(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】造水装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/04 20060101AFI20220329BHJP
B01D 1/06 20060101ALI20220329BHJP
B01D 1/30 20060101ALI20220329BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20220329BHJP
B63J 1/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
C02F1/04 A
B01D1/06
B01D1/30 Z
B01D5/00 A
B63J1/00
(21)【出願番号】P 2018075534
(22)【出願日】2018-04-10
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 充志
(72)【発明者】
【氏名】島田 統行
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-006640(JP,A)
【文献】特開2003-340438(JP,A)
【文献】特開昭53-043082(JP,A)
【文献】米国特許第04943353(US,A)
【文献】国際公開第2016/013997(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/04 - 1/18
B01D 1/00 - 1/30
B01D 5/00
B63J 1/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器と、
前記加熱器上に着脱可能に接続され、前記加熱器で生成された蒸気を凝縮する凝縮器と、
設置面に設置され、前記凝縮器を下方より支持する架台と、を備え、
前記架台は、複数の支柱部を有し、
前記凝縮器は、前記架台の各支柱部の上端に接続される接続部を有
し、
前記凝縮器は、複数の脚部をさらに有し、
前記複数の脚部は、前記架台の対応する前記支柱部との前記接続部を下端に有するとともに、下端が前記凝縮器の前記加熱器との接続部よりも下方に突き出ている、造水装置。
【請求項2】
前記加熱器が、前記架台の少なくとも1つの前記支柱部に着脱可能に取り付けられている、請求項
1に記載の造水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から淡水を製造するために使用される造水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海上を運行する船舶においては、船舶に搭載したボイラーからの蒸気又はディーゼル機関からの冷却水の廃熱等を熱源として利用して、海から汲み上げた海水を高真空下で蒸発させた後、凝縮することにより、淡水化することが従来から行われている。この種の造水装置としては、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
【0003】
図10に示すように、特許文献1に記載の造水装置100は、供給される原料海水を加熱して蒸発させる加熱器101と、加熱器101で発生した蒸気を凝縮する凝縮器102とを備えている。加熱器101内には、複数の加熱用伝熱管が設けられており、加熱器101内に熱源として供給されるディーゼル機関の冷却等に用いられた冷却水との熱交換により、加熱用伝熱管内を流れる原料海水が加熱・蒸発されて、蒸気が凝縮器102に供給される。凝縮器102内には、複数の凝縮用伝熱管が設けられており、凝縮器102内に供給された蒸気は、凝縮用伝熱管内を流れる冷却用海水との熱交換により冷却、凝縮されて凝縮水となり、凝縮器102から排出される。凝縮用伝熱管内を通過して加熱された冷却用海水は、その一部が凝縮器102内に複数設けられた予熱用伝熱管内に供給されて凝縮器102内の蒸気により加熱された後、原料海水として加熱器101に供給され、残部が船舶外などに排出される。
【0004】
上記構成の造水装置100は、凝縮器102と加熱器101とがボルト及びナットの締め付けにより接続、固定され、凝縮器102の外周面に取り付けられた複数の脚部104を含む架台103により、凝縮器102及び加熱器101が床面の上方で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成の造水装置100は、架台103が凝縮器102と一体化した構造であるため、容量が大きい形式では、その全体形状の大きさにより、コンテナに収納することができず、造水装置100を輸送する際にそのコストが高くなるとの課題がある。また、船舶に設置されている既存の造水装置100を換装する際に、船舶内の搬入経路が狭いと、造水装置100を運搬できないとの課題がある。また、既存の造水装置100の凝縮器102のみを交換する際にも、架台103ごと凝縮器102を運搬して交換する必要があるので、船舶内の搬入経路が狭いと、凝縮器102を運搬できないとの課題がある。
【0007】
本発明は、上記した課題に着目してなされたものであり、容易にコンテナに収納することができ、船舶内の狭い搬入経路でも容易に運搬することができる造水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る造水装置は、被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器と、前記加熱器上に着脱可能に接続され、前記加熱器で生成された蒸気を凝縮する凝縮器と、設置面に設置され、前記凝縮器を下方より支持する架台と、を備え、前記架台は、複数の支柱部を有し、前記凝縮器は、前記架台の各支柱部の上端に接続される接続部を有することを特徴としている。
【0009】
上記構成の造水装置においては、前記凝縮器は、複数の脚部を有し、前記複数の脚部は、下端に対応する前記支柱部との前記接続部を有するとともに、下端が前記凝縮器の前記加熱器との接続部よりも下方に突き出ていることが好ましい。
【0010】
また、上記構成の造水装置においては、前記加熱器が、前記架台の少なくとも1つの前記支柱部に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る造水装置によると、凝縮器を架台から分割可能であり、凝縮器、加熱器及び架台などのユニットごとにそれぞれ分けてコンテナに容易に収納することができる。よって、船舶内の狭い搬入経路でも容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図1の造水装置における凝縮器及び加熱器の縦断面図である。
【
図6】加熱器が架台に取り付けられた状態の正面図である。
【
図7】加熱器が架台に取り付けられた状態の左側面図である。
【
図8】本実施形態の接続部を拡大して示す縦断面図である。
【
図9】他の実施形態の接続部を拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2は、本実施形態の造水装置1の外観構成を、
図3は、本実施形態の造水装置1における加熱器2及び凝縮器3の内部構成を、それぞれ示している。また、
図4は、加熱器2の外観構成を、
図5は、凝縮器3の外観構成を、
図6及び
図7は、加熱器2が架台4に取り付けられた状態の外観構成を、それぞれ示している。
【0014】
本実施形態の造水装置1は、海水などの被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器2と、加熱器2上に着脱可能に取り付けられて加熱器2で生成された蒸気を凝縮する凝縮器3と、床面などの設置面に設置されて凝縮器3を下方より支持する架台4とを少なくとも備えている。
【0015】
加熱器2は、円筒状の本体部20と、トレー状の原水導入部30とを備えており、本体部20の下端部にボルト及びナットの締め付けにより原水導入部30が接続、固定されている。
【0016】
本体部20は、下部開口及び上部開口がそれぞれ底板21及び蓋板22により覆われるとともに、内部が上下に延びる仕切板23により仕切られていることで第1加熱室24A及び第2加熱室24Bに区分けされている。本体部20内の第1加熱室24A及び第2加熱室24Bには、それぞれ上下に延びる複数の伝熱管25が収容されており、各伝熱管25は、両端部が底板21及び蓋板22のそれぞれに形成された複数の差込孔のうちの対応する差込孔に差し込まれることで底板21及び蓋板22に固定されている。
【0017】
本体部20の側壁には、第1加熱室24Aに対応して、加熱用流体として例えばディーゼル機関の冷却に用いられたジャケット冷却水などの温水を供給する第1供給口26Aが設けられている。第1供給口26Aから供給された加熱用流体は、第1加熱室24A内で各伝熱管25の周囲を通過して、本体部20の側壁の第1供給口26Aの上方に設けられた第1排出口27Aから排出される。また、本体部20の側壁には、第2加熱室24Bに対応して、加熱用流体として例えば蒸気を供給する第2供給口26Bが設けられている。第2供給口26Bから供給された加熱用流体は、第2加熱室24B内で各伝熱管25の周囲を通過して、本体部20の側壁の第2供給口26Bの下方に設けられた第2排出口27Bから排出される。第1加熱室24A内及び第2加熱室24B内には、それぞれ加熱用流体の流路を蛇行させる複数の邪魔板28が設けられている。
【0018】
原水導入部30は、内部が上下に延びる仕切板31により仕切られていることで、第1加熱室24A及び第2加熱室24Bにそれぞれ対応した第1導入室32A及び第2導入室32Bに区分けされている。第1導入室32A及び第2導入室32Bは、それぞれ第1加熱室24A及び第2加熱室24B内の伝熱管25の下端部と連通している。原水導入部30の側壁には、第1導入室32A及び第2導入室32Bにそれぞれ対応して、被処理液を導入する導入口33A,33Bが形成されている。各導入口33A,33Bから原水導入部30の内部に導入された被処理液は、各伝熱管25に供給され、各伝熱管25内を上昇する間に各伝熱管25周囲の加熱用流体により加熱されて蒸発し、蒸気となって凝縮器3に供給される。
【0019】
凝縮器3は、加熱器2の本体部20よりも大径の円筒状のケーシング40を備えている。ケーシング40及び加熱器2の本体部20が間に蓋板22を挟んだ状態でボルト及びナットの締め付けにより接続、固定されており、加熱器2は、凝縮器3につり下げ状態で支持されている。加熱器2から供給された蒸気は、ケーシング40の下部開口からケーシング40の内部に導入されて、ケーシング40の内部を上昇する。ケーシング40の内部は、下部隔壁41A及び上部隔壁41Bからなる隔壁41と受け部材47とにより第1気水分離室42A及び第2気水分離室42Bに仕切られている。各気水分離室42A,42Bには、蒸気から被処理液の液滴を捕捉する気水分離手段43が設けられている。気水分離手段43は、例えば、気水分離板430と、気水分離板430の上方に配置されるデミスタ(細い糸条によって形成された目の細かな網体を複数積層したメッシュセパレータ)431で構成される。
【0020】
ケーシング40の側壁の上部には、第1気水分離室42Aに対応して、蒸気などのガスを排出するガス排出口44Aが形成されており、ケーシング40から突出した受け部材47の側壁には、第2気水分離室42Bに対応して、蒸気などのガスを排出するガス排出口44Bが形成されている。また、ケーシング40の側壁の下部には、第1気水分離室42A及び第2気水分離室42Bにそれぞれ対応して、蒸気から分離された被処理液を排出する液排出口45A,45Bが形成されている。
【0021】
ケーシング40の第1気水分離室42A側のガス排出口44Aには、蒸気供給管5の一端部が接続されており、蒸気供給管5の他端部は、加熱器2の本体部20の第2加熱室24B側の第2供給口26Bに接続されている。加熱器2の第1加熱室24Aで生成された蒸気は、凝縮器3の第1気水分離室42Aに供給された後、一部が蒸気供給管5を経て加熱器2の第2加熱室24Bに加熱用流体として供給される。加熱器2の第2加熱室24Bに加熱用流体として供給された蒸気は、第2加熱室24B内で各伝熱管25内の被処理液によって冷却されることで凝縮する。凝縮により生成された淡水は、第2排出口27Bから第2淡水回収管12によって回収される。
【0022】
蒸気供給管5は、凝縮器3(ケーシング40)の第1気水分離室42A側(背面側)から右側面側に凝縮器3の周りを回るとともに、加熱器2の右側面の側方に向けて下方に傾斜した後、加熱器2の右側面に向けて湾曲して水平に延びることで、凝縮器3の第1気水分離室42A側のガス排出口44Aと、加熱器2の第2加熱室24B側の第2供給口26Bとを接続している。蒸気供給管5は、本実施形態では、凝縮器3のガス排出口44Aに接続される凝縮器側配管5Aと、加熱器2の第2供給口26Bに接続される加熱器側配管5Bとで構成され、凝縮器側配管5Aと加熱器側配管5Bとが連結されてなる。
【0023】
また、ケーシング40の第2気水分離室42B側のガス排出口44Bには、抽気管6の一端部が接続されており、抽気管6の他端部は、例えば水エゼクタ7に接続されている。本実施形態では、第2気液分離室42B内のガスが水エゼクタ7により吸引されて、第2気液分離室42B内が大気圧より低い減圧(真空)状態に保持される。
【0024】
ケーシング40の第1気水分離室42A側の液排出口45Aには、第1原水供給管8の一端部が接続されており、第1原水供給管8の他端部は、加熱器2の原水導入部30の第2導入室32B側の第2導入口33Bに接続されている。凝縮器3の第1気水分離室42Aで蒸気から分離された被処理液は、第1原水供給管8を経て加熱器2の第2導入室32Bに原水として供給される。また、ケーシング40の第2気水分離室42B側の液排出口45Bには、ブライン排出管9の一端部が接続されており、ブライン排出管9の他端部は、本実施形態では水エゼクタ7に接続されている。凝縮器3の第2気水分離室42Bで蒸気から分離された被処理液(ブライン)は水エゼクタ7によって吸引された後、船舶外に排出される。
【0025】
凝縮器3は、ケーシング40の内部に設けられた複数の伝熱管46をさらに備えている。複数の伝熱管46は、ケーシング40を貫通するようにして水平に設けられた円筒状の受け部材47内に収容されており、受け部材47は、ケーシング40の内部においては上側部分が蒸気を受け部材47内に導入するために開口した桶状を呈している。受け部材47の両端部には、それぞれ第1ヘッダー48A及び第2ヘッダー48Bが接続されている。
【0026】
複数の伝熱管46は、本実施形態では、上部隔壁42Bの一方側(第2気液分離室43B側)に配置されており、各伝熱管46の両端部が受け部材47の左壁面及び右壁面に固定され、第1及び第2の両ヘッダー48A,48Bの内部と連通している。複数の伝熱管46は、一部は復水器を構成し、残部が予熱器を構成する。
図3では、破線の矩形枠に囲まれた各伝熱管46が予熱器を構成する伝熱管である。
【0027】
第1ヘッダー48Aには、冷却水として海水などの被処理液を導入する冷却水入口49が設けられている。冷却水入口49には本実施形態では水エゼクタ7が接続されており、エゼクタポンプ(図示せず)からの海水が冷却水として導入される。第1ヘッダー48Aは、仕切板(図示せず)により上下2つのヘッダー室(図示せず)に仕切られており、下方のヘッダー室を通じて、複数の伝熱管46のうちの復水器を構成する一部の伝熱管46に被処理液を供給する。復水器を構成する各伝熱管46に供給された被処理液は、各伝熱管46内を第2ヘッダー48Bに向けて流れ、この際に、凝縮器3の第2気水分離室42Bに供給された蒸気が各伝熱管46内の被処理液によって冷却されることで凝縮する。凝縮により生成された淡水は、受け部材47に設けられた第1淡水出口50から第1淡水回収管10によって回収される。
【0028】
第2ヘッダー48Bは、仕切板(図示せず)により上下2つのヘッダー室(図示せず)に仕切られており、第2ヘッダー48Bの下方のヘッダー室に供給された被処理液は、一部が下方のヘッダー室に設けられた冷却水出口51から排出され、一部が上方のヘッダー室に供給されて複数の伝熱管46のうちの予熱器を構成する一部の伝熱管46に供給される。予熱器を構成する各伝熱管46に供給された被処理液は、第1ヘッダー48Aの上方のヘッダー室に向けて流れ、この際に、凝縮器3の第2気水分離室42Bに供給された蒸気によって加熱される。被処理液の加熱に用いられた蒸気は、凝縮して淡水となり、受け部材47に設けられた第1淡水出口50から第1淡水回収管10によって回収される。
【0029】
第1ヘッダー48Aに供給された予熱後の被処理液は、第1ヘッダー48Aに設けられた原水排出口52から排出される。原水排出口52には、第2原水供給管11の一端部が接続され、第2原水供給管11の他端部は、加熱器2の原水導入部30の第1導入室32A側の第1導入口33Aに接続されている。第1ヘッダー48Aから排出された予熱後の被処理液は、第2原水供給管11を経て加熱器2の第1導入室32Aに原水として供給される。
【0030】
加熱器2及び凝縮器3は、架台4により設置面の上方で支持されている。架台4は、複数の支柱部60を有しており、加熱器2は、複数の支柱部60の間の空間の中央に収容されている。各支柱部60は、本実施形態では、断面視L字状に形成されており、隣接する支柱部60と下端部において連結部61により連結されている。各支柱部60は、上下の端の位置がそれぞれ同じ高さに揃っており、各支柱部60の上端同士及び下端同士が同一水平面上に位置している。各支柱部60は、下端に平板状の基台部62を有し、各支柱部60は、基台部62により設置面上に安定して立てられる。なお、支柱部60の形状は、断面視L字状に限られるものではなく、断面視でコ字状やH字状であってもよい。
【0031】
凝縮器3は、ケーシング40の外周面に一体に取り付けられるとともに架台4の複数の支柱部60と一対一で対応する複数の脚部34を有している。各脚部34は、本実施形態では、断面視L字状に形成されており、下端が凝縮器3の加熱器2との接続部(ケーシング40の下端)よりも下方に突き出ていて、各脚部34の下端が設置面に接地した際には、凝縮器3の加熱器2との接続部(ケーシング40の下端)が設置面よりも上方に位置する。各脚部34は、下端の位置が同じ高さに揃っており、各脚部34の下端同士が同一水平面上に位置している。なお、脚部34の形状は、断面視L字状に限られるものではなく、断面視でコ字状やH字状であってもよい。
【0032】
各支柱部60及び各脚部34の間には、対応する支柱部60と脚部34とを接続するための接続部63が設けられている。接続部63は、例えば
図8に示すように、凝縮器3の各脚部34の下端に設けられた第1接続板64と、架台4の各支柱部60の上端に設けられた第2接続板65と、各接続板64,65を連結するためのボルト66及びナット67を有する。各接続板64,65にはボルト66の挿通孔が形成されている。各脚部34の下端の第1接続板64を架台4の対応する各支柱部60の上端の第2接続板65に一対一で重ね合わせて、ボルト66及びナット67により締結することで、凝縮器3が架台4上に安定して設置される。
【0033】
架台4は、本実施形態では、少なくとも1つの支柱部60に加熱器2が着脱可能に取り付けられている。架台4の各支柱部60の下端は、加熱器2が支柱部60に取り付けられた状態では加熱器2の下端よりも下方に位置しており、各支柱部60の下端が設置面に接地した際に加熱器2が設置面よりも上方に位置する。また、架台4の各支柱部60の上端は、加熱器2が支柱部60に取り付けられた状態では加熱器2の上端よりも下方に位置しており、凝縮器3が架台4上に設置されたときに、凝縮器3の下端と加熱器2の上端とが当接した状態となるようにその高さ位置が設定され、これにより、凝縮器3及び加熱器2がボルト及びナットにより連結可能となる。
【0034】
架台4は、本実施形態では、少なくとも1つの支柱部60と加熱器2との間に搬出入手段が介在しており、搬出入手段により加熱器2を支持しながら、2つの支柱部60の間から架台4の内外に加熱器2を搬出入可能となっている。
【0035】
搬出入手段は、本実施形態では、所定の支柱部60回りに加熱器2を回動させるヒンジ機構13により構成されている。ヒンジ機構13は、所定の支柱部60に一体に取り付けられた上下一対の軸受131に回動可能に支持された丸棒状の回動軸130と、回動軸130に一体に取り付けられた平板状の支持部材132と、加熱器2の外周面に一体に取り付けられた平板状の固定部材133とにより構成されている。
【0036】
固定部材133の板面には、複数のボルト孔135が上下方向に所定の間隔をあけて形成されている。一方で、支持部材132の板面には、上下方向に沿って延びる長孔から成る位置調整孔134が、固定部材133のボルト孔135に応じて形成されている。支持部材132と固定部材133とを、位置調整孔134及びボルト孔135とが重なる状態で面接触させ、ボルト136を位置調整孔134及びボルト孔135に挿入してナット137とで締め付けることにより、支持部材132に固定部材133が固定され、加熱器2が回動軸130を中心に所定の支柱部60に対して回動可能となる。この回動により、加熱器2を、架台4内の空間から架台4の外側のスペースに2つの支柱部60の間を通して搬出でき、また、逆に架台4の外側のスペースから架台4内の空間に搬入できる。
【0037】
なお、ヒンジ機構13は、特許第6099497号公報に開示されたものを用いることができる。また、搬出入手段はヒンジ機構13に限定されるものではなく、特許第6099497号公報に開示されたスライド機構などの搬出入手段、さらには、加熱器2を支持しながら2つの支柱部60の間から架台4の内外に加熱器2を搬出入可能であれば、その他の搬出入手段を用いることができる。
【0038】
上述した構成の本実施形態の造水装置1では、凝縮器3が架台4に対して着脱可能であるため、容量が大きく全体としてはコンテナに収納することができない場合であっても、凝縮器3を架台4から取り外すことで、凝縮器3、加熱器2及び架台4などのユニットごとにそれぞれ分けてコンテナに収納することができる。よって、造水装置1の輸送を容易に行うことができるとともに輸送コストを低減することができる。
【0039】
また、船舶に設置されている既存の造水装置1を換装する際に、船舶内の搬入経路が狭くても、造水装置1をユニットごとに分けて運搬することができるので、造水装置1の換装を容易に行うことができる。さらに、既存の造水装置1の凝縮器3のみを交換する際にも、架台4ごと凝縮器3を運搬して交換する必要がなく、凝縮器3のみを運搬して交換すればよいので、船舶内の搬入経路が狭くても凝縮器3を運搬することができ、凝縮器3の交換を容易に行うことができる。
【0040】
以上、本実施形態の造水装置1によれば、各ユニットに分けて容易にコンテナに収納することができ、船舶内の狭い搬入経路でも容易に運搬することが可能である。
【0041】
加えて、本実施形態の造水装置1によれば、凝縮器3の各脚部34の下端が凝縮器3よりも下方に突き出ているため、凝縮器3を各脚部34により設置面の上方に静置することができる。凝縮器3の輸送の過程においては、一時的に凝縮器3を床面などの設置面上に置くことがあるが、その際に、各脚部34が凝縮器3の加熱器2との接続部よりも下方に突き出ていることで、凝縮器3を、加熱器2との接続部が設置面に接触することなく設置面上に置くことができる。これにより、凝縮器の自重によって加熱器2との接続部が変形したり、損傷したり、あるいは汚れが付着したりすることを防止できる。
【0042】
加えて、本実施形態の造水装置1によれば、加熱器2を架台4に取り付けることが可能であるため、加熱器2を架台4により設置面の上方に静置することができる。このように、加熱器2を設置面から浮かせることで、ヒンジ機構13による搬出入が容易になる。さらに、加熱器2と設置面との間に加熱器2を搬送できる機材を設置することによっても、加熱器2の搬出入が可能となる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0044】
また、上記実施形態では、造水装置1が2重効用型であるが、仕切板23,31や隔壁41を有さない単なる単効用型であってもよく、あるいは、加熱器2及び凝縮器3を複数の仕切板23,31及び隔壁41で仕切ることで3つ以上の加熱室及び気水分離室を形成し、前段の加熱室で生成された蒸気を後段の加熱室の加熱用流体として利用することにより、3重以上の効用型とすることもできる。
【0045】
また、上記実施形態では、加熱器2が架台4にヒンジ機構13により所定の支柱部60回りに回動可能に取り付けられているが、回動不能に架台4の所定の支柱部60に着脱可能に取り付けられていてもよいし、架台4に取り付け可能でなくてもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、接続部63は、例えば
図9に示す構造のものであってもよく、特定の構造のものに限定されるものではない。
図9に示す接続部63は、凝縮器3の各脚部34の下端に設けられた第1接続板64と、架台4の各支柱部60の上端に設けられた第2接続板65と、各接続板64,65の位置合わせを行う位置決めピン68と、ガイド板69と、ガイド板69と脚部34及び支柱部60とを連結するためのボルト66及びナット67とを有する。位置決めピン68は2つの接続板64,65のうちの一方の接続板(図示例では第2接続板65)に設けられ、他方の接続板(図示例では第2接続板65)には位置決めピン68の挿通孔が形成されている。また、各脚部34及び各支柱部60、並びにガイド板69には、ボルト66の挿通孔が形成されている。各脚部34の下端の第1接続板64を架台4の対応する各支柱部60の上端の第2接続板65に位置決めピン68を用いて一対一で重ね合わせた後、ガイド板69を脚部34及び支柱部60にまたがるように配置し、ガイド板69と脚部34及び支柱部60とをボルト66及びナット67により締結することで、凝縮器3が架台4上に安定して設置される。
【0047】
位置決めピン68は、先端に向かうに連れて先細りとなるテーパ状を呈していることが好ましい。位置決めピン68がテーパ状を呈していることにより、位置決めピン68を用いた2つの接続板64,65の位置合わせが容易となる。
【符号の説明】
【0048】
1 造水装置
2 加熱器
3 凝縮器
4 架台
5 蒸気供給管
23 仕切板
24A,24B 加熱室
60 支柱部
63 接続部
64 脚部