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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ガス分取システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/80 20060101AFI20220329BHJP
   G01N 30/54 20060101ALI20220329BHJP
   B01J 20/283 20060101ALI20220329BHJP
   G01N 30/84 20060101ALI20220329BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N30/80 B
G01N30/80 E
G01N30/54 F
B01J20/283
G01N30/84 J
B01J20/10 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021501531
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2019030865
(87)【国際公開番号】W WO2020170472
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2019027074
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村田 匡
(72)【発明者】
【氏名】西下 満
(72)【発明者】
【氏名】安居 茂夫
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-204147(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167910(WO,A1)
【文献】特開2004-108967(JP,A)
【文献】特開2009-047593(JP,A)
【文献】特開2009-236589(JP,A)
【文献】米国特許第05447556(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料ガス中に含まれる成分を分離するための分離カラムと、
前記分離カラムの入口に流体的に接続され、前記分離カラムへ試料ガスを供給するための試料ガス供給部と、
前記分離カラムの出口に流体的に接続され、前記分離カラムから流出したガス中の成分を検出する検出器と、
前記試料ガス中の目的成分を第1温度以下の条件で吸着させ、吸着させた前記目的成分を前記第1温度よりも高い第2温度以上の条件で離脱させる性質を有する吸着材が内部に充填された捕集管と、
前記捕集管の冷却及び加熱を行なって前記捕集管の温度を調節するための温度調節部と、
前記捕集管の前記吸着材から離脱した前記目的成分を回収するための回収容器と、
前記検出器から流出した流体が前記捕集管を通過するように前記捕集管を前記検出器の出口に接続した第1状態と前記捕集管を前記回収容器に接続した第2状態のいずれかの状態に切り替えるための切替機構と、を備え、
前記捕集管の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構を前記第1状態にして前記検出器から流出した流体中の前記目的成分を前記捕集管に導くことで前記目的成分を前記吸着材に吸着させ、前記切替機構を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管を前記第2温度以上にすることで前記目的成分を前記回収容器に回収するように構成され
前記試料ガス供給部、前記温度調節部及び前記切替機構の動作を制御し、前記捕集管の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構を前記第1状態にし、前記試料ガス供給部から所定量の試料ガスを前記分離カラムへ供給し、前記分離カラムで他の成分から分離された前記目的成分のみを含むガスを前記捕集管へ導いて前記目的成分を前記吸着材に吸着させる吸着動作を実行するように構成された吸着動作部を備えており、
前記試料ガス供給部、前記温度調節部及び前記切替機構の動作を制御し、前記吸着動作の後で、前記切替機構を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管を前記第2温度以上にして前記目的成分を前記回収容器に回収する回収動作を実行するように構成された回収動作部を備えており、
前記吸着動作部は、前記吸着動作を複数回にわたって実行するように構成され、
前記回収動作部は、複数回の前記吸着動作が終了した後で前記回収動作を実行するように構成されている、ガス分取システム。
【請求項2】
前記捕集管を複数備え、
前記切替機構は、前記第1状態において複数の前記捕集管のうちいずれか1つを前記検出器の出口に接続するように構成されている、請求項1に記載のガス分取システム。
【請求項3】
前記吸着材はシリカゲルである、請求項1に記載のガス分取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機合成反応などで得られた混合ガス中の目的成分を高純度で取り出すために、一般的には精密蒸留装置が用いられる。しかしながら、精密蒸留装置による一度の精製で得られる精製ガスの量は1g以下である。また、ガスはハンドリングが難しいため、高精度な精製を実現することは容易ではない。
【0003】
また、ガスクロマトグラフを利用して試料に含まれる成分を分取することも提案されている(特許文献1参照。)。特許文献1において提案されている装置では、分離カラムから溶出した目的成分を超低温にして液化させ、容器に捕集するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-218529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、分離カラムから溶出した目的成分を液化させて容器に捕集する構成では、液化物によって系が塞がれる可能性があり、目的成分の安定的な分取ができない虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、目的成分を高効率かつ安定的に分取することが可能なガス分取システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るガス分取システムは、試料ガス中に含まれる成分を分離するための分離カラムと、前記分離カラムの入口に流体的に接続され、前記分離カラムへ試料ガスを供給するための試料ガス供給部と、前記分離カラムの出口に流体的に接続され、前記分離カラムから流出したガス中の成分を検出する検出器と、前記試料ガス中の目的成分を第1温度以下の条件で吸着させ、吸着させた前記目的成分を前記第1温度よりも高い第2温度以上の条件で離脱させる性質を有する吸着材が内部に充填された捕集管と、前記捕集管の冷却及び加熱を行なって前記捕集管の温度を調節するための温度調節部と、前記捕集管の前記吸着材から離脱した前記目的成分を回収するための回収容器と、前記検出器から流出した流体が前記捕集管を通過するように前記捕集管を前記検出器の出口に接続した第1状態と前記捕集管を前記回収容器に接続した第2状態のいずれかの状態に切り替えるための切替機構と、を備え、前記捕集管の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構を前記第1状態にして前記検出器から流出した流体中の前記目的成分を前記捕集管に導くことで前記目的成分を前記吸着材に吸着させ、前記切替機構を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管を前記第2温度以上にすることで前記目的成分を前記回収容器に回収するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス分取システムによれば、前記捕集管の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構を前記第1状態にして前記検出器から流出した流体中の前記目的成分を前記捕集管に導くことで前記目的成分を前記吸着材に吸着させ、前記切替機構を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管を前記第2温度以上にすることで前記目的成分を前記回収容器に回収するように構成されているので、目的成分を高効率かつ安定的に分取することが可能なガス分取システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ガス分取システムの一実施例を示す概略構成図である。
図2】同実施例において試料ガスを分離カラムに導入する際の状態を示す概略構成図である。
図3】同実施例において目的成分を捕集管に捕集する際の状態を示す概略構成図である。
図4】同実施例の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】ガス分取システムの他の実施例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ガス分取システムの実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示されているように、ガス分取システムの一実施例は、主として、試料ガス供給部2、分離カラム4、検出器6、捕集管8、温度調節部10、回収容器12、切替バルブ14及び制御装置16を備えている。
【0012】
試料ガス供給部2は、分離カラム4へ試料ガスを供給するためのものであって、切替バルブ18、試料ガス源20、ストップバルブ22、計量管24、ポンプ26、ストップバルブ28、フローコントローラ30及び32を備えている。切替バルブ18は、1-6のポートを有する6ポート2ポジションバルブであり、ポート1-2間、3-6間及び4-5間を流体連通させた第1状態(図1の状態)、又は、ポート1-6間、2-5間及び3-4間を流体連通させた第2状態(図2及び図3の状態)のいずれか一方の状態に切り替えられる。切替バルブ18のポート1には分離カラム4の入口が接続され、ポート2にはフローコントローラ30を介してキャリアガス源が接続されており、ポート3にはストップバルブ22を介して試料ガス源20が接続されており、ポート4にはストップバルブ28を介してポンプ26が接続されており、ポート5には計量管24の一端が接続され、ポート6には計量管24の他端が接続されている。
【0013】
試料ガス供給部2は、切替バルブ18を第1状態(図1の状態)、ストップバルブ22及び28を開にした状態でポンプ26により試料ガス20を吸引することで、計量管24内に試料ガスを充填し、その後、切替バルブ18を第2状態(図2及び図3の状態)にしてキャリアガスを計量管24へ導入することで、計量管24内に充填された試料ガスを分離カラム4へ供給する。この実施例において、計量管24の内部容量は100mL以上である。すなわち、試料ガス供給部2は、一度に100mL以上の試料ガスを分離カラム4へ供給することができる。
【0014】
分離カラム4は、試料ガス供給部2により供給される試料ガスを成分ごとに分離するためのものである。この実施例では、試料ガス供給部2が一度に100mL以上の試料ガスを分離カラム4へ供給するものである(通常のガスクロマトグラフの分離カラムへの試料ガスの供給量は0.5~5mL程度)ため、分離カラム4として、そのような大容量の試料ガスを分離することができるように、通常のガスクロマトグラフに使用される分離カラムよりも内径及び長さの大きいカラムが使用されている。具体的には、通常のガスクロマトグラフであれば3mm程度の内径を有する分離カラムが使用されるが、この実施例の分離カラム4は6mm以上の内径を有する。また、分離カラム4の長さを6mm程度と通常のガスクロマトグラフのものよりも長くしてカラムのヘッド圧を高めることで、分離効率を向上させている。これにより、100mL以上もの大容量の試料ガスの分離を実現することができる。
【0015】
また、試料ガスが有機フロン系ガスである場合、分離カラム4の充填剤としては、ジビニールベンゼン、エチルビニールベンゼン及びエチレングリコールジメタアクリレートの共重合体の充填剤(例えば、Porapak N、Sanpak X(共にジーエルサイエンス株式会社の商品))を用いることができる。
【0016】
分離カラム4の出口は検出器6の入口に接続されている。この実施例では、検出器6として熱伝導度検出器(TCD)が用いられている。分離カラム4とは別に抵抗カラム34が設けられている。抵抗カラム34の一端はフローコントローラ32を介してキャリアガス源に接続されており、抵抗カラム34の他端も検出器6に接続されている。抵抗カラム34を流れたキャリアガスは参照ガスとして検出器6のセルを通過する。
【0017】
なお、図示は省略されているが、分離カラム4及び抵抗カラム34はカラムオーブン内に収容されており、分離カラム4及び抵抗カラム34の温度が分析条件として設定された温度に調節される。
【0018】
切替バルブ14は、1-6のポートを有する6ポート2ポジションバルブである。切替バルブ14のポート1には検出器6の出口が接続され、ポート2は大気開放され、ポート3にはストップバルブ36を介して回収容器12が接続され、ポート4は閉鎖され、ポート5には捕集管8の一端が接続され、ポート6には捕集管8の他端が接続されている。切替バルブ14は、捕集管8を検出器6の出口に流体的に接続した第1状態(図3の状態)、及び捕集管8を回収容器12に流体的に接続した第2状態(図1及び図2の状態)のいずれか一方の状態に切り替える切替機構を構成する。
【0019】
捕集管8の内部には、第1温度(例えば、0℃)以下の条件において目的成分を吸着させ、第2温度(例えば、100℃)以上の条件において目的成分を離脱させる性質をもつ吸着材が充填されている。目的成分がフロン系ガス又は代替フロン系ガスである場合、吸着材としてシリカゲルを用いることができる。また、目的成分がクリプトンなど希ガス元素である場合には、吸着材として活性炭を用いることができる。
【0020】
温度調節部10は捕集管8の温度を所望の温度に調節するためのものである。この実施例では、温度調節部10として、不凍液を設定された温度に調節する機能を有する恒温水槽(例えば、ネオクールバス(ヤマト科学株式会社の製品))を用いることができる。また、捕集管8の温度を高温(例えば、100℃以上)に加熱する必要がある場合には、温度調節部10として分離カラム4を加熱するためのカラムオーブンを用いることができる。
【0021】
制御装置16は、試料ガス供給部2(切替バルブ18、ストップバルブ22、ポンプ26、ストップバルブ28、フローコントローラ30及び32)、温度調節部10、切替バルブ14及びストップバルブ36の動作制御を行なう。検出器6の検出信号は制御装置16に取り込まれる。制御装置16は、専用のコンピュータ又は汎用のパーソナルコンピュータによって実現することができる。
【0022】
制御装置16は、吸着動作部38及び回収動作部40を備えている。吸着動作部38及び回収動作部40は、制御装置16に設けられている中央演算装置(CPU)が所定のプログラムを実行することにより得られる機能である。
【0023】
吸着動作部38は、分離カラム4において他の成分から分離された試料ガス中の目的成分を捕集管8の吸着材に吸着させる吸着動作を実行するように構成されている。吸着動作とは、試料ガス供給部2から分離カラム4へ試料ガスを供給し、分離カラム4にて他の成分から分離された目的成分のみを含むガスを捕集管8へ導くように、検出器6の検出信号に基づいて切替バルブ14を第1状態(図3の状態)と第2状態(図2の状態)との間で切り替える動作である。このとき、捕集管8の温度を第1温度以下(例えば、0℃)にまで冷却し、捕集管8内の吸着材に目的成分を吸着させる。吸着動作部38は、このような吸着動作を所定回数だけ繰り返し実行するように構成されている。
【0024】
回収動作部40は、所定回数の吸着動作が終了した後、切替バルブ14を第2状態(図2の状態)にするとともにストップバルブ36を開にし、捕集管8を第2温度以上(例えば、100℃)にまで加熱する回収動作を実行するように構成されている。この回収動作により、捕集管8の吸着材に吸着されていた目的成分が吸着材から離脱し、回収容器12に回収される。
【0025】
図1から図3とともに図4のフローチャートを用いて、この実施例の動作について説明する。
【0026】
まず、吸着動作部38が吸着動作を実行する(ステップ101~104)。吸着動作では、切替バルブ18を図1の状態にして計量管24内に試料ガスを充填する(ステップ101)。その後、切替バルブ18を図2の状態に切り替え、計量管24内に充填した試料ガスを分離カラム4へ導入する(ステップ102)。吸着動作部38は、検出器6の検出信号を確認しながら、分離カラム4から溶出した各成分のうちの目的成分が切替バルブ14に到達するまでは、切替バルブ14を第2状態(図2の状態)にしておき、目的成分が切替バルブ14に到達したタイミングで切替バルブ14を第1状態(図3の状態)に切り替え、目的成分のみを含むガスを捕集管8に導き、目的成分を吸着材に吸着させる(ステップ103)。吸着動作部38はこの吸着動作を所定回数だけ繰り返し実行する(ステップ104)。
【0027】
所定回数の吸着動作が終了した後、回収動作部40が回収動作を実行する(ステップ105)。回収動作では、切替バルブ14(切替機構)を第2状態(図2の状態)にするとともにストップバルブ36を開にし、捕集管8を第2温度以上の温度(例えば、100℃)に加熱して吸着材から目的成分を離脱させ、回収容器12に回収する(ステップ105)。
【0028】
なお、図5に示されているように、複数の捕集管8a、8b及び8cと複数の回収容器12a、12b及び12cをシステムに組み込み、より大量の目的成分を分取することができるようにしてもよい。図5の構成では、切替機構として切替バルブ14a、14b及び14cを備えており、切替バルブ14a、14b及び14cの状態によって、捕集管8a、8b及び8cのうちのいずれか1つを検出器6の出口に接続した状態(第1状態)と、捕集管8a、8b及び8cをそれぞれ回収容器12a、12b及び12cに接続した状態(第2状態)にすることができる。
【0029】
以上において説明した実施例は本発明に係るガス分取システムの実施形態を例示したに過ぎない。本発明に係るガス分取システムの実施形態は以下のとおりである。
【0030】
本発明に係るガス分取システムの一実施形態では、試料ガス中に含まれる成分を分離するための分離カラム(4)と、前記分離カラム(4)の入口に流体的に接続され、前記分離カラム(4)へ試料ガスを供給するための試料ガス供給部(2)と、前記分離カラム(4)の出口に流体的に接続され、前記分離カラム(4)から流出したガス中の成分を検出する検出器(6)と、前記試料ガス中の目的成分を第1温度以下の条件で吸着させ、吸着させた前記目的成分を前記第1温度よりも高い第2温度以上の条件で離脱させる性質を有する吸着材が内部に充填された捕集管(8;8a;8b;8c)と、前記捕集管(8;8a;8b;8c)の冷却及び加熱を行なって前記捕集管(8;8a;8b;8c)の温度を調節するための温度調節部(10)と、前記捕集管(8;8a;8b;8c)の前記吸着材から離脱した前記目的成分を回収するための回収容器(12;12a;12b;12c)と、前記検出器(6)から流出した流体が前記捕集管(8;8a;8b;8c)を通過するように前記捕集管(8;8a;8b;8c)を前記検出器(6)の出口に接続した第1状態と前記捕集管(8;8a;8b;8c)を前記回収容器(12;12a;12b;12c)に接続した第2状態のいずれかの状態に切り替えるための切替機構(14;14a;14b;14c)と、を備え、前記捕集管(8;8a;8b;8c)の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構(14;14a;14b;14c)を前記第1状態にして前記検出器(6)から流出した流体中の前記目的成分を前記捕集管(8;8a;8b;8c)に導くことで前記目的成分を前記吸着材に吸着させ、前記切替機構(14;14a;14b;14c)を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管(8;8a;8b;8c)を前記第2温度以上にすることで前記目的成分を前記回収容器(12;12a;12b;12c)に回収するように構成されている。
【0031】
本発明に係るガス分取システムの上記実施形態の第1態様では、前記試料ガス供給部(2)、前記温度調節部(10)及び前記切替機構(14;14a;14b;14c)の動作を制御し、前記捕集管(8;8a;8b;8c)の温度を前記第1温度以下にするとともに前記切替機構(14;14a;14b;14c)を前記第1状態にし、前記試料ガス供給部(2)から所定量の試料ガスを前記分離カラム(4)へ供給し、前記分離カラム(4)で他の成分から分離された前記目的成分のみを含むガスを前記捕集管(8;8a;8b;8c)へ導いて前記目的成分を前記吸着材に吸着させる吸着動作を実行するように構成された吸着動作部(38)を備えている。このような態様により、目的成分を捕集管(8;8a;8b;8c)内の吸着材へ吸着させる吸着動作を自動的に実行することができる。
【0032】
上記第1態様において、前記試料ガス供給部(2)、前記温度調節部(10)及び前記切替機構(14;14a;14b;14c)の動作を制御し、前記吸着動作の後で、前記切替機構(14;14a;14b;14c)を前記第2状態にして前記目的成分を前記吸着材に吸着させた前記捕集管(8;8a;8b;8c)を前記第2温度以上にして前記目的成分を前記回収容器(12;12a;12b;12c)に回収する回収動作を実行するように構成された回収動作部を備えていてもよい。そうすれば、捕集容器(8;8a;8b;8c)内の吸着材に吸着させた目的成分を回収容器(12;12a;12b;12c)に回収する回収動作を自動的に実行することができる。
【0033】
上記の場合、前記吸着動作部(38)は、前記吸着動作を複数回にわたって実行するように構成され、前記回収動作部(40)は、複数回の前記吸着動作が終了した後で前記回収動作を実行するように構成されているようにしてもよい。これにより、大量の目的成分の分取を自動的に実行することができる。
【0034】
また、本発明に係るガス分取システムの上記実施形態の第2態様では、前記捕集管(8;8a;8b;8c)を複数備え、前記切替機構(14;14a;14b;14c)は、前記第1状態において複数の前記捕集管(8;8a;8b;8c)のうちいずれか1つを前記検出器(6)の出口に接続するように構成されている。このような態様により、吸着材に吸着させることができる目的成分の量を増大させることができ、より大量の目的成分の分取が可能となる。この第2態様は上記第1態様と組み合わせることができる。
【0035】
また、本発明に係るガス分取システムの上記実施形態の第3態様では、前記吸着材はシリカゲルである。この第3態様は上記第1態様及び第2態様と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0036】
2 試料ガス供給部
4 分離カラム
6 検出器
8,8a,8b,8c 捕集管
10 温度調節部
12,12a,12b,12c 回収容器
14,14a,14b,14c 切替バルブ(切替機構)
16 制御装置
18 切替バルブ
20 試料ガス源
22,28,36 ストップバルブ
24 計量管
26 ポンプ
30,32 フローコントローラ
34 抵抗カラム
38 吸着動作部
40 回収動作部
図1
図2
図3
図4
図5