(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】マグネットセパレータ
(51)【国際特許分類】
B03C 1/14 20060101AFI20220329BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20220329BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20220329BHJP
B24B 55/12 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B03C1/14
B03C1/00 B
B03C1/00 A
B23Q11/00 U
B24B55/12
(21)【出願番号】P 2021154084
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594204756
【氏名又は名称】株式会社ブンリ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 誠
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131479(JP,A)
【文献】特公昭42-012399(JP,B1)
【文献】中国実用新案第208303013(CN,U)
【文献】登録実用新案第3010688(JP,U)
【文献】実開昭60-128742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/10-1/32
B23Q 11/00
B24B 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体が含まれる液体を貯留する貯留部を有するセパレータ本体と、
前記セパレータ本体に設けられたマグネットドラムと、
前記セパレータ本体の外部に設けられた駆動部と、を備え、
前記マグネットドラムは、水平方向に延びる第1シャフトと、前記セパレータ本体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記液体に浸漬するように前記第1シャフトに回転可能に支持され、外周面と前記外周面の反対側の内周面とを有する円筒と、
前記円筒の内部において前記第1シャフトに固定された内筒と、前記内周面に対向
するように前記内筒に設けられ、前記外周面の周方向の一定範囲に前記磁性体が付着可能な磁場領域を形成するマグネットと、前記第1シャフトの中心軸と同一線上に設けられ、
前記円筒とともに回転する第2シャフトと、を有し、
前記セパレータ本体は、前記水平方向に並ぶ一対の側壁を有し、
前記セパレータ本体の外部において、前記駆動部は、前記第1シャフトの中心軸と同一線上に設けられた出力部を有し、
前記第2シャフトは、前記セパレータ本体の外部に向けて前記一対の側壁の一方を貫通し、
前記出力部は、前記円筒を回転させるために前記第2シャフトと連結されている、
マグネットセパレータ。
【請求項2】
前記マグネットドラムは、前記円筒の両端部に設けられ、前記第1シャフトに回転可能に支持された一対の側板をさらに有し、
前記第2シャフトは、前記一対の側板の1つに設けられている、
請求項1に記載のマグネットセパレータ。
【請求項3】
前記一対の側壁の一方と接続されたブラケットをさらに備え、
前記駆動部は、前記ブラケットを介して前記一対の側壁の一方と接続され、
前記第2シャフトは、前記ブラケットを貫通している、
請求項1または2に記載のマグネットセパレータ。
【請求項4】
前記セパレータ本体の外部に設けられ、前記中心軸に対する前記マグネットの位置を周方向に調整可能なマグネット調整具をさらに備える、
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のマグネットセパレータ。
【請求項5】
第3シャフトと、
前記第3シャフトに設けられ、前記外周面に付着した前記磁性体に含まれる前記液体を絞る絞りロールと、
前記第3シャフトに設けられ、前記第1シャフトと前記第3シャフトの距離を調整する絞りロール調整機構と、
前記第2シャフトの回転を前記第3シャフトに伝達する伝達機構と、をさらに備える、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のマグネットセパレータ。
【請求項6】
前記セパレータ本体の外部で前記第2シャフトに連結されたカップリングをさらに備え、
前記駆動部は、
前記出力部と前記カップリングとに連結された第4シャフト
をさらに有する、
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のマグネットセパレータ。
【請求項7】
磁性体が含まれる液体を貯留する貯留部を有するセパレータ本体と、
前記セパレータ本体に設けられたマグネットドラムと、
前記セパレータ本体の外部に設けられた駆動部と、
前記貯留部から前記液体が流れる流路を形成する底板と、
一対の仕切り板と、を備え、
前記マグネットドラムは、水平方向に延びる第1シャフトと、前記セパレータ本体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記液体に浸漬するように前記第1シャフトに回転可能に支持され、外周面と前記外周面の反対側の内周面とを有する円筒と、前記円筒の両端部に設けられ、前記第1シャフトに回転可能に支持された一対の側板と、前記内周面に対向して設けられ、前記外周面の周方向の一定範囲に前記磁性体が付着可能な磁場領域を形成するマグネットと、前記第1シャフトの中心軸と同一線上において前記一対の側板の1つに設けられ、前記セパレータ本体の外部に向けて延び、前記円筒とともに回転する第2シャフトと、を有し、
前記駆動部は、前記円筒を回転させるために前記セパレータ本体の外部で前記第2シャフトと連結され、
前記底板は、前記セパレータ本体の内部に前記外周面に沿って間隔をあけて設けられ、
前記仕切り板は、前記側板と前記セパレータ本体の側壁との間にそれぞれ設けられるとともに、前記中心軸に延びている、
マグネットセパレータ。
【請求項8】
前記仕切り板と前記側板の間に形成される隙間は、前記仕切り板と前記側壁の間に形成される隙間より小さい、
請求項
7に記載のマグネットセパレータ。
【請求項9】
前記底板と前記外周面の間に設けられ、前記外周面のうち前記円筒の端部に対向する面を含む整流板をさらに備える、
請求項
7または
8に記載のマグネットセパレータ。
【請求項10】
前記流路は、上流側に位置する流入口と、下流側に位置し、前記水平方向における幅が前記流入口より大きい流出口と、を有する、
請求項
7乃至
9のいずれか1項に記載のマグネットセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネットセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械により金属材料等を研削、切削等する際、加工精度の向上、使用する工具の寿命の延命および切り屑や金属粉等の排出を促進することを目的として研削液、切削液、クーラント等と呼ばれる各種の液体が使用される。これらの液体は、機械加工により生じた切り屑や金属粉等の異物が含まれた状態で工作機械から排出される。使用後の液体は、例えば磁性体等の異物を含んでいる。また、異物は、液体内でスラッジと呼ばれる汚泥のようなものを形成する場合がある。
【0003】
工作機械から排出された液体は、切り屑等の異物を分離、除去した後、工作機械に戻して再利用される。そのため、工作機械から排出された液体を回収し、液体から異物を分離、除去する種々の装置が知られている。例えば、液体から磁性体を含む異物を分離、除去する装置として、マグネットセパレータが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
マグネットセパレータは、例えば、液体を貯留する濾過槽と、濾過槽内で回転可能に水平に支持された円筒状外周面を有するドラムと、ドラムの円筒状表面に磁力を発生させるようにそのドラム内に配置された永久磁石と、ドラムの円筒状表面に吸着された磁性粉体を掻き取るように濾過槽に固定された掻取板と、濾過槽内を仕切る堰板の下流側に固定され、ドラムの円筒状外周面のうちの下側の表面に所定の間隔を隔てて対向する部分円筒板と、濾過槽の内側において円筒状のドラムの端部に固定された被駆動回転体に動力伝達する駆動回転体を有するドラム駆動装置とを備えている。
【0005】
駆動回転体および被駆動回転体は、ドラム等とともに濾過槽の内部に配置されている。駆動回転体および被駆動回転体は、濾過槽に貯留された液体に含まれる異物の影響により摩耗する虞がある。この点に関し、特許文献1において駆動回転体等の摩耗を抑制するためのマグネットセパレータの構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に開示されたマグネットセパレータを踏まえても、駆動回転体等の摩耗を抑制するための構造に関しては未だに種々の改善の余地がある。例えば、特許文献1に開示されたマグネットセパレータであっても、駆動回転体等への液体の付着を十分に抑制することができない。
【0008】
そこで、本発明は、液体に含まれる異物による影響を受けにくく、高い耐久性を有するマグネットセパレータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るマグネットセパレータは、磁性体が含まれる液体を貯留する貯留部を有するセパレータ本体と、前記セパレータ本体に設けられたマグネットドラムと、前記セパレータ本体の外部に設けられた駆動部と、を備えている。
【0010】
前記マグネットドラムは、水平方向に延びる第1シャフトと、前記セパレータ本体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記液体に浸漬するように前記第1シャフトに回転可能に支持され、外周面と前記外周面の反対側の内周面とを有する円筒と、前記内周面に対向して設けられ、前記外周面の周方向の一定範囲に前記磁性体が付着可能な磁場領域を形成するマグネットと、前記第1シャフトの中心軸と同一線上に設けられ、前記セパレータ本体の外部に向けて延び、前記円筒とともに回転する第2シャフトと、を有している。前記駆動部は、前記円筒を回転させるために前記セパレータ本体の外部で前記第2シャフトと連結されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体に含まれる異物による影響を受けにくく、高い耐久性を有するマグネットセパレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るマグネットセパレータの概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るマグネットセパレータの概略的な側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るマグネットセパレータの概略的な側面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるIV-IV線に沿うマグネットセパレータの概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、
図4におけるV-V線に沿うマグネットセパレータの概略的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図4におけるVI-VI線に沿うマグネットセパレータの概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、セパレータ本体に形成される流路の概略的な平面図である。
【
図8】
図8は、
図4におけるVIII部を示す概略的な部分拡大図である。
【
図9】
図9は、マグネットセパレータが備えるマグネット調整具を示す概略的な部分側面図である。
【
図10】
図10は、マグネット調整具により調整される前のマグネットの位置を示す模式図である。
【
図11】
図11は、マグネット調整具によるマグネットの調整を説明するための概略的な部分側面図である。
【
図12】
図12は、マグネット調整具による調整後のマグネットの位置を示す模式図である。
【
図13】
図13は、マグネット調整具によるマグネットの調整を説明するための概略的な部分側面図である。
【
図14】
図14は、マグネット調整具による調整後のマグネットの位置を示す模式図である。
【
図15】
図15は、絞りロール調整機構を示す概略的な斜視図である。
【
図16】
図16は、絞りロール調整機構を示す概略的な部分断面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係るマグネットセパレータの概略的な断面図である。
【
図18】
図18は、マグネットセパレータが備えるマグネット調整具の変形例を示す図である。
【
図19】
図19は、マグネットセパレータが備えるマグネット調整具の変形例を示す図である。
【
図20】
図20は、マグネットセパレータが備える絞りロール調整機構の変形例を示す図である。
【
図21】
図21は、カバーが設けられたマグネットセパレータの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、マグネットセパレータの各実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の各実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0014】
各実施形態においては、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。第1方向Xは、水平方向の一例である。第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交するが、90°以外の角度で交差してもよい。第3方向Zの一方側を「上」または「上方」、第3方向Zの他方側を「下」または「下方」と呼ぶ場合がある。
【0015】
[第1実施形態]
本実施形態においては、例えば研摩機のような工作機械から排出される研削液等の液体に含まれる異物のうち主に磁性体を分離したり、除去したりするマグネットセパレータを例示する。当該液体には、水溶性の液体や油性の液体が含まれる。磁性体は、例えば金属粉、砥粒等である。磁性体は、磁力により引き付けられる性質をもつ。
【0016】
図1は、第1実施形態に係るマグネットセパレータ100の概略的な斜視図である。
図2は、第1実施形態に係るマグネットセパレータ100の概略的な側面図である。
図3は、第1実施形態に係るマグネットセパレータ100の概略的な側面図である。
図2はマグネットセパレータ100を第1方向Xから見た側面図であり、
図3はマグネットセパレータ100を第1方向Xの反対方向から見た側面図である。
【0017】
図1に示すようにマグネットセパレータ100は、異物が含まれる液体を貯留する貯留部10aを有するセパレータ本体10と、セパレータ本体10に設けられたマグネットドラム20と、セパレータ本体10の外部に設けられた駆動部30と、掻き板41と、絞りロール51と、一対の絞りロール調整機構52A,52Bと、伝達機構60とを備えている。
【0018】
セパレータ本体10は、上方へ開口する略直方体形状であり、
図1に示す例では第2方向Yの長さが第1方向Xの長さよりも長い。当該開口から液体がセパレータ本体10に投入される。セパレータ本体10は、矩形状の底壁11と、底壁11の一対の辺に接続された側壁12aおよび側壁12bと、底壁11の他の一対の辺に接続された側壁12cおよび側壁12dとを有している。
【0019】
側壁12aおよび側壁12bは、第1方向Xに並び、第2方向Yおよび第3方向Zで規定されるY-Z平面に平行な面を有している。側壁12cおよび側壁12dは、第2方向Yに並び、第1方向Xおよび第3方向Zで規定されるX-Z平面に平行な面を有している。セパレータ本体10の「外部」とは、例えば底壁11および側壁12a~12dに囲われた範囲以外の範囲を含む。
【0020】
セパレータ本体10の大きさは、マグネットドラム20による液体の処理量等により適宜変更することができる。例えば、セパレータ本体10の第1方向Xの長さは、150mm~1500mmである。例えば、セパレータ本体10の第2方向Yの長さは、300mm~1000mmである。例えば、セパレータ本体10の第3方向Zの長さは、150mm~500mmである。
【0021】
側壁12cおよび側壁12dは、例えば底壁11と接続される側の端部が折り曲げられている。側壁12cの第3方向Zの長さは、側壁12dの第3方向Zの長さより長い。セパレータ本体10は、例えばステンレスや鉄等の金属材料で形成される。セパレータ本体10は、例えば、板材を折り曲げること等により形成される。
【0022】
図2および
図3に示すように底壁11は、下方に開口する液体排出口11aを有している。液体排出口11aは、第2方向Yにおいて側壁12d側に設けられている。例えば、マグネットセパレータ100は、異物が分離、除去された液体を液体排出口11aから排出する。
【0023】
マグネットドラム20は、第1方向X(水平方向)に延びる後述の第1シャフト21およびセパレータ本体10の内部に第1シャフト21に回転可能に支持され外周面221を含む円筒22等を有している。駆動部30は、セパレータ本体10の側壁12a側の外部にブラケット33により設けられている。駆動部30は、モータ31と、モータ31に連結された減速機32とを有している。減速機32は、後述する中空の出力部321を有している。
【0024】
駆動部30は、ブラケット33を介して側壁12aと接続されている。ブラケット33は、側壁12aと接続される第1ブラケット331と、減速機32と接続される第2ブラケット332とを有している。第1ブラケット331は、第2ブラケット332とねじ等により接続されている。ブラケット33は、例えばステンレスや鉄等の金属材料で形成される。
【0025】
掻き板41は、第2方向Yにおいて、円筒22よりも側壁12d側に設けられている。掻き板41は、側壁12dの上方に設けられた異物排出口42とねじ等により接続されている。掻き板41の一端は、円筒22の外周面221に対向するように折り曲げられている。異物排出口42は、第2方向Yの反対方向において、マグネットドラム20から離れるにしたがい下方に傾斜している。
【0026】
掻き板41は、円筒22の外周面221に付着した磁性体を含む異物を外周面221から掻き取る。掻き板41で掻き取られた異物は、異物排出口42からセパレータ本体10の外部へ排出される。掻き板41は、例えばステンレスや鉄等の金属材料、ポリウレタンや超高分子量ポリエチレン等の樹脂材料で形成される。掻き板41の形状は、折れ曲がりを有しない平板等の他の形状でもよい。
【0027】
絞りロール51は、セパレータ本体10の上方に設けられている。絞りロール51は、絞りロール51の両側に設けられた一対の絞りロール調整機構52A,52Bを介してセパレータ本体10の側壁12a,12bに支持されている。
【0028】
伝達機構60は、セパレータ本体10の側壁12a側の外部おいて、側壁12aと駆動部30との間に設けられている。伝達機構60は、第1回転体61と、第1回転体61の上方に位置し第1回転体61と噛み合う第2回転体62とを有している。
図3に示すようにマグネットセパレータ100は、セパレータ本体10の側壁12b側の外部にマグネット調整具71を備えている。
【0029】
図4は、
図2におけるIV-IV線に沿うマグネットセパレータ100の概略的な断面図である。
図5は、
図4におけるV-V線に沿うマグネットセパレータ100の概略的な断面図である。
図6は、
図4におけるVI-VI線に沿うマグネットセパレータ100の概略的な断面図である。
図7は、セパレータ本体10に形成される流路80の概略的な平面図である。
図8は、
図4におけるVIII部を示す概略的な部分拡大図である。
【0030】
図4は第2方向Yからマグネットセパレータ100を見た断面図であり、
図5および
図6は第1方向Xからマグネットセパレータ100を見た断面図である。
図7においては、セパレータ本体10やマグネットドラム20等を一部省略している。
【0031】
マグネットドラム20は、第1方向Xに延びる第1シャフト21と、第1方向Xに延びる円筒22と、第1シャフト21に回転可能に支持された円板形状の一対の側板23,24と、を有する。マグネットドラム20を構成する各部品は、マグネット26を除き、例えばステンレス等の非磁性材料から形成される。各部品には、ステンレスや鉄等の金属材料で形成された部品や樹脂成型品が含まれてもよい。
【0032】
図4に示す例において第1シャフト21は、ねじ部211を有する端部21aが側壁12bを貫通している。側壁12bには、例えば第1シャフト21が通る上方に向けて開口する切り欠きが設けられている。端部21aには、セパレータ本体10の外部において第1方向Xの反対方向からマグネット調整具71が取り付けられている。
【0033】
第1シャフト21は、ねじ部211にねじ込まれた固定部材72によりマグネット調整具71とともに側壁12bに支持されている。他の観点からは、第1シャフト21はセパレータ本体10に対して片持ちで支持されている。固定部材72は、例えば六角穴付きボルトであるが、他の種類のボルト等でもよい。
【0034】
円筒22は、外周面221と、外周面221の反対側の内周面222と、円筒22の側壁12a側の端部22aと、円筒22の側壁12b側の端部22bとを有している。円筒22の内部において、端部22aには側板23が設けられ、端部22bには側板24が設けられている。
【0035】
側板23,24の内部には軸受91A,91Bが配置され、第1シャフト21に回転可能に支持されている。
図4に示す例においては、側板24の内部に円筒22の内部への液体の流入を防止するオイルシール92が軸受91Bよりも側壁12b側に配置されている。一対の側板23,24が第1シャフト21に回転可能に支持されているため、円筒22が第1シャフト21に回転可能に支持されているといえる。
図4に示すように一対の側板23,24および円筒22が第1シャフト21の中心軸AXに対して回転する方向を周方向θとする。
【0036】
マグネットドラム20は、円筒22の内部において第1シャフト21に固定された内筒27と、内筒27の外周面271に設けられたマグネット26と、をさらに有している。内筒27は、ヨークとも呼ばれる。内筒27は、第1シャフト21に対して回転しない。
図4および
図6に示すようにマグネット26は、内筒27の外周面271に周方向θに沿って配置された、第1方向Xに延びる複数のマグネットを有している。内筒27の外周面271は、マグネット26が配置される部分と、マグネット26が配置されない部分とを有している。
【0037】
マグネット26は、円筒22の内周面222に対向している。
図6に示すようにマグネット26が円筒22の内周面222に対向する領域において、外周面221には、磁性体が付着可能な磁場領域MAが形成される。磁場領域MAは、外周面221の周方向θにおいて一定範囲に形成される。当該範囲は、適宜変更することができる。磁場領域MAは、例えばマグネット26の磁界の影響を比較的強く受ける領域である。
【0038】
一方、マグネット26が円筒22の内周面222に対向していない領域において、外周面221には、非磁場領域NMAが形成される。非磁場領域NMAは、マグネット26の磁界の影響がほとんどない、もしくは磁場領域MAに比べてマグネット26の磁界の影響が小さい領域である。
図6に示すように掻き板41の先端は、例えば非磁場領域NMAに対向している。
【0039】
マグネット26は、例えば永久磁石である。マグネット26が有する複数のマグネットは、例えばN極とS極が交互に配置される。マグネット26と内周面222の間には、隙間が形成されている。当該隙間は、周方向θにおいて一定でもよいし、一定でなくてもよい。
【0040】
マグネットドラム20は、側板23に設けられ、セパレータ本体10の外部に向けて延びる第2シャフト25をさらに有する。第2シャフト25は、第1シャフト21の中心軸AXに沿って延び、第1シャフト21の中心軸AXと同一線上に設けられている。第2シャフト25は、例えば側板23と一体で形成されている。第2シャフト25は、セパレータ本体10の側壁12a、第2ブラケット332が有する孔部332aを貫通している。側壁12aには、例えば第2シャフト25が通る上方に向けて開口する切り欠きが設けられている。
【0041】
第2シャフト25は、側板23と反対側に入力部251を有している。第2シャフト25は、入力部251において減速機32と連結されている。
図4に示す例において入力部251は、第2ブラケット332よりも側壁12aから離れた位置にある。第2シャフト25の側板23側の端部には、セパレータ本体10の外部に位置する部分より外径の大きい拡径部252が形成されている。
【0042】
側壁12aには、第2シャフト25を支持する円板形状のハウジング93が設けられている。ハウジング93は、ねじ等により着脱可能に側壁12aに取り付けられている。ハウジング93の中央部には、第2シャフト25が挿入される孔部931が第1方向Xに形成されている。
【0043】
孔部931の一部には、第2シャフト25を回転可能に支持するための軸受94と、セパレータ本体10の外部への液体の流出を防止するオイルシール95とが配置されている。オイルシール95、軸受94は、第1方向Xの反対方向において側壁12a側からこの順に並んでいる。ハウジング93は、例えばステンレスや鉄等の金属材料で形成される。
【0044】
駆動部30は、セパレータ本体10の外部で第2シャフト25と連結されている。減速機32は、出力部321を有している。出力部321は、例えば中空軸である。減速機32は、減速機32に接続されたモータ31の駆動力を出力部321へ伝達し、回転軸を中心に出力部321を回転させる機構を有している。出力部321の回転軸は、第1シャフト21の中心軸AXと同一線上に位置している。
【0045】
第2シャフト25の入力部251は、出力部321に挿入されている。入力部251は例えばキー結合等により出力部321と連結され、入力部251は出力部321とともに回転する。入力部251の外周面には、例えばキーを取り付ける凹部が形成されている。
【0046】
モータ31が駆動すると、減速機32の出力部321に挿入された第2シャフト25が回転し、第2シャフト25および側板23,24とともに円筒22が第1シャフト21の中心軸AXに対して回転する。本実施形態において円筒22は、
図4に示すように中心軸AXに対して周方向θに回転する。
【0047】
図4乃至
図7に示すようにマグネットセパレータ100は、セパレータ本体10の内部において、底板13と、一対の仕切り板14A,14Bとをさらに備えている。底板13は、セパレータ本体10の内部に外周面221に沿って、外周面221から間隔をあけて設けられている。
図5乃至
図7に示すように底板13の側壁12c側の端部には、底壁11から底板13に向けて延びる内壁16が接続されている。
【0048】
内壁16は、第2方向Yにおいて側壁12dから側壁12cに向かうにしたがい底壁11に近づくように傾斜している。内壁16は、第1方向Xおよび第3方向Zに平行に設けられてもよい。さらに、
図5および
図7に示すように底板13の側壁12c側の端部には、第3方向Zに向けて延びる一対の内壁17A,17Bが接続されている。図示した例において一対の内壁17A,17Bは、底板13の端部と接続された傾斜する部分と、第1方向Xおよび第3方向Zに平行な部分と、第2方向Yおよび第3方向Zに平行な部分とを有している。
【0049】
底板13および仕切り板14A,14Bは、例えば側壁12aから仕切り板14Aに向けて設けられたサポート、および側壁12bから仕切り板14Bに向けて設けられたサポート等により、セパレータ本体10の内部に支持されている。内壁16は、第1方向Xにおいて側壁12a,12bと接続されている。第1方向Xにおいて、内壁17Aの一端は側壁12aと接続され、内壁17Bの一端は側壁12bと接続されている。
【0050】
底壁11、側壁12a,12b,12c、内壁16および一対の内壁17A,17Bで囲まれる部分には、工作機械から排出された液体が貯留する貯留部10aが含まれる。
図5および
図6において、マグネットセパレータ100の運転中における液面を液面10Lにて示す。
【0051】
さらに、
図4、
図6および
図7に示すように底板13と円筒22の外周面221の間には、貯留部10aから液体が流れる流路80が形成されている。流路80は、上流側である側壁12c側の流入口80aと、下流側である側壁12d側の流出口80bとを有している。
図6において、流路80における底板13と外周面221との間を流れる液体の液面を液面80Lにて示す。
【0052】
図6に示すように円筒22は、例えば外周面221の下部が流路80において液体に浸漬するとともに、外周面221の上部が流路80の液面上に露出するように設けられている。磁場領域MAは、例えば円筒22の外周面221において、液体に浸漬する領域から絞りロール51に対向する領域を含む範囲にわたって形成される。
【0053】
底板13と外周面221の間隔は、流入口80aから流出口80bにおいて、一定で形成されてもよい。底板13と外周面221の間隔は、流入口80aから流出口80bに向かうにしたがい狭くなるように形成されてもよいし、流入口80aから流出口80bに向かうにしたがい広くなるように形成されてもよい。底板13と外周面221の間隔は、流路80に沿って広い部分や狭い部分を設けてもよい。また、底板13と外周面221の間隔は、例えば
図4に示すように第1方向Xにおいて一定である。
【0054】
図4に示すように一対の仕切り板14A,14Bは底板13に設けられている。仕切り板14Aは側板23と側壁12aの間に位置し、仕切り板14Bは側板24と側壁12bの間に位置している。一対の仕切り板14A,14Bは、底板13から中心軸AXに向けて延びている。
図5に示すように仕切り板14Aは、例えば底板13に沿う円弧を含む形状であり、第2シャフト25を通すために上方に向けて開口する切り欠き141を有している。
【0055】
切り欠き141は、例えば、第2シャフト25の拡径部252の外周面に沿う円弧を含む形状である。切り欠き141は、例えば運転中の液面10Lよりも上方に設けられている。切り欠き141の縁141aは、運転中の液面10Lよりも高い位置に位置している。
【0056】
図4に示すように仕切り板14Bにおいても、第1シャフト21を通すために上方に向けて開口する切り欠き142を有している。切り欠き142は、例えば、第1シャフト21の外周面に沿う円弧を含む形状であり、運転中の液面10Lよりも上方に設けられている。そのため、マグネットセパレータ100の運転中においては、切り欠き141,142より液体が流出しにくい。
【0057】
底壁11と底板13の間、側壁12aと仕切り板14Aの間、および側壁12bと仕切り板14Bの間には、排出部10bが形成されている。排出部10bには、異物が分離、除去された液体が主に流路80の流出口80bから流入する。一対の内壁17A,17Bは、液体が貯留部10aから排出部10bに流入するのを防止している。
【0058】
図4に示すようにマグネットセパレータ100は、底板13と外周面221の間に設けられた整流板15A~15Dをさらに備えている。整流板15A~15Dは、外周面221に対向する面151をそれぞれ有している。整流板15A,15Bは円筒22の端部22a側に位置し、第1方向Xにおいて、整流板15B、整流板15Aの順に並んでいる。整流板15C,15Dは、円筒22の端部22b側に位置し、第1方向Xにおいて、整流板15C、整流板15Dの順に並んでいる。
【0059】
整流板15A,15Bおよび仕切り板14Aは互いに接触しており、整流板15C,15Dおよび仕切り板14Bは互いに接触している。整流板15A,15Bが有する面151は円筒22の端部22aに位置する外周面221に対向し、整流板15C,15Dが有する面151は円筒22の端部22bに位置する外周面221に対向している。整流板15A~15Dは、同一の形状である。
【0060】
図6に示すよう整流板15Cの面151は外周面221に沿う湾曲した形状である。また、面151は第1方向Xに延びている。整流板15Cは、面151と反対側において底板13に沿う面と、底板13よりも側壁12d側に位置する端部とを有している。整流板15A~15Dは、第2方向Yにおいて、円筒22の外周面221が液体に浸漬する範囲を含むように延びている。整流板15A~15Dは、例えば、
図4に示すように第1方向Xおよび第3方向Zにおいてマグネット26と重ならない。
【0061】
図8を用いて円筒22の端部22a側に形成される各隙間について説明するが、円筒22の端部22b側も同様である。仕切り板14Aと側板23の間に形成される隙間G1は小さく、隙間G1において簡易的なラビリンス構造を形成している。隙間G1は、例えば第3方向Zに一定の間隔で形成される。
【0062】
例えば仕切り板14Aと側板23の間に形成される隙間G1は、仕切り板14Aと側壁12aの間に形成される隙間G2より小さい。例えば、隙間G1は、1~2mmであることが好ましい。より好ましくは、隙間G1は1~1.5mmである。このような隙間G1を形成することで、隙間G1を液体が通過する際の抵抗を大きくすることができる。
【0063】
円筒22の外周面221と整流板15A,15Bの各面151の間には、隙間G3が形成される。隙間G3は、例えば第1方向Xに沿って一定の間隔で形成される。隙間G3は、流路80の第1方向Xの中央部における底板13と円筒22の外周面221との間隔よりも小さい。例えば、隙間G3は、1~2mmであることが好ましい。より好ましくは、隙間G3は1~1.5mmである。そのため、流路80を流れる液体や液体に含まれる異物は、流路80から隙間G3へ流入しにくい。
【0064】
例えば、隙間G3は、隙間G1と同等か隙間G1より小さい(G1≧G3)。隙間G1,G3は、隙間G2より小さい(G2>G1≧G3)。例えば、隙間G1が隙間G3より小さい場合、隙間G3に流入した液体や液体に含まれる異物は、隙間G1へ流入しにくい。
【0065】
図4に示すようにマグネットセパレータ100は、マグネットドラム20の上方に円筒22に平行に設けられた第3シャフト53と、第3シャフト53に設けられた絞りロール51と、絞りロール51の両側において、第3シャフト53に設けられた一対の絞りロール調整機構52A,52Bと、をさらに備えている。絞りロール51は、円筒22の外周面221に付着した磁性体に含まれる液体を絞ることができる。一対の絞りロール調整機構52A,52Bにより、第1シャフト21と第3シャフト53の距離を調整することができる。
【0066】
図5および
図6に示すように、絞りロール51は、円筒22の外周面221の上部において側壁12c側に設けられている。一対の絞りロール調整機構52A,52Bは、第3シャフト53を回転可能に支持している。第3シャフト53が一対の絞りロール調整機構52A,52Bにより回転可能に支持されているため、絞りロール51が回転可能に支持されているといえる。絞りロール51の外周面511は、例えば硬質のゴム等で形成される。
【0067】
図5および
図6に示す例においては、絞りロール51の外周面511は円筒22の外周面221に接している。この場合、絞りロール51の外周面511は、一対の絞りロール調整機構52A,52Bにより円筒22の外周面221に対して所定の圧力で接している。
【0068】
図4に示すように、第2シャフト25には、セパレータ本体10の外部において側壁12aと第2ブラケット332の間に第1回転体61が設けられている。第1回転体61は、例えばスプロケットである。第1回転体61の中心軸は、第1シャフト21の中心軸AXと同一線上に位置している。
【0069】
第2シャフト25は、第1回転体61を第1方向Xに貫通する孔部611に挿入され、孔部611において固定されている。そのため、第1回転体61は、第2シャフト25とともに回転する。第1回転体61は、一例としてキー結合等により第2シャフト25に固定されている。孔部611の内周面や第2シャフト25の外周面には、キーを取り付ける凹部がそれぞれ形成されている。
【0070】
第3シャフト53には、第1方向Xの反対方向において、絞りロール調整機構52Aよりも絞りロール51から離れた位置に第2回転体62が設けられている。
図4において、第2回転体62は、第1回転体61の上方に位置している。第2回転体62は、例えば第1回転体61が有する歯612と噛み合うローラチェーン621が外周面に設けられた円板形状の部材である。第2回転体62の中心軸は、第3シャフト53の中心軸と同一線上に位置している。
【0071】
第3シャフト53は、第2回転体62を第1方向Xに貫通する孔部に挿入され、当該孔部において固定されている。そのため、第2回転体62は、第3シャフト53とともに回転する。第2回転体62は、第1回転体61と同様、一例としてキー結合等により第3シャフト53に固定されている。
【0072】
伝達機構60は、第2シャフト25の回転を第3シャフト53に伝達する。すなわち、第2シャフト25に接続された第1回転体61が回転すると、その回転駆動力を第1回転体61の歯612と噛み合うローラチェーン621を有する第2回転体62へ伝達し、第2回転体62とともに第3シャフト53が回転する。そして、第3シャフト53とともに絞りロール51が回転する。本実施形態において絞りロール51は、円筒22の回転方向である周方向θの反対方向に回転する。
【0073】
図6に示すように掻き板41は、例えば円筒22の外周面221の接線方向において、円筒22の周方向θとは反対方向から外周面221に対向している。掻き板41の先端は、第1シャフト21の中心軸AXに沿って延びている。掻き板41は、例えば円筒22の略全幅にわたって設けられている。
図6に示す例において掻き板41の先端は円筒22の外周面221に接している。
【0074】
次に
図6を用いてマグネットセパレータ100における液体の流れを説明する。まず、工作機械から排出された液体は、セパレータ本体10の上方から投入され貯留部10aで一時的に貯留される。貯留部10aに貯留された液体は、流入口80aから流路80に流入し、円筒22の外周面221に沿って流路80を移動する。
【0075】
磁場領域MAが円筒22の外周面221のうち液体に浸漬する領域に形成されているため、液体が有する磁性体を含む異物は流路80を通過する際に円筒22の外周面221に付着する。円筒22は、流路80を流れる液体の流れ方向の反対方向、つまり周方向θに回転している。外周面221に付着した異物は、掻き板41で掻き取られる前に絞りロール51により液体が絞られる。
【0076】
絞りロール51により液体が絞られた異物は、外周面221から掻き板41で掻き取られ、異物排出口42からセパレータ本体10の外部へ排出される。一方、流路80を通過し異物が分離、除去された液体は、流出口80bから底壁11へ向け排出部10bを通り、液体排出口11aからセパレータ本体10の外部(例えば、クリーンタンク)へ排出される。
【0077】
図7に示すように第1方向X(水平方向)において、流出口80bの幅Wbは、一対の内壁17A,17Bの間の流入口80aの幅Waより大きく形成されている。また、流出口80bの幅Wbは、貯留部10aの幅Wcより小さい。つまり、貯留部10aの幅Wc、流出口80bの幅Wb、流入口80aの幅Waは、この順で小さくなっている(Wc>Wb>Wa)。
【0078】
例えば、流入口80aの幅Waを貯留部10aの幅Wcより小さくすることで、貯留部10aから液体が流入する第1方向Xの長さである流入幅を調整することができる。流入幅を調整することで、円筒22の外周面221のうち磁力が有効な部分に液体を流し、効率的に磁性体を外周面221に付着させることができる。また、本実施形態においては、内壁16が傾斜しているため、液体が貯留部10aから流路80へ流れやすい。
【0079】
図9は、マグネットセパレータ100が備えるマグネット調整具71を示す概略的な部分側面図である。
図10は、マグネット調整具71により調整される前のマグネット26の位置を示す模式図である。
図10は、例えば製造時(出荷時)のマグネット26の位置である。
【0080】
図9に示すようにマグネット調整具71は、例えばステンレスや鉄等の金属材料により形成された矩形状の板材である。
図4を用いて説明したようにマグネット調整具71は、第1シャフト21の端部21aに取り付けられている。そのため、マグネット調整具71を回すと、第1シャフト21を回すことができる。
【0081】
マグネット26は第1シャフト21に固定された内筒27の外周面271に配置されているため、マグネット調整具71とともに第1シャフト21を回すことで、中心軸AXに対するマグネット26の位置を周方向θに調整することができる。他の観点からは、マグネット調整具71により第1シャフト21を回すことで外周面221に形成される磁場領域MAの位置を周方向θに調整し、絞りロール51や掻き板41の先端に対する磁場領域MAおよび非磁場領域NMAの位置を調整することができる。
【0082】
第1シャフト21の端部21aは、マグネット調整具71を回した際に第1シャフト21がマグネット調整具71とともに回るように接続されている。
図10に示す例において第1シャフト21の端部21aは、例えば第1方向Xの反対方向からみてD形状であり、面212を有している。
【0083】
マグネット調整具71は、端部21aと嵌合する同一形状の孔部を有している。端部21aの形状は、上述の例に限られず、他の形状でもよい。また、マグネット調整具71が第1シャフト21とともに回るのであれば、マグネット調整具71は第1シャフト21に接着やねじ止め等の他の方法で取り付けられてもよい。
【0084】
図示した例においてマグネット調整具71は、側壁12bと対向する面と反対側の面に印M1を有している。印M1は、例えば調整可能な範囲を示す目盛りである。印M1は、側壁12d側の端部に形成されている。
【0085】
側壁12bは、第2方向Yにおいて印M1と向きあう位置に印M2を有している。印M2は、第2方向Yに沿って形成されている。例えば、印M1は印M2よりも第3方向Zの幅が大きい。印M1および印M2が形成される位置は、上述の例に限られない。
図9に示す例において印M2は、第3方向Zにおいて印M1のおよそ中央部を指している。
【0086】
図11および
図13は、マグネット調整具71によるマグネット26の調整を説明する
ための概略的な部分側面図である。
図12および
図14は、マグネット調整具71による調整後のマグネット26の位置を示す模式図である。マグネット調整具71によるマグネット26の位置の調整は、以下の手順で行われる。
【0087】
まず、第1シャフト21の端部21aに固定された固定部材72を緩める。次に、
図11および
図13に示すようにマグネット調整具71を工具Tで回し、マグネット26を所望の位置に移動させる。マグネット26の調整可能な範囲は、一例としては中心軸AXに対して
図9に示した状態からおよそ-5度~+5度の範囲である。
【0088】
工具Tはスパナ等のようにマグネット調整具71の側面を保持できるものが好ましい。また、マグネット調整具71は工具T等により保持できる形状であれば矩形状に限られず、他の形状でもよい。マグネット26を移動させた後、最後に固定部材72を締めて第1シャフト21とマグネット調整具71をセパレータ本体10に固定する。
【0089】
図11に示す例においては、マグネット調整具71が工具Tにより矢印F1で示す方向に回されている。このとき、印M2は、第3方向Zにおいて印M1の下方を指している。この場合、
図12に示すようにマグネット26は、第1シャフト21および内筒27とともに、矢印F2で示す周方向θの反対方向に移動する。マグネット26を移動させると、外周面221に形成された磁場領域MAおよび非磁場領域NMAも同じ方向に移動する。
【0090】
図13に示す例においては、マグネット調整具71が工具Tにより矢印F1で示す方向に回されている。当該方向は、
図11に示す例とは反対方向である。このとき、印M2は、第3方向Zにおいて印M1の上方を指している。この場合、
図14に示すようにマグネット26は、第1シャフト21および内筒27とともに、矢印F2で示す周方向θに移動する。マグネット26を移動させると、外周面221に形成された磁場領域MAおよび非磁場領域NMAも同じ方向に移動する。
【0091】
マグネット調整具71はセパレータ本体10の外部に設けられているため、マグネットドラム20等をセパレータ本体10から取り外すことなく、マグネット26の位置をセパレータ本体10の外部から調整することができる。
【0092】
図15は、絞りロール調整機構52Aを示す概略的な斜視図である。
図16は、絞りロール調整機構52Aを示す概略的な部分断面図である。
図15および
図16においては、絞りロール調整機構52Aについて説明するが、絞りロール調整機構52Bも同様の構成を有する。
【0093】
図15および
図16に示すように絞りロール調整機構52Aは、取付プレート54と、第1ばね受け55と、第2ばね受け56と、引張りコイルばね57と、調整部58とを有している。取付プレート54、第1ばね受け55、第2ばね受け56および調整部58は、ステンレスや鉄等の金属材料、樹脂材料等により形成される。
【0094】
取付プレート54は、第3シャフト53が通るための上方に向けて開口する切り欠き54aを有している。絞りロール調整機構52Aは、取付プレート54を介してねじ等により着脱可能に側壁12aの上方に取り付けられている。
【0095】
第1ばね受け55は、円筒形状に形成されている。第1ばね受け55の中央部には、第3シャフト53が挿入される孔部551が軸方向に形成されている。孔部551の一部には、第3シャフト53を回転可能に支持するための軸受96が配置されている。第1ばね受け55の外周面には、引張りコイルばね57を巻き付けるばね受け溝552と、第2ばね受け56と嵌合するガイド溝553とが形成されている。ばね受け溝552、ガイド溝553は、第1ばね受け55の軸方向において、取付プレート54側からこの順に並んでいる。
【0096】
第2ばね受け56は、取付プレート54に対向する第1部分561と、第1部分561の上端部に接続された第2部分562と、を有している。第2部分562は、例えば第1部分561の上端部が取付プレート54に向けて略直角に折り曲げられている。第2部分562は、第1ばね受け55のばね受け溝552を上方から覆っている。
【0097】
第1部分561には、下方に開口する切り欠き561aが形成されている。
図15および
図16に示す例において第1ばね受け55のガイド溝553には、第2ばね受け56の切り欠き561aの縁が摺動可能に嵌合している。
【0098】
第1部分561の下端部には、互いに対向するように取付プレート54側に折り曲げられた一対の引掛け部563,564が形成されている。一対の引掛け部563,564は、孔部563a,564aをそれぞれ有している。孔部563a,564aは、例えば円形状や、矩形状である。
【0099】
引張りコイルばね57は、弾性変形可能なコイル部571と、コイル部571の両端に形成された一対のフック部572,573とを有している。コイル部57は、第1ばね受け55の上方からばね受け溝552に巻き付けられている。一対のフック部572,573は、一対の引掛け部563,564が有する孔部563a,564aにそれぞれ取り付けられている。第2部分562の上面には、他の部分よりも上方に突出する接触部565を有している。
【0100】
引張りコイルばね57は、コイル部571が第1ばね受け55に沿って円弧状に巻き付けられた状態で第1ばね受け55と第2ばね受け56との間に架け渡されている。引張りコイルばね57は、弾性力により第1ばね受け55を第2ばね受け56が有する一対の引掛け部563,563に近づく方向に付勢している。
【0101】
調整部58は、取付プレート54に取り付けられる第1部分581と、第1部分561の上端部に接続された第2部分582と、第2部分582の中央部に設けられた調整ナット583と、調整ボルト584とを有している。第1部分581は、ねじ等により取付プレート54の側壁12a側の面の上方に着脱可能に取り付けられている。
【0102】
調整部58の第2部分582は、例えば第1部分581の上端部が第2ばね受け56の第2部分562に対向するように略直角に折り曲げられている。調整ボルト584は、例えば六角穴付きボルト、十字穴付き六角ボルト等である。
【0103】
図15および
図16に示すように第2ばね受けの第2部分562は、調整部58の第2部分582に対しておおよそ平行に設けられている。調整ボルト584は、第2部分582の上面に設けられた調整ナット583に対して上方からねじ込まれ、第2部分582が有する孔部582aを貫通している。
【0104】
調整ボルト584の先端584aは、第2ばね受け56の接触部565に接している。調整ナット583に対して調整ボルト584をねじ込むことで、先端584aで第2ばね受け56を下方に向けて押すことができる。
【0105】
例えば、調整ボルト584が下方に移動するように調整ナット583に対して回されると、第2ばね受け56は第2部分582から離れる方向に移動し、一対の引掛け部563,564に取り付けられたフック部572,573が引っ張られ、コイル部571がばね受け溝552を介して第1ばね受け55を押す。第1ばね受け55が押されると、第1ばね受け55に接続された第3シャフト53とともに絞りロール51が円筒22の外周面221に近づく方向に移動する。
【0106】
他の観点からは、引張りコイルばね57は、第1ばね受け55を介して第3シャフト53とともに絞りロール51を円筒22の外周面221に押し付ける方向に付勢している。例えば、絞りロール51が円筒22の外周面221に所定の圧力で接している場合、調整ボルト584を下方に移動するように回すと当該圧力を大きくすることができる。
【0107】
一方、調整ボルト584が上方に移動するように調整ナット583に対して回されると、第2ばね受け56は第2部分582に近づく方向に移動し、コイル部571がばね受け溝552を介して第1ばね受け55を押す力が小さくなる。第1ばね受け55を押す力が小さくなると、第1ばね受け55に接続された第3シャフト53とともに絞りロール51は円筒22の外周面221から離れる方向に移動する。例えば、絞りロール51が円筒22の外周面221に所定の圧力で接している場合、調整ボルト584を上方に移動するように回すと当該圧力を小さくすることができる。
【0108】
すなわち、調整ボルト584の調整ナット583に対するねじ込み量を調整することで、第3シャフト53とともに絞りロール51が円筒22の外周面221に近づく方向や円筒22の外周面221から離れる方向に移動するため、第3シャフト53を第1シャフト21に対して近づけたり、離れたりする方向に調整することができる。
【0109】
以上説明した本実施形態によれば、液体に含まれる磁性体等の異物による影響を受けにくく、高い耐久性を有するマグネットセパレータ100を提供することができる。つまり、本実施形態においては、円筒22を回転させる第2シャフト25をセパレータ本体10の外部に向けて延ばし、セパレータ本体10の外部で駆動部30と第2シャフト25とが連結されているため、駆動部30は液体や液体に含まれる磁性体等の異物による影響を受けにくい。
【0110】
仕切り板14A,14Bおよび整流板15A~15Dにより
図8を用いて説明した隙間G1,G3を形成することで、流路80を流れる液体や液体に含まれる異物は、流路80から隙間G1,G3へ流入しにくい。仕切り板14A,14Bは
図4および
図5を用いて説明した切り欠き141,142を有するため、マグネットセパレータ100の運転中において、仕切り板14A,14Bを越え隙間G2へ流入する液体がほとんどない。
【0111】
さらに、一対の内壁17A,17Bにより液体の貯留部10aから排出部10bへの流入は、防止されている。流出口80b以外からは排出部10bへの液体の流入がほとんどないため、排出部10bにおける液体の液面は、第1シャフト21、第2シャフト25およびハウジング93の位置まで上昇しにくい。
【0112】
排出部10bにおける液体の液面の上昇が抑制されているため、第1シャフト21、第2シャフト25およびハウジング93は液体に接液しにくく、異物等によるオイルシール92,95等の摩耗が抑制されている。したがって、マグネットセパレータ100の耐久性は液体や異物の影響により低下しにくい。そのため、円筒22の内部への液体の流入、およびハウジング93等からセパレータ本体10の外部への液体の流出が発生しにくい。
【0113】
本実施形態であれば、セパレータ本体10の外部に設けられた駆動部30に第2シャフト25の入力部251が直結しているため、円筒22を回転させるスプロケットや駆動チェーン等を設ける必要がない。そのため、マグネットセパレータ100を構成する部品点数を削減できるだけでなく、メンテナンス等における作業時間を短縮できる。
【0114】
絞りロール51を回転させるための伝達機構60がセパレータ本体10の外部に配置されているため、第1回転体61や第2回転体62にはセパレータ本体10の内部の液体が付着しにくく、液体や異物等による影響が抑制されている。さらに、マグネットドラム20を取り外すことなく伝達機構60が有する第1回転体61や第2回転体62の交換等を行うことができる。
【0115】
本実施形態においては、駆動部30が有するモータ31の出力部(図示しない)は、減速機32の出力部321および第2シャフト25と交差する方向に延びている。そのため、このような構造を有する駆動部30であれば、マグネットセパレータ100の第1方向Xにおける大きさを小さくできる。
【0116】
本実施形態においては、絞りロール調整機構52A,52Bがセパレータ本体10の上方に設けられているため、円筒22に対する絞りロール51の調整をセパレータ本体10の上方から行うことができる。調整ボルト584が絞りロール調整機構52A,52Bの上方に設けられているため、マグネットセパレータ100の側方や下方に作業スペースを確保できない場合でも、上方から工具等を使用することで調整ボルト584によるねじ込み量の調整を容易に行うことができる。
【0117】
本実施形態のようなマグネットセパレータ100であれば、部品交換や絞りロール51の調整等の必要な作業をセパレータ本体10の外部から行うことができる。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0118】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
図17は、第2実施形態に係るマグネットセパレータ100の概略的な断面図である。第2実施形態のマグネットセパレータ100は、カップリングを備える点で第1実施形態とは相違する。
【0119】
マグネットセパレータ100は、セパレータ本体10の外部にカップリング34を備えている。カップリング34は、第2シャフト25と後述の第4シャフト35とを連結する。
図17に示す例において、カップリング34は、第1方向Xにおいて、減速機32と第1回転体61との間に位置している。カップリング34は、例えばフレキシブルカップリングである。
【0120】
カップリング34は円筒形状であり、接続部341,342と、接続部341と接続部342との間に設けられた連結部343とを備えている。一例として、接続部341,342は、金属材料で形成され、連結部343は樹脂材料で形成されている。接続部341,342は、第2シャフト25,第4シャフト35が挿入される孔部をそれぞれ有している。
【0121】
駆動部30は、減速機32の出力部321に連結された第4シャフト35を有している。第4シャフト35は出力部321に挿入されており、第4シャフト35の軸は、出力部321の回転軸と一致する。カップリング34および第4シャフト35の軸は、第1シャフト21の中心軸AXと同一線上に位置している。第4シャフト35は、一例としてキー結合等により出力部321に固定されている。減速機32の出力部321やマグネットセパレータ100を駆動させるために必要なトルク等に応じて、第4シャフト35の長さおよび軸径は適宜変更することができる。
【0122】
図17に示す例においては、第2シャフト25の一端が接続部341に挿入され、第4シャフト35の一端が接続部342に挿入されている。第2シャフト25の一端は、例えば
図4を用いて説明した入力部251に相当する。接続部341と接続部342とは、連結部343により連結されている。第1シャフト21および第2シャフト25と接続部341,342とは、種々の方法で連結される。ブラケット33の形状は、カップリング34の形状等に応じて適宜変更することができる。
【0123】
セパレータ本体10の外部において、駆動部30の第4シャフト35がカップリング34を介して第2シャフト25と連結されている。モータ31が駆動すると、減速機32の出力部321に挿入された第4シャフト35が回転し、カップリング34を介して第4シャフト35の回転が第2シャフト25に伝達される。
【0124】
第2実施形態のマグネットセパレータ100の構成においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態のマグネットセパレータ100であれば、第2シャフト25に対する第4シャフト35の偏心および偏角等の誤差をカップリング34により吸収することができる。これにより、マグネットセパレータ100の組立性および信頼性を向上させることができる。
【0125】
上述の各実施形態に係るマグネットセパレータ100の構成は、それぞれ一例にすぎない。
マグネット調整具71について、以下に変形例を示す。
図18および
図19は、マグネットセパレータ100が備えるマグネット調整具71の変形例を示す図である。
図18および
図19に示すように第1シャフト21の端部21aには、面213と、面213に間隔をあけて対向する面214とが形成されている。他の観点からは、端部21aは、面213と面214とにより2面幅を有するように形成されている。
【0126】
図18および
図19に示すようにマグネット調整具71は、矩形状の板材である。マグネット調整具71は、側壁12bに対向する面711と、面711に間隔をあけて対向する面712と、面711と面712とを接続する上面713とを有している。
【0127】
マグネット調整具71は、孔部71aと、孔部71aの第2方向Yの両側に設けられた一対の孔部71bと、上面713に設けられた孔部71cとをさらに有している。孔部71aおよび一対の孔部71bは、面711と面712とを貫通している。孔部71cは、上面713と孔部71aとを貫通しており、内周面がねじ加工されている。
【0128】
孔部71aは端部21aが嵌合可能な形状であり、
図19に示すように面213に対向する面711aと面214に対向する面711bとを有している。孔部71bは、孔部71aを中心とする円弧状に形成された長孔である。孔部71bの孔部71aを中心とする円周方向の幅は、マグネット26の調整可能な範囲に応じて適宜変更することができる。
【0129】
図18に示すように、マグネット調整具71は、孔部71bにそれぞれ設けられた固定部材73により側壁12bに固定される。固定部材73は、例えば六角穴付きボルトであるが、他の種類のボルト等でもよい。
図19に示すように、マグネット調整具71は、孔部71cに設けられた固定部材74により面213を締め付けることで、第1シャフト21に固定される。固定部材74は、例えば六角穴付き止めねじである。
【0130】
このように、端部21aにマグネット調整具71を固定した状態で、マグネット調整具71を側壁12bに固定することで、第1シャフト21がセパレータ本体10に対して片持ちで支持されている。
【0131】
マグネット調整具71によるマグネット26の位置の調整は、
図11乃至
図14を用いて説明した手順と同様の手順で行われる。
図18および
図19に示すマグネット調整具71においては、固定部材73をそれぞれ緩めることでマグネット26の調整を開始することができる。
図18および
図19に示した例においては、マグネット26の調整範囲が一対の孔部71bにより規制されているため、マグネット26の調整がより行いやすい。
【0132】
絞りロール調整機構52A,52Bについて、以下に変形例を示す。
図20は、マグネットセパレータ100が備える絞りロール調整機構52Aの変形例を示す図である。
図20においては、絞りロール調整機構52Aについて説明するが、絞りロール調整機構52Bにおいても同様に適用することができる。
【0133】
図20に示す例において絞りロール調整機構52Aは、一対のガイド59をさらに有している。一対のガイド59は、調整ボルト584が移動する方向と交差する方向(例えば、左右方向)に第2ばね受け56が動くことを抑制する。一対のガイド59は、第2ばね受け56を挟むように取付プレート54の両端に設けられている。
【0134】
一対のガイド59は、例えば取付プレート54と一体で形成される。一対のガイド59は、取付プレート54と接続された一端と反対側の他端から互いに対向する突出部591をそれぞれ有している。一対のガイド59は、後述のカバーを取り付けるための取付孔59aをさらに有してもよい。取付孔59aは、例えば内周面がねじ加工されている。
【0135】
一対のガイド59により第2ばね受け56の動きが抑制されるため、調整ボルト584による絞りロール51の調整が行いやすくなる。さらに、第2ばね受け56の動きが抑制されることで、
図15を用いて説明した第2部分562の上面に設けられた接触部565を設けなくてもよい。
【0136】
マグネットセパレータ100は、カバーをさらに備えてもよい。
図21は、カバーCが設けられたマグネットセパレータ100の概略的な斜視図である。マグネットセパレータ100は、着脱可能に設けられたカバーCをさらに備えている。カバーCは、マグネットセパレータ100のマグネットドラム20、絞りロール51および伝達機構60等の回転する部材を主に覆っている。
【0137】
カバーCは、マグネットドラム20および絞りロール51を覆うカバーC1と、絞りロール調整機構52A,52Bを覆うカバーC21,C22と、第2シャフト25および第2実施形態のカップリング34を覆うカバーC31,C32とを有している。伝達機構60において、第1回転体61は主にカバーC31,C32に覆われ、第2回転体62は主にカバーC21に覆われている。
【0138】
カバーC1は、例えばセパレータ本体10に固定されている。カバーC21,C22は、例えば絞りロール調整機構52A,52Bに固定されている。カバーC31,C32は、例えばブラケット33に固定されている。カバーCを設けることで、マグネットセパレータ100の運転中における騒音の発生を抑制することができる。さらに、カバーCが回転する部材を全て覆うので、マグネットセパレータ100はより安全になる。
図20に示すように調整部58の第1部分581を取付プレート54よりも引張りコイルばね57側に設けることで、カバーC21,C22の着脱が行いやすくなる。
【0139】
図18乃至
図21を用いて説明したマグネット調整具71、絞りロール調整機構52A,52BおよびカバーCは、上述の各実施形態においてそれぞれ適用することができる。
【0140】
なお、各実施形態において、セパレータ本体10は第2方向Yの長さが第1方向Xの長さよりも長い例を示したが、第1方向Xの長さが第2方向Yの長さよりも長くてもよいし、第1方向Xの長さと第2方向Yの長さとが等しくてもよい。
【0141】
なお、駆動部30は、セパレータ本体10の側壁12a側の外部に設けられていたが、側壁12b側の外部に設けられてもよい。この場合、ブラケット33および伝達機構60は側壁12b側に設けられ、マグネット調整具71は側壁12a側に設けられる。駆動部30は一例にすぎず、例えば減速機32は中実の出力部でもよい。
【0142】
セパレータ本体10は、バッフルプレートをさらに備えてもよい。バッフルプレートは、例えばセパレータ本体10において第2方向Yの中央部近傍に側壁12aから側壁12bに向けて設けられる。液体が貯留部10aに投入される前に液体がバッフルプレートに衝突することで投入される液体の勢いを抑制するだけでなく、液体が貯留部10aに貯留されず円筒22に直接衝突することを防止できる。また、液体を貯留部10aから流路80に所定の流速で流入させることで円筒22の外周面221に磁性体を含む異物を効率的に付着させることができる。
【0143】
本実施形態において隙間G3は、例えば第1シャフト21に沿って一定の間隔で形成されているが、当該間隔は一定でなくてもよく、円筒22の中央部から端部22a,22bに向けて間隔を大きくしてもよいし、小さくしてもよい。整流板15A~15Dの枚数は、端部22a,22bにおいて、1枚でもよいし、3枚以上でもよい。また、整流板15A~15Dの第1方向Xにおける幅は、それぞれ異なってもよい。
【0144】
第2ばね受け56には、一対の引掛け部563,564の代わりに第1部分561の下端部に取付プレート54に向けて突出するボルト等を有してもよい。この場合、一対のフック部572,573は、当該ボルト等に取り付けられる。
【0145】
一対の絞りロール調整機構52A,52Bは、調整ボルト584のねじ込み量を把握するために調整部58等に目盛りを設けてもよい。また、調整ボルト584のねじ込み量を把握するために調整ボルト584のねじ部に着色した印等を設けてもよい。
【符号の説明】
【0146】
100…マグネットセパレータ、10…セパレータ本体、10a…貯留部、11…底壁、12a~12d…側壁、13…底板、14A,14B…仕切り板、15A~15D…整流板、20…マグネットドラム、21…第1シャフト、22…円筒、221…外周面、222…内周面、23,24…側板、25…第2シャフト、26…マグネット、30…駆動部、34…カップリング、35…第4シャフト、51…絞りロール、52A,52B…絞りロール調整機構、53…第3シャフト、60…伝達機構、71…マグネット調整具、80…流路、80a…流入口、80b…流出口、AX…中心軸、MA…磁場領域。
【要約】
【課題】 液体に含まれる異物による影響を受けにくく、高い耐久性を有するマグネットセパレータを提供する。
【解決手段】 本発明の一態様に係るマグネットセパレータは、磁性体が含まれる液体を貯留する貯留部を有するセパレータ本体と、前記セパレータ本体に設けられたマグネットドラムと、前記セパレータ本体の外部に設けられた駆動部と、を備えている。前記マグネットドラムは、水平方向に延びる第1シャフトと、前記セパレータ本体の内部に設けられ、少なくとも一部が前記液体に浸漬するように前記第1シャフトに回転可能に支持され外周面と前記外周面の反対側の内周面とを有する円筒と、前記内周面に対向して設けられ前記外周面の周方向の一定範囲に前記磁性体が付着可能な磁場領域を形成するマグネットと、前記第1シャフトの中心軸と同一線上に設けられ前記セパレータ本体の外部に向けて延び、前記円筒とともに回転する第2シャフトと、を有している。
【選択図】
図1