(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/271 20210101AFI20220329BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220329BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220329BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20220329BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20220329BHJP
【FI】
H01M50/271 B
H01M50/209
H01M50/507
H01G11/78
H01G11/10
(21)【出願番号】P 2018559109
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2017045850
(87)【国際公開番号】W WO2018123784
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2016256635
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第103066225(CN,B)
【文献】特開2013-191493(JP,A)
【文献】特表2015-507819(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203891(WO,A1)
【文献】特開平10-162796(JP,A)
【文献】特開2016-072182(JP,A)
【文献】特開2017-123298(JP,A)
【文献】特開2018-065513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01G11/10、11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体は、
第一外装体と、
複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、
前記複数の固定部は、前記第一外装体と前記第二外装体との並び方向において異なる位置に配置されており、かつ、同じ剛性を有し、
前記複数の固定部は、
前記第二外装体に一体的に設けられた、前記並び方向に延びる部位であり、前記第一外装体に同じ方向で固定される
蓄電装置。
【請求項2】
蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体は、
第一外装体と、
複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、
前記複数の固定部は、前記第一外装体と前記第二外装体との並び方向において異なる位置に配置されており、かつ、同じ剛性を有し、
前記複数の固定部は、前記第一外装体に同じ方向で固定され
、
前記第一外装体は、前記蓄電素子と前記第二外装体との間に配置される中間部材を有し、
前記第二外装体は、前記複数の固定部のうちの少なくとも1つの固定部で、前記中間部材に固定される
蓄電装置。
【請求項3】
前記中間部材は、前記蓄電素子に接続されるバスバーを保持するバスバーフレームであり、
前記少なくとも1つの固定部が前記バスバーフレームに係合することで、前記第二外装
体が前記バスバーフレームに固定される
請求項
2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第二外装体には、外表面よりも前記少なくとも1つの固定部が内側に配置されることで、窪み部が形成され、
前記バスバーフレームの前記少なくとも1つの固定部が係合する部分は、前記窪み部に配置される
請求項
3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記複数の固定部は、高さ、厚み及び幅の少なくとも1つが同じである
請求項1
~4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記複数の固定部は、形状及び大きさが同じである
請求項1
~5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記複数の固定部は、前記第一外装体との接触面積が同じである
請求項1~
6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記第二外装体は、前記複数の固定部のうち前記並び方向において前記第一外装体側に配置される固定部を有する部分の外方に、前記蓄電素子と電気的に接続された外部ハーネスが配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記第二外装体は、前記複数の固定部のうち前記並び方向において前記第二外装体側に配置される固定部を有する部分の内方に、前記蓄電素子と電気的に接続された電気部品が配置される
請求項1~8のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体は、
第一外装体と、
複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、
前記第二外装体は、高さが高い部分と低い部分とを有し、
前記複数の固定部のうち、前記高い部分に配置される固定部と、前記低い部分に配置される固定部とは、高さ方向の長さが同じに形成されて
おり、
前記複数の固定部は、前記第二外装体に一体的に設けられた、前記第一外装体と前記第二外装体との並び方向に延びる部位である
蓄電装置。
【請求項11】
蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、
前記外装体は、
第一外装体と、
複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、
前記第二外装体は、高さが高い部分と低い部分とを有し、
前記複数の固定部のうち、前記高い部分に配置される固定部と、前記低い部分に配置される固定部とは、高さ方向の長さが同じに形成されて
おり、
前記第一外装体は、前記蓄電素子と前記第二外装体との間に配置される中間部材を有し、
前記第二外装体は、前記複数の固定部のうちの少なくとも1つの固定部で、前記中間部材に固定される
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子が外装体に収容された構成の蓄電装置が広く知られている。このような蓄電装置において、例えば、特許文献1には、電池カバーに設けられた複数の係止部が本体ケースに係合されて、電池カバーが本体ケースに固定される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に開示された従来の蓄電装置は、外装体を構成する2つの部材(電池カバー及び本体ケース)を複数の固定部(係止部)で固定する構成であり、高さが異なる位置に形状が異なる複数の固定部が配置されている。このため、上記従来の蓄電装置では、複数の固定部のうちの一部の固定部が折れやすくなっており、当該一部の固定部が先に損傷してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外装体を構成する2つの部材を複数の固定部で固定する構成において、当該複数の固定部のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一外装体と、複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、前記複数の固定部は、前記第一外装体と前記第二外装体との並び方向において異なる位置に配置されており、かつ、同じ剛性を有している。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、第二外装体は、複数の固定部で第一外装体に固定され、当該複数の固定部は、第一外装体と第二外装体との並び方向において異なる位置に配置されており、かつ、同じ剛性を有している。つまり、第二外装体の複数の固定部は、高さが異なっていても、同じ剛性を有していることで同等の折れやすさになるため、一部の固定部が先に折れたりしてしまうのを抑制することができる。このため、当該蓄電装置によれば、外装体を構成する2つの部材(第一外装体及び第二外装体)を複数の固定部で固定する構成において、当該複数の固定部のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0008】
また、前記複数の固定部は、高さ、厚み及び幅の少なくとも1つが同じであることにしてもよい。
【0009】
これによれば、第二外装体の複数の固定部は、高さ、厚み及び幅の少なくとも1つが同じになることで、同じ剛性を有する部位となっている。
【0010】
また、前記複数の固定部は、形状及び大きさが同じであることにしてもよい。
【0011】
これによれば、第二外装体の複数の固定部は、形状及び大きさが同じになることで、同じ剛性を有する部位となっている。
【0012】
また、前記複数の固定部は、前記第一外装体との接触面積が同じであることにしてもよい。
【0013】
これによれば、第二外装体の複数の固定部は、第一外装体との接触面積が同じであるため、複数の固定部に同じ応力がかかり、当該複数の固定部のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0014】
また、前記第一外装体は、前記蓄電素子と前記第二外装体との間に配置される中間部材を有し、前記第二外装体は、前記複数の固定部のうちの少なくとも1つの固定部で、前記中間部材に固定されることにしてもよい。
【0015】
これによれば、第二外装体は、少なくとも1つの固定部で、第一外装体が有する中間部材に固定される。つまり、第二外装体を中間部材に固定することで、第二外装体を第一外装体に固定することができる。
【0016】
また、前記中間部材は、前記蓄電素子に接続されるバスバーを保持するバスバーフレームであり、前記少なくとも1つの固定部が前記バスバーフレームに係合することで、前記第二外装体が前記バスバーフレームに固定されることにしてもよい。
【0017】
これによれば、第二外装体の少なくとも1つの固定部が、中間部材としてのバスバーフレームに係合することで、第二外装体がバスバーフレームに固定される。つまり、当該少なくとも1つの固定部がバスバーフレームに係合することで、第二外装体を第一外装体に固定することができる。
【0018】
また、前記第二外装体には、外表面よりも前記少なくとも1つの固定部が内側に配置されることで、窪み部が形成され、前記バスバーフレームの前記少なくとも1つの固定部が係合する部分は、前記窪み部に配置されることにしてもよい。
【0019】
これによれば、第二外装体の少なくとも1つの固定部とバスバーフレームの係合部分とを第二外装体の窪み部に配置して、当該少なくとも1つの固定部と当該係合部分とを係合する。これにより、第二外装体の外表面から、当該少なくとも1つの固定部と当該係合部分とが外方に突出するのを抑制することができる。
【0020】
また、前記第二外装体は、前記複数の固定部のうち前記並び方向において前記第一外装体側に配置される固定部を有する部分の外方に、前記蓄電素子と電気的に接続された外部ハーネスが配置されることにしてもよい。
【0021】
これによれば、第二外装体は、第一外装体側の固定部を有する部分の外方に、外部ハーネスが配置される。つまり、第二外装体の低い部分の外方に外部ハーネスを配置することで、低くなることで外部に生じるスペースを有効活用することができる。
【0022】
また、前記第二外装体は、前記複数の固定部のうち前記並び方向において前記第二外装体側に配置される固定部を有する部分の内方に、前記蓄電素子と電気的に接続された電気部品が配置されることにしてもよい。
【0023】
これによれば、第二外装体は、第二外装体側の固定部を有する部分の内方に、電気部品が配置される。つまり、第二外装体の高い部分の内方に基板等の電気部品を配置することで、高くなることで内部に生じるスペースを有効活用することができる。
【0024】
また、本発明の他の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子と外装体とを備える蓄電装置であって、前記外装体は、第一外装体と、複数の固定部を有し、前記複数の固定部で前記第一外装体に固定される第二外装体とを備え、前記第二外装体は、高さが高い部分と低い部分とを有し、前記複数の固定部のうち、前記高い部分に配置される固定部と、前記低い部分に配置される固定部とは、高さ方向の長さが同じに形成されている。
【0025】
これによれば、蓄電装置において、第二外装体は、複数の固定部で第一外装体に固定され、当該複数の固定部のうち、第二外装体の高い部分に配置される固定部と、第二外装体の低い部分に配置される固定部とは、高さ方向の長さが同じに形成されている。つまり、第二外装体の複数の固定部は、配置される高さが異なっていても、高さ方向の長さが同じに形成されていることで同等の折れやすさになるため、一部の固定部が先に折れたりしてしまうのを抑制することができる。このため、当該蓄電装置によれば、外装体を構成する2つの部材(第一外装体及び第二外装体)を複数の固定部で固定する構成において、当該複数の固定部のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0026】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える外装体(第一外装体及び第二外装体)としても実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明における蓄電装置によれば、外装体を構成する2つの部材を複数の固定部で固定する構成において、当該複数の固定部のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る蓄電装置を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る蓋体の構成を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る中間部材の構成を示す斜視図である。
【
図5A】実施の形態に係る蓋体の高い位置の固定部が中間部材に係合する構成の断面を示す斜視図である。
【
図5B】実施の形態に係る蓋体の高い位置の固定部が中間部材に係合する構成を示す断面図である。
【
図6A】実施の形態に係る蓋体の低い位置の固定部が中間部材に係合する構成の断面を示す斜視図である。
【
図6B】実施の形態に係る蓋体の低い位置の固定部が中間部材に係合する構成を示す断面図である。
【
図7】実施の形態に係る蓋体の、
図5BのA-A線の位置における断面図である。
【
図8】実施の形態に係る蓄電装置の、
図5BのB-B線の位置における断面図である。
【
図9】実施の形態に係る蓋体の高い位置の固定部が中間部材に係合する別の構成の断面を示す斜視図である。(
図1のC-C断面における斜視図である。)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0030】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体本体と蓋との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0031】
(実施の形態)
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電装置1の全般的な説明を行う。
図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0032】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0033】
ここで、
図1及び
図2に示すように、蓄電装置1は、蓋体100及び外装体本体200からなる外装体10と、外装体10内方に収容される複数の蓄電素子20、複数のバスバー30及び基板40とを備えている。
【0034】
外装体10は、蓄電装置1の内容物を収容する部材として構成される矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。また、外装体10は、内容物を保持する保持部材とも云える。つまり、外装体10は、蓄電素子20、バスバー30及び基板40等の外方に配置され、これら蓄電素子20等を所定の位置に配置し、衝撃などから保護する。また、外装体10は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電素子20等が金属部材などに接触することを回避する。
【0035】
ここで、外装体10は、外装体10の蓋体(外蓋)を構成する扁平な矩形状の蓋体100と、外装体10の本体を構成する外装体本体200とを有している。また、外装体本体200は、開口211が形成された有底矩形筒状のハウジング210と、外装体10の開口211に配置される扁平な矩形状の中間部材220とを有している。つまり、ハウジング210の開口211を塞ぐように、中間部材220が配置され、さらにその上方に蓋体100が配置される。なお、外装体本体200(ハウジング210及び中間部材220)は、第一外装体の一例であり、蓋体100は、第二外装体の一例である。
【0036】
ハウジング210は有底矩形筒状に形状されており、矩形の底壁と底壁から立設する側壁212を有している。側壁212の上端は開口211となっており、蓄電素子20は開口211からハウジング210の内部に収容される。
【0037】
蓋体100は、ハウジング210の開口211を中間部材220の上方から覆う上壁105と側壁106とを有している。側壁106は上壁105の周縁に形成されている。また、上壁105は段差を有している。具体的には、X軸方向の両端部に、高さ(Z軸方向の高さ)が高い部分である高位置部101を有し、X軸方向の中央部に、高さが低い部分である低位置部102を有している。また、蓋体100の中心部分、つまり、低位置部102には、貫通孔100aが形成されている。
【0038】
また、中間部材220は、蓄電素子20に接続されるバスバー30を保持するバスバーフレーム(バスバープレート)であり、蓄電素子20と蓋体100との間に配置されている。つまり、中間部材220は、床部226を有しており、床部226にバスバー30及び基板40や、その他リレーなどの電装部品、配線類等(図示せず)を保持し、当該バスバー30及び基板40等と他の部材との絶縁、及び、当該バスバー30及び基板40等の位置規制等を行う。床部226はさらに、蓄電素子20の電極端子22、23に対応する部分に、バスバーを配置するためのバスバー配置部227を有している。また、床部226の周縁には周壁225が形成されている。周壁225の外面には図示しない凸部が形成されており、該凸部がハウジング210の側壁212に形成された凹部(不図示)に嵌合することにより、ハウジング210と中間部材220が固定される。
【0039】
このような構成により、ハウジング210に複数の蓄電素子20が収容され、中間部材220が、当該複数の蓄電素子20の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、蓄電素子20に対して位置決めされる。また、中間部材220上に、複数のバスバー30及び基板40等が載置されて位置決めされる。これにより、複数のバスバー30が蓄電素子20に対して位置決めされて接続され、基板40が配線等に対して位置決めされて接続される。また、中間部材220上に、蓋体100が配置されて位置決めされる。具体的には、中間部材220の周壁225の外側に蓋体100の側壁106を被せるように位置決めされて配置される。
【0040】
なお、蓋体100、ハウジング210及び中間部材220は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、蓋体100は中間部材220に固定されるが、この固定の構成(蓋体100及び中間部材220の構成)の詳細な説明については、後述する。
【0041】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子20がX軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状や、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。また、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0042】
ここで、蓄電素子20は、金属製の容器21を備え、容器21の蓋部分には、金属製の電極端子である正極端子22及び負極端子23が設けられている。なお、容器21の蓋部分には、容器21内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁も設けられているが、詳細な説明は省略する。また、容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0043】
バスバー30は、複数の蓄電素子20上(中間部材220上)に配置され、複数の蓄電素子20の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー30は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー30は、隣り合う蓄電素子20の正極端子22と負極端子23とを接続することで、8個の蓄電素子20を直列に接続しているが、蓄電素子20の直列接続及び並列接続の組み合わせは特に限定されない。
【0044】
なお、最も外側の電極端子である、X軸方向マイナス側及びY軸方向プラス側の蓄電素子20の正極端子22と、X軸方向プラス側及びY軸方向プラス側の蓄電素子20の負極端子23とは、蓋体100から露出して配置されている。この最も外側の電極端子が、外部の導電部材と直接接続、または、外部端子(図示せず)を介して接続されることにより、蓄電装置1が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0045】
基板40は、中間部材220上に載置されて、中間部材220に固定される制御基板である。基板40は、配線等によって複数の蓄電素子20と電気的に接続され、当該複数の蓄電素子20の状態を取得し、監視し、制御する。具体的には、基板40は、制御回路(図示せず)が設けられ、複数の蓄電素子20の充電状態や放電状態、電圧値、電流値、温度などの各種情報を取得したり、リレーのオン、オフを制御したり、他の機器と通信を行ったりする。なお、基板40は、電気部品の一例である。
【0046】
ここで、基板40は、中間部材220上のX軸方向プラス側の位置に配置される。つまり、基板40は、中間部材220と蓋体100の高位置部101との間に配置される。また、基板40は、蓄電装置1の外部の配線である外部ハーネス(図示せず)に貫通孔100aを介して接続されており、当該外部ハーネスは、低位置部102の上方に配置される。このように、高位置部101の内方に基板40が配置され、低位置部102の外方に外部ハーネスが配置される。なお、低位置部102の外方に配置される外部ハーネスは、蓄電素子20と電気的に接続された配線であれば、どのような配線であってもよい。また、低位置部102の外方にコネクタ(図示せず)が配置され、当該コネクタを介して、外部ハーネスと蓄電素子20とが電気的に接続されていてもよい。また、当該コネクタは貫通孔100aの内方に配置されていてもよいし、基板40に固定されていてもよい。
【0047】
以上のように、蓋体100は、後述の固定部110を有する部分である高位置部101の内方に、蓄電素子20と電気的に接続された電気部品としての基板40が配置される。また、蓋体100は、後述の固定部120を有する部分である低位置部102の外方に、蓄電素子20と電気的に接続された外部ハーネスが配置される。
【0048】
より具体的に、蓄電装置1を用いる形態について説明する。上述した電気自動車(EV)などは、複数の蓄電装置1を搭載した蓄電パックを備えている。電気自動車(EV)などでは、電池パックの省スペース化が求められる。例えば、省スペース化のために、電池パックあるいは蓄電装置の高さ方向(Z軸方向)の寸法を出来るだけ低くすることが求められる。この際に、空間を出来るだけ有効に使えるように、蓄電装置の上面に、高位置部や低位置部の凸凹を設けると都合がよい。ここで、外部ハーネスは蓄電装置1ごとにそれぞれ設けられるため、複数の外部ハーネスの束が配置可能な所定のスペースが必要である。そこで、省スペース化を図る本実施の形態の蓄電パックは、複数の蓄電装置1を
図1に示すY軸方向に配列し、複数の蓄電装置1の低位置部102をY軸方向に沿って、X軸方向の幅が揃うように配置する。そして、その連なった低位置部102のZ軸方向上面に、自身の蓄電装置とは異なる、隣接する蓄電装置に接続するための外部ハーネスを配置する。これによって、蓄電装置1の低位置部102を外部ハーネス用の経路として活用することができる。
【0049】
また、複数の蓄電装置1を配列して使用する場合、本実施の形態のように、外部ハーネスが低位置部102上に配置される形態、即ち、外部ハーネスが蓋体100の上で接続される形態は、作業性が良いので好ましい。一方、蓄電装置1の側面に外部ハーネスを接続する場合、省スペース化のために複数の蓄電装置1の間隔が狭くなり作業が悪い場合がある。
【0050】
次に、蓋体100及び中間部材220の構成、及び、蓋体100及び中間部材220の固定の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施の形態に係る蓋体100の構成を示す斜視図である。なお、
図3の(b)は、
図3の(a)における点線で囲まれた部分を拡大して示す斜視図である。
図4は、本実施の形態に係る中間部材220の構成を示す斜視図である。なお、
図4の(b)は、
図4の(a)における点線で囲まれた部分を拡大して示す斜視図である。また、
図7は、本実施の形態に係る蓋体100の構成を示す断面図であり、蓋体100の側壁106の部位におけるZ軸に平行な断面図(
図5BのA-A線の位置における蓋体100の断面図)である。
図8は、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す断面図であり、蓄電装置1のY軸方向マイナス側の周縁部におけるZ軸に平行な断面図(
図5BのB-B線の位置における断面図)である。なお、
図8では、蓄電素子20は図示していない。
【0051】
図3、
図7、
図8に示すように、蓋体100は、複数の固定部110及び120を有している。ここで、複数の固定部110及び120は、蓋体100と外装体本体200との並び方向(または蓋体100と中間部材220との並び方向、つまりZ軸方向)において、異なる位置に配置されている。つまり、固定部110は、複数の固定部110及び120のうち、当該並び方向において蓋体100(上壁105)側に配置される固定部である。また、固定部120は、複数の固定部110及び120のうち、当該並び方向において外装体本体200側(中間部材220側)に配置される固定部である。
【0052】
具体的には、固定部110は、蓋体100の高さ(Z軸方向の高さ)が高い部分である高位置部101に配置され、固定部120は、蓋体100の高さが低い部分である低位置部102に配置されている。つまり、固定部110は、蓋体100の高さが高い位置に配置され、固定部120は、蓋体100の高さが低い位置に配置されている。
【0053】
さらに具体的には、X軸方向マイナス側の高位置部101のY軸方向プラス側及びマイナス側の端部に、固定部110がそれぞれ設けられている。また、X軸方向プラス側の高位置部101のY軸方向プラス側及びマイナス側の端部にも、固定部110がそれぞれ設けられている。また、低位置部102のY軸方向プラス側の端部に4つの固定部110が設けられ、低位置部102のY軸方向マイナス側の端部に2つの固定部110が設けられている。ここで、
図3によれば、複数の固定部110のうち、Y軸方向プラス側端部かつX軸方向の両端部に設けられた2個の固定部110は蓋体100の上壁105の内方寄りに形成されている。他の固定部110および固定部120は上壁105の周縁に形成されている。
【0054】
また、蓋体100には、蓋体100の側壁106における外表面103よりも固定部110及び120がY軸方向の内側に配置されることで、窪み部130及び140が形成されている。つまり、窪み部130は、蓋体100の高位置部101の外表面103からY軸方向の内側に凹んで形成された凹部であり、複数の固定部110のそれぞれに対応して設けられている。また、窪み部140は、蓋体100の低位置部102の外表面103からY軸方向の内側に凹んで形成された凹部であり、複数の固定部120のそれぞれに対応して設けられている。
【0055】
ここで、
図7に示すように、複数の固定部110及び120は、形状及び大きさが同じになるように形成されている。具体的には、複数の固定部110及び120は、X軸方向の幅、Z軸方向の高さ、および厚さが同じになるように形成されている。また、蓋体100は一体成形品であり、複数の固定部110及び120は、同じ材質で形成されている。このため、複数の固定部110及び120は、同じ剛性を有している。具体的には、複数の固定部110及び120は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びそれらを組み合わせた方向等、あらゆる方向において、同じ剛性を有している。
【0056】
なお、「形状及び大きさが同じ」、及び、「同じ剛性を有している」の「同じ」とは、完全に一致している場合のみならず、実質的に同等の場合も含む概念であり、多少の誤差は許容される。以降の「同じ」の表現についても、同様である。
【0057】
また、同じ剛性を有するとは、外力に対して同じ強さの状態を言い、例えば、曲げやねじりの力に対して寸法変化が同じ状態であるとして定義できる。つまり、例えば、固定部110と固定部120とが同じ剛性を有するとは、固定部110及び固定部120について同じ大きさの領域の中央部分を同じ力で押したときに、固定部110と固定部120との寸法変化(撓み量)が同じ場合をいう。または、同じ寸法変化を生じさせるために必要な力が、固定部110と固定部120とで同じ場合であるとも言える。また、同じ大きさの領域の中央部分を同じ力で押したときに、押した方向に対する弾性力または反発力が同じであれば、同じ剛性を有すると定義することもできる。なお、剛性の定義は、上記に限定されることなく、当業者であれば通常解釈できる範囲内の定義であればよい。
【0058】
ここで、固定部110は、腕部111と爪部112とを有している。腕部111は、高位置部101の上面部から下方(Z軸方向マイナス側)に延びる、矩形状かつ平板状の部位である。爪部112は、腕部111の先端に配置され、外方(Y軸方向マイナス側)に突出した部位である。また、同様に、固定部120は、腕部121と爪部122とを有している。腕部121は、低位置部102の上面部から下方(Z軸方向マイナス側)に延びる、矩形状かつ平板状の部位である。爪部122は、腕部121の先端に配置され、外方(Y軸方向マイナス側)に突出した部位である。つまり、腕部111と腕部121とは、形状及び大きさが同じであり、爪部112と爪部122とは、形状及び大きさが同じである。具体的には、腕部111と腕部121は、X軸方向の幅とZ軸方向の高さおよびY軸方向の厚さが同じである。
【0059】
また、
図4に示すように、中間部材220は、爪部112が係合する係合部221と、爪部122が係合する係合部222とを有している。係合部221、222は、中間部材220の周壁225の一部として形成されている。具体的には、中間部材220の、X軸方向マイナス側の端部におけるY軸方向の両端部に、固定部110の爪部112に対応して係合部221がそれぞれ設けられている。また、中間部材220の、X軸方向プラス側の端部におけるY軸方向の両端部に、固定部110の爪部112に対応して係合部221がそれぞれ設けられている。また、中間部材220の、Y軸方向プラス側の端部におけるX軸方向中央寄りの領域に、4つの固定部120の爪部122に対応して4つの係合部222が設けられている。また、中間部材220の、Y軸方向マイナス側の端部におけるX軸方向中央寄りの領域に、2つの固定部120の爪部122に対応して2つの係合部222が設けられている。
【0060】
具体的には、中間部材220には、係合部221の下方に開口部221aが形成されており、開口部221a内に爪部112が挿入されて、爪部112が係合部221と係合する。同様に、中間部材220には、係合部222の下方に開口部222aが形成されており、開口部222a内に爪部122が挿入されて、爪部122が係合部222と係合する。
【0061】
なお、爪部112は爪部122よりも高い位置に配置されているため、係合部221は係合部222よりも高い位置に配置されている。つまり、開口部221aの上端縁は、開口部222aの上端縁よりも高い位置に配置されている。具体的には、開口部221aは、開口部222aよりも高さ方向に大きく形成されている。開口部221aの奥行きと幅については、開口部222aと同じ大きさである。なお、開口部221aは、開口部222aと高さ方向の大きさが同じであり、かつ開口部222aよりも高さが高い位置に形成されていることにしてもよい。
【0062】
ここで、開口部221a、開口部222aは、中間部材220の周壁225において、バスバー配置部227に隣接する位置に形成されている。また、中間部材220は、バスバー配置部のX軸方向の両側に、バスバー30と蓄電素子20の電極端子22、23とを接続するための矩形の孔が形成されている。周壁225において、開口部221a、開口部222aが形成されている部分は、バスバー配置部227と接続されていることによって、矩形の孔に隣接する部分よりも撓みにくく、固定部110、120と係合部221、222との固定に好適である。
【0063】
このような構成により、複数の固定部110及び120が中間部材220に係合する。つまり、蓋体100(第二外装体)は、複数の固定部110及び120で外装体本体200(第一外装体)に固定される。この蓋体100が複数の固定部110及び120で外装体本体200に固定される構成(つまり、固定部110及び120が中間部材220に係合する構成)について、以下に、さらに詳細に説明する。
【0064】
図5Aは、本実施の形態に係る蓋体100の高い位置の固定部110が中間部材220に係合する構成の断面を示す斜視図であり、
図5Bは、
図5AをX軸方向プラス側から見た場合の断面図である。また、
図6Aは、本実施の形態に係る蓋体100の低い位置の固定部120が中間部材220に係合する構成の断面を示す斜視図であり、
図6Bは、
図6AをX軸方向プラス側から見た場合の断面図である。また、
図8は、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す断面図であり、蓄電装置1のY軸方向マイナス側の周縁部におけるZ軸に平行な断面図(
図5BのB-B線の位置における断面図)である。なお、
図8では、蓄電素子20は図示していない。
【0065】
これらの図に示すように、蓋体100は、複数の固定部110及び120のうちの少なくとも1つの固定部で、中間部材220に固定される。つまり、当該少なくとも1つの固定部がバスバーフレームである中間部材220に係合することで、蓋体100がバスバーフレームに固定される。また、中間部材220の当該少なくとも1つの固定部が係合する部分は、窪み部130または140に配置される。
【0066】
なお、本実施の形態では、当該少なくとも1つの固定部は、複数の固定部110及び120の全ての固定部である。つまり、蓋体100は、全ての固定部110及び120が中間部材220に係合することで、蓋体100が中間部材220に固定される。
図8に示すように、蓋体100の複数の固定部110及び120は、蓋体100と外装体本体200(ハウジング210および中間部材220)との並び方向(Z軸方向)において、異なる位置に配置されている。蓋体100の高位置部101に配置される固定部110は、対応する係合部221と係合し、蓋体100の低位置部102に配置される固定部120は、対応する係合部222と係合する。なお、
図8では、固定部110は脚部111の基部が示されており、固定部120は脚部121の基部が示されている。また、
図5A及び
図5Bに示すように、中間部材220の、固定部110が係合する係合部221は、窪み部130内に配置される。また、
図6A及び
図6Bに示すように、中間部材220の、固定部120が係合する係合部222は、窪み部140内に配置される。
【0067】
図5A、
図6Aに示されるように、蓋体100の側壁106は中間部材の周壁225の外側に配置されるが、固定部110、120は係合部221、222の内側に配置されている。ここで、固定部110の腕部111、固定部120の腕部121は弾性を有しており、係合部221、222が、腕部111、121の外方から当接することにより、腕部の弾性作用で、固定部110、120と係合部221、222とが確実に固定される。また、蓋体100の側壁106は、中間部材220の周壁225の外方から被せるだけでよいので、作業性がよい。
【0068】
これにより、係合部221は、蓋体100の高位置部101の外表面103よりも内方(Y軸方向マイナス側)に配置され、係合部222は、蓋体100の低位置部102の外表面103よりも内方(Y軸方向マイナス側)に配置される。
【0069】
また、複数の固定部110及び120は、外装体本体200の中間部材220との接触面積が同じである。つまり、固定部110の爪部112と中間部材220の係合部221との接触面積は、固定部120の爪部122と中間部材220の係合部222との接触面積と同じである。
【0070】
また、中間部材220の開口部221a内に固定部110の爪部112が挿入される際
には、固定部110の腕部111がY軸方向プラス側に弾性変形して反った状態で、爪部112が、係合部221のY軸方向プラス側を通過して、開口部221a内に挿入される。このため、固定部110が他の部材(バスバー30等)と干渉しないように、固定部110が配置される位置のY軸方向プラス側には、空間(
図5Bの空間A1)が形成されている。同様に、固定部120が他の部材(バスバー30等)と干渉しないように、固定部120が配置される位置のY軸方向プラス側にも、空間(
図6Bの空間A2)が形成されている。
【0071】
また、中間部材220の開口部221a内に固定部110の爪部112が挿入された後においても、爪部112が高さ方向で他の部材(中間部材220の他の部位)と干渉しないように、爪部112のZ軸方向マイナス側には、空間(
図5Bの空間B1)が形成されている。特に、固定部120については、固定部110よりも低い位置に配置されるため、爪部122が中間部材220の床部226(バスバー配置部227)と干渉しないように、中間部材220に段差部230を設けることで、爪部122のZ軸方向マイナス側にも空間(
図6Bの空間B2)が形成されている。さらに、固定部120の脱着の際に、固定部120が弾性的に可動できるように、段差部230の奥行寸法(Y軸方向)は、爪部122の位置よりも床部226の中央側まで広がっている。つまり、段差部の奥壁231は、Y軸方向において、爪部122の位置よりも床部226の中央側まで広がっている。なお、中間部材220には、段差部230ではなくて、爪部122の下方に溝や貫通孔などが形成されていてもよい。
【0072】
図9は、
図1のC-C線における断面斜視図であり、蓋体100の高位置部101の固定部110が、上壁105の内面側に形成されている形態が示されている。蓄電装置1は、総電極端子を露出させるために、蓋体100の二つの角部が切り欠かれている。このため、切り欠きの近傍の固定部110は、蓋体100の上壁105のY軸方向中央寄りに設けている。このとき、固定部110と係合する係合部221は中間部材220の床部226上に形成されている。この係合部221が形成されている部分は、周壁225の一部になっている。また、当該係合部221の下方は、貫通した開口部ではなく凹部となっている。このように、固定部の形成箇所は、蓋体100の側壁106だけでなく、蓋体100の上壁105の中央寄りに形成されてもよい。これにより、固定部110、120の形成箇所の自由度が増す。また、上記の例では、係合部221は、中間部材の周壁225の一部として形成されているが、周壁ではなく、床部226の中央寄りの位置に立設するように形成されてもよい。例えば、バスバー30を配置する部分である矩形の孔に沿った立壁に設けてもよい。
【0073】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、第二外装体としての蓋体100は、複数の固定部110及び120で、第一外装体としての外装体本体200に固定されている。そして、当該複数の固定部110及び120は、外装体本体200と蓋体100との並び方向において異なる位置に配置されており、かつ、同じ剛性を有している。つまり、蓋体100の複数の固定部110及び120は、高さが異なっていても、同じ剛性を有していることで同等の折れやすさになるため、一部の固定部が先に折れたりしてしまうのを抑制することができる。このため、蓄電装置1によれば、外装体10を構成する2つの部材(外装体本体200及び蓋体100)を複数の固定部110及び120で固定する構成において、当該複数の固定部110及び120のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0074】
また、蓋体100の複数の固定部110及び120は、形状及び大きさが同じになることで、同じ剛性を有する部位となっている。
【0075】
また、蓋体100の複数の固定部110及び120は、外装体本体200(中間部材220)との接触面積が同じであるため、複数の固定部110及び120に同じ応力がかかり、当該複数の固定部110及び120のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0076】
また、
図1、
図2に示すように、蓋体100の複数の固定部110及び120は、蓄電素子20の配列方向に沿って配置されている。これは、蓄電素子20の短側面に対向する位置に配置されているとも云える。この配置は蓄電素子20の膨れの影響を受けにくいため、固定部の損傷を抑制することができる。蓄電素子20は、その使用中に、容器21の長側面(
図2におけるX軸方向に交差する面)が膨れる。このため、複数の固定部110及び120が、蓄電素子20の配列方向に交差する方向に沿って配置されると、蓄電素子20の膨れによる応力が、複数の固定部110及び120に作用する場合がある。
【0077】
また、蓋体100は、少なくとも1つの固定部(本実施の形態では、複数の固定部110及び120)で、外装体本体200が有する中間部材220に固定される。つまり、蓋体100を中間部材220に固定することで、蓋体100を外装体本体200に固定することができる。
【0078】
また、蓋体100の少なくとも1つの固定部が、中間部材220としてのバスバーフレームに係合することで、蓋体100がバスバーフレームに固定される。つまり、当該少なくとも1つの固定部がバスバーフレームに係合することで、蓋体100を外装体本体200に固定することができる。
【0079】
また、蓋体100の少なくとも1つの固定部と中間部材220の係合部分とを蓋体100の窪み部130または140に配置して、当該少なくとも1つの固定部と当該係合部分とを係合する。これにより、蓋体100の外表面103から、当該少なくとも1つの固定部と当該係合部分とが外方に突出するのを抑制することができる。
【0080】
また、蓋体100は、外装体本体200側(中間部材220側)の固定部120を有する部分である低位置部102の外方に、外部ハーネスが配置される。つまり、蓋体100の低い部分の外方に外部ハーネスを配置することで、低くなることで外部に生じるスペースを有効活用することができる。
【0081】
また、蓋体100は、蓋体100側の固定部110を有する部分である高位置部101の内方に、電気部品としての基板40が配置される。つまり、蓋体100の高い部分の内方に基板40等の電気部品を配置することで、高くなることで内部に生じるスペースを有効活用することができる。
【0082】
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0083】
例えば、上記実施の形態では、蓋体100の複数の固定部110及び120は、形状及び大きさが同じになるように形成されていることとした。しかし、固定部110と固定部120とは、同じ高さを有するように形成されていればよい。つまり、複数の固定部110及び120のうち、高い部分である高位置部101に配置される固定部110と、低い部分である低位置部102に配置される固定部120とは、高さ方向(Z軸方向)の長さが同じに形成されていればよい。例えば、固定部110と固定部120とが同じ高さを有しており、固定部110が固定部120よりも厚みが薄くかつ幅が大きく形成されることにしてもよい。
【0084】
これによれば、蓋体100の複数の固定部110及び120は、配置される高さが異なっていても、高さ方向の長さが同じに形成されていることで同等の折れやすさになるため、一部の固定部が先に折れたりしてしまうのを抑制することができる。このため、本構成の蓄電装置1によっても、外装体10を構成する2つの部材(外装体本体200及び蓋体100)を複数の固定部110及び120で固定する構成において、当該複数の固定部110及び120のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0085】
または、複数の固定部110及び120は、高さ、厚み及び幅の少なくとも1つが同じであることにしてもよい。例えば、固定部110と固定部120とが同じ厚さを有し、かつ、高さと幅とが異なる場合でも、固定部110と固定部120とを同じ剛性に形成することができる。固定部110と固定部120とが同じ幅を有する場合についても同様である。このように、蓋体100の複数の固定部110及び120は、高さ、厚み及び幅の少なくとも1つが同じになることで、同じ剛性を有する構成になることにしてもよい。
【0086】
または、複数の固定部110及び120は、高さ、厚み及び幅の全てが異なることにしてもよい。この場合でも、複数の固定部110及び120を同じ剛性に形成することができれば、当該複数の固定部110及び120のうちの一部の固定部が先に損傷してしまうのを抑制することができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、蓋体100は一体成形品であり、複数の固定部110及び120は同じ材質で形成されていることとした。しかし、固定部110と固定部120とは、別体で構成されていることにしてもよい。この場合、固定部110と固定部120とは、異なる材質で形成されていることにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、複数の固定部110及び120は、中間部材220との接触面積が同じであることとした。しかし、複数の固定部110及び120は、中間部材220から同じ応力を受ける場合には、中間部材220との接触面積が異なっていてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、蓋体100が固定される中間部材220は、バスバーフレームであることとした。しかし、中間部材220は、バスバーフレームには限定されず、例えば、蓄電素子20上、または、蓄電素子20間に配置されるスペーサ等であってもよい。
【0090】
また、上記実施の形態では、蓋体100は、複数の固定部110及び120で、中間部材220に固定されることで、外装体本体200に固定されることとした。しかし、蓋体100は、複数の固定部110及び120のうちの一部の固定部で、中間部材220に固定されることにしてもよい。また、蓋体100は、中間部材220ではなく、ハウジング210に固定されることで、外装体本体200に固定されることにしてもよい。または、蓋体100は、一部の固定部で中間部材220に固定され、かつ、他の固定部でハウジング210に固定されることで、外装体本体200に固定されることにしてもよい。または、蓋体100は、外装体本体200が有する他の部材に固定されることにしてもよい。つまり、蓋体100は、いくつの固定部で、外装体本体200のどの部材に固定されてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、複数の固定部110及び120が中間部材220に係合することで、蓋体100が中間部材220に固定されることとした。しかし、固定の形態は、係合には限定されず、嵌合、圧入、接着(粘着、溶着、溶接)、または、ネジ締め等による固定でもよい。
【0092】
また、上記実施の形態では、蓋体100に窪み部130及び140が形成され、窪み部130及び140に、固定部110及び120と係合部221及び222とが配置されることとした。しかし、蓋体100には、窪み部130及び140は形成されていないことにしてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態では、低位置部102の外方に外部ハーネスが配置され、高位置部101の内方に基板40が配置されることとした。しかし、低位置部102の外方には、外部ハーネス以外のものが配置されてもよく、高位置部101の内方には、基板40以外のものが配置されてもよい。例えば、高位置部101の内方には、リレー、ヒューズ、サーミスタやその他の電気部品、または、電気部品以外のものが配置されてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態では、蓋体100は、複数の固定部110及び複数の固定部120を有していることとした。しかし、蓋体100は、1つの固定部110及び複数の固定部120、複数の固定部110及び1つの固定部120、または、1つの固定部110及び1つの固定部120を有していることにしてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態では、外装体本体200は、箱形状のハウジング210と中間部材220とで構成されているとした。しかし、外装体本体200はこのような構成に限定されない。蓄電装置1は、複数の蓄電素子20を保持する部材として、ハウジング210のような箱状の部材ではなく、別の保持部材を用いることができる。例えば、一対のエンドプレートと、該一対のエンドプレートを連結する連結部材からなる保持部材を用いることができる。一対のエンドプレートで複数の蓄電素子20を挟持し、一対のエンドプレートを連結部材で連結することにより複数の蓄電素子20を保持する。このとき、一対のエンドプレートと、該一対のエンドプレートを連結する連結部材からなる保持部材に中間部材が固定される。つまり、一対のエンドプレートと、該一対のエンドプレートを連結する連結部材および中間部材220とで外装体本体200を構成してもよい。この際、中間部材220は、連結部材に固定されるようにしてもよいし、エンドプレートに固定されるようにしてもよいし、その両方に固定してもよい。
【0096】
また、上記実施の形態では、外装体本体200(ハウジング210及び中間部材220)を第一外装体の一例とし、蓋体100を第二外装体の一例とした。しかし、第一外装体及び第二外装体の組み合わせは、上記には限定されず、どのような部材の組み合わせを第一外装体及び第二外装体と定義してもかまわない。例えば、蓋体100を第一外装体の一例とし、外装体本体200(ハウジング210及び中間部材220)を第二外装体の一例としてもよい。つまり、外装体本体200の構成要素(中間部材220またはハウジング210等)が固定部を有しており、蓋体100に固定される構成等でもよい。この場合、例えば、中間部材220またはハウジング210等が脚部と爪部を有する固定部を有し、蓋体100等が開口または凹部を有しており固定部と係合するようにする。
【0097】
別の例としては、中間部材が、層状に二部材で構成されて、第一中間部材、第二中間部材からなるときに、第一中間部材を第一外装体、第二中間部材を第二外装体とする構成でもよい。さらに別の例として、蓄電装置が、保持体と、保持体の側方(X軸方向またはY軸方向)に固定されるカバー等の部材を備える場合、保持体を第一外装体、カバーを第二外装体として本発明を適用してもよい。
【0098】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0099】
なお、本発明は、蓄電装置1として実現することができるだけでなく、蓄電装置1が備える外装体10(第一外装体及び第二外装体)としても実現することができる。
【0100】
本明細書が開示する技術は、蓄電装置が備える第一外装体、第二外装体を、それぞれ、第一部材、第二部材として適用することも含まれる。例えば、中間部材220を第一部材、蓋体100を第二部材として考えてもよい。例えば、蓄電装置が、第一部分と第一部分に着脱される第二部分を有し、第一部分と第二部分の並び方向における固定に適用してもよい。例えば、蓄電装置が、蓄電素子を保持する本体と、本体に着脱される、電気機器ボックスとを備えるとき、本体または、本体を構成する一部分を第一部材とし、電気機器ボックスまたは電気機器ボックスの一部分を第二部材として、本明細書が開示する技術を適用してもよい。上記の構成は一例であり、様々な構成に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 蓄電装置
10 外装体
20 蓄電素子
40 基板
100 蓋体
101 高位置部
102 低位置部
103 外表面
110、120 固定部
130、140 窪み部
200 外装体本体
220 中間部材
221、222 係合部