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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/08 20060101AFI20220329BHJP
   B05B 12/14 20060101ALI20220329BHJP
   B05B 15/55 20180101ALI20220329BHJP
【FI】
B05B12/08
B05B12/14
B05B15/55
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017250757
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019115882
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓太
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-035876(JP,A)
【文献】実開平03-119457(JP,U)
【文献】特開平09-285748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066000(US,A1)
【文献】特開2010-207667(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2004-0077744(KR,A)
【文献】センサの用語解説,Panasonic,パナソニック デバイスSUNX株式会社 マーケティング統括部,2012年07月,p.1-2,https://www3.panasonic.biz/ac/download/service/tech_support/fasys/glossary/pdf/glossary_001.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00-16/80
B05C 7/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ガンと、
前記塗装ガンに向けて、互いに異なる種類の塗料を個別に供給する複数の塗料供給源と、
前記塗装ガンと、前記複数の塗料供給源との間に設けられ、前記塗装ガンに向けて供給する塗料の種類を切り替える切換バルブと、
洗浄液供給路を介して前記切換バルブに接続され、前記塗装ガンに向けて洗浄液を供給する洗浄液供給源と、
前記切換バルブの出口から前記塗装ガンの吐出口までの共用流路に臨むように配置した第1投光部、第1受光部及び第2投光部と、
前記第2投光部から投光され前記共用流路内の流体で反射した光を受ける第2受光部と、
前記第1投光部から投光され前記共用流路内を通過して前記第1受光部が受光した光量に基づいて、前記共用流路内の洗浄が完了したか否かを判定する洗浄判定部と、
前記第2受光部が受けた反射光に基づいて、前記共用流路内に所望の種類の塗料の充填が完了したか否かを判定する充填判定部と、
先端に前記第1投光部及び前記第1受光部を有する第1光ファイバケーブルと、
先端に前記第2投光部及び前記第2受光部を有し、先端部が前記共用流路内における塗料の進行方向と同じ方向を向いた状態で配置される第2光ファイバケーブルと、
を備え、
前記洗浄判定部によって前記共用流路内の洗浄が完了したと判定すると、新たな塗料を供給する処理に移ることを特徴とする塗装装置。
【請求項2】
前記第2投光部は、前記共用流路のうち前記切換バルブの出口から前記塗装ガンの供給口までの流路に臨むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、塗料を吐出する塗装ガンと、この塗装ガンに向けて複数種類の塗料のうち何れかの塗料を選択的に供給する切換バルブと、を備えた塗装装置が開示されている。こうした塗装装置では、塗料の種類を切り替える際、塗装ガン内に残っている塗料が新たに供給する塗料と混ざらないように、洗浄液で一旦洗浄する。洗浄中は、洗浄液が切替前の塗料と混ざりながら塗装ガンから吐出され、吐出される洗浄液に塗料が混ざらなくなると洗浄が完了となる。洗浄が完了した状態では流路内に洗浄液が残っており、この状態で新たな塗料が供給される。このため、初めのうちは洗浄液と混ざった塗料が塗装ガンから吐出される。その後、吐出される塗料に洗浄液が混ざらなくなると、塗料の充填が完了となる。この塗料の充填の完了は、新たな塗料の供給を開始してからの経過時間が予め設定しておいた時間を超えたことを検知することによって判定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-136743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、塗料は種類ごとに含有成分が異なるので、塗料が供給される速度も塗料の種類ごとに異なり、その結果、充填が完了するまでにかかる時間も塗料の種類ごとに異なる。このため、いずれの種類の塗料であっても確実に充填が完了するように最も充填に時間がかかる塗料に合わせて充填時間を設定すると、充填時間が短く済む場合に塗料を無駄に吐出してしまう。また、こうした事態を避けるために、塗料の種類ごとに充填時間を設定することも考えられるが、塗料の種類ごとに適切な充填時間を割り出して設定することは手間がかかるという問題がある。さらに、同じ塗料であっても、気温や液温の違いなどによって粘度に違いが生じ充填に必要な時間が変化することもあり、こうした事情を加味して充填時間を長めに設定すると塗料を無駄に吐出しやすくなるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、塗料の無駄な吐出を抑えることができる塗装装置の提供を解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗装装置は、
塗装ガンと、
前記塗装ガンに向けて、互いに異なる種類の塗料を個別に供給する複数の塗料供給源と、
前記塗装ガンと、前記複数の塗料供給源との間に設けられ、前記塗装ガンに向けて供給する塗料の種類を切り替える切換バルブと、
洗浄液供給路を介して前記切換バルブに接続され、前記塗装ガンに向けて洗浄液を供給する洗浄液供給源と、
前記切換バルブの出口から前記塗装ガンの吐出口までの共用流路に臨むように配置した第1投光部、第1受光部及び第2投光部と、
前記第2投光部から投光され前記共用流路内の流体で反射した光を受ける第2受光部と、
前記第1投光部から投光され前記共用流路内を通過して前記第1受光部が受光した光量に基づいて、前記共用流路内の洗浄が完了したか否かを判定する洗浄判定部と、
前記第2受光部が受けた反射光に基づいて、前記共用流路内に所望の種類の塗料の充填が完了したか否かを判定する充填判定部と、
先端に前記第1投光部及び前記第1受光部を有する第1光ファイバケーブルと、
先端に前記第2投光部及び前記第2受光部を有し、先端部が前記共用流路内における塗料の進行方向と同じ方向を向いた状態で配置される第2光ファイバケーブルと、
を備え、
前記洗浄判定部によって前記共用流路内の洗浄が完了したと判定すると、新たな塗料を供給する処理に移るところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塗装装置では、洗浄が完了して、新たな塗料を供給する際、新たな塗料が共用流路内に残った洗浄液と混ざりながら吐出され、共用流路内に占める洗浄液の割合が徐々に低下していくのに対して、共用流路内に占める塗料の割合が徐々に増加していく。そして、共用流路内全体に塗料が充填されると、受光部は共用流路内に充填された塗料で反射した光を受ける。このため、その反射光に基づいて、反射物が所望の種類の塗料であるか否かを検出することができるので、共用流路内が新たな塗料で満たされたタイミングで塗料の充填が完了したと判定することができ、その結果、塗料の無駄な吐出を抑えることができる。
また、塗装ブース内に投受光用の光電素子等を含む電子機器を配置する場合には、塗料に引火しないように電子機器を防爆構造とする必要がある。この点、本発明の塗装装置では、通電不要の第1光ファイバケーブルの先端に第1投光部及び第1受光部を設け、第2光ファイバケーブルの先端に第2投光部及び第2受光部を設けたので、第1投光部、第1受光部、第2投光部及び第2受光部を防爆構造とすることなく、塗装ブース内に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の塗装装置の概略図である。
図2】第1光ファイバケーブルが設置された状態を示した概略図である。
図3図2の矢視A-A部分における第1光ファイバケーブルの断面図である。
図4】第2光ファイバケーブルが設置された状態を示した概略図である。
図5図4の矢視B-B部分における第2光ファイバケーブルの断面図である。
図6】塗装装置の電気的構成を示したブロック図である。
図7】共用流路内を洗浄する処理のフローチャートである。
図8】塗装ガンに塗料を充填する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
)本発明の塗装装置において、前記第2投光部は、前記共用流路のうち前記切換バルブの出口から前記塗装ガンの供給口までの流路に臨むように配置されていてもよい。
こうすれば、塗装ガンの構造を設計変更することなく塗装装置に第2投光部及び第2受光部を組み込むことができるので、塗装装置に第2投光部及び第2受光部を容易に搭載することができる。
【0011】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図8を参照して説明する。
【0012】
<塗装装置10>
本実施例1の塗装装置10は、溶剤系塗料を用いて被塗物をスプレイ塗装するものであり、塗料の種類を切り替えることで複数種類の塗料による塗装を可能とするものである。この塗装装置10は、図1に示すように、塗装ガン20と、複数の塗料供給源30と、洗浄液供給源34と、エア供給源36と、切換バルブ38とを備えている。
【0013】
塗装ガン20は、塗料を霧状に吐出することで被塗物を塗装するものである。塗装ガン20の後端部には、塗料が供給される供給口22が形成されている。塗装ガン20の先端部には、供給口22から供給された塗料を吐出する吐出口24が形成されている。塗装ガン20には、供給口22と吐出口24とをつなぐガン内共用流路54が形成されている。供給口22から供給された塗料は、このガン内共用流路54を通じて吐出口24に送られる。ガン内共用流路54は、管状の部材によって形成されている。この管状の部材は、例えば絶縁性を有する樹脂(例えばフッ素樹脂)で形成されている。
【0014】
複数の塗料供給源30は、塗装ガン20に向けて、互いに異なる種類の塗料を個別に供給するものである。ここで、塗料の種類とは、塗料の含有成分(樹脂材料、顔料、添加物など)によって分類されるものをいう。本実施例では、塗料ごとに含有する顔料が異なっており、塗料の種類によって色が異なっている。各塗料供給源30は、それぞれ塗料を貯留するタンク(図示省略)と、このタンクの塗料を塗装ガン20に向けて供給するポンプ(図示省略)とを有している。各塗料供給源30は、各々に対応して設けられた塗料供給路31を介して切換バルブ38に接続されており、この切換バルブ38と後述する供給用共用流路52を介して塗装ガン20に接続されている。
【0015】
複数の塗料供給源30は、少なくとも第1塗料(例えば青色の塗料)を供給する第1塗料供給源30Aと、第2塗料(例えば赤色の塗料)を供給する第2塗料供給源30Bとを含んでいる。塗料供給路31としては、少なくとも第1塗料供給源30Aに対応して設けられた第1塗料供給路31Aと、第2塗料供給源30Bに対応して設けられた第2塗料供給路31Bとが存在する。
【0016】
洗浄液供給源34は、塗装ガン20に向けて洗浄液(例えばシンナー等の有機溶剤)を供給するものである。洗浄液供給源34は、洗浄液を貯留するタンク(図示省略)と、このタンクの洗浄液を塗装ガン20に向けて供給するポンプ(図示省略)とを有している。洗浄液供給源34は、洗浄液供給路35を介して切換バルブ38に接続されており、この切換バルブ38と後述する供給用共用流路52を介して塗装ガン20に接続されている。
【0017】
エア供給源36は、塗装ガン20に向けてエアを供給するものである。エア供給源36は、コンプレッサ(図示省略)を有しており、コンプレッサで圧縮された空気を圧送する。エア供給源36は、エア供給路37を介して切換バルブ38に接続されており、この切換バルブ38と後述する供給用共用流路52を介して塗装ガン20に接続されている。
【0018】
切換バルブ38は、複数の塗料供給源30、洗浄液供給源34及びエア供給源36の下流側であって、塗装ガン20の上流側に設けられている。すなわち、切換バルブ38は、塗装ガン20と、複数の塗料供給源30、洗浄液供給源34及びエア供給源36との間に設けられている。切換バルブ38は、供給用共用流路52を介して塗装ガン20に接続されている。供給用共用流路52は、絶縁性を有する樹脂(例えばフッ素樹脂)製のホース(図示省略)によって形成されている。なお、供給用共用流路52は、塗装ガン20内のガン内共用流路54とともに、切換バルブ38の出口39と塗装ガン20の吐出口24とをつなぐ共用流路50を構成している。
【0019】
切換バルブ38は、各塗料供給路31の下流端に接続された複数の塗料弁40を有している。具体的には、第1塗料供給路31Aの下流端に接続された第1塗料弁40Aと、第2塗料供給路31Bの下流端に接続された第2塗料弁40Bと、を少なくとも有している。また、切換バルブ38は、洗浄液供給路35の下流端に接続された洗浄液弁44と、エア供給路37の下流端に接続されたエア弁46と、を有している。これにより、切換バルブ38は、塗料弁40、洗浄液弁44及びエア弁46の開閉状態を個別に切り替えることによって、複数種類の塗料、洗浄液又はエアのうちいずれか1つの流体を、塗装ガン20に向けて選択的に供給することができる。
【0020】
<第1光ファイバケーブル70>
塗装装置10は、図1及び図2に示すように、第1ブロック60と、第1光ファイバケーブル70と、第1発光素子76と、第1受光素子78とを備えている。第1ブロック60は、例えばアルミニウム製であり、略直方体形状をなしている。第1ブロック60には、第1ブロック内流路62が貫通して形成されている。第1ブロック内流路62は、共用流路50の一部を構成している。第1ブロック内流路62の断面形状は円形である。第1ブロック内流路62の上流端は、後述する第2ブロック内流路82の下流端に連続しており、第1ブロック内流路62の下流端は、ガン内共用流路54の上流端に連続している。
【0021】
第1ブロック60には、第1光ファイバケーブル70の一端が嵌め込まれる第1収容部64が形成されている。第1収容部64の断面形状は円形である。第1収容部64は、一端が第1ブロック60の外面に開口しており、他端が第1ブロック内流路62に直交して連通している。第1収容部64は、第1ブロック内流路62を挟んで両側に1つずつ形成されている。以下では、各第1収容部64について、第1収容部64の第1ブロック内流路62側を内側とし、その反対側を外側として説明する。各第1収容部64は、外側部、中間部、内側部の順で段階的に縮径している。
【0022】
第1光ファイバケーブル70は、図3に示すように、第1光ファイバ71と、第1光ファイバ71の外周を覆う第1被覆72とを有してなる。第1光ファイバケーブル70の一端には、第1光ファイバケーブル70の外周を包囲する円筒状の第1ヘッド74が嵌め込まれている。第1ヘッド74は、第1光ファイバケーブル70に装着される細長の内筒と、この内筒の外周を覆う外筒とを有している。内筒の両端部は、外筒の両端部から軸方向に突出している。外筒は、中心軸を回転軸として回転自在な状態で内筒に支持されている。外筒の外周面にはネジ溝が形成されている。
【0023】
第1ヘッド74は、その先端から第1光ファイバケーブル70を少し突出させた状態で第1光ファイバケーブル70に装着される。以下では、第1光ファイバケーブル70について、第1ヘッド74が嵌め込まれた側の端部を先端部とし、その反対側の端部を基端部として説明する。
【0024】
第1光ファイバケーブル70は2本設けられており、各々の先端部が、第1ブロック60の各第1収容部64に嵌め込まれる。第1ヘッド74の外筒の外径は、第1収容部64の外側部の径よりも僅かに小さい。第1ヘッド74の内筒の外径は、第1収容部64の中間部の径よりも僅かに小さい。第1光ファイバケーブル70の外径は、第1収容部64の内側部の径よりも僅かに小さい。これにより、第1ヘッド74の先端から突出した第1光ファイバケーブル70の先端部は、第1収容部64の内側部に嵌まり込む。第1ヘッド74の内筒は、第1収容部64の中間部に嵌まり込む。第1ヘッド74の外筒は、第1収容部64の外側部に嵌まり込む。
【0025】
第1収容部64の内周面にはネジ溝が形成されている。第1ヘッド74の外筒が第1収容部64にねじ込まれることによって、第1光ファイバケーブル70及び第1ヘッド74が第1ブロック60に固定される。各第1光ファイバケーブル70は、第1ブロック60に固定されることによって、先端部が第1ブロック内流路62に臨むように配置される。より具体的には、一対の第1光ファイバケーブル70,70の先端部は、第1ブロック内流路62を挟んで互いに同軸状に対向するように配置される。また、各第1光ファイバケーブル70は、第1ブロック60に固定された状態では、先端部が第1ブロック内流路62に露出した状態となる。この露出した部分(各第1光ファイバケーブル70の先端部)は、絶縁性を有する樹脂(例えばフッ素樹脂)でコーティングされている。また、第1ブロック内流路62を流れる塗料等の流体が第1収容部64から外部へ漏れないように、第1収容部64と第1光ファイバケーブル70との間には第1シール部材66(例えばOリング)が嵌め込まれる。
【0026】
2本の第1光ファイバケーブル70のうち、一方の第1光ファイバケーブル70の基端部の近傍には、第1発光素子76が設けられている。第1発光素子76は、例えばLEDとすることができ、より具体的には赤色LEDとすることができる。この一方の第1光ファイバケーブル70は、第1発光素子76が放出した光を基端部で受け、その受けた光を先端部から投光する。以下では、この一方の第1光ファイバケーブル70を「投光用の第1光ファイバケーブル70A」と称し、投光用の第1光ファイバケーブル70Aの先端部を「第1投光部73A」と称する。
【0027】
他方の第1光ファイバケーブル70の先端部は、投光用の第1光ファイバケーブル70Aが投光した光を受けることができる。以下では、この他方の第1光ファイバケーブル70を「受光用の第1光ファイバケーブル70B」と称し、受光用の第1光ファイバケーブル70Bの先端部を「第1受光部73B」と称する。受光用の第1光ファイバケーブル70Bは、第1受光部73Bから受けた光を、基端部から放出する。受光用の第1光ファイバケーブル70Bの基端部の近傍には、第1受光素子78が設けられており、受光用の第1光ファイバケーブル70Bの基端部から光が放出されると、第1受光素子78がその光を受ける。第1受光素子78は、例えばフォトダイオードとすることができる。
【0028】
上述した塗装ガン20、切換バルブ38、共用流路50、第1ブロック60、及び第1光ファイバケーブル70の先端部(第1投光部73A及び第1受光部73B)は、図1に示すように、防爆構造とすることが必要な防爆エリアA1(塗装ブース内)に配置されている。これに対し、第1光ファイバケーブル70の基端部、第1発光素子76、第1受光素子78、及び後述の制御部100は防爆構造とする必要がない非防爆エリアA2(塗装ブース外)に配置されている。
【0029】
<第2光ファイバケーブル90>
塗装装置10は、図1及び図4に示すように、第2ブロック80と、第2光ファイバケーブル90と、第2発光素子96と、第2受光素子98とを備えている。第2ブロック80は、例えばアルミニウム製であり、略直方体形状をなしている。第2ブロック80には、第2ブロック内流路82が貫通して形成されている。第2ブロック内流路82は、共用流路50の一部を構成している。第2ブロック内流路82の断面形状は円形である。第2ブロック内流路82の上流端は、供給用共用流路52の下流端に連続しており、第2ブロック内流路82の下流端は、第1ブロック内流路62の上流端に連続している。なお、第2ブロック80は、第1ブロック60の上流側に配置されているが、第1ブロック60の下流側に配置されていてもよい。また、第1ブロック60と第2ブロック80とは隣接しているが、離間していてもよい。
【0030】
第2ブロック内流路82は、途中で折れ曲がっている。具体的には、第2ブロック内流路82は、第1流路82Aと、第2流路82Bと、第3流路82Cと、を有している。第1流路82Aは、第2ブロック80の上流側の開口部に連通して直線状に延びている。第2流路82Bは、第1流路82Aの下流側の端部に直交して直線状に延びている。第3流路82Cは、第2流路82Bの下流側の端部に直交して直線状に延びており、第2ブロック80の下流側の開口部に連通している。
【0031】
第2ブロック80には、第2光ファイバケーブル90が嵌め込まれる第2収容部84が形成されている。第2収容部84は、一端が第2ブロック80の外面に開口しており、他端が第2ブロック内流路82に連通している。第2収容部84は、第2ブロック内流路82の折れ曲がった部分に連通しており、連通する第2ブロック内流路82の延長方向に延びるように配置されている。具体的には、第2収容部84は、他端が第3流路82Cの上流側の端部に連通しており、第3流路82Cの上流側の延長方向に延びるように配置されている。なお、第2収容部84の形状は、上述した第1収容部64の形状と同じであるため、説明を省略する。
【0032】
第2光ファイバケーブル90は、図5に示すように、複数(ここでは2本)の第2光ファイバ91と、これら複数の第2光ファイバ91の外周を覆う第2被覆92と、を有してなる。複数の第2光ファイバ91は、少なくとも1本(ここでは1本)の投光用光ファイバ91Aと、少なくとも1本(ここでは1本)の受光用光ファイバ91Bと、を含んでいる。
【0033】
第2光ファイバケーブル90は、集合ケーブル部90Aと、分岐部90Bと、投光ケーブル部90Cと、受光ケーブル部90Dと、を有している。なお、以下では、第2光ファイバケーブル90について、集合ケーブル部90A側を先端側とし、投光ケーブル部90C及び受光ケーブル部90D側を基端側として説明する。投光用光ファイバ91Aは、投光ケーブル部90Cの基端から分岐部90Bを通じて集合ケーブル部90Aの先端まで延びている。受光用光ファイバ91Bは、受光ケーブル部90Dの基端から分岐部90Bを通じて集合ケーブル部90Aの先端まで延びている。すなわち、集合ケーブル部90Aでは、投光用光ファイバ91Aと受光用光ファイバ91Bが1本のケーブルにまとめられている。
【0034】
第2光ファイバケーブル90の先端部には、第2光ファイバケーブル90の外周を包囲する円筒状の第2ヘッド94が嵌め込まれている。第2ヘッド94は、先端から第2光ファイバケーブル90を少し突出させた状態で第2光ファイバケーブル90に装着される。なお、第2ヘッド94の形状及び構造は、上述した第1ヘッド74の形状及び構造と同じであるため説明を省略する。
【0035】
第2光ファイバケーブル90は、先端部から第2ブロック80の第2収容部84に嵌め込まれる。第2ヘッド94の外筒の外径は、第2収容部84の外側部の径よりも僅かに小さい。第2ヘッド94の内筒の外径は、第2収容部84の中間部の径よりも僅かに小さい。第2光ファイバケーブル90の外径は、第2収容部84の内側部の径よりも僅かに小さい。このため、第2ヘッド94の先端から突出した第2光ファイバケーブル90の先端部は、第2収容部84の内側部に嵌まり込む。第2ヘッド94の内筒は、第2収容部84の中間部に嵌まり込む。第2ヘッド94の外筒は、第2収容部84の外側部に嵌まり込む。
【0036】
第2収容部84の内周面にはネジ溝が形成されている。第2ヘッド94の外筒が第2収容部84にねじ込まれることによって、第2光ファイバケーブル90及び第2ヘッド94が第2ブロック80に固定される。第2光ファイバケーブル90は、第2ブロック80に固定されることによって、先端部が第2ブロック内流路82の折れ曲がった部分において塗料の進行方向と同じ方向を向いた状態で配置される。より具体的には、第2光ファイバケーブル90は、先端部が第3流路82Cの上流側の端部において第3流路82Cにおける塗料の進行方向と同じ方向を向いた状態で配置される。第3流路82Cの下流端は、直線状の第1ブロック内流路62の上流端に連通しており、第1ブロック内流路62の下流端は、塗装ガン20の供給口22に連通しているので、第2光ファイバケーブル90の先端部は、塗装ガン20の供給口22と対向するように配置される。また、第2光ファイバケーブル90は、第2収容部84に嵌め込まれた状態では、先端部が第2ブロック内流路82に露出した状態となる。この露出した部分(第2光ファイバケーブル90の先端部)は、絶縁性を有する樹脂(例えばフッ素樹脂)でコーティングされている。また、第2ブロック内流路82を流れる塗料等の流体が第2収容部84から外部へ漏れないように、第2収容部84と第2光ファイバケーブル90との間には第2シール部材86(例えばOリング)が嵌め込まれる。
【0037】
第2光ファイバケーブル90の投光ケーブル部90C側の基端部の近傍には、第2発光素子96が設けられている。第2発光素子96は、例えばLEDとすることができ、より具体的には白色LEDとすることができる。第2光ファイバケーブル90は、投光用光ファイバ91Aを通じて、第2発光素子96が放出した光を基端部で受け、その受けた光を先端部から投光する。このため、以下では、投光用光ファイバ91Aの先端部を「第2投光部93A」と称する。第2投光部93Aは、第2ブロック内流路82(共用流路50)に臨むように配置されている。
【0038】
第2光ファイバケーブル90は、第2投光部93Aが投光して共用流路50内の流体(塗料、洗浄液、その混合流)で反射した光を、受光用光ファイバ91Bの先端部から受けることができる。このため、以下では、受光用光ファイバ91Bの先端部を「第2受光部93B」と称する。受光用光ファイバ91Bは、第2受光部93Bから受けた光を、基端部から放出する。受光用光ファイバ91Bの基端部の近傍には、第2受光素子98が設けられており、受光用光ファイバ91Bの基端部から光が放出されると、第2受光素子98がその光を受ける。第2受光素子98は、例えば、赤色光(波長=620~750nm)、緑色光(波長=495~570nm)、及び青色光(波長=450~495nm)のそれぞれに感度を持つ3チャネルのフォトダイオードとすることができる。
【0039】
上述した塗装ガン20、切換バルブ38、共用流路50、第2ブロック80、及び第2光ファイバケーブル90の先端部(第2投光部93A及び第2受光部93B)は、防爆構造とすることが必要な防爆エリアA1(塗装ブース内)に配置されている。これに対し、第2光ファイバケーブル90の基端部、第2発光素子96、第2受光素子98、及び後述の制御部100は防爆構造とする必要がない非防爆エリアA2(塗装ブース外)に配置されている。
【0040】
なお、第2光ファイバケーブル90が本発明の「光ファイバケーブル」に相当し、第2投光部93Aが本発明の「投光部」に相当し、第2受光部93Bが本発明の「受光部」に相当する。
【0041】
<塗装装置10の電気的構成>
塗装装置10は、図6に示すように、切換バルブ38を制御する制御部100を備えている。制御部100は、例えばマイクロコンピュータを有している。制御部100は、上述した第1発光素子76及び第1受光素子78に電気的に接続されており、第1発光素子76の発光状態を制御することができるとともに、第1受光素子78が受けた光(以下では、「透過光」と称する)の光量を示す電気信号を受信することができる。
【0042】
制御部100は、バルブ制御部102、透過光取得部110、洗浄判定値記憶部112、及び洗浄判定部114としての機能を有する。バルブ制御部102は、切換バルブ38(各塗料弁40、洗浄液弁44及びエア弁46)に電気的に接続されており、各塗料弁40、洗浄液弁44及びエア弁46の開閉状態を制御することができる。透過光取得部110は、透過光の光量を取得することができる。洗浄判定値記憶部112は、共用流路50内の洗浄が完了したか否かを判定する際の閾値となる洗浄判定値を記憶している。洗浄判定値は、予め設定した値であってもよいし、ユーザが任意に設定した値であってもよい。洗浄判定部114は、透過光の光量、及び洗浄判定値に基づいて、共用流路50内の洗浄が完了したか否かを判定する。なお、洗浄中は塗装ガンから吐出される洗浄液に切替前の塗料が混ざっており、吐出される洗浄液に塗料が混ざらなくなると洗浄完了となる。
【0043】
制御部100は、上述した第2発光素子96及び第2受光素子98に電気的に接続されており、第2発光素子96の発光状態を制御することができるとともに、第2受光素子98が受けた光(以下では、「反射光」と称する)の光量を示す電気信号を受信することができる。
【0044】
制御部100は、反射光取得部120、塗料識別情報記憶部122、及び充填判定部124としての機能を有する。反射光取得部120は、反射光の光量を取得する。塗料識別情報記憶部122は、塗料の種類を識別するための塗料識別情報を記憶している。充填判定部124は、反射光の光量、及び塗料識別情報に基づいて、反射した物が充填される予定の塗料であるか否かを判断する。その結果、充填される予定の塗料であると判断した場合には、塗料の充填が完了したと判定する。逆に、充填される予定の塗料でないと判断した場合には、塗料の充填が完了していないと判定する。このようにして、塗料の充填が完了したか否かを判定する。なお、塗料の充填中は塗装ガンから吐出される塗料に洗浄液が混ざっており、吐出される塗料に洗浄液が混ざらなくなると充填完了となる。
【0045】
<実施例1の作用>
塗装装置10は、塗装ラインに流れてくるワーク(被塗物)を検出すると、そのワークの種類を特定し、そのワークに対応した種類の塗料で塗装する。このとき、塗装装置10は、色替えの必要があるか否かを判定し、その結果、色替えの必要がないと判定した場合にはそのまま塗装を継続する。これに対し、色替えの必要があると判定した場合には、塗装ガン20内に残っている塗料が混ざらないように、共用流路50内を一旦洗浄する。
【0046】
共用流路50内を洗浄する場合、塗装装置10は、図7のフローチャートに示すように、まず、開放されている塗料弁40を閉鎖する(ステップS10)。例えば、第1塗料から第2塗料に切り替える場合には、開放されている第1塗料弁40Aを閉鎖する。この時点では、塗料が切換バルブ38及び共用流路50全体に残っている。この状態において、塗装装置10は、洗浄液弁44を開放して、洗浄液を切換バルブ38及び共用流路50に供給する(ステップS11)。切換バルブ38及び共用流路50に供給された洗浄液は、共用流路50に残っている切替前の塗料と混ざりながら流下する。洗浄液弁44を開放してから所定時間(例えば0.5秒)が経過すると、洗浄液弁44を閉鎖する。
【0047】
塗装装置10は、洗浄液弁44を閉鎖した後、エア弁46を開放して、エアを切換バルブ38及び共用流路50に供給する(ステップS12)。供給されるエアの速度は洗浄液の速度よりも速い。したがって、エアは、切替前の塗料及び先に供給された洗浄液と混じりながら吐出口24に向けて圧送される。塗装装置10は、エア弁46を開放してから所定時間(例えば5秒)が経過すると、エア弁46を閉鎖する。そして、第1受光素子78が受けた透過光の光量を取得する(ステップS13)。
【0048】
塗装装置10は、透過光の光量を取得すると、その光量が洗浄判定値以上であるか否かを判定する(ステップS14)。透過光の光量が洗浄判定値未満である場合には(ステップS14:NO)、ステップS11に戻り、透過光の光量が洗浄判定値以上となるまでステップS11~ステップS14の処理を繰り返す。すなわち、透過光の光量が洗浄判定値以上となるまで、洗浄液とエアを交互に供給することによって共用流路50内を洗浄する。この間に、共用流路50内において、洗浄液とエアの占める割合が増加していき、切替前の塗料の占める割合が低下していく。透過光の光量が洗浄判定値以上となった場合には(ステップS14:YES)、切替前の塗料が共用流路50から排出され、共用流路50内の洗浄が完了したと判定する(ステップS15)。洗浄が完了したと判定した状態では、エアと排出しきれなかった洗浄液が共用流路50内に残っている。塗装装置10は、洗浄が完了したと判定すると、新たな塗料を供給する処理に移る。
【0049】
塗装装置10は、新たな塗料を供給する場合、図8のフローチャートに示すように、まず塗装ガン20に供給する塗料の塗料弁40を開放する(ステップS20)。例えば、第1塗料から第2塗料に切り替える場合には、第2塗料弁40Bを開放する。こうすることで、塗料が切換バルブ38及び共用流路50に供給される。このとき、切換後の塗料は、共用流路50内に残ったエア及び洗浄液と混ざりながら供給される。塗装装置10は、塗料弁40を開放した後、供給する塗料の種類に対応した塗料識別情報を読み出す(ステップS21)。
【0050】
塗料識別情報は、各塗料の反射率を示す情報であり、より具体的には、各塗料についての赤色光、緑色光、及び青色光のそれぞれの反射率を示す情報である。塗料識別情報は、予め設定した値であってもよいし、ユーザが任意に設定した値であってもよいし、塗料を充填した状態で実際に計測した実測値であってもよい。塗装装置10は、塗料識別情報を読み出した後、この塗料識別情報に誤差範囲を含めた判定範囲を設定する(ステップS22)。誤差とみなす幅は、予め設定した幅であってもよいし、ユーザが任意に設定した幅であってもよい。
【0051】
塗装装置10は、塗料識別情報を読み出した後、赤色光、緑色光、及び青色光のそれぞれに感度を持つ3チャネルのフォトダイオードが検出した反射光の光量を取得する(ステップS23)。そして、各フォトダイオードが検出した反射光ごとに、光量が各発光色に対応した判定範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS24)。その結果、何れか1つでも判定範囲内に収まっていない場合には(ステップS24:NO)、反射した物が充填される予定の塗料ではないと判断し、全て判定範囲内に収まるまで、反射光の光量を取得して、反射光の光量が判定範囲内に収まったか否かを繰り返し判定する。この間に、共用流路50内において、切換後の塗料の占める割合が増加していき、洗浄液の占める割合が低下していく。全ての発光色について、反射光の光量が判定範囲内に収まると(ステップS24:YES)、反射した物が充填される予定の塗料であると判断し、共用流路50から洗浄液が排出されて、共用流路50内全体に塗料が充填されたと判定する(ステップS25)。塗料が充填されたと判定すると、塗料の供給を一旦停止してから、塗装を開始する。
【0052】
<実施例1の効果>
以上説明したように、本実施例の塗装装置10は、塗装ガン20と、複数の塗料供給源30と、洗浄液供給源34と、塗装ガン20に向けて何れかの種類の塗料又は洗浄液を選択的に供給する切換バルブ38と、切換バルブ38の出口39と塗装ガン20の吐出口24とをつなぐ共用流路50に臨むように配置した第1投光部73A及び第1受光部73Bと、を備え、第1投光部73Aから発光され共用流路50内を通過して第1受光部73Bが受光した光量に基づいて、共用流路50内の洗浄が完了したか否かを判定する。この塗装装置10では、洗浄の際、洗浄液が切替前の塗料と混ざりながら吐出され、共用流路50内に占める塗料の割合が徐々に低下していき、この塗料の割合が低下するにつれて第1受光部73Bが受光する光量が増加していく。このため、その光量に基づいて塗料の混ざった洗浄液が共用流路50から全て吐出されたタイミングを検出することができ、そのタイミングで洗浄が完了したと判定することができる。これにより、洗浄液の無駄な吐出を抑えることができる。
【0053】
本実施例の塗装装置10は、先端に第1投光部73Aを有する投光用の第1光ファイバケーブル70Aと、先端に第1受光部73Bを有する受光用の第1光ファイバケーブル70Bと、を備えている。塗装ブース内に投受光用の光電素子等を含む電子機器を設置する場合には、塗料に引火しないように電子機器を防爆構造とする必要がある。しかし、この塗装装置10によれば、通電不要の第1光ファイバケーブル70A,70Bの先端部に第1投光部73A及び第1受光部73Bを設けたので、第1投光部73A及び第1受光部73Bを防爆構造とすることなく塗装ブース内に配置することができる。
【0054】
本実施例の塗装装置10の第1投光部73A及び第1受光部73Bは、第1ブロック内流路62(共用流路50のうち塗装ガン20の外部の流路)に臨むように配置されている。これにより、塗装ガン20の構造を設計変更することなく、第1投光部73A及び第1受光部73Bを塗装装置10に組み込むことができるので、塗装装置10に第1投光部73A及び第1受光部73Bを容易に搭載することができる。
【0055】
また、本実施例の塗装装置10は、塗装ガン20と、複数の塗料供給源30と、塗装ガン20に向けて供給する塗料の種類を切り替える切換バルブ38と、切換バルブ38の出口39と塗装ガン20の吐出口24とをつなぐ共用流路50に臨むように配置した第2投光部93Aと、第2投光部93Aから投光され共用流路50内の流体で反射した光を受ける第2受光部93Bと、を備え、第2受光部93Bが受けた反射光に基づいて、共用流路50内に所望の種類の塗料の充填が完了したか否かを判定する。この塗装装置10では、洗浄が完了して、新たな塗料を供給する際、新たな塗料が共用流路50内に残った洗浄液と混ざりながら吐出され、共用流路50内に占める洗浄液の割合が徐々に低下していくのに対して、共用流路50内に占める塗料の割合が徐々に増加していく。そして、共用流路50内全体に塗料が充填されると、第2受光部93Bは共用流路50内に充填された塗料で反射した光を受ける。その反射光に基づいて、反射物が所望の種類の塗料であるか否かを検出することができるので、共用流路50内が新たな塗料で満たされたタイミングで塗料の充填が完了したと判定することができ、その結果、塗料の無駄な吐出を抑えることができる。
【0056】
本実施例の塗装装置10は、先端に第2投光部93A及び第2受光部93Bを有する第2光ファイバケーブル90を備えている。塗装ブース内に投受光用の光電素子等を含む電子機器を配置する場合には、塗料に引火しないように電子機器を防爆構造とする必要がある。しかし、この塗装装置10によれば、通電不要の第2光ファイバケーブル90の先端部に第2投光部93A及び第2受光部93Bを設けたので、第2投光部93A及び第2受光部93を防爆構造とすることなく塗装ブース内に配置することができる。
【0057】
本実施例の塗装装置10の第2投光部93Aは、共用流路50のうち塗装ガン20の外部の流路内の塗料に向けて投光する。これにより、塗装ガン20の構造を設計変更することなく塗装装置10に第2投光部93A及び第2受光部93Bを組み込むことができるので、塗装装置10に第2投光部93A及び第2受光部93Bを容易に搭載することができる。
【0058】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば 次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、第2発光素子を白色LEDとしたが、反射物の種類(例えば色)を識別できる光を放出するものであれば、LED以外の発光素子であってもよいし、白色以外の発光色であってもよい。例えば、発光素子を赤色LED、緑色LED、及び青色LEDとしてもよい。
(2)上記実施例1では、第2受光素子が反射物で反射した白色光を分光することなく受光するようにした。しかし、反射物で反射した白色光をプリズムに通して分光する分光部を備え、第2受光素子を構成する3つのフォトダイオードが、分光された光(赤色光、緑色光、及び青色光)を個別に受光するようにしてもよい。
(3)上記実施例1では、第1光ファイバケーブルと第2光ファイバケーブルとを別々のブロックに固定するようにしたが、同一のブロックに固定するようにしてもよい。この場合、ブロックは1つあればよい。例えば、第1ブロックを用いることで、第2光ファイバケーブルを第1ブロック内流路の第3流路に臨むように配置することができる。
(4)上記実施例1では、第1収容部及び第2収容部が共用流路と連通するようにしたが、連通しないようにしてもよい。この場合、共用流路と、第1収容部及び第2収容部との間を、透過性を有する部材で構成する必要がある。例えば、共用流路を形成するホースを、透過性を有する部材で構成する必要がある。
(5)上記実施例1では、第1光ファイバケーブル及び第2光ファイバケーブルを、共用流路を形成する部材(第1ブロック又は第2ブロック)の収容部に嵌め込むことで設置するようにしたが、別の設置方法を採用してもよい。例えば、共用流路を形成する透明のホースに対して、固定具等で固定するようにしてもよい。
(6)上記実施例1では、洗浄液及びエアの供給が停止された状態における透過光に基づいて、共用流路内の洗浄が完了したか否かを判定するようにした。しかし、洗浄液やエアが供給されている状態における透過光に基づいて、共用流路内の洗浄が完了したか否かを判定するようにしてもよい。
(7)上記実施例1では、溶剤系塗料を用いてスプレイ塗装する塗装装置について説明したが、非溶剤系塗料を用いて塗装する塗装装置に適用することもできるし、スプレイ塗装以外の塗装をする塗装装置に適用することもできる。
(8)上記実施例1では、第1ブロック及び第2ブロックをアルミニウム製としたが、別の材質であってもよく、例えばアルミニウム以外の金属製であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。また、第1ブロック及び第2ブロックを、絶縁性を有する部材で構成する場合には、第1ブロック内流路または第2ブロック内流路の内壁面を、絶縁性を有する樹脂でコーティングする必要はない。
【符号の説明】
【0059】
10…塗装装置
20…塗装ガン
24…吐出口
30…塗料供給源
34…洗浄液供給源
36…エア供給源
38…切換バルブ
39…出口
50…共用流路
70…第1光ファイバケーブル
70A…投光用の第1光ファイバケーブル
70B…受光用の第1光ファイバケーブル
73A…第1投光部
73B…第1受光部
90…第2光ファイバケーブル(光ファイバケーブル)
93A…第2投光部(投光部)
93B…第2受光部(受光部)
100…制御部
114…洗浄判定部
124…充填判定部
A1…防爆エリア
A2…非防爆エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8