘電体29の上方から、アッパー誘電体29に組み付ける。アッパー誘電体29のロック爪30に、ロア誘電体28のロック受け部31が弾性的に係合することにより、アッパー誘電体29とロア誘電体28とが一体に組み付けられる(
図9参照)。
【0049】
図10及び
図11に示すように、シールド電線11の上下を反転させて、第1外導体33の筒部35内に、後方から誘電体19を挿入する。第1外導体33の係止片40が、後方から、誘電体19の係止凹部42に弾性的に係止することにより、誘電体19が筒部35内に抜け止め状態で保持される。このとき、第1導体の接続板部36は、編組線14の下方に重なるようになっている。
【0050】
図13に示すように、第2外導体34の上下を反転させて、上方から、第1外導体33、並びに、編組線14及び接続板部36を、第2外導体34に載置する。前圧着部44を筒部35の外周に圧着させると共に、後圧着部45を編組線14及び接続板部36の外周に圧着させる。
【0051】
前圧着部44については、筒部35の底壁35Bに形成されたマーク43を目印に圧着させる。底壁35Bに形成されたマーク43を目視することにより、第2外導体34の圧着位置を確認することができるので、第2外導体34の圧着工程を効率化することができる。更に、左圧着片47Lと右圧着片47Rとの前後方向の隙間48内にマーク43が収容されることにより、第2外導体34が正しい位置に圧着されたことを容易に確認することができる。
【0052】
後圧着部45については、左圧着片51Lと、右圧着片51Rとを、編組線14及び接続板部36の外周に巻き付くように圧着させる。左圧着片51Lの左係止部53Lを接続板部36の右側縁に係止させると共に、右圧着片51Rの右係止部53Rを接続板部36の左側縁に係止させる。これにより、後圧着部45が拡開変形することが抑制されるようになっている。後圧着部45が、編組線14及び接続板部36に圧着することにより、編組線14と、第1外導体33と、第2外導体34とが電気的に接続される。
【0053】
第2外導体34の前圧着部44及び後圧着部45を第1外導体33に圧着する工程と同じ工程において、第2外導体34の第2連結部46を、第1外導体33の第1連結部37の外周に圧着させる。これにより、第1連結部37の外側に第2連結部46が重なっている部分において、第2連結部46の内面を、第1連結部37の外面に密着させることができる。以上により、コネクタ構造体が完成する。
【0054】
実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る雌コネクタ12は、芯線16の外周を絶縁被覆17で包囲してなる被覆電線13の外周を、編組線14で包囲してなるシールド電線11の端部に接続される雌コネクタ12であって、芯線16に接続される雌端子18と、雌端子18と電気的に絶縁された状態で雌端子18を包囲すると共に貫通孔41が形成された筒部35と、編組線14に重ねられる接続板部36と、を有する第1外導体33と、編組線14及び接続板部36の外側から、編組線14及び接続板部36を圧着する後圧着部45と、筒部35の外側から筒部35の少なくとも一部を覆う左側壁44L及び右側壁44Rと、を有する第2外導体34と、を備え、左側壁44L及び右側壁44Rにより、第1外導体33の貫通孔41が塞がれている。
【0055】
また、本実施形態に係る雌コネクタ構造体10は、芯線16の外周を絶縁被覆17で包囲してなる被覆電線13の外周を、編組線14で包囲してなるシールド電線11と、シールド電線11の端部から露出した芯線16に接続される雌端子18と、雌端子18と電気的に絶縁された状態で雌端子18を包囲すると共に貫通孔41が形成された筒部35と、編組線14に重ねられる接続板部36と、を有する第1外導体33と、編組線14及び接続板部36の外側から、編組線14及び接続板部36を圧着する後圧着部45と、筒部35の外側から筒部35の少なくとも一部を覆う左側壁44L及び右側壁44Rと、を有する第2外導体34と、を備え、左側壁44L及び右側壁44Rにより、第1外導体33の貫通孔41が塞がれている。
【0056】
上記の構成によれば、第1外導体33に形成された貫通孔41は、第2外導体34の左側壁44L及び右側壁44Rによって塞がれている。これにより第1外導体33及び第2外導体34によって、外部からのノイズの侵入を抑制すると共に、外部へのノイズの漏洩を抑制することができるので、雌コネクタ12及び雌コネクタ構造体10のシールド性能を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、雌端子18は絶縁性の誘電体19に包囲されており、第1外導体33の筒部35には、誘電体19を保持するための係止片40が、筒部35の内方に突出して形成されており、係止片40の近傍に貫通孔41が形成されている。
【0058】
上記の構成によれば、係止片40によって誘電体19を筒部35内に係止することができる。また、係止片40の近傍に形成された貫通孔41は左側壁44L及び右側壁44Rによって塞がれているので、雌コネクタ12及び雌コネクタ構造体10のシールド性能を向上させることができる。
【0059】
<実施形態2>
本明細書に開示された技術に係る実施形態2について、
図17から
図26を参照しつつ説明する。本実施形態に係る雄コネクタ構造体110(コネクタ構造体の一例)は、シールド電線11の端末に雄コネクタ112(コネクタの一例)が接続されてなる。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を左方として説明する。複数の部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0060】
雄コネクタ112
雄コネクタ112は、雄端子118(内導体の一例)と、雄端子118の外周を包囲する絶縁性の誘電体119と、誘電体119の外周を包囲する外導体20と、を備える。外導体20は、第1外導体133と、第1外導体133に電気的に接続された第2外導体134とを、有する。
【0061】
雄端子118
図18に示すように、雄端子118は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。雄端子118を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を選択することができる。雄端子118は、各被覆電線13の端末に接続されている。雄端子118は、被覆電線13の絶縁被覆17の外周に巻き付くように圧着するインシュレーションバレル
121と、インシュレーションバレル
121の前方に連なって芯線16の外周に巻き付くように圧着するワイヤーバレル
122と、ワイヤーバレル
122の前方に連なって、図示しない相手側端子の接続筒部内に挿入される雄タブ123が前方に延出している。雄タブ123が接続筒部内に挿入されることにより、相手側端子と雄端子118とが電気的に接続されるようになっている。
【0062】
誘電体119
図19から
図21に示すように、雄端子118の周囲は、誘電体119によって包囲されるようになっている。誘電体119は、全体として、前後方向に延びる直方体形状をなしている。誘電体119は、上方に開口すると共に下側に配されるロア誘電体128と、ロア誘電体128に上方から組み付けられるアッパー誘電体129と、を備える。ロア誘電体128、及びアッパー誘電体129は、絶縁性の合成樹脂を射出成型してなる。アッパー誘電体129の側縁から外方に突出するロック爪130に、ロア誘電体128のうちロック爪130に対応する位置に形成された弾性変形可能なロック受け部131が弾性的に係止することにより、ロア誘電体128とアッパー誘電体129とが、一体に組み付けられるようになっている。ロック受け部131は略門形状をなしている。ロア誘電体128と、アッパー誘電体129とが組み付けられた状態で、誘電体119には、雄端子118が収容されるキャビティ132が、前後方向に延びて形成されるようになっている。本実施形態においては、複数(本実施形態では2つ)のキャビティ132が左右方向に並んで形成されている。
【0063】
第1外導体133
図22及び
図26に示すように、第1外導体133は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。第1外導体133を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。第1外導体133は、前後方向に延びる角筒状をなす筒部135と、筒部135の後方に配されて前後方向に延びる細長い板状をなすと共にシース15の外周に折り返された編組線14に重ねられる接続板部
136と、筒部135と接続板部
136とを前後に連結する第1連結部
137と、を有する。
【0064】
筒部135の内形状は、誘電体119の外形状と同じか、やや大きく形成されている。筒部135の内部には、誘電体119が後方から挿入されるようになっている(
図22参照)。筒部135は、底壁135Bと、底壁135Bの左側縁から上方に延びる左側壁135Lと、底壁135Bの右側縁から上方に延びる右側壁135Rと、上壁135Uとを、有する。上壁135Uは、左側壁135Lの上端縁から右方に延びる左半部135ULの右端縁と、右側壁135Rの上端縁から左方に延びる右半部135URの左端縁とが、左右方向について中央付近で互いに突き合わされた状態で、形成されている。左半部135ULの右端縁と、右半部135URの左端縁には、それぞれ、略台形状をなす凸部138と、略台形状をなす凹部139とが形成されており、凸部138と凹部139とが嵌合することにより、筒部135が拡開変形することが抑制されるようになっている。
【0065】
筒部135の左側壁135L及び右側壁135Rの後端部寄りの位置には、前後方向に延びる後係止片140Bが、後端部を基部として、前方に片持ち状に延びて形成されている。後係止片140Bは、前方に向かうに従って、左右方向について内方に延びて形成されている。後係止片140Bの近傍には、後係止片140Bを左側壁135L及び右側壁135Rから切り出すための後貫通孔141Bが形成されている。後係止片140Bは左右方向について弾性変形可能に形成されている。この後係止片140Bの前端部が、誘電体119の後端部寄りの位置に形成された後係止凹部142Bに後方から係止することにより、誘電体119が筒部135内において抜止状態で保持されるようになっている。
【0066】
筒部135の左半部135ULの、前後方向の中央位置付近には、前後方向に延びる前係止片140Fが、前端部を基部として、後方に片持ち状に延びて形成されている。前係止片140Fは、後方に向かうに従って、筒部135の内方に延びて形成されている。前係止片140Fの近傍には、前係止片140Fを上壁135Uから切り出すための前貫通孔141Fが形成されている。前係止片140Fは上下方向について弾性変形可能に形成されている。この前係止片140Fの後端部が、誘電体119の前後方向の中央位置付近に形成された前係止凹部142Fに前方から係止することにより、誘電体119が筒部135内において抜止状態で保持されるようになっている。
【0067】
筒部135の底壁135Bには、後係止片140B及び後貫通孔141Bよりもやや前方の位置であって、且つ、左右方向の中央付近に、下方に突出する下マーク143Lが形成されている。下マーク143Lは、筒部135の底壁135Bが下方に叩き出されて形成されている。
【0068】
筒部135の上壁135Uには、前後方向について、後係止片140B及び後貫通孔141B略同じ位置に、上方に突出する複数(本実施形態では2つ)の上マーク143Uが、左右方向に間隔を空けて並んで形成されている。上マーク143Uは、筒部135の上壁135Uが上方に叩き出されて形成されている。それぞれの上マーク143Uは、円柱形状をなしている。
【0069】
第2外導体134
図24及び
図26に示すように、第2外導体134は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。第2外導体134を構成する金属は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、任意の金属を必要に応じて選択できる。第2外導体134は、筒部135の外周に圧着する前圧着部144(筒圧着部の一例)と、シース15の端末に折り返された編組線14及びこの編組線14に重ねられた接続板部
136に圧着する後圧着部
145(シールド圧着部の一例)と、前圧着部144と後圧着部
145とを前後に連結する第2連結部
146と、を有する。
【0070】
前圧着部144は、上壁144Uと、上壁144Uの左側縁から下方に延びる左側壁144L(包囲部の一例)と、上壁144Uの右側縁から下方に延びる右側壁144R(包囲部の一例)と、左側壁144Lの下端縁のうち前端部寄りの部分から右方に延びる左圧着片147Lと、右側壁144Rの下端縁のうち後端部寄りの部分から左方に延びる右圧着片147Rと、を有する。前圧着部144が筒部135の外周に圧着された状態では、前圧着部144の上壁144Uは筒部135の上壁135Uを上方から覆い、前圧着部144の左側壁144Lは筒部135の左側壁135Lを左方から覆い、前圧着部144の右側壁144Rは筒部135の右側壁135Rを右方から覆い、前圧着部144の左圧着片147Lと右圧着片147Rは、筒部135の底壁135Bを下方から覆っている。
【0071】
前後方向について、前圧着部144の左圧着片147Lと右圧着片147Rとの間には隙間148(凹部に相当)が形成されている。この隙間148の前後方向の幅寸法は、筒部135の下マーク143Lの前後方向の幅寸法と、同じか、やや大きく形成されている。
【0072】
前圧着部144が筒部135の外周に圧着した状態で、左圧着片147Lと右圧着片147Rとの間に形成された隙間148に、下マーク143Lが収容されるようになっている。下マーク143Lの下面が左圧着片147L及び右圧着片147Rの下面よりも上方に位置していてもよいし、下マーク143Lの下面と左圧着片147L及び右圧着片147Rの下面とが面一であってもよいし、下マーク143Lの上面が左圧着片147L及び右圧着片147Rの下面よりも下方に突出していてもよい。
【0073】
左圧着片147Lの後端縁は、下マーク143Lの前端縁に対して前方から当接可能になっている。また、右圧着片147Rの前端縁は、下マーク143Lの後端縁に対して後方から当接可能になっている。これにより、筒部135と、前圧着部144とは、前後方向について位置決めされるようになっている。
【0074】
前圧着部144の上壁144Uの後端部寄りの位置には、前圧着部144が筒部135の外周に圧着した状態で、上マーク143Uに対応する位置に、凹部160が形成されている。凹部160は、上壁144Uを貫通して形成されている。凹部160の内形状は、下方から見て円形状をなしており、上マーク143Uの外形状と同じか、やや大きく設定されている。前圧着部144が筒部135の外周に圧着した状態で、上マーク143Uは、それぞれ、凹部160の内部に挿入されるようになっている。上マーク143Uの上面が上壁144Uの上面よりも下方に位置していてもよいし、上マーク143Uの上面と上壁144Uの上面とが面一であってもよいし、上マーク143Uの上面が上壁144Uの上面よりも上方に突出していてもよい。
【0075】
前圧着部144の上壁144Uには、凹部160よりもやや前方の位置に、上方から見て略四角形状をなす係止孔149が貫通されている。この係止孔149の孔縁部に、図示しないコネクタハウジングのランスが係止するようになっている。
【0076】
前圧着部144が筒部135の外周に圧着した状態で、筒部135の後係止片140B及び後貫通孔141Bは、前圧着部144の左側壁144L及び右側壁144Rによって、左右方向について外方から覆われるようになっている(
図24及び
図25を併せて参照)。これにより、筒部135の後貫通孔141Bから誘電体119が露出しないようになっている。この結果、
雄端子
118又は芯線16で発生したノイズが筒部135の後貫通孔141Bから外部に漏洩したり、外部のノイズが筒部135の後貫通孔141Bから
雄端子
118又は芯線16に侵入したりすることを抑制することができる。
【0077】
また、前圧着部144が筒部135の外周に圧着した状態で、筒部135の前係止片140F及び前貫通孔141Fは、前圧着部144の上壁144Uによって、
上方から覆われるようになっている(
図24及び
図25を併せて参照
)。これにより、筒部135の前貫通孔141Fから誘電体119が露出しないようになっている。この結果、
雄端子
118又は芯線16で発生したノイズが筒部135の前貫通孔141Fから外部に漏洩したり、外部のノイズが筒部135の前貫通孔141Fから
雄端子
118又は芯線16に侵入したりすることを抑制することができる。
【0078】
上記以外の構成、及び作用効果については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0079】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0080】
(1)筒部に形成された貫通孔は、誘電体と異なる部材を保持するための係止片を形成するために設けられたものに限られない。
【0081】
(2)シース15及び編組線14によって包囲される被覆電線13は、1本でもよく、また、3本以上の複数であってもよい。
【0082】
(3)シールド層は編組線14に限られず、金属箔、又は、樹脂テープに金属箔が貼着されたもの等、任意の材料を適宜に選択することができる。
【符号の説明】
【0083】
10:雌コネクタ構造体(コネクタ構造体の一例)
11:シールド電線
12:雌コネクタ(コネクタの一例)
13:被覆電線
14:編組線(シールド部の一例)
16:芯線
17:絶縁被覆
18:雌端子(内導体の一例)
19:誘電体
33:第1外導体
34:第2外導体
35:筒部
36:接続板部
40:係止片
41:貫通孔
44L:前圧着部の左側壁(包囲部の一例)
44R:前圧着部の右側壁(包囲部の一例)
45:後圧着部(シールド圧着部の一例)
110:雄コネクタ構造体(コネクタ構造体の一例)
11:シールド電線
112:雄コネクタ(コネクタの一例)
118:雄端子(内導体の一例)
119:誘電体
133:第1外導体
134:第2外導体
135:筒部
140F:前係止片
140B:後係止片
141F:前貫通孔
141B:後貫通孔
144L:前圧着部の左側壁(包囲部の一例)
144R:前圧着部の右側壁(包囲部の一例)
144B:前圧着部の底壁(包囲部の一例)
145:後圧着部(シールド圧着部の一例)