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特許7048377クラウド-ローカル間切り替え並びに医療画像及びデータの同期
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】クラウド-ローカル間切り替え並びに医療画像及びデータの同期
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20220329BHJP
【FI】
G16H30/20
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018058001
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2018173954
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】15/476,445
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518032971
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ヘルスケア アメリカズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】椎橋 孝夫
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0220821(US,A1)
【文献】特許第5555088(JP,B2)
【文献】カラハン ブレント,第8章 NFSの実装 8.14.6 切断と再接続,NFSバイブル,初版,日本,株式会社アスキー,2001年10月01日,pp.265-266
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリとの間での医療データの同期中の競合を防止するための方法であって、前記複数のローカルサーバは、第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは、前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備え、前記方法は、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、
前記クラウドリポジトリの代わりに前記第1のローカルリポジトリへアクセスさせ、
ローカルデータが、前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連付けられているかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定させ、
前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられていた場合、前記ローカルデータの変更を禁止させることを含み、
前記他の複数のローカルサーバのいずれかによって、前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が許可される、
方法。
【請求項2】
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が確立している間、前記第1のローカルサーバに、
前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信されたリモートデータであって、所定の患者に関連付けられている前記リモートデータを、前記クラウドリポジトリから受信させ、
前記リモートデータをローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
続いて、前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかによって更新された場合、前記クラウドリポジトリから前記更新されたリモートデータを受信させ、前記更新されたリモートデータで前記ローカルデータを置換させ、又は、続いて、前記患者に関連付けられた別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、
前記クラウドリポジトリへ再アクセスさせ、
前記接続が遮断している間に、前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかにより更新された場合、前記更新されたリモートデータを受信させ、前記ローカルデータを前記更新されたリモートデータで置換させ、又は、前記接続が遮断している間に、別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
前記接続が遮断している間に、前記第1のローカルリポジトリ上のいずれかのローカルデータが前記第1のローカルサーバによって更新又は追加されていた場合、前記更新又は追加されたローカルデータを前記クラウドリポジトリに送信させること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されると、前記禁止されたローカルデータの変更が許可される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローカルサーバとクラウドサーバとの間の前記接続が遮断される間、前記共有の患者に関連付けられた新しい医療データを新しいローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに追加する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ローカルデータに格納された前記メタデータが、前記共有患者ID以外に、患者ID、患者名、帰属施設ID、患者レポート情報、画像情報、及び編集状況識別子のうち一つ以上含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ローカルデータの前記メタデータが、前記複数のローカルサーバのそれぞれに結合されたコンピュータによって表示されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して、ユーザにより編集可能である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記医療データが、DICOMフォーマットの画像又は患者の医療レポートである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記DICOMフォーマットの画像が、前記複数のローカルサーバのそれぞれに結合されたコンピュータに接続された医療施設における撮像手段を用いて撮像された医療画像である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のローカルサーバのそれぞれがローカルコンピュータに結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記クラウドサーバ上の前記クラウドリポジトリが、クラウドベースの画像保管通信システム(PACS)のためのリポジトリである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータに結合された第1のローカルサーバに、クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリとの間での医療データの同期中の競合を防止する処理を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(CRM)であって、前記複数のローカルサーバは、前記第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルサーバは、第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは、前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備え、前記処理は、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、
前記クラウドサーバの代わりに前記第1のローカルリポジトリへアクセスさせ、
前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連付けられたローカルデータであるかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定させ、
前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられている場合、前記ローカルデータの変更を禁止させることを含み、
他の前記複数のローカルサーバのいずれかによって、前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が許可される、
コンピュータ可読媒体
【請求項12】
前記処理は、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が確立している間、前記第1のローカルサーバに、
前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信されたリモートデータであって、所定の患者に関連付けられている前記リモートデータを、前記クラウドリポジトリから受信させ、
前記リモートデータをローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
続いて、前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかによって更新された場合、前記クラウドリポジトリから前記更新されたリモートデータを受信させ、前記更新されたリモートデータで前記ローカルデータを置換させ、又は、続いて、前記患者に関連付けられた別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、
前記クラウドリポジトリへ再アクセスさせ、
前記接続が遮断している間に前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかにより更新された場合、前記更新されたリモートデータを受信させ、前記ローカルデータを前記更新されたリモートデータで置換させ、又は、前記接続が遮断している間に、別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
前記接続が遮断している間に、前記第1のローカルリポジトリ上のいずれかのローカルデータが前記第1のローカルサーバによって更新又は追加されていた場合、前記更新又は追加されたローカルデータを前記クラウドリポジトリに送信させること、をさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体
【請求項13】
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されると、前記禁止されたローカルデータの変更が許可される、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体
【請求項14】
前記第1のローカルサーバとクラウドサーバとの間の前記接続が遮断されている間、前記共有の患者に関連付けられた新しい医療データを新しいローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに追加する、請求項1に記載のコンピュータ可読媒体
【請求項15】
医療データを同期するときの競合を防止するシステムであって、
クラウドサーバと、
前記クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと、
前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリであって、前記複数のローカルサーバは第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備える、該複数のローカルリポジトリと、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバは、
前記クラウドリポジトリの代わりに前記ローカルリポジトリにアクセスし、
ローカルデータが、前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連しているかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定し、
前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられている場合、前記ローカルデータの変更を禁止し、
前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が、別の複数のローカルサーバのいずれかにより許可される、
システム。
【請求項16】
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が確立している間、前記第1のローカルサーバに、
前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信されたリモートデータであって、所定の患者に関連付けられている前記リモートデータを、前記クラウドリポジトリから受信させ、
前記リモートデータをローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
続いて、前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかによって更新された場合、前記クラウドリポジトリから前記更新されたリモートデータを受信させ、前記更新されたリモートデータで前記ローカルデータを置換させ、続いて、前記患者に関連付けられた別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリへ格納させ、
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、
前記クラウドリポジトリへ再アクセスさせ、
前記接続が遮断している間に前記リモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかにより更新された場合、前記更新されたリモートデータを受信させ、前記ローカルデータを前記更新されたリモートデータで置換させ、又は、前記接続が遮断している間に、別のリモートデータが前記複数のローカルサーバのいずれかから前記クラウドリポジトリに送信された場合、前記別のリモートデータを別のローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに格納させ、
前記接続が遮断している間に、前記第1のローカルリポジトリ上のいずれかのローカルデータが前記第1のローカルサーバによって更新又は追加されていた場合、前記更新又は追加されたローカルデータを前記クラウドリポジトリに送信させること、を含む
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の前記接続が再確立されると、前記禁止されたローカルデータの変更が許可される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のローカルサーバとクラウドサーバとの間の前記接続が遮断されている間、前記共有の患者に関連付けられた新しい医療データが新しいローカルデータとして前記第1のローカルリポジトリに追加される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療画像及び医療データは、患者の診断において重要な役割を担っている。ヘルスケア施設(例えば病院)は、医療画像及び医療データを電子的に保管することの利益を認識している。医療画像及びデータのデジタル化は、ユーザが医療画像及び医療データに容易にアクセスすることを可能にするのみならず、当該画像及びデータが複数のヘルスケア施設間で容易に共有されることを可能にする。
【0002】
ヘルスケア産業において、画像保管通信システム(Picture Archiving and Communications System:PACS)として知られるシステムの使用が、医療画像の便利な保管及びアクセスのために、広く普及し始めている。一般的に、PACSは、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、位置放射断層撮影法(PET)、超音波、エックス線などのような、様々な画像撮像手段(modalities)により生成された医療画像をデジタル的にキャプチャ、格納、管理、配信、表示するために協働して動作する多くの装置を備える。PACSは、様々なヘルスケア施設が、内部的又は外部的にキャプチャされたすべてのタイプの画像を共有することを可能としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より最近においては、従来のPACSの効率性及びアクセシビリティを向上するための方法として、クラウドベースPACSが登場した。一般的に「クラウド」とは、様々な場所にある複数のコンピュータ及びデバイスに、インターネットを介して、コンピューティングリソース及びデータの遠隔かつオンデマンドのアクセスを提供する、オンラインのストレージシステムとして理解され得る。クラウドベースPACSは、医療画像の格納のために、様々な場所でリモート、若しくはオフサイトのデータセンタを用いるベンダにより提供される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、ある観点では、本発明は、クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリとの間での医療データの同期中の競合を防止するための方法に関する。前記複数のローカルサーバは、第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは、前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備える。前記方法は、前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、前記クラウドリポジトリの代わりに前記第1のローカルリポジトリへアクセスさせ、ローカルデータが、前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連付けられているかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定させ、前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられていた場合、前記ローカルデータの変更を禁止させることを含み、前記他の複数のローカルサーバのいずれかによって、前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が許可される。
【0005】
概して、ある観点では、本発明は、コンピュータに結合された第1のローカルサーバに、クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリとの間での医療データの同期中の競合を防止する処理を実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体(CRM)に関する。前記複数のローカルサーバは、前記第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルサーバは、第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは、前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備える。前記処理は、前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバに、前記クラウドサーバの代わりに前記第1のローカルリポジトリへアクセスさせ、前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連付けられたローカルデータであるかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定させ、前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられている場合、前記ローカルデータの変更を禁止させることを含み、他の前記複数のローカルサーバのいずれかによって、前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が許可される。
【0006】
概して、ある観点では、本発明は、医療データを同期するときの競合を防止するシステムに関する。前記システムは、クラウドサーバと、前記クラウドサーバ上のクラウドリポジトリと、前記クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設の複数のローカルサーバ上に複数のローカルリポジトリを備える。前記複数のローカルサーバは第1のローカルサーバを備え、前記複数のローカルリポジトリは前記第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを備える。前記第1のローカルサーバと前記クラウドサーバとの間の接続が遮断されるのに応答して、前記第1のローカルサーバは、前記クラウドリポジトリの代わりに前記ローカルリポジトリにアクセスし、ローカルデータが、前記第1のローカルサーバと他の複数のローカルサーバのいずれかと、クラウドサーバ上で共有された共有の患者に関連しているかどうかを、前記ローカルデータ内に格納されるメタデータ内の共有患者IDの有無に基づいて決定し、前記ローカルデータが前記共有の患者に関連付けられている場合、前記ローカルデータの変更を禁止し、前記禁止されたローカルデータに対応する前記クラウドサーバ上のリモートデータの変更が、前記別の複数のローカルサーバのいずれかにより許可される。
【0007】
本発明の他の観点及び利点は、以下の記載及び添付されたクレームによって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、1つ又は複数の実施形態に係るシステムを示す。
図1B図1Bは、1つ又は複数の実施形態に係るシステムを示す。
図2A図2Aは、1つ又は複数の実施形態に係る表示メッセージを示す。
図2B図2Bは、1つ又は複数の実施形態に係る表示メッセージを示す。
図3A図3Aは、1つ又は複数の実施形態に係るデータテーブルを示す。
図3B図3Bは、1つ又は複数の実施形態に係るデータテーブルを示す
図4図4は、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図5図5は、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図6図6は、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図7図7は、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図8図8は、1つ又は複数の実施形態に係るコンピューティングシステムを示す。
図9図9は、1つ又は複数の実施形態に係る概略ダイアグラムを示す。
図10A図10Aは、1つ又は複数の実施形態に係るフローチャートを示す。
図10B図10Bは、1つ又は複数の実施形態に係るフローチャートを示す。
図11A図11Aは、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図11B図11Bは、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び1Bのシステムの状態を示す。
図12図12は、1つ又は複数の実施形態に係るフローチャートを示す。
図13A図13Aは、1つ又は複数の実施形態に係る実現例を示す。
図13B図13Bは、1つ又は複数の実施形態に係る実現例を示す。
図13C図13Cは、1つ又は複数の実施形態に係る実現例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して特定の実施形態を詳細に説明する。さまざまな図における同様の要素は、一貫性のため、同様の参照番号で示される。同様の要素は、簡潔にするために、すべての図に示されていない場合がある。
【0010】
本開示の実施形態の以下の詳細な説明において、本開示のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者にとって、これらの具体的な詳細なしに本開示が実施され得ることは明らかであろう。他の例においては、周知の特徴は、説明を不必要に複雑にすることを避けるために、詳細には説明されていない。
【0011】
出願全体を通して、序数(例えば、第1、第2、第3など)は、要素(すなわち、出願における任意の名詞)の形容詞として用いられ得る。序数の使用は、「前」、「後」、「単一」及び他のそのような用語の使用など、明示的に開示されていない限り、要素の特定の順番を示唆したり、与えたりすることはなく、或いは、あらゆる要素を単一の要素のみであると限定することはない。むしろ、序数の使用は要素を区別することである。一例として、第1の要素は第2の要素とは区別され、第1の要素は2以上の要素を包囲し、要素の順序で、第2の要素を後にする(又は先行させる)ことができる。
【0012】
単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことが理解されるべきである。したがって、例えば、「水平ビーム」への言及は、そのようなビームの1つ又は複数への言及を含む。
【0013】
「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」などのような語は、記載された特性、パラメータ、又は値が、正確に達成される必要はないが、例えば、公差、測定誤差、測定精度限界及び当業者にとって既知の他の因子を含む偏差又は変動が、特性が提供しようとした効果を排除しない量で、生じ得る。
【0014】
フローチャートに示される1つ又は複数のステップは、除外し、繰り返し、及び/又は示された順番とは違う順番で実行され得ると理解すべきである。したがって、本発明の範囲は、フローチャートに示された特定の整理されたステップに限定されるとみなされるべきではない。
【0015】
多数従属請求項は導入されていないが、1つ又は複数の実施形態の従属請求項の発明主題は、他の従属請求項と組み合わせられ得ることは、当業者には明らかであろう。
【0016】
概して、本発明の1つ又は複数の実施形態は、同期の間の競合を防止するメカニズムと共に、クラウド-ローカル間切り替え並びに医療画像及びデータの同期のため構成された、方法、非一時的なコンピュータ可読媒体、及びシステムを提供する。「競合」とは、概して、同期中の医療画像及びデータ間で生ずる不一致(disagreement)又は相反(incompatibility)をいう。1つ又は複数の実施形態に係るクラウドベースPACSは、同一の病院グループ内の施設のような、クラウドデータリポジトリ又はデータベース(「クラウドリポジトリ」)にアクセスするための権限が与えられたすべてのヘルスケア施設が、医療画像及びデータを共有することを可能にする。医療画像及びデータはまた、患者の医療レポートを含み得る。例えば、ヘルスケア施設は、「ネットワーク内(in-network)」の(すなわち、クラウドリポジトリの同一部分にアクセスするための権限を有する)他のヘルスケア施設にて得られたその患者の医療画像及びデータにアクセスし、これらを取り出す(retrieve)ことができるだろう。特に、1つ又は複数の実施形態によれば、ネットワーク内ヘルスケア施設は、ネットワーク内の1つ又は複数のヘルスケア施設を頻繁に利用する患者(すなわち、2つ以上のネットワーク内ヘルスケア施設間で共有又は共通の患者)の医療画像及びデータを共有し、更新をするよう、クラウドベースPACSをより一層効率的に利用することができる。
【0017】
さらに、従来のクラウドベースPACSと違って、本発明の1つ又は複数の実施形態は、たとえヘルスケア施設とクラウドとの間のネットワーク接続が遮断された場合及びデータのアップロード又は更新により複数のヘルスケア施設間での競合が起こる状況であっても、クラウドベースPACSを利用するヘルスケア施設が、動作可能なままであることを可能にする。具体的には、1つ又は複数の実施形態を利用するネットワーク内ヘルスケア施設は、クラウドベースPACSのユーザ(例えば、ヘルスケアの専門家)の必要性に基づいて、クラウドリポジトリに格納された最新の患者画像及びデータで更新された、オンサイト又はローカルのデータリポジトリ又はデータベース(「ローカルリポジトリ」)を自動的に保持することができる。さらに、各施設のクラウドベースPACSはまた、同期中の競合を防止するメカニズムを備えている。例えば、ある施設が特定の患者の新しい医療画像を更新し又は取得する場合、クラウドリポジトリは、更新され又は新しい医療画像で自動的に更新され、同一の患者を治療又はケアするネットワーク内施設のすべてのローカルリポジトリは、自動的にクラウドリポジトリと同期され得る。
【0018】
1つ又は複数の実施形態では、接続が喪失した場合、遮断されたヘルスケア施設は、クラウドリポジトリの代わりに、自動的に、ローカルリポジトリへのアクセスに切り替わる。これは、ヘルスケア施設がネットワークからの遮断により引き起こされるあらゆるダウンタイムを被ることなく継続的なワークフローを確立することを可能にする。ネットワーク内施設のローカルリポジトリはクラウドリポジトリと同期されるので、その施設は、クラウド接続がないときでさえ、少なくとも一時的に、もっとも最新のデータにアクセスし、作業することができる。しかしながら、クラウドリポジトリ上のすべてのデータが必ずしも同期される必要はない。1つ又は複数の実施形態では、同期は、各施設に必要な又は関心のあるデータに関してのみ生じる。例えば、施設は、その施設の患者ではない人々に関連する医療画像で埋め尽くされたローカルリポジトリ又は該医療画像によって負担がかかるローカルサーバを望まないかもしれない。
【0019】
1つ又は複数の実施形態では、医療データは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設間で共有され得るが、クラウドから遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設のユーザは、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設のローカルリポジトリに格納される共有の医療データを変更(すなわち、修正及び編集)することを禁止される。これは、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設がクラウドと再接続することにより、クラウドとデータを同期するときの競合の可能性を減らす。例えば、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設のユーザは、共有のデータが他のネットワーク内ヘルスケア施設においてローカルに編集されているかを簡単に決定できないので、そのようなユーザもまた、同じ共有のデータを編集するかも知れない。そのため、2つの異なるネットワーク内施設がともに、別個に編集された共有のデータをクラウドにアップロードしようと試みるときに、競合を生じさせる可能性が起こる。競合が生じると、競合を生じさせた施設のシステムは、システムが競合を正常に解決するために一時的に利用不可能となり、ユーザに意図せず不必要なダウンタイムをもたらし得る。
【0020】
1つ又は複数の実施形態では、クラウドに接続したままのネットワーク内ヘルスケア施設のユーザは、クラウドから遮断されるネットワークヘルスケア施設に関連付けられると判断されたクラウドリポジトリに格納される特定の医療データの変更を禁止される。これにより、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設がクラウドと再接続して、クラウドとデータを同期するときの競合の可能性をさらに減らすことが可能である。例えば、接続されたネットワーク内ヘルスケア施設のユーザは、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設に格納された医療データが編集されているかを簡単に判断することができないので、そのようなユーザは、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設でローカルに編集される医療データに対応するクラウドに格納された医療データを編集するかも知れない。そのため、2つの異なるネットワーク内施設がともに、別個に編集された医療データをクラウドにアップロードしようと試みるときに、競合を生じさせる可能性が起こる。
【0021】
1つ又は複数の実施形態では、接続が再確立されると、ネットワークが遮断している間にローカルリポジトリに格納された医療画像及びデータは、クラウドリポジトリに自動的にアップロードされる。これは、他のネットワーク内ヘルスケア施設のすべてが、最新の医療画像及びデータによってそれらの各ローカルリポジトリを更新することを可能にする。
【0022】
図1A及び1Bは、本発明の1つ又は複数の実施形態に係るシステム100を示す。図1及び図2に示すように、システム100は、クラウドリポジトリ105を有するクラウドサーバ103と、複数のローカルサーバ107(例えば、アプリケーション・プロキシ・サーバ(APS))、及び異なるネットワーク内ヘルスケア施設(表記されていない)に関連付けられたローカルリポジトリ109とを含む。複数のローカルサーバ107は、クラウドサーバ103へのアクセス/閲覧を許可される。クラウドサーバ103上のリモートデータにアクセスする権利に加えて、あるローカルサーバ107はまた、リモートデータを編集する権利を有し得る。ヘルスケア施設のそれぞれは、公立病院、私立病院、診療所、歯科医院などの医療ケアを提供する施設の一種であってもよい。
【0023】
図1A及び1Bにもまた示すように、システム100におけるヘルスケア施設のそれぞれは、ローカルサーバ107に結合された複数のユーザコンピューティングデバイス111(ここでは「ローカルコンピュータ」として称される)を含む。ローカルコンピュータ111のそれぞれは、パーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップ、モバイルコンピューティングデバイス(例えば、タブレットPC、スマートフォンなど)、サーバ、メインフレーム、キオスクなどに対応し得る。
【0024】
1つ又は複数の実施形態では、クラウドリポジトリ105を有するクラウドサーバ103は、クラウドベースPACSを提供するベンダ又はそのようなベンダに関連付けられた他のサードパーティにより運用されてもよい。1つ又は複数の実施形態では、クラウドサーバ103は、アプリケーション及び情報処理を実行する物理及び/又は仮想コンピューティングインフラストラクチャである。例えば、クラウドサーバ103は、インターネットを介してリモートにアクセスされる仮想サーバ又は物理サーバであり得る。1つ又は複数の実施形態では、クラウドリポジトリ105は、データのオンラインリポジトリである。例えば、クラウドリポジトリは、仮想データルーム(VDR)又はインターネットを介してリモートにアクセスされるデータベース(又はデータベース群)であり得る。
【0025】
1つ又は複数の実施形態では、クラウドサーバ103は、ローカルサーバ107から送信された医療画像及びデータを受信し、その医療画像およびデータをリモートデータとしてクラウドリポジトリ105に格納するように構成される。
【0026】
1つ又は複数の実施形態では、ローカルサーバ107のそれぞれは、関連付けられたヘルスケア施設により運用される(operated)。ローカルサーバ107は、ローカルコンピュータ111から受信した医療画像及びデータを、クラウドサーバ103上のクラウドリポジトリ105に送信するように構成される。ローカルリポジトリ109のそれぞれは、関連付けられたヘルスケア施設によって運用され管理される。ローカルリポジトリ109は、ローカルサーバ107又はクラウドリポジトリ105から受信した医療画像及びデータを、ローカルデータとしてローカルに格納し得る。
【0027】
1つ又は複数の実施形態では、ローカルコンピュータ111は、各ヘルスケア施設に関連付けられた医療専門家によって操作され、ヘルスケア施設における1つ又は複数の撮像手段(図示なし)から得られた医療画像及びデータをローカルサーバ107に送信するように構成される。1つ又は複数の実施形態では、ローカルコンピュータ111は、ローカルサーバ107として構成され得る。1つ又は複数の実施形態では、ローカルコンピュータ111はまた、ローカルリポジトリ109も含み得る。
【0028】
1つ又は複数の実施形態では、ローカルコンピュータは、クラウド101を運営するベンダにより提供されるアプリケーションを格納するように構成される。1つ又は複数の実施形態では、アプリケーションは、ベンダに関連付けられたサードパーティにより提供され得る。アプリケーションは、ローカルコンピュータ111がクラウド101にアクセスすることを可能にする独立したソフトウェアアプリケーション、又はグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)を備えたウェブブラウザベースのアプリケーションであり得る。
【0029】
図1Aは、ネットワーク内ヘルスケア施設とクラウド101との間の接続が安定している場合の1つ又は複数の実施形態に係る例を示す。この状態では、複数のネットワーク内ヘルスケア施設は、クラウド101と双方向に通信し得る。図1Aに示すように、ネットワーク内ヘルスケア施設は、ローカルに取得された医療画像及びデータを、他のネットワーク内ヘルスケア施設がアクセス可能なクラウドリポジトリ105内にリモートデータとして格納されるよう、クラウド101に送信し得る。1つ又は複数の実施形態では、ネットワーク内ヘルスケア施設は、それぞれのローカルリポジトリ109にローカルデータとして格納されるよう、クラウド101から医療画像及びデータを取り出し得る。
【0030】
1つ又は複数の実施形態では、クラウドリポジトリ105に格納されたリモートデータのすべてが、ローカルデータとして格納されるためにネットワーク内ヘルスケア施設により取り出される必要はない。ローカルデータとして取り出され格納されるべきリモートデータは、ヘルスケア施設のサイズ及び必要性、又はローカルコンピュータ111(例えば、ヘルスケア従事者)のプリファレンスに基づいて変化し得る。例えば、あるネットワーク内ヘルスケア施設のローカルリポジトリ109にローカルデータとして取り出され格納されるべきリモートデータは、それらの施設の患者である特定の個人に基づき得る。したがって、特定の個人が特定のネットワーク内ヘルスケア施設の患者でない場合、そのヘルスケア施設は、その患者の医療画像及びデータを、クラウド101からローカルデータとして取り出し格納しないであろう。このオプションは、限られたストレージ及び処理能力の小規模なローカルサーバ107及びローカルリポジトリ109を備えた小規模なヘルスケア施設にとって特に有益であろう。1つ又は複数の実施形態では、あるネットワーク内ヘルスケア施設のローカルリポジトリ109にローカルデータとして取り出され及び格納されるべきリモートデータは、それらの施設の患者である特定の個人に基づく代わりに、特定の医療観察(medical study)、医療叢書(medical series)、医療画像、又は医療レポートに基づき得る。
【0031】
1つ又は複数の実施形態では、ネットワーク内ヘルスケア施設のそれぞれのローカルコンピュータ111のユーザは、クラウドサーバ103に格納されたウェブブラウザベースバージョンのアプリケーションを介して、クラウドリポジトリ105に格納された医療画像及びデータを閲覧し得る。ユーザはまた、ローカルコンピュータ111に格納されたアプリケーションのローカルバージョンを介してその画像を閲覧し得る。例えば、ヘルスケア従事者は、ローカルリポジトリ109に格納されたローカルデータのいずれかが、異なるネットワーク内ヘルスケア施設に関連付けられた他のヘルスケア従事者により更新されているかどうかを判断し、現在のローカルデータを置換するために、クラウドリポジトリ105から更新されたデータを取り出し得る。1つ又は複数の実施形態では、ローカルデータの更新は、例えばローカルコンピュータ111に格納されたアプリケーションを介して、システム100により自動的に実行され得る。
【0032】
例えば、個人は、複数のネットワーク内ヘルスケア施設の患者であり得る。これらのネットワーク内ヘルスケア施設のそれぞれは、個人の医療画像及びデータをローカルデータとして格納し得る。1つ又は複数の実施形態では、個人の医療画像及びデータは、ネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つによりクラウドリポジトリ105において更新され、その個人が同様に患者である他のネットワーク内ヘルスケア施設は、ローカルリポジトリ109におけるローカルデータを最新の状態に保つために、個人の更新された画像及びデータを自動的に更新(同期)し得る。クラウドリポジトリ105の自動更新及び/又は関連するローカルリポジトリ109の同期は、その個人の医療画像又はデータがクラウド上で更新されるたびに、トリガされ、あるいは、所定の間隔でトリガされ得る。
【0033】
図1Bは、ネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つとクラウド101との間の接続が遮断されている場合の、1つ又は複数の実施形態に係る例を示す。この状態では、アプリケーションは、ローカルリポジトリ109に格納されたローカルデータにアクセスするため、遮断されたヘルスケア施設におけるローカルコンピュータ111及びローカルサーバ107を自動的に構成し得る。1つ又は複数の実施形態では、遮断されたヘルスケア施設は、遮断中に撮像又は更新された医療画像及びデータをローカルリポジトリ109に格納し続ける。これは、遮断されたヘルスケア施設が、クラウド101からの遮断によって引き起こされるあらゆるダウンタイムを被ることなく、連続的なワークフローを確立することを可能にする。
【0034】
次に、遮断されたヘルスケア施設とクラウド101との間の接続が再確立されると、再接続されたヘルスケア施設のローカルコンピュータ111及びローカルサーバ107は、遮断中に撮像又は更新されたローカルリポジトリに格納されたすべての医療画像及びデータをクラウド101に送信するように、アプリケーションによって構成され得る。そのような医療画像及びデータは、続いて、新たなリモートデータとしてクラウドリポジトリ105に格納され得る。クラウド101が、再接続されたヘルスケア施設からの医療画像及びデータで更新されるにつれ、ネットワーク内の他の施設のローカルコンピュータ111に格納されたアプリケーションは、それぞれのローカルリポジトリ109を新たなリモートデータによって自動的に更新し得る。
【0035】
図2A及び2Bは、1つ又は複数の実施形態に係る、ローカルコンピュータ上のアプリケーションによりポップアップウィンドウの一部としてユーザに表示され得る表示メッセージ201を示す。この例では、表示メッセージ201は、ユーザ選択可能タブ(203a及び203b)(例えば、マウスのクリックによりユーザが選択可能)及びカウントダウンタイマを含む。表示メッセージ201は、ポップアップウィンドウとしてローカルコンピュータ111の画面上に表示され得る。表示メッセージ201は、ネットワーク内ヘルスケア施設のローカルサーバ107とクラウドサーバ103との間の現在の接続状態に関するメッセージを含み得る。
【0036】
図2Aは、ネットワーク内ヘルスケア施設の1つのローカルサーバ107とクラウドサーバ103との間の接続が遮断される場合の表示メッセージ201の例を示す。表示メッセージ201は、クラウド101への接続が遮断され、カウントダウンタイマ205がカウントし終えるときに、ローカルコンピュータ111が自動的にローカルリポジトリ109にアクセスすることを示すメッセージを含む。1つのローカルリポジトリが、説明のためにここでのいくつかの記載において使用されているが、ヘルスケア施設のそれぞれにおけるローカルコンピュータ及びローカルリポジトリの数は、異なり得る。
【0037】
1つ又は複数の実施形態では、ローカルコンピュータ111を操作するユーザは、クラウドリポジトリ105に代わってローカルリポジトリにアクセスする(すなわち、ローカルリポジトリ109へのアクセスに切り替える)ために、カウントダウンタイマ205がカウントし終えるのを待つか、又はユーザ選択可能タブ203aを直接クリックし得る。
【0038】
図2Bは、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つの施設のローカルサーバ107とクラウドサーバ103との間の接続が再確立されたときの表示メッセージ201の一例を示す。表示メッセージ201は、クラウド101への接続が再確立されたことを示すメッセージを含み、ユーザ(例えば、ヘルスケア従事者)に、ローカルリポジトリ109で作業を続けるか(continuing to work off)、又はクラウドリポジトリ105に再アクセスするかを選択することを促す。1つ又は複数の実施形態では、システム100のアプリケーションは、(例えば、事前設定された又は所定の期間のために)一時的にのみローカルリポジトリで作業を続けるかの選択肢をユーザに与える。このような場合には、図2Bの例に示すように、表示メッセージ201は、カウントダウンタイマ205がカウントし終え(クラウドリポジトリ105へのアクセスに切り替え)るときに、ローカルコンピュータ111がクラウドリポジトリ105に自動的に再アクセスするであろうことを示すメッセージをさらに含み得る。
【0039】
図2Bを参照しつつ、1つ又は複数の実施形態では、ユーザは、ネットワークリポジトリ105に直ちに再アクセスするためにユーザ選択可能タブ203aを選択するか、又はローカルリポジトリ109でローカルに作業を続けるためにユーザ選択可能タブ203bを選択する。再び、この例では、クラウドとの接続が再確立された後のローカルリポジトリの継続的な使用は制限限定される。事前設定された期間が終了すると、ユーザは、他の表示メッセージ201によってクラウド101に再接続するよう促される。
【0040】
図3A及び3Bは、1つ又は複数の実施形態に係るデータテーブル300A及び300Bを示し、該データテーブル300A及び300Bは、ローカルコンピュータ111のユーザにより閲覧され編集される、患者に関連する情報を格納し得る。
【0041】
図3Aは、各医療画像に関連付けられたデータを含むデータテーブル300Aの例を示す。1つ又は複数の実施形態では、データテーブル300Aは、以下に限定されないが、患者ID301、患者名303、帰属施設(Attributed Facility)ID305、レポート情報307、画像情報309のような患者関連情報を含み得る。
【0042】
1つ又は複数の実施形態では、患者ID301は、個人の患者識別番号である。各個人は、単一の一意の患者ID301を有する。個人の患者ID301は、ネットワーク内ヘルスケア施設の間で共有される。患者名303は、個人の法的な名前である。
【0043】
1つ又は複数の実施形態では、帰属施設ID305は、個人が患者であるネットワーク内ヘルスケア施設(例えば、個人に関連付けられたネットワーク内ヘルスケア)の識別番号であり得る。個人が複数のネットワーク内ヘルスケア施設上の1つ以上の施設を頻繁に利用する場合、その個人は、1つ以上の帰属施設ID305に関連付けられる。1つ又は複数の実施形態では、帰属施設ID305は、クラウド101上にアップロードされた特定の患者の最初の画像を取得したネットワーク内ヘルスケア施設の識別番号であり得るが、この場合患者は1つしか帰属施設ID305を持たない。1つ又は複数の実施形態では、帰属施設IDは、ネットワーク内ヘルスケア施設のユーザ(すなわち、ヘルスケア従事者)により直接的に割り当てられ得る。
【0044】
1つ又は複数の実施形態では、レポート情報307は、個人の医療診断に関する情報を含む。画像情報309は、医療画像の簡潔な説明及び医療画像を生成するために使用された撮像手段の名称を含む。
【0045】
図3Bは、各医療画像に関連付けられたデータを含むデータテーブル300Bの例を示す。データテーブル300Bは、図3Aにおいて説明されるデータテーブル300Aと同じデータを含むが、さらに、共患者ID306及び編集状況304を含む。
【0046】
1つ又は複数の実施形態では、共患者ID306は、個人が2つ以上の複数のネットワーク内ヘルスケア施設の間で共有される患者である(すなわち、その個人は少なくとも2つの異なるネットワーク内ヘルスケア施設において登録されている患者である)ことを示す。編集状況304は、第1のローカルコンピュータ111に、それぞれの医療データのメタデータが編集可能であるかを示す識別子である。例えば、図3Bに示されるように、編集状況304の「R」は、そのメタデータが「読み取り専用」データであり、閲覧のみができ編集はできないことを示す。編集状況304の「RWD」(すなわち、読み込み、書き込み、削除)は、メタデータの読み込み、編集及び削除が可能(すなわち、医療データの変更が可能)であることを示す。
【0047】
1つ又は複数の実施形態では、図3A及び3Bに示されるデータテーブル300A、300B内のデータは、医療用デジタル画像通信フォーマット(DICOMフォーマット)であり得る医療画像内のメタデータとして埋め込まれる。1つ又は複数の実施形態では、DICOMは、システム100を実現するための汎用画像フォーマットであり得る。テーブル300A、300Bからのデータは、ローカルコンピュータ111に格納された1つ又は複数の実施形態のアプリケーションを使用して、DICOMフォーマットの画像から抽出することができる。1つ又は複数の実施形態では、データテーブル300A及び300B内のデータはまた、患者の医療画像又は患者の医療レポートのいずれかであり得る、医療データ内のメタデータとして直接埋め込まれ得る。
【0048】
テーブル300A及び300B内のデータは、様々な方法でソートされ得る。図3A及び3Bに示される例では、データは、患者によってソートされる。しかしながら、データは、例えば、ヘルスケア従事者のプリファレンスに基づく患者関連情報のいずれか1つを使用する別の方法でソートされ得る。データテーブル300A及び300Bからのデータが医療画像から抽出されると、ヘルスケア従事者は、1つ又は複数の実施形態のアプリケーションを備えたGUIを使用して、データを編集/修正することができる。1つ又は複数の実施形態では、抽出されたデータテーブル300A及び300Bは、ローカルサーバ107に格納される。
【0049】
図4~7は、1つ又は複数の実施形態に係る図1A及び図1Bのシステムの異なる状態を示す。クラウド101、クラウドサーバ103、クラウドリポジトリ105、ローカルサーバ107、ローカルリポジトリ109、ローカルコンピュータ111、ディスプレイメッセージ201、ユーザ選択可能タブ203a及び203b、並びにカウントダウンタイマ205は、図1図2A及び図2Bに関して上述されたものと同一又は実質的に同様であり得る。そのような同様の構成要素の詳細な説明は、以下で繰り返さない。
【0050】
図4及び図5はそれぞれ、複数のネットワーク内ヘルスケア施設におけるヘルスケア施設とクラウド101との間の接続が遮断された状態を示す。この場合、図4の右手側に示されるように、遮断されたヘルスケア施設に関連付けられたローカルコンピュータ111は、まず、クラウド101との接続が遮断されたことを示す、表示メッセージ201を表示し得る。表示メッセージ201は、次に、ユーザ選択可能タブ203aを選択することによりクラウドリポジトリ105から遮断されたヘルスケア施設のローカルリポジトリ109へアクセスを切り替えるよう、ユーザに促し得る。加えて又は代替的に、表示メッセージ201は、タイマがカウントし終えると切り替えが自動的に生じるように、ユーザにカウントダウンタイマ205を示し得る。図5の右手側は、ローカルコンピュータ111と遮断されたヘルスケア施設に関連付けられたローカルサーバ107とが、クラウドリポジトリ105からローカルリポジトリ109へのアクセスに切り替わったことを示す。
【0051】
図6及び図7はそれぞれ、遮断されたヘルスケア施設とクラウド101との間の接続が再確立された状態を示す。この場合、図6の右手側に示されるように、再接続されたヘルスケア施設に関連付けられたローカルコンピュータ111は、まず、クラウド101との接続が再接続されたことを示す表示メッセージ201を表示し得る。表示メッセージ201は、次に、ユーザに、(ユーザ選択可能タブ203aを選択することにより)クラウドリポジトリ105に再アクセスするか、又は(ユーザ選択可能タブ203bを選択することにより)ローカルで作業を続けるかを選択するよう促し得る。加えて又は代替的に、表示メッセージ201は、タイマがカウントし終えると自動的に再アクセス(すなわち、ローカルリポジトリ109からクラウドリポジトリ105へのアクセスの切り替え)が行われるように、ユーザにカウントダウンタイマ205を示し得る。図7の右手側は、遮断されている間にローカルリポジトリ109に格納されたデータがクラウドリポジトリ105に送信され、クラウドリポジトリ105がローカルリポジトリ109と同期していることを示す表示メッセージ201を表示している、再接続されたヘルスケア施設に関連付けられた、ローカルコンピュータ111を示す。
【0052】
本発明の実施形態は、使用されるプラットフォームに関わらず、事実上あらゆるタイプのコンピューティングシステム上に実施され得る。例えば、コンピューティングシステムは、本発明の1つ又は複数の実施形態を実行するための、最小処理能力(minimum processing power)、メモリ、及び入出力デバイスを少なくとも含む、1つ又は複数のモバイルデバイス(例えば、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピュータ、又は他のモバイルデバイス)、デスクトップコンピュータ、サーバ、サーバシャーシ内のブレード、又は他のあらゆるタイプの1つ若しくは複数のコンピューティングデバイスである。例えば、図8に示すように、コンピューティングシステム800は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ802、関連するメモリ804(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリなど)、1つ又は複数のストレージデバイス806(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブ又はデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブといった光学ドライブ、フラッシュメモリスティックなど)、並びに他の多くの要素及び機能を含み得る。コンピュータプロセッサ802は、命令を処理するための集積回路であり得る。例えば、コンピュータプロセッサ―は、1つ又は複数のコア、又はプロセッサのマイクロコアであり得る。コンピューティングシステム800はまた、タッチスクリーン、キーボード、マウス、マイクロフォン、タッチパッド、電子ペン、又は任意の他のタイプの入力デバイスといった1つ又は複数の入力デバイス810を含み得る。さらに、コンピューティングシステム800は、スクリーン(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、陰極線管(CRT)モニタ、プロジェクタ、又は他のディスプレイデバイス)、プリンタ、外部ストレージ、又は任意の他の出力デバイスといった1つ又は複数の出力デバイス808を含み得る。出力デバイスのうち1つ又は複数は、入力デバイスと同一であってもよいし、又は異なっていてもよい。コンピューティングシステム800は、ネットワーク812(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、すなわち、インターネット、モバイルネットワーク、又は他のあらゆる種類のネットワーク)に、ネットワークインタフェース接続(図示なし)を通して接続され得る。入力、及び出力デバイスは、ローカル又はリモートに(例えば、ネットワーク812を介して)、コンピュータプロセッサ802、メモリ804、及びストレージデバイス806に接続され得る。多くの異なるタイプのコンピューティングシステムが存在し、前述の入力及び出力デバイスは、他の形態を取り得る。
【0053】
本発明の実施形態を実施するためのコンピュータ可読可能プログラムコードの形式のソフトウェア命令は、CD、DVD、ストレージデバイス、ディスケット、テープ、フラッシュメモリ、物理メモリ、又は他のいかなるコンピュータ可読記憶媒体上に、全体的又は部分的に、一時的又は永続的に、記憶され得る。具体的には、ソフトウェア命令は、プロセッサにより実行されると、本発明の実施形態を実施するように構成されたコンピュータ可読プログラムコードに対応し得る。
【0054】
さらに、前述のコンピューティングシステム800の1つ又は複数の要素は、遠隔地に配置され、ネットワーク812を介して他の要素に接続され得る。さらに、本発明の1つ又は複数の実施形態は、複数のノードを有する分散システム上で実施することができ、本発明の各部分は、分散システムにおける異なるノード上に配置され得る。本発明の一実施形態では、ノードは、別個のコンピューティングデバイスに対応する。あるいは、ノードは、関連する物理メモリを有すコンピュータプロセッサに対応し得る。あるいは、ノードは、共有メモリ及び/又はリソースを有するコンピュータプロセッサ又はそのマイクロコアに対応し得る。
【0055】
図8のコンピューティングシステムは、比較及び他の処理の結果といった未処理及び/又は処理済みのデータを提示する機能を含み得る。例えば、提供されるデータの提示は、様々な提示方法によって達成され得る。具体的には、データは、コンピューティングデバイスにより提供されるユーザインターフェースを介して提示され得る。ユーザインターフェースは、ハンドヘルドコンピュータデバイス上のコンピュータモニタ又はタッチスクリーンといったディスプレイデバイス上に情報を表示するGUIを含み得る。GUIは、どのデータが表示されるか、どのようにデータがユーザに提示がされるかを編成する様々なGUIウィジェットを含み得る。さらに、GUIは、ユーザに直接的にデータを、例えばテキストを通して実際のデータ値として示されるデータ、又はコンピューティングデバイスにより、データモデルを視覚化するなどといった、データの視覚的表現にレンダリングされたデータを、提示し得る。
【0056】
例えば、GUIは、最初に、特定のデータオブジェクトがGUI内に提示されることを要求するソフトウェアアプリケーションからの通知を取得し得る。次に、GUIは、例えば、データオブジェクトタイプを識別するデータオブジェクト内のデータ属性からデータを獲得することによって、特定のデータオブジェクトに関連付けられたデータオブジェクトタイプを決定し得る。次に、GUIは、そのデータオブジェクトタイプを表示するために指定されたいかなるルール、例えば、データオブジェクトクラスのソフトウェアフレームワークにより特定されるルール、又はそのデータオブジェクトタイプを提示するGUIにより定義されるいかなるローカルパラメータに従ったルール、を決定し得る。最後に、GUIは、特定のデータオブジェクトからデータ値を取得し、そのデータオブジェクトタイプに対する指定されたルールに従って、ディスプレイデバイス内のデータ値の視覚的表現をレンダリングし得る。
【0057】
図9は、1つ又は複数の実施形態に係るシステムの概略ダイアグラムを示す。システムは、医療画像及びデータを、クラウドサーバ上のクラウドリポジトリとクラウドサーバに接続された複数のローカルサーバ上の複数のローカルリポジトリとの間での同期を行うよう構成される。複数のローカルサーバは、第1のローカルサーバを含み、複数のローカルリポジトリは、第1のローカルサーバ上に第1のローカルリポジトリを含む。上記で説明されるように、序数の使用は、要素に特定の順番を示唆したり、与えたりすることはなく、また、あらゆる要素を単一の要素のみであると限定しない。例えば、「第1のローカルサーバ」は、クラウドサーバに接続された複数のローカルサーバのうちのあらゆるローカルサーバであり得、単に、説明目的のために「第1の」と称されている。
【0058】
図9に示されるようなシステムは、例えば、(i)第1のローカルサーバとクラウドサーバとの間の接続状態に基づいて、以下のステップを実行するように構成された命令を実行するように構成されたコンピュータプロセッサ906を含む処理モジュール904を含み得る。
【0059】
ある観点では、第1のローカルサーバとクラウドサーバとの間の接続が遮断されることに応答して、コンピュータプロセッサ906は、第1のローカルサーバに、(1)クラウドリポジトリの代わりに第1のローカルリポジトリへアクセスさせ、(2)クラウドサーバに接続されたヘルスケア施設上の1つ以上のヘルスケア施設に登録されている共有の患者に関連付けられたローカルデータであるかを決定させ、(3)共有の患者に関連付けられたローカルデータであった場合、ローカルデータの変更を禁止させる、ための命令を実行する。
【0060】
図9に示されるようなシステムは、さらに、(ii)ユーザに医療画像及びデータを提示するよう構成されたユーザーデバイス902を備える。システムはさらに、ベンダ提供のアプリケーションに関連するPACSアプリケーションデータ910(すなわち、PACS情報)、患者情報912、及び医療画像及びデータ914を格納するよう構成されたデータリポジトリ908を含み得る。
【0061】
図10A及び10Bは、1つ又は複数の実施形態に係る方法のフローチャートを示す。1つ又は複数の実施形態では、図10A及び図10Bに示されたような方法は、コンピュータに実装された方法である。図10A及び図10Bに示された各ステップは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のうちの一のヘルスケア施設のシステムのみに関して、以下にまとめて説明される。以下に説明する方法の各ステップは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のいずれかのシステムにより実行され得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0062】
ステップ1005及び1010において、ネットワーク内ヘルスケア施設のうちの一に関連付けられたローカルコンピュータは、接続が正常であるかどうかを決定するために、ヘルスケア施設のローカルサーバとクラウド上のクラウドサーバとの間の接続状態をチェックする。
【0063】
ステップ1010でのチェックの結果がYESの場合、ステップ1015において、ローカルコンピュータは、撮像手段により生成されたデータを、ローカルサーバを介してクラウドサーバにアップロードし続け、ステップ1020において、ローカルリポジトリとクラウドリポジトリとの間でデータを同期する。処理は、次に、ステップ1005に戻る。
【0064】
1つ又は複数の実施形態では、ステップ1015でクラウドサーバが更新されることに応答して、他のネットワーク内施設のローカルコンピュータ及びサーバは、クラウドサーバから更新されたデータの全部又は一部のいずれかを受信する。ネットワーク内施設のローカルコンピュータ及びサーバが更新されたデータを受信した場合、それぞれのローカルコンピュータ及びサーバは、更新されたデータが既存でなければ、更新されたデータをそれぞれのローカルリポジトリに追加するか、又は更新されたデータに対応する既存のローカル格納済みデータを、更新されたデータで置換する。
【0065】
ステップ1010でのチェックの結果がNOなら、ステップ1025において、ヘルスケア施設とクラウドとの間の接続が遮断されたことを示すメッセージがユーザに表示され、ローカルコンピュータ及びサーバは、ローカルリポジトリ(又はリポジトリ群)にアクセスを切り替える。
【0066】
ステップ1030において、遮断されたヘルスケア施設のローカルコンピュータ及びサーバは、ローカルリポジトリにアクセスを切り替え、ステップ1035において、ローカルコンピュータ及びサーバにクラウドへのアクセスを可能にするローカルコンピュータ及びサーバに格納されたアプリケーションが再起動される。この時点で、医療画像及びデータは、クラウドリポジトリの代わりに、ローカルリポジトリから格納され取り出されている。
【0067】
1つ又は複数の実施形態では、メッセージがユーザに表示されると、ユーザは、直ちにローカルリポジトリへのアクセスに切り替えるためにユーザ選択可能タブをクリックするか、又は、メッセージに表示されたカウントダウンタイマがカウントし終えたときにローカルコンピュータ及びサーバがローカルリポジトリへのアクセスに自動的に切り替えるのを待つことができる。
【0068】
ステップ1140及び1145において、アプリケーションが再起動されると、遮断されたヘルスケア施設のローカルコンピュータは、ローカルサーバとクラウドサーバとの間に正常な接続があるかを決定するためのチェックを実行する。
【0069】
チェックの結果がNOの場合、ローカルコンピュータ及びサーバは、ローカルで動作し続け、処理は、ローカルコンピュータがローカルサーバとクラウドサーバとの間の接続状態をチェックするステップ1140及び1145に戻る。
【0070】
チェックの結果がYESの場合、ステップ1050において、ヘルスケア施設とクラウドとの間の接続が再確立され、ローカルコンピュータ及びサーバがリモートリポジトリへのアクセスに切り替えていることを示すメッセージがユーザに表示される。
【0071】
ステップ1060において、メッセージがユーザに表示されると、ユーザは、ローカルリポジトリでローカルに作業を続けたいかの決定を行うことを促される。ローカルコンピュータ及びサーバは、メッセージ上のカウントダウンタイマがカウントし終えるまでにユーザによる応答が検出されなければ、クラウドサーバに自動的に再接続する。
【0072】
チェックの結果がYESの場合、ステップ1140において、ローカルコンピュータ及びサーバは、ローカルコンピュータがローカルサーバとクラウドサーバとの間の接続状態をチェックし続ける事前設定期間、ローカル接続のままでいる。事前設定期間が終了すると、ユーザは、他の表示メッセージによってクラウドに再接続することを促されるであろう。このとき、ユーザは、ローカルリポジトリでローカルに作業し続けることを選択することはできない。
【0073】
チェックの結果がNOの場合、ローカルコンピュータ及びサーバは、ステップ1065においてクラウドリポジトリに再アクセスするように構成される。
【0074】
次に、ステップ1070において、ローカルコンピュータ及びサーバがクラウドリポジトリに再アクセスされた場合、クラウドリポジトリは、同期され、すなわち、クラウドサーバとの再接続の後に生成された新たなデータと共に、再接続の期間にローカルリポジトリに格納されたデータによって更新される。遮断中に競合が生じた場合、(例えば、異なるネットワーク内ヘルスケア施設の2人以上のユーザが、リモートサーバ上の同一のリモートデータに関連付けられた患者情報を同時に更新しようと試みた場合である。)競合は、アプリケーションにより自動で、又はアプリケーションにより提供されるGUIを介してユーザにより手動で、解決され得る。
【0075】
1つ又は複数の実施形態では、ネットワーク内ヘルスケア施設のローカルサーバにローカルデータとして格納された共有のデータが、クラウドサーバにアップロードされたとき(例えば、複数のローカルサーバのそれぞれとクラウドサーバとの間の医療データの同期の間)に、競合が生じ得る。例えば、2つの異なるネットワーク内ヘルスケア施設のユーザが、各施設にローカルデータとして格納される共有データの同一部分をローカルに編集又は更新しようと試みたときに、競合が生じ得る。その後、共有データは、2つの施設からクラウドサーバにアップロードされる。クラウドサーバは、2つの異なる施設から受信した更新された共有データを用いて、対応するリモートデータの更新を試みる。クラウドサーバがリモートデータを更新しようと試みるとき、アプリケーションは、更新された共有データのいずれが正しい患者情報を含むかを決定し得ず、このため、競合の状況をもたらす。
【0076】
より具体的には、1つ又は複数の実施形態では、ある競合の状態は、他のものより複雑であり得る。例えば、ネットワーク内ヘルスケア施設Aのユーザが、患者名を「AAAAA」から「AAABA」に更新し、異なるネットワーク内ヘルスケア施設のユーザが同一の患者の名前を「AAAAA」から「AAACA」に更新し、2人のユーザが、患者の新しい名前を反映するよう同一のリモートデータを同時に更新しようと試みた場合、システムは、2つの名前のいずれが正しいか判別することはできないであろう。この場合、ユーザは、手動でその競合を解決しなければならない。しかしながら、ネットワーク内ヘルスケア施設Aのユーザが患者名を「AAAAA」から「AAAAA」に編集し、ネットワーク内ヘルスケア施設Bのユーザが同一の患者の名前を「AAAAA」から「ACAAA」に編集し、2人のユーザが、患者の新しい名前を反映するよう同一のリモートデータを同時に更新しようと試みた場合、アプリケーションは、患者名を「ACABA」に自動的に更新することが可能であろう。
【0077】
さらに、遮断されたヘルスケア施設のローカルコンピュータ及びサーバは、遮断中に異なるネットワーク内ヘルスケア施設により更新されたクラウドサーバを介してデータを受信し、更新されたデータが以前に存在していなければ、更新されたデータをローカルリポジトリに追加するか、又は更新されたデータに対応する既存のローカル格納済みデータを更新されたデータで置換する。
【0078】
1つ又は複数の実施形態では、ステップ1070において更新されたクラウドサーバに応答し、異なるネットワーク内施設のローカルコンピュータ及びサーバは、クラウドサーバから、更新されたデータの全部又は一部のいずれかを受信する。ネットワーク内施設のローカルコンピュータ及びサーバが更新されたデータを受信する場合、それぞれのローカルコンピュータ及びサーバは、更新されたデータが以前に存在していなければ、更新されたデータをそれぞれのローカルリポジトリに追加し、又は、更新されたデータに対応する既存のローカル格納済みデータを更新されたデータで置換する。
【0079】
ステップ1075において、再接続の間にローカルリポジトリに格納されたすべてのデータがクラウドリポジトリに送信される場合、アプリケーションは再起動され、ローカルコンピュータはステップ1005に戻るよう構成される。
【0080】
1つ又は複数の実施形態によれば、図11A及び11Bは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つがクラウド101上のクラウドサーバ103から遮断された、図1A及び1Bのシステムの状況の間のメタデータの編集状況304を示す。同じ概念が、1つ以上の施設がクラウドから遮断された状況に適用されることは、当業者にとって明らかである。
【0081】
図11Aは、システム100が3つの施設を含む場合の1つ又は複数の実施形態に係る例を示す。すなわち、病院1(HS1)、クリニック1(CL1)及びクリニック2(CL2)である。HS1に配置されたローカルサーバ107に結合されたローカルコンピュータ111は、クラウドサーバ103から遮断される一方、CL1及びCL2のそれぞれのローカルサーバ107に結合されたローカルコンピュータ111は、クラウドサーバ103に接続される。
【0082】
図11Aに示されるような1つ又は複数の実施形態では、遮断されたHS1のローカルサーバ109にローカルデータとして格納された医療データのすべてが、HS1のローカルコンピュータ111により編集できるわけでない。例えば、HS1のローカルサーバ109にローカルに格納されるすべての医療データの情報を含むHS1のローカルサーバ109に関連付けられたデータテーブル300Bに示されるように、患者「Jessica L.」及び「Tim M.」(すなわち、共有の患者)に対するローカルデータは、HS1のローカルコンピュータ111がクラウドサーバ103から遮断されている間は編集できない。HS1のローカルリポジトリ109に格納された共有の患者の医療データは、これらの医療データが「読み取り専用」データであり、編集ができないことを示すよう、編集状況304が「R」と記される。図11Aに示されるような1つ又は複数の実施形態では、クラウドサーバ103に格納されるすべてのリモートデータは、クラウド101とアクティブな接続を持つ別のネットワーク内ヘルスケア施設のユーザにより編集が可能である。
【0083】
1つ又は複数の実施形態では、HS1のローカルコンピュータ111は、ローカルデータが共有の患者に関連づけられていることを示す共有患者ID306を含むローカルデータへの変更を禁止する。さらに、共有の患者に対するローカルデータはまた、「CL1」及び「CL2」といった帰属施設ID305をそれぞれ含み、オリジナルの医療データがHS1で取得されなかったことを示す。
【0084】
1つ又は複数の実施形態では、CL1及びCL2のローカルサーバ109に共有の患者に対する同じ医療データがローカルにそれぞれ格納され得るので、遮断されたHS1のユーザは、CL1又はCL2のユーザが共有データの各々のローカル版を編集しているかどうかを容易に知るすべを持っていない。それゆえ、CL1及びCL2のユーザは、HS1のローカルコンピュータ111が再接続によりローカルサーバ109をクラウドサーバ103と同期しているのと同時期に、共有の患者に対する編集されたローカルデータをアップロードするかも知れず、結果的に競合をもたらす。
【0085】
図11A及び11Bを参照し、CL1及びCL2のユーザは、HS1がクラウド101から遮断されたことを知り得ない。CL1のユーザは、クラウドサーバ103上のデータを閲覧していて、遮断されたHS1に関連付けられたリモートデータの誤植に気が付き得る。その後、CL1のユーザは、HS1のローカルコンピュータ111がクラウド101との接続を再確立し、医療データをクラウドサーバ103と同期しているプロセスにあることを知らないまま、特定のリモートデータを修正することによって誤植を正し得る。異なるネットワーク内ヘルスケア施設の異なる2人のユーザによって、リモートデータがクラウドサーバ103上で同時に編集又は更新されるので、結果的に競合をもたらす。
【0086】
1つ又は複数の実施形態では、上述したような、遮断されたヘルスケア施設が再接続によりローカルデータをクラウド101と同期するときの競合の可能性をさらに減らすために、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つが遮断されるとき、修正が可能なリモートデータに制限が設けられる。例えば、図11Bに示されるように、クラウド101に依然として接続されているCL1及びCL2のユーザは、遮断されたHS1に関連付けられたクラウドサーバ103上のリモートデータを編集することを禁止される。
【0087】
図12は、1つ又は複数の実施形態に係る方法のフローチャートを示す。1つ又は複数の実施形態では、図12で示されるような方法は、コンピュータ実施方法である。図12で示される各ステップは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つのヘルスケア施設のシステムのみに関して、以下にまとめて説明される。以下に説明する方法の各ステップは、複数のネットワーク内ヘルスケア施設のいずれのシステムにより実行可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0088】
ステップ1205において、ネットワーク内ヘルスケア施設のうちの1つに関連付けられたローカルコンピュータは、ヘルスケア施設のローカルサーバとクラウド上のクラウドサーバとの間の接続状況をチェックし、接続が図10A及び10Bのフローチャートのステップ1005及び1010と同様に正常であるかを決定する。
【0089】
ステップ1205のチェックの結果がYESの場合、方法は、ローカルコンピュータがクラウドサーバ上の医療データにアクセスし、図10A及び10Bのフローチャートのステップ1015及び1020で説明される通常の処理を実行する、ステップ1210に進む。
【0090】
ステップ1205のチェックの結果がNOの場合、方法は、遮断されたヘルスケア施設のローカルコンピュータ及びローカルサーバがローカルリポジトリにアクセスを切り替えるステップ1215に進む。1つ又は複数の実施形態では、図10A及び10Bのフローチャートで説明されるステップ1025及び1035と同様に、ユーザにメッセージが表示され又はアプリケーションがリスタートされる。
【0091】
ステップ1220において、ローカルコンピュータ及びローカルサーバがクラウドサーバから遮断されている間、ローカルリポジトリに格納された各ローカルデータが共有のデータであるかどうかがローカルコンピュータ及びローカルサーバによって決定される。
【0092】
ステップ1220の決定の結果が、ローカルリポジトリに格納されるローカルデータの中の特定のローカルデータに対してYESの場合、方法は、共有データであると決定される該特定のローカルデータをユーザが変更すること(すなわち、あらゆる修正や編集を行うこと)を第1のローカルコンピュータが禁止するステップ1225に進む。
【0093】
ステップ1220の決定の結果が、ローカルリポジトリに格納されるローカルデータの中の特定のローカルデータに対してNOの場合、方法は、共有データでないと決定された該特定のローカルデータをユーザが変更することを第1のローカルコンピュータが禁止しないステップ1230に進む。
【0094】
図13A、13B及び13Cは、1つ又は複数の実施形態に係る実装例を示す。図13A、13B及び13Cに示すように、機能項目のそれぞれは、大項目(「トップレベル機能」)及び複数の小項目(「トップレベル機能のサブ機能」)に分類される。トップレベル機能及びトップレベル機能のサブ機能は、ユーザ、又は図10A、10B及び12に示されるようなフローチャートの各ステップにおける、図1A及び1Bに示されるシステムの各構成要素により実行される。
【0095】
1つ又は複数の実施形態によれば、サブ機能のそれぞれの内容は、サブ機能のそれぞれが実現される場合の、ユーザ又は図1A及び1Bに示されるシステムの各構成要素により実現され得る動作を示す。動作はまた、特定のサブ機能が実現されている場合に、ユーザにより実施され得ない動作を示す。
【0096】
1つ又は複数の実施形態によれば、設定は、ユーザ設定間隔、又は、実施されたときに繰り返され若しくは特定の時間制限を設定され得る特定のサブ機能に関連付けられた時間量を表す。設定は、アプリケーションを提供するベンダにより事前設定される構成不可能なものであり得る。さらに、設定は、ヘルスケア施設の高位の運営権限を有するユーザにより構成されるユーザ構成可能なものであり得る。
【0097】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、以下の利点を1つ以上有し得る。すなわち、医療画像及びデータを、ネットワーク内の複数のヘルスケア施設との間で自動的に共有又は更新する機能、同一の個人に、個人の最近の医療画像及びデータによる更新を提供するすべてのネットワーク内のヘルスケア施設の、すべてのローカルリポジトリを管理する機能、連続的なワークフローが、共有クラウドを有するネットワーク内ヘルスケア施設のいずれかの遮断により引き起こされるあらゆるダウンタイムを被ることなく、すべてのネットワーク内ヘルスケア施設で確立される機能、ヘルスケア施設がフルサイズのオンサイトのデータセンタを管理する必要がないように、それぞれのネットワーク内ヘルスケア施設のローカルリポジトリに格納されるべき医療画像及びデータを選択する機能、遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設が、クラウドとの再接続によりローカルサーバとクラウドサーバとの間で医療データを同期するとき、クラウドから遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設のユーザによる競合の可能性を減らす機能、クラウドから遮断されたネットワーク内ヘルスケア施設が、クラウドとの再接続によりローカルサーバとクラウドサーバとの間で医療データを同期するとき、クラウドに依然として接続されているネットワーク内ヘルスケア施設のユーザによる競合の可能性を減らす機能などである。
【0098】
本発明を、限定された数の実施形態に関して説明してきたが、本開示の利益を有する当業者は、ここに開示されるような本発明の要旨から逸脱しない他の実施形態を考案することができることを理解するであろう。したがって、本発明の要旨は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C