(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】CMP研磨パッドの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B24B 53/017 20120101AFI20220329BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20220329BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B24B53/017 A
B24B55/06
H01L21/304 622F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017241563
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ジェイ・ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・イー・ロリン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ボートナー
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/063940(WO,A1)
【文献】特開2007-035973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0032609(US,A1)
【文献】特開2001-237204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/017
B24B 55/06
H01L 21/304
B08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CMP研磨パッドの表面を洗浄する方法であって、
供給源からの強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンを、CMP研磨パッド基板の表面上に、真空吸引源の方へ170kPa(24.66psig)~600kPa(87psig)の圧力で吹き付けること、ここで、前記基板の表面に対して垂直に存在する垂直面から6~15°の角度での前記強制送気された空気若しくは気体の吹き付けは、前記基板の表面の幅全体を横切り、且つ前記強制送気された空気若しくは気体の供給源を通過する:一方同時に、
前記CMP研磨パッド表面の表面全体が、前記強制送気された空気若しくは気体に少なくとも1回は曝されるように、平坦なプラテン上に水平に配置された前記CMP研磨パッド基板を水平面に沿って搬送すること:及び
前記強制送気された空気若しくは気体の流れのカーテンが前記CMP研磨パッドの表面と接触するところの点から下流にある表面上の点で前記CMP研磨パッドの表面を真空吸引すること:
を包含する、
上記方法
【請求項2】
前記強制送気された空気若しくは気体の供給源は、前記基板が前記強制送気された空気若しくは気体の供給源を通って搬送されるときに、前記基板の表面から20mm以下の位置にあり、前記強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンは、前記基板が強制送気された空気若しくは気体のカーテンを通って搬送されるときに、前記CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断するカーテンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CMP研磨パッドが真空吸引される点の下流の点で、前記CMP研磨パッドの表面をブラッシングすること、一方同時に、強制送気された空気の流れ又はカーテンを基板上に吹き付けること、及び真空吸引すること、をさらに含む、ここで、前記ブラッシングすることは、搬送中に、真空吸引中に、及び吹き付け中に前記CMP研磨パッドの表面にブラシ要素を連続的に接触させること、を含
み、
前記ブラシ要素は、前記CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断し、前記強制送気された空気若しくは気体の前記カーテンと真空吸引源とのそれぞれに平行に配置され、且つ真空吸引源の下流で前記研磨パッド基板に接触する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給源からの強制送気された空気若しくは気体のカーテン(例えばエアーバー)を、カーテンを通過するように搬送されるCMP研磨パッド基板の表面上に、真空吸引源に向けて276kPa(40psi)~600kPa(87psi)の圧力で吹き付けることを包含する、CMP研磨パッドを洗浄するための方法に関する。基板表面に垂直の存在する垂直面から6~15°の角度での強制送気された空気若しくは気体の吹き付けは、強制送気された空気若しくは気体の供給源を通過する。
【背景技術】
【0002】
ケミカルメカニカル平坦化において用いられる研磨パッドの製造において、発泡性または多孔性ポリマー(例えばポリウレタン)の型取り及び硬化は、一般に、その後に離型が続き、次に切断及び成形、例えば、研削、経路付け又はエンボス加工により、研磨パッドの上部表面に最終表面デザイン(例えば溝)を施し、又は金型の上部表面に平行な方向に硬化ポリマーを薄く剥くことにより、所望の厚さを有する層を形成する。これらの方法は必ず、研磨パッド表面上及び研磨パッド表面内に微細に分割された破片を生成し且つ粒子を放出する。破片および粒子は、CMP研磨パッドの孔に閉じ込められる。従って、CMP研磨パッドが使用されるとき、それらの破片及び粒子は、CMP研磨パッドで研磨された基板(例えば半導体の1以上の層)内に欠陥を引き起こし、それによりそれらの基板を破壊する可能性がある。このようなパッド粒子および破片は、例えば、パッドにおいて破壊するための湿式プロセスにおける研磨条件によってパッドを予調整することによって除去することができる。この予調整方法は、破片および粒子を除去しうる。しかしこの方法は、時間がかかり、最低限にされることが望ましい。
【0003】
ベネディクト(Benedict)の米国特許出願公開第2008/0032609 A1号は、ケミカルメカニカル研磨パッドからの汚染物質を低減するために使用する装置及び方法を開示している。この装置は、パッドを保持するための回転真空吸引プラテンと、空気噴射ノズル及びそのノズルを取り囲む環状真空吸引装置の両方を有する汚染物質収集ノズルとを、その長さに沿って装備された横断アームとを備える。この使用方法において、プラテン上に保持された垂直に配置されたCMP研磨パッドが、パッドの周縁部と中心軸との間を移動しながら回転される。この方法および装置は、CMP研磨パッドの溝または窪み領域を洗浄するのに有用である。しかしこの方法および装置は、CMP研磨パッドの表面及び表面に位置する細かく分割された破片および粒子を除去することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者達は、表面に可視孔を含む表面を有するCMP研磨パッドを提供するという課題を解決する努力をしてきた。その結果、パッドの予調整がほとんど又は全くなくても、パッドは使用前に粒子及びその他の放出破片がない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.本発明によれば、CMP研磨パッドの表面を洗浄する方法は、好ましくは、CMP研磨パッドの表面が清浄になるまで連続的に、供給源からの強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンを、真空吸引源に向かけて170kPa(24.66psig)~600kPa(87psig)の圧力で、好ましくは276kPa(40psig)~500kPa(72.52psig)の圧力で、CMP研磨パッド基板の表面上に吹き付けること、ここで、基板の表面に垂直に存在する垂直平面から6~15°、好ましくは8~12.5°の角度での強制送気された空気若しくは気体の吹き付けは、基板の表面の幅全体を横断し且つ同時に強制送気された空気若しくは気体の供給源を通過する:一方同時に、CMP研磨パッド表面の表面全体が強制送気された空気若しくは気体を少なくとも1回、好ましくは2回、曝されるように、平坦なプラテン上に水平に配置されたCMP研磨パッド基板を水平面に沿って搬送すること;及び、強制送気された空気若しくは気体の流れカーテンがCMP研磨パッドの表面に接触する点の下流にある表面上の点でCMP研磨パッドの表面を真空吸引すること;及び、任意選択的に、CMP研磨パッドが真空吸引される点の下流の点でCMP研磨パッドの表面をブラッシングすること、を含む。
【0006】
2.上記項目1に記載の本発明の方法であって、強制送気された空気若しくは気体の供給源は、基板が強制送気された空気若しくは気体の供給源を介して搬送されるとき、基板の表面から30mm以下、好ましくは20mm以下の位置にあり、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンは、基板が強制送気された空気若しくは気体のカーテン又は流れを通して搬送されるとき、CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断するところのカーテンを含んでいる。
【0007】
3.上記項目1又は2のいずれか1項に記載の本発明の方法であって、強制送気された空気若しくは気体の供給源が、線形空気または気体の供給源(例えばエアバーまたはエアーナイフ)である。
【0008】
4.上記項目1、2、又は3のいずれか1項に記載の本発明の方法であって、CMP研磨パッド基板の水平面に沿う搬送は、CMP研磨パッド基板の表面全体が、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンの吹き付け中に少なくとも1回、好ましくは前後に2回強制送気された空気若しくは気体に曝されるように、平坦なプラテン上に配置されたCMP研磨パッドをトラック又はコンベイヤーに沿って移動させることを包含する。
【0009】
5.上記項目1、2、3又は4のいずれか1項に記載の本発明の方法であって、平坦なプラテンが、CMP研磨パッドを適切な位置に保持するための真空吸引プラテンを含む。
【0010】
6.上記項目1、2、3、4、又は5の何れか1項に記載の本発明の方法であって、真空吸引することは、CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断し、且つ基板が真空吸引源を通過して搬送されるときに基板表面から30mm未満、好ましくは20mm未満の位置に配置された、強制送気された空気若しくは気体のカーテンに平行に配置された真空吸引源(好ましくは真空吸引フード)からの真空吸引を適用することを含む。
【0011】
7.上記項目1、2、3,4、5、又は6の何れか1項に記載の本発明の方法であって、前記真空吸引は、強制送気された空気若しくは気体の流れの吹き付け中に連続的に真空吸引を適用することを含む。
【0012】
8.上記項目1、2、3,4、5、6又は7の何れか1項に記載の本発明の方法であって、本方法は、CMP研磨パッドが真空吸引されるところの点の下流の点でCMP研磨パッドの表面をブラッシングすること、一方同時に、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンを基板上に吹き付けること及び真空吸引をすることを含み、ブラッシングすることは、ブラシ要素(例えばブラシ毛の行を備えるブラシ要素)を、搬送中、吹き付け中及び真空吸引中にCMP研磨パッドの表面と接触させることをさらに包含する。
【0013】
9.上記項目8に記載の本発明の方法であって、ブラシ要素は、CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横切り、強制送気された空気若しくは気体のカーテンと真空吸引源とのそれぞれに平行に配置され、そして真空吸引源の下流のCMP研磨パッド基板に接触する。
【0014】
10.上記項目8又は9の何れか1項に記載の本発明の方法であって、ブラシは、CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断する連続的なブラシ要素、例えばその幅に沿ったブラシ要素の欠損のないものを含む。
【0015】
11.上記項目1、2、3,4、5、6、7、8、9、又は10の何れか1項に記載の本発明の方法であって、本方法は、例えばCMP研磨パッドの表面から20mm未満、好ましくは10mm未満の距離に配置された静電気放電バーにCMP研磨パッド基板を曝すことによって、CMP研磨パッド基板から静電荷を除去することをさらに包含し、そしてブラシから下流のCMP研磨パッド基板に作用する。
【0016】
12.上記項目11に記載の本発明の方法であって、静電荷を除去することは、CMP研磨パッド基板の表面の幅全体を横断し且つ強制送気された空気若しくは気体のカーテン、真空吸引源、及びブラシ要素のそれぞれに平行に配置される静電気放電バーに、前記CMP研磨パッド基板を暴露させることを包含する。
【0017】
13.上記項目1、2、3,4、5、6、7、8、9、10、11,12、又は13の何れか1項に記載の本発明の方法であって、水平面に沿った搬送において、CMP研磨パッド基板が表面を上向きに又は表面を下向きに配置され、CMP研磨パッド基板が表面を下向きに配置されているとき、強制送気された空気若しくは気体の吹き付け、真空吸引源、ブラッシング、及び任意選択の静電気放電ベースの全ては、CMP研磨パッド基板に向けられている、その結果、ブラシ要素は、CMP研磨パッド基板の表面に接触し、強制送気された空気若しくは気体の供給源、真空吸引源、及び任意選択的な静電気放電バーは、CMP研磨パッド基板の表面より20mm未満、好ましくは10mm未満の距離に配置されている。
【0018】
14.上記項目1~13の何れか1項に記載の本発明の方法であって、CMP研磨パッド基板の搬送中に、平坦なプラテンは、回転、振動、又は揺動がなく、そしてブラシは、搬送中、静止状態(不動)のままである。
【0019】
15.上記項目1~14の何れか1項に記載の本発明の方法であって、平坦なプラテンの搬送は、平床プラテンを0.1~2m/分、又は好ましくは0.4~1.5m/分の速度で移動させる。
【0020】
別の指示がなければ、温度及び圧力の条件は、気温及び標準気圧である。記載された全ての範囲は、包括的であり且つ組み合わせ可能である。
【0021】
別の指示がなければ、括弧を含むどのような用語も、あたかも括弧がない用語全体、及び括弧内の言葉を除いた用語、及び前二者の組み合せを指す。従って例えば、用語「(ポリ)イソシアン酸塩」は、イソシアン酸塩、ポリイソシアン酸塩、又はそれらの混合物を指す。
【0022】
全ての範囲は、包括的であり且つ組み合わせ可能である。例えば、用語「50~3000cPs、又は100cPs以上」は、50~100cPs、50~3000cPs、及び100~3000cPsのそれぞれを含む。
【0023】
ここで用いられているように、用語「ASTM」は、ASTM International(West Conshohocken,ペンシルベニア州)の出版物を指す。
【0024】
ここで用いられるように、用語「圧縮性」は、ASTM F36-99手順(「ガスケット材料の圧縮性および回復のための標準試験方法」、1999)によって決定される圧縮率の百分率を指し、当初の厚さ(Tf1)と力f2による圧縮(Tf2)の後の厚さとの差をその当初の厚さ(Tf1)で割ること、即ち(Tf1-Tf2)/Tf1である。本発明において、f1は5.964kPa(0.865psi)であり、f2は40.817kPa(5.920psi)である。
【0025】
ここで用いられるように、用語「重量密度」は、所与の材料またはパッドの重量を、その体積で割ることによって決定された結果を指し、体積は、その厚さにその全表面積、例えば丸いパッドについてはπ×r2(ここでrは丸いパッドの半径である)である、を乗じることによって決定される。
【0026】
ここで用いられているように、用語「重量%」は重量パーセントを表す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の方法に従って使用するための、CMP研磨層又はパッドを備えた装置の斜視図を示し、そして本発明の方法において有用な、平床プラテン若しくは平坦なプラテン、トラック若しくはコンベヤ、及び強制送気された空気、真空吸引装置、ブラシ要素及び静電気放電バーを示す。
【
図2】本発明の方法において有用な強制送気された空気バー、真空吸引フード、ブラシ要素および静電気放電バーの切除図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明によると、CMP研磨層又はパッドを洗浄する方法は、それらが制作された後且つ研磨のために調整される前に、CMP研磨層又はパッドの表面から汚染物質を除去することを可能にする。本発明者達は驚くべきことに、CMP研磨層又はパッドの表面上に、30mm以下の短距離から少なくとも276kPa、好ましくは少なくとも360kPaの高圧で強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンを、パッド表面から自由になった破片及び粒子を捕捉するためのダムとして作用するブラシ要素に対して吹き付けることは、製造後にそのようなパッド上の見られるそのような破片及び粒子の80%を除去することを見出した。強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンとブラシ要素との間に配置された真空吸引源は、捕捉された破片及び粒子を効果的に除去する。さらに、基板上に強制送気された空気若しくは気体を吹き付ける前に、静電気防止素子でCMP研磨層基板を処理することにより、このような破片及び粒子の大きな除去速度が可能になる。
【0029】
本発明の方法は、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテン、真空吸引源、ブラシ要素、及び/又は静電気放電バーのいずれかのサイズが変えられるので、様々なサイズのCMP研磨層に適合するように拡大縮小可能である。本発明の方法によれば、平床プラテンは、CMP研磨層よりも大きいか、又は好ましくはCMP研磨層の半径と等しいか、又はCMP研磨層の半径よりも10cm以内で大きい半径を有するサイズのものでなければならない。この方法は、このようにして100mm~610mmの半径を有するCMP研磨層を処理するために拡大縮小が可能である。
【0030】
本発明の方法は、乾燥環境においで実行され且つ気密の若しくは気候変動対策をされたチャンバー内で実行されることができ、その内部においてはCMP研磨層の表面内又は表面上に存在する破片及び粒子以外に追加的な汚染物質は存在しない。
【0031】
本発明の方法は、バックエンドでのCMP研磨において有用なCMP研磨層又はパッドの提供を可能にする。適切なパッドは、上で規定されたように10~30%の圧縮率を有する。
【0032】
本発明の方法に従って使用するのに適したCMP研磨層は、好ましくは、多孔性ポリマー材料(例えば多孔性ポリウレタン)を含む、多孔性のポリマー若しくは充填材を含む。ここで用いられるように、用語「多孔性ポリマー」は、それらの中に細孔を有するポリマーを指す。ここで用いられるように、用語「通気性のある」は、ポリマー内に細孔を有するポリマー母材を指す。
【0033】
本発明の方法は、軟質ポリマー(例えばポリウレタン)から製造されたものを含む任意のパッド上で実施され得、そして10~30%の圧縮率を有する軟質パッドを処理するのに特別の用途を見出す。細孔は、パッドポリマー母材における空間によって提供されうる。
【0034】
本発明の方法は、単一層又は単一のパッド上、及びサブパッド層を有する積層パッド上で実施されうる。
【0035】
図1に示されたように、本発明の方法は、真空吸引ポート(図示されていない)を有する平坦なプラテン(10)の表面上で実施される。
図1において、平坦なプラテン(10)は、左から右へ並ぶ静電気放電バー(12)、ブラシ要素(14)、真空吸引フード(16)及び空気バー(20)の下で、CMP研磨層基板を搬送する。空気バー(20)が、真空吸引フード(16)及びブラシ要素(14)に向かって僅かな角度で傾けられた状態で、CMP研磨層基板上にわずかな角度で強制送気された空気を吹き付けるように、種々の構成要素が配置されている。
図1において、CMP研磨層基板を支持する平坦なプラテン(10)がトラック(18)に沿って搬送されると、静電気放電バーは、それが何らかの強制送気された空気若しくは気体のカーテンに到達する前に基板に作用する。
【0036】
図2に示されたように、本発明の方法において、CMP研磨層基板は、左から右に動くにつれて、順番に、静電気放電バー(12)、ブラシ要素(14)、真空吸引フード(16)および空気バー(20)に対して作用させられる。
【0037】
本発明の装置において、強制送気された空気若しくは気体の供給源、真空吸引源、ブラシ要素、及び静電気放電バーの各々は、同じブラケット上に取り付けられ、そして例えば、機械式アクチュエータ(例えばボールネジ)又はブラケットを昇降させるところのギアに機械的に連結された電気サーボモータを介して一斉に昇降させられうる。好ましくはブラシ要素が、少なくとも30mmの合計距離を独立して昇降することができるように、細かくねじ切りされたボールねじを追加的に有している。
【0038】
好ましくは本発明の方法において、CMP研磨層基板は、表面全体が処理されるように、静電気放電バー、ブラシ要素、真空吸引源、及び強制による空気若しくは気体の供給源の全てを一回通過して搬送される。
図1において、この搬送は、基板全体が強制送気された空気若しくは気体の供給源の下を通過するように、プラテン上のCMP研磨層基板を左から右に移動させることから成る。
【0039】
より好ましくは本発明の方法において、CMP研磨層基板は、2回の各通過で表面全体が処理されるように、静電気放電バー、ブラシ要素、真空吸引源、及び強制による空気若しくは気体の供給源の全てを2度通過するように搬送される。
図1において、この搬送は、強制送気された空気若しくは気体の供給源を常に通過するようにプラテン上のCMP研磨層基板を左から右に移動すること、及び次に右から左へその出発点へ戻る動きをすることから成る。
【0040】
本発明の方法において有用な適切な装置は、NeutroVac(商標)tool(Simco-Ion, Hatfield, PA)であり、それはカスタマイズされた幅で提供されうる。
【0041】
本発明の方法において、強制送気された空気若しくは気体は、それが不活性でなければならないこと以外は限定されていない。適切な気体として、空気、二酸化炭素、又はヘリウムが挙げられる。
【0042】
本発明による強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンは、その全長に沿って配置された複数の強制送気された空気若しくは気体の出口開口を有する空気バー又は他の線形の空気源から流出するカーテンを備えることができる。好ましくは、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンは、その発生源に沿った各点において、強制送気された空気若しくは気体が基板に達する前に1つの同じ長さを有する経路を移動するように発生源から流れる。このような強制送気された空気若しくは気体の供給源は、CMP研磨層基板の表面に平行に配置され、少なくともCMP研磨層又はパッドの幅に達するものであればどのようなものであってもよい。
【0043】
強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンは、CMP研磨層基板と同じ幅の送風機を形成するように単一点から広がることができる。しかし、このような送風機は、送風機源からの基板の距離に反比例してより小さな力しか提供できないであろう。本発明の装置における平床プラテンは、真空吸引装置に接続されたプラテンを貫通する複数の小孔(例えば直径が0.5~5mm)を含んでいる。孔は、研磨中にCMP研磨層基板を適切な位置に保持するために何らかの適切な方法で、例えば平坦なプラテンの中心点から外側に延在する一連の放射状線に沿って、又は一連の同心円状のリング内に配置することができる。
【0044】
本発明の方法において使用される真空吸引源は、真空吸引ポンプに接続され、それにより、破片及び粒子をCMP研磨層基板から除去することができる。
【0045】
真空吸引源からの真空吸引は、0.01バール(1kPa)~0.5バール(50.5kPa)、好ましくは0.03バール(3kPa)~0.2バール(20.2kPa)の圧力で提供することができる。
【0046】
平坦なプラテンによって提供される真空吸引は、真空吸引源からの真空吸引と同じ圧力で提供されうる。
【0047】
本発明の方法において使用されるブラシ要素は、強制送気された空気若しくは気体の流れ又はカーテンによって放出された破片及び粒子の流れを効果的に遮断するところの任意の不活性プラスチック、例えば、ポリアミド、硬質ゴム、又は天然の(例えば馬毛)ブラシ材料でありうる。本発明の方法において、ブラシ要素は、CMP研磨層基板の表面と少なくとも接触している。
【0048】
本発明の方法で使用される静電気放電バーは、CMP研磨層基板に向けられた電離粒子又は電荷の電気的電源(例えばタングステンエミッタ)を含むことができる。静電気放電バーは、CMP研磨パッドの表面から20mm未満、好ましくは10mm未満の距離に配置される。
【0049】
本発明の方法において使用される静電気放電バーは、本発明の方法においてCMP研磨層基板表面に接触しうる。そのような場合、静電気放電バーは、帯電防止材料、例えば、ポリアニリン又はポリエチレンイミンのような導電性の正に荷電したポリマー、導電性材料(例えばカーボンブラック);帯電防止材料被覆材料(例えばインジウムスズ酸化物被覆セラミックス又は無機酸化物材料)を含みうる。帯電防止材料は、繊維形状、シート形状でありうるか、又はそれは棒又はストリップの形状に成形された粒子の複合体でありうる。
【0050】
実施例:以下の実施例において別に明記しない限り、圧力の全ての単位は標準気圧(~101kPa)であり、且つ温度の全ての単位は室温(21~23℃)である。
【0051】
以下の試験方法は、下記の実施例において用いられた。
【0052】
粒子計数:粒子は、所与のパッド基板の7.62cm×7.62cm(3"×3")の領域で単色照明を用いて計数された。最大及び最小の粒子数を有する領域が選択され、且つ除去された粒子の%を決定するために、パッドを洗浄する前及びパッドを洗浄した後に、平均値が計算された。
【0053】
実施例1:実験は、重量密度0.286g/cm3及び圧縮率15%を有する、直径50.8cm(20インチ)、厚さ1.524mm(60ミル)のPolitex(商標)多孔性ポリウレタン軟質パッドを用いて実施された(The Dow Chemical Co.、ミッドランド、ミシガン州(ダウ))。実施例の方法において、静電気バーが材料の電荷を中和するために用いられ、パッド表面から粒子を除去することを助けた。エアーナイフは、粒子を除去するために圧縮空気をCMP研磨層基板の表面上に吹き付けるのに用いられた。エアーナイフは、基板の表面に垂直である垂直面に対して約6°の角度に設定され、そしてエアーナイフ内の強制送気された空気の供給源を通過した。比較パッド1~4、9~12、および17~20については、(圧縮された)空気圧を48.26kPa(7psi)に設定した。本発明のパッド5~8,13~16、及び21~26では、空気圧は413.69kPa(60psi)に設定された。ブラシは使用されなかった。パッドは、それらが約1.1m/分の速度で強制送気された空気及び真空吸引源の下を2回通過するように(1回は前へ1回は戻るように)搬送された。
【0054】
真空吸引源を設定して、19.8m/秒(3902fpm)の平均速度で破片および粒子を指示されたパッド基板から引き出した。真空吸引源は、平坦なプラテンから0.508~1.016cm(0.2"~0.4")の範囲で変化させた。結果を以下の表1に示す。
【0055】
実施例1b:実験は、重量密度0.286g/cm3及び圧縮率15%を有する直径50.8cm(20インチ)、厚さ1.524mm(60ミル)のPolitex(商標)多孔質ポリウレタン軟パッドを用いて実施された(The Dow Chemical Co.、ミッドランド、ミシガン州(ダウ))。実施例の方法において、静電気バーが、材料の電荷を中和し且つパッド表面から粒子を除去するのを助けるために使用された。エアーナイフは、粒子を除去するために、圧縮空気をCMP研磨層基板の表面上に、パッド1(比較用)、4(比較用)、5、8、9、10、11、及び12に関しては172.37kPa(25psig)の力で、そして比較のためにパッド2,3、6、及び7に関しては34.37kPa(5psig)の力で吹き付けるために用いられた。
【0056】
エアーナイフは、基板の表面に垂直である垂直面から5~30°の所与の角度に設定され、そしてエアーナイフ内の強制送気された空気の供給源を通過した。比較用のパッド1、2では、エアーナイフは垂直面から約25°の角度に設定され、比較用パッド3、4については、エアーナイフは垂直平面から約20°の角度に設定された。パッド5、6については、エアーナイフは垂直平面から約10°の角度に設定された。パッド7~12については、垂直面から6°の角度を有した。離脱した粒子は、破片及び粒子を指定されたパッド基板から19.8m/秒(3902fpm)の平均速度で引き出すために設定された真空吸引源を用いて捕捉された。ブラシは使用されなかった。パッドは、約1.1m/分の速度で、強制送気された空気及び真空吸引源の下を2回通過するように(1回は前へ1回は戻るように)搬送された。
【0057】
真空吸引源は、19.8m/秒(3902fpm)の平均速度で破片及び粒子を指定されたパッド基板から引き出すように設定された。平坦なプラテンからの真空吸引ノズルの間隔は9.5mmであった。結果は下の表1bに示される。
【0058】
【0059】
表1に示されたように、本発明の範囲内にある強制送気された空気圧を用いて洗浄された上のパッドは、劇的に良好な粒子除去を与えた。 唯一の例外は、パッド自体が当初から非常に少ない粒子又は不純物を有する実施例21であった。 さらに、ブラシの不在は、方法の制御を損なうので、結果はブラシを有する場合よりもより変化した。下の表2と比較せよ。
【0060】
【0061】
上の表1bに示されたように、ブラシ要素がない場合、本発明のパッド洗浄方法は、ブラシが存在するほどには効果的でない。下の表2と比較せよ。これは驚くべきことである。何故ならブラシ自体は真空吸引除去のために粒子を捕獲するだけであり、それ自体がパッドから粒子を除去しないからである。本発明の実施例10は、本発明の方法がブラシの使用なしでは好ましい整合性を欠くことを示している。実施例10のパッドは当初の平均計数が非常に低かった。実施例8、9、11、及び12と比較せよ。
【0062】
実施例2:粒子を取り除くために圧縮空気をCMP研磨層基板の表面上に413.7kPa(60psig)の圧力で吹き付けるために使用されたエアーナイフの下流に真空吸引ノズルに隣接してブラシが設置されたこと以外は、実施例1が繰り返された。エアーナイフは、基板の表面に垂直に存在する垂直面から約10°の角度に設定され、且つエアーナイフ内の強制送気された空気の供給源を通過する。ブラシ毛はパッドに軽く接触された。パッドは、強制送気された空気及び真空吸引源の下を約1.1m/分の速度で2回(1回は前へ、1回は戻りで)通過するように搬送された。ブラシは、パッド表面から粒子を除去しそれらを真空吸引ノズルの方に移動させた。
【0063】
【0064】
上の表2に示すように、エアーナイフが、基板の表面に垂直である垂直面に対して本発明の角度に設定され且つ空気源を通過する本発明の方法において、静止ブラシ要素が、本発明の方法で使用され、強制送気された空気が本発明の圧力で吹き付けられ、除去された粒子の平均量は82%であった。 これは一貫して優れた結果であった。