(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】車両用警報装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B60Q5/00 650A
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
B60Q5/00 660B
B60Q5/00 660D
B60Q5/00 660H
(21)【出願番号】P 2019535581
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2018006108
(87)【国際公開番号】W WO2019030952
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2017154098
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】工藤 嘉大
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246121(JP,A)
【文献】特開2006-321305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に前記車両の存在を報知するための警報音を出力する警報音出力部と、
前記車両の走行状態に基づいて、前記警報音出力部から出力させる前記警報音の音圧を制御する音圧制御部と、
前記車両の走行開始を検知する走行開始検知部と、を備え、
前記音圧制御部は、前記車両の停車中に前記警報音出力部から前記警報音を出力させ、前記走行開始検知部により前記車両の走行開始が検知された場合には前記警報音の前記音圧を前記停車中よりも大きく
し、
前記音圧制御部は、前記車両の走行速度と前記警報音の前記音圧との対応関係を規定する音圧パラメータに基づいて前記音圧を決定し、
前記音圧パラメータは、前記車両の走行速度が速いほど前記音圧が大きくなるように設定されており、前記車両の走行開始後、走行速度が所定速度以上となるまで適用される第1のパラメータと、前記車両の走行速度が前記所定速度以上となってから減速される場合に適用される第2のパラメータと、が設定され、
前記音圧制御部は、前記車両の走行開始後、前記所定速度以上となる前に前記車両が減速した場合には、前記第1のパラメータに沿って音圧を変化させる、
ことを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記第1のパラメータは、前記走行開始時の音圧が前記車両の停車中の音圧に対して略垂直状に大きくなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項
1記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記第2のパラメータでは、前記車両の停車中の音圧と前記車両の停車直前の音圧とが連続的に設定されている、
ことを特徴とする請求項
1または2記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記第1のパラメータは、前記第2のパラメータよりも単位速度当たりの前記音圧の変化量が小さく、
前記第1のパラメータにおける前記所定速度時の音圧が、前記第2のパラメータにおける前記所定速度時の音圧と一致している、
ことを特徴とする請求項
3記載の車両用警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外部に車両の存在を報知するための警報音を出力する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車は、低速走行時における静音性が高く、周囲の歩行者等がその存在を認識しづらいという課題がある。
これを解決するため、低速走行時に車両外部に車両の存在を報知するための警報音を出力する技術が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、車両が発進を開始すると警報音を発生させ、その警報音の大きさを、最初の5秒間は大きく、その後小さくするように変化させるよう構成された低騒音車両用警報装置が開示されている。特許文献1では、小さな音の警報音は、車速が10km/hを超えるまで継続させるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、車両発進時に警報音の出力を開始しているが、エンジン車におけるアイドリング音のように、車両の停車中にも警報音を出力することにより周囲に車両の存在を報知する提案がなされている。
ここで、従来技術のように車両発進時に警報音の出力を開始する場合には、車両発進のタイミングで発音停止状態から発音状態へと切り替わるため、車両の発進を歩行者が認知しやすい。これに対して、車両の停車中も警報音を出力する場合には、車両発進のタイミングで音圧の変化はあるものの、車両の発進を歩行者が認知しづらいという課題がある。
【0005】
また、例えば従来技術のように、車両の走行開始後所定時間音圧を大きくする場合、音圧増大期間が経過して音圧が低下した際に、音が止まったかのように感じられてしまい、周囲の歩行者や運転者に違和感を与えてしまうという課題がある。
図5は、従来技術における警報音の音圧と走行速度との関係の一例を示すグラフである。
図5において、縦軸は警報音の音圧、横軸は車両の走行速度である。
図中の実線で示すように、この種の警報装置においては、車両の走行速度が速いほど警報音の音圧が大きくなるように設定されている。
ここで、図中の点線で示すように、車両の走行開始後所定時間音圧を大きくする場合、音圧増大期間T3が経過した際に、元々設定されている音圧との間に差分ΔSが生じる。この差分ΔSが大きいと、警報音が突然停止したように聞こえるため、周囲の歩行者や運転者に違和感を与える。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、電動車等の低騒音車両において、周囲に違和感を与えることなく車両の発進を報知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる車両用警報装置は、車両の外部に前記車両の存在を報知するための警報音を出力する警報音出力部と、前記車両の走行状態に基づいて、前記警報音出力部から出力させる前記警報音の音圧を制御する音圧制御部と、前記車両の走行開始を検知する走行開始検知部と、を備え、前記音圧制御部は、前記車両の停車中に前記警報音出力部から前記警報音を出力させ、前記走行開始検知部により前記車両の走行開始が検知された場合には前記警報音の前記音圧を前記停車中よりも大きくし、前記音圧制御部は、前記車両の走行速度と前記警報音の前記音圧との対応関係を規定する音圧パラメータに基づいて前記音圧を決定し、前記音圧パラメータは、前記車両の走行速度が速いほど前記音圧が大きくなるように設定されており、前記車両の走行開始後、走行速度が所定速度以上となるまで適用される第1のパラメータと、前記車両の走行速度が前記所定速度以上となってから減速される場合に適用される第2のパラメータと、が設定され、前記音圧制御部は、前記車両の走行開始後、前記所定速度以上となる前に前記車両が減速した場合には、前記第1のパラメータに沿って音圧を変化させる、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる車両用警報装置は、前記第1のパラメータは、前記走行開始時の音圧が前記車両の停車中の音圧に対して略垂直状に大きくなるように設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる車両用警報装置は、前記第2のパラメータでは、前記車両の停車中の音圧と前記車両の停車直前の音圧とが連続的に設定されている、ことを特徴とする。
また、本発明にかかる車両用警報装置は、前記第1のパラメータは、前記第2のパラメータよりも単位速度当たりの前記音圧の変化量が小さく、前記第1のパラメータにおける前記所定速度時の音圧が、前記第2のパラメータにおける前記所定速度時の音圧と一致している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の停車中にも警報音を出力するので、車両の停車中にも車両の存在を周囲に報知することができる。また、車両の走行開始時には車両の停車中よりも警報音の音圧を大きくするので、車両が走行を開始したことを周囲に報知することができる。
また、本発明によれば、第1のパラメータおよび第2のパラメータを用いて警報音圧を制御するので、車両の走行開始時とそれ以外とで、警報音の音圧を変更することができる。
また、本発明によれば、第1のパラメータでは、走行開始時の音圧が停車中の音圧に対して略垂直状に大きくなっているので、車両が走行開始したことを周囲に対して明確に報知することができる。
また、本発明によれば、第2のパラメータでは、車両の停車中の音圧と車両の停車直前の音圧とが連続的に設定されているので、車両が減速後最終的に停車した際に、違和感を与えることなく警報音の音圧を遷移させることができる。
また、本発明によれば、第1のパラメータは、第2のパラメータよりも単位速度当たりの前記音圧の変化量が小さいので、所定速度に達する前に減速した場合に、第2パラメータへと自然に違和感無く遷移させることが可能となる。また、第1のパラメータと第2のパラメータとが所定速度において合流しているので、第1のパラメータの適用状態から第2のパラメータの適用状態へとスムーズに移行することができる。
また、本発明によれば、第1のパラメータを適用中に減速した場合、第1のパラメータに沿って音圧を変化させるので、減速前までの音圧の変化(増加)と同じ割合で音圧が減少し、ドライバーに違和感を生じさせることなく、音圧を変化させる上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】車両用警報装置10の構成を示すブロック図である。
【
図4】車両用警報装置10の動作手順を示すフローチャートである。
【
図5】従来技術における警報音の音圧と走行速度との関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる車両用警報装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両用警報装置10の構成を示すブロック図である。
本実施の形態では、車両用警報装置10が、エンジンおよびモータを搭載したハイブリッド車両(以下、単に「車両」という)に搭載されているものとする。
車両用警報装置10は、警報用ECU12およびスピーカ(警報音出力部)14を備える。
【0011】
警報用ECU12には、ブレーキペダルセンサ22、アクセルペダルセンサ24、車輪速センサ26、シフトセンサ28、エンジンECU30が接続されている。
ブレーキペダルセンサ22は、車両の運転者によるブレーキペダル(図示なし)の操作状態(操作量)を検知し、その情報を警報用ECU12に出力する。
アクセルペダルセンサ24、車両の運転者によるアクセルペダル(図示なし)の操作状態(操作量)を検知し、その情報を警報用ECU12に出力する。
車輪速センサ26は、車両の各車輪に設けられており、各車輪の回転速度を検知し、その情報を警報用ECU12に出力する。車輪速センサ26によって検知される各車輪の回転速度の平均値に基づいて、警報用ECU12は車両の走行速度を算出する。
シフトセンサ28は、車両の運転者によるシフトレバー(図示なし)の操作状態(シフトの設定状態)を検知し、その情報を警報用ECU12に出力する。
エンジンECU30は、車両のエンジン(図示なし)の稼働を制御する。本実施の形態では、警報用ECU12は、特にエンジンECU30からエンジンが停止状態にあるか否かの情報を取得する。
【0012】
スピーカ14は、車両外部に車両の存在を報知するための警報音を出力する。スピーカ14は、例えばエンジンルーム内など、出力した警報音が車両周辺の歩行者や他車両等に届きやすい位置に配置されている。スピーカ14から出力する警報音の種類は任意であるが、例えばエンジンやモータなどの作動音を模擬した音声などとする。
【0013】
警報用ECU12は、スピーカ14からの警報音の出力状態を制御する。
なお、本実施の形態では警報用ECU12を独立して設けているが、例えば車両全体の制御を行う車両ECUの一機能として警報用ECU12の処理を実施してもよい。
警報用ECU12は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などによって構成される。
警報用ECU12は、上記CPUが各種プログラムを実行することにより、走行開始検知部122および音圧制御部124として機能する。
【0014】
走行開始検知部122は、車両の走行開始を検知する。
走行開始検知部122は、例えばシフトレバーがパーキング(Pレンジ)およびニュートラル(Nレンジ)以外のレンジに操作された状態であり、かつブレーキペダルが踏み込まれた状態から、踏み込みが解除された状態となったことを検知した場合に、車両が走行を開始したと検知する。
なお、走行開始検知部122による走行開始の検知方法は、従来公知の様々な方法を適用可能である。
例えば、図示しないGPSセンサから出力される位置情報を取得して、車両の位置情報が停止状態(所定時間以上同位置が継続した状態)から変化した場合に車両が走行を開始したと検知してもよい。
また、例えば車輪速センサ26の検出値(車輪回転速度)がゼロからゼロを超える値に変化した場合に車両が走行開始を開始したと検知してもよい。
また、例えば車両にオートブレーキホールド機能(停車中にブレーキペダルから足を離しても、自動的に停車状態が維持される機能)が搭載されている場合には、ブレーキペダルから足を離している状態からアクセルペダルを踏み込み、車速パルスの値が変化したとき、すなわちオートブレーキホールドが解除されたことを検知した場合に車両が走行開始を開始したと検知してもよい。また、オートブレーキホールド機能を制御するECUが出力するオートホールド解除信号に基づいて、車両の走行開始を検知してもよい。
また、例えば先行車両に追従して自動運転を行う車両においては、レーダやカメラ等で先行車両の動きを監視し、停止中であった先行車両が走行を開始したことを検知した場合に、自車両も走行開始を開始した(もしくは、ごく短時間で走行を開始する)と検知してもよい。
【0015】
音圧制御部124は、車両の走行状態に基づいて、スピーカ14(警報音出力部)から出力させる警報音の音圧を制御する。
まず、音圧制御部124の基本的な制御について説明する。音圧制御部124は、車両の走行速度が低速(第2の所定速度V2未満)である場合に、スピーカ14から警報音を出力させる。一般に、ハイブリッド車両では、低速時にはエンジンは稼働させずにモータのみを稼働させて走行する。モータはエンジンと比較して稼働音が小さく、周囲の歩行者等が車両の存在に気付かない可能性がある。このため、車両の存在を報知するためにスピーカ14から警報音を出力させる。なお、低速時であっても、例えば発電のためなどにエンジンが稼働している場合には警報音を出力させなくてもよい。
また、車両の走行速度が中~高速(第2の所定速度V2以上)となった場合には、タイヤのロードノイズや車体の風切り音等が大きくなるため、警報音の出力を停止させる。
【0016】
さらに、音圧制御部124は、車両の停車中にもスピーカ14から警報音を出力させる。これは、車両の停車中にも車両の存在を周囲に報知することにより、より安全性の向上が期待できるためである。
なお、車両の停車中とは、車両が走行中に一時的に停止することを指し、信号待ちや渋滞などでの停止を指す。よって、車両のシフトレバーがパーキング(Pレンジ)にある場合は、車両が停車していても警報音を出力させる必要はない。
そして、音圧制御部124は、走行開始検知部122により車両の走行開始が検知された場合には、警報音の音圧を停車中よりも大きくする。この時の音圧の変化量は、車両の停車中における音圧と、走行開始以降の音圧とが明確に区別できる程度に設定するのが好ましい。これにより、停止していた車両が走行を開始したことを周囲に報知することができる。
【0017】
ここで、音圧制御部124は、車両の走行速度と警報音の音圧との対応関係を規定する音圧パラメータに基づいて、スピーカ14から出力させる警報音の音圧を決定する。
図2は、音圧パラメータの一例を示すグラフである。
図2において、縦軸は警報音の音圧、横軸は車両の走行速度である。
音圧パラメータは、第2の所定速度V2付近までは、車両の走行速度が速いほど音圧が大きくなるように設定されている。なお、第2の所定速度V2以上では、上述したように車両の走行音が大きくなるため、警報音の出力を停止する。
また、車両の停車中に対応する走行速度ゼロの点にも音圧パラメータが設定されている。車両の停車中における警報音の音圧をS0とする。
【0018】
ここで、走行速度が0を超え、第1の所定速度V1となるまでの領域には、2つのパラメータP1およびP2が設定されている。
第1のパラメータP1は、車両が停車状態から走行を開始した後、走行速度が第1の所定速度V1以上になるまで(第1の所定速度V1未満の間)適用される。第2のパラメータP2は、第1のパラメータの適用時以外、例えば走行速度が第1の所定速度V1以上で走行している場合や、走行速度が一旦第1の所定速度V1以上になった後、減速により第1の所定速度V1未満となった場合、すなわち車両の走行速度が第1の所定速度V1以上となってから減速される場合などに適用される。
【0019】
第2のパラメータP2は、停車中における音圧S0と連続したカーブとなっている、すなわち、車両の停車中の音圧S0と車両の停車直前の音圧とが連続的に設定されている。
これに対して、第1のパラメータでP1は、走行開始時の音圧S1が車両の停車中の音圧S0に対して略垂直状に大きくなっている。上述のように、第1のパラメータP1は、車両が停車状態から走行を開始した場合に適用される。よって、車両が停車状態から走行を開始した場合には、警報音の音圧がS0からS1へと瞬間的に変化することになる。停車中の音圧S0と走行開始時の音圧S1との差異は、車両の周辺に位置する通行者が識別可能な程度に走行開始時の音圧S1が大きく設定されている。
また、第1のパラメータP1は、第2のパラメータP2よりも単位速度当たりの音圧の変化量が小さい、すなわち緩やかなカーブとなっている。そして、第1のパラメータP1は、第1の所定速度V1において第2のパラメータP2と合流している。すなわち、第1のパラメータP1における第1の所定速度V1時の音圧(S3)は、第2のパラメータP2における第1の所定速度V1時の音圧(S3)と一致している。
このようにすることで、車両の停車中における音圧S0と、走行開始以降の音圧S1とを明確に区別して、車両が走行を開始したことを周囲に報知することができるとともに、車両の走行速度が第1の所定速度V1以上となった際や、車両が減速して停車状態となった際の音圧の変化を滑らかにして、周囲の歩行者や車両および運転者に違和感を与えることなく警報音を変化させることができる。
【0020】
なお、例えば車両が停車状態から走行開始後、第1の所定速度V1以上となる前(第1の所定速度V1未満であり、第1のパラメータP1の適用中)に減速した場合には、以下のような制御が考えられる。
<方法1>第1のパラメータP1に沿って音圧を小さくする。
この場合、車両の速度変化に基づく音圧の変化は連続的となり、その後車両が加速した場合なども違和感なく音圧を変更することができる。
ただし、車両が停車した場合には、停車中の音圧S0まで略垂直状に警報音が小さくなる。
【0021】
<方法2>徐々に第2のパラメータP2の適用時音圧に近づけるよう制御する。
すなわち、
図3に示すように、第1のパラメータP1と第2のパラメータP2とをつなぐ第3のパラメータP3を設定し、第3のパラメータP3に沿って音圧を変更する。
言い換えると、方法2では、車両の走行開始後、第1の所定速度V1以上となる前に車両が減速した場合には、第1のパラメータP1を適用した際の音圧から第2のパラメータP2を適用した際の音圧へと連続的に変化させる。また、例えば車両が減速後、停車する前に再加速した場合にも、第3のパラメータP3に沿って音圧を変更する。
図3の例では、車両が走行開始後、速度V3(<V1)のタイミングで減速を開始したものとし、走行速度V4(>0)で第2のパラメータP2と第3のパラメータP3とが合流している。
なお、同じく
図3に示すもう1つの第3のパラメータP3’のように、走行速度0時、すなわち車両の停止時に第2のパラメータP2と第3のパラメータP3’とが合流するようにしてもよい。
方法2を適用した場合、車両が減速後、最終的に停車した場合に、停車中の音圧S0に連続的に(滑らかに)移行することができる。
【0022】
また、例えば通常は方法2を採るように設定しておくとともに、渋滞などにより停車や低速走行(所定速度V1未満での走行)が短時間に繰り返される場合には、第1のパラメータP1に沿った音圧変更を行うようにしてもよい。
この繰り返し判定条件としては、例えば所定時間T1内に所定回以上停車(減速)と発進が繰り返された場合や、停車(減速)から発進までの時間が所定時間T2以下の場合などが挙げられる。
【0023】
図4は、車両用警報装置10の動作手順を示すフローチャートである。
本フローチャートでは、車両が走行開始後、第1の所定速度V1に到る前(第1のパラメータP1の適用中)に減速した場合の制御として、上記<方法2>を例にして説明する。
初期状態では、車両が停車状態にあるものとする。車両の停車中、音圧制御部124は、スピーカ14から音圧S0で警報音を出力させる(ステップS400)。
走行開始検知部122により車両の走行開始が検知されるまでは(ステップS402:Noのループ)、ステップS400に戻り、音圧S0での警報音出力を継続する。
【0024】
車両の走行開始が検知されると(ステップS402:Yes)、音圧制御部124は、第1のパラメータP1に沿って警報音の音圧を制御する。すなわち、走行開始直後には走行開始時の音圧S1で警報音を出力させ(ステップS404)、その後は車両の走行速度および第1のパラメータP1から特定される音圧で(第1のパラメータP1を適用して)警報音を出力させる(ステップS406)。
【0025】
車両の走行速度が第1の所定速度V1に到達する前に(ステップS412参照)車両が減速した場合(ステップS408:Yes)、音圧制御部124は、その時点の走行速度に対応する第1のパラメータP1上の点(音圧)と第2のパラメータP2とをつなぐ第3のパラメータP3を設定し、第3のパラメータP3に沿って(第3のパラメータP3を適用して)警報音の音圧を変更する(ステップS410)。
また、車両の走行速度が第1の所定速度V1に到達するまでは(ステップS412:Noのループ)、ステップS406に戻り、第1のパラメータP1を適用した音圧での警報音の出力を継続する。
なお、ステップS410で第3のパラメータP3が適用された場合は、第1の所定速度V1に到達するまで第3のパラメータP3の適用を継続する。
【0026】
また、車両の走行速度が第1の所定速度V1に到達すると(ステップS412:Yes)、音圧制御部124は、第2のパラメータP2に沿って(第2のパラメータP2を適用して)警報音の音圧を制御する(ステップS414)。
例えば、この後車両の走行速度が減速して第1の所定速度V1未満となった場合にも、音圧制御部124は、第2のパラメータP2に沿って警報音の音圧を制御する。第2のパラメータP2は、停車中における音圧S0と連続したカーブとなっているので、車両が減速後停車した場合でも、停車中の音圧S0にスムーズに移行することができる。
また、例えば車両の走行速度が第3の所定速度V3以上となると、音圧制御部124は、警報音の出力が停止させる。その後、走行速度が第3の所定速度V3未満となった場合には、再度第2のパラメータP2に沿って警報音を出力させる。
車両が停車するまでは(ステップS416:Noのループ)、ステップS414に戻り、第2のパラメータP2の適用を継続する。そして、車両が停車すると(ステップS416:Yes)、ステップS400に戻り、以降の処理をくり返す。
【0027】
以上説明したように、実施の形態にかかる車両用警報装置10は、車両の停車中にも警報音を出力するので、車両の停車中にも車両の存在を周囲に報知することができる。また、車両の走行開始時には車両の停車中よりも警報音の音圧を大きくするので、車両が走行を開始したことを周囲に報知することができる。
また、車両用警報装置10は、第1のパラメータP1および第2のパラメータP2を用いて警報音圧を制御するので、車両の走行開始時とそれ以外とで、警報音の音圧を変更することができる。また、第1のパラメータP1について、走行開始時の音圧S1が停車中の音圧S0に対して略垂直状に大きくなっているので、車両が走行開始したことを周囲に対して明確に報知することができる。
また、車両用警報装置10は、第2のパラメータについて、車両の停車中の音圧と車両の停車直前の音圧とが連続的に設定されているので、車両が減速後最終的に停車した際に、違和感を与えることなく警報音の音圧を遷移させることができる。
また、車両用警報装置10は、第1のパラメータP1と第2のパラメータP2とが第1の所定速度V1において合流しているので、第1のパラメータP1の適用状態から第2のパラメータP2の適用状態へとスムーズに移行することができる。
また、車両用警報装置10において、第1のパラメータP1適用中に車両が減速した場合に、第1のパラメータP1に沿って音圧を変化させるようにすれば、減速前までの音圧の変化(増加)と同じ割合で音圧が減少するので、ドライバーに違和感を生じさせることなく、音圧を変化させる上で有利となる。
また、車両用警報装置10において、第1のパラメータP1適用中に車両が減速した場合に、第1のパラメータP1を適用した際の音圧から第2のパラメータP2を適用した際の音圧へと漸次的に変化させるようにすれば、車両が減速後停車した場合に停車中の音圧値に連続的に移行する上で有利となる。
【符号の説明】
【0028】
10 車両用警報装置
12 警報用ECU
122 走行開始検知部
124 音圧制御部
14 スピーカ(警報音出力部)
22 ブレーキペダルセンサ
24 アクセルペダルセンサ
26 車輪速センサ
28 シフトセンサ
30 エンジンECU
P1 第1のパラメータ
P2 第2のパラメータ
S0 停車時音圧
S1 走行開始時音圧