(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ロータコアの製造方法、ロータ、およびモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20220329BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20220329BHJP
H02K 1/2706 20220101ALI20220329BHJP
H02K 1/2786 20220101ALI20220329BHJP
【FI】
H02K15/02 K
H02K15/03 Z
H02K15/02 F
H02K15/02 E
H02K1/2706
H02K1/2786
(21)【出願番号】P 2018559526
(86)(22)【出願日】2017-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2017046706
(87)【国際公開番号】W WO2018124093
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】P 2016254838
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中原 康晶
(72)【発明者】
【氏名】本田 武
(72)【発明者】
【氏名】宇野 純一
(72)【発明者】
【氏名】右田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】北垣 宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪志
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-099479(JP,A)
【文献】特開2004-229442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127859(US,A1)
【文献】国際公開第2005/112227(WO,A1)
【文献】特開2005-333762(JP,A)
【文献】国際公開第2016/076321(WO,A1)
【文献】特開平11-308821(JP,A)
【文献】特開2007-295668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/17
H02K 1/27ー 1/2798
H02K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に対して径方向に拡がる複数の積層鋼板が軸方向に積層され、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部とを有するロータコアの製造方法であって、
前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の前記片状部と、前記ベース部の外側面から径方向外側に向かって突出して少なくとも一部が前記隙間に位置する複数の突起部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層する積層工程と、
軸方向に積層された前記ベース部同士を固定するベース部固定工程と、軸方向に積層された前記片状部同士を固定する片状部固定工程とを有する固定工程と、
積層された前記積層鋼板の前記突起部を径方向外側に除去する除去工程と、
を含むロータコアの製造方法。
【請求項2】
前記突起部は、前記ベース部の前記片状部と径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部に設けられる請求項1に記載のロータコアの製造方法。
【請求項3】
前記除去工程により、前記ベース部の外側面から径方向内側に向かう凹部が形成される請求項1または請求項2に記載のロータコアの製造方法。
【請求項4】
前記固定工程において軸方向に積層された前記突起部同士を固定する突起部固定工程をさらに含む請求項1から請求項3のいずれかに記載のロータコアの製造方法。
【請求項5】
前記積層工程の前に実行される工程であって、前記除去工程において除去される前記突起部の径方向内側の端部の一部または全部を切断して前記突起部とベース部との相対位置を維持した状態で前記突起部と共に除去される除去しろを形成する除去しろ形成工程をさらに含む請求項1から請求項4のいずれかに記載のロータコアの製造方法。
【請求項6】
前記除去しろ形成工程は、前記除去しろを軸方向に所定量以上押し出したのち、元の位置に押し戻すプッシュバック処理を行う請求項5に記載のロータコアの製造方法。
【請求項7】
前記突起部は、前記ベース部と接続して径方向外側に延びる接続部と、前記接続部の径方向外側の端部に設けられて前記接続部の周方向の幅よりも周方向の幅が大きい幅広部と、を有す
る請求項1から請求項6のいずれかに記載のロータコアの製造方法。
【請求項8】
前記幅広部の少なくとも一部が、前記隙間よりも径方向外側に配置される請求項7に記載のロータコアの製造方法。
【請求項9】
前記ベース部と、前記片状部と、前記ベース部と前記片状部とを連結する連結部と、を有する第2積層鋼板をさらに含み、
前記積層工程は、前記第2積層鋼板および前記第1積層鋼板をそれぞれ少なくとも1枚以上積層する請求項1から請求項8のいずれかに記載のロータコアの製造方法。
【請求項10】
前記積層工程は、軸方向に隣り合う前記第2積層鋼板の間に複数の前記第1積層鋼板を積層する請求項9に記載のロータコアの製造方法。
【請求項11】
前記積層工程は、軸方向の両端の少なくとも一方の端部に前記第2積層鋼板を配置する請求項9または請求項10に記載のロータコアの製造方法。
【請求項12】
複数の前記片状部の径方向内側には、それぞれマグネットが配置され、
前記ロータコアは、周方向に隣り合う前記マグネットの間に空間部を更に有し、
請求項1から請求項11のいずれかに記載のロータコアの製造方法の前記除去工程の後に、前記積層工程で積層された複数の積層鋼板の前記間隙が重ねられた取付孔にマグネットを挿入する挿入工程と
、前記隙間および前記空間部に充填剤を充填する充填工程とを含むロータの製造方法。
【請求項13】
前記充填工程は、前記マグネットの上側もしくは下側の少なくとも一部にさらに前記充填剤を充填する請求項12に記載のロータの製造方法。
【請求項14】
中心軸に沿って延びる円筒形状であって、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部と、を有するロータコアと、
前記ロータコアの内部に配した複数のマグネットと、
を有し、
前記ロータコアは、前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の片状部と、前記ベース部の外側面から径方向内側に凹む凹部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層しており、
前記凹部は、前記ベース部の前記片状部と径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部に設けられており、
前記凹部の周方向の幅は、径方向に沿って同じまたは径方向外側が内側よりも大き
く、
前記ロータコアは、前記ベース部と、前記片状部と、前記ベース部と前記片状部とを連結する連結部と、を有する第2積層鋼板を有し、
前記ロータコアは、少なくとも1つの前記第2積層鋼板を前記第1積層鋼板と共に積層し、
前記第1積層鋼板の前記片状部の周方向の長さは、前記マグネットの周方向の長さよりも短く、
前記第2積層鋼板の前記片状部の周方向の長さは、前記第1積層鋼板の前記片状部よりも短いことを特徴とするロータ。
【請求項15】
中心軸に沿って延びる円筒形状であって、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部と、を有するロータコアと、
前記ロータコアの内部に配した複数のマグネットと、
を有し、
前記ロータコアは、前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の片状部と、前記ベース部の外側面から径方向内側に凹む凹部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層しており、
前記凹部は、前記ベース部の前記片状部と径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部に設けられており、
前記凹部の周方向の幅は、径方向に沿って同じまたは径方向外側が内側よりも大き
く、
前記ロータコアは、前記ベース部と、前記片状部と、前記ベース部と前記片状部とを連結する連結部と、を有する第2積層鋼板を有し、
前記ロータコアは、少なくとも1つの前記第2積層鋼板を前記第1積層鋼板と共に積層し、
前記第2積層鋼板の前記片状部の径方向外側の外周面の周方向の長さは、前記第1積層鋼板の前記片状部の径方向外側の外周面の周方向の長さよりも短いことを特徴とするロータ。
【請求項16】
前記ロータコアは、前記第2積層鋼板を2以上含み、前記第2積層鋼板の間に複数の前記第1積層鋼板を積層した請求項
14または請求項15に記載のロータ。
【請求項17】
前記ロータコアは、前記第2積層鋼板を、少なくとも軸方向の一方の端部に配置した請求項
14から請求項
16のいずれかに記載のロータ。
【請求項18】
前記ロータコアは、周方向に隣り合う前記マグネットの間に空間部を更に有し、
前記ロータコアの前記凹部、前記隙間および前記空間部に充填剤が充填された請求項14から請求項
17のいずれかに記載のロータ。
【請求項19】
請求項14から請求項
18のいずれかに記載のロータを有するモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに用いられるロータコアの製造方法、ロータおよびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、励磁コイルを有する環状のステータの径方向内側にマグネットおよびシャフトを有するロータを配置したモータが広く知られている。このモータは、駆動時において、マグネットの磁束が、ロータの内部でループすることがある。これにより、マグネットの磁束を有効活用することができないことが懸念された。そこで、ロータとステータとの間において磁束を円滑に流すための構造が提案され、そのモータにかかる技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された従来の電動パワーステアリング用電動機は、外周が円弧状のロータヨークと、ロータヨークに埋め込まれたマグネットと、中心軸に直交する仮想平面でのマグネットの短辺の両側にあって、ロータヨークを貫通する貫通孔で構成されるフラックスバリアと、を有する。この構成により、フラックスバリアを利用して磁束の通過を抑制、遮断することができる。したがって、ロータとステータとの間において磁束が円滑に流れることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の電動パワーステアリング用電動機は、周方向に隣り合うフラックスバリアの間に存在する鋼板の領域において磁束の漏れが発生することが懸念される。当該電動パワーステアリング用電動機において、磁束の漏れが発生するとロータコア内部における磁束ループとなり、マグネットの磁束を有効活用することができないことが懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、マグネットの磁束をより有効活用することが可能なロータコアの製造方法、ロータおよびモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的なロータコアの製造方法は、中心軸に対して径方向に拡がる複数の積層鋼板が軸方向に積層され、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部とを有するロータコアの製造方法であって、前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の前記片状部と、前記ベース部の外側面から径方向外側に向かって突出して少なくとも一部が前記隙間に位置する複数の突起部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層する積層工程と、軸方向に積層された前記ベース部同士を固定するベース部固定工程と、軸方向に積層された前記片状部同士を固定する片状部固定工程とを有する固定工程と、積層された前記積層鋼板の前記突起部を径方向外側に除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の例示的なロータは、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部と、を有するロータコアと、前記ロータコアの内部に配した複数のマグネットと、を有し、前記ロータコアは、前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の片状部と、前記ベース部の外側面から径方向内側に凹む凹部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層しており、前記凹部は、前記ベース部の前記片状部と径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部に設けられており、前記凹部の周方向の幅は、径方向に沿って同じまたは径方向外側が内側よりも大きく、前記ロータコアは、前記ベース部と、前記片状部と、前記ベース部と前記片状部とを連結する連結部と、を有する第2積層鋼板を有し、前記ロータコアは、少なくとも1つの前記第2積層鋼板を前記第1積層鋼板と共に積層し、前記第1積層鋼板の前記片状部の周方向の長さは、前記マグネットの周方向の長さよりも短く、前記第2積層鋼板の前記片状部の周方向の長さは、前記第1積層鋼板の前記片状部よりも短いことを特徴とする。
本発明の別の例示的なロータは、前記中心軸の径方向外側に位置するベース部と、前記ベース部の径方向外側に配列される複数の片状部と、を有するロータコアと、前記ロータコアの内部に配した複数のマグネットと、を有し、前記ロータコアは、前記ベース部と、前記ベース部の径方向外側に間隙を介して離隔するとともに周方向に隙間を介して配列される複数の片状部と、前記ベース部の外側面から径方向内側に凹む凹部と、を有する第1積層鋼板を軸方向に積層しており、前記凹部は、前記ベース部の前記片状部と径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部に設けられており、前記凹部の周方向の幅は、径方向に沿って同じまたは径方向外側が内側よりも大きく、前記ロータコアは、前記ベース部と、前記片状部と、前記ベース部と前記片状部とを連結する連結部と、を有する第2積層鋼板を有し、前記ロータコアは、少なくとも1つの前記第2積層鋼板を前記第1積層鋼板と共に積層し、前記第2積層鋼板の前記片状部の径方向外側の外周面の周方向の長さは、前記第1積層鋼板の前記片状部の径方向外側の外周面の周方向の長さよりも短いことを特徴とする。
【0009】
本発明の例示的なモータは、上記構成のロータを有する。
【発明の効果】
【0010】
例示的な本発明のロータコアの製造方法によれば、マグネットの磁束をより有効活用するモータを製造することが可能である。また、本発明のロータおよびモータによれば、マグネットの磁束をより有効活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明にかかるモータの横端面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すモータに備えられたロータを上から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すロータに備えられたロータコアを上から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すロータコアの第1積層鋼板の平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す第1積層鋼板の凹部の拡大図である。
【
図6】
図6は、積層前の第1積層鋼板の平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す第1積層鋼板を積層した状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明にかかる例示的な第1実施形態のロータコアの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、かしめ部形成工程の一部を示す図である。
【
図10】
図10は、ベースかしめ部を形成する処理を示す図である。
【
図12】
図12は、除去しろ工程にて実行されるプッシュバック処理を示す図である。
【
図14】
図14は、固定工程における固定処理を示す図である。
【
図17】
図17は、樹脂充填工程を行う前の積層金型を上から見た斜視図である。
【
図18】
図18は、樹脂充填工程後の積層金型を上から見た斜視図である。
【
図19】
図19は、樹脂充填後工程後、金型から取り出したロータコアを上から見た斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の第2実施形態にかかるモータのロータを上から見た斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22に示す積層コアの製造方法のスロット打ち抜き工程の一部を示す図である。
【
図29】
図29は、第2実施形態のロータコアの製造方法で製造したロータコアの上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について説明する。本書では、モータの回転軸が延びる方向を単に「軸方向」と呼び、モータの回転軸を中心として回転軸と直交する方向を単に「径方向」と呼び、モータの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を単に「周方向」と呼ぶ。ロータコアの中心軸は、モータの中心軸と一致する。また、本書では、説明の便宜上、軸方向を上下方向として各部の形状や位置関係を説明する。なお、この上下方向の定義がモータの使用時の向きを限定するものではない。さらに、本書では軸と直交する面で切断した端面を「横端面図」と呼ぶ。また、本書で用いる「平行」は厳密な意味で平行を表すものではなく、略平行を含む。
【0013】
<1.第1実施形態><1.1 モータの全体構成> 本発明の例示的な第1実施形態にかかるモータの概略構成について説明する。
図1は、本発明にかかるモータの横端面図である。
図2は、
図1に示すモータに備えられたロータの上から見た斜視図である。
【0014】
図1に示すとおり、モータ1は、ステータ2と、ロータ3と、を有する。
【0015】
ステータ2は、例えば、軸方向に延びる円筒形状である。ステータ2は、ロータ3の径方向外側に所定の間隔を空けて配置される。ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、コイル23と、を有する。
【0016】
ステータコア21は、軸方向に延びる筒形状である。ステータコア21は、複数枚の磁性鋼板を軸方向に積層して形成される。ステータコア21は、コアバック21aと、ティース21bと、を有する。コアバック21aは、円環形状である。ティース21bは、コアバック21aの内周面から径方向内側に延びる。ティース21bは、複数が周方向に所定間隔で並べて設けられる。
【0017】
インシュレータ22は、ティースの外面を囲んで設けられる。インシュレータ22は、ステータコア21とコイル23との間に配置される。インシュレータ22は、例えば、合成樹脂などの電気絶縁部材で構成される。コイル23は、インシュレータ22の外周に導線が巻き回されて形成される。
【0018】
図2に示すとおり、ロータ3は、軸方向に延びる円筒形状である。ロータ3は、ステータ2の径方向内側に所定の間隔をあけて配置される。ロータ3は、シャフト31と、ロータコア40と、マグネット32と、樹脂部33と、を有する。樹脂部33は、柱部33aと、外周部33bと、を有する。
【0019】
シャフト31は、モータ1の回転軸である。シャフト31は、上下方向に延びる円柱形状である。シャフト31は、ロータ3の上方および下方に設けられた上軸受および下軸受(ともに図示略)に挿入されて回転可能に支持される。ロータ3は、上下方向に延びるシャフト31を中心に回転する。
【0020】
ロータコア40は、軸方向に延びる円筒形状である。ロータコア40の径方向中心部に位置するシャフト孔41dに、シャフト31が挿入される。ロータコア40の中心軸は、モータ1のシャフト31の中心軸に一致する。ロータコア40は、例えば複数枚の磁性鋼板を軸方向に積層して構成される。ロータコア40の詳細については、後述する。
【0021】
マグネット32は、ロータコア40の片状部41cの径方向内側に配置される。マグネット32は、複数が周方向に所定の間隔で並べて配置される。マグネット32は、例えば8個設けられる。すなわち、複数のマグネット32は、ロータコア40の内部に配される。マグネット32は、底面が略矩形状で、軸方向に延びる直方体である。マグネット32の軸方向長さは、ロータコア40の軸方向長さに概ね一致する。マグネット32は、ロータコア40によって支持される。
【0022】
柱部33aは、周方向に隣り合うマグネット32同士の間に設けられる。例えば、マグネット32が8個である場合、柱部33aは、8箇所に設けられる。柱部33aは、ロータコア40を軸方向に貫通する。柱部33aを設けることで、ロータ3において、マグネット32の磁束をより有効活用することが可能である。
【0023】
外周部33bは、柱部33aの径方向外側に設けられる。外周部33bは、8箇所に設けられる。外周部33bの外周面は略半円形状で、軸方向に延びる。
【0024】
ロータ3の外縁部において、樹脂部33は、ロータコア40と、ロータコア40の径方向外側に配置される金型と、で囲まれた空間部に合成樹脂、接着剤等を流し込み硬化することで形成される。これにより、樹脂部33がフラックスバリアとしての役割を果たす。
【0025】
<1.2 ロータコアの詳細な構成> 続いて、ロータコア40の詳細な構成について説明する。
図3は、
図2に示すロータに備えられたロータコアを上から見た斜視図である。
図4は、
図3に示すロータコアの第1積層鋼板の平面図である。
図5は、
図4に示す第1積層鋼板の凹部の拡大図である。
【0026】
図3に示すとおり、ロータコア40は、第1積層鋼板41を有する。第1積層鋼板41はロータコア40の中心軸に対して径方向に拡がる。ロータコア40では、複数の第1積層鋼板41が軸方向に積層される。
【0027】
<1.2.1 第1積層鋼板の構成>
図4に示すとおり、第1積層鋼板41は、第1ベース部41aと、片状部41cと、を有する。
【0028】
第1ベース部41aは、中
心軸の径方向外側に位置する。第1ベース部41aは、外形が略八角形状である。なお、第1ベース部41aは、略八角形に限定されるものではなく、第1ベース部41aの外形は、略六角形、略十二角形等の多角形状や円形状であってよい。第1ベース部41aは、その径方向中心部に、シャフト31が軸方向に貫通するシャフト孔41dを有する。また、第1ベース部41aは、略八角形の各辺の中心部分の近傍に、下面から突出するとともに、上面が凹んだベースかしめ部41gを備える(後述の
図10参照)。
【0029】
なお、ベースかしめ部41gの突出方向は、これに限定されず、上面から上方に突出し、下面がへこむ形状であってもよい。上下に重なるベースかしめ部41gで同じ方向であれば、方向は限定されない。すなわち、第1ベース部41aは、8個のベースかしめ部41gを備える。なお、本実施形態において、ベースかしめ部41gは、軸方向に見て、楕円形状であるが、これに限定されず、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。また、8個に限定されず、安定して固定可能とするために、複数個設けられることが好ましいが、1個であってもよい。ベースかしめ部41gは、ロータコア40にマグネット32を取り付けたとき、マグネット32によって生成される磁界を邪魔しにくい位置に設けられることが好ましい。
【0030】
片状部41cは、第1ベース部41aの径方向外側に、間隙41bを介して離隔して配置される。片状部41cは、周方向に所定間隔で複数配置される。すなわち、複数の片状部41cは第1ベース部41aの径方向外側に配列される。片状部41cは、第1ベース部41aの外周の8箇所の辺各々の径方向外側に、例えば8個設けられる。複数の片状部41cは、それぞれ、周方向に隙間41tを介して配列される。片状部41cは、その平面視形状が、中心がシャフト31の中心軸よりも径方向外側にずれて、ロータ3の半径よりも小さい半径の円弧と、この円弧の径方向内側に位置する弦に相当する直線部と、を有する略半円形状で構成される。片状部41cの径方向内側の直線部は、第1ベース部41aの外側面41wと略平行である。
【0031】
各片状部41cの中央部分には、片かしめ部41hが設けられる。片かしめ部41hは、軸方向に見て、楕円形状であるが、これに限定されず、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0032】
また、片状部41cの周方向の長さは、マグネット32の周方向の長さよりも短い。この構成によれば、コギングトルクにかかる磁気特性を改善することができる。したがって、コギングトルクを低減させることが可能である。さらに、ロータコア40の内部における磁束ループの発生を抑制することが可能である。
【0033】
第1ベース部41aは、凹部41eを有する。凹部41eは、中心軸に対する、周方向に隣り合う片状部41c同士の間の角度領域において設けられる。すなわち、凹部41eは、第1ベース部41aの片状部41cと径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部41mに設けられる。言い換えれば、凹部41eは、樹脂部33の柱部33aに設けられる。中心軸に対する、周方向に隣り合う片状部41c同士の間の、扇形状の角度領域の一例を、
図4に二点鎖線で描画した。
図5に示すとおり、凹部41eの周方向の幅は、径方向内側では、径方向にわたって同じ幅L1であり、径方向外側の幅L2は内側の幅L1よりも広い。すなわち、凹部41eは、径方向内側は幅L1で一定であり、径方向外側において、径方向外側に向かって広がる。すなわち、凹部41eの周方向の幅は、径方向に沿って同じ又は径方向外側が内側よりも大きい。このような構造とすることで、後述する突起部41fを径方向外側に引き抜きやすくなる。
【0034】
凹部41eは、第1ベース部41aの外側面41wから径方向内側に向かって凹む。第1ベース部41aが多角形である場合、凹部41eは、第1ベース部41aの頂点各々から径方向内側に向かって凹む。第1ベース部41aは、凹部41eを備える。積層された第1ベース部41a、片状部41cおよび後述する積層金型51で囲まれた隙間に、合成樹脂、接着剤等を流し込む。これにより、凹部41eに合成樹脂、接着剤等が浸入し、樹脂部33の柱部33aが形成される。
【0035】
<1.2.2 ロータコアの積層構成>
図2および
図3に示すロータコア40は、複数の第1積層鋼板41が軸方向に積層されて構成される。このとき、複数の第1積層鋼板41の第1ベース部41aが、軸方向において重なる。また、周方向に配列された片状部41cのそれぞれが、軸方向において重なる。第1ベース部41aは、軸方向に形状を一致させて重ねられる。また、片状部41cも、軸方向に形状を一致させて重ねられる。なお、第1ベース部41aおよび片状部41cは軸方向に必ずしも一致する必要はなく、一部ずれていても良い。このようにずれている構造はロータスキューとして知られている。この構造を採用することにより、コギングトルクを低減することができる。
【0036】
ロータコア40では、第1ベース部41aと片状部41cとの間の間隙41bが軸方向において重なり、軸方向に貫通する取付孔401となる。ロータコア40は、取付孔401を8か所備える。そして、8か所の取付孔401のそれぞれに、1個ずつマグネット32が設けられる(
図1、
図2参照)。
【0037】
そして、第1ベース部41aは、ベースかしめ部41gを用いてかしめて互いに固定される。また、片状部41cも、片かしめ部41hを用いてかしめて互いに固定される。なお、ベースかしめ部41gおよび片かしめ部41hを用いたかしめの詳細は後述する。
【0038】
ロータコア40が以上の構成であることで、第1積層鋼板41の第1ベース部41aと片状部41cとの間の、周方向の全域にわたって、鋼板の領域が存在しない。これにより、第1ベース部41aと片状部41cとの間に空気、樹脂等(ここでは、樹脂を充填した樹脂部33)のフラックスバリアを設けることができる。そして、フラックスバリアが形成されている部分に金属が配置されないため、磁束ループが発生しにくい。このことからも、マグネット32の磁束をより有効活用することが可能である。
【0039】
<2. ロータコアの製造方法><2.1 製造方法の概略> 上述したロータコアの製造方法について、図面を参照して説明する。ロータコア40は、第1積層鋼板41を積層金型51の内部に挿入して積層する。このとき、
図4に示す第1積層鋼板41の第1ベース部41aでは、積層金型51の内部での位置合わせ等の微調整がやりにくい場合がある。そこで、本発明にかかるロータコア40の製造方法では、
図6に示す、突起部41fを備えた第1積層鋼板41を用いる。
【0040】
図6は、積層前の第1積層鋼板の平面図である。
図7は、
図6に示す第1積層鋼板を積層した状態を示す斜視図である。
図6に示すとおり、積層時の第1積層鋼板41の第11ベース部41aには、第1ベース部41aの片状部41cと径方向に対向する部分が周方向に隣り合う角部41mから、径方向外側に突出する複数の突起部41fが設けられる。
図6に示すとおり、突起部41fは、略八角形状の第1ベース部41aの角部41mから径方向外側に突出する。そして、突起部41fは、その一部が、周方向に隣り合う片状部41cの間の隙間41tに位置する。すなわち、突起部41fはベース部41aに複数設けられており、ベース部41aの外側面41wから径方向外側に向かって突出して少なくとも一部が隙間41tに位置する。
【0041】
図6、
図7に示すとおり、突起部41fは、接続部411fと、幅広部412fとを有する。接続部411fは、第1ベース部41aの外側面41と接続して径方向外側に伸びる。接続部411fは、周方向の幅が径方向の位置によらず一定である。すなわち、接続部411fは、ベース部41aと接続して径方向外側に延びる。
【0042】
幅広部412fは、軸方向に見た形状が円形状であり、接続部411fの径方向外側の端部に設けられる。幅広部412fは、接続部411fの径方向幅よりも径方向の幅が広い部分を有する。すなわち、幅広部412fは、接続部411fの径方向外側に設けられて接続部411fの周方向の幅よりも周方向の幅が大きい部分を有する。なお、幅広部412fは、軸方向に見た形状が円形状であるがこれに限定されず、楕円形状、多角形状等であってもよい。突起部41fにおいて、幅広部412fが接続部411fよりも周方向の幅を広くすることで、引き抜き工具Gd(後述の
図15参照)で容易に挟むことができる。また、突起部41fの幅広部412fの一部が隙間41tよりも径方向外側に配置されていてもよい。後述する除去工程において、後述の引き抜き工具Gdで突起部41fを掴みやすい。それだけ、除去工程が容易になる。また、突起部41fが隙間41tよりも外側にあることで、突起部41fを押しやすく、第1ベース部41aの後述する積層金型51内での取り扱いが容易になる。
【0043】
第1ベース部41aの突起部41fと接続する部分には、除去しろ411aが設けられる。除去しろ411aは、突起部41fの径方向内側と連結される。そして、除去しろ411aは、突起部41fを径方向外側に引き抜いたとき、突起部41fと一緒に除去されて凹部41eを形成する。除去しろ411aは、突起部41fと同一体である。そして、第1積層鋼板41aにおいて、除去しろ411aは、少なくとも一部が、切断された状態である。なお、除去しろ411aは、例えば、後述するプッシュバック処理にて形成される。除去しろ411aの形成方法の詳細については、後述する。
【0044】
また、幅広部412fの中央部には、突起かしめ部41iが形成される。突起かしめ部41iは、軸方向から見た形状が円形状であるが、これに限定されない。例えば、楕円形状や多角形状であってもよい。第1ベース部41aが軸方向に積層されるとき、突起部41fも軸方向に重なる。そして、幅広部412fの中央部に形成された突起かしめ部41iを利用して、突起部41f同士が軸方向に固定される。そして、突起部41fを積層した積層突起部41jを、径方向外側に引き抜いて、ロータコア40が製造される。
【0045】
<2.2 ロータコアの製造工程> 上述したロータコアの製造方法の詳細について、図面を参照して説明する。
図8は、本発明にかかる例示的な第1実施形態のロータコアの製造方法を示すフローチャートである。
図9~
図19、
図8に示すモータの製造方法における各工程の一部を示す図である。なお、ロータコアの製造方法において、実線は、これから加工する境界線を示す。例えば、プレス加工を行う場合では、プレス加工の工具を配置する位置を示す線である。また、
図9および
図11では、理解を容易にするため、第1積層鋼板41の外径を破線で示す。
【0046】
図8に示すとおり、本実施形態のロータコアの製造方法は、かしめ部形成工程S10と、除去しろ形成工程S20と、積層鋼板形成工程S30と、積層工程S40と、固定工程S50と、除去工程S60と、樹脂充填工程S70と、を有する。
【0047】
<2.2.1 かしめ部形成工程>
図9は、かしめ部形成工程の一部を示す図である。
図9に示すとおり、磁性材料である電磁鋼板である被加工材料4に、ベースかしめ部41g、片かしめ部41hおよび突起かしめ部41iを形成する。なお、ベースかしめ部41gは、第1ベース部41aとなる部分の各辺の中央部の近傍に形成される。片かしめ部41hは、片状部41cとなる部分の中央部に形成される。突起かしめ部41iは、幅広部412iとなる部分の中央部に形成される。
【0048】
かしめ部の形成方法について、ベースかしめ部41gを例に説明する。
図10は、ベースかしめ部を形成する処理を示す図である。
図10では、被加工材料4にハッチングを施した。
図10に示すとおり、かしめ部形成工程(S10)では、被加工材料4の下面に下かしめ用金型Mc1を接触する。そして、被加工材料4の上面に上かしめ用金型Mc2を接
触させる。下かしめ用金型Mc1の上面には、下方に向かって凹む有底の凹部Mc11を備える。また、上かしめ用金型Mc2は、下面から下方に突出したかしめ用凸部Mc21を備える。
【0049】
かしめ部形成工程(S10)では、凹部Mc11をベースかしめ部41gが形成される部分と上下に重ねて下かしめ用金型Mc1を被加工材料4の底面に接触させる。そして、かしめ用凸部Mc21を凹部Mc11と上下に重ねて、上かしめ用金型Mc2を被加工材料4に押し付ける。被加工材料4は、かしめ用凸部Mc21に押されて凹部Mc11に押し出される。これにより、下方に突出した突出部411gと、上面に設けられて下方に凹んだかしめ凹部412gを備えたベースかしめ部41gが形成される。なお、ここではベースかしめ部41gを成形するが、片かしめ部41hおよび突起かしめ部41iも同様に形成される。
【0050】
なお、ベースかしめ部41gおよび片かしめ部41hは、第1積層鋼板41を形成した後も、第1積層鋼板41に残る。そして、
図10に示すとおり、ベースかしめ部41gおよび片かしめ部41hは、第1積層鋼板41の他の部分よりも軸方向他方側に突出する。ベースかしめ部41gおよび片かしめ部41hは、可能な限り小さいことが望ましい。
【0051】
<2.2.2 除去しろ形成工程> かしめ部形成工程(S10)でかしめ部を形成した後、除去しろ411aを形成する除去しろ形成工程(S20)が行われる。除去しろ411aは、突起部41fを引き抜くときに、突起部41fとともに、第1ベース部41aから除去される。換言すると、除去しろ411aは、突起部41fを引き抜くまでは、第1ベース部41aに接続される。そのため除去しろ411aを形成する除去しろ形成工程(S20)では、プッシュバック処理が行われる。また、除去しろ411aは、突起部41fと一緒に引き抜かれるものであり、いずれも、被加工材料4から形成される。そのため、除去しろ411aは、ベース部41aの一部であるとともに、突起部41fの一部といえる。
【0052】
図11は、除去しろ形成工程の一部を示す図である。
図12は、除去しろ工程にて実行されるプッシュバック処理を示す図である。
図12において、被加工材料4にハッチングを施した。
【0053】
図12に示すとおり、被加工材料4の上面および下面をプッシュバック用金型Md1およびMd2で挟む。プッシュバック用金型Md1は、被加工材料4の上面と接触する。プッシュバック用金型Md1は、上下に移動可能な押下工具Ms1を備える。また、プッシュバック用金型Md2は、被加工材料4の下面と接触する。プッシュバック用金型Md2は、押下工具Ms1と上下に対向し上下に移動可能な押上工具Ms2が設けられる。そして、被加工材料4をプッシュバック用金型Md1およびMd2で挟んだ状態で、押下工具Ms1を下方に移動させる。
【0054】
除去しろ411aおよび突起部41fは、下方に押し出される。そして、除去しろ411aおよび突起部41fが被加工材料4から完全に分離する前に、押下工具Ms1を停止する。その後、押上工具Md2を上方に移動させて押し出された部分をもとの位置に戻す。プッシュバック処理によって、除去しろ411aは、被加工材料4の厚み方向の一部を残して、切断された状態となる。また、除去しろ411aが形成されたときには、突起部41fと第1ベース部41aとの相対位置が、加工前の位置に移動している。すなわち、除去しろ形成工程は、除去しろ411aを軸方向に所定量以上押し出したのち、元の位置に押し戻すプッシュバック処理を行う。
【0055】
プッシュバック処理を行うことで、除去しろ411aの境界部分の強度が、被加工材料4の他の部分に比べて低下する。これにより、突起部41fを径方向外側に引き抜いたときに、除去しろ411aが突起部41fと共に除去されて、凹部41eが形成されやすい。なお、本実施形態のプッシュバック処理では、厚み方向に一部残して元の位置に戻すが、厚み方向に完全に押し出した後に、元の位置に戻してもよい。完全に押し出した場合でも、押し出した部分の端面の形状によって、押し戻した部分を、元の位置に停止させることも可能である。
【0056】
すなわち、除去しろ形成工程(S20)は、積層工程(S40)の前に実行され、除去工程(S60)において除去される突起部41fの径方向内側の端部の一部又は全部を切断して突起部41fとベース部41aとの相対位置を維持した状態で突起部41fと共に除去される除去しろ411aを形成する。
【0057】
なお、除去しろ形成工程(S20)は除去工程(S60)で突起部41fが径方向に引き抜かれるときに、一緒に除去される除去しろ411aを形成する工程である。プッシュバック処理以外にも突起部41fの引き抜き時に一緒に除去される除去しろ411aを形成できる加工方法、例えば、切れ込みを入れる加工等を採用してもよい。
【0058】
<2.2.3 積層鋼板形成工程> 除去しろ形成工程(S20)で、除去しろ411aを形成した被加工材料4を、第1積層鋼板41を形成する積層板形成工程(S30)を実行する。積層板形成工程(S30)は、被加工材料4の第1積層鋼板41となる部分(
図10の破線)に工具(不図示)を当てて、プレス加工にて打抜いて形成する。このとき、除去しろ411aは打ち抜かない。そのため、積層鋼板形成工程(S30)で形成された第1積層鋼板41は、第1ベース部41aに除去しろ411aおよび突起部41fが連結された状態で形成される(
図6参照)。
【0059】
<2.2.4 積層工程> 積層鋼板形成工程(S30)で形成された第1積層鋼板41を、順次、積層金型51に挿入して積層を行う。
図13は、積層工程の一部を示す斜視図である。まず、積層金型51について説明する。
図13に示すとおり、積層金型51は、底面部51sと、ベース部収容空間51aと、外側押え部51bと、内側押え部51cと、片状部収容空間51dと、スリット51eと、を有する。
【0060】
底面部51sは、円板形状である。底面部51sの上面に、第1積層鋼板41を配置する。外側押え部51bは、底面部51sの辺縁部から軸方向上方に伸びる。外側押え部51bは、軸方向に伸びる円筒を周方向に切断した形状である。外側押え部51bは、8個備えられており、周方向に等間隔で配列される。周方向に隣り合う外側押え部51bの間には、スリット51eが設けられる。除去工程(S60)において、スリット51eから、積層突起部41jが引き抜かれる(後述の
図15、
図16参照)。
【0061】
内側押え部51cは、外側押え部51bの内面と対向して配置される。内側押え部51cは、外側押え部51bと同数、すなわち、8個備えられる。内側押え部51cは、軸方向に伸びる直方体形状である。内側押え部51cは、マグネット32と略同じ大きさである。8個の内側押え部51cは、中心軸に対して等間隔に配置される。内側押え部51cに囲まれる領域は、軸方向に見て八角形状であり、第1ベース部41aを収容する、ベース部収容空間51aである。なお、内側押え部5cの内側の面は、第1ベース部41aよりもわずかに大きく形成される。すなわち、第1ベース部41aをベース部収容空間51aに収容したとき、内側押え部51cの内側の面と第1ベース部41aの間には小さな間隔が形成される。
【0062】
スリット51eは、軸方向の上端から底面部51sに向かって延び、径方向に貫通した溝である。そして、第1ベース部41aがベース部収容空間51aに収容されるときに、突起部41fの幅広部412fの一部が、スリット51eに位置する。換言すると、第1ベース部41aは、軸方向に積層されるとき、一部がスリット51e内を移動する。スリット51eは、積層突起部41jを径方向に引き抜くときに、引き抜き工具Gdを挿入する挿入部でもある。また、突起部41fの一部がスリット51eに位置することで、積層金型51の外側から、突起部41fを径方向内向きに押すことが可能である。そして、突起部41fは、中心軸周りに等中心角度間隔で配置される。そのため、突起部41fを径方向に押すことで、ベース部収容空間51aに収容されたベース部41aの位置調整、すなわち、ベース部収容空間51aに対する位置決めを容易に行うことが可能である。
【0063】
外側押え部51bの径方向内側の面と、内側押え部51cの径方向外側の面との間に、片状部収容空間51dが形成される。外側押え部51bの径方向内側の面は円筒の内周面を周方向に切断した曲面である。内側押え部51cの径方向外側の面が平面状である。このことから、片状部収容空間51dの径方向の長さは、周方向の中央が最も長く、周方向の両端に向かって短くなる。
【0064】
そして、積層された状態において、片状部41cの径方向の長さは、周方向の中央部分が最も長く、周方向の両端に向かって短くなる。そして、片状部41cの径方向外側の曲率半径は、外側押え部51bの径方向内側の面の曲率半径よりも小さい。片状部収容空間51dの周方向中央の径方向の長さを、片状部41cの周方向中央の径方向の長さと同じ長さとする。これにより、片状部41cは、片状部収容空間51dに位置決めされる。なお、片状部41cの収容しやすさを考慮して、片状部41cの径方向の長さよりも片状部収容空間51dの長さの方がわずかに長く形成してもよい。また、片状部41の径方向外側の曲率半径は、外側押え部51bの径方向内側の面の曲率半径と同じであってもよい。
【0065】
積層金型51に、第1積層鋼板41を挿入して、第1積層鋼板41を積層する。このとき、第1ベース部41aはベース部収容空間51aに収容される。また、片状部41cは、片状部収容空間51dに収容される。上述した積層金型51は、一例であり、これに限定されない。積層金型としては、第1ベース部41a同士、片状部41c同士および突起部41f同士のそれぞれを軸方向に重ねることができる構成の金型を広く採用することができる。
【0066】
<2.2.5 固定工程>
図14は、固定工程における固定処理を示す図である。
図14では、ベースかしめ部41g、片かしめ部41hおよび突起かしめ部41iを代表してベースかしめ部41gを示す。
図14に示すとおり、軸方向において下の第1ベース部41aのかしめ凹部412gに上から積層された第1ベース部41aのかしめ凸部411gが挿入されて固定される。下の第1ベース部41aのかしめ凹部412gに、上に積層されたかしめ凸部411gを挿入して固定することを「かしめ処理」或いは単に「かしめる」と称する場合がある。かしめ処理を行う場合には、押し付け用の工具(不図示)で上の第1ベース部41aを下の第1ベース部41aに押し付けて行われる。なお、片かしめ部41hによる片状部41cのかしめ、突起かしめ部41iによる突起部41fのかしめも同様に、上方から工具で押して行われる。
【0067】
第1積層鋼板41の各部に、予め、ベースかしめ部41g、片かしめ部41hおよび突起かしめ部41iを形成しておくことで、積層後のかしめ処理が容易である。なお、積層工程と固定工程とは、積層工程で全ての第1積層鋼板41を積層したのち、全体をかしめる固定工程を実行してもよい。また、第1積層鋼板41を1枚積層するごとに、固定工程を行ってもよい。なお、固定工程は、第1ベース部41aのかしめ処理と、片状部41cのかしめ処理と、突起部41fのかしめ処理を同時に行ってもよい。また、固定工程において、軸方向に積層された第1ベース部41a同士を固定する(かしめ処理を行う)ベース部固定工程と、軸方向に積層された片状部41c同士を固定する(かしめ処理を行う)片状部固定工程と、軸方向に積層された突起部41f同士を固定する(かしめ処理を行う)突起部固定工程とをそれぞれ行ってもよい。
【0068】
<2.2.6 除去工程>
図15は、除去工程を示す図である。
図16は、
図15に示す除去工程を拡大した図である。なお、
図16には、除去工程(S60)における突起部41fの除去方向を、矢線A
r1で示す。矢線Ar1は、径方向内側から外側に向かう。
図15に示すとおり、除去工程(S60)では、積層金型51の内部で、積層された第1積層鋼板41から、スリット51eを介して、積層突起部41jを径方向外側に引き抜く。すなわち、除去工程は、積層された積層鋼板41の突起部41fを径方向外側に除去する。
【0069】
このとき、除去しろ411aの境界部分は、第1ベース部41aの他の部分よりも弱いため、除去しろ411aは積層突起部41jと共に除去される。除去しろ411aが積層突起部41jと共に除去された後、第1ベース部41aの角部41mに、径方向内側に凹む凹部41eが形成される。すなわち、ベース部41aの外側面41wから径方向内側に向かう凹部41eが形成される。除去しろ411aを除去して形成される凹部41eは、軸方向に重なる。
【0070】
除去工程を行う場合、
図16に示すとおり、スリット51eの径方向外側から引き抜き工具Gdを挿入する。引き抜き工具Gdは、一対のアームGd1と、爪部Gd2とを備える。アーム部Gd1は積層金型51に対して径方向に延びる。爪部Gd2は、一対のアームGdの先端に対向して設けられる。引き抜き工具Gdは、爪部Gd2をスリット51eの径方向外側から挿入させる。爪部Gd2を、突起部41fの幅広部412fの径方向内側に回り込ませて、接続部411fを周方向に掴む。その状態で、径方向に引っ張る(
図16において、引っ張り方向を矢線Ar1で示す)ことで突起部41fと、突起部41fの径方向内側と連続する除去しろ411aが引き抜かれる。突起部41fにおいて幅広部412fが形成されることで、爪部Gd2を引っ掛けることが可能であり、引き抜きを簡単かつ確実に行うことが可能である。
【0071】
なお、爪部Gd2は軸方向に長くてもよいし、積層突起部41jの軸方向の複数箇所を掴む位置に設けられていてもよい。例えば、爪部Gd2が、積層突起部41jを軸方向の全体を掴む構成である場合、固定工程において、突起部41fの固定を省略できる。また、突起部41fの固定を省略する場合には、突起かしめ部41iの形成も省略される。しかしながら、突起部41f同士を固定することで、除去後の突起部41fが散乱するのを抑制する。そのため、固定工程にて突起部41f同士を固定しておくことが好ましい。
【0072】
<2.2.7 樹脂充填工程>
図17は、樹脂充填工程を行う前の積層金型を上から見た斜視図である。
図18は、樹脂充填工程後の積層金型を上から見た斜視図である。
図19は、樹脂充填後工程後、金型から取り出したロータコアを上から見た斜視図である。
【0073】
除去工程(S60)で積層突起部41jを除去したことで、積層金型51の中では、
図3に示した、ロータコア40が形成される。周方向に隣り合う内側押え部51cの間には空間部41kが形成される。内側押え部51cは、取付孔401を貫通しており、積層金型51から取り出されたロータコア40のマグネット32が取り付けられる場所に相当する。すなわち、ロータコア40において、空間部41kは、周方向に隣り合うマグネット32の間に形成される。
【0074】
図3に示すロータコア40では、第1ベース部41aと片状部41cとが離間するため、そのまま積層金型51から取り出すことは困難である。そこで、樹脂充填工程(S70)で、積層金型51とロータコア40の間の空間部41kに樹脂を充填して、第1ベース部41aと片状部41cとを相対的に固定する。
【0075】
図17に示すとおり、積層金型51には、スリット51eを塞ぐ閉塞部51fがスリット51eに着脱可能に備えられる。スリット51eに閉塞部51fを取り付けることで、積層金型51は、外側押え部51bと閉塞部51fとによって、円筒形状または略円筒形状となる。周方向に隣り合う内側押え部51cの間の空間部41kと、凹部41e及び隙間41tに樹脂を流し込み硬化させることで、樹脂部33が形成される(
図18)。すなわち、凹部41e、隙間41t及び空間部41kに充填剤(樹脂)を充填する充填工程をさらに含む。
【0076】
このとき、樹脂は凹部41eに流れ込む。これにより、樹脂部33と第1ベース部41aとの接触面積が大きくなり、樹脂部33によって第1ベース部41aと片状部41cとを強固に固定することが可能となる。また、樹脂部33は、フラックスバリアとしての役割も果たす。なお、図示していないが、充填剤はマグネット32の上側もしくは下側まで延びていても良い。すなわち、上述の充填工程では、マグネット32の上側もしくは下側に充填剤が更に充填されてもよい。このとき、樹脂部33は、好ましくは、マグネット32の上側もしくは下側の端部の少なくとも一部を覆う。これにより、マグネット32が上方もしくは下方に飛び出ることを防止することができる。なお、充填剤はマグネットの上方もしくは下方の端部を必ずしも全部覆う必要はなく、マグネットの一部が、樹脂部33に設けられた貫通孔から露出していてもよい。マグネットの一部が樹脂部33から露出することにより、充填工程の間、もしくは、充填工程の後に、マグネットの位置ずれの確認や樹脂の充填量を外部から目視することができる。
【0077】
なお、充填される充填剤は、ここでは、樹脂であるが、樹脂に限定されない。施工時に流動性を有するとともに、施工終了後に硬化する材料を広く採用することができる。なお、樹脂を用いる場合において、樹脂が熱硬化性樹脂の場合、積層金型51ごと、焼成装置(いわゆる、オーブン)で焼成してもよい。本実施形態では、熱によって変性しやすいマグネット32を取り付ける前に樹脂の硬化を行うため、熱処理による磁気特性の変化を抑制することができる。
【0078】
樹脂充填工程(S70)で充填された樹脂が硬化した後、積層金型41fから、樹脂部33と共にロータコア40が取り出される(
図19参照)。樹脂部33によって固定されたロータコア40では、上述のとおり、第1積層鋼板41の間隙41bが軸方向に重なり、軸方向に貫通する取付孔401となる。そして、取付孔401にマグネット32が挿入される挿入工程を含んでいてもよい。すなわち、積層工程で積層された複数の積層鋼板41の取付孔401にマグネット32を挿入する挿入工程を含んでよい。また、第1積層鋼板41のシャフト孔41dも軸方向に重なっており、シャフト31がシャフト孔41dを軸方向に貫通する。これにより、ロータ3が完成する(
図2参照)。
【0079】
本実施形態において、ロータコア40は、周方向に隣り合うマグネット32の間に空間部を設け、その空間部に樹脂を流し込んで、樹脂部33とすることで、フラックスバリアが形成される。これにより、磁束ループの発生を抑えて、ロータの磁気特性を向上させることが可能である。
【0080】
本発明にかかるロータコアの製造方法を利用することで、第1積層鋼板41を積層するときに、第1ベース部41aに突起部41fが備えられるので、第1ベース部41aの移動、位置決め等の取扱いが容易である。また、第1積層鋼板41の積層後に、突起部41fが取り除かれるため、ロータコア40にマグネット32を取り付けたとき、マグネット32の周方向に隣り合う部分の鋼板が取り除かれる。周方向に隣り合うマグネット32の間に空間が形成されて、その空間に樹脂を流して樹脂部とする。樹脂部がフラックスバリアとして作用するため、磁束ループの発生を抑制し、ロータ3の磁気特性を向上できる。また、突起部41fを径方向に引っ張るだけで突起部41fおよび除去しろ411aを取り除くため、軸方向に削る場合に比べて加工処理が簡単である。
【0081】
上記製造工程において、各工程は、可能な範囲で前後してもよい。例えば、除去しろ形成工程は、積層工程の前であれば、積層鋼板形成工程の後であってもよく、かしめ部形成工程の前であってもよい。
【0082】
<第1実施形態の変形例1> 本実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態では、除去しろ411aを形成しておき、第1ベース部41aの角部41mに径方向内側に凹む凹部41eを形成していた。しかしながら、マグネット32を配置したときに、十分なフラックスバリアを形成することができる場合や、ロータ3の磁気特性が一定のレベルでよい場合もある。これらの場合、第1ベース部41aの角部41mの凹部41eを省略してもよい。
【0083】
このとき、製造工程から除去しろ形成工程(S20)を省くことが可能である。なお、除去しろが形成されない場合、除去工程(S60)において、突起部41fを引き抜き工具Gdで径方向外側に引っ張る。このとき、強度が低い(切れやすい)部分が形成されていないため、突起部41fの接続部411fと第1ベース部41aとの境界に応力が集中し、その部分で破断する。このよう引き抜き処理によって破断させて突起部41fは引き抜かれる。しかしながら、除去しろ形成工程と同様の処理を利用して、接続部411fと第1ベース部41aとの境界に強度が低い(切れやすい)部分を形成しておいてもよい。強度が低い(切れやすい)部分を形成することで、突起部41fの途中で破断したり、幅広部412fだけが引き抜かれたりする不具合を抑制することができる。
【0084】
<第1実施形態の変形例2> 上述の実施形態では、積層金型51内で第1積層鋼板41を積層した状態で、樹脂を充填する樹脂充填工程を行っていた。これに限定されず、積層金型51から内側押え部51cを取り外す又はロータコア40を樹脂充填用の金型に取り付けた後、マグネット32を取付孔401に挿入した後に、樹脂を充填してもよい。
【0085】
<3. 第2実施形態> 本発明にかかるロータコアの他の例について図面を参照して説明する。
【0086】
<3.1 ロータコアの詳細な構成> 本発明にかかるロータコアの他の例の構成について説明する。
図20は、本発明の第2実施形態にかかるモータのロータを上から見た斜視図である。
図21は、
図20に示すロータに用いられる第2積層鋼板の平面図である。
図22は、
図20に示すロータに用いられる連結積層鋼板の平面図である。なお、本実施形態のロータコア40Bでは、積層鋼板として第1積層鋼板41に加えて、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43を用いる。そして、ロータ3Bは樹脂部33を備えない。それ以外の部分は、第1実施形態のロータコア40と同じ構成である。そのため、ロータコア40Bの構成のうち、ロータコア40と同じ部分には同じ符号を付す。また、ロータ3Bの構成のうち、ロータ3と同じ部分には、同じ符号を付す。そして、実質上同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0087】
図20に示すロータ3Bは、シャフト31と、マグネット32と、ロータコア40Bと、を有する。そして、ロータコア40Bは、第1積層鋼板41と、第2積層鋼板42と、連結積層鋼板43とを有する。第1積層鋼板41、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43は各々、ロータコア40Bの中心軸に対して径方向に拡がる。すなわち、ロータコア3Bは、少なくとも1つの第2積層鋼板42を第1積層鋼板41と共に積層した構成を有する。ロータコア3Bには、中心軸に対して周方向に並んで配されて、軸方向に延びる取付孔401bを有する。取付孔401bにマグネット32が取り付けられる。
【0088】
<3.1.1 第2積層鋼板の構成>
図21に示す第2積層鋼板42は、第2ベース部42aと、片状部42cとを備える。第2ベース部42aは、中心軸の径方向外側に位置する。第2ベース部42aは、外形が略八角形状である。なお、第2ベース部42aは、略八角形に限定されるものではなく、第2ベース部42aの外形は、略六角形、略十二角形等の多角形状や円形状であってよい。第2ベース部42aの外形は、第1ベース部41aの外形と略同じである。第2ベース部42aは、その径方向中心部に、シャフト31が軸方向に貫通するシャフト孔42dを有する。
【0089】
また、第2ベース部42aは、略八角形の各辺の中心部分の近傍に、下面から突出するとともに、上面が凹んだベースかしめ部42gを
備える(前述の
図10参照)。すなわち、第2ベース部42aは、8個のベースかしめ部42gを備える。なお、本実施形態において、ベースかしめ部42gは、軸方向に見て、楕円形状であるが、これに限定されず、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。また、8個に限定されず、安定して固定可能とするために、複数個設けられることが好ましいが、1個であってもよい。ベースかしめ部42gは、ロータコア40にマグネット32を取り付けたとき、マグネット32によって生成される磁界を邪魔しにくい位置に設けられることが好ましい。ベースかしめ部42gは、第1積層鋼板41と第2積層鋼板42とを積層したときに、ベースかしめ部41gと軸方向に重なる形状および位置に形成される。
【0090】
片状部42cは、第2ベース部42aの径方向外側に、貫通孔42bを介して離隔して配置される。片状部42cは、複数が周方向に所定間隔で配置される。片状部42cは、第2ベース部42aの外周の8箇所の辺各々の径方向外側に、例えば8個設けられる。片状部42cは、その平面視形状が、中心がシャフト31の中心軸よりも径方向外側にずれて、ロータ3Bの半径よりも小さい半径の円弧と、この円弧の径方向内側に位置する弦に相当する直線部と、を有する略半円形状で構成される。片状部42cの径方向内側の直線部は、第2ベース部42aの外側面42wと略平行である。なお、片状部42cの周方向の長さは、片状部41cの周方向長さよりも短い。すなわち、第2積層鋼板42の片状部42cの周方向の長さは、第1積層鋼板41の片状部41cの周方向長さよりも短い。
【0091】
各片状部42cの中央部分には、片かしめ部42hが設けられる。片かしめ部42hは、軸方向に見て、楕円形状であるが、これに限定されず、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。片かしめ部42hは、第1積層鋼板41と第2積層鋼板42とを積層したときに、片かしめ部42hと軸方向に重なる形状および位置に形成される。
【0092】
第2積層鋼板42は、周方向に隣り合う片状部42cを接続する第2連結部42eを有する。周方向に隣り合う片状部42cを第2連結部42eで接続することで、第2ベース部42aの径方向外側に、環状部42kが形成される。環状部42kでは、片状部42cと第2連結部42eとが交互に配列される。第2連結部42eは、一定以上の強度を確保するため径方向に一定の長さ(幅)を有する。このように、片状部の周方向の長さを変更することにより、接続部に軸方向からの圧力がかかったとしても変形しにくい。
【0093】
このことから、第2連結部42eの径方向外側の面と片状部42cの径方向外側の面とが接続する部分は、第1積層鋼板41の片状部41cの周方向の端部よりも片状部42cの周方向中央側にある。すなわち、第2積層鋼板42の片状部42cの径方向外側の曲面部分の周方向長さは、第1積層鋼板41の片状部41cの径方向外側の曲面部分の周方向長さよりも小さい。すなわち、第2積層鋼板42の片状部42cの径方向外側の外周面の周方向の長さは、第1積層鋼板41の片状部41cの径方向外側の外周面の周方向の長さよりも短い。
【0094】
なお、第2連結部42eは、軸方向において、第1積層鋼板41の、周方向に隣り合う片状部41c同士の間の領域と同じ位置に配置される。
【0095】
第2積層鋼板42は、第2ベース部42aと、片状部42cと、を連結する第1連結部42fを有する。すなわち、第2積層鋼板42は、ベース部42aと、片状部42cと、ベース部42aと片状部42cとを連結する第1連結部42fと、を有する。より詳しく言えば、第2ベース部42aの角部42mに、径方向外側に突出する凸部42iを備えており、第1連結部42fは、凸部42iの径方向外側の先端部と、第2連結部42eの内縁部とを連結する。第2ベース部42aは、第1連結部42fは、径方向に関して、第2ベース部42aと、環状部42kと、の間の領域に配置される。第1連結部42fは、周方向に隣り合う貫通孔42bの間の領域に配置される。第1連結部42fは、その平面視形状が、径方向に延びる長板形状である。また、凸部42iよりも連結部421fの方が周方向の幅が狭いため、フラックスバリアを形成して磁気特性を向上できる。
【0096】
第2連結部42eは、周方向に延びる長板形状であり、第1連結部42fは径方向に延びる長板形状である。そして、第1連結部42fの先端が第2連結部42eの中央部と連結されており、第2連結部42eと第1連結部42fとは、平面視において、T形状である。さらに、
図20に示すように、取付孔401bにマグネット32を装着したときに、第2連結部42eの径方向内側と、第1連結部42f及びマグネット32のそれぞれ対向する面とで囲まれた部分が空間であり、その空間がフラックスバリアとなる。
【0097】
<3.1.3 連結積層鋼板の構成>
図22に示す連結積層鋼板43は、連結ベース部43aと、片状部43cとを備える。片状部43cは、連結ベース部43aの径方向外側に、貫通孔43bを介して離隔して配置される。連結積層鋼板43は、連結ベース部43aの角部43mに設けられた凸部43iの周方向の幅が、第2積層鋼板42の凸部42iの幅よりも広く形成される。それ以外の部分については、第2積層鋼板42と同じ構成を有する。実質上同じ部分には、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0098】
連結ベース部43aは、中心軸の径方向外側に位置する。連結ベース部43aは、外形が略八角形状である。連結ベース部43aの外形は、第1ベース部41aおよび第2ベース部42aの外形と略同じである。凸部43iは、第2ベース部42aの凸部42よりも周方向の長さが長い。これにより、マグネットが下方に飛び出すことを抑制することができる。
【0099】
<3.2 ロータコアの積層構成>
図20に示すとおり、ロータコア40Bでは、軸方向の下端に例えば1枚の連結積層鋼板43が配置される。そして、ロータコア40Bでは、連結積層鋼板43の軸方向上方に2枚の第2積層鋼板42が積層される。そして、中間部分および軸方向上端にもそれぞれ2枚の第2積層鋼板42が積層される。すなわち、ロータコア40Bでは、軸方向の下端部、中間部および上端部にそれぞれ2枚ずつ第2積層鋼板42が積層される。そして、離れて積層された第2積層鋼板42の間に複数枚(ここでは、16枚)の第1積層鋼板41が積層される。すなわち、ロータコア40Bでは、第2積層鋼板42が、少なくとも軸方向の一方の端部に配置される。なお、第2積層鋼板42の組み合わせは図示した構造に限定されない。例えば、第2積層鋼板42は、軸方向の下端部に2枚、中間部に1枚、上端部に2枚ずつ積層されても良い。また、軸方向下側に連結積層鋼板43を更に備えていることが好ましい。また、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43を備えたロータコアがさらに、充填剤によって充填されても良い。これにより、連結積層鋼板だけでなく充填剤によっても固定されるため、固定強度を向上させることができる。また、充填剤を充填する際に、片状部とベース部がばらけることなく充填させることができる。
【0100】
すなわち、軸方向下端部の上側の第2積層鋼板42と中間部の下側の第2積層鋼板42の間に複数枚の第1積層鋼板41が積層される。また、軸方向上端部の下側の第2積層鋼板42と中間部の上側の第2積層鋼板42の間に、複数枚の第1積層鋼板41が積層される。すなわち、ロータコア40Bは、第2積層鋼板42を2以上含み、第2積層鋼板42の間に複数の第1積層鋼板41を積層した構成である。
【0101】
図20に示すとおり、ロータコア40Bでは、第1積層鋼板41の片状部41cと、第2積層鋼板42の片状部42cと、連結積層鋼板43の片状部42cと、が軸方向において重なり、外縁部の一部が揃う位置で、第1積層鋼板41、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43が積層される。そして、ベース部、片状部は、かしめ処理にて固定される。
【0102】
ロータコア40Bにおいて、第2積層鋼板42の貫通孔42bは、第1積層鋼板41の間隙41bと軸方向において重なり、軸方向に延びる取付孔401bとなる。ロータコア40は、取付孔401bを8か所備える。また、そして、8か所の取付孔401bのそれぞれに、1個ずつマグネット32が設けられる(
図20参照)。
【0103】
この構成によれば、ロータコア40Bの軸方向の両端部と、中間部に、第2ベース部42aと片状部42cとが第1連結部42f、第2連結部42eを介して連結された第2積層鋼板42を積層する。これにより、樹脂等を充填しなくても、ロータコア40Bの第1ベース部41aと片状部41cとがバラバラになることを抑制することができる。
【0104】
なお、上述したロータコア40Bは、軸方向の両端に第2積層鋼板42が積層された積層コアを軸方向に重ねた構成を有する。また、第2積層鋼板42の間の第1積層鋼板41の枚数は同じでもよいし、異なってもよい。また、上部の積層コアと下部の積層コアとが軸方向に所定の角度で回転して設けられていてもよい。
【0105】
<4. ロータコアの製造方法><4.1 ロータコアの製造工程> 上述したロータコアの製造方法の詳細について、図面を参照して説明する。
図23は、本発明にかかる例示的な第2実施形態のロータコアの製造方法を示すフローチャートである。
図24~
図28、
図23に示すモータの製造方法における各工程の一部を示す図である。
【0106】
図23に示すとおり、本実施形態のロータコアの製造方法は、かしめ部形成工程S10と、除去しろ形成工程S20と、積層鋼板形成工程S301と、積層工程S401と、固定工程S501と、除去工程S601と、を有する。かしめ部形成工程(S10)、除去しろ形成工程(S20)は第1実施形態のロータコアの製造工程と同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0107】
<4.1.1 積層鋼板形成工程> 積層鋼板形成工程(S301)では、ロータコア40Bを製造するのに必要な積層鋼板を形成する。被加工材料にプレス加工を施すことで、第1積層鋼板41(
図6参照)、第2積層鋼板42(
図21参照)および連結積層鋼板43(
図22参照)をそれぞれ作成する。
【0108】
<4.1.2 積層工程> 積層鋼板形成工程(S301)で形成された第1積層鋼板41、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43を、順次、積層金型53に挿入して積層を行う。
図24は、積層工程の一部を示す斜視図である。
図25は、
図24の後に行われる積層工程の一部を示す斜視図である。
図26は、
図25の後に行われる積層工程の一部を示す斜視図である。まず、積層金型52について説明する。
図24に示すとおり、積層金型52は、積層金型52は、マグネットの周方向の幅よりも狭い内側押さえ部を用いる。よって、積層金型52の構成は、内側押え部52cの周方向長さが異なる以外、
図13等に示した積層金具51と同じである。ベース部収容空間52a、片状部収容空間52d以外の部分には、積層金具51と同じ符号を付し、同じ部分の詳細な説明は省略する。
【0109】
図24に示すとおり、積層金具52において、内側押え部52cの周方向の長さが、マグネット32の周方向の長さよりも短い。これは、第2積層鋼板42の第2ベース部42aに凸部42iが形成されるとともに、連結積層鋼板43の連結ベース部43aに凸部43iが設けられるためである。すなわち、内側押え部52cの周方向の長さは、凸部42iおよび凸部43iと干渉しない長さであるため、内側押え部51cの周方向の長さよりも短い。
【0110】
積層工程(S401)では、最初にロータコア40Bの軸方向下端に配される(積層される)連結積層鋼板43を積層金型52の底面部51sの上面に配置される。連結積層鋼板43は、ベースかしめ部42gおよび片かしめ部42hのかしめ凹部の開口を上方に向けて配置される。そして、その上から、第2積層鋼板42を2枚積層する。なお、第2積層鋼板42
および連結積層鋼板43は、環状部42kを有するとともに、第2連結部42eが、隣り合う片状部42cの間に配置される。隣り合う片状部42cの間の部分は、積層金型52のスリット51eと径方向に重なる。そのため、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43では、スリット51eから工具、治具等を挿入して、第2連結部42eを押すことで、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43を移動させることができる。そして、第2積層鋼板42および連結積層鋼板43が移動すると同時に、片状部42cも移動する。
【0111】
<4.1.3 固定工程> なお、本実施形態では、異なる種類の積層鋼板を積層するため、積層工程と固定工程とを1枚ずつ行うものとする。固定工程(S501)の詳細については、第1実施形態の
図8に示す固定工程(S50)と同じである。すなわち、かしめ処理にて、ベース部同士、片状部同士および突起部同士(第1積層鋼板のみ)の固定を行う。そして、積層予定の積層鋼板の全ての固定が終了するまで、積層固定を繰りかえす。
【0112】
詳細に説明すると、
図25に示すとおり、軸方向の下端に配される連結積層鋼板43および2枚の第2積層鋼板42の積層および固定が完了すると、その上から、第1積層鋼板41を積層する。なお、第1積層鋼板41を固定する場合には、突起部41fに設けられた突起かしめ部41iのかしめ処理も行われる。そして、所定枚数(ここでは、16枚)の第1積層鋼板41の積層および固定が終了すると、ロータコア40Bの軸方向中間部に積層される第2積層鋼板42を2枚積層する(
図26参照)。その後、第2積層鋼板42の軸方向の上部に所定枚数(16枚)の第1積層鋼板41の積層および固定を行った後、第1積層鋼板41の上部に2枚の第2積層鋼板42の積層および固定を行う。すなわち、積層工程(S401)は、第2積層鋼板42及び第1積層鋼板41をそれぞれ少なくとも1枚以上積層する。また、積層工程(S401)は、軸方向に隣り合う第2積層鋼板42の間に複数の第1積層鋼板41を積層する。また、前記積層工程は、軸方向の両端の少なくとも一方の端部に第2積層鋼板42を配置する。
【0113】
<4.1.4 除去工程>
図27は、除去工程の一部を示す斜視図である。
図28は、除去工程の終了時を示す斜視図である。ロータコア40Bの製造に予定していた積層鋼板の全てを積層した後、積層突起部41jを除去する除去工程(S601)を実行する。除去工程(S601)の基本的な動作は、第1実施形態の除去工程(
図8のS60)と同じである。すなわち、積層金型52のスリット51eから、引き抜き工具Gdを挿入して、積層突起部41jを径方向外側に引き抜く。本実施形態では、中間部分に第2積層鋼板42を積層しており、積層突起部41jも、軸方向の中間で途切れる。そのため、除去工程では、上下に分割された積層突起部41jのそれぞれを引き抜き工具Gdを用いて、引き抜く処理が行われる(
図27参照)。
【0114】
本実施形態のロータコア40Bでは、上述のとおり、軸方向の両端部および中間部に、第2積層鋼板42が積層された構成である。そのため、除去工程が終了した時点(
図28参照)で、ベース部と片状部とは、相対位置が固定されて、ロータコア40Bが完成する。すなわち、樹脂を充填する工程が不要である。
【0115】
図29は、第2実施形態のロータコアの製造方法で製造したロータコアの上方から見た斜視図である。
図30は、
図29に示すロータコアの平面図である。
図29に示す、ロータコア40Bの軸方向上端の貫通孔42bから、軸方向下方に向かって、マグネット32が挿入される。マグネット32の周方向の端面が、凸部42iの周方向の端面と接触する。これにより、マグネット32の周方向に移動しないまたは移動しにくく、マグネット32の周方向のずれを抑制できる。
【0116】
そして、
図30に示すとおり、連結積層鋼板43の凸部43iは、第2積層鋼板42の凸部42iよりも周方向に貫通孔42b側に張り出す。ロータコア40Bの貫通孔42bにマグネット32を挿入した場合に、マグネット32の軸方向の下端面が、凸部43iの凸部42iよりも貫通孔42b側に張り出した部分と接触する。これにより、マグネット32の軸方向下方の移動を抑制し、マグネット32の脱落を抑制できる。なお、マグネット32を接着したり、ベース部や片状部との接触による摩擦で軸方向に移動しないまたは移動しにくい場合、連結積層鋼板43を省略してもよい。また、モータの使用環境によっては、
図30の上方に抜けやすい場合もある。この場合、ロータコア40Bの上方に連結積層鋼板43を積層してもよい。また、ロータコア40Bを積層金型52から取り出してマグネット32を挿入した後に、連結積層鋼板43をロータコア40Bの軸方向上端に積層してもよい。ロータコア40Bの軸方向両端に連結積層鋼板43を配置することで、マグネット32の軸方向の移動を抑制できる。
【0117】
以上示した本実施形態のロータコア40Bでは、第2積層鋼板42を用いて、第1積層鋼板41の第1ベース部41aの積層体と、片状部41cの積層体とを相対的に固定する。これにより、樹脂部が不要であるため、製造工程を簡略化することが可能である。また、樹脂部を設けないことで、回転体であるロータの重量を低減することができるため、モータの省電力化、高効率化が可能になる。
【0118】
なお、ロータコア40Bでは、第2積層鋼板42では、片状部42cを第2連結部42eで接続し、さらに隣り合うマグネット32の間に第1連結部42fが配される。そのため、ロータコア40Bでは、軸方向の中間部分の大半で、隣り合う片状部41c同士が分離される。また、ロータコア40Bでは、軸方向の中間部分の大半で、マグネット32の間は空気の層、すなわち、フラックスバリアが形成される。そのため、樹脂の柱が無い構成であっても、フラックスバリアを形成して、磁束ループの発生を抑制できる。これにより、ロータ3の磁気特性を向上することが可能である。
【0119】
<第2実施形態の変形例> 上述したロータコア40Bでは、第2積層鋼板42を軸方向の両端と中間部とに2枚ずつ計6枚が積層される。固定工程において、第1積層鋼板41の第1ベース部41aの積層体と、第2積層鋼板42の第2ベース部42aとはかしめ処理にて固定される。また、第1積層鋼板41の片状部41cの積層体と、第2積層鋼板42の片状部42cとは、互いにかしめ処理にて固定される。そのため、第2積層鋼板42は、ロータコア40Bの軸方向の両端に取り付けられなくてもよい。また、十分な強度が確保可能な場合においては、第2積層鋼板42は、1枚であってもよい。また、軸方向の厚さが異なる第1積層鋼板41と第2積層鋼板42を用いて、第2積層鋼板42の影響を低減してもよい。さらには、複数の厚さの第2積層鋼板42を用意して、磁気特性に影響が少ない部分は厚い第2積層鋼板42を利用し、磁気特性に影響が大きい部分には薄い第2積層鋼板42を利用してもよい。また、第2積層鋼板42を用いる、ロータコア40Bにおいて、周方向に隣り合うマグネット32の間の空間部41k、片状部41cの隙間41t及び凹部41eに樹脂を充填してもよい。
【0120】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、ブラシレスモータに用いられるロータコアの製造に適用可能である。また、本発明のモータは、例えば、電動パワーステアリング、電動オイルポンプ、ブレーキなどの車載用部品にも適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
1・・モータ、2・・ステータ、3・・ロータ、21・・ステータコア、21a・・コアバック、22・・インシュレータ、23・・コイル、31・・シャフト、32・・マグネット、33・・樹脂部、33a・・柱部、33b・・外周部、4・・被加工材料、40・・ロータコア、40B・・ロータコア、41・・第1積層鋼板、41a・・第1ベース部、411a・・除去しろ、41b・・間隙、41c・・片状部、41d・・シャフト孔、41e・・凹部、41f・・突起部、411f・・接続部、412f・・幅広部、41g・・ベースかしめ部、411g・・かしめ凸部、412g・・かしめ凹部、41h・・片かしめ部、41i・・突起かしめ部、41j・・積層突起部、41m・・角部、41w・・外側面、42・・第2積層鋼板、42a・・第2ベース部、42b・・貫通孔、42c・・片状部、42d・・シャフト孔、42e・・第2連結部、42f・・第1連結部、42g・・ベースかしめ部、42h・・片かしめ部、42i・・凸部、42k・・環状部、43・・連結積層鋼板、43a・・連結ベース部、43i・・凸部、51・・積層金型、51a・・ベース部収容空間、51b・・外側押え部、51c・・内側押え部、51d・・片状部収容空間、51e・・スリット、51f・・閉塞部、51g・・空間部、Mc1・・下かしめ用金型、Mc11・・凹部、Mc2・・上かしめ用金型、Mc21・・かしめ用凸部、Md1・・プッシュバック用金型、Md2・・プッシュバック用金型、Gd・・引き抜き工具、Gd1・・アーム、Gd2・・爪部