(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】搬送用装置、搬送方法および検体分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20220329BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G01N35/04 H
B25J13/00 Z
G01N35/04 G
(21)【出願番号】P 2017089830
(22)【出願日】2017-04-28
【審査請求日】2020-03-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】高井 啓
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝明
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 友希男
(72)【発明者】
【氏名】大内 哲志
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-226834(JP,A)
【文献】特開2012-206219(JP,A)
【文献】特開2012-088190(JP,A)
【文献】特開2008-261735(JP,A)
【文献】特開2008-213129(JP,A)
【文献】特開2010-083679(JP,A)
【文献】特開2008-076185(JP,A)
【文献】国際公開第2013/002269(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/061471(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0134130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0215357(US,A1)
【文献】特開平07-239336(JP,A)
【文献】特表2001-505648(JP,A)
【文献】特開2016-164555(JP,A)
【文献】特公昭61-19231(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体分析装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、
上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含み、第1検体分析装置に設けられた排出部から前記容器または前記ラックを搬出し、前記排出部から搬出された前記容器または前記ラックを、第2検体分析装置に設けられた前記排出部とは異なる高さの供給部に搬送する単一のロボットアームと、
前記単一のロボットアームを支持する基台と、を備える、搬送用装置。
【請求項2】
前記第2検体分析装置は、前記第1検体分析装置と異なる分析を行う、請求項
1に記載の搬送用装置。
【請求項3】
前記基台は、設置面に対して移動可能である、請求項
1または2に記載の搬送用装置。
【請求項4】
前記基台は、前記基台を前記設置面に対して移動させるキャスタと、伸縮可能な固定用脚とを含み、前記固定用脚が前記基台から下方に伸びることにより、前記キャスタが浮上して、前記設置面に対して固定される、請求項
3に記載の搬送用装置。
【請求項5】
前記基台は、前記第1検体分析装置および前記第2検体分析装置の操作者が立入可能な領域に設置される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項6】
前記ロボットアームは、定格出力が80W以下である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項7】
前記ロボットアームは、操作者が前記第1検体分析装置および前記第2検体分析装置の少なくとも1つを操作するための空間を稼動範囲に含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項8】
前記ロボットアームに交換可能に設けられ、前記容器または前記ラックを把持するハンドを備える、請求項1~
7のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項9】
前記ロボットアームには、前記ラックを保持するハンドが設けられ、
前記ハンドは、前記ラックを上方から把持する第1ハンドと、前記ラックを側方から把持する第2ハンドとを含み、
前記第1ハンドおよび前記第2ハンドは、選択的に使用される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項10】
前記ロボットアームの動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ロボットアームに有線または無線により接続されている、請求項1~
9のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記基台に対する前記第1検体分析装置および前記第2検体分析装置のうち少なくとも1つの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項
10に記載の搬送用装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記基台に格納されている、請求項
10または
11に記載の搬送用装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1検体分析装置および前記第2検体分析装置の少なくとも一方からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項
10~12のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項14】
前記制御部は、外部の制御システムから信号を受信し、外部の制御システムから受信した信号に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項
10~12のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項15】
撮像部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部により撮像した画像に基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する、請求項
10~14のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項16】
前記排出部からは、操作者により前記容器または前記ラックを取出し可能であるとともに、前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを取出し可能であり、
前記供給部には、操作者により前記容器または前記ラックを受け渡し可能であるとともに、前記ロボットアームにより前記容器または前記ラックを受け渡し可能である、請求項1~
15のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項17】
前記排出部および前記供給部は、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されており、
前記ロボットアームは、前記排出部から、前記排出部に対して設置面からの高さが異なる前記供給部に、前記容器または前記ラックを搬送する、請求項
16に記載の搬送用装置。
【請求項18】
前記ロボットアームは、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に、動作が停止される、請求項1~
17のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項19】
前記ロボットアームは、前記ラックを取り出す際に、複数の前記ラックが配置される方向に、前記ラックを把持するハンドを段階的に移動させて前記ラックを検出し、前記ラックを検知した場合に、前記ハンドにより前記ラックを保持する、請求項1~
18のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項20】
前記ハンドには、前記ラックを検知する非接触式のセンサが設けられている、請求項
19に記載の搬送用装置。
【請求項21】
前記ロボットアームは、前記ラックを取り出す際に、前記ラックを押圧して移動させてから、前記ラックを保持する、請求項
19または
20に記載の搬送用装置。
【請求項22】
前記第1検体分析装置は、血球分析装置であり、
前記第2検体分析装置は、細菌検査装置である、請求項1~
21のいずれか1項に記載の搬送用装置。
【請求項23】
検体分析装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、
上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含む単一のロボットアームにより、第1検体分析装置に設けられた排出部から前記容器または前記ラックを搬出し、前記排出部から搬出された前記容器または前記ラックを、第2検体分析装置に設けられた前記排出部とは異なる高さの供給部に搬送する、搬送方法。
【請求項24】
前記ロボットアームにより、前記第1検体分析装置と、前記第1検体分析装置と異なる分析を行う前記第2検体分析装置との間で前記容器または前記ラックを搬送する、請求項
23に記載の搬送方法。
【請求項25】
前記ロボットアームにより、前記ラックを取り出す際に、前記ラックを押圧して移動させてから、前記ラックを保持する、請求項
23または24に記載の搬送方法。
【請求項26】
前記ロボットアームにより、複数の前記容器または前記ラックを、前記容器に入れられた検体が前記第1検体分析装置により分析された順に搬送する、請求項
23~25のいずれか1項に記載の搬送方法。
【請求項27】
第1検体分析装置と、
第2検体分析装置と、
上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含み、前記第1検体分析装置に設けられた排出部から検体分析装置で用いられる容器または前記容器が収納されるラックを搬出し、前記排出部から搬出された前記容器または前記ラックを、前記第2検体分析装置に設けられた前記排出部とは異なる高さの供給部に搬送する単一のロボットアームと、前記単一のロボットアームを支持する基台と、を含む、搬送用装置と、を備える、検体分析システム。
【請求項28】
前記第2検体分析装置は、前記第1検体分析装置と異なる分析を行う、請求項
27に記載の検体分析システム。
【請求項29】
前記第1検体分析装置から搬出される前記容器または前記ラックが収容される回収ユニットと、
前記第2検体分析装置に投入される前記容器または前記ラックが収容される投入ユニットと、を備え、
前記ロボットアームは、前記投入ユニットに収容される前記容器または前記ラックを、前記第2検体分析装置に搬送する、請求項
27または28に記載の検体分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送用装置、搬送方法および検体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の検体分析装置の間において容器が収納されたラックを搬送する搬送用装置が知られている。たとえば、特許文献1には、複数の検体分析装置の間において容器が収納されたラックを搬送する搬送ベルトを含む搬送ラインと、ラックの向きを変更するターンテーブルとを備える搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような従来の搬送装置では、搬送ベルトを含む搬送ラインによりラックを搬送するため、複数の検体分析装置を搬送ラインにより接続する場合、搬送ラインに沿って複数の検体分析装置を配列する必要がある。また、ターンテーブルによりラックの向きを変更することは可能であるものの、複数の検体分析装置の高さ位置が異なる場合は、ラックを搬送することが困難である。このため、複数の検体分析装置の高さ位置を揃える必要がある。これらの結果、従来の搬送装置を用いた場合、複数の検体分析装置の設置の自由度を高くすることが困難であるという問題点がある。
【0005】
この発明は、複数の検体分析装置の設置の自由度を高くすることに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による搬送用装置は、検体分析装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送用装置であって、上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含み、第1検体分析装置に設けられた排出部から容器またはラックを搬出し、排出部から搬出された容器またはラックを、第2検体分析装置に設けられた排出部とは異なる高さの供給部に搬送する単一のロボットアームと、単一のロボットアームを支持する基台と、を備える。
【0008】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、第2検体分析装置(40)は、第1検体分析装置(20、30)と異なる分析を行う。このように構成すれば、搬送用装置(10)により、容器(81)またはラック(80)を、互いに異なる分析を行う検体分析装置間において搬送することができる。
【0009】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、基台(12)は、設置面に対して移動可能である。このように構成すれば、搬送用装置(10)を第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)に対して移動させることができるので、搬送用装置(10)を、他の装置や操作者に対して邪魔にならない位置に自由に配置することができる。また、搬送用装置(10)、第1検体分析装置(20、30)または第2検体分析装置(40)をメンテナンスのために移動させることができる。これにより、メンテナンスを行うために、他の装置や壁との間に隙間を設けて配置する必要がないので、設置面積が大きくなるのを抑制することができるとともに、複数の検体分析装置の設置の自由度をより高くすることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、基台(12)は、基台(12)を設置面に対して移動させるキャスタ(121)と、伸縮可能な固定用脚(122)とを含み、固定用脚(122)が基台(12)から下方に伸びることにより、キャスタ(121)が浮上して、設置面に対して固定される。このように構成すれば、キャスタ(121)により基台(12)を容易に移動させることができるとともに、固定用脚(122)により、基台(12)を設置面に対して容易に固定することができる。
【0011】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、基台(12)は、第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)の操作者が立入可能な領域に設置される。このように構成すれば、操作者の操作に替えてロボットアーム(11)によっても第1検体分析装置(20、30)または第2検体分析装置(40)に対して操作を行うことができるので、汎用性を向上させることができる。
【0012】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、定格出力が80W以下である。このように構成すれば、ロボットアーム(11)の出力を小さくすることができるので、安全柵や監視装置を設けなくても、作業者がロボットアーム(11)の稼働領域に入ることができる。また、省エネルギー化を図ることができる。
【0013】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、操作者が第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)の少なくとも1つを操作するための空間を稼動範囲に含む。このように構成すれば、ロボットアーム(11)を使用しながら、操作者によって第1検体分析装置(20、30)または第2検体分析装置(40)に対して操作を行うことができるので、操作の利便性および汎用性を向上させることができる。
【0014】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)に交換可能に設けられ、容器(81)またはラック(80)を把持するハンド(114、115)を備える。このように構成すれば、ハンド(114、115)により容器(81)またはラック(80)を確実に保持して搬送することができる。また、ハンド(114、115)を交換することができるので、容器(81)の形状やラック(80)の形状に応じて、容器(81)またはラック(80)を保持するのに適したハンド(114、115)を選択してロボットアーム(11)に設けることができる。
【0015】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)には、ラック(80)を保持するハンドが設けられ、ハンドは、ラック(80)を上方から把持する第1ハンド(114)と、ラック(80)を側方から把持する第2ハンド(115)とを含み、第1ハンド(114)および第2ハンド(115)は、選択的に使用される。このように構成すれば、ラック(80)を受け渡す位置の状態に応じて、ラック(80)を把持する方向を使い分けることができるので、第1ハンド(114)および第2ハンド(115)により、ラック(80)を容易に把持することができる。
【0019】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)の動作を制御する制御部(13)を備え、制御部(13)は、ロボットアーム(11)に有線または無線により接続されている。このように構成すれば、制御部(13)の制御により、ロボットアーム(11)を稼働させて、容器(81)またはラック(80)を容易に搬送することができる。
【0020】
この場合、好ましくは、制御部(13)は、基台(12)に対する第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)のうち少なくとも1つの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、制御部(13)により位置を調整してロボットアーム(11)を動作させることができるので、第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)に対して基台(12)を精度よく位置決めして設置しなくても、容器(81)またはラック(80)を精度よく搬送することができる。
【0021】
上記制御部(13)を備える搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、基台(12)に格納されている。このように構成すれば、制御部(13)を基台(12)とは別個に設ける場合に比べて、設置面積を小さくすることができる。また、制御部(13)とロボットアーム(11)との間の距離を小さくすることができる。これにより、制御部(13)とロボットアーム(11)とを有線により接続する場合は、接続する線を短くすることができるので、装置構成を簡素化することができる。また、制御部(13)とロボットアーム(11)とを無線により接続する場合は、通信を安定させることができる。
【0022】
上記制御部(13)を備える搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)の少なくとも一方からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、第1検体分析装置(20、30)または第2検体分析装置(40)からの容器(81)またはラック(80)の搬出要求または搬入要求に応じて、ロボットアーム(11)により容器(81)またはラック(80)を搬送することができる。
【0023】
上記制御部(13)を備える搬送用装置(10)において、好ましくは、制御部(13)は、外部の制御システムから信号を受信し、外部の制御システムから受信した信号に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、外部の制御システムにより、第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)とともに、搬送用装置(10)も一括して制御を行うことができる。
【0024】
上記制御部(13)を備える搬送用装置(10)において、好ましくは、撮像部(117)をさらに備え、制御部(13)は、撮像部(117)により撮像した画像に基づいて、ロボットアーム(11)の動作を制御する。このように構成すれば、たとえば、搬送する容器(81)またはラック(80)の有無および位置を画像により確認して、ロボットアーム(11)を動作させることができる。
【0025】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、排出部からは、操作者により容器(81)またはラック(80)を取出し可能であるとともに、ロボットアーム(11)により容器(81)またはラック(80)を取出し可能であり、供給部には、操作者により容器(81)またはラック(80)を受け渡し可能であるとともに、ロボットアーム(11)により容器(81)またはラック(80)を受け渡し可能である。このように構成すれば、操作者により容器(81)またはラック(80)を取り出す排出部から、ロボットアーム(11)により容器(81)またはラック(80)を取出し、操作者により容器(81)またはラック(80)を受け渡す供給部に、ロボットアーム(11)により容器(81)またはラック(80)を受け渡すことができるので、ロボットアーム(11)専用の排出部および供給部を別途設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができる。
【0026】
この場合、好ましくは、排出部および供給部は、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されており、ロボットアーム(11)は、排出部から、排出部に対して設置面からの高さが異なる供給部に、容器(81)またはラック(80)を搬送する。このように構成すれば、排出部と供給部との高さが異なる場合でも、別途昇降装置を設けることなく容器(81)またはラック(80)を搬送することができる。また、高さの異なる分析装置を容易に組み合わせて使用することができるので、分析装置の選択の自由度を効果的に高めることができる。
【0027】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に、動作が停止される。このように構成すれば、たとえば、ロボットアーム(11)が操作者に接触した場合でも、操作者に大きな衝撃が伝わるのを抑制することができる。また、ロボットアーム(11)に過度の負荷がかかるのを抑制することができる。
【0028】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、ラック(80)を取り出す際に、複数のラック(80)が配置される方向に、ラック(80)を把持するハンド(115)を段階的に移動させてラック(80)を検出し、ラック(80)を検知した場合に、ハンド(115)によりラック(80)を保持する。このように構成すれば、ラック(80)を取り出す際にラック(80)の位置を正確に取得しなくても、ハンド(115)によりラック(80)を容易に保持して取り出すことができる。
【0029】
この場合、好ましくは、ハンド(115)には、ラック(80)を検知する非接触式のセンサ(1153)が設けられている。このように構成すれば、非接触式のセンサ(1153)により、ラック(80)を確実に検知することができる。
【0030】
上記ラックを把持するハンドを段階的に移動させてラックを検出する構成の搬送用装置(10)において、好ましくは、ロボットアーム(11)は、ラック(80)を取り出す際に、ラック(80)を押圧して移動させてから、ラック(80)を保持する。このように構成すれば、ラック(80)の取り出し時に、ラック(80)の位置が傾いていた場合でも、押圧して移動させることにより、ラック(80)の姿勢を調整することができるので、ラック(80)が傾いて保持されたり、保持し損ねることを抑制することができる。
【0031】
上記第1の局面による搬送用装置(10)において、好ましくは、第1検体分析装置(20、30)は、血球分析装置であり、第2検体分析装置(40)は、細菌検査装置である。このように構成すれば、血球分析装置と細菌検査装置との間で、容器(81)またはラック(80)を搬送することができるので、血球分析と、細菌検査との両方を自動で続けて行うことができる。
【0041】
この発明の第2の局面による搬送方法は、検体分析装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬送する搬送方法であって、上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含む単一のロボットアームにより、第1検体分析装置に設けられた排出部から容器またはラックを搬出し、排出部から搬出された容器またはラックを、第2検体分析装置に設けられた排出部とは異なる高さの供給部に搬送する。
【0042】
上記第2の局面による搬送方法において、好ましくは、ロボットアーム(11)により、第1検体分析装置(20、30)と、第1検体分析装置(20、30)と異なる分析を行う第2検体分析装置(40)との間で容器(81)またはラック(80)を搬送する。このように構成すれば、ロボットアーム(11)により、容器(81)またはラック(80)を、互いに異なる分析を行う検体分析装置間において搬送することができる。
【0047】
上記第2の局面による搬送方法において、好ましくは、ロボットアーム(11)により、ラック(80)を取り出す際に、ラック(80)を押圧して移動させてから、ラック(80)を保持する。このように構成すれば、ラック(80)の取り出し時に、ラック(80)の位置が傾いていた場合でも、押圧して移動させることにより、ラック(80)の姿勢を調整することができるので、ラック(80)が傾いて保持されたり、保持し損ねることを抑制することができる。
【0048】
上記第2の局面による搬送方法において、好ましくは、ロボットアーム(11)により、複数の容器(81)またはラック(80)を、容器(81)に入れられた検体が第1検体分析装置(20、30)により分析された順に搬送する。このように構成すれば、検体の分析の順番が入れ替わるのを抑制して、第1検体分析装置(20、30)および第2検体分析装置(40)により、順序良く検体を分析することができる。
【0050】
この発明の第3の局面による検体分析システムは、第1検体分析装置と、第2検体分析装置と、上下移動および水平移動が可能なように複数の関節を含み、第1検体分析装置に設けられた排出部から検体分析装置で用いられる容器または容器が収納されるラックを搬出し、排出部から搬出された容器またはラックを、第2検体分析装置に設けられた排出部とは異なる高さの供給部に搬送する単一のロボットアームと、単一のロボットアームを支持する基台と、を含む、搬送用装置と、を備える。
【0051】
上記第3の局面による検体分析システム(100)において、好ましくは、第2検体分析装置(40)は、第1検体分析装置(20、30)と異なる分析を行う。このように構成すれば、搬送用装置(10)により、ラック(80)を、互いに異なる分析を行う検体分析装置間において搬送することができる。
【0052】
上記第3の局面による検体分析システム(100)において、好ましくは、第1検体分析装置(20、30)から搬出される容器(81)またはラック(80)が収容される回収ユニット(50b)と、第2検体分析装置(40)に投入される容器(81)またはラック(80)が収容される投入ユニット(50c)と、を備え、ロボットアーム(11)は、投入ユニット(50c)に収容される容器(81)またはラック(80)を、第2検体分析装置(40)に搬送する。このように構成すれば、第2検体分析装置(40)に搬送されるラック(80)を投入ユニット(50c)に収容して集めることができるので、ロボットアーム(11)がラック(80)を受け取る位置を一定の範囲におさめることができる。また、回収ユニット(50b)に集められたラック(80)を操作者により容易に回収することができる。
【発明の効果】
【0053】
複数の検体分析装置の設置の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】搬送用装置が設けられた検体分析システムの概略を示した図である。
【
図2】搬送用装置が設けられた検体分析システムを示した斜視図である。
【
図4】キャリブレーション部材の一例を示した斜視図である。
【
図5】搬送用装置の固定方法の一例を説明するための図である。
【
図8】第1ハンドおよび第2ハンドを説明するための図である。
【
図9】ラックの位置決め方法の第1例を説明するための図である。
【
図10】ラックの位置決め方法の第2例を説明するための図である。
【
図11】ラックの位置決め方法の第3例を説明するための図である。
【
図12】ラックの検出方法の一例を説明するための図である。
【
図13】ラックの位置調整の第1例を説明するための図である。
【
図14】ラックの位置調整の第2例を説明するための図である。
【
図15】検体分析システムの各装置の高さ位置を示した正面図である。
【
図16】撮像部が設けられたロボットアームを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0056】
(搬送用装置の概要)
図1を参照して、一実施形態による搬送用装置10の概要について説明する。
【0057】
本実施形態による搬送用装置10は、検体分析装置で用いられる容器81または容器81が収納されるラック80を搬送する搬送用装置10である。容器81には、検体が入れられて、検体分析装置に搬送される。検体は、被検体(被験者)から採取した生体試料であり、たとえば血液、尿や細胞などである。
【0058】
図1に示すように、搬送用装置10は、検体分析システム100に設けられている。検体分析システム100は、搬送用装置10と、第1検体分析装置20および30と、第2検体分析装置40と、投入ユニット50aと、回収ユニット50bと、投入ユニット50cと、搬送部60と、制御装置70と、オーダー情報管理部71とを備えている。検体分析システム100は、たとえば、臨床検査に用いられる。検体分析システム100は、病院や検査機関に設けられている。
【0059】
図1に示す例では、第1検体分析装置20および30と、第2検体分析装置40と、投入ユニット50aと、回収ユニット50bと、投入ユニット50cとは、直線状に配列されている。なお、第1検体分析装置20および30と、第2検体分析装置40と、投入ユニット50aと、回収ユニット50bと、投入ユニット50cとは、部屋の形状や、他の機器との関係により、曲がった状態に配列されていてもよい。
【0060】
搬送用装置10は、ロボットアーム11と、基台12と、制御部13とを備えている。第1検体分析装置20は、制御部21を備えている。第1検体分析装置30は、制御部31を備えている。第2検体分析装置40は、制御部41を備えている。
【0061】
ロボットアーム11は、たとえば、第1ロボットアーム11aと、第2ロボットアーム11bとを含んでいる。つまり、ロボットアーム11は、2つ設けられている。なお、ロボットアーム11は、単数であってもよいし、3以上の複数であってもよい。ここで、本実施形態では、ロボットアーム11は、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40との間で容器81またはラック80を搬送する。具体的には、ロボットアーム11は、容器81が収容されたラック80を搬送する。なお、ロボットアーム11が容器81を直接保持して搬送してもよい。ロボットアーム11は、水平方向および鉛直方向に容器81またはラック80を搬送することが可能である。
【0062】
第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40との間で容器81またはラック80を搬送するロボットアーム11を設ける。これにより、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40との間における容器81またはラック80の搬送をロボットアーム11により行うことができるので、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40とを、ベルトコンベアなどの搬送装置に沿って配列する必要がない。また、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40との高さ位置を揃える必要がない。これらにより、ロボットアーム11の稼働範囲内において、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40とを自由に配置することができるので、複数の検体分析装置の設置の自由度を高くすることができる。
【0063】
ロボットアーム11は、操作者が第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の少なくとも1つを操作するための空間を稼動範囲に含む。つまり、ロボットアーム11の稼働範囲110と、操作者が操作するための空間200とは重なる部分を有している。これにより、ロボットアーム11を使用しながら、操作者によって第1検体分析装置20、30または第2検体分析装置40に対して操作を行うことができるので、操作の利便性および汎用性を向上させることができる。
【0064】
基台12は、ロボットアーム11を支持している。具体的には、基台12は、ロボットアーム11を下方から支持している。ここで、本実施形態では、基台12は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40に対して独立して配置されている。
【0065】
基台12を、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40に対して独立して配置する。これにより、搬送用装置10を、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40に対して、容易に移動させることができるので、搬送用装置10、第1検体分析装置20、30または第2検体分析装置40をメンテナンスのために移動させることができる。これにより、メンテナンスを行うために、他の装置や壁との間に隙間を設けて配置する必要がないので、設置面積が大きくなるのを抑制することができるとともに、複数の検体分析装置の設置の自由度をより高くすることができる。
【0066】
また、基台12は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40が設置される設置面に対して独立して配置されている。つまり、基台12は、設置面に対して移動可能である。これにより、搬送用装置10を第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40に対して移動させることができるので、搬送用装置10を、他の装置や操作者に対して邪魔にならない位置に自由に配置することができる。
【0067】
基台12は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の操作者が立入可能な領域に設置されている。これにより、操作者の操作に替えてロボットアーム11によっても第1検体分析装置20、30または第2検体分析装置40に対して操作を行うことができるので、汎用性を向上させることができる。
【0068】
基台12は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の操作者がロボットアーム11の稼働中に立入可能な領域に設置されている。これにより、ロボットアーム11の稼働を停止することなく操作者により第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の操作を行うことができる。
【0069】
制御部13は、ロボットアーム11の動作を制御する。制御部13は、たとえば、CPU(中央処理ユニット)、メモリなどを含んでいる。また、制御部13は、ロボットアーム11に有線または無線により接続されている。つまり、制御部13は、ロボットアーム11を制御する信号をロボットアーム11に対して有線通信または無線通信により送信する。これにより、制御部13の制御により、ロボットアーム11を稼働させて、容器81またはラック80を容易に搬送することができる。
【0070】
制御部13は、たとえば、基台12に格納されている。これにより、制御部13を基台12とは別個に設ける場合に比べて、設置面積を小さくすることができる。また、制御部13とロボットアーム11との間の距離を小さくすることができる。その結果、制御部13とロボットアーム11とを有線により接続する場合は、接続する線を短くすることができるので、装置構成を簡素化することができる。また、制御部13とロボットアーム11とを無線により接続する場合は、通信を安定させることができる。なお、制御部13は、基台12の外に設けられていてもよい。
【0071】
第1検体分析装置20、30は、たとえば、血液を分析する装置や、免疫を検査する装置や、尿を検査する装置や、細菌を検査する装置などある。第1検体分析装置20、30は、たとえば、血球析装置である。第2検体分析装置40は、第1検体分析装置20および30に対して、搬送用装置10を挟んで反対側に配置されている。第2検体分析装置40は、たとえば、第1検体分析装置20および30の分析に加えて必要な場合に検体を分析する装置である。第2検体分析装置40は、たとえば、免疫項目を測定する装置である。つまり、第1検体分析装置20、30と、第2検体分析装置40とは、異なる分析を行う。
【0072】
制御部21は、第1検体分析装置20の動作を制御する。制御部21は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部21は、第1検体分析装置20に内蔵されている。制御部21は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。つまり、制御部21は、第1検体分析装置20により分析するというオーダーのある検体に対して、第1検体分析装置20により分析を行うように制御する。
【0073】
制御部31は、第1検体分析装置30の動作を制御する。制御部31は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部31は、第1検体分析装置30に内蔵されている。制御部31は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。つまり、制御部31は、第1検体分析装置30により分析するというオーダーのある検体に対して、第1検体分析装置30により分析を行うように制御する。
【0074】
制御部41は、第2検体分析装置40の動作を制御する。制御部41は、たとえば、CPU、メモリなどを含んでいる。制御部41は、第2検体分析装置40に内蔵されている。制御部41は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。つまり、制御部41は、第2検体分析装置40により分析するというオーダーのある検体に対して、第2検体分析装置40により分析を行うように制御する。
【0075】
投入ユニット50aは、第1検体分析装置20および30に投入される容器81またはラック80が収容される。具体的には、投入ユニット50aは、容器81が収納されたラック80が収容される。投入ユニット50aは、複数のラック80を収容可能である。回収ユニット50bは、第1検体分析装置20および30から搬出される容器81またはラック80が収容される。具体的には、回収ユニット50bは、容器81が収納されたラック80が収容される。回収ユニット50bは、複数のラック80を収容可能である。投入ユニット50cは、第2検体分析装置40に投入される容器81またはラック80が収容される。つまり、投入ユニット50cは、第2検体分析装置40により分析する必要のある検体が入った容器81が収容される。つまり、投入ユニット50cは、第1検体分析装置20および30から搬出される容器81またはラック80が収容される。また、投入ユニット50cは、容器81が収納されたラック80が収容される。投入ユニット50cは、複数のラック80を収容可能である。
【0076】
搬送部60は、容器81またはラック80を搬送する。具体的には、搬送部60は、容器81が収納されたラック80を搬送する。搬送部60は、第1検体分析装置20、30、投入ユニット50a、回収ユニット50bおよび投入ユニット50cが並ぶ方向に沿って延びている。搬送部60は、第1検体分析装置20、30、投入ユニット50a、回収ユニット50bおよび投入ユニット50cの間で容器81またはラック80を搬送する。搬送部60は、コンベアを含んでいる。搬送部60のコンベアによりラック80を水平方向に搬送する。
【0077】
制御装置70は、検体分析システム100全体を制御するように構成されている。具体的には、制御装置70は、オーダー情報管理部71を制御するように構成されている。制御装置70は、たとえば、パーソナルコンピュータである。オーダー情報管理部71は、複数の検体の各々を分析のオーダーを管理する。具体的には、オーダー情報管理部71は、各々の検体に必要な分析の種類を管理する。オーダー情報管理部71は、たとえば、パーソナルコンピュータである。なお、オーダー情報管理部71は、制御装置70と一体であってもよい。
【0078】
(検体分析システムの概要)
図2および
図3を参照して、検体分析システム100の例について説明する。
【0079】
検体分析システム100は、
図2に示すように、搬送用装置10と、第1検体分析装置20および30と、第2検体分析装置40と、投入ユニット50aと、回収ユニット50bと、投入ユニット50cと、搬送部60とを備えている。検体分析システム100は、たとえば、臨床検査に用いられる。検体分析システム100は、病院や検査機関に設けられている。
【0080】
搬送用装置10は、ロボットアーム11と、基台12とを備えている。ロボットアーム11は、第1ロボットアーム11aと、第2ロボットアーム11bとを含んでいる。ここで、本実施形態では、ロボットアーム11は、第1検体分析装置20、30と第2検体分析装置40との間で容器81またはラック80を搬送する。具体的には、ロボットアーム11は、容器81が収容されたラック80を搬送する。
【0081】
ロボットアーム11は、たとえば、電動モータの駆動により動作する。ロボットアーム11は、エンコーダなどを含み、電動モータの駆動量が制御される。また、ロボットアーム11は、定格出力が所定の仕事率以下である。具体的には、ロボットアーム11の定格出力は、操作者が存在する領域において可動することが可能な出力以下である。たとえば、ロボットアーム11は、定格出力が80W以下である。これにより、ロボットアーム11の出力を小さくすることができるので、安全柵や監視装置を設けなくても、作業者がロボットアーム11の稼働領域に入ることができる。また、省エネルギー化を図ることができる。
【0082】
第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111と、第2リンク部材112と、上下駆動部113とを備えている。第1ロボットアーム11aには、ラック80を保持することが可能な第1ハンド114が設けられている。第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111と、第2リンク部材112と、上下駆動部113とを備えている。第2ロボットアーム11bには、ラック80を保持することが可能な第2ハンド115が設けられている。第1リンク部材111は、第1軸線A1まわりに回動可能である。第2リンク部材112は、第1軸線A1とは異なる位置の第1リンク部材111上に規定された第2軸線A2まわりに回動可能に結合されている。これにより、ロボットアーム11を複数の軸線まわりに回動させて動作させることができるので、ロボットアーム11の作業可能な範囲を大きくすることができる。第1ロボットアーム11aの第1軸線A1と、第2ロボットアーム11bの第1軸線A1とは平面視において略重なって配置されている。なお、第1ロボットアーム11aの第1軸線A1と、第2ロボットアーム11bの第1軸線A1とは平面視において互いに離間して配置されていてもよい。
【0083】
第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111および第2リンク部材112が回動されることにより、第1ハンド114を水平方向に移動させることが可能である。つまり、第1ロボットアーム11aは、第1リンク部材111および第2リンク部材112により、第1ハンド114を水平方向に並進移動させるとともに、水平方向に回転させることが可能である。これにより、第1ハンド114により保持されるラック80を水平方向に移動させることが可能である。
【0084】
第1ロボットアーム11aは、上下駆動部113を駆動させることにより、第1ハンド114を上下方向に移動させることが可能である。これにより、第1ハンド114により保持されるラック80を上下方向に移動させることが可能である。
【0085】
第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111および第2リンク部材112が回動されることにより、第2ハンド115を水平方向に移動させることが可能である。つまり、第2ロボットアーム11bは、第1リンク部材111および第2リンク部材112により、第2ハンド115を水平方向に並進移動させるとともに、水平方向に回転させることが可能である。これにより、第2ハンド115により保持されるラック80を水平方向に移動させることが可能である。
【0086】
第2ロボットアーム11bは、上下駆動部113を駆動させることにより、第2ハンド115を上下方向に移動させることが可能である。これにより、第2ハンド115により保持されるラック80を上下方向に移動させることが可能である。
【0087】
ロボットアーム11は、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとの間で、ラック80を持ち替え可能である。これにより、ラック80の方向性を容易に調整することができるので、搬送先の検体分析装置において、ラック80の順番が変わってしまうのを防止することができる。また、ラック80を受け渡す位置の状態に応じて複数のロボットアーム11を使い分けることができるので、ラック80の受け渡す位置の状態に応じたロボットアーム11により、ラック80を容易に受け渡すことができる。
【0088】
ロボットアーム11は、稼動中に搬送する物体以外の物体と接触した場合に、動作が停止される。ロボットアーム11は、たとえば、駆動電流を検出し、駆動電流が所定のしきい値を超えた場合に、物体と接触したことを検知してもよい。また、ロボットアーム11の動作を監視するカメラなどにより、ロボットアーム11と物体との接触を検知してもよい。また、センサなどにより、ロボットアーム11と物体との接触を検知してもよい。これにより、たとえば、ロボットアーム11が操作者に接触した場合でも、操作者に大きな衝撃が伝わるのを抑制することができる。また、ロボットアーム11に過度の負荷がかかるのを抑制することができる。
【0089】
ロボットアーム11は、操作者に干渉しない位置に退避可能である。これにより、操作者の操作にロボットアーム11が干渉するのを抑制することができるので、操作者の作業効率が低下するのを抑制することができる。たとえば、ロボットアーム11は、操作者が操作する場合に、背面側に移動してもよい。
【0090】
図3に示すように、検体分析システム100は、制御装置70と、オーダー情報管理部71とをさらに備えている。
【0091】
搬送用装置10は、制御部13をさらに備えている。第1検体分析装置20は、制御部21を備えている。第1検体分析装置30は、制御部31を備えている。第2検体分析装置40は、制御部41を備えている。
【0092】
制御部21は、第1検体分析装置20の動作を制御する。制御部21は、オーダー情報管理部71と通信可能である。また、制御部21は、搬送用装置10の制御部13と通信可能である。制御部21は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。
【0093】
制御部31は、第1検体分析装置30の動作を制御する。制御部31は、オーダー情報管理部71と通信可能である。また、制御部31は、搬送用装置10の制御部13と通信可能である。制御部31は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。
【0094】
制御部41は、第2検体分析装置40の動作を制御する。制御部41は、オーダー情報管理部71と通信可能である。また、制御部41は、搬送用装置10の制御部13と通信可能である。制御部41は、オーダー情報管理部71のオーダー情報に基づいて、容器81に入れられた検体の分析を行うように制御する。
【0095】
搬送用装置10の制御部13は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の少なくとも一方からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、第1検体分析装置20、30または第2検体分析装置40からの容器81またはラック80の搬出要求または搬入要求に応じて、ロボットアーム11によりラック80を搬送することができる。
【0096】
たとえば、第1検体分析装置20または30からラック80を搬出する場合、制御部13は、第1検体分析装置20または30からのReady信号のON/OFFに基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。具体的には、制御部13は、第1検体分析装置20または30からのReady信号のONを受信すると、Move信号のONを第1検体分析装置20または30に送信する。そして、第1検体分析装置20または30側では、ラック80の搬送が停止される。制御部13は、第1検体分析装置20または30からラック80の搬送が停止されたことを示すReady信号のOFFに基づいて、ロボットアーム11を動作させて、第1検体分析装置20または30からラック80を搬出する。そして、ラック80の搬送後、制御部13は、Move信号のOFFを第1検体分析装置20または30に送信する。これにより、第1検体分析装置20または30側では、ラック80の搬送が再開可能となる。
【0097】
また、第2検体分析装置40にラック80を搬入する場合、制御部13は、第2検体分析装置40からのReady信号のON/OFFに基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。具体的には、制御部13は、第2検体分析装置40からのReady信号のONを受信すると、Move信号のONを第2検体分析装置40に送信する。そして、第2検体分析装置40側では、ラック80の搬送が停止される。制御部13は、第2検体分析装置40からラック80の搬送が停止されたことを示すReady信号のOFFに基づいて、ロボットアーム11を動作させて、第2検体分析装置40にラック80を搬入する。そして、ラック80の搬送後、制御部13は、Move信号のOFFを第2検体分析装置40に送信する。これにより、第2検体分析装置40側では、ラック80の搬送が再開可能となる。なお、第2検体分析装置40からラック80を搬出する際も同様の信号のやり取りが行われ、ロボットアーム11の動作が制御される。
【0098】
また、制御部13は、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40からの信号の有無に関わらず、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、ロボットアーム11を第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40と独立して制御することができるので、制御が複雑になるのを抑制することができる。
【0099】
また、制御部13は、外部の制御システムから信号を受信し、外部の制御システムから受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。これにより、外部の制御システムにより、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40とともに、搬送用装置10も一括して制御を行うことができる。たとえば、制御部13は、オーダー情報管理部71または制御装置70から受信した信号に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。
【0100】
第1検体分析装置20、30には、容器81またはラック80が排出される排出部が設けられている。たとえば、ラック80は、投入ユニット50cの位置P1から排出される。排出部からは、操作者により容器81またはラック80を取出し可能であるとともに、ロボットアーム11により容器81またはラック80を取出し可能である。第2検体分析装置40には、容器81またはラック80が供給される供給部が設けられている。たとえば、ラック80は、第2検体分析装置40の位置P3に供給される。供給部には、操作者により容器81またはラック80を受け渡し可能であるとともに、ロボットアーム11により容器81またはラック80を受け渡し可能である。これにより、操作者により容器81またはラック80を取り出す排出部から、ロボットアーム11により容器81またはラック80を取出し、操作者により容器81またはラック80を受け渡す供給部に、ロボットアーム11により容器81またはラック80を受け渡すことができるので、ロボットアーム11専用の排出部および供給部を別途設ける必要がない。これにより、装置構成を簡素化することができる。
【0101】
図3に示す例では、第1検体分析装置20または30から投入ユニット50cに搬送されたラック80は、位置P1から、搬送用装置10上の位置P2に、第1ロボットアーム11aにより搬送される。位置P2に載置された搬送されたラック80は、第2ロボットアーム11bにより位置P3に搬送される。位置P3から第2検体分析装置40にラック80が供給される。第2検体分析装置40により検体が分析された後のラック80は、位置P4に搬送される。位置P4のラック80は、第2ロボットアーム11bにより、搬送部60の位置P5に搬送される。そして、ラック80は、搬送部60により、回収ユニット50bに搬送される。
【0102】
ここで、搬送用装置10上の位置P2には、載置部124が設けられている。載置部124には、ラック80を載置することが可能である。ロボットアーム11は、第1ロボットアーム11aおよび第2ロボットアーム11bの一方で保持したラック80を、載置部124を介して第1ロボットアーム11aおよび第2ロボットアーム11bの他方に持ち替える。これにより、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとで直接ラック80を受け渡す場合と異なり、ラック80の持ち替えの際に、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとが干渉するのを抑制することができるので、第1ロボットアーム11aと第2ロボットアーム11bとの間で、ラック80を容易に持ち替えることができる。
【0103】
搬送用装置10の制御部13は、基台12に対する第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40のうち少なくとも1つの位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御する。これにより、制御部13により位置を調整してロボットアーム11を動作させることができるので、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40に対して基台12を精度よく位置決めして設置しなくても、容器81またはラック80を精度よく搬送することができる。
【0104】
たとえば、制御部13は、第1検体分析装置20および30側に配置されたキャリブレーション部材14の位置を検出して、第1検体分析装置20および30の位置情報を取得する。また、制御部13は、第2検体分析装置40側に配置されたキャリブレーション部材14の位置を検出して、第2検体分析装置40の位置情報を取得する。キャリブレーション部材14は、ロボットアーム11によりラック80を取り出す位置または受け渡す位置に対して既知の位置に配置される。これにより、キャリブレーション部材14の位置を検出すれば、ロボットアーム11によりラック80を取り出す位置または受け渡す位置を取得することが可能である。
【0105】
キャリブレーション部材14は、たとえば、
図4に示すように、直方体形状を有している。制御部13は、ロボットアーム11をキャリブレーション部材14の近傍で動作させて、キャリブレーション部材14を検知する。制御部13は、キャリブレーション部材14に対して、3次元的に3方向に走査して、キャリブレーション部材14の位置を検知する。たとえば、ロボットアーム11に設けられたセンサやカメラを用いてキャリブレーション部材14が検知される。
【0106】
(搬送用装置の固定方法)
図5を参照して、搬送用装置10の固定方法について説明する。
【0107】
図5に示す例のように、たとえば、搬送用装置10の基台12には、基台12を設置面に対して移動させるキャスタ121と、伸縮可能な固定用脚122とが設けられている。
図5の(A)のように、固定用脚122を基台12内に縮めることにより、キャスタ121が設置面に接触して、搬送用装置10を搬送することが可能になる。また、
図5の(B)のように、固定用脚122を伸ばすことにより、キャスタ121が設置面から浮上して、搬送用装置10が移動しないように固定することが可能になる。キャスタ121は、たとえば、4隅に1つずつ設けられている。また、固定用脚122は、4隅に1つずつ設けられている。
【0108】
(第1ハンド)
図6を参照して、第1ロボットアーム11aに設けられた第1ハンド114について説明する。
【0109】
第1ハンド114は、ラック80を把持することができる。また、第1ハンド114は、第1ロボットアーム11aに交換可能に取り付けられている。第1ハンド114は、一対の把持部1141と、エアシリンダ1142とを含んでいる。一対の把持部1141は、エアシリンダ1142により、互いに近づく方向および遠ざかる方向に移動することができる。これにより、把持部1141によりラック80を把持したり、離したりすることができる。なお、把持部1141は、モータにより駆動させてもよい。また、把持部1141は、油圧や水圧などの液圧により駆動してもよい。第1ハンド114は、ラック80を上方から把持することができる。また、第1ハンド114は、ラック80の長手方向を挟み込んで把持する。これにより、ラック80の短手方向に隙間が無い場合でもラック80を把持することが可能である。
【0110】
(第2ハンド)
図7を参照して、第2ロボットアーム11bに設けられた第2ハンド115について説明する。
【0111】
第2ハンド115は、ラック80を把持することができる。また、第2ハンド115は、第2ロボットアーム11bに交換可能に取り付けられている。第2ハンド115は、一対の把持部1151と、エアシリンダ1152と、センサ1153と、ガイド1154とを含んでいる。一対の把持部1151は、エアシリンダ1152により、互いに近づく方向および遠ざかる方向に移動することができる。これにより、把持部1151によりラック80を把持したり、離したりすることができる。なお、把持部1151は、モータにより駆動させてもよい。また、把持部1151は、油圧や水圧などの液圧により駆動してもよい。第2ハンド115は、ラック80を側方から把持することができる。また、第2ハンド115は、ラック80を長手方向に挟み込んで把持する。たとえば、第2ハンド115は、ラック80の長手方向における、容器81を保持する複数の保持部の間を把持することができる。センサ1153は、ラック80を検知することができる。センサ1153は、たとえば、非接触式のセンサである。センサ1153は、たとえば、光学式、超音波式のセンサである。なお、センサ1153は、接触式のセンサであってもよい。これにより、第2ハンド115により、ラック80を確実に把持することができる。ガイド1154は、ラック80を押圧することにより、姿勢を調整することができる。
【0112】
(第1ハンドおよび第2ハンド)
図8を参照して、1つのロボットアーム11に設けれれた第1ハンド114および第2ハンド115について説明する。
【0113】
ロボットアーム11は、1つでもよい。この場合、1つのロボットアーム11に第1ハンド114および第2ハンド115の両方が設けられていてもよい。第1ハンド114および第2ハンド115は、選択的に使用される。第1ハンド114および第2ハンド115は、切替部116により、切り替え可能に設けられている。つまり、切替部116を回動させることにより、第1ハンド114によりラック80を保持する状態と、第2ハンド115によりラック80を保持する状態とに切り替えることが可能である。たとえば、
図8の(A)に示すように、第1ハンド114を下側に配置することにより、第1ハンド114によりラック80を保持することが可能である。また、
図8の(B)に示すように、第2ハンド115を下側に配置することにより、第2ハンド115によりラック80を保持することが可能である。なお、切替部116は、エアにより駆動してよいし、電動モータにより駆動してもよい。また、切替部116は、油圧や水圧などの液圧により駆動してもよい。
【0114】
(ラックの位置決め方法)
図9~
図11を参照して、ラック80の位置決め方法について説明する。
【0115】
ロボットアーム11は、載置部124において、搬送するラック80の位置決めを行う。これにより、ラック80を再び保持する際に、保持する位置の精度を高めることができるので、搬送先において、ラック80を精度よく受け渡すことができる。
【0116】
具体的には、ロボットアーム11は、ラック80の搬送中に、ラック80を載置部124に載置してから、再び保持して、ラック80を搬送する。たとえば、
図9に示す第1例のように、ロボットアーム11は、第1ハンド114および第2ハンド115によりラック80を挟み込んで、移動させることにより、ラック80の位置決めを行う。つまり、ラック80の対角を第1ハンド114および第2ハンド115により挟み込むこととにより、ラック80を載置部124における所定の位置に配置するとともに、所定の方向に向けることができる。なお、ラック80の位置決めは、ラック80を長手方向から挟み込んで位置決めを行ってもよいし、ラック80を短手方向から挟み込んで位置決めを行ってもよい。また、ラック80の位置決めは、ラック80の長手方向および短手方向の一方から挟み込んだ後、ラック80の長手方向および短手方向の他方から挟み込んで位置決めを行ってもよい。
【0117】
ラック80の少なくとも1つの側面には、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40により識別される識別子80aが設けられている。識別子80aは、たとえば、バーコードや、ICタグなどである。識別子80aは、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40により各々読み取られて、ラック80が識別される。また、容器81にもそれぞれ識別子が設けられている。これにより、容器81および容器81を収容するラック80を容易に管理することができる。ロボットアーム11は、ラック80を載置部124に載置してから再び保持することにより、識別子80aの設けられた側面の方向を調整する。つまり、第1検体分析装置20、30におけるラック80の識別子80aの向きと、第2検体分析装置40におけるラック80の識別子80aの向きと、が載置部124におけるラック80の持ち替えにより調整される。これにより、第1検体分析装置20、30および第2検体分析装置40の両方において、識別子80aを確実に識別することができるので、ラック80を確実に管理することができる。
【0118】
また、
図10に示す第2例のように、ロボットアーム11は、第1ハンド114によりラック80を位置決め部124aおよび124bに当接するように移動させることにより、ラック80の位置決めを行ってもよい。つまり、ラック80の対角を第1ハンド114および位置決め部124aおよび124bにより挟み込むこととにより、ラック80を載置部124における所定の位置に配置するとともに、所定の方向に向けることができる。
【0119】
また、
図11に示す第3例のように、ロボットアーム11は、第1ハンド114によりラック80を位置決め部125に載置することにより、ラック80の位置決めを行ってもよい。位置決め部125には、たとえば、テーパ部125aが設けられており、ラック80を下降させることにより、ラック80を所定の位置および姿勢に導くことができる。
【0120】
(ラックの検出方法)
図12を参照して、ラック80の検出方法について説明する。
【0121】
ラック80は、取出し位置に複数配置することが可能である。つまり、取出し位置におけるラック80は、一定の位置に配置されてはいない。ラック80は、たとえば、第2検体分析装置40により分析後、順次押し出されるように取出し位置に送られる。つまり、ラック80の数が多ければ、取り出し位置における手前のラック80は、より手前に押し出される。
【0122】
ロボットアーム11は、ラック80を取出し位置から取り出す際に、複数のラック80が配置される水平方向に、ラック80を把持する第2ハンド115を段階的に移動させてラック80を検出する。具体的には、ロボットアーム11は、
図12の(A)~(C)の例のように、第2ハンド115を一番手前の位置に位置させた状態から、ラック80の幅毎に背面方向に第2ハンド115を順次移動させる。この場合、センサ1153により、ラック80を検出する。センサ1153により、ラック80を検出するまで、順次第2ハンド115が移動される。そして、ラック80を検知した場合、第2ハンド115によりラック80を保持する。これにより、取出し位置におけるラック80の位置を正確に取得しなくても、第2ハンド115によりラック80を容易に保持して取り出すことができる。つまり、ロボットアーム11の動作をシンプルにすることができるので、動作のためのプログラムが複雑になるのを抑制することができる。
【0123】
なお、第2ハンド115は、段階的に移動させてもよいし、ラック80を検出するまで、連続的に移動させて、ラック80を検出したら停止させてもよい。
【0124】
(ラックの位置調整方法)
図13および
図14を参照して、ラック80の位置調整方法について説明する。
【0125】
ラック80は、取出し位置に複数配置することが可能である。ラック80は、たとえば、第2検体分析装置40により分析後、順次押し出されるように取出し位置に送られる。このため、ラック80は、取出し位置において、傾いて配置されている場合がある。
【0126】
そこで、ロボットアーム11によりラック80を取り出す際に、ラック80の水平方向における位置を調整してもよい。たとえば、ロボットアーム11は、ラック80を取出し位置から取り出す際に、ラック80を水平方向に押圧して移動させてから、ラック80を保持してもよい。これにより、ラック80の取り出し時に、ラック80の水平方向の位置が傾いていた場合でも、押圧して移動させることにより、ラック80の姿勢を調整することができるので、ラック80が傾いて保持されたり、保持し損ねることを抑制することができる。
【0127】
たとえば、
図13に示す第1例のように、ラック80を、第2ハンド115により、ラック80の短手方向に押圧して、位置および姿勢を調整してもよい。また、
図14に示す第2例のように、ラック80を、第2ハンド115により、ラック80の長手方向に押圧して長手方向の位置決めを行ったのち、ラック80の短手方向に押圧して、位置および姿勢を調整してもよい。
【0128】
次に、
図15を参照して、各装置の高さ位置について説明する。
【0129】
図15に示すように、各装置の高さ位置は異なっていてもよい。たとえば、第1検体分析装置20、30のラック80が搬送される高さ位置と、第2検体分析装置40のラック80が搬送される高さ位置とは異なっていてもよい。第1検体分析装置20、30のラック80が搬送される高さ位置がh1であり、第2検体分析装置40のラック80が搬送される高さ位置は、h1より小さいh2である。なお、h1よりh2の方が大きくてもよい。つまり、第1検体分析装置20、30からラック80が排出される排出部と、第2検体分析装置40にラック80が供給される供給部とは、設置面からの高さ位置が互いに異なる位置に配置されている。ロボットアーム11は、排出部から、排出部に対して設置面からの高さが異なる供給部に、ラック80を搬送する。つまり、ロボットアーム11は、上下方向にラック80を搬送することが可能である。これにより、排出部と供給部との高さが異なる場合でも、別途昇降装置を設けることなくラック80を搬送することができる。また、高さの異なる分析装置を容易に組み合わせて使用することができるので、分析装置の選択の自由度を効果的に高めることができる。
【0130】
図16に示すように、ロボットアーム11には、撮像部117が設けられていてもよい。この場合、搬送用装置10の制御部13は、撮像部117により撮像した画像に基づいて、ロボットアーム11の動作を制御してもよい。制御部13は、たとえば、搬送するラック80の有無を撮像した画像に基づいて確認してもよい。そして、搬送するラック80が有る場合に、ロボットアーム11によりラック80を取り出してもよい。また、制御部13は、撮像した画像に基づいて、取り出すラック80の位置および姿勢を検知して、ラック80を取り出してもよい。また、制御部13は、撮像した画像に基づいて、ラック80を載置する位置を確認して、ラック80を載置してもよい。なお、撮像部117は、ロボットアーム11に設けられ、ロボットアーム11の駆動により移動されてもよい。これにより、ロボットアーム11により撮像角度および撮像位置を変更することができるので、撮像部117の視野を大きくしなくても所望の位置を撮像することができる。また、撮像部117は、ロボットアーム11とは別個の位置に固定的に設けられてもよい。撮像部117は、たとえば、撮像素子と、撮像素子に光を導くレンズやミラーなどの光学系とを含んでいる。
【0131】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10:搬送用装置、11:ロボットアーム、11a:第1ロボットアーム、11b:第2ロボットアーム、12:基台、13:制御部、20、30:第1検体分析装置、40:第2検体分析装置、50b:回収ユニット、50c:投入ユニット、80:ラック、80a:識別部、81:容器、100:検体分析システム、114:第1ハンド、115:第2ハンド、117:撮像部、121:キャスタ、122:固定用脚、124:載置部