(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20220329BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220329BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20220329BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220329BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220329BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09G3/20 624B
G09G3/20 642A
G09G3/3233
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2017247510
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】渋沢 誠
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-018277(JP,A)
【文献】特開2009-122196(JP,A)
【文献】特開2009-193026(JP,A)
【文献】特開2009-276669(JP,A)
【文献】特開2010-107763(JP,A)
【文献】特開2010-122320(JP,A)
【文献】特開2011-145622(JP,A)
【文献】特開2014-142560(JP,A)
【文献】特開2017-120375(JP,A)
【文献】特開2017-203991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
G09G3/00-3/08
3/12
3/14
3/16
3/19-3/26
3/30
3/32-3/3291
3/34
3/38
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極が第1ノードに接続され、第2電極が第2ノードに接続され、第3電極が第3ノードに接続される駆動トランジスタと、
一方の電極が前記駆動トランジスタの第1電極が設けられる層と同一の層に設けられる第1導電層から構成され、かつ、前記第1ノードに接続され、他方の電極が前記駆動トランジスタの活性層が設けられる層と同一の層に設けられる半導体層から構成され、かつ、前記第2ノードに接続される第1容量素子と、
第2共通電極と前記第1ノードとの間に接続される第2容量素子と、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続される第1スイッチと、
映像信号線と前記第2ノードとの間に接続される第2スイッチと、
第3共通電極と前記第1ノードとの間に接続される第3スイッチと、
電源線と前記第2ノードとの間に接続される第4スイッチと、
前記第3ノードに電気的に接続される画素電極と、第1共通電極とを有する発光素子と、
前記第3ノードと前記画素電極との間に接続される第5スイッチと、
前記第3共通電極と前記画素電極との間に接続される第6スイッチと、
を備える画素を有する表示装置。
【請求項2】
前記第1導電層は前記半導体層と重畳する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1容量素子の容量値は前記第2容量素子の容量値よりも小さい、請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1容量素子の容量値は、前記第2容量素子の容量値の30%以上50%以下である請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1共通電極の電位は、前記第2共通電極の電位よりも小さい、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第2共通電極の電位は、前記電源線の電位と略同一である、請求項
1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1スイッチと前記駆動トランジスタと前記第2スイッチとが導通するとき、前記第1容量素子の前記一方の電極と前記他方の電極との間に、前記駆動トランジスタの閾値電圧に相当する電荷が保持され、
前記発光素子が発光するとき、前記発光素子が発光しないときと比較して、前記第1ノードの電位が、前記第1容量素子の前記容量値と前記第2容量素子の前記容量値とから算出される比率の分、増加する請求項
3又は請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第3共通電極の電位は、前記電源線の電位、及び、前記第2共通電極の電位よりも小さい、請求項
6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第3共通電極を構成する第2導電層は、前記第1導電層及び前記半導体層の両方と重畳する、請求項
8に記載の表示装置。
【請求項10】
第1電極が第1ノードに接続され、第2電極が第2ノードに接続され、第3電極が第3ノードに接続される駆動トランジスタと、
一方の電極が前記駆動トランジスタの第1電極が設けられる層と同一の層に設けられる導電層から構成され、かつ、前記第1ノードに接続され、他方の電極が前記駆動トランジスタの活性層が設けられる層と同一の層に設けられる半導体層から構成され、かつ、前記第3ノードに接続される第1容量素子と、
前記第1ノードと前記第3ノードとの間に接続される第1スイッチと、
前記第3ノードに電気的に接続される画素電極と、第1共通電極とを有する発光素子と、
を備える画素を有する表示装置。
【請求項11】
前記画素は、第2共通電極と前記第1ノードとの間に接続される第2容量素子を有し、
前記第1容量素子の容量値は前記第2容量素子の容量値よりも小さい、請求項
10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1容量素子の容量値は、前記第2容量素子の容量値の30%以上50%以下である請求項
11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)表示装置(以下、EL表示装置と記す)は、基板上に形成された複数の画素内の各々に複数のトランジスタ、容量素子及び有機発光素子(以下、発光素子と記す)で構成されている。各画素は、画素を制御する信号により駆動される。各画素が有するトランジスタの駆動を信号により制御することで、発光素子に供給される電流値が制御され、表示装置は映像を表示することができる。近年、映像をきめ細かく表示する要求が高まっている。即ち、表示装置の高精細化への要求が高まっている。高精細化の実現には、画素のサイズを小さくする必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、7つのトランジスタ、2つの容量素子、及び1つの発光素子を備える画素、及び、当該画素を含むEL表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている画素においては、映像信号のダイナミックレンジと駆動トランジスタのゲート電極とソース電極との間の電圧(以下において、Vgsと記す)のダイナミックレンジが同じになる。一般的に、駆動トランジスタはばらつきの少ない電流を発光素子に供給するために、駆動トランジスタのチャネル長は大きくする。しかしながら、EL表示装置の高精細化においては、画素のサイズが小さくなるため、駆動トランジスタのチャネル長を大きくすることが困難になる。その結果、駆動トランジスタの電流供給能力が大きくなり、駆動トランジスタのVgsのダイナミックレンジが狭くなる。よって、映像信号のダイナミックレンジが狭くなる。したがって、人がEL表示装置の表示を見るとき、映像信号のばらつきによる輝度ムラが視認されやすくなる。
【0006】
このような課題に鑑み、本発明の一実施形態は、映像信号のダイナミックレンジが広い表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、表示装置であって、第1電極が第1ノードに接続され、第2電極が第2ノードに接続され、第3電極が第3ノードに接続される駆動トランジスタと、一方の電極が駆動トランジスタの第2電極が設けられる層と同一の層に設けられる第1導電層から構成され、かつ、第1ノードに接続され、他方の電極が駆動トランジスタの活性層が設けられる層と同一の層に設けられる半導体層から構成され、かつ、第2ノードに接続される第1容量素子と、第1ノードと第3ノードとの間に接続される第1スイッチと、第3ノードに電気的に接続される画素電極と、第1共通電極と、を有する発光素子とを備える。
【0008】
本発明の一実施形態は、表示装置であって、第1電極が第1ノードに接続され、第2電極が第2ノードに接続され、第3電極が第3ノードに接続される駆動トランジスタと、一方の電極が駆動トランジスタの第2電極が設けられる層と同一の層に設けられる導電層から構成され、かつ、第1ノードに接続され、他方の電極が駆動トランジスタの活性層が設けられる層と同一の層に設けられる半導体層から構成され、かつ、第3ノードに接続される第1容量素子と、第1ノードと第3ノードとの間に接続される第1スイッチと、第3ノードに電気的に接続される画素電極と、第1共通電極と、を有する発光素子とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトである。
【
図5】
図4に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図7】
図6に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図9】
図8に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図11】
図10に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図13】
図12に示した画素の模式的なレイアウトの一部の断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図15】
図14に示した画素の模式的なレイアウトの一部の断面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図17】
図16に示した画素の模式的なレイアウトの一部の断面図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図19】
図18に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図21】
図20に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図23】
図22に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図25】
図24に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図27】
図26に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図28】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素のタイミングチャートである。
【
図29】
図28に示したタイミングにおける画素の動作状態を示す模式図である。
【
図30】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の回路図である。
【
図31】本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトである。
【
図32】画本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
【
図33】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。なお、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0011】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、即ち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視においては、第1基板に対して第2基板が配置される側を「上」又は「上方」といい、その逆を「下」又は「下方」として説明する。
【0012】
本明細書において説明される第1基板は、少なくとも平面状の一主面を有し、この一主面上に絶縁層、半導体層及び導電層の各層、或いはトランジスタ及び表示素子等の各素子が設けられる。以下の説明では、断面視において、第1基板の一主面を基準とし、第1基板に対して「上」、「上層」、「上方」又は「上面」として説明する場合には、特に断りのない限り、第1基板の一主面を基準にして述べるものとする。
【0013】
1.発明の背景
発明者は、映像信号のダイナミックレンジが広い画素を有するEL表示装置を検討している。一般的に、EL表示装置は、基板上に形成された複数の画素の各々が、駆動トランジスタ、容量素子、発光素子、及び発光素子に含まれる付加容量等で構成されている。発光素子に含まれる付加容量とは、例えばダイオード特性を有する発光素子自体が容量成分も有している場合を含む。各画素を駆動する信号によって、映像信号が駆動トランジスタに供給される。駆動トランジスタに供給された映像信号によって、駆動トランジスタが電流を発光素子に供給する。そして、発光素子が発光することで、表示装置は映像を表示することができる。発明者は、第1電極が第1ノードに接続され、第2電極が第2ノードに接続され、第3電極が第3ノードに接続される駆動トランジスタを有する画素において、第1ノードと第2ノードの間、又は、第1ノードと第3ノードの間の何れか一方に、意図的に容量素子(Csx)を設けることを試みた。詳細は
図3などを用いて説明するが、発明者は、この構成によって、映像信号のダイナミックレンジを駆動トランジスタのダイナミックレンジよりも広くできることを見出した。
【0014】
2.第1実施形態
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置を説明する。なお、本明細書などでは、表示装置はアクティブマトリクス型のEL表示装置であるとして、説明する。
【0015】
2-1.全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な平面図である。表示装置100は、基板502、表示領域504、映像信号線駆動回路506、走査信号線駆動回路510、制御回路122、端子電極514、及び周辺領域516を有する。表示領域504、映像信号線駆動回路506、走査信号線駆動回路510、制御回路122、端子電極514、及び周辺領域516は、基板502の上面に設けられる。表示領域504は、表示装置100に映像を表示するための画素120を有する。画素120は、トランジスタを有する。トランジスタを駆動することで、表示装置100に映像を表示することができる。
【0016】
表示領域504の外には、画素120の駆動を制御するための走査信号線駆動回路510及び映像信号線駆動回路506が設けられる。
図1においては、映像信号線駆動回路506はICチップを用いた例を示す。また、
図2においては、走査信号線駆動回路510及び映像信号線駆動回路506は基板502の上面に設けられる例を示すが、この例に限定されない。例えば、基板502とは異なる基板(半導体基板など)の上に形成された駆動回路を、基板502やフレキシブルプリント回路(FPC、FlexiblePrintedCircuit)基板などのコネクタ512の上に設けてもよい。また、走査信号線駆動回路510及び映像信号線駆動回路506が有する回路の一部又は全部を基板502とは異なる基板の上に形成し、基板502やコネクタ512の上に設ける構成としてもよい。また、映像信号線駆動回路506に含まれる駆動回路或いは駆動回路の一部が、基板502の上に直接形成されてもよい。なお、
図1において図示は省略しているが、基板502の上面には、画素120内に設けられる発光素子などの表示素子、及び、表示素子を制御するための各種半導体素子が形成される。
【0017】
また、表示装置100は、第1の配線206、コンタクトホール208、第1の端子配線210、第1の端子212、第2の配線216、コンタクトホール218、第2の端子配線220、第2の端子222なども有する。これらも、走査信号線駆動回路510と同様に、基板502の上面に設けられる。
【0018】
図1において図示は省略しているが、例えば、各画素120に映像信号を供給するための映像信号線、各画素120に電源を供給するための電源線、走査信号線駆動回路510、制御回路122などが、表示領域504の外から延びる第1の配線206と電気的に接続される。第1の配線206は表示領域504の外を延伸し、コンタクトホール208を介して第1の端子配線210と電気的に接続される。第1の端子配線210は表示装置100の端部付近で露出され、第1の端子212を形成する。第1の端子212はコネクタ512と接続される。
【0019】
図1において図示は省略しているが、同様にして、例えば、各画素120に映像信号を供給するための映像信号線、各画素120に電源を供給するための電源線、走査信号線駆動回路510、制御回路122などが、表示領域504の外から延びる第2の配線216と電気的に接続される。第2の配線216は表示領域504の外を延伸し、コンタクトホール218を介して第2の端子配線220と電気的に接続される。第2の端子配線220は表示装置100の端部付近で露出され、第2の端子222を形成する。第2の端子222はコネクタ512と接続される。なお、第2の配線216は第1の配線206であってもよい。コンタクトホール218はコンタクトホール208であってもよい。第2の端子配線220は第1の端子配線210であってもよい。第2の端子222は第1の端子配線210であってもよい。第2の端子222は第1の端子212であってもよい。
【0020】
画素120への信号の供給は、外部回路(図示せず)から第1の端子212、走査信号線駆動回路510及び映像信号線駆動回路506を経由して、行われる。第1の端子212は、表示装置100の一つの辺に並ぶように形成することができる。このため、単一のコネクタ512を用いて、表示領域504に、独立して、電圧や信号を供給することができる。
【0021】
画素120の配列は、ストライプ配列である例を示している。画素120のそれぞれは、例えば、三つの副画素130、副画素132、副画素134(
図33で後述)に対応していてもよい。三つの副画素で一つの画素102(
図33で後述)が形成されてもよい。各副画素には発光素子などの表示素子が一つ備えられる。副画素が対応する色は発光素子、或いは副画素上に設けられるカラーフィルタの特性によって決定される。本明細書では、画素120は、それぞれ一つの発光素子を有し、かつ、少なくとも一つは異なる色を与える副画素を複数備る。また、画素120は、表示領域504で再現される映像の一部を構成する最小単位である。表示領域504が有する副画素はいずれかの画素に含まれる。
【0022】
また、ストライプ配列では、三つの副画素130、副画素132、副画素134が互いに異なる色を与えるように構成することができる。例えば、副画素130、副画素132、副画素134にそれぞれ、赤色、緑色、青色の三原色を発する発光層を備えることができる。そして、三つの副画素のそれぞれに任意の電圧或いは電流を供給することで、フルカラーの表示装置を提供することができる。なお、画素120の配列には制限がなく、デルタ配列、ペンタイル配列などを採用することができる。
【0023】
図2は、発明の一実施形態に係る表示装置100の模式的な平面図である。制御回路122に、
図1に示した複数の端子電極514を介して、映像信号、回路の動作を制御するタイミング信号、電源などが供給される。制御回路122は、各信号や電源電圧などを、走査信号線駆動回路510や映像信号線駆動回路506に供給する。制御回路122は、制御回路122が有する論理回路(図示せず)や電圧生成回路(図示せず)を用いて、各信号や電源電圧などから新たな信号や電源電圧を生成し、走査信号線駆動回路510や映像信号線駆動回路506に供給してもよい。制御回路122が配置される位置は、
図1に示す基板502上に限定されない。例えば、制御回路122は、端子電極514に接続されたコネクタ512上に位置してもよい。
【0024】
走査信号線駆動回路510や映像信号線駆動回路506は、制御回路122から供給された各信号や電源電圧を用いて、画素120が有する発光素子を駆動し、発光素子を発光させることで、表示領域504に映像を表示する役割を果たす。
【0025】
走査信号線駆動回路510は、表示領域504内に構成されるn行目に位置する複数の画素120に対し、共通に、走査信号SG(n)を供給するように構成される。走査信号線駆動回路510は、表示領域504内に構成されるn行目に位置する複数の画素120に対し、共通に、リセット制御信号RG(n)及びRG2(n)を供給するように構成される。走査信号線駆動回路510は、表示領域504内に構成されるn行目に位置する複数の画素120に対し、共通に、発光制御信号BG(n)を供給するように構成される。走査信号線駆動回路510は、複数の画素に対し、リセット信号VLを供給するように構成される。ここで、リセット信号VLの電位をVrstと記す。Vrstはリセット電位と呼んでもよい。走査信号線駆動回路510は、さらに、複数の画素に対し、容量信号VCを供給するように構成される。容量信号VCの電位をVcsと記す。なお、本明細書においては、Vcsが固定電位である例を示すが、Vcsは時間により変動してもよい。なお、
図2においては、走査信号線駆動回路510が、複数の画素に対し、リセット信号VLを供給する例を示すが、この例に限定されない。映像信号線駆動回路506が、複数の画素に対し、リセット信号VLを供給してもよい。同様にして、映像信号線駆動回路506が、複数の画素に対し、容量信号VCを供給してもよい。また、リセット信号VLは、端子電極514から全ての画素に一括して供給されても良い。同様に、容量信号VCは、端子電極514から全ての画素に一括して供給されても良い。
【0026】
映像信号線駆動回路506は、表示領域504内に構成されるm列目に位置する複数の画素120に対し、共通に、映像信号SL(m)を供給するように構成される。以下、映像信号の電位をVsig(m)と記す。映像信号は、表示領域504で表示される映像データに従って決定され、後述する補正方法によって、Vsig(m)が調整される。
【0027】
2-2.画素
図3は、本発明の一実施形態に係る画素120の回路図である。
図2に示したn行m列の画素120の回路図を示している。画素120は、副画素としてもよい。
【0028】
図3に示す各トランジスタは、チャネル領域にシリコンやゲルマニウムなどの14族元素、或いは半導体特性を示す酸化物を有することができる。本実施形態では、これらのトランジスタはいずれもpチャネル型の電界効果トランジスタとして記述するが、これらの一部をpチャネル型の電界効果トランジスタとしてもよい。さらにこれらのトランジスタのチャネル領域は、単結晶、多結晶、微結晶、或いはアモルファスから選択される種々のモルフォロジーを有することができる。たとえば、比較的低温でアモルファスシリコンを溶融、再結晶化して得られる低温ポリシリコン(LTPS)を有することもできる。
【0029】
図3に示すように、画素120は、駆動トランジスタDRT、補整用トランジスタTCT(第1スイッチ)、選択トランジスタSST(第2スイッチ)、第1リセットトランジスタRST(第3スイッチ)、電源トランジスタPST(第4スイッチ)、発光制御トランジスタBCT(第5スイッチ)、第2リセットトランジスタRST2(第6スイッチ)、補助容量素子(第1容量素子)Csx、保持容量素子(第2容量素子)Cs、発光素子OLED、及び付加容量Celを含む。これらのトランジスタはいずれも、第1電極(ゲート電極)と、第2電極及び第3電極からなる一対の端子(ソース電極、ドレイン電極)を有する。補助容量素子Csxは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。保持容量素子Csは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。付加容量Celは一対の端子(第1の端子、第2の端子)を有する。上述の一対の端子は、一対の電極ともいう。なお、
図3では、付加容量Celを発光素子OLEDと並列に設ける例を示しているが、これに限定されない。付加容量Celは、発光素子OLEDの寄生容量であってもよいし、発光素子OLEDと並列に設けられた容量素子と発光素子OLEDの寄生容量とを含んでいてもよい。発光素子OLEDを駆動する電源として、駆動電源線PVDDから高電位VDDが、基準電位線PVSSから基準電位VSSが供給される。容量信号VCの電位Vcsは、駆動電源線PVDDから供給される高電位VDDと略同じとすることができる。さらに、リセット信号VLの電位Vrstは、駆動電源線PVDDから供給される高電位VDD、及び容量信号VCの電位Vcsよりも小さく、基準電位VSSと略同じとすることができる。
【0030】
駆動トランジスタDRTは、入力された映像信号を基に、発光素子OLEDに電流を流し、発光素子OLEDを発光させる役割を有する。補正用トランジスタTCTは、駆動トランジスタDRTの閾値を補正する際に、駆動トランジスタDRTのゲート電極とドレイン電極とを導通させる役割を有する。選択トランジスタSSTは、駆動トランジスタDRTに映像信号を供給する役割を有する。第1リセットトランジスタRSTは、駆動トランジスタDRTのゲート電極などにVrstを供給し、駆動トランジスタDRTのゲートをリセットする役割を有する。電源トランジスタPSTは、駆動電源線PVDDと駆動トランジスタDRTとの接続、非接続を制御する。発光制御トランジスタBCTは、駆動トランジスタDRTと発光素子OLED、及び駆動トランジスタDRTと付加容量Celとの接続、非接続を制御する。即ち、発光制御トランジスタBCTは、発光素子OLEDの発光、非発光を制御する役割を有する。第2リセットトランジスタRST2は、発光素子OLEDの第1の端子にVrstを供給し、駆動トランジスタDRTのソース、及び発光素子OLEDをリセットする役割を有する。発光素子OLEDの第1の端子は画素電極である。また、保持容量素子Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電位を維持する役割を有する。即ち、保持容量素子Csは、入力された映像信号を、詳述すれば、入力された映像信号の階調レベルを保持するための役割を有する。発光素子OLEDは、ダイオード特性を有する。また、発光素子OLEDは、画素電極と、上述の共通電極と、画素電極と共通電極との間に位置する発光層(機能層、有機層)と、を含む。付加容量Celは、発光素子OLEDが含む容量である。なお、本発明の一実施形態においては、付加容量Celと容量素子Csとによって、入力された映像信号を保持してもよい。
【0031】
補助容量素子Csxは、駆動トランジスタDRTのゲート電極が接続されるノードA(n)と、駆動トランジスタDRTのソース電極が接続されるノードB(n)との間に設けられる。本発明の一実施形態における表示装置においては、補助容量素子Csxを設けることによって、駆動トランジスタDRTのVgsの変化量と、映像信号の電位Vsig(m)の振幅との比率を調整することができる。具体的には、Vgsは、以下の数式1のようになる。ここで、Vgsは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極との間の電位である。Csvは、保持容量素子Csの容量値である。Csxvは、補容量素子Csxの容量値である。Vsig(m)は、映像信号の電位である。VDD_Vは、駆動電源線PVDDの電位である。Vthは、駆動トランジスタの閾値電圧である。
【0032】
【0033】
数式1は、駆動トランジスタDRTのVgsの変化量は、映像信号Vsigの振幅を、CsvとCsxvとの比率によって圧縮することで、映像信号Vsigの振幅、すなわちダイナミックレンジを拡大する効果が得られることを示している。数式1において、例えば、Csvが100fFとしたとき、Csxvが寄生容量と同等の値である5fFでは、駆動トランジスタDRTのVgsの変化量に比べて、映像信号の電位Vsig(m)のダイナミックレンジは5%の向上しか見込めない。しかし、意図的に、Csxvを30fF付加した場合、映像信号の電位Vsig(m)のダイナミックレンジはおおよそ25%にまで向上させることができる。即ち、表示装置において、補助容量素子Csxを、駆動トランジスタのゲート電極が接続されるノードA(n)と、駆動トランジスタのソース電極が接続されるノードB(n)との間に、意図的に設けることによって、映像信号のダイナミックレンジを広げることができる。また、発光素子OLEDが発光しているとき、補助容量素子Csxは、保持容量素子Csと同様に、保持容量素子として機能することができる。よって、表示装置において、補助容量素子Csxを設けることによって、画素120の保持特性を向上させることができる。また、表示装置において、補助容量素子Csxを設けることによって、表示装置が映像データを保持するために必要な容量値を、保持容量素子Csと補助容量素子Csxに振り分けることができる。よって、表示装置において、補助容量素子Csxを設けることによって、画素のレイアウトの自由度、及び、画素回路の設計の自由度を向上させることができる。なお、補助容量素子Csxの容量値Csxvは、保持容量Csの容量値Csvに対して、小さい。好ましくは、補助容量素子Csxの容量値Csxvは、保持容量Csの容量値Csvに対して、30%以上50%以下である。
【0034】
第1リセットトランジスタRST(n)のゲート電極は、リセット制御線416_1に電気的に接続される。リセット制御線416_1には、リセット制御信号RG(n)が供給される。第1リセットトランジスタRST(n)は、リセット制御信号RG(n)に供給された信号によって、導通状態、非導通状態が制御される。リセット制御信号RG(n)に供給された信号がローのとき、第1リセットトランジスタRST(n)は、導通状態となる。リセット制御信号RG(n)に供給された信号がハイのとき、第1リセットトランジスタRST(n)は、非導通状態となる。第1リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電位線414に電気的に接続される。リセット電位線414には、リセット信号VLが供給される。第1リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極、補正用トランジスタTCTのソース電極、補助容量素子Csxの第1の端子、及び保持容量素子Csの第1の端子に電気的に接続される。保持容量素子Csの第2の端子は容量線412に電気的に接続される。容量線412には、容量信号VCが供給される。
【0035】
選択トランジスタSSTのゲート電極及び補正用トランジスタTCTのゲート電極は、走査信号線410に電気的に接続される。走査信号線には、走査信号SG(n)が供給される。選択トランジスタSST及び補正用トランジスタTCTは、走査信号SG(n)に供給された信号によって、導通状態、非導通状態が制御される。走査信号SG(n)に供給された信号がローのとき、選択トランジスタSST及び補正用トランジスタTCTは、導通状態となる。走査信号SG(n)に供給された信号がハイのとき、選択トランジスタSST及び補正用トランジスタTCTは、非導通状態となる。選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線409に電気的に接続される。映像信号線409には、映像信号SL(m)が供給される。選択トランジスタSSTのドレイン電極は、電源トランジスタPSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのソース電極、及び補助容量素子Csxの第2の端子に電気的に接続される。電源トランジスタPSTのソース電極は、駆動電源線PVDDに電気的に接続される。駆動電源線PVDDは、駆動電源線428である。
【0036】
電源トランジスタPSTのゲート電極及び発光制御トランジスタBCTのゲート電極は、発光制御線418に電気的に接続される。発光制御線418には、発光制御信号BG(n)が供給される。電源トランジスタPST及び発光制御トランジスタBCTは、発光制御信号BG(n)に供給された信号によって、導通状態、非導通状態が制御される。発光制御信号BG(n)に供給された信号がローのとき、電源トランジスタPST及び発光制御トランジスタBCTは、導通状態となる。発光制御信号BG(n)に供給された信号がハイのとき、電源トランジスタPST及び発光制御トランジスタBCTは、非導通状態となる。駆動トランジスタDRTのドレイン電極は、補正用トランジスタTCTのドレイン電極、及び発光制御トランジスタBCTのソース電極に電気的に接続される。発光制御トランジスタBCTのドレイン電極は、第2リセットトランジスタRST2のドレイン電極、発光素子OLEDの第1の端子、及び付加容量Celの第1の端子に電気的に接続される。
【0037】
第2リセットトランジスタRST2(n)のゲート電極は、リセット制御線416_2に電気的に接続される。リセット制御線416_2には、リセット制御信号RG2(n)が供給される。第2リセットトランジスタRST2(n)は、リセット制御信号RG2(n)に供給された信号によって、導通状態、非導通状態が制御される。リセット制御信号RG2(n)に供給された信号がローのとき、第2リセットトランジスタRST2(n)は、導通状態となる。リセット制御信号RG2(n)に供給された信号がハイのとき、第2リセットトランジスタRST2(n)は、非導通状態となる。
【0038】
発光素子OLEDの第2の端子、及び付加容量Celの第2の端子は、基準電位線PVSSに電気的に接続される。
【0039】
第1リセットトランジスタRSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのゲート電極、補正用トランジスタTCTのソース電極、補助容量素子Csxの第1の端子、及び保持容量素子Csの第1の端子は、第1ノードA(n)に電気的に接続される。選択トランジスタSSTのドレイン電極、電源トランジスタPSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのソース電極、及び補助容量素子Csxの第2の端子は、第2ノードB(n)に電気的に接続される。駆動トランジスタDRTのドレイン電極、補正用トランジスタTCTのドレイン電極、及び発光制御トランジスタBCTのソース電極は、第3ノードC(n)に電気的に接続される。
【0040】
容量線412は、各画素に共通の電位Vcsを供給するため、本明細書などでは「第2共通電極」と呼ぶ場合がある。リセット電位線414は、各画素に共通の電位Vrstを供給するため、本明細書などでは「第3共通電極」と呼ぶ場合がある。
【0041】
本明細書などにおいて、導通状態とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極とが導通し、トランジスタに電流が流れる状態、トランジスタがオン(ON)の状態、スイッチがオン(ON)の状態を示すものとする。また、本明細書などにおいて、非導通状態とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極とが非導通となり、トランジスタに電流が流れていない状態、トランジスタがオフ(OFF)の状態、スイッチがオフ(OFF)の状態を示すものとする。なお、トランジスタまたはスイッチに電流が流れない状態、オフの状態であっても、リーク電流などのように、わずかに電流が流れることは、当業者であれば容易に理解できることである。
【0042】
2-3.積層構造
図4~
図17を用いて、本発明の一実施形態の係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトと、本発明の一実施形態の係る表示装置が有する画素の積層構造を説明する。なお、
図4~
図17を用いた説明において、
図1~
図3で説明した内容と同様の説明は、省略することがある。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトである。
図5は、
図4に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図1~
図3で説明した内容と同様の内容は、説明を省略する。
図4中、点線枠で囲んだ部分に付した記号は、
図3に示した各トランジスタを示す記号と対応する。
【0044】
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図7は、
図6に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図6及び
図7は、画素を形成する過程において、半導体層を設けられた状態を示している。
図4~
図7を参照すれば、表示装置100は、基板502の上面に、任意の構成である下地膜501を介して、半導体層141が設けられている。半導体層141は、後に形成されるゲート電極をマスクとして、ゲート電極と重ならない領域141bを低抵抗化するために、ゲート電極をマスクとしてホウ素やリンなどの不純物が注入される。一方、後に補助容量素子Csxが形成される領域141dは、半導体層141とゲート電極とが重なる領域に含まれるが、トランジスタではなく容量素子として機能させるため、ゲート電極形成前にあらかじめホウ素やリンなどの不純物が注入される。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図9は、
図8に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図8及び
図9は、半導体層の上に、ゲート絶縁膜144が設けられた状態を示している。
図8及び
図9は、ゲート絶縁膜144の上に、さらに、走査信号線410、ゲート電極146、及び発光制御線418が設けられた状態を示している。
図8に示すように、ゲート電極146と同一の層には、リセット制御線416_1、及びリセット制御線416_2も設けられる。半導体層141のうち、ゲート電極146と重なる領域がチャネル領域である。また、ゲート電極146と同一の層に設けられる走査信号線410、発光制御線418、リセット制御線416_1、及びリセット制御線416_2と、半導体層141が重なる領域もチャネル領域である。リセット制御線416_1と半導体層141が重畳する領域が、第2リセットトランジスタRST2(n)のチャネル領域142bである。走査信号線410と半導体層141が重畳する領域が、補正用トランジスタTCTのチャネル領域142cである。走査信号線410と半導体層141が重畳する領域が、選択トランジスタSSTのチャネル領域142dである。ゲート電極146と半導体層141eが重畳する領域が、駆動トランジスタDRTのチャネル領域142eである。発光制御線418と半導体層141が重畳する領域が、発光制御トランジスタBCTのチャネル領域142fである。発光制御線418と半導体層141が重畳する領域が、電源トランジスタPSTのチャネル領域142gである。リセット制御線416_2と半導体層141が重畳する領域が、第1リセットトランジスタRST(n)のチャネル領域142hである。半導体層141のうち、走査信号線410、ゲート電極146、及び発光制御線418のいずれとも重ならない領域141bには、前述の通りホウ素またはリンなどの不純物が注入されている。
【0046】
補助容量素子Csx(補助容量素子442)は、半導体層141d、ゲート電極146、及び、ゲート電極146と半導体層141dに挟持されるゲート絶縁膜144によって形成される。なお、補助容量素子Csxの構成要素は、上記に限定されない。例えば、補助容量素子Csxは、ゲート電極146と後述の容量線412とを絶縁膜を介して対向させることで、形成されてもよい。また、補助容量素子Csxは、容量線412と発光素子OLEDの画素電極とを絶縁膜を介して対向させることで、形成されてもよい。なお、
図8に示すように、ゲート電極146と半導体層141dは重畳されている。
【0047】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図11は、
図10に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図10及び
図11は、
図8及び
図9の状態に、絶縁膜108が設けられた状態を示している。
図10及び
図11は、絶縁膜108の上に、さらに、容量線412が設けられた状態を示している。
図10に示すように、容量線412と同一の層には、リセット電位線414も設けられる。絶縁膜108は、各トランジスタ、保持容量素子Cs、補助容量素子Csxの上に設けられる。なお、容量線412とゲート電極146とは重畳されている。また、容量線412と半導体層141とは重畳されている。
【0048】
保持容量素子Csは、容量線412、ゲート電極146、及び、容量線412とゲート電極146に挟持される絶縁膜108によって形成される。なお、保持容量素子Csは、ゲート電極146、半導体層141a、及び、ゲート電極146と半導体層141aに挟持されるゲート絶縁膜144によって形成されてもよい。なお、保持容量素子Csの構成要素は、上記に限定されない。例えば、保持容量素子Csは、容量線412と発光素子OLEDの画素電極とを絶縁膜を介して対向させることで、形成されてもよい。
【0049】
各トランジスタは、チャネル領域を一対のソース領域及びドレイン領域(図示せず)が挟持することで構成される。本発明の一実施形態においては、各トランジスタの半導体層141が同一の膜で構成されている。
【0050】
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図13は、
図12に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図12及び
図13は、
図10及び
図11の状態に、絶縁膜114が設けられた状態を示している。絶縁膜114は、容量線412、及びリセット電位線414の上に設けられる。絶縁膜114は、容量線412、及びリセット電位線414などに起因する凹凸を吸収し、表示装置100の表面を平坦にすることができる。
【0051】
絶縁膜108、及び絶縁膜114には、半導体層141に達する開口152_1が設けられる。絶縁膜108、及び絶縁膜114には、ゲート電極146に達する開口152_2が設けられる。絶縁膜108、及び絶縁膜114には、容量線412に達する開口152_3が設けられる。
【0052】
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図15は、
図14に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図14及び
図15は、
図12及び
図13の状態に、映像信号線409、駆動電源線428、導電層440_1、導電層440_2、及び導電層440_3が設けられた状態を示している。
【0053】
映像信号線409は、開口152_1によって、半導体層141と電気的に接続される。駆動電源線428は、開口152_3によって、容量線412と電気的に接続される。導電層440_3は、開口152_1によって、半導体層141と電気的に接続される。導電層440_1及び導電層440_2は、開口152_1によって、半導体層141と電気的に接続される。また、導電層440_1及び導電層440_2は、開口152_3によって、リセット電位線414に電気的に接続される。
【0054】
図16は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図17は、
図16に示した画素のA1-A2線に沿った模式的な断面図である。
図16及び
図17は、
図14及び
図15の状態に、絶縁膜148及び無機絶縁膜150が設けられた状態を示している。
図16及び
図17は、さらに、導電層440_3に達する開口190が設けられた状態を示している。絶縁膜148も、絶縁膜114と同様に、各信号線、導電層などに起因する凹凸を吸収し、表示装置100の表面を平坦にすることができる。
【0055】
図4及び
図5に戻って説明を続ける。
図4に示すように、画素電極162が、開口190によって、導電層440_3と電気的に接続される。
【0056】
発光素子OLEDは、画素電極162、共通電極166(カソード電極ともいう)、及びこれらの間に設けられる機能層164(有機層ともいう)によって構成される。画素電極162の上には、画素電極162の一部を露出すると共に、画素電極162の周辺部を覆う絶縁膜168(バンク、隔壁ともいう)が設けられている。絶縁膜168は、
図1に示す表示領域504の全面に亘って、複数の画素120(或いはサブ画素)の境界部に配置されている。即ち、絶縁膜168は、複数の画素120(或いはサブ画素)を区画している。機能層164は、画素電極162と絶縁膜168を覆うように設けられる。さらに、機能層164の上に共通電極166が設けられる。共通電極166は複数の画素120に跨って配置されている。画素電極162と共通電極166からキャリア(電子、ホール)が機能層164へ注入され、機能層164内でキャリアの再結合が生じる。これによって機能層164中に含まれる有機化合物の励起状態が形成され、この励起状態が基底状態へ緩和する際に放出されるエネルギーが発光として利用される。したがって、機能層164と画素電極162とが接している領域が発光領域である。
【0057】
図5では、機能層164は3つの層(164a、164b、164c)を有する。
図5において、164aがホール輸送層であり、164bが発光層であり、164cが電子輸送層である。ホール輸送層164a及び電子輸送層164cは、複数の画素に跨って配置されている。機能層164の層構造は上記に限定されず、四つ以上の層が積層されていてもよい。機能層164は、例えばホール注入層や電子注入層を更に有してもよい。
【0058】
発光素子OLED上には、発光素子OLEDを保護するための封止膜180(パッシベーション膜、保護膜ともいう)を設けてもよい。例えば、
図5に示すように、封止膜180は、有機化合物を含む層184(有機膜)を無機化合物を含む2つの層(第1の無機膜182、第2の無機膜186)で挟持する構造としてもよい。
【0059】
封止膜180の上には、カバーフィルム268が配置される。カバーフィルム268は、表示装置100の表面を保護する。
【0060】
なお、各トランジスタは、チャネル領域を一対のソース領域及びドレイン領域(図示せず)が挟持することで構成される。本発明の一実施形態においては、各トランジスタの半導体層141が同一の膜で構成されている。各トランジスタの半導体層141を独立に設け、各トランジスタ毎にソース及びドレイン電極を設け、絶縁膜108、絶縁膜114、及びゲート絶縁膜144を貫通して設けられる開口部を介して、各トランジスタ毎にソース及びドレイン電極と各トランジスタのソース及びドレイン領域とを電気的に接続してもよい。
【0061】
2-4.駆動方法
図18~
図30を用いて、本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動方法を説明する。なお、
図18~
図30を用いた説明において、
図1~
図17で説明した内容と同様の説明は、省略することがある。
【0062】
図18及び
図19は、期間T0における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T0において、リセット制御信号RG(n+1)、リセット制御信号RG(n)、リセット制御信号RG2(n)、及び走査信号SG(n)には、ハイ電位が供給される。よって、第1リセットトランジスタRST(n)、選択トランジスタSST、補正用トランジスタTCT、及び第2リセットトランジスタRST2(n)は非導通状態である。また、期間T0において、発光制御信号BG(n)には、ロー電位が供給される。よって、電源トランジスタPST、駆動トランジスタDRT、及び発光制御トランジスタBCTは導通状態である。駆動トランジスタDRTが、映像信号の電位に応じた電流を流すように制御されている。したがって、駆動電源線428から基準電位線PVSSに電流が流れ、発光素子OLEDが発光している。ノードA(n)の電位はVA0である。ノードB(n)の電位はVB0である。
【0063】
図20及び
図21は、期間T1における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T1において、発光制御信号BG(n)に供給される電位は、ロー電位からハイ電位になる。よって、電源トランジスタPST、及び発光制御トランジスタBCTも非導通状態となる。よって、駆動電源線428から基準電位線PVSSに電流が流れなくなる。したがって、発光素子OLEDが非発光となる。このとき、ノードA(n)の電位はVA0を維持する。また、ノードB(n)の電位は、VB0からVB1となる。VB1は、VA0―Vthである。ノードB(n)の電位が、VB0からVB1となることによって、駆動トランジスタDRTが非導通状態となる。なお、Vthは、駆動トランジスタの閾値電圧である。
【0064】
図22及び
図23は、期間T2における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T2において、リセット制御信号RG2(n)に供給される電位は、ハイ電位からロー電位になる。よって、第2リセットトランジスタRST2(n)が導通状態となる。よって、リセット電位線414に供給されるリセット電位Vrstが、発光素子OLEDの第1の端子(画素電極)に供給される。リセット電位Vrstは、基準電位線PVSSに供給される基準電位VSSと略同じである。したがって、発光素子OLEDは非発光である。換言すれば、発光素子OLEDはリセットされる。このとき、ノードA(n)の電位はVA0を維持する。また、ノードB(n)の電位はVB1を維持する。その後、期間T2と期間T3の間の期間においても、ノードA(n)の電位はVA0を維持し、ノードB(n)の電位はVB1を維持する。
【0065】
図24及び
図25は、期間T3における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T2と期間T3の間において、リセット制御信号RG2(n)に供給される電位は、ロー電位からハイ電位になる。よって、第2リセットトランジスタRST2(n)が非導通状態となる。また、期間T3において、リセット制御信号RG(n)に供給される電位は、ハイ電位からロー電位になる。よって、第1リセットトランジスタRST(n)が導通状態となる。したがって、リセット電位線414に供給されるリセット電位Vrstが、駆動トランジスタDRTのゲート電極、補正用トランジスタTCTのソース電極、補助容量素子Csxの第1の端子、及び保持容量素子Csの第1の端子に供給される。駆動トランジスタDRTのゲート電極、補正用トランジスタTCTのソース電極、補助容量素子Csxの第1の端子、及び保持容量素子Csの第1の端子はノードA(n)に電気的に接続されているため、ノードA(n)の電位もVrstとなる。このとき、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位(Vrst)は、駆動トランジスタDRTのソース電極の電位及び駆動トランジスタDRTのソース電極の電位よりも小さい。よって、駆動トランジスタDRTは、わずかな時間、導通状態となる。その後、ノードB(n)の電位は、VB1からVB3となる。VB3は、Vrst-Vthである。ノードB(n)の電位が、VB1からVB3となることによって、駆動トランジスタDRTが非導通状態となる。なお、Vthは、駆動トランジスタの閾値電圧である。ノードA(n)の電位は、VA3であり、VA3はVrstである。さらにその後、期間T3と期間T4の間の期間においても、ノードA(n)の電位はVA3を維持する。
【0066】
図26及び
図27は、期間T4における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T3と期間T4の間において、リセット制御信号RG(n)に供給される電位は、ロー電位からハイ電位になる。よって、第1リセットトランジスタRST(n)が非導通状態となる。また、期間T4において、走査信号SG(n)に供給される電位は、ハイ電位からロー電位になる。よって、選択トランジスタSST、及び補正用トランジスタTCTが導通状態となる。したがって、駆動トランジスタDRTのゲート電極とドレイン電極とが短絡される。映像信号線409に映像信号SL(m)の電位Vsig(n)が供給されると、選択トランジスタSSTのドレイン電極、電源トランジスタPSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのソース電極、及び補助用容量素子Csxの第2の端子がVsig(n)となる。選択トランジスタSSTのドレイン電極、電源トランジスタPSTのドレイン電極、駆動トランジスタDRTのソース電極、及び補助用容量Csxの第2の端子は、ノードB(n)に電気的に接続されているため、ノードB(n)の電位もVsig(n)となる。駆動トランジスタDRTにおいて、ソース電極の電位はVsig(n)であって、短絡されているゲート電極とドレイン電極の電位よりも大きい。よって、駆動トランジスタDRTは導通状態となる。したがって、駆動トランジスタDRTのゲート電極及びドレイン電極、補正用トランジスタTCTのソース電極及びドレイン電極、補助容量素子Csxの第1の端子、保持容量素子Csの第1の端子、及び第1リセットトランジスタRST(n)のドレイン電極にも、映像信号線409からVsig(n)が供給される。駆動トランジスタDRTのゲート電極、補正用トランジスタTCTのソース電極及、補助容量素子Csxの第1の端子、保持容量素子Csの第1の端子、及び第1リセットトランジスタRST(n)のドレイン電極は、ノードA(n)に電気的に接続されているため、ノードA(n)も充電される。その後、ノードA(n)の電位が、Vsig(n)+Vthになり、駆動トランジスタDRTのゲートとソース間の電圧が、駆動トランジスタDRTの閾値電圧に等しくなったところで、駆動トランジスタDRTは非導通状態となる。T4期間において、最終的に、ノードA(n)の電位VA4は、Vsig(n)+Vthである。T4期間において、最終的に、ノードB(n)の電位VB4は、Vsig(n)である。したがって、ノードA(n)とノードB(n)との間、すなわち、補助容量素子Csxに、駆動トランジスタDRTの閾値電圧に相当する電荷を保持することができる。即ち、本発明の表示装置は、T4期間において、駆動トランジスタDRTの閾値を補正することができる。さらにその後、期間T4と期間T5の間の期間においても、ノードA(n)の電位はVA4を維持し、ノードB(n)の電位はVB4を維持する。
【0067】
図28~
図29は、期間T5における、m行n列の画素のタイミングチャート、及びm行n列の画素の状態を示している。期間T4と期間T5の間において、走査信号SG(n)に供給される電位は、ロー電位からハイ電位になる。よって、選択トランジスタSST、及び補正用トランジスタTCTが非導通状態となる。また、期間T5において、発光制御信号BG(n)に供給される電位は、ハイ電位からロー電位になる。よって、電源トランジスタPST、及び発光制御トランジスタBCTは導通状態となる。電源トランジスタPSTのソース電極が、駆動電源線428に接続されるため、ノードB(n)の電位が駆動電源線428に供給される電位VDDとなる。駆動トランジスタDRTのソース電極の電位はVDDとなる。本発明の一実施形態における表示装置は、補助容量素子Csxを有しているため、ノードB(n)の電位が駆動電源線428に供給される電位VDDになった分、ノードA(n)の電位が上昇する。よって、駆動トランジスタDRTのソース電極とゲート電極の間の電位は、上述した数式1になる。したがって、駆動トランジスタDRTは、数式1の電位に応じた電流を流すように制御される。したがって、駆動電源線428から基準電位線PVSSに電流が流れ、発光素子OLEDが発光する。
【0068】
上述では、期間T2において発光素子OLEDの第1の端子(アノード)のリセットが実施され、期間T3において駆動トランジスタDRTのゲートのリセットが実施されているが、この順序については問わない。発光素子OLEDの第1の端子(アノード)のリセットは、電源トランジスタPST及び発光制御トランジスタBCTが非導通となっている間に実施されれば良い。駆動トランジスタDRTのゲートのリセットは、映像信号の書込み開始までに実施されていれば良い。各トランジスタの制御に用いている制御信号を共通化して用いたり、当行以外の行のある制御信号を、当行の他の制御信号として用いたりしても良い。
【0069】
本発明の一実施形態における表示装置は、補助容量素子Csxを有することによって、補助容量素子Csxの容量値Csxvと保持容量素子Csの容量値Csvの比率Csv/(Csv+Csxv)に対応した電圧分、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位を上昇させることができる。よって、映像信号の電圧に対して、駆動トランジスタDRTのVgsを圧縮することができる。したがって、本発明の一実施形態における表示装置は、補助容量素子Csxを有することによって、映像信号のダイナミックレンジを、駆動トランジスタDRTのVgsのダイナミックレンジよりも広くすることができる。したがって、本発明の一実施形態における表示装置は、映像信号のばらつきによる輝度ムラを抑制することができる。
【0070】
3.第2実施形態
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置の他の構成を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0071】
図30は、本発明の一実施形態に係る画素120の回路図である。
図2に示したn行m列の画素120の回路図を示している。画素120は、副画素としてもよい。
図30は、
図3に示した回路図と比較して、補助容量素子Csxが、駆動トランジスタDRTのゲート電極が接続されるノードA(n)と、駆動トランジスタDRTのドレイン電極が接続されるノードC(n)との間に設けられる点が異なる。それ以外の構成は、
図3と同じであるから、説明は省略する。
【0072】
図31は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトである。
図31は、
図4に示したレイアウトと比較して、半導体層141eと、ゲート電極146とが重畳する領域が補助容量素子Csxである点が異なる。それ以外の構成は、
図4と同じであるから、説明は省略する。
【0073】
図32は、本発明の一実施形態に係る表示装置が有する画素の模式的なレイアウトの一部である。
図32は、
図8に示したレイアウトと比較して、半導体層141eと、ゲート電極146とが重畳する領域が補助容量素子Csx(補助容量素子442)である点が異なる。それ以外の構成は、
図8と同じであるから、説明は省略する。
【0074】
補助容量素子Csx(補助容量素子442)は、半導体層141e、ゲート電極146、及び、ゲート電極146と半導体層141eに挟持されるゲート絶縁膜144によって形成される。半導体層141eは、補助容量素子Csxを形成するため、半導体層141よりも抵抗が低くなっている。半導体層141eは、半導体層141よりも抵抗を低くするため、例えば、ホウ素や、リンなどの不純物を注入する。なお、補助容量素子Csxの構成要素は、上記に限定されない。例えば、補助容量素子Csxは、ゲート電極146と後述の容量線412とを絶縁膜を介して対向させることで、形成されてもよい。また、補助容量素子Csxは、容量線412と発光素子OLEDの画素電極とを絶縁膜を介して対向させることで、形成されてもよい。なお、
図32に示すように、ゲート電極146と半導体層141eは重畳されている。
【0075】
補助容量素子Csxは、駆動トランジスタDRTのゲート電極が接続されるノードA(n)と、駆動トランジスタDRTのドレイン電極が接続されるノードC(n)との間に設けられる。本発明の一実施形態における表示装置においては、補助容量素子Csxを設けることによって、駆動トランジスタDRTのVgsの変化量と、映像信号の電位Vsig(m)の振幅の比率を調整することができる。具体的には、Vgsは、以下の数式2のようになる。ここで、Vgsは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極との間の電位である。Csvは、保持容量素子Csの容量値である。Csxvは、補容量素子Csxの容量値である。Vsig(m)は、映像信号の電位である。VDD_Vは、駆動電源線PVDDの電位である。Vthは、駆動トランジスタの閾値電圧である。Vandは、発光素子OLEDが発光するときのOLEDの第1の電極(アノード電極)の電位である。
【0076】
【0077】
本実施形態においては、第1実施形態と比較して、半導体層141eと、ゲート電極146とが重畳する領域が補助容量素子Csx(補助容量素子442)である点が異なる。また、本実施形態においては、第1実施形態と比較して、補助容量素子Csx(補助容量素子442)が、半導体層141e、ゲート電極146、及び、ゲート電極146と半導体層141eに挟持されるゲート絶縁膜144によって形成される点が異なる。それ以外は、第1実施形態の構成を適用することができる。なお、第1実施形態において説明した内容と概ね同様であるから、本実施形態において、説明は省略する。
【0078】
本発明の一実施形態における表示装置は、補助容量素子Csxを有することによって、補助容量素子Csxの容量値Csxvと保持容量素子Csの容量値Csvの比率Csv/(Csv+Csxv)に対応した電圧分、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電位を上昇させることができる。よって、映像信号の電圧に対して、駆動トランジスタDRTのVgsを圧縮することができる。したがって、本発明の一実施形態における表示装置は、補助容量素子Csxを有することによって、映像信号のダイナミックレンジを、駆動トランジスタDRTのVgsのダイナミックレンジよりも広くすることができる。したがって、本発明の一実施形態における表示装置は、映像信号のばらつきによる輝度ムラを抑制することができる。
【0079】
4.第3実施形態
本実施形態では、本発明の一実施形態に係る表示装置の積層構造を説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成に関しては説明を省略することがある。
【0080】
図33は、本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な断面図である。
【0081】
表示装置100は、基板502の上面に、任意の構成である下地膜501を介して、半導体層141が設けられている。
【0082】
下地膜501の上側には、駆動トランジスタ434が設けられる。駆動トランジスタ434は、半導体層141、ゲート絶縁膜144、ゲート電極146、ソース電極またはドレイン電極154を含む。ソース電極またはドレイン電極154、及び補助容量素子(図示せず)は、半導体層141に不純物を注入することで形成されてもよい。ゲート電極146は、ゲート絶縁膜144を介して半導体層142と重なっている。半導体層141とゲート電極146が重なる領域が駆動トランジスタ434のチャネル領域である。半導体層142はチャネル領域を挟むようにソース及びドレイン領域を有してもよい。ゲート電極146上には絶縁膜108を設けることができる。
【0083】
図33では、トランジスタはトップゲート型のトランジスタとして図示されている。駆動トランジスタ434の構造に制限はない。駆動トランジスタ434の構造は、例えば、ボトムゲート型トランジスタ、ゲート電極146を複数有するマルチゲート型トランジスタ、半導体層142の上下を二つのゲート電極146で挟持する構造を有するデュアルゲート型トランジスタであってもよい。また、
図33では、一つの画素102が副画素130、副画素132、副画素134の3つの副画素を有する例を示している。また、
図33では、各副画素130、各副画素132、各副画素134のそれぞれには、一つの駆動トランジスタ434が設けられる例が示されている。各副画素130、各副画素132、各副画素134は複数のトランジスタや容量素子などの半導体素子をさらに有してもよい。
【0084】
トランジスタ上には、絶縁膜108が設けられる。絶縁膜108はトランジスタやその他の半導体素子の表面を絶縁すると共に、後に形成される容量素子の誘電体としての機能を有する。絶縁膜108は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜等の無機絶縁膜を用いることができる。
【0085】
絶縁膜108上には、容量線412が設けられる。容量線412と同一の層には、リセット電位線414も設けられる。なお、容量線412とゲート電極146とは重畳されている。
【0086】
さらに、絶縁膜114が設けられる。絶縁膜114は、トランジスタやその他の半導体素子に起因する凹凸を吸収して平坦な表面を与える機能を有する。絶縁膜114は、膜表面の平坦性に優れるアクリル、ポリイミド等から選ばれた有機化合物材料を用いることができる。ただし、先の容量線412を用いて、絶縁膜114を誘電体として上層の導電層との間で容量素子を形成する場合は、前述の絶縁膜108と同様、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜等の無機絶縁膜を用いることができる。
【0087】
ゲート絶縁膜144、絶縁膜108、及び絶縁膜114には、半導体層142に達する開口152_1が設けられる。同時に、絶縁膜108、及び絶縁膜114には、ゲート電極146に達する開口(図示せず)も設けられる。また、絶縁膜108、及び絶縁膜114には、容量線412に達する開口(図示せず)も設けられる。
【0088】
続いて、映像信号線、駆動電源線、及び映像信号線と同一の層に設けられる導電層440_3が、設けられる。導電層440_3は、開口152_1によって、半導体層142、又は、ソース電極またはドレイン電極154と電気的に接続される。第1の端子配線210も、映像信号線と同一の層に設けられる。図示していないが、第1の端子配線210はゲート電極146と同一の層内に存在するように構成してもよい。
【0089】
続いて、絶縁膜148が設けられる。絶縁膜148は、トランジスタやその他の半導体素子に起因する凹凸を吸収して平坦な表面を与える機能を有し、膜表面の平坦性に優れるアクリル、ポリイミド等から選ばれた有機化合物材料を用いることができる。また、絶縁膜148上には無機絶縁膜150を形成してもよい。また、無機絶縁膜150の下層に、後述する発光素子160の画素電極162と、無機絶縁膜150の下層に、無機絶縁膜150を挟むように形成される電極(図示せず)を形成してもよい。このとき、無機絶縁膜150を介して、画素電極162と、無機絶縁膜150を挟むように形成される電極(図示せず)との間で、容量を形成することができる。
【0090】
絶縁膜148、及び無機絶縁膜150には複数の開口が設けられる。そのうちの一つは開口190である。開口190は、後述する発光素子160の画素電極162と、導電層440_3、及び、導電層440_3と同一の層に設けられる配線とを電気的に接続する。開口の一つはコンタクトホール208であり、第1の配線206と第1の端子配線210の電気的接続に用いられる。開口の一つは開口156であり、第1の端子配線210の一部を露出するように設けられる。開口156で露出した第1の端子配線210は、例えば異方性導電膜252などによりコネクタ512と接続される。
【0091】
絶縁膜114、及び無機絶縁膜150上に発光素子160が形成される。発光素子160は、画素電極162、機能層164、共通電極166によって構成される。より具体的には、画素電極162は、開口190を覆い、導電層440_3と電気的に接続されるように設けられる。これにより、駆動トランジスタDRTを介して電流が発光素子160へ供給される。画素電極162の端部を覆うように絶縁膜168が設けられる。絶縁膜168は、隔壁である。隔壁は画素電極162の端部を覆うことで、その上に設けられる機能層164や共通電極166の断線を防ぐことができる。機能層164は画素電極162と隔壁を覆うように設けられ、その上に共通電極166が設けられる。画素電極162と共通電極166からキャリアが機能層164へ注入され、キャリアの再結合が機能層164内で生じる。これにより、機能層164内の発光性分子が励起状態となり、これが基底状態へ緩和するプロセスを経て発光が得られる。したがって、画素電極162と機能層164が接する領域が各副画素130、各副画素132、各副画素134における発光領域となる。
【0092】
機能層164の構成は適宜選択することができ、例えばキャリア注入層、キャリア輸送層、発光層、キャリア阻止層、励起子阻止層などを組み合わせて構成することができる。
図33では、機能層164が三つの層170、176、174を有する例が示されている。この場合、例えば層170はキャリア(ホール)注入及び輸送層、層176は発光層、層174はキャリア(電子)注入及び輸送層とすることができる。発光層である層176は、副画素130、各副画素132、各副画素134で異なる材料を含むように構成することができる。この場合、他の層170や層174は副画素130、各副画素132、各副画素134で共有されるよう、副画素130、各副画素132、各副画素134、及び隔壁の上にわたって形成すればよい。層176で用いる材料を適宜選択することで、副画素130、各副画素132、各副画素134で異なる発光色を得ることができる。あるいは、層174の構造を副画素130、各副画素132、各副画素134間で同一としてもよい。この場合、層174も副画素130、各副画素132、各副画素134で共有されるよう、副画素130、各副画素132、各副画素134、及び隔壁の上にわたって形成すればよい。このような構成では各副画素130、各副画素132、各副画素134の層176から同一の発光色が出力されるため、例えば層176を白色発光可能な構成とし、カラーフィルタを用いて種々の色(例えば、赤色、緑色、青色)をそれぞれ副画素130、各副画素132、各副画素134から取り出してもよい。
【0093】
なお、表示装置100はさらに、コンタクトホール208と開口156を覆い、第1の端子配線210と接する接続電極234、236を有してもよい。これらの接続電極234、236は、画素電極162と同一層内に存在することができる。接続電極234、236を形成することで、表示装置100の製造工程における第1の端子配線210に対するダメージを低減することが可能となり、コンタクト抵抗の低い電気的接続が実現できる。
【0094】
発光素子160上には、封止膜(パッシベーション膜)180が設けられる。封止膜180は、外部から発光素子160やトランジスタに不純物(水、酸素など)が侵入することを防ぐ機能を有する。
図33に示すように、封止膜180は三つの層182、184、186を含むことができる。層(第1の無機膜)182と層(第2の無機膜)186では、無機化合物を含む無機膜を用いることができる。一方、第1の無機膜182と第2の無機膜186の間の層184では、アクリル、ポリイミド等から選ばれた有機化合物を含む膜(有機膜)を用いることができる。有機膜184は、発光素子160や隔壁に起因する凹凸を吸収して平坦な面を与えるように形成することができる。このため、有機膜184の厚さを比較的大きくすることができる。
【0095】
なお、第1の無機膜182と第2の無機膜186は少なくとも表示領域504を覆うように形成することが好ましい。かつ、第1の無機膜182と第2の無機膜186はコンタクトホール208や開口156と重ならないように形成することが好ましい。これにより、第1の端子配線210とコネクタ512や第1の配線206との間でコンタクト抵抗の低い電気的接続が可能となる。さらに、表示領域504の周囲で、第1の無機膜182と第2の無機膜186が直接接することが好ましい(円188で囲った領域参照)。これにより、第1の無機膜182や第2の無機膜186と比較して親水性の高い有機膜184を第1の無機膜182と第2の無機膜186によって封止することができるため、外部からの不純物の侵入、ならびに表示領域504内での不純物の拡散をより効果的に防ぐことができる。
【0096】
第2の無機膜186の上には、カバーフィルム268が配置される。第1の端子配線210は、絶縁膜114、絶縁膜108、ゲート絶縁膜144、及び下地膜501を開口する領域(領域A)と、基板502とに接するように配置されている。領域Aが、表示装置100が折り曲げることができる領域である。カバーフィルム268は、当該折り曲げることができる領域までの表示装置100の表面を保護する。また、下地膜501の下には、カバーフィルム269が配置されてもよい。カバーフィルム269は、下地膜501が損傷することを保護するとともに、表示装置100の裏面も保護する。なお、カバーフィルム268及びカバーフィルム269はなくてもよいし、カバーフィルム268自体が折り曲げに対して十分に柔軟性がある材質であれば、折り曲げることができる領域まで延在しても良い。
【0097】
本発明の一実施形態における表示装置は、上述した積層構造を有することができる。本発明の一実施形態における表示装置は、上述した積層構造を有することによって、映像信号のダイナミックレンジを、駆動トランジスタDRTのVgsのダイナミックレンジよりも広くすることができる。したがって、本発明の一実施形態における表示装置は、映像信号のばらつきによる輝度ムラを抑制することができる。
【0098】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0099】
本明細書においては、開示例としてEL表示装置を例示した。表示装置の大きさは、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0100】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0101】
100・・・表示装置、102・・・一つの画素、120・・・画素、122・・・制御回路、130・・・副画素、132・・・副画素、134・・・副画素、141、141a、141b、141d、141e、142・・・半導体層、142b・・・第2リセットトランジスタRST2(n)のチャネル領域、142c・・・補正用トランジスタTCTのチャネル領域、142d・・・選択トランジスタSSTのチャネル領域、142e・・・駆動トランジスタDRTのチャネル領域、142f・・・発光制御トランジスタBCTのチャネル領域、144・・・ゲート絶縁膜、146・・・ゲート電極、156・・・開口、162・・・画素電極、166・・・共通電極、164・・・機能層、180・・・封止膜、182・・・第1の無機膜、184・・・有機膜、186・・・第2の無機膜、190・・・開口、206・・・第1の配線、208・・・コンタクトホール、210・・・第1の端子配線、212・・・第1の端子、216・・・第2の配線、218・・・コンタクトホール、220・・・第2の端子配線、222・・・第2の端子、409・・・映像信号線、410・・・走査信号線、412・・・容量線、414・・・リセット電位線、416_1・・・リセット制御線、416_2・・・リセット制御線、418・・・発光制御線、428・・・駆動電源線、440_3・・・導電層、502・・・基板、501・・・下地膜、504・・・表示領域、506・・・映像信号線駆動回路、510・・・走査信号線駆動回路、512・・・コネクタ、514・・・端子電極、516・・・周辺領域、SST・・・選択トランジスタ、DRT・・・駆動トランジスタ、BCT・・・発光制御トランジスタ、RST・・・第1リセットトランジスタ、RST2・・・第2リセットトランジスタ、PST・・・電源トランジスタ、Cel・・・付加容量、Cs・・・保持容量素子、Csx・・・補助容量素子、OLED・・・発光素子、PVDD・・・駆動電源線、PVSS・・・基準電位線