(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】レゾルバステータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20220329BHJP
H02K 24/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K24/00
H02K1/18 E
(21)【出願番号】P 2017207788
(22)【出願日】2017-10-27
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594183299
【氏名又は名称】株式会社松尾製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】関冨 勇治
(72)【発明者】
【氏名】山河 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】今枝 宏旨
(72)【発明者】
【氏名】山下 重利
(72)【発明者】
【氏名】平久江 美佳
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-194497(JP,A)
【文献】特開2009-240073(JP,A)
【文献】特開2009-017746(JP,A)
【文献】特開昭61-293136(JP,A)
【文献】特開2015-104241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
H02K 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のプレートと、
前記プレートの径方向の内側に周方向に隣り合うように配置されることで環状のコアを形成する複数の分割コアであって、前記分割コアが、前記プレートの前記径方向の内方側に突出するティースと、前記径方向の外側であって軸方向の中間部分に空洞を持たせることで前記径方向の外方側及び前記周方向の両側に開口する凹部の前記軸方向の両側を画定する挟持部とを含み、前記凹部に前記プレートの前記径方向の内方側が挿入されることで前記挟持部が前記プレートの前記径方向の内方側を前記軸方向の両側から挟持する前記複数の分割コアと、
前記複数の分割コアが有する前記各ティースに巻回されるステータコイルと、
前記分割コア及び前記プレートに跨るように前記分割コアの前記軸方向の端面の少なくとも一部と前記プレートの前記軸方向の端面の少なくとも一部を覆う樹脂部と、
を備え、
前記分割コアは、電磁鋼板からなり、
前記分割コアは、前記ティースの径方向の外方側の端部に接続する接続部、及び前記接続部の前記周方向の両側に位置して前記接続部から前記周方向に突出する2つの突出部を有するヨークを有
し、
前記プレートは、樹脂材料で構成される、レゾルバステータ。
【請求項2】
請求項
1に記載のレゾルバステータにおいて、
前記各挟持部及びその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する1以上の貫通孔を有し、
前記軸方向から見たとき、前記樹脂部は、前記貫通孔に重なる箇所に配置される部分を含んで、前記樹脂部の一部が、前記貫通孔の少なくとも一部に入り込んでいる、レゾルバステータ。
【請求項3】
請求項
1に記載のレゾルバステータにおいて、
前記各挟持部とその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する1以上の貫通孔を有し、
前記挟持部と前記被挟持部を跨ぐように前記貫通孔に挿通される一体のピン部材を備える、レゾルバステータ。
【請求項4】
請求項
2又は
3に記載のレゾルバステータにおいて、
前記各挟持部とその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する2以上の前記貫通孔を有する、レゾルバステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータとしては、特許文献1に記載されているステータがある。このステータは、複数の分割コアを、各分割コアのティースが略径方向に延在するように円環状に配置した状態で金属製のリングを複数の分割コアの外周側に圧入や焼嵌め等で装着している。このようにして、リングから各分割コアに径方向内方側の力を付与し、複数の分割コアを周方向に締め付けて一体に結束している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ステータは、複数の分割コアが一体となった構造を有するので、歩留まりを高くし易く、製造コストを低減し易い。しかし、上記ステータでは、分割コアがリングから付与される径方向内側の力で変形し易い。したがって、ステータが回転電機の回転角を検出するレゾルバステータである場合には、分割コアの変形が検出精度に影響を及ぼし、高精度な検出の妨げになる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、歩留まりを高くし易く、高精度な検出も実現し易いレゾルバステータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るレゾルバステータは、環状のプレートと、前記プレートの径方向の内側に周方向に隣り合うように配置されることで環状のコアを形成する複数の分割コアであって、前記分割コアが、前記プレートの前記径方向の内方側に突出するティースと、前記径方向の外側であって軸方向の中間部分に空洞を持たせることで前記径方向の外方側及び前記周方向の両側に開口する凹部の前記軸方向の両側を画定する挟持部とを含み、前記凹部に前記プレートの前記径方向の内方側が挿入されることで前記挟持部が前記プレートの前記径方向の内方側を前記軸方向の両側から挟持する前記複数の分割コアと、前記複数の分割コアが有する前記各ティースに巻回されるステータコイルと、前記分割コア及び前記プレートに跨るように前記分割コアの前記軸方向の端面の少なくとも一部と前記プレートの前記軸方向の端面の少なくとも一部を覆う樹脂部と、を備え、前記分割コアは、電磁鋼板からなり、前記分割コアは、前記ティースの径方向の外方側の端部に接続する接続部、及び前記接続部の前記周方向の両側に位置して前記接続部から前記周方向に突出する2つの突出部を有するヨークを有し、前記プレートは、樹脂材料で構成される。
【0007】
本発明によれば、分割コアの挟持部がプレートの径方向内方側を挟持することで分割コアをプレートに固定できる。また、樹脂部が分割コア及びプレートに跨るように配置され、分割コアとプレートが樹脂部を介して一体化される。したがって、プレートに対する分割コアの取付位置の変動を樹脂部で防止でき、プレートに対する分割コアの固定を確実なものとできる。よって、レゾルバステータを、複数の分割コアを用いて構成できるので、歩留まりを高くし易く、製造コストを低減し易い。
【0008】
更には、分割コアの挟持部がプレートの径方向内方側を挟持することで分割コアをプレートに固定するので、従来技術と異なり、径方向内方側の力が分割コアに付与されることがなく、分割コアが該径方向内方側の力で変形することがない。よって、分割コアの変形を抑制できるので、高精度な回転角の検出を実現し易い。
【0009】
また、本発明において、前記各挟持部及びその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する1以上の貫通孔を有し、前記軸方向から見たとき、前記樹脂部は、前記貫通孔に重なる箇所に配置される部分を含んで、前記樹脂部の一部が、前記貫通孔の少なくとも一部に入り込んでもよい。
【0010】
上記構成によれば、樹脂部の一部が貫通孔の少なくとも一部に入り込んでいるので、樹脂部を分割コアの挟持部に確実に固定でき、樹脂部に対する分割コアの径方向の移動を抑制できる。また、樹脂部がプレートの貫通孔まで到達している場合には、樹脂部でプレートに対する分割コアの径方向の移動も抑制でき、分割コアの径方向の移動を更に確実に抑制できる。
【0011】
また、上記構成によれば、各挟持部及びその挟持部に挟持されたプレートの被挟持部を軸方向に貫通する1以上の貫通孔を設けるだけで、樹脂モールド時に樹脂部の一部を貫通孔の少なくとも一部に自動的に流動させることができる。よって、樹脂部、複数の分割コア、及びプレートの一体構造の強度の増大を、工数をあまり増やすことなく簡単安価に実現できる。
【0012】
また、本発明において、前記各挟持部とその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する1以上の貫通孔を有し、前記挟持部と前記被挟持部を跨ぐように前記貫通孔に挿通される一体のピン部材を備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、剛性が大きいピン部材で分割コアをプレートに確実に固定できる。よって、プレートに対する分割コアの径方向の移動を略防止できると共に、樹脂部、複数の分割コア、及びプレートの一体構造の強度を大きくできる。
【0014】
また、本発明において、前記各挟持部とその挟持部に挟持された前記プレートの被挟持部を前記軸方向に貫通する2以上の前記貫通孔を有してもよい。
【0015】
各挟持部と被挟持部を軸方向に貫通する貫通孔が1つしかない場合、貫通孔を用いた固定では、分割コアがその貫通孔を中心に回転する動きを抑制しにくい。これに対し、上記構成によれば、各分割コアが、貫通孔に入り込んだ樹脂又はピン部材によって樹脂部及びプレートの少なくとも一方と2箇所以上で固定される。したがって、当該少なくとも一方に対する分割コアの回転を抑制でき、分割コアをより確実にプレートに固定できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るレゾルバステータによれば、歩留まりを高くし易く、高精度な検出も実現し易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態のレゾルバの模式平面図である。
【
図3】第1実施形態の変形例のレゾルバにおける
図2に対応する模式断面図である。
【
図4】第2実施形態のレゾルバにおける
図2に対応する模式断面図である。
【
図5】第2実施形態の変形例のレゾルバにおける
図2に対応する模式断面図である。
【
図6】更なる変形例のレゾルバにおける
図2に対応する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の説明及び図面において、R方向は、レゾルバ1のステータ10の径方向を示し、θ方向は、ステータ10の周方向を示し、Z方向は、ステータ10の軸方向を示す。R方向、θ方向、及びZ方向は、互いに直交する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のレゾルバ1の模式平面図であり、
図2は、
図1のA-A線模式断面図である。なお、
図2及び以下の
図3~
図6では、分かり易いように、コイルの巻回部分は、断面でなく側面から見た構造を示す。
【0020】
図1を参照して、レゾルバ1は、回転電機のケース(図示せず)内に配設される。レゾルバ1は、回転電機のケースに固定される環状のステータ10と、回転電機のシャフト(回転軸)5に固定されるロータ20を備える。ステータ10は、コア(ステータコア)11、及びステータコイル12を含み、コア11は、円環状のプレート21と、複数の略同一の分割コア22を有する。プレート21は、例えば、SPC材等の鋼材や樹脂材料で構成される。
【0021】
複数の分割コア22は、プレート21のR方向内側にθ方向に僅かな隙間を介して隣り合うようにθ方向に略等間隔に配置される。分割コア22は、プレート21のR方向内方側に固定される。分割コア22は、R方向内方側に略R方向に延在するティース23を含む。分割コア22は、例えば電磁鋼板をZ方向に積層して構成される。プレート21に対する分割コア22の固定構造については、後で
図2を用いて詳細に説明する。
【0022】
ステータコイル12は、複数のティース23に巻回されて装着される。ステータコイル12は、励磁用コイルと2個の検出用コイルとからなる3種のコイルを含む。励磁用コイルは、例えば、全てのティースに巻回され、一方の検出用コイルと他方の検出用コイルは、例えば、複数のティース23に互い違いに1つ置きに巻回される。励磁用コイルに交流電流を印加すると、2個の検出コイルに電流が誘導される。
【0023】
ステータ10は、Z方向の両側に樹脂部25を備える。樹脂部25は、例えば電気絶縁性を有する樹脂材料を用いたモールド成形法(射出成形法)により形成される、樹脂部25の配置位置については、後で
図2を用いて詳細に説明する。
【0024】
ロータ20は、例えば電磁鋼板をZ方向に積層して構成される。ロータ20は、回転電機のシャフト5に固定され、環状のコア11の径方向内側にコア11に径方向に間隔をおいて配設される。ロータ20は、例えば、楕円形の板形状を有し、楕円の中心は、シャフト5の中心軸上に位置する。
【0025】
シャフト5の回転に伴ってロータ20が回転すると、楕円形のロータ20の外周面とコア11のティース23先端とのギャップが周期的に変化し、それに起因して検出用コイルに誘導される電流が周期的に変化する。この検出用コイルを流れる電流の変化から、ステータ10に対するロータ20の回転位置が算出される。ステータ10は回転電機のケースに固定され、ロータ20は回転電機のシャフト5と一体に回転するので、回転電機のケースに対する回転電機のシャフト5の回転位置を検出できる。
【0026】
なお、励磁用コイルと2個の検出用コイルの巻回構造は、上記説明のものに限らず、励磁用コイルと2個の検出用コイルの夫々は、例えば、全てのティースに巻回されてもよい。励磁用コイルと2個の検出用コイルは、2個の検出用コイルの出力電圧で回転電機の回転角を検出できれば如何なる巻回方法で複数のティースに巻回されてもよい。また、ロータ20の形状は、楕円に限られず、ロータ20の回転に伴って、その外周面とコアのティース先端とのギャップが周期的に変化する形状であれば如何なる形状でもよい。例えば、ロータ20の形状は、中心が回転中心からずれた円板形状や、ギャップが回転電機の回転角θに対して正弦波状に変化する形状としてもよい。
【0027】
レゾルバ1は、更に、ステータ10の周縁部の一部の周辺にコネクタ部30を備える。コネクタ部30は、ステータコイル12の巻線を外部回路に電気的に接続するために設けられる。コネクタ部30は、例えば樹脂によって構成される。
【0028】
次に、
図2を用いて、ステータ10における分割コア22の取付構造等について説明する。
図2に示すように、分割コア22は、R方向外側に挟持部40を含み、挟持部40は、R方向外側及びθ方向両側に開口する凹部41のZ方向の両側を画定する。凹部41は、例えば、分割コア22において、Z方向に積層する多数の電磁鋼鈑のうちでZ方向中間部分に位置する電磁鋼鈑のR方向長さを、R方向外方側においてZ方向両端部に位置する電磁鋼鈑のR方向長さより短くすることで簡単安価に形成できる。又は、凹部41は、同じ形状の積層鋼板を積層してなる切除前分割コアにおけるR方向外側であってZ方向中間部分を切除することで形成されてもよい。凹部41は、空洞を構成する。
【0029】
プレート21のR方向内方側がプレート21のR方向内方側の端面(内周面)45が凹部41のR方向内側の底面46に接触するまでプレート21に対して分割コア22をR方向内側から外側に相対移動させる。このようにして、プレート21のR方向内方側を凹部41に挿入し、プレート21のR方向内方側を分割コア22の挟持部40でZ方向両側から挟持する。凹部41の底面46の形状を、プレート21の端面45に対応する円弧形状とすると、プレート21の端面45を底面46全面に当接させることができ、プレート21に対して分割コア22をより正確に位置決めできて好ましい。
【0030】
プレート21に対して分割コア22を位置決めした状態で、ステータ10は、挟持部40及び挟持部40に挟持されたプレート21の被挟持部48をZ方向に貫通する1つの貫通孔50を有する。より詳しくは、プレート21は、分割コア22の数と同じ数の貫通孔50aを有し、分割コア22は、挟持部40にZ方向に隙間を介して対向する貫通孔50b及び50cを有する。貫通孔50a,50b,50cが挟持部40及び被挟持部48をZ方向に貫通する1つの貫通孔50を生成するように分割コア22をプレート21に対して位置決めする。複数の分割コア22をこのように位置決めすると、複数の分割コア22は、θ方向に僅かな隙間をおいてθ方向に隣り合う。
図1に示すように、本実施例では、貫通孔50は、断面円形状の円筒孔であるが、貫通孔の断面形状は、如何なる形状でもよく、例えば断面矩形状等でもよい。
【0031】
再度、
図2を参照して、樹脂部25は、ステータ10のZ方向両側及び貫通孔50内に配設される。樹脂部25は、分割コア22及びプレート21に跨るように分割コア22のZ方向端面の少なくとも一部とプレート21のZ方向端面の少なくとも一部を覆う。樹脂部25は、複数の分割コア22をプレート21に位置決めして統合してなるコア11を、金型内の所定位置に配置した上で、金型内に樹脂を射出する樹脂モールド成形で形成される。樹脂部25は、例えば、樹脂モールド成形で、分割コア22のR方向外方側の端部を覆うように配置され、プレート21のZ方向の端面に接触する接触部55を有する。樹脂モールド成形時、樹脂部25の一部が自動的に貫通孔50の少なくとも一部に入り込む。
【0032】
図2に示す例では、樹脂部25の一部が、貫通孔50の略全ての領域に隙間なく配置され、樹脂部25において分割コア22よりもZ方向一方側に位置する部分25aと、樹脂部25において分割コア22よりもZ方向他方側に位置する部分25bが、樹脂部25において貫通孔50内に位置する部分25cで連結される。なお、この実施例では、樹脂部25の一部が、貫通孔50の略全ての領域に隙間なく配置される例について説明したが、樹脂部の一部は、貫通孔50の少なくとも一部に配置されればよい。例えば、複数の分割コア22、プレート21、及び樹脂部25を樹脂モールドにより一体化した後に、ステータコイル12を、複数の分割コア22が有する各ティース23に巻回する。そして、その後、例えば、コネクタ部30(
図1参照)を、プレート21に取り付け、コイル線をコネクタ部30に電気的に接続することで、ステータ10を形成する。
【0033】
上記第1実施形態によれば、分割コア22の挟持部40がプレート21のR方向内方側を挟持することで分割コア22をプレート21に固定できる。また、樹脂部25が分割コア22及びプレート21に跨るように配置され、分割コア22とプレート21が樹脂部25を介して一体化される。したがって、プレート21に対する分割コア22の取付位置の変動を樹脂部25で防止でき、プレート21に対する分割コア22の固定を確実なものとできる。よって、ステータ10を、複数の分割コア22を用いて構成できるので、歩留まりを高くし易く、製造コストを低減し易い。
【0034】
更には、分割コア22の挟持部40がプレート21のR方向内方側を挟持することで分割コア22をプレート21に固定するので、従来技術と異なり、R方向内方側の力が分割コア22に付与されることがなく、分割コア22がR方向内方側の力で変形することがない。よって、分割コア22の変形を抑制できるので、高精度な回転角の検出を実現し易い。
【0035】
また、樹脂部25の一部が貫通孔50の少なくとも一部に入り込んでいるので、樹脂部25を分割コア22の挟持部40に確実に固定でき、樹脂部25に対する分割コア22のR方向の移動を抑制できる。また、樹脂部25がプレート21の貫通孔50aまで到達しているので、プレート21に対する分割コア22のR方向の移動も抑制でき、分割コア22のR方向の移動を更に確実に抑制できる。
【0036】
更には、各挟持部40及びその挟持部40に挟持されたプレート21の被挟持部48をZ方向に貫通する1以上の貫通孔50を設けるだけで、樹脂モールド時に樹脂部25の一部を貫通孔50の少なくとも一部に自動的に流動させることができる。よって、樹脂部25、複数の分割コア22、及びプレート21の一体構造の強度の増大を、工数をあまり増やすことなく簡単安価に実現できる。
【0037】
なお、第1実施形態では、ステータ10が、各挟持部40及びそれに挟持される被挟持部48を貫通する貫通孔50を1つしか有さなかった。しかし、
図3、すなわち、第1実施形態の変形例のレゾルバ101における
図2に対応する模式断面図に示すように、レゾルバ101のステータ110は、各挟持部140及びそれに挟持される被挟持部148を貫通する2以上の貫通孔150を有してもよく、2以上の貫通孔150は、例えばR方向に間隔をおいて配置されてもよい。
【0038】
各挟持部と被挟持部を軸方向に貫通する貫通孔が1つしかない場合、貫通孔を用いた固定では、分割コアがその貫通孔を中心に回転する動きを抑制しにくい。これに対し、本変形例によれば、各分割コア122が、各貫通孔150の少なくとも一部に入り込んだ樹脂部の一部125aによって樹脂部125、又は樹脂部125及びプレート121の夫々に2箇所以上で固定される。したがって、樹脂部125、又は樹脂部125及びプレート121の夫々に対する分割コア122の回転を抑制でき、分割コア122をより確実にプレート121に固定できる。
【0039】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態のレゾルバ201における
図2に対応する模式断面図である。なお、第2実施形態と以下の全ての変形例では、第1実施形態と同一の構成には第1実施形態と同一の番号を付して説明を省略し、第1実施形態と同一の作用効果についても説明を省略する。
【0040】
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、各分割コア222の挟持部240とプレート221の被挟持部248をZ方向に貫通する1つの貫通孔250に挟持部240と被挟持部248を跨ぐように一体のピン部材280を挿通固定する。
【0041】
図4に示すように、ピン部材280のZ方向長さが、分割コア222のZ方向長さより長く、ピン部材280のZ方向両端部は、分割コア222からZ方向外方側に突出する。樹脂部225は、分割コア222及びプレート221に跨るように分割コア222のZ方向端面の少なくとも一部とプレート221のZ方向端面の少なくとも一部を覆い、Z方向から見たとき、貫通孔250に重なる箇所に配置される部分を含む。ピン部材280のZ方向両端部280a,280bは、樹脂部225に取り囲まれるように覆われる。
【0042】
第2実施形態によれば、剛性が大きいピン部材280で分割コア222をプレート221に確実に固定できる。よって、プレート221に対する分割コア222のR方向の移動を略防止できると共に、樹脂部225、複数の分割コア222、及びプレート221の一体構造の強度を大きくできる。
【0043】
また、ピン部材280の両端部が、樹脂部225内に突出している。したがって、ピン部材280を樹脂部225に固定でき、分割コア222及びプレート221を、ピン部材280を介して樹脂部225に確実に取り付けできる。
【0044】
なお、第2実施形態では、ピン部材280のZ方向長さが、分割コア222のZ方向長さより長く、ピン部材280のZ方向両端部が、分割コア222からZ方向外方側に突出していた。しかし、ピン部材は、分割コアの挟持部とプレートの被挟持部を跨ぐように配置される部分を有すればよく、一方又は両側の端部がZ方向外方に突出しなくてもよい。
【0045】
また、ステータ210が、各分割コア222の挟持部240とプレート221の被挟持部248をZ方向に貫通する貫通孔250を1つのみ有する場合について説明した。しかし、
図5、すなわち、第2実施形態の変形例のレゾルバ301における
図2に対応する模式断面図に示すように、ステータ310が、各分割コア322の挟持部340とプレート321の被挟持部348をZ方向に貫通する2以上の貫通孔350を有してもよい。そして、ピン部材380を、分割コア322の挟持部340とプレート321の被挟持部348を跨ぐように各貫通孔350に挿通固定してもよい。なお、この場合も、各ピン部材380のZ方向両端部が樹脂部325内に突出すると好ましい。しかし、少なくとも1以上のピン部材における少なくとも一方の端部が貫通孔から突出しなくてもよい。
【0046】
本変形例によれば、各分割コア322が2以上のピン部材380でプレート321に2箇所以上で固定される。したがって、プレート321に対する分割コア322の回転を防止でき、分割コア322をプレート321に確実に固定できる。
【0047】
尚、本発明は、上記実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項及びその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態及び変形例では、ステータ10,110,210,310が、挟持部40,140,240,340及び被挟持部48,148,248,348をZ方向に貫通する貫通孔50,150,250,350を有する場合について説明した。しかし、
図6、すなわち、更なる変形例のレゾルバ401における
図2に対応する模式断面図に示すように、ステータ410は、挟持部440及びそれに挟持される被挟持部448をZ方向に貫通する貫通孔を有さなくてもよい。又は、ステータは、挟持部及びそれに挟持される被挟持部をZ方向に貫通する2以上の貫通孔を有し、2以上の貫通孔のうちの一部の貫通孔のみにピン部材を挿通固定する一方、他の一部の貫通孔には樹脂部の一部を配置する構成でもよい。
【0049】
要は、本発明のレゾルバのステータは、環状のプレートと、プレートのR方向内側にθ方向に隣り合うように配置されることで環状のコアを形成する複数の分割コアであって、分割コアが、プレートのR方向内方側に突出するティースと、R方向外側であってZ方向の中間部分に空洞を持たせることでR方向外方側及びθ方向両側に開口する凹部のZ方向両側を画定する挟持部とを含み、凹部にプレートのR方向内方側が挿入されることで挟持部がプレートのR方向内方側をZ方向両側から挟持する複数の分割コアと、複数の分割コアが有する各ティースに巻回されるステータコイルと、分割コア及びプレートに跨るように分割コアのZ方向端面の少なくとも一部とプレートのZ方向端面の少なくとも一部を覆う樹脂部と、を備えていれば、如何なる構造を有してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,101,201,301,401 レゾルバ、 10,110,210,310,410 ステータ、 11 コア、 12 ステータコイル、 21,121,221,321 プレート、 22,122,222,322 分割コア、 23 ティース、 40 挟持部、 41 凹部、 25,125,225,325 樹脂部、 10,110,210,310,410 ステータ、 50,150,250,350 貫通孔、 280,380 ピン部材、 R方向 径方向、 θ方向 周方向、 Z方向 軸方向。