(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】モノアミン化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 211/54 20060101AFI20220329BHJP
C07C 211/58 20060101ALI20220329BHJP
C07D 307/91 20060101ALI20220329BHJP
H01L 51/50 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
C07C211/54 CSP
C07C211/58
C07D307/91
H05B33/14 A
H05B33/22 D
(21)【出願番号】P 2017204064
(22)【出願日】2017-10-20
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2016-0137914
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0065359
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0114951
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】高田 一範
(72)【発明者】
【氏名】山谷 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】今田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】糸井 裕亮
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-222261(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105418485(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0035971(KR,A)
【文献】特開2006-083073(JP,A)
【文献】特開2016-040824(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1233379(KR,B1)
【文献】国際公開第2011/040607(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/096382(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/54-211/58
C07D 307/91
H05B 33/14-33/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表わされるモノアミン化合物。
【化1】
前記化学式1において、
L
1は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、
nは1又は2の整数であり、
L
2及びL
3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、
R
1は
イソプロピル基またはシアノ基で置換されたフェニル基、無置換のフェニル基、無置換のナフチル基、無置換のビフェニリル基、または無置換のピリジル基であり、
Ar
1及びAr
2は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下の
、カルバゾリル基を除くヘテロアリール基である。
【請求項2】
前記化学式1で表わされるモノアミン化合物は、下記の化学式2-1で表わされる請求項1に記載のモノアミン化合物。
【化2】
前記化学式2-1において、
m
1は0又は1であり、
m
2は0以上2以下の整数であり、
R
2は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。
【請求項3】
前記化学式2-1で表わされるモノアミン化合物は、下記の化学式2-1-1~2-1-3の中のいずれか1つで表わされる請求項2に記載のモノアミン化合物。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項4】
前記化学式1で表わされるモノアミン化合物は、下記の化学式2-2で表わされる請求項1に記載のモノアミン化合物。
【化6】
前記化学式2-2において、
m
1は0又は1であり、
m
2は0以上2以下の整数であり、
R
2は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換
の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。
【請求項5】
前記化学式2-2で表わされるモノアミン化合物は、下記の化学式2-2-1~2-2-3の中のいずれか1つで表示される請求項4に記載のモノアミン化合物。
【化7】
【化8】
【化9】
【請求項6】
前記L
1は、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のビフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチレン基である請求項1に記載のモノアミン化合物。
【請求項7】
前記Ar
1及び前記Ar
2は、各々独立的に下記の化学式3で表わされる1価基である請求項1に記載のモノアミン化合物。
【化10】
Ar
1及びAr
2が各々独立的に上記化学式3で表わされる1価基である場合、前記化学式3において、R
3は置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であり、
前記化学式1において、前記L
2及び前記L
3は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは非置換された環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【請求項8】
前記Ar
1及び前記Ar
2は、各々独立的に下記の化学式4で表わされる請求項1に記載のモノアミン化合物。
【化11】
前記化学式4において、
XはO又はSであり、
R
4及びR
5は各々独立的に水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であり、
p及びqは、各々独立的に0以上4以下の整数である。
【請求項9】
前記化学式1で表わされるモノアミン化合物は下記化合物群1で表わされる化合物の中から選択される少なくとも1つである請求項1に記載のモノアミン化合物。
(化合物群1)
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノアミン化合物及びこれを含む有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置として、有機電界発光表示装置(Organic Electroluminescence Display)の開発が活発に行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置等とは異なり、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層で再結合させることによって、発光層に含まれる有機化合物である発光材料を発光させて表示を実現する、いわゆる自発光型の表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子としては、例えば第1電極、第1電極上に配置された正孔輸送層、正孔輸送層上に配置された発光層、発光層上に配置された電子輸送層、及び電子輸送層上に配置された第2電極で構成された有機素子が知られている。第1電極からは、正孔が注入され、注入された正孔は、正孔輸送層を移動して発光層に注入される。一方、第2電極からは電子が注入され、注入された電子は電子輸送層を移動して発光層に注入される。発光層に注入された正孔と電子とが再結合することによって、発光層内で励起子が生成される。有機電界発光素子は励起子が再び基底状態に落ちる時、発生する光を利用して発光する。また、有機電界発光素子は以上に説明した構成に限定されることなく、様々な変更が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許第10-1233379号公報
【文献】韓国特許第10-1737212号公報
【文献】米国特許第6,723,455号公報
【文献】特許第3915256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い発光効率の有機電界発光素子に使用されることができるモノアミン化合物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、高い発光効率の有機電界発光素子を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は下記の化学式1で表される。
【化1】
【0008】
化学式1において、L1は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は若しくは置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、nは1若しくは2であり、L2及びL3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、R1は置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であり、Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0009】
化学式1で表されるモノアミン化合物は下記の化学式2-1又は2-2で表される化合物であってもよい。
【化2】
【化3】
【0010】
化学式2-1及び化学式2-2において、m1は0又は1であり、m2は0以上2以下の整数であり、R2は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。R2は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Ar1、Ar2、L1、L2、L3、及びR1は前述した化学式1におけるAr1、Ar2、L1、L2、L3、及びR1と同一である。
【0011】
化学式2-1で表されるモノアミン化合物は下記の化学式2-1-1~2-1-3の中でいずれか1つで表される化合物であってもよい。
【化4】
【化5】
【化6】
【0012】
化学式2-1-1~化学式2-1-3において、Ar1及びAr2、L2及びL3、R1は前述した化学式1におけるAr1、Ar2、L1、L2、L3、及びR1と同一である。
【0013】
化学式2-2で表されるモノアミン化合物は下記の化学式2-2-1~2-2-3の中でいずれか1つで表される化合物であってもよい。
【化7】
【化8】
【化9】
【0014】
化学式2-2-1~化学式2-2-3において、Ar1及びAr2、L2及びL3、R1は前述した化学式1におけるAr1、Ar2、L2、L3、及びR1と同一である。
【0015】
L1は置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のビフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0016】
R1は置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のビフェニル基、又は置換若しくは無置換の含窒素ヘテロアリール基であってもよい。
【0017】
Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のビフェニル基、置換若しくは無置換のターフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のフェナントリル基、又は置換若しくは無置換のフルオレニル基であってもよい。
【0018】
Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基、置換若しくは無置換のジベンゾチオフェニル基、置換若しくは無置換のベンゾナフトフラニル基、又は置換若しくは無置換のベンゾナフトチオフェニル基であってもよい。
【0019】
R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、及びAr2は置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。
【0020】
L2は置換若しくは無置換のフェニレン基、及びAr1は置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0021】
L2は単結合、及びAr1は置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基であってもよい。
【0022】
Ar
1及びAr
2は各々独立的に下記の化学式3で表される1価基であってもよい。
【化10】
【0023】
Ar1及びAr2が各々独立的に上記化学式3で表わされる1価基である場合、化学式1において、L2及びL3は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であってもよい。化学式3においてR3は置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であってもよい。
【0024】
Ar
1及びAr
2は各々独立的に下記の化学式4で表される1価基であってもよい。
【化11】
【0025】
化学式4において、XはO又はSであり、R4及びR5は各々独立的に水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であり、pは0以上4以下の整数であり、qは0以上3以下の整数であってもよい。
【0026】
L2及びL3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のビフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は第1電極、前記第1電極上に設けられた正孔輸送領域、前記正孔輸送領域上に設けられた発光層、前記発光層上に設けられた電子輸送領域、及び前記電子輸送領域上に設けられた第2電極を含む。前記正孔輸送領域、前記発光層、及び前記電子輸送領域の中で少なくとも1つは下記の化学式1で表されるモノアミン化合物を含む。
【化12】
【0028】
化学式1において、L1は置換又は無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、nは1又は2の整数であり、L2及びL3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基であり、R1は置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基であり、Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0029】
前記正孔輸送領域は、化学式1で表されるモノアミン化合物を含んでもよい。
【0030】
前記正孔輸送領域は前記第1電極上に配置される正孔注入層及び前記正孔注入層上に配置される正孔輸送層を含み、前記正孔輸送層は前記化学式1で表されるモノアミン化合物を含んでもよい。
【0031】
前記正孔輸送層は前記発光層と接触する。
【0032】
前記正孔輸送領域は前記第1電極上に配置される正孔注入層、前記正孔注入層上に配置される第1正孔輸送層、及び前記第1正孔輸送層上に配置され、前記発光層と隣接する第2正孔輸送層を含み、前記第2正孔輸送層は前記化学式1で表されるモノアミン化合物を含んでもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るモノアミン化合物は有機電界発光素子用材料として使用されることができる。
【0034】
本発明に係るモノアミン化合物を含む有機電界発光素子は高い発光効率を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以上、本発明の目的、他の目的、特徴及び長所は、添付された図面及び以下の実施形態を通じて容易に理解されるべきである。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限定されなく、他の形態に具体化されることもあり得る。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が明確であり、完全になるように、そして通常の技術者に本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために提供されるものである。
【0037】
各図面において、類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。添付された図面において、構造物の寸法は本発明を明確にするために実際より拡大して示している。第1、第2等の用語は多様な構成要素を説明するために使用されるが、本発明の構成要素は該用語によって限定されてはならない。該用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみに使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は文脈の上に明確に言及しない限り、複数の表現を含む。
【0038】
本明細書で、“含む”又は“有する”等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらの組み合わせの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。また、層、膜、領域、板等の部分が他の部分の“上に”あるとする場合、これは、他の部分の“直上に”ある場合のみでなく、その中間にその他の部分がある場合も含む。反対に、層、膜、領域、板等の部分が他の部分の“下に”あるとする場合、これは、他の部分の“直下に”ある場合のみでなく、その中間にその他の部分がある場合も含む。
【0039】
【0040】
本明細書で、“置換若しくは無置換”は重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ホウ素基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていること、若しくは無置換であることを意味する。また、例示された置換基の各々は、置換若しくは無置換であってもよい。例えば、ビフェニル基は、アリル基として解釈されてもよく、フェニル基で置換されたフェニル基として解釈されてもよい。
【0041】
本明細書で、“隣接する基と互いに結合して環を形成する”とは、隣接する基同士が互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、又は置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は単環又は多環である。また、隣接する基同士が互いに結合して形成された環は他の環と結合されてスピロ環構造を形成してもよい。
【0042】
本明細書で、“隣接する基”は該当置換基が置換された原子と直接接合された原子に置換された置換基、該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基又は該当置換基と立体構造的に最も隣接する置換基を意味する。例えば、1、2-ジメチルベンゼン(1、2-dimethylbenzene)で2個のメチル基は、互いに“隣接する基”に解釈されることができ、1、1-ジエチルシクロペンテン(1、1-diethylcyclopentene)で2個のエチル基は、互いに“隣接する基”として解釈される。
【0043】
本明細書で、単結合(direct linkage)は原子と原子とが間に連結基(リンカー)を介さず直接結合することを意味する。
【0044】
本明細書で、ハロゲン原子の例としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子がある。
【0045】
本明細書で、アルキル基は、直鎖、分岐鎖、又は環形である。アルキル基の炭素数は1以上30以下である。アルキル基の炭素数は、1以上20以下、1以上15以下、1以上10以下、又は1以上6以下であってもよい。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ペンチル基、1-メチルヘプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2-エチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基等を挙げるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で、アリール基は芳香族炭化水素環から誘導された任意の作用基若しくは置換基を意味する。アリール基は単環式アリール基若しくは多環式アリール基である。アリール基の環形成炭素数は6以上30以下である。アリール基の環形成炭素数は、6以上20以下、又は6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、キンクフェニル(quinquephenyl)基、セクシーフェニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基等を例示することができるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で、フルオレニル基は、置換されることができ、置換基2つが互いに結合してスピロ環構造を形成することもできる。例えば、フルオレニル基は9、9’-スピロビフルオレニル基であってもよい。
【0048】
本明細書で、ヘテロアリール基は、ヘテロ元素としてO、N、P、S、及びSiの中で1個以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基は単環式ヘテロアリール基又は多環式ヘテロアリール基である。ヘテロアリール基の環形成炭素数は2以上30以下である。ヘテロアリール基の環形成炭素数は、2以上20以下であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フェノキサジル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N-アリールカルバゾリル基、N-ヘテロアリールカルバゾリル基、N-アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基、ジベンゾシリル基、ジベンゾフラニル基等があるが、これらにに限定されない。
【0049】
本明細書で、アリーレン基は、2価基であることを除外すれば、前述したアリール基に関する説明が適用されることができる。ヘテロアリーレン基は2価基であることを除くては前述したヘテロアリール基に関する説明が適用されることができる。
【0050】
本明細書で、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニールジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基等があるが、これらに限定されない。
【0051】
本明細書で、ホウ素基はアルキルホウ素基及びアリールホウ素基を含む。ホウ素基の例としてはトリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、ジフェニルホウ素基、フェニルホウ素基等があるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で、アルケニル基は直鎖又は分岐鎖である。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上30以下である。アルケニル基の炭素数は、2以上20以下、又は2以上10以下であってもよい。アルケニル基の例としてはビニール基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1、3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、ストリールビニル基等があるが、これに限定されない。
【0053】
本明細書で、アミノ基の炭素数は特別に限定されないが、1以上30以下である。アミノ基はアルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としてはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基等があるが、これらに限定されない。
【0054】
以下では本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物について説明する。
【0055】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は下記の化学式1で表示される。
【化13】
【0056】
化学式1において、L1は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。
【0057】
L1は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上15以下のアリール基であることが好ましい。L1は置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のビフェニレン基、置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0058】
L1に対応する無置換のフェニレン基としては、例えば、m-フェニレン基又はp-フェニレン基である。L1に対応する置換されたフェニレン基としては、例えば、フェニル基又はトリフェニルシリル基で置換されたフェニレン基である。
【0059】
L1としては、例えば、無置換のビフェニレン基、無置換のナフチレン基が好ましい。
【0060】
nは1又は2の整数である。nが2である場合、複数のL1は互いに同一であってもよく、或いは互いに異なっていてもよい。
【0061】
L2及びL3は互いに同一であってもよく、互いに異なってもよい。L2及びL3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリーレン基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリーレン基である。L2及びL3は各々独立的に単結合、置換若しくは無置換のフェニレン基、置換若しくは無置換のビフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチレン基であってもよい。
【0062】
L2及びL3に対応する無置換のフェニレン基としては、例えば、m-フェニレン基又はp-フェニレン基である。L2及びL3に対応する置換されたフェニレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキル基若しくは炭素数6以上30以下のアリール基で置換されたフェニレン基である。例えば、L2及びL3は各々メチル基若しくはフェニル基で置換されたフェニレン基であってもよい。
【0063】
L2及びL3としては、例えば、無置換のビフェニレン基、無置換のナフチレン基が好ましい。
【0064】
R1は炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。R1は置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、置換若しくは無置換のビフェニル基、又は置換若しくは無置換の含窒素ヘテロアリール基である。例えば、R1はピリジニル基又はトリフェニルシリル基である。
【0065】
R1はに対応するフェニル基としては、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は炭素数1以上10以下のアルキル基で置換されたフェニル基であってもよく、例えば、R1はシアノ基又はイソプロピル基で置換されたフェニル基であってもよい。
【0066】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物はフェナントリル基の10位のみがR1によって置換され、他の位置は置換されない。フェナントリル基の他の位置に置換基が位置すると、置換基によってはフェナントリル基のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルが変わって正孔輸送性が低くなる。しかし、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物のようにフェナントリル基の10位の位置のみが置換された化合物の場合、正孔輸送性が維持され、正孔輸送材料として機能することができる。
【0067】
Ar1及びAr2は互いに同一であってもよく、互いに異なってもよい。Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。Ar1及びAr2に対する詳細な説明は後述する。
【0068】
前記化学式1は下記の化学式2-1又は化学式2-2で表される化合物であってもよい。
【化14】
【化15】
【0069】
化学式2-1及び化学式2-2において、m1は0又は1であり、m2は0以上2以下の整数である。R2は水素原子、重水素原子、置換又は無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。例えば、R2は水素原子、無置換のフェニル基又はトリフェニルシリル基であってもよい。
【0070】
化学式2-1及び化学式2-2において、m2が2である場合、複数のR2は互いに同一であってもよく、或いは異なっていてもよい。R2は隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。例えば、R2は隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、又は置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することができる。R2は隣接する基と互いに結合して置換若しくは無置換の芳香族炭化水素環を形成することができる。
【0071】
化学式2-1及び化学式2-2において、Ar1、Ar2、L1、L2、L3、及びR1に関する具体的な説明は化学式1で説明したことと同一であるので、省略する。
【0072】
前記化学式2-1は下記の化学式2-1-1~化学式2-1-3の中でいずれか1つで表される化合物であってもよい。
【化16】
【化17】
【化18】
【0073】
化学式2-1-1~化学式2-1-3において、Ar1及びAr2、L2及びL3、R1は先に述べた化学式1におけるAr1及びAr2、L2及びL3、R1と同一である。R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、及びAr2は置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。
【0074】
化学式2-1-1~化学式2-1-3において、R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチル基、及びAr2は置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。より具体的には、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は下記の化学式2-1-1で表示され、R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチル基、及びAr2は置換若しくは無置換のナフチル基であってもよい。Ar2が置換若しくは無置換のナフチル基である場合、L3はナフチル基の1位の炭素に結合してもよい。
【0075】
化学式2-1-1~化学式2-1-3において、L2は置換若しくは無置換のフェニレン基、及びAr1は置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。より具体的には、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は下記の化学式2-1-1で表示され、R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチル基、Ar2は置換若しくは無置換のナフチル基、L2は置換若しくは無置換のフェニレン基、及びAr1は置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0076】
化学式2-1-1~化学式2-1-3において、L2は単結合、及びAr1は置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基であってもよい。より具体的には、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は下記の化学式2-1-1で表示され、R1は置換若しくは無置換のフェニル基、L3は置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のナフチル基、及びAr2は置換若しくは無置換のナフチル基、L2は単結合、及びAr1は置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基であってもよい。
【0077】
前記化学式2-2は下記の化学式2-2-1~化学式2-2-3の中でいずれか1つで表される化合物であってもよい。
【化19】
【化20】
【化21】
【0078】
化学式2-2-1~化学式2-2-3において、Ar1及びAr2、L2及びL3、R1は述べた化学式1におけるAr1及びAr2、L2及びL3、R1と同一である。
【0079】
化学式1において、Ar1及びAr2は、各々独立的に置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。例えば、Ar1及びAr2は各々独立的に1又は2置換されたフェニル基である。Ar1及びAr2は各々独立的に重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は炭素数1以上10以下のアルキル基で置換されたフェニル基である。また、例えば、Ar1及びAr2は各々独立的にフッ素原子又は置換若しくは無置換のオクチル基で置換されたフェニル基である。
【0080】
Ar1及びAr2は、各々独立的にフェニル基以外の置換若しくは無置換のアリール基であってもよい。例えば、Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のターフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基、又は置換若しくは無置換のフェナントリル基である。
【0081】
Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のフルオレニル基であってもよい。Ar1及びAr2は各々独立的に2置換されたフルオレニル基であってもよい。例えば、Ar1及びAr2は各々独立的にアリール基で置換されたフルオレニル基である。
【0082】
Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のジベンゾフラニル基であってもよい。Ar1及びAr2は各々独立的に1置換されたジベンゾフラニル基である。Ar1及びAr2は各々独立的に炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基で置換されたジベンゾフラニル基であってもよい。例えば、Ar1及びAr2は各々独立的にフェニル基又はシクロヘキシル基で置換されたジベンゾフラニル基である。
【0083】
Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のジベンゾチオフェニル基であってもよい。Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のベンゾナフトフラニル基であってもよい。Ar1及びAr2は各々独立的に置換若しくは無置換のベンゾナフトチオフェニル基であってもよい。
【0084】
Ar
1及びAr
2は各々独立的に下記の化学式3で表される1価基であってもよい。
【化22】
【0085】
化学式3において、R3は炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。
【0086】
Ar1及びAr2が各々独立的に化学式3で表される1価基である場合、化学式1において、L2及びL3は各々独立的に置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であってもよい。
【0087】
Ar1及びAr2が各々独立的に化学式3で表される1価基である場合、化学式1において、L2及びL3は各々独立的に置換若しくは無置換のフェニレン基、又は置換若しくは無置換のビフェニレン基である。L2及びL3は各々独立的に無置換のフェニレン基であることが好ましい。
【0088】
Ar
1及びAr
2は下記の化学式4で表される1価基であってもよい。
【化23】
【0089】
化学式4において、XはO又はSである。R4及びR5は各々独立的に水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基、又は置換若しくは無置換のアリールシリル基である。R4及びR5は各々独立的にシクロアルキル基であってもよい。例えば、R4及びR5は各々独立的にシクロヘキシル基である。
【0090】
pは0以上4以下の整数である。qは0以上3以下の整数であってもよい。pが2以上の整数である場合、複数のR4は互いに同一であってもよく、或いは異なっていてもよい。qが2以上の整数である場合、複数のR5は互いに同一であってもよく、或いは異なっていてもよい。p及びqが各々独立的に2以上の整数である場合、R4及びR5は各々独立的に隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。例えば、R4及びR5の中で少なくともいずれか1つが芳香族環を形成する場合、Ar1及びAr2は4環又は5環を有するヘテロアリール基である。
【0091】
化学式1で表されるモノアミン化合物は下記化合物群1で表示された化合物の中で選択されるいずれか1つであってもよいい。但し、これに化学式1で表わされるモノアミン化合物は、以下の化合物群1に限定されるわけではない。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は相対的に大きい体積を有する。したがって、化学式1で表されるモノアミン化合物は有機電界発光素子に適用される時、高い発光効率を確保することができる。
【0103】
具体的には、化学式1で表されるモノアミン化合物では、アリーレンリンカーを通じてフェナントリル基がアミノ基に結合されている。つまり、フェナントリル基がアリーレンリンカーに結合されている位置に隣接する位置にアリール基等の体積が大きい置換基が位置することになる。したがって、フェナントリル基の置換基とアリーレンリンカー間に立体反発が発生して、フェナントリル基とアリーレンリンカー間の結合角度が増大するようなり、フェナントリル基が占める体積が大きくなる。したがって、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物はフェナントリル基間の相互作用を低下する効果を有するようになる。特に、フェナントリル基間の相互作用の低下は電子の移動度が低下する結果をもたらす。そのため、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物が発光層EMLに隣接する正孔輸送層HTLに配置される場合、電子が発光層EMLから正孔輸送領域HTRの側に拡散されることが抑制されて、有機電界発光素子の高い発光効率を確保することができる。
【0104】
以下では本発明の一実施形態による有機電界発光素子について説明する。以下では先に説明した本発明の一実施形態によるアミン化合物について説明されなかった点を主に具体的に説明し、その他の部分は先に説明した本発明の一実施形態によるアミン化合物と同様である。
【0105】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は前述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む。
【0106】
図1は本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
図2は本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
図3は本発明の一実施形態による有機電界発光素子を概略的に示した断面図である。
【0107】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0108】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は画素電極又は陽極である。第1電極EL1は透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極である場合、第1電極EL1は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等からなる。第1電極EL1が半透過型電極又は反射型電極である場合、第1電極EL1はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Tiなどの金属又はこれらの合金(例えば、AgとMgとの合金)や酸化物などの化合物を含むことができる。また、第1電極EL1は、前記金属で形成された反射膜や半透過膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等で形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0109】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は第1電極EL1及び第2電極EL2の間に設けられた1層以上の有機層の中で少なくとも1つの層に含まれることができる。以下では本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物が正孔輸送領域HTRに含まれることを例として説明する。但し、モノアミン化合物を含む領域は、正孔輸送領域HTRに限定されるわけではない。例えば、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は発光層EMLに含まれてもよい。
【0110】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は正孔輸送領域HTRに下記の化学式1で表示されるモノアミン化合物を含む。正孔輸送領域HTRは化学式1で表されるモノアミン化合物を1種又は2種以上含む。
【化34】
【0111】
化学式1において、 R1、L1~L3、n、Ar1及びAr2に関する具体的な説明は前述したことと同一であるので、省略する。
【0112】
化学式1で表されるモノアミン化合物に関する具体的な説明は前述した説明がそのまま適用されることができるので、省略する。
【0113】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1上に設けられる。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層、及び電子阻止層の中の少なくとも1つを含む。正孔輸送領域HTRの厚さは、例えば約1000Å~約1500Åである。
【0114】
正孔輸送領域HTRは単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、又は複数の互いに異なる物質からなされた複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0115】
例えば、
図2に示されたように、正孔輸送領域HTRは正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質からなる単一層構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、或いは第1電極EL1側から順に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層又は正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/電子阻止層の構造を有してもよいが、これに限定されるわけではない。
【0116】
図3に示されたように、正孔輸送領域HTRは複数の正孔輸送層を有してもよい。正孔輸送領域HTRは第1正孔輸送層HTL1及び第1正孔輸送層HTL1上に配置される第2正孔輸送層HTL2を含む。第2正孔輸送層HTL2は複数の正孔輸送層の中で発光層EMLに隣接する正孔輸送層である。
【0117】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)等のような多様な方法を利用して形成されることができる。
【0118】
正孔輸送領域HTRは前述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を正孔輸送材料として含む。前述した本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む層は正孔輸送層HTLである。
図3のように正孔輸送層が第1正孔輸送層HTL1及び第2正孔輸送層HTL2を含む場合、本発明の一実施形態に係るアミン化合物は第2正孔輸送層HTL2に含まれることが好ましい。本発明の一実施形態に係るアミン化合物は正孔輸送領域HTRの中で発光層EMLに隣接する層に含まれることが好ましい。
【0119】
正孔輸送層HTLが本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む場合、正孔注入層HILは、例えば銅フタロシアニン(等のフタロシアニン化合物;DNTPD(N、N’-diphenyl-N、N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4、4’-diamine)、m-MTDATA(4、4’、4”-tris(3-methylphenylphenylamino) triphenylamine)、TDATA(4、4’4”-Tris(N、N-diphenylamino)triphenylamine)、2-TNATA(4、4’、4”-tris{N、-(2-naphthyl)-N-phenylamino}-triphenylamine)、PEDOT/PSS(Poly(3、4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、PANI/DBSA(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)、PANI/CSA(Polyaniline/Camphor sulfonicacid)、PANI/PSS((Polyaniline)/Poly(4-styrenesulfonate))、NPB(N、N’-di(naphthalene-l-yl)-N、N’-diplienyl-benzidine)、トリフェニルアミンを含むポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-Isopropyl-4’-methyldiphenyliodonium Tetrakis(pentafluorophenyl)borate]、Dipyrazino[2、3-f:2’、3’-h]quinoxaline-2、3、6、7、10、11-hexacarbonitrile(HAT-CN)等を含んでもよい。
【0120】
正孔輸送層HTLが本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含んでおらず、例えば発光層EMLが本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む場合、正孔輸送層HTLは、例えばN-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-bis(3-methylphenyl)-N、N’-diphenyl-[1、1-biphenyl]-4、4’-diamine)、TCTA(4、4’、4”-tris(N-carbazolyl)triphenylamine)等のようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N、N’-di(1-naphthyl)-N、N’-diphenylbenzidine)、TAPC(4、4’-Cyclohexylidene bis[N、N-bis(4-methylphenyl)benzenamine])、HMTPD(4、4’-Bis[N、N’-(3-tolyl)amino]-3、3’-dimethylbiphenyl)、N-([1、1’-biphenyl]-4-yl)-9、9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amine等を含んでもよい。
【0121】
正孔輸送領域HTRの厚さは約100Å~約10000Å、例えば約100Å~約1000Åである。正孔輸送領域HTRが正孔注入層HIL及び正孔輸送層HTLを全て含む場合、正孔注入層HILの厚さは約100Å~約10000Å、例えば約100Å~約1000Åであり、正孔輸送層HTLの厚さは約30Å~約1000Åである。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、及び正孔輸送層HTLの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧上昇無しで満足な程度の正孔輸送特性を得られる。
【0122】
正孔輸送領域HTRは先に言及された物質以外に、導電性向上のために電荷生成物質をさらに含むことができる。電荷生成物質は正孔輸送領域HTR内に均一に又は不均一に分散されていることができる。電荷生成物質は、例えばp-ドーパントである。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物の中でいずれか1つであってもよいが、これに限定されるわけではない。例えば、p-ドーパントの例としては、TCNQ(Tetracyanoquinodimethane)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-tetrafluoro-tetracyanoquinodimethane)等のようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物等のような金属酸化物等を挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0123】
前述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTLの以外に、正孔バッファ層及び電子阻止層の中の少なくとも1つをさらに含んでもよい。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光の放出効率を増加させることができる。正孔バッファ層に含まれる物質としては正孔輸送領域HTRに含まれる物質を使用することができる。電子阻止層は電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子注入を防止する役割をする層である。
【0124】
発光層EMLは正孔輸送領域HTR上に設けられる。発光層EMLの厚さは、例えば約100Å~約300Åである。発光層EMLは単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、又は複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0125】
発光層EMLは赤色光、緑色光、青色光、白色光、黄色光、シアン光の中の1つを発光する。発光層EMLは蛍光物質又は燐光物質を含む。また、発光層EMLはホスト及びドーパントを含むことができる。発光層EMLは、例えば10nm以上60nm以下の厚さを有する。
【0126】
発光層EMLのホスト材料としては、アントラセン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体等から選択され、望ましくは、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、アントラセン誘導体を挙げることができる。例えば、発光層EMLのホスト材料として、下記の化学式5で表わされるアントラセン誘導体を使用することができる。
【化35】
【0127】
化学式5において、Z1~Z4は各々独立的に水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上15以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、m3及びm4は各々独立的に0以上4以下の整数であり、m5及びm6は各々独立的に0以上5以下の整数である。化学式5において、Z3及びZ4は各々独立的に隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。
【0128】
化学式5で表わされる化合物として、例えば、下記の構造式に示した化合物を挙げることができる。但し、前記化学式5で表わされる化合物は以下に限定されるわけではない。
【0129】
【0130】
ホスト材料は、通常知られている発光層のホスト材料に使用される物質であれば、特別に限定されない。例えば、ホスト材料として、Alq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)、CBP(4、4’-bis(N-carbazolyl)-1、1’-biphenyl)、PVK(poly(N-vinylcabazole)、ADN(9、10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)、TCTA(4、4’、4”-Tris(carbazol-9-yl)-triphenylamine)、TPBi(1、3、5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene)、TBADN(3-tert-butyl-9、10-di(naphth-2-yl)anthracene)、DSA(distyrylarylene)、CDBP(4、4’-bis(9-carbazolyl)-2、2’-dimethyl-biphenyl)、MADN(2-Methyl-9、10-bis(naphthalen-2-yl)anthracene)等を使用してもよい。
【0131】
ドーパントとして、例えばスチリル誘導体(例えば、1、4-bis[2-(3-N-ethylcarbazoryl)vinyl]benzene(BCzVB)、4-(di-p-tolylamino)-4’-[(di-p-tolylamino)styryl]stilbene(DPAVB)、N-(4-((E)-2-(6-((E)-4-(diphenylamino)styryl)naphthalen-2-yl)vinyl)phenyl)-N-phenylbenzenamine(N-BDAVBi)、ペリレン及びその誘導体(例えば、2、5、8、11-Tetra-t-butylperylene(TBP))、ピレン及びその誘導体(例えば、1、1-dipyrene、1、4-dipyrenylbenzene、1、4-Bis(N、N-Diphenylamino)pyrene)、N1、N6-di(naphthalen-1-yl)-N1、N6-diphenylpyrene-1、6-diamine等を挙げることができる。
【0132】
発光層EMLが赤色を発光する場合、発光層EMLは、例えばPBD:Eu(DBM)3(Phen)(tris(dibenzoylmethanato)phenanthoroline europium)又はペリレン(Perylene)を含む蛍光物質をさらに含んでもよい。発光層EMLが赤色を発光する場合、発光層EMLに含まれるドーパントは、例えばPIQIr(acac)(bis(1-phenylisoquinoline)acetylacetonate iridium)、PQIr(acac)(bis(1-phenylquinoline)acetylacetonate iridium)、PQIr(tris(1-phenylquinoline)iridium)及びPtOEP(octaethylporphyrin platinum)のような金属錯体化合物(metal complex)又は有機金属錯体(organometallic complex)、ルブレン(rubrene)及びその誘導体及び4-ジシアノメチレン-2-(p-ジメチルアミノスチリル)-6-メチル-4H-ピラン(DCM)及びその誘導体から選択することができる。
【0133】
発光層EMLが緑色を発光する場合、発光層EMLは、例えばAlq3(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum)を含む蛍光物質を含む。発光層EMLが緑色を発光する場合、発光層EMLに含まれるドーパントは、例えばIr(ppy)3(fac-tris(2-phenylpyridine)iridium)のような金属錯体化合物又は有機金属錯体及びクマリン及びその誘導体から選択することができる。
【0134】
発光層EMLが青色を発光する場合、発光層EMLは、例えばスピロ-DPVBi(spiro-DPVBi)、スピロ-6P(spiro-6P)、DSB(distyryl-benzene)、DSA(distyryl-arylene)、PFO(Polyfluorene)系高分子及びPPV(poly(p-phenylene vinylene)系高分子からなる群から選択されたいずれか1つを含む蛍光物質をさらに含んでもよい。発光層EMLが青色を発光する場合、発光層EMLに含まれるドーパントは例えば、(4、6-F2ppy)2Irpicのような金属錯体化合物又は有機金属錯体、ペリレン及びその誘導体から選択することができる。
【0135】
電子輸送領域ETRは発光層EML上に設けられる。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層、電子輸送層ETL、及び電子注入層EILの中で少なくとも1つを含むが、これに限定されるわけではない。
【0136】
電子輸送領域ETRは単一物質からなる単一層、複数の互いに異なる物質からなる単一層、又は複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0137】
例えば、電子輸送領域ETRは、電子注入層EIL又は電子輸送層ETLの単一層の構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質からなる単一層の構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、或いは第1電極EL1側から順に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層/電子輸送層ETL/電子注入層EIL構造を有することができるが、これに限定されるわけではない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば約1000Å~約1500Åである。
【0138】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリンティング法、レーザープリンティング法、レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)等のような多様な方法を利用して形成されることができる。
【0139】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送領域ETRは、Alq3(Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum)、1、3、5-tri[(3-pyridyl)-phen-3-yl]benzene、2、4、6-tris(3’-(pyridin-3-yl)biphenyl-3-yl)-1、3、5-triazine、2-(4-(N-phenylbenzoimidazolyl-1-ylphenyl)-9、10-dinaphthylanthracene、TPBi(1、3、5-Tri(1-phenyl-1H-benzo[d]imidazol-2-yl)phenyl)、BCP(2、9-Dimethyl-4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)、Bphen(4、7-Diphenyl-1、10-phenanthroline)、TAZ(3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1、2、4-triazole)、NTAZ(4-(Naphthalen-1-yl)-3、5-diphenyl-4H-1、2、4-triazole)、tBu-PBD(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl)-1、3、4-oxadiazole)、BAlq(Bis(2-methyl-8-quinolinolato-N1、O8)-(1、1’-Biphenyl-4-olato)aluminum)、Bebq2(berylliumbis(benzoquinolin-10-olate)、ADN(9、10-di(naphthalene-2-yl)anthracene)及びこれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されるわけではない。電子輸送層ETLの厚さは約100Å~約1000Å、例えば約150Å~約500Åである。電子輸送層ETLの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしでも満足できる程度の電子輸送特性を得ることができる。
【0140】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、Al、Ag、Li、Mg及びCa等の金属及びこれらの混合物を含むことができる。但し、これらに限定されるわけではない。例えば、電子注入層EILにはLiF、LiQ(Lithium quinolate)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタノイド族金属、又はRbCl、RbIのようなハロゲン化金属等が使用されることができるが、これらに限定されるわけではない。また、電子注入層EILは電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩とが混合された物質を含んでもよい。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップが約4eV以上の物質である。具体的には、例えば有機金属塩は、金属アセテート、金属ベンゾエート、金属アセトアセテート、金属アセチルアセトネート、又は金属ステアレートを含むことができる。電子注入層EILの厚さは約1Å~約100Åであり、約3Å~約90Åであってもよい。電子注入層EILの厚さが前述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしでも満足できる程度の電子注入特性を得ることができる。
【0141】
電子輸送領域ETRは、先に言及したように、正孔阻止層を含んでもよい。正孔阻止層は、例えばBCP(2、9-dimethyl-4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)及びBphen(4、7-diphenyl-1、10-phenanthroline)の中で少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるわけではない。
【0142】
第2電極EL2は電子輸送領域ETR上に設けられる。第2電極EL2は共通電極又は陰極である。第2電極EL2は透過型電極、半透過型電極、又は反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極である場合、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等からなる。
【0143】
第2電極EL2が半透過型の電極又は反射型電極である場合、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti又はこれらの化合物、或いはこれらの合金(例えば、AgとMgとの合金)を含むことができる。又は前記物質で形成された反射膜や半透過膜及びITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)等で形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0144】
図示はしないが、第2電極EL2は補助電極と接続されることができる。第2電極EL2が補助電極と接続されると、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0145】
有機電界発光素子10で、第1電極EL1と第2電極EL2とに各々電圧が印加されることによって、第1電極EL1から注入された正孔は、正孔輸送領域HTRを経て発光層EMLに移動し、第2電極EL2から注入された電子が電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動する。電子と正孔とは発光層EMLで再結合して励起子を生成し、励起子が励起状態から底状態に落ちる際に、発光する。
【0146】
有機発光素子OEL10が前面発光型である場合、第1電極EL1は反射型電極であり、第2電極EL2は透過型電極又は半透過型電極である。有機発光素子10が背面発光型である場合、第1電極EL1は透過型電極又は半透過型電極であり、第2電極EL2は反射型電極である。
【0147】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は化学式1で表わされるモノアミン化合物を含むことによって高い発光効率を実現することができる。具体的には、化学式1で表わされるモノアミン化合物はアリーレンリンカーを通じてフェナントリル基がアミノ基に結合されており、フェナントリル基がアリーレンリンカーに結合されている位置に隣接する位置にアリール基等の体積が大きい置換基が位置する。したがって、置換基とアリーレンリンカー間の立体反発が発生して、フェナントリル基とアリーレンリンカーとの間の結合角度が増加するようなり、フェナントリル基が占める体積が大きくなる。化学式1で表わされるモノアミン化合物は、10位が置換基されていないフェナントリル基がリンカーを介して結合されているモノアミン化合物よりも相対的に大きな体積を有する。したがって、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物はフェナントリル基の間の相互作用を低下させる効果を有するようになる。特に、フェナントリル基の間の相互作用の低下は電子の移動度が低下する結果となる。したがって、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物が発光層EMLに隣接する正孔輸送層HTLに配置される場合、電子が発光層から正孔輸送領域HTR方に拡散されることを抑制して、有機電界発光素子の高い発光効率を実現することができる。
【0148】
以下、具体的な製造方法、実施例及び比較例を通じて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は本発明の理解を助けるための例示に過ぎなく、本発明の範囲がこれに限定されるわけではない。
【0149】
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物は、例えば下記のように合成することができる。但し、これによって限定されることではない。
【0150】
(合成例)
1.化合物1の合成
本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物である化合物1は、例えば下記の反応によって合成されることができる。
【0151】
【0152】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物A 4.30g、化合物B 9.98g、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム(0))(Ph(PPh3)4) 654mg及び炭酸カリウム(K2CO3) 6.91gをTHF 200mL/水 50mL溶媒に添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、8時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物1の白色固体を5.29g(収率72%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は649であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.93(m、2H)、7.83(m、1H)、7.76-7.55(12H)、7.51(ddd、1H、J=1、7、8Hz)、7.47-7.34(7H)、7.34-7.26(2H)、7.26-7.19(2H)、7.18-7.09(6H)、7.05(ddd、2H、J=2、2、9Hz)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物1であることが確認された。
【0153】
【0154】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物A 3.78g、化合物C 10.3g、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム(0))(Ph(PPh3)4) 575mg及び炭酸カリウム(K2CO3) 6.34gをTHF 200mL/水 50mL溶媒に添加したした後、脱気した。反応液を攪拌しながら、8時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物12の白色固体を4.55g(収率63%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は725であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.93(d、2H、J=8Hz)、7.74-7.55(12H)、7.55-7.46(6H)、7.46-7.12(19H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物12であることが確認された。
【0155】
【0156】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物A 2.51g、化合物D 7.19g、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム(0))(Ph(PPh3)4) 381mg及び炭酸カリウム(K2CO3) 5.31gを THF 200mL/水50mL溶媒に添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、8時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物38の白色固体を3.38g(収率68%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は753であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.87(m、2H)、7.96(m、2H)、7.92(d、2H、J=8H)、7、75(m、1H)、7.71-7.50(7H)、7.50-7.36(5H)、7.36-7.10(16H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物38であることが確認された。
【0157】
4.化合物11の合成
(化合物Fの合成)
【化40】
【0158】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物A 10.0g、化合物E 29.2g、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム(0))(Pd(PPh3)4) 2.22g、及び酢酸パラジウム(Pd(OAc)2) 431mgを、トルエン300mL/エチルアルコール 130mL/2M-オルトリン酸三カリウム(K3PO4)水溶液 64mL溶媒に添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物Fの白色固体を16.1g(収率69%)得た。
【0159】
【0160】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物F 4.01g、化合物G 3.89g、t-ブトキシドナトリウム 1.06g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2) 316mg、及びトリ-t-ブチルホスフィン(tBu3P) 1.5M-トルエン溶液 1.47mLを、トルエン150mLに添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで精製して化合物11の白色固体を6.01g(収率84%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は649であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.88(d、2H、J=10Hz)、7.76-7.43(21H)、7.43-7.17(5H)、7.09(ddd、4H、J=2、2、8Hz)、7.04-6.90(3H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物11であることが確認された。
【0161】
5.化合物16の合成
(化合物Hの合成)
【化42】
【0162】
アルゴン(Ar)雰囲気下で化合物A 20.0gを-78℃のTHF 300mlに10分間攪拌した後、1.6M濃度のn-ブチルリチウム(n-BuLi) 21.7mLを安全漏斗を利用して緩やかに滴加し、追加に30分間攪拌した。その後、トリメチルボレート(B(OMe)3) 7.05mLを安全漏斗を使用して緩やかに滴加した後、常温で追加に3時間攪拌した。その後、1M-塩酸(HCl)溶液 300mlを入れ、1回取出した後、水とトルエンとを利用して追加に3回取出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物Hの白色固体を4.78g(収率30%)得た。
【0163】
【0164】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物H 4.50g、化合物I 4.04g、オルトリン酸三カリウム(K3PO4) 9.61g、及びテトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム(0))(Pd(PPh3)4) 872mgを、トルエン150mL/エチルアルコール10mL/水5mL溶媒に添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物Jの白色固体を2.80g(収率42%)得た。
【0165】
【0166】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物J 2.45g、化合物G 1.79g、ナトリウムt-ブチラート 1.60g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3) 152mg、及びトリ-t-ブチルホスフィン(tBu3P) 1.6M-トルエン溶液 0.21mLを、キシレン 150mLに添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、8時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウム(で乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物16の白色固体を3.11g(収率70%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は725であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.92(d、2H、J=8Hz)、7.75-7.56(11H)、7.56-6.95(26H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物16であることが確認された。
【0167】
【0168】
前記化合物11の合成方法で化合物Fの合成方法と同様に化合物Fを合成した。以後、アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物F 5.00g、化合物K 5.21g、t-ブトキシドナトリウム 1.32g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2) 390mg、及びトリ-t-ブチルホスフィン(tBu3P) 1.5M-トルエン溶液1.83mLを、トルエン150mLに添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物73の白色固体を6.65g(収率72%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は673であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.88(d、2H、J=9Hz)、8.05-7.77(6H)、7.72-7.60(3H)、7.60-7.27(16H)、7.24(m、1H)、7.20-7.08(3H)、6.97(m、2H)、6.92-6.82(2H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物73であることが確認された。
【0169】
【0170】
前記化合物11の合成方法で化合物Fの合成方法と同様に化合物Fを合成した。以後、アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物F 4.20g、化合物L 4.70g、t-ブトキシドナトリウム 1.11g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2) 331mg、及びトリ-t-ブチルホスフィン(tBu3P) 1.5M-トルエン溶液1.53mLを、トルエン150mLに添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物103の白色固体を6.93g(収率86%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は699であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.89(d、2H、J=8Hz)、8.00(d、1H、J=8Hz)、7.92(dd、1H、J=2、8Hz)、7.86(d、1H、J=8Hz)、7.78-7.33(21H)、7.33-7.20(4H)、7.20-7.03(6H)、6.99(ddd、1H、J=1、1、8Hz)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物103であることが確認された。
【0171】
【0172】
前記化合物11の合成方法で化合物Fの合成方法と同様に化合物Fを合成した。以後、アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物F 5.00g、化合物M 6.35g、t-ブトキシドナトリウム 1.32g、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2) 390mg、及びトリ-t-ブチルホスフィン(tBu3P)1.5M-トルエン溶液1.83mLを、トルエン150mLに添加した後、脱気した。反応液を攪拌しながら、24時間の間に還流加熱した後、冷却し、クロロホルムで抽出して飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過濃縮した後、残余物をカラムクロマトグラフィーで化合物104の白色固体を8.53g(収率83%)得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は749であった。また、1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.90(d、2H、J=9Hz)、8.02(d、2H、J=9Hz)、7.92(d、2H、J=8Hz)、7.86(d、2H、J=8Hz)、7.78-7.62(3H)、7.62-7.40(16H)、7.40-7.09(11H)、7.00(m、1H)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物104であることが確認された。
【0173】
9.化合物122の合成
(化合物Pの合成)
【化48】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物N 7.25g(28.3mmol)、化合物O 7.00g(28.3mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2) 326mg(0.566mmol)、及びトリ-t-ブチルホスフィン(
tbu
3p)1.5M-トルエン溶液0.687ml、t-ブトキシドナトリウム 2.72g(28.3mmol)をトルエン200mlに加え、脱気した。反応混合物を約90℃で約4時間撹拌した。その後、反応生成物を室温で冷却し、ろ過塔で処理し、ろ過した反応物を濃縮した。濃縮した反応生成物をトルエン-エタノールで再結晶し、7.30g(18.9mmol、収率67%)の化合物Pを得た。
【0174】
(化合物122の合成)
【化49】
アルゴン(Ar)雰囲気の下で、化合物P 6.80g(17.6mmol)、化合物F 6.44g(17.6mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)
2) 406mg(0.706mmol)、及びトリ-t-ブチルホスフィン(
tBu
3P)1.5M-トルエン溶液0.856mL(1.41mmol)、t-ブトキシドナトリウム 2.54g(28.3mmol)をトルエン200mlに加え、脱気した。反応混合物を約20時間加熱撹拌しながら加熱還流した。その後、反応生成物を室温で冷却し、濾過塔で処理し、濾過した反応生成物を濃縮した。濃縮した反応生成物をトルエン-エタノールで再結晶し、8.52g(12.0mmol、収率68%)の化合物122を得た。FAB-MS測定によって測定された化合物の分子量は713であった。また、
1H-NMR測定された化合物のケミカルシフト値は8.89(d,2H,J=9Hz),8.05-7.82(5H),7.79-7.05(27H),6.99(ddd,1H,J=1.2Hz,1.2Hz,7.4Hz)であった。前記結果を通じて、白色固体の化合物が化合物122であることが確認された。
【0175】
(素子作成例)
以下では素子構成を変えて、2回の素子作成及び発光効率特性評価を行った。
【0176】
(素子作成例1)
上述した化合物1、12、及び38を正孔輸送層材料として使用して実施例1~実施例3の有機電界発光素子を製作した。
【0177】
【0178】
下記の比較例化合物c1~c6を正孔輸送層材料として使用して比較例1~比較例6の有機電界発光素子を製作した。
【0179】
【0180】
実施例1~3及び比較例1~6の有機電界発光素子はITOで150nm厚さの第1電極を形成し、トリスナフチルフェニルアミノトリフェニルアミン(TNATA)で60nm厚さの正孔注入層を形成し、実施例化合物又は比較例化合物で30nm厚さの正孔輸送層を形成し、ジナフチルアントラセン(ADN)にテトラ-t-ブチルペリレン(TBP)を3%ドープした25nm厚さの発光層を形成し、トリスヒドロキシキノリノラトアルミニウム(Alq3)で25nm厚さの電子輸送層を形成し、フッ化リチウム(LiF)で1nm厚さの電子注入層を形成し、Alで100nm厚さの第2電極を形成した。各層及び第2電極は全て真空蒸着法で形成した。
【0181】
次に製作した有機電界発光素子の発光効率を評価した。発光効率は比較例3の有機電界発光素子の発光効率を100%としたときの、各実施例及び比較例の相対的な発光効率比を測定した。
【0182】
【0183】
前記表1の結果を参照すると、実施例1~3は比較例1~6に比べて発光効率が向上したことが分かる。前記表1の結果を通じて、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む有機電界発光素子は高い発光効率を実現できることが分かる。
【0184】
実施例1~3はフェナントリル基及びアリーレンリンカーが結合される位置に隣接する基としてフェニル基を含むモノアミン化合物を含んでおり、アミンの特性を維持しながら、電子輸送に関与するLUMO軌道が分布するフェナントリル基近傍の体積が大きくなって、電子が発光層から正孔輸送層側に輸送され難くなる。そのため、発光層における励起子の濃度が高くなって発光効率が高くなると思われる。
【0185】
比較例1、2及び3はフェナントリル基とアミノ基とがアリーレンリンカーに結合されるモノアミン化合物を含むが、比較例1、2及び3に含まれる化合物はフェナントリル基がフェニル基で置換されていない。したがって、発光層から正孔輸送層側に輸送される電子を遮断する効果を実現できないので、実施例1~3に比べて発光効率が低い。
【0186】
比較例4はフェナントリル基にフェニル基が置換されているが、フェナントリル基及びアリーレンリンカーが結合される位置に隣接する位置、即ちフェナントリル基の10位の炭素にフェニル基が置換されず、3位の炭素にフェニル基が置換されている。したがって、電子輸送に関与するLUMO軌道が分布する活性位置で体積増大の効果を実現できないので、実施例1に比べて発光効率が低い。
【0187】
比較例5及び6はモノアミン化合物ではないジアミン化合物を含むが、ジアミン材料はHOMOエネルギー準位が低いので、正孔注入層で正孔輸送層への正孔注入を低下させる。したがって、実施形態に比べて発光効率が低い。
【0188】
(素子作成例2)
上述した化合物1、11、12、16、38、73、103、104、及び122を第2正孔輸送層材料として使用して実施例4~実施例12の有機電界発光素子を製作した。
【0189】
【0190】
下記の比較例化合物c1~c9を正孔輸送層材料として使用して比較例7~比較例15の有機電界発光素子を製作した。
【0191】
【0192】
実施例4~12及び比較例7~15の有機電界発光素子はITOで150nm厚さの第1電極を形成し、Dipyrazino[2、3-f:2’、3’-h]quinoxaline-2、3、6、7、10、11-hexacarbonitrile(HAT-CN)で10nm厚さの正孔注入層を形成し、N-([1、1’-biphenyl]-4-yl)-9、9-dimethyl-N-(4-(9-phenyl-9H-carbazol-3-yl)phenyl)-9H-fluoren-2-amineで70nm厚さの第1正孔輸送層を形成し、実施例化合物又は比較例化合物で10nm厚さの第2正孔輸送層を形成し、9-(4-(Naphthalen-1-yl)phenyl)-10-(perdeuterophenyl)anthraceneにN1、N6-di(naphthalen-1-yl)-N1、N6-diphenylpyrene-1、6-diamineを3%ドープした25nm厚さの発光層を形成し、Tris(hydroquinoline)aluminium(Alq3)で25nm厚さの電子輸送層を形成し、Lithium fluoride(LiF)で1nm厚さの電子注入層を形成し、Alで100nm厚さの第2電極を形成した。各層及び第2電極は全て真空蒸着法で形成した。
【0193】
次に製作した有機電界発光素子の発光効率を評価した。発光効率は比較例9の有機電界発光素子の発光効率を100%としたときの、各実施例及び比較例の相対的な発光効率比を測定した。
【0194】
【0195】
前記表2の結果を参照すると、実施例4~12は比較例7~15に比べて発光効率が向上したことが分かる。前記表2の結果を通じて、本発明の一実施形態に係るモノアミン化合物を含む有機電界発光素子は高い発光効率を実現できることが分かる。
【0196】
実施例4~12はフェナントリル基及びアリーレンリンカーが結合される位置に隣接する基としてフェニル基を含むモノアミン化合物を含んでいるため、アミンの特性を維持しながら、電子輸送に関与するLUMO軌道が分布するフェナントリル基近傍の体積が大きくなって、電子が発光層から正孔輸送層側に輸送され難くなる。そのため、発光層における励起子濃度が高くなって発光効率が高くなる。
【0197】
比較例7、8、9、13、及び14はフェナントリル基とアミノ基とがアリーレンリンカーに結合されるモノアミン化合物を含むが、比較例7、8、9、13、及び14に含まれる化合物はフェナントリル基がフェニル基で置換されていない。したがって、発光層から正孔輸送層側に輸送される電子を遮断する効果を実現できないので、実施形態に比べて発光効率が低い。
【0198】
比較例10及び15はフェナントリル基にフェニル基が置換されているが、フェナントリル基及びアリーレンリンカーが結合される位置に隣接する位置、即ちフェナントリル基の10位の炭素にフェニル基が置換されず、3位の炭素にフェニル基が置換されている。したがって、電子輸送に関与するLUMO軌道が分布する活性位置で体積増大の効果を実現できないので、実施形態に比べて発光効率が低い。
【0199】
比較例11及び12はモノアミン化合物ではないジアミン化合物を含むが、ジアミン材料はHOMOエネルギー準位が低いので、正孔注入層で正孔輸送層への正孔注入を低下させる。したがって、実施形態に比べて発光効率が低い。
【0200】
以上、添付された図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想や必須的な特徴と変形しなく、他の具体的な形態に実施できることは理解するべきである。したがって、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではない。
【符号の説明】
【0201】
10 有機電界発光素子
EL1 第1電極
HTR 正孔輸送領域
EML 発光層
ETR 電子輸送領域
EL2 第2電極
HTL 正孔輸送層
HTL1 第1正孔輸送層
HTL2 第2正孔輸送層