(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】探知装置
(51)【国際特許分類】
G01V 3/08 20060101AFI20220329BHJP
H02G 3/12 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01V3/08 A
H02G3/12
H02G3/12 030
(21)【出願番号】P 2018190742
(22)【出願日】2018-10-09
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500235777
【氏名又は名称】株式会社マーキス
(74)【代理人】
【識別番号】100090284
【氏名又は名称】田中 常雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 好徳
(72)【発明者】
【氏名】西田 伊織
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-221462(JP,A)
【文献】特開平10-039040(JP,A)
【文献】特開昭56-042167(JP,A)
【文献】特開2000-292549(JP,A)
【文献】特開平10-031076(JP,A)
【文献】特開平01-250887(JP,A)
【文献】米国特許第06708421(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-99/00
H02G 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁材(50)の裏側に配置される配線ボックス(52)であって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板(54)を、下側に第2の金属板(56)を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、
当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサ(20UR,20UL)と、
当該第1及び第2の金属
センサのそれぞれから等距離の位置に配置される第3の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3の金属センサ(20D)と、
当該第1、第2及び第3の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段(62,64,66,68)と、
当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段(60C,22C)
とを有
し、
当該判定手段が、
当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段(64)と、
当該第3の金属センサの出力を金属検出閾値TH1と比較することにより、当該第3の金属センサが当該金属検出状態か否かを判定する第1の比較手段(62)と、
当該加算手段の出力を中央判定閾値TH2と比較することにより、当該第1及び第2の金属センサが同時に当該金属検出状態にあるか否かを判定する第2の比較手段(66)と、
当該第1及び第2の比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2及び第3の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段(60C,22C)に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段(68)
とを有する
ことを特徴とする探知装置。
【請求項2】
壁材(50)の裏側に配置される配線ボックス(52)であって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板(54)を、下側に第2の金属板(56)を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、
当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサ(20UR,20UL)と、
当該第1及び第2の金属センサのそれぞれから等距離の位置に配置される第3の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3の金属センサ(20D)と、
当該第1、第2及び第3の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段(62,64,66,68)と、
当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段(60C,22C)
とを有し、
当該判定手段が、
当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段(64)と、
当該第1、第2及び第3の金属センサの出力を金属検出閾値TH1と比較することにより、当該第1、第2及び第3の金属センサのそれぞれが当該金属検出状態か否かを判定する比較手段と、
当該比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2及び第3の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、
当該中央通知手段(60C,22C)に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段(68)
とを有する
ことを特徴とす
る探知装置。
【請求項3】
当該制御手段(68)は、当該第1、第2及び第3の金属センサが同時に金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段(60C,22C)に当該加算手段(64)の出力に応じた強度で通知を出力させる
ことを特徴とする請求項
1または
2に記載の探知装置。
【請求項4】
当該中央通知手段は発光手段(LED)を有することを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の探知装置。
【請求項5】
更に、当該第1、第2及び第3の金属センサ(20UR,20UL,20D)のセンサ出力をそれぞれユーザに通知する第1、第2及び第3の通知手段(22UR,22UL,22D)を有することを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の探知装置。
【請求項6】
当該第1、第2及び第3の通知手段(22UR,22UL,22D)はそれぞれ、発光手段(LED)を有することを特徴とする請求項
5に記載の探知装置。
【請求項7】
壁材(50)の裏側に配置される配線ボックス(52)であって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板(54)を、下側に第2の金属板(56)を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、
当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサ(120UR,120UL)と、
当該第1及び第2の金属板の他方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサ(120DR,120DL)であって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサ(120DR,120DL)と、
当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段(164U,164D,166U,166D,168)と、
当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段(160C,122C)
とを有
し、
当該判定手段が、
当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する第1の加算手段(164U)と、
当該第3及び第4の金属センサのセンサ出力を加算する第2の加算手段(164D)と、
当該第1及び第2の加算手段の出力を加算する第3の加算手段(165)と、
当該第1の加算手段の出力を閾値TH2と比較することにより、当該第1及び第2の金属センサの両方が当該金属検出状態にあるか否かを判定する第1の比較手段(166U)と、
当該第2の加算手段の出力を閾値TH2と比較することにより、当該第3及び第4の金属センサの両方が当該金属検出状態にあるか否かを判定する第2の比較手段(166D)と、
当該第1及び第2の比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段(160C,122C)に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段(168)
とを有する
ことを特徴とす
る探知装置。
【請求項8】
当該制御手段(168)は、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段(160C,122C)に当該第3の加算手段(165)の出力に応じた強度で通知を出力させることを特徴とする請求項
7に記載の探知装置。
【請求項9】
壁材(50)の裏側に配置される配線ボックス(52)であって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板(54)を、下側に第2の金属板(56)を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、
当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサ(120UR,120UL)と、
当該第1及び第2の金属板の他方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサ(120DR,120DL)であって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサ(120DR,120DL)と、
当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段(164U,164D,166U,166D,168)と、
当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段(160C,122C)
とを有し、
当該判定手段が、
当該第1、第2、第3及び第4の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段(164U,164D,165)と、
当該第1、第2、第3及び第4の金属センサの出力を金属検出閾値TH1と比較することにより、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサのそれぞれが当該金属検出状態か否かを判定する比較手段と、
当該比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、
当該中央通知手段(160C,122C)に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段(168)
とを有する
ことを特徴とす
る探知装置。
【請求項10】
当該制御手段(168)は、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段(160C,122C)に当該加算手段(165)の出力に応じた強度で通知を出力させる
ことを特徴とする請求項
9に記載の探知装置。
【請求項11】
当該中央通知手段は発光手段(LED)を有することを特徴とする請求項
7から
10のいずれか1項に記載の探知装置。
【請求項12】
更に、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサ(120UR,120UL,120DR,120DL)のセンサ出力をそれぞれユーザに通知する第1、第2、第3及び第4の通知手段(122UR,122UL,122DR,122DL)を有することを特徴とする請求項
7から
11のいずれか1項に記載の探知装置。
【請求項13】
当該第1、第2、第3及び第4の通知手段(122UR,122UL,122DR,122DL)はそれぞれ、発光手段(LED)を有することを特徴とする請求項
12に記載の探知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材の裏側に配置される配線ボックスを当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅やビルなどにおいて、石膏ボード等の壁材の裏側には、電源線、通信線及び電話線等を配線しておくための配線ボックスが、壁材の施工前に設置されている。壁材の施工後に、壁材の裏側にある配線ボックスを壁材の表側から探知出来るようにする手段として、前面側(壁材側)の上下にアルミ箔等の金属板7、7を配置する構成が知られている(特許文献1)。
【0003】
この種の配線ボックスを壁材の表側から探知する従来の探知装置は、壁材に当接する前面の上部と下部に、配線ボックスに付加される金属板の間隔に相当する距離離れて金属センサを配置した構成からなる。ユーザは、この探知装置を壁材に密着させるようにして壁材に沿って上下及び左右に移動させる。その移動の間に、両金属センサが近くの金属を検知すると、探知装置は、発光素子及び/または発音素子で発光/発音する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成では、壁材の裏側に配置される配線ボックスの存在を上下方向では正確に探知できる。しかし、水平方向では、配線ボックスの金属板の横幅のどの位置でも金属センサが反応することから、水平方向の位置を正確には探知出来ないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、水平方向についても壁材裏側の配線ボックスを位置精度良く探知出来る探知装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る探知装置は、壁材の裏側に配置される配線ボックスであって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板を、下側に第2の金属板を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサと、当該第1及び第2の金属センサのそれぞれから等距離の位置に配置される第3の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3の金属センサと、当該第1、第2及び第3の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段と、当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段とを有し、当該判定手段が、当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段と、当該第3の金属センサの出力を金属検出閾値と比較することにより、当該第3の金属センサが当該金属検出状態か否かを判定する第1の比較手段と、当該加算手段の出力を中央判定閾値と比較することにより、当該第1及び第2の金属センサが同時に当該金属検出状態にあるか否かを判定する第2の比較手段と、当該第1及び第2の比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2及び第3の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段とを有することを特徴とする。
本発明に係る探知装置はまた、壁材の裏側に配置される配線ボックスであって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板を、下側に第2の金属板を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサと、当該第1及び第2の金属センサのそれぞれから等距離の位置に配置される第3の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3の金属センサと、当該第1、第2及び第3の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段と、当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段とを有し、当該判定手段が、当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段と、当該第1、第2及び第3の金属センサの出力を金属検出閾値と比較することにより、当該第1、第2及び第3の金属センサのそれぞれが当該金属検出状態か否かを判定する比較手段と、当該比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2及び第3の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る探知装置はまた、壁材の裏側に配置される配線ボックスであって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板を、下側に第2の金属板を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサと、当該第1及び第2の金属板の他方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサと、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段と、当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段とを有し、当該判定手段が、当該第1及び第2の金属センサのセンサ出力を加算する第1の加算手段と、当該第3及び第4の金属センサのセンサ出力を加算する第2の加算手段と、当該第1及び第2の加算手段の出力を加算する第3の加算手段と、当該第1の加算手段の出力を閾値と比較することにより、当該第1及び第2の金属センサの両方が当該金属検出状態にあるか否かを判定する第1の比較手段と、当該第2の加算手段の出力を閾値と比較することにより、当該第3及び第4の金属センサの両方が当該金属検出状態にあるか否かを判定する第2の比較手段と、当該第1及び第2の比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段とを有することを特徴とする。
本発明に係る探知装置はまた、壁材の裏側に配置される配線ボックスであって、当該壁材に向かう面の上側に第1の金属板を、下側に第2の金属板を配置された配線ボックスを、当該壁材の表側から非接触で探知する探知装置であって、当該第1及び第2の金属板の一方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第1及び第2の金属センサと、当該第1及び第2の金属板の他方の横幅に相当する距離だけ横方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサであって、当該第1の金属板と当該第2の金属板との間の距離に相当する距離だけ、当該第1及び第2の金属センサから上下方向に離れて配置される第3及び第4の金属センサと、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが金属検出状態を同時に示していることを判定する判定手段と、当該判定手段の判定結果に従い、当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知する中央通知手段とを有し、当該判定手段が、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサのセンサ出力を加算する加算手段と、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサの出力を金属検出閾値と比較することにより、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサのそれぞれが当該金属検出状態か否かを判定する比較手段と、当該比較手段の比較結果に従い、当該第1、第2、第3及び第4の金属センサが同時に当該金属検出状態にある場合に、当該中央通知手段に当該配線ボックスの中央の探知をユーザに通知させる制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、壁材の裏側に配置される配線ボックスを、壁材の表側から非接触で精度良く探知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施例の(a)平面図、側面図(b)側面図及び(c)背面図である。
【
図3】壁材裏の配線ボックスの中心をマークするときの本実施例の側面図である。
【
図4】本実施例の金属センサ出力の処理回路例の概略構成ブロック図である。
【
図6】本実施例の金属センサ出力波形例と合成波形例である。
【
図8】実施例2の金属センサ出力の処理回路例の概略構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明に係る探知装置の一実施例に外観斜視図を示し、
図2(a)はその実施例の平面図、
図2(b)は側面図、
図2(c)は背面図をそれぞれ示す。
【0013】
図示する探知装置10は、上側ユニット12と下側ユニット14の前側を対面板16で固定され、後側を支柱18で固定されている。上側ユニット12の前面の左右に金属センサ20UR,20ULが配置され、下側ユニットの前面の中央にも金属センサ20Dが配置されている。金属センサ20UR,20UL,20Dが、金属センサ20Dが頂点となり、金属センサ20UR,20ULを底辺となる二等辺三角形を構成する。
【0014】
対面板16及び支柱18の高さは、金属センサ20UR,20ULが探知対象の配線ボックスに付着される上側(または下側)の金属板(本実施例ではアルミ箔)を検出するとき、金属センサ20Dが当該配線ボックスの下側(または上側)の金属板(本実施例ではアルミ箔)を同時に検出するサイズに設定されている。金属センサ20UR,20ULの間隔は、理由は後述するが、同時に配線ボックスの上側または下側の同じ金属板(本実施例ではアルミ箔)を検知出来るように、その金属板の幅相当に設定されている。
【0015】
上側ユニット12の背面には、
図2(c)に示すように、金属探知状態をユーザに通知する通知手段としての4つのLED(発光ダイオード)22UR,22UL,22D,22Cが配置されている。LED22UR,22UL,22Dは、対応する金属センサ20UR,20UL,20Dと同様の位置関係で配置され、LED22Cが、LED22UR,22ULの中間に配置されている。上右LED22URは、金属センサ20URが壁材裏側の金属を探知したときに点灯する。上左LED22ULは、金属センサ20ULが壁材裏側の金属を探知したときに点灯する。下LED22Dは、金属センサ20Dが壁材裏側の金属を探知したときに点灯する。中央LED22Cは、金属センサ20UR,20UL,20Dの検出結果により、壁材裏側の配線ボックスの中央を探知したときに、点灯する。金属センサ20UR,20UL,20Dの作用の詳細は、後述する。
【0016】
探知装置10は、壁材の裏側に設置された配線ボックスを探知したときに、その中心位置にマークを塗布するマーク塗布棒24を有する。マーク塗布棒24の先端にはインク含浸スポンジ26が設置されており、後端は、支柱18の背後に配置される可動部材28に固定されている。マーク塗布棒24は、支柱18の貫通孔30を貫通している。
図2(b)に示すように、可動部材28の、支柱18に向けて植立したガイドピン32,34が、支柱18の対応する位置に開けたガイド孔36,38に挿入しており、この構成により、可動部材28は、支柱18に接近し離反する方向に移動可能である。ガイドピン32,34には、可動部材28を支柱18から離れる方向に付勢するコイルスプリング40,42を被せてある。図示していないが、可動部材28が一定距離以上、支柱18から離れないようにするストッパを上部ユニット12及び下部ユニット14に設けてあり、これにより、可動部材28の探知装置10からの脱落を防止している。
【0017】
対面板16の中央には、マーク塗布棒24が貫通可能な開口44を開けてある。ユーザが支柱18と可動部材28を強く把持すると、可動部材28がコイルスプリング40,42の付勢力に抗して支柱18に近づき、マーク塗布棒24のインク含浸スポンジ26が対面板16の開口44から壁材側に突出する。
図3は、この状態の側面図を示す。50は石膏ボード等の壁材、52は壁材50の裏側に配置された配線ボックス、54,56は配線ボックス52に付着されたアルミ箔である。この操作により、インク含浸スポンジ26のインクが、壁材50の表面に塗布される。これにより、壁材50裏側の配線ボックス52の中心位置が壁材50の表面に墨付けされ、配線ボックス52にアクセスするための開口を開ける穿孔の位置決定に利用される。
【0018】
図4は、金属センサ20UR,20UL,20Dのセンサ出力を処理する処理回路の概略構成ブロック図を示す。
図5は、金属センサ20UR,20UL,20Dをアルミ箔と平行に移動させたときの、金属センサ20UR,20UL,20Dの出力特性図を示す。
図5で、横軸は、水平方向(または垂直方向)の位置を示し、縦軸は、金属センサ20UR,20UL,20Dの出力を示す。ここでは、理解を容易にするために、金属センサ20UR,20UL,20Dは、金属を検出しないときに低レベル(
図5ではゼロ値)で、金属に近くなるほどに高レベルになるセンサ出力特性を有するものとする。
図5で、金属検出時のセンサ出力値Vmは、一般的には、金属センサ20UR,20UL,20Dと探知対象のアルミ箔54,56との距離、及び壁材50の素材に依存する。
【0019】
図6を参照して、
図4に示す回路の動作を説明する。
図6は、探知装置10の水平移動に対する金属センサの出力波形例及び合成波形例であって、
図6(a)は下金属センサ20Dの出力変化例を示し、
図6(b)は、金属センサ20UR,20ULの出力変化例を示し、
図6(c)は、金属センサ20UR,20ULの出力の和の変化例を示す。
図6で、横軸は、探知装置10を横方向に移動したときの水平位置を示し、縦軸は、金属センサ20UR,20UL,20Dの出力を示す。
【0020】
駆動回路60URは、上右の金属センサ20URの出力に従い、金属センサ20URの出力値が大きいほどより明るく点灯するように、上右LED22URを駆動する。ただし、駆動回路60URは、金属センサ20URのセンサ出力が所定値未満、例えば、後述する金属検出閾値TH1未満のときには、上右LED22URを消灯するようにしてもよい。駆動回路60UL,60Dは、駆動回路60URと同様に、それぞれ、金属センサ20UL,20Dの出力に従い、金属センサ20UL,20Dの出力値が大きいほどより明るく点灯するように、上右LED22UR及び下LED22Dを駆動する。
【0021】
ユーザは、探知装置10を垂直に立てられた壁材50に沿って上下左右に移動させる。この移動により、金属センサ20UR,20ULの何れかがアルミ箔54を検出して、駆動回路60UR,60ULが上右LED22UR及び上左LED22ULの何れかまたは両方を点灯させ、金属センサ20Dがアルミ箔56を検出して駆動回路60UDが下LED22Dを点灯させる位置に到達する。配線ボックス52の位置が設計図上または施工上からある程度、予想出来る場合、その予想に従って探知装置10を移動させることで、配線ボックス52を大まかに探知出来る。この状態で、ユーザは、探知装置10が壁材50の裏側の配線ボックス52の位置をその上下方向について探知出来たことになるが、水平方向については上右LED22UR、上左LED22UL及び下LED22Dの点灯明るさに頼るしかない状態にある。
【0022】
本実施例は、金属センサ20UR,20ULのセンサ出力の和から、配線ボックス52の水平位置を精度良く探知できる。以下、その動作を詳細に説明する。
【0023】
下金属センサ20Dが配線ボックス52の下側のアルミ箔56を検出している状態であることを確認するために、比較回路62が、金属センサ20Dのセンサ出力を金属検出閾値TH1と比較する。比較回路62は、センサ出力が金属検出閾値TH1以上であると、出力を高(H)とし、それ以外では出力を低(L)とする。金属検出閾値TH1は、
図6(a)に示すように、例えば、金属センサ20UR,20UL,20Dがアルミ箔54,56を検出しないときのセンサ出力と、アルミ箔54,56を検出したときのセンサ出力Vmとの中間値に設定される。すなわち、金属検出閾値TH1は、金属センサ20UR,20UL,20Dがアルミ箔54,56を検出する金属検出状態にあるか否かを識別する基準値である。比較回路62の出力Hは、金属センサ20Dが何れかのアルミ箔54,56と対面する金属検出状態であることを示す。
【0024】
図6(b)で、実線は金属センサ20ULのセンサ出力を示し、破線は金属センサ20URのセンサ出力を示す。金属センサ20ULと金属センサ20URが横方向(一般的には水平方向)で離れており、この横方向の間隔に応じて、金属センサ20UL,20URのセンサ出力が、
図6(b)に実線と破線で示すように水平位置に対してずれる。金属センサ20ULと金属センサ20URの間隔を探知対象のアルミ箔54の横幅と同程度にすることにより、センサ出力の重なり部を狭くすることができ、水平位置探知の精度が向上する。
【0025】
加算器64は、金属センサ20UL,20URのセンサ出力を加算する。
図6(c)は加算器64の出力を示す。
図6(c)に示すように、加算器64は、探知装置10がアルミ箔54の中央位置、すなわち配線ボックス52の水平方向の中心位置に対面するとき、ピークを持つ。このピークの極大値(図示例では、ほぼ2Vm)の位置が、探知対象である配線ボックス52の中心(水平方向での中心)に相当する。
【0026】
比較回路66が加算器64の出力を中央判定閾値TH2と比較する。比較回路66は、加算器64の出力が中央判定閾値TH2以上であると、出力を高(H)とし、それ以外では出力を低(L)とする。中央判定閾値TH2は、金属センサ20UL,20URが同時に金属検出状態にあることを判定するための基準値であり、金属検出時センサ出力値Vmより大きく、且つ、加算器64のピーク値より低い値に設定される。中央判定閾値TH2が金属検出時センサ出力値Vmに近いほど、中央検出精度が低くなり、加算器64の出力のピーク値に近い程、中央検出精度が高くなる。中央判定閾値TH2が加算器64の出力のピーク値より大きいと、左右の中央を検出出来なくなる。そこで、中央判定閾値TH2は変更可能であるのが好ましい。この変更のための手段は、後述する。
【0027】
比較回路66の代わりに、金属センサ20ULのセンサ出力を金属検出閾値TH1と比較する比較回路と、金属センサ20URのセンサ出力を金属検出閾値TH1と比較する比較回路を設け、アンド回路68が、これら代替の比較回路の2値出力と比較回路62の2値出力の論理積を取るようにしてもよい。
【0028】
アンド回路68は、比較回路62,66の2値出力の論理積をとる。すなわち、アンド回路68は、比較回路62,66の出力が共に高(H)の場合にのみ、出力を高(H)にし、これ以外の場合には出力を低(L)にする。常開スイッチ70は、アンド回路68の出力が高(H)であるときに閉成(オン)状態になり、アンド回路68の出力が低(L)であるときには開放(オフ)状態になる。
【0029】
加算器64の出力は、スイッチ70を介して、中央LED22Cの駆動回路60Cに印加される。すなわち、探知装置10が配線ボックス52の中心をほぼ検出できているとき(比較回路62,66の出力が共に高(H)のとき)にのみ、加算器64の出力が駆動回路60Cに印加される。駆動回路60Cは、スイッチ70を介して入力する加算器64の出力値に応じた輝度で、中央LED22Cを発光させる。中央LED22Cの点灯と発光輝度により、探知装置10のユーザは、探知装置10が壁材50の裏側に位置する配線ボックス52の水平方向及び垂直方向の中央に対面していることを知ることができる。
【0030】
本実施例では、比較回路62、加算器64、比較回路66、アンド回路68及びスイッチ70からなる回路構成が、探知装置10が壁材50の裏側に位置する配線ボックス52の水平方向(横方向)及び垂直方向(上下方向)の両方でほぼ中央に対面している状態でのみ、中央LED22Cを点灯可能な状態にするので、配線ボックス52の水平方向の中央を精度良く探知出来る。垂直方向の探知精度はアルミ箔54,56の垂直方向の幅に依存するが、これは、アルミ箔54,56の垂直方向幅を小さくすることで改善出来る。
【0031】
選択スイッチ72は、金属検出閾値TH1として大きさの異なる2つの値TH1(L),TH1(H)の一方を選択して比較回路62に印加し、選択スイッチ74は、中央判定閾値TH2として大きさの異なる2つの値TH2(L),TH2(H)の一方を選択して比較回路66に印加する。操作手段としての閾値切替えダイヤル76により、選択スイッチ72,74を連動して切り替えることができる。すなわち、選択スイッチ72が低閾値TH1(L)を選択するとき、選択スイッチ74は低閾値TH2(L)を選択し、選択スイッチ72が高閾値TH1(H)を選択するとき、選択スイッチ74は高閾値TH2(H)を選択する。例えば、高閾値TH1(H)、TH2(H)を選択している状態で、壁材50の裏側の配線ボックス52を検出出来ないとき、閾値切替えダイヤル76により、低閾値TH1(L)、TH2(L)を選択するように選択スイッチ72,74を切り替えれば良い。もちろん、閾値TH1の大きさを変更する必要性が乏しい場合には、選択スイッチ72を省略しても良い。また、中央判定閾値TH2を金属検出閾値TH1と連動せずに複数の値のどれかに切り替えたい場合には、選択スイッチ74を単独で操作する操作手段を設ければ良い。
【0032】
金属検出閾値TH1をセンサ出力Vmに近い値にすると、壁材50が厚い場合等、配線ボックス52が壁材50の裏側の深い位置に設置される場合にこれを見逃す可能性が高くなる。これを防ぐために、本実施例は、金属検出閾値TH1の大きさを選択可能としている。実際、壁材50として使用される石膏ボードは厚みが15mmと17mmの2種類なので、本実施例では、金属検出閾値TH1として、2つの値TH1(H)とTH1(L)を選択出来るようにしている。
【0033】
ユーザへのアルミ箔54,56の検出をLEDの点灯と輝度でユーザに通知しているが、トーン音の周波数/音量でユーザに通知する方式に代えても良く、更には、両者を併用しても良い。
【0034】
図4では、中央LED22Cは、加算器64の出力強度に応じた輝度で発光する。これにより、探知装置10の利用者は、中央LED22Cの発光強度を目安に、配線ボックス52の水平方向中央を精度良く判断出来る。
【0035】
このような、水平方向の探知精度を要求しない場合、スイッチ70を省略し、駆動回路60Cが、アンド回路68の出力が高(H)のときに中央LED22Cを点灯させ、アンド回路68の出力が低(L)のときに消灯させるようにしても良い。この構成でも、探知装置10の横移動の間の中央LED22Cの点灯の様子から、利用者は、配線ボックス52の水平方向中央を推測出来る。
【実施例2】
【0036】
下側ユニットと下側ユニットの両方に、横方向に所定距離離れた2つの金属ユニットを配置した実施例2を説明する。実施例2では、壁材50の裏側に隠れる配線ボックス52が水平・垂直ラインから傾いている場合にも、その方向を含めて中心を精度良く探知出来る。
【0037】
図7(a)は、実施例2である探知装置110の正面図を示し、
図7(b)はその背面図を示す。実施例1と同じ機能の構成要素には同じ符号を付してある。
【0038】
図7(a)に示すように、探知装置110では、上側ユニット12には実施例1と同様の金属センサ120UR,120ULを配置され、下側ユニット14にも、金属センサ120UR,120ULと同じ距離離れて2つの金属センサ120DR,120DLが配置されている。上側ユニット12の金属センサ120UR,120ULは、実施例1の金属センサ20UR,20ULと同じ位置関係で配置され、同じ機能を有するが、理解を容易にするために異なる符号を付してある。金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLは、金属に対して金属センサ20UR,20UL,20Dと同じ特性を有する。
【0039】
探知装置110の背面には、
図7(b)に示すように、5つのLED122UR,122UL,122DR,122DL,122Cが配置されている。上右LED122URは、上右LED22URと同様に、上右の金属センサ120URの金属検知状況を示し、上左LED122ULは、上左LED22ULと同様に上左の金属センサ120ULの金属検知状況を示す。下右LED122DRは、下右の金属センサ120DRの金属検知状況を示し、下左LED122DLは、下左の金属センサ120DLの金属検知状況を示す。LED122UR,122UL,122DR,122DLは、対応する金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLと同じ位置関係の4隅に配置され、中央LED122Cは、これらLED122UR,122UL,122DR,122DLで構成される四角形の中央に配置される。中央LED122Cは、詳細は後述するが、探知装置110が壁材の裏側の配線ボックスの正面に対面する位置で点灯する。
【0040】
図8は、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLのセンサ出力を処理して、LED122UR,122UL,122DR,122DL,122Cを点灯させる処理回路の概略構成ブロック図を示す。
【0041】
駆動回路160UR,160UL,160DR,160DLはそれぞれ、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLの出力に従い、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLの出力値が大きいほどより明るく点灯するように、LED122UR,122UL,122DR,122DLを駆動する。駆動回路160UR,160UL,160DR,160DLの動作は、駆動回路60UR,60ULと同じである。
【0042】
駆動回路160UR,160UL,160DR,160DLは、入力するセンサ出力が金属検出閾値TH1以上であるときに、対応する金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLのセンサ出力レベルに応じた輝度でLED122UR,122UL,122DR,122DLを点灯させるようにしてもよい。これにより、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLが釘などの微小な金属部材を検出したときに、LED122UR,122UL,122DR,122DLが点灯してしまうことを防止出来る。
【0043】
ユーザが、一般に垂直に立てられた壁材50に沿って探知装置110を上下左右に移動させる。この移動により、金属センサ120UR,120ULの何れかがアルミ箔54又は56を検出して、駆動回路160UR,160ULが上右LED122UR及び上左LED122ULの何れかまたは両方を点灯させる。同様に、金属センサ120DR,120DLの何れかがアルミ箔56又は54を検出して、駆動回路160DR,160DLが下右LED122DR及び下左LED122DLの何れかまたは両方を点灯させる。上右LED122UR及び上左LED122ULの一方または両方が点灯し、且つ、下右LED122DR及び下左LED122DLの一方または両方が点灯した状態で、探知装置110は壁材50の裏側の配線ボックス52を大まかに探知出来たことになる。
【0044】
加算器164Uは、金属センサ120UR,120ULのセンサ出力を加算または合成する。加算器164Uの出力は、探知装置110の水平移動に対して、加算器64の出力(
図6(c))と同様に、探知装置10がアルミ箔54の中央位置、すなわち配線ボックス52の水平方向の中心位置に対面するとき、ピークを持つ。このピークの極大値(図示例では、ほぼ2Vm)の位置が、探知対象である配線ボックス52の中心(水平方向での中心)に相当する。
【0045】
比較回路166Uが加算器164Uの出力を中央判定閾値TH2と比較する。比較回路166Uは、加算器164Uの出力が中央判定閾値TH2以上であると、出力を高(H)とし、それ以外では出力を低(L)とする。中央判定閾値TH2は、実施例1と同様に、金属検出時センサ出力値Vmより大きく、且つ、加算器164Uのピーク値より低い値に設定される。
【0046】
比較回路166U,166Dの代わりに、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLのセンサ出力を金属検出閾値TH1と比較する4つの比較回路を設け、アンド回路168が、これら代替の4つの比較回路の2値出力の論理積を取るようにしてもよい。
【0047】
加算器164Dは、金属センサ120DR,120DLのセンサ出力を加算する。加算器164Dの出力は、探知装置110の水平移動に対して、加算器64,164Uの出力と同様に、探知装置110がアルミ箔56の中央位置、すなわち配線ボックス52の水平方向の中心位置に対面するとき、ピークを持つ。このピークの極大値(図示例では、ほぼ2Vm)の位置が、探知対象である配線ボックス52の中心(水平方向での中心)に相当する。比較回路166Dが加算器164Dの出力を中央判定閾値TH2と比較する。比較回路166Dは、加算器164Dの出力が中央判定閾値TH2以上であると、出力を高(H)とし、それ以外では出力を低(L)とする。
【0048】
加算器165は、加算器164U,164Dの出力を加算する。加算器165の出力は、4つの金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLが全て金属を検出しているときに、最も大きく、ほぼ4Vmになる。
【0049】
アンド回路168は、比較回路166U,166Dの2値出力の論理積をとる。すなわち、アンド回路168は、比較回路166U,166Dの出力が共に高(H)の場合にのみ、出力を高(H)にし、これ以外の場合には出力を低(L)にする。常開スイッチ170は、アンド回路168の出力が高(H)であるときに閉成(オン)状態になり、アンド回路168の出力が低(L)であるときには開放(オフ)状態になる。
【0050】
加算器165の出力は、スイッチ170を介して、中央LED122Cの駆動回路160Cに印加される。すなわち、探知装置110が配線ボックス52の中心をほぼ検出できているとき(比較回路166U,166Dの出力が共に高(H)のとき)にのみ、加算器165の出力が駆動回路160Cに印加される。駆動回路160Cは、スイッチ170を介して入力する加算器165の出力値に応じた輝度で、中央LED122Cを発光させる。中央LED122Cの点灯と発光輝度により、探知装置110のユーザは、探知装置110が壁材50の裏側に位置する配線ボックス52の水平方向及び垂直方向の中央に対面していることを知ることができる。
【0051】
加算器165の出力が一定レベル以上の場合にスイッチ170を閉成するようにしてもよいが、配線ボックス52の中心を検出したときの加算器165の出力レベルは、壁材50の厚みや材質に影響されやすく、閾値を決定しづらい。加算器164U,164Dの利用環境による出力レベル変化は、加算器165のそれよりも小さいので、
図8に示す構成の方が、幅広い環境に対応しやすくなる。
【0052】
本実施例2では、上側の金属センサと下側の金属センサのそれぞれでアルミ箔54,56を検出するので、例えば、水平・垂直ラインから傾いて配置された配線ボックス52の中心も容易に探知出来る。
【0053】
選択スイッチ174は、中央判定閾値TH2として大きさの異なる2つの値TH2(L),TH2(H)の一方を選択して比較回路166U,166Dに印加する。利用者は、操作手段としての閾値切替えダイヤル176により、選択スイッチ174を切り替えることができる。例えば、高閾値TH2(H)を選択している状態で、壁材50の裏側の配線ボックス52を検出出来ないとき、閾値切替えダイヤル176により、低閾値TH2(L)を選択するように選択スイッチ174を切り替えれば良い。
【0054】
アルミ箔54,56の検出をLEDの点灯と輝度でユーザに通知しているが、トーン音の周波数/音量でユーザに通知する方式に代えても良く、更には、両者を併用しても良い。
【0055】
図8に示す回路構成では、中央LED122Cは、加算器165の出力強度に応じた輝度で発光する。これにより、探知装置110の利用者は、中央LED122Cの発光強度を目安に、配線ボックス52の水平方向中央を精度良く判断出来る。
【0056】
これほどの水平方向の探知精度を要求しない場合、加算器165及びスイッチ170を省略し、駆動回路160Cが、アンド回路168の出力が高(H)のときに中央LED122Cを点灯させ、アンド回路168の出力が低(L)のときに消灯させるようにしても良い。この構成でも、探知装置110の横移動の間の中央LED122Cの点灯の様子から、利用者は、配線ボックス52の水平方向中央を推測出来る。
【実施例3】
【0057】
金属センサとして、金属を検出していないときに大出力で、金属を検出すると出力値が小さくなるものがある。
【0058】
実施例1に対しては、金属センサ20UR,20UL,20Dが、そのような特性を有する場合、金属検出閾値TH1及び中央判定閾値TH2と比較回路62,66の動作を次にように変更すれば良い。
【0059】
金属センサ20UR,20UL,20Dの、金属を検出していないときの出力をV0、金属を検出しているときの出力をVm(<V0)とする。加算器64の出力は、金属センサ20UR,20ULがいずれも金属を検出していないとき、2V0、金属センサ20UR,20ULの一方のみが金属を検出しているとき、V0+Vm、金属センサ20UR,20ULの両方が同時に金属を検出しているとき、最大でほぼ2Vmとなる。従って、金属検出閾値TH1を2V0とV0+Vmの中間値、好ましくは2V0に近い値とし、中央判定閾値TH2をV0+Vmと2Vmの中間値、好ましくはV0+Vmに近い値とすればよい。
【0060】
比較回路62は、金属センサ20Dの出力が金属検出閾値TH1以上のとき、出力を低(L)とし、金属センサ20Dの出力が金属検出閾値TH1を下回ると、出力を(H)とする。比較回路66は、加算器64の出力が閾値TH2以上のとき、出力を低(L)とし、加算器64の出力が中央判定閾値TH2を下回ると、出力を高(H)とする。アンド回路68及びスイッチ70の動作は、実施例1と同様である。
【0061】
駆動回路60UR,60UL,60UD,60Cは、入力信号に対して、実施例1とは逆の特性でLED22UR,22UL,22D,22Cを駆動する。すなわち、駆動回路60UR,60UL,60UDは、入力値と金属非検出時のセンサ出力V0との差値が大きくなるほど、LED22UR,22UL,22Dをより明るく点灯させる。駆動回路60Cは、入力値と金属非検出時の加算器出力2V0との差値が大きくなるほど、LED22Cをより明るく点灯させる。
【0062】
実施例2において、金属センサ120UR,120UL,120DR,120DLとして、金属を検出していないときに大出力で、金属を検出すると出力値が小さくなる特性のものを採用した場合も、中央判定閾値TH2と比較回路166U,166Dの動作を、同様に変更すればよいので、詳細な説明は省略する。
【0063】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
10,110:探知装置
12:上側ユニット
14:下側ユニット
16:対面板
18:支柱
20UR,20UL,20D,120UR,120UL,120DR,120DL:金属センサ
22UR,122UR:上右LED
22UL,122UL:上左LED
22D:下LED
122DR:下右LED
122DL:下左LED
22C,122C:中央LED
24:マーク塗布棒
26:インク含浸スポンジ
28:可動部材
30:貫通孔
32,34:ガイドピン
36,38:ガイド孔
40,42:コイルスプリング
44:開口
50:壁材
52:配線ボックス
54,56:アルミ箔
60UR,60UL,60C,160UR,160UL,160DR,160DL,160C:駆動回路
62,66,166U,166D:比較回路
64,164U,164D,165:加算器
68,168:アンド回路
70,170:常開スイッチ
72,74,174:選択スイッチ
76,176:閾値切替えダイヤル