(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】造形材料塗布デバイス
(51)【国際特許分類】
B22F 12/60 20210101AFI20220329BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20220329BHJP
B22F 10/37 20210101ALI20220329BHJP
B22F 12/67 20210101ALI20220329BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20220329BHJP
B29C 64/205 20170101ALI20220329BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20220329BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220329BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220329BHJP
【FI】
B22F12/60
B22F10/28
B22F10/37
B22F12/67
B29C64/153
B29C64/205
B29C64/35
B33Y10/00
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2021000185
(22)【出願日】2021-01-04
(62)【分割の表示】P 2018129662の分割
【原出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-01-04
(32)【優先日】2018-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ストロスナー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・プロープストレ
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン・マール
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・アッペル
【審査官】▲来▼田 優来
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214611(JP,A)
【文献】特開2016-056417(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013221014(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F3/105,3/16,10/00-12/90
B29C64/153,64/205-64/223,64/35
B33Y30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料(3)の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)向けの造形材料塗布デバイス(5)であって、この造形材料塗布デバイス(5)は、
- 少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造するそれぞれの装置(1)の造形平面(E)内に或る量の造形材料(3)を塗布するように構成された少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)と、
- 3次元の物体(2)を付加製造するそれぞれの装置(1)の造形材料(3)の層内に存在するスパッタ(10)を除去するように構成された少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)と、を備え、
前記造形材料塗布デバイス(5)の一つの運動経路内で造形材料塗布要素(8)による造形材料塗布機能とスパッタ除去要素(9)によるスパッタ除去機能との両方を有し、
支持構造(11)をさらに備え、前記支持構造(11)は、基体(14)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びるアーム状の第1の延長部(16)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びるアーム状の第2の延長部(15)と、前記基体(14)に対して画定された空間関係で前記基体(14)から延びるアーム状の第3の延長部(24)とを備え、それによって前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)を支持する支持部(12)は、前記第2の延長部(15)を備え、第1のスパッタ除去要素(9)を支持する第1の支持部(13)は、前記第1の延長部(16)を備え、第2のスパッタ除去要素(9)を支持する第2の支持部(25)は、前記第3の延長部(24)を備え、
前記第1の延長部(16)と前記第3の延長部(24)のうち少なくとも一つは、
対応する前
記スパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能である動作位置と、
対応する前
記スパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能でない非動作位置との間を少なくとも1運動自由度で、前記基体(14)に対して且つ/又は互いに対して可動に支持される、造形材料塗布デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)は、再被覆要素として構築されるか、又は再被覆要素を備える、請求項1に記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去ブレード要素(22)として構築されるか、又はスパッタ除去ブレード要素(22)を備える、請求項1又は2に記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素として構築されるか、或いはスパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素を備える、請求項1~3のいずれか一つに記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、画定された空間配置内に複数のブラシ又はレーキ要素(21)を備えるスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素(20)として構築されるか、或いは前記スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素(20)を備える、請求項1~4のいずれか一つに記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素(17)として構築されるか、或いはスパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素(17)を備える、請求項1~5のいずれか一つに記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去振動要素(23)として構築されるか、又はスパッタ除去振動要素(23)を備える、請求項1~6のいずれか一つに記載の造形材料塗布デバイス。
【請求項8】
前記支持構造(11)は、前記造形材料塗布デバイス(5)が割り当てられた前記装置(1)の前記造形平面(E)に対して、少なくとも1運動自由度で可動に支持される、請求項1に記載の造形材料塗布デバイス
。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第2の延長部(15)は、造形材料塗布の運動経路に沿って前記支持構造(11)の所与の運動に対して前記第1の延長部(16)の前に配置される、請求項
1に記載の造形材料塗布デバイス
。
【請求項10】
前記第1の延長部(16)及び前記第3の延長部(24)はそれぞれ、
対応する前
記スパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能である動作位置と、
対応する前
記スパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能でない非動作位置との間を少なくとも1運動自由度で、前記基体(14)に対して且つ/又は互いに対して可動に支持される、請求項1に記載の造形材料塗布デバイス
。
【請求項11】
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料(3)の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造する付加製造装置(1)であって、請求項1~
10のいずれか一つに記載の少なくとも1つの造形材料塗布デバイス(5)を備える付加製造装置
。
【請求項12】
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の造形平面(E)内の造形材料の層からのスパッタ(10)を除去し、造形材料(3)の層を塗布する方法であって、スパッタ(10)の除去及び造形材料(3)の層の塗布が、請求項1~
10のいずれか一つに記載の造形材料塗布デバイス(5)によって同時に実行される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエネルギービームによって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体を付加製造(積層造形)する装置向けの造形材料塗布デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の物体を付加製造するそれぞれの装置向けの造形材料塗布デバイスは、通常、付加製造の技術分野で知られている。それぞれの造形材料塗布デバイスは、3次元の物体を付加製造するそれぞれの装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布するように構成される。
【0003】
塗布された造形材料層の品質は、それ以前の造形材料層(以下、「前の造形材料層」という。)内のスパッタの存在に大きく依存する。スパッタ(溶接スパッタと呼ばれることもある)は、典型的には、前の造形材料層の照射から生じる固化されていない造形材料の集塊、残留物などによって構築される。スパッタは、典型的には、造形平面内に塗布すべき当初の造形材料より粗い。いくつかの場合、スパッタはまた、当初の造形材料と比較して異なる化学的特性を有することがある。
【0004】
スパッタは、造形材料層の塗布中に不均質性をもたらしたり及び/又は塗布された造形材料層内に不均質性をもたらす可能性があり、それによりそれぞれの造形材料層の溶融及び固化挙動を損なう可能性があるため、スパッタの存在は問題である。その結果、スパッタは、付加製造プロセスの品質、特に造形材料の固化の品質、及びこのプロセスによって製造される物体の品質をそれぞれ損なう可能性がある。
【0005】
スパッタの形成を避けることはほとんどできないため、それぞれのスパッタの非常に効率的且つ総合的な除去を可能にする適当な手法を提供することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、それぞれのスパッタの非常に効率的且つ総合的な除去を可能にする造形材料塗布デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の造形材料塗布デバイスによって実現される。請求項1に従属する請求項は、請求項1に記載の造形材料塗布デバイスの可能な実施形態に関する。
【0008】
本明細書に記載の造形材料塗布デバイスは、少なくとも1つのエネルギービームによって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射し、その結果固化することによって3次元の物体を付加製造する装置(以下、「装置」と略す。)の造形平面内に或る量、特に特有の量の造形材料を塗布するように構成される。したがって、造形材料塗布デバイスは、典型的には、それぞれの装置に割り当てられる。それぞれの装置の造形平面内に或る量の造形材料(粉末、特に金属粉末とすることができる)を塗布することによって、装置の動作中に選択的に照射及び固化すべき造形材料層が形成される。したがって、造形材料塗布デバイスは、装置の動作中に選択的に照射及び固化すべき造形材料層を形成するために、装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布するように構成される。この造形材料塗布プロセスは、装置の動作中に数回繰り返される。
【0009】
造形材料塗布デバイスは、少なくとも1つの造形材料塗布要素を備える。造形材料塗布要素は、それぞれの装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布するように構成される。
【0010】
造形材料塗布デバイスは、少なくとも1つのスパッタ除去要素をさらに備える。スパッタ除去要素は、それぞれの装置の造形材料の少なくとも1つの層内に存在するスパッタを除去するように構成される。それぞれのスパッタは、典型的には、造形材料のそれぞれの層の選択的な照射から生じる。スパッタ(溶接スパッタと呼ばれることもある)は、典型的には、それぞれの造形材料層の照射から生じる固化されていない造形材料の集塊、残留物などによって構築される。
【0011】
造形材料塗布デバイスは、それぞれの造形材料塗布要素とそれぞれのスパッタ除去要素との両方を備えるため、造形材料塗布デバイスは、造形材料塗布機能とスパッタ除去機能との両方を備える。したがって、造形材料塗布デバイスは、造形材料の塗布とスパッタの除去との両方を可能にする。したがって、造形材料塗布デバイスは、それぞれのスパッタの非常に効率的且つ総合的な除去を可能にする。
【0012】
以下からより明らかになるように、造形材料塗布デバイスの動作中に、前に選択的に照射及び固化された造形材料層からまず最初にそれぞれのスパッタをスパッタ除去要素が除去した後、この造形材料層にある量の(新しい)造形材料を塗布して、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成するように、造形材料塗布要素及びスパッタ除去要素は互いに対して配置される。
【0013】
造形材料塗布デバイスは、典型的には、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して、すなわち特に造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって、少なくとも1つの運動経路内で可動に支持される。少なくとも1つの運動経路は、たとえば、並進運動経路とすることができる。造形材料塗布デバイスが少なくとも1つの運動経路内で動かされるとき、スパッタ除去要素は、典型的には、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路内で造形材料塗布デバイスを動かすとき、スパッタ除去要素は、典型的には、前に選択的に照射及び固化された造形材料層からスパッタを除去することが可能になるように、造形平面にわたって動かされる。同様に、造形材料塗布デバイスが少なくとも1つの運動経路内で動かされるとき、造形材料塗布要素は、典型的には、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路内で造形材料塗布デバイスを動かすとき、造形材料塗布要素は、典型的には、造形平面内に或る量の造形材料を塗布することが可能になり、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成することが可能になるように、造形平面にわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路は、スパッタ除去及び造形材料塗布を組み合わせた経路として考え又は示すことができ、この経路内で、前に選択的に照射及び固化された造形材料層からスパッタを除去し、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に(新しい)造形材料を塗布して、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成する。
【0014】
例示的な実施形態によれば、造形材料塗布要素は、再被覆要素、たとえば再被覆ブレードとして構築することができるか、又は再被覆要素、たとえば再被覆ブレードを備えることができる。したがって、造形材料塗布デバイスは、再被覆要素、特に再被覆ブレードとして構築されるか又は再被覆要素、特に再被覆ブレードを備える少なくとも1つの造形材料塗布要素を備える再被覆デバイスとして構築することができる。しかし、少なくとも1つの造形材料塗布要素の他の実施形態も考えられる。したがって、造形材料塗布要素は、少なくとも1つの特にゲート状の開口を有する造形材料収納容器又は貯蔵器として構築することができるか、或いはそのような造形材料収納容器又は貯蔵器を備えることができる。造形材料は、この開口を通って収納容器又は貯蔵器から出て、それぞれの装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布することができ、少なくとも1つの開口は、少なくとも1つの開口に割り当てられた少なくとも1つの閉鎖要素によって閉鎖可能であり、閉鎖要素は、少なくとも1つの開口を通って装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布することが可能である開放位置と、少なくとも1つの開口を通って装置の造形平面内に或る量の造形材料を塗布することができない閉鎖位置との間で可動に支持される。
【0015】
例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素は、少なくとも1つのスパッタ除去ブレード要素、特に可撓性のスパッタ除去ブレード要素として構築することができるか、又は少なくとも1つのスパッタ除去ブレード要素、特に可撓性のスパッタ除去ブレード要素を備えることができる。スパッタ除去ブレード要素は、造形材料層からスパッタを除去することを可能にするように設計される。したがって、それぞれのスパッタ除去ブレード要素の具体的な幾何学的寸法及び配置は、それぞれのスパッタ除去ブレード要素によるそれぞれのスパッタの効率的な除去が実行可能になるように、除去すべきスパッタの典型的なサイズに適合させることができる。スパッタ除去ブレード要素が、たとえば前に選択的に照射及び固化された造形材料層の表面に負の影響を及ぼすことによって、新しい造形材料層の形成に負の影響を及ぼす可能性があることを避けるために、スパッタ除去ブレード要素は、可撓性材料、たとえばエラストマ材料から形成することができる。
【0016】
別の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素は、スパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素として構築することができるか、或いはスパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素を備えることができる。スパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素は、造形材料層からスパッタを除去することを可能にするように設計される。したがって、それぞれのスパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素の具体的な幾何学的寸法及び配置は、それぞれのスパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素によるそれぞれのスパッタの効率的な除去が実行可能になるように、除去すべきスパッタの典型的なサイズに適合させることができる。スパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素は、可撓性材料、たとえばエラストマ材料から形成することができる。スパッタ除去ブレード要素の例示的な実施形態について上記の注釈も同様に当てはまる。
【0017】
別の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素は、画定された空間配置内に複数のブラシ又はレーキ(rake)要素を備えるスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素として構築することができるか、或いはそのようなスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素を備えることができる。スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素は、造形材料層からスパッタを除去することを可能にするように設計される。したがって、それぞれのスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素、特にそれぞれのブラシ又はレーキ要素の具体的な幾何学的寸法及び配置は、それぞれのスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素によるそれぞれのスパッタの効率的な除去が実行可能になるように、除去すべきスパッタの典型的なサイズに適合させることができる。ブラシ又はレーキ要素は、可撓性材料、たとえばエラストマ材料から形成することができる。スパッタ除去ブレード要素の例示的な実施形態について上記の注釈も同様に当てはまる。
【0018】
別の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素は、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素、特に吹き込み又は吸い込みノズル要素として構築することができるか、或いはスパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素、特に吹き込み又は吸い込みノズル要素を備えることができる。したがって、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素は、それぞれのスパッタに作用してスパッタの除去を可能にする吹き込み流又は吸い込み流をもたらすように構成することができる。それぞれの吹き込み流又は吸い込み流を一体としてスパッタの方へ誘導するために、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素は、ノズル要素を備えることができ、ノズル要素は、それぞれのスパッタを除去すべきそれぞれの造形材料層の方へ向けることができる。したがって、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素は、それぞれの吹き込み流又は吸い込み流を生成するように構成された流れ生成ユニット、たとえば吹き込み又は吸い込みポンピングユニットを備えることができ、或いはそのような流れ生成ユニット、たとえば吹き込み又は吸い込みポンピングユニットに連結することができる。それぞれの吹き込み流又は吸い込み流は、(不活性)ガス流とすることができる。
【0019】
別の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素は、スパッタ除去振動要素、特に超音波振動要素、たとえば超音波トランスデューサとして構築することができるか、又はスパッタ除去振動要素、特に超音波振動要素、たとえば超音波トランスデューサを備えることができる。したがって、スパッタ除去要素は、造形材料層からスパッタを除去する前に、それぞれの造形材料層から付加製造すべき3次元の物体の一部分に、又は互いに機械的に相互連結されている可能性のあるそれぞれのスパッタに作用してスパッタの弛緩を可能にする(機械的)振動をもたらすように構成することができる。したがって、スパッタ除去要素は、それぞれの(機械的)振動を生成するように構成された振動生成ユニット、たとえば超音波生成ユニットを備えることができたり、又はそのような振動生成ユニット、たとえば超音波生成ユニットに連結することができる。
【0020】
当然ながら、スパッタ除去要素のそれぞれの例示的な実施形態の任意の組合せも考えられる。一例として、スパッタ除去ブレード要素の形状のスパッタ除去要素を、スパッタ除去振動要素の形状のスパッタ除去要素に組み合わせることができる。
【0021】
造形材料塗布デバイスは、支持構造又は支持構造体をそれぞれ備えることができる。支持構造又は支持構造体はそれぞれ、たとえば支持フレームとして構築することができるか、又は支持フレームを備えることができる。支持構造は、少なくとも1つの造形材料塗布要素を支持する少なくとも1つの支持部と、少なくとも1つのスパッタ除去要素を支持する少なくとも1つの支持部とを備えることができる。したがって、支持構造は、造形材料塗布要素及びスパッタ除去要素に連結して(機械的に)結合する1つの構造要素又は1群の構造要素として考えるべきである。それぞれの支持部と造形材料塗布要素又はスパッタ除去要素それぞれとの間の連結は、機械的連結とすることができる。それぞれの支持部は、支持構造と造形材料塗布要素又はスパッタ除去要素それぞれとの間の着脱可能な連結を可能にすることができる。一例として、それぞれの造形材料塗布要素又はスパッタ除去要素は、ボルト連結を介してそれぞれの支持部にそれぞれ連結することができる。したがって、それぞれの支持部は、ボルト、ねじなどを受け取るための孔として構築することができ、又はそのような孔を備えることができる。しかし、ラッチ連結などの他の連結タイプも同様に考えられる。
【0022】
第1の例示的な構成によれば、支持構造は、基体と、基体に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体から延びる第1の特にアーム状の延長部と、基体に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体から延びる少なくとも1つの第2の特にアーム状の延長部とを備えることができる。この例示的な構成では、少なくとも1つの造形材料塗布要素を支持する支持部は、典型的には、第1の延長部を備え、少なくとも1つのスパッタ除去要素を支持する支持部は、典型的には、少なくとも1つの第2の延長部を備える。
【0023】
別の例示的な構成によれば、支持構造は、基体と、基体に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体から延びる第1の特にアーム状の延長部と、基体に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体から延びる第2の特にアーム状の延長部と、基体に対して画定された空間関係で、特に直交する角度で、基体から延びる第3の特にアーム状の延長部とを備える。この例示的な構成では、少なくとも1つの造形材料塗布要素を支持する支持部は、典型的には、第2の延長部を備え、第1のスパッタ除去要素を支持する第1の支持部は、典型的には、第1の延長部を備え、第2のスパッタ除去要素を支持する第2の支持部は、典型的には、第3の延長部を備える。
【0024】
スパッタ除去要素を支持する支持部を備える延長部はそれぞれ、少なくとも1運動自由度で基体に対して且つ/又は互いに対して可動に支持することができ、運動自由度は、たとえば、それぞれのスパッタ除去要素を介してスパッタの除去が可能である動作位置と、それぞれのスパッタ除去要素を介してスパッタの除去が可能でない非動作位置との間の並進及び/又は回転(旋回)運動自由度とすることができる。これは特に、他方のスパッタ除去が非動作位置にある間に、一方のスパッタ除去要素が動作位置に位置することができることを可能にする。
【0025】
上記から明らかなように、それぞれの延長部は、造形材料塗布要素及び/又はスパッタ除去要素それぞれの一部を形成することができる。同様に、造形材料塗布要素及び/又はスパッタ除去要素は、それぞれの延長部の一部を形成することができる。
【0026】
いずれの場合も、基体及び延長部はそれぞれ、長手方向の幾何学的形状を有することができる。基体は、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して平行な配置で配置することができる。延長部は、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して角度をなす配置で、特に直交する配置で配置することができる。これらの延長部は、平行又は本質的に平行な配置で配置することができる。
【0027】
少なくとも、1つだけのスパッタ除去要素の第1の例示的な構成の場合、少なくとも1つの第2の延長部は、典型的には、新しい造形材料層を形成するためにある量の造形材料を塗布する造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して、すなわち特に造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって、支持構造のそれぞれの運動経路内で支持構造の所与の運動に対して、第1の延長部の前に配置される。
【0028】
上述したように、造形材料塗布デバイスは、典型的には、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して、すなわち特に造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって、少なくとも1つの運動経路内で可動に支持される。したがって、支持構造は、造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面に対して、すなわち特に造形材料塗布デバイスが割り当てられた装置の造形平面にわたって、少なくとも1運動自由度で可動に支持することができる。造形材料塗布デバイスは、それぞれの運動経路内で支持構造を動かす駆動力を生成することを可能にする駆動ユニット、たとえばモータを備えることができる。
【0029】
本発明はさらに、少なくとも1つのエネルギービームによって固化することができる造形材料の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体、たとえば技術的構成要素を付加製造する付加製造装置に関する。造形材料は、たとえば、金属粉末、セラミック粉末、又はポリマーの粉末の少なくとも1つを含むことができる。エネルギービームは、たとえば、電子ビーム又はレーザビームとすることができる。装置は、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置とすることができる。しかし、装置は、たとえば接着剤噴射装置、特に金属接着剤噴射装置とすることも考えられる。
【0030】
この装置は、その動作中に動作可能であり又は動作される複数の機能デバイス及び/又は構造デバイスを備える。各機能及び/又は構造デバイスは、複数の機能及び/又は構造ユニットを備えることができる。例示的な機能及び/又は構造デバイスは、装置の造形平面内に選択的に照射及び固化すべきある量の造形材料を塗布するように構成された造形材料塗布デバイス、並びに造形材料層の部分を少なくとも1つのエネルギービームによって選択的に照射し、それによって固化するように構成された照射デバイスである。この装置は、本明細書に指定する少なくとも1つの造形材料塗布デバイスを備えるため、造形材料塗布デバイスに関するすべての注釈が、この装置にも当てはまる。
【0031】
本発明はまた、3次元の物体を付加製造する装置の造形平面内の造形材料の層からのスパッタ、特に造形材料の層の選択的な照射から生じるスパッタを除去し、造形材料の層を塗布する方法に関する。この方法によれば、スパッタの除去及び造形材料の層の塗布は、本明細書に指定する造形材料塗布デバイスによって(本質的に)同時に実行される。言い換えれば、本明細書に指定する造形材料塗布デバイスが、この方法を実施するために使用される。この方法は、本明細書に指定する少なくとも1つの造形材料塗布デバイスによって実施されるため、造形材料塗布デバイスに関するすべての注釈が、この方法にも当てはまる。
【0032】
本発明の例示的な実施形態について、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】例示的な実施形態による3次元の物体を付加製造する装置の原理図である。
【
図2】例示的な実施形態による造形材料塗布デバイスの原理図である。
【
図3】例示的な実施形態による造形材料塗布デバイスの原理図である。
【
図4】例示的な実施形態による造形材料塗布デバイスの原理図である。
【
図5】例示的な実施形態による造形材料塗布デバイスの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、例示的な実施形態による少なくとも1つのエネルギービーム4によって固化することができる粉末状の造形材料3、たとえば金属粉末の層を連続して層ごとに選択的に照射し、それに伴って固化することによって3次元の物体2、たとえば技術的構成要素を付加製造(積層造形)する装置1の例示的な実施形態の原理図を示す。エネルギービーム4は、たとえば、電子ビーム又はレーザビームとすることができる。したがって、装置1は、たとえば、選択的電子ビーム溶融装置又は選択的レーザ溶融装置として実施することができる。
【0035】
装置1は、その動作中に動作可能であり且つ動作される複数の機能及び/又は構造・デバイスを備える。各機能及び/又は構造デバイスは、複数の機能及び/又は構造ユニットを備えることができる。機能及び/又は構造デバイス並びに装置1の動作は、(中央)制御デバイス(図示せず)によってそれぞれ制御される。
【0036】
装置1の例示的な機能及び/又は構造デバイスは、照射デバイス6及び造形材料塗布デバイス5である。
【0037】
照射デバイス6は、物体2の付加造形中に造形材料3の層の部分を少なくとも1つのエネルギービーム4によって選択的に照射及び固化するように構成される。照射デバイス6は、少なくとも1つのエネルギービーム4を生成するように構成されたビーム生成ユニット(図示せず)と、エネルギービーム4を装置1の造形平面E内の様々な位置へ偏向させるように構成されたビーム偏向ユニット(図示せず)、たとえば走査ユニットとを備えることができる。
【0038】
造形材料塗布デバイス5は、たとえば装置1の造形平面E内に或る量、特に特有の量の造形材料3を塗布するように構成される。造形材料3は、投与モジュールなどの造形材料供給デバイス(図示せず)から供給することができる。装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布することによって、装置1の動作中に選択的に照射及び固化すべき造形材料層が形成される。したがって、造形材料塗布デバイス5は、装置1の動作中に選択的に照射及び固化すべき造形材料層を形成するために、装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布するように構成される。この造形材料塗布プロセスは、装置1の動作中に数回繰り返される。
【0039】
両方向の矢印P1によって示すように、造形材料塗布デバイス5は、装置1の処理チャンバ7内で可動に支持される。
【0040】
図2~4はそれぞれ、造形材料塗布デバイス5の例示的な実施形態を示す。いずれの場合も、造形材料塗布デバイス5は、少なくとも1つの造形材料塗布要素8及び少なくとも1つのスパッタ除去要素9を備える。造形材料塗布要素8は、装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布するように構成される。スパッタ除去要素9は、造形材料3のそれぞれの層内に存在するスパッタ10を除去するように構成される。それぞれのスパッタ10は、典型的には、造形材料3のそれぞれの層の選択的な照射から生じる。スパッタ10(溶接スパッタと呼ばれることもある)は、典型的には、それぞれの造形材料層の照射から生じる固化されていない造形材料の集塊、残留物などによって構築される。
【0041】
造形材料塗布デバイス5は、造形材料塗布要素8とスパッタ除去要素9との両方を備えるため、造形材料塗布デバイス5は、造形材料塗布機能とスパッタ除去機能との両方を備える。したがって、造形材料塗布デバイス5は、造形材料の塗布とスパッタ10の除去との両方を可能にする。したがって、造形材料塗布デバイス5は、それぞれのスパッタ10の非常に効率的且つ総合的な除去を可能にする。
【0042】
図1に両方向の矢印P1によって示すように、造形材料塗布デバイス5は、装置1の造形平面Eに対して、すなわち装置1の造形平面Eにわたって、少なくとも1つの運動経路内で可動に支持される。少なくとも1つの運動経路は、たとえば、並進運動経路とすることができる。造形材料塗布デバイス5が少なくとも1つの運動経路内で動かされるとき、スパッタ除去要素9は、装置1の造形平面Eにわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路内で造形材料塗布デバイス5を動かすとき、スパッタ除去要素9は、(前に選択的に照射及び固化された)造形材料層からスパッタ10を除去することが可能になるように、造形平面Eにわたって動かされる。同様に、造形材料塗布デバイス5が少なくとも1つの運動経路内で動かされるとき、造形材料塗布要素8は、装置1の造形平面Eにわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路内で造形材料塗布デバイス5を動かすとき、造形材料塗布要素8は、造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布することが可能になり、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成することが可能になるように、造形平面Eにわたって動かされる。したがって、少なくとも1つの運動経路は、スパッタ除去及び造形材料塗布を組み合わせた経路として考え又は示すことができ、この経路内で、前に選択的に照射及び固化された造形材料層からスパッタ10を除去し、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に(新しい)造形材料3を塗布して、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成する。
【0043】
被覆方向、すなわち前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成するために、ある量の造形材料3を塗布するように造形材料塗布デバイス5が動かされる方向を、
図2~4に矢印CDで示す。
【0044】
それぞれ造形材料塗布デバイス5の例示的な実施形態を示している
図2~4から明らかなように、造形材料塗布要素8及びスパッタ除去要素9は、造形材料塗布デバイス5の動作中に、前に選択的に照射及び固化された造形材料層からまず最初にそれぞれのスパッタ10をスパッタ除去要素9が除去した後、この造形材料層にある量の(新しい)造形材料3を塗布して、前に選択的に照射及び固化された造形材料層上に選択的に照射及び固化すべき新しい造形材料層を形成するように、互いに対して配置される。
【0045】
図2~4に与える例示的な実施形態によれば、造形材料塗布要素8は、再被覆要素、たとえば再被覆ブレードとして構築される。したがって、造形材料塗布デバイス5は、再被覆要素、特に再被覆ブレードとして構築された少なくとも1つの造形材料塗布要素8を備える再被覆デバイスとして構築される。しかし、図示しない場合でも、造形材料塗布要素8の他の実施形態が考えられる。したがって、造形材料塗布要素8は、少なくとも1つの特にゲート状の開口を有する造形材料収納容器又は貯蔵器として構築することができ、造形材料3は、この開口を通って収納容器又は貯蔵器から出て、装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布することができる。それぞれの開口は、少なくとも1つの開口に割り当てられた閉鎖要素によって閉鎖可能とすることができる。それぞれの閉鎖要素は、開口を通って装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布することが可能である開放位置と、開口を通って装置1の造形平面E内に或る量の造形材料3を塗布することができない閉鎖位置との間で可動に支持することができる。
【0046】
図2の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素9は、画定された空間配置内に複数のブラシ又はレーキ(rake)要素21を備えるスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素20として構築される。スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素20は、造形材料層からスパッタ10を除去することを可能にするように設計される。したがって、スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素20、特にそれぞれのブラシ又はレーキ要素21の具体的な幾何学的寸法及び配置は、スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素20によるそれぞれのスパッタ10の効率的な除去が実行可能になるように、除去すべきスパッタ10の典型的なサイズに適合される。ブラシ又はレーキ要素21は、剛性材料(たとえば金属)及び/又は可撓性材料(たとえばエラストマ材料)から形成することができる。
【0047】
図2は、造形材料塗布デバイス5が支持構造11を備えることができることをさらに示す。支持構造11は、支持フレームとして構築することができるか、又は支持フレームを備えることができる。支持構造11は、造形材料塗布要素8を支持する少なくとも1つの支持部と、スパッタ除去要素9を支持する支持部とを備える。したがって、支持構造11は、造形材料塗布要素8及びスパッタ除去要素9に連結して(機械的に)結合する1つの構造要素又は1群の構造要素として考えるべきである。それぞれの支持部12、13と造形材料塗布要素8又はスパッタ除去要素9それぞれとの間の連結は、機械的連結とすることができる。それぞれの支持部12、13は、支持構造11と造形材料塗布要素8又はスパッタ除去要素9それぞれとの間の着脱可能な連結を可能にすることができる。一例として、それぞれの造形材料塗布要素8又はスパッタ除去要素9は、ボルト連結を介してそれぞれの支持部12、13にそれぞれ連結することができる。したがって、それぞれの支持部12、13は、ボルト、ねじなどを受け取るための孔(図示せず)として構築することができ、又はそのような孔を備えることができる。しかし、ラッチ連結などの他の連結タイプも同様に考えられる。
【0048】
上述したように、造形材料塗布デバイス5は、装置1の造形平面Eに対して、すなわち特に装置1の造形平面Eにわたって、少なくとも1つの運動経路内で可動に支持される。したがって、支持構造11は、装置1の造形平面Eに対して、すなわち特に装置1の造形平面Eにわたって、少なくとも1運動自由度で可動に支持することができる。造形材料塗布デバイス5は、それぞれの運動経路内で支持構造11を動かす駆動力を生成することを可能にする駆動ユニット(図示せず)、たとえばモータを備えることができる。
【0049】
図2の例示的な実施形態の構成によれば、支持構造11は、基体14と、基体14に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体14から延びる第1のアーム状の延長部15と、基体14に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体14から延びる第2のアーム状の延長部16と、を備える。この例示的な構成では、造形材料塗布要素8を支持する支持部12は、典型的には、第1の延長部15を備え、スパッタ除去要素9を支持する支持部13は、典型的には、第2の延長部16を備える。
【0050】
図2の例示的な構成では、第2の延長部16は、新しい造形材料層を形成するために或る量の造形材料3を塗布する装置1の造形平面Eに対して、すなわち特に装置1の造形平面Eにわたって、それぞれの運動経路内で支持構造11の所与の運動(矢印CD参照)に対して、第1の延長部15の前に配置される。
【0051】
図3の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素9は、スパッタ除去ブレード要素22として構築される。スパッタ除去ブレード要素22は、造形材料層からスパッタ10を除去することを可能にするように設計される。したがって、スパッタ除去ブレード要素22の具体的な幾何学的寸法及び配置は、スパッタ除去ブレード要素22によるそれぞれのスパッタ10の効率的な除去が実行可能になるように、除去すべきスパッタ10の典型的なサイズに適合される。スパッタ除去ブレード要素22は、可撓性材料、たとえばエラストマ材料から形成することができる。
【0052】
図4の例示的な実施形態によれば、スパッタ除去要素9は、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素17として構築される。したがって、スパッタ除去要素9は、それぞれのスパッタ10に作用してスパッタ10の除去を可能にする吹き込み流又は吸い込み流をもたらすように構成される。それぞれの吹き込み流又は吸い込み流(矢印Sによって示す)を一体としてスパッタ10の方へ誘導するために、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素17は、ノズル要素を備えることができ、ノズル要素は、それぞれのスパッタ10を除去すべきそれぞれの造形材料層の方へ向けることができる。スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素17は、それぞれの吹き込み流又は吸い込み流を生成するように構成された流れ生成ユニット18、たとえば吹き込み又は吸い込みポンピングユニットを備えることができ、或いはそのような流れ生成ユニット18、たとえば吹き込み又は吸い込みポンピングユニットに(流れチャネル構造体19を介して)連結することができる。それぞれの吹き込み流又は吸い込み流は、(不活性)ガス流とすることができる。
【0053】
別個の実施形態に図示されていないそれぞれのスパッタ除去要素9の他の可能な実施形態は、スパッタ除去振動要素23(
図3参照)、特に超音波振動要素、たとえば超音波トランスデューサである。したがって、スパッタ除去振動要素23は、造形材料層からスパッタ10を除去する前に、それぞれの造形材料層から付加製造すべき3次元の物体2の一部分に、又は互いに機械的に相互連結されている可能性のあるそれぞれのスパッタ10に作用してスパッタ10の弛緩を可能にする(機械的)振動をもたらすように構成される。したがって、スパッタ除去振動要素23は、それぞれの(機械的)振動を生成するように構成された振動生成ユニット、たとえば超音波生成ユニットを備えることができたり、又はそのような振動生成ユニット、たとえば超音波生成ユニットに連結することができる。
【0054】
当然ながら、スパッタ除去要素9のそれぞれの例示的な実施形態の任意の組合せが考えられる。
図3に示すように、たとえば、スパッタ除去ブレード要素22の形状のスパッタ除去要素9を、スパッタ除去振動要素23の形状のスパッタ除去要素に組み合わせることができる。
【0055】
図5の例示的な実施形態によれば、支持構造11は、基体14と、基体14に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体14から延びる第1のアーム状の延長部16と、基体14に対して画定された関係で、特に直交する角度で、基体14から延びる第2の特にアーム状の延長部15と、基体14に対して画定された空間関係で、特に直交する角度で、基体14から延びる第3のアーム状の延長部24とを備える。この構成では、造形材料塗布要素8を支持する支持部12は、第2の延長部15を備え、第1のスパッタ除去要素9を支持する第1の支持部13は、第1の延長部16を備え、第2のスパッタ除去要素9を支持する第2の支持部25は、第3の延長部24を備える。
【0056】
点線によって示すように、第2のスパッタ除去要素9を支持する支持部25を備える延長部24(同じことを延長部16にも当てはめることができる)はそれぞれ、少なくとも1運動自由度で基体14に対して且つ/又は互いに対して可動に支持することができ、運動自由度は、たとえば、それぞれのスパッタ除去要素9を介してスパッタ10の除去が可能である動作位置(
図5の左側参照)と、それぞれのスパッタ除去要素9を介してスパッタ10の除去が可能でない非動作位置(
図5の右側参照)との間の並進運動自由度(両方向の矢印P2によって示す)及び/又は回転(旋回)運動自由度(両方向の矢印P3によって示す)とすることができる。これは、他方のスパッタ除去が非動作位置にある間に、一方のスパッタ除去要素9が動作位置に位置することができることを可能にする。
【0057】
図2~5から明らかなように、基体14及び延長部15、16、24はそれぞれ、長手方向の幾何学的形状を有することができる。基体14は、装置1の造形平面Eに対して平行な配置で配置することができる。延長部15、16、24は、装置1の造形平面Eに対して角度をなす配置で、特に直交する配置で配置することができる。延長部15、16、24は、平行な又は本質的に平行な配置で配置することができる。
【0058】
装置1は、3次元の物体2を付加製造し、造形材料3の層を塗布する装置1の造形平面E内の造形材料3の層からスパッタ10を除去する方法を実施することを可能にする。この方法によれば、スパッタ10の除去及び造形材料3の(新しい)層の塗布は、それぞれの造形材料塗布デバイス5によって(本質的に)同時に実行される。
【0059】
(付記)
以上の開示から、以下の付記が提案される。
<実施態様1>
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料(3)の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)向けの造形材料塗布デバイス(5)であって、この造形材料塗布デバイス(5)は、
- 少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造するそれぞれの装置(1)の造形平面(E)内に或る量の造形材料(3)を塗布するように構成された少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)と、
- 3次元の物体(2)を付加製造するそれぞれの装置(1)の造形材料(3)の層内に存在するスパッタ(10)を除去し、特に前記造形材料(3)のそれぞれの層の選択的な照射から生じるスパッタ(10)を除去するように構成された少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)と、を備える造形材料塗布デバイス。
<実施態様2>
前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)は、再被覆要素、特に再被覆ブレード要素として構築されるか、又は再被覆要素、特に再被覆ブレード要素を備える、実施態様1の造形材料塗布デバイス。
<実施態様3>
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去ブレード要素(22)、特に可撓性のスパッタ除去ブレード要素として構築されるか、又はスパッタ除去ブレード要素(22)、特に可撓性のスパッタ除去ブレード要素を備える、実施態様1又は2の造形材料塗布デバイス。
<実施態様4>
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素として構築されるか、或いはスパッタ除去ドクターブレード又はワイパ要素を備える、実施態様1~3のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様5>
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、画定された空間配置内に複数のブラシ又はレーキ要素(21)を備えるスパッタ除去ブラシ又はレーキ要素(20)として構築されるか、或いは前記スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素(20)を備える、実施態様1~4のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様6>
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素(17)、特に吹き込み又は吸い込みノズル要素として構築されるか、或いはスパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素(17)、特に吹き込み又は吸い込みノズル要素を備える、実施態様1~5のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様7>
前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)は、スパッタ除去振動要素(23)、特に超音波振動要素として構築されるか、又はスパッタ除去振動要素(23)、特に超音波振動要素を備える、実施態様1~6のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様8>
支持構造(11)をさらに備え、前記支持構造(11)は、前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)を支持する少なくとも1つの支持部(12)と、前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)を支持する少なくとも1つの支持部(13)とを備える、実施態様1~7のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様9>
前記支持構造(11)は、特に前記造形材料塗布デバイス(5)が割り当てられた前記装置(1)の前記造形平面(E)に対して、少なくとも1運動自由度で可動に支持される、実施態様8の造形材料塗布デバイス。
<実施態様10>
基体(14)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びる第1の特にアーム状の延長部(16)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びる少なくとも1つの第2の特にアーム状の延長部(15)とを備える支持構造(11)を備え、それによって前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)を支持する前記支持部(12)は、前記第1の延長部(15)を備え、前記少なくとも1つのスパッタ除去要素(9)を支持する前記支持部(13)は、前記少なくとも1つの第2の延長部(16)を備える、実施態様8又は9の造形材料塗布デバイス。
<実施態様11>
前記少なくとも1つの第2の延長部(16)は、造形材料塗布の運動経路に沿って前記支持構造(11)の所与の運動に対して前記第1の延長部(15)の前に配置される、実施態様10の造形材料塗布デバイス。
<実施態様12>
基体(14)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びる第1の特にアーム状の延長部(15)と、前記基体(14)に対して画定された関係で前記基体(14)から延びる第2の特にアーム状の延長部(16)と、前記基体(14)に対して画定された空間関係で前記基体(14)から延びる第3の特にアーム状の延長部(24)とを備える支持構造(11)を備え、それによって前記少なくとも1つの造形材料塗布要素(8)を支持する前記支持部(12)は、前記第2の延長部(15)を備え、第1のスパッタ除去要素(9)を支持する第1の支持部(13)は、前記第1の延長部(16)を備え、第2のスパッタ除去要素(9)を支持する第2の支持部(25)は、前記第3の延長部(24)を備える、実施態様1~9のいずれか一つの造形材料塗布デバイス。
<実施態様13>
スパッタ除去要素(9)を支持する前記支持部(12、13)を備える前記延長部(15、16、24)はそれぞれ、前記それぞれのスパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能である動作位置と、前記それぞれのスパッタ除去要素(9)を介してスパッタ(10)の除去が可能でない非動作位置との間を少なくとも1運動自由度で、前記基体(14)に対して且つ/又は互いに対して可動に支持される、実施態様12の造形材料塗布デバイス。
<実施態様14>
少なくとも1つのエネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料(3)の層を連続して層ごとに選択的に照射及び固化することによって少なくとも1つの3次元の物体(2)を付加製造する付加製造装置(1)であって、実施態様1~13のいずれか一つの少なくとも1つの造形材料塗布デバイス(5)を備える付加製造装置。
<実施態様15>
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の造形平面(E)内の造形材料の層からのスパッタ(10)、特に造形材料(3)の層の選択的な照射から生じるスパッタ(10)を除去し、造形材料(3)の層を塗布する方法であって、スパッタ(10)の除去及び造形材料(3)の層の塗布が、実施態様1~13のいずれか一つの造形材料塗布デバイス(5)によって同時に実行される、方法。
【符号の説明】
【0060】
1 付加製造装置
2 3次元の物体
3 造形材料
4 エネルギービーム
5 造形材料塗布デバイス
6 照射デバイス
7 処理チャンバ
8 造形材料塗布要素
9 スパッタ除去要素
10 スパッタ
11 支持構造
12 支持部
13 支持部
14 基体
15 第1のアーム状の延長部
16 第2のアーム状の延長部
17 スパッタ除去吹き込み又は吸い込み要素
18 流れ生成ユニット
19 流れチャネル構造体
20 スパッタ除去ブラシ又はレーキ要素
21 ブラシ又はレーキ要素
22 スパッタ除去ブレード要素
23 スパッタ除去振動要素
24 第3のアーム状の延長部
25 第2の支持部
E 造形平面
S 吹き込み流又は吸い込み流