(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】運動用に構成されたループバンド装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/04 20060101AFI20220329BHJP
H01L 41/193 20060101ALI20220329BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H02N2/04
H01L41/193
H01L41/09
(21)【出願番号】P 2019556195
(86)(22)【出願日】2018-04-28
(86)【国際出願番号】 US2018030057
(87)【国際公開番号】W WO2018212967
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2017-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519363867
【氏名又は名称】シャン,バオシャン
【氏名又は名称原語表記】SHAN,Baoxiang
【住所又は居所原語表記】627 Park Avenue,Hoboken,NJ 07030,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【氏名又は名称】安達 友和
(72)【発明者】
【氏名】シャン,バオシャン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-537950(JP,A)
【文献】特開昭59-180078(JP,A)
【文献】特開平02-084085(JP,A)
【文献】特開2013-078239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/00- 2/18
H01L 27/20
H01L 41/00-41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期位置に位置する拘束ループ(110)であって、終端を有しない、均一な厚さと均一な幅を有するリボン状であって、前記幅は前記厚さよりも大きく、均質な組成から成る拘束ループと、
1つ又は複数の歪み(120)を有する座屈モードを形成するように前記拘束ループ内で制限された座屈ループ(115)であって、終端を有しない、均一な厚さと均一な幅を有するリボン状であって、前記幅は前記厚さよりも大きい座屈ループと、
前記座屈ループ内で作動力を生成する手段(131)であって、前記作動力が前記1つ又は複数の歪みの形状変化を生じさせることで、前記拘束ループの前記初期位置に対する前記拘束ループの移動を生じさせる作動力生成手段と、
を備えることを特徴とするループバンド運動装置(105)。
【請求項2】
前記座屈ループ内に支持された搬送プラットフォーム(145)をさらに備え、
前記作動力生成手段は、前記搬送プラットフォームに配置されて、前記作動力を生成し、前記ループバンド
運動装置を第1横方向(160)に前記搬送プラットフォームに平行に移動させることを特徴とする、請求項1に記載のループバンド運動装置。
【請求項3】
前記座屈ループは前記歪みの外側において固定点(170)で前記拘束ループに固定されて、前記固定点を中心とする運動の弧(175)に沿って前記拘束ループが移動させられることを特徴とする、請求項1に記載のループバンド運動装置。
【請求項4】
前記拘束ループは1つ又は複数の係合要素(205)をさらに備え、
前記座屈ループは1つ又は複数の位置決め要素(195)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のループバンド運動装置。
【請求項5】
前記座屈ループは二層座屈ループであり、基層(290)と活性材料層(295)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のループバンド運動装置。
【請求項6】
前記座屈ループは二層座屈ループであり、基層(290)と活性材料層(295)とを備えることを特徴とする、請求項2に記載のループバンド運動装置。
【請求項7】
前記座屈ループは二層座屈ループであり、基層(290)と活性材料層(295)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載のループバンド運動装置。
【請求項8】
前記座屈ループは二層座屈ループであり、基層(290)と活性材料層(295)とを備えることを特徴とする、請求項4に記載のループバンド運動装置。
【請求項9】
前記拘束ループは剛性円形構造(320)であり、
内側の剛性支持構造(315)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のループバンド運動装置。
【請求項10】
前記座屈ループは電気活性高分子を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【請求項11】
前記作動力生成手段は前記座屈ループに取り付けられた又は前記座屈ループの一部である1つ又は複数の力生成要素を備えることを特徴とする、請求項1、3~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【請求項12】
前記作動力は前記歪みのうち1つの変曲点で生成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【請求項13】
前記作動力生成手段は圧電材料を含むことを特徴とする、請求項1、3~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【請求項14】
前記座屈ループはバイメタル素子を備え、
前記作動力生成手段は熱源を備え、
前記作動力は前記歪みのうちの1つの変曲点(135)で又はその近傍で生成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【請求項15】
前記座屈ループはバイメタル素子を備え、
前記作動力生成手段は冷源を備え、
前記作動力は前記歪みのうちの1つの変曲点(135)で又はその近傍で生成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のループバンド運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、バオシャン シャンにより2017年11月3日に出願された「運動用に構成されたループバンド装置」という題名の米国特許出願番号15/802,580、バオシャン シャンにより2017年5月15日に出願された「ループ状の多重安定システム」という題名の米国特許出願番号62/506,199、バオシャン シャンにより2017年5月16日に出願された「フレキシブルアクチュエータおよびセンサ」という題名の米国特許出願番号62/506,828、バオシャン シャンにより2017年5月17日に出願された「フレキシブル運動システム」という題名の米国特許出願番号62/507,300、およびバオシャン シャンにより2017年5月20日に出願された「進行波ポンプ」という題名の米国特許出願番号62/509,102の優先権を主張し、これらの全ての内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、運動を生成させるために構成されたループバンド装置、より詳細には、熱応力、圧電応力、電気的応力、磁気的応力を力学運動に変換し、その反対も行うように構成されたループバンド装置を製造するための構造および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱応力、圧電応力、電気的応力、磁気的応力を力学運動に変換し、その反対も行う際の技術的課題は、運動生成およびエネルギーハーベスティングの技術分野において内在する。
【0004】
関連技術となる可能性があるものには、例えば、米国特許第6,392,331号および米国特許出願公開第20130082427号が含まれるが、これらに限定されない。
【発明の概要】
【0005】
本発明はループバンド装置を用いて運動を生じさせる独創的なシステムおよび方法に関する。
【0006】
好適な実施形態において、ループバンド装置は、座屈ループが1つ又は複数の歪みを有する座屈モードを呈する又は形成するように座屈ループを保持可能な拘束ループを備えてもよい。この場合、座屈ループ内で作動力を生成するための手段が使用されてもよい。作動力は、例えば、座屈ループに応力の変化を生じさせる任意の力であってもよい。座屈ループの構成に応じて、熱、冷却、電流又は電圧、磁場、又はこれらのうちの組み合わせであるがこれらに限定されないような手段によって、応力が生成されてもよい。応力により、座屈ループの形状に変化が生じて、拘束ループおよび/又はループバンド装置の移動が生じる。
【0007】
より好適な実施形態において、作動力は1つ又は複数の歪みの変曲点で又はその近傍で付加されてもよく、これにより、作動力がループバンド装置の運動により効果的に変換されてもよい。
【0008】
拘束ループは、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有してもよい。拘束ループの幅は、好ましくは、その厚さよりも大きく、拘束ループは、均質な組成から成るものであってもよい。
【0009】
拘束ループは、例えば、比較的伸長性がないが、柔軟な材料から成るものであってもよく、例えば、ファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、又はアルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0010】
座屈ループは、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有してもよい。座屈ループの幅は、好ましくは、座屈ループの厚さよりも大きい。座屈ループは均質な組成から成るものでもよいが、幾つかの実施形態において多層座屈ループであってもよく、且つ/又は、座屈ループは様々な組成のパターンを有してもよい。
【0011】
座屈ループは、例えば、適切な作動力を受けると応力を生じさせる、比較的柔軟な材料から成るものであってもよい。そのような材料は、例えば、電気活性高分子を含む。他の適切な座屈ループの材料は、適切な線熱膨張係数を有する金属又は金属合金を含むが、これに限定されない。
【0012】
拘束ループと座屈ループは共に、好ましくは継ぎ目のない構造を有するが、適切に構成されていれば、接合部が設けられてもよい。
【0013】
本発明のさらに好適な実施形態において、座屈ループは、基層と活性材料層を備える二層座屈ループであってもよい。基層と活性材料層は、例えば、共に接合されていてもよい。基層は、例えば、拘束ループの材料又は類似の材料から成るものであってもよい。同様に、活性材料層は、座屈ループの材料又は類似の材料から成るものであってもよい。
【0014】
本発明の別の実施形態において、拘束ループは1つ又は複数の係合要素を備えてもよく、一方で、座屈ループは1つ又は複数の相補的な位置決め要素を備えてもよい。そのような構成により、例えば、座屈ループが、より多数の歪みを有する、より複雑で、より高い固有値のモードを呈することが可能であってもよい。相補的な係合要素と位置決め要素はまた、或いは代わりに、拘束ループと座屈ループ間で力および/又は運動を伝達するのに有用であってもよい。
【0015】
さらなる実施形態において、1つ又は複数の固定点で拘束ループを座屈ループに固定可能な固定点が設けられてもよい。そのような固定点は、例えば、ループバンド装置が、例えばロボットアーム関節であるがこれに限定されないような応用において有用であるような横移動の生成に使用されることを可能にするのに有効であってもよい。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態において、座屈ループは、個々に作動される又は一組で作動される1つ又は複数の個別の力生成要素を備えてもよい。これらの力生成要素は、例えば、セラミックやポリマーの圧電素子であってもよいが、これらに限定されない。
【0017】
ループバンド装置は、本明細書において主に、運動を生成するため座屈ループに付加される応力の観点で説明されているが、記載されている実施形態の多くは、ループバンド装置又はその要素が運動の影響を受けるさらなる又は代わりのモードにおいて使用されてもよく、座屈ループ又はその要素が形状を変化させ、或いは変更された座屈モードを呈すると、ループバンド装置に付加される応力に関連する結果として生じる運動が電気を生成してもよいことを、当業者は理解するであろう。そのため、本発明のループバンド装置は、風又は波の運動、又はこれらの組み合わせであるがこれらに限定されないもののような運動の源からのエネルギーの収集であるがこれらに限定されないような応用において有用であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】作動力生成手段によって駆動されるループバンド装置の概略断面図を示す。
【
図3】固定点を有する歪みが1つのループバンド装置の概略断面図を示す。
【
図4】係合要素および位置決め要素を有する歪みが2つのループバンド装置の概略断面図を示す。
【
図5】固定点を有する歪みが2つのループバンド装置の概略断面図を示す。
【
図6】二層座屈ループを有するループバンド装置の概略断面図を示す。
【
図7】座屈ループ内に又は上に結合された作動力生成手段を有するループバンド装置の概略等角図を示す。
【
図8】回転運動のために構成されたループバンド装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。異なる図面における同一の要素は同一の符号を用いて識別される。
【0020】
本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。そのような実施形態は本発明を説明するために提供されたものであり、それらに限定することを意図しない。実際には、当業者は、本明細書を読み本図面を見ることで、様々な改良および変更がなされることが可能であることを理解できるであろう。
【0021】
図1は本発明の一実施形態のループバンド装置の概略断面図を示す。
【0022】
ループバンド装置105は拘束ループ110と座屈ループ115を備えてもよい。座屈ループは、1つ又は複数の歪み120を有し、座屈形状又は座屈モードを呈する又は形成するように、拘束ループ内に制限されてもよい。各歪み120は、第1変曲点135および第2変曲点136を有してもよい。作動力生成手段は、形状を変更させることができる座屈ループ115内への応力、および、そのようにして運動をもたらす座屈ループ115内の応力を生じさせてもよい。座屈ループの形状を変更する運動により、例えば、ループバンド装置105が置かれている面をループバンド装置105が横断する移動が生じてもよい。
【0023】
歪みのうち1つの変曲点のうち1つで又はその近傍での作動の生成は、加えられた作動力をループバンド装置の運動に変換する最も効率的な方法であるかもしれない。しかし、他の位置で作動力を加えることにも利点があるかもしれない。作動力は、例えば、歪みの大きさの変化、曲げモーメント、又は座屈ループの一部の角度の変化、又は座屈ループの一部の屈曲の変化を生じさせ、又は、これらによって生じる。例えば、座屈ループと拘束ループが分離し始めて歪みを形成する箇所の近傍にこのような作動力を加えると、ループバンド装置の移動が最も正確に制御される位置となるかもしれない。
【0024】
拘束ループは、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有してもよい。拘束ループの幅は、好ましくは、その厚さよりも5倍大きく、拘束ループは、好ましくは、均質な組成から成る。
【0025】
作動力は、例えば、座屈ループに応力の変化を生じさせる任意の力であってもよい。座屈ループの構成に応じて、応力が作動力生成手段を介して生成されてもよく、作動力は、例えば、熱、光、電流、電圧、磁場、又はこれらのうちの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0026】
より好適な実施形態において、ループバンド装置の運動への作動力の効果的な変換を生じさせるように、作動力は、1つ又は複数の歪みの変曲点で又は近傍に加えられてもよい。
【0027】
座屈ループは、好ましくは、終端を有しない連続するリボン状であり、均一な厚さと均一な幅を有してもよい。座屈ループの幅は、好ましくは、その厚さよりも5倍大きい。座屈ループは均質な組成から成るものでもよいが、幾つかの実施形態において、座屈ループは様々な組成のパターンを有してもよい。例えば、座屈ループは、より不活性な要素間に活性化可能な要素から成る細長片又はバンドを挟んでもよい。
【0028】
拘束ループおよび座屈ループは共に、好ましくは継ぎ目のない構造を有するが、接合部の製造公差の許容範囲が設けられてもよい。
【0029】
図2は、作動力生成手段によって駆動されるループバンド装置の概略断面図を示す。
【0030】
図2に示すループバンド装置は、適切に薄く、比較的柔軟であるが、弾力性を有する材料から成る座屈ループ115を備えても良く、該材料は、例えば、適度に薄い金属又は金属合金であり、適度に高い線熱膨張係数を有してもよいが、これらに限定されない。理論的には、線膨張係数が正である任意の材料が使用されてもよいが、本発明の好適な実施形態では、使用される材料の線膨張係数は5×10
-6m/m/℃よりも大きくてもよい。より好適な実施形態では、材料の線膨張係数が15×10
-6m/m/℃よりも大きい必要があるかもしれない。適切な金属又は金属合金は、アルミニウム青銅、ベリリウム銅、マンガン青銅、ニッケル合金、S31000ステンレス鋼、又はこれらのうちの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0031】
図2のループバンド装置に関連して作動力生成手段は、例えば、温度変化の源151であってもよく、温度変化の源151は熱源であっても冷源であってもよい。ループバンド装置は拘束ループ110と搬送プラットフォーム145を備えてもよく、搬送プラットフォーム145は支持ローラ155を備えてもよい。搬送プラットフォーム145は座屈ループ115内に配置されてもよく、温度変化の源151となる作動力生成手段131を運んでもよい。温度変化の源151は、ループバンド装置の温度変化が第1変曲点135で又はその近傍で生成されるように配置されてもよい。温度変化の源151を座屈ループ115に適用することにより、第1変曲点135の近傍に局所的な膨張又は収縮が生じ、そのため、応力が生じる。この応力により、座屈ループ115が変形し、これにより、ループバンド装置が置かれている略平面165に沿って、ループバンド装置が第1横方向160に移動する。
【0032】
温度変化の源151は、例えば、任意の適切な熱源であるような熱源であってよく、熱源は、例えば、炎、電気抵抗ヒータ、電球、LED光源、又は集光光源、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
温度変化の源151は、例えば、冷源であってもよく、冷源は、例えば、冷媒の供給、液体窒素スプレー、ペルチェ素子、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0034】
拘束ループ110は、適切に薄く、比較的伸長性がないが、柔軟な材料から成るものであってもよく、例えば、ファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、又はアルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。詳細には、適切な材料はチタン合金を含んでもよく、チタン合金は、例えば、いわゆるベータ型チタン合金、つまり、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、マンガン、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、銅のうち1つ又は複数と様々な量で合金化したチタンであってもよいが、これに限定されない。この種の合金は、18-8オーステナイト系ステンレス鋼の2倍近くの強度/弾性係数比を有してもよく、これにより、たわんでいる部分の弾性たわみが大きくなり、単位変位あたりの力が低減される。適切な合金は、「BETA III」(Ti-11.5 Mo-6.5 Zr-4.6 Sn)、Transage 129(Ti-2Al-11.5V-2Sn-11.3Zr)、Ti-6Al-4V、又はこれらのうちの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0035】
しかし、当業者は、
図2では温度変化の源151によって駆動されるループバンド装置が示されているが、その代わりに、座屈ループ115が適切な電気活性高分子(EAP)から成るものであってもよく、温度変化の源が適切な電流又は電圧源に置き換えられてもよく、その結果、電磁波源によって駆動されるループバンド装置であってもよいことを認識するであろう。
【0036】
図2に示す温度変化の源151は、例えば、2つの分離した導電性の接触ローラによって供給される電流又は電圧によって置き換えられてもよい。そのような電気活性座屈ループの適切な材料は、例えば、1×10
-3V/mN/m
2よりも大きい圧電電圧定数を有する電気活性高分子(EAP)又は任意の電歪材料であってもよい。詳細には、適切なポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヨウ素ドーピングしたポリアセチレンを含むが、これらに限定されない。
【0037】
同様に、座屈ループは、適切な磁歪材料から成るもので置き換えられてもよく、熱源は、磁束源によって置き換えられてもよく、これにより、電磁駆動のループバンド装置が作られてもよい。適切な磁歪材料は、50マイクロストレインよりも大きい磁歪係数を有するものであってもよく、磁歪材料は、例えば、Terfenol-D又はGalfenolであるが、これらに限定されない。Terfenol-Dは、テルビウムのTer、鉄のFe、国防省海軍武器研究所のNOL、ジスプロシウムのDを表す。それは、常温で2kOe(160kA/m)のフィールドにおいておよそ2000マイクロストレインを示す材料である。適切な磁束源は磁石であってもよく、磁石は、例えば、適切に強力な希土類永久磁石、又は電磁石、又はこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0038】
図3は、固定点を有する歪みが1つのループバンド装置の概略断面図を示す。
【0039】
図3に示す固定点を有する歪みが1つのループバンド装置180は、固定点170で共に保持された拘束ループ110と座屈ループ115とを備えてもよい。座屈ループ115は、第1変曲点135を有する歪みを有する。作動応力は第1変曲点135で生成されてもよい。この作動応力により、座屈ループが変形し、
図3の運動後の座屈ループ190として示される形状をとる。第1変曲点135で誘発される応力による形状変化を想定して、ループバンド装置全体が固定点170を中心とする運動の弧175に沿って移動させられてもよい。この運動の結果、運動後の座屈ループ190と運動後の拘束ループ185によって示されるように、ループバンド装置が回転されてもよい。
【0040】
図3に示す運動後の拘束ループ185と運動後の座屈ループ190によって示されるように、ループバンド装置が回転された位置にある場合に、さらなる作動応力が第2変曲点136に生成されてもよい。この作動力又は応力の付加により、ループバンド装置は、固定点170の周りを運動の弧175に沿って回転することによって元の方向に戻されてもよい。
【0041】
図4は、係合要素および位置決め要素を有する歪みが2つのループバンド装置220の概略断面図を示す。
【0042】
拘束ループ110は、例えば、座屈ループ115の1つ又は複数の位置決め要素195に位置が対応する1つ又は複数の係合要素を備えてもよい。係合要素205は、例えば、歯であってもよく、位置決め要素195は、歯が係合可能な穴又は空間であってもよい。対応する係合要素と位置決め要素を有することの利点は、座屈ループ115が、2つ又はそれ以上の歪みを有して、座屈モード又は構造を担って維持することができることであってもよい。そのような複数の歪みを有する座屈モードは、より高い固有モードの座屈構造と称されるかもしれない。
【0043】
図5は、固定点を有する歪みが2つのループバンド装置265の概略断面図を示す。
【0044】
図5に示すように、ループバンド装置は、最初は、拘束ループ110と2つの歪みを有する座屈モードを形成するように制限された座屈ループ115とを備えてもよい。拘束ループ110と座屈ループ115も、座屈ループの歪んだ領域の外側に位置する固定点170で共に固定されてもよい。
【0045】
作動力生成手段は、第1歪みの第1変曲点225で又はその近傍で作動力を生成してもよい。そのような作動力により、座屈ループが変形し、そうすることで、ループバンド装置が、固定点を中心とする弧である第1回転方向230に移動してもよい。移動の結果は、第1回転方向における運動後の拘束ループ235および第1回転方向における運動後の座屈ループ240によって示されるものであってもよい。
【0046】
また、作動力は、第2歪みの第1変曲点260で又はその近傍で生成されていてもよい。そのような力により、座屈ループが変形し、そうすることで、ループバンド装置が、固定点を中心とする弧である第2回転方向245に移動してもよい。移動の結果は、第2回転方向における運動後の拘束ループ250および第2回転方向における運動後の座屈ループ255によって示されるものであってもよい。
【0047】
図6は、二層座屈ループを有するループバンド装置305の概略断面図を示す。
【0048】
二層座屈ループ285は基層290と活性材料層295から構成されていてもよい。
【0049】
二層座屈ループの基層は、例えば、ファブリック強化シリコーン、ファブリック強化ポリウレタン、チタン合金、ステンレス鋼合金、銅合金、又はアルミニウム合金、又はこれらのうちの組み合わせであってもよいが、これらに限定されないような材料から成るものであってもよい。
【0050】
二層座屈ループの活性材料層は、例えば、1×10-3Vm/Nよりも大きい圧電電圧定数を有する電歪材料から選択された電気活性高分子(EAP)、50マイクロストレインよりも大きい磁歪係数を有する磁歪材料、又はこれらの組み合わせ、又は15×10-6m/m/℃よりも大きい線熱膨張係数を有する金属又は金属合金であってもよいが、これらに限定されないような材料から成るものであってもよい。
【0051】
図7は、座屈ループ115の力生成要素内に又は上に結合された作動力生成手段131を有するループバンド装置280の概略等角図を示す。
【0052】
作動力生成手段131は、例えば、座屈ループ115の内面又は外面に配置された又は座屈ループの本体内に組み込まれた力生成要素270であってもよい。力生成要素270は、それ自体が柔軟であってもよいし、また、剛性の又は半剛性のタイル状であってもよく、従って、例えば、力生成要素としてセラミック圧電素子を使用することが可能であってもよい。そのため、座屈ループ115の変曲点に又はその近傍に位置する1つ又は複数の力生成要素275を作動させることで、座屈ループ115の形状変化が生じてもよい。この座屈ループ115の形状変化により、拘束ループに対する座屈ループの相対運動および/又は支持面に対するループバンド装置全体の運動が生じてもよい。
【0053】
力生成要素270の適切な材料は電気活性高分子(EAP)を含み、電気活性高分子は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヨウ素ドーピングしたポリアセチレン、又はこれらのうちの組み合わせであるが、これらに限定されない。リラクサー強誘電体として知られるセラミック電歪は、例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、マグネシウム酸ニオブ酸チタン酸鉛(PMN-PT)、ランタンジルコニウム酸チタン酸鉛(PLZT)であるが、これらに限定されず、極めて高い電歪定数を有し、そのため、力生成要素270として適切であってもよい。
【0054】
磁歪によって機能する力生成要素280を有するループバンド装置について、適切な材料は、Terfenol-DTM、GalfenolTM、MetglasTM、又はこれらのうちの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0055】
力生成要素270は固体であってもよく、例えば、石英、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウムであるがこれらに限定されないような圧電材料が、例えば、ポリビニルカーボネート(PVC)、ナイロン11、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)であるがこれらに限定されないようなポリマーと同様、使用されてもよい。
【0056】
図8は、回転運動のために構成されたループバンド装置310の概略断面図を示す。
【0057】
図8に示す実施形態では、拘束ループは、座屈ループの明確に定義された回転軸を提供することができるので、外側の円形で剛性の支持構造320であるように構成されてもよい。
【0058】
さらなる実施形態において、回転運動用に構成されたループバンド装置310は、外側の円形で剛性の支持構造320の軸と一致する回転軸325を有する内側の円形で剛性の支持構造315を備えてもよい。そのような配置は、例えば、座屈ループのより高い固有モードの座屈を提供するのに有益である。
【0059】
そのような構造において、例えば、座屈ループの変曲点135での作動力130の付加により、内側の円形で剛性の支持構造315に対する外側の円形で剛性の支持構造320の回転軸325を中心とした回転運動が生じてもよい。
【0060】
本発明はある程度詳細に説明されたが、本開示は説明のためになされたものであり、部品の構造および配置の詳細において多くの変更が、本発明の主旨と範囲を逸脱することなくなされてもよいことが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、例えば製造業において使用されるような、例えばロボット機構における制御される運動の提供において、利用可能性を有する。さらに、本発明は、例えば電力発電産業において使用されるような風又は流水などであるがこれらに限定されないような運動の源からのエネルギーの収集において、利用可能性を有してもよい。