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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】果実収穫具
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/24 20060101AFI20220329BHJP
   A01D 46/247 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A01D46/24 C
A01D46/247
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017199240
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2018138015
(43)【公開日】2018-09-06
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】P 2016203102
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017034307
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105615
【氏名又は名称】コトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】東 康雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕之
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-126570(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0100034(KR,A)
【文献】特開2014-184102(JP,A)
【文献】特許第5797350(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0259694(US,A1)
【文献】登録実用新案第3068094(JP,U)
【文献】特開昭62-027981(JP,A)
【文献】実開昭62-061683(JP,U)
【文献】製品詳細_N08-コトコ株式会社,2006年06月29日,pp. 1-2,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20060629020015/http://www.kotoko.co.jp/product_detail/08.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/00 - 46/30
B26B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指を挿入するリング部と、
該リング部上面に形成された上面部と、
一端が前記リング部の下方部に連結された連結部と、
該連結部の他端に連結され、前記上面部と対向する位置に配置されたカット部と、を備え、
該カット部には、前記上面部と対向する面に刃が形成された刃形成部と、果柄を保持する保持部と、が形成されており、
前記刃は、前記連結部から前記カット部へ向かう方向に対して交差する方向に延在しており、
前記上面部と前記保持部とによって果柄を挟むことが可能である、果実収穫具。
【請求項2】
前記保持部の先端には、前記上面部に向かって突出した凸部が形成されている、請求項1に記載の果実収穫具。
【請求項3】
前記凸部は、表面が弧状に形成されている、請求項2に記載の果実収穫具。
【請求項4】
前記上面部には、前記凸部と対向する位置に配置され、前記刃の延在方向と同方向に延在した凹部が形成されている、請求項2または3に記載の果実収穫具。
【請求項5】
前記凹部は、表面が弧状に形成されている、請求項4に記載の果実収穫具。
【請求項6】
前記上面部には、前記刃と対向する位置に延在した刃挿入溝が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の果実収穫具。
【請求項7】
前記上面部には、前記刃と対向する位置に延在した刃挿入溝が形成されており、且つ、前記刃挿入溝と前記凹部との間に前記凹部と隣接して延在した山型凸部が形成されている、請求項4または5に記載の果実収穫具。
【請求項8】
前記カット部の上面には、すべり止め機構が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の果実収穫具。
【請求項9】
前記連結部は、前記リング部の周方向と同方向にアーチ形状が形成されている、請求項1からのいずれか一項に記載の果実収穫具。
【請求項10】
前記連結部は、前記リング部の幅方向中央に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の果実収穫具。
【請求項11】
前記連結部の幅は、
前記リング部との連結部分において前記リング部の幅と同等であり、
前記カット部との連結部分において前記カット部の幅と同等であり、
上下方向中央付近において、前記リング部との連結部分の幅および前記カット部との連結部分の幅に対して左右方向から曲線状に狭まって細く形成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の果実収穫具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実収穫具に関し、より詳しくは、果柄を切断する機構を備えた果実収穫具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イチゴやさくらんぼ等の果実の収穫は、人の手で直接果実に触れることにより果実が傷むのを回避することや、作業効率の向上および労働者の負担軽減等を目的として収穫作業を行う装置等の機器を使用することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、収穫対象果実の果柄を切断する果柄切断機構であって、第1方向に延び、前記第1方向に直交する第2方向に移動可能な第1フィンガと、前記第1フィンガの前記第2方向近傍に配置され、前記第1方向に延び、前記第2方向に移動可能な第2フィンガと、前記第1、第2方向を含む面を有するプレート形状で、前記第1方向に延びる刃先を有し、前記第1フィンガに設けられた切断刃と、を備え、前記第1フィンガの前記第2フィンガと対向する一部には、前記第1、第2方向に直交する第3方向から見て前記第2方向に凹んだ凹部が形成され、前記切断刃は、前記凹部を前記第3方向から覆うように前記第1フィンガに設けられるとともに、前記刃先が、前記第1フィンガの前記第2フィンガに対向する面のうち前記凹部以外の部分と面一又は当該部分よりも前記第2フィンガから離れた位置に設定されており、前記第2フィンガの前記凹部と対向する部分には、前記第1、第2フィンガが前記第2方向に関して接近したときに前記凹部内に侵入可能な凸部が設けられ、前記第1、第2フィンガが前記第2方向に関して接近したときに、前記凸部と前記切断刃との間の、せん断力により、前記第1、第2フィンガの間に位置する前記収穫対象果実の果柄が切断される、果柄切断機構が提案されている。
【0004】
特許文献1の果柄切断機構は、上記構成を備えることにより、果柄の切断位置に果柄をスムーズに位置決めし、果柄の損傷を抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-110257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案された果柄切断機構を設けた装置では、操作者の習熟度等によって、果実の収穫作業時に装置の先端部等を果実に接触させてしまい、果実を損傷させるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、果実を損傷させることなく、簡易な機構で果実を収穫できる果実収穫具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、一例として、指を挿入するリング部と、リング部上面に形成された平面部と、一端が平面部に連結された連結部と、連結部の他端に連結され、平面部と対向する位置に配置されたカット部と、を備え、カット部には、平面部と対向する面に刃が形成された、果実収穫具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、果実を損傷させることなく、簡易な機構で果実を収穫できる果実収穫具を提供することができる。なお、本発明の効果は、必ずしも上記の効果に限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の果実収穫具の全体像を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の果実収穫具を示す正面図である。
図3】第1実施形態の果実収穫具を示す背面図である。
図4】第1実施形態の果実収穫具を示す平面図である。
図5】第1実施形態の果実収穫具を示す右側面図である。
図6図2の線分A-A線における断面図である。
図7】第1実施形態の果実収穫具の使用例を示す模式図である。
図8】第2実施形態の果実収穫具を示す正面図である。
図9】第2実施形態の果実収穫具を示す平面図である。
図10】第2実施形態の果実収穫具を示す右側面図である。
図11】第3実施形態の果実収穫具の全体像を示す正面側の斜視図である。
図12】第3実施形態の果実収穫具の全体像を示す背面側の斜視図である。
図13】第3実施形態の果実収穫具を示す正面図である。
図14】第3実施形態の果実収穫具を示す背面図である。
図15】第3実施形態の果実収穫具を示す平面図である。
図16】第3実施形態の果実収穫具を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。また、本発明は、下記の各実施形態の全てまたは一部を互いに組み合わせることもできる。
【0012】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態の果実収穫具の全体像を示す斜視図である。図1を用いて、本実施形態の果実収穫具1の概要について説明する。
【0013】
本実施形態の果実収穫具1は、人の指を挿入するリング部2と、リング部2上面に形成された平面部5と、一端が平面部5に連結されたアーチ形状の連結部3と、連結部3の他端に連結され、平面部5と対向する位置に配置されたカット部4と、を備えている。
【0014】
カット部4は、果実の果柄を切断する刃12が形成された刃形成部6と、連結部3からカット部4へ向かう方向に延在した離間溝11を介して離間した位置に配置され、刃12で切断された果柄を保持する保持部7と、で形成されている。刃12は、刃形成部6の平面部5と対向する面において、連結部3からカット部4へ向かう方向に延在して形成されている。なお、果実収穫具1は、離間溝11が形成されていることにより、カット部4の材料を減らして剛性を低くし、カット部4が指で押しつけやすい柔らかさになっている。
【0015】
果実収穫具1は、例えば、イチゴ等の果実の果柄を平面部5とカット部4とで挟み、挟んだ果柄を刃形成部6の刃12で切断し、切断した後の果実等に人が直接触れずに収穫するために使用されるものである。これにより、人が触れることによって傷みやすい果実等を傷めずに鮮度を保ったまま収穫することができる。
【0016】
図2は、本実施形態の果実収穫具1を示す正面図である。図3は、本実施形態の果実収穫具1を示す背面図である。図4は、本実施形態の果実収穫具1を示す平面図である。図5は、本実施形態の果実収穫具1を示す右側面図である。図6は、本実施形態の果実収穫具1の図2の線分A-A線における断面図である。図2から図6を用いて、本実施形態の果実収穫具1の詳細な構成について説明する。
【0017】
図2から図4等に示すように、平面部5には、刃12の延在方向に対して交差する方向に延在した第1凹部13が形成されている。本実施形態における第1凹部13は、一例として、刃12の延在方向に対して直交した方向に延在している。さらに、平面部5には、第1凹部13の連結部3側に、第1凹部13と隣接して延在した山型の第1凸部23が形成されている。
【0018】
図3等に示すように、保持部7は、連結部3と連結され、連結部3のアーチ形状と対向する位置にアーチ形状を形成している。保持部7は、そのアーチ形状の下端から連結部3の方向に向かってさらに延在している。保持部7が連結部3の方向に向かって延在したその先端部には、第1凹部13と対向する位置に延在した第2凹部21が形成されている。第2凹部21の連結部3側には、第2凹部21と隣接して延在した山型の第2凸部22が形成されている。
【0019】
果実収穫具1は、使用時に、第1凹部13と第2凹部21とで、それらの間に入り込ませた果実の果柄20を挟み込むことができるように形成されている。果柄20を挟み込むときには、まず第2凸部22の先端が、第1凸部23の先端に当接し、さらに第1凸部23の先端から連結部3の方向に滑り込んでから、第1凹部13と第2凹部21とで果柄20を挟み込むことができるようになっている。
【0020】
図5および図6等に示すように、平面部5には、刃12と対向する位置に延在した刃挿入溝14が形成されている。果実収穫具1は、刃挿入溝14が形成されていることにより、刃12を果柄20に深く差し込んで切断することができるとともに、切断後に第1凹部13と第2凹部21とで果柄20を挟み込んで把持することができる。
【0021】
カット部4の上面には、すべり止め機構が形成されていてもよい。このすべり止め機構が形成されている場合には、カット部4の上面を人の指で押さえるときに、指が滑り落ちるのを防止し、より確実にカット部4を押し込むことができる。
【0022】
果実収穫具1の材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリアセチレンなどの熱可塑性の合成樹脂や、弾性材料などが用いられている。
【0023】
図2の正面図において、果実収穫具1の寸法は、連結部3とカット部4とが連結された位置の上端からリング部2の下端までの高さが41mmであり、連結部3のアーチ形状の中央部からカット部4までの幅が29mmである。また、リング部2の幅は、15mmである。また、連結部3のアーチ形状の中央部からリング部2の連結部3側の一端までの幅は、11.5mmである。さらに、図5の右側面図において、連結部3の幅が15mmであり、刃形成部6の幅が8mmであり、保持部7の幅が5mmである。ただし、本発明に係る果実収穫具の寸法はこれらに限らない。
【0024】
<2.果実収穫具の使用例>
図7は、第1実施形態の果実収穫具1の使用例を示す模式図である。図7を用いて、果実収穫具1を使用して果実の果柄20を切断し、果実を収穫する方法について説明する。本実施形態では、一例として、右利きの人が右手で果実収穫具1を使用する例について説明する。
【0025】
図7に示すように、第1に、果実収穫具1を使用する人の右手70の人差し指71をリング部2に差し込む。
【0026】
第2に、右手70の小指の下方に果実を配置させ、その果実に連なった果柄20を平面部5の第1凹部13に差し込む。なお、果柄20を平面部5の第1凹部13に差し込む際に、右手70の手のひら付近を通過させて果柄20を差し込むと、果実を収穫するときに、果実収穫具1で果柄20を把持するとともに、指または手のひらでも果柄20を握って押さえることができるので、より確実に果実を地面に落とさずに収穫することができる。
【0027】
第3に、親指72でカット部4の上面を下方に押し込み、親指72の先端方向の刃形成部6上面に重点的に力を入れて、刃形成部6の刃12を果柄20に押し込むことにより、果柄20を切断する。
【0028】
第4に、果柄20切断後、親指72でカット部4の上面を下方に押し込んだ状態で、親指72の付け根方向の保持部7上面に重点的に力を入れて、平面部5の第1凹部13と保持部7の第2凹部21とで、果実に連なっている果柄20を把持する。
【0029】
第5に、果実収穫具1で果柄20を把持した状態のまま、果柄20に連なっている果実を収穫用のトレー等の容器に入れてから、把持した果柄20を果実収穫具1から離して果実を収穫する。
【0030】
以上のように、本実施形態の果実収穫具1は、刃形成部6と保持部7とが離間溝11で離間して形成されていることにより、果柄20を切断した後に、保持部7と平面部5とで確実に果柄20を挟み込むことができるので、果柄20および果実を直接持つことなく、果柄20を保持部7で把持して果実を収穫することができる。また、果実収穫具1は、第1凹部13と第2凹部21とが形成されていることにより、果柄20を確実に把持することができる。また、果実収穫具1は、第1凸部23と第2凸部22とが形成されていることにより、円滑に果柄20を把持することができる。さらに、第1凸部23または第2凸部22を果柄20の直径よりも高く形成することにより、果柄20を刃形成部6の下部に位置する第1凹部13よりも連結部3の方向に差し込み過ぎて、刃12で果柄20を切断できなくなることを防止することもできる。
【0031】
したがって、本実施形態の果実収穫具1を使用することにより、果実を損傷させることなく、簡易な機構で果実を収穫することができる。さらに、片方の手のみで果実を収穫することが可能となるため、本実施形態の果実収穫具1を使用した収穫作業と同時にもう一方の手で他の作業を行うことができる。
【0032】
<3.第2実施形態>
まず、図8から図10を用いて、第2実施形態の果実収穫具81の概要について説明する。図8は、本実施形態の果実収穫具81を示す正面図である。図9は、本実施形態の果実収穫具81を示す平面図である。図10は、本実施形態の果実収穫具81を示す右側面図である。本実施形態の果実収穫具81が、第1実施形態の果実収穫具1と相違する点は、リング部上面に形成された平面部に対する連結部の形成された位置が異なる点である。
【0033】
本実施形態の果実収穫具81は、人の指を挿入するリング部82と、リング部82上面に形成された平面部85と、一端が平面部85に連結されたアーチ形状の連結部83と、連結部83の他端に連結され、平面部85と対向する位置に配置されたカット部84と、を備えている。
【0034】
カット部84には、平面部5と対向する面に、果実の果柄20を切断する刃86が形成されている。刃86は、一例として、連結部83からカット部84へ向かう方向に対して直交する方向に延在して形成されている。ただし、本発明の果実収穫具に形成される刃の延在方向は、上記直交する方向に限らず、連結部83からカット部84へ向かう方向に対して交差する方向であればよい。
【0035】
果実収穫具81は、第1実施形態の果実収穫具1と同様に、例えば、イチゴ等の果実の果柄を平面部85とカット部84とで挟み、挟んだ果柄をカット部84の刃86で切断し、切断した後の果実等に人が直接触れずに収穫するために使用されるものである。これにより、人が触れることによって傷みやすい果実等を傷めずに鮮度を保ったまま収穫することができる。
【0036】
次に、図8から図10を用いて、本実施形態の果実収穫具81の詳細な構成について説明する。
【0037】
図10に示すように、連結部83は、リング部82に形成された人の指を差し込むリング形状の周方向と同方向にアーチ形状が形成され、カット部84および平面部85に連結されている。本実施形態の連結部83は、一例として、図8に示す果実収穫具81の正面から見て平面部85の背面左側の一部と連結されている。なお、連結部83の連結位置は、これに限らず、平面部85の一部と連結されていればよい。
【0038】
また、図8等に示すように、連結部83は、カット部84および平面部85の間に差し込まれた果柄20の側部と当接させる当接面87を有している。また、連結部83は、当接面87に当接した果柄20を刃86の下部に配置させるために、カット部84と平面部85との間に差し込まれた果柄20が当接する位置の左右方向の幅が、刃86が形成された位置のカット部84の左右方向の長さよりも短く形成されている。そして、当接面87には、果柄20の側部と当接しやすいように、果柄20が差し込まれる方向に曲面上に傾斜面が形成されている。
【0039】
図8および図10に示すように、平面部85には、刃86と対向する位置に延在した刃挿入溝88が形成されている。果実収穫具81は、刃挿入溝88が形成されていることにより、刃86を果柄20に深く差し込んで切断することができるとともに、切断後にカット部84と第3凸部89とで果柄20を挟み込んで把持することができる。さらに、平面部85には、刃挿入溝88付近において、刃挿入溝88よりも連結部83側に、刃挿入溝88と並行して延在した第3凸部89が形成されている。果実収穫具81は、第3凸部89が形成されていることにより、第3凸部89と当接面87とで、カット部84および平面部85の間に差し込まれた果柄20を固定することができる。
【0040】
本実施形態の果実収穫具81は、上記構成により、第1実施形態の果実収穫具1と同様の効果を有することができる。また、果実収穫具81は、例えば、果柄20の延在方向を刃86に直交する方向に向けた状態で、図8に示す果実収穫具81の正面から見て右方向から果柄20をカット部84および平面部85の間に差し込むことができる。果柄20は、その側部が連結部83の当接面87に当接するまで差し込まれると、当接面87および第3凸部89で固定される。これにより、果実収穫具81は、例えば、図8の右方向から左方向へ果柄20を差し込み過ぎることなく、果柄20を刃86の下方に配置させることができるため、確実に果柄20を切断することができる。
【0041】
なお、カット部84の上面には、すべり止め機構が形成されていてもよい。このすべり止め機構が形成されている場合には、カット部84の上面を人の指で押さえるときに、指が滑り落ちるのを防止し、より確実にカット部84を押し込むことができる。
【0042】
<4.第3実施形態>
図11は、第3実施形態の果実収穫具の全体像を示す正面側の斜視図である。図12は、第3実施形態の果実収穫具の全体像を示す背面側の斜視図である。図11および図12を用いて、本実施形態の果実収穫具101の概要について説明する。
【0043】
本実施形態の果実収穫具101は、人の指を挿入するリング部102と、リング部102上面に形成された上面部105と、一端が上面部105の下方またはリング部102の付近に連結されたアーチ形状の連結部103と、連結部103の他端に連結され、上面部105と対向する位置に配置されたカット部104と、を備えている。本実施形態の果実収穫具101が、第1実施形態の果実収穫具1と相違する主な点は、連結部が、リング部の幅方向中央に配置され、リング部の下方部と連結されている点である。
【0044】
カット部104には、一例として、果実収穫具101の正面側の位置に配置され、果実の果柄を切断する刃112が形成された刃形成部106と、果実収穫具101の連結部103が形成された背面側の位置に配置され、刃112で切断された果柄を保持する保持部107と、が形成されている。保持部107の果柄と接触する先端には、上面部105に向かって突出した第4凸部108が形成されている。
【0045】
刃112は、一例として、刃形成部106の上面部105と対向する面において、連結部103からカット部104へ向かう方向に対して直交する方向に延在して形成されている。ただし、本発明の果実収穫具に形成される刃の延在方向は、上記直交する方向に限らず、連結部103からカット部104へ向かう方向に対して交差する方向であればよい。
【0046】
果実収穫具101は、第1および第2実施形態の果実収穫具と同様に、例えば、イチゴ等の果実の果柄を上面部105とカット部104の保持部107とで挟み、挟んだ果柄を刃形成部106の刃112で切断し、切断した後の果実等に人が直接触れずに収穫するために使用されるものである。これにより、人が触れることによって傷みやすい果実等を傷めずに鮮度を保ったまま収穫することができる。
【0047】
図13は、本実施形態の果実収穫具101を示す正面図である。図14は、本実施形態の果実収穫具101を示す背面図である。図15は、本実施形態の果実収穫具101を示す平面図である。図16は、本実施形態の果実収穫具101を示す右側面図である。図11から図16を用いて、本実施形態の果実収穫具101の詳細な構成について説明する。
【0048】
図14から図16等に示すように、連結部103は、リング部102に形成された人の指を差し込むリング形状の周方向と同方向にアーチ形状が形成され、一例として、カット部104およびリング部102に連結されている。本実施形態の連結部103は、図13から図15等に示すように、果実収穫具101のリング部102の幅方向中央の下方部に連結されている。また、連結部103のカット部104およびリング部102との連結部分の幅は、カット部104およびリング部102と同等であるが、連結部103の上下方向中央付近の幅は、上記連結部分の幅に対して、左右方向から曲線状に狭まって細く形成されている。
【0049】
図11および図12等に示すように、上面部105の背面側には、保持部107の第4凸部108と対向する位置に配置され、刃112の延在方向と同方向に延在した第3凹部113が形成されている。第4凸部108および第3凹部113は、表面が弧状に形成されている。また、上面部105には、刃112と対向する位置に延在した刃挿入溝114が形成されている。さらに、上面部105には、刃挿入溝114と第3凹部113との間に、第3凹部113と隣接して延在した山型の第5凸部109が形成されている。果実収穫具101は、第5凸部109が形成されていることにより、第5凸部109と連結部103の側面部とで、カット部104および上面部105の間に差し込まれた果柄20を固定することができる。
【0050】
図13から図16に示すように、果実収穫具101は、一例として、果柄20の延在方向を刃112に直交する方向に向けた状態で、図13に示す果実収穫具101の正面から見て右方向から果柄20をカット部104および上面部105の間に差し込むことができる。果柄20は、底部が第5凸部109の先端に当接し、側部が連結部103の側面部に当接するまで差し込まれると、第5凸部109および連結部103の側面部で固定される。なお、果実収穫具101は、果柄20の延在方向を刃112に直交する方向に向けた状態で、図13に示す果実収穫具101の正面から見て左方向から果柄20をカット部104および上面部105の間に差し込むこともできる。
【0051】
さらに、果実収穫具101は、刃挿入溝114が形成されていることにより、刃112を果柄20に深く差し込んで切断することができるとともに、切断時および切断後に第4凸部108と第3凹部113とで果柄20を挟み込んで把持することができる。
【0052】
本実施形態の果実収穫具101は、上記構成により、第1および第2実施形態の果実収穫具と同様の効果を有することができる。また、果実収穫具101は、上記構成の連結部103を備えることにより、人の指の動作と同じ向きにカット部104が連動するため、第1実施形態の果実収穫具1よりも自然な操作が可能となり、作業性および果柄20の切断性を向上させることができる。さらに、果実収穫具101は、連結部103をリング部102の幅方向中央に配置することで、左右どちらの手でも容易に使用可能となり、使用者の利き手に制限されない操作性を実現することができる。
【0053】
また、果実収穫具101は、連結部103とリング部102とがリング部102の下方部で連結していることにより、第1および第2実施形態の果実収穫具よりもコンパクトであり、かつ、人の指でカット部104を押しつける際に必要な力の低減と強度の維持を実現することができる。
【0054】
また、果実収穫具101は、上記構成により、カット部104の動きが連結部103とリング部102との連結部分付近を軸とした回転運動となり、カット部104より保持部107に大きな力が加わりやすくなることから、刃形成部106と保持部107とが分離していなくてもカット後の果柄20の保持を可能とすることができる。
【0055】
また、果実収穫具101は、第4凸部108および第3凹部113の表面が弧状に形成されていることにより、果柄を挟み込んだ際に果柄20を弧状に変形させることで保持力を向上させることができる。また、果実収穫具101は、上記弧状が形成されていることにより、果柄20と接触する面積が大きくなるので、果柄20の保持力を強化することができる。
【0056】
本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、81、101 果実収穫具
2、82、102 リング部
3、83、103 連結部
4、84104 カット部
5、85 平面部
6、106 刃形成部
7、107 保持部
11 離間溝
12、86、112 刃
13 第1凹部
14、88、114 刃挿入溝
20 果柄
21 第2凹部
22 第2凸部
23 第1凸部
70 右手
71 人差し指
72 親指
87 当接面
89 第3凸部
105 上面部
108 第4凸部
109 第5凸部
113 第3凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
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図16