(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】エアーガウジング工具
(51)【国際特許分類】
B23K 9/013 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
B23K9/013 C
(21)【出願番号】P 2020525215
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2018023901
(87)【国際公開番号】W WO2019244359
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】513306590
【氏名又は名称】株式会社KME
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】長田 聡司
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第5645180(JP,B1)
【文献】実開昭49-019032(JP,U)
【文献】特開2016-196027(JP,A)
【文献】実公昭49-018725(JP,Y1)
【文献】特開昭64-027781(JP,A)
【文献】実開昭57-156284(JP,U)
【文献】実開昭58-185373(JP,U)
【文献】国際公開第2015/121951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接用トーチに取付可能な工具本体を備え、
前記工具本体は、溶接用トーチの給電チップに接触可能な給電電極が設けられた導電部と、ガウジング棒を着脱可能な着脱機構と、圧縮空気を前記ガウジング棒の先端に向けて噴射可能な気体噴射機構と、を有し、
前記導電部は、前記給電チップと前記ガウジング棒が前記給電電極を介して導電可能に接続するように構成され、
前記気体噴射機構には、前記圧縮空気が流入する流入部と、前記圧縮空気が噴射される噴射口と、前記流入部と前記噴射口を連通させる流路と、
前記流入部に着脱可能に取付けられ、前記流路を延長する継手部と、前記継手部に設けられ、前記流路の開度を調節可能な調節弁と、が設けられ、
前記調節弁には、前記流路の内部に形成された弁体と、前記弁体の回転動作を制御する操作部と、が形成され、
前記操作部は、回転摘まみであり、
前記操作部には、前記操作部の回転動作を所定の角度の範囲内に拘束する係止突起が設けられ、
前記係止突起には、第一係止面と、第二係止面と、が形成され、
前記第一係止面は、前記流路を前記弁体で完全に塞いだ閉状態となった際に、前記継手部の外面に当接し、
前記第二係止面は、前記流路の流れ方向と前記弁体の貫通孔の貫通方向とが垂直となる開状態となった際に、前記継手部の外面に当接することを特徴とする、エアーガウジング工具。
【請求項2】
前記給電電極は、前記流路の一部を形成している、請求項1に記載のエアーガウジング工具。
【請求項3】
前記気体噴射機構には、噴射口が複数設けられていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエアーガウジング工具。
【請求項4】
前記着脱機構には、前記ガウジング棒を挟着保持する可動部材が設けられ、
前記可動部材は、雄ねじ部と雌ねじ部とが形成されたねじ機構を含むことを特徴とする、
請求項1~3の何れかに記載のエアーガウジング工具。
【請求項5】
前記雄ねじ部の先端には、皿部が形成され、
前記皿部の直径は、前記雄ねじ部のねじ径よりも大径であることを特徴とする、
請求項4に記載のエアーガウジング工具。
【請求項6】
前記雄ねじ部の基端には、前記皿部よりも大径の操作部が形成されている、請求項5に記載のエアーガウジング工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接作業を行う際に、溶接用トーチに取り付けて用いられるエアーガウジング工具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
金属を溶融させることにより、溝堀や開先加工、裏はつり、穴開け等の加工を施す、所謂ガウジングと呼ばれる工程が、溶接箇所に生じる欠陥部を除去する目的で、従来から頻繁に行われている。
【0003】
通常、このようなガウジングは、ガウジング装置からガウジングトーチに配備されたガウジング棒に給電し、このガウジング棒を電極として母材との間にアークを発生させ、そのアーク熱により母材やビードを溶融させることによって行われる。
【0004】
そして、特に、溶融した母材やビードを、ガウジングトーチからガウジング棒に沿って噴射される圧縮空気により吹き飛ばして除去する工程を含むガウジングを、エアーガウジングと呼ぶ。
【0005】
このエアーガウジングにおいて、溶接機は、作業者毎に一台ずつ配備されるものの、ガウジング装置は、欠陥部を除去にのみ用いられることから、作業者に一台ずつ配備されるものではない。このため、作業者は、ガウジングを行う度に、溶接作業位置からガウジング装置の設置場所まで歩いて行くこととなり、電源ケーブル及びガウジングトーチ等作業道具を持ち運ぶ必要があった。
【0006】
このような実情から、溶接作業の作業効率が低下するという不都合が生じていた。
【0007】
これに対し、本発明者等は、溶接作業の作業効率の向上及び設備コストの低下を実現させるべく、特許文献1に示されるエアーガウジング工具を提案した。
【0008】
このエアーガウジング工具は、溶接用トーチに取り付け可能であり、溶接用トーチの給電チップに給電電極を接触させることで、ガウジング棒に給電を行うことができる。
そして、作業者は、給電されたガウジング棒を母材に接触させアークを発生させることで、アーク熱により母材やビードを溶融し、さらに、溶融金属をコンプレッサーからの圧縮空気で吹き飛ばすことにより、エアーガウジング作業を行うことができる。
また、作業者は、着脱機構により、ガウジング棒の取り替え交換を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した本発明者等による先の提案によって、作業者は、溶接用トーチを溶接作業及びガウジング作業に兼用することができ、溶接作業の作業効率の向上及び設備コストの低下が実現された。
【0011】
しかしながら、先の提案によっても、なお、以下のような改善すべき問題点が残されている。
【0012】
即ち、作業状況により圧縮空気の供給を停止したい場合に、作業者は、圧縮空気を供給するためのエアーホースとエアーガウジング工具とを連結する金具を取り外す必要があり、この動作を起因として作業効率が悪化してしまうという問題点である。
【0013】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、手元で圧縮空気の供給量を調節可能とすることで、エアーガウジング作業の作業効率を大幅に向上させたエアーガウジング工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、
溶接用トーチに取付可能な工具本体を備え、
前記工具本体は、溶接用トーチの給電チップに接触可能な給電電極が設けられた導電部と、ガウジング棒を着脱可能な着脱機構と、圧縮空気を前記ガウジング棒の先端に向けて噴射可能な気体噴射機構と、を有し、
前記導電部は、前記給電チップと前記ガウジング棒が前記給電電極を介して導電可能に接続するように構成され、
前記気体噴射機構には、前記圧縮空気が流入する流入部と、前記圧縮空気が噴射される噴射口と、前記流入部と前記噴射口を連通させる流路と、前記流路の開度を調節可能な調節弁が設けられ、
前記調節弁には、前記流路の内部に形成された弁体と、前記弁体の回転動作を制御する操作部と、が形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、気体噴射機構に調節弁が設けられているため、作業者は、圧縮空気の供給量を手元で自在に調節することができ、エアーガウジング作業の作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記操作部は、回転摘まみであり、前記操作部には、前記操作部の回転動作を所定の角度の範囲内に拘束する係止突起が設けられていることを特徴とする
【0017】
このような構成とすることで、操作部の不意の回転を抑制することができるため、作業効率の悪化を防ぐとともに、作業時のストレスを低減させることが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記気体噴射機構には、前記流入部に着脱可能に取付けられ、前記流路を延長する継手部が設けられ、前記調節弁は、前記継手部に形成されていることを特徴とする。
【0019】
このような構成とすることで、作業者は、エアーガウジング作業の他送風作業全般を行う場合に、継手部単体をエアブローガンとして用いることができるため、本発明に係るエアーガウジング工具の汎用性が大きく向上する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記気体噴射機構には、噴射口が複数設けられていることを特徴とする。
【0021】
このような構成とすることで、ガウジング棒の先端に噴射される圧縮空気の質量が増加し安定するため、作業者は、エアーガウジングにおける溶融金属の吹き飛ばしを、より効率的に行うことが可能となる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記着脱機構には、前記ガウジング棒を挟着保持する可動部材が設けられ、前記可動部材は、雄ねじ部と雌ねじ部とが形成されたねじ機構を含むことを特徴とする。
【0023】
このような構成とすることで、作業者は、ガウジング棒の着脱を、雄ねじ部の回転動作のみで容易に行うことが可能となる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記雄ねじ部の先端には、皿部が形成され、前記皿部の直径は、前記雄ねじ部のねじ径よりも大径であることを特徴とする。
【0025】
このような構成とすることで、ガウジング棒と雄ねじ部の先端との接地面積が増大するため、作業者は、ガウジング棒の折損を防ぎつつ、ガウジング棒を着脱機構に強固に固定することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、手元で圧縮空気の供給量を調節可能とすることで、エアーガウジング作業の作業効率を大幅に向上させたエアーガウジング工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の工具本体を示す図である
【
図3】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の工具本体を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の継手部を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の継手部を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の使用方法を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具の使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1~
図7を用いて、本発明の実施形態に係るエアーガウジング工具について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態に係るエアーガウジング工具を示す。
【0029】
図1は、エアーガウジング工具1の概略斜視図であり、(a)工具本体11に継手部Sを装着した際の概略斜視図、(b)工具本体11から継手部Sを脱離させた際の概略斜視図である。
【0030】
図1に示すように、エアーガウジング工具1は、工具本体11を備え、溶接用トーチT(
図6参照)の給電チップT2(
図6参照)に接触可能な給電電極11a1(
図3参照)が設けられた導電部11aと、ガウジング棒G(
図6参照)を着脱可能な着脱機構11bと、圧縮空気C(
図7参照)をガウジング棒Gの先端に向けて噴射可能な気体噴射機構11cと、を有している。
【0031】
導電部11aは、給電チップT2とガウジング棒Gが給電電極11a1を介して導電可能に接続するように構成されている。
【0032】
以下、
図2及び
図3を用いて、工具本体11の構成部材の具体的な態様について、さらに詳述する。
なお、
図3において、噴射口Oは点線で示している。また、
図3において、雄ねじ部m及び操作部wは、断面で示されていない。
【0033】
導電部11aは、
図2及び
図3に示すように、2つの給電電極11a1と、2つの略円筒状のカバー部11a2と、を有している。
詳述すれば、カバー部11a2は、ノズルT1(
図6参照)を有する溶接用トーチTに取付可能であり、ノズルT1に外嵌可能な第一カバー部a21と、第一カバー部に略垂直に連結される第二カバー部a22と、により形成されている。給電電極11a1は、第一カバー部a21の内部に設けられる第一給電電極a11と、第二カバー部a22の内部に設けられ、第一給電電極a11に接触する第二給電電極a12と、により形成されている。
なお、給電電極11a1には、導電性材料として、銅やアルミニウム、銅と亜鉛の合金である真鍮材等が好適に用いられる。また、カバー部11a2には、耐熱性材料として、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0034】
また、着脱機構11bには、ガウジング棒Gが挿通される挿通孔11b1と、ガウジング棒Gを挟着保持可能な可動部材11b2と、が設けられている。
可動部材11b2は、雄ねじ部mと雌ねじ部fとが設けられたねじ機構Bを含んでいる。また、可動部材11b2は、ねじ機構Bの他に、雄ねじ部mの先端に設けられた皿部d、雄ねじ部mの基端に設けられ、雄ねじ部mの回転動作を容易に行うための操作部wを含んでいる。
皿部dの直径D2は、雄ねじ部mのねじ径D1よりも大径である。
【0035】
また、気体噴射機構11cは、継手部SやコンプレッサーのエアーホースH(
図6参照)が接続され、圧縮空気Cが流入する流入部Iと、圧縮空気Cが噴射される噴射口Oと、流入部Iと噴射口Oを連通させる流路Rと、が設けられている。
【0036】
以下、
図4を用いて、継手部Sの具体的な態様について、詳述する。
なお、
図4(b)は、
図4(a)のYY´線断面図である。また、継手部本体S1及び操作部A2は、断面で示されていない。
【0037】
図4に示すように、継手部Sは、流入部Iに接続される継手部本体S1と、調節弁Aが設けられた略六角柱状の調節部S2と、コンプレッサーのエアーホースHが接続される接続部S3と、を有している。
【0038】
調節弁Aは、調節部S2及び流路Rの内部に形成された弁体A1と、弁体A1の回転動作を制御する操作部A2と、が設けられている。
【0039】
弁体A1には、貫通孔rが形成されている。
【0040】
操作部A2は、回転摘まみであり、弁体A1と連結する略円柱状の軸部A2aと、軸部A2aから流路Rの流れ方向に突設された摘まみ部A2bと、により構成されている。
また、操作部A2には、操作部A2の回転動作を所定の角度の範囲内に拘束する係止突起Pが設けられている。
【0041】
詳述すれば、係止突起Pは、操作部A2から流路Rの流れ方向対して略垂直方向に突設され、流路Rを開状態及び閉状態とした際に、調節部S2の一側面に当接するように構成されている。
【0042】
以下、
図5を用いて、調節弁Aを用いた流路Rの開度の調節方法について説明する。
【0043】
作業者は、摘まみ部A2bを、摘まみ部A2bの突設方向と流路Rの流れ方向とが略平行となっている状態から時計回りに回転させることで、
図5(a)に示す状態から、
図5(b)に示す状態とする。即ち、作業者は、摘まみ部A2bの突設方向と流路Rの流れ方向とを略垂直とする。
このようにすることで、流路Rの流れ方向と貫通孔rの貫通方向とが垂直となり、流路Rは、完全な開状態から完全な閉状態となる。また、このとき、係止突起Pの第一係止面P1が調節部S2の一側面に当接し、作業者は、
図5(b)に示す状態から、さらに調節弁Aを時計回りに回転させることができなくなる。
【0044】
そして、上記した手順と逆の手順を行えば、流路Rの流れ方向と貫通孔rの貫通方向とが一致し、流路Rは、完全な閉状態から完全な開状態となる。また、このとき、係止突起Pの第二係止面P2が調節部S2の一側面に当接し、作業者は、
図5(a)に示す状態から、さらに調節弁Aを反時計回りに回転させることができなくなる。
【0045】
即ち、調節弁Aは、係止突起Pにより、その回転動作を90度の範囲に拘束されている。
【0046】
継手部本体S1は、一般的な差込接続型のワンタッチ継手であり、作業者は、内部に設けられた着脱機構(図示せず)により、継手部Sを容易に流入部Iに着脱することができる。
【0047】
なお、カバー部11a1、流入部I、操作部w及び継手部Sは、絶縁材により被覆されている。被覆手段として、例えばアルマイト加工が挙げられる。
【0048】
以下、
図6及び
図7を用いて、エアーガウジング工具1の使用方法について説明する。
なお、
図6(b)は、
図6(a)の部分拡大図である。また、
図6(a)において、噴射口O及び流路Rの一部は点線で示している。また、
図6(a)及び(b)において、溶接用トーチTの構成部材の内、ノズルT1及び給電チップT2のみが断面で示されている。
【0049】
まず、作業者は、工具本体11を溶接用トーチTに取付け、溶接用トーチTの給電チップT2に第一給電電極a11を接触させ、ワイヤ送給装置(図示せず)からの溶接ワイヤWの送給を停止する。
なお、溶接用トーチTは、半自動溶接機(図示せず)に用いられ、その先端にはノズルT1及び給電チップT2が設けられ、給電チップT2には溶接ワイヤWを送給可能な送給孔T3が形成されている。
【0050】
次に、作業者は、着脱機構11bにガウジング棒Gを取り付ける。
詳述すれば、作業者は、ガウジング棒Gを、挿通孔11b1に挿通させ、操作部wにより雄ねじ部mを回転させることで、ガウジング棒Gを、皿部dと挿通孔11b1の内周面とで狭着させる。
【0051】
次に、作業者は、溶接電源装置(図示せず)から溶接用トーチTの給電チップT2に給電を行う。こうすることで、電力が、給電電極11a1を介してガウジング棒Gに給電される。
【0052】
次に、作業者は、継手部Sの接続部S3に、エアーホースHを接続し、流路Rが開状態となるように調節弁Aの操作部A2を操作する。こうすることで、コンプレッサーからの圧縮空気Cは、流入部Iから流路Rを通り、噴射口Oから流出することで、ガウジング棒Gの先端部に向けて噴射されることとなる。
【0053】
以上の手順により、作業者は、
図7に示すように、ガウジング棒Gを母材Zに接触させ、アーク熱を発生させることができる。
なお、圧縮空気Cは、一点鎖線で示している。
【0054】
そして、作業者は、アーク熱により母材や溶接ビードが溶融させつつ、ガウジング棒Gの先端部に向けて噴射される圧縮空気Cにより溶融金属の吹き飛ばしを行うことができ、エアーガウジング作業を良好に行うことが可能となる。
【0055】
本実施形態によれば、気体噴射機構11cに調節弁Aが設けられているため、作業者は、圧縮空気Cの供給量を手元で自在に調節することができ、エアーガウジング作業の作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0056】
また、係止突起Pにより操作部の不意の回転を抑制することができるため、作業効率の悪化を防ぐとともに、作業時のストレスを低減させることが可能となる。
【0057】
また、作業者は、エアーガウジング作業の他送風作業全般を行う場合に、継手部S単体をエアブローガンとして用いることができるため、エアーガウジング工具1の汎用性が大きく向上する。
【0058】
気体噴射機構11cに噴射口Oが2つ設けられていることで、ガウジング棒Gの先端に噴射される圧縮空気Cの質量が増加し安定するため、作業者は、エアーガウジングにおける溶融金属の吹き飛ばしを、より効率的に行うことが可能となる。
【0059】
また、雄ねじ部mと雌ねじ部fとが設けられたねじ機構Bにより、作業者は、ガウジング棒Gの着脱を、容易に行うことが可能となる。
【0060】
雄ねじ部mの先端に、皿部dが形成されていることで、ガウジング棒Gと雄ねじ部mの先端との接地面積が増大するため、作業者は、ガウジング棒Gの折損を防ぎつつ、ガウジング棒Gを着脱機構11bに強固に固定することが可能となる。
【0061】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 エアーガウジング工具
11 工具本体
11a 導電部
11a1 給電電極
a11 第一給電電極
a12 第二給電電極
11a2 カバー部
a21 第一カバー部
a22 第二カバー部
11b 着脱機構
11b1 挿通孔
11b2 可動部材
B ねじ機構
m 雄ねじ部
d 皿部
w 操作部
f 雌ねじ部
11c 気体噴射機構
I 流入部
O 噴射口
R 流路
S 継手部
S1 継手部本体
S2 調節部
S3 接続部
A 調節弁
A1 弁体
r 貫通孔
A2 操作部
A2a 軸部
A2b 摘まみ部
P 係止突起
P1 第一係止面
P2 第二係止面
T 溶接用トーチ
T1 ノズル
T2 給電チップ
T3 送給孔
W 溶接ワイヤ
G ガウジング棒
C 圧縮空気
H エアーホース
Z 母材