IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-遊技機 図1
  • 特許-遊技機 図2
  • 特許-遊技機 図3
  • 特許-遊技機 図4
  • 特許-遊技機 図5
  • 特許-遊技機 図6
  • 特許-遊技機 図7
  • 特許-遊技機 図8
  • 特許-遊技機 図9
  • 特許-遊技機 図10
  • 特許-遊技機 図11
  • 特許-遊技機 図12
  • 特許-遊技機 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A63F7/02 319
A63F7/02 320
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018132093
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020006066
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 芳充
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-102065(JP,A)
【文献】特開2006-218098(JP,A)
【文献】特開平9-19552(JP,A)
【文献】特開2018-20167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
図柄を変動表示する回転リールが複数、筐体に保持されたドラムユニットが上下2段に並列して設けられた遊技機であって、
前記ドラムユニットを上下方向に昇降させるための昇降駆動部と、
前記ドラムユニットを筐体ごと回転させる回転駆動部と、を有し、
前記昇降駆動部は、上下2段に並列するドラムユニットのうちの一方のドラムユニットの上昇に連動して他方のドラムユニットを降下させる動作が可能であり、
前記回転駆動部は、該昇降駆動部によるドラムユニットの昇降動作に連動して前記ドラムユニットを回転させる動作が可能であることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記上下2段のドラムユニットが上下方向に離隔して生じる間隙において画像あるいは情報を表示可能な表示部を有し、
該表示部は、遊技者側から見て前記ドラムユニットよりも奥側の第1位置と、遊技機の奥行方向において前記ドラムユニットと重なる第2位置と、の間で、奥行方向に進退可能であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記上下2段のドラムユニットのうちの少なくともいずれかのドラムユニットの筐体の外表面では、該外表面に沿う表示面を備える略板状の表示部が、該外表面に沿って進退可能に保持され、
前記表示部は、前記上下2段のドラムユニットが上下方向に離隔して間隙が生じている場合に、前記ドラムユニットの筐体の外表面のうち遊技者側に位置する外表面に重なる第3位置と、遊技者側から見て前記間隙の手前側に当たる第4位置と、の間で、上下方向に進退可能であることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記上下2段のドラムユニットのうちの少なくともいずれかのドラムユニットは、前記回転駆動部による回転に応じて遊技者側に現れる筐体の外表面において、画像あるいは情報を表示できるように構成され、
前記表示部は、前記ドラムユニットの筐体の外表面に表示される画像あるいは情報と関連性のある画像あるいは情報を表示可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記回転駆動部は、前記ドラムユニットの昇降動作を該ドラムユニットの回転動作に変換するための変換機構を備え、当該変換機構は、前記ドラムユニットの正転、逆転、非回転のうち、少なくとも複数を対象として切替可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項6】
遊技者に有利な大当り状態の契機となる大当りの抽選を実行する抽選手段と、
前記抽選の結果を報知する演出を実行する報知手段と、
該報知手段による大当りの報知を契機として、大当り状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、を備え、
前記報知手段は、大当りを報知する場合に、前記ドラムユニットの昇降動作を含む特別演出を実行可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記上下2段のドラムユニットのうちの少なくともいずれかのドラムユニットでは、回転に応じて遊技者側に現れる筐体の外表面に、前記抽選の結果を報知するために図柄を変動表示する液晶表示部が設けられ、
前記液晶表示部が図柄を変動表示する液晶変動モードと、前記回転リールが図柄を変動表示するリール変動モードと、の間のモード移行を実行するか否かにより、前記抽選の結果が大当りである大当り期待度の度合いを示唆する演出を実行する示唆演出手段を備えていることを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【請求項8】
前記上下2段のドラムユニットのうちの一方のドラムユニットの重量を基準値として、他方のドラムユニットの重量が90%~110%の範囲にあることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技機では、大当り抽選結果を示す図柄変動を行う表示手段として、3つのドラムを有するドラム構造の遊技機がある。そして、例えば下記の特許文献1では、ドラムを移動させることで、ドラムの内側に設けられる小ドラムを視認可能とすることで、遊技の興趣を高めることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-244496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラムの移動に応じて小ドラムを視認可能とする構成を採用すれば、目新しい演出を実現できる一方、遊技者が遊技に習熟すれば、遊技者が感じ得る斬新さが次第に薄れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、ドラムを移動させる構成を採用した役物を利用し、従来にない斬新な演出により興趣を高めることが可能な遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、図柄を変動表示する回転リールが複数、筐体に保持されたドラムユニットが上下2段に並列して設けられた遊技機である。この遊技機は、ドラムユニットを上下方向に昇降させるための昇降駆動部と、ドラムユニットを筐体ごと回転させる回転駆動部と、を有している。本発明の遊技機では、一方のドラムユニットの上昇に連動して他方のドラムユニットを降下させる動作が可能であり、ドラムユニットの昇降動作に連動してドラムユニットが回転可能である。
【0007】
以上のように本発明の遊技機によれば、ドラムユニットを移動させることで、従来にない斬新な演出を実現でき、これにより興趣を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における、パチンコ遊技機の正面図。
図2】実施例1における、中央表示器の正面図。
図3】実施例1における、パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
図4】実施例1における、中央表示器の構造を示す説明図。
図5】実施例1における、ドラムユニットの構造を示す断面図。
図6】実施例1における、表示ブロックの構造を示す分解図。
図7】実施例1における、ドラムユニットの昇降動作の説明図。
図8】実施例1における、中央表示器による演出動作の説明図。
図9】実施例1における、演出内容の説明図。
図10】実施例1における、他の中央表示器を例示する説明図。
図11】実施例2における、中央表示器の構造を示す説明図。
図12】実施例2における、ドラムユニットの回転方向を切り替える切替機構の説明図。
図13】実施例3における、演出内容の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、上下2段のドラムユニット40U・Dを用いて演出効果の高い特別演出を実行するパチンコ遊技機(遊技機の一例)1に関する例である。この内容について、図1図10を用いて説明する。
【0010】
パチンコ遊技機1は、パチンコ玉(玉)を遊技媒体として遊技される遊技機である。このパチンコ遊技機1は、特定の入賞口への入賞に応じて大当り状態(特別遊技状態)の抽選(大当り判定)が実行され、当否の判定結果を表す図柄変動が実行されるセブン機である。パチンコ遊技機1では、大当り状態以外の遊技状態として、遊技者側の有利度合いが低い通常状態のほか、図柄の変動時間が短くなる時短状態、大当りの期待度が高くなる確変状態(確率変動状態)等が設定されている。
【0011】
図1に例示のパチンコ遊技機1は、図示しない台枠に取り付けられた開閉扉13を有し、その内側の遊技盤面に略円形状の遊技領域130が形成された遊技機である。遊技領域130の下部右側にはスピーカ131が配置され、遊技領域130の下側には玉供給皿135が遊技者側に張り出すように設けられている。玉供給皿135の右下には、玉供給皿135の玉を遊技領域130に向けて発射するための操作ハンドル15が立設され、玉供給皿135の下には下皿137が設けられている。
【0012】
開閉扉13は、パチンコ遊技機1に対面して左側に位置するヒンジ133を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。開閉扉13には、遊技領域130に対応する略円形状の透明窓139、透明窓139の上部両側に配置された装飾ランプ部132などが設けられている。
【0013】
玉供給皿135は、入賞に応じて払い出された賞球や、貸玉等を受け入れるための受け皿である。玉供給皿135の玉は、図示しない供給通路を経由して発射装置341(図3参照。)に供給される。
【0014】
遊技領域130は、遊技媒体であるパチンコ玉(玉)が流下する領域である。遊技領域130には、図柄を変動表示する中央表示器4を中心として、遊技領域130を流下した玉が入賞可能な入賞部の一例をなす始動口12、通過ゲート14、大入賞装置16等が配置されている。遊技領域130の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔138が開口している。
【0015】
通過ゲート14は、通過玉を検知するゲートであり、遊技者側から見て中央表示器4の左側に配置されている。玉を通過させるのみの通過ゲート14には、賞球の払い出しが設定されていない。通過ゲート14を玉が通過すると、普通図柄の当否判定(以下、普図判定という。)用の抽選用乱数が抽出され、普図判定が実行される。普図当選確率は、通常状態では1/30、時短状態では1/1となっている。
【0016】
始動口12は、大当り判定の契機となる入賞口(払出3個)である。始動口12は、中央表示器4の下側に配置されている。始動口12に玉が入賞すると、大当り判定用の抽選用乱数が抽出され大当り判定が実行される。始動口12は、一対の可動羽根121を開口部120に設けた電チュー(電動チューリップ)により構成されている。始動口12の可動羽根121は、上記の普図判定の当選(普図当選)に応じて開放動作を実行する。
【0017】
通常時の一対の可動羽根121は、隙間を空けて相互に対面するように起立する状態(図1中、点線で示す状態。)にある。この状態では、上方に向けて開口する玉1個分の隙間を介してのみ玉が入賞する可能性がある。一方、相互に離隔するように回動した一対の可動羽根121(同図中、実線で示す状態。)は、開口部120への玉の流入をガイドする受け皿のように作用する。このような開放状態では、始動口12への入賞が容易に発生する。
【0018】
大入賞装置16は、大入賞口160を開口する、いわゆるアタッカーと呼ばれる可変入賞装置である。このアタッカー16は、始動口12の下側に配置されている。アタッカー16は、横長略矩形状を呈する大入賞口160と、この大入賞口160を封止する蓋部材161と、を有している。
【0019】
平常時のアタッカー16では、遊技領域130をなす盤面と略面一をなすように蓋部材161が位置し、大入賞口160が閉鎖状態となっている。蓋部材161が手前側に回動すると大入賞口160が開放状態となり、大入賞口160に玉を導くための受け皿として蓋部材161が機能する。大入賞口160に入賞したときの払出玉は15個となっている。
【0020】
中央表示器4は、図1及び図2のごとく、図柄415を変動表示するための図柄表示窓490が枠体491の内側に配置された表示器である。この中央表示器4は、図柄表示窓490に停止表示された図柄415の組合せにより大当り判定の結果を報知するほか、大当り判定の結果を報知する際に多彩な報知演出を実行可能である。中央表示器4は、大当り判定の結果を報知する演出を実行する報知手段としての機能を備えている。
【0021】
中央表示器4では、図2のごとく、図柄表示窓490の上側の枠部分に、普図表示部181及び普図保留表示部182が配置されている。また、図柄表示窓490の下側の枠部分には、大当り判定結果である特図保留の保留数を表示する特図保留表示部192が配置されている。
【0022】
普図表示部181は、上記の普図判定の当否の表示部である。普図表示部181は、○の点灯により普図判定の当選(普図当選)を表示し、×の点灯によりハズレを表示する。なお、普図の変動時間は通常状態で30秒、時短状態で1秒となっている。普図保留表示部182は、普図保留として記憶(保留)する保留数を表示できるよう、4つのLED(Light Emitting Diode)が連設された表示部である。普図保留表示部182は、LEDの点灯個数により普図保留の保留数(限度数4つ)を表示する。
【0023】
普図判定による普図当選が表示されると、上記のように始動口12の可動羽根121が開放動作を実行する。普図当選に応じた始動口12の開放時間は、通常状態では0.2秒、時短状態では1.5秒×3回となっている。始動口12に玉が入賞したときの払出玉は3個となっている。
【0024】
特図保留表示部192は、水平方向に配置された4個のLEDにより構成されている。特図保留表示部192では、特図保留の保留数(上限保留数4個)と同数のLEDが点灯し、その点灯個数により特図保留の保留数(限度数4つ)が表示される。
【0025】
本例の中央表示器4は、3連のリール(回転リール)41L、C、Rを備えるドラムユニット40U・Dが上下2段に並列して配設され、この上下2段のドラムユニット40U・Dが上下方向に離隔する昇降動作が可能である点に特徴を有している。さらにこの中央表示器4は、上下2段のドラムユニット40U・Dが上下方向に離隔したとき、後述する中間表示ユニット47が奥側からせり出して来る演出動作が可能である。
【0026】
図柄表示窓490では、通常、近接する上下2段のリール41L、C、Rにより6つの図柄415が表示される。中央表示器4は、図柄表示窓490に表示された図柄415の組合せにより大当り判定の結果を報知する。大当りの場合には、上段のリール41L、C、R及び下段のリール41L、C、Rのうちの少なくともいずれか一方の段で、同じ図柄が停止表示され、大当りが報知される。なお、中央表示器4の構成及び動作については、パチンコ遊技機1の電気的構成を説明した後で、詳しく説明する。
【0027】
次に、パチンコ遊技機1の電気的な構成について、図3を用いて説明する。パチンコ遊技機1は、主制御回路20が形成された主制御基板20Bを中心として構成されている。主制御基板20Bに対しては、玉の払出を制御する払出制御基板33B、玉の打込を制御する発射制御基板34B、遊技演出を制御する副制御基板35B、入賞玉あるいは通過玉の検出器312~314、始動口(電チュー)12を開放する電チューソレノイド322、アタッカー16を開放させる大入賞ソレノイド324、及び電力供給のための電源回路部328等が電気的に接続されている。
【0028】
入賞玉あるいは通過玉の検出器としては、始動口12への入賞玉を検出する始動入賞検出器313、通過ゲート14の通過玉を検出するゲート通過検出器312、及びアタッカー16への入賞玉を検出する大入賞検出器314がある。
【0029】
副制御回路35が形成された副制御基板35Bには、アンプ/スピーカ131や装飾ランプ部132が電気的に接続されているほか、リール41L、C、Rを制御するリール制御基板36B、ドラムユニット40U・Dの昇降動作等を制御する演出モータ制御基板37Bが通信可能に接続されている。
【0030】
副制御回路35が備える記憶領域(図示略)には、大当り判定結果を報知するための演出を決定するための演出抽選テーブルが格納されている。演出抽選テーブルとしては、大当り判定結果(大当りの当否、図柄変動時間)に応じて複数種類が準備されている。各演出抽選テーブルでは、左右リール41L、Rで同じ数字図柄が停止した状態で、中リール41Cで図柄415を変動表示するリーチ演出の当選乱数などが規定されている。
【0031】
なお、リーチ演出の中には、大当りの期待度が高いことを示唆するスペシャルリーチ演出などの特別演出が設定されている。スペシャルリーチ演出としては、上下2段のドラムユニット40U・Dの昇降動作を含む特別演出がある。この特別演出の内容については、遊技の概要を説明した後で詳しく説明する。
【0032】
払出制御基板33Bには、払出制御回路33が形成されている。この払出制御回路33は、入賞が発生したとき、主制御回路20からの指示を受けて払出装置331を制御し、所定数の玉の払出を実行させる。
発射制御基板34Bには、発射制御回路34が形成されている。この発射制御回路34は、操作ハンドル15の操作角度に応じて発射装置341を制御することで、玉の打ち出し強さをコントロールする。
【0033】
リール制御基板36Bに形成されたリール制御回路36は、上下2段のドラムユニット40U・Dの各リール41L、C、Rに個別に設けられた3つのリールモータ412L、C、Rの回転を制御するリール制御を実行する電気回路である。このリール制御基板36Bには、各リール41L、C、Rの基準位置を検出する基準位置検出センサ413L、C、Rが電気的に接続されている。基準位置検出センサ413L、C、Rは、対応するリール41L、C、Rの回転中に予め定められた基準位置が通過したことを検出する基準位置検出手段の一例をなし、各リール41L、C、Rの基準位置に取り付けられた基準位置片410(図5参照。)を検出したときに検出信号を出力する。
【0034】
リール制御回路36は、基準位置検出センサ413L、C、Rの検出結果である検出信号に基づいて図柄415の位置(リール41の回転位置)を特定しながら各リール41L、C、Rを回転させる。そして、リール41L、C、Rの回転による図柄415の変動表示を所定時間に亘って実行した後、大当り判定結果に対応した図柄415を停止させる。
【0035】
演出モータ制御基板37Bに形成された演出モータ制御回路37は、上下2段のドラムユニット40U・Dを昇降させる昇降駆動部を構成する昇降モータ42や、後述する中間表示ユニット47を進退させる進退駆動モータ485の回転方向及び回転位置を制御する電気回路である。
【0036】
主制御回路20は、図3に示すごとく、CPU(Central Processing Unit)28、記憶素子であるROM(Read Only Memory)29・RAM(Random Access Memory)24、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部27、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部26、及び入出力インタフェースをなすI/O(Input/Output)25等を備えている。
【0037】
RAM24は、CPU28のワークエリアや一時書き込みに利用される読み書き可能な記憶素子である。RAM24の記憶エリアには、各4データ分の特図保留エリア241、及び普図保留エリア243が割り当てられている。特図保留エリア241は、大当り判定結果等の特図保留の記憶領域である。普図保留エリア243は、普図判定結果の記憶領域である。
【0038】
ROM29は、CPU28に実行させる各種の処理プログラムを記憶しているほか、図示しない大当り判定用の抽選テーブル、及び普図判定用の抽選テーブル等を記憶している。
大当り判定用の抽選テーブル及び普図判定用の抽選テーブルは、大当り判定の当選乱数、あるいは普図当選乱数が規定された抽選テーブルである。なお、本例の大当り判定用の抽選テーブルとしては、通常状態及び時短状態に適用するものと確変状態に適用するものとが設けられ、通常(時短)状態用では大当りの当選確率が1/300となるように当選乱数が規定され、確変状態用では同確率が1/60となるように当選乱数が規定されている。なお、大当りのうち確変大当りである確変割合は50%となっている。また、普図判定用の抽選テーブルとしては、通常状態に適用するものと時短状態及び確変状態に適用するものとが設けられ、通常状態用では普図当選確率が1/30になるように当選乱数が規定され、時短(確変)状態用では同確率が1/1となるように当選乱数が規定されている。
【0039】
図3の主制御回路20は、ROM29から読み出したプログラムをCPU28に実行させることにより、以下の(1)~(5)の各手段としての機能を実現している。また、リール制御回路36は、以下の(6)の手段としての機能を実現し、副制御回路35は、以下の(7)、(8)の手段としての機能を実現している。
(1)抽選手段:始動口12への玉の入賞という予め定められた抽選条件が成立した場合に、遊技者に有利な大当り状態の契機となる大当りの抽選である大当り判定を実行する手段。大当り判定では、大当りの当否のほか、図柄変動時間が併せて決定される。
(2)記憶手段:抽選手段による抽選結果の一例である抽選用乱数を特図保留として記憶する手段。記憶手段は、所定の上限保留数の一例である4個を限度として、特図保留エリア241に特図保留を記憶する。なお、普図判定結果については、4個を上限として普図保留エリア243に普図保留として記憶される。
(3)読出手段:記憶手段により記憶されている特図保留を1つずつ読み出すと共に、特図保留の読み出しに応じて記憶手段の保留数(特図保留の記憶数)を減少させる手段。読出手段は、特図保留を読み出す際、記憶時点が古いものから順番に読み出す。なお、普図保留エリア243の普図保留についても同様に読み出される。
(4)当否判定手段:読出手段が読み出した特図保留の当否(大当りか否か)を判定する手段。
(5)特別遊技状態発生手段:特別遊技状態の発生に対応した図柄の組合せである大当り図柄の停止表示、すなわち報知手段としての中央表示器4による大当りの報知を契機として、大当り状態(特別遊技状態)を発生させる手段。
(6)表示制御手段:大当り判定結果に応じた図柄415の組み合わせである大当り図柄を中央表示器4に停止表示させるようにリール41を制御する手段。
(7)演出抽選手段:大当り判定結果等を報知するための演出を決定する抽選手段である。演出抽選手段は、大当り判定結果(大当りの当否、図柄変動時間など)に応じた演出抽選テーブルを利用して演出の種類(リーチ演出、スペシャルリーチ演出(特別演出)など)を決定する。
(8)示唆演出手段:大当り抽選の結果が当選(大当り)である大当り期待度の度合いを示唆する演出を実行する手段。
【0040】
次に、中央表示器4の構造を詳しく説明する。中央表示器4は、図4のごとく、上下2段のドラムユニット40U・Dが昇降可能に保持されていると共に、中間表示ユニット47が奥行方向に進退可能に保持されている表示ブロック4Bが、筐体49に収容された役物である。
【0041】
この中央表示器4では、上下2段のドラムユニット40U・Dが互いに離隔するか、あるいは互いに接近するように昇降可能(上下方向に変位可能)である。さらに、各ドラムユニット40U・Dは、昇降動作(上下方向の変位動作)に連動して筐体400ごとドラムユニット40U・Dが90度回転する。各ドラムユニット40U・Dでは、この90度の回転に応じて、遊技者側からリール41L、C、Rを視認できる状態と、ドラムユニット40U・Dの筐体400の側面に遮蔽されてリール41L、C、Rが見えなくなる状態と、が切り替わる。
【0042】
中央表示器4の筐体49は、図柄表示窓490を取り囲む枠体491をなす前面パネル49Fと、この前面パネル49Fを組み合わせるハウジング49Cと、の組み合わせにより構成されている。ハウジング49Cの内周面のうち、前面パネル49Fに対面する内壁面には、上下方向に延在する凹部498が設けられている。この凹部498は、遊技者側から離れる奥側に中間表示ユニット47を収容するためのスペースを形成している。この凹部498の両側の浅い内壁面497には、細長い平板状部材にギア歯を設けたラックバー496が上下方向に沿って2本ずつ取り付けられる。このラックバー496は、ドラムユニット40の両側に設けられる後述の回転ギア405が螺合するギア部材である。
【0043】
ドラムユニット40は、図4及び図5のごとく、1箇所の側面が開口する略直方体形状の筐体400に、図柄415を変動表示するリール41L、C、Rが3つ並列して収容(保持)されたユニットである。有底円筒状のリール41L、C、Rの外周面には、印刷等された複数の図柄(本例では1~7の数字図柄)415が略一定の間隔で配置されている。
【0044】
略直方体形状の筐体400の両端面には、外側に向かって回転軸402が立設されている。ドラムユニット40はこの回転軸402を回転中心として筐体400ごと回転可能である。なお、上下2段のドラムユニット40U・Dの重量の仕様は一致しており、一方のドラムユニット40の重量を基準値としたとき、他方のドラムユニット40の重量は90%~110%の範囲にある。
【0045】
ドラムユニット40U・Dでは、筐体400の開口側が遊技者側に対面する回転位置のとき(図4(a))、遊技者側からリール41L、C、Rを視認可能になる。一方、ドラムユニット40U・Dが筐体400ごと90度回転すると、筐体400の側面が遊技者側に対面し、リール41L、C、Rが見えない状態になる(図4(b))。
【0046】
上側のドラムユニット40Uでは、筐体400の開口側が上方を向く回転位置のとき(図4(b))、遊技者側に面する側面(外表面)に上側の分割画像409Uが設けられている。また、下側のドラムユニット40Dの筐体400では、開口側が下方を向く回転位置のとき(図4(b))、遊技者側に面する側面(外表面)に下側の分割画像409Dが設けられている。
【0047】
分割画像409U・Dは、中間表示ユニット47と共にひとつの画像を形成する元画像である。このように上下2段のドラムユニット40U・Dは、後述する回転駆動部による回転に応じて遊技者側に現れる筐体400の外表面において、画像あるいは情報の一例である分割画像409U・Dを表示可能である。これに代えて、上下2段のドラムユニット40U・Dのうち、いずれか一方のみで分割画像を表示することも良い。
【0048】
ドラムユニット40の左、中、右のリール41L、C、Rは、図5のごとく、個別に設けられたステッピングモータであるリールモータ412L、C、Rによりそれぞれ独立して回転駆動される。各リールモータ412L、C、Rは、開口側に対面する筐体400の内側面に固定されたステー411により支持されている。各リール41L、C、Rには、基準位置検出センサ413L、C、Rにより検出可能な基準位置片410が取り付けられている。この基準位置片410は、回転方向の所定位置に取り付けられ、この取り付け位置が各リール41L、C、Rの基準位置となっている。
【0049】
ドラムユニット40の回転軸402には、筐体400の端面と隙間を空けた状態で円盤状の回転ギア405が外挿固定されている。この回転ギア405は、回転軸402に嵌合しており、筐体400と一体的に回転する。回転軸402の先端側は、直径が変化する2段構造を呈しており、先端部402Aの方が付け根側の胴部402Bよりも細くなっている。先端部402Aと胴部402Bとの間には、棚面402Sが形成されている。
【0050】
次に、中間表示ユニット47は、図4及び図6のごとく、上下2段のドラムユニット40U・Dが上下方向に離隔して生じる間隙において画像あるいは情報を表示可能な表示部の一例である。中間表示ユニット47は、中間の分割画像471が前面に設けられた箱状のユニットであり、その前面形状は、ドラムユニット40の筐体400の側面とほぼ同じ形状である。中間の分割画像471は、ドラムユニット40U・Dの分割画像409U・Dとの組合せによりひとつの画像を形成する元画像である。つまり、表示部の一例をなす中間表示ユニット47は、ドラムユニット40U・Dの筐体400の外表面に表示される分割画像409U・D(画像あるいは情報の一例)と関連性のある分割画像471を表示可能である。
【0051】
中間表示ユニット47の両側には、断面略T字状の摺動部479が奥行方向に沿って延設されている。中間表示ユニット47の奥行方向の進退動作は、この摺動部479により支持される。そして、中間表示ユニット47は、遊技者側から見てドラムユニット40U・Dよりも奥側の第1位置(図4(a)参照。)と、遊技機の奥行方向においてドラムユニット40と重なる第2位置(図4(b)参照。)と、の間で、奥行方向に進退可能である。なお、図4(b)では、第2位置として、ドラムユニット40の前面と、中間表示ユニット47の前面と、が面一をなす位置を例示している。第2位置は、上下2段のドラムユニット40U・Dの上下方向の間隙に中間表示ユニット47の少なくとも一部が存在しており、上下2段のドラムユニット40U・Dが近接する後述する通常位置に変位できなくなる位置であれば良い。
【0052】
上下2段のドラムユニット40U・D及び中間表示ユニット47を保持する表示ブロック4Bは、図6のごとく、ドラムユニット40を昇降させるための左右一対の昇降レール46と、中間表示ユニット47が奥行方向に進退するための左右一対の進退レール48と、略T字状をなすように交差する骨組み構造を有している。
【0053】
この骨組み構造では、昇降レール46の長手方向の中央に当たる位置に、進退レール48が固定されている。昇降レール46の外側面に対して進退レール48の端面が面一をなすように組み合わせられ、これにより略T字状が形成されている。略T字状の骨組み構造のうちの横棒部分は、昇降レール46により形成され、中央表示器4の上下方向に沿っている。略T字状のうちの縦棒部分は、進退レール48により形成され、中央表示器4の奥行方向に沿っている。昇降レール46及び進退レール48は、いずれも、略C字状の断面形状をなし、その内側に、断面略T字状のレール空間460、480が形成されている。
【0054】
進退レール48のレール空間480には、中間表示ユニット47の両側の断面略T字状の摺動部479が収容される。レール空間480に対する摺動部479の収容構造により、奥行方向に沿う中間表示ユニット47の進退が可能になっている。中間表示ユニット47は、進退駆動モータ42(図3)による制御により、中央表示器4の奥行方向に進退可能である。なお、図6では進退駆動モータの図示を省略している。
【0055】
昇降レール46のレール空間460には、ピニオンギア421を挟持する状態で一対のスライダ43が収容される。このピニオンギア421と一対のスライダ43との組合せが、ドラムユニット40U・Dを上下方向に昇降させるための昇降駆動部43Aを構成している。この昇降駆動部43Aは、上下2段に並列するドラムユニット40U・Dのうちの一方のドラムユニット40の上昇に連動して他方のドラムユニット40を降下させる動作が可能である。
【0056】
スライダ43は、長方形の平板状部材を元にして、1箇所の角部が切除されたような略L字状のフラグ形状を呈している。このスライダ43は、ドラムユニット40の回転軸402が係合する部材であり、中央表示器4では、昇降レール46に沿うこのスライダ43の変位に応じてドラムユニット40が昇降する。
【0057】
スライダ43において、略L字状のフラグ形状の旗の部分をなす矩形状の支持部431には、ドラムユニット40の回転軸402が収容される係合孔439が穿設されている。また、略L字状のフラグ形状のポールの部分をなす細長いラック部433では、略L字状の内側に面する側面に、上記のピニオンギア421に螺合するギア歯435が形成されている。
【0058】
昇降レール46のレール空間460に収容された一対のスライダ43は、それぞれのラック部433のギア歯435がピニオンギア421を介在して対面し、ピニオンギア421に螺合する状態となっている(図7参照。)。ピニオンギア421を介在して対向配置された一対のスライダ43の幅は、昇降レール46のレール空間460の横幅に略一致している。それ故、各スライダ43は、昇降レール46の内側面によってその姿勢が規制され、一対のスライダ43のラック部433がピニオンギア421を介して平行をなして対面する状態が確実性高く保持される。
【0059】
ピニオンギア421は、レール空間460が開口する側とは反対側の昇降レール46の外側面に取り付けられる昇降モータ42により回転する。この昇降モータ42の回転軸429は、昇降レール46の外側面に穿設された孔469に貫通配置され、上記のピニオンギア421は、レール空間460に突出する昇降モータ42の回転軸429に外挿固定されている。なお、昇降モータ42は、遊技者側から向かって右側の昇降レール46に取り付けられている。同左側の昇降レール46には、回転駆動力を生じない点を除いて昇降モータ42と同じ仕様の軸受ユニット420が、ピニオンギア421の回転を軸支するために取り付けられている。
【0060】
図7のごとく、ラック部433のギア歯435がピニオンギア421に螺合する状態で点対称で対向配置された一対のスライダ43は、ピニオンギア421が回転したとき、昇降レール46に沿って互いに逆向きに変位する。昇降モータ42のピニオンギア421が図7(a)中の矢印の方向に回転すると、支持部431が離隔するように一対のスライダ43が逆向きに変位する。一方、このピニオンギア421が図7(b)中の矢印の方向に回転すると、支持部431が接近するように一対のスライダ43が逆向きに変位する。
【0061】
本例の中央表示器4では、ドラムユニット40の左右両側に昇降駆動部43Aを設ける一方、昇降モータ42を含む昇降駆動部43Aは片側にのみ設けてある。ピニオンギア421とスライダ43との組合せを含む昇降駆動部43Aを左右両側に設ければ、ドラムユニット40の水平を確実に保持できる。さらに、ピニオンギア421とスライダ43との組合せによれば、一方のドラムユニット40の下降による減少分の位置エネルギーを、他方のドラムユニット40を上昇させるためのエネルギーに変換できるので、滑らかな昇降動作の実現に有効に作用する。
【0062】
中央表示器4では、昇降モータ42の回転によって一対のスライダ43が逆向きに変位するので、上側のドラムユニット40Uが上昇すれば下側のドラムユニット40Dが下降し、上側のドラムユニット40Uが下降すれば下側のドラムユニット40Dが上昇することになる。なお、ドラムユニット40が昇降(変位)する範囲は、上下2段のドラムユニット40U・Dが隙間少なく接近する通常位置(図7(a))から、上下2段のドラムユニット40U・Dの間隙に中間表示ユニット47(図6)が前進可能になる離隔位置(図7(b))までの範囲となっている。
【0063】
なお、上記の通りドラムユニット40の両端の回転軸402の先端には、直径が変化する2段構造が設けられている。表示ブロック4Bでは、回転軸402の小径の先端部402Aがスライダ43の係合孔439に収容され、胴部402Bとの段差をなす棚面402Sがスライダ43の表面に当接する。表示ブロック4Bでは、このように棚面402Sがスライダ43の表面に当接することで、スライダ43と回転ギア405との間に隙間が確保された状態でドラムユニット40の左右方向の位置が規制されている。表示ブロック4Bにおけるこの隙間は、中間表示ユニット47の進退を支持する進退レール48に対する回転ギア405の干渉回避に有効に作用する。
【0064】
表示ブロック4Bは、図8のごとく、筐体49を構成するハウジング49Cの内側面に昇降レール46を固定することで、筐体49の内部で保持されている。なお、昇降レール46の外側面に取り付けられた昇降モータ42との干渉を回避できるよう、ハウジング49Cの側壁には、昇降モータ42の本体部を貫通させるための貫通孔494が穿設されている。この貫通孔494は、ハウジング49Cの側壁の縁に開口する不完全な孔であり、ハウジング49Cに対して前面パネル49Fを取り付けたときに閉じた孔となる。
【0065】
前面パネル49Fに対面するハウジング49Cの内壁面のうち、上下方向に沿う凹部498の両側の内壁面497には、上記のごとく、上下方向に沿って2本のラックバー496が一列をなすように取り付けられている。中央表示器4では、このラックバー496に対してドラムユニット40の回転ギア405が螺合する状態となっている。ドラムユニット40が昇降すれば、このラックバー496に螺合する回転ギア405が回転し、これにより回転ギア405と一体的にドラムユニット40が筐体400ごと回転する。
【0066】
本例の構成では、ラックバー496と回転ギア405との組合せが、ドラムユニット40を筐体400ごと回転させる回転駆動部45を構成している(図7参照。)。回転駆動部45は、昇降駆動部43Aによるドラムユニット40の昇降動作に連動してドラムユニット40を回転させる動作が可能である。回転駆動部45は、ドラムユニット40の昇降動作をこのドラムユニット40の回転動作に変換するための変換機構450として、ラックバー496と回転ギア405とのギア機構を備えている。
【0067】
本例の中央表示器4では、上記の通常位置と離隔位置との間のドラムユニット40の上下方向の変位に連動して、ドラムユニット40が筐体400ごと約90度回転する。上側のドラムユニット40Uは、通常位置から離隔位置への変位に応じて、筐体400の開口側が上方を向くように90度回転し、下側のドラムユニット40Dは筐体400の開口側が下方を向くように90度回転する。
【0068】
本例の中央表示器4では、ドラムユニット40U・Dが離隔位置に位置したときに、遊技者側に対面することになる筐体400の側面(外表面)に分割画像409U・Dを設けてある。上記のごとく、ドラムユニット40U・Dの分割画像409U・Dは、中間表示ユニット47の前面に形成された中間の分割画像471と一体をなしてひとつの画像を形成する。
【0069】
次に、以上のような構成のパチンコ遊技機1の(1)遊技の概要を説明し、続いて(2)上下2段のドラムユニット40U・Dの昇降動作を含む特別演出の内容について説明する。
(1)遊技の概要
パチンコ遊技機1では、操作ハンドル15を右回転方向に操作することで玉を発射でき遊技を開始できる。発射された玉は、通過ゲート14などが配置された遊技領域130を流下する。入賞しなかった玉は、遊技領域130の最下部に設けられたアウト孔138から回収される。
【0070】
主制御回路20は、通過ゲート14を通過する玉を検出したとき、乱数発生部27が発生する乱数の中から普図判定の抽選用乱数を抽出する抽選処理を実行する。主制御回路20は、この抽選用乱数を普図判定用の抽選テーブルと照合することにより、普図判定の結果を決定する。普図判定の結果が当選のときには普図表示部182の○を点灯させ、ハズレのときには×を点灯させる。主制御回路20は、普図判定に当選したとき、始動口(電チュー)12の可動羽根121を開放させる。
【0071】
主制御回路20は、始動口12に入賞した玉を検出すると、大当り判定用の抽選用乱数を抽出する。そして、主制御回路20は、中央表示器4による図柄変動中ではなく特図保留も無ければ、大当り判定の抽選用乱数を直ちに前記大当り判定用の抽選テーブルの当選乱数と照合し、大当り判定の当否等を決定する。一方、図柄変動中等であれば、大当り判定の抽選用乱数を特図保留として一旦、特図保留エリア241に記憶する。ただし、特図保留エリア241の保留数が上限個数の4個である場合には、抽選用乱数を特図保留エリア241に記憶することなくそのまま消去する。
【0072】
大当り状態が発生中ではないとき、主制御回路20は、図柄415の変動表示が停止すると特図保留エリア241の特図保留を記憶されたタイミングが古いものから順番に1つずつ読み出す。そして、読み出した特図保留の抽選用乱数を大当り判定用の抽選テーブルと照合して大当り判定の当否を決定する。
【0073】
主制御回路20は、このように特図保留を読み出した後、大当り判定結果を副制御回路35に入力する。副制御回路35は、大当り判定結果の入力を受けると、上記の演出抽選を実行する。そして、演出抽選結果に応じた演出を実行できるよう、リール制御回路36を介して中央表示器4を制御し、図柄415の変動表示を開始させる。リール制御回路36は、ドラムユニット40U・Dの各リールモータ412L、C、Rに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつ回転させることにより各リール41L、C、Rを回転させ、図柄415の変動表示を実行する。
【0074】
リール制御回路36は、各リールモータ412L、C、Rに入力した制御パルス数、すなわちリールモータ412が回転したステップ数をカウントしている。このステップ数は、各リール41L、C、Rの基準位置片410の検出信号を取り込むごとにゼロリセットされ、直近の検出信号が発生した後のステップ数となっている。主制御回路20は、ステップ数に基づいてリール41L、C、Rの回転位置を特定し、これにより表示中の図柄415の特定を可能としている。
【0075】
リール制御回路36は、左→右→中の順番で各ドラムユニット40の3つのリール41L、C、Rを停止させる。大当りの場合には、同じ数字の図柄415が並ぶ大当り図柄を停止表示させ、ハズレの場合にはゾロ目ではないハズレ図柄を停止表示させる。なお、上下2段のドラムユニット40U・Dが図柄415を停止表示する順番としては、同時に同じ数字図柄を停止表示しても良く、一方のドラムユニット40が左→右→中の順番で図柄415を停止表示した後、他方のドラムユニット40が左→右→中の順番で図柄415を停止表示しても良い。あるいは一方のドラムユニット40の左→他方のドラムユニット40の左の図柄415を停止した後、一方のドラムユニット40の右→他方のドラムユニット40の右の図柄415を停止し、最後に、一方のドラムユニット40の中→他方のドラムユニット40の中の図柄415を停止表示しても良い。本例は、上下2段のドラムユニット40U・Dの各リール41L、C、Rが、同じタイミングで同じ図柄415を停止表示するように構成した例である。
【0076】
演出抽選でリーチ演出の実行が決定している場合、リール制御回路36は、ドラムユニット40において、左右のリール41L、Rが同じ数字図柄を停止表示し、中リール41Cが変動表示中というリーチ状態を発生させる。
【0077】
大当りの場合、上記のリーチ状態の後、中リール41Cの停止に応じて、ゾロ目の数字の図柄415の停止表示により大当りが報知され、大当り状態が発生する。大当り状態では、30秒経過するか10玉入賞するまで大入賞口160が開放されるラウンド処理が15回繰返し実行される。このような大当り状態が発生したときの出玉(差玉=払出玉-打込玉)は約1500玉となっている。
【0078】
大当り状態の契機となった大当りが確変大当りの場合、大当り状態の終了に応じて、大当り確率が高くなる確変状態が発生する。この確変状態は、新たな大当り状態の発生に応じて終了するので、確変大当りの場合には必ず連荘となる。一方、通常大当りを契機とした大当り状態の場合には、終了に応じて、図柄変動時間が短くなり特図保留の消化が速くなる時短状態が発生する。この時短状態の継続期間は、最長で図柄変動50回分となっている。時短状態の継続中に大当りが発生すれば、新たな大当り状態が発生して連荘状態となる。一方、図柄変動を50回消化する間に大当りが発生しない場合には、時短状態の終了に応じて通常状態に移行する。
【0079】
(2)特別演出
特別演出は、上記の演出抽選の抽選結果に応じて実行されるスペシャルリーチ演出の一種である。特別演出は、大当り判定結果の当否に関わらず実行されるが、大当りの期待度が高いことを示唆する演出となっている。特別演出が発生したときの大当りの確率は、通常のリーチ演出が発生したときよりも高くなっている。この特別演出は、上下2段のドラムユニット40U・Dを昇降させて間隙を生成し、その間隙において中間表示ユニット47が現れる演出である。この特別演出について、図9を参照して説明する。
【0080】
この特別演出では、まず、通常のリーチ演出と同様に、中央表示器4において図柄415が一定時間変動した後、リーチ状態が発生する(図9(a))。リーチ状態が発生すると、上下2段のドラムユニット40U・Dが離隔位置に向けて昇降する。上側のドラムユニット40Uの上昇に応じて、ドラムユニット40Uが筐体400ごと90度回転して上側の分割画像409Uが遊技者側から視認可能となると共に、下側のドラムユニット40Dの下降に応じて、ドラムユニット40Dが筐体400ごと90度回転して下側の分割画像409Dが遊技者側から視認可能となる(図9(b))。
【0081】
大当り判定の結果が大当りの場合、中間表示ユニット47が奥側から前進して来て、その前面の分割画像471が上下の分割画像409U・Dと面一となり、例えば猫の顔がひとつの画像として表示される(図9(c1))。本例の構成では、猫の顔の表示に応じて、大当りが確定し、その後、中間表示ユニット47の後退、上下2段のドラムユニット40U・Dの通常位置への変位を経て、図柄表示窓490において揃いの数字図柄が停止表示されて大当りが報知される(図9(d1))。このように報知手段としての中央表示器4は、大当りを報知する場合に、ドラムユニット40U・Dの昇降動作を含む特別演出を実行可能である。
【0082】
一方、ハズレの場合には、中間表示ユニット47が奥側から前進して来ず、例えば猫の顔がひとつの画像として表示されることがない(図9(c2))。この場合には、中間表示ユニット47が前進せず、奥まった位置のままであることで、ハズレが確定し、その後、中間表示ユニット47の後退、上下2段のドラムユニット40U・Dの通常位置への変位を経て、ハズレ図柄の停止表示によりハズレとなる(図9(d2))。
【0083】
なお、この特別演出では、中間表示ユニット47が奥側から前進して来て図9(c1)の状態となるか、図9(c2)の状態となるか、により大当りかハズレかが確定するので、中間表示ユニット47の前進動作の途中で行ったり来たりの演出を実行しても良い。例えば、奥行方向の進退ストロークの中間辺りまで前進して来た中間表示ユニット47について、奥側に戻る変位動作と、手前側に前進する変位動作と、が交互に繰り返し実行される場合を設定することも良い。この場合には、中間表示ユニット47が手前に出てくるか否かについて、遊技者側にハラハラ感、ドキドキ感を感じさせることができ、遊技の興趣を向上できる。
【0084】
以上のような構成のパチンコ遊技機1は、図柄を変動表示するリール41L、C、Rが筐体400に保持されたドラムユニット40U・Dが上下2段に並列して設けられた遊技機である。このパチンコ遊技機1は、ドラムユニット40U・Dを上下方向に昇降させるための昇降駆動部43Aと、ドラムユニット40U・Dを筐体400ごと回転させる回転駆動部45と、を有している。このパチンコ遊技機1では、一方のドラムユニット40の上昇に連動して他方のドラムユニット40を降下させる動作が可能であり、ドラムユニット40の昇降動作に連動してドラムユニット40が筐体400ごと回転可能である。
【0085】
パチンコ遊技機1は、ドラムユニット40を移動させることで、従来にない斬新な演出を実現でき、これにより興趣を高めることができる優れた特性の遊技機である。
【0086】
パチンコ遊技機1が有する中央表示器4は、上下2段のドラムユニット40U・Dが上下方向に離隔して生じる間隙において画像あるいは情報を表示可能な中間表示ユニット47を有している。この中間表示ユニット47は、遊技者側から見てドラムユニット40U・Dよりも奥側の第1位置と、パチンコ遊技機1の奥行方向においてドラムユニット40U・Dと重なる第2位置と、の間で、奥行方向に進退可能である。
【0087】
上下2段のドラムユニット40U・Dの上下方向の間隙において、奥側から前進してくる中間表示ユニット47によれば、一層多彩な演出を実現できる。上下2段のドラムユニット40U・Dが上下に展開し、さらに、中間表示ユニット47が奥側から前進してくる動きは、非常に斬新であり、遊技者を楽しませることができる。
【0088】
中央表示器4の上下2段のドラムユニット40U・Dは、回転駆動部45による回転に応じて遊技者側に現れる筐体400の外表面において、画像あるいは情報の一例である分割画像409U・Dを表示する。そして、中間表示ユニット47は、ドラムユニット40U・Dの分割画像409U・Dと関連性のある分割画像471を表示可能である。
【0089】
この場合には、中間表示ユニット47が手前側に前進することで、意味のある画像あるいは情報が完成するようになる。例えば、本例では、中間表示ユニット47の前進により猫の顔が完成する構成を例示している。このように中間表示ユニット47の前進によりひとつの画像が完成して完結する演出によれば、遊技者側に達成感を感じさせることができ、遊技の興趣を向上できる。
【0090】
パチンコ遊技機1における中央表示器4は、大当り判定の結果を報知する報知手段としての機能を備えている。報知手段としての中間表示器4は、大当りを報知する場合に、ドラムユニット40U・Dの昇降動作を含む特別演出を実行可能である。ドラムユニット40U・Dの昇降動作を含む特別演出によれば、ダイナミックな動きによって遊技者の目を楽しませることができると共に、そのダイナミックな動きによって大当りに対する遊技者の期待感を高揚できる。
【0091】
本例の構成では、上下2段のドラムユニット40U・Dの重量仕様が同じになっている。一方のドラムユニット40の重量を基準値とした場合の他方のドラムユニット40の重量が90%~110%の範囲にある。それ故、中央表示器4では、上下2段のドラムユニット40U・Dを昇降させる際の重量バランスが良好である。このように重量バランスが良好であれば、一方のドラムユニット40を下降させる際の位置エネルギーを利用し、他方のドラムユニット40を比較的容易に上昇させることができる。なお、上下2段のドラムユニット40U・Dの重量に差がある場合には、軽い方のドラムユニット40におもりを仕込むと良い。この場合、ドラムユニット40の回転中心におもりを仕込めば、筐体400ごと回転する際の回転バランスを良好に保つことができる。
【0092】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、遊技領域130に発射した玉が入賞したときに遊技価値である玉を払い出すパチンコ遊技機1について例示したが、その他の遊技機に適用しても良い。例えば、玉が封入してあり、得点を消費して玉を発射する封入式パチンコ遊技機や、大当りとなる確率が高くなる確変状態が発生するパチンコ遊技機に適用しても良い。メダルを消費して抽選を行うことでゲームが進行するスロットマシンや、得点を消費して抽選を行うことでゲームが進行するクレジット式スロットマシンに適用することも可能である。
【0093】
本例では、離隔位置の上下2段のドラムユニット40U・Dと、中間表示ユニット47と、の組合せにより例えば図9(c1)に例示する猫の顔の画像がひとつの画像として表示されるか否かに応じて、大当りかハズレかが確定する。これに代えて、図9(c1)のようにひとつの画像が表示された場合については、大当りの確率が例えば80%以上であることを示唆する一方、図9(c2)のようにひとつの画像が表示されない場合については、大当りの確率が例えば30%であることを示唆する演出としても良い。
【0094】
本例では、猫の顔の分割画像を中間表示ユニット47に設けているが、これに代えて、文字や数字などの情報を中間表示ユニット47に表示させることも良い。このとき、中間表示ユニット47が表示する情報と、ドラムユニット40が表示する情報と、の組合せにより、文字や数字などの情報が完成するように構成しても良い。
【0095】
上下2段のドラムユニット40U・Dが通常位置から離隔位置に移動する際、その途中の位置で行ったり来たりの動作を実行するように構成しても良い。その途中の位置での行ったり来たりの動作の後、離隔位置への変位が行われずに通常位置に戻ってしまう場合を設けても良い。このような場合を設ければ、ドラムユニット40U・Dが離隔位置に移動して特別演出が開始されるか否かについて、遊技者にハラハラ感やドキドキ感を感じさせることができ、遊技の興趣を向上できる。
【0096】
なお、上下2段のドラムユニット40U・Dのうちの少なくともいずれかのドラムユニット40の筐体400の外表面では、外表面に沿う表示面を備える略板状の表示部の一例である表示パネル475が、この外表面に沿って進退可能に保持されている構成を採用しても良い。例えば、前面に分割画像471を設けた中間表示ユニット47に代えて、図10のごとく、上側のドラムユニット40Uの筐体400の外表面のうち、分割画像409Uを設けた側面に、中間の分割画像471を表示する略板状の表示パネル475を収納可能に設けると良い。この略板状の表示パネル475は、例えば、伸縮レール476を介在して筐体400の外表面に取り付けられる。表示パネル475は、上下2段のドラムユニット40U・Dが上下方向に離隔して間隙が生じている場合に、ドラムユニット40の筐体400の外表面のうち遊技者側に位置する外表面に重なる第3位置(図10(a)参照。)と、遊技者側から見て前記間隙の手前側に当たる第4位置(図10(b)参照。)と、の間で、上下方向に進退可能である。
【0097】
この場合には、表示パネル475がスライドして移動すると、ドラムユニット40Uの筐体400の外表面に設けられた分割画像409Uが現れるという斬新な演出が可能となる。表示パネル475がその変位ストロークの中間的な位置で、そのまま移動するか戻るか逡巡するような動作を実行することも良い。そして、表示パネル475がそのまま移動すれば、大当り期待度が高い旨を示唆する演出としても良い。この場合には、表示パネル475の変位に遊技者が注目するようになり、遊技の興趣が向上される。さらに、表示パネル475のスライド動作と、中間表示ユニット47の進退動作と、のいずれかを選択的に実行するようにしても良い。
【0098】
上側のドラムユニット40Uと下側のドラムユニット40Dの両方に収納式の表示パネルを設ける一方、離隔位置で演出を実行する際、上側の表示パネルと下側の表示パネルのうちのいずれかを選択して、上側のドラムユニット40Uと下側のドラムユニット40Dとの上下方向の間隙に当たる位置に移動させることも良い。いずれの表示パネルが移動するか、あるいは上下のドラムユニット40U・Dのうちいずれの分割画像409U・Dが視認可能になるか、等に応じて大当り期待度を示唆する演出を実行することも良い。
【0099】
本例では、上下2段のドラムユニット40U・Dによるリーチ演出に続いて、ドラムユニット40U・Dが通常位置から離隔位置に移動する演出(分割演出)が実行され、再度、ドラムユニット40U・Dが通常位置に戻ってから大当り図柄が表示される特別演出を例示している。これに代えて、上下2段のドラムユニット40U・Dによるリーチ演出に続いて大当り図柄が表示された後、ドラムユニット40U・Dが通常位置から離隔位置に移動する分割演出が実行されるという特別演出であっても良い。
【0100】
(実施例2)
本例は、実施例1の中央表示器に基づいて、ドラムユニット40の昇降動作を回転動作に変換する変換機構450を変更した例である。本例の変換機構450には、ドラムユニット40の回転方向を切り替える切替機構450Aが追加されており、ドラムユニット40の正転、逆転、非回転を切替可能である。この内容について、図11及び図12を参照して説明する。
【0101】
本例の中央表示器4では、切替機構450Aにより、ドラムユニット40の回転ギア405が回転軸402の軸方向に変位可能である。回転ギア405の変位に応じて、螺合するラックバー496A・Bが切り替り、これにより昇降動作に応じたドラムユニット40の回転方向を切替可能である。なお、図11では、昇降レールや進退レールや中間表示ユニット等の図示を省略している。
【0102】
切替機構450Aは、回転ギア405を回転軸402の軸方向に変位させる駆動部材451や、駆動部材451を駆動するギア切替モータ452等によって構成されている。また、本例のドラムユニット40では、回転軸402に対して回転ギア405が固定されておらず、回転軸402の軸方向に回転ギア405が変位可能である。回転軸402には、軸方向に沿うキー溝が穿設されていると共に、このキー溝に断面矩形状のキー456が収容されている。回転ギア405の軸孔では、周方向の1箇所にキー456を貫通させる溝が設けられている。回転ギア405は、このキー456によって回転止めされていると共に、キー456に沿って回転軸402の軸方向に変位可能である。
【0103】
スライダ43は、フラグ形状の旗の部分に当たる支持部431が延設され、回転軸402を収容する係合孔439から端部までの寸法が回転ギア405の半径を超える寸法となっている。支持部431の延設部分には、昇降レール(図6中の符号46参照。)の開口幅よりも幅狭の畝状のモータ台455がスライダ43の長手方向に沿って立設されている。このモータ台455は、昇降レールの開口部を介して外部に突出し、その突出方向の端面に、回転ギア405を変位させるギア切替モータ452を保持している。
【0104】
ギア切替モータ452の出力軸453は、ドラムユニット40の回転軸402と平行をなして筐体400側に突出している。この出力軸453は、螺旋状のネジ溝が外周面に穿設され、送りねじとしての機能を備えている。出力軸453の先端は、回転ギア405の外周側を通過し、筐体400の側端面の手前に位置している。さらに、ギア切替モータ452の外周には、ドラムユニット40側に突出するステー軸454が固定されている。このステー軸454も回転ギア405の外周側を通過している。
【0105】
駆動部材451は、回転ギア405を左右方向に変位させるための部材である。断面コの字状をなすこの駆動部材451は、コの字状の断面により形成される溝状の隙間を貫く貫通孔と、同様のネジ孔と、を備えている。貫通孔には、ギア切替モータ452の外周に固定されたステー軸454が挿抜可能に貫通配置されている。ネジ孔には、ギア切替モータ452の出力軸である送りねじ453が螺入されている。駆動部材451は、断面コの字状により形成される溝状の隙間に回転ギア405の外周縁部を収容する状態で、ステー軸454及び送りねじ453により支持されている。
【0106】
ギア切替モータ452の出力軸である送りねじ453が回転すると、駆動部材451がこの送りねじ453の軸方向に移動し、これにより回転ギア405が左右方向に駆動される。なお、駆動部材451は、ステー軸454により回り止めされており、送りねじ453の回転に連れ回ることはない。
【0107】
本例の中央表示器4では、ハウジング49Cの内壁面にラックバー496Aが取り付けられているのに加えて、前面パネル49Fの裏面にラックバー496Bが取り付けられている。このラックバー496Bは、ハウジング49C側のラックバー496Aと同じ仕様である一方、ドラムユニット40の回転軸402の軸方向における位置が相違している。ハウジング49C側のラックバー496Aに対して、前面パネル49F側のラックバー496Bは、回転軸402の軸方向における先端側にずれて位置している。さらに、この軸方向におけるラックバー496Aの位置と、ラックバー496Bの位置との間には、回転ギア405の厚さよりも幅広のギャップが設けられている。
【0108】
中央表示器4では、ギア駆動モータ452や駆動部材451などの切替機構450A、ラックバー496A・Bなどが、各ドラムユニット40U・Dの左右に同じ仕様で設けられ、同様に制御される。なお、上下2段のドラムユニット40U・Dのうちのいずれか一方のみに切替機構450Aを設けることも良い。
【0109】
本例の中央表示器4では、ドラムユニット40の回転ギア405が、ハウジング49C側のラックバー496Aに螺合する位置(図12(a))、前面パネル49F側のラックバー496Bに螺合する位置(図12(b))、及びいずれのラックバー496A・Bにも螺合しない位置(図12(c))、のいずれかに位置できる。回転ギア405がハウジング49C側のラックバー496Aに螺合するか、前面パネル49F側のラックバー496Bに螺合するか、に応じて、ドラムユニット40の昇降動作に連動してドラムユニット40が回転する方向が逆転する。さらに、いずれのラックバー496A・Bにも螺合しない位置に回転ギア405を位置させれば、昇降に連動してドラムユニット40が回転しないようになる。
【0110】
以上のような構成の本例の中央表示器4では、ドラムユニット40の回転ギア405がいずれのラックバー496A・Bに螺合するかに応じて、ドラムユニット40の昇降動作に応じたドラムユニット40の回転方向を切り替え可能である。さらに、この中央表示器4では、回転ギア405がいずれのラックバー496A・Bにも螺合しないフリーの状態を選択可能であり、この状態であれば、ドラムユニット40が昇降してもドラムユニット40の回転が生じることがない。
【0111】
例えば、通常位置から離隔位置にドラムユニット40を変位させる際に、回転ギア405がラックバー496Aに螺合する状態(図12(a))を設定し、その後、離隔位置から通常位置にドラムユニット40を変位させるときに回転ギア405がラックバー496Bに螺合する状態(図12(b))に切り替えることも良い。この場合には、通常位置→離隔位置→通常位置にドラムユニット40が変位する際、ドラムユニット40を同じ方向に回転できる。このような制御を繰り返し実行すれば、ドラムユニット40の筐体400の全ての側面を遊技者側に向けることが可能になる。
【0112】
また例えば、通常位置から離隔位置にドラムユニット40を変位させる際に、回転ギア405がラックバー496Aに螺合する状態(図12(a))を設定し、その後、離隔位置から通常位置にドラムユニット40を変位させるときに回転ギア405がラックバー496A・Bに螺合しない状態(図12(c))に切り替えることも良い。この場合には、通常位置から離隔位置へのドラムユニット40の変位に応じて遊技者側に面することになった筐体400の側面について、遊技者側に面する状態を維持したまま離隔位置から通常位置にドラムユニット40を変位できるようになる。
【0113】
以上の通り、本例の中央表示器4において、ドラムユニット40U・Dの昇降動作をドラムユニット40の回転動作に変換するための変換機構450は、ドラムユニット40の正転、逆転、非回転を切替可能である。ドラムユニット40の昇降に伴う回転をこのように切替できれば、上下2段のドラムユニット40U・Dを利用し、一層多彩な演出を実現できる。
【0114】
本例の構成では、回転ギア405の左右方向の変位に応じて、ラックバーに螺合するか否か、及び螺合するラックバーの種類(496Aか496Bか)が切り替わる。ラックバー496A・Bについては、いずれか一方のみであっても良い。この場合、回転ギア405の左右方向の変位に応じて、ラックバーと螺合するか否かが切り替わるように構成できる。このように螺合するか否かを切替える変換機構によれば、ドラムユニットの回転(正転あるいは逆転)と、非回転と、の切替が可能である。さらに、回転ギアの左右方向の位置を固定する一方、ラックバーが左右方向に変位する構成を採用しても良い。この場合、ラックバーの左右方向への変位に応じて、回転ギアと螺合するか否かが切り替わるように構成できる。また、回転ギア405がラックバー496Aに螺合するか、ラックバー496Bに螺合するか、のみを切り替える変換機構であっても良い。このように変換機構は、ドラムユニットの正転、逆転、非回転のうち、少なくとも複数を対象として切替可能な機構であれば良い。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0115】
(実施例3)
本例は、実施例1の中央表示器4に基づいて、分割画像(図4中の符号409U、409D、471)を液晶表示パネル(液晶表示部)44U・D・Cに置き換えた例である。この内容について、図13を参照して説明する。
上下2段のドラムユニット40U・Dの両方では、回転に応じて遊技者側に現れる筐体400の外表面をなす側面に、大当りの抽選結果を報知するために図柄を変動表示する液晶表示パネル44U・Dが取り付けられている。さらに、中央表示ユニット47の前面にも液晶表示パネル44Cが取り付けられている。
【0116】
特別演出では、上下2段のドラムユニット40U・Dが備えるリール41L、C、Rによる図柄の変動表示が行われるリール変動モードでリーチが発生した後(図13(a))、ドラムユニット40U・Dが昇降して、上下方向の隙間(間隙)が形成される。これにより各ドラムユニット40U・Dの液晶表示パネル44U・Dが遊技者側に対面する状態となる。続いて、中間表示ユニット47が前進し、その前面に設けられた液晶表示パネル44Cが、ドラムユニット40U・Dの液晶表示パネル44U・Dと面一をなす状態となる。
【0117】
図柄表示窓490において、面一の3面の液晶表示パネル44U・D・Cは、それぞれ、3つの図柄を変動表示する(図13(b))。これにより図柄表示窓490では、縦3図柄、横3図柄、全部で9つの図柄が変動表示する状態となる。3面の液晶表示パネル44U・D・Cによる図柄変動が実行される液晶変動モードでは、例えば、スロットマシンの3つのリールを模擬して図柄変動を実行しても良い。この図柄表示窓490では、スロットマシンの入賞ラインを模擬し、例えば、上中下段の3本の水平ライン、対角方向の2本の斜めのラインが大当りの報知ラインに設定される。
【0118】
大当り判定で大当りが当選している場合、スロットマシンの大当りと同様、いずれかの報知ライン上での大当り図柄の停止表示により、大当りが報知されて特別演出が終了する(図13(c1))。ハズレの場合には、大当り図柄が停止表示されることなく、全ての報知ライン上にハズレ図柄が停止表示されて特別演出が終了する(図13(c2))。
【0119】
本例の特別演出は、大当り判定での大当りの期待度が高いときに実行される演出である。したがって、この特別演出は、液晶表示パネル44U・D・Cが図柄を変動表示する液晶変動モードと、リール41L、C、Rが図柄を変動表示するリール変動モードと、の間のモード移行を実行するか否かにより、大当り期待度の度合いを示唆する演出となっている。液晶変動モードとリール変動モードとの間のモード移行を実行するか否かにより大当り期待度が示唆される演出の仕様であれば、ドラムユニット40U・Dの動きに遊技者の関心を惹き付けることができ、遊技の興趣を一層向上できるようになる。
【0120】
なお、液晶表示パネル44U・D・Cの3面の表示領域をひとつの表示領域として取り扱い、演出画像を表示することも良い。例えばこの演出画像の種類やストーリー等に応じて大当り期待度を示唆することも良い。このように大当り期待度を示唆する演出を実行した後、スロットマシンのリール回転を模擬した図柄変動を3面の液晶表示パネル44U・D・Cの表示領域を利用して実行しても良い。あるいは、示唆する演出を実行した後、上下2段のドラムユニット40U・Dを離隔位置から通常位置に変位させ、ドラムユニット4U・Dのリール41L、C、Rによる図柄変動により大当り判定の結果を報知しても良い。
【0121】
本例では、上下2段のドラムユニット40U・Dの両方に液晶表示パネル44U・Dを設けているが、ドラムユニット40U・Dのうちのいずれか一方のみに液晶表示パネルを設けることも良い。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0122】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更、あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0123】
1 パチンコ遊技機(遊技機)
12 始動口(入賞部)
130 遊技領域
20 主制御回路(抽選手段、記憶手段、読出手段、当否判定手段、特別遊技状態発生手段)
35 副制御回路(演出抽選手段、示唆演出手段)
36 リール制御回路(表示制御手段)
37 演出モータ制御回路
4 中央表示器(報知手段)
40 ドラムユニット
400 筐体
402 回転軸
405 回転ギア
409、471 分割画像(画像)
41 リール(回転リール)
42 昇降モータ
421 ピニオンギア
43 スライダ
43A 昇降駆動部
45 回転駆動部
450 変換機構
450A 切替機構
46 昇降レール
47 中間表示ユニット(表示部)
48 進退レール
490 図柄表示窓
496 ラックバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13