(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】車両のボディに対して可動な車両パーツのための調節デバイス
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20220329BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220329BHJP
E05F 15/622 20150101ALI20220329BHJP
【FI】
B60J5/10 K
B60J5/04 C
E05F15/622
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017239613
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】10 2016 224 968.1
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ライフ
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524997(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0061481(US,A1)
【文献】特開2014-100956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
B60J 5/04
E05F 15/622
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディ(16)に対して可動な車両パーツ(18)のための、特に車両ドア又は車両パネルのための調節デバイス(12)であって、
- 駆動ユニット(23)及び接続ユニット(28)を備える駆動組立体(22)であって、前記接続ユニット(28)が、上位組立体に、言い換えれば前記調節デバイス(12)のパーツではない組立体に、すなわち前記車両の前記ボディ(16)又は前記可動な車両パーツ(18)に前記駆動組立体(22)を接続するように構成されている、駆動組立体(22)と、
- 前記駆動ユニット(23)によって前記駆動組立体(22)に対して移動することができる調節要素(24)であって、前記調節要素(24)が、前記調節要素(24)の自由端において、上位組立体に、言い換えれば前記調節デバイスのパーツではない組立体に、すなわち前記可動な車両パーツ(18)又は前記車両の前記ボディ(16)に前記調節要素(24)を接続するように構成されたさらなる接続ユニット(26)を備える、調節要素(24)と、
を備える、調節デバイスにおいて、
1つの接続ユニット(28)が、前記駆動組立体(22)の自由端から離れているポイントにおいて前記駆動組立体(22)に接続されて
おり、
前記1つの接続ユニット(28)の回動軸(30)が、前記調節要素(24)の調節軸(A)に対して斜めとなるように延びていることを特徴とする調節デバイス(12)。
【請求項2】
1つの接続ユニット(28)が、前記駆動組立体が前記調節要素(24)と相互作用する、前記駆動組立体(22)の端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の調節デバイス(12)。
【請求項3】
前記調節デバイス(12)が、スピンドル駆動部として形成されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の調節デバイス(12)。
【請求項4】
1つの接続ユニット(28)が、前記駆動組立体(22)と一体的に接続、例えば溶接又は接着されるか、又は前記駆動組立体と一体部品で形成されていることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の調節デバイス(12)。
【請求項5】
前記車両の前記ボディ(16)に対して、可動な車両パーツ(
18)、特に車両ドア又は車両パネルを調節するための、請求項1から
4のいずれか一項に記載の調節デバイス(12)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボディに対して可動な車両パーツのための、特に車両ドア又は車両パネルのための調節デバイスであって、駆動ユニット及び接続ユニットを有する駆動組立体であって、接続ユニットが、上位組立体に、言い換えれば調節デバイスのパーツではない組立体に、すなわち車両のボディ又は可動な車両パーツに駆動組立体を接続するように構成されている、駆動組立体と、駆動ユニットにより駆動組立体に対して移動することができる調節要素であって、調節要素の自由端において、上位組立体に、言い換えれば調節デバイスのパーツではない組立体に、すなわち可動な車両パーツ又は車両のボディに調節要素を接続するように構成されたさらなる接続ユニットを備える、調節要素と、を備える、調節デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
初めに述べたタイプの調節デバイスは、一般的に、従来技術から、例として、車両ドア又は車両パネル、例えばトランクの蓋、エンジン区画の蓋、テールゲート又は同様のものを開閉するスピンドル駆動部の形態で公知である。これら調節デバイスの場合には、例えばボールソケットによって形成された2つの接続ユニットが、通常、調節要素の自由端及び駆動組立体に、言い換えれば前記要素を調節するために駆動組立体が調節要素と相互作用するポイントから最も遠い位置又は調節要素が駆動組立体から出てくるポイントから最も遠い位置にそれぞれ配置されている。ここでの欠点は、車両ボディ又は可動な車両パーツに接続するために設けられたこれら接続ポイントが、しばしば、車両ボディ上又は可動な車両パーツ上で自動車の設計者によって提供される結合ポイントに一致せず、従って、例えばより大きい剛性を有するさらなるパネルを使用する、複雑なアダプタ構造が必要になることである。これらさらなるアダプタ構造は、高価なだけでなく、大きな設置空間も占める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、この問題に対する改善法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、1つの接続ユニットが駆動組立体の自由端から離れているポイントにおいて駆動組立体に接続されている、初めに述べたタイプの調節デバイスによって、本発明により達成される。
【0005】
本発明による調節デバイスは、従来技術の調節デバイスとは異なって調節デバイスの全長が2つの接続ユニットの間で延在しないので、2つの接続ユニットの間の距離が前記ユニットの全長よりも短いという利点を有する。駆動ユニット上での1つの接続ユニットの位置は、組立体設計者の仕様に従って任意に選択されてよい。従って、さらなる構成要素、例えば支持プレートを省略することが可能になる。
【0006】
この段階で、本発明による調節デバイスは、車両ドア又は車両パネル、例えばトランクの蓋、エンジン区画の蓋、テールゲート又は同様のものを開閉するための可動な車両パーツとして使用することもできることに留意されたい。
【0007】
有利には、1つの接続ユニットが、前記駆動組立体が調節要素と相互作用する、駆動組立体の端部に配置するか、又は調節要素が駆動組立体から出てくる、駆動組立体の端部に配置することができる。このようにして、2つの接続ユニット、言い換えれば1つの接続ユニット及びさらなる接続ユニットを互いから最小距離に位置決めすることが可能である。
【0008】
本発明による調節デバイスの発展では、1つの接続ユニットの回動軸が、調節要素の調節軸に対して斜めとなるように延びることができる。これは、接続ユニットであって、例えば当該接続ユニットの回動軸が、調節要素の調節軸に対して略直角に且つ駆動ユニットの外側管に対しておよそ接線方向に延びる、接続ユニットによって実施することができる。
【0009】
あるいは、1つの接続ユニットの回動軸が、調節要素の調節軸と交差してもよい。これは、特に、1つの接続ユニットが、駆動ユニットの外側管の一側又は両側に配置される接続ユニットであって、当該接続ユニットの回動軸が駆動ユニットの外側管に対して略径方向に向けられている、接続ユニットによって形成される場合である。
【0010】
調節デバイスは、例えばスピンドル駆動部であってもよい。
【0011】
あるいは、調節デバイスは、当然ながら、液圧式及び/又は空気圧式で動作される駆動部であってもよい。
【0012】
有利には、1つの接続ユニットが、駆動組立体と一体的に接着、例えば溶接又は接着されるか、又は駆動組立体と一体部品で形成されてもよい。このようにして、さらなる接続要素が省略され、従って、本発明による調節デバイスの必要とされる設置空間及びコストをさらに減少させることができる。特に、1つの接続ユニットを駆動組立体とともに一体的にする構成は、駆動組立体の変形、ひいては複雑な問題、例えば位置決めの不正確性又は摩耗の増大を減少させるか、又は完全に防止することができる。
【0013】
別の側面によれば、本発明は、車両のボディに対して、可動な車両パーツ、特に車両ドア又は車両パネルを調節するための、本発明による調節デバイスの使用に関する。
【0014】
本発明は、実施形態を用いて且つ添付の図面を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】延伸位置にある、本発明による調節デバイスの概略断面図である。
【
図2】格納位置にある、
図1の調節デバイスの概略断面図である。
【
図3】
図1及び
図2の調節デバイスの運動経路の概略図である。
【
図4】駆動組立体上で中央に配置された接続ユニットを有する本発明による調節デバイスの運動経路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、上位組立体14上での調節デバイス12の装置10を示す。この概略的な図では、上位組立体14は、メイン要素16、例えば車両ボディと、メイン要素16に対して運動する要素18、例えば車両のテールゲートと、を備えている。運動要素18は、ジョイント20によってメイン要素16に接続されている。
【0017】
調節デバイス12は、駆動ユニット23(図示せず)を有する駆動組立体22及び調節要素24を備えている。調節要素24は、駆動ユニット23により調節軸Aに沿って駆動組立体22に対して軸方向に移動することができ、このため、調節要素24の自由端は、駆動組立体22から離れるように又は駆動組立体22に向かって移動することができる。調節デバイス12は、例えば、スピンドル駆動部の形態にあり、駆動組立体22は、電気モータとして形成された駆動ユニット23と、スピンドルナットと、を備え、調節要素24は、スピンドルを備えている。スピンドルナットの回転方向に依存して、スピンドルナットとねじ係合しているスピンドル、言い換えれば調節要素24は、駆動組立体22の外に又は駆動組立体22内に移動させられ、従って、調節デバイス12の全長は、対応して増大又は減少する。
【0018】
調節要素24は、調節要素24の自由端において、ジョイント接続部26、例えばボールジョイントによって運動要素18に接続されている。
【0019】
駆動組立体22は、駆動組立体22の端部において接続ユニット28を備え、当該端部では、調節要素24が駆動組立体22から出てくるか、又は調節要素24が駆動組立体22を離れる。接続ユニット28は、上位組立体14のメイン要素16に接続され、このため、メイン要素16に対する回動軸30周りでの駆動組立体22の回動運動、言い換えれば調節要素22の回動運動は可能にされる。
【0020】
図1では、調節デバイス12が、調節デバイス12の最大長さで示されており、このため、運動要素18は、メイン要素16に対してできるだけ外に回動されている。
【0021】
図2では、調節デバイス12が、調節デバイス12の最小長さにある状態で示されており、言い換えれば、調節要素24は、駆動組立体22内にできるだけ格納されている。従って、運動要素18は、メイン要素16にできるだけ近づくようにメイン要素16に対して移動させられている。
【0022】
調節デバイス12は、ロック特性又はさらには自己ロック特性を有し、このため、運動要素18は、調節要素12を操作することなく、言い換えれば駆動組立体22を操作することなくメイン要素16に対して移動させられることが可能ではないか、又はこの移動は大きな作業によりのみ可能となる。
【0023】
調節デバイス12は、それ自体が公知な方法の力制限結合部及び/又はブレーキなどを備えてもよい。
【0024】
図3は、
図1及び
図2の、調節デバイス12及び上位組立体14の2つの最大位置と、中間位置と、にある装置10を示す。
【0025】
図1に示されるメイン要素16に対して運動要素18の最大開放位置(破線参照)から進むと、調節要素24も、駆動組立体22から外にできるだけ延在された位置にある。
【0026】
この場合、調節デバイス12の向きは、関連する接続ユニット26及び28又は30の2つの回動軸を通過する直線形に従う(破線で示される調節デバイス12参照)。
【0027】
運動要素18は、
図3において破線で示される、運動要素18及び調節デバイス12の中間位置を介して運動要素の閉鎖位置(実線参照)内に移動させられ、調節デバイス12における実線によって示された向きは、この閉鎖位置と関連付けられる。
【0028】
図3に示されるように、ジョイント接続部26は、円形経路32に従い、円形経路32は、中心ポイントとしてのジョイント20と、ジョイント接続部26とジョイント20との間の距離に相当する半径と、を有する。
【0029】
図4は、装置10’における
図3と類似する図であり、装置10’は、駆動組立体22に対する接続ユニット28’の位置のみが装置10と異なっており、従って、装置10’を説明するときに装置10の説明を参照することができる。装置10’の類似する部分には、装置10の参照符号と同じ参照符号が提供されている。
【0030】
図4に示される例では、接続ユニット28’は、駆動組立体22の長さのおよそ中央に配置されている。接続ユニット28’は、調節デバイス12がメイン要素16に対する回動軸34を備えるように駆動組立体22の側面上に配置され、この軸は、調節要素24の調節軸Aに対して略垂直に且つ調節軸Aに対して斜めに延びている。
図4に示される例では、回動軸34が、シートの平面に対して垂直にさらに延びている。
【0031】
上位組立体14上での調節デバイス12の
図4に示される配置は、メイン要素16に対する運動要素18の移動中に駆動組立体22の自由端のより小さい移動をもたらす。
【0032】
2つの接続ユニットの少なくとも一方が、“ピン及びソケット”の形態のスライド接続部として構成されてもよく、ピン及びソケットのどちらが駆動組立体22に固定されるべきかは自由に選択することが可能であることが加味されるべきである。当然ながら、2つの接続ユニットの少なくとも一方が玉軸受、転がり軸受又は別の考えられる軸受を備えてもよい。
【符号の説明】
【0033】
12 調節デバイス、16 ボディ、18 車両パーツ、22 駆動組立体、23 駆動ユニット、24 調節要素、26 さらなる接続ユニット、28 接続ユニット、30 回動軸、A 調節軸