(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】点検口
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20220329BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
E02D29/14
(21)【出願番号】P 2018095125
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 利将
(72)【発明者】
【氏名】川口 隆尚
(72)【発明者】
【氏名】宮田 卓志
(72)【発明者】
【氏名】安達 竹巳
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝之
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-093395(JP,A)
【文献】実公昭49-003168(JP,Y1)
【文献】実開平06-046084(JP,U)
【文献】特開2002-227400(JP,A)
【文献】特開2015-063877(JP,A)
【文献】特開平08-105196(JP,A)
【文献】特開平09-041653(JP,A)
【文献】特開平09-328769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアに組付けられる、横向きの受部を備えた受枠と、該受枠に装着される蓋と、該蓋と前記受枠の受部との間に介在し、前記蓋を弾力的に支持可能なパッキンよりなる点検口において、
前記受部に固定されるか又は装着されて前記蓋を支持するか、或いは前記蓋に取付けられて前記受部に着床することにより、受部上に前記蓋を支持する嵩上材を有し、
前記受部と蓋との間に介在する前記パッキンは、
該パッキンの上
側に設けられる中敷
の下に重ねられ、又は
前記受部
の上側に設けられる台座
の上に重ねられ、
前記中敷又は前記台座の上下方向の厚みBが、前記嵩上材の上下方向の厚みCより小であり、
前記パッキンと
前記中敷又は
前記パッキンと
前記台座の両者の上下方向の厚み
Aが
、前記嵩上材
の上下方向の厚みCより大である
(A>C>B)ことを特徴とする点検口。
【請求項2】
フロアに組付けられる、横向きの受部を備えた受枠と、該受枠に装着される蓋と、該蓋と
前記受枠の受部との間に介在し、前記蓋を弾力的に支持可能なパッキンよりなる点検口に
おいて、
前記受部に固定されるか又は装着されて前記蓋を支持するか、或いは前記蓋に取付けられて前記受部に着床することにより、受部上に前記蓋を支持する嵩上材を有し
、
前記パッキンは
、前記受部あるいは前記蓋のうち前記嵩上材が設けられる部材とは反対側の部材に設けられ、前記受部と前記蓋との間に介在して前記蓋に直接当たり、
前記パッキンの上下方向の厚みは
前記嵩上材
の上下方向の厚みより大であることを特徴とする点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば床下の配線や配管を点検するための点検口、地下空間に大型機器を搬入するために設置されるマシンハッチ、道路や歩道部の地中に埋設される電線類を点検するための点検口などの各種点検口に関する。
【0002】
本発明において、建物内外の床、道路や歩道等の路面、点検口が取付可能な箇所等を代表して単に「フロア」という。したがって本発明でいうフロアとは、床、路面その他これら内部の配線、配管等を点検し、或いは機器を搬入するために設置される点検口(ハッチ)の取付箇所全てをいう。
【背景技術】
【0003】
建物の内部やその周辺には、床下の配線や配管を点検するためのフロアハッチ、地下に大型機器を搬入するために設置されるマシンハッチ、道路や歩道部の地中に埋設される電線類を点検するためのハッチなど各種ハッチが設けられることが多く、こうしたハッチでは、点検対象物の器物との関係上、防水機能が求められることが多い。
【0004】
図1、
図2及び
図3は、防水機能を備えたハッチについて示すもので、
図1はフロア1に組み付けられ、蓋2が装着される受枠3の受部側縁とコーナにパッキン4、5を二列配置して蓋2と受枠3との間を二重にシールし、防水及び防臭機能を発揮させるようにしたものである(特許文献1)。
【0005】
図2は、蓋6を装着した点検口の部分断面、
図3は、蓋6を装着する前の
図2のA部の拡大断面を示すもので、蓋6が装着される受枠7の受部7aに蓋掛り7bにてパッキン収納部7a(
図3参照)を折曲形成し、該収納部7aに水平部9aと垂直部9bよりなる断面アングル状のパッキン9を垂直部9bが受枠7と蓋掛り7bとの間の隙間10より上向きに突出するようにして装着した例を示すもので、蓋6を装着したとき、パッキン9の垂直部9bが収納部7a内に押し込められ、蓋6が蓋掛り7bに支持されるようにしている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-151475号公報
【文献】特開2018-16936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1に示されるハッチにおいては、パッキン3はもとより、パッキン4も受枠側縁の立上がり部7dより突出して設置されているため、蓋1の重量がパッキン3、4で受け止められる。そのためパッキン3、4が大きく圧縮され、該パッキンの復元力が低下し易くなって早期の劣化に繋がり、防水機能が低下し易くなる。
【0008】
図2及び
図3に示されるハッチにおいては、パッキン9の隙間10より突出する部分9bに過大な応力が発生して該部の復元力が低下し、劣化に繋がり易くなるうえ、蓋掛り7bを含む受部7aの構造が複雑となり、収納部8へのパッキン9の挿入による取付時の作業性にも問題がある。
【0009】
本発明は、前記の問題を解決するためになされたもので、パッキンの耐久性を向上させて防水機能を長期に亘って維持できるようにすると共に、パッキン取付時の作業性を向上させた点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、フロアに組付けられる、横向きの受部を備えた受枠と、該受枠に装着される蓋と、該蓋と前記受枠の受部との間に介在し、前記蓋を弾力的に支持可能なパッキンよりなる点検口において、前記受部に固定されるか又は装着されて前記蓋を支持するか、或いは前記蓋に取付けられて前記受部に着床することにより、受部上に前記蓋を支持する嵩上材を有し、前記受部と蓋との間に介在する前記パッキンは、該パッキンの上側に設けられる中敷の下に重ねられ、又は前記受部の上側に設けられる台座の上に重ねられ、前記中敷又は前記台座の上下方向の厚みBが、前記嵩上材の上下方向の厚みCより小であり、前記パッキンと前記中敷又は前記パッキンと前記台座の両者の上下方向の厚みAが前記嵩上材の上下方向の厚みCより大である(A>C>B)ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に掛る発明は、フロアに組付けられる、横向きの受部を備えた受枠と、該受枠に装着される蓋と、該蓋と前記受枠の受部との間に介在し、前記蓋を弾力的に支持可能なパッキンよりなる点検口において、前記受部に固定されるか又は装着されて前記蓋を支持するか、或いは前記蓋に取付けられて前記受部に着床することにより、受部上に前記蓋を支持する嵩上材を有し、前記パッキンは、前記受部あるいは前記蓋のうち前記嵩上材が設けられる部材とは反対側の部材に設けられ、前記受部と前記蓋との間に介在して前記蓋に直接当たり、前記パッキンの上下方向の厚みは前記嵩上材の上下方向の厚みより大であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明のパッキンは、受枠に蓋を装着したとき、蓋と中敷双方の重量又は蓋の重量を受け、これにより横断面全体に均一な応力が掛かって一様に圧縮され、蓋が受部上の嵩上材に支持されるか、或いは蓋に取付けられる嵩上材が受枠の受部に着床すると、それ以上の圧縮が阻止され、圧縮が一定量に止まって受部と蓋又は中敷との間をシールするようになる。本発明のパッキンは以上のように、蓋を装着したとき、一定量圧縮されるが、蓋が嵩上材に、或いは蓋の嵩上材が受部に着床すると、それ以上の圧縮が阻止され、パッキンだけで蓋又は該蓋と中敷の全重量を支持するわけではないため、劣化が改善され、耐久性が向上すること、パッキンは受部と中敷との間、又は蓋と台座との間に介在させるだけでよいため、その構造や取付構造が簡単にでき、取付時には受部又は台座上に単に置くだけでよいため、作業性がよいことなどの効果を有する。
【0013】
請求項2に係る発明においては、パッキンは蓋に直接当たって該蓋を支持するが、一定量圧縮されると、蓋が嵩上材に当たるか、或いは嵩上材が受部に着床してパッキンの圧縮が同様にして停止される。これにより前記したと同様、パッキンの劣化が改善され、耐久性が向上すること、パッキンは受部と蓋との間に介在させるだけでよいため、その構造や取付構造が簡単にでき、取付時には前記受枠の受部上に置くだけでよいため、パッキン取付け時の作業性がよいことなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】蓋を装着前の本実施形態に係る点検口の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る点検口について図面により説明する。
【0016】
図4は、蓋を装着する前の点検口の一部を示すものであり、
図5は、蓋装着後の点検口の一部、
図6は、点検口に装着したグレーチングよりなる蓋を示すもので、点検口は、例えば
図1に示すフロア1に設置され、方形の受枠11と、縦断面が方形で、下面周縁にゴム又は樹脂製の圧縮可能な弾力性のあるパッキン12を取付けた平箱状の中敷13と、嵩上材14を取付けた蓋15よりなり、前記受枠11は、立上がり部11aと、該立上がり部11a下端より内側方横向きに屈折する受部11bよりなって縦断面がL形をなしている。
【0017】
パッキン12は、中空状又は図示するように中実に形成され、好ましくは縦断面が方形の立方体に形成される。立方体以外の形状、例えば断面が台形、楕円形、円等であってもよいが、立方体に形成すると、転び難くなって装着時の安定性がよくなり、また蓋装着時には全体に均一な応力が掛かり易くなって耐久性がより一層向上する。
パッキン12はまた、中敷13に固定して取付られるが、受枠11の受部11bに固定して取付けても良いし、固定しないで受枠と蓋との間に単に介在させておくだくでもよい。
【0018】
図6に示す蓋15は、一対のグレーチングを横向きに連設した形態をなしているが、一つのグレーチングより構成されていてもよいし、グレーチング以外の他の蓋、例えばコンクリート製の蓋、肉厚のあるプレート状の金属製のもの或いはパンチングメタルのようなものであってもよい。
【0019】
本実施形態において、蓋15の取付けは、先ず受枠11の受部11b周縁上にぐるりとパッキン12を一周させてエンドレスに取付け、好ましくは固定、例えば接着剤にて固定し、ついで四囲のパッキン上に平鍋状の中敷3を掛け渡して取付ける。その後、下面側縁に嵩上材14を取付け、好ましくは溶接にて取付けた蓋15を受枠内に装着する。蓋15の装着に伴いパッキン12が中敷3を介して圧縮される。パッキン12の圧縮は嵩上材14が受部11bに着床するまで行われ、蓋15は受部11b上に嵩上材14を介して支持されるようになり、パッキン12が受部11bと中敷3との間をシールするようになる。
【0020】
ここで中敷13の厚みBと、嵩上材14の厚みCと、パッキン12と中敷13を合わせた上下方向の厚みAは、A>C>Bの関係に設定される。この関係の下で
図4の状態より受枠11の受部11b上に嵩上材14を介して蓋15を設置し、嵩上材14を受部11bに着床させると、A>Cであることにより中敷13でパッキン12が圧縮される(
図5)。パッキン12の圧縮は、蓋15が受部11b上に嵩上材14を介して支持されることにより停止し、これによりパッキン12は一定量圧縮された状態で保持される。
【0021】
前記実施形態では、パッキン12は受部11b上に取付けられ、その上に中敷3が取付けられているが、受部11b上に嵩上げ用の台座を取付け、該台座上にパッキン12を取付けてパッキン上に蓋15を直接装着し、パッキン12が蓋15を直接支持するようにしてもよい。この場合、パッキン12と台座の上下方向の厚みが嵩上材の厚みより大にされる。
【0022】
図7は、前記実施形態の中敷13を省略した実施形態の例を示すもので、この実施形態においては、パッキン17の上下方向の厚みD>嵩上材14の厚みCに設定される。本実施形態においても、パッキン17の圧縮は嵩上材14が受枠11の受部11bに着床するまで行われ、嵩上材14が受部11bに着床すると停止する。
【符号の説明】
【0023】
11・・受枠
11b・・受部
12、17・・パッキン
13・・中敷
14・・嵩上材
15・・蓋