(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/00 300S
(21)【出願番号】P 2021038800
(22)【出願日】2021-03-11
(62)【分割の表示】P 2020155924の分割
【原出願日】2015-10-19
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2014239692
(32)【優先日】2014-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣重 陽
(72)【発明者】
【氏名】松下 航
(72)【発明者】
【氏名】三宅 信之
(72)【発明者】
【氏名】手塚 英剛
(72)【発明者】
【氏名】細木 哲
(72)【発明者】
【氏名】儀同 智紀
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-254971(JP,A)
【文献】特開2013-099663(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015266(WO,A1)
【文献】特開2005-124618(JP,A)
【文献】国際公開第2013/081041(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置であって、
前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する
自立モードで撮影された放射線画像と、前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段と
を備え、
前記表示手段は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報は
、撮影された放射線画像に対応する番号に基づく情報である請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報は
、撮影ごとにインクリメントされる情報である請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報は
、撮影された放射線画像の撮影日時の情報である請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記受信した放射線画像と前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報を同一画面上に表示する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記表示手段に表示する放射線画像はサムネイル画像であり、
前記サムネイル画像の近傍に、前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する
前記情報を表示する請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記表示手段は、同一患者の前記放射線画像をグルーピングして表示する請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記放射線画像撮影装置の撮影モードが、
前記自立モードに切り替わったこと
を通知する請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御方法であって、
制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する
自立モードで撮影された放射線画像と、前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した放射線画像と前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示工程と
を備え、
前記表示工程は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置に以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する
自立モードで撮影された放射線画像と、前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信し、
前記受信した放射線画像と前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示
し、
前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示する、
プログラム。
【請求項11】
放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置と、
前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する
自立モードを有する前記放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムにおける情報携帯端末であって、
前記情報携帯端末は、
前記放射線画像撮影装置より撮影された放射線画像と、前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記
自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段と
を備え、
前記表示手段は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示する、
ことを特徴とする情報携帯端末。
【請求項12】
前記情報携帯端末は、前記放射線画像の撮影モードを、
前記自立モードに切り替える請求項11に記載の情報携帯端末。
【請求項13】
放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置と、前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する撮影モードを有する前記放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムにおける情報携帯端末であって、
前記情報携帯端末は、
前記撮影モードで撮影された放射線画像と、前記撮影モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段と、
を備え、
前記放射線画像の撮影モードを、前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する撮影モードに切り替えることを特徴とする情報携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末に係り、特に、放射線撮影に用いられる制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線検出素子を二次元状に配列し、放射線照射装置から照射され被写体を透過した放射線に応じて放射線検出素子内で発生した電荷を画像データとして読み取る放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)が種々開発されており、病院等の施設で撮影に用
いられている。また、近年、放射線検出素子等が形成されたセンサーパネル等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている。
【0003】
従来、このような可搬型の放射線画像撮影装置は、コンピューター等で構成されるコンソールによる撮影制御の下で動作を行うように構成されていた。すなわち、コンソールは、放射線画像撮影装置を起動させたり、放射線画像撮影装置の電力消費状態(いわゆる省電力状態(sleep状態等ともいう。)や撮影可能状態(wake up状態等ともいう。))を切り替えたり、放射線画像撮影装置から画像データ等を撮影ごとに転送させたり、或いは、生成した放射線画像と、その放射線画像の撮影に対する指示内容が記載された撮影オーダー情報との対応付け(紐付け等ともいう。)等の各処理を行うように構成される(例えば特許文献1等参照)。
【0004】
なお、この場合の放射線画像撮影装置の撮影モードを、放射線画像撮影装置が外部のコンソールによる制御を受けるという意味で、以下、被制御モードという。すなわち、被制御モードという場合、放射線画像撮影装置がコンソールによる撮影制御の下で動作を行う従来の通常の撮影モードを表している。
【0005】
一方、近年、例えば特許文献2に記載されているように、コンソールによる制御を受けない状態で放射線画像撮影装置を用いて撮影を行い、撮影された画像データは放射線画像撮影装置内の記憶手段に記憶しておくタイプの放射線画像撮影装置が知られている。そして、特許文献2では、撮影された画像データを放射線画像撮影装置からコンソール(特許文献2ではコントローラ)にダウンロードする際には、放射線画像撮影装置にケーブルを接続したり、或いは放射線画像撮影装置から記憶手段を取り外してコンソールに接続することでダウンロードを行うことも記載されている。
【0006】
なお、この場合の放射線画像撮影装置の撮影モードを、放射線画像撮影装置がコンソールによる制御を受けずに、いわば自立した状態で撮影を行うという意味で、以下、自立モードという。すなわち、自立モードという場合、放射線画像撮影装置がコンソールによる撮影制御を受けずに撮影を行い、撮影された画像データを放射線画像撮影装置内に保存する撮影モードを表している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2011/142157号パンフレット
【文献】特開2010-137059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、被制御モードの放射線画像撮影装置の場合、通常、コンソールから放射線画像撮影装置にこれから行う各撮影に関する撮影オーダー情報等の情報が転送され、放射線画像撮影装置は、それらの情報に従って順番に撮影を行うように制御される。そして、撮影した順番に放射線画像撮影装置からコンソールに画像データが転送される。そのため、上記のようにコンソールが送信されてきた画像データ等に基づいて生成した放射線画像と撮影オーダー情報とを対応付ける際、例えば放射線画像を当該放射線画像の撮影を指示した撮影オーダー情報ではない撮影オーダー情報に対応付けてしまう等の事態が生じることなく、放射線画像と撮影オーダー情報とを的確に対応付けることができるようになっている。
【0009】
しかしながら、例えば、放射線技師等の操作者が撮影オーダー情報にはない追加の撮影を行うと、それ以降の撮影において、生成された放射線画像の順番と撮影オーダー情報の順番とが1つずつずれてしまい、コンソールが放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けを的確に行うことができなくなってしまうという問題が生じる。そのため、被制御モードの放射線画像撮影装置を用いて撮影を行う場合には、撮影オーダー情報で指示されていない追加の撮影等を行うことができなかった。
【0010】
また、追加の撮影等を行うことができるように構成するには、例えば、コンソールに、その撮影に対応する撮影オーダー情報を新たに作成してコンソールに取り込ませる等の作業を行った上で追加の撮影等を行うように構成することが可能であるが、放射線技師等の操作者にとってはその作業が面倒なものとなる。
【0011】
一方、自立モードの放射線画像撮影装置を用いれば、放射線技師等の操作者はコンソールによる制御や撮影オーダー情報による制約等を受けずに自由に撮影を行うことができるため、上記のような追加の撮影等を自らの判断で自由に行うことが可能となる。そのため、自立モードの放射線画像撮影装置は、少なくともこの点において、放射線技師等の操作者にとって使い勝手が良いものとなる。
【0012】
しかしながら、自立モードの放射線画像撮影装置では、上記のように撮影オーダー情報等による制約を受けずに自由に撮影を行うことができるが、そのために、撮影された画像データ等に基づいて生成された放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けを、放射線技師等の医療従事者がコンソール上で自ら行わなくてはならなくなる。そのため、自立モードの放射線画像撮影装置は、少なくともこの点で放射線技師等の医療従事者にとって使い勝手が悪いものとなる。
【0013】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影をより使い勝手良く行い得る制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の問題を解決するために、本発明は、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置であって、
前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する自立モードで撮影された放射線画像と、前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御方法であって、
制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する自立モードで撮影された放射線画像と、前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した放射線画像と前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示工程とを備え、
前記表示工程は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示することを特徴とする。
また、本発明は、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置に以下の処理を実行させるプログラムであって、
前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに前記放射線画像を撮影する自立モードで撮影された放射線画像と、前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信し、
前記受信した放射線画像と前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示し、
前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示する。
また、本発明は、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置と、前記制御装置による制御を受けて前記放射線画像を撮影する被制御モードまたは前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する自立モードを有する前記放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムにおける情報携帯端末であって、
前記情報携帯端末は、
前記放射線画像撮影装置より撮影された放射線画像と、前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記自立モードで撮影された放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、前記自立モードで撮影された放射線画像を表示する場合は前記情報を表示し、前記被制御モードで撮影された放射線画像を表示する場合は、前記情報とは異なる情報を表示することを特徴とする。
また、本発明は、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影を制御する制御装置と、前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する撮影モードを有する前記放射線画像撮影装置を備える放射線画像撮影システムにおける情報携帯端末であって、
前記情報携帯端末は、
前記撮影モードで撮影された放射線画像と、前記撮影モードで撮影された放射線画像に対応する情報とを、前記放射線画像撮影装置より受信する受信手段と、
前記受信した放射線画像と前記放射線画像に対応する前記情報とを表示する表示手段と、
を備え、
前記放射線画像の撮影モードを、前記制御装置による制御を受けずに放射線画像を撮影する撮影モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のような制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末によれば、放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影をより使い勝手良く行い得る制御装置、制御方法、プログラム及び情報携帯端末を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【
図3】放射線画像撮影システムが撮影室に構築されている場合の構成例を示す図である。
【
図4】放射線画像撮影装置がクレードルに挿入され、コネクター同士が接続された状態を表す断面図である。
【
図5A】放射線照射装置の曝射スイッチを表す図である。
【
図5B】曝射スイッチのボタンを半押しした状態を表す図である。
【
図5C】曝射スイッチのボタンを全押しした状態を表す図である。
【
図6】放射線画像撮影装置と放射線照射装置とが連携して撮影を行う場合に各走査線にオン電圧を印加するタイミング等を説明するタイミングチャートである。
【
図7】
図6に示した処理シーケンスが繰り返されてオフセットデータの読み出し処理が行われることを表すタイミングチャートである。
【
図8】放射線画像撮影システムが回診車上に構築されている場合の構成例等を示す図である。
【
図10】ケーブルの先端に取り付けられたコネクターと放射線画像撮影装置のコネクターとが接続された状態を表す図である。
【
図11】放射線画像撮影装置の撮影モードが自立モードである場合の構成例Aにおける各処理を表すフローチャートである。
【
図12】放射線画像撮影装置の撮影モードが自立モードである場合の構成例Bにおける各処理を表すフローチャートである。
【
図13】表示部上に放射線画像のサムネイル画像とその近傍にIDを表示した状態を表す図である。
【
図14】同一の患者に対応する放射線画像をグルーピングして表示した状態等を表す図である。
【
図15】放射線画像撮影装置の位置と各アクセスポイントとの間の電波強度との関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、照射された放射線をシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換して放射線検出素子で画像データを得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することも可能である。
【0020】
[放射線画像撮影装置]
本実施形態に係る放射線画像撮影装置の基本的な構成等について説明する。
図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【0021】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、後述する放射線検出素子7等が筐体2内に収納されて構成されており、筐体2の一方の側面には、電源スイッチ25や切替スイッチ26、前述したコネクター27、インジケーター28等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の例えば反対側の側面等に、後述するコンソール58等と無線方式で通信を行うためのアンテナ29(後述する
図2参照)が設けられている。なお、放射線画像撮影装置1は、外部と無線方式で通信を行う場合にはアンテナ29を用い、外部と有線方式で通信を行う場合にはコネクター27に図示しないケーブル等を接続させて通信するようになっている。
【0022】
図2は、放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
図2に示すように、放射線画像撮影装置1には、図示しないセンサー基板上に複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されている。各放射線検出素子7は、照射された放射線の線量に応じた電荷を発生させるようになっている。各放射線検出素子7には、バイアス線9が接続されており、バイアス線9は結線10に接続されている。そして、結線10はバイアス電源14に接続されており、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各放射線検出素子7に逆バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0023】
各放射線検出素子7には、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8がスイッチ素子として接続されており、TFT8は信号線6に接続されている。また、走査駆動手段15では、配線15cを介して電源回路15aから供給されたオン電圧とオフ電圧がゲートドライバー15bで切り替えられて走査線5の各ラインL1~Lxに印加されるようになっている。そして、各TFT8は、走査線5を介してオン電圧が印加されるとオン状態になって、放射線検出素子7内に蓄積された電荷を信号線6に放出させ、また、走査線5を介してオフ電圧が印加されるとオフ状態になって、放射線検出素子7と信号線6との導通を遮断して、放射線検出素子7内で発生した電荷を放射線検出素子7内に蓄積させるようになっている。
【0024】
読み出しIC16内には複数の読み出し回路17が設けられており、読み出し回路17にはそれぞれ信号線6が接続されている。そして、画像データDの生成処理の際には、放射線検出素子7から電荷が放出されると、電荷は信号線6を介して読み出し回路17に流れ込み、増幅回路18では流れ込んだ電荷の量に応じた電圧値が出力される。そして、相関二重サンプリング回路(
図2では「CDS」と記載されている。)19は、増幅回路18から出力された電圧値をアナログ値の画像データDとして読み出して下流側に出力する。そして、出力された画像データDはアナログマルチプレクサー21を介してA/D変換器20に順次送信され、A/D変換器20でデジタル値の画像データDに順次変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0025】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されており、また、アンテナ29やコネクター27を介して外部と無線方式や有線方式で通信を行う通信部30が接続されている。
【0026】
また、制御手段22には、走査駆動手段15や読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に必要な電力を供給するバッテリー24等が接続されている。そして、制御手段22は、画像データDの生成処理の際には、上記のように走査駆動手段15や読み出し回路17等の動作を制御して、各放射線検出素子7から電荷を読み出して画像データDを生成するように制御するようになっている。
【0027】
なお、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、撮影台51に装填して撮影に用いることも可能であるが、図示を省略するが、撮影台51に装填せずに、いわば単独の状態で、例えば被写体である患者の身体にあてがったり、或いは例えば患者とベッドとの間に挿入する等して撮影に用いることもできるようになっている。
【0028】
[放射線画像撮影システム]
本実施形態に係る放射線画像撮影装置のより詳細な構成等について説明する前に、放射線画像撮影装置1を備える放射線画像撮影システムの構成例について説明する。
図3は、放射線画像撮影システム50が撮影室R1に構築されている場合の構成例を示す図である。
【0029】
撮影室R1には、撮影台51が設置されており、撮影台51は、そのカセッテホルダー51aに上記の放射線画像撮影装置1を装填することができるようになっている。なお、
図3では、撮影台51として、立位撮影用の撮影台51Aと臥位撮影用の撮影台51Bが設置されている場合が示されているが、一方の撮影台51のみが設けられていてもよい。また、
図3に示すように、撮影室R1には、被写体を介して撮影台51に装填された放射線画像撮影装置1に放射線を照射する放射線照射装置57の放射線源52Aが少なくとも1つ設けられている。
【0030】
また、撮影室R1には、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するための、アクセスポイント53を備えた中継器54が設けられている。また、中継器54は、放射線照射装置57やコンソール58等と接続されている。そして、中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線照射装置57に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線照射装置57用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0031】
撮影室R1には、クレードル55が設けられている。なお、クレードル55を後述する前室R2に配置することも可能である。そして、
図4に示すように、放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されて、放射線画像撮影装置1のコネクター27(
図1参照)とクレードル55のコネクター55aとが接続されると、クレードル55から放射線画像撮影装置1のバッテリー24(
図2参照)に電力が供給されて、バッテリー24の充電を行うことができるようになっている。
【0032】
また、
図3に示したように、中継器54とクレードル55とを接続し、
図4に示したように、撮影室R1に持ち込まれた放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されると、放射線画像撮影装置1の識別情報であるカセッテID等が中継器54を介してコンソール58に通知されるように構成し、コンソール58で撮影室R1内に存在する放射線画像撮影装置1を管理するように構成することも可能である。
【0033】
一方、前室(操作室等ともいう。)R2には、放射線照射装置57の操作卓が設けられており、操作卓には、
図5Aに示すような曝射スイッチ56が設けられている。そして、放射線技師等の操作者が、
図5Bに示すように曝射スイッチ56のボタン56aに対して1段目の操作(すなわちいわゆる半押し操作)を行うと、放射線照射装置57は放射線源52を起動させる。そして、
図5Cに示すように、操作者が曝射スイッチ56のボタン56aに対して2段目の操作(すなわちいわゆる全押し操作)を行うと、放射線照射装置57は、放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
【0034】
具体的には、操作者が曝射スイッチ56を全押しすると、放射線照射装置57は放射線画像撮影装置1に照射開始信号を送信する。この時点で、放射線画像撮影装置1は、撮影の前処理として、走査駆動手段15のゲートドライバー15b(
図2参照)から走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加させて放射線検出素子7のリセット処理を行っているが、放射線照射装置57からの照射開始信号を受信すると、
図6に示すようにリセット処理を停止する。
【0035】
そして、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオフ電圧を印加させて全てのTFT8をオフ状態にして、放射線の照射により発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させる電荷蓄積状態に移行させるとともに、放射線照射装置57にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線照射装置57はインターロック解除信号を受信した時点で放射線源52から放射線を照射させるように構成される。
【0036】
なお、
図6の斜線の部分は放射線が照射されている期間を表す。また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線の照射が終了すると、ゲートドライバー15bから走査線5の各ラインL1~Lxにオン電圧を順次印加させ、各放射線検出素子7から電荷を読み出して画像データDの生成処理を行うように構成される。
【0037】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影の前または後に、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されない状態で、
図7に示すように、
図6に示した電圧印加のシーケンスと同じシーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理を行うように構成される。このオフセットデータOは、上記のようにして生成された画像データDに重畳されている、暗電荷(暗電流等ともいう。)に起因するオフセット分に相当するデータであり、後の画像補正処理において、放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算することで、放射線の照射により発生した電荷のみに起因する真の画像データD*(すなわちD*=D-O)を得ることができる。
【0038】
図3に示すように、前室R2には、コンピューター等で構成されたコンソール58が設けられている。また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、図示しないマウスやキーボード等の入力手段を備えている。また、コンソール58には、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続され、或いは内蔵されている。
【0039】
また、図示を省略するが、コンソール58は、LAN等のネットワーク等を介して、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)、PACS(Picture Archiving and Communication System)等の外部システムと接続されている。
【0040】
なお、
図3では、撮影室R1とコンソール58とが1:1に対応付けられている場合が示されているが、この他にも、病院等の施設によっては、図示を省略するが、例えば複数の撮影室が単数または複数のコンソールとネットワーク等を介して接続されるように構成される場合もある。
【0041】
一方、放射線画像撮影システム50は、
図3に示したように撮影室に構成されるだけでなく、例えば
図8に示すように、回診車60上に構築される場合もある。そして、この場合、
図8に示すように、例えば、放射線画像撮影装置1を回診車60等ともに病室R3や患者の自宅等に持ち込み、放射線画像撮影装置1をベッドBや布団等と患者Hの身体との間に差し込んだり患者Hの身体にあてがったりして用いることができる。
【0042】
そして、回診車60に搭載された放射線照射装置57の放射線源52Pから被写体である患者Hの身体に放射線が照射され、被写体を介して放射線画像撮影装置1に放射線が照射される。また、回診車60には、ノートパソコン等で構成されるコンソール58が搭載される場合もあるが、後述するように搭載されない場合もある。なお、
図8では図示を省略したが、回診車60には、
図3に示したアクセスポイント53や中継器54等も適宜搭載されるように構成される。
【0043】
なお、
図3に示した撮影室R1で撮影を行う場合も同様であるが、例えば
図8に示すように、放射線技師等の操作者Eに表示部71を有する情報携帯端末70を携帯させ、操作者Eが情報携帯端末70の表示部71上で画像の確認等を行うことができるように構成することも可能である。この点については後で説明する。
【0044】
また、前述したように、撮影室R1で撮影を行うような場合は、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57との間で照射開始信号やインターロック解除信号のやり取りを行うなど、通常、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57とが連携して撮影を行うように構成される。しかし、回診車60で放射線照射装置57等を搬送するような場合は、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57とが連携して撮影を行うように構成できない(或いは構成しない)場合もあり得る。そして、そのような場合には、上記のように操作者が放射線照射装置57の曝射スイッチ56を全押しすると、通常、放射線照射装置57から即座に放射線が照射されるように構成される。
【0045】
そして、このような場合、放射線画像撮影装置1は、上記のように、放射線の照射により発生した電荷を各放射線検出素子7内に蓄積させるために、放射線の照射が開始された時点で全てのTFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させなければならない。そのため、放射線の照射が開始されたことを放射線画像撮影装置1自体で検出することができるように構成されることが多い。或いは、放射線の照射が開始される前から前述した画像データDの生成処理を繰り返し行い、各フレームごとに生成された画像データを加算して放射線検出素子7ごとの画像データを復元するように構成される場合もある。
【0046】
なお、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出する具体的な方法としては、例えば特開2009-219538号公報や国際公開第2011/135917号、国際公開第2011/152093号等に記載された方法を用いたり、或いは、公知の各種の方法を用いることも可能であり、特定の方法に限定されない。
【0047】
また、上記のように放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57とが連携しているか否かと、下記の放射線画像撮影装置1における被制御モードや自立モードとは、直接的には関係がない。すなわち、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57とが連携している場合であっても連携していない場合であっても、放射線画像撮影装置1がコンソール58の制御を受けて撮影を行う場合には放射線画像撮影装置1の撮影モードは被制御モードであり、放射線画像撮影装置1がコンソール58の制御を受けずにいわば自立して撮影を行う場合には放射線画像撮影装置1の撮影モードは自立モードである。
【0048】
[放射線画像撮影装置における被制御モードおよび自立モードについて]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1における被制御モードおよび自立モードについて説明するとともに、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の特有の構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
【0049】
前述したように、放射線画像撮影装置1は、従来から、コンソール58(
図3等参照)による制御の下で動作を行うように構成されていた。そして、このように、コンソール58による制御を受ける場合の放射線画像撮影装置1の撮影モードを、本発明では被制御モードという。
【0050】
そして、この被制御モードでは、放射線画像撮影装置1の制御手段22(
図2参照)は、例えばコンソール58から撮影開始を指示する信号が送信されてくると、走査駆動手段15等の各機能部に初期動作を行わせたり、各放射線検出素子7内に残存している電荷を除去する放射線検出素子7のリセット処理を開始する等の撮影に向けての前処理を開始する。なお、撮影開始を指示する時点で、コンソール58から、これから行われる撮影に関する撮影オーダー情報が送信されるように構成される場合も少なくない。
【0051】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えばコンソール58から覚醒信号が送信されてくると、電力消費状態を省電力状態から撮影可能状態に遷移させて、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加させたり、例えば上記のように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出する場合には照射開始の検出処理を開始する。
【0052】
さらに、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにして画像データDの生成処理(
図6参照)やオフセットデータOの読み出し処理を行うと、画像データDやオフセットデータO等をただちにコンソール58に転送するように構成される。なお、その際、よく知られているように、画像データD等の転送に先立って、コンソール58の表示部58a上に確認用のプレビュー画像を表示させるために、画像データDの一部を抽出したり画像データDを不可逆圧縮する等してコンソール58に転送するように構成される場合もある。
【0053】
そして、次の撮影があれば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、次の撮影に向けて放射線検出素子7のリセット処理等の前処理を再開し、また、次の撮影がなければ、自動的に或いはコンソール58からの指示に従って、電力消費状態を撮影可能状態から省電力状態に遷移させる等の処理を行うように構成される。
【0054】
このように、被制御モードにおいては、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール58による制御の下で、自らの処理を行うとともに、走査駆動手段15や読み出し回路17等の各機能部に的確に動作を行わせるように制御するように構成される。
【0055】
なお、撮影オーダー情報とは、撮影に関して、対象となる患者や撮影部位、撮影方向等を指示する情報であり、例えば
図9に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6、および撮影条件としての「撮影部位」P7、「撮影方向」P8、「体位」P9等で構成される。そして、各撮影オーダー情報に対して例えば受付順に「撮影オーダーID」P1が自動的に割り当てられる。そして、コンソール58は、放射線技師等の操作者による所定の操作が行われると、HISやRISから撮影オーダー情報を入手するように構成される。
【0056】
一方、前述したように、放射線画像撮影装置1がコンソール58による制御を受けず、いわば自立した状態で撮影を行うように構成することも可能である。そして、このような場合、放射線画像撮影装置1はコンソール58と通信を行わない状態であることが多いため、撮影された画像データDは放射線画像撮影装置1内すなわち記憶手段23(
図2参照)に保存される状態になることが多い。このように、コンソール58による制御を受けない場合の放射線画像撮影装置1の撮影モードを、本発明では自立モードという。
【0057】
そして、この自立モードでは、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば放射線技師等の操作者により電源スイッチ25(
図1参照)が操作される等して電源がオンされると、走査駆動手段15等の各機能部に初期動作を行わせたり、各放射線検出素子7内に残存している電荷を除去する放射線検出素子7のリセット処理を開始する等の撮影に向けての前処理を開始する。なお、自立モードでは、上記のように放射線画像撮影装置1とコンソール58との間で通信は行われないため、放射線画像撮影装置1は、これから行われる撮影に関する撮影オーダー情報を事前に入手することはない。放射線技師等の操作者が入力するように構成することも可能である。
【0058】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば放射線技師等の操作者により切替スイッチ26(
図1参照)が操作される等すると、電力消費状態を省電力状態から撮影可能状態に遷移させて、バイアス電源14からバイアス線9等を介して各放射線検出素子7に逆バイアス電圧を印加させたり、例えば上記のように放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出する場合には照射開始の検出処理を開始する。
【0059】
さらに、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のように、生成した画像データD等は記憶手段23に保存しておき、後で、無線方式や有線方式でコンソール58と接続された時点で、コンソール58に画像データDを転送するように構成される。
【0060】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影が終了し、画像データDの生成処理(
図6参照)を終えると、放射線検出素子7のリセット処理を行って次の撮影に向けての準備を行ったり、或いは放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出するように構成されている場合は放射線の照射開始の検出処理を行う。
【0061】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、画像データDの生成処理を終えた後、例えば放射線技師等の操作者により切替スイッチ26が操作されれば、電力消費状態を撮影可能状態から省電力状態に遷移させる。また、画像データDの生成処理が終了してから所定時間が経過しても次の撮影が行われない場合(すなわち放射線照射装置57からの照射開始信号の送信がない場合、或いは放射線の照射開始の検出処理を行っても放射線の照射開始が検出されない場合)には、自動的に電力消費状態を撮影可能状態から省電力状態に遷移させるように構成される場合もある。
【0062】
このように、自立モードにおいては、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール58による撮影制御を受けずに、自らの処理を行い、走査駆動手段15や読み出し回路17等の各機能部に的確に動作を行わせるように制御するとともに、生成した画像データD等を記憶手段23に保存していくように構成される。
【0063】
[被制御モードと自立モードのメリットと問題点について]
【0064】
そして、被制御モードの場合には、上記のようにコンソール58による撮影制御が撮影オーダー情報に基づいて行われ、撮影された画像データD等に基づいて生成された放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けが、コンソール58により自動的に行われるため、放射線技師等の医療従事者は、コンソール58による対応付けが的確に行われていることを確認して確定処理を行うだけでよく、少なくとも放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となるといったメリットがある。
【0065】
しかし、上記のようにコンソール58による撮影制御が撮影オーダー情報に基づいて行われるため、前述したように、例えば、放射線技師等の操作者が撮影オーダー情報にはない追加の撮影を行うと、それ以降の撮影において、生成された放射線画像の順番と撮影オーダー情報の順番とが1つずつずれてしまい、コンソールが放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けを的確に行うことができなくなるという問題がある。
【0066】
また、放射線技師等の操作者が、撮影がうまくいかなかった可能性があるとして予備的に再撮影を行うと、この場合も、それ以降の撮影において、生成された放射線画像の順番と撮影オーダー情報の順番とが1つずつずれてしまうという上記と同様の問題が生じる。そのため、被制御モードでは、基本的に、上記のような追加の撮影や予備的な再撮影を行うことができないという問題があり、追加の撮影等を行う場合には撮影オーダー情報を新たに作成してコンソールに取り込ませる等の面倒な作業が必要になるという問題があった。
【0067】
なお、被制御モードにおいて、放射線技師等の操作者がコンソール58上で一の撮影オーダー情報に関して行った先の撮影を取り消したり無効にする処理をした上で再撮影を行う場合には、上記の問題は生じない。すなわち、このようにコンソール58上で先の撮影を取り消す等の処理を行わずに予備的に再撮影を行う場合に、上記のような問題が生じ得る。
【0068】
一方、自立モードの場合には、放射線技師等の操作者がコンソール58による制御や撮影オーダー情報による制約等を受けずに自由に撮影を行うことが可能となるといったメリットがある。そのため、撮影予定にない追加の撮影や、撮影が的確に行われなかった可能性がある場合に予備的に再撮影を行っておくこと等を、操作者が自らの判断で適宜行うことが可能となる。
【0069】
しかし、その反面、コンソール58が、撮影された画像データD等に基づいて生成された放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けを行わないため、放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けという面倒な作業を、放射線技師等の医療従事者が自ら行わなくてはならなくなるという問題があった。
【0070】
[本発明に特有の構成について]
そこで、本発明では、放射線画像撮影装置1は、撮影モードを、被制御モードと自立モードとの間で切り替えることができるようになっている。そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、被制御モードと自立モードとの間で撮影モードが切り替わると、自らの処理の仕方を、切り替え後の撮影モードにおける処理の仕方に切り替えるように構成されている。
【0071】
すなわち、制御手段22は、切り替え後の撮影モードが被制御モードであれば、自らの処理の仕方を、上記のようにコンソール58による撮影制御に従って処理を行うように切り替える。また、切り替え後の撮影モードが自立モードであれば、自らの処理の仕方を、上記のようにコンソール58による撮影制御を受けずに自立した処理を行うように切り替えるようになっている。
【0072】
このように構成すると、例えば、放射線画像撮影装置1の撮影モードが被制御モードの状態で撮影を行っている際に、放射線技師等の操作者が、撮影オーダー情報にはない追加の撮影等を行いたい場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えることで、追加の撮影等を適切に行うことが可能となる。
【0073】
また、例えば、撮影室R1(
図3参照)等の設備が整った場所では、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードに切り替えて、コンソール58の制御の下で撮影を順次適切に行い、一方で、放射線画像撮影装置1と回診車60を病室R3(
図8参照)や患者の自宅等に持ち込んで撮影を行う際には、コンソール58を持ち込まずに、放射線画像撮影装置1を撮影モードを自立モードに切り替えて撮影を行うことで、撮影室R1に来ることができず体の自由がきかない患者等に対して、放射線技師等の操作者が、撮影部位の撮影順等を、状況に応じて適切かつ自由に変えながら撮影を行うことが可能となる。
【0074】
そのため、放射線画像撮影装置1が、放射線技師等の操作者にとって使い勝手がよいものとなるとともに、放射線画像撮影装置1に、被制御モードと自立モードの各撮影モードにおけるそれぞれの利点を有効に発揮させて、撮影を的確に行わせることが可能となる。
【0075】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1の撮影モードを、外部のコンソール58による制御を受ける被制御モードと、コンソール58による制御を受けずに自立して撮影を行う自立モードとの間で切り替えることができるように構成されており、被制御モードと自立モードとの間で撮影モードが切り替わった場合に、制御手段22は、自らの処理の仕方を、切り替え後の撮影モードにおける処理の仕方に切り替えるように構成した。
【0076】
そのため、放射線画像撮影装置1が、放射線技師等の操作者にとって使い勝手がよいものとなるとともに、放射線画像撮影装置1に、被制御モードと自立モードの各撮影モードにおけるそれぞれの利点を有効に発揮させて、撮影を的確に行わせることが可能となる。
【0077】
[撮影モードの切り替え方について]
[自動切り替えの場合]
なお、放射線画像撮影装置1の撮影モードは、放射線画像撮影装置1の制御手段22が自動的に切り替えるように構成することも可能であり、放射線技師等の操作者が手動で行うように構成することも可能である。そして、放射線画像撮影装置1の撮影モードを制御手段22が自動的に切り替えるように構成する場合、制御手段22は、撮影モードを、放射線画像撮影装置が使用される状況に適した撮影モードに自動的に切り替えるように構成することが可能である。以下、まず、放射線画像撮影装置1の制御手段22が自動的に切り替える場合について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0078】
なお、放射線画像撮影装置1のデフォルト(初期設定)の状態での撮影モードを、自立モードに設定するか被制御モードに設定するかは、ユーザー(病院等の施設或いは放射線技師等の操作者等)が任意に設定することが可能である。また、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードを、自立モードと被制御モードのいずれのモードにも設定しないように構成することも可能である。
【0079】
[自動切り替えの例1]
例えば、放射線画像撮影装置1を撮影室R1で使用する際には、放射線画像撮影装置1をコンソール58による制御の下で撮影を行った方が、撮影をスムーズに行うことができ、放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けをコンソール58が行ってくれる方が放射線技師等の操作者にとっては楽である。そのため、例えば、放射線画像撮影装置1を撮影室R1で使用する場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自動的に自立モードから被制御モードに切り替わると操作者にとっても都合が良い。
【0080】
そこで、放射線画像撮影装置1が撮影室R1での撮影に使用される際には、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードである場合には、撮影モードを自動的に自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。なお、この[自動切り替えの例1]の場合、放射線画像撮影装置1の撮影モードがすでに被制御モードである場合には、撮影モードは被制御モードのままとされる。
【0081】
この場合、放射線画像撮影装置1が撮影室R1で使用される際、ほとんどの場合は、放射線画像撮影装置1は前述した撮影台51(
図3参照)のカセッテホルダー51aに装填されて使用される。その際、図示を省略するが、カセッテホルダー51a内に配置されているコネクターと放射線画像撮影装置1のコネクター27(
図1参照)とが接続された状態で装填される。
【0082】
また、放射線画像撮影装置1が撮影室R1で使用される際、例えば臥位撮影用の撮影台51Bのカセッテホルダー51aに装填されるのではなく、天板上に放射線画像撮影装置1を載置し、その上に被写体である患者の身体を載せるようにして撮影が行われるケースもある。そして、その場合、例えば
図10に示すように、撮影台51のケーブル51cの先端に取り付けられたコネクター51bと放射線画像撮影装置1のコネクター27とが接続された状態で使用される場合がある。
【0083】
さらに、
図3や
図4に示したように、撮影室R1内に持ち込まれた放射線画像撮影装置1をクレードル55に挿入するように構成される場合もあり、この場合には、挿入された放射線画像撮影装置1のコネクター27とクレードル55のコネクター55aとが接続される。
【0084】
このように、放射線画像撮影装置1が撮影室R1で使用される際には、放射線画像撮影装置1のコネクター27と、撮影台51のカセッテホルダー51a内のコネクターや撮影台51に設けられたケーブル51cのコネクター51b、或いはクレードル55のコネクター55a等のコネクターとが接続される場合が多い。
【0085】
そこで、例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影室R1内に存在する、コネクターを有する各機器の識別情報を予めメモリーやプログラム中に有しておき、放射線画像撮影装置1のコネクター27に他のコネクターが接続された際、接続された当該他のコネクターを介して送信されてくる相手側の機器の識別情報が予め有している各機器の識別情報中に存在するか否かを判断し、存在する場合には、放射線画像撮影装置1が撮影室R1内で使用されると判断して、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0086】
このようにして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1のコネクター27と、撮影室R1内に存在するコネクター(すなわち撮影台51のカセッテホルダー51a内のコネクターや撮影台51のケーブル51cのコネクター51b、クレードル55のコネクター55a等)とが接続されると、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0087】
また、例えば、撮影台51が、従来のCR(computed radiography)カセッテを装填するタイプのものである場合には、撮影台51のカセッテホルダー51a内にコネクターが設けられていないことが多い。そのような場合、撮影台51のケーブル51cのコネクター51bを放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続し、ケーブル51cを介して有線方式で通信可能な状態で放射線画像撮影装置1を撮影台51のカセッテホルダー51aに装填するように構成することも可能であるが、放射線画像撮影装置1にケーブル51cを接続せず、撮影台51のカセッテホルダー51aに装填された放射線画像撮影装置1がアンテナ29(
図2参照)を介して外部と無線通信を行うように構成される場合がある。
【0088】
また、上記のように、放射線画像撮影装置1を、臥位撮影用の撮影台51Bの天板上に載置して使用する場合も、放射線画像撮影装置1にケーブル51cを接続せず、天板上に載置された放射線画像撮影装置1からアンテナ29を介して外部と無線通信を行うように構成される場合もある。
【0089】
そこで、例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影室R1内に存在するアクセスポイント53(
図3参照)と無線通信を行う際のSSID(Service Set Identifier)等の識別情報を予めメモリーやプログラム中に有しておき、放射線画像撮影装置1のアンテナ29とアクセスポイント53との無線通信が確立された際に、送信されてくる相手側のSSID等の識別情報が予め有している識別情報中に存在するか否かを判断し、存在する場合には、放射線画像撮影装置1が撮影室R1内で使用されると判断して、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0090】
このようにして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1のアンテナ29と、撮影室R1内に存在するアクセスポイント53との無線通信が確立されると、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。なお、撮影室R1内に複数のアクセスポイント53が設置されている場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、予め撮影室R1内の全てのアクセスポイント53について各識別情報を有しておき、そのうちのいずれかのアクセスポイント53との無線通信が確立された場合に撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0091】
上記のように、撮影室R1内に存在する撮影台51やケーブル51c、クレードル55等のコネクターと放射線画像撮影装置1のコネクター27とが接続された場合や、撮影室R1内に設置されたアクセスポイント53と放射線画像撮影装置1のアンテナ29との無線通信が確立された場合に、撮影モードを切り替えることで、例えばデフォルトの状態で自立モードに設定されている放射線画像撮影装置1の撮影モードを、放射線画像撮影装置1が撮影室R1での撮影に使用される際には、自動的かつ的確に被制御モードに切り替えることが可能となる。
【0092】
そして、このように、放射線技師等の操作者が切り替えなくても、放射線画像撮影装置1が撮影室R1に持ち込まれてコネクターに接続される等すると、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自動的に被制御モードに切り替わるため、放射線技師等の操作者は、従来から撮影室R1で行われていた被撮影モードにおける操作や処理等のやり慣れた仕方に従って撮影を行うことが可能となり、放射線画像撮影装置1が操作者にとって使い勝手がよいものとなる。
【0093】
そして、この場合、コンソール58による制御の下で撮影が行われるため、撮影をスムーズに行うことが可能となるとともに、放射線画像と撮影オーダー情報との対応付けをコンソール58が行うため、放射線技師等の操作者にとって作業を楽に行うことが可能となる。
【0094】
一方、上記のようにして放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続されていた撮影台51やケーブル51cのコネクターが放射線画像撮影装置1のコネクター27から外された際、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが設定されている場合には放射線画像撮影装置1の撮影モードをデフォルトの状態に戻すように構成することが可能である。すなわち、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが自立モードに設定されている場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替え、また、デフォルトの撮影モードが被制御立モードに設定されている場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードのままとする。
【0095】
また、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが自立モードに設定されている場合、放射線画像撮影装置1が、上記のような撮影室R1のコネクターではなく、クレードル55に挿入される場合は上記の場合とは状況が異なる。すなわち、放射線画像撮影装置1をクレードル55に挿入した際に生じていた放射線画像撮影装置1のコネクター27とクレードル55のコネクター55aとの接続が、放射線画像撮影装置1がクレードル55から引き抜かれて解除される際に、上記と同様に放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えてデフォルトの状態に戻ってしまうと、放射線画像撮影装置1をクレードル55に挿入することで(すなわち放射線画像撮影装置1のコネクター27とクレードル55のコネクター55aとを接続させることで)、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、放射線画像撮影装置1が撮影室R1内で使用されると判断して、放射線画像撮影装置1の撮影モードをデフォルトの自立モードから被制御モードに切り替えた意味がなくなる。
【0096】
すなわち、撮影モードがデフォルトの自立モードである状態の放射線画像撮影装置1をクレードル55に挿入してコネクター同士が接続すると撮影モードが被制御モードに切り替わるが、放射線画像撮影装置1をクレードル55から引き抜いた時点で撮影モードがデフォルトの自立モードに戻るのであれば、放射線画像撮影装置1の撮影モードは、放射線画像撮影装置1がクレードル55に挿入されている間だけ被制御モードになることになるが、クレードル55から引き抜かれてこれから撮影室R1内での撮影に使用される放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードに戻ってしまうのでは意味がない。
【0097】
そこで、上記のように、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが自立モードに設定されており、放射線画像撮影装置1をクレードル55に挿入した際に放射線画像撮影装置1の撮影モードをデフォルトの自立モードから被制御モードに切り替えるように構成する場合、放射線画像撮影装置1がクレードル55から引き抜かれてコネクター同士の接続が解除されても、放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替えずに被制御モードのままとするように構成される。
【0098】
そして、この場合、例えば、放射線画像撮影装置1が撮影室R1から持ち出される際に、再度、クレードル55に挿入されたり、或いは、例えば放射線画像撮影装置1が図示しない保管庫のクレードルに挿入された際等に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えてデフォルトの状態に戻すように構成することが可能である。
【0099】
なお、この場合、撮影室が複数あり、一の撮影室でクレードル55に挿入されて撮影モードが被制御モードに切り替えられた放射線画像撮影装置1が、撮影モードが被制御モードのまま、他の撮影室でクレードル55に挿入された場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のようにコネクター同士が接続された相手側の機器の識別情報から相手がクレードル55であると分かり、これから当該他の撮影室で撮影に使用されると判断することができるため、この場合は、撮影モードを自立モードに戻さず、被制御モードのままとするように構成することが可能である。
【0100】
[自動切り替えの例2-1]
また、例えば放射線画像撮影装置1を施設から持ち出し、患者の自宅等に持ち込んで撮影に使用するような場合には、前述したように、放射線技師等の操作者が、被写体である患者の撮影部位の撮影順等を、状況に応じて適切かつ自由に変えながら撮影を行うことができるように構成した方が、操作者にとって都合がよい場合が少なくない。そこで、放射線画像撮影装置1が病院等の施設外で撮影に使用される際には、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。なお、この[自動切り替えの例2-1]や後述する[自動切り替えの例2-2]の場合、放射線画像撮影装置1の撮影モードがすでに自立モードである場合には、撮影モードは自立モードのままとされる。
【0101】
そして、この場合、図示を省略するが、例えば放射線画像撮影装置1内にGPS(Global Positioning System)等の位置測定手段を設けておき、放射線画像撮影装置1の制御
手段22が、例えば上記の病院等の施設に関する緯度や経度の情報を予めメモリーやプログラム中に有しておくように構成する。そして、制御手段22は、位置測定手段により測定された放射線画像撮影装置1の位置に基づいて放射線画像撮影装置1が病院等の施設の外に存在していると判断した際に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0102】
なお、位置測定手段として、上記のGPSを用いる代わりに、例えば位置測定手段で放射線画像撮影装置1の移動距離と移動方向とを測定するように構成し、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば上記の病院等の施設内の放射線画像撮影装置1の保管庫を東西南北の中心とした場合の施設の形状等に関する情報を予めメモリーやプログラム中に有しておくように構成する。そして、位置測定手段が測定した放射線画像撮影装置1の移動距離と移動方向とに基づいて放射線画像撮影装置1が病院等の施設内に存在しているか施設外に存在しているかを判断するように構成することも可能であり、放射線画像撮影装置1の位置の測定方法や測定手段については、特定の方法や手段に限定されない。
【0103】
また、位置測定手段としてGPSを用いる場合、放射線画像撮影装置1が病院等のビル内にあったり患者の自宅等の建物内にある場合には、GPSで放射線画像撮影装置1の位置を測定できない場合がある。そのような場合には、放射線画像撮影装置1は、例えばGPDで測定された放射線画像撮影装置1の最後の位置が病院等の施設から離れた位置であれば、放射線画像撮影装置1は施設外に存在すると判断し、放射線画像撮影装置1の最後の位置が病院等の施設内或いは施設に近接する位置であれば、放射線画像撮影装置1は施設内に存在すると判断するように構成することが可能である。
【0104】
[自動切り替えの例2-2]
また、特に規模が大きな病院等の施設では、撮影室R1(
図3参照)が地下等の低層の階に設けられ、病室R3(
図8参照)が上層の階に設けられるなど、撮影室R1と病室R3が別の階に設けられている場合が多い。そして、放射線画像撮影装置1を病室R3に持ち込んで回診に使用する場合には、前述したように、撮影室R1に来ることができず体の自由がきかない患者等に対して、放射線技師等の操作者が、被写体である患者の撮影部位の撮影順等を、状況に応じて適切かつ自由に変えながら撮影を行うことができるように構成した方が、操作者にとって都合がよい場合が少なくない。
【0105】
そこで、このような場合には、放射線画像撮影装置1が病室R3における回診に使用される際に、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0106】
この場合、図示を省略するが、放射線画像撮影装置1内に、放射線画像撮影装置1の高さ(標高)を測定する高度計等の高さ測定手段を設けておき、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、例えば上記の病院等の施設の撮影室R1が設けられている階の高さと病室R3が設けられている階の高さに関する情報を予めメモリーやプログラム中に有しておくように構成する。
【0107】
そして、制御手段22は、高さ測定手段により測定された放射線画像撮影装置1の高さに基づいて放射線画像撮影装置1が病室R3に存在しており病室R3における回診に使用されていると判断した際に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0108】
また、制御手段22は、高さ測定手段により測定された放射線画像撮影装置1の高さに基づいて放射線画像撮影装置1が撮影室R1が設けられた階に存在していると判断した際に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0109】
[自動切り替えの例3]
一方、上記のように放射線画像撮影装置1が撮影室R1に存在する際だけでなく、病室R3に存在しており病室R3における回診に使用されている場合であっても、例えば
図8に示したように、回診車60にポータブルのコンソール58を搭載する等してコンソール58も病室R3に持ち込んで撮影を行うように構成される場合もある。このような場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードは、撮影室R1だけでなく病室R3においても被制御モードである方が放射線技師等の操作者にとっては都合がよい。
【0110】
また、放射線画像撮影装置1を病室R3における回診に使用する場合、例えば
図10に示した場合と同様に、回診車60(
図8参照)からケーブルを延ばして放射線画像撮影装置1のコネクター27に接続した状態で放射線画像撮影装置1を使用すると、放射線技師等の操作者がケーブルに引っ掛かる等して、ケーブルが撮影の邪魔になることがある。そのため、放射線画像撮影装置1を病室R3における回診に使用する場合、放射線画像撮影装置1と回診車60上のコンソール58とが無線方式で通信を行うように構成されることがある。
【0111】
しかし、撮影室R1に比べて、病室R3内では、種々の電子機器が存在する等して妨害電波が飛び交っていて電波環境が悪い場合が少なくない。そして、電波環境が悪化すると、最悪の場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、アンテナ29(
図2参照)を介してコンソール58と無線方式で通信を行うことができなくなる。
【0112】
そこで、このような場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、通信部30(
図2参照)が測定する電波強度の情報を参照する等して、アンテナ29を介してコンソール28と無線通信する際の電波環境が悪化したと判断した際に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。なお、この場合も、放射線画像撮影装置1の撮影モードがすでに自立モードである場合には、撮影モードは自立モードのままとされる。
【0113】
このように構成すれば、放射線画像撮影装置1はコンソール58と無線通信することなく撮影を行うことが可能となるため、上記のように病室R3で電波環境が悪化して無線通信を適切に行うことが困難な場合であっても撮影を的確に行うことが可能となる。
【0114】
なお、この場合、放射線技師等の操作者が、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードに切り替わったことに気付かないと、後で、撮影で得られた画像データD等に基づいて生成された放射線画像と撮影オーダー情報とを対応付ける処理を行うことを忘れてしまう虞れがある。そのため、放射線画像撮影装置1の撮影モードが被制御モードである場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替える際に、撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替える旨を操作者に通知するように構成することが好ましい。
【0115】
その際、例えば、放射線画像撮影装置1のインジケーター28(
図1参照)を所定の色で点灯させたり、所定の仕方で点滅させたり、或いは放射線画像撮影装置1に図示しない発声手段を設けておき、音声を発生させて通知するように構成することも可能である。また、放射線画像撮影装置1から情報携帯端末70(
図8参照)やコンソール58に信号を送信する等して、情報携帯端末70の表示部71やコンソール58の表示部58a上にその旨を表示したり音声を発生させる等して通知するように構成することも可能である。
【0116】
また、上記のように電波環境が悪い場合、操作者によっては、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えて、後で、放射線画像と撮影オーダー情報とを対応付ける面倒な処理を行うよりは、電波環境が改善されるまで待つことを望む場合もあり得る。そのような場合に、上記のように電波環境が悪い場合に放射線画像撮影装置1が自動的に撮影モードを自立モードに切り替えてしまうと、放射線画像撮影装置1がそのような操作者にとっては使い勝手が悪いものとなり得る。
【0117】
そこで、例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、アンテナ29を介してコンソール28と無線通信する際の電波環境が悪化したと判断した際に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替える前に、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替える旨を通知し、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1や情報携帯端末70、コンソール58を操作する等して切り替えを承認する入力を行った場合にのみ、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0118】
このように構成すれば、例えば、後で、放射線画像と撮影オーダー情報とを対応付ける処理を行うことになってもよいから撮影を早く終わらせたいと考える操作者は、承認する入力を行って、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えればよく、また、後で、放射線画像と撮影オーダー情報とを対応付ける処理を行うよりは電波環境が改善されるまで待つと考える操作者は、承認する入力を行わず(或いは拒否する入力を行い)、放射線画像撮影装置1の撮影モードが被制御モードのままで、電波環境が改善されるのを待ち、電波環境が改善されてから撮影を続行すればよい。
【0119】
そのため、操作者の意思に従って、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えたり被制御モードのままとすることが可能となり、放射線画像撮影装置1が操作者にとって使い勝手が良いものとなる。なお、一連の撮影に先立って、前もって、電波環境が悪化した場合に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えてよいかどうかを放射線技師等の操作者に判断させ、例えばコンソール58上や情報携帯端末70上で、或いは放射線画像撮影装置1に直接、判断結果を入力するように構成することも可能である。
【0120】
さらに、上記のように、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、アンテナ29を介してコンソール28と無線通信する際の電波環境が悪化したと判断して、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードから自立モードに切り替えた後、電波環境が改善したと判断した際には、放射線画像撮影装置1の撮影モードをデフォルトの状態に戻すように構成することが可能である。すなわち、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが被制御モードに設定されている場合には撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替え、デフォルトの撮影モードが自立モードに設定されている場合には撮影モードを自立モードのままとする。
【0121】
そして、この場合も、放射線画像撮影装置1のデフォルトの撮影モードが被制御モードに設定されている場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードをデフォルトの被制御モードに切り替える前に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替える旨を通知し、操作者から切り替えを承認する入力があった場合に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替えてデフォルトの状態に戻すように構成することも可能である。このように構成すれば、操作者の意図に沿った撮影を行うことが可能となり、放射線画像撮影装置1が操作者にとって使い勝手が良いものとなる。
【0122】
[自動切り替えの例4]
ところで、放射線画像撮影装置1は、例えば
図6に示したように放射線が照射された後で画像データDの生成処理を行い、プレビュー画像用のデータをコンソール58に転送するとともに、
図7に示したように、放射線が照射されない状態で
図6に示した電圧印加のシーケンスと同じシーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理を行う。そして、画像データDやオフセットデータO等をコンソール58に転送する。なお、放射線画像撮影装置1で、放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算して前述した真の画像データD*を算出する等の処理を行った後、処理済みのデータをコンソール58に転送するように構成することも可能である。
【0123】
しかし、上記のように、放射線画像撮影装置1で画像データDの生成処理を終了し、オフセットデータOの読み出し処理や画像データDやオフセットデータO等のコンソール58への転送を行っている最中に、放射線技師等の操作者が放射線照射装置57(
図3や
図8参照)の曝射スイッチ56を操作して次の撮影を行ってしまう、すなわち次の撮影のために放射線を照射させてしまう場合があり得る。
【0124】
このような場合、従来の被制御モードでは、オフセットデータOの読み出し処理や画像データDやオフセットデータO等のコンソール58への転送を終え、放射線検出素子7のリセット処理を行った後で、放射線画像撮影装置1から放射線照射装置57にインターロック解除信号を送信し、その時点で初めて放射線が照射されることになる。しかし、放射線技師等の操作者はその間放射線の照射を待たねばならず、自分の好きなタイミングで撮影を行うことができなくなる。
【0125】
そこで、このような場合、或いはこのような事態が生じる可能性がある場合には、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0126】
すなわち、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、例えば、オフセットデータOの読み出し処理や画像データDやオフセットデータO等のコンソール58への転送を行っている最中に、放射線技師等の操作者が放射線照射装置57の曝射スイッチ56を操作して放射線照射装置57から照射開始信号が送信されてきた場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することが可能である。
【0127】
この場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影モードの切り替えを行うと同時に、その時点で行っているオフセットデータOの読み出し処理や画像データDやオフセットデータO等のコンソール58への転送を中止し、画像データDやオフセットデータOを自らの記憶手段23(
図2参照)に保存する(自立モード)。そして、放射線検出素子7のリセット処理を行う等した後、速やかに放射線照射装置57にインターロック解除信号を送信するように構成することが可能である。
【0128】
また、例えば、撮影前に放射線画像撮影装置1に撮影オーダー情報が送信されるように構成されている場合は、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、送信されてきた撮影オーダー情報から、1人の患者に対して撮影を複数回連続して行うと判断される際には、撮影前に或いは撮影開始時点に、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に被制御モードから自立モードに切り替えるように構成することも可能である。
【0129】
この場合も、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、画像データDやオフセットデータO等を記憶手段23に保存しておき、後で、無線方式や有線方式でコンソール58と接続された時点で、コンソール58に画像データD等を転送するように構成される。
【0130】
なお、上記のいずれの場合も、オフセットデータOの読み出し処理は、一連の撮影が終了した時点で(或いは後者の場合は一連の撮影が開始される前に)1回または複数回行うように構成することが可能である。また、これらの場合も、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えることを放射線技師等の操作者に通知するように構成したり、操作者から切り替えを承認する入力があった場合に自立モードに切り替えるように構成することも可能である。
【0131】
[手動切り替えの場合]
一方、上記の各例では、放射線画像撮影装置1の制御手段22が、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自動的に切り替える場合について説明したが、放射線技師等の操作者が手動で切り替えるように構成することも可能である。この点について、以下、いくつかの例を挙げて説明する。
【0132】
例えば、切替スイッチ26(
図1参照)に対して長押し等の所定の操作を行ったり、切替スイッチ26と電源スイッチ25(或いは図示しない他のスイッチ)の2つのスイッチを同時に押下する等の、スイッチに対する所定の操作で、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードと自立モードとの間で切り替えることができるように構成することが可能である。
【0133】
また、例えば、図示を省略するが、放射線画像撮影装置1に振動センサー(或いは加速度センサー)等の振動を検出する手段を設けておき、放射線技師等の操作者が、放射線画像撮影装置1の筐体2を所定の仕方で軽く叩く等して放射線画像撮影装置1に所定の振動を加えることで、放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の手段を介してそれを検出して、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードと自立モードとの間で切り替えることができるように構成することも可能である。
【0134】
さらに、例えば、放射線画像撮影装置1の筐体2内にマイクロフォン等の音声を検知する手段を設けておき、放射線技師等の操作者が所定の言葉や音声等を発することで、放射線画像撮影装置1の制御手段22が上記の手段を介してそれを検知して、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードと自立モードとの間で切り替えることができるように構成することも可能である。
【0135】
また、例えば、
図6に示したように、放射線技師等の操作者Eが携帯する情報携帯端末70に対して処理の操作を行うことで、情報携帯端末70から放射線画像撮影装置1に所定の信号を送信し、放射線画像撮影装置1の制御手段22がそれに基づいて、放射線画像撮影装置1の撮影モードを被制御モードと自立モードとの間で切り替えることができるように構成することも可能である。
【0136】
なお、放射線技師等の操作者が手動で放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替える方法は、上記の各方法に限定されない。
【0137】
そして、上記のように放射線技師等の操作者が手動で放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替えることができるように構成することで、例えば、被制御モードで撮影を行っている最中に、撮影オーダー情報にはない追加の撮影を行うような場合に、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1の撮影モードを手動で自立モードに切り替えて追加の撮影を行って画像データD等を記憶手段23に保存しておき、再度、放射線画像撮影装置1の撮影モードを手動で被制御モードに切り替えて被制御モードでの撮影を続行することが可能となる。
【0138】
ところで、メーカー側の視点で見た場合、これまで従来のCRカセッテを用いて撮影を行っていた病院等の施設に上記の放射線画像撮影装置1を新たに導入する際に、放射線技師等の操作者が従来のCRカセッテを用いた撮影の仕方に慣れており、放射線画像撮影装置1がコンソール58の制御の下で撮影を行う被制御モードにおける撮影に慣れていないケースがあり得る。
【0139】
そのような場合、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えれば、従来のCRカセッテを用いた撮影と同様の仕方で撮影を行うことができるため、放射線画像撮影装置1の導入時点では、放射線画像撮影装置1の撮影モードを予め自立モードに切り替えておくように構成することができる。そして、放射線技師等の操作者が、徐々に撮影モードを被制御モードに切り替えて撮影を行う回数を増やして、被撮影モードでの撮影の経験を積んでいくように構成することも可能となる。
【0140】
また、これは、新興国等に上記の放射線画像撮影装置1を輸出するような場合でも同様であり、放射線画像撮影装置1の撮影モードを予め自立モードに切り替えた状態で輸出し、後日、サービスマン等が赴いて正式に設置まではその状態で使用してもらい、サービスマン等が赴いて、コンソール58の制御下での放射線画像撮影装置1の使い方、すなわち被制御モードにおける放射線画像撮影装置1やコンソール58の使い方を説明した後で、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードと被制御モードとの間で切り替えることができるように構成することも可能となる。
【0141】
その際、新興国等の施設にコンソール58が設置されていない等の場合、自立モードの放射線画像撮影装置1で撮影した画像データD等を、インターネット等を介して日本のサービスステーション等に転送し、日本で放射線画像を生成して新興国等の施設に送るような場合、例えば、画像データDを暗号化したり公開鍵を使う等して転送するように構成することが望ましい。また、画像データDや放射線画像に、所定の処理を行わないと除去できないノイズ(透かし)を入れて転送するように構成することも可能である。
【0142】
[自立モードにおける処理の構成例について]
次に、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードである場合の放射線画像撮影装置1とコンソール58における処理の構成例について説明する。
【0143】
なお、以下では、説明の便宜上、自立モードのみで撮影を行う場合について説明するが、上記のように撮影モードが被制御モードにも切り替え可能であることは言うまでもない。また、以下では、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57との間で信号等のやり取りを行わず、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射が開始されたことを検出して撮影を行う場合について説明するが、放射線画像撮影装置1と放射線照射装置57との間で信号等のやり取りを行う場合には、下記の放射線の照射開始を検出したか否かの判断処理(ステップS2)の代わりに、放射線照射装置57からの照射開始信号を受信したか否かの判断処理を行うことになる。
【0144】
[構成例A]
図11のフローチャートに示すように、放射線画像撮影装置1(
図11ではFPD1と記載されている。)の制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部が撮影に向けての前処理を終了した後の待機状態で、放射線の照射開始を検出する処理を行う(ステップS1)。なお、放射線画像撮影装置1自体で放射線の照射開始を検出する具体的な方法については、例えば前述した公報や国際公開に記載された方法等を用いることが可能である。
【0145】
そして、制御手段22は、放射線照射装置57の放射線源52(
図3や
図8参照)からの放射線の照射が開始されたことを検出すると(ステップS2;YES)、上記のように走査駆動手段15のゲートドライバー15b(
図2参照)から各走査線5にオフ電圧を印加させて各TFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させた後、ゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧を順次印加させて画像データDの生成処理を行わせる(ステップS3)。
【0146】
また、撮影後にオフセットデータOの読み出し処理を行う場合には、制御手段22は、引き続き、放射線が照射されない状態で同じシーケンスを繰り返してオフセットデータOの読み出し処理を行わせる。なお、撮影前にオフセットデータOの読み出し処理を行い、読み出したオフセットデータOを記憶手段23等に保存しておき、下記の画像補正では保存されているオフセットデータOを用いるように構成することも可能である。
【0147】
制御手段22は、続いて、画像補正処理(ステップS4)を行う。なお、画像補正処理を放射線画像撮影装置1では行わず、コンソール58で行うように構成することも可能である。その場合は、放射線画像撮影装置1からコンソール58に生(raw)データとしての画像データDやオフセットデータO等が転送されることになる(ステップS7)。また、上記のように、自立モードでは、放射線画像撮影装置1の記憶手段23にデータが保存される場合が多い。そのため、データの保存量をできるだけ少なくするために、放射線画像撮影装置1で画像補正処理(ステップS4)を行うように構成することが可能である。
【0148】
画像補正処理では、制御手段22は、例えば、前述したように画像データDとオフセットデータOとから真の画像データD*を算出し、算出した真の画像データD*に対してゲイン補正や欠陥補正(点欠陥や線欠陥を含む。)、階調処理等の画像補正が行われて放射線画像pが生成される。また、その他、図示しないシンチレーターの感度ムラによる画像ムラの補正を行うなど適宜の画像補正も行われる。
【0149】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1が有線方式や無線方式でコンソール58と接続されていなければ(ステップS5;NO)、上記のように画像補正した放射線画像pのデータを記憶手段23に保存して(ステップS6)、次の撮影に備える(ステップS1)。このようにして、自立モードでは、放射線画像撮影装置1がコンソール58に接続されるまで、画像補正された放射線画像pのデータ(或いは画像補正を行わない場合は画像データDやオフセットデータO。以下同じ。)が記憶手段23に保存されていくことになる。
【0150】
また、制御手段22は、放射線画像撮影装置1が有線方式や無線方式でコンソール58と接続されていれば(ステップS5;YES)、放射線画像pのデータをコンソール58に転送する(ステップS7)。その際、記憶手段23に、それまでに撮影された放射線画像pのデータが保存されていれば、放射線画像撮影装置1が有線方式や無線方式でコンソール58と接続された時点で(ステップS5;YES)、それらの放射線画像pのデータがコンソール58に転送される(ステップS7)。
【0151】
また、放射線画像撮影装置1が有線方式や無線方式でコンソール58と接続された状態で(ステップS5;YES)撮影が行われる場合には、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードであっても、撮影ごとに放射線画像撮影装置1からコンソール58に放射線画像pのデータが転送される状態になる。
【0152】
しかし、上記のいずれの場合も、被制御モードの場合と異なり、自立モードでは、コンソール58は撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けを行わない。そのため、放射線技師等の医療従事者が、コンソール58上で撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付け(後登録ともいう。)を行うことが必要になる。
【0153】
すなわち、コンソール58は、まず、上記のようにして放射線画像撮影装置1から放射線画像pのデータが転送されてくると(ステップS7)、放射線画像pに対して画像処理を行う(ステップS8)。この場合、コンソール58は、上記の画像補正とは異なり、撮影の際に図示しないグリッドを使用した場合に放射線画像pに生じるモアレ縞等の、放射線画像pに重畳されている周期的なノイズ成分を、フーリエ変換等の演算処理等を行って除去するなど複雑な処理が必要となる画像処理を行う。
【0154】
このような複雑な画像処理は、放射線画像撮影装置1で行うとバッテリー24(
図2参照)の電力が消費されてしまうため、上記の構成例Aではコンソール58で行うようになっているが、放射線画像撮影装置1で行うように構成することも可能である。また、前述したように、画像補正と画像処理とをコンソール58で行うように構成することも可能である。
【0155】
そして、画像処理(ステップS8)まではコンソール58で自動的に行われるが、撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けの処理(ステップS9)は、前述したように、放射線技師等の医療従事者によって行われる。その際、上記のように、撮影ごとに放射線画像撮影装置1から放射線画像pのデータが転送されてくる場合、撮影ごとに撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けの処理を行ってもよく、また、一連の撮影を行った後でまとめて対応付けの処理を行ってもよい。
【0156】
また、撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けの処理の際に、対応付けをより的確に、或いはより容易に行うようにするための構成例については後で説明する。また、医療従事者は、この時点で、或いはそれ以前に、HISやRISから必要な撮影オーダー情報を入手する。また、撮影オーダー情報が作成されていない場合には作成してコンソール58に入力する等の処理を行う。
【0157】
そして、放射線技師等の医療従事者が撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けの処理(ステップS9)を終了し、確定処理(ステップS10)を行うと、コンソール58は、対応付けられた撮影オーダー情報および放射線画像pを、前述したPACS等の外部システムに送信して(ステップS11)処理を終了する。
【0158】
[構成例B]
一方、放射線画像撮影装置1が自立モードで撮影を行う場合、上記のようなコンソール58による処理を経ずに、放射線画像撮影装置1が全ての処理を行うように構成することも可能である。
【0159】
この場合、
図12のフローチャートに示すように、上記の構成例Aではコンソール58上で行われていた画像処理(ステップS8)や撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けの処理(ステップS9)、確定処理(ステップS10)を、放射線画像撮影装置1(
図12ではFPD1と記載されている。)上で行うことになる。
【0160】
なお、
図12のフローチャートでは、撮影を行うごとに確定処理(ステップS10)を行う場合が記載されている。しかし、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影ごとに自動的に行った撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付け(ステップS9)を行うが、放射線技師等の医療従事者がそれらを確認して確定する処理(ステップS10)を、一連の撮影を行った後でまとめて行うように構成することも可能である。
【0161】
また、前述した特許文献2に記載されている放射線画像撮影装置のように、放射線画像撮影装置1に表示部が設けられている場合は、その表示部に撮影オーダー情報や放射線画像pを表示しながら上記の対応付けの処理を行うことが可能であるが、放射線画像撮影装置1に表示部が設けられていない場合は、例えば、放射線画像撮影装置1から情報携帯端末70(
図8参照)に放射線画像pや撮影オーダー情報等の必要なデータを送信し、情報携帯端末70の表示部71上に表示させて、情報携帯端末70上で行うように構成することも可能である。
【0162】
さらに、
図12のフローチャートでは、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、必要な撮影オーダー情報をHISやRIS等から事前に入手しておき、しかも、撮影が撮影オーダー情報の順番に行われることを前提とした場合が示されている。しかし、前述したように、自立モードにおける撮影では、放射線技師等の操作者は、状況に応じて撮影部位の撮影順等を自在に変えながら撮影を行うことができる点に特徴がある。
【0163】
そのため、撮影が撮影オーダー情報の順番に行われないことも少なくなく、その場合、上記のように放射線画像撮影装置1の制御手段22が自動的に行った撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けが適切に行われていない場合が少なくないものと考えられる。そこで、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、確定処理(ステップS10)だけでなく撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付け(ステップS9)も、一連の撮影を行った後でまとめて行うように構成することも可能である。
【0164】
また、上記のように、画像処理(ステップS8)は、フーリエ変換等の複雑な演算処理等が必要になり、処理に時間がかかる場合もある。そこで、画像処理が終了するまで次の撮影の開始が待たされるような事態が生じることを避けるために、画像処理(ステップS8)も、一連の撮影を行った後でまとめて行うように構成することも可能である。
【0165】
そして、この構成例Bでは、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1が、有線方式や無線方式でPACS等の外部システムに接続されていなければ(ステップS12;NO)、確定処理済みの対応付けられた撮影オーダー情報および放射線画像pを記憶手段23に保存する(ステップS6)。また、放射線画像撮影装置1が、有線方式や無線方式でPACS等の外部システムに接続されていれば(ステップS12;YES)、コンソール58を介さずに外部システムに直接、確定処理済みの対応付けられた撮影オーダー情報および放射線画像pを送信するように構成される(ステップS11)。
【0166】
以上のように、上記の構成例Aや構成例Bのように構成することで、放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードの状態で撮影を行う際に、撮影を的確に行って、放射線画像pを的確に生成し、撮影オーダー情報と放射線画像pとを的確に対応付けることが可能となる。また、撮影したデータを放射線画像撮影装置1の記憶手段23に保存しておくことができるため、撮影時にコンソール58を持って行く必要がなくなる。
【0167】
そのため、例えば患者の自宅や災害、救急、動物撮影等の撮影現場に、放射線画像撮影装置1とポータブルの放射線源のみを持参すれば撮影を行うことが可能となり、持参する機器を最小限に留めることが可能となる。また、撮影忘れや再撮影等のように、緊急に少数枚の撮影を行うような場合に、放射線画像撮影装置1とポータブルの放射線源のみを持参すれば撮影を行うことができるため、放射線技師等の操作者にとって使い勝手がよいものとなる。
【0168】
[対応付けの具体的な構成例について]
上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えた場合、放射線技師等の医療従事者が撮影オーダー情報と放射線画像pとを手動で対応付けることが必要になる。その際、対応付けをより的確に、或いはより容易に行うようにするための構成例について、以下、いくつかの構成例を挙げて具体的に説明する。
【0169】
なお、以下では、例えば上記の構成例Aのように、コンソール58上で撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けを行う場合について説明するが、上記の構成例Bで説明したように、対応付けを放射線画像撮影装置1の表示部上や情報携帯端末70の表示部71上等で行う場合も同様に説明される。
【0170】
[構成例1]
例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、自立モードで撮影を行って画像データDや放射線画像pのデータを放射線画像撮影装置1の記憶手段23(
図2参照)に保存する際に、データに対して、撮影ごとにインクリメントされる識別情報すなわち1、2、…等のIDを付帯させて保存する。また、放射線技師等の操作者は、自立モードで撮影を行う際に、照射録に、撮影を行った順に1、2、…と番号をメモしたり、或いはメモ帳や携帯情報端末70等に、撮影を行った順に1、2、…と番号をメモするとともに、患者名や撮影部位等の撮影内容をメモしておく。
【0171】
そして、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理(
図11や
図12のステップS9)において、コンソール58は、表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させる際に、例えば
図13に示すように、サムネイル画像ごとにその近傍に上記のIDを表示するように構成することが可能である。
【0172】
このように構成すれば、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像やその近傍に表示されたIDである番号と、放射線技師等の操作者が照射録やメモ帳、情報携帯端末70等にメモした番号や撮影内容と対比させることで、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0173】
また、この場合、放射線技師等の操作者が撮影ミスをした場合、正常に撮影を行った場合と同様にその撮影ミスにも番号を付してメモしておくことで、放射線技師等の医療従事者が、コンソール58の表示部58a上で放射線画像p(撮影ミスを含む。)のサムネイル画像とIDである番号とを見ることで、容易に撮影ミスと判断することが可能となり、それに対応する撮り直しの放射線画像pがどの画像であるかも容易かつ的確に把握することが可能となる。
【0174】
[構成例1-2]
なお、上記の構成例1のように構成する場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22がデータに付帯させたID(番号)と、放射線技師等の操作者がメモした番号とが食い違うと、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを誤る可能性がある。そのため、例えば、放射線画像撮影装置1にスピーカー等の発声手段を設けておき、放射線画像撮影装置1の制御手段22がデータに付帯させたID(番号)を発声手段で音声として発声させ、放射線技師等の操作者がそれを聞き取ってメモするように構成することも可能である。
【0175】
[構成例1-3]
また、図示を省略するが、例えば、回診車60上(
図8参照)や撮影室R1内(
図3参照)等にラベルプリンターに設置しておき、放射線画像撮影装置1から送信されてきた情報をラベルプリンターでシールに印刷できるように構成する。そして、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、データに付帯させたID(番号)の情報をラベルプリンターに送信して、ラベルプリンターでシールにそのID(番号)やそれに対応するパーコード等をプリントする。そして、放射線技師等の操作者は、ID(番号)やバーコード等がプリントされたシールを照射録やメモ帳等に貼付する。
【0176】
そして、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理の際に、放射線技師等の医療従事者が、サムネイル画像の近傍に表示されたID(番号)と、照射録等に貼付されたID(番号)とを見比べたり、或いはバーコードリーダーでバーコードを読み取らせる等して対比させることで、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを行うように構成することも可能である。そして、これらの構成例1-2、1-3の場合にも、上記の構成例1の場合と同様の有益な効果を得ることが可能となる。
【0177】
[構成例2]
上記の構成例1(構成例1-2、1-3を含む。以下同じ。)におけるIDや番号の代わりに、放射線画像撮影装置1に設けられているリアルタイムクロック(real-time clock、RTC)で経時した撮影日時(例えば放射線照射装置57からの照射開始信号を受信した日時、或いは放射線の照射開始を検出した日時等)を画像データDや放射線画像pのデータに付帯させて保存する。また、放射線技師等の操作者は、放射線照射装置57の曝射スイッチ56を全押しした日時を照射録やメモ帳、携帯情報端末70等に撮影内容とともにメモしておく。
【0178】
そして、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理において、コンソール58の表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させる際に、サムネイル画像ごとに、その近傍に、
図13に示した番号1、2、…の代わりに撮影日時を表示するように構成することが可能である。
【0179】
このように構成すれば、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像やその近傍に表示された撮影日時と、放射線技師等の操作者が照射録やメモ帳、情報携帯端末70等にメモした撮影日時や撮影内容と対比させることで、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。そして、この場合も上記の構成例1の場合と同様に、撮影ミスを容易に見分けて、それに対応する撮り直しの放射線画像pがどの画像であるかも容易かつ的確に把握することが可能となる。
【0180】
[構成例3]
また、上記の構成例2のように、放射線画像撮影装置1のRTCで経時した撮影日時を画像データDや放射線画像pのデータに付帯させて保存するとともに、放射線技師等の操作者は、放射線照射装置57の曝射スイッチ56を全押しした日時を照射録やメモ帳、携帯情報端末70等に撮影内容とともにメモしておく。
【0181】
そして、例えば、同一の患者に対して複数回撮影を行った場合には、撮影の間隔が、患者を入れ替えて撮影を行う場合の撮影間隔よりも短くなる。そのため、例えば、コンソール58は、データ(画像データDや放射線画像pのデータ)に付帯された撮影日時から、一のデータが撮影されてから次のデータが撮影されるまでの撮影間隔を算出し、算出した撮影間隔が3分等に設定された閾値以下である場合に、これらのデータが同一の患者に対して行われた撮影によるものであると判断することができる。
【0182】
そして、例えば
図14に示すように、上記のようにして同一の患者に対応すると判断された放射線画像p(
図14ではp1~p3)を、他の患者に対応すると判断された放射線画像p(
図14ではp4)とは分けて、同一の患者に対応する放射線画像pをグルーピングして表示するように構成することが可能である。
【0183】
このように構成すれば、上記の構成例1、2と同様の効果が得られるとともに、放射線技師等の医療従事者が、患者を取り違えることなく、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0184】
なお、
図14では、グルーピングされた各放射線画像pのサムネイル画像を横に並べて表示するように構成した場合が示されているが、これに限定されず、図示を省略するが、この他にも、例えば、グルーピングされた各放射線画像pのサムネイル画像を枠線で囲んで表示する等してグルーピングされていることを示すように構成することも可能であり、同一の患者に対応する放射線画像pをグルーピングして表示する際の表示の仕方は適宜決められる。
【0185】
[構成例4]
また、入院患者や経過観察の患者に対して同一の撮影部位を定期的に撮影する場合、撮影される放射線画像pは、通常、前回撮影した放射線画像pと同じような画像になる。そこで、例えば、コンソール58が、今回撮影された放射線画像pと、過去1カ月等の所定の期間内に撮影された放射線画像pとをマッチングする等して今回撮影された放射線画像pの撮影対象である患者を特定する。
【0186】
そして、図示を省略するが、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理において、表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させる際に、コンソール58は、例えば、サムネイル画像の近傍に、上記のようにして特定した患者名を表示するように構成することが可能である。
【0187】
このように構成すれば、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像やその近傍に表示された患者名と、撮影オーダー情報に指定された患者名や撮影内容等を対比させて、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0188】
[構成例5]
ところで、上記の放射線画像撮影装置1の撮影モードの切り替え(被制御モードと自立モードとの間での切り替え)の際、前述したように、放射線画像撮影装置1内にGPSを設けておき、GPSが測定した緯度や経度から放射線画像撮影装置1が病院等の施設の中に存在するか施設外に存在するかで撮影モードを切り替えるように構成することが可能であることを説明した。
【0189】
そこで、この技術を利用して、例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、撮影場所(例えば放射線照射装置57からの照射開始信号を受信した時点での緯度や経度、或いは放射線の照射開始を検出した時点での緯度や経度等)の情報をデータに付帯させて保存する。また、予めコンソール58に各患者の住所の緯度や経度の情報をそれぞれ入力しておく。
【0190】
そして、図示を省略するが、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理において、表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させる際に、コンソール58は、例えば、放射線画像pに付帯されている緯度や経度の情報と、各患者の住所の緯度や経度の情報とから、当該放射線画像pの撮影対象である患者を特定して、放射線画像pのサムネイル画像の近傍に、特定した患者名を表示するように構成することが可能である。
【0191】
このように構成すれば、構成例4の場合と同様に、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像やその近傍に表示された患者名と、撮影オーダー情報に指定された患者名や撮影内容等を対比させて、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0192】
なお、この場合、上記のように緯度や経度の情報に基づいて患者を特定する代わりに、緯度や経度から割り出される住所等の情報に基づいて患者を特定するように構成することも可能であり、緯度や経度の情報を用いる場合に限定されない。
【0193】
[構成例6]
一方、撮影対象である患者が入院患者であり、病院等の施設内の病室R3(
図8参照)で撮影を行ったような場合、放射線画像撮影装置1と、施設内に設置されているアクセスポイントAPとの間で信号の送受信を行い、その際の電波強度に基づいて放射線画像撮影装置1の施設内での位置を特定して撮影対象の患者を特定するように構成することも可能である。
【0194】
この場合、施設内に複数のアクセスポイントAPが設置されている場合、例えば
図15に示すように、放射線画像撮影装置1の現在位置と各アクセスポイントAPとの距離に応じて、放射線画像撮影装置1と各アクセスポイントAPとの間の電波強度Iが変化する。そして、
図15に示したケースでは、放射線画像撮影装置1の通信部30(
図2参照)で測定される各アクセスポイントAP-A、AP-Bとの間の電波強度Iのそれぞれの大きさや、アクセスポイントAP-Aとの間の電波強度IとアクセスポイントAP-Bとの間の電波強度Iとの比等に基づいて、放射線画像撮影装置1の位置が分かり、どの病室R3で撮影が行われたかが分かる。
【0195】
そこで、例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、各アクセスポイントAPとの間の電波強度Iの大きさや比等と病室R3とが対応付けられたテーブル等を予め備えておき、撮影が行われた時点(例えば放射線照射装置57からの照射開始信号を受信した時点、或いは放射線の照射開始を検出した時点)で通信部30により測定される各アクセスポイントAPとの間の電波強度Iの大きさや比等に基づいて、撮影が行われた病室R3を割り出す。そして、データを記憶手段23に保存する際に、割り出した病室R3の識別情報等をデータに付帯させて保存する。
【0196】
そして、図示を省略するが、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理において、表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させる際に、コンソール58は、例えば、放射線画像pに付帯されている病室R3の識別情報やそれに基づいて割り出した病室R3の名称等を、放射線画像pのサムネイル画像の近傍に表示するように構成することが可能である。
【0197】
このように構成すれば、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像やその近傍に表示された病室R3の識別情報や名称から、撮影対象である患者を特定して、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0198】
なお、この場合、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、病院等の施設内の地図情報等を予め備えておき、撮影が行われた時点で通信部30により測定される各アクセスポイントAPとの間の電波強度Iの大きさや比等と上記の地図情報等とに基づいて、撮影が行われた病室R3を特定するように構成することも可能であり、各アクセスポイントAPとの間の電波強度Iに基づいて撮影が行われた病室R3を特定する方法は上記の方法に限定されない。
【0199】
[構成例7]
また、医療現場では、患者の取り違え等を防止するために患者の氏名を確認することが励行されている。そこで、図示を省略するが、例えば、放射線画像撮影装置1にマイクロフォンを設けておき、放射線技師等の操作者が、患者の氏名を呼んで声掛けする際や患者自身に指名を名乗らせる際に、その音声を放射線画像撮影装置1のマイクロフォンで録音し、放射線画像撮影装置1でデータを記憶手段23に保存する際に、録音した音声情報をデータに付帯させて保存する。
【0200】
そして、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理において、表示部58a上に放射線画像pのサムネイル画像を表示させた際に、例えば放射線技師等の医療従事者がサムネイル画像をクリックする等してサムネイル画像を指定すると、コンソール58は、放射線画像pに付帯されている音声情報を再生するように構成することが可能である。
【0201】
このように構成すれば、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pのサムネイル画像や再生された音声から、撮影対象である患者を特定して、そのサムネイル画像に対応する放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0202】
なお、この場合、コンソール58は、例えば、上記のようにデータに付帯されている音声情報から音声認識等により患者の氏名を特定し、特定した患者名が指定されている撮影オーダー情報を割り出して、そのサムネイル画像に対応する放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを自動的に行うように構成することも可能である。なお、このように構成する場合も、放射線技師等の医療従事者による確認は必要である。
【0203】
[構成例8]
また、例えば、撮影ごとに用意される照射録(例えばその縁端部等)に、照射録自体とは放射線の透過率が異なる透明或いは有色の塗料(例えばチタン系等の塗料)等で患者IDや患者の氏名等の情報(数字や文字或いはバーコード等)を、予めプリンター等で塗布しておく。そして、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R(
図1参照)と被写体との間に照射録を介在させた状態で撮影を行い、放射線画像p中に上記の塗料等で記載された患者ID等を写し込むように構成することも可能である。
【0204】
この場合、放射線画像p中の、病変部等の撮影対象が撮影されていない縁端部等に患者ID等が写し込まれるように、被写体や放射線画像撮影装置1に対する照射録の位置が調節される。その際、例えば、放射線画像撮影装置1の放射線入射面R上に、放射線の透過率に影響を与えないプラスチック等の材料で照射録のホルダーを取り付けておき、そのホルダーに照射録を差し込むように構成すれば、放射線画像撮影装置1の放射線入射面Rに対して照射録の位置がずれて放射線画像p中に患者ID等が写らなくなったり患者ID等が病変部等の撮影対象と重なって写ってしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0205】
そして、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理の際に、放射線技師等の医療従事者は、コンソール58の表示部58a上に表示された放射線画像pのサムネイル画像中に撮影されている患者ID等に基づいて、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを容易かつ的確に行うことが可能となる。
【0206】
なお、この場合、コンソール58は、上記のように放射線画像p中に撮影されている患者ID等を、例えば画像解析等により認識して、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けを自動的に行うように構成することも可能である。なお、このように構成する場合も、放射線技師等の医療従事者による確認は必要である。
【0207】
例えば以上の各構成例のように構成することで、放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードに切り替えた場合に必要になる、放射線技師等の医療従事者が手動で行う撮影オーダー情報と放射線画像pとの対応付けを、より的確により容易に行うことが可能となる。
【0208】
[自立モードと被制御モードで撮影されたデータの管理の仕方について]
上記のように、放射線画像撮影装置1では、撮影モードが自立モードであっても被制御モードであっても、通常、撮影が行われるごとに、データ(画像データD或いは放射線画像pのデータ)にIDが付帯されて管理されるように構成される。その際、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードと被制御モードとの間で切り替わる一方で、IDを単に撮影順に付帯させるように構成すると、IDを見ただけでは、どのデータが自立モードで撮影されたものであり、どのデータが被制御モードで撮影されたものかが分からなくなる。
【0209】
そこで、例えば、以下のようにして、IDの付帯のさせ方を工夫することで、IDに基づいてデータが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかを判別することが可能となる。
【0210】
例えば、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替えた時点で、1から順にインクリメントしてデータに付帯させていたIDをリセットし、付帯させるIDを1からやり直すように構成することが可能である。例えば、被制御モードで10枚撮影が行われた後、自立モードに切り替えられて3枚撮影を行い、さらに被制御モードに切り替えられて撮影が続行された場合、…、8、9、10、1、2、3、1、2、3、…のようにIDがデータに付帯されることになる。
【0211】
そのため、この場合は、IDの並び方や自立モードで撮影を行った枚数等に基づいてデータが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかを判別することが可能となる。なお、この場合、例えば、IDとあわせて撮影日時等をデータに付帯させるように構成すれば、データが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかをより確実に判別することが可能となる。
【0212】
また、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替えた時点でデータに付帯させるIDをリセットする代わりに、撮影モードを切り替えるごとに、データに付帯させる最初のIDを例えば100や1000間隔等の所定の間隔で増加させて付帯させるように構成することも可能である。
【0213】
この場合、撮影モードを切り替えるごとに付帯させるIDを例えば100間隔で増加させるように構成すると、上記と同様に、例えば被制御モードで10枚撮影が行われた後、自立モードに切り替えられて3枚撮影を行い、さらに被制御モードに切り替えられて撮影が続行された場合には、…、8、9、10、101、102、103、201、202、203、…のようにIDがデータに付帯されることになる。
【0214】
このように構成しても、上記と同様に、IDの並び方や自立モードで撮影を行った枚数等に基づいてデータが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかを的確に判別することが可能となる。
【0215】
さらに、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードを切り替えた時点でデータに付帯させるIDの採番ルールを変えるように構成することも可能である。例えば、自立モードで撮影されたデータには「A000XX」の形でインクリメントするIDを付帯させ、被制御モードで撮影されたデータには「S000XX」の形でインクリメントするIDを付帯させるように構成することも可能である。
【0216】
このように構成すれば、データに付帯されているIDを見るだけで、データが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかを的確に判別することが可能となる。なお、上記の各場合にも、前述したように、ID等とあわせて撮影日時等をデータに付帯させるように構成すれば、データが自立モードと被制御モードのいずれのモードで撮影されたものかをより確実に判別することが可能となる。
【0217】
[複数の放射線画像撮影装置を使用して撮影を行う場合について]
なお、上記の実施形態や各構成例等において、撮影に複数の放射線画像撮影装置1が使用される場合がある。そして、このような場合に、各放射線画像撮影装置1の撮影モードを個別に切り替えるように構成すると、撮影モードが自立モードの放射線画像撮影装置1と被制御モードの放射線画像撮影装置1とが混在する状態になる。
【0218】
そして、このような状態では、どの時点でどの放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードであったかを管理する作業が煩雑になり、上記のように放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードの状態で撮影された放射線画像pと撮影オーダー情報とを放射線技師等の医療従事者が手動で対応付ける際に、どの放射線画像撮影装置1で撮影したどの放射線画像pが手動で撮影オーダー情報と対応付ける対象であるかが分かりにくくなる。そのため、対応付けを誤ったり、対応付けを忘れたりする事態が生じる虞れがある。
【0219】
そこで、複数の放射線画像撮影装置1を使用し、各放射線画像撮影装置1の撮影モードを自立モードと被制御モードと間で切り替えながら撮影を行う場合には、一の放射線画像撮影装置1が自動的に或いは放射線技師等の操作者の操作により撮影モードを自立モードに切り替える場合には、他の放射線画像撮影装置1も一斉に撮影モードを自立モードに切り替えるように構成することが望ましい。
【0220】
そして、一の放射線画像撮影装置1が自動的に或いは放射線技師等の操作者の操作により撮影モードを自立モードから被制御モードに切り替える場合には、他の放射線画像撮影装置1も一斉に撮影モードを被制御モードに切り替えるように構成することが望ましい。
【0221】
このように構成すると、撮影モードが自立モードであった時間帯(すなわち何時何分から何時何分まで自立モードであったか)が分かれば、その時間帯は、撮影に使用された全ての放射線画像撮影装置1の撮影モードが自立モードであったことになる。そのため、放射線技師等の医療従事者は、放射線画像pに付帯されている撮影時刻の情報を見るだけで、手動による放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けが必要であるか否かを判別することが可能となり、放射線画像pと撮影オーダー情報との対応付けの処理を、誤ったり忘れたりすることなく的確に行うことが可能となる。
【0222】
なお、この場合も、放射線画像撮影装置1が撮影モードを被制御モードと自立モードとの間で切り替える前に、全ての放射線画像撮影装置1の撮影モードが一斉に切り替わる旨を通知し、放射線技師等の操作者が切り替えを承認する入力を行った場合にのみ、全ての放射線画像撮影装置1の撮影モードを一斉に切り替えるように構成することが可能である。
【0223】
また、本発明が上記の実施形態や各構成例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0224】
放射線画像撮影を行う分野(特に医療分野)において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0225】
1 放射線画像撮影装置
7 放射線検出素子
22 制御手段
23 記憶手段
27 コネクター
29 アンテナ
50 放射線画像撮影システム
51b、55a 撮影室内に存在するコネクター
53 アクセスポイント
58 コンソール
D 画像データ
p 放射線画像
R1 撮影室
R3 病室