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▶ 高砂香料工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】増強香料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20220329BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20220329BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q13/00 100
C11B9/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017544938
(86)(22)【出願日】2016-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-03-22
(86)【国際出願番号】 US2016019430
(87)【国際公開番号】W WO2016138186
(87)【国際公開日】2016-09-01
【審査請求日】2018-12-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-31
(31)【優先権主張番号】62/120,157
(32)【優先日】2015-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンバード,ルイス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナダウ,アンジェリーク
(72)【発明者】
【氏名】ケロウ,キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】スチュワード,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,カーター,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】シュモイヤー,ジェフリー,アール.
【合議体】
【審判長】岡崎 美穂
【審判官】進士 千尋
【審判官】大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-088391(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031932(WO,A1)
【文献】特開2013-091630(JP,A)
【文献】特開2010-254621(JP,A)
【文献】国際公開第2014/195689(WO,A1)
【文献】特開2010-254622(JP,A)
【文献】特開2002-179517(JP,A)
【文献】特開2009-263664(JP,A)
【文献】特開2001-279227(JP,A)
【文献】特開平08-040959(JP,A)
【文献】特表2007-516316(JP,A)
【文献】特許第4290562(JP,B1)
【文献】特開平4-337395(JP,A)
【文献】特開2001-279227(JP,A)
【文献】特開2007-15953(JP,A)
【文献】特開昭57-9729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C11B9/00
Registry/CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の三叉神経刺激化合物を有効成分として含み、
前記1つ以上の三叉神経刺激化合物が、l-メントール、p-メンタン-3,8-ジオール、バニリルエチルエーテルの1:4:1(重量比)混合物からなる、フレグランス組成物の匂いの強度、および顕著さ改善用組成物。
【請求項2】
前記組成物が、1重量%と50重量%の間の前記三叉神経刺激化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、5重量%と15重量%の間の前記三叉神経刺激化合物を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物がさらに1つ以上の担体物質を含む、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年2月24日出願の米国仮特許出願第62/120,157号の優先権を主張し、その内容は、その記載全体が参考として本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に開示された内容は、フレグランス組成物およびフレグランス組成物の組合せに関する。これらのフレグランス組成物は、三叉神経系を刺激し得る化合物の存在のため、改良された効能を有する。
【背景技術】
【0003】
フレグランス組成物の調製および消費者製品におけるかかる組成物の使用には、尽きない興味がある。既存のフレグランス組成物の欠陥は、限られた強度、顕著さ、および知覚性であり得る。例えば、いくつかのフレグランス組成物は、魅力のある匂いを有し得るが、限られた強度および高い知覚閾値を有し得、このことは、その発生源から離れたところでのフレグランス組成物のインパクトを制限し得る。別のフレグランス組成物は、より大きい強度とより低い知覚閾値とを有し得るが、あまり魅力的ではない匂いを有し得る。さらに、フレグランス組成物は、長い暴露時間にわたる使用者の感受性の低下に起因して、顕著さが低下してくる可能性がある。順応および慣れは、フレグランス発生源の交換を余儀なくさせる可能性がある。
【0004】
特許文献1は、1つのフレグランスを連続的に、そして第2のフレグランスを周期的に伝達した送達装置の使用により、慣れの問題を解決しようとした。特別にデザインされた伝達装置の使用によってこの問題を解決するための別の努力は、特許文献2(2つの揮発性組成物を交互に放出するための装置の使用を詳述)および特許文献3(異なるリザーバ中に設置された複数の揮発性液体を散布するための装置における強制空気流の使用を教示)に記載されている。しかしながらこうした発明の各々は、慣れを防止するために、組成物自体の成分にではなく、物理的な伝達装置、またはフレグランス組成物の数に焦点を合わせていた。
【0005】
フレグランス組成物は、典型的には1つ以上のフレグランス化合物および/または担体物質、例えば溶媒を含む。使用者に長期持続性の冷感を付与するための、冷感剤を含む、フレグランス組成物並びに繊維製品、衣類、および医薬品が、特許文献4に開示されている。温感剤もまた、使用者に長期持続性の温感効果を提供するために、消費者製品中に取り入れられてきた。特許文献5参照。これらの先行技術文献は、結果として長期持続性の感覚効果をもたらすが、順応または慣れを防止するその能力については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6,790,408号明細書
【文献】米国特許第8,210,448号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0185951号明細書
【文献】米国特許第8,377,458号明細書
【文献】米国特許第6,673,844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、様々な消費者製品および伝達装置により伝達可能な、魅力的な匂いと改良された順応および慣れ閾値とをもつフレグランス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示された主題は、フレグランス組成物並びにフレグランス組成物の組合せを提供する。1つの実施形態においては、代表的なフレグランス組成物は、1つ以上の三叉神経刺激化合物と、追加のフレグランス化合物とを含み得る。さらなる実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、2つの冷感化合物と温感化合物とを含む。フレグランス組成物は、約1%と約50%の間の三叉神経刺激化合物、または約5%と約15%の間の三叉神経刺激化合物を含み得る。フレグランス組成物はさらに、1つ以上の担体物質を含み得る。
【0009】
1つの実施形態においては、代表的なフレグランスの組合せは、1つ以上の三叉神経刺激化合物を含む第1のフレグランス組成物と、追加のフレグランス化合物を含む第2のフレグランス組成物とを含み得る。
【0010】
1つ以上の三叉神経刺激化合物は、冷感化合物、温感化合物、および/または刺痛感化合物の1つ以上を含み得る。
【0011】
1つ以上の三叉神経刺激化合物は、冷感化合物を含み得る。1つ以上の冷感化合物は、メントール、メントン、カンフル、プレゴール、イソプレゴール、乳酸メンチル、p-メンタン-3,8-ジオール、ハッカ油、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0012】
1つ以上の三叉神経刺激化合物は、温感化合物を含み得る。温感化合物は、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリン、バニリルアルコール、エチルバニリン、エチルバニリルアルコール、およびそれらの組合せからなる群より選択される1つ以上の温感化合物を含み得る。
【0013】
三叉神経刺激化合物は、刺痛感化合物を含み得る。刺痛感化合物は、ジャンブーオレオレジン、スピラントール、およびそれらの組合せを含み得る。
【0014】
以下に続く詳細な記載がよりよく理解されるよう、上記はむしろ本出願の特徴および技術的利点を広く概説してきた。本出願のさらなる特徴および利点は以下に記載され、それは本出願のクレームの主題をなすものである。当業者には、開示された概念および具体的な実施形態が、本出願と同じ目的を実行するための別の構造物を修飾またはデザインするためのベースとして、容易に利用され得ることが認識されるべきである。また当業者には、かかる同等の構築物が、添付のクレームに示されたような本出願の精神および範囲から離れるものでないことも理解されるべきである。本出願の特徴であると考えられる、その構成および操作方法の双方についての新規な特長は、さらなる目的および利点とともに、以下の記載からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】実施例6の結果を示す図である。図1Aは、72分間にわたり1-9のスケールで測定された、TSC有り無しでの配合6Aの快不快を示す図である。
図1B図1Bは、72分間にわたり1-9のスケールで測定された、TSC有り無しでの配合6Bの快不快を示す。
図2】実施例7の結果を表す図である。快不快(または全体的な好み)は、72分間にわたり1-9のスケールで測定される。
図3】実施例8の結果を表す図である。快不快(または全体的な好み)は、72分間にわたり1-9のスケールで測定される。
図4】実施例9の結果を表す図である。快不快(または全体的な好み)は、72分間にわたり1-9のスケールで測定される。
図5A】実施例10のホームユース試験の結果を表す図である。図5Aは、TSC有り無しでの配合6Aの、全体的な好みの意見を表す。
図5B図5Bは、TSC有り無しでの配合6Bの、全体的な好みの意見を表す。平均値の標準誤差を用いた平均スコアを示す。
図6A】実施例10の製品試験の比較嗜好を表す図である。具体的には、図6Aは、6Aを用いて配合されたどの製品を、消費者が早く飽きなかったかを示す。
図6B図6Bは、6Aを用いて配合されたどの製品が、よりリラックスさせ、かつ落ち着かせたかを示す。
図6C図6Cは、6Aを用いて配合されたどの製品が、消費者の家庭をより居心地がよいと感じさせたかを示す。
図6D図6Dは、6Bを用いて配合されたどの製品を、消費者が早く飽きなかったかを示す。
図6E図6Eは、6Bを用いて配合されたどの製品が、より高揚させ、かつエネルギーを与えたかを示す。
図6F図6Fは、6Bを用いて配合されたどの製品が、消費者の家庭をより居心地がよいと感じさせたかを示す。
図7】実施例11のホームユース試験の結果を示す図である。図7は、TSC有り無しでのクリーン/ランドリータイプのフレグランスの全体的な好みの意見を示す。平均値の標準誤差を用いた平均スコアを示す。
図8】実施例12のホームユース試験の結果を示す図である。図8は、TSC有り無しでのフルーティ/フローラルタイプのフレグランスについての全体的な好みの意見を示す。平均値の標準誤差を用いた平均スコアを示す。
図9A】実施例12において試験した製品の比較嗜好を示す図である。具体的には、図9Aは、どの製品を消費者が早く飽きなかったかを示す。
図9B図9Bは、どの製品を消費者がより軽くかつエアリーであると感じたかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記のように、魅力的な匂いと、改善された強度、顕著さ、および知覚閾値とをもつフレグランス組成物の必要性が依然として存在する。本開示は、かかる特性をもつフレグランス組成物およびフレグランス組成物の組合せを提供する。驚いたことに、1つ以上の三叉神経刺激化合物をフレグランス組成物中に含めることが、匂いの快不快体験、強度、および顕著さを、単独でまたは第2のフレグランス組成物と組合せて改善し得ることが判明した。1つ以上の三叉神経刺激化合物を含めることはまた、使用者の知覚閾値を低下させ得て、匂いがその発生源からより遠くで感知されるようにする。ある実施形態においては、本明細書に開示された主題の三叉神経刺激化合物は、使用者の暴露時間にわたり、フレグランス組成物の強度、顕著さ、および知覚閾値を改善し得る。本開示の三叉神経刺激化合物は、限定するものではないが、冷感物質、温感物質、および刺痛感物質を含み得る。
【0017】
明確さのため、かつ制限としてではなく、詳細な記載は以下のサブセクションに分けられている:I.定義;II.三叉神経刺激化合物;およびIII.フレグランス組成物、組合せ、および製品。
【0018】
I.定義
本明細書で用いるとき、用語「a」または「an」は、クレームおよび/または明細書において用語「含む(comprising)」とともに用いる場合、「1つ」を意味し得るが、しかしそれらはまた「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および/または「1つまたは1つより多い」の意味とも一致する。さらに、用語「有する(having)」、含む(包含する)(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(含んでなる)(comprising)」には互換性があり、当業者はこれらの用語が開放型専門用語であることを認識するであろう。
【0019】
本明細書で用いるとき、用語「およそ(about)」または「約(approximately)」は、当業者により決定されるような特定の値についての、許容される誤差範囲内を意味し、これは1つには、いかにしてその値が測定または決定されるか、すなわち測定システムの限界に依存するであろう。例えば、「およそ」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、およびまたは1%までの範囲を意味し得る。
【0020】
本明細書で用いるとき、「フレグランス(fragrance)」はまた、芳香(aroma)、香り(scent)、または匂い(odor)と区別なく使用され得る。
【0021】
本明細書で用いるとき、用語「強度(intensity)」は、ラベルドマグニチュードスケール(LMS)を含む当業者に既知の種々のスケールにより測定されるような、嗅覚刺激が知覚され得る範囲または程度を意味し得る。LMSは、消費者の知覚の大きさを、より正確に表すものと考えらえる。B.Greenら著、「Chem.Senses」、1996年、第21巻、第3号、p.323-334.参照。
【0022】
本明細書で用いるとき、用語「強さ(strength)」は、消費者および専門の官能評価パネリストの専門語において、「強度(intensity)」と区別なく使用され得る。
【0023】
本明細書で用いるとき、用語「嗅覚嗜好」は、使用者または試験者の、フレグランスの質または魅力についての主観的体験、例えば1つのフレグランスを別のものよりも選びたいという願望を意味し得る。
【0024】
本明細書で用いるとき、用語「好み(liking)」および「快不快(hedonics)」は、使用者または試験者のフレグランスについての主観的全体験を意味し得る。「好み」は、フレグランスの強度および嗅覚嗜好の双方を包含し得る。
【0025】
本明細書で用いるとき、語句「飽き(tire of)」は、消費者がフレグランスに対し、消費者がそれを使い始めたときと同じ嗜好をもはやもたないことを意味し得る。語句「飽き」は、「疲れ(weary of)」と同義語であり得る。
【0026】
本明細書で用いるとき、用語「順応(adaptation)」は、匂いの原因であるフレグランス組成物またはフレグランスの組合せを嗅ぎ続けたことからの、使用者または試験者の匂いに対する感受性の低下を意味し得る。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、順応とは、匂い信号を減衰させるための嗅覚系の感覚ニューロンによる短期間の処理から生じるものと考えられ得る。
【0027】
本明細書で用いるとき、用語「慣れ(habituation)」は、使用者または試験者の、バックグラウンドの匂いに対する気付きの長期間の消失を意味し得る。慣れは、匂いに対する長期間の暴露から生じ得る学習の一形態であると考えてよい。慣れは、順応に関係し得る。順応と同様、慣れは、1つの匂いに対してより低レベルの注意が向けられることから、結果としてその匂いに対し低い感受性を生じ得る。
【0028】
本明細書で用いるとき、用語「三叉神経刺激化合物」および「三叉神経系を刺激する化合物」は、鼻腔内の三叉神経系および、特に三叉神経を刺激または活性化し得る化合物を指す。W.S.Cain著、「Annals New York Academy of Sciences」、1974年、第237巻、p.28-34.参照。三叉神経は、神経系の一部である。三叉神経系はまた、三叉神経から脳へ伝達する、鼻腔表面受容体、経路、および感覚線維も包含し得る。三叉神経、感覚神経、および上皮細胞は、イオンチャネルの化学的活性化により引き起こされ得る、化学感覚的味覚およびフレグランス、または味覚および芳香感覚を媒介する。三叉神経刺激化合物は、これらのイオンチャネルの活性化による様々な異なる感覚を包含し得る。限定しない例として、三叉神経刺激化合物により誘導される感覚は、刺激感、ムズムズ感、焼け感、ヒリヒリ感(stinging)、刺痛感、温感、冷感、および/または収斂感を包含し得る。三叉神経刺激化合物により影響される一過性受容器電位(TRP)チャネルは、TRPV(温感を誘導)、TRPA(刺痛感または刺激感を誘導)、およびTRPM(冷感を誘導)を包含する。三叉神経刺激化合物はまた、化学感覚化合物および化学感覚剤としても知られる。
【0029】
ある三叉神経刺激化合物は、ある閾値より低いレベル(「閾値下レベル」)で使用した場合、使用者が刺激、ムズムズ、焼け、ヒリヒリ、刺痛感、温感、冷感、収斂感などとして具体的に識別できない感覚を知覚するような方法で、使用者の三叉神経系を刺激し得る。何ら特定の理論に束縛されるものではないが、他のフレグランス物質と組合せて閾値下レベルで使用した場合、ある三叉神経刺激化合物は、刺激感剤、ムズムズ感剤、焼け感剤、ヒリヒリ感剤、刺痛感剤、温感剤、冷感剤、または収斂感剤として個別には識別できないにもかかわらず、使用者によって知覚されるフレグランスに影響を及ぼし得ると言える。
【0030】
II.三叉神経刺激化合物
三叉神経刺激化合物は、口腔、鼻腔、喉、および/または皮膚を含む、粘膜に対し、様々な感覚を与え得る。L.Jacquotら著、「C.R.Biologies」2004年、第327巻、p.305-311.参照。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、冷感化合物、温感化合物、および/または刺痛感化合物であり得る。2つ以上の三叉神経刺激化合物が組合されてもよい。
【0031】
三叉神経刺激化合物は、天然または合成由来であり得る。天然由来および合成由来の三叉神経刺激化合物の双方が、本明細書に開示された主題と一緒に使用され得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、完全に天然由来か、完全に合成由来か、または天然由来および合成由来化合物の混合物でもよい。ある実施形態では、三叉神経刺激化合物は、ラセミ体および異性体を含み得る。ある実施形態では、三叉神経刺激化合物は、光学異性体と、90%を超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは97.5%を超え、およびさらに好ましくは99%を超える化学的純度とを有し得る。純度は、ガスクロマトグラフィーにより、米国特許第5,773,410号明細書に記載された方法を用いて、不純物ピークの面積パーセントを加算すること、および100%とみなされる全測定面積からこれらを減算することにより測定できる。
【0032】
限定しない例としては、冷感三叉神経刺激化合物は、これらに限定するものではないが、メントール、メントン、酢酸メチル、カンフル、プレゴール、イソプレゴール(COOLACT(登録商標)P)(CAS 89-79-2)、シネオール、2-イソプロピル-N-2,3-トリメチルブチルアミド、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、エチル3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート、N-(4-メトキシフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-エチル-2,2-ジイソプロピルブタンアミド、N-シクロプロピル-5-メチル-2-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,2-ジエチルブタンアミド、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-(ピリジン-2-イル)エチル)-3-p-メンタンカルボキサミド、N-(2-ヒドロキシエチル)-2-イソプロピル-2,3-ジメチルブタンアミド、シクロプロパンカルボン酸(2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル)-アミド、N-[4-(2-アミノ-2-オキソエチル)フェニル]-p-メンタンカルボキサミド、メチルピロリドンカルボキシレート、クベボール、イシリン、2-イソプロピル-5-メチルヘシクロヘキシル4-(ジメチルアミノ)-4-オキソブタノエート、N-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-3-p-メンタンカルボキサミド、N-ベンゾオキサゾール-4-イル-3-p-メンタンカルボキサミド、N-4-([1,2,4]トリアゾール-1-イル)-フェニル-3-p-メンタンカルボキサミド、p-メンタンカルボキサミド、N-4-(ピラゾール-1-イル)-フェニル-3-p-メンタンカルボキサミド、N-(1-イソプロピル-1,2-ジメチルプロピル)-1,3-ベンゾジオキソール-5-カルボキサミド、N-(1-メチル-1-イソプロピルブチル)ベンズアミド、フェンチル-N,N-ジメチルスクシンアミド、フェンチルモノスクシネート、エチルフェンチルマロネート、ボルニルモノスクシネート、イソボルニルモノスクシネート、メンチル3-オキソブチレート、メンチル3-オキソペンタノエート、3-1-メトキシプロパン-1,2-ジオール、3-1-メントキシ-2-メチルプロパン-1,2-ジオール、p-メンタン-3,8-ジオール(COOLACT(登録商標)38D)、2-1-メントキシエタン-1-オール、3-1-メントキシプロパン-1-オール、4-1-メントキシブタン-1-オール、メンチル3-ヒドロキシブチレート、6-イソプロピル-9-メチル-1,4-ジオキサスピロ-(4,5)-デカン-2-メタノール、2-[(2-p-メントキシ)エトキシ]エタノール、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、コハク酸ジメンチル、グルタル酸ジメンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、ハッカ油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノン(COOLACT(登録商標)HK)、およびそれらの全ての立体異性体並びに混合物を包含し得る。ある実施形態においては、冷感三叉神経刺激化合物は、メントール、メントン、カンフル、プレゴール、イソプレゴール、乳酸メンチル、p-メンタン-3,8-ジオール、ハッカ油、またはそれらの混合物を含み得る。ある実施形態においては、冷感三叉神経刺激化合物は、1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノン(COOLACT(登録商標)HK)を含み得る。1-(2-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)エタノンの調製および特性は、米国特許第8,071,531号明細書に記載されており、その内容はその全てが参考として本明細書に援用される。
【0033】
限定しない例としては、温感三叉神経刺激化合物は、これらに限定するものではないが、バニリルエチルエーテル(HOTACT(登録商標)VEE)、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ギンゲロール、バニリルブチルエーテル(HOTACT(登録商標)VBE)、4-(1-メントキシ-メチル)-2-フェニル-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(3’,4’-ジヒドロキシ-フェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(2’-ヒドロキシ-3’-メトキシ-フェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(4’-メトキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(3’4’-メチレンジオキシ-フェニル)-1,3-ジオキソラン、トウガラシ油、カプシカムオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、4-(1-メントキシ-メチル)-2-(3’-メトキシ-4’-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジオキソラン、バニリン-1,2-へキシレングリコールアセタール、バニリン-1,2-ブチレングリコールアセタール、バニリン-1-ブトキシグリセロールアセタール、エチルバニリン、エチルバニリルアルコール(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンジルアルコール);ホモバニリル酸、エステル、およびアミン;エチルバニリルエーテル、バニリン、バニリルアルコール、およびそれらの全ての立体異性体ならびに混合物を包含し得る。ある実施形態においては、温感三叉神経刺激化合物は、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリン、バニリルアルコール、エチルバニリン、エチルバニリルアルコール、またはそれらの混合物を含み得る。
【0034】
限定しない例としては、刺痛感三叉神経刺激化合物は、これらに限定するものではないが、スピラントール、サンショオール、ヒドロキシγ-サンショオール、ヒドロキシ-サンショオール、ヒドロキシγ-サンショオール、サンショオール-I、サンショオールII、サンショアミド、サンショウ抽出物、黒コショウ抽出物、チャビシン、ピペリン、エキナセア抽出物、キタアメリカザンショウ抽出物、ネパール産香辛料ティムール、赤トウガラシオレオレジン、4-(1-メントキシメチル)-2-フェニル-1,3-ジオキソラン、N-イソブチルデカ-(2,4)-ジエナミド、N-シクロプロピル-(2E,6Z)-ノナジエナミド、N-エチル-(2E,6Z)-ノナジエナミド、ジャンブーオレオレジン、バニリルエチルエーテル、バニリルn-プロピルエーテル、バニリルイソプロピルエーテル、バニリルブチルエーテル、エレモール、エリミシン、酸化石灰、エレミ油、オシメンキントオキシド、2-イソプロペニル-5-メチル-5-ビニルテトラヒドロフラン、イソプレゴール、およびそれらの全ての立体異性体並びに混合物を包含し得る。米国特許第8,741,958号明細書は、合成スピラントールの合成を開示しており、その内容はその全てが参考として本明細書に援用される。ある実施形態においては、刺痛感三叉神経刺激化合物は、スピラントール、ジャンブーオレオレジン、およびそれらの組合せであり得る。
【0035】
限定しない例としては、刺激三叉神経刺激化合物は、これらに限定するものではないが、黒コショウ抽出物、アリル-イソチオシアネート、4-ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、カプシカムオレオレジン、カラシ油、シンナムアルデヒド、カプサイシン、ワサビ抽出物、赤トウガラシオレオレジン、オレオカンタール、およびそれらの組合せを包含し得る。
【0036】
本明細書に開示された主題の組成物における使用に適した三叉神経刺激化合物は、特徴的な物理的および/または化学的特性を有し得る。限定しない例としては、三叉神経刺激化合物は、特徴的な分子量、沸点、または蒸気圧を有し得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、100ダルトンより大きい、120ダルトンより大きい分子量、あるいは約250ダルトン以下、約300ダルトン以下、または約350ダルトン以下の重量を有し得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、約80℃から約400℃まで、または約100℃から約350℃までの沸点を有し得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、大気圧において、約250℃以下、約300℃以下、または約350℃以下、または約400℃以下、または約450℃以下の沸点を有し得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、約1x10-5mmHg以下、約1x10-4mmHg以下、または約1x10-3mmHg以下の蒸気圧を有し得る。かかる物理的および/または化学的特性は、任意の市販のソフトウェア、例えばAdvanced Laboratory Development Software(ACD/Labs;トロント、カナダ)によりコンピュータ処理され得る。
【0037】
何ら特定の理論に縛られるものではないが、適当な三叉神経刺激化合物は、特徴的な揮発性を有し得ると言ってよい。化合物の揮発性は、分子量、沸点、および蒸気圧を含む、その物理的特性に関連づけられ得る。適当な揮発性をもつ化合物は、気化して(ガスとなり)、使用者の三叉神経系を含む嗅覚系により、フレグランスの全体的な強度および魅力を改善するレベルにおいて検出され得る。
【0038】
三叉神経刺激組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い三叉神経刺激化合物を含有し得る。ある実施形態においては、三叉神経刺激組成物は、2つの三叉神経刺激化合物を含む。ある実施形態においては、三叉神経刺激化合物は、3つの三叉神経刺激化合物を含む。2つの三叉神経刺激化合物を含む実施形態では、三叉神経刺激化合物は、ある比率で存在する。2つの三叉神経刺激化合物は、約(0.01-60):(60-0.01)から、または約(0.2-40):(40-0.2)から、または約(5-1):(1-5)から、または約(3-1):(1-3)からの比率で存在し得る。ある実施形態においては、2つの三叉神経刺激化合物は、約59:1、約39:1、約35:1、約32:1、約3:1、約1:1、約0.02:1、または約0.015:1の比率で存在し得る。
【0039】
3つの三叉神経刺激化合物を含む実施形態では、3つの三叉神経刺激化合物は、ある比率で存在し得る。3つの三叉神経刺激化合物は、約(0.01-15):(0.5-10):(0.01-15)から、または約(0.01-13):(1-8):(0.01-13)から、または約(0.01-2):(1-2):(0.01-2)からの比率で存在し得る。ある実施形態においては、3つの三叉神経刺激化合物は、約0.01:1:1、約1:0.07:1.8、または約1:6.5:12.5の比率で存在し得る。
【0040】
III.フレグランス組成物、組合せ、および製品
本明細書に開示された主題は、1つ以上の三叉神経刺激化合物、1つ以上のフレグランス化合物、および/または担体を含み得るフレグランス組成物を提供する。
【0041】
フレグランス組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い三叉神経刺激化合物を含有し得る。フレグランス組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多い三叉神経刺激組成物を含有し得る。ある実施形態においては、フレグランス組成物は、2つの三叉神経刺激化合物を含む。ある実施形態においては、フレグランス組成物は、3つの三叉神経刺激化合物を含む。
【0042】
非限定的例において具現化されたように、三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に様々な量で取り込まれ得る。限定しない例としては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約0.1%から約60%、約0.1%から約10%、約0.1%から約5%、または約0.1%から約1%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約1%から約60%、約5%から約60%、約10%から約60%、約20%から約60%、または約30%から約60%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約1%から約50%、約1%から約40%、約1%から約30%、約1%から約20%、約1%から約10%、または約1%から約5%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約5%から約50%、約5%から約40%、または約5%から約30%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約10%から約50%、約10%から約40%、または約10%から約30%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約20%から約50%、約20%から約40%、または約20%から約30%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約30%から約50%、または約30%から約40%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約30%、約5%から約15%、または約5%から約10%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物は、フレグランス組成物中に、フレグランス組成物の全重量の約6.5%、または約7%、または約8.4%、または約10.1%の量で取り込まれ得る。ある実施形態においては、フレグランス組成物は、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多いフレグランス化合物を含有し得る。
【0043】
ある実施形態においては、フレグランス組成物は、3つの三叉神経刺激化合物、1つ以上のフレグランス化合物、および1つの担体材料を含み得る。ある実施形態においては、担体は溶媒である。
【0044】
本明細書に開示された主題のフレグランス組成物は、1つ以上の追加のフレグランス化合物を、1つ以上の三叉神経刺激化合物と組合せて含み得る。ある実施形態においては、フレグランス組成物は、均一な組成物、例えば三叉神経刺激化合物と追加のフレグランス化合物との双方を含む均一な溶液であり得る。非限定的な例としては、組成物中の、三叉神経刺激化合物対追加のフレグランス化合物の重量比は、約1:1000と約1000:1の間、例えば約1:1000、約1:100、約1:50、約1:30、約1:20、約1:10、約1:5、約1:3、約1:2、約1:1、約2:1、約3:1、約5:1、約10:1、約20:1、約30:1、約50:1、約100:1、または約1000:1であり得る。
【0045】
単一のフレグランス組成物内、並びに別個のフレグランス組成物の双方において、1つ以上の三叉神経刺激化合物と組合せて使用するために適した追加のフレグランス化合物は、これらに限定するものではないが、種々のエステル、テルペン、アルデヒド、ケトン、エーテル、ニトリル、エッセンシャルオイル、他の芳香族化合物、それらの蒸留物、抽出物、分画、および混合物を包含し得る。ある実施形態においては、追加のフレグランス化合物は、三叉神経刺激化合物よりも高い蒸気圧(すなわち、より高い揮発性)を有し得る。
【0046】
使用に適したフレグランス化合物の非限定的な例は、C-C18炭化水素(例えばデルタ-3-カレン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギホレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン);C-C18脂肪族アルコール(例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチルヘプタノール、2-メチルオクタノール、(E)-3-ヘキセノール、(E)および(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-へプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オール);C-C18脂肪族アルデヒドおよびそのアセタール(例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド);C-C18脂肪族ケトンおよびそのオキシム(例えば、2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン);C-C18脂肪族硫黄含有化合物(例えば、3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオール);C-C18脂肪族ニトリル含有化合物(例えば、2-ノネンニトリル、2-トリデセネンニトリル(tridecenenenitrile)、2,12-トリデセネン-ニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリル)を包含する。
【0047】
使用に適したフレグランス化合物の非限定的例は、さらに、C-C18脂肪族カルボン酸およびそのエステル(例えば、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-および(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチノエート、メチル2-ノニノエート、アリル-2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート);C-C18非環式テルペンアルコール(例えば、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロゲラニオール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール);C-C18非環式テルペンアルデヒドおよびケトン(例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルおよびジエチルアセタール);C-C18環式テルペンアルコール(例えば、アルファ-テルピネオール、テルピネオール-4、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール);C-C18環式テルペンアルデヒドおよびケトン(例えば、フェンコン、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アルファ-n-メチルイオノン、ベータ-n-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、ベータ-イソメチルイオノン、アルファ-イロン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ベータ-ダマセノン、デルタ-ダマスコン、ガンマ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、アルファ-シネンサール、ベータ-シネンサール、メチルセドリルケトン)を包含する。
【0048】
使用に適したフレグランス化合物の非限定的例は、さらに、C-C18環式アルコール(例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール);C-C18脂環式アルコール(例えば、アルファ-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);C-C18環式および脂環式エーテル(例えば、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、アルファ-セドレンエポキシド、3a、6,6,9a-テトラメチル-ドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン);C-C18環式ケトン(例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタデセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、9-シクロヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノン);C-C18脂環式アルデヒド(例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルバルデヒド);C-C18脂環式ケトン(例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトン);C-C18の環式アルコールのエステル(例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチル-シクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルアセテート);C-C18の脂環式カルボン酸のエステル(例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート);C-C18芳香族炭化水素(例えば、スチレンおよびジフェニルメタン);
-C18脂肪族アルコール(例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノール);C-C18の脂肪族アルコールおよびC-C18の脂肪族カルボン酸のエステル(例えば、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテート);C-C18芳香脂肪族エーテル(例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドラトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒド-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン);C-C18芳香族および芳香脂肪族アルデヒド(例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert.-ブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、アルファ-ブチルシンナムアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールを包含する。
【0049】
使用に適したフレグランス化合物の非限定的例は、さらに、C-C18芳香族および芳香脂肪族ケトン(例えば、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトン);C-C18芳香族および芳香脂肪族カルボン酸、およびそのエステル(例えば、フェニル酢酸、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ヘキシル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸フェニルエチル、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸ベンジル、ケイ皮酸フェニルエチル、ケイ皮酸シンナミル、フェノキシ酢酸アリル、サリチル酸メチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸cis-3-ヘキセニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデート);C-C18の含窒素芳香族化合物(例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、5-フェニル-3-メチル-2-ペンテンニトリル、5-フェニル-3-メチルペンタンニトリル、メチルアントラニレート、メチルN-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-カルバルデヒド、6-イソプロピルキノリンとのシッフ塩基、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジン);フェノール、フェニルエーテル、およびフェニルエステル(例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、ベータ-ナフチルメチルエーテル、ベータ-ナフチルエチルエーテル、ベータ-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロぺニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテート);C-C12の複素環化合物(例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オン);C-C12のラクトン(例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-およびtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-およびtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリン)を包含する。
【0050】
ある実施形態においては、本明細書に開示されたフレグランス組成物は、1つ以上の担体物質を含み得る。非限定的例としては、担体物質は、これらに限定するものではないが、溶媒(油を含む)、ワックス、糖、UV安定剤、および樹脂を包含し得る。適当な溶媒は、フレグランス組成物用として当業者に公知のものを包含し得る。非限定的例としては、適当な溶媒は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、エタノール、植物油、エッセンシャルオイル、オレンジテルペン、商品名Isopar(登録商標)で販売されるもの、アジピン酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、グルタル酸ジアルキル、(例えば、商品名Flexisolv(登録商標)で販売されるジメチルエステル)、クエン酸エステル(例えば、クエン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブチル)、フタル酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、商品名Augeo(商標)で販売されるイソプロピリデングリセロール、およびそれらの組合せを包含し得る。適当な担体物質はまた、米国特許第8,603,963号明細書により開示されており、その内容は、その全てが参考として本明細書に援用される。非限定的例としては、適当なワックスは、パラフィン、蜜蝋、ソイワックス、およびステアリンを包含し得る。非限定的例としては、適当な糖は、スクロース、マンニトール、マルトース、イソマルトース、およびトレハロースを包含し得る。非限定的例としては、適当な樹脂は、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリオレフィンを包含し得る。UV安定剤の非限定的例は、商品名Uvinol(登録商標)で販売されるものを包含する。
【0051】
1つ以上の三叉神経刺激化合物を含む本明細書に開示された主題のフレグランス組成物は、他のフレグランス化合物を含む1つ以上の別個の追加の組成物と組合せて使用できる。ある実施形態においては、1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する第1のフレグランス組成物と、1つ以上の追加のフレグランス化合物を含有する第2のフレグランス組成物とを調製してもよく、そしてそれらの2つの組成物を組合せて使用してもよい。ある実施形態では、1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する第1のフレグランス組成物と、1つ以上の追加のフレグランス化合物を含有する第2のフレグランス組成物とを含む組合せが、使用者に提示され得る。ある実施形態では、第1のフレグランス組成物がまず使用者に提示され、そして第2のフレグランス組成物がその後に提示されてもよく、あるいは第2のフレグランス組成物が使用者にまず提示され、そして第1のフレグランス組成物がその後に提示されてもよい。
【0052】
ある実施形態においては、少なくとも1つの三叉神経刺激化合物と少なくとも1つの追加のフレグランス化合物とを含むフレグランス組成物が使用され、これにおいて該組成物は、使用者により体験される空域を作り出し得る。空域は、少なくとも1つの三叉神経刺激化合物および/または少なくとも1つのフレグランス組成物を含む、フレグランス組成物を含有する製品に関連して考えられる。空域は、三叉神経刺激化合物、並びに追加のフレグランス化合物の双方を含み得る。同様に、ある実施形態では、1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する第1のフレグランス組成物と、1つ以上の追加のフレグランス化合物を含有する第2のフレグランス組成物とを含む、フレグランスの組合せが使用され、これにおいて該組合せが、使用者により体験される空域を作り出し得る。空域は、三叉神経刺激化合物、並びに追加のフレグランス化合物の双方を含み得る。
【0053】
使用者により体験される空域における、三叉神経刺激化合物対追加のフレグランス化合物の比率は変わり得る。空域中の三叉神経刺激化合物およびフレグランス化合物の濃度は、部屋の広さ(小さい面積(例えば、浴室または居間)または大きい面積(例えば、大きい商業用およびレクリエーション用の空間))、室温、空気循環、および異なる化合物の異なる気化速度などの多くの要因に基づき変わり得る。それ故、存在する各成分の量は、気相中並びに溶媒中の成分について、重量パーセントおよびモルパーセントの双方により計算され得る。非限定的例としては、空気中の三叉神経刺激化合物対追加のフレグランス化合物の比率は、モル(mole)で、約1:100と約1:1の間、約1:100と約1:2の間、約1:100と約1:5の間、約1:100と約1:10の間、約1:100と約1:20の間、約1:50と約1:1の間、約1:50と約1:2の間、約1:50と約1:5の間、または約1:50と約1:10の間でよい。ある実施形態では、比率は、モルで、約1:30と約1:1の間、約1:30と約1:2の間、約1:30と約1:5の間、約1:30と約1:10の間、約1:20と約1:1の間、約1:20と約1:2の間、約1:20と約1:5の間でよい。ある実施形態では、比率は、モルで、約1:15と約1:1の間、約1:15と約1:2の間、約1:15と約1:5の間、約1:10と約1:1の間、約1:10と約1:2の間、約1:10と約1:5の間、約1:5と約1:1の間、または約1:5と約1:2の間、例えば、約1:12または約1:6でよい。
【0054】
使用者により体験される空域中の三叉神経刺激化合物の量はまた、追加のフレグランス化合物を含め、空域中のフレグランス化合物全量のパーセントとしても表され得る。非限定的例としては、使用者により体験される空域中の三叉神経刺激化合物の量は、モルで、約1%と約50%の間、約1%と約30%の間、約1%と約20%の間、約1%と約10%の間、約1%と約5%の間、約1%と約3%の間でよい。ある実施形態では、量は、モルで、約3%と約50%の間、約3%と約30%の間、約3%と約20%の間、約3%と約10%の間でよい。ある実施形態では、量は、モルで、約5%と約50%の間、約5%と約30%の間、約5%と約20%の間、約5%と約10%の間でよい。ある実施形態では、量は、モルで、約8%と約15%の間でよい。ある実施形態では、量は、モルで、約10%と約50%の間、約10%と約30%の間、約10%と約20%の間でよい。ある実施形態では、量はモルで、空域中のフレグランス化合物の全量の約20%と約50%の間、約20%と約30%の間、または約30%と約50%の間でよい。使用者により体験される空域中の三叉神経刺激化合物の量は、担体物質の選択と、用いる三叉神経刺激化合物の蒸気圧および沸点とによって影響され得る。
【0055】
ある実施形態においては、本明細書に開示されたフレグランス組成物および組合せは、フレグランス製品およびアプリケーション中に取り込まれ得る。本明細書に開示された主題の組成物および組合せを用いて、これらに限定するものではないが、エアロゾル空気清浄製品、ゲル空気清浄製品、キャンドル、フレグランスワックスメルト、ポットポプリ、圧電式フレグランシング装置、リードディフューザー、ファブリック、液体電気式空気清浄機、強力気化式空気清浄機、濾紙、積層段ボール、メンブレンディフューザー、セラミックディフューザー、スプレーリフレッシュナーなどを含む様々な製品において、消費者に改善された嗅覚効果を与え得る。本明細書に開示された主題の組成物および組合せは、単一または二重のフレグランス能をもつ任意の装置における使用に適する。例えば、米国特許第8,695,891号明細書は、二重フレグランス用の送達装置を開示する。送達装置の例はまた、米国特許出願公開第2012/0312893号明細書、米国特許出願公開第2014/0048614号明細書、米国特許第8,833,366号明細書、および米国特許第8,603,963号明細書に開示されており、その各々の内容は、その全てが参考として本明細書に援用される。
【0056】
ある実施形態においては、本明細書に開示されたフレグランス組成物および組合せは、これらに限定されないが、家庭用品またはホームケア製品を包含する消費者製品に取り入れられ得る。かかる製品の非限定的例は、家庭用清掃用品(例えば、ハンドおよび自動食洗機クリーナー、硬質表面クリーナー、ランドリー製品、例えば洗濯洗剤、柔軟剤、クリーナー、ドライヤーシートなど);ペットケア用品(例えば、猫砂);サニタリー製品(例えば、タオル、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ウェットティッシュペーパー、ハンカチーフ、ウェットタオルなど);筆記用品(例えば、ペン、クレヨン、絵具、鉛筆、紙、折紙、シールなど);オートケア製品(例えば、クリーナー、空気清浄機、ワイプ、石鹸など);玩具製品(例えば、ボール、お手玉、カード、コマ、人形、積み木など)を包含する。
【0057】
汎用クリーナーは、これらに限定されないが、フロアクリーナーおよびカーペットクリーナーを包含する。クリーナーは、いくつかの形態:等方性液体、研磨剤有り無しの濃化液体、ペースト、ゲル、フォーム、またはスプレー、であってもよい。ある実施形態においては、それらはボトルから直接に、または水で希釈後に使用できる。使用者の便宜のために様々な送達法が考案されており、あるものはトリガースプレーボトルから表面上へ噴霧されるか、またはそれらを直接表面上へ注ぐこともできる。汎用クリーナーはまた、水垢除去のための酸、衛生用の殺生物剤、または漂白剤などの追加成分を含有し得る。標準的なフロアクリーナー組成物については、「Surfactant Science Series」、第67巻、Liquid detergents、Speciality Liquid Household Surface Cleanersと題する章、p.479、第4表を参照(その内容は、その全てが参考として本明細書に援用される)。
【0058】
ある実施形態においては、本明細書に開示されたフレグランス組成物および組合せは、これらに限定されないが、バスまたはタイルクリーナー、トイレクリーナー、シンククリーナー、殺菌剤、抗菌製品、カビクリーナーなどを包含する浴室清掃製品に取り入れられ得る。非限定的例では、浴室清掃製品は、液体のトイレリムブロックを固めたものを含み得る。固体または液体のトイレリムブロックは、トイレボウルまたは小便器のリム下に設置されて、水洗サイクルの間に水槽からの水が該ブロックを超えて流れ、それによりトイレリムブロックの一部を溶解するようにすることが意図されている。ある実施形態では、リムブロックは、便器の表面に直接付着するケージ無しのリムブロックであるか、または水槽中に配置されてそこに含まれる水の中に徐々に溶解する固体のトイレリムブロックである。これら2つの製品の溶解性は、一方は常に水中にあるのに対し他方は断続的に水と短時間接触することから全く異なる。しかしながら、ある実施形態では、それらは双方とも界面活性剤、フィラー、漂白剤、殺菌剤、および水垢防止剤、並びに本開示フレグランス組成物を含有し得る。配合の例は、欧州特許第0 462 643号明細書、英国特許第2 178 442号明細書、および米国特許第4,874,536号明細書に開示されており、その各々の内容は、その全てが参考として本明細書に援用される。
【0059】
液体トイレリムブロックは、前記ボウルのリム下から、液体組成物を一定量ずつ直接トイレボウル内へ出す装置である。かかる液体トイレットリムブロックは、通常、フックなどといった種々の手段により、トイレボウルのリムに取付けられる。液体トイレリムブロックを備えた便器が水洗されるたび、一定量の組成物がトイレボウル内へ出される。液体トイレリムブロックの例は、国際公開第02/40792号、欧州特許第0 775 741号明細書、および国際公開第01/94520号に示されており、それらは参考として本明細書に援用される。
【0060】
ある実施形態においては、製品は、医薬品(例えば、プラスター、軟膏、ローション、リニメント、充血除去剤、咳止め薬、のど用トローチ、消化不良製剤および経口鎮痛薬など);およびその他(例えば、練り歯磨き、歯磨きゲル、洗口液、マウスリンス、マウスウォッシュ、芳香剤、シーズニング(香味料)、チューインガムなど)といった口腔製品を包含する。
【0061】
ある実施形態においては、製品は、消費者の皮膚および体熱に適用するかまたは接触させるものを包含する。これらの製品は、適用時の増強された生物媒介性の性能を有し得る。製品は、ファインフレグランス(例えば、コロン、香水、ボディスプレー);パーソナルケア製品(例えば、ローション、クリーム、ボディウォッシュ、ハンドソープ、シャンプー、コンディショナー、石鹸、デオドラント、制汗剤など);化粧品(例えば、スキンクリーム、クレンジングクリーム、ナイトクリーム、ハンドクリーム、ローション、アフターシェービングローション、シェービングクリーム、ゲルおよびフォーム、ボディローション、ファウンデーション、リップスティック、リップクリーム、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、タルカムパウダー、しわ取りおよび/またはアンチエイジング化粧品、サンプロテクション製品、サンバーンローション、マッサージオイルなど);ヘア化粧品(例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、リンスインシャンプー;ヘアスタイリング剤、例えば、ポマード、ヘアトニック、ヘアゲル、ヘアクリーム、およびヘアムース;育毛剤;染毛剤;など);および浴用剤(例えば、粉末入浴剤、固形発泡入浴剤、バスオイル、バブルバスアロマジェネレータ、バスソルトなど)を包含する。
【0062】
ある実施形態においては、本明細書に開示されたフレグランス組成物および組合せは、消費者製品中に取り入れられて、強度、顕著さ、および知覚閾値を改善するための方法を提供できる。別の実施形態では、該方法は、フレグランス組成物の強度、顕著さ、および知覚閾値を、7日の期間にわたって改善し得る。別の実施形態では、該方法は、フレグランス組成物の強度、顕著さ、および知覚閾値を、14日の期間にわたって改善し得る。
【0063】
以下に提示された実施例において具現化されたように、本明細書に開示された主題のフレグランス組成物および組合せは、他のフレグランス組成物および組合せに勝る利点を有し得る。三叉神経刺激化合物を含む、本明細書に開示された主題のフレグランス組成物および組合せは、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、改善された嗅覚嗜好および好みを送達できる。三叉神経刺激化合物を含むフレグランス組成物および組合せは、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、高められた(増大された)匂い強度を送達できる。三叉神経刺激化合物を含むフレグランス組成物および組合せは、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、増大された長時間のフレグランスの顕著さを提供できる。長時間の顕著さは、時間に対するフレグランス強度として測定できる。その強度がより徐々に減少するフレグランスは、より長時間の顕著さを有する。三叉神経刺激化合物を含むフレグランス組成物および組合せは、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、使用者に対しより低い匂い知覚閾値を提供することができ、フレグランスがその発生源からより遠い所で感知されるようにする。三叉神経刺激化合物を含むフレグランス組成物および組合せは、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、フレグランスに対する低減された順応および慣れを提供できる。すなわち、使用者は、三叉神経刺激化合物を含まない類似の組成物に比較して、三叉神経刺激化合物を含むフレグランス組成物および組合せに対し、より大きい感受性および気付を、時間をかけて保持できる。
【実施例
【0064】
本明細書に開示された主題は、限定するものとしてではなく、本発明を代表するものとして提供されている、以下の実施例を参照することにより、よりよく理解されるであろう。略語は、当該技術における通常の意味を有する。COOLACT(登録商標)およびHOTACT(登録商標)は、Takasago International Corporationの登録商標である。
【0065】
以下に示した好みおよび強度スコアは、専門の官能評価者からなる盲検化されたパネルによる試験から得られた、平均化された結果である。パネリストは、好みおよび強度について、15ポイントのスケールでフレグランスをスコアし、より高いスコアはより好まれた(好み)、またはより強かった(強度)フレグランスを表す。
【0066】
実施例1. フレグランスの組合せ
以下の試験は、嗅覚試験のために一般に用いられる、800ftの嗅覚用ブースにおいて実施された。ブースA(コントロール)には、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットはトロピカル/バニラフレグランス組成物で、そして他方は100%ジプロピレングリコールで充填された。トロピカル/バニラフレグランス組成物は、50重量%のフレグランス化合物と、50重量%の溶媒とを含有していた。十個(10)のブースの各々には(ブースB1-B10)、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットは同じトロピカル/バニラフレグランスで充填され、そして他方は1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物で充填された。1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物は、表1(配合1-10)に示される。配合1の組成物は、ブースB1に配置された;配合2の組成物は、ブースB2に配置された;以下同様。
【0067】
【表1】
【0068】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で1時間平衡化させた。訓練を受けた26名のパネリストに、ブース内で2分間を、続いてブースの外側で1分間の休憩時間を過ごし、そして次のブースに移動するよう依頼した。ブースを体験する順序は、各パネリストについて無作為化した。次いでパネリストに、ブースごとに全体的なフレグランスの好みおよび全体的なフレグランスの強度について、1-15のスケールで彼らの体験を評価するよう依頼した。全パネリストで平均された結果を、表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表2に示したように、三叉神経刺激化合物を含むフレグランスの組合せ(ブースB1-B10に配置)は全般的に、コントロール(ブースAに配置)に比較して、改善された全体的な好みおよび全体的な強度スコアを有していた。例えば、トピカル/バニラフレグランスと配合2、3、4、5、6、7、9、および10の組成物との組合せは、好みおよび強度の双方について、コントロールに比較して改善されたスコアを有していた。
【0071】
実施例2. フレグランスの組合せ
以下の試験は、嗅覚試験のために一般に用いられる、800ftの嗅覚用ブースにおいて実施された。ブースC(コントロール)には、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットはフルーティ/トロピカルフレグランスで、そして他方は100%ジプロピレングリコールで充填された。フルーティ/トロピカルフレグランス組成物は、50重量%のフレグランス化合物と、50重量%の溶媒とを含有していた。十個(10)のブースの各々には(ブースD1-D10)、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットは同じフルーティ/トロピカルフレグランスで充填され、そして他方は1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物で充填された。1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物は、表3(配合1-10)に示される。配合1の組成物は、ブースD1に配置された;配合2の組成物は、ブースD2に配置された;以下同様。
【0072】
【表3】
【0073】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で1時間平衡化させた。訓練を受けた30名のパネリストに、ブース内で2分間を、続いてブースの外側で1分間の休憩時間を過ごし、そして次のブースに移動するよう依頼した。ブースを体験する順序は、各パネリストについて無作為化した。次いでパネリストに、ブースごとに全体的なフレグランスの好みおよび全体的なフレグランスの強度について、1-15のスケールで彼らの体験を評価するよう依頼した。全パネリストで平均された結果を、表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】
表4に示したように、三叉神経刺激化合物を含むフレグランスの組合せ(ブースD1-D10に配置)は、コントロール(ブースCに配置)に比較して、改善された全体的な好みおよび全体的な強度を有していた。例えば、フルーティ/トロピカルフレグランスと配合3、6、8、および9の組成物との組合せは、好みおよび強度の双方について、コントロールに比較して改善されたスコアを有していた。
【0076】
実施例3. フレグランスの組合せ
以下の試験は、嗅覚試験のために一般に用いられる、800ftの嗅覚用ブースにおいて実施された。ブースE(コントロール)には、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットはグリーン/フローラルフレグランスで、そして他方は100%ジプロピレングリコールで充填された。グリーン/フローラルフレグランス組成物は、50重量%のフレグランス化合物と、50重量%の溶媒とを含有していた。十個(10)のブースの各々には(ブースF1-F10)、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットは同じグリーン/フローラルフレグランスで充填され、そして他方は1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物で充填された。1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する組成物は、表5(配合1-10)に示される。配合1の組成物は、ブースF1に配置された;配合2の組成物は、ブースF2に配置された;以下同様。
【0077】
【表5】
【0078】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で1時間平衡化させた。訓練を受けた36名のパネリストに、ブース内で2分間を、続いてブースの外側で1分間の休憩時間を過ごし、そして次のブースに移動するよう依頼した。ブースを体験する順序は、各パネリストについて無作為化した。次いでパネリストに、ブースごとに全体的なフレグランスの好みおよび全体的なフレグランスの強度について、1-15のスケールで彼らの体験を評価するよう依頼した。全パネリストで平均された結果を、表6に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
表6に示したように、三叉神経刺激化合物を含むフレグランスの組合せ(ブースF1-F10に配置)は全般的に、コントロール(ブースEに配置)に比較して、改善された全体的な好みおよび全体的な強度スコアを有していた。例えば、グリーン/フローラルフレグランスと配合1、2、3、5、6、8、および9の組成物との組合せは、好みおよび強度の双方について、コントロールに比較して改善されたスコアを有していた。
【0081】
実施例4. フレグランス組成物
1つ以上の三叉神経刺激化合物を含有する以下のフレグランス組成物を、表7に要約されたように配合する。
【0082】
【表7】
【0083】
実施例5. フレグランスの組合せ
以下の試験は、5名の専門のパネリストにより、彼らの自宅において実施された。試験開始時に各パネリストは、トロピカル/バニラフレグランスで充填された電気式空気清浄ユニットをプラグに差し込み、そしてユニットから6フィート離れて、フレグランスの強度を毎日評価した。トピカル/バニラフレグランス組成物は、50重量%のフレグランス化合物と、50重量%の溶媒とを含有していた。強度は、1-15のスケールで評価した。7日後、最初の電気式ユニットはプラグに差し込んだまま、各パネリストは、表7に記載されたような組成物4Pで充填された第2の電気式空気清浄ユニットを、既存のユニットのすぐ近くでプラグに差し込んだ。
【0084】
パネリストは、ユニットから6フィート離れた地点で、毎日強度の評価をし続けた。結果を表8に示す。
【0085】
【表8】
【0086】
予想された通り、フレグランスに対する慣れからの典型的な正常な強度の減衰が1-7日目から示された。驚いたことに、三叉神経刺激化合物を含む組成物が導入されると、第2の強度の最大値が11日目頃に体験された。このように、フレグランスの組合せへの三叉神経刺激化合物の導入は、使用者に対し、フレグランスの長続きする知覚を増強させた。
【0087】
実施例6: ハーブ-グルメ系(Herbaceous-gourmand)フレグランス
以下の試験は、嗅覚試験のために一般に用いられる嗅覚用ブースにおいて実施された。ブースA(コントロール)には、ハーブ-グルメ系フレグランスで充填された1つの電気式空気清浄ユニットを配置した。八個(8)のブース(ブース1-8)の各々には、一方がハーブ-グルメ系フレグランスと三叉神経刺激化合物(TSC)(全組成物の10.1%w/wで存在)の混合物とで充填され(「6A」)、他方はハーブ-グルメ系フレグランスと、同じ三叉神経刺激化合物(全組成物の6.5%w/wで存在)の混合物とで充填された(「6B」)、2つの電気式空気清浄ユニットの1つが配置された。TSC混合物は、L-メントール、Coolact(登録商標)38D、およびHotact(登録商標)VEEを1:1:0.1の比率で含んでいた。
【0088】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で20分間平衡化させた。24名の短期訓練を受けた(semi-trained)女性パネリスト(24-54歳)に、3日間にわたり、1日1回ブース内で72分間過ごすよう依頼した。パネリストは、各セッションにつき同じブースを訪れた。LMSの使用を含む、知覚強度の測定方法が使用された。LMSデータを表9に示す。パネリストに、フレグランスについての彼らの全体的な好みを、1-9のスケールで評価するよう依頼した。データを以下の表10に示す。パネリストには、何らの雑音または気が散るものがないブース内で集中させた。彼らには4分ごとに、官能評価ソフトウェアを用いて質問に答えるよう依頼した。結果を図1および表9~表10に要約する。
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
図1Aに示すように、TSCを含む配合6Aは、コントロールに比較して一貫してより高い評価を引き起こし、6.0(消費者製品応用における許容性の典型的なカットオフ値)を超える評価を全期間にわたり保持し、かつ快不快の減衰速度を全体的に遅らせた。このことは、フレグランスの強度知覚を有意に変えることなく成し遂げられた。
【0092】
図1Bに示したように、TSCを含む配合6Bは、コントロールに比較して一貫してより高い評価を引き起こし、かつ6.0(消費者製品応用における許容性の典型的なカットオフ値)を超える評価を実質的により長い期間にわたり保持した。
【0093】
実施例7: クリーン/ランドリーフレグランス
クリーン/ランドリーフレグランスをTSCと組合せて使用する以下の試験は、嗅覚試験用に一般に用いられる嗅覚用ブースにおいて実施された。
【0094】
ブース条件を設定した:1つは、クリーンフレグランスで充填された電気式空気清浄ユニットを含む;1つは、全組成物の8.4%w/wの量で存在する実施例6のTSC混合物を有するクリーンフレグランスで充填された電気式空気清浄ユニットを含む。八個(8)のブース(ブース1-8)の各々には、一方の電気式空気清浄ユニットが配置された。
【0095】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で20分間平衡化させた。24名の短期訓練を受けた女性パネリスト(24-54歳)に、4日間にわたり、1日1回ブース内で72分間過ごすよう依頼した。パネリストは、各セッションにつき同じブースを訪れた。LMSの使用を含む、知覚強度の測定方法が使用された。LMSデータを以下の表11に示す。パネリストに、フレグランスについての彼らの全体的な好みを、1-9のスケールで評価するよう依頼した。データを以下の表12に示す。パネリストには、何らの雑音または気が散るものがないブース内で集中させた。彼らには4分ごとに、官能評価ソフトウェアを用いて質問に答えるよう依頼した。結果を図2および表11~表12に要約する。
【0096】
【表11】
【0097】
【表12】
【0098】
図2に示すように、TSCを含有する配合は、コントロールに比較して一貫してより高い評価を引き起こし、かつ6.0(消費者製品応用における許容性の典型的なカットオフ値)を超える評価を全期間にわたり保持した。TSC含有配合はまた、快不快の減衰速度を全体的に遅らせた。このことは、フレグランスの強度知覚を有意に変えることなく成し遂げられた。
【0099】
実施例8: フルーティフレグランス
ブース条件を設定した:1つは、フルーティフレグランスで充填された電気式空気清浄ユニットを含む;1つは、全組成物の7.0%w/wの量で存在する実施例6のTSC混合物を有するフルーティフレグランスで充填された電気式空気清浄ユニットを含む。八個(8)のブース(ブース1-8)の各々には、一方の電気式空気清浄ユニットが配置された。試験は、実施例7に記載したように実施した。LMSの使用を含む、知覚強度の測定方法が使用された。LMSデータを以下の表13に示す。パネリストに、フレグランスについての彼らの全体的な好みを、1-9のスケールで評価するよう依頼した。データを以下の表14に示す。結果を図3および表13~表14に要約する。
【0100】
【表13】
【0101】
【表14】
【0102】
図3に示すように、TSCを含有する配合は、コントロールに比較して、最初の12分の後は一貫してより高い評価を引き起こし、かつ6.0(消費者製品応用における許容性の典型的なカットオフ値)を超える評価を全期間にわたり保持した。TSC含有配合はまた、快不快の減衰の速度を全体的に遅らせた。このことは、フレグランスの強度知覚を有意に変えることなく成し遂げられた。
【0103】
実施例9: フレグランスの組合せ
以下の試験は、嗅覚試験のために一般に用いられる、800ftの嗅覚用ブースにおいて実施された。コントロールブースには、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットはハーブ/グルメ系フレグランス組成物で、そして他方は100%ジプロピレングリコールで充填された。八個(8)のブースの各々には、2つの電気式空気清浄ユニットが配置され、一方のユニットはハーブ/グルメ系フレグランスで充填され、そして他方は表7の4Oによって記載された通りのTSC混合物を含有する組成物で充填された。
【0104】
全ての電気式ユニットに電源を入れ、ブース内で20分間平衡化させた。TSC混合物を含む電気式ユニットは、放出の速度を制御して15.8%のTSCをブース空域に提供するべくプログラムされた。22名の訓練を受けたパネリストに、3日間にわたり、1日1回ブース内で、何ら雑音または気が散るもの無しに、72分間を過ごすよう依頼した。パネリストは、各セッションにつき同じブースを訪れた。LMSの使用を含む、知覚強度の測定方法が使用された。LMSデータを以下の表15に示す。パネリストに、フレグランスについての彼らの全体的な好みを、1-9のスケールで評価するよう依頼した。データを以下の表16に示す。彼らには4分ごとに、官能評価ソフトウェアを用いて質問に答えるよう依頼した。結果を図4および表15~表16に要約する。
【0105】
【表15】
【0106】
【表16】
【0107】
製品の全体的な好みについては、TSCの添加がフレグランスの最初の快感を低下させた。しかしながら、TSCの添加は減衰傾斜を好首尾に低減させて、コントロールに比較してパネリストの72時間にわたるフレグランスについての全体的な意見にはほとんど差がなくなるようにした。
【0108】
実施例10: ホームユース(ハーブ-グルメ系)
この実施例では、実施例6で試験したTSC有り無しの配合6Aおよび6Bを、消費者の家庭において試験した。
【0109】
以下の試験は、消費者の家庭内で、28日間にわたり実施した。各消費者(N=50)には、2つの異なるプラグイン式空気清浄機が提供された。第1の空気清浄機は、最初の14日間にわたり使用した。第2の空気清浄機は、次の14日間にわたり使用した。コントロールとTSC含有製品との間の使用順序は無作為化し、全セルについて平衡化した。第1の空気清浄機を設置して24時間後に、消費者に、製品の全体的な意見、何が特に好き/嫌いであったか、消費者が一般に使用する空気清浄機に対してそれがどのように比較されたか、香りの意見、香りがどの程度顕著であったか、プラグイン式からどれ位離れてもフレグランスがまだ匂ったか、強度、および強度の時間的変化などの質問を含む、短いアンケートに書き入れるよう依頼した。消費者は、7日目及び14日目に、実質的には同じであるがより長いアンケートに書き込んだ。14日目、消費者は第1のプラグイン式を第2のプラグイン式に交換し、そして試験を繰り返した。双方のプラグイン式を評価した後、消費者に第1と第2のプラグイン式を比較する一連の質問を尋ねた。
【0110】
14日の期間にわたるフレグランスについての全体的な意見を、図5A-Bに例示する。TSC含有製品は、使用期間の全範囲にわたって消費者に、有意により高い好みスコアを発生させた。14日間の製品使用後、消費者に、コントロール、6A、および6Bを比較する追加の嗜好質問を尋ねた。アンケートに対する消費者の応答を、図6A-Fに要約する。これらの図は、配合6Aおよび6BにTSCを追加することが、快感の疲労/慣れを低減し、かつ様々な情動状態を調整したという証拠があることを例示した。
【0111】
実施例11. ホームユース(クリーン/ランドリー)
この実施例では、クリーン/ランドリータイプのフレグランスを用いた空気清浄機を、TSCの有り無しで、消費者の家庭において試験した(N=30)。
【0112】
以下の試験は、消費者の家庭内で、14日間にわたり実施した。各消費者には、2つの異なるプラグイン式空気清浄機が提供された。第1のプラグイン式を、最初の7日間にわたり使用した。第2のプラグイン式は、次の7日間にわたり使用した。第1の空気清浄機を設置して24時間後に、消費者に、製品の全体的な意見、何が特に好き/嫌いであったか、消費者が一般に使用する空気清浄機に対してそれがどのように比較されたか、香りの意見、香りがどの程度顕著であったか、プラグイン式からどれ位離れてもフレグランスがまだ匂ったか、強度および強度の時間的変化などの質問を含む、アンケートに書き入れるよう依頼した。消費者は7日目に、実質的に同じアンケートに書き込んだ。7日目、消費者は第1のプラグイン式を第2のプラグイン式に交換し、そして試験を繰り返した。双方のプラグイン式を評価した後、消費者に第1と第2のプラグイン式を比較する一連の質問を尋ねた。
【0113】
結果を、ホームユース試験の1日目および7日目に収集した。図7は、フレグランスについての全体的な意見を例示する。TSC含有製品は、7日目の時点で、TSCを含有しなかったものよりも有意に高い好みスコアを発生させた。
【0114】
実施例12: ホームユース(フルーティ/フローラル)
本実施例では、フルーティ/フローラルタイプのフレグランスを用いた空気清浄機を、TSCの有り無しで、消費者の家庭(N=50)において実施例10と同様の方法により試験した。結果をホームユース試験の1日目、7日目、および14日目に収集した。図8は、フレグランスについての全体的な意見を例示する。TSC含有製品は、14日目の時点で、TSCを含有しないものよりも有意により高い好みスコアを発生させた。14日間の製品使用後、消費者に、コントロールおよびフルーティ/フローラルタイプのフレグランスを、TSCの有り無しで比較する追加の嗜好質問を尋ねた。消費者の応答を、図9A-Bに要約する。これらの図は、TSCの追加が快感の疲労/慣れを低減し、かつより軽くエアリーとして知覚された証拠があることを例示した。
【0115】
叙述されかつクレームされた種々の実施形態に加えて、開示された主題はまた、本明細書に開示およびクレームされた特徴の、別の可能な組合せを有する他の実施形態にも向けられている。すなわち、本明細書に提示された特定の特徴は、開示された主題の範囲内で、別の方法で互いに組み合わされて、開示された主題が本明細書に開示された特徴の任意の適当な組合せを含むようにすることができる。したがって、前述の開示された主題の具体的な実施態様の記載は、例示および記載を目的として提示されている。網羅的であること、または開示された主題を開示された実施形態のものに限定することは意図されていない。
【0116】
当業者には、開示された化合物および組成物において、開示された主題の精神または範囲から離れることなく、種々の修正および変動が行なわれ得ることが明らかであろう。したがって、開示された主題は、添付のクレームおよびその同等物の範囲内である、修正および変形を包含することが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9A
図9B