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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20220329BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220329BHJP
   B65G 1/00 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
B61B13/00 A
G05D1/02 H
B65G1/00 501C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018039618
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019151292
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】則座 真史
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-76683(JP,A)
【文献】実開昭63-45377(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0182924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
G05D 1/02
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔の設けられた平板と、
前記平板を移動させる移動部と
を備え、
前記移動部は、
前記平板を基準位置に移動させる基準モードと、
前記平板の前記貫通孔を貫通する貫通モードと、
前記平板の前記貫通孔を貫通することなく前記平板を前記基準位置から移動位置に移動させる移動モードと
の間で切り替わる、搬送車。
【請求項2】
前記移動部は、
前記平板の前記貫通孔を貫通可能な先端部と、
前記先端部に装着され、前記移動部の前記先端部が前記貫通孔を貫通することを抑制する貫通抑制部材と
を含む、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記移動モードにおいて、前記移動部は前記貫通抑制部材とともに前記平板を移動させる、請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記移動部は、前記平板の前記貫通孔よりも大きい径を有する鍔部を有する、請求項1から3のいずれかに記載の搬送車。
【請求項5】
前記移動部は2つである、請求項1から4のいずれかに記載の搬送車。
【請求項6】
前記平板の設置される筐体と、
前記筐体の一方の端部に設けられた第1操作部と、
前記筐体の他方の端部に設けられた第2操作部と
をさらに備える、請求項1から5のいずれかに記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の搬送はしばしば搬送車によって行われる。例えば、工場内では、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)を走行させて荷物の搬送が行われる。
【0003】
無人搬送車で専用台車を牽引することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の無人搬送車は、無人搬送車の牽引ピンを専用台車の牽引用フラップに突き当てることによって無人搬送車で専用台車を牽引する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-114307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の無人搬送車は、専用台車の牽引しかできず、他の用途に適用できなかった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は複数の用途に適用可能な搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な搬送車は、平板と、移動部とを備える。前記平板には貫通孔が設けられる。前記移動部は、前記平板を移動させる。前記移動部は、前記平板を基準位置に移動させる基準モードと、前記平板の前記貫通孔を貫通する貫通モードと、前記平板の前記貫通孔を貫通することなく前記平板を前記基準位置から移動位置に移動させる移動モードとの間で切り替わる。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、搬送車を複数の用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の搬送車の模式的な斜視図である。
図2図2は、本実施形態の搬送車の別の模式的な斜視図である。
図3図3は、本実施形態の搬送車の模式的な底面図である。
図4図4は、本実施形態の基準モードの搬送車を示す模式的な側面図である。
図5図5は、本実施形態の基準モードの搬送車を示す模式的な断面図である。
図6図6は、本実施形態の基準モードの搬送車を示す別の模式的な断面図である。
図7図7は、本実施形態の貫通モードの搬送車を示す模式的な側面図である。
図8図8は、本実施形態の貫通モードの搬送車を示す模式的な断面図である。
図9図9は、本実施形態の貫通モードの搬送車を示す別の模式的な断面図である。
図10図10は、本実施形態の基準モードの搬送車を示す模式的な断面図である。
図11図11は、本実施形態の基準モードの搬送車を示す別の模式的な断面図である。
図12図12は、本実施形態の移動モードの搬送車を示す模式的な側面図である。
図13図13は、本実施形態の移動モードの搬送車を示す模式的な断面図である。
図14図14は、本実施形態の移動モードの搬送車を示す別の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明による搬送車の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0011】
図1を参照して本実施形態の搬送車100を説明する。図1は、搬送車100を示す模式的な斜視図である。搬送車100は走行する。例えば、搬送車100は10kg以上5000kg以下の重量物を搬送可能である。例えば、搬送車100は床上を自由に走行してもよい。あるいは、搬送車100は予め定められたガイド部材(例えば、軌道)に沿って走行してもよい。
【0012】
例えば、搬送車100は無人搬送車である。搬送車100は、予め決められたプログラムにしたがって走行してもよい。あるいは、搬送車100は、通信を介したユーザの遠隔操作にしたがって走行してもよい。
【0013】
ここでは、搬送車100は長手方向(X方向)に延びる。例えば、搬送車100の長手方向の長さは300mm以上10m以下である。
【0014】
また、ここでは、搬送車100の高さ(Z方向の長さ)は、搬送車100の長さ(X方向の長さ)および搬送車100の幅(Y方向の長さ)よりも小さい。この場合、搬送車100は、比較的低い空間に進入できる。例えば、搬送車100の高さは50mm以上1m以下である。搬送車100の高さは100mm以上300mm以下であることが好ましい。ただし、搬送車100の高さ(Z方向の長さ)は、搬送車100の長さ(X方向の長さ)および搬送車100の幅(Y方向の長さ)のうちの少なくとも一方よりも大きくてもよい。
【0015】
搬送車100は、筐体110と、平板120と、第1移動部130と、第2移動部140とを備える。筐体110は、搬送車100の外形を規定する。筐体110は長手方向(Y方向)に延びる。また、筐体110の高さ(Z方向の長さ)は、筐体110の長さ(X方向の長さ)および筐体110の幅(Y方向の長さ)よりも小さい。
【0016】
図1に示した搬送車100では、筐体110の長さ(X方向の長さ)は筐体110の幅(Y方向の長さ)よりも長い。ただし、筐体110の長さ(X方向の長さ)は、筐体110の幅(Y方向の長さ)と略等しくてもよい。
【0017】
筐体110には平板120が設置される。筐体110の上部中央には貫通孔が設けられる。平板120は、筐体110の上部中央の貫通孔に嵌められる。平板120は、筐体110とは別に分離可能である。図1に示した搬送車100では、平板120の高さ(Z方向の位置)は、筐体110の上面の高さ(Z方向の位置)とほぼ等しい。
【0018】
例えば、平板120の長さ(X方向の長さ)は、平板120の幅(Y方向の長さ)と略等しくてもよい。例えば、平板120の長さ(X方向の長さ)および幅(Y方向の長さ)は、200mm以上9m以下であり、400mm以上1m以下であってもよい。なお、平板120の長さ(X方向の長さ)は、平板120の幅(Y方向の長さ)と異なってもよい。
【0019】
平板120には、平板120を厚さ方向(Z方向)に貫通する第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pが設けられる。第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pはX方向に沿って配列される。第1貫通孔122pは-X方向側に位置し、第2貫通孔124pは+X方向側に位置する。例えば、第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pの開口径は、10mm以上200mm以下であり、20mm以上100mm以下であってもよい。
【0020】
平板120は、周辺部120aと、中央部120bとを有する。周辺部120aは中央部120bの周囲に位置する。ここでは、第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pは中央部120bに設けられる。中央部120bは、周辺部120aから分離可能である。
【0021】
第1移動部130および第2移動部140は平板120に対して移動する。ここでは、第1移動部130および第2移動部140は、平板120の鉛直下方(-Z方向)に位置する。具体的には、第1移動部130および第2移動部140は、平板120の中央部120bの鉛直下方(-Z方向)に位置する。
【0022】
第1移動部130および第2移動部140は、平板120をZ方向に移動できる。例えば、第1移動部130および第2移動部140は平板120を+Z方向に上昇できる。また、第1移動部130および第2移動部140は平板120を-Z方向に降下できる。
【0023】
第1移動部130の一部および第2移動部140の一部は平板120から露出する。第1移動部130は第1先端部132dを有する。第1移動部130の第1先端部132dの一部が平板120の第1貫通孔122pから露出する。また、第2移動部140は第2先端部142dを有する。第2移動部140の第2先端部142dの一部は平板120の第2貫通孔124pから露出する。第1移動部130および第2移動部140の詳細は後述する。
【0024】
搬送車100は、操作部150をさらに備えることが好ましい。操作部150により、搬送車100を操作できる。操作部150は、筐体110の-X方向側の端部および+X方側の端部に設けられる。例えば、操作部150は、第1操作部150aと、第2操作部150bとを含む。第1操作部150aは筐体110の-X方向側の端部に設けられ、第2操作部150bは筐体110の+X方向側の端部に設けられる。このため、仮に、体積の大きい被搬送物(荷物)を搬送車100が搬送する途中で搬送車100が壁と衝突した後でも、第1操作部150aおよび第2操作部150bの一方は被搬送物と壁に挟まれることなく操作可能であるため、搬送車100を容易に操作できる。
【0025】
第1操作部150aは、停止ボタン152aと、リセットボタン152bと、上昇ボタン152cと、降下ボタン152dとを有する。停止ボタン152aは、走行中の搬送車100の走行を停止させるために用いられる。例えば、走行中の搬送車100の周囲に人間が侵入した場合、停止ボタン152aを押すことで搬送車100の走行を停止できる。
【0026】
リセットボタン152bは、搬送車100の制御プログラムのリセットに用いられる。リセットボタン152bを押すと、走行中の搬送車100のプログラムがリセットされる。例えば、リセットボタン152bは、搬送車100が緊急停止した後、または、停止ボタン152aが押された後に好適に用いられる。
【0027】
上昇ボタン152cは、第1移動部130および第2移動部140の移動に用いられる。上昇ボタン152cを押すと、第1移動部130および第2移動部140が上昇する。また、降下ボタン152dは、第1移動部130および第2移動部140の移動に用いられる。降下ボタン152dを押すと、第1移動部130および第2移動部140が降下する。第1移動部130および第2移動部140の移動ならびに下降の詳細は後述する。
【0028】
筐体110は、上面に貫通孔が設けられるとともに下面の凹んだ略直方体形状である。筐体110は、上面110aと、側面110bと、側面110cと、側面110dと、側面110eと、底面110fとを有する。上面110aには貫通孔が設けられる。上面110aの貫通孔には平板120が嵌められる。
【0029】
側面110bはY方向に延びる。側面110bには操作部150の第1操作部150aが設けられる。また、側面110bの下方にはバンパー111aが取り付けられる。搬送車100の走行中にバンパー111aが障害物と衝突すると、搬送車100の走行は停止する。
【0030】
さらに、側面110bには、表示灯162aおよび表示灯164aが設けられる。例えば、表示灯162aおよび表示灯164aは発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含む。表示灯162aは側面110bのうちの+Y方向側に位置し、表示灯164aは側面110bのうちの-Y方向側に位置する。表示灯162aは、搬送車100が-X方向かつ+Y方向に進行するときに点灯あるいは点滅する。表示灯164aは、搬送車100が-X方向かつ-Y方向に進行するときに点灯あるいは点滅する。
【0031】
側面110cはX方向に延びる。側面110cには電源スイッチ156が設けられる。電源スイッチ156の切り替えにより、搬送車100の電源状態が切り替えられる。
【0032】
側面110dはY方向に延びる。側面110dは側面110bと略平行である。側面110dには操作部150の第2操作部150bが設けられる。また、側面110eはX方向に延びる。側面110eは側面110cと略平行である。
【0033】
なお、側面110bと側面110cとの境界にはセンサー168aが設けられる。側面110dと側面110eとの境界にはセンサー168bが設けられる。センサー168aはセンサー168aと対象物との距離を測定する。詳細には、センサー168aは、側面110bおよび側面110cの周囲に位置する対象物とセンサー168aとの距離を測定する。同様に、センサー168bはセンサー168bと対象物との距離を測定する。センサー168bは、側面110dおよび側面110eの周囲に位置する対象物とセンサー168bとの距離を測定する。
【0034】
センサー168aおよびセンサー168bは出力部および受光部を有する。例えば、出力部はレーザ光を出力し、受光部は対象物によって反射されたレーザ光を受光する。ここでは、センサー168aおよびセンサー168bは、筐体110の対向する位置に配置される。これにより、少数のセンサーで搬送車100の周囲を検知できる。
【0035】
図2は、搬送車100の別の模式的な斜視図である。上述したように、側面110dには操作部150の第2操作部150bが設けられる。第2操作部150bは、停止ボタン154aと、リセットボタン154bと、上昇ボタン154cと、降下ボタン154dとを有する。
【0036】
第2操作部150bは、第1操作部150aと同じように搬送車100を操作できる。例えば、停止ボタン154a、リセットボタン154b、上昇ボタン154cおよび降下ボタン154dによる操作は、停止ボタン152a、リセットボタン152b、上昇ボタン152cおよび降下ボタン152dによる操作と同じである。したがって、仮に、体積の大きい被搬送物(荷物)を搬送車100が搬送する途中で搬送車100が壁と衝突した後でも、第1操作部150aおよび第2操作部150bの一方は被搬送物と壁に挟まれることなくすべての操作が可能であるため、搬送車100を容易に操作できる。
【0037】
また、側面110dの下方にはバンパー111bが取り付けられる。搬送車100の走行中にバンパー111bが障害物と衝突すると、搬送車100の走行は停止する。
【0038】
さらに、側面110dには、表示灯162bおよび表示灯164bが設けられる。表示灯162bは側面110dのうちの+Y方向側に位置し、表示灯164bは側面110bのうちの-Y方向側に位置する。表示灯162bは、搬送車100が+X方向かつ+Y方向に進行するときに点灯あるいは点滅する。表示灯164bは、搬送車100が+X方向かつ-Y方向に進行するときに点灯あるいは点滅する。
【0039】
側面110eには充電部160aおよび充電部160bが設けられる。充電部160aおよび充電部160bは、搬送車100のエネルギーを充電する。充電部160aは充電部160bとは異なる方式で充電する。例えば、充電部160aはプラグ方式で充電する。また、充電部160bは接触方式で充電する。
【0040】
図1および図2から理解されるように、搬送車100における筐体110の上面110aは、Y方向に平行な中心線に対して線対称である。また、搬送車100における筐体110の側面110bおよび側面110dは、Y方向に平行な中心線に対して線対称である。
【0041】
図3は、本実施形態の搬送車100を示す模式的な底面図である。図3に示すように、筐体110の底面110fには、車輪182a、車輪182b、車輪182c、車輪182d、駆動輪184a、駆動輪184b、モータ186aおよびモータ186bが取り付けられる。
【0042】
車輪182a、車輪182b、車輪182c、車輪182dは、いわゆるキャスターであり、駆動輪184aおよび駆動輪184bの駆動に応じて従動する。車輪182aは、底面110fの中心に対して+X方向かつ-Y方向側に位置し、車輪182bは、底面110fの中心に対して-X方向かつ-Y方向側に位置する。車輪182cは、底面110fの中心に対して-X方向かつ+Y方向側に位置し、車輪182dは、底面110fの中心に対して+X方向かつ+Y方向側に位置する。
【0043】
駆動輪184aは、モータ186aに連結しており、モータ186aの駆動力によって駆動される。また、駆動輪184bは、モータ186bに連結しており、モータ186bの駆動力によって駆動される。駆動輪184aは、底面110fのX方向の中央部および-Y方向側に位置する。駆動輪184bは、底面110fのX方向の中央部および+Y方向側に位置する。
【0044】
モータ186aは、底面110fの中心に対してX方向の中央部および-Y方向側に位置する。モータ186bは、底面110fの中心に対してX方向の中央部および+Y方向側に位置する。
【0045】
本実施形態の搬送車100は3つのモードに切り替わる。具体的には、本実施形態の搬送車100は、基準モードと、貫通モードと、移動モードとの間で切り替わり、モードの切り替わりに応じて平板120、第1移動部130および第2移動部140の位置関係が変化する。搬送車100のモードは、第1移動部130および第2移動部140のモードの切り替わりによって切り替わる。
【0046】
第1移動部130および第2移動部140はモードに応じて平板120に対して異なって移動する。第1移動部130および第2移動部140は、基準モードと、貫通モードと、移動モードとの間で切り替わる。基準モードのとき、第1移動部130および第2移動部140は平板120を基準位置に移動させる。貫通モードのとき、第1移動部130の少なくとも一部は平板120の第1貫通孔122pを貫通し、第2移動部140の少なくとも一部は平板120の第2貫通孔124pを貫通する。移動モードのとき、第1移動部130および第2移動部140は、平板120の第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pを貫通することなく平板120を基準位置から移動位置に移動させる。このように、本実施形態の搬送車100は複数のモードに切り替え可能であるため、搬送車100を複数の用途に用いることができる。
【0047】
まず、図1図2および図4から図6を参照して本実施形態の基準モードの搬送車100を説明する。なお、上述の説明で参照した図1および図2は、基準モードの搬送車100の斜視図である。
【0048】
図4は、基準モードの搬送車100を示す模式的な側面図である。図4に示すように、基準モードの搬送車100を側面から見た場合、筐体110の上面110aが見える一方で、上面110aに隠れて平板120は見えない。基準モードにおいて、平板120は筐体110の上面110aの貫通孔に嵌っている。
【0049】
図5は、基準モードの搬送車100を示す模式的な断面図であり、図6は、基準モードの搬送車100を示す別の模式的な断面図である。図5および図6に示すように、搬送車100の筐体110の内部には、第1移動部130、第2移動部140、モータドライバ192、回路基板194および蓄電地196が配置される。モータドライバ192は、モータ186aおよびモータ186b(図3)を駆動する。
【0050】
回路基板194は、プロセッサーを含む。プロセッサーは、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を含んでもよい。あるいは、プロセッサーは、マイクロコンピューターを含んでもよい。または、プロセッサーは特定用途用集積回路を含んでもよい。
【0051】
蓄電地196は、電気エネルギーを蓄積する。蓄電地196は、充電部160aおよび充電部160b(図2)からの受け取った電気エネルギーを蓄積する。蓄電地196の電気エネルギーは、モータ186a、モータ186b、モータドライバ192および回路基板194の駆動に用いられる。
【0052】
第1移動部130はアクチュエータ132を含む。第2移動部140はアクチュエータ142を含む。例えば、アクチュエータ132およびアクチュエータ142は油圧シリンダを含む。
【0053】
ポンプ135は、アクチュエータ132およびアクチュエータ142を駆動する。アクチュエータ132およびアクチュエータ142は、ポンプ135によって発生した油圧に応じて移動する。なお、ここでは、アクチュエータ132およびアクチュエータ142は共通のポンプ135によって駆動されるが、アクチュエータ132およびアクチュエータ142は異なるポンプによって駆動されてもよい。
【0054】
アクチュエータ132は、円錐形状の上部と略円柱形状の下部とが一体化された形状を有する。アクチュエータ132は、固定部132aと、外周部132bとを有する。固定部132aは円柱形状である。外周部132bは、先端に円錐形状の設けられた円筒形状であり、外周部132bは、固定部132aの外周に配置される。外周部132bは固定部132aに対して移動する。
【0055】
外周部132bは、本体部132cと、第1先端部132dと、第1鍔部132eと、第2鍔部132fとを有する。第1先端部132dは円錐形状である。第1先端部132dは、本体部132cの+Z方向側に設けられており、第1先端部132dはアクチュエータ132の先端に位置する。アクチュエータ132の第1先端部132dの外径(X方向の長さ)は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも小さい。図1および図2に示したように、第1先端部132dの一部は、平板120の第1貫通孔122pから露出される。
【0056】
図6に示すように、第1鍔部132eは、本体部132cと第1先端部132dとの境界に位置する。第1鍔部132eの外径(X方向の長さ)は本体部132cの外径(X方向の長さ)よりも大きい。また、第1鍔部132eの外径(X方向の長さ)は第1貫通孔122pの開口径よりも大きい。
【0057】
第2鍔部132fは、Z方向に延びる本体部132cの中央に位置する。第2鍔部132fの外径(X方向の長さ)は本体部132cの外径(X方向の長さ)よりも大きい。
【0058】
アクチュエータ132は第1設置室112内に設置される。第1設置室112は平板120の下方に位置する。アクチュエータ132の固定部132aは第1設置室112の底面に取り付けられる。第1設置室112の上部には貫通孔112pが設けられる。第1設置室112の貫通孔112pは平板120の第1貫通孔122pと連通する。第1設置室112の貫通孔112pの開口径(X方向の長さ)はアクチュエータ132の第1先端部132dの外径(X方向の長さ)よりも大きい。
【0059】
アクチュエータ142は、円錐形状の上部と略円柱形状の下部とが一体化された形状を有する。アクチュエータ142は、固定部142aと、外周部142bとを有する。固定部142aは円柱形状である。外周部142bは、先端に円錐形状の設けられた円筒形状であり、外周部142bは、固定部142aの外周に配置される。外周部142bは固定部142aに対して移動する。
【0060】
外周部142bは、本体部142cと、第2先端部142dと、第1鍔部142eと、第2鍔部142fとを有する。第2先端部142dは円錐形状である。第2先端部142dは,本体部142cの+Z方向側に設けられており、第2先端部142dはアクチュエータ142の先端に位置する。
【0061】
第1鍔部142eは、本体部142cと第2先端部142dとの境界に位置する。第1鍔部142eの外径(X方向の長さ)は本体部142cの外径(X方向の長さ)よりも大きい。第2鍔部142fは、Z方向に延びる本体部142cの中央に位置する。第1鍔部142eの外径(X方向の長さ)は平板120の第2貫通孔124pの開口径(X方向の長さ)よりも大きい。
【0062】
アクチュエータ142は第2設置室114内に設置される。第2設置室114は平板120の下方に位置する。アクチュエータ142の固定部142aは第2設置室114の底面に取り付けられる。第2設置室114の上部には貫通孔114pが設けられる。第2設置室114の貫通孔114pは平板120の第2貫通孔124pと連通する。第2設置室114の貫通孔114pの開口径(X方向の長さ)はアクチュエータ142の第2先端部142dの外径(X方向の長さ)よりも大きい。
【0063】
なお、図5および図6に示すように、第1移動部130はバネ134をさらに備えることが好ましい。バネ134は第1設置室112内に配置される。バネ134の一端は、第1設置室112の上面に取り付けられ、バネ134の他端は、第2鍔部132fに取り付けられる。
【0064】
同様に、第2移動部140はバネ144をさらに備えることが好ましい。バネ144は第2設置室114内に配置される。バネ144の一端は、第2設置室114の上面に取り付けられ、バネ144の他端は、第2鍔部142fに取り付けられる。
【0065】
なお、平板120と第2設置室114の側面から+Y方向に延びる板部材との間にバネ126が設置される。バネ126の一端は、平板120の裏面に取り付けられ、バネ126の他端は、第2設置室114の側面から延びる板部材に取り付けられる。
【0066】
搬送車100が基準モードである場合、第1移動部130および第2移動部140は平板120を基準位置に移動させる。この場合、平板120の高さ(Z方向の位置)は筐体110の上面110aの高さ(Z方向の位置)と等しくできる。したがって、搬送車100は、上面110aおよび平板120の広い面積の上に被搬送物を載置して搬送することができる。
【0067】
次に、図7から図9を参照して、本実施形態の貫通モードの搬送車100を説明する。図7は、貫通モードの搬送車100を示す模式的な側面図であり、図8は、貫通モードの搬送車100を示す模式的な断面図であり、図9は、貫通モードの搬送車100を示す別の模式的な断面図である。貫通モードの場合、搬送車100において第1移動部130の第1先端部132dおよび第2移動部140の第2先端部142dは平板120を貫通する。貫通モードの場合、平板120を貫通した第1移動部130の第1先端部132dおよび第2移動部140の第2先端部142dは被搬送物を牽引するために好適に用いられる。
【0068】
図7に示すように、貫通モードの場合、第1移動部130の第1先端部132dおよび第2移動部140の第2先端部142dは平板120を貫通する。ただし、図7では、第1移動部130の第1先端部132dは中空形状のカップS1で覆われ、また、第2移動部140の第2先端部142dは中空形状のカップS2で覆われる。カップS1およびカップS2は被搬送物に取り付けられる。なお、基準モードのときの平板120の高さ(Z方向の位置)は筐体110の上面110aの高さ(Z方向の位置)とほぼ同じであったが、貫通モードのときの平板120の高さ(Z方向の位置)は、筐体110の上面110aの高さ(Z方向の位置)よりも高い。
【0069】
図8および図9に示すように、貫通モードの場合、第1移動部130および第2移動部140は平板120に対して移動し、その結果、第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通する。なお、第1鍔部132eの外径(X方向の長さ)は第1貫通孔122pの開口径よりも大きいため、第1鍔部132eは第1貫通孔122pを貫通しない。このため、第1鍔部132eよりも鉛直方向上側に位置する第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通する。したがって、簡易な構成で第1移動部130の一部のみを平板120の第1貫通孔122pから貫通できる。
【0070】
また、同様に、第2移動部140の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通する。なお、第1鍔部142eの外径(X方向の長さ)は第2貫通孔124pの開口径よりも大きいため、第1鍔部142eは第2貫通孔124pを貫通しない。このため、第1鍔部142eよりも鉛直方向上側に位置する第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通する。したがって、簡易な構成で第2移動部140の一部のみを平板120の第2貫通孔124pから貫通できる。
【0071】
詳細には、基準モードから貫通モードに変化すると、ポンプ135が油圧を増大させることで、アクチュエータ132の外周部132bが固定部132aに対して移動する。ここでは、外周部132bが固定部132aに対して上昇する。このため、第1移動部130の第1先端部132dは、第1設置室112の貫通孔112pおよび平板120の第1貫通孔122pを貫通し、平板120上に現れる。
【0072】
同様に、基準モードから貫通モードに変化すると、ポンプ135が油圧を増大させることで、アクチュエータ142の外周部142bが固定部142aに対して移動する。ここでは、外周部142bが固定部142aに対して上昇する。このため、第2移動部140の第2先端部142dは、第2設置室114の貫通孔114pおよび平板120の第2貫通孔124pを貫通し、平板120上に現れる。
【0073】
搬送車100が貫通モードである場合、第1移動部130の第1先端部132dは平板120の第1貫通孔122pを貫通し、第2移動部140の第2先端部142dは平板120の第2貫通孔124pを貫通する。この場合、搬送車100は、平板120の第1貫通孔122pを貫通した第1移動部130の第1先端部132d、および、第2貫通孔124pを貫通した第2移動部140の第2先端部142dを利用して、被搬送物を搬送できる。例えば、被搬送物自体が車輪を有する場合、第1移動部130の第1先端部132dおよび/または第2移動部140の第2先端部142dに被搬送物の一部を掛けることで搬送車100が被搬送物を牽引できる。
【0074】
なお、アクチュエータ132の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通する場合に、平板120が移動するか否かは適宜調整できる。例えば、平板120と基準位置の第1鍔部132eとの距離がアクチュエータ132の移動距離よりも長い場合、アクチュエータ132の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通しても、アクチュエータ132の第1鍔部132eは平板120と接触せず平板120は移動しない。したがって、平板120と基準位置の第1鍔部132eとの距離がアクチュエータ132の最大移動距離よりも長い場合、アクチュエータ132の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通しても、アクチュエータ132の第1鍔部132eは平板120と接触せず、平板120は移動しない。
【0075】
同様に、アクチュエータ142の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通する場合に、平板120が移動するか否かは適宜調整できる。例えば、平板120と基準位置の第1鍔部142eとの距離がアクチュエータ142の移動距離よりも長い場合、アクチュエータ142の第2先端部142dが平板120の第1貫通孔122pを貫通しても、アクチュエータ142の第1鍔部142eは平板120と接触せず平板120は移動しない。したがって、平板120と基準位置の第1鍔部142eとの距離がアクチュエータ142の最大移動距離よりも長い場合、アクチュエータ142の第2先端部142dが平板120の第1貫通孔122pを貫通しても、アクチュエータ142の第1鍔部142eは平板120と接触せず、平板120は移動しない。このように、平板120と基準位置の第1鍔部132eおよび第1鍔部142eとの距離に応じて、貫通モードにおける平板120の移動を調整できる。
【0076】
なお、図8および図9に示すように、平板120は、周辺部120aおよび中央部120bに加えて端部120cをさらに有する。周辺部120aおよび中央部120bはX方向およびY方向に広がる。平板120の端部120cは、周辺部120aに対して-Z方向に延びる。なお、貫通モードにおいて、平板120が移動する場合、端部120cのZ方向の長さは、平板120の移動距離以上であることが好ましい。この場合、基準モードから貫通モードに変化して、平板120の位置が移動した後でも、移動後の平板120と筐体110の上面110aとの隙間がほとんど発生せず、ごみ等が搬送車100の内部に侵入することを抑制できる。
【0077】
なお、基準モードの図5および図6と、貫通モードの図8および図9との比較から理解されるように、貫通モードから基準モードに戻る場合、ポンプ135からのアクチュエータ132に対する油圧がオフに切り替わり、アクチュエータ132の外周部132bは固定部132aに降下する。この場合、バネ134により、アクチュエータ132の外周部132bを容易に降下でき、第1移動部130を短期間で基準位置に戻すことができる。
【0078】
同様に、貫通モードから基準モードに戻る場合、ポンプ135からのアクチュエータ142に対する油圧がオフに切り替わり、アクチュエータ142の外周部142bは固定部142aに降下する。この場合、バネ144により、アクチュエータ142の外周部142bを容易に降下でき、第2移動部140を短期間で基準位置に戻すことができる。
【0079】
さらに、貫通モードから基準モードに戻る場合、ポンプ135からのアクチュエータ142に対する油圧がオフに切り替わり、アクチュエータ142の外周部142bは固定部142aに降下する。この場合、バネ126により、平板120を容易に降下でき、平板120を短期間で基準位置に戻すことができる。
【0080】
なお、上述した説明では、搬送車100の第1移動部130および第2移動部140が移動すると、第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通し、第2移動部140の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通したが、本発明はこれに限定されない。第1移動部130は、第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通することを抑制する部材を有してもよい。また、第2移動部140は、第2移動部140の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通することを抑制する部材を有してもよい。
【0081】
以下、図10および図11を参照して本実施形態の搬送車100を説明する。図10は、基準モードの搬送車100を示す模式的な断面図であり、図11は、基準モードの搬送車100を示す別の模式的な断面図である。図10および図11に示した搬送車100は、第1移動部130が貫通抑制部材136をさらに有し、かつ、第2移動部140が貫通抑制部材146をさらに有する点を除いて図5および図6を参照して上述した搬送車100と同様の構成を有している。以下の説明では、冗長を避けるために、重複する説明を省略することがある。
【0082】
第1移動部130は、アクチュエータ132およびバネ134に加えて貫通抑制部材136をさらに有する。貫通抑制部材136はアクチュエータ132の第1先端部132dに装着される。例えば、貫通抑制部材136は、平板120の中央部120bを周辺部120aから外した状態で、アクチュエータ132の第1先端部132dに装着できる。
【0083】
なお、上述したように、第1移動部130の第1先端部132dの外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも小さい。一方、貫通抑制部材136の少なくとも一部の外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも大きい。
【0084】
ここでは、貫通抑制部材136の上部(+Z方向側)の外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも小さく、貫通抑制部材136の下部(-Z方向側)の外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも大きい。このように、貫通抑制部材136の外周には1段の段差が設けられる。
【0085】
上述したように、第1移動部130では、平板120の第1貫通孔122pを貫通可能な第1先端部132dに貫通抑制部材136が装着される。貫通抑制部材136は、第1先端部132dが、平板120の第1貫通孔122pを貫通することを抑制する。このため、貫通抑制部材136を第1移動部130の第1先端部132dに対して装着および脱着することにより、第1先端部132dが、平板120の第1貫通孔122pを貫通するか否かを容易に切り替えることができる。
【0086】
第2移動部140は、アクチュエータ142およびバネ144に加えて貫通抑制部材146をさらに有する。貫通抑制部材146はアクチュエータ142の第2先端部142dに装着される。例えば、貫通抑制部材146は、平板120の中央部120bを周辺部120aから外した状態で、アクチュエータ142の第2先端部142dに装着できる。
【0087】
上述したように、第2移動部140の第2先端部142dの外径は平板120の第2貫通孔124pの開口径よりも小さい。一方、貫通抑制部材146の少なくとも一部の外径は平板120の第2貫通孔124pの開口径よりも大きい。
【0088】
ここでは、貫通抑制部材136の上部(+Z方向側)の外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも小さく、貫通抑制部材136の下部(-Z方向側)の外径は平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも大きい。このように、貫通抑制部材136の外周には1段の段差が設けられる。
【0089】
上述したように、第2移動部140では、平板120の第2貫通孔124pを貫通可能な第2先端部142dに貫通抑制部材146が装着される。貫通抑制部材146は、第2先端部142dが、平板120の第2貫通孔124pを貫通することを抑制する。このため、貫通抑制部材146を第2移動部140の第2先端部142dに対して装着および脱着することにより、第2先端部142dが、平板120の第2貫通孔124pを貫通するか否かを容易に切り替えることができる。
【0090】
なお、図7から図9を参照した説明では、第1移動部130が移動して第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通し、第2移動部140が移動して第2移動部140の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通したが、本発明はこれに限定されない。第1移動部130は平板120の第1貫通孔122pを貫通することなく平板120を基準位置から移動位置に移動し、第2移動部140は平板120の第2貫通孔124pを貫通することなく平板120を基準位置から移動位置に移動してもよい。
【0091】
次に、図12から図14を参照して、本実施形態の移動モードの搬送車100を説明する。図12は、移動モードの搬送車100を示す模式的な側面図である。図13は、移動モードの搬送車100を示す模式的な断面図であり、図14は、移動モードの搬送車100を示す別の模式的な断面図である。
【0092】
図12に示すように、基準モードから移動モードに変化する場合、平板120が筐体110の上面110aから上方に移動する。
【0093】
図13および図14に示すように、移動モードにおいて、第1移動部130は移動位置に位置し、第2移動部140は移動位置に位置する。ここでは、第1移動部130の移動位置は基準位置に対して鉛直上方(+Z方向)に位置し、第2移動部140の移動位置は基準位置に対して鉛直上方(+Z方向)に位置する。
【0094】
移動モードにおいて第1移動部130は貫通抑制部材136とともに平板120を移動させる。これにより、第1移動部130の第1先端部132dの外径が平板120の第1貫通孔122pの開口径よりも小さくても、第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通することなく、平板120を移動させることができる。
【0095】
同様に、移動モードにおいて第2移動部140は貫通抑制部材146とともに平板120を移動させる。これにより、第2移動部140の第2先端部142dの外径が平板120の第2貫通孔124pの開口径よりも小さくても、第2移動部140の第2先端部142dが平板120の第2貫通孔124pを貫通することなく、平板120を移動させることができる。
【0096】
図10および図11図13および図14との比較から理解されるように、基準モードから移動モードに変化する場合、第1移動部130は基準位置から移動位置に移動し、第2移動部140は基準位置から移動位置に移動する。
【0097】
ここでは、基準モードから移動モードに変化すると、ポンプ135が油圧を増大させることで、アクチュエータ132の外周部132bが固定部132aに対して移動する。外周部132bが固定部132aに対して上昇する。アクチュエータ132の第1先端部132dに装着された貫通抑制部材136が第1貫通孔122pよりも大きいため、アクチュエータ132は、貫通抑制部材136を介して平板120自体を移動させる。
【0098】
同様に、アクチュエータ142の外周部142bが固定部142aに対して移動する。ここでは、外周部142bが固定部142aに対して上昇する。アクチュエータ142の第2先端部142dに装着された貫通抑制部材146が第2貫通孔124pよりも大きいため、アクチュエータ142は、貫通抑制部材146を介して平板120自体を移動させる。
【0099】
搬送車100が基準モードから移動モードに変化すると、第1移動部130および第2移動部140は、平板120の第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pを貫通せず、平板120を基準位置から移動位置に移動させる。この場合、搬送車100は被搬送物の下側から被搬送物を押圧できる。例えば、被搬送物が保持部材にロックされている場合、搬送車100が被搬送物の下側から被搬送物を押圧してロックを解除することで、搬送車100は被搬送物のロックを解除して被搬送物を搬送できる。
【0100】
なお、アクチュエータ132およびアクチュエータ142が最大移動距離だけ移動する場合でも、筐体110の上面110aに対する平板120の高さは最大移動距離よりも小さくできる。例えば、第1移動部130および第2移動部140を最も低い位置に移動させた場合の貫通抑制部材136および貫通抑制部材146の高さ(Z方向の位置)を平板120の高さ(Z方向の位置)よりも低くする場合、アクチュエータ132およびアクチュエータ142が最大移動距離だけ移動する場合でも、筐体110の上面110aに対する平板120の高さは最大移動距離よりも小さくできる。
【0101】
なお、図13および図14に示すように、周辺部120aおよび中央部120bはX方向およびY方向に広がる。平板120の端部120cは、周辺部120aに対して-Z方向に延びる。なお、移動モードにおいて、平板120が移動する場合、端部120cのZ方向の長さは、平板120の移動距離以上であることが好ましい。この場合、基準モードから貫通モードに変化して、平板120の位置が移動した後でも、移動後の平板120と筐体110の上面110aとの隙間がほとんど発生せず、ごみ等が搬送車100の内部に侵入することを抑制できる。
【0102】
上述したように、第1移動部130の第1先端部132dの外径(X方向の長さ)は平板120の第1貫通孔122pの開口径(X方向の長さ)よりも小さく、第1移動部130の第1先端部132dは平板120の第1貫通孔122pを貫通できる。一方、貫通抑制部材136の径は平板120の第1貫通孔122pの径よりも大きく、貫通抑制部材136は平板120の第1貫通孔122pを貫通できない。したがって貫通抑制部材136を第1移動部130の第1先端部132dに装着することにより、第1移動部130の第1先端部132dが平板120の第1貫通孔122pを貫通することが抑制される。
【0103】
なお、図1から図14を参照して上述した説明では、搬送車100は、第1移動部130および第2移動部140を備えたが、本発明はこれに限定されない。搬送車100の備える移動部は1つであってもよい。あるいは、搬送車100は、3以上の移動部を備えてもよい。ただし、貫通モードにおいて牽引を行う場合、搬送車100は2以上の移動部を備えることが好ましい。2以上の移動部で被搬送物を牽引することにより、被搬送物の姿勢を変えることなく牽引できる。また、搬送車100は複数の移動部を含むことにより、貫通モードにおける牽引および移動モードにおいて被搬送物の荷重を分散できる。
【0104】
また、図10から図14を参照して上述した説明では、貫通抑制部材136および貫通抑制部材146は1段の段差を有しており、平板120の第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pの開口径は一定であったが、本発明はこれに限定されない。貫通抑制部材136および貫通抑制部材146は複数の段差を有し、平板120の第1貫通孔122pおよび第2貫通孔124pとして、開口径の異なる孔が連通してもよい。
【0105】
なお、図1から図14を参照して上述した説明では、搬送車100の一例として無人搬送車について説明したが、本発明はこれに限定されない。搬送車100は無人で被搬送物を搬送するものでなくてもよい。例えば、搬送車100は、人間の運転によって搬送するものであってもよい。
【0106】
以上、図面(図1図14)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0107】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば、搬送車に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0109】
100 搬送車
110 筐体
120 平板
130 移動部
図1
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