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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20220329BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220329BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220329BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220329BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220329BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220329BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/06
H05B33/10
H01L27/32
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/00 342
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018001821
(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公開番号】P2019121548
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直久
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187705(JP,A)
【文献】特開2006-215488(JP,A)
【文献】特開2006-322964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0205764(US,A1)
【文献】国際公開第2014/024803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
H01L 51/50
G09F 9/00
G09F 9/30
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板及び前記可撓性基板の一主面上に形成される有機EL層を含む有機EL基板と、
前記有機EL基板の表示領域を覆うフィルムと、
前記可撓性基板の前記一主面上の端部に、前記フィルムの一端面と離間して隣接配置される端子領域と、を有し、
前記端子領域に隣接する前記フィルムの一端面の少なくとも一部は、断面視において、端部側の厚さが他の部分より小さい段差形状を有する段差領域であることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記フィルムの前記段差領域の厚さは、前記フィルムの他の部分の厚さの0.5倍以上0.8倍以下である、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フィルムの前記段差領域の幅は、平面視において、前記フィルムの端から40μm以上200μm以下である、請求項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記フィルムの前記段差領域は、平面視において、前記フィルムの角部に位置する、請求項に記載の表示装置。
【請求項5】
可撓性基板の一主面上に有機EL層を形成して有機EL基板を形成し、
前記有機EL層が形成される前記可撓性基板の一主面上の側端部に端子領域を形成し、
フィルムの一端面の少なくとも一部に、断面視において、端から内側にいくほど厚さが増加する略テーパ形状を有するテーパ領域を形成し、
前記テーパ領域が形成された前記フィルムの一端面を、前記有機EL基板上の前記端子領域と離間して隣接配置し、前記フィルムで前記有機EL基板上の表示領域を覆い、
第1レーザにより、前記フィルムを、表示装置の最終製品サイズに沿って切断した後、第2レーザにより、前記有機EL基板を、表示装置の最終製品サイズに沿って切断することを含み、
前記第1レーザによる前記フィルムの切断終了位置は、前記テーパ領域の範囲内であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1レーザによる前記フィルムの切断開始位置は、前記テーパ領域の範囲内である、請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
可撓性基板の一主面上に有機EL層を形成して有機EL基板を形成し、
前記有機EL層が形成される前記可撓性基板の一主面上の側端部に端子領域を形成し、
フィルムの一端面の少なくとも一部に、断面視において、端部側の厚さが他の部分より小さい段差形状を有する段差領域を形成し、
前記段差領域が形成された前記フィルムの一端面を、前記有機EL基板上の前記端子領域と離間して隣接配置し、前記フィルムで前記有機EL基板上の表示領域を覆い、
第1レーザにより、前記フィルムを、表示装置の最終製品サイズに沿って切断した後、第2レーザにより、前記有機EL基板を、表示装置の最終製品サイズに沿って切断することを含み、
前記第1レーザによる前記フィルムの切断終了位置は、前記段差領域の範囲内であることを特徴とする表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置およびその製造方法に関する。特に、可撓性を有する有機EL表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に形成された複数の画素を有する表示装置が知られている。このような表示装置の代表例としては、液晶表示装置やEL表示装置などが挙げられる。
【0003】
EL表示装置とは、エレクトロルミネセンス(EL:Electroluminescence)現象を示す材料が一対の電極で挟持された構造を有する発光素子を各画素に備えた表示装置である。材料として有機化合物を用いる発光素子は有機発光素子、有機EL素子、あるいは有機電界発光素子と呼ばれる。このような有機発光素子を複数有する表示装置を有機EL表示装置と呼ぶ。
【0004】
有機EL表示装置は基板上に形成された複数の有機発光素子(以下、発光素子)を有し、各発光素子がトランジスタなどのスイッチング素子によって制御され、画像が表示される。基板としてはガラス基板や金属基板、セラミック基板などが使用できるが、可撓性を有する基板、例えばプラスチック樹脂(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリレート等)を含む基板などを用いることで、フレキシブルディスプレイである可撓性を有する有機EL表示装置を作製することができる。
【0005】
特許文献1には、液晶層を挟持する一対の基板上に、フィルム状の偏光子、高輝度フィルム、視野角向上フィルムなどのフィルムを挟み込んだ一体型の偏光フィルムを備える液晶表示装置であって、フィルムの剥がれを防止するために、偏光フィルムの端面を、基板から離れるに従い幅狭になる順テーパ形状とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-322964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、歩留まりの良い可撓性を有する表示装置、例えば可撓性を有する有機EL表示装置及びこれらを歩留まり良く製造する方法を提供することを目的の一つとする。具体的には、可撓性を有する基板の表裏に偏光フィルムを備える表示装置において、表示装置を個片化した後、最終製品サイズに整形するために、レーザ照射により外周の余分なフィルムを切断除去する際に、表示装置の内部構造に影響を与えず、かつフィルムの切れ残りが生じない表示装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、可撓性基板及び前記可撓性基板の一主面上に形成される有機EL層を含む有機EL基板と、前記有機EL基板の表示領域を覆うフィルムと、前記可撓性基板の前記一主面上の側端部に、前記フィルムの一端面と離間して隣接配置される端子領域と、を有し、前記端子領域に隣接する前記フィルムの一端面の少なくとも一部は、断面視において、前記有機EL基板から離間するほど厚さが増加する略テーパ形状を有するテーパ領域であり、前記テーパ領域の幅は、平面視において、前記フィルムの厚さの0.5倍以上1.5倍以下であってもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る表示装置において、前記フィルムの前記テーパ領域の幅は、平面視において、前記フィルムの端から40μm以上200μm以下であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る表示装置において、前記フィルムの前記テーパ領域は、平面視において、前記フィルムの角部に位置するものでもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、可撓性基板及び前記可撓性基板の一主面上に形成される有機EL層を含む有機EL基板と、前記有機EL基板の表示領域を覆うフィルムと、前記可撓性基板の前記一主面上の端部に、前記フィルムの一端面と離間して隣接配置される端子領域と、を有し、前記端子領域に隣接する前記フィルムの一端面の少なくとも一部は、断面視において、端部側の厚さが他の部分より小さい段差形状を有する段差領域であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る表示装置において、前記フィルムの前記段差領域の厚さは、前記フィルムの他の部分の厚さの0.5倍以上0.8倍以下であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る表示装置において、前記フィルムの前記段差領域の幅は、平面視において、前記フィルムの端から40μm以上200μm以下であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る表示装置において、前記フィルムの前記段差領域は、平面視において、前記フィルムの角部に位置するものでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、可撓性基板の一主面上に有機EL層を形成して有機EL基板を形成し、前記有機EL層が形成される前記可撓性基板の一主面上の側端部に端子領域を形成し、フィルムの一端面の少なくとも一部に、断面視において、端から内側にいくほど厚さが増加する略テーパ形状を有するテーパ領域を形成し、前記テーパ領域が形成された前記フィルムの一端面を、前記有機EL基板上の前記端子領域と離間して隣接配置し、前記フィルムで前記有機EL基板上の表示領域を覆い、第1レーザにより、前記フィルムを、表示装置の最終製品サイズに沿って切断した後、第2レーザにより、前記有機EL基板を、表示装置の最終製品サイズに沿って切断することを含み、前記第1レーザによる前記フィルムの切断終了位置は、前記テーパ領域の範囲内であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法において、前記第1レーザによる前記フィルムの切断開始位置は、前記テーパ領域の範囲内であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、可撓性基板の一主面上に有機EL層を形成して有機EL基板を形成し、前記有機EL層が形成される前記可撓性基板の一主面上の側端部に端子領域を形成し、フィルムの一端面の少なくとも一部に、断面視において、端部側の厚さが他の部分より小さい段差形状を有する段差領域を形成し、前記段差領域が形成された前記フィルムの一端面を、前記有機EL基板上の前記端子領域と離間して隣接配置し、前記フィルムで前記有機EL基板上の表示領域を覆い、第1レーザにより、前記フィルムを、表示装置の最終製品サイズに沿って切断した後、第2レーザにより、前記有機EL基板を、表示装置の最終製品サイズに沿って切断することを含み、前記第1レーザによる前記フィルムの切断終了位置は、前記段差領域の範囲内であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す上面模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す、図1のAA´断面における断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す、図1のAA´断面における断面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す上面模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置を示す上面模式図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す断面模式図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す断面模式図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す断面模式図である。
図9】従来における表示装置の製造工程を示す、図1のAA´断面に対応する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0020】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視においては、基板の一主面に対して画素領域、表示領域が配置される側を「上方」に該当するとして説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置100の製造工程を示す上面模式図である。表示装置100は、可撓性基板110と、可撓性基板110の上に設けられた表示領域120を有している。後述するように、可撓性基板110の一主面上には、複数の画素等を含む有機EL層170が形成されている。本明細書において、可撓性基板110及びその上に設けられた表示領域120を構成する有機EL層170を総称して有機EL基板190という場合がある。
【0022】
また、表示装置100は、表示領域120が形成された可撓性基板110の一主面上に、可撓性基板110と重なるコネクタ142を有していてもよく、コネクタ142と表示領域120との間には、図示しないIC(Integrated Circuit)チップが設けられている。
【0023】
表示領域120が形成された可撓性基板110の一主面上の側端部には、複数の端子を備える端子領域140が形成されている。コネクタ142は、この端子領域140の端子と電気的に接続する。表示領域120から可撓性基板110の側端部に向かって、図示しない複数の配線が配置されており、この複数の配線は表示領域120及び上述したICチップに電気的に接続されている。この複数の配線の一部が端子領域140において露出しており、露出した部分が端子として機能する。端子は異方性導電膜などの導電膜によって端子領域140においてコネクタ142と接続されてもよい。
【0024】
可撓性基板110とその上に形成された有機EL層170とを含む有機EL基板190の表示領域120は、さらに第1フィルム130で覆われている。第1フィルム130は、表示領域120が形成された有機EL基板190の表側である一主面の全体を覆うものではなく、表示領域120が形成された可撓性基板110の一主面上の側端部に形成された端子領域140を露出する。すなわち、第1フィルム130の一端面は、表示領域120が形成された可撓性基板110上の側端部に形成された端子領域140と離間して隣接配置される。
【0025】
また、有機EL基板190の裏側(表示領域120が形成されている一主面に対向する他の主面側)は、第2フィルム180で覆われていてもよい(図2等参照)。第1フィルム130及び第2フィルム180は、例えば偏光フィルム、高輝度フィルム、視野角向上フィルムまたはこれらのうち複数の機能を有する多機能フィルムであってもよい。偏光フィルムは、偏光子を含む偏光板として形成されたフィルム基材であってもよい。例えば、偏光板は、円偏光性を示す偏光子により構成される。画素部に重ねて偏光フィルムを設けることにより、表示画面の映り込み(鏡面化)を防止することができる。
【0026】
有機EL層170の表示領域120には、画像を再現するための複数の画素(図示せず)が設けられている。各画素には表示素子とそれに電気的に接続される一つ又は複数のトランジスタが設けられており、各表示素子はトランジスタによって制御される。各画素はICチップと電気的に接続されており、コネクタ142及び端子領域140の端子を通して外部から入力される映像信号に応じて駆動される。コネクタ142としては例えばフレキシブルプリント回路(FPC)などが挙げられる。ただし、本発明は、可撓性基板110と別体のコネクタ142を必須の構成とするものではなく、例えば、可撓性基板110と別体のコネクタ142を用いることなく、可撓性基板110の一部に外部接続用の電気回路が一体的に形成されていてもよい。
【0027】
有機EL基板190の表示領域120の画素に含まれる表示素子としては、例えば有機EL発光素子が挙げられる。表示領域120は、異なる発光色を与える発光素子を用いて形成してもよい。あるいは白色を与える発光素子を全発光素子で用いて表示領域120を形成し、カラーフィルタを用いて各素子から所望の発光色を取り出してもよい。
【0028】
ICチップは、例えば半導体基板を用いて作製され、可撓性基板110上、あるいはコネクタ142上に固定されて各画素のトランジスタを制御する駆動回路として機能する。表示領域120の周辺にはさらに他の駆動回路が設けられていてもよい。あるいは、ICチップを設けず、駆動回路を表示領域120の周辺に設けてもよい。
【0029】
可撓性基板110は、プラスチック樹脂(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリレート等)等の可撓性を有する部材で構成される。基板の材質がプラスチック樹脂等である場合、基板の薄板化により表示装置100に可撓性を付与することが可能となる。すなわち、基板として可撓性基板110を用いることにより、フレキシブルディスプレイを提供することができる。例えば、可撓性基板110として、ポリイミドなどの高分子フィルムを使用することができる。後述する第2レーザL2によるレーザ光を効果的に吸収できる高分子フィルムが好ましい。また、水や酸素などに対して透過性が低い高分子フィルムが好ましい。可撓性基板110は、例えば対応する高分子材料を含む溶液、あるいは混合物を塗布した後に加熱して成膜してもよく、あるいは高分子材料の前駆体の溶液、あるいは混合物を塗布し、加熱して重合させることで製膜してもよい。あるいは、フィルム状の高分子フィルムを支持基板上に設置し、圧力をかけて形成してもよい。
【0030】
図1に示す表示装置100の製造工程は、複数の表示装置を一括製造した後、個々の表示装置に個片化または分離した状態であって、最終製品サイズに整形する前の状態を示す。したがって、図1に示す表示装置100の可撓性基板110は、最終製品サイズ(図5参照)より一回り大きな外周を有する。図1に示す表示装置100は、次の工程において、図1に示す第1切断線152に沿ってレーザ照射することにより第1フィルム130が切断除去される。レーザ照射による第1フィルム130の切断工程における切断開始位置S及び切断終了位置Gを図1に示す。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の製造工程を示す、図1のAA´断面における断面模式図である。図2に示す表示装置100の製造工程は、図1に示す第1切断線152に沿って、第1フィルム130を、第1レーザL1によるレーザ照射により、図1に示す切断開始位置Sから切断終了位置Gまで連続的に切断し、第1切断線152より外側の第1フィルム130を除去する工程を説明する図である。図1のAA´断面における、第1レーザL1による切断終了位置G付近の第1フィルム130の構造を、図2に拡大して示す。
【0032】
図2に示すように、表示装置100は、断面視において、可撓性基板110及びその上に設けられた有機EL層170を含む有機EL基板190の表側に、第1接着層162を介して第1フィルム130が接着されており、有機EL基板190の裏側に、第2接着層164を介して第2フィルム180が接着された構造を有する。ここで、有機EL基板190の「表」とは、可撓性基板110において表示領域120が設けられている一主面側をいい、「裏」とは、可撓性基板110において表示領域120が設けられている一主面に対向する他の主面側をいう。
【0033】
図2に示すように、第1フィルム130の一端面には、断面視において、第1フィルム130の下に第1接着層162を介して配置される有機EL基板190から離間するほど厚さが増加する略テーパ形状を有するテーパ領域130tが形成されている。第1フィルム130のテーパ領域130tのテーパ角度θは、第1フィルム130の膜厚である厚さt1と、平面視におけるテーパ領域130tの幅d1との比によって規定される。
【0034】
第1フィルム130の略テーパ形状部分であるテーパ領域130tの幅d1は、平面視において、第1フィルム130の膜厚である厚さt1の1.2倍程度であってもよく、好ましくは0.5倍以上2倍以下、より好ましくは0.5倍以上1.5倍以下であってもよい。
【0035】
また、第1フィルム130の略テーパ形状部分であるテーパ領域130tの幅d1は、平面視において、端子領域140に隣接する第1フィルム130の一端面の端から40μm以上200μm以下程度であってもよい。図1では、テーパ領域130tが、端子領域140と隣接する第1フィルム130の一端面全体に、一定の幅で形成される実施形態が記載されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明におけるテーパ領域130tは、少なくとも、第1レーザL1による第1フィルム130の第1切断線152上の切断終了位置Gに対応する領域に形成されていれば足りる。また、本発明におけるテーパ領域130tは、さらに、第1レーザL1による第1フィルム130の第1切断線152上の切断開始位置Sに対応する領域に形成されていてもよい。例えば、本発明におけるテーパ領域130tは、第1切断線152上の切断終了位置Gないし切断開始位置Sに対応する領域を含む、第1フィルム130の少なくとも1つの角部に形成されていてもよい。
【0036】
第1フィルム130の一端面にテーパ領域130tを形成する工程は、例えば、第1フィルム130の一端面を、所定のテーパ角度θだけ傾斜させたブレ―ド(刃)で切断したり、切断面が所定のテーパ角度θになるように予め設定されたレーザ照射により切断するなど任意の方法によってテーパ領域130tを形成してもよい。
【0037】
第1フィルム130の一端面にテーパ領域130tを形成する工程は、第1フィルム130を、第1接着層162を介して有機EL基板190の表示領域120側に接着する工程より前に行うことが好ましい。この工程順とすることにより、第1フィルム130を第1接着層162を介して有機EL基板190の表示領域120側に接着した状態でテーパ領域130tを形成する際に、表示素子やトランジスタ等の画素を含む有機EL層170に、物理的な圧力や加熱などの影響が及ぶことを避けることができる。
【0038】
これと異なり、
【0039】
第1レーザL1の種類や波長には特に限定はなく、レーザの照射を受ける第1フィルム130が吸収可能な波長を有するレーザであればよい。第1レーザL1としては、例えば、約9.3μm~9.6μmの波長帯を有する炭酸ガスレーザ(CO2レーザ)であってもよい。その他に、例えば、エキシマレーザなどの気体レーザ、YAGレーザなどの固体レーザ、半導体レーザ、色素レーザなどを使用することができる。また、レーザのビーム断面は点状でも線状でもよいが、照射時間の短縮のためには線状のビーム断面を有するレーザの使用が好ましい。
【0040】
図2に示すように、第1レーザL1の切断終了位置Gは、テーパ領域130tの幅d1の範囲内に位置する。すなわち、第1レーザL1による第1フィルム130の切断終了位置Gは、端子領域140と離間して隣接する第1フィルム130の一端面の最端部より内側に位置する。本明細書において、第1フィルム130の「内側」とは、断面図である図2におけるA´点から見たA点の方向をいい、平面図である図1における端子領域140と隣接する第1フィルム130の一端面から見た表示領域120の方向をいう。
【0041】
第1レーザL1によるレーザ照射を、第1フィルム130の一端面の最端部まで行わない理由は、第1フィルム130の下層に位置する有機EL基板190に第1レーザL1によるレーザを照射しないようにするためである。有機EL基板190に含まれる可撓性基板110は、例えばポリイミドを含む素材で形成されており、その上に表示素子等を含む複数の画素を含む有機EL層170が設けられているため、これらの内部構造体を第1レーザL1によるレーザ照射から保護する必要がある。したがって、第1フィルム130の端部における第1レーザL1によるレーザ照射の終了位置は、第1フィルム130の最端部から、レーザのスポット径、出力等を考慮して、有機EL層170を含む有機EL基板190に第1レーザL1が直接照射されないように、わずかに内側にするのが好ましい。
【0042】
図9は従来における表示装置200の製造工程を示す図であり、本発明に係る図1に示す表示装置100のAA´断面に対応する断面を説明するための模式図である。図9において、290は有機EL基板であり、有機EL基板290は可撓性基板210及びその上に形成された有機EL層270を含む。有機EL基板290の表側(表示領域が形成されている一主面側)には、第1接着層262を介して第1フィルム230が接着されており、有機EL基板290の裏側(表示領域が形成されている一主面に対向する他の主面側)には、第2接着層264を介して第2フィルム280が接着されている。
【0043】
図9に示す従来の表示装置200において、単にレーザLによるレーザ照射を、第1フィルム230の一端面の最端部より内側で止めるだけでは、切断終了位置Gより端に位置する第1フィルム230の端部に、第1フィルム230の切れ残りRが生じる場合があり、表示装置200を最終製品サイズに整形する際に歩留まりが低下するという問題がある。
【0044】
本発明では、第1レーザL1の切断終了位置Gを、テーパ領域130tの幅d1の範囲内に設定することにより、レーザL1によるレーザ照射を、第1フィルム130の一端面の最端部よりわずかに内側で止めることができる。また、本発明にかかる表示装置100において、第1レーザL1によるレーザ照射を、テーパ領域130tの幅d1の範囲内で止めた場合、切断終了位置Gより外側に位置する第1フィルム130の端部は、最端部にいくにつれて徐々に厚さが小さくなるテーパ形状であるため、膜厚が十分に小さく、切断終了位置Gにおける第1レーザL1のレーザ照射の余熱等によって第1フィルムの最端部まで切断することができる。
【0045】
したがって、本発明によれば、第1フィルム130の下層に位置する可撓性基板110、有機EL層170を含む有機EL基板190に第1レーザL1を照射しないようにすることができるとともに、第1レーザL1による切断終了位置より外側において第1フィルム130の切れ残りが生じることを防ぎ、表示装置を最終製品サイズに整形する際に歩留まりが向上するという作用効果を奏する。
【0046】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る表示装置300の製造工程を示す上面模式図である。表示装置300は、可撓性基板110と、可撓性基板110の上に設けられた表示領域120を有している。可撓性基板110の一主面上には、複数の画素等を含む有機EL層170が形成されている。本明細書において、可撓性基板110及びその上に設けられた表示領域120を構成する有機EL層170を総称して有機EL基板190という場合がある。
【0047】
第2実施形態にかかる表示装置300は、第1実施形態にかかる表示装置100のうち、第1フィルム130の一端面に形成される領域が、テーパ領域130tではなく、段差領域130sである点で相違し、その他の構成は同じである。
【0048】
有機EL基板190の表示領域120は、さらに第1フィルム130で覆われており、有機EL基板190の裏側は第2フィルム180で覆われていてもよい。第1フィルム130及び第2フィルム180は、例えば偏光フィルム、高輝度フィルム、視野角向上フィルムまたはこれらのうち複数の機能を有する多機能フィルムであってもよい。偏光フィルムは、偏光子を含む偏光板として形成されたフィルム基材であってもよい。例えば、偏光板は、円偏光性を示す偏光子により構成される。画素部に重ねて偏光フィルムを設けることにより、表示画面の映り込み(鏡面化)を防止することができる。
【0049】
図3は、本発明の第2実施形態に係る表示装置300の製造工程を示す模式図である。図3は、第1実施形態にかかる表示装置100のAA´断面における断面図に相当する図である。図3に示す表示装置300の製造工程は、図1に示す第1切断線152に沿って、第1フィルム130を、第1レーザL1によるレーザ照射により、図1に示す切断開始位置Sから切断終了位置Gまで連続的に切断し、第1切断線152より外側の第1フィルム130を除去する工程を説明する図である。図1のAA´断面における、第1レーザL1による切断終了位置G付近の第1フィルム130の構造を、図3に拡大して示す。
【0050】
図3に示すように、表示装置300は、断面視において、可撓性基板110及びその上に設けられた表示領域120を構成する有機EL層170を含む有機EL基板190の表裏に、第1フィルム130及び第2フィルム180を、それぞれ第1接着層162、第2接着層164を介して接着した構造を有する。
【0051】
図3に示すように、端子領域140と離間して隣接する第1フィルム130の一端面の端部には、端部側の厚さt2が他の部分(第1フィルム130の膜厚である厚さt1)より小さい段差形状である段差領域130sが形成されている。第1フィルム130の段差領域130sの厚さt2は、第1フィルム130の膜厚である他の部分の厚さt1の0.5倍程度であってもよく、好ましくは0.5倍以上0.8倍以下であってもよい。
【0052】
また、第1フィルムの段差形状部分である段差領域130sの幅d2は、平面視において、端子領域140と隣接する第1フィルム130の一端面の端から40μm以上200μm以下程度であってもよい。段差領域130sは、端子領域140と隣接する第1フィルム130の一端面全体に一定の幅で形成されてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明における段差領域130sは、少なくとも、第1フィルム130の第1レーザL1による第1切断線152上の切断終了位置Gに対応する領域に形成されていれば足りる。また、本発明における段差領域130sは、さらに、第1レーザL1による第1フィルム130の第1切断線152上の切断開始位置Sに対応する領域に形成されていてもよい。例えば、本発明における段差領域130sは、第1切断線152上の切断終了位置Gないし切断開始位置Sに対応する領域を含む、第1フィルム130の少なくとも1つの角部に形成されていてもよい。
【0053】
第1フィルム130の一端面に段差領域130sを形成する工程は、例えば、第1フィルム130の一端面を、所定の厚さt2になるまでブレ―ド(刃)で薄化したり、化学的に研磨したりするなど任意の方法によって段差領域130sを形成してもよい。
【0054】
第1フィルム130の一端面に段差領域130sを形成する工程は、第1フィルム130を、第1接着層162を介して有機EL基板190の表示領域120側に接着する工程より前に行うことが好ましい。この工程順とすることにより、第1フィルム130を、第1接着層162を介して有機EL基板190の表示領域120側に接着した状態で段差領域130sを形成する際に、表示素子やトランジスタ等の画素を含む有機EL層170に、物理的な圧力や加熱などの影響が及ぶことを避けることができる。
【0055】
図3に示すように、第1レーザL1の切断終了位置Gは、段差領域130sの幅d2の範囲内に位置する。すなわち、第1レーザL1による第1フィルム130の切断終了位置Gは、端子領域140と離間して隣接する第1フィルム130の一端面の最端部より内側に位置する。第1レーザL1によるレーザ照射を、第1フィルム130の一端面の最端部まで行わない理由は、第1フィルム130の下層に位置する有機EL基板190に第1レーザL1によるレーザを照射しないようにするためである。可撓性基板110は、例えばポリイミドを含む素材で形成されており、その上の有機EL層170に表示素子等を含む複数の画素が設けられているため、これらの内部構造体を第1レーザL1によるレーザ照射から保護する必要がある。したがって、第1フィルム130の端部における第1レーザL1によるレーザ照射の終了位置Gは、第1フィルム130の最端部から、レーザのスポット径、出力等を考慮して、有機EL基板190に第1レーザL1が直接照射されないように、わずかに内側にするのが好ましい。
【0056】
本発明では、第1レーザL1の切断終了位置Gを、段差領域130sの幅d2の範囲内に設定することにより、第1レーザL1によるレーザ照射を、第1フィルム130の一端面の最端部よりわずかに内側で止めることができる。また、本発明にかかる表示装置300において、第1レーザL1によるレーザ照射を、段差領域130sの幅d2の範囲内で止めた場合、切断終了位置Gより外側に位置する第1フィルム130の端部は、他の部分より厚さが小さい段差形状であるため、膜厚が十分に小さく、切断終了位置Gにおける第1レーザL1のレーザ照射の余熱等によって第1フィルム130の最端部まで切断することができる。
【0057】
したがって、本発明によれば、第1フィルム130の下層に位置する有機EL層170を含む有機EL基板190に第1レーザL1を照射しないようにすることができるとともに、第1レーザL1による切断終了位置Gより外側において第1フィルム130の切れ残りが生じることを防ぎ、表示装置を最終製品サイズに整形する際に歩留まりが向上するという作用効果を奏する。
【0058】
その他の構成については第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0059】
[製造方法]
本発明に係る表示装置100、300の製造方法について、図1図4図5図6から図8を参照して説明する。以下では、本発明に係る表示装置100、300の製造方法のうち、複数の表示装置を一括製造した後、個々の表示装置に個片化または分離した状態から、最終製品サイズに整形するまでの工程について説明する。
【0060】
上述したとおり、図1は、複数の表示装置を一括製造した後、個々の表示装置に個片化または分離した状態であって、最終製品サイズに整形する前の状態を示す。図4は、図1に示す第1切断線152に沿って第1フィルム130に第1レーザL1を照射することにより、最終製品サイズの外周に位置する余分な第1フィルム130を切断除去した状態を示す。また、図5は、図4に示す第2切断線154に沿って第2レーザL2等を照射することにより、最終製品サイズの外周に位置する余分な可撓性基板110(有機EL基板190)及び第2フィルム180を切断除去した状態、すなわち、最終製品サイズに整形され状態の表示装置100を示す。また、図4に、第2切断線154に沿ってレーザ照射による切断工程を行う際の切断開始位置S及び切断終了位置Gを示す。
【0061】
図6から図8に、個々の表示装置に個片化または分離した表示装置を、最終製品サイズに整形する工程例をそれぞれ示す。図6から図8は、本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す断面模式図である。図6から図8は、いずれもレーザによる切断面における表示装置の部分断面図であり、図中の矢印はレーザの進行方向を示す。
【0062】
図6に示す第1工程例について説明する。まず、図6(A)に示すように、第1レーザL1を用いて、有機EL基板190に対する第1フィルム130側からレーザ照射して、第1フィルム130を切断する(工程A)。第1フィルム130の切断位置は、図1に示す第1切断線152上である。また、第1フィルム130の切断方向は、図1に示す切断開始位置Sから切断終了位置Gまでである。
【0063】
上述したとおり、第1フィルム130の切断終了位置Gは、第1フィルム130の一端面の最端部よりわずかに内側であるテーパ領域130t又は段差領域130sの範囲内に位置する。図6(A)に示す切断工程が終了すると、第1切断線152の外側に位置する余分な第1フィルム130が切れ残りなく除去される。
【0064】
次に、図6(B)に示すように、第2レーザL2を用いて、有機EL基板190の表示領域120側からレーザ照射して、有機EL基板190を切断する(工程B)。有機EL基板190は、可撓性基板110及びその上に形成された有機EL層170を含む構成である。有機EL基板190の切断位置は、図4に示す第2切断線154上である。また、有機EL基板190の切断方向は、図4に示す切断開始位置Sから切断終了位置Gまでである。
【0065】
第2レーザL2の種類や波長には特に限定はなく、レーザの照射を受ける有機EL基板190が吸収可能な波長を有するレーザであればよい。ただし、有機EL基板190は表示素子などの内部構造を有するため、これらの内部構造がレーザ照射により影響を受けることのないようなレーザを選択する必要がある。第2レーザL2としては、例えば、熱ストレスの影響が小さい紫外レーザ(UVレーザ)であってもよい。また、レーザのビーム断面は点状でも線状でもよいが、照射時間の短縮のためには線状のビーム断面を有するレーザの使用が好ましい。
【0066】
図6(B)に示す切断工程が終了すると、第2切断線154の外側に位置する余分な有機EL基板190が除去される。
【0067】
次に、図6(C)に示すように、第1レーザL1を用いて、有機EL基板190に対する第2フィルム180側からレーザ照射して、第2フィルム180を切断する(工程C)。第2フィルム180の切断位置は、図4に示す第2切断線154上である。また、第2フィルム180の切断方向は、図4に示す切断開始位置Sから切断終了位置Gまでである。
【0068】
第2フィルム180を切断するためのレーザの種類や波長には特に限定はなく、レーザの照射を受ける第2フィルム180が吸収可能な波長を有するレーザであればよい。例えば、約9.3μm~9.6μmの波長帯を有する炭酸ガスレーザ(CO2レーザ)であってもよい。その他に、例えば、エキシマレーザなどの気体レーザ、YAGレーザなどの固体レーザ、半導体レーザ、色素レーザなどを使用することができる。また、レーザのビーム断面は点状でも線状でもよいが、照射時間の短縮のためには線状のビーム断面を有するレーザの使用が好ましい。また、図6(C)に示すように、第2フィルム180を切断するためのレーザは、第1フィルム130を切断するために使用した第1レーザL1と同じレーザであってもよい。
【0069】
図6(C)に示す切断工程が終了すると、第2切断線154の外側に位置する余分な第2フィルム180が除去され、図5に示す、最終製品サイズに整形された表示装置100が得られる。
【0070】
次に、図7に示す第2工程例について説明する。第2工程例は、第1工程例における工程Bと工程Cとの工程順序を逆にしたものである。
【0071】
まず、図7(A)に示すように、第1レーザL1を用いて、有機EL基板190に対する第1フィルム130側からレーザ照射して、第1フィルム130を切断する。図7(A)に示す工程は図6(A)に示す工程と同じであるため、繰り返しの説明を省略する。
【0072】
次に、図7(B)に示すように、第1レーザL1を用いて、有機EL基板190に対する第2フィルム180側からレーザ照射して、第2フィルム180を切断する。図7(B)に示す第2フィルム180を切断する工程は、第2切断線154の外周において、第2フィルム180の上に第2接着層164を介して有機EL基板190が切除されずに残存している点を除いて、図6(C)に示す工程と同じである。
【0073】
次に、図7(C)に示すように、第2レーザL2を用いて、有機EL基板190の表示領域120側からレーザ照射して、有機EL基板190を切断する。図7(C)に示す有機EL基板190を切断する工程は、第2切断線154の外周において、すでに第2フィルム180が切除されている点を除いて、図6(B)に示す工程と同じである。
【0074】
図7(C)に示す切断工程が終了すると、第2切断線154の外側に位置する余分な有機EL基板190が除去され、図5に示す、最終製品サイズに整形された表示装置100が得られる。
【0075】
次に、図8に示す第3工程例について説明する。第3工程例は、第1工程例における工程Cを要せず、工程Bの際に、有機EL基板190のみならず、その下層の第2フィルム180も同時に切断するものである。
【0076】
まず、図8(A)に示すように、第1レーザL1を用いて、有機EL基板190に対する第1フィルム130側からレーザ照射して、第1フィルム130を切断する。図8(A)に示す工程は図6(A)に示す工程と同じであるため、繰り返しの説明を省略する。
【0077】
次に、図8(B)に示すように、第2レーザL2を用いて、有機EL基板190の表示領域120側からレーザ照射して、有機EL基板190及びその下層の第2フィルム180を同時に切断する。
【0078】
図8(B)に示す切断工程が終了すると、第2切断線154の外側に位置する余分な有機EL基板190及び第2フィルム180が同時に除去され、図5に示す、最終製品サイズに整形された表示装置100が得られる。
【0079】
以上により、本発明に係る表示装置100、300の製造方法のうち、複数の表示装置を一括製造した後、個々の表示装置に個片化または分離した状態から、最終製品サイズに整形するまでの工程について、図6から図8を参照して、第1工程例から第3工程例について説明したが、本発明に係る製造工程はこれらに限定されるものではない。
【0080】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0081】
本明細書においては、開示例として主に有機EL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0082】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0083】
100:表示装置、110:可撓性基板、170:有機EL層、190:有機EL基板、120:表示領域、130:第1フィルム、180:第2フィルム、130t:テーパ領域、130s:段差領域、140:端子領域、142:コネクタ、152:第1切断線、154:第2切断線、162:第1接着層、164:第2接着層、L1:第1レーザ、L2:第2レーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9