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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】昇降作業台及びそれを用いた施工方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/18 20060101AFI20220329BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B66F7/18
F24F7/06 101A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017247621
(22)【出願日】2017-12-25
(65)【公開番号】P2019055875
(43)【公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2017179845
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
(72)【発明者】
【氏名】中 悟史
(72)【発明者】
【氏名】舩木 康行
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-310473(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125582(JP,U)
【文献】実開平06-078744(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 7/18
F24F 7/04 - 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム材を組み付けて構成される天吊り枠体に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニットを天井構造に固定する際に使用される昇降作業台であって、
床面から立設する複数の支柱を備える基台と、
前記支柱に沿って上下方向に摺動可能であり、上端部において前記天吊り枠体を支持可能な昇降台と、
を備え、
前記昇降台は、前記複数の支柱のそれぞれを内側に収容し、前記支柱に沿って摺動可能な棒状の複数の支持部材と、前記複数の支持部材の下部所定位置を相互に連結する連結部とを有し、前記複数の支持部材の上端部において前記天吊り枠体を支持可能であることを特徴とする昇降作業台。
【請求項2】
前記複数の支持部材のそれぞれの下端部に固定され、前記支持部材の下端から下方に延びる前記支柱の外周面に係合して前記昇降台を任意の高さ位置で保持するストッパー、
を更に備えることを特徴とする請求項に記載の昇降作業台。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記昇降台が前記基台に対して相対的に上昇するときには前記支柱の外周面との係合状態を解除して前記昇降台の上昇を許容し、前記昇降台が前記基台に対して相対的に上昇しないときには前記支柱の外周面との係合状態を維持し、前記昇降台が前記基台に対して相対的に下降することを抑制することを特徴とする請求項に記載の昇降作業台。
【請求項4】
前記昇降台が前記基台に対して所定高さ上昇したとき、前記昇降台の下方に昇降装置を導入可能な空間を形成し、前記昇降装置が前記昇降台を押し上げることにより、前記昇降台が前記基台と一体となって上昇することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の昇降作業台。
【請求項5】
複数のフレーム材を組み付けて構成される天吊り枠体に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニットを天井構造に固定する際に使用される昇降作業台であって、
床面から立設する複数の支柱を備える基台と、
前記支柱に沿って上下方向に摺動可能であり、上端部において前記天吊り枠体を支持可能な昇降台と、
を備え、
前記昇降台が前記基台に対して所定高さ上昇したとき、前記昇降台の下方に昇降装置を導入可能な空間を形成し、前記昇降装置が前記昇降台を押し上げることにより、前記昇降台が前記基台と一体となって上昇することを特徴とする昇降作業台。
【請求項6】
複数のフレーム材を組み付けて構成される天吊り枠体に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニットを天井構造に固定するための施工方法であって、
前記天井構造の下方位置において、請求項1乃至5のいずれかに記載の昇降作業台を設置する工程と、
前記昇降作業台における前記昇降台の上端部に対して前記天吊り枠体を設置する工程と、
前記昇降台の上端部に支持された状態の前記天吊り枠体に対し、前記天井吊り下げ物を取り付けて前記天井吊り下げユニットを構成する工程と、
前記昇降台を前記基台に対して相対的に上昇させ、前記昇降台の下方に昇降装置を導入可能な空間を形成する工程と、
前記昇降台の下方に形成した空間に前記昇降装置を導入し、前記昇降装置の昇降部材を前記昇降台に係合させる工程と、
前記昇降装置の前記昇降部材が前記昇降台に係合した状態で前記昇降装置を動作させ、前記昇降台を押し上げることにより、前記天井吊り下げユニットを支持した状態のままで前記昇降作業台を前記天井構造の近傍位置まで上昇させる工程と、
前記昇降装置によって前記天井構造の近傍位置まで押し上げられた前記天井吊り下げユニットを前記天井構造に固定する工程と、
前記天井吊り下げユニットが前記天井構造に固定された後、前記昇降装置を動作させて前記昇降作業台のみを下降させる工程と、
を有することを特徴とする施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機や各種配管などを天井スラブに吊り下げた状態に施工する際に用いることが可能な昇降作業台及びそれを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井吊り下げタイプの空気調和機を施工する方法のひとつに、空気調和機を内側に収容可能な立体的な架台を用いる方法がある(例えば特許文献1)。この従来方法では、複数のフレーム材を組み付けて架台を作成する工程、並びに、架台に対して空気調和機および各種配管を取り付けてユニット化する工程が、施工現場以外の工場で行われる。工場でユニット化された複数の架台は、パレットに積載された状態で工場から施工現場に搬送される。そして施工現場では、天井スラブから吊り下げられた吊りボルトなどに対してユニット化された架台を固定する作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-249401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の施工方法は、架台に対して空気調和機および各種配管を組み付けてユニット化する作業を工場で行うため、施工現場に設置する予定の空気調和機および各種配管を一旦工場に搬送しなければならず、搬送効率が悪く、搬送コストが上昇する。加えて、ユニット化された架台は内側の空気調和機を損傷させないようにするために立体的なフレーム構造を有しており、パレットに積載可能な台数が少ないため、工場から施工現場への搬送効率を著しく低下させる要因となっている。
【0005】
このような搬送効率の低下を抑制するためには、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物と架台とを個別に施工現場に搬入し、施工現場でユニット化する作業を行うことが好ましい。しかしこの場合、施工現場において、架台に天井吊り下げ物を組み付けてユニット化する作業と、ユニット化された架台を吊りボルトなどに対して固定する作業とを別々に行わなければならず、作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
特に架台に対して天井吊り下げ物を組み付けてユニット化する作業を、床面で行う場合、作業者はかがみ込んだ姿勢で作業をしなければならず、作業効率が著しく低下する。またユニット化された架台を天井スラブから垂下する吊りボルトの位置まで持ち上げる際には、天井吊り下げ物が組み付けられた架台を昇降機に載せる必要があり、この点でも作業効率が低下する。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、施工現場において天井吊り下げ物をユニット化する作業と、ユニット化された天井吊り下げ物を天井構造に取り付ける作業とを一連の工程として行えるようにし、施工現場での作業効率を従来よりも著しく改善できるようにした昇降作業台及びそれを用いた施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、複数のフレーム材(41)を組み付けて構成される天吊り枠体(40)に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニット(50)を天井構造に固定する際に使用される昇降作業台(1)であって、床面から立設する複数の支柱(5)を備える基台(2)と、前記支柱(2)に沿って上下方向に摺動可能であり、上端部において前記天吊り枠体(40)を支持可能な昇降台(3)と、を備え、前記昇降台(3)は、前記複数の支柱(5)のそれぞれを内側に収容し、前記支柱(5)に沿って摺動可能な棒状の複数の支持部材(7)と、前記複数の支持部材(7)の下部所定位置を相互に連結する連結部(8)とを有し、前記複数の支持部材(7)の上端部において前記天吊り枠体(40)を支持可能であることを特徴とする構成である。
【0010】
に、本発明は、上記第の構成を有する昇降作業台(1)において、前記複数の支持部材(7)のそれぞれの下端部に固定され、前記支持部材(7)の下端から下方に延びる前記支柱(5)の外周面に係合して前記昇降台(3)を任意の高さ位置で保持するストッパー(4)、を更に備えることを特徴とする構成である。
【0011】
に、本発明は、上記第の構成を有する昇降作業台(1)において、前記ストッパー(4)は、前記昇降台(3)が前記基台(2)に対して相対的に上昇するときには前記支柱(5)の外周面との係合状態を解除して前記昇降台(3)の上昇を許容し、前記昇降台(3)が前記基台(2)に対して相対的に上昇しないときには前記支柱(5)の外周面との係合状態を維持し、前記昇降台(3)が前記基台(2)に対して相対的に下降することを抑制することを特徴とする構成である。
【0012】
に、本発明は、上記第1乃至第のいずれかの構成を有する昇降作業台(1)において、前記昇降台(3)が前記基台(2)に対して所定高さ上昇したとき、前記昇降台(3)の下方に昇降装置(30)を導入可能な空間(19)を形成し、前記昇降装置(30)が前記昇降台(3)を押し上げることにより、前記昇降台(3)が前記基台(2)と一体となって上昇することを特徴とする構成である。
第5に、本発明は、複数のフレーム材(41)を組み付けて構成される天吊り枠体(40)に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニット(50)を天井構造に固定する際に使用される昇降作業台(1)であって、床面から立設する複数の支柱(5)を備える基台(2)と、前記支柱(2)に沿って上下方向に摺動可能であり、上端部において前記天吊り枠体(40)を支持可能な昇降台(3)と、を備え、前記昇降台(3)が前記基台(2)に対して所定高さ上昇したとき、前記昇降台(3)の下方に昇降装置(30)を導入可能な空間(19)を形成し、前記昇降装置(30)が前記昇降台(3)を押し上げることにより、前記昇降台(3)が前記基台(2)と一体となって上昇することを特徴とする構成である。
【0013】
第6に、本発明は、複数のフレーム材(41)を組み付けて構成される天吊り枠体(40)に対して天井吊り下げ物を取り付けた天井吊り下げユニット(50)を天井構造に固定するための施工方法であって、前記天井構造の下方位置において、上記第1乃至第5のいずれかの構成を有する昇降作業台(1)を設置する工程と、前記昇降作業台(1)における前記昇降台(3)の上端部に対して前記天吊り枠体(40)を設置する工程と、前記昇降台(3)の上端部に支持された状態の前記天吊り枠体(40)に対し、前記天井吊り下げ物を取り付けて前記天井吊り下げユニット(50)を構成する工程と、前記昇降台(3)を前記基台(2)に対して相対的に上昇させ、前記昇降台(3)の下方に昇降装置(30)を導入可能な空間(19)を形成する工程と、前記昇降台(3)の下方に形成した空間(19)に前記昇降装置(30)を導入し、前記昇降装置(30)の昇降部材(34)を前記昇降台(3)に係合させる工程と、前記昇降装置(30)の前記昇降部材(34)が前記昇降台(3)に係合した状態で前記昇降装置(30)を動作させ、前記昇降台(30)を押し上げることにより、前記天井吊り下げユニット(50)を支持した状態のままで前記昇降作業台(1)を前記天井構造の近傍位置まで上昇させる工程と、前記昇降装置(30)によって前記天井構造の近傍位置まで押し上げられた前記天井吊り下げユニット(50)を前記天井構造に固定する工程と、前記天井吊り下げユニット(50)が前記天井構造に固定された後、前記昇降装置(30)を動作させて前記昇降作業台(1)のみを下降させる工程と、を有することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の昇降作業台を用いれば、施工現場において天井吊り下げ物をユニット化する作業と、ユニット化された天井吊り下げ物を天井構造に固定する作業とを一連の作業として行うことができるようになり、施工現場での作業効率を従来よりも著しく改善することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】昇降作業台の一構成例を示す斜視図である。
図2】支柱と支持部材とストッパーとを拡大して示す一部断面図である。
図3】基台に対して昇降台を所定高さ上昇させた状態を示す図である。
図4】連結部の下方の空間に昇降装置を導入した状態を示す図である。
図5】天吊り枠体を設置した状態の昇降作業台を示す図である
図6】天吊り枠体を構成するフレーム材の構成例を示す図である。
図7】天吊り枠体に天井吊り下げ物を取り付けて天井吊り下げユニットを構成した状態を示す図である。
図8】昇降部材を連結部に係合させた状態を示す図である。
図9】昇降装置によって昇降作業台が持ち上げられた状態を示す図である。
図10】天吊り枠体の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である昇降作業台1の構成例を示す斜視図である。この昇降作業台1は、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物を相互に組み付けてユニット化する作業と、ユニット化された天井吊り下げ物を天井スラブなどの天井構造に固定する作業とを一連の工程として行えるようにした作業台である。昇降作業台1は、床面に設置される基台2と、基台2の上部に設置され、基台2に対して相対的に昇降可能な昇降台3と、基台2に対する昇降台3の高さ位置を保持するストッパー4とを備えている。
【0018】
基台2は、床面から立設する複数の支柱5を備えている。図例では、4本の支柱5a,5b,5c,5dが床面から立設している。これら複数の支柱5の下部は、支持台6によって支持される。支持台6は、支柱5a,5bを所定間隔で立設させた状態に支持する第1支持台6aと、支柱5c,5dを所定間隔で立設させた状態に支持する第2支持台6bとを有している。そして第1支持台6a及び第2支持台6bは、支柱5a,5b,5c,5dを所定の矩形形状の四隅に位置するように支持している。これら複数の支柱5はほぼ均一の高さとなるように支持されており、例えば床面から1.2~1.7m程度の高さとなるように支持される。尚、第1支持台6a及び第2支持台6bの下面に車輪を取り付けて昇降作業台1の設置位置を微調整できるようにしても良い。
【0019】
昇降台3は、複数の支柱5のそれぞれを内側に収容し、支柱5に沿って上下方向に摺動可能な棒状(管状)の複数の支持部材7と、複数の支持部材7の下部所定位置を相互に連結する連結部8とを有し、床面に設置される基台2に対して相対的に昇降動作可能なように構成される。具体的に説明すると、昇降台3は、4本の支持部材7a,7b,7c,7dのそれぞれの下部開口から、4本の支柱5a,5b,5c,5dのそれぞれを内側に収容し、それら4本の支持部材7a,7b,7c,7dの下部を連結部8によって一体的に連結した構成である。
【0020】
複数の支持部材7は、その上端部が均一な高さ位置となるように支持される。例えば、昇降台3が基台2に対して十分に下降した状態のときには、支持部材7の上端部が床面から1.5~1.8m程度の高さとなる。つまり、支持部材7の上端部の高さ位置が、作業者の視線高さ位置とほぼ同じになるのである。このような支持部材7は、上端部にほぼ平坦な載置面10を有し、その載置面10の中心に支持棒11を立設させた構成である。そして支持部材7は、その上端部に、後述する天吊り枠体40や天井吊り下げユニット50を載置した状態で支持する。
【0021】
連結部8は、例えば支持部材7bと7cとを連結する第1連結部8aと、支持部材7aと7dとを連結する第2連結部8bと、支持部材7aと7bとを連結する第3連結部8cと、支持部材7cと7dとを連結する第4連結部8dとを有している。第1連結部8aと第2連結部8bは、平面視矩形状に配置される4本の支持部材7a,7b,7c,7dの間を交叉するように配置されており、その中央の交叉部がボルトとナットによる締着部材9により固定されている。このような連結部8により、昇降台3の下部において、4本の支持部材7a,7b,7c,7dが相互に固定される。
【0022】
図2は、支柱5と支持部材7とストッパー4とを拡大して示す図である。図2に示すように支柱5は、支持部材7の内側に収容されている。尚、本実施形態では、支持部材7が管状に形成されたものを例示しているため、支柱5が支持部材7の内側に完全に収容されるものを例示している。支柱5の上端部には、例えば図2に示すように外方向に拡大したフランジ部12が設けられ、支持部材7の内壁部と接触している。また図示を省略しているが、支持部材7の下端開口には内側に縮径しており、その縮径部が支柱5の外周メント接触している。したがって、支持部材7の下端部が支柱5の上端部近傍まで上昇すると、フランジ部12と縮径部とが互いに干渉し、支柱が支持部材7の内側から離脱しない構成となっている。
【0023】
ストッパー4は、支持部材7の下端近傍位置に取り付けられている。このストッパー4は、支持部材7の外周面を握持するように取り付けられる固定金具21と、その固定金具21の一端から下方に延びる支持金具22と、支持金具22の下部所定位置に設けられる軸受部23を中心に揺動可能なロック金具24とを備えて構成される。ロック金具24は、支柱5の外径よりも若干大きい内径を有する挿通孔24aを有しており、その挿通孔24aに支柱5が挿通された状態となる。またストッパー4には、一端が固定金具21に固定され、他端がロック金具24に接続されたコイルバネなどの付勢部材25が設けられる。この付勢部材25は、ロック金具24を上方(支持部材7が位置する方向)に向けて付勢する。ロック金具24の一端は軸受部23によって支持されているので、付勢部材25による付勢力によってロック金具24は、図2に示すように、その先端を上方に持ち上げた状態となる。すなわち、ロック金具24が付勢部材25の付勢力によって傾斜した状態となるため、挿通孔24aの内側エッジ部分が支柱5の外周面に係合した状態となってロック機能が発揮される。
【0024】
ロック金具24によるロック機能は、支柱5が支持部材7の内側に向かって進入しようとするときに有効となり、支柱5が支持部材7に対して進入する方向(矢印Fで示す方向)への移動を規制する。逆に、支柱5が支持部材7の下端開口から引き出される方向に移動するときには、支柱5の移動に伴ってロック金具24が先端を下方に押し下げた状態に変位するため、ロック金具24によるロック機能が解除される。そのため、支柱5を支持部材7の下端開口からスムーズに引き出すことが可能である。
【0025】
したがって、基台2を床面に固定した状態のままで昇降台3だけを持ち上げるときには、ロック金具24によるロック機能は働かず、支持部材7を支柱5に沿ってスムーズに上方へ移動させることが可能である。一方、昇降台3を持ち上げる力を緩めると、支持部材7が支柱5に沿って下方へ移動しようとするため、支柱5が支持部材7の内側に進入しようする。このとき、ロック金具24によるロック機能が有効に働き、支柱5に対する支持部材7の移動が規制されるので、昇降台3が一定の高さ位置で保持される。すなわち、ストッパー4は、昇降台3が基台2に対して相対的に上昇するときには支柱5の外周面との係合状態を解除して昇降台3の上昇を許容し、昇降台3が基台2に対して相対的に上昇しないときには支柱5の外周面との係合状態を維持し、昇降台3が基台2に対して相対的に下降することを抑制するのである。
【0026】
図3は、基台2に対して昇降台3を所定高さHだけ上昇させた状態を示す図である。例えば、2名の作業者が昇降作業台1の外側に立ち、一方の作業者が支持部材7a,7bの間で第3連結部8cを保持し、他方の作業者が支持部材7c,7dの間で第4連結部8dを保持する。そして、それぞれの作業者が片足で第1支持台6a又は第2支持台6bを押さえた状態で、第3連結部8c及び第4連結部8dのそれぞれを持ち上げていくと、昇降台3が基台2に対して相対的に上方に移動し、連結部8の下方に所定高さHの空間19を形成することができる。その後、それぞれの作業者が第3連結部8c又は第4連結部8dから手を離したとしても、上述したストッパー4のロック機能によって昇降台3は所定高さHに保持される。連結部8の下方に形成される空間19は、昇降台3の連結部8の下方位置に、連結部8を押し上げるための昇降装置30を導入するための空間となる。
【0027】
図4は、連結部8の下方空間19に昇降装置30を導入した状態を示す図である。昇降装置30は、車輪31によって床面上をスムーズに移動可能な基台32と、その基台32の中央部に設けられる昇降機構33と、昇降機構33の上端部に設けられる昇降部材34とを備えている。昇降機構33は、例えば空気圧式、水圧式、或いは、油圧式の昇降機構であり、上端部に設けられる昇降部材34を水平な姿勢のままで昇降させると共に、昇降部材34を一定の高さ位置で保持することができるように構成されている。
【0028】
昇降部材34は、概略所定厚さを有する平板状の部材であり、水平な上面の一部に第2連結部8bと係合して第2連結部8bを支持する凹部35が形成されている。凹部35の深さは第2連結部8bの厚み(高さ寸法)とほぼ同じである。したがって、昇降装置30の昇降機構33を駆動し、昇降部材34を若干上昇させると、第2連結部8bが凹部35の内側に収容され、第1連結部8aの下面が昇降部材34の水平な上面と接触した状態となる。その状態で更に昇降装置30の昇降機構33を更に駆動すると、昇降装置30は、昇降台3又は昇降作業台1を更に上昇させることができる。このような昇降装置30は、例えば昇降部材34を3~5m程度の高さ位置まで上昇させることができる。
【0029】
次に、上述した昇降作業台1を用いた施工方法について説明する。まず作業者は、第1工程として、天井スラブなどの天井構造の下方において、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物の設置位置に対応する床面上に、上述した昇降作業台1を設置する。このとき、昇降台3は、基台2に対して十分に下降させた状態に設置される。つまり、昇降作業台1は、支持部材7の上端部を床面から1.5~1.8m程度の高さとなるように設置される。
【0030】
次に作業者は、第2工程として、昇降作業台1における昇降台3の複数の支持部材7の上端部に対して天吊り枠体を設置する。図5は、天吊り枠体40を設置した状態の昇降作業台1を示す図である。図5に示すように、天吊り枠体40は、複数のフレーム材41を組み付けて構成される枠体である。図5では、6つのフレーム材41a,41b,41c,41d,41e,41fが組み付けられることにより平面視概略矩形状に構成された天吊り枠体40を例示している。ただし、天吊り枠体40に用いられるフレーム材41の数はこれに限られるものではない。また図5では、平面的な構成の天吊り枠体40を例示しているが、天吊り枠体40は平面的なものに限られず、立体的な構成であっても構わない。すなわち、天吊り枠体40において複数のフレーム材41がどのように組み付けられるかは、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物の配置や設置環境などに応じて予め定められている。
【0031】
図6は、天吊り枠体40を構成するフレーム材41の構成例を示す図である。図6(a)に示すようにフレーム材41は、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼42,43の平板部を所定間隔で互いに対向させた状態に連結された構成である。具体的には、図6(b)に示すように、互いに同一長さを有する一対の形鋼42,43の両端部にボルト46を挿通する孔42a,42b,43a,43bが設けられており、その孔42a,42b,43a,43bにボルト46が挿通され、ボルト46の先端にナット47が締着されることにより、一対の形鋼42,43が連結される。このとき、形鋼42,43の間においてボルト46の軸部に円筒状のスペーサ45を挿入することで、形鋼42,43の間に所定間隔のスリット44を形成する。スリット44の間隔は、支持棒11や、天井構造から垂下する吊りボルト、後述する支持ボルトなどを挿通可能な間隔である。したがって、各フレーム材41は、一端から他端まで延びるスリット44の任意の位置に、支持棒11や、吊りボルト、支持ボルトなどを挿入して取り付けることが可能である。またスリット44の間隔は、支持部材7の上端に設けられた平坦な載置面10の直径よりも小さい間隔である。したがって、天吊り枠体40を構成するフレーム材41のスリット44に支持部材7の上端に設けられた支持棒11を挿入すれば、載置面10がフレーム材41の下面を支持する状態となる。その結果、図5に示すように、天吊り枠体40が昇降作業台1の上端部に支持された状態となる。
【0032】
図5に示すように複数の支持部材7の上端部に対して天吊り枠体40を設置する際には、予め作成しておいた天吊り枠体40を支持部材7の上端部に載置するようにしても良い。ただし、これに限らず、複数のフレーム材41を組み付けて天吊り枠体40を完成させる作業を支持部材7の上端部において行うようにしても良い。この場合、支持部材7の上端部が床面から1.5~1.8m程度の高さ位置に設置されているため、作業者は、視線の高さとほぼ同じ高さ位置でボルト46の締め付け作業など行うことができる。そのため、作業者にとって、作業しやすく、簡単且つ安全に天吊り枠体40を完成させることが可能であり、作業効率に優れている。
【0033】
昇降作業台1の上端部に天吊り枠体40を設置すると、次に作業者は、第3工程として、その天吊り枠体40に対し、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物を取り付ける。図7は、天吊り枠体40に天井吊り下げ物を取り付けて天井吊り下げユニット50を構成した状態を示す図である。例えば、作業者は、天吊り枠体40を構成する各フレーム材41の予め定められた位置に4本の支持ボルト55を取り付け、天吊り枠体40から4本の支持ボルト55を垂下させた状態にする。そして作業者は、それら4本の支持ボルト55の下端に空気調和機51の四隅を取り付ける。これにより、空気調和機51は、天吊り枠体40に吊設された状態となる。また作業者は、天吊り枠体40を構成する各フレーム材41の予め定められた位置に吊りバンド56を取り付け、天吊り枠体40から複数の吊りバンド56を垂下させた状態にする。そして作業者は、それら吊りバンド56に対してドレン配管52や冷媒配管53などを取り付ける。これにより、ドレン配管52や冷媒配管53は、天吊り枠体40に吊設された状態となる。
【0034】
このようにして空気調和機51、ドレン配管52及び冷媒配管53などの天井吊り下げ物が天吊り枠体40に取り付けられると、天井吊り下げ物と天吊り枠体40とがユニット化された天井吊り下げユニット50が構成される。その結果、昇降作業台1は、昇降台3の上端部において、天井吊り下げユニット50を支持した状態となる。そして、昇降台3の上端部において天井吊り下げユニット50を作成するときにも、作業者は、視線の高さとほぼ同じ高さ位置で作業を行うことができるため、安全に且つ効率的に作業を進めることができる。
【0035】
昇降作業台1の上端部において天井吊り下げユニット50が支持された状態になると、次に作業者は、第4工程として、昇降台3を持ち上げることにより、昇降台3を基台2に対して相対的に上昇させ、連結部8の下方に昇降装置30を導入可能な空間19を形成する。このとき、上述したように少なくとも2名の作業者が共同作業を行えば、比較的簡単に昇降台3を持ち上げることができる。そして2名の作業者は、第3連結部8cと第4連結部8dとがほぼ同じ高さ位置となるように調整しつつ、天井吊り下げユニット50を支持した状態の昇降台3を所定高さHとなるまで持ち上げていく。
【0036】
連結部8の下方に昇降装置30を導入可能な空間19が形成されると、次に作業者は、第5工程として、連結部8の下方に形成した空間19に昇降装置30を設置する。そして作業者は、昇降装置30の昇降機構33を駆動することにより、昇降部材34を若干上昇させて昇降部材34の上面に形成された凹部35に第2連結部8bを収容させる。これにより、昇降装置30の昇降部材34が昇降台3の連結部8に係合した状態となる。
【0037】
図8は、昇降部材34を連結部8に係合させた状態を示す図である。図8に示すように昇降部材34を連結部8に係合させることにより、昇降装置30が昇降作業台1を床面から上昇させる際に、位置ズレや横滑りなどが生じてバランスが崩れてしまうことを防止することができる。
【0038】
続いて作業者は、第6工程として、昇降装置30の昇降部材34が連結部8に係合した状態で昇降装置30を動作させ、連結部8を押し上げる。このとき、昇降台3が基台2と一体となって上昇するため、昇降作業台1が床面から持ち上げられる。
【0039】
図9は、昇降装置30によって昇降作業台1が持ち上げられた状態を示す図である。図9に示すように、昇降装置30の昇降機構33は、テレスコピックタイプの昇降機構であり、鉛直方向の軸芯に沿って昇降部材34を上昇させる。そして昇降装置30は、上述したように昇降部材34を3~5m程度の高さ位置まで上昇させることができるため、昇降台3の上端部に支持されている天井吊り下げユニット50を、天井スラブから垂下する吊りボルトなどの天井構造の近傍位置(すなわち、天井構造に対する取り付け位置)まで上昇させることができる。
【0040】
その後、作業者は、第7工程として、高所作業を行うための足場に登り、昇降装置30によって天井構造の近傍位置に支持されている天井吊り下げユニット50を吊りボルトなどの天井構造に固定する。例えば、天井スラブから垂下する吊りボルトを、天吊り枠体40のフレーム材41に設けられたスリット44に通してナットを締着することにより、天吊りユニット50を天井構造に固定することができる。このとき、フレーム材41のスリット44の位置と、吊りボルトの位置とが適合しなければ、昇降装置30を床面上で水平方向に移動させれば良い。また吊りボルトをスリット44に差し込むときには、昇降装置30を駆動して天井吊り下げユニット50を更に上昇させるようにすれば良い。したがって、天井吊り下げユニット50を天井構造に固定するとき、作業者は、天井吊り下げユニット50を持ち上げたりする必要がなく、ナットを締着するだけの比較的簡単な作業を行うだけで良いため、作業負担が軽く、作業効率も優れている。
【0041】
上記のようにして天井構造に天井吊り下げユニット50が固定されると、次に作業者は、第8の工程として、昇降装置30を動作させて昇降部材34を下降させる。このとき、天井吊り下げユニット50は既に天井構造によって支持されているため、昇降部材34は、昇降作業台1のみを支持した状態で下降する。そして昇降作業台1を床面まで下降させると、全ての作業が完了する。尚、天井構造の複数箇所に天井吊り下げユニット50を設置する場合には、上述した工程を繰り返し行えば良い。
【0042】
上述したように、本実施形態の昇降作業台1を用いれば、空気調和機や各種配管などの天井吊り下げ物を相互に組み付けてユニット化する作業と、ユニット化された天井吊り下げ物を天井スラブなどの天井構造に固定する作業とを一連の工程として行うことができるようになるため、従来の施工方法と比較すれば作業効率を著しく向上させることができるという利点がある。
【0043】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態で説明したものに限られない。すなわち、本発明には、上記実施形態で説明したもの以外にも種々の変形例が適用可能である。
【0044】
例えば上記実施形態では、天吊り枠体40が、複数のフレーム材41a~41fを組み付けることにより平面的な矩形状の枠体として構成される場合を例示した。しかし、天吊り枠体40は、必ずしも平面的なものに限られず、立体的なものであっても良い。図10は、天吊り枠体40を立体的に構成した例を示す図である。図10に示す天吊り枠体40は、下部枠体40aと上部枠体40bとを備えて構成される。下部枠体40aは、上記実施形態において説明した天吊り枠体40と同様の構成である。これに対し、上部枠体40bは、下部枠体40aの上部に取り付けられる枠体である。図10に示す例では、門形に形成された2つの上部枠体40bが下部枠体40aの上部に取り付けられる場合を例示している。上部枠体40bは、例えば垂直方向(Z方向)に配置される2つの縦フレーム材61を、水平方向(X方向)に配置される横フレーム材62の両端近傍位置に立設させた状態に組み付けることにより、門形のフレーム構造として構成される。ただし、上部枠体40bは、必ずしも門形のフレーム構造に限られるものではない。例えば、上部枠体40bは、4本の横フレーム材62を一平面内(XY平面内)で矩形状に組み付け、その四隅のそれぞれから縦フレーム材61を立設させたテーブル形のフレーム構造としても良い。また縦フレーム材61と横フレーム材62とを組み付けることにより、その他の形状のフレーム構造としても良い。
【0045】
縦フレーム材61は、例えば所定長さを有する1本の角形鋼管によって構成され、その上下両端にL型アングル材63が取り付けられる。これに対し、横フレーム62は、縦フレーム材61よりも細い2本の角形鋼管を、所定間隔を隔てて平行に配置し、その両端をボルトとナットなどの固定手段で固定した構造である。したがって、横フレーム材62の中央には、長手方向に沿って所定間隔のスリットが形成される。このスリットの間隔は、上述したフレーム材41に設けられるスリット44の間隔にほぼ等しい。そのため、横フレーム材62のスリットには、吊りボルトや支持ボルトなどと同径のボルトを挿通することが可能である。
【0046】
縦フレーム材61は、下端に設けられたL型アングル材63の平板部が横フレーム材62に対してボルトなどで固定されることにより、横フレーム材62の長手方向所定位置に対して立設した状態に取り付けられる。つまり、2つの縦フレーム材61の間隔は、横フレーム材62に対する取り付け位置を変更することにより、適宜調整することができる。
【0047】
上記のようにして構成される上部枠体40bは、図10に示すように、下部枠体40aに対して取り付け可能である。すなわち、上部枠体40bの横フレーム材62に形成されているスリットと、下部枠体40aのフレーム材41に形成されているスリット44との双方にボルトを挿通してナットを締着することにより、上部枠体40bを下部枠体40aに対して固定することができる。このとき、上部枠体40bを位置は、フレーム材41に形成されているスリット44に沿って適宜調整することが可能である。
【0048】
上記のように構成される天吊り枠体40は、上部枠体40bが天井構造に対して固定される。すなわち、上部枠体40bの上端に設けられたL型アングル材63の平板部に設けられた孔64に対して吊りボルト9が挿入され、その吊りボルト9にナットが締着されることにより、上部枠体40bが天井構造に固定される。そして上部枠体40bは、縦フレーム材61の長さに応じた高さ位置で下部枠体40aを支持するのである。
【0049】
このように上部枠体40bが天井スラブよりも低い位置で下部枠体40aを支持することにより、優れた耐震性能を発揮する。すなわち、上部枠体40bの縦フレーム剤61は角形鋼管で構成されており、天井構造から垂下する吊りボルト9よりも太くて剛性が高いため、下部枠体40aを所定高さ位置で安定して支持することができるのである。
【0050】
上記のように天吊り枠体40が下部枠体40aと上部枠体40bとで構成される場合の施工方法には次の2つの方法があり、いずれの施工方法を採用しても良い。
【0051】
第1の方法は、上部枠体40bを先に天井構造に固定しておき、下部枠体40aを昇降作業台1における昇降台3の複数の支持部材7の上端部に対して設置する方法である。この方法では、下部枠体40aに対して空気調和機51などの天井吊り下げ物を吊り下げた状態に設置した後、昇降装置30を駆動させることにより、下部枠体40aを上昇させ、天井構造に予め固定されている上部枠体40bの下部に下部枠体40aを連結固定することで施工が完了する。この第1の方法では、下部枠体40aに天井吊り下げ物が取り付けられてユニット化された天井吊り下げユニット50が昇降装置30によって持ち上げられ、下部枠体40aと上部枠体40bとが相互に連結固定されることになる。
【0052】
第2の方法は、昇降作業台1における昇降台3の複数の支持部材7の上端部に対して下部枠体40aを設置した後、その下部枠体40aの上部に上部枠体40bを先に固定しておく方法である。この方法では、下部枠体40aに対して空気調和機51などの天井吊り下げ物を吊り下げた状態に設置した後、昇降装置30を駆動させることにより、下部枠体40aと上部枠体40bとを一体的に上昇させ、上部枠体40bを天井構造に固定することで施工が完了する。この第2の方法では、上部枠体40bが組み付けられた下部枠体40aに天井吊り下げ物が取り付けられてユニット化された天井吊り下げユニット50が昇降装置30によって持ち上げられ、上部枠体40bが天井構造に固定されることになる。
【0053】
更に他の変形例について説明する。上記実施形態では、天井吊り下げ物として、空気調和機51、ドレン配管52、冷媒配管53を例に挙げた。しかし、天井吊り下げユニット50に組み付けられる天井吊り下げ物は、必ずしも上述したものに限られない。例えば天井吊り下げユニット50は、換気用ダクトやケーブル配管、照明器具などが組み付けられたものであっても構わない。
【0054】
また上記実施形態では、支持部材7が管状に形成されており、支柱5が支持部材7の内側に完全に収容される例を説明した。しかし、これに限られるものではない。例えば、支持部材7は、支柱5の外周全体を包囲するものではなく、支柱5の外周を部分的に包囲することにより、支柱5に沿って上下方向に摺動可能な構成としても良い。
【0055】
また上記実施形態では、支持部材7の下部にストッパー4を設けた例を示したが、ストッパー4は必須のものではない。例えば、2名の作業者が第3連結部8c及び第4連結部8dのそれぞれを持ち上げていくと、昇降台3が基台2に対して相対的に上方に移動し、連結部8の下方に所定高さHの空間19を形成することが可能であり、その状態で空間19に昇降装置30を設置することができる。そして支柱5は支持部材7の内側から離脱しない構成を有しているため、その状態で昇降装置30が昇降台30を持ち上げたとしても、支柱5が支持部材7の内側から離脱することはなく、昇降台3と基台2とを一体的に持ち上げることが可能である。それ故、ストッパー4が設けられていない場合であっても正常に施工することが可能である。
【0056】
ただし、ストッパー4を設けた構成であれば、昇降装置30が昇降台3を持ち上げるときに支柱5が支持部材7の下端部から引き出されることがない。そのため、昇降台3と基台2の姿勢を安定させた状態で一体的に持ち上げることが可能であり、昇降作業台1の姿勢を安定させた状態で施工を行うことができるという利点がある。
【符号の説明】
【0057】
1…昇降作業台、2…基台、3…昇降台、4…ストッパー、5(5a~5d)…支柱、7(7a~7d)…支持部材、8…連結部、30…昇降装置、40…天吊り枠体、41(41a~41f)…フレーム材、50…天井吊り下げユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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