(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ジョイント部材、組み立てフレーム、及び、組み立てキット
(51)【国際特許分類】
F16B 7/18 20060101AFI20220329BHJP
F16B 12/44 20060101ALI20220329BHJP
A47B 96/00 20060101ALN20220329BHJP
A47B 96/02 20060101ALN20220329BHJP
A47B 57/44 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
F16B7/18 E
F16B7/18 C
F16B12/44 Z
A47B96/00 A
A47B96/02 H
A47B57/44 A
(21)【出願番号】P 2021152463
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2021-09-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520017683
【氏名又は名称】JNIテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【氏名又は名称】金山 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100199842
【氏名又は名称】坂井 祥平
(72)【発明者】
【氏名】栗原 修一
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-030559(JP,A)
【文献】特開2021-032378(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0083605(US,A1)
【文献】特公昭49-019770(JP,B1)
【文献】特開昭49-072917(JP,A)
【文献】実公昭43-005395(JP,Y1)
【文献】実公昭43-018164(JP,Y1)
【文献】実開昭48-109897(JP,U)
【文献】実開昭49-084914(JP,U)
【文献】実開昭50-148005(JP,U)
【文献】実開昭61-150506(JP,U)
【文献】中国実用新案第2895846(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00- 7/22
F16B 12/00-12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材の先端を挿入して固定するためのジョイント部材であって、
略平行多面体の基体と、前記基体の少なくとも1つの面に配設されたフランジと、を有し、
前記平行多面体の各面のうち、前記フランジが配設された面以外の面には、前記雄ネジと螺合可能な雌ネジ孔が形成され、
前記フランジには、対向する面に形成された前記雌ネジ孔の呼び径よりも小さい直径のビス挿通孔が、
対向する面に形成された前記雌ネジ孔と略同軸に
、かつ、対向する面に形成された前記雌ネジ孔と貫通するように形成されている、ジョイント部材。
【請求項2】
前記平行多面体が六面体である、請求項1に記載のジョイント部材。
【請求項3】
前記フランジを1~3個有する、請求項1又は2に記載のジョイント部材。
【請求項4】
前記ビス挿通孔の直径が、前記雌ネジ孔の呼び径の10~60%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のジョイント部材。
【請求項5】
前記柱状部材が寸切りボルトである、請求項1~4のいずれか1項に記載のジョイント部材。
【請求項6】
少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材と、請求項1~5のいずれか1項に記載のジョイント部材とを含む、組み立てフレーム。
【請求項7】
前記ジョイント部材が、前記ジョイント部材の内側から前記ビス挿通孔を介して挿入されたビスによって構造物に螺着される、請求項6に記載の組み立てフレーム。
【請求項8】
前記柱状部材が寸切りボルトである、請求項6又は7に記載の組み立てフレーム。
【請求項9】
少なくとも両端に雄ネジが形成された柱状部材と、請求項1~5のいずれか1項に記載のジョイント部材とを含む、組み立てキット。
【請求項10】
少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材の先端を挿入して固定するためのジョイント部材であって、
略平行多面体の基体からなり、前記平行多面体の各面には、前記雄ネジと螺合可能な雌ネジ孔が形成されている、ジョイント部材
を更に含む、請求項9に記載の組み立てキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイント部材、組み立てフレーム、及び、組み立てキットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数本の筒状の部材を組み合わせて、家具、及び、商品陳列棚等を組み立てるため、筒状の部材の先端を突き合わせて相互に接続するための接続部材(ジョイント部材)が知られている。
【0003】
このようなジョイント部材としては、例えば、特許文献1には、「各面に角形凹入段部と、その凹入段部の中心に螺孔を設けた角形基体と、中心に螺孔と一致すべくビスの挿通用透孔と、周縁所要位置にパイプ側への嵌入突出体を設けた前記凹入段部への螺合基板とから成るパイプの接続金具。」が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、「複数本の筒型柱体の先端を突き合せてこれらを相互に接続する接続具において、ブロック体の表面の複数の所定部位に夫々凹所を設けるとともに、該凹所の略中央に雌ねじ穴を穿孔した一個の金属製ブロック体と、筒型スリーブの基部が上記プロック体の凹所に嵌合する一方残余の部分が上記筒型柱体の先端開口部内に圧入するようにした、貫通孔を有する合成樹脂製筒型スリーブと、基部をブロック体の凹所に嵌合せしめた筒型スリーブの貫通孔の先端より押えボルトを挿入しかつ該ボル卜の先端を前記凹所内の雌ねじ穴に螺合して締めつけるとともにボルト頭で筒型スリーブを押圧してこれをブロック体に固定するようにした金属製押えボルトとからなることを特徴とする骨組み構造体の接続具。」が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、「6面体の各面に4角形凹部を形成し、該各凹部の内部に6面体の内部に向う雌ネジ孔を穿設して本体ブロックを形成し、上記4角形凹部に嵌合する4角形凸部を中空アームブロックの一端部外面に形成し、上記一端部に上記ネジ孔に符合する透孔を穿設し、一端部内面にボルト頭を回動自在に係合し、透孔を経て上記ネジ孔に螺合するボルトとよりなり、上記6面体の各面の外周4辺と、上記アームブロックの一端部外周4辺とが上記凹部と上記凸部との嵌合状態において平行であり、上記各面の外周4辺の内側に間隔を介して上記一端部外周4辺を配置し、上記本体ブロック、中空アームブロック及び上記ボルトを分解組立自在に形成してなる角パイプジョイント部品。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実願昭49-060505号のマイクロフィルム
【文献】実願昭51-057153号のマイクロフィルム
【文献】特開2001-200621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3のいずれにも、複数本の柱状の部材を組み合わせてなる家具、及び、商品陳列棚等に使用されるジョイント部材が記載されているものの、いずれも、筒状の部材を組み合わせて固定するだけで、これらを組み合わせてなる家具、及び、商品陳列棚等のそのもの自体を固定するものではなかった。すなわち、別途、完成された家具等を床面に配置する等によって固定する必要があった。
【0008】
そこで本発明は、複数本の柱状の部材を固定するだけでなく、そのもの自体を構造物等に固定可能なジョイント部材を提供することを課題とする。また、本発明は、棚、及び、組み立てキットを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
【0010】
[1] 少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材の先端を挿入して固定するためのジョイント部材であって、略平行多面体の基体と、上記基体の少なくとも1つの面に配設されたフランジと、を有し、上記平行多面体の各面のうち、上記フランジが配設された面以外の面には、上記雄ネジと螺合可能な雌ネジ孔が形成され、上記フランジには、対向する面に形成された上記雌ネジ孔の呼び径よりも小さい直径のビス挿通孔が、上記雌ネジ孔と略同軸に形成されている、ジョイント部材。
【0011】
上記ジョイント部材によれば、複数本の柱状の部材を固定するだけでなく、そのもの自体を構造物等に固定することができる。
【0012】
[2] 上記平行多面体が六面体である、[1]に記載のジョイント部材。
【0013】
平行多面体が六面体であると、ジョイント部材の上下に縦柱用、前後左右に棚板受架用の柱状部材を固定することができるため、家具、及び、棚等を形成するためのジョイント部材として、より容易に使用できる。
【0014】
[3] 上記フランジを1~3個有する、[1]又は[2]に記載のジョイント部材。
【0015】
フランジを1個有する場合、ジョイント部材を壁面、床面、及び、天井等に固定することができ、フランジを2個有する場合、ジョイント部材を壁面と床面、壁面と壁面、及び、壁面と天井の交差する点(部屋の隅)等にジョイント部材を固定することができ、フランジを3個有する場合、ジョイント部材を床面と2枚の壁面、及び、天井と2枚の壁面の交差する点(部屋の隅)等にジョイント部材を固定することができる。そのため、棚等を組み立てた場合に、より優れた安定性が得られる。
なお、各フランジは平行六面体の互いに隣り合う面に配設されることが好ましい。
【0016】
[4] 上記ビス挿通孔の直径が、上記雌ネジ孔の呼び径の10~60%である、[1]~[3]のいずれかに記載のジョイント部材。
【0017】
ビス挿通孔が雌ネジ孔の呼び径の10%以上であると、ジョイント部材をより強固に固定可能な呼び径のビスを用いることができ、60%以下であると、ビスの頭部によって生ずる、締結のための圧縮力を受けるフランジ部分をより十分に確保できる。
【0018】
[5] 上記柱状部材が寸切りボルトである、[1]~[4]のいずれかに記載のジョイント部材。
【0019】
柱状部材が寸切りボルトであると、縦柱用、及び、棚板受架用のいずれについても、所望な長さに簡単に調整できるため、組み立てられる家具、及び/又は、棚のデザイン、及び、構造のバリエーションがより広がる。
【0020】
[6] 少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材と、[1]~[5]のいずれかに記載のジョイント部材とを含む、組み立てフレーム。
【0021】
上記組み立てフレームは、上記ジョイント部材を含むため、壁面、及び、天井等に自由に固定できるため、様々な場所に設置できるという優れた特徴を有する。
【0022】
[7] 上記ジョイント部材が、上記ジョイント部材の内側から上記ビス挿通孔を介して挿入されたビスによって構造物に螺着される、[6]に記載の組み立てフレーム。
【0023】
ジョイント部材が構造物に螺着(締結)されることによって、より安定性が高まる。また、天井等から吊り下げることもできる。
【0024】
[8] 上記柱状部材が寸切りボルトである、[6]又は[7]に記載の組み立てフレーム。
【0025】
柱状部材が寸切りボルトであると、ジョイント部材の位置を柱状部材の任意位置とすることができるため、棚板の高さ等をより自由に調整できる。
【0026】
[9] 少なくとも両端に雄ネジが形成された柱状部材と、[1]~[5]のいずれかに記載のジョイント部材とを含む、組み立てキット。
【0027】
上記組み立てキットによれば、ジョイント部材を構造物に固定できるため、より安定性の高いフレームを組み立てられる。また、構造物に固定されたジョイント部材によってフレームを支持することができるため、天井等から吊り下げることもできる。
なお、柱状部材が寸切りボルトであると、ジョイント部材の位置を柱状部材の任意の位置とすることができるため、より多くのデザイン、及び、構造のフレームを組み立てることができる。
【0028】
[10] 少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材の先端を挿入して固定するためのジョイント部材であって、略平行多面体の基体からなり、上記平行多面体の各面には、上記雄ネジと螺合可能な雌ネジ孔が形成されている、ジョイント部材。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数本の柱状の部材を固定するだけでなく、そのもの自体を構造物等に固定可能なジョイント部材が提供できる。また、本発明によれば、棚、及び、棚の組み立てキットを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るジョイント部材の斜視図である。
【
図6】上記ジョイント部材を構造物等に固定する方法の説明図である。
【
図7】上記ジョイント部材を構造物等に固定する方法の説明図である。
【
図8】上記ジョイント部材、及び、寸切りボルトを組み合わせて構成される棚の一実施形態を示す模式図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るジョイント部材の六面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係るジョイント部材の六面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0032】
[ジョイント部材の第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るジョイント部材について図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、ジョイント部材の斜視図であり、
図2はジョイント部材の平面図であり、
図3は、ジョイント部材の正面図であり、
図4はジョイント部材の底面図であり、
図5はジョイント部材の六面図である。
【0034】
ジョイント部材10は、上縁、及び、側縁が面取りされた金属製の直方体である基体100と、基体100の底面に配設された円盤状のフランジ13とを有している。
基体100の各面のうち、フランジ13が配設されていない面である、上面14a、正面14b、右側面14c、背面14d、及び、左側面14eには、それぞれドーナツ状の凹入部12a、12b、12c、12d、及び、12eが形成されている。
【0035】
凹入部12a、12b、12c、12d、及び、12eのそれぞれの略中心には、雌ネジ孔16a、16b、16c、16d、及び、16eが形成されており、それぞれ、少なくとも先端に雄ネジが形成された柱状部材を螺合できるようになっている。
【0036】
凹入部は、柱状部材を螺入する際のガイドとしても働くほか、柱状部材を螺合していない場合においては、雌ネジ孔の開口部の装飾としても働く。なお、本発明のジョイント部材は、上記凹入部を有していなくてもよい。
【0037】
ジョイント部材10において、それぞれの雌ネジ孔は、対向する面に形成された雌ネジ孔と同軸、かつ、呼び径が同一となっており、一方側の面から螺入された柱状部材(典型的には寸切りボルト)は、対向する面に形成された雌ネジ孔へと挿通することができる。
なお、ジョイント部材10において、各雌ネジ孔の呼び径、及び、ピッチはすべて同一である。雌ネジ孔の呼び径、及び、ピッチが同一であると、使用する柱状部材の雄ネジの呼び径、及び、ピッチが統一でき、より都合がよい。
【0038】
具体的には、正面14bに形成された雌ネジ孔16bから螺入された柱状部材は、対向する背面14dに形成された雌ネジ孔16dへと挿通可能であり、右側面14cに形成された雌ネジ孔16cから螺入された柱状部材は、対向する左側面14eに形成された雌ネジ孔16eへと挿通可能である。
【0039】
雌ネジ孔は、フランジ13が配設された底面側にも、図示はされていないが穿孔されており、上面14aに形成された雌ネジ孔16aから螺入された柱状部材は、上記図示されていない雌ネジ孔を介してフランジ13の表面付近まで進入することができる。
【0040】
フランジ13の略中心には、雌ネジ孔16aと略同軸にビス挿通孔15が形成されている。ビス挿通孔15の直径L2は、雌ネジ孔16aの呼び径L1よりも小さい。すなわち、L1>L2である。
【0041】
ビス挿通孔15は、ジョイント部材10を構造物(床、壁、及び、天井等)に固定するためのビスを挿通するための孔であり、このビスは、雌ネジ孔16aから挿入される。
そのため、ビスの頭部を通過させ、かつ、ジョイント部材10と構造物等とを締結するための圧縮力を受ける部分(
図2において、雌ネジ孔16aの内部に記載されたフランジ13のドーナツ状の一部分)を確保するために、L
1>L
2であることが必要である。
【0042】
ビス挿通孔の直径は、上記関係を満たしていれば特に制限されないが、雌ネジ孔の呼び径の10%以上であると、ジョイント部材10をより強固に固定可能な呼び径のビスを用いることができ、60%以下であると、締結のための圧縮力を受ける部分をより十分に確保できる。
【0043】
図6、及び、
図7は、ジョイント部材10を構造物(図示しない)に固定する方法の説明図である。ジョイント部材10には、縦柱用の寸切りボルト22、及び、棚板受架用の寸切りボルト21が螺入され、それぞれ、ナット23で固定されている(棚板受架用の寸切りボルト21を固定するナットは図示されていない)。
【0044】
ジョイント部材10は、フランジ13の裏面で構造物に接触しており、この構造物に対して、ビス24が凹入部12aに形成された雌ネジ孔から挿入され、フランジ13のビス挿入孔を介して構造物へと螺入され、フランジ13(すなわちジョイント部材10)と、構造物とが締結される。
【0045】
図8は、ジョイント部材10、及び、寸切りボルトを組み合わせて構成される棚の一実施形態を示す模式図である。また、
図9は、棚を構成する他のジョイント部材の斜視図である。
棚30は、ジョイント部材10、ジョイント部材33、縦柱用の寸切りボルト22、棚板受架用の寸切りボルト21、25、棚板31、及び、クリップ32により構成されている。
【0046】
ジョイント部材33は、立方体の各縁が面取りされた金属製の基体からなり、上面44aには凹入部42aが形成され、その略中心に雌ネジ孔が形成されている。また、正面44bには凹入部42bが形成され、その略中心に雌ネジ孔が形成されている。また、右側面44cには凹入部42cが形成され、その略中心に雌ネジ孔が形成されている。上記の各面と対向する底面、背面、及び、左側面にも各対向面に形成された雌ネジ孔と同軸、同呼び径、同ピッチの雌ネジ孔が形成されている。
なお、上記の雌ネジ孔の呼び径、及び、ピッチは、ジョイント部材10の各雌ネジ孔の呼び径、及び、ピッチと同一である。
【0047】
ジョイント部材33の各面の雌ネジ孔に螺入された寸切りボルトは対向面の雌ネジ孔へと挿通可能である。ジョイント部材33は、フランジを有しないこと、及び、基体が立方体であることを除いては、ジョイント部材10と同様に構成されている。
【0048】
棚30は、構造物(壁)にビスで固定されたジョイント部材10によって支持されており、
図8に示すとおり、床面によって支持されなくてもよい。
【0049】
2枚の棚板31は、それぞれクリップ32よってジョイント部材33に固定され、ジョイント部材33には、縦柱用の寸切りボルト22、及び/又は、棚板受架用の寸切りボルト21、25が螺入され、ナット23で固定されている。縦柱用の寸切りボルト22はその端部、及び、中途部にジョイント部材10が配設されており、各ジョイント部材10のフランジは、図示しないビスによって構造物(壁)に固定され、これにより棚30が支持されている。
【0050】
なお、棚30において各棚板はガラス製であるが、棚板の材質は特に制限されず、金属製、樹脂製、及び、木製等一般的な材質でよい。
また、棚30において各棚板はクリップ32によって固定されているが、棚板の固定方法としては上記に制限されず、例えば、他のジョイント部材33にボルト止めしてもよい。
【0051】
上記棚30は、ジョイント部材10、及び、寸切りボルト等を用いて組み立てることができる棚の一例であり、その構成は、設置場所、目的、及び、所望の外観等に応じて自由に変更できる。
【0052】
ジョイント部材10、及び、寸切りボルトを含む組み立てキットを用いれば、様々な構造の棚を自由に組み立てることができる。キットには、上記以外にもジョイント部材33、棚板31、クリップ32、ナット23、及び、ビス等を含むことが好ましい。
【0053】
なお、上記棚は、本発明のジョイント部材と柱状部材とによって形成される組み立てフレームの一例であり、本発明の組み立てフレームは上記のような棚に制限されない。組み立てフレームには、例えば、机、及び、椅子等の家具;工場等に設置される機械架台;等も含まれる。
【0054】
[ジョイント部材の第2実施形態]
図10は、本発明のジョイント部材の第2実施形態に係る六面図である。
ジョイント部材50は、上縁、及び、側縁の一部が面取りされた平行六面体の基体500と、基体500の底面と背面に配置された半円形のフランジ51、及び、52を有している。フランジ51にはビス挿通孔54が、フランジ52にはビス挿通孔53が形成され、その他の構造は、第1実施形態に係るジョイント部材10と同様である。
【0055】
ジョイント部材50は、基体500における隣り合う(1つの縁を共有する)2面にフランジ51、52が配置され、それぞれにビス挿通孔54、53が形成されているため、例えば、部屋の隅等の2枚の壁面に自身を固定することができるため、このジョイント部材を含む棚は、より優れた安定性を有する。
【0056】
なお、ジョイント部材50が有するフランジ51、及び、フランジ52はいずれも同一の半円形であるが、本実施形態に係るジョイント部材が備えるフランジとしては上記に制限されず、形状は任意である。また、2個のフランジの形状は同一であってもよいし、異なってもよい。
【0057】
[ジョイント部材の第3実施形態]
図11は、本発明のジョイント部材の第3実施形態に係る六面図である。
ジョイント部材60は、上縁、及び、側縁の一部が面取りされた平行六面体の基体600と、基体600の底面、背面、及び、右側面に配置された、5角形のフランジ61、62、及び、63を有している。フランジ61にはビス挿通孔66が、フランジ62にはビス挿通孔64が形成され、フランジ63にはビス挿通孔65が形成され、その他の構造は、第1実施形態に係るジョイント部材10と同様である。
【0058】
ジョイント部材60は、基体600におけるそれぞれ隣り合う(他の2面とそれぞれ1つの縁を共有する)3面にフランジ61、62、63が配置され、それぞれにビス挿通孔66、64、65が形成されているため、例えば、部屋の隅等の2枚の壁面と天井とに自身を固定することができるため、このジョイント部材を含む棚は、更に優れた安定性を有する。
【0059】
なお、ジョイント部材60が有するフランジ61、62、63はいずれも同一の五角形であるが、本実施形態に係るジョイント部材が備えるフランジとしては上記に制限されず、形状は任意である。また、3個のフランジの形状は同一であってもよいし、異なってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のジョイント部材は、複数本の筒状の部材を組み合わせて、家具、及び、商品陳列棚等を組み立てるため、筒状の部材の先端を突き合わせて相互に接続するための接続部材(ジョイント部材)として使用できる。特に、本発明のジョイント部材によれば、自身を壁、及び、天井等の構造物に固定できるため、組み立てられた家具や棚は優れた安定性を有する。また、天井や壁に固定された本発明のジョイント部材によって家具や棚を支持することができるため、床面で支持することなく、吊り棚も容易に組み立てることができる。
【符号の説明】
【0061】
10、50、60:ジョイント部材、12a~12e、42a~42c:凹入部、13、51、52、61~63:フランジ、15、53、54、64~66:ビス挿通孔、16a~16e:雌ネジ孔、21、22、25:寸切りボルト、23:ナット、24:ビス、30:棚、31:棚板、32:クリップ、33:他のジョイント部材、100、500、600:基体
【要約】
【課題】 複数本の柱状の部材を固定するだけでなく、そのもの自体を構造物等に固定可能なジョイント部材の提供。
【解決手段】 少なくとも一方端に雄ネジが形成された柱状部材の先端を挿入して固定するためのジョイント部材であって、略平行多面体の基体100と、上記基体の少なくとも1つの面に配設されたフランジ13と、を有し、上記平行多面体の各面のうち、上記フランジ13が配設された面以外の面には、各面の略中心に上記雄ネジと螺合可能な雌ネジ孔16a~16eが形成され、上記フランジには、対向する面に形成された上記雌ネジ孔の呼び径よりも小さい直径のビス挿通孔15が、上記雌ネジ孔と略同軸に形成されている、ジョイント部材。
【選択図】
図1