(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】吸引装置及びそれを用いた軽量物吸引処理装置
(51)【国際特許分類】
B65F 5/00 20060101AFI20220329BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20220329BHJP
F04F 5/46 20060101ALI20220329BHJP
F04F 5/20 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B65F5/00 101
B60P3/00 Z
F04F5/46 C
F04F5/20 E
(21)【出願番号】P 2018075130
(22)【出願日】2018-04-10
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】594105534
【氏名又は名称】有限会社藤木工業
(74)【代理人】
【識別番号】100069073
【氏名又は名称】大貫 和保
(72)【発明者】
【氏名】中里 久雄
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3213288(JP,U)
【文献】特開2008-255987(JP,A)
【文献】特開平11-166451(JP,A)
【文献】特開2011-172817(JP,A)
【文献】特開2006-193261(JP,A)
【文献】実開昭58-151463(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 5/00
B60P 3/00
F04F 5/20,5/46
E01H 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に吸引口及び排出口を有する吸引管と、該吸引管の外周に位置し、前記吸引管の排出口の周縁部に向かって断面が縮小する空気通路を画成し、前記吸引管の排出口
の周縁部との間に形成された空気吹出口から空気を吹き出す送風管と、該送風管に空気を送る送風手段とを具備し、
前記吸引管の排出口
の周縁部に、該排出口の周方向に所定の間隔で複数の切り欠き部を形成したことを特徴とする吸引装置。
【請求項2】
前記送風管の空気通路には、送風手段によって送風された空気を螺旋状に回転させる空気回転機構を設けることを特徴とする請求項1記載の吸引装置。
【請求項3】
前記送風管
には、前記吸引管の排出口に対応する部分からさらに延出する延出管が設けられる共に、該延出管を開閉するダンパ機構が設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の吸引装置と、
該吸引装置の吸引管の吸引口に接続されたフレキシブルホースと、
前記吸引装置の送風管の排出口が開口するゴミ収納空間とを具備することを特徴とする軽量物吸引処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミを効率的に吸引する吸引装置、特に軽量物を吸引するのに適した吸引装置に関する。さらに本発明は、その吸引装置を用いた軽量物吸引処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平6-238248号公報)は、軽量物だけを選択的に吸引することができる軽量物選択吸引装置を提供することを目的とするもので、この軽量物選択吸引装置は、軽量物を吸引する被吸引面上を送稿する走行部と、走行部上に載置され、被吸引面に対向する吸引口を有する吸引ダクトと、吸引ダクトの吸引口の第1領域では被吸引面から吸引口に向かう第1方向の風を生成し、吸引ダクトの吸引口の第2領域では吸引口から被吸引面上に乱気流を発生する乱気流発生手段とを有し、乱気流発生手段による乱気流により被吸引面に損際する軽量物を舞上げ、乱気流発生手段による第1方向の風により軽量物を選択的に吸引するものである。
【0003】
特許文献2(特開平10-193359号公報)は、分別装置上流での分別及び分散効率を向上させ、風力分別装置の回収率を容易に向上させる方法及び装置を提供することを目的とするもので、この装置及び方法は、フロンを含有した断熱材を構成材料として持つ被破砕物を解体処理する破砕機と、被破砕物の破砕片を運搬するベルトコンベアと、ベルトコンベアの末端に配設され、集塵機を風力源とする空気輸送管と連結され、該空気輸送管で回収した断熱材等の軽量物とプラスチック等の中間重量物を分別する風胴を具備した風力分別装置において、2つあるいはそれ以上の導電板を絶縁物で隔離し、表面に比誘電率の高い薄膜を施行した電極板と、該電極板の導電板に直流で夏を通電する装置を具備した静電吸着装置を該空気輸送管近傍で、該ベルトコンベアの上部に配設したものである。この特許文献2で開示される風力分別装置は、集塵機の風力に依存し、軽量物は上方の集塵機へ飛散し、重量物が傾斜型風胴、ジグザク型風胴の床面に沿って下方の重量物回収口に分別されることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-178796号公報
【文献】特開2006-117979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、鉄道のホーム下の線路上に散乱するタバコや、ゴミや、枯れ葉等のような軽量物だけを選択的に除去するために、プロペラを回転させることによって、吸引ダクト方向の流れる空気流と、屈曲部のエッジに衝突して吸引とは逆方向に流れる空気流とを発生させ、これによって乱気流を発生させて埋もれた軽量物を舞い上がらせるようにしたものであるが、軽量物に含まれる軽量物以下の重量の砂や小石なども吸引されるので、これらの固形物によってプロペラが破損するという問題点も生じる。
【0006】
特許文献2では、集塵機の吸引力によって軽量物及び重量物を同時に吸引し、軽量物が傾斜型風胴及びジグザク型風銅を上昇し、重量物が傾斜型風胴及びジグザク型風胴の床面に沿って下方に落下することによって両者が分別されるものであるが、集塵機の吸引力によって空気輸送管を上昇した軽量物及び重量物が、同一の吸引力を有する傾斜型風胴及びジグザク型風胴において効率的に分別されることは難しい。
【0007】
このため、本発明は、プロペラによらず、効率的にゴミを吸引することができる吸引装置を提供すると共に、この吸引装置を具備した軽量物吸引処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吸引装置は、その両端に吸引口及び排出口を有する吸引管と、該吸引管の外周に位置し、前記吸引管の排出口の周縁部に向かって断面が縮小する空気通路を画成し、前記吸引管の排出口の周縁部から前記吸引管の排出方向に向かって空気を吹き出す送風管と、該送風管に空気を送る送風手段とを具備し、前記吸引管の排出口周縁部に、該排出口の周方向に所定の間隔で複数の切り欠き部を形成したことにある。尚、送風手段としては電動モータであることが望ましい。
【0009】
これによって、送風手段によって送風管に空気が送られると、吸引管の排出口周縁から排出方向に勢いよく空気が吹き出されることによって、吸引管内の空気が引っ張られ、吸引管の吸引口に吸込み力が発生するものである。
【0010】
また、吸引管の排出口の周縁には、所定の形状、例えば半円形状、半楕円形状、くさび形形状、方形形状の切り欠き部が形成される。本発明者は、前記送風管によって前記吸引管の排出口の周縁に切り欠き部を形成することによって、前記吸引管の吸引力が増大することを見出した。原理については不明であるが、吸引管の排出口の周縁に吹き出される空気の風速及び風量が乱されることから生じる乱流によって、吸引管内の空気の取り込み量が増大するものであると推量される。
【0011】
また、吸引管の吸込み力は前記送風手段の風量に比例するため、送風手段による風量を調整することによって吸引管による吸込み量を変化させることが可能となる。これによって、例えば吸い殻等の軽量物を吸い込む場合には、必要なだけの風量を送風することによって、小石などの重量物を吸い込むことを避けることができる。また、植木の伐採を行った場合には、それに相応する風量に設定することによって伐採された枝葉のみを吸引することが可能となるものである。
【0012】
また、本発明によれば、前記送風管の空気通路には、送風手段によって送風された空気を螺旋状に回転させる空気回転機構を設けることが望ましい。これによって、送風管から吸引管の排出口の周縁部に吹き出される空気に回転力を与えることができるため、さらに吸引管内の空気の吸引力を向上させることができるものである。
【0013】
さらにまた、前記送風管前記送風管には、前記吸引管の排出口に対応する部分からさらに延出する延出管が設けられる共に、該延出管を開閉するダンパ機構が設けられることが望ましい。送風管の延長管を開閉するダンパ機構を設けたことによって、このダンパ機構を閉じた場合に、吸引管へ空気を逆流させることができるため、送風装置としても利用できるものである。また、これによって、吸引管内に吸引した軽量物などが引っかかり吸引力が低下した場合に、吸引管内に送風することによって引っかかった物質を排出することができるため、吸引力を復活させることができるものである。
【0014】
また、本発明によれば、本発明に係る上述した吸引装置と、該吸引装置の吸引管の吸引口に接続されたフレキシブルホースと、前記吸引装置の送風管の排出口が開口するゴミ収納空間とを具備する軽量物吸引処理装置を設けることが望ましい。
【0015】
さらに、この軽量物吸引処理装置を軽トラック等の荷台に設けることによって、軽量物吸引処理装置を移動可能とすることができるものである。この場合、送風手段としてのシロッコファン等を車両のエンジンと直結して利用することができるものである。
【0016】
また、軽量物吸引処理装置の下流側に空気浄化装置を設けることによって、排出される空気を浄化したものとすることができるものである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の係る吸引装置は、プロペラ式でないために、吸引した軽量のゴミが引っかかることなく回収できるという効果を有する。また送風手段による送風量を制御することによって容易に吸引力を制御することが可能となるもので、特に吸い殻や、枝葉、紙類を効率的に吸込みことができるものである。
【0018】
また、本発明によれば、簡易な構造で吸引装置を送風装置として切り換えることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1(a)は、本発明に係る吸引装置の構成を示した概略平面図であり、
図1(b)は、本発明に係る吸引装置の概略正面図である。
【
図2】
図2は、吸引装置の送風管に空気回転手段を設けた例を示した説明図である。
【
図3】本発明に係る軽量物吸引処理装置を軽トラックに搭載した場合の実施例を示した説明図である。
【
図4】前記軽量物吸引処理装置の吸引状態を示した説明図である。
【
図5】前記軽量物吸引処理装置を送風状態にした場合を示した説明図である。
【
図6】前記軽量物吸引処理装置に空気浄化装置を追加した例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について、図面により説明する。
【実施例1】
【0021】
本発明に係る吸引装置1は、例えば
図1(a),(b)に示すもので、両端に吸引口2aと排
出口2bを有する吸
引管2と、この吸引管2の外周に位置し、前記吸引管2の排出口2bの周縁部に向かって断面が縮小する空気通路3を画成し、前記吸引管2の排出口2b周縁から前記吸引管2の排出方向に向かって空気を吹き出す送風管4と、この4送風管に空気を送る送風装置5とを具備する。尚、前記吸入管2の排
出口2bの周縁部と前記送風管4の端部との間には、空気吹出口7が形成されるものである。尚、この実施例では、送風装置5は、電動モータ9によって駆動されるシロッコファンであり、送風管4と連結通路6を介して接続されるもので、この実施例では2台の小型のシロッコファンによって構成したが、大型のシロッコファンを1台で稼働するようにしても良いものである。
【0022】
さらに、本発明に係る吸引装置1は、前記吸引管2の排出口周縁部に、排出口2bの周方向に所定の間隔で複数の切り欠き部2cを形成したことを特徴とするものである。この切り欠き部2cは、この実施例では、半円形状であるが、方形形状、楔形状、方形形状であっても良いものである。この切り欠き部2Cを形成することによって、吸引管2の排出口2b周縁において空気吹出口7から吹き出される空気に乱流を発生させることができるため、吸引管2での吸引作用を向上させることができるものである。
【0023】
さらにこの実施例では、前記送風管4と前記送風装置5とを連結するための連結通路6が設けられる。これによって、送風装置5によって送られた空気を、連結通路6を介して送風管4に送るものである。
【0024】
以上の構成の吸引装置1において、前記送風装置5を稼働させると、連結通路6から送風管4に空気が送られ、前記吸引管2の排出口2bの周縁部と前記送風管2との間に形成された空気吹出口7から、空気通路3の縮小によって圧縮され速度が上昇した空気が排気方向に吹き出され、これに伴って吸引管2内の空気が排出口2bから引き出されるので、吸引管2内に吸引作用が生じるものである。さらに、吸引管2の排出口2bの周縁部分に形成された切り欠き部2cによって吸引作用を増大させることができるものである。
【0025】
また、この実施例においては、
図2に示すように、前記送風管4の空気通路3には、送風装置5によって送風された空気を螺旋状に回転させる空気回転機構8を設けても良いものである。これによって、空気通路3内において、送風装置5によって送風された空気を螺旋状に旋回させることができるため、空気吹出口7から吹き出される空気に大きな乱流を発生させることができるため、吸引管2内の空気の引き出し量が増加し、吸引管2の吸引作用をさらに増大させることできるものである。
【実施例2】
【0026】
図3乃至
図5において示される軽量物吸引処理装置Aは、上述した実施例1に係る吸引装置1を例えば軽トラック10の荷台10Aに搭載したもので、吸引装置1の送風管4を前記吸引管2の排
出口2bに対応する部分からさらに延出する延長管4aを具備する。また、この実施例2に係る吸引装置1は、動力源として軽トラックの走行用エンジン11を使用するシロッコファンである。尚、この実施例において、前述した実施例1と同一の箇所及び同一の効果を奏する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
また、前記吸引装置1の吸引管2の吸引口2aには、フレキシブルホース20が接続され、例えば伐採された枝葉を吸引するために使用されるものである。さらに前記延長管4aは、トラックの荷台10Aに搭載された回収ボックス30内に延出し、この回収ボックス30内に吸引した枝葉を回収するようになっているものである。尚、前記延長管4aには、回収した軽量物を放出するための放出開口部4bが形成されており、回収した軽量物を下方に放出するようになっているものである。
【0028】
さらに、前記延長管4aの所定の位置には、前記延長管4aを開閉するためのダンパ装置40が設けられる。このダンパ装置40によって前記延長管4aが開通した状態においては、前記吸引装置1は
図4で示すように、通常の吸引動作を行うが、前記フレキシブルホース20内にゴミが詰まった場合など吸引装置1の吸引作用が減少した場合、吸引装置1を送風装置として使用したい場合などには、前記ダンパ装置40によって延長管4aを塞ぐことによって、送風管4から吹き出される風が吸引管2内を逆流することによって、フレキシブルホース20内に詰まったゴミを吹き出して詰まりを解消したり、送風装置として使用したりすることができるものである。
【実施例3】
【0029】
実施例3に係る装置は、例えば
図6に示すもので、実施例2に係る軽量物吸引処理装置Aの後流側に空気浄化装置Bを設けたことを特徴とするものである。尚、この実施例において、前述した実施例1及び実施例2と同一の箇所及び同一の効果を奏する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
前記回収ボックス30によって軽量物などが回収された後、吐き出される空気には多数の塵埃等が含まれている場合が有り、特に室内においてゴミを回収した場合、塵埃等を含む空気をそのまま放出すると室内空気を汚染する場合がある。
【0031】
このため、この実施例では、前記回収ボックス30を密閉空間30Aとし、送風装置5Aによって回収ボックス30内の空気を、連結通路50を介して空気浄化装置Bに送る。この場合、回収ボックス30内の汚染された空気は、送風装置5Aの送風に巻き込まれて連結通路50から空気浄化装置Bの上方に送り込まれる。また、前記吸引装置1を、密閉ハウジング60内に収納し、送風装置5に吸引される空気も、フィルタ61を介して吸引することによって塵埃を含む空気の取り込みを防止するようにしても良いものである。
【0032】
空気浄化装置Bの上方には、洗浄液を噴霧又は放出するシャワー装置51が設けられ、上部フィルタ52を介して滴下した洗浄液(例えば水)は、前記連結通路50から送られた空気と接触し、中間フィルタ53において空気と洗浄液とを十分に接触させて空気から汚染物質を除去する。前記中間フィルタ53を通過した洗浄液は空気浄化装置Bの下方に滴下し、ドレン配管54から回収される。汚染物質が除去された空気は、送風機5Bによって排気口55から室内に放出されるものである。
【0033】
これによって、吸引装置1によって吸引されたゴミが回収されると共に、同時に吸入した空気を浄化することができるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 吸引装置
2 吸引管
2a 吸引口
2b 排出口
2c 切り欠き部
3 空気通路
4 送風管
5 送風装置
6 連結通路
7 空気吹出口