IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7048488可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置
<>
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図1
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図2
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図3
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図4
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図5
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図6
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図7
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図8
  • 特許-可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220329BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20220329BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220329BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220329BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220329BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220329BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220329BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220329BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G09F9/00 302
G02B5/30
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/04
H05B33/10
G09F9/30 308Z
G09F9/00 313
G09F9/00 342
G09F9/00 366A
G06F3/041 640
G06F3/041 490
G06F3/041 410
G06F3/041 495
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018516743
(86)(22)【出願日】2017-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2017097064
(87)【国際公開番号】W WO2018153035
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-07-29
(31)【優先権主張番号】201710094071.6
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ジャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 宝▲鳴▼
(72)【発明者】
【氏名】史 世明
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0367644(US,A1)
【文献】特開2010-080293(JP,A)
【文献】特開2010-282966(JP,A)
【文献】特開2014-123068(JP,A)
【文献】特開2005-251671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G02B 5/30
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/02
H05B 33/04
H05B 33/10
G09F 9/30
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板と、
前記可撓性基板上に設けられる可撓性ディスプレーと、
前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に設けられる保護フィルムと、
前記可撓性ディスプレーと前記保護フィルムとの間に挟み込まれている接続層とを含み、
前記接続層は超弾性フィルム層を少なくとも1層含み、
前記超弾性フィルム層は、材料の1.0%以上の変形が行われた場合に回復することができる材料を含む、可撓性表示パネル。
【請求項2】
前記接続層は前記可撓性ディスプレー及び前記保護フィルムと直接接触する、請求項1に記載の可撓性表示パネル。
【請求項3】
前記超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1に記載の可撓性表示パネル。
【請求項4】
前記接続層は、さらに第1の粘性層および第2の粘性層を含み、前記超弾性フィルム層は、前記第1の粘性層と前記第2の粘性層との間に挟み込まれている、請求項1~3のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項5】
前記第1の粘性層および前記第2の粘性層の材料は、光学接着剤を含む、請求項4に記載の可撓性表示パネル。
【請求項6】
前記保護フィルムの材料は、ポリイミド、窒化ケイ素、酸化ケイ素或いは酸窒化ケイ素を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項7】
前記可撓性基板の前記可撓性ディスプレーから遠ざかる側に設けられる可撓性支持層をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項8】
前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に設けられる円偏光板をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項9】
前記可撓性支持層の材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリフッ化ビニルを含む、請求項7に記載の可撓性表示パネル。
【請求項10】
前記円偏光板は、積層するように設けられている直線偏光板と1/4波長の位相差板を含む、請求項8に記載の可撓性表示パネル。
【請求項11】
前記可撓性ディスプレーの前記保護フィルムに近い側に設けられるタッチスクリーンをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項12】
前記保護フィルムは、無機材料フィルムを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の可撓性表示パネル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の可撓性表示パネルを含む、可撓性表示装置。
【請求項14】
可撓性基板を提供するステップと、
前記可撓性基板上に可撓性ディスプレーを形成するステップと、
前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に接続層を形成するステップと、
前記接続層の前記可撓性ディスプレーとの反対側に保護フィルムを形成するステップとを含み、
前記接続層は超弾性フィルム層を含み、
前記超弾性フィルム層は、材料の1.0%以上の変形が行われた場合に回復することができる材料を含む、可撓性表示パネルの製造方法。
【請求項15】
前記超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記超弾性フィルム層が形成される前に、さらに先に第1粘性層を形成するステップを含み、前記超弾性フィルム層が形成された後に、さらに第2の粘性層を形成するステップを含む、請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
前記保護フィルムは、無機材料フィルムを含む、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年02月21日に提出した中国特許出願第201710094071.6号の優先権を主張するものであり、前記中国特許出願の開示内容を本願の一部分としてここで全文に引用する。
【0002】
本発明の実施態様は、可撓性表示パネル及びその製造方法、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
可撓性表示装置は、可撓性基板上に表示デバイスを形成することにより、該可撓性表示装置が折り畳まれる時や曲がられる時でも正常に情報を表示することができ、可撓性表示装置は携帯電子機器等の分野で広く応用される見込みである。
【0004】
例えば、可撓性表示装置中の有機電界発光表示デバイス(OLED)は、主に、有機発光材料からなる有機発光層と、陰極層と、陽極層と、機能層とを含み、陰極層と陽極層との間に適当な電圧を印加することにより、陽極の正孔と陰極の電子とを機能層を通過してから有機発光層で結合させて電界発光し、即ちOLEDデバイスは自発光であり、OLEDデバイスはバックライト(Back-lighting)が必要ではない。よって、OLEDデバイスは軽い、薄いなどの特徴を有し、加えて、OLEDデバイスはまた、持ち運びやすく、柔軟性の特徴を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、可撓性基板と、前記可撓性基板上に設けられる可撓性ディスプレーと、前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に設けられる保護フィルムと、前記可撓性ディスプレーと前記保護フィルムとの間に挟み込まれている接続層とを含み、前記接続層は超弾性フィルム層を少なくとも1層含む、可撓性表示パネルを提供する。
【0006】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記接続層は前記可撓性ディスプレー及び前記保護フィルムと直接接触する。
【0007】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0008】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記接続層は、さらに第1の粘性層および第2の粘性層を含み、前記超弾性フィルム層は、前記第1の粘性層と前記第2の粘性層との間に挟み込まれている。
【0009】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記第1の粘性層および前記第2の粘性層の材料は、光学接着剤を含む。
【0010】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記保護フィルムの材料は、ポリイミド、窒化ケイ素、酸化ケイ素或いは酸窒化ケイ素を含む。
【0011】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルは、さらに、前記可撓性基板の前記可撓性ディスプレーから遠ざかる側に設けられる可撓性支持層を含む。
【0012】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルは、さらに、前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に設けられる円偏光板を含む。
【0013】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記可撓性支持層の材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリフッ化ビニルを含む。
【0014】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルにおいて、前記円偏光板は、積層するように設けられている直線偏光板と1/4波長の位相差板を含む。
【0015】
例えば、本発明の少なくとも1つの実施形態が提供する可撓性表示パネルは、さらに、前記可撓性ディスプレーの前記保護フィルムに近い側に設けられるタッチスクリーンを含む。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、さらに、前記いずれかの可撓性表示パネルを含む可撓性表示装置を提供する。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、可撓性基板を提供するステップと、前記可撓性基板上に可撓性ディスプレーを形成するステップと、前記可撓性ディスプレーの前記可撓性基板から遠ざかる側に接続層を形成するステップと、前記接続層の前記可撓性ディスプレーとの反対側に保護フィルムを形成するステップとを含み、前記接続層は超弾性フィルム層を含む、可撓性表示パネルの製造方法を提供する。
【0018】
例えば、本発明の実施形態が提供する製造方法において、前記超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0019】
例えば、本発明の実施形態が提供する製造方法において、前記超弾性フィルム層が形成される前に、さらに先に第1の粘性層を形成するステップを含み、前記超弾性フィルム層が形成された後に、さらに第2の粘性層を形成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明実施形態の技術構成をより明確に説明するために、実施形態の図面について次のように簡単に説明する。明らかに、以下に記載の図面は、本発明の一部の実施例にしか関わっておらず、本発明を制限するものではない。
【0021】
図1図1は、可撓性表示パネルの構造模式図である。
図2図2は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示パネルの構造模式図である。
図3図3は、本発明の一実施例が提供する接続層の構造模式図である。
図4図4は、本発明の他の実施例が提供する可撓性表示パネルの構造模式図である。
図5図5は、図4の可撓性表示パネルが曲げられた後の構造模式図である。
図6図6は、本発明のもう一つの実施例が提供する可撓性表示パネルの構造模式図である。
図7図7は、図6の可撓性表示パネルが曲げられた後の構造模式図である。
図8図8は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示装置の構造模式図である。
図9図9は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示パネルの製造方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例の目的、技術構成及びメリットをさらに明確するために、以下に本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術構成を明確に、完全に説明する。明らかなように、記載される実施例は本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。記載される本発明の実施例に基づいて、当業者が試行錯誤のない前提で得られるその他の実施例も、本発明の保護範囲に属するものである。
【0023】
別途定義する場合を除き、本発明で使用する技術用語または科学技術用語は、本発明の技術分野における一般的な技能を有する者が理解する通常の意味である。本発明で使用される「第一」、「第二」及び類似用語は順序、数量或いは重要性を意味しなく、異なる組成部分を区分するためのものに過ぎない。同様に、「Aは、Bを含む」または「Aは、Bを含有する」などの類似の表現は、Aという素子または部材が、Bとして列挙された素子または部材、及びその均等物を含むことを意味し、その他の素子または部材を排除するわけではない。「接続」または「連結」などの類似の用語は、物理的または機械的な接続に限られず、電気的な接続を含み、直接でも間接でも構わない。「上」、「下」、「左」、「右」などは相対的な位置関係の表示のみに用いるものであり、記載される対象の絶対的位置が変わった場合、その相対的な位置関係も相応に変化する可能性がある。
【0024】
現在、可撓性表示パネルは、曲げられた後に平らな状態に戻り難い問題や、表示デバイスと金属配線の曲げ応力が大きい問題が存在し、特に可撓性表示パネルを小さな曲率半径に曲げると、可撓性表示パネルにおいてクラック、剥離、位置ずれなどの欠陥は発生しやすい。例えば、図1は、可撓性表示パネルの構造模式図である。図1に示されるように、該可撓性表示パネルは、背板101と、表示素子102と、タッチ素子103と、円偏光板104と保護フィルム106とを含み、円偏光板104と保護フィルム106の間は光学接着剤(optical clear adhesive, OCA)により接続される。反射低減の役割を果たす円偏光板104は比較的に厚く、図1に示す構造において、応力中立層は円偏光板104中に位置し、応力中立層は表示パネルおよびタッチパネルから遠く離れているため、図1に示される可撓性表示パネルを曲げる時に、所要の曲げ力が大きく、表示素子102とタッチ素子103に対する損害が大きく、且つ可撓性表示パネルを曲げた後、変形を回復する能力も劣る。
【0025】
なお、材料を曲げる過程において、外層は引張力を受け、内層は押出力を受け、その断面上に引張力も圧縮力も受けない過渡層が必ず存在し、該過渡層の応力はほぼゼロであり、該過渡層は即ち材料の応力中立層である。すなわち、応力中立層とは、材料が曲がって変形するときに、その内部接線応力がゼロとなる全ての箇所によって形成される面をいう。曲げ過程における応力中立層の長さは、曲げる前と同じく、変わることがない。応力中立層は、曲げ部材の展開長さを計算するための基準である。
【0026】
例えば、本発明の実施例は、可撓性基板と、可撓性基板上に設けられる可撓性ディスプレーと、可撓性ディスプレーの可撓性基板から遠ざかる側に設けられる保護フィルムと、可撓性ディスプレーと保護フィルムとの間に挟み込まれている接続層とを含み、前記接続層は超弾性フィルム層を少なくとも1層含む、可撓性表示パネルを提供する。
【0027】
本発明において、可撓性表示パネル中に設けられる超弾性フィルム層により可撓性表示パネル中の応力中立層の位置を変えることによって、可撓性表示パネルの曲げ過程における可撓性ディスプレーへのダメージを減少することができる。また、前記超弾性フィルム層は、可撓性表示パネルを曲げるために必要な曲げ力を低減し、可撓性表示パネルの曲げられた後の変形回復能力を向上することもできる。
【0028】
本発明の少なくとも1つの実施例は、可撓性表示パネルを提供する。例えば、図2は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示パネルの構造模式図である。図2に示されるように、該可撓性表示パネル200は可撓性基板2011と、可撓性基板2011上に設けられる可撓性ディスプレー2012と、可撓性ディスプレー2012の可撓性基板2011から遠ざかる側に設けられる保護フィルム203と、可撓性ディスプレー2012及び保護フィルム203の間に挟み込まれる接続層202とを含み、接続層202は超弾性フィルム層2021を含む。
【0029】
なお、「超弾性」とは、力が加えられるときに大きな変形が生じるが、この力が解かれるときに回復できる性質を意味する。通常の弾性材料は0.5%以下変形すれば回復不可能になるが、本明細書において、実質的に1.0%以上の変形を完全に回復できる材料を「超弾性」材料と称する。前記「完全に」とは、1.0%以上の変形が行われた材料を変形前の状態に100%回復できることを意味し、さらに、材料の1.0%以上の変形を実質的に98%回復できることも含まれ、さらに、材料の1.0%以上の変形を実質的に95%回復できることも含まれ、さらに、材料の1.0%以上の変形を実質的に90%回復できることも含まれる。
【0030】
例えば、該接続層202は可撓性ディスプレー2012及び保護フィルム203と直接に接触する。
【0031】
例えば、該接続層202は可撓性ディスプレー2012及び保護フィルム203と直接に接触せず、その間に他のフィルムが含まれてもよく、具体的なフィルムについて当業者は必要に応じて設定することができる。
【0032】
例えば、該超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。例えば、該超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれるいずれか1つであってもよいし、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれるいずれか2つからなる混合物であってもよいし、さらに、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の3成分からなる混合物であってもよい。なお、該超弾性フィルム層の材料はこれに限定されず、前記超弾性の定義を満足する他の適切な材料を用いることもできる。
【0033】
例えば、図3は、本発明の一実施例が提供する接続層の構造模式図である。該接続層202はさらに第1の粘性層2022および第2の粘性層2023を含み、超弾性フィルム層2021は、第1の粘性層2022と第2の粘性層2023との間に挟み込まれている。第1の粘性層2022、超弾性フィルム層2021及び第2の粘性層2023からなる3層構造(サンドイッチ構造)は接続層202の厚さを大きくし、該接続層202の厚さの増加は、応力中立層の位置を変える作用も有する。
【0034】
例えば、第1の粘性層2022と第2の粘性層2023の材料は、光学接着剤を含む。該光学接着剤は、電子デバイスにおける光学素子を接着するための透明接着剤であり、高い透明性を有し、電子設備のタッチスクリーン、ディスプレーにおいて接着を行うための重要な部分である。該光学接着剤の材料は、有機シリカゲル、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂などを含む。
【0035】
なお、従来の超弾性フィルム層の材料は接着性を有しなく、超弾性フィルム層の両側にそれぞれ第1の粘性層2022と第2の粘性層2023を形成することにより、超弾性フィルム層2021と可撓性表示パネルの他のフィルム層構造とを接続する。
【0036】
例えば、可撓性ディスプレー201上に形成される保護フィルム203は、無機材料フィルム層、無機有機材料の混合フィルム層、無機材料フィルム層-有機材料フィルム層-無機材料フィルム層の積層体、無機有機材料のハイブリッドフィルム層-有機材料フィルム層―無機有機材料のハイブリッドフィルム層の積層体;及び無機材料フィルム層―有機材料フィルム層-無機有機材料のハイブリッドフィルム層の積層体を含む。例えば、可撓性ディスプレー201上に形成される保護フィルム203の材料は、ポリイミド、窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素を含み、さらに、酸化アルミニウム、二酸化チタン、窒化ケイ素または炭化ケイ素などの無機材料、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料を含んでもよい。前記保護フィルムは、可撓性ディスプレーが外力により傷つけられることを防止でき、また、水や酸素などが可撓性表示パネルに入り可撓性ディスプレーを破壊することを防止できる。可撓性ディスプレーの酸素または湿気に対する抵抗能力は非常に重要なパラメータであり、可撓性ディスプレーは酸素または湿気の影響を受け易く、酸素または湿気の浸透は、可撓性表示パネルの性能の低下および寿命の短縮という問題を引き起こす可能性がある。
【0037】
例えば、図4は、本発明の少なくとも1つの実施例が提供する可撓性表示パネルの構造模式図である。該可撓性表示パネルはさらに可撓性支持層204を含み、前記可撓性支持層204は可撓性基板2011の可撓性ディスプレー2012から遠ざかる側に設けられ、前記可撓性支持層204は可撓性ディスプレー201に対して支持作用を有し、さらに水や酸素が可撓性表示パネルに入って可撓性ディスプレーを破壊することを防止できる。
【0038】
例えば、図4に示されるように、該可撓性表示パネル200はさらに円偏光板205を含み、円偏光板205は可撓性ディスプレーの可撓性基板2011から遠ざかる側に設けられる。
【0039】
例えば、可撓性支持層204の材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリフッ化ビニルを含み、前記ポリエチレンテレフタレートとポリフッ化ビニル材料はいずれも無色透明材料であり、光透過率はいずれも90%より大きいである。なお、可撓性支持層204の材料は前記2種類の材料に限定されるわけではなく、可撓性ディスプレーに対して支持作用を有する他の透明な可撓性材料を用いることもできる。
【0040】
例えば、該円偏光板205は、互いに積層されている直線偏光板と1/4波長の位相差板とを含む。例えば、円偏光板205は、主に、反射光の透過を防止する作用を有し、円偏光板205は主に位相差フィルム層と偏光機能フィルム層を含み、位相差フィルム層は円偏光板フィルム層の光出射側であり、偏光機能フィルム層は円偏光板フィルム層の光入射側である。偏光機能フィルム層の主な役割は、該偏光機能フィルム層を透過する自然光を直線偏光に変換することである。位相差フィルム層として、1/4波長の位相差板が好ましく、その主な役割は、透過する直線偏光を円偏光に変換し、或いは透過する円偏光を直線偏光に変換することである。偏光機能フィルム層と位相差フィルム層とを結合して、自然光は偏光機能フィルム層から入射し、偏光機能フィルム層を通過して直線偏光に変換した後、該直線偏光は位相差フィルム層を通過して、直線偏光から左旋円偏光に変換し、次いで、該左旋円偏光が反射されて右旋円偏光に変換し、再度位相差フィルム層を通過して、右旋円偏光から直線偏光に変換し、この時の直線偏光はこの前の直線偏光と垂直状態を呈し、直線偏光板を通ることができなく、これによって、反射光は該偏光機能フィルム層を透過することができなく、環境光の影響を低減し、コントラストを向上する。
【0041】
例えば、偏光機能フィルム層の材料として、ポリビニルアルコール(PVA)やカーボンナノチューブ(CNT)が挙げられ、特に限定されない。カーボンナノチューブは自己支持機能を有するため、カーボンナノチューブを用いて円偏光板フィルム層の偏光機能フィルム層を製造する際に、さらに可撓性支持層を省略してもよい。
【0042】
例えば、図5は、図4の可撓性表示パネルが曲げられた後の構造模式図である。図5から、外層は引張力を受け、内層は圧縮力を受けることが分かる。図4に示される可撓性表示パネルの構造に対してフィルム層積層の力学模擬を行った結果、第1の接着層2022と超弾性フィルム層2021と第2の粘性層2023の3層構造からなる接続層202を用いる場合、応力中立層は可撓性ディスプレー201と円偏光板205の間の可撓性ディスプレー201に近いところに位置し、これによって、可撓性表示パネルを曲げる場合、可撓性ディスプレー201にダメージを与え難いである。一方、普通の接続層を用いる場合、応力中立層は円偏光板205の可撓性ディスプレー201から遠ざかる側に位置し、円偏光板205は厚いため、応力中立層は可撓性ディスプレー201から遠く離れ、該可撓性表示パネルを曲げると可撓性ディスプレー201にダメージを与えやすいである。
【0043】
例えば図6は、本発明の少なくとも1つの実施例が提供するもう一つの可撓性表示パネルの構造模式図である。図6に示されるように、該可撓性表示パネルはさらにタッチスクリーン206を含み、該タッチスクリーン206は可撓性ディスプレー201の保護フィルム203に近い側に設けられ、即ちタッチスクリーン206は可撓性ディスプレー201と円偏光板205の間に設けられる。図6に示される可撓性表示パネルはタッチ機能と表示機能を同時に実現することができる。
【0044】
例えば、図7は、図6の可撓性表示パネルが曲げられた後の構造模式図である。図6に示される可撓性表示パネルの構造に対してフィルム層積層の力学模擬を行った結果、第1の接着層2022と超弾性フィルム層2021と第2の粘性層2023の3層構造からなる接続層202を用いる場合、応力中立層はタッチスクリーン206上に位置し、可撓性ディスプレー201とタッチスクリーン206との距離はいずれも近く、これによって、可撓性表示パネルを曲げる場合、可撓性ディスプレー201及びタッチスクリーン206にダメージを与え難いである。一方、普通の接続層を用いる場合、応力中立層は円偏光板205上に位置し、円偏光板205は厚いため、応力中立層は可撓性ディスプレー201から遠く離れ、該可撓性表示パネルを曲げると可撓性ディスプレー201にダメージを与えやすいである。例えば、普通の接続層を用いる場合、可撓性ディスプレーが受ける平均ひずみは0.92%である一方、本発明実施例が提供した超弾性フィルム層2021を用いる場合、図7に示される可撓性ディスプレーが受ける平均ひずみは0.68%である。即ち、普通の接続層から形成される可撓性表示パネルを用いる場合と比べ、本発明実施例の可撓性表示パネルのひずみは26%減少し、これによって可撓性表示パネルの曲げる能力を向上できる。
【0045】
例えば、可撓性ディスプレーに用いられる可撓性基板2011は、優れた表面状態、熱安定性、低い熱膨張係数、信頼性などが要求される。例えば、可撓性ディスプレーに用いられる可撓性基板として、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)およびポリイミド(PI)などの有機プラスチック基板が含まれる。
【0046】
例えば、可撓性ディスプレーの可撓性基板の膨張係数は1~70ppm/℃であってもよく、例えば、10ppm/℃、30ppm/℃、50ppm/℃、60ppm/℃及び70ppm/℃などが挙げられる。
【0047】
本発明の少なくとも1つの実施例はさらに可撓性表示装置を提供する。例えば、図8は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示装置の構造模式図である。該可撓性表示装置300は前記いずれか1種の可撓性表示パネルを含む。本発明実施例が提供する可撓性表示装置も前記可撓性表示パネルと同じ技術効果を有する。即ち、可撓性表示パネル中に設けられる超弾性フィルム層により、可撓性表示装置中の可撓性表示パネルにおける応力中立層の位置を変えることができ、それによって、可撓性表示パネルを曲げる過程における可撓性ディスプレーに与えるダメージを低減する。加えて、該超弾性フィルム層はさらに、可撓性表示装置を曲げるために必要な曲げ力を減少し、可撓性表示装置が曲げられた後の変形回復能力を向上できる。
【0048】
例えば、該可撓性表示装置300における他の構造について、従来のデザインを参考できる。該表示装置として、例えば携帯電話、タブレットパソコン、テレビ、モニター、ラップトップコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲーターなど表示機能を備えるいずれかの製品又は部品が挙げられる。
【0049】
本発明の少なくとも1つの実施例はさらに可撓性表示パネルの製造方法を提供する。図9は、本発明の一実施例が提供する可撓性表示パネルの製造方法の流れ図である。該製造方法は、
可撓性基板を提供するステップ101;
可撓性基板上に可撓性ディスプレーを形成するステップ102;
可撓性ディスプレーの可撓性基板から遠ざかる側に接続層を形成するステップ103;
超弾性フィルム層を含む接続層の可撓性ディスプレーとの反対側に保護フィルムを形成するステップ104、を含む。
【0050】
例えば、該超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。例えば、該超弾性フィルム層の材料は、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれるいずれか1つであってもよいし、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体からなる群から選ばれるいずれか2つからなる混合物であってもよいし、さらに、エチレンプロピレンゴム、エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体及びスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の3成分からなる混合物であってもよい。なお、該超弾性フィルム層の材料はこれに限定されず、前記超弾性の定義を満足する他の適切な材料を用いることもできる。
【0051】
例えば、該接続層はさらに第1の粘性層と第2の粘性層を含み、超弾性フィルム層は第1の粘性層と第2の粘性層の間に挟み込まれている。第1の粘性層、超弾性フィルム層及び第2の粘性層からなる3層構造は接続層の厚みを増加し、応力中立層の位置を変える役割も果す。
【0052】
例えば、第1の粘性層と第2の粘性層の材料は、光学接着剤を含む。該光学接着剤は、電子デバイスにおける光学素子を接着するための透明接着剤であり、高い透明性を有し、電子設備のタッチスクリーン、ディスプレーにおいて接着を行うための重要な部分である。該光学接着剤の材料として、有機シリカゲル、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0053】
なお、従来の超弾性フィルム層の材料は接着性を有しなく、超弾性フィルム層の両側にそれぞれ第1の粘性層と第2の粘性層を形成することにより、超弾性フィルム層と可撓性表示パネルの他のフィルム層構造とを接続する。
【0054】
例えば、可撓性ディスプレー上に形成される保護フィルムは、無機材料フィルム層、無機有機材料の混合フィルム層、無機材料フィルム層-有機材料フィルム層-無機材料フィルム層の積層体、無機有機材料のハイブリッドフィルム層-有機材料フィルム層―無機有機材料のハイブリッドフィルム層の積層体;及び無機材料フィルム層―有機材料フィルム層-無機有機材料のハイブリッドフィルム層の積層体を含む。例えば、可撓性ディスプレー上に形成される保護フィルムの材料は、ポリイミド、窒化ケイ素、酸化ケイ素または酸窒化ケイ素を含み、さらに、酸化アルミニウム、二酸化チタン、窒化ケイ素または炭化ケイ素などの無機材料、ポリメチルメタクリレートなどの有機材料を含んでもよい。前記保護フィルムは、可撓性ディスプレーが外力により傷つけられることを防止でき、また、水や酸素などが可撓性表示パネルに入り可撓性ディスプレーを破壊することを防止できる。可撓性ディスプレーの酸素または湿気に対する抵抗能力は非常に重要なパラメータであり、可撓性ディスプレーは酸素または湿気の影響を受け易く、酸素または湿気の浸透は、可撓性表示パネルの性能の低下および寿命の短縮という問題を引き起こす可能性がある。
【0055】
本発明の実施例が提供する可撓性表示パネル、及びその製造方法、表示装置は以下の少なくとも1つの有益な効果を有する。
(1)本発明の少なくとも1つの実施例が提供する可撓性表示パネルは、可撓性表示パネル中に設けられる超弾性フィルム層により、可撓性表示パネル中の応力中立層の位置を変えることができ、これによって、可撓性表示パネルを曲げる過程における可撓性ディスプレーに与えるダメージを低減する;
(2)本発明の少なくとも1つの実施例が提供する可撓性表示パネルにおいて、超弾性フィルム層は、可撓性表示パネルを曲げるために必要な曲げ力を低減し、可撓性表示パネルの曲げられた後の変形回復能力を向上することができる。
【0056】
また、以下の点を説明する必要がある。
(1)本発明の実施例の図面は、本発明実施例に関連する構造のみに係り、他の構造は従来のデザインを参考できる。
(2)分かりやすくするために、本発明の実施例を説明するための図面において、層または領域の厚さが拡大または縮小され、即ちこれらの図面は実際の比例に従って描かれているものではない。また、層、膜、領域または基板などの要素が他の要素の「上」または「下」に位置すると記載される場合、該要素は別の要素の「上」または「下」に「直接」位置してもよく、或いは中間要素が存在してもよい。
(3)衝突がない場合、本発明の実施例及び実施例中の特徴を互いに組み合わせて新しい実施例を得ることができる。
【0057】
以上の説明は、本発明の具体的な実施形態に過ぎなく、本発明の保護範囲はこれに限定されず、本発明の保護範囲は、請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0058】
101 背板
102 表示素子
103 タッチ素子
104 円偏光板
106 保護フィルム
200 可撓性表示パネル
202 接続層
203 保護フィルム
204 可撓性支持層
205 円偏光板
206 タッチスクリーン
300 可撓性表示装置
2011 可撓性基板
2012 可撓性ディスプレー
2021 超弾性フィルム層
2022 第1の粘性層
2023 第2の粘性層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9