(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ゲート装置
(51)【国際特許分類】
E01F 13/04 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
E01F13/04 A
(21)【出願番号】P 2018064058
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】椎野 博文
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-170262(JP,U)
【文献】特開平11-301484(JP,A)
【文献】特開2006-082668(JP,A)
【文献】特開平08-002418(JP,A)
【文献】実開昭55-092714(JP,U)
【文献】特開昭53-115200(JP,A)
【文献】特開平11-029048(JP,A)
【文献】特開平07-081573(JP,A)
【文献】米国特許第06460292(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/04
B61L 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉動作により通行の可否を示すゲートバーと、
前記ゲートバーの折損に際して、前記ゲートバーの延在方向に延び
て、折損した前記ゲートバーの存在していた位置に配され、開閉動作により通行の可否を示す伸長式の補助バーと
を備えるゲート装置。
【請求項2】
前記ゲートバーの折損を検知する折損検知部を備え、
前記補助バーは、前記折損検知部での折損検知に応じて、前記ゲートバーの延在方向に延びる、請求項
1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記ゲートバーを支持するとともに前記補助バーを収納する腕金部を備える、請求項1
及び2のいずれか一項に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記補助バーは、前記ゲートバーの根元側において縮められた状態で収納されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記補助バーは、円筒状の前記ゲートバーの中心軸と同一軸上に設けられ、中空である前記ゲートバーの内径よりも小さい外径を有し、かつ、延在方向について前記ゲートバーよりも短い、請求項
4に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記補助バーは、テーパー面をそれぞれ有する複数の筒状部材を延在方向に配列させて伸長可能とする多段式の棒状部材である、請求項1~
5のいずれか一項に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記補助バーは、前記ゲートバーの延在方向を垂直方向とした状態において、当該方向に延びる、請求項1~
6のいずれか一項に記載のゲート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車場の出入り口等において通行の可否を示すゲートバーを設けたゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道線路や駐車場の出入り口における通行を遮断する遮断杆について、遮断杆の折損を検出する折損検出装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、例えば上記特許文献1では、遮断杆の折損検知がなされてから管理者により折損検出装置の修理がなされるまでの間の対応については、言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、ゲートバーの折損に対して装置の迅速な復旧を可能とするゲート装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するためのゲート装置は、開閉動作により通行の可否を示すゲートバーと、ゲートバーの折損に際して、ゲートバーの延在方向に延び、開閉動作により通行の可否を示す伸長式の補助バーとを備える。
【0007】
上記ゲート装置では、ゲートバーの折損に際して、伸長式の補助バーが、ゲートバーの延在方向に延び、開閉動作により通行の可否を示す。これにより、ゲートバーの延在方向に延びた補助バーが、折損検知がなされてから管理者により装置の修理がなされるまでの間における臨時のゲートバーとして動作可能となる。すなわち、ゲートバーの折損に対する迅速な復旧が可能となる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、補助バーは、折損したゲートバーの存在していた位置に配されるように延びる。この場合、補助バーがゲートバーの代替として存在していることを認識させやすい。
【0009】
本発明の別の側面では、ゲートバーの折損を検知する折損検知部を備え、補助バーは、折損検知部での折損検知に応じて、ゲートバーの延在方向に延びる。この場合、折損検知に伴って迅速に補助バーを動作させることができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、ゲートバーを支持するとともに補助バーを収納する腕金部を備える。この場合、腕金部に補助バーを予め収納しておくことで、例えば人手を要することなく迅速な対応が可能になる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、補助バーは、ゲートバーの根元側において縮められた状態で収納されている。この場合、補助バーをコンパクトに格納しておくことができ、装置の大型化を回避できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、補助バーは、円筒状のゲートバーの中心軸と同一軸上に設けられ、中空であるゲートバーの内径よりも小さい外径を有し、かつ、延在方向についてゲートバーよりも短い。この場合、ゲートバーの内部に補助バーを収納できる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、補助バーは、テーパー面をそれぞれ有する複数の筒状部材を延在方向に配列させて伸長可能とする多段式の棒状部材である。この場合、簡易かつ確実に補助バーを伸長式の構成とすることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、補助バーは、ゲートバーの延在方向を垂直方向とした状態において、当該方向に延びる。この場合、ゲートバーによる動作から補助バーによる動作への切り替えを安全かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係るゲート装置の一構成例についての外観斜視図である。
【
図2】(A)及び(B)は、ゲート装置の各部について示すための外観斜視図である。
【
図3】(A)は、可動部の構造について説明するための概念図であり、(B)は、概念的な断面図である。
【
図4】(A)~(C)は、ゲート装置の仮復旧のためのバーの動作について概略を説明するための概念図である。
【
図5】(A)は、駐車場の入場口に設置されたゲート装置において、ゲートバーが動作する通常時の様子を示す概念的な平面図であり、(B)は、補助バーが動作する仮復旧時の様子を示す概念的な平面図である。
【
図6】駐車場の入場口を構成する各部についての一構成例を説明するためのブロック図である。
【
図7】補助バーを準備する際の様子を示す斜視図である。
【
図8】ゲート装置の動作について一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】ゲート装置を備える駐車場の一例についてのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1、
図2(A)及び2(B)を参照して、本発明の一実施形態に係るゲート装置の一例について説明する。本実施形態に係るゲート装置50は、動作制御を行うゲート制御装置である本体装置51と、開閉を示すポール部であるゲートバー52と、ゲートバー52の根元側を収納しつつ支持固定する腕金部53とを備える。なお、
図1に示すように、閉状態において、支持台SUによりゲートバー52の先端側を支持するようにしてもよい。
【0017】
ゲート装置50は、ゲートバー52を昇降させることで車両の進行の可否を示す。具体的な一例として
図1に例示するように、ゲート装置50は、本体装置51での動作制御下で、腕金部53を回転動作させることにより、棒状のゲートバー52を水平方向から垂直方向まで回転させている。ここでは、上記のような回転によって可動な部分である腕金部53やゲートバー52を含む箇所をまとめて可動部MVとする。
【0018】
まず、ゲート装置50の可動部MVのうち、ゲートバー52は、例えばカーボン繊維等で製作される中空の細長い円筒状部材である。なお、詳しくは
図3等を参照して後述するが、本実施形態では、中空のゲートバー52の内部に伸長式の補助用ゲートバーである補助バー54(
図3(A)等参照)を収納する構成となっている。
【0019】
ゲートバー52は、設置される通路の幅や、進行の可否を示す対象となる車両の種類(車幅)等に応じて種々の長さのものが想定される。図示の例では、普通車等の駐車場へ設置する場合を想定したものであり、例えば全長を2~4m程度の長さとすることが想定されるが、それよりも長いものや短いものであってもよい。また、1つの円筒状部材で構成される場合のほか、例えば高さ制限(Y方向についての制限)があるために、延在方向に複数の円筒状部材を繋いだ構成とすることで、開状態となるに際してクランク状に折れ曲がるような構成とする、といったことも考えられる。
【0020】
次に、可動部MVのうち、腕金部53は、ゲートバー52に沿って延びる金属製の箱状の中空な部材であり、ゲートバー52よりも若干大きな径を有して、ゲートバー52の根元側の端部を収納している。腕金部53は、ゲートバー52の延在方向に沿って、例えば数十センチ程度の長さ(深さ)を有しており、ゲートバー52の根元側の端部のうち20~30cm程度を内部に収納してゲートバー52を確実に固定させることができるようになっている。また、腕金部53は、本体装置51に対して回転可能に接続されており、本体装置51からの指令信号に従って回転動作する。腕金部53が回転動作することに伴って、腕金部53に取り付けられているゲートバー52も回転動作する。
【0021】
ゲート装置50のうち、本体装置51は、上記各部の動作を制御するとともに、動作において異常が無いかを検知する。ここでは特に、ゲートバー52の折損が生じているか否かを検知するものとなっている。なお、本体装置51の内部構成については、
図5を参照して一例について後述する。
【0022】
また、
図1等に示すように、本実施形態では、ゲートバー52が横に延びている方向すなわち閉状態においてゲートバー52が延びる水平方向をX方向とし、ゲートバー52が縦に延びている方向すなわち開状態においてゲートバー52が延びる垂直方向をY方向とする。さらに、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向とし、+Z方向が、矢印D1で示す車両の進行方向に相当するものとする。つまり、腕金部53やゲートバー52等の可動部MVは、XY面内において回転動作していることになる。
【0023】
さらに、
図3に示すように、本実施形態のゲート装置50は、上記した各部に加え、さらに、可動部MVにおいて、伸長式の補助バー54が、腕金部53の内部に内蔵されている。本実施形態では、ゲートバー52の折損に際して、補助バー54が、ゲートバー52の延在方向に延び、開閉動作により通行の可否を示すことにより、臨時のゲートバーとして動作する。
【0024】
一般に、上記ゲート装置50を含む駐車場機器は、車路に沿って設置されるため、車との接触事故により破損につながることがあり、特に、ゲート装置50のようなカーゲートは、車との接触による破損が多い。カーゲートのゲートバーが折損した場合は、有料駐車場において適正な料金収集に支障をきたすだけでなく、出入り口に人を配置して、入出庫を制御するため想定外の人件費を発生させる、といった事態になる場合もある。このような状況について対策すべく、例えばゲートバーを柔軟な素材にしたり、折れにくい素材にしたりして折損を防ぐことも考えられるしかし、そのようにしてもゲートバーの折損が生じる可能性を完全に回避できるとは限らない。一方、ゲートバーが折損した後の対処としては、カメラ等で折損を検知したり、補修までの間は人員を配置することで対応したりすることが考えられるが、迅速性やコスト面で問題がある。これに対して、本実施形態のゲート装置50は、補助バー54を有して、これを臨時のゲートバーとして動作させることで、かかる事態について迅速な対応を可能にしている。
【0025】
以下、
図3(A)等を参照して、補助バー54とその周辺の構成との関係について一例を説明する。
【0026】
まず、前提として、
図3(A)に示すように、また、既述のように、ゲートバー52の根元側の端部は、腕金部53に埋め込むように収納されている。ここでは、ゲートバー52のうち、腕金部53に収納されて車両の運転手等に視認されない部分を非視認部52aとし、腕金部53に収納されずに露出して車両の運転手等に視認される部分を視認部52bとする。非視認部52aが腕金部53に対して粘着テープ等により固定されていることで、ゲートバー52は、腕金部53から外れることなく一体で回転動作する状態が維持されている。
【0027】
以上において、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、補助バー54は、中空のゲートバー52のうち、非視認部52aに収納されている。したがって、補助バー54は、腕金部53にも収納されていることになる。補助バー54は、図示のように、テーパー面を側面とする円錐台の形状をそれぞれ有し、かつ、太さ(径)が異なる複数の筒状部材54a~54eと、各筒状部材54a~54eを伸長させるための補助バー駆動機構54xとを有して構成され、これらが伸長することで多段式の棒状部材となる(
図4(C)参照)。複数の筒状部材54a~54eは、細い筒状部材が太い筒状部材の内側に収納されることで縮められた状態となって、非視認部52aの内側に収納されている。具体的には、
図3(B)に示すように、複数の筒状部材54a~54eは、腕金部53に収納される非視認部52aの内側に配置されており、複数の筒状部材54a~54eのうち、最も太い第1筒状部材54aが、非視認部52aの内側に収納され、第1筒状部材54aの中に次に太い第2筒状部材54bが収納され、第2筒状部材54bの中に次に太い第3筒状部材54cが収納され、第3筒状部材54cの中に次に太い第4筒状部材54dが収納され、第4筒状部材54dの中に最も細い第5筒状部材54eが収納されている。複数の筒状部材54a~54eは、補助バー駆動機構54xによる駆動制御により、ゲートバー52の延在方向に沿って伸長可能となっている。なお、伸長のための機構については、例えばバネ等を利用した射出式のものやネジ式のもの種々の態様が考えられる。また、複数の筒状部材54a~54eについては、例えばステンレスやアルミ等の金属製とすることで耐久性に優れたものとしてもよく、あるいは、軽量化等の観点からゲートバー52と同様の素材(例えばカーボン繊維)で構成してもよい。なお、補助バー54は、ゲートバー52の非視認部52aや腕金部53に対して、適宜固定されている。すなわち、補助バー54は、腕金部53等とともに回転動作する可動部MVに含まれる。
【0028】
以下、
図4を参照して、ゲートバー52の折損から補助バー54の準備に至るまでの仮復旧の概略を説明する。
【0029】
図4(A)~4(C)は、ゲート装置50における仮復旧のためのバーの動作についての概念図であり、具体的には、
図4(A)は、ゲートバー52の折損前の状態を示し、
図4(B)は、ゲートバー52の折損時の状態を示し、
図4(C)は、ゲートバー52の折損後において、仮復旧のために補助バー54を伸長させた状態を示している。
【0030】
図4(A)に示すように、また、既述のように、ゲートバー52が折損しておらず、通常の動作が可能である間においては、補助バー54は収縮した状態で腕金部53の内部さらにはゲートバー52の非視認部52aの内部に収納されている。
【0031】
ここで、ゲートバー52が車との接触等によって折損した場合、
図4(B)に示すように、ゲートバー52は、腕金部53付近である根元側に最も力が掛かり、この箇所で折れて切断部CSが形成される。これは、既述のように、ゲートバー52は、非視認部52aにおいて腕金部53に頑丈に固定されている一方、視認部52b側は、非常に長いことに起因する。なお、ゲートバー52は、中空であるため、切断部CSには、円い孔ができ、内部にある補助バー54が伸長可能な状態となる。
【0032】
ゲートバー52について折損したことが検出されると、収縮した状態にあった補助バー54を構成する筒状部材54a~54eが補助バー駆動機構54xによる駆動制御によって伸長し、
図4(C)に示すような先細りの棒状部材となった状態で伸長を停止するとともに、伸びた状態で形状が維持固定される。この状態で、腕金部53を回転動作させることで、ゲートバー52が存在していた位置と同一の位置に補助バー54が配されて回転動作し、補助バー54がゲートバー52の代替として機能する。
【0033】
以上のように、補助バー54は、円筒状のゲートバー52の中心軸と同一軸上に設けられ、中空であるゲートバー52の内径よりも小さい外径を有することで、ゲートバー52内に収納可能となっている。さらに、補助バー54は、
図4(A)及び
図4(C)に例示するように、ゲートバー52の延在方向についてゲートバー52よりも短いものとなっている。
【0034】
以下、
図5等を参照して、ゲート装置50の使用態様の一例等について説明する。
図5(A)は、ゲート装置50を駐車場の入場口に設置した場合において、ゲートバー52が動作する通常時の様子を示す概念的な平面図である。一方、
図5(B)は、補助バー54が伸長して動作する仮復旧時の様子を示す概念的な平面図である。さらに、
図6は、
図5に示す駐車場の入場口を構成する各部についての一構成例を説明するためのブロック図である。
【0035】
図示の例では、駐車場の入場口は、入場口を管理する入場部10で構成されている。入場部10は、ゲート装置50のほか、発券機11を備える。発券機11は、排出口11aから駐車券を発券する駐車券発行機である。また、発券機11は、図示を省略する駐車場管理装置に接続され、駐車場管理装置からの指令信号に従って各種動作をする。ゲート装置50は、発券機11に接続されており、発券機11を介して、駐車場管理装置からの指令信号に従ってゲートバー52を昇降させて車両の入場の許否を示す。
【0036】
ここで、
図5(A)に例示するように、ゲートバー52の延在方向についての長さL1は、例えば入場口を通過しようとする車両VHの幅W1や車道の幅W2等を考慮して、適宜定められている。例えば、車両VHの幅W1よりは十分に長く、かつ、車道の幅W2と同程度とする、といったことが考えられる。これに対して、復旧時の代替品としての補助バー54は、ゲートバー52よりも短くしてもよい。すなわち、ゲートバー52の延在方向についての長さL2は、L2<L1となっていてもよい。例えば、例えばゲートバー52の長さL1(全長)を2~4m程度とするのに対して、補助バー54の長さL2は、1~1.5m程度とすることが考えられる。この場合、車両の幅W1よりも短くはなるが、バーとしての存在を示すことが可能であり、また、車両VHが意図的によけなければ、補助バー54を回避して通過できないという状態にはできる。また、上記の場合、ゲートバー52の存在していた位置と同じ位置に補助バー54を設けることができるので、1~1.5m程度あれば、車両VHの運転手が視認できないといった事態も生じないと考えられ、補助バー54は、開閉動作により通行の可否を示すものとして十分機能する。
【0037】
以下、
図6等を参照して、ゲート装置50を含む入場部10の構成について説明し、さらに、ゲートバー52の折損検知から補助バー54を準備し、仮復旧に至るまでの一連の具体的動作についての一例を説明する。
【0038】
まず、
図6に示す例では、ゲート装置50の腕金部53には、ゲートバー52の重量を測定する重量センサーSEが取り付けられている。
【0039】
また、本体装置51は、各部の動作制御を行う主制御部51aのほか、重量センサーSEに接続してゲートバー52の折損検知を行う折損検知部51bと、各種データを格納する記憶部51cと、発券機11に接続される通信部としてのインターフェース部51dとを備える。なお、インターフェース部51dは、例えば発券機11を介して駐車場管理装置への送信が可能となっている。
【0040】
主制御部51aは、ゲート装置50の一連の動作を担う。例えば、腕金部53を動作させてゲートバー52を回転動作により昇降させて入場口の開閉動作を行う。この際、例えば、開閉回数等をカウントし、カウント数を記憶部51cにおいて記憶させ、必要に応じて記録結果をインターフェース部51dにより送信する。
【0041】
ここで、上記構成の場合、腕金部53に設けた重量センサーSEの測定値の変化により、ゲートバー52の折損が検知される。すなわち、測定されるゲートバー52の重量が通常時よりも軽くなることで、ゲートバー52の折損が検知される。
【0042】
本体装置51のうち、折損検知部51bにおいて重量センサーSEを介したゲートバー52の折損が検知されると、主制御部51aは、補助バー54を動作させるための準備を開始する。また、併せて、ゲートバー52が折損した旨の報告を、インターフェース部51dを介して発券機11や駐車場管理装置に行う。
【0043】
また、主制御部51aは、ゲートバー52の折損に伴う補助バー54の伸長に際して、
図7に例示するように、腕金部53を垂直方向(Y方向)に立てた状態にしてから行うように制御している。すなわち、主制御部51aは、ゲートバー52の折損を検知しても直ちには、補助バー54を伸長させず、まず、一度、腕金部53を回転動作させて垂直方向(Y方向)に立てた状態にし、その後、垂直上向きすなわち+Y方向に補助バー54を伸長させる。これにより、補助バー54の伸長の際に、車両等周辺に存在する可能性がある物体に接触する可能性を抑制して、補助バー54による動作への切り替えを安全かつ確実に行うことができる。
【0044】
以下、
図8のフローチャートを参照して、本実施形態におけるゲート装置50の動作について一例を説明する。
【0045】
まず、ゲート装置50が起動すると、例えば発券機11を介した駐車場管理装置からの指令信号に従って、主制御部51aは、ゲートバー52の昇降を行う通常動作を続ける(ステップS1)。また、主制御部51aは、ステップS1での動作を行いつつ、折損検知部51bによるゲートバー52の折損検知の動作を行う(ステップS2)。つまり、ステップS2において、折損検知が無ければ(ステップS2:No)、ステップS1での通常動作を継続する。一方、ステップS2において、折損検知が有ると判断されると(ステップS2:Yes)、主制御部51aは、インターフェース部51dを介してゲートバー52が折損した旨の報告を行うとともに(ステップS3)、必要に応じて腕金部53を回転させて、腕金部53を垂直方向(Y方向)に立てた状態にする(ステップS4)。ステップS4において、腕金部53が立った状態となった後、主制御部51aは、補助バー54を準備させる(ステップS5)。すなわち、主制御部51aは、補助バー54の補助バー駆動機構54xにより各筒状部材54a~54eを伸長させ、補助バー54をゲートバー52の代替ゲートバーとして機能させるべく折損したゲートバー52が存在していた位置と同じ位置において延びた状態にする。ステップS5での補助バー54が準備されると、主制御部51aは、仮復旧準備が完了しているか否かを確認する(ステップS6)。すなわち、補助バー54が正常に回転動作をするか等の各部の動作確認を行う。ステップS6において、仮復旧準備が完了したと判断した場合(ステップS6:Yes)、主制御部51aは、補助バー54による仮復旧動作を開始し(ステップS7)、開始した旨を、インターフェース部51dを介して報告する(ステップS8)。一方、主制御部51aは、ステップS6において、何らかの動作異常があり、仮復旧準備が完了しないと判断した場合(ステップS6:No)、仮復旧不能である旨を、インターフェース部51dを介して報告する(ステップS9)。
【0046】
図9は、上記のようなゲート装置50を適用する他の一例を示す図である。
図9に示す駐車場の一例についてのブロック図のように、ゲート装置50を、駐車場の入場側のみならず、出口側に設けることももちろん可能である。すなわち、図示の駐車場管理システム500は、駐車場管理装置100と、車両の入場口を管理する入場部10と、車両の出場口を管理する出場部30とを有したものとなっているが、
図5等の場合と同様に、入場部10にゲート装置50で構成されるゲート装置50Aを備えるのみならず、出場部30にもゲート装置50で構成されるゲート装置50Bを備えた構成となっている。
【0047】
なお、駐車場管理システム500のうち、駐車場管理装置100は、駐車場における各種管理を統括制御するための装置であり、例えば管理用サーバーやPC等で構成され、各種演算処理を行うためのCPUのほか、各種データやプログラムを格納するメモリ等で構成されている。
【0048】
また、駐車場管理システム500のうち、出場部30は、ゲート装置50Bのほか、精算装置31と、第2撮像装置33とを備える。精算装置31は、受付口31aから駐車券を挿入排出するとともに駐車料金精算に必要な各種処理を行う。ゲート装置50Bは、例えば駐車場管理装置100からの指令信号に従ってゲートバー52を昇降させて車両の出場の許否を示す。なお、ゲート装置50Bは、精算装置31を介して駐車場管理装置100からの指令信号を受けるとともに、精算装置31からの指令信号も受け付ける。
【0049】
また、入場部10においても同様に、ゲート装置50Aは、例えば駐車場管理装置100からの指令信号に従ってゲートバー52を昇降させて車両の出場の許否を示す。また、ゲート装置50Aは、発券機11を介して駐車場管理装置100からの指令信号を受けるとともに、発券機11からの指令信号も受け付ける。
【0050】
以上のように、本実施形態に係るゲート装置50では、ゲートバー52の折損に際して、伸長式の補助バー54が、ゲートバー52の延在方向に延び、開閉動作により通行の可否を示す。これにより、ゲートバー52の延在方向に延びた補助バー54が、折損検知がなされてから管理者により装置の修理がなされるまでの間における臨時のゲートバーとして動作可能となる。すなわち、ゲートバー52の折損に対する迅速な復旧が可能となる。
【0051】
〔その他〕
この発明は、上記の上記各実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0052】
まず、上記実施形態において、ゲートバー52の折損検知を腕金部53に取り付けた重量センサーSEによってゲートバー52の重量を測定するものとしているが、これに限らず種々の方法で折損検知を行うことができる。例えば、
図1に例示した支持台SUを有する構成において、支持台SUとのゲートバー52の先端側との当接の有無を検知する赤外センサーやレーザーセンサー等を適宜取り付けることで、折損検知を行うことが考えられる。
【0053】
また、上記の説明では、普通車等の四輪車に対するゲートとして説明しているが、これに限らず、例えば自転車のための駐輪場の出入り口に設けるゲートにおいて、本願発明を適用してもよい。また、このような場合において、ゲート装置に腕金部を設けず、ゲートバーの根元側を直接本体装置に取り付けて回転動作をさせる簡易な構成としてもよい。
【0054】
また、上記では、補助バー54を伸長式としているが、伸縮式としてもよい。すなわち、補助バー54は、伸長後、再び縮ませて収納可能な状態に戻せるような構成であってもよい。この場合、ゲートバー52の補修に際して、補修前までに動作させていた補助バー54を縮ませて再利用することができる。
【0055】
また、補助バー54を複数の筒状部材で構成するものとし、図示の例では5つの筒状部材54a~54eで構成しているが、筒状部材の個数はこれに限らず、種々の個数とすることができる。さらに、形状についてもテーパー面をそれぞれ有する円錐台状としているが、所望の長さに伸長可能な構造であれば、これに限らず、種々の形状とすることができる。また、複数の筒状部材に限らず、伸長可能でかつある程度の耐久性を有し、形状の維持が可能であれば、他の態様であってもよく、例えば、化学反応により膨張しつつ硬化する発泡性の樹脂材料等を利用するといったことも考えられる。
【0056】
また、ゲートバー52の素材については、既述のようにカーボン繊維で構成する等が考えられ、また、ゲートバー52の腕金部53に対する固定方法についても種々考えられるが、ゲートバー52の折損後の補助バー54の伸長を確実なものとすべく、
図4(B)等に示した折損した場合の切断部CSについて、所望の円い孔ができるように、ゲートバー52の素材や腕金部53に対する固定方法を選択してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…入場部、11…発券機、11a…排出口、30…出場部、31…精算装置、31a…受付口、50,50A,50B…ゲート装置、51…本体装置、51a…主制御部、51b…折損検知部、51c…記憶部、51d…インターフェース部、52…ゲートバー、52a…非視認部、52b…視認部、53…腕金部、54…補助バー、54a~54e…筒状部材、54x…補助バー駆動機構、100…駐車場管理装置、500…駐車場管理システム、CS…切断部、D1…矢印、L1,L2…長さ、MV…可動部、SE…重量センサー、SU…支持台、VH…車両、W1,W2…幅