IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 現代自動車株式会社の特許一覧 ▶ 起亞自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図1
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図2
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図3
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図4
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図5
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図6
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図7
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図8
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図9
  • 特許-自動車用電動式ステアリングコラム装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】自動車用電動式ステアリングコラム装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/181 20060101AFI20220329BHJP
   B62D 1/19 20060101ALI20220329BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20220329BHJP
   F16F 7/08 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B62D1/181
B62D1/19
F16F7/00 L
F16F7/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017213877
(22)【出願日】2017-11-06
(65)【公開番号】P2018177187
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】10-2017-0042828
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹祥圭
(72)【発明者】
【氏名】ベ晋護
(72)【発明者】
【氏名】金容善
(72)【発明者】
【氏名】金範洙
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0257333(US,A1)
【文献】特開2015-227166(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190300(WO,A1)
【文献】特開2007-030527(JP,A)
【文献】特開2006-297989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/181
B62D 1/19
F16F 7/00
F16F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側部にスロットが貫通形成されたパイプ構造として車体に固定されるハウジングと、
前記ハウジングの内側に前後進可能に挿入され、ステアリングシャフトにロック締結されるテレスコピックパイプと、
前記テレスコピックパイプの内側に配置され、ステアリングシャフトを囲むように設けられる中空形状のテレスコピックブラケットと、
前記スロットを介してテレスコピックパイプとテレスコピックブラケットを相互結合させて、テレスコピックパイプとテレスコピックブラケットに前後進移動動力を提供する駆動装置と、を含んで構成され、
前記テレスコピックブラケットは、テレスコピックパイプの内面に密着するアーチ状区間板と、テレスコピックパイプの内面から離隔される直線区間板が円周方向に沿って一体に繰り返し形成され、一側端部に雌ネジ穴が形成された構造であることを特徴とする自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項2】
前記テレスコピックブラケットの直線区間板の一端の内部に向いた面には、ベンドプレートが挿入貫通される誘導孔がさらに形成されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項3】
前記スロットは、テレスコピックパイプとテレスコピックブラケットの前後進移動距離を限定する長さをもって前後方向に沿って延長形成されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、
ハウジングの外側に装着されるモータと、
モータの出力軸に連結されるスクリュと、
スクリュが回転可能に挿入締結され、スクリュを回転させると、スクリュが元の位置のままで前後進移動する前後進ブロックと、
前後進ブロックからテレスコピックブラケットの雌ネジ穴に締結されてテレスコピックブラケットとテレスコピックパイプとの間を結合させるボルトと、
で構成されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項5】
前記ボルトの頭部の周縁面にはハウジングのスロット入口面にスリップ接触可能な材質からなるテレスコピックブッシュが付着されることを特徴とする請求項4に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項6】
前記ボルトの頭部の底面部には、テレスコピックパイプをテレスコピックブラケットに密着させる衝撃吸収用ブッシュが挿入されることを特徴とする請求項4に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項7】
前記テレスコピックパイプの末端部の内面に一端部が固定される直線プレートと、直線プレートの他端部から延びてテレスコピックブラケットの誘導孔を通過すると共にテレスコピックブラケットの後端部側に延長配列され、長手方向断面視で曲線型断面の拘束プレートと、で構成されるベンドプレートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項9】
前記ベンドプレートの拘束プレートは、外側に膨らんでいる曲線型断面を持つことによって、テレスコピックブラケットの直線区間板の内面に摩擦可能に接触配列されることを特徴とする請求項7に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項10】
前記ハウジングの内面には、テレスコピックパイプの外面に密着する3つまたは4つ以上の荷重支持用構造物が円周方向に沿って等間隔をもって一体に突出形成されることを特徴とする請求項1に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【請求項11】
前記荷重支持用構造物は、ハウジングの入口側の内面に集中的に形成され、前端部から後端部に向かって順次広くなる幅を有することを特徴とする請求項10に記載の自動車用電動式ステアリングコラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用電動式ステアリングコラム装置に係り、より詳細には、部品数が低減でき、重量が減少でき、構造が単純化でき、剛性が増大できる自動車用電動式ステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車用操向装置は、運転者とステアリングホイールとの間の距離を調節するためのテレスコピック装置と、ステアリングホイールの上下のチルト角度を調節するチルト装置を含んで構成される。テレスコピック装置は、ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトの前後長さを調節するもので、運転者とステアリングホイールとの間の距離を運転者の体形に合わせて所望の距離に調節するという一種の便宜装置である。テレスコピック装置には、運転者が直接、ステアリングホイールとステアリングシャフトを軸方向に前後動させる受動方式と、操作性を向上させたモータの動力を用いる電動方式がある。
【0003】
従来のステアリングコラム装置に含まれる電動式テレスコピック装置を図1~4を参照して説明する。図1~3で符号「10」はステアリングシャフトを指す。ステアリングシャフト10は、前後長さを調節するためにスプライン結合された第1ステアリングシャフト11と、第2ステアリングシャフト12で構成される。すなわち、固定状態の第2ステアリングシャフト12に対して第1ステアリングシャフト11が前後進可能にスプライン結合されている。特に、ステアリングシャフト10の外径部には、第1パイプ21、第2パイプ22、及びパイプ形態のハウジング23からなる全部で3つのパイプが互いにオーバーラップ配置される。具体的には、第1パイプ21は、第1ステアリングシャフト11の外径部に前後移送可能に配置され、第2パイプ22は、車体(例えば、カウルパネル)に固定され、かつ第2ステアリングシャフト12の外径部に配置され、ハウジング23は、第1パイプ21と第2パイプ22の外径面に移送可能に密着配置される。
【0004】
ここで第1パイプ21には、ロックホール21-1が形成され、第1ステアリングシャフト11にはロックホール21-1にロック挿入されるロック突起11-1が形成される。また、ハウジング23の外径面にはブラケット30が装着され、ブラケット30にはモータ31が固定装着される。さらに、モータ31の出力側にはギヤボックス32が装着され、ギヤボックス32の内部に存在する雌ネジ(図示せず)にはスクリュ34が前後進移送可能に結合される。また、スクリュ34の前端部と第1パイプ21の外径部との間には、テレスコピックブラケット35が連結される。
【0005】
したがって、モータ31の駆動によってギヤボックス32内の雌ネジが正方向または逆方向に回転すると、スクリュ34が前進又は後進方向に直線移送され、テレスコピックブラケット35によってスクリュ34に連結された第1パイプ21が前進または後進するようになり、それと共に第1パイプ21にロック締結された第1ステアリングシャフト11が前進または後進することによって、第1ステアリングシャフト11に連結されたステアリングホイールと運転者との間の前後距離が自動調節される。
【0006】
一方、車両の事故で、運転者の身体がステアリングホイールに衝突すると、図3に示すように、ステアリングホイールに連結された第1パイプ21を始め、第1パイプ21の外径面に密着されたハウジング23、ハウジング23の外径部に装着されたブラケット30、及びモータ31などが全部車両の前方に向かって一定の長さ前進するコラップス(collapse)が生じるので、運転者がステアリングホイールに衝突する時の衝撃エネルギを吸収して、運転者の傷害を低減できる。
【0007】
しかしながら、上述の従来の電動式テレスコピック装置は、次のような問題点がある。第1に、電動式テレスコピック機能及びコラップスによる衝撃エネルギを吸収するために、第1パイプと第2パイプ、パイプ形態のハウジングなど、パイプの部品数が多くなって、重量及びコストが上昇する。第2に、第1パイプと第2パイプ、パイプ形態のハウジングなど、各パイプ間のオーバーラップ長さが短いため剛性に劣る。第3に、図4に示すように、第1パイプ21の外径面とハウジング23の内径面が互いに真円を成してスライド可能に接触しなければならないが、第1パイプ21の外径面とハウジング23の内径面が加工公差によって真円を成すことが難しく、相互間に遊隔が発生し、それによるノイズが出る。第4に、第1パイプ21の外径面とハウジング23の内径面の間の遊隔があると、第1パイプ21が前後進するテレスコピック作動時、ハウジング23との接触摩擦によるノイズが出る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-121554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題点を解決するためになされたもので、ステアリングホイールに連結されるテレスコピックパイプと、テレスコピックパイプの外径部にオーバーラップ配置されるパイプ形態のハウジングと、テレスコピックパイプを前後進移送させる駆動手段の構成に基づいて電動式テレスコピック機能が容易に得られ、既存に比べてパイプの部品数を低減して重量及びコストを低減でき、テレスコピックパイプとハウジングとの間のオーバーラップ長さを増加させて剛性を増大できる自動車用電動式ステアリングコラム装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、運転者がステアリングホイールにぶつかる衝突事故の場合、テレスコピックパイプのコラップス時の衝突エネルギを吸収できるベンドプレートをテレスコピックパイプとブラケットとの間に連結させることによって、運転者がステアリングホイールに衝突する時の衝撃エネルギを容易に吸収できるようにすることにある。また、本発明のさらに他の目的は、テレスコピックパイプの外径面とハウジングの内径面との間の接触方式を4つ以上の支持構造物で支持する方式を用いて、テレスコピックパイプとハウジングとの間の遊隔をなくして、ノイズの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置は、一側部にスロットが貫通形成されたパイプ構造として車体に固定されるハウジングと、前記ハウジングの内側に前後進可能に挿入され、ステアリングシャフトにロック締結されるテレスコピックパイプと、前記テレスコピックパイプの内側に配置され、ステアリングシャフトを囲むように設けられる中空形状のテレスコピックブラケットと、前記スロットを介してテレスコピックパイプとテレスコピックブラケットを相互結合させて、テレスコピックパイプとテレスコピックブラケットに前後進移動動力を提供する駆動装置と、を含んで構成され、前記テレスコピックブラケットは、テレスコピックパイプの内面に密着するアーチ状区間板と、テレスコピックパイプの内面から離隔される直線区間板が円周方向に沿って一体に繰り返し形成され、一側端部に雌ネジ穴が形成された構造であることを特徴とする。
【0012】
前記テレスコピックブラケットの直線区間板の一端の内部に向いた面には、ベンドプレートが挿入貫通される誘導孔がさらに形成されることを特徴とする。
【0013】
前記スロットは、テレスコピックパイプとテレスコピックブラケットの前後進移動距離を限定する長さをもって前後方向に沿って延長形成されることを特徴とする。
【0014】
前記駆動装置は、ハウジングの外側に装着されるモータと、モータの出力軸に連結されるスクリュと、スクリュが回転可能に挿入締結され、スクリュを回転させると、スクリュが元の位置のままで前後進移動する前後進ブロックと、前後進ブロックからテレスコピックブラケットの雌ネジ穴に締結されてテレスコピックブラケットとテレスコピックパイプとの間を結合させるボルトと、で構成されることを特徴とする。
【0015】
前記ボルトの頭部の周縁面にはハウジングのスロット入口面にスリップ接触可能な材質からなるテレスコピックブッシュが付着されることを特徴とする。
【0016】
前記ボルトの頭部の底面部には、テレスコピックパイプをテレスコピックブラケットに密着させる衝撃吸収用ブッシュが挿入されることを特徴とする。
【0017】
前記テレスコピックパイプの末端部の内面に一端部が固定される直線プレートと、直線プレートの他端部から延びてテレスコピックブラケットの誘導孔を通過すると共にテレスコピックブラケットの後端部側に延長配列され、長手方向断面視で曲線型断面の拘束プレートと、で構成されるベンドプレートをさらに含むことを特徴とする。
【0018】
前記ベンドプレートの直線プレートは、テレスコピックブラケットの直線区間板とテレスコピックパイプとの間の離隔している空間上に配置されることを特徴とする。
【0019】
前記ベンドプレートの拘束プレートは、外側で膨らんでいる曲線型断面を持つことによって、テレスコピックブラケットの直線区間板の内面に摩擦可能に接触配列されることを特徴とする。
【0020】
前記ハウジングの内面には、テレスコピックパイプの外面に密着する3つまたは4つ以上の荷重支持用構造物が円周方向に沿って等間隔をもって一体に突出形成されることを特徴とする。
【0021】
前記荷重支持用構造物は、ハウジングの入口側の内面に集中的に形成され、前端部から後端部に向かって順次広くなる幅を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、次のような効果を提供する。第1に、ステアリングホイールのテレスコピック機能を実現するためのパイプの部品数を既存に比べて低減して重量及びコストの低減が得られ、テレスコピックパイプとハウジングとの間のオーバーラップ長さを増加させて剛性の増大を図ることができる。第2に、テレスコピックパイプのコラップス時の衝突エネルギを吸収できるベンドプレートをテレスコピックパイプとブラケットとの間に連結させることによって、運転者がステアリングホイールに衝突する時の衝撃エネルギを容易に吸収することができる。第3に、テレスコピックパイプの外径面とハウジングの内径面との間の接触方式を4つ以上の支持構造物で支持する方式を用いたことで、テレスコピックパイプとハウジングとの間の遊隔をなくして騒音の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の電動式テレスコピック装置を示す側面図である。
図2】従来の電動式テレスコピック装置を示す断面図である。
図3】従来の電動式テレスコピック装置の衝突時の作動状態を示す平面図である。
図4】従来の電動式テレスコピック装置の第1パイプとハウジングとの間に遊隔が発生することを示す断面図である。
図5】本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置を示す斜視図である。
図6】本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置を示す要部拡大斜視図である。
図7】本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置を示す断面図である。
図8図7のA-A線の断面図である。
図9】本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置のハウジングの内部構造を示す斜視図である。
図10】本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置のハウジングとテレスコピックパイプの間の接触構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0025】
図5図8は、本発明による自動車用電動式ステアリングコラム装置を示す図面で、各図面で図面符号「300」はハウジングを指す。ハウジング300は、中空パイプの形態であって、その後端部が車体(例えば、カウルパネルなど)にマウント固定される。特にハウジング300の一側部には、スロット302が前後方向に沿って延長形成され、このスロット302の前後の長さは、後述するようにテレスコピックパイプ200とテレスコピックブラケット400の前後移送距離を限定する水準で決定される。
【0026】
ハウジング300の内径部には、テレスコピックパイプ200が前後進可能に挿入され、テレスコピックパイプ200の後端部がハウジング300の内径部とオーバーラップされる。また、ステアリングホイールに連結されるステアリングシャフト100がテレスコピックパイプ200の内径部に挿入されてロック締結される。具体的には、テレスコピックパイプ200の前端部にロックホール210が形成され、ステアリングシャフト100にはロック突起110が形成され、ロック突起110をロックホール210に挿入締結させることによって、ステアリングシャフト100がテレスコピックパイプ200の内径部に挿入されてロック締結される。ここで、ステアリングシャフト100とテレスコピックパイプ200が互いにロック締結された状態でハウジング300の内径部に沿って移動可能に配列される。
【0027】
本発明によれば、テレスコピックパイプ200の内径部にテレスコピックブラケット400が設けられ、ハウジング300のスロット302を介してテレスコピックパイプ200とテレスコピックブラケット400が駆動装置500によって相互結合され、駆動装置500は互いに結合されたテレスコピックパイプ200とテレスコピックブラケット400に前後進移動するための動力を提供する。テレスコピックブラケット400は、図7に示すように、テレスコピックパイプ200の内径面に密着するアーチ状断面のアーチ状区間板402と、テレスコピックパイプ200の内径面から離隔される直線断面の直線区間板404が円周方向に沿って一体に繰り返し形成され、一側端部に雌ネジ穴406が形成された構造である。テレスコピックブラケット400の直線区間板404の内面には、後述するようにベンドプレート600が挿入貫通する誘導孔408が貫通形成される。
【0028】
駆動装置500は、ハウジング300の外径部に装着されるモータ502と、モータ502の出力軸に連結されてハウジング300の長さ方向に沿って配列されるスクリュ504と、スクリュ504とネジ締結されてスクリュ504が元の位置で回転時に前進または後進運動する前後進ブロック506と、前後進ブロック506から挿入された後、テレスコピックブラケット400の雌ネジ穴406に締結されてテレスコピックブラケット400とテレスコピックパイプ200との間を相互結合させるボルト508などを含んで構成される。この際、ボルト508の頭部の周縁面には、ハウジング300のスロット302の入口面にスリップ接触可能な材質からなる「L」字断面のテレスコピックブッシュ510が付着されることによって、前後進ブロック506の前後進移動時に前後進ブロック506がハウジング300に直接接触せず、テレスコピックブッシュ510がハウジング300のスロット302の入口面とスライド接触する。
【0029】
ここで、前後進ブロック506の前後移送時、テレスコピックブッシュ510がハウジング300のスロット302の入口面とスライド接触することによって、前後進ブロック506とハウジング300との間の直接的な摩擦抵抗力をなくすことができ、前後進ブロック506の前後移動が円滑に行われる。また、ボルト508の頭部の底面部には、衝突吸収用ブッシュ512が挿入されるが、この衝突吸収用ブッシュ512は、前後進ブロック506からテレスコピックブラケット400の雌ネジ穴406にボルト508が締結される時、テレスコピックパイプ200をテレスコピックブラケット400に対して引き締めて密着させる役割をするだけでなく、後述するように衝突事故時にテレスコピックパイプ200のコラップス移送を案内する役割をする。
【0030】
ここで、本実施例の構成に基づいて形成されるステアリングホイールの電動式テレスコピック作動の流れを説明すると次の通りである。先ず、駆動装置500のモータ502が駆動されると、モータ502の出力軸に連結されたスクリュ504が元の位置で回転する。次に、スクリュ504とネジ締結された前後進ブロック506が、スクリュ504が元の位置で回転することにより前進または後進方向に直線運動するようになり、この際、前後進ブロック506の前進または後進距離は、ボルト508がハウジング300の一側部に形成されたスロット302に沿って前進または後進する距離に限定される。
【0031】
引き続き、前後進ブロック506とボルト508を媒介として結合されたテレスコピックパイプ200とテレスコピックブラケット400が前進または後進するようになって、テレスコピックパイプ200にロック締結されたステアリングシャフト100も共に前進または後進する。結局、ステアリングシャフト100に連結されたステアリングホイールが前進または後進することによって、運転者の上体とステアリングホイールとの間の距離が運転者が所望する距離に調節される。
【0032】
このように、従来のステアリングシャフトのテレスコピック機能を実現するために全部で3つのパイプがオーバーラップ配置される構造に比べて、ステアリングシャフトに連結されるテレスコピックパイプ及び車体に固定されるパイプ形態のハウジングの2つのパイプだけでもテレスコピック機能を実現することができ、既存に比べてパイプの部品数を低減して重量及びコストの低減が得られ、テレスコピックパイプとハウジングとの間のオーバーラップ長さを増加させて剛性の増大を図ることができる。
【0033】
一方、車両衝突事故時に運転者の上体部分がステアリングホイールにぶつかる衝撃を吸収するベンドプレート600が、テレスコピックブラケット400とテレスコピックパイプ200との間に装着される。より詳細には、ベンドプレート600は、図8に示すように、テレスコピックパイプ200の内径の末端部に一端部が溶接によって固定される直線プレート602と、この直線プレート602の他端部から180°折曲されてテレスコピックブラケット400の誘導孔408を通過すると共にテレスコピックブラケット400の後端部側に延長配列される曲線型断面の拘束プレート604と、で構成される。
【0034】
この際、ベンドプレート600の直線プレート602は、テレスコピックブラケット400の直線区間板404とテレスコピックパイプ200との間の離隔している空間上に直線配列され、ベンドプレート600の拘束プレート604は、外側に膨らんでいる曲線型断面を持つことによって、テレスコピックブラケット400の直線区間板404の内面に摩擦可能に接触配列される。それによって、車両事故によって運転者の身体がステアリングホイールに衝突する場合、ステアリングシャフト100に連結されたテレスコピックパイプ200が車両の前方に向かって一定の長さ前進するコラップス(collapse)が行われ、衝突エネルギが容易に吸収される。
【0035】
具体的には、車両事故によって運転者の身体がステアリングホイールに衝突する場合、前記テレスコピックパイプ200がコラップス(collapse)方向に移送される瞬間、テレスコピックパイプ200が衝突吸収用ブッシュ512と摩擦して衝突エネルギを吸収し、それと共に前記テレスコピックパイプ200のコラップス方向への移動時、ベンドプレート600が引っ張られて衝突エネルギを吸収する。さらに、テレスコピックパイプ200がコラップス方向へ移動する場合、ベンドプレート600が引っ張られる時、ベンドプレート600の拘束プレート604がテレスコピックブラケット400の直線区間板404の内面に摩擦接触することで、この時の摩擦エネルギを用いて衝突エネルギをより容易に吸収することができる。
【0036】
このように、テレスコピックパイプ200のコラップス時の衝突エネルギを吸収できるベンドプレート600をテレスコピックパイプ200とブラケット400との間に連結させることによって、運転者がステアリングホイールに衝突する時の衝撃エネルギを吸収して運転者の傷害を低減することができる。
【0037】
一方、図4を参照して前述したように、第1パイプ21の外径面とハウジング23の内径面との間に遊隔が発生することによって、第1パイプ21が前後進するテレスコピック作動時に、ハウジング23との接触摩擦によるノイズが発生するとの問題がある。このような問題を解決するために、図9及び図10に示すように、ハウジング300の内径面にはテレスコピックパイプ200の外径面に密着する3つまたは4つ以上の荷重支持用構造物310が円周方向に沿って等間隔をもって一体に突出形成される。
【0038】
好ましくは、荷重支持用構造物310は、ハウジング300の入口側内径面に集中的に形成され、テレスコピックパイプ200に対する支持面積を増大させるために、前端部から後端部に向かって順次広くなる幅を形成する。したがって、テレスコピックパイプ200の外径面とハウジング300の内径面との間が3つまたは4つ以上の荷重支持用構造物310によって綿密に支持されることによって、テレスコピックパイプ200とハウジング300との間の遊隔をなくし、ノイズの発生を防止することができる。さらに、テレスコピックパイプ200とハウジング300との間のオーバーラップ長さを増大させた状態で外力による曲げ荷重がテレスコピックパイプ200に作用しても、テレスコピックパイプ200の外径面とハウジング300の内径面との間が3つまたは4つ以上の荷重支持用構造物310によって綿密に支持される状態であるため、曲げ荷重も容易に耐えられる剛性補強が得られる。
【符号の説明】
【0039】
100 ステアリングシャフト
110 ロック突起
200 テレスコピックパイプ
210 ロックホール
300 ハウジング
302 スロット
310 荷重支持用構造物
400 テレスコピックブラケット
402 アーチ状区間板
404 直線区間板
406 雌ネジ穴
408 誘導孔
500 駆動装置
502 モータ
504 スクリュ
506 前後進ブロック
508 ボルト
510 テレスコピックブッシュ
512 衝突吸収用ブッシュ
600 ベンドプレート
602 直線プレート
604 拘束プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10