(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】キンク耐性を提供する遠位内径湾曲部を有するカテーテルアダプタ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220329BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
A61M25/06 556
A61M25/00 622
(21)【出願番号】P 2018522559
(86)(22)【出願日】2016-10-06
(86)【国際出願番号】 US2016055669
(87)【国際公開番号】W WO2017074674
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-06-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー シー.オブライアン
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510744(JP,A)
【文献】米国特許第4311137(US,A)
【文献】国際公開第2015/133281(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撓曲部分を含んでいるカテーテル、および
遠位端部、近位端部、遠位端部から近位端部に延在する全長、内部空洞、上側部分、下側部分、および前記カテーテルが貫通して延在する周囲を有する、カテーテルアダプタの先端開口部を有する遠位先端部を有するカテーテルアダプタを備え、
前記全長は、前記上側部分および前記下側部分において実質的に等しく、且つ、前記カテーテルアダプタの先端開口部は、前記下側部分にテーパ領域を画定する内部湾曲部を有し、
前記テーパ領域は、前記カテーテルを通る流れを制限することなく前記カテーテルの挿入角度を提供するべく前記カテーテルの前記撓曲部分を支持し、
前記テーパ領域は、前記全長よりも短く、
前記カテーテルアダプタの先端開口部の前記上側部分は、前記遠位先端部から延びる内部湾曲部を含まな
いことを特徴とする血管アクセス装置。
【請求項2】
前記カテーテルアダプタの先端開口部の前記下側部分の前記内部湾曲部は、面取り部を画定することを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項3】
前記カテーテルアダプタの先端開口部の前記下側部分の前記内部湾曲部は、丸味を帯びているか、または、トランペット形状であることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項4】
前記カテーテルアダプタの先端開口部の前記下側部分は、前記遠位先端部から遠ざかるにつれて徐々に減少する前記遠位先端部における半径を画定することを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項5】
前記挿入角度は、約1°ないし約60°の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項6】
前記上側部分の半径は、前記下側部分の半径に対して非対称であることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項7】
前記内部空洞内に導入ニードルをさらに備え、前記ニードルは、遠位端部と、近位端部と、前記導入ニードルの前記近位端部に接続されたニードルハブとを有することを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項8】
前記カテーテルアダプタから延び、前記カテーテルアダプタの前記内部空洞と流体連通する延長チューブを、さらに備えることを特徴とする請求項
7に記載の血管アクセス装置。
【請求項9】
前記カテーテルアダプタから半径方向外向きに延びるウィング要素を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項10】
前記カテーテルアダプタの少なくとも一部分は、第1の材料から作られ、そして前記遠位先端部の少なくとも一部分は、前記第1の材料よりもより可撓性である第2の材料から作られていることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項11】
前記遠位先端部は、前記カテーテルのための支持部を提供するべく、前記カテーテルアダプタの先端開口部から延在し、前記カテーテルアダプタのその他の部分より、柔軟でねじれに強い延長部を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の血管アクセス装置。
【請求項12】
前記テーパ領域は、前記カテーテルに対して円錐形の逃げを提供することを特徴とする請求項
8に記載の血管アクセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、管状カテーテルがカテーテルアダプタから患者の静脈に移行する際に管状カテーテルを支持し、且つカテーテルのキンク(捩れや捻れ)および閉塞を防止するべく、内部湾曲部を有するカテーテルアダプタの先端開口部を有するアダプタ、ならびにカテーテルアダプタを含んでいる血管アクセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルを使用して体内に流体を投与し、および流体を体外へ排出する注入療法は、医療処置において長年行われてきた標準的な施術である。病院、在宅ケア、および他の患者を含む、様々な状況での患者は、患者の血管系に挿入される血管アクセス装置を介して、体液、医薬品および血液製剤を受け入れている。種々のタイプおよび大きさのカテーテルが、これらに限定されないが、感染の治療、麻酔または鎮痛剤の提供、栄養補助剤の提供、癌性の成長の治療、血圧および心臓のリズムの維持、および他の臨床的に重要な用途を含む様々な手順で、医師によって広く使用されている。しかしながら、カテーテルの閉塞は、医療処置および処理において、カテーテルを使用するときに経験する頻繁な合併症である。カテーテルのキンク(捩れ)は、流体容量の配送速度の低下をもたらし、そして多くの場合、流体の停滞および流体の損失を伴うカテーテル壁の破裂を引き起こす。
【0003】
静脈内治療は、患者の血管系の外側に配置される血管アクセス装置(血管外装置)によって促進される。患者の末梢血管または中心血管系に直接または間接的に、アクセスすることができる血管外装置の例は、本出願人(Becton、Dickinson and Company)のBD Q-SYTE(登録商標)閉ループアクセス装置などの閉鎖型アクセス装置、シリンジ、分割隔壁装置、カテーテル、および静脈内(IV)流体チャンバを含んでいる。血管装置は、短期(日)、中期(数週間)、または長期(数月から数年)の間、留置し続けてもよい。血管アクセス装置は、連続的な注入療法または間欠的な治療のために使用されてもよい。
【0004】
一般的な血管アクセス装置は、患者の静脈に挿入されるプラスチック製のカテーテルである。カテーテルの長さは、末梢アクセス用の2、3センチメートルから中心アクセス用の数センチメートルまで変化し得る。カテーテルは、カテーテルの使い易さ、アクセス可能性および有用性を助けるために、通常、カテーテルアダプタに組み込まれている。カテーテルアダプタは、一般に、カテーテルの一端部がカテーテルアダプタによって支持され、そして、カテーテルの本体および先端部がカテーテルアダプタの第1の端部を越えて延びるように、カテーテルの一端部を収容するべく適合されている剛性のプラスチック製の管状部材である。カテーテルアダプタは、一般に、カテーテルとともに使用するための追加の注入構成要素を受け入れるべく適合されている第2の端部をさらに含んでいる。例えば、カテーテルアダプタの第2の端部は、取り付けられたカテーテルを介して患者の血管構造へのアクセスを提供するべく、静脈ラインを取り付けるための、またはシリンジをカテーテルアダプタに連結するための一組のねじ山を含むことができる。
【0005】
カテーテルは、経皮的に挿入されてもよい。経皮的に挿入されるとき、カテーテルの挿入は、通常、導入ニードルによって補助される。導入ニードルは、通常、ニードルのゲージがカテーテルの内径に近似するように、カテーテルの管腔内に収容されている。ニードルは、ニードルが患者の静脈を貫通し、そして、カテーテル挿入用の開口部をもたらすべく用いられ、ニードルの先端部がカテーテルの先端を越えて延在するように、カテーテル内に配置されている。
【0006】
患者への挿入中、ニードルとカテーテルは、一般に、約30°の角度で患者の静脈に接近し、そして、ニードルは最初に患者の表皮を穿刺し、次いで静脈内に継続する。ニードルとカテーテルの先端部が患者の静脈内に入ると、ニードルとカテーテルが患者の静脈とほぼ平行な位置にもたらされるように、ニードルとカテーテルが再配置され、その結果、ニードルとカテーテルが患者の静脈の内腔に挿入され得る。カテーテルが患者の静脈内に適切に配置されたとき、ニードルはカテーテルの内腔から除去され、そして、カテーテルアダプタは、カテーテルの早期除去を防止するべく、患者に固定される。
【0007】
典型的には、カテーテルアダプタは、テープおよび/または他の適切な固定装置および/または固定用包帯を介して、カテーテルアダプタを患者の皮膚に固定することによって、患者に固定される。カテーテルアダプタを患者の皮膚に固定するとき、カテーテルアダプタを直に出ているカテーテルの根元領域は、カテーテルアダプタの固定された概ね平行な向きからカテーテルの挿入角度へのカテーテルの移行に対応するように、約30°の角度のアーチ状にならねばならない。
【0008】
一般的な実務では、カテーテルの過渡的なアーチ状を可能にするべく、カテーテルの延長部が患者とカテーテルアダプタとの間に残されるように、カテーテルを患者に挿入されることを提供している。この露出された、アーチ状に変形可能なカテーテルの長さが、カテーテルを患者の皮膚に向けて付勢し、かくて、
カテーテルの根元部分は、てこ作用の力を経験する。というのも、カテーテルはてことして働き、カテーテルアダプタの第1の端部が支点として働き、カテーテルの根元領域に、上方への力を及ぼすからである。カテーテルアダプタの第1の端部のこの上方への力は、より硬いカテーテルアダプタに対して、カテーテルの根元領域の閉塞の可能性のために望ましくない。閉塞は、典型的には、カテーテルアダプタの固定位置に対する挿入角度を増加させて、患者および/またはカテーテルが動かされるときに起こる。例えば、カテーテルおよび/または患者の再配置が、カテーテルの患者へのさらなる挿入を生じさせると、患者とカテーテルアダプタとの間のカテーテルの変形可能な長さが減少し、挿入角度およびカテーテルの根元領域に固定されたカテーテルアダプタの上方への力を増加させる。挿入角度が増加するにつれて、カテーテルアダプタの上向きの力もまた、カテーテルの壁の構造的剛性が克服されるまで、増加し、カテーテルのキンクを生じさせる。
【0009】
カテーテルの閉塞は望ましくない。というのも、閉塞は、カテーテルを通る流れを遅くしたり停止させたりして、注入システムの機能不全および/または損傷を引き起こす可能性のある、望ましくない背圧を生成させるからである。さらに、閉塞は、注入システムの効率を低下させ、患者への治療または診断処置に悪影響を及ぼし得る。さらに、露出したアーチ状のカテーテル部分は汚染され、患者に健康上の危険をもたらす可能性がある。例えば、カテーテルの露出された部分が汚染され、その後、患者および/または臨床医による通常の使用のために、患者および/またはカテーテルが再調整されるとき、患者に挿入される可能性がある。汚染の可能性および患者へのその後の曝露を減少させるために、臨床医は、最初にカテーテルを患者に過剰に挿入することによって、露出されるカテーテルの長さを最小化しようとする。露出されるカテーテルの長さを短縮することによって、カテーテルアダプタの第1の端部の上向きの力が増加され、カテーテルの根元領域内での閉塞の可能性を増大させている。
【0010】
カテーテルおよび/または患者の汚染は、明白な理由のために望ましくない。最も明らかことは、汚染が、二次感染および/または治療する医師に予期せぬ合併症を引き起こす可能性があることである。さらに、汚染されたカテーテルは、患者がさらに必要な治療を受けることができないような、患者の一次療法と矛盾する可能性のあるウイルスおよび/または細菌を患者に導入するかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、カテーテルを支持することができるキンク耐性のカテーテルアダプタtが、閉塞の可能性を低減し、最小の流体容量の配送速度を維持することができるので、望まれている。血管アクセス装置にキンク耐性のカテーテルを設けるべく様々な試みがなされてきたが、流体の供給中に曲げられたりしたとき、カテーテルのキンクへの感受性を低下させる血管アクセス装置を提供する必要性が依然として存在している。装置の寿命を通しての開通性および流体速度を維持する利点を提供しながら、患者の静脈への浸透の容易性を増加させる、キンク耐性のカテーテルアダプタを提供することもまた望ましい。また、カテーテルを支持するとき、カテーテルは急勾配の挿入後に皮膚に対して平らに固定されるので、皮下注射に有用であり得るより急勾配の挿入角度を可能にする血管アクセス装置に対する必要性も存している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の実施形態は、撓曲部分を含んでいるカテーテル、および、遠位端部、近位端部、遠位端部から近位端部に延在する全長、内部空洞、上側部分、下側部分、およびカテーテルが貫通して延在する周囲を有する、カテーテルアダプタの先端開口部を有する遠位先端部を有するカテーテルアダプタを備える血管アクセス装置に関係している。テーパ領域は、カテーテルを通る流れを制限することなくカテーテルの挿入角度を提供するべく、カテーテルの撓曲部分を支持する。テーパ領域は、カテーテルに対して円錐形の逃げを提供する。全長は、上側部分および下側部分において実質的に等しく、そしてテーパ領域は全長よりも短い。
【0013】
一実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の下側部分の内部湾曲部が、面取り部を画定している。さらに別の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の下側部分の内部湾曲部は、丸味を帯びているか、または、トランペット形状である。
【0014】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の下側部分が、遠位先端部から遠ざかるにつれて徐々に減少する、遠位先端部における半径を画定している。1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の上側部分は、遠位先端部から延びる内部湾曲部を含まない。
【0015】
血管アクセス装置は、中心静脈カテーテル、末梢に挿入された中心カテーテル、末梢静脈カニューレ、動脈カテーテル、または中間線カテーテルであってもよい。 カテーテルの一部分は、カテーテルアダプタの内部空洞内に収容されている。カテーテルは、カテーテルアダプタに固定して取り付けられている。
【0016】
一実施形態では、挿入角度は、約1°ないし約60°の範囲内である。特定の実施形態では、挿入角度は、約15ないし45°である。
【0017】
一実施形態では、上側部分の半径は、下側部分の半径に対して非対称である。
別の実施形態では、カテーテルアダプタの上側部分は、カテーテルに対して接線方向に向けられている。
【0018】
一実施形態では、アダプタの下側部分の内部湾曲部は、カテーテルアダプタの先端開口部の周囲の一部分にわたって延在し、90°ないし360°の範囲の角度を形成する円弧を画定する。特定の実施形態では、角度が、180°ないし360°の範囲である。
【0019】
血管アクセス装置は、内部空洞内に導入ニードルをさらに備え、ニードルは、遠位端部と、近位端部と、導入ニードルの近位端部に接続されたニードルハブとを有している。
【0020】
血管アクセス装置は、カテーテルアダプタから延び、カテーテルアダプタの内部空洞と流体連通する延長チューブ、および、ルアーアクセス、血液制御隔壁、換気体および導入ニードルのノッチの少なくとも1つを、さらに備えている。
【0021】
一実施形態では、血管アクセス装置は、カテーテルアダプタから半径方向外向きに延びるウィング要素を、さらに備えている。ウィング要素は、カテーテルアダプタの一方の側から延びる第1のウィング部材を備えている。さらに別の実施形態において、ウィング要素は、カテーテルアダプタの一方の側と反対側に延びる第2のウィング部材をさらに備えている。
【0022】
一実施形態では、カテーテルアダプタの少なくとも一部分は、第1の材料から作られ、そして遠位先端部の少なくとも一部分は、第1の材料よりもより可撓性である第2の材料から作られている。さらに別の実施形態では、カテーテルアダプタの少なくとも大部分が第1の材料から作られ、そして遠位先端部の少なくとも一部分が第1の材料よりもより可撓性である第2の材料から作られている。1つ以上の実施形態では、遠位先端部は、カテーテルのための支持部を提供するべく、カテーテルアダプタの先端開口部から延在する可撓性でキンク耐性の延長部を含んでいる。
【0023】
一実施形態では、ニードルは、遠位先端部に斜面をさらに含み、ニードルの斜面は、円錐形の逃げに対して非対称の向きに配向されている。
【0024】
1つ以上の実施形態において、上側部分は、テーパ領域を画定する内部湾曲部を有するカテーテルアダプタの先端開口部がない。
【0025】
本開示の別の態様は、カテーテル内での制限された流れを防止するための装置に関する。一実施形態では、装置は、遠位端部と、近位端部と、遠位端部から近位端部まで延びる全長と、内部空洞と、上側部分と、下側部分と、撓曲部分を含んでいるカテーテルが貫通して延びるカテーテルアダプタの先端開口部を有する遠位先端部とを有するカテーテルアダプタを備えている。全長は、上側部分および下側部分において実質的に等しい。アダプタの下側部分は、カテーテルの撓曲部分を患者への所望の挿入角度で支持し、且つカテーテルのキンクを防止するべく湾曲面を有している。1つ以上の実施形態では、カテーテルに接触するアダプタの上側部分は、カテーテルの患者への挿入中にカテーテルの剛性を維持するべく実質的に真っ直ぐな表面および一定の厚さを有している。
【0026】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の上側部分は、断面において、0°から270°の範囲の角度を形成する半円弧を画定し、そして、カテーテルアダプタの先端開口部の下側部分は、断面において、部分的な楕円を画定している。1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部の下側部分は、0°から270°の範囲の角度を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1の実施形態によるカテーテルアダプタの斜視図である。
【
図2】
図2は、血管アクセス装置の一実施形態の部分断面図であり、装置のカテーテルが患者に挿入されている。
【
図3】
図3は、面取りされた開口部を含んでいるカテーテルアダプタの断面図である。
【
図4】
図4は、血管アクセス装置の一実施形態の部分断面図であり、装置のカテーテルが患者に挿入され、そしてカテーテルアダプタ先端部が下側部分に輪郭を描かれている。
【
図5】
図5は、面取りされた開口部を含んでいるカテーテルアダプタの部分断面図である。
【
図6A】
図6Aは、一実施形態によるカテーテルアダプタ先端部の断面輪郭を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、一実施形態によるカテーテルアダプタ先端部の断面輪郭を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、一実施形態によるカテーテルアダプタ先端部の断面輪郭を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施形態によるカテーテルアダプタを含んでいる血管アクセス装置の1つ以上の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、提供される説明は、以下の説明に記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本明細書で説明される装置は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施されるか、実行されることが可能である。
【0029】
この開示では、装置の遠位端部が患者に最も近い端部であり、装置の近位端部が患者から遠くに離れて施術者に最も近い端部であるという慣例に従う。
【0030】
本開示は、様々な血管アクセス装置を提供するためのニードルを含んでいるニードルハブアセンブリのような他の構成要素と組み合わせて使用され得る、カテーテルアダプタの様々な実施形態を記載する。1つ以上の実施形態による血管アクセス装置には、中心静脈カテーテル、末梢に挿入される中心カテーテル、末梢静脈カニューレ、動脈カテーテル、および中間線カテーテルが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
図面を参照するに、いくつかの図を通して、同様の参照符号は同様の部分を示している。
図1~6は、カテーテルアダプタ20を示し、そして
図7は、本開示の1つ以上の実施形態によるカテーテルアダプタを利用する血管アクセス装置10の非限定的な例を図示している。
【0032】
図1~
図5に示されるように、
図7に関して以下にさらに説明されるハブアセンブリと組み立てられ得るカテーテルアダプタ20は、近位端部14、遠位端部16および撓曲部分21を有するカテーテル12を含んでおり、カテーテルアダプタ20は、遠位端部22および近位端部24、内部空洞26、上側部分28、下側部分30、およびカテーテル12が貫通する周囲を有するカテーテルアダプタの先端開口部34を有するアダプタの先端部32を有している。
図2および
図3に示されるように、カテーテルアダプタ20は、カテーテル12の近位端部14に接続されている。カテーテルアダプタ20は、アダプタの先端部32からカテーテルアダプタの長さ「L」を画定する近位端部24まで延在している。導入ニードル36は、カテーテル12を通して延在している。ニードルハブ40は、導入ニードル36の近位端部38に接続されている。
【0033】
図2~
図5に示されるように、カテーテルアダプタの全長Lは、上側部分および下側部分で実質的に等しく、そして、カテーテルアダプタの先端開口部34は、カテーテルアダプタの上側部分ではなくカテーテルアダプタの下側部分の表面35に、テーパ領域を画定する内部湾曲部を有し、表面35におけるテーパ領域は、全体の長さよりも短く、カテーテルを通る流れを制限することなく、カテーテルの挿入角度を提供するべく、カテーテルの撓曲部分を支持する。カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の表面35における内部湾曲部は、面取りを画定している。
【0034】
図3に最もよく示されているように、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分は、遠位先端部において、遠位先端部から近位方向に遠ざかるにつれて徐々に減少するに半径「R」を画定している。言い換えれば、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分は表面35を有するので、半径Rは、先端から近位方向に離れた距離の位置で測定される半径よりも、先端の最も遠位の部分においてより大きい。したがって、半径Rは、開口部の半径が近位方向にアダプタの先端部32からさらに離れた位置で測定されるにつれて、連続的に減少する。1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部34の上側部分は、遠位先端部から延びる内部湾曲部を含んでいない。上側部分の半径は、下側部分の半径に対して非対称であってもよい。1つ以上の実施形態において、カテーテルアダプタの上側部分は、カテーテルに対して接線方向に向けられている。
【0035】
図3~5に示されるように、1つ以上の実施形態において、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の表面35における内部湾曲部は、面取り部を画定している。さらに別の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の表面35における内部湾曲部は、丸味を帯びた形状またはトランペット形状である。1つ以上の実施形態では、アダプタの下側部分の表面35における内部湾曲部は、カテーテルアダプタの先端開口部34の周囲の一部分にわたって延び、90°ないし270°の範囲の角度を形成する円弧を画定している。特定の実施形態では、角度は180°ないし270°の範囲である。
【0036】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタ20は、カテーテル12内の制限された流れを防止する装置の一部であってもよい。装置は、上述されたように、遠位端部22と、近位端部24と、遠位端部から近位端部まで延在する全長Lと、内部空洞26と、上側部分28と、下側部分30と、撓曲部分21を含んでいるカテーテルが貫通して延在するカテーテルアダプタの先端開口部34を有する遠位先端部32と、を有するカテーテルアダプタ20を含んでいる。ここで、全長は、上側部分および下側部分において実質的に等しく、アダプタの下側部分は、カテーテルの撓曲部分を患者への所望の挿入角度で支持し、且つカテーテルのキンクを防止するべく湾曲表面を有しており、アダプタの上側部分は、患者の体内へのカテーテルの挿入中にカテーテルの剛性を維持するべく、実質的に真っ直ぐな表面および一定の厚さを有するカテーテル12と接触している。1つ以上の実施形態においては、カテーテルアダプタの先端開口部34の上側部分は、90°から180°の範囲の角度を形成する半円弧を、断面において画定している。1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分は、部分的な楕円を、断面において画定している。
【0037】
カテーテル12は、一般に、長さを有する均一な厚さのシャフトを備えている管状で可撓性である。カテーテル12は、内腔44をさらに含んでいる。内腔44の直径は変化してもよく、静脈内流体源からの所望の流速および/または圧力に適応するように選択される。カテーテル12は、14ないし26ゲージであってもよい。
【0038】
図2および
図4に示されるように、カテーテル12は、撓曲部分21をさらに含んでいる。撓曲部分21は、カテーテルアダプタの先端開口部の第1の端部と患者52のカテーテル挿入部位51との間にカテーテルの非挿入部分として画定されている。長さは、カテーテル12の撓曲部分21とカテーテルの先端部31との間の距離によって画定される。カテーテルアダプタ20の第1の端部に近接する撓曲部分21が閉塞しやすい。これは、カテーテル12がカテーテルアダプタのほぼ水平な平面に対して独立して移動されたときに、カテーテルアダプタの第1の端部が、撓曲部分21に上向きの力を及ぼすからである。非挿入カテーテルの長さ、したがって最大挿入点は、カテーテルの十分な長さが挿入されないままであるように選択される。このことは、カテーテルの撓曲部分が、カテーテルアダプタから挿入部位への移行の際に緩やかに曲がるのを許容し、それにより、カテーテルの過剰挿入による閉塞を防止している。
【0039】
1つ以上の実施形態において、カテーテル12は、機械的静脈炎および浸潤を減少させるように設計された生体適合材料から作製され得る。1つ以上の実施形態では、カテーテル12はポリウレタンから製造されてもよい。特定の実施形態では、生体適合材料は、血管抵抗性を提供し、カテーテルの留置時間を改善しながら、患者の快適性を増大させるために、血管静脈または動脈において70%まで軟化するポリウレタンであってもよい。
【0040】
カテーテル12はさらに、カテーテルの先端部31を含んでいる。カテーテルの先端部31は、導入ニードル36のためのクリアランスを提供するべく選択されたカテーテル開口部46を含んでいる。導入ニードル36は、カテーテルアダプタのカテーテルを通って、同軸に延在している。カテーテル開口部46の直径は、導入ニードル36の外面とカテーテル開口部46の内面との間の最小公差を提供するべく選択される。このように、カテーテルの先端部31は、患者の静脈64内への十分な大きさのアクセス経路を提供することができる。導入ニードル36は、遠位先端部に斜面(ベベル(bevel))をさらに含んでいてもよい。ニードルのベベルは、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の表面35における、円錐形の逃げ又は内部の湾曲部に関して、非対称の向きに配向されてもよい。
【0041】
1つ以上の実施形態では、アダプタの先端部32の下側部分が、カテーテルが貫通する周囲を有する遠位開口部を有する先端部を含み、遠位開口部を出るカテーテルが、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の表面35における内部湾曲部によって、柔軟に支持される。
図3~
図5は、一体成型された先端部カテーテル移行キンク耐性機構の支持領域を示している。カテーテルアダプタの先端開口部34は、上側部分ではなく、下側部分にテーパ領域を画定している内部湾曲部を有する表面35を含み、テーパ領域は、カテーテルを通る流れを制限せずに、カテーテルのための挿入角度を提供するべく、カテーテルの撓曲部分を支持する。テーパ領域は全長よりも短い。カテーテルの挿入後、テーパ領域は、カテーテルを通る流れを制限することなく、カテーテルのための挿入角度での過渡的な支持部を提供する。カテーテルアダプタの先端開口部34は、急勾配のまたは緩やかな挿入角度を含むことができる。
図4は、一体成型された先端部のカテーテル移行キンク耐性機構の支持領域を示している。下側部分においてテーパ領域を画定している内部湾曲部は、カテーテルアダプタ20を出る際に現行のカテーテルが経験している方向における支持されない急激な変化を排除し、それによって、カテーテル12の局所的な応力を最小限に抑え、その結果、カテーテルを潰し且つ捻ることおよび流体流を閉塞する機会を最少にしている。
【0042】
もう1つの実施形態では、カテーテルアダプタの全長Lは、上側部分および下側部分で実質的に等しく、カテーテルアダプタの先端開口部34は、テーパ領域を画定する内部湾曲部を有し、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分の内部湾曲部は、面取り部を画定している。
【0043】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタ20は概して管状である。カテーテルの一部分は、カテーテルアダプタの内部空洞内に収容されている。カテーテル12は、業界標準の方法を用いてカテーテルアダプタ20に組み込まれる。カテーテルアダプタ20はさらに、近位端部24と遠位端部22との間に延在する本体48を含んでいる。1つ以上の実施形態では、カテーテルは、流体密封方式でカテーテルアダプタに固定して取り付けられている。このように、静脈内流体源からの流体は、中断されることなく、内腔44を通ってカテーテル12内に流れることができる。カテーテルアダプタの遠位端部22は、概してテーパ状であり、カテーテル12が貫通して延在するカテーテルアダプタの先端開口部34を含んでいる。近位端部24は、概して、カテーテルの内腔44へのアクセスのためのアクセスポート54を含んでいる。アクセスポート54は、流体および薬物の投与のための複数の選択肢を提供する二重アクセスポートであってもよい。
【0044】
カテーテルアダプタの追加の特徴は、カテーテルアダプタから延び、且つカテーテルアダプタと流体連通する横方向のアクセスポート56を含むことができる。延長チューブ60が、制御されたフラッシュバックを可能にするべく、横方向のアクセスポート56に取り付けられてもよい。横方向のアクセスポート56は、静脈内流体源とカテーテルアダプタの内部空洞26またはカテーテルの内腔44との間の流体連通を確立させるために、延長チューブ60のある区分に接続されてもよい。
【0045】
1つ以上の実施形態では、延長チューブ60が、アダプタの内部空洞との流体連通を確立するべく、カテーテルアダプタの横方向のアクセスポートまたは近位端部から延在している。延長チューブは、カテーテルアダプタの本体と一列に又は並列に延在していてもよい。延長チューブは、挿入部位での操作を排除することによって、汚染および機械的静脈炎を減少させるべく、組み込まれてもよい。延長チューブは、高圧注入に適合していてもよい。延長チューブは、カテーテルを患者の静脈内に前進させる間に、血管へのアクセスの確認を連続的に提供する。
【0046】
カテーテルアダプタ20はまた、カテーテル12を患者に挿入するための導入ニードル36を収容するように構成されてもよい。1つ以上の実施形態では、導入ニードル36は、第1の穿刺の成功を改善するために、挿入点における血管への進入の即座の確認を提供するべく、ノッチ58を含んでいる。
【0047】
図1および
図7に示されるように、カテーテルアダプタ20の1つ以上の実施形態は、ウィング要素62を含んでいてもよい。ウィング要素62は、カテーテルアダプタ20に取り付けられ、カテーテルアダプタ20から半径方向外側に延在している。
【0048】
1つ以上の実施形態において、ウィング要素62は、カテーテルアダプタ20の一方の側から延びる第1のウィング部材68を含んでいる。さらに別の実施形態では、ウィング要素は、カテーテルアダプタ20の一方の側から第1の方向に延びる第1のウィング部材68と、第1の方向とは反対の方向に延びる第2のウィング部材70とを含んでいる。1つ以上の実施形態では、第1のウィング部材68および第2のウィング部材70は一体成形されている。しかしながら、第1のウィング部材68と第2のウィング部材70とは、一体的に成形される必要はなく、これらの構成要素の各々が、同じ材料または異なる材料から別々に成形されてもよい。さらに、第1のウィング部材68および第2のウィング部材70は、ウィング要素62を形成するために、連続した部品片として示されているが、第1のウィング部材68および第2のウィング部材70は別々の部品片であってもよい。加えて、1つ以上の実施形態によれば、ウィング要素は、第1のウィング部材68または第2のウィング部材70のいずれかの、単一のウィング部材からなることができる。第1のウィング部材68および第2のウィング部材70は、カテーテルの安定性を高め、したがって留置時間を増加させる。
【0049】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタ20の少なくとも一部分が第1の材料から作られ、アダプタの先端部32の少なくとも一部分は、第1の材料よりもより可撓性のある第2の材料から作製される。特定の実施形態では、カテーテルアダプタ20の少なくとも大部分が第1の材料から作られ、アダプタの先端部32の少なくとも一部分は、第1の材料よりもより可撓性のある第2の材料から作製されている。本明細書で使用される「大部分」は、ウィング要素を除いて、カテーテルアダプタの体積の50%を超えることを意味する。第1の材料の量を決定するために、第1の材料の全体積が決定され、ウィング要素を除く第2の材料の全体積が決定され、そして、カテーテルアダプタの全体積が、第1の材料の体積とウィング要素を除いた第2の材料の体積とを加えて決定される。第1の材料のパーセントは、第1の材料の体積をカテーテルアダプタの総体積で割って除算することによって決定される。
【0050】
1つ以上の実施形態では、ウィング要素およびカテーテルを除くカテーテルアダプタは、ポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリプロピレンの1つまたは複数から選択される硬質ポリマー材料から作製することができる。1つ以上の実施形態では、第1のウィング部材68および第2のウィング部材70が、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性加硫ゴムエラストマー(TPV)、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、ポリイソプレン、またはシリコーンの1つ以上から選択される柔軟で可撓性のポリマー材料から作製されてもよい。1つ以上の実施形態において、第2の材料は、30ショアAないし90ショアDの範囲のデュロメータ値を有し、好ましい範囲は、50ないし90ショアAである。デュロメータ硬度は、試験方法ASTM D2240のもとで測定することができる。
【0051】
ここで
図2を参照するに、カテーテルアダプタ20がほぼ水平の向きで示されている。使用時には、カテーテルアダプタ20は患者に固定され、そしてカテーテルの先端部31が患者の血管系に挿入されている。カテーテル12は、所定の挿入角度53で患者の血管系内に配置され、挿入されている。挿入角度53は、カテーテルのチューブがカテーテルアダプタの内径(ID)の底部湾曲面に対して下方に付勢されているとき、アダプタのカテーテルアダプタ先端開口部34におけるカテーテルの出口角度によって画定される。挿入角度53は、カテーテルを患者の血管系に導入するのに必要な任意の角度を含むことができる。例えば、挿入角度53は、1°ないし60°の範囲内で選択されてもよく、好ましい挿入角度の範囲は、15°ないし45°である。
【0052】
カテーテル12の挿入に続いて、カテーテルの撓曲部分21が、カテーテルアダプタ20からカテーテル挿入部位51へのカテーテル12の移行に対応するべく、概してアーチ形状に曲げられる。この特徴部はまた、急勾配な挿入後に、皮膚に対して平らに固定されるので、カテーテルを支持するような皮下注射に対して有用である、急勾配の挿入角度を可能にする。
【0053】
カテーテルを挿入部位に挿入すると、カテーテルはより高いてこ力を経験する。このように、カテーテルはてことして機能し、カテーテルアダプタの剛性の第1の端部が、カテーテルに上向きの力を及ぼす支点として作用する。カテーテルが挿入部位にさらに挿入されると、カテーテルの上向きの力は、カテーテルの捩れおよび閉塞を防止するべく、カテーテルの下側部分にテーパ領域を画定する、カテーテルアダプタの先端開口部34の内部湾曲部によって消散され、したがって、装置の寿命を通して開通性および流速を維持する。これは、末梢静脈カテーテル(PIVC)、末梢に挿入される中心カテーテル(PICC)または中心静脈カテーテル(CVC)を含む留置の血管アクセス装置から血液を採取する場合に、特に有用である。
【0054】
1つ以上の実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部は、カテーテルアダプタの遠位端部とカテーテルの撓曲部分との間の公差が増加されるように、面取りされている。したがって、カテーテルがカテーテルアダプタの先端開口部に接触する前に、カテーテルの撓曲部分がより急激に曲がることができ、その結果、閉塞に至る。一実施形態では、カテーテルアダプタの先端開口部は、ほぼ水平面に対し90°未満の角度で面取りされている。面取りされた開口部は、先端開口部とカテーテルとの遅れた接触のせいで閉塞が生じる前に、より長い長さのカテーテルが挿入されることを可能にする。したがって、カテーテルの撓曲部分が患者にさらに挿入されるにつれ、撓曲部分は、先端開口部に接触して旋回する前により大きな程度にまで曲がるのが許容され、撓曲部分でのカテーテルの閉塞に至る。
【0055】
表面35における湾曲の程度は、挿入角度を所望の範囲内に維持する際に、カテーテルの撓曲部分を支持するべく選択される。この実施形態では、カテーテルの撓曲部分21は、カテーテルアダプタの先端開口部34の丸味を帯びた、湾曲した、または面取りされた下側部分の輪郭を覆い且つそれに沿って曲げられている。撓曲部分は、閉塞を回避し且つ最適な挿入度を維持するために、カテーテルに必要な湾曲度を維持する際に、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分によって支持される。丸味を帯びた、湾曲した、または面取りされた開口部は、カテーテルが、カテーテルの遠位端部の最小限の上向きの力で、患者に最大限に挿入されるように、カテーテルアダプタの遠位端部の支点機能をカテーテルの撓曲部分において最小にする。これにより、閉塞の可能性が最小限に抑えられる。撓曲部分は、穏やかなアーチを形成し、かくて、カテーテル12の過剰挿入によるカテーテル12の閉塞を防止することができる。挿入されていないカテーテルの長さ、したがって、最大挿入の点は、カテーテル12の十分な長さが挿入されないまま残るように選択される。下側部分におけるカテーテルアダプタの先端開口部34の内部湾曲部は、アダプタから患者の体内へのカテーテルの方向および角度変化のための構造的支持部を提供し、それにより、現行のカテーテルがカテーテルアダプタを出る際に経験する方向における急激な変化を排除している。したがって、下側部分におけるカテーテルアダプタの先端開口部34の内部湾曲部は、局部的な応力および潰れおよび捩れの可能性を最小にしている。カテーテルの挿入後、テーパ領域は、カテーテルを通る流れを制限することなく、カテーテルの挿入角度での過渡的な支持部を提供する。このことは、カテーテルアダプタから挿入部位への移行の際に、カテーテル12の撓曲部分が緩やかに曲がるのを許容し、それにより、カテーテルの閉塞を防止する。
【0056】
カテーテルアダプタの先端開口部34の内部湾曲部の形状および輪郭は、局部的な応力を低減し、そして、カテーテルの角度方向の変化に対する構造的支持部を提供するべく、個々の大きさのカテーテルごとに、所与の挿入深さdに対して、最適化される。
図5に示された上述の実施形態では、湾曲部が、カテーテルアダプタの内径の反対側の断面象限から延び、患者の方向に下方に移行している。カテーテルアダプタの先端開口部の上側部分28は、湾曲しておらず、カテーテルの挿入プロセスの間、上向きの曲がり支持部を提供している。挿入ニードルの挿入および除去の際、下側部分におけるカテーテルアダプタの先端開口部34の内部湾曲部は、ある角度で挿入されていたアダプタおよびカテーテルが、過度の局所的な応力および突然な方向的変化を伴わずに、患者の皮膚に対して平らに置かれるのを許容する。
図5に示されるように、カテーテルアダプタの先端開口部34の下側部分における内部湾曲部は、カテーテル(破線で示す)が急勾配の挿入角度の後に、患者に固定されるときの突然の角度変化の影響を減少させ、カテーテルアダプタの鼻部の出口でのカテーテルのキンクの危険性を低減させている。
【0057】
1つ以上の実施形態によるカテーテルアダプタは、カテーテルアダプタの先端開口部34において、様々な断面の遷移を提供することができる。断面の遷移は、カテーテルの曲がりの潜在的な方向に応じて、カテーテルに対して意図された湾曲支持部を提供するように変化されてもよい。1つ以上の実施形態によるこの断面の遷移の特徴は、注入手順の間の、カテーテルのチューブのキンクおよび装置を通る患者への流れのみならず、開通をチェックしている間に、患者から装置を通して血液を採取するための流れを制限する危険性を低減する。
図6A、
図6Bおよび
図6Cに示される例は、内径の底部分にのみ湾曲部が存在しているが、完全に丸い内径の湾曲部(例えば、トランペット形状)または任意の数の回転または軸方向に変化する遷移部を含む多くの他の代替が存する。
図6A、
図6Bおよび
図6Cは、カテーテルの先端部の断面輪郭の3つの非限定的な例を示しており、カテーテルの出口開口部におけるカテーテルアダプタの先端部の図である。
図6Aは、下側部分に面取りされた表面35aを有しているアダプタの第1の修正された先端開口部34aを示している。
図6Bは、下側部分に湾曲された面35bを有している第2の変形されたアダプタの先端開口部34bを示している。
図6Cは、下側部分に丸味を帯びた表面35cを有している第3の変形されたアダプタの先端開口部34cを示している。
【0058】
1つ以上の実施形態において、カテーテルアダプタは、カテーテルのための支持部を提供するべく、カテーテルアダプタの先端開口部から延在する可撓性でキンク耐性の延長部を含んでいる。
【0059】
図1ないし
図6に関して説明されたカテーテルアダプタ20は、
図7に関して説明される血管アクセス装置の一部として使用することができる。
【0060】
図7に示されるように、カテーテルアダプタ18は、カテーテルアダプタ18と流体連通する追加の構成要素を有する血管アクセス装置10の一部であってもよい。
図7に示されるように、横方向のアクセスポート56は、静脈内流体源とカテーテルアダプタの内部空洞26またはカテーテルの内腔44との間の流体連通を確立するために、延長チューブ60の区分に接続されてもよい。1つ以上の実施形態では、延長チューブ60は、カテーテルアダプタの本体と一列にまたは並列に延びている。1つ以上の実施形態において、延長チューブ60は、挿入部位での操作を排除することによって、汚染および機械的静脈炎を低減するために組み込まれている。1つ以上の実施形態では、延長チューブ60は高圧注入に適合する。1つ以上の実施形態では、延長チューブ60は、カテーテルを患者の静脈64に前進させる間に、血管アクセスの連続的な確認を提供する。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ニードルハブアセンブリ50が、ニードルをカテーテル12の内腔44に挿入することによってカテーテルアダプタと組み立てられる。ニードルハブアセンブリは、様々な挿入技術を容易にするために、ニードルハブアセンブリ50の側面に配置された指グリップ84を含んでいるものとして示されている。1つ以上の実施形態では、使用者がニードル除去のために装置を把持する場所を示すために、指グリップ上にバンプが存在してもよい。1つ以上の実施形態では、緩やかな凸面を有する親指パッド85が、ニードルハブアセンブリ50の近位端部に設けられている。緩やかな凸面を有するフランジ86が、指パッドを提供するべく、ハブアセンブリの近位端部に設けられている。
【0062】
第1のウィング部材68、第2のウィング部材70、親指パッド85、およびフランジ86が、挿入中に使用者によって利用され、使用者がどの挿入技法を使用するかを選択することを可能にしている。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ニードルハブアセンブリ50は、ニードルシールド80を含んでいる。ニードルシールドは、使用後に、ニードルの先端部をシールド内に固定するように構成された設計であってもよい。1つ以上の実施形態では、ニードルシールドは、ユーザ技術に妥協するのを順守するのを保証するべく受動的に作動されてもよい。ニードル先端部は、固定位置において、ニードルシールドによって完全に覆われている。1つ以上の実施形態では、フェルール、クリンプまたは他の構造体が、特定の用途において、ニードルシールドとの係合のために先端部近くに含まれてもよい。
【0064】
挿入中のカテーテルの前進を容易にするべく、押しタブ81が設けられてもよい。押しタブはまた、片手または両手での前進を可能にする。1つ以上の実施形態において、押しタブは、ニードルシールドによって除去される。クランプ82もまた、アクセスポートを交換するときに血流を防止するべく、延長チューブに含められてもよい。
【0065】
導入ニードルの近位端部は、導入ニードルの近位端部の周りに流体密封シールを提供するべくクリンプされてもよい。導入ニードルは、導入ニードルをハブに固定するために、接着され、または機械的インターロックが形成されてもよい。
【0066】
1つ以上の実施形態では、血管アクセス装置10は、延長チューブ60と流体連通する第1のルアーアクセス72および第2のルアーアクセス73、第1のルアーアクセス72に関連する血液制御の分割隔壁74、および第2のルアーアクセス73に関連する換気体76をさらに含んでいる。分割隔壁74は、無制限の流れおよび直線の流体経路を提供しながら、カテーテル関連の血流感染(CRBSI)の減少を可能にし、且つ血液制御隔壁として機能する。1つ以上の実施形態では、分割隔壁74は、カテーテルアダプタの内部空洞またはカテーテルアダプタの遠位端部に配置されてもよい。さらに別の実施形態では、分割隔壁74は延長チューブ60の遠位端部に配置されてもよい。換気体76は、挿入中、空気がシステムから逃げることを可能にし、挿入中にシステムからの血液漏出を防止しながら、血管アクセスの連続的な確認をもたらす。1つ以上の実施形態では、換気体76は、延長チューブ60の遠位端部にあってもよい。
【0067】
本明細書を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「ある実施形態」という表現は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、材料または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「1つ以上の実施形態」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、または「ある実施形態では」というような表現の出現は、必ずしも同じ実施形態の開示を意味しない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0068】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明を与えたが、これらの実施形態は、本開示の原理および用途の単なる例示であることを理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の方法および装置に対して様々な変更および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等の範囲内にある変更および変形を含むことが意図されている。