IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソシオネクストの特許一覧

特許7047850音響システム、音響制御装置及び制御プログラム
<>
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図1
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図2
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図3
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図4
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図5
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図6
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図7
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図8
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図9
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図10
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図11
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図12
  • 特許-音響システム、音響制御装置及び制御プログラム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】音響システム、音響制御装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220329BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H04R1/02 102B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019559906
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2017045559
(87)【国際公開番号】W WO2019123542
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 克海
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一任
(72)【発明者】
【氏名】水野 美孝
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-135023(JP,A)
【文献】特開2001-008281(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139580(JP,U)
【文献】特開昭61-184143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一定時間静止している受聴者に、音声を出力する音声出力装置であって、可動部材に設置される複数の組の前記音声出力装置と、
前記受聴者の特定の部位と前記複数の組の音声出力装置との位置関係を特定するためのデータを測定するセンサと、
前記複数の組のいずれかの組の音声出力装置を介して出力する音声を、前記受聴者の特定の部位に定位させるための信号処理を実行する音響制御装置と、を有し、
前記音響制御装置は、前記センサにより測定されたデータにより特定される位置関係に応じて、いずれの組の前記音声出力装置を介して音声を出力するかを切り替え、かつ、前記信号処理に用いるパラメータを切り替えることを特徴とする音響システム。
【請求項2】
前記可動部材は、車両内に搭載されるサンバイザまたはルームミラーであることを特徴とする請求項に記載の音響システム。
【請求項3】
前記センサは、角度センサであることを特徴とする請求項に記載の音響システム。
【請求項4】
前記パラメータは、前記音声出力装置と、前記受聴者の特定の部位との間の音声の伝達特性に基づいて算出されることを特徴とする請求項に記載の音響システム。
【請求項5】
複数の組の音声出力装置と、該複数の組の音声出力装置のいずれかの組の音声出力装置より出力される音声を定位させる、少なくとも一定時間静止している受聴者の特定の部位と、の位置関係を特定するためのデータを取得する取得手段と、
位置関係ごとに、前記複数の組の音声出力装置のいずれかの組の音声出力装置を介して出力する音声を、前記受聴者の特定の部位に定位させるための信号処理に用いるパラメータを格納する格納手段と、
格納された前記パラメータのうち、取得した前記データにより特定される位置関係に応じたパラメータを用いて前記信号処理を実行し、前記信号処理を実行することで生成した音声出力信号を、取得した前記データにより特定される位置関係に応じた前記音声出力装置の組に送信する信号処理手段と
を有することを特徴とする音響制御装置。
【請求項6】
コンピュータに、
複数の組の音声出力装置と、該複数の組の音声出力装置のいずれかの組の音声出力装置より出力される音声を定位させる、少なくとも一定時間静止している受聴者の特定の部位と、の位置関係を特定するためのデータを取得する取得工程と、
位置関係ごとに格納されたパラメータであって、前記複数の組の音声出力装置のいずれかの組の音声出力装置を介して出力する音声を、前記受聴者の特定の部位に定位させるための信号処理に用いる該パラメータのうち、取得した前記データにより特定される位置関係に応じたパラメータを用いて前記信号処理を実行し、前記信号処理を実行することで生成した音声出力信号を、取得した前記データにより特定される位置関係に応じた前記音声出力装置の組に送信する信号処理工程と
を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響システム、音響制御装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スピーカ等の音声出力装置から出力される音声を、受聴者の特定の部位(例えば、耳元)で定位させるための装置として、音響制御装置が知られている。当該音響制御装置では、音声出力装置と受聴者との間の音声の伝達特性に基づいて音声信号の処理を行う。そして、当該音響制御装置によれば、例えば、受聴者の前方に音声出力装置を設置した場合であっても、受聴者は、あたかも耳元で音声が出力されているように感じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-008281号公報
【文献】特開昭61-184143号公報
【文献】特開平10-297382号公報
【文献】特開2010-145906号公報
【文献】特開2006-186646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音声出力装置と受聴者との間に音声を遮る障害物が介在しやすい状況であったり、音声出力装置の設置位置の変更が容易な状況では、音声出力装置と受聴者との間の音声の伝達特性が変化するため、音声を継続して定位させることが困難となる。
【0005】
一つの側面では、音声出力装置から出力される音声を、受聴者の特定の部位で継続して定位させることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、音響システムは、
少なくとも一定時間静止している受聴者に、音声を出力する音声出力装置であって、可動部材に設置される複数の組の前記音声出力装置と、
前記受聴者の特定の部位と前記複数の組の音声出力装置との位置関係を特定するためのデータを測定するセンサと、
前記複数の組のいずれかの組の音声出力装置を介して出力する音声を、前記受聴者の特定の部位に定位させるための信号処理を実行する音響制御装置と、を有し、
前記音響制御装置は、前記センサにより測定されたデータにより特定される位置関係に応じて、いずれの組の前記音声出力装置を介して音声を出力するかを切り替え、かつ、前記信号処理に用いるパラメータを切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
音声出力装置から出力される音声を、受聴者の特定の部位で継続して定位させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、音響制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、受聴者の特定の部位に音声を定位させるための、一般的な信号処理の概要を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。
図5図5は、音声出力装置の設置位置が変更された様子を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
図7図7は、音響制御装置による音響制御処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。
図10図10は、音声出力装置の設置位置が変更された様子を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
<音響システムのシステム構成>
はじめに、音響システムのシステム構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態において、音響システム100は、車両140に搭載されるものとする。
【0011】
図1に示すように、音響システム100は、音響制御装置120と、角度センサ130と、音声出力装置131、132とを有する。
【0012】
音響制御装置120は、生成装置110と接続され、生成装置110において生成された音声入力信号を受信する。なお、本実施形態において、生成装置110とは、例えば、音声案内機能を有するナビゲーション装置等のように、音声入力信号を生成する車載器である。
【0013】
音響制御装置120には、制御プログラムと信号処理プログラムとがインストールされており、当該プログラムが実行されることで、音響制御装置120は、制御部121及び信号処理部122として機能する。
【0014】
制御部121は取得手段の一例であり、角度センサ130より送信された回転角データを取得する。また、制御部121は格納手段の一例でもあり、信号処理部122が音声入力信号を信号処理する際に用いるパラメータを格納する。また、制御部121は、格納したパラメータの中から、取得した回転角データに応じて、信号処理部122が音声入力信号を信号処理する際に用いるパラメータを決定する。
【0015】
信号処理部122は信号処理手段の一例であり、制御部121において決定されたパラメータを用いて、音声入力信号に対して信号処理を実行し、音声出力装置131、132に対して、音声出力信号を出力する。
【0016】
角度センサ130は、車両140において、音声出力装置131、132が設置された、車両140内の所定の部材の回転角を測定し、測定結果を回転角データとして音響制御装置120に送信する。なお、本実施形態において、音声出力装置131、132は、車両140に搭載されたサンバイザの先端部分に設置されるものとする。このため、本実施形態において、角度センサ130は、サンバイザの回転角を測定するものとする。
【0017】
音声出力装置131、132は、いわゆるスピーカであり、音響制御装置120から送信された音声出力信号に基づいて、音声を出力する。
【0018】
<音響制御装置のハードウェア構成>
次に、音響制御装置120のハードウェア構成について説明する。図2は、音響制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0019】
図2に示すように、音響制御装置120は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。CPU201、ROM202、RAM203は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0020】
また、音響制御装置120は、補助記憶装置204、接続装置205~207を有する。なお、音響制御装置120の各ハードウェアは、バス210を介して相互に接続されている。
【0021】
CPU201は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラム(例えば、制御プログラム、信号処理プログラム等)を実行する演算デバイスである。
【0022】
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM202はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する。
【0023】
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0024】
補助記憶装置204は、各種プログラムや、各種プログラムの実行に用いられるパラメータ等を格納する補助記憶デバイスである。
【0025】
接続装置205は、生成装置110と接続し、生成装置110から送信される音声入力信号を受信する接続デバイスである。接続装置206は、角度センサ130と接続し、角度センサ130から送信される回転角データを受信する接続デバイスである。接続装置207は、音声出力装置131、132と接続し、信号処理プログラムがCPU201により実行されることで生成される音声出力信号を、音声出力装置131、132に送信する接続デバイスである。
【0026】
<信号処理の概要>
次に、受聴者の特定の部位に音声を定位させるための、一般的な信号処理の概要について説明する。図3は、受聴者の特定の部位に音声を定位させるための、一般的な信号処理の概要を説明するための図である。
【0027】
図3に示すように、一般的な音響制御装置300の場合、定位フィルタ301、302、クロストークキャンセル部310を有する。
【0028】
定位フィルタ301は、音声入力信号の音声が、受聴者320(本実施形態では、車両140の運転者)の右方向から聞こえてくるように設計されたフィルタである。定位フィルタ301においてフィルタ処理された音声入力信号は、クロストークキャンセル部310に入力される。
【0029】
定位フィルタ302は、音声入力信号の音声が、受聴者320の左方向から聞こえてくるように設計されたフィルタである。定位フィルタ302においてフィルタ処理された音声入力信号は、クロストークキャンセル部310に入力される。
【0030】
クロストークキャンセル部310は、定位フィルタ301、302により入力された、フィルタ処理後の音声入力信号に対して、伝達関数A~Dを乗算する。なお、伝達関数A~Dは、下式に基づいて算出される。
【0031】
【数1】
上式において、"hFR"は、音声出力装置131から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値であり、"hFL"は、音声出力装置132から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値である。また、"hCR"は、音声出力装置131から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値であり、"hCL"は、音声出力装置132から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値である。
【0032】
乗算器311は、定位フィルタ301より入力された、フィルタ処理後の音声入力信号に伝達関数Aを乗算する。乗算器312は、定位フィルタ302より入力された、フィルタ処理後の音声入力信号に伝達関数Bを乗算する。
【0033】
乗算器313は、定位フィルタ301より入力された、フィルタ処理後の音声入力信号に伝達関数Cを乗算する。乗算器314は、定位フィルタ302より入力された、フィルタ処理後の音声入力信号に伝達関数Dを乗算する。
【0034】
加算器315は、乗算器311及び乗算器312においてそれぞれ伝達関数A、Bが乗算された音声入力信号を加算し、音声出力信号として音声出力装置131に送信する。加算器316は、乗算器313及び乗算器314においてそれぞれ伝達関数C、Dが乗算された音声入力信号を加算し、音声出力信号として音声出力装置132に送信する。
【0035】
これにより、一般的な音響制御装置300では、生成装置110より送信された音声入力信号の音声を、受聴者320の右耳の耳元及び左耳の耳元に定位させることができる。
【0036】
なお、図3に示すように、本実施形態では、受聴者320が運転席に着座し、一定時間静止している状態において、受聴者320の前方から後方に向かう方向(つまり、車両140の前方から後方に向かう方向)をx軸方向としている。また、受聴者320の左耳から右耳に向かう方向(つまり、車両140の幅方向であって、左側から右側に向かう方向)をy軸方向としている。
【0037】
<音響システムの設置例>
次に、音響システム100を構成する各装置の、車両140内での設置例について説明する。図4は、第1の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。なお、図4の例は、車両140の運転席側に搭載されたサンバイザ400を下した状態を示している。
【0038】
図4に示すように、音声出力装置131、132は、サンバイザ400の先端部分にy軸方向に沿って設置される。具体的には、運転席側から見て、右側に音声出力装置131が設置され、左側に音声出力装置132が設置される。
【0039】
このように、第1の実施形態に係る音響システム100の場合、運転席に着座する受聴者320に対して、音声出力装置131、132を、音声出力信号を定位させる部位(受聴者320の耳元)よりも上方に設置する。
【0040】
これにより、音響システム100によれば、音声出力装置131、132と、受聴者320との間に音声を遮る障害物が介在し、音声出力装置131、132と受聴者との間の音声の伝達特性が変化してしまう、といった事態を回避することができる。この結果、音響システム100によれば、音声出力装置131、132から出力される音声を、受聴者320の耳元で継続して定位させることが可能となる。
【0041】
また、図4に示すように、サンバイザ400の回転部分には、角度センサ130が設置され、サンバイザ400の回転角を測定する。これにより、角度センサ130によれば、サンバイザ400の回転角を測定することができる。この結果、音響制御装置120では、サンバイザ400の回転角(つまり、音声出力装置131、132の設置位置)が変更された場合でも、変更後の回転角を測定し、変更後の回転角に応じた信号処理を行うことができる。つまり、音響システム100によれば、音声出力装置131、132から出力される音声を、受聴者320の耳元で継続して定位させることが可能となる。
【0042】
<音声出力装置の設置位置の変更について>
次に、受聴者320が運転席に着座し一定時間静止している状態で、サンバイザ400に設置された音声出力装置131、132の設置位置が変更された場合の伝達関数の変化について説明する。図5は、音声出力装置の設置位置が変更された様子を示す図である。
【0043】
このうち、状態500aは、車両140の運転席に受聴者320が着座し一定時間静止している状態であって、サンバイザ400を下す前の状態を示している。本実施形態では、状態500aに示すサンバイザ400の回転角を"0°"としている。
【0044】
状態500aにおいて、音声出力装置131から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hFR"であるとする。また、音声出力装置132から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hFL"であるとする。
【0045】
更に、音声出力装置131から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hCR"であるとする。更に、音声出力装置132から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hCL"であるとする。
【0046】
一方、状態500bは、車両140の運転席に受聴者320が着座し一定時間静止している状態であって、サンバイザ400を下した後の状態を示している。本実施形態では、状態500bに示すサンバイザ400の回転角を"120°"としている。
【0047】
状態500bにおいて、音声出力装置131から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hFR120"であるとする。また、音声出力装置132から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hFL120"であるとする。
【0048】
更に、音声出力装置131から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性は"hCR120"であるとする。更に、音声出力装置132から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"hCL120"であるとする。
【0049】
このように、サンバイザ400に音声出力装置131、132を設置した場合、サンバイザ400の回転角によって、音声の伝達特性を示す計測値が変化する。このため、本実施形態に係る音響制御装置120では、サンバイザ400の回転角ごとに音声の伝達特性を計測しておき、サンバイザ400の回転角に応じて、伝達関数A~Dを切り替える。これにより、受聴者320がサンバイザ400を動かしたことで、音声出力装置131、132の設置位置が変更された場合であっても、音声出力装置131、132から出力される音声を、受聴者320の耳元で継続して定位させることができる。
【0050】
<音響制御装置の機能構成>
次に、第1の実施形態に係る音響制御装置120の機能構成について説明する。図6は、第1の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
【0051】
図6に示すように、制御部121は、パラメータ格納部601と切替部602とを有する。パラメータ格納部601は、サンバイザ400の回転角ごとの伝達関数A~Dを格納する。切替部602は、角度センサ130から送信された回転角データに応じて、いずれの伝達関数を用いるかを切り替える。図6の例は、サンバイザ400の回転角が"0°"であったため、伝達関数をA(0)、B(0)、C(0)、D(0)に切り替えた様子を示している。切替部602は、信号処理部122が用いる伝達関数を、乗算器311~314にそれぞれ設定する。
【0052】
信号処理部122は、定位フィルタ301、302、クロストークキャンセル部310を有する。なお、図6の信号処理部122が有する定位フィルタ301、302、クロストークキャンセル部310と、図3の一般的な音響制御装置300が有する定位フィルタ301、302、クロストークキャンセル部310とは、基本的に同じ構成を有する。このため、ここでは詳細な説明は省略する。ただし、図3の一般的な音響制御装置300が有するクロストークキャンセル部310の場合、乗算器311~314には、固定値が設定されているのに対して、図6の信号処理部122が有するクロストークキャンセル部310の場合、変数値が設定される。具体的には、乗算器311~314には、制御部121から送信された伝達関数A~Dが設定される。
【0053】
<音響制御処理のフローチャート>
次に、音響制御装置120による音響制御処理の流れについて説明する。図7は、音響制御装置による音響制御処理の流れを示すフローチャートである。音響システム100の電源がONになることで、図7に示すフローチャートの実行が開始され、音響システムの電源がOFFになることで、図7に示すフローチャートの実行が終了される。
【0054】
ステップS701において、生成装置110より音声入力信号が送信されると、定位フィルタ301、302は、それぞれ、音声入力信号を取得する。
【0055】
ステップS702において、制御部121は、角度センサ130より送信された回転角データを取得し、サンバイザ400の現在の回転角を特定する。
【0056】
ステップS703において、制御部121の切替部602は、角度センサ130より送信された回転角データが変化したか否か(つまり、音声出力装置131、132の設置位置が変更されたか否か)を判定する。
【0057】
ステップS703において、回転角データが変化したと判定した場合には(ステップS703においてYesの場合には)、切替部602は、接続先を切り替え、回転角データに基づいて特定した回転角に対応する伝達関数を読み出す。また、切替部602は、読み出した伝達関数を信号処理部122に設定した後、ステップS705に進む。これにより、切替部602は、信号処理部122の各乗算器311~314に、音声出力装置131、132の設置位置の変更に応じた新たな伝達関数を設定することができる。
【0058】
一方、ステップS703において、回転角データが変化していないと判定した場合には(ステップS703においてNoの場合には)、切替部602は、接続先を切り替えることなくステップS705に進む。この場合、信号処理部122では、各乗算器311~314に既に設定されている伝達関数を用いて信号処理を行う。
【0059】
ステップS705において、信号処理部122は、各乗算器311~314に設定されている伝達関数を用いて、音声入力信号に対して信号処理を実行する。
【0060】
ステップS706において、信号処理部122は、信号処理された音声入力信号を、音声出力信号として、音声出力装置131、132に送信する。
【0061】
ステップS707において、信号処理部122は、音声入力信号に対する信号処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合には(ステップS707においてNoの場合には)、ステップS701に戻る。一方、ステップ707において、終了すると判定した場合には(ステップS707においてYesの場合には)、音響制御処理を終了する。
【0062】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る音響システム100では、
・車両の運転席に着座する受聴者の耳元に、音声を定位させる場合であって、該受聴者の耳元よりも上方に搭載されるサンバイザに、音声出力装置を設置する。
【0063】
これにより、第1の実施形態に係る音響システム100によれば、音声出力装置と受聴者の耳元との間に音声を遮る障害物が介在し、音声出力装置と受聴者の耳元との間の音声の伝達特性が変化してしまう、といった事態を回避することが可能となる。
【0064】
また、第1の実施形態に係る音響制御装置120では、
・音声出力装置を設置したサンバイザに、更に、該サンバイザの回転角を測定する角度センサを設置し、サンバイザの回転角を測定する(回転角はリアルタイムに測定してもよいし、定期的に測定してもよい)。
・回転角ごとに、音声の伝達特性を計測するとともに、計測値に基づいて算出した伝達関数を予め格納しておく。
・測定した回転角に応じた伝達関数を用いて、音声入力信号に対して信号処理を実行する。
【0065】
これにより、受聴者がサンバイザを動かすことで、音声出力装置の設置位置が変更された場合であっても、音響制御装置120によれば、設置位置に応じた伝達関数に切り替えて信号処理を行うことができる。
【0066】
この結果、本実施形態によれば、音声出力装置から出力される音声を、受聴者の耳元で継続して定位させることができるようになる。
【0067】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、2台の音声出力装置131、132をサンバイザ400の先端部分に設置するものとして説明した。しかしながら、音声出力装置の設置台数は、2台に限定されない。また、音声出力装置の設置位置は、サンバイザ400の先端部分に限定されない。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
<音響システムのシステム構成>
はじめに、第2の実施形態に係る音響システムのシステム構成について説明する。図8は、第2の実施形態に係る音響システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0069】
図8に示す第2の実施形態に係る音響システム800と、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る音響システム100との相違点は、音響システム800の場合、音響制御装置810が、制御部811、選択部812を有する点である。また、音響システム800の場合、音声出力装置131、132に加えて、音声出力装置821、822を有する点である(つまり、音響システム800の場合、複数の音声出力装置の組(計4台)を有している)。
【0070】
<音響システムの設置例>
次に、音響システム800を構成する各装置の車両140内での設置例について説明する。図9は、第2の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。図9に示すように、音声出力装置131、132は、サンバイザ400の先端部分にy軸方向に沿って設置され、音声出力装置821、822は、サンバイザ400の一方の面の中央部分に、y軸方向に沿って設置される。
【0071】
このように、第2の実施形態に係る音響システム800の場合、サンバイザ400を下した状態で、音声出力装置821、822が、運転席に着座した受聴者320と対向するように設置される。これにより、音響システム800によれば、サンバイザ400を下した状態で、音声出力装置821、822を介して音声を出力することで、より安定した状態で、受聴者320の耳元で音声を継続して定位させることができる。
【0072】
<音声出力装置の設置位置の変更について>
次に、受聴者320が運転席に着座し一定時間静止している状態で、サンバイザ400に設置された音声出力装置131、132、821、822の設置位置が変更された場合の伝達関数の変化について説明する。図10は、音声出力装置の設置位置が変更された様子を示す図である。
【0073】
このうち、状態1000aは、車両140の運転席に受聴者320が着座し一定時間静止している状態であって、サンバイザ400を下す前の状態を示している。状態1000aの場合、第2の実施形態に係る音響制御装置120では、音声出力装置131、132を介して音声を出力する。
【0074】
なお、状態1000aにおいて、音声出力装置131から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"1_hFR"であるとする。また、音声出力装置132から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"1_hFL"であるとする。また、音声出力装置131から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"1_hCR"であるとする。更に、音声出力装置132から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"1_hCL"であるとする。
【0075】
一方、状態1000bは、車両140の運転席に受聴者320が着座し一定時間静止している状態であって、サンバイザ400を下した後の状態を示している。状態1000bの場合、第2の実施形態に係る音響制御装置120では、音声出力装置821、822を介して音声を出力する。
【0076】
なお、状態1000bにおいて、音声出力装置821から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"2_hFR120"であるとする。また、音声出力装置822から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"2_hFL120"であるとする。また、音声出力装置821から受聴者320の左耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"2_hCR120"であるとする。更に、音声出力装置822から受聴者320の右耳の耳元までの音声の伝達特性を示す計測値は"2_hCL120"であるとする。
【0077】
このように、本実施形態に係る音響制御装置810では、サンバイザ400の回転角によって、音声を出力する音声出力装置を切り替える。また、サンバイザ400の回転角ごとに、切り替えられる音声出力装置からの音声の伝達特性を計測しておき、サンバイザ400の回転角に応じて、乗算器311~314に設定する伝達関数A~Dを切り替える。
【0078】
これにより、受聴者320がサンバイザ400を動かした場合であっても、音声出力装置から出力される音声を、より安定した状態のもと、受聴者320の耳元で継続して定位させることができる。
【0079】
<音響制御装置の機能構成>
次に、第2の実施形態に係る音響制御装置810の機能構成について説明する。図11は、第2の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
【0080】
図11に示すように、制御部121は、パラメータ格納部1101と切替部602とを有する。パラメータ格納部1101は、サンバイザ400の回転角ごとの伝達関数A~Dを格納する。ただし、回転角が0°から所定角未満までは、音声出力装置131、132と受聴者320との間の音声の伝達特性を示す計測値に基づいて算出された伝達関数が格納される。一方、所定角からN°までは、音声出力装置821、822と受聴者320との間の音声の伝達特性を示す計測値に基づいて算出された伝達関数が格納される。
【0081】
切替部602の構成は、上記第1の実施形態において図6を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。同様に、信号処理部122の構成は、上記第1の実施形態において、図6を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
選択部812は、角度センサ130から送信された回転角データに応じて、いずれの音声出力装置を介して音声を出力するかを切り替える。サンバイザ400の回転角が0°から所定角未満までは、信号処理部122から出力された音声出力信号を、音声出力装置131、132に送信する。一方、サンバイザ400の回転角が所定角以上となると、信号処理部122から出力された音声出力信号を、音声出力装置821、822に送信する。図10の例は、サンバイザ400の回転角が"0°"であったため、音声出力装置131、132を介して音声を出力した場合を示している。
【0083】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る音響システム100では、
・車両の運転席に着座する受聴者の耳元に音声を定位させる場合において、該受聴者の耳元よりも上方に搭載されるサンバイザの先端部分に、2組の音声出力装置のうちの一方の組の音声出力装置を設置する。また、残りの1組の音声出力装置を、当該サンバイザの一方の面の中央部分に設置する。
・回転角ごとに、音声の伝達特性を計測するとともに、計測値に基づいて算出した伝達関数を予め格納しておく。
・回転角に応じた伝達関数を用いて、音声入力信号に対して信号処理を実行する。また、信号処理を実行することで生成した音声出力信号を、測定した回転角に応じた音声出力装置に対して送信する。
【0084】
これにより、受聴者がサンバイザを動かすことで、音声出力装置の設置位置が変更された場合であっても、音響制御装置810によれば、設置位置に応じた伝達関数、設置位置に応じた音声出力装置に切り替えることができる。
【0085】
この結果、本実施形態によれば、音声出力装置から出力される音声を、より安定した状態のもと、受聴者の耳元で継続して定位させることができる。
【0086】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、音声出力装置及び角度センサをサンバイザ400に設置する場合について説明した。しかしながら、音声出力装置及び角度センサを設置する車両140内の部材は、サンバイザ400に限定されない。例えば、車両140内のルームミラーに設置してもよい。以下、第3の実施形態について、上記第1または第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0087】
<音響システムの設置例>
はじめに、音響システム100を構成する各装置の、車両140内での設置例について説明する。図12は、第3の実施形態に係る音響システムを構成する各装置の、車両内での設置例を示す図である。図12の例は、車両140のルームミラー1200に、音響システム100を構成する音声出力装置131、132、角度センサ130を設置した様子を示している。
【0088】
図12に示すように、音声出力装置131、132は、ルームミラー1200の先端部分にy軸方向に沿って設置される。具体的には、運転席側から見て、右側に音声出力装置131が設置され、左側に音声出力装置132が設置される。
【0089】
このように、第1及び第2の実施形態同様、第3の実施形態に係る音響システム100の場合も、運転席に着座する受聴者320に対して、音声出力装置131、132を、音声出力信号を定位させる受聴者320の耳元よりも上方に設置する。
【0090】
これにより、音響システム100によれば、音声出力装置131、132と、受聴者320との間に音声を遮る障害物が介在し、音声出力装置131、132と受聴者との間の音声の伝達特性が変化してしまう、といった事態を回避することができる。この結果、音響システム100によれば、音声出力装置131、132から出力される音声を、受聴者320の耳元で継続して定位させることが可能となる。
【0091】
また、図12に示すように、ルームミラー1200の回転部分には、角度センサ130が設置され、ルームミラー1200のy軸周り及びz軸周りの回転角を測定する。これにより、角度センサ130によれば、ルームミラー1200の回転角をリアルタイムに測定することができる。この結果、音響制御装置120では、ルームミラー1200の回転角(つまり、音声出力装置131、132の設置位置)が変更された場合でも、変更後の回転角をリアルタイムに測定し、変更後の回転角に応じた信号処理を行うことができる。つまり、音響システム100によれば、音声出力装置131、132から出力される音声を、受聴者320の耳元で継続して定位させることが可能となる。
【0092】
<音響制御装置の機能構成>
次に、第3の実施形態に係る音響制御装置の機能構成について説明する。図13は、第3の実施形態に係る音響制御装置の機能構成を示す図である。
【0093】
図13に示すように、第3の実施形態に係る音響制御装置1300において、制御部121は、パラメータ格納部1301と切替部602とを有する。パラメータ格納部1301は、ルームミラー1200の回転角ごとの伝達関数A~Dを格納する。なお、ルームミラー1200の場合、少なくともy軸周りとz軸周りに回転することから、パラメータ格納部1301には、y軸周りの角度及びz軸周りの角度ごとに伝達関数A~Dが格納される。
【0094】
切替部602及び信号処理部122の構成は、上記第1の実施形態において、図6を用いて説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る音響システム100では、
・車両の運転席に着座する受聴者の耳元に音声を定位させる場合において、該受聴者の耳元よりも上方に搭載されるルームミラーの先端部分に、音声出力装置を設置する。
【0096】
これにより、第3の実施形態に係る音響システム100によれば、音声出力装置と受聴者の耳元との間に音声を遮る障害物が介在し、音声出力装置と受聴者の耳元との間の音声の伝達特性が変化してしまう、といった事態を回避することが可能となる。
【0097】
また、第3の実施形態に係る音響制御装置1300では、
・y軸周り及びz軸周りの回転角ごとに、音声の伝達特性を計測するとともに、計測値に基づいて算出した伝達関数を予め格納しておく。
・測定したy軸周り及びz軸周りの回転角に応じた伝達関数を用いて、音声入力信号に対して信号処理を実行する。
【0098】
これにより、受聴者がルームミラーを動かすことで、音声出力装置の設置位置が変更された場合であっても、音響制御装置1300によれば、設置位置に応じた伝達関数に切り替えて信号処理を行うことができる。
【0099】
この結果、本実施形態によれば、音声出力装置から出力される音声を、受聴者の耳元で継続して定位させることができるようになる。
【0100】
[その他の実施形態]
上記第1乃至第3の実施形態では、音声出力装置及び角度センサを設置する車両内の所定の部材として、サンバイザとルームミラーとを挙げたが、サンバイザやルームミラー以外の可動部材に設置してもよい。
【0101】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、可動部材に角度センサを設置し、回転角ごとに、伝達関数を切り替える構成とした。しかしながら、可動部材に設置するセンサは、角度センサに限定されない。音声を定位させる部位と音声出力装置との位置関係を特定するためのデータを測定可能なセンサであれば、任意のセンサが設置可能である(例えば、撮像装置等であってもよい)。この場合、パラメータ格納部には、受聴者の特定の部位と音声出力装置との位置関係を特定するデータごとに伝達関数が格納され、切替部は、位置関係を特定するデータごとに、伝達関数を切り替えることになる。
【0102】
また、上記第3の実施形態では、角度センサ130がy軸周りの角度及びz軸周りの角度を測定するものとして説明したが、更に、x軸周りの角度を測定してもよい。この場合、x軸周りについても、回転角ごとに伝達関数を切り替えることになる。
【0103】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、音響制御装置と生成装置とを別体として構成する場合について説明した。しかしながら、音響制御装置は生成装置の一部として構成してもよい。
【0104】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、音声出力装置を可動部材(サンバイザ400またはルームミラー1200)に設置する場合について説明したが、受聴者320の耳元よりも上方であれば、可動部材に限定されず、任意の部材に設置可能である。例えば、車両140の天井部分やフロントピラー等に設置してもよい。
【0105】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、音響システムが搭載される対象の移動体を、車両140として説明したが、車両140以外の移動体(船舶、電車、航空機等)に搭載されてもよい。
【0106】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、受聴者が静止している状態の一例として、受聴者が車両140の運転席に着座している場合を挙げたが、これに限定されない。例えば、車両140の運転席以外の座席に着座している場合であってもよいし、車両140以外の移動体の運転席または運転席以外の座席に着座している場合であってもよい。また、受聴者は、着座している場合に限られず、起立している場合であってもよい。
【0107】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、音響システム100を、移動体に搭載された可動部材に設置するものとして説明したが、設置先はこれに限定されない。例えば、音響システムを、所定の範囲を移動するロボット等の可動物に設置してもよい。
【0108】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0109】
100 :音響システム
120 :音響制御装置
121 :制御部
122 :信号処理部
130 :角度センサ
131、132 :音声出力装置
301、302 :定位フィルタ
310 :クロストークキャンセル部
400 :サンバイザ
601 :パラメータ格納部
602 :切替部
301、302 :定位フィルタ
810 :音響制御装置
811 :制御部
812 :選択部
821、822 :音声出力装置
1101 :パラメータ格納部
1200 :ルームミラー
1300 :音響制御装置
1301 :パラメータ格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13