(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】陰部神経刺激を介する膀胱制御のために患者をスクリーニングするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20220329BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20220329BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20220329BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
A61M25/10
(21)【出願番号】P 2018542221
(86)(22)【出願日】2017-02-13
(86)【国際出願番号】 US2017017733
(87)【国際公開番号】W WO2017139800
(87)【国際公開日】2017-08-17
【審査請求日】2020-01-08
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511227440
【氏名又は名称】インキューブ ラブズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イムラン, ミル
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0274310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257695(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0366462(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0249595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 - A61N 1/36
A61N 1/05
A61B 5/20
A61M 25/04
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰部神経治療のために、患者をスクリーニングするためのカテーテルであって、
遠位端と、近位端と、流体を前記近位端から前記遠位端に送達するための第1の管腔であって、遠位開口部を有する第1の管腔と、前記患者の膀胱から前記患者の外部への流体の流動のための第2の管腔とを有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端の近傍において前記カテーテル本体上に位置付けられ、前記患者の膀胱圧力を測定する第1の圧力センサと、
前記カテーテル本体の遠位端の近位の場所に位置付けられ、前記患者の尿道括約筋圧力を測定する第2の圧力センサと、
前記カテーテルの遠位端の近位の場所において前記カテーテル本体上に位置付けられ、電流を前記陰部神経に送達する少なくとも1つの電極と
を備え、
前記カテーテル本体は、前記患者の尿道を通して前進され、前記第1の圧力センサおよび前記カテーテルの遠位開口部を前記患者の膀胱内に位置付けるように構成され、
カテーテルがそのように位置付けられると、前記第1の管腔は、前記第1の圧力センサまたは前記第2の圧力センサによる前記患者の膀胱圧力もしくは尿道括約筋圧力の同時測定に顕著な影響を及ぼさずに、前記患者の膀胱の中への流体の流動を可能にするように構成され、前記第2の管腔は、排泄された流体が前記第2の管腔を通して前記患者の外部へ流動することを可能にするように構成され、
前記カテーテルは、前記送達される電流に応答して生成される生理学的応答に関する情報を測定するように構成され、前記情報は、排泄流体流動情報を生成するために、前記第2の管腔を通って流動する前記排泄された流体の流速を含み、
前記排泄流体流動情報は、前記送達された電流に対する前記生理学的応答を査定するために利用される、カテーテル。
【請求項2】
前記第1の管腔は、十分な半径方向剛性またはフープ強度を有し、前記第1の管腔の内側から前記カテーテル本体の外側への流体圧力からの力の伝達を最小限にする、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の管腔は、前記第1の管腔の内側から前記カテーテル本体の外側への流体圧力からの力の伝達を最小限にするように構成される補強編組を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1の管腔または第2の管腔の半径方向剛性は、
50~100N/mmの範囲内である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルは、男性尿路内に位置付けられるように適合され
る、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2の圧力センサは、2cmの長さを有し、前記カテーテルの遠位端から2.5~3.5cmに位置付けられる、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルは、女性尿路内に位置付けられるように適合され
る、請求項1~
6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第2の圧力センサは、1.5cmの長さを有し、前記カテーテルの遠位端から1.8~2.8cmに位置付けられる、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カテーテル本体は、エラストマ、シリコーン、またはポリウレタン、PTFE、ポリエチレン、またはPETを含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記少なくとも1つの電極は、対の双極電極を備え、
前記対の双極電極は、組織内に送達される電流の深度を前記陰部神経に標的化するように選択された距離に位置付けられる、請求項1~
9のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電極は、複数の電極であり、前記複数の電極は、前記遠位端の近位の場所に位置付けられる、前記カテーテル本体上の少なくとも
第1の電極および第2の電極
を備え、前記第1の電極および前記第2の電極は、異なる電流源に接続されるように構成され、前記第1の電極および前記第2の電極のそれぞれならびに前記第2の圧力センサは、前記カテーテルの遠位端が前記患者の膀胱内にあるとき、前記患者の尿道括約筋内にあり得るように位置付けられる、請求項1~
10のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記カテーテル本体上に位置付けられる展開可能アンカをさらに備え、前記アンカが前記膀胱の頸部に展開されると、前記少なくとも1つの電極が前記陰部神経に隣接し得
る、請求項1~
11のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記展開可能アンカは、前記カテーテル本体の遠位端の近傍に位置付けられ、前記展開可能アンカは、膨張可能バルーンを備える、請求項12に記載のカテーテル。
【請求項14】
患者における尿道機能不全を処置するための陰部神経治療のために、患者をスクリーニングするためのシステムであって、
請求項1~
13のいずれか一項に記載のカテーテル
を備え、前記少なくとも1つの電極は、複数の電極であり、前記複数の電極は、前記遠位端の近位の場所に位置付けられる、前記カテーテル本体上の少なくとも第1の電極および第2の電極を備え、前記システムは、
前記第1の電極および前記第2の電極に接続可能であるコントローラであって、前記コントローラは、前記患者の膀胱を収縮させるための低周波数電流を前記第1の電極に送達し、前記患者の尿道括約筋を開放させるための高周波数電流を前記第2の電極に送達する、コントロー
ラ
を備える、システム。
【請求項15】
前記コントローラは、圧力ディスプレイをさらに備え、前記圧力ディスプレイは、前記第1の圧力センサまたは前記第2の圧力センサのうちの少なくとも1つに接続可能であり、膀胱圧力または尿道括約筋収縮圧力のうちの少なくとも1つを表示する、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、感覚異常阻止電流を送達し、前記低周波数電流または前記高周波数電流から生じる感覚異常を阻止または低減させるようにさらに構成される、請求項
14または請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記カテーテル本体は、前記感覚異常阻止電流の送達のための第3の電極を含み、前記感覚異常阻止電流は、
3kHz~20kHzの範囲内の周波数を有する、請求項
16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年2月12日に出願された米国仮出願番号第62/294,613号(代理人書類番号42197-739.101)に基づく優先権の利益を主張しており;本出願はまた、2016年5月12日に出願された米国特許出願第15/153,314号の一部継続出願であり;これら出願の全体の内容は、参考として全体が援用される。
【0002】
本出願はまた、2017年1月19日に出願された,米国特許出願第15/410,692号に関連し、この出願は、すべての目的のために本明細書中に参考として援用される。
発明の背景
発明の分野。本発明は、医療装置および方法に関する。より具体的には、本発明は、麻痺および失禁患者をスクリーニングし、尿道機能を制御するために陰部神経刺激から恩恵を享受し得るかどうかを判定するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
多くの障害は、膀胱機能を自発的に制御する患者の能力の喪失をもたらし得る。最も一般に、脊髄傷害を患う患者は、自発的に排尿を制御する能力だけではなく、また、膀胱が充満するとき、それを感知する能力も喪失し得る。そのような患者は、通常、尿道を通して設置され、膀胱内に常駐する遠位先端を有する、排尿(フォーリー)カテーテルの慢性的使用に依拠する必要がある。そのようなフォーリーカテーテルは、感染症の一定リスクを提示し、これは、詰まったカテーテルを新しいカテーテルを交換する頻繁な必要性によって悪化される。さらに、フォーリーカテーテルは、通常、バッグの中にドレインし、これは、患者が、自宅または治療施設から離れるとき、搬送しなければならない。ドレインバッグを搬送する必要性は、多くの患者にとって有意な負担である。
【0004】
少なくとも部分的に、これらの問題を克服するために、非常に有望な新しいシステムが、提案されており、これは、患者およびその介護者が、陰部神経を選択的に刺激し、膀胱からの排泄を制御することを可能にする。そのようなシステムは、フォーリーカテーテルの必要性を排除することができ、例えば、米国特許公開第2014/0249595号(全開示が参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0005】
有意な進歩ではあるものの、そのような陰部神経刺激システムは、陰部神経の近傍への刺激電極の外科手術埋込を要求し、本システムは、常時、必ずしも成功するわけではなく、除去のために、第2の外科手術を要求し得る。
【0006】
これらの理由から、陰部神経の刺激を介して、排尿を制御するための改良されたシステムおよび方法を提供することが望ましいであろう。特に、患者の試験が、そのような陰部神経刺激が、効果的であって、埋込外科手術が保証され得る可能性を判定することを可能にし得る、装置および方法を提供することが望ましいであろう。
【背景技術】
【0007】
2.背景技術の説明。米国特許出願公開第2014/0249595号は、上記に説明される。また、米国特許出願公開第2014/0058284号、同第2014/0058588号、および同第2014/0309550号も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2014/0249595号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0058284号明細書
【文献】米国特許出願公開2014/0058588号号明細書
【文献】米国特許出願公開2014/0309550号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明の実施形態は、排尿を自発的に制御することができないか、または別様にその能力が低下した患者において、排尿を制御することが意図される神経刺激装置の埋込に先立って、患者を試験するための装置および方法を提供する。そのような患者は、麻痺患者または排尿を自発的に制御するその能力を妨害する尿道機能不全を有する任意の患者を含むことができる。本発明の特定の実施形態は、患者を試験し、患者が膀胱の排泄を制御することを可能にする、そのような埋め込まれた神経刺激治療から利益を享受するであろうかどうかを判定するためのデバイス、システム、および方法を提供する。排尿を制御するように意図される、神経刺激治療は、典型的には、陰部神経を刺激するための電極の埋込みと、コントローラと、コントローラと電極との間のケーブル導線または配線とを要求する。陰部神経を高周波数電流および低周波数電流で選択的に刺激することによって、膀胱は、収縮し、尿道括約筋は、開放され、フォーリーカテーテルを患者の尿道に常駐させる必要なく、排尿の制御を可能にすることができる。しかしながら、そのようなデバイスを埋め込む前に、患者が陰部神経刺激から利益を享受する可能性が高いかどうかを判定することが望ましいであろう。本発明の種々の実施形態は、刺激プロトコルが、膀胱を充填し、かつ刺激電流を陰部神経に印加し、尿道括約筋の弛緩および膀胱の収縮等、排尿プロセスに関わる1つまたはそれを上回る生理学的作用を誘起または生成することによって、膀胱の排泄を制御する能力を試験することの両方のために使用され得る、一時的に導入された尿道カテーテルを使用して、模倣されることを可能にする。本発明の実施形態は、特に、i)陰部神経の電気刺激を介して、排尿を制御および/または最適化するための選択されたシステムおよび/またはプロトコルが、所与の患者に関して排尿を制御する際に効果的あるかどうかを判定し、ii)電気刺激の1つまたはそれを上回る特性を調整または別様に調節し、陰部神経治療によって生成された尿道機能および/または制御を特定の患者のために最適化または別様に向上させるために有用である。そのような特性は、使用される電気刺激の周波数、電流、または電圧ならびにそのような刺激の波形のうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
【0010】
第1の側面では、本発明は、患者をスクリーニングし、患者が陰部神経刺激治療から利益を享受するであろう可能性を判定するための方法を提供する。カテーテルが、一時的に、患者の尿道を通して導入され、カテーテルの遠位端は、患者の膀胱に進入する。カテーテルは、膀胱を水または生理食塩水等の流体で充填するために使用され、カテーテル上の少なくとも1つの電極は、電流を、典型的には、患者の尿道括約筋内またはその近傍の患者の陰部神経に送達するために選択された場所において、尿道内に位置付けられる。低周波数電流が、患者の膀胱を収縮させるために、電極を使用して陰部神経に送達され、高周波数電流が、患者の尿道括約筋を開放させるために、陰部神経に送達される。患者は、低周波数電流および高周波数電流の送達が、膀胱を首尾よく収縮させ、尿道括約筋を開放することが可能であって、送達された電流に応答して、膀胱の中に導入された流体が排泄されることを可能にする場合、陰部神経治療から利益を享受する可能性が高いと見なされる。本方法のある側面では、カテーテルはさらに、膀胱内の圧力が測定されることを可能にする、第1の圧力センサを含み得る。通常、圧力センサは、カテーテルの遠位端またはその近傍にあって、膀胱の内側に横たわり得る。カテーテルの遠位端またはその近傍に位置付けられる、第1の圧力センサは、ユーザが、電流を送達し、膀胱の排泄を試験することに先立って、膀胱が充填され、標的圧力まで充填されるにつれて、膀胱圧力を監視することを可能にする。
【0011】
本発明の実施形態は、尿道機能を制御する際の陰部神経刺激の有効性を査定するために使用され得る、種々の電流送達方式を企図する。典型的には、高および低周波数電流が、並行して送達され得るが、非並行送達もまた、企図される。電流の送達は、同時に開始されてもよい。しかしながら、1つまたはそれを上回る実施形態では、一方は、他方の前に開始されてもよいか、そして/または一方は、他方の前に停止されることができる。例えば、電流送達方式の一実施形態によると、高周波数電流が、最初に、尿道括約筋を弛緩させるために送達されることができる。次いで、低周波数電流が開始され、選択期間にわたって維持されて膀胱を収縮させ、そこから排泄させる。低周波数電流は、次いで、選択された期間の後停止されるが、高周波数は尿道括約筋を開放したままにし、尿が、膀胱の任意の残留収縮に起因して、流動を継続することを可能にするために継続される。最後に、高周波数電流も停止され、尿道括約筋が閉鎖される。
【0012】
膀胱圧力、括約筋圧力、および観察される尿流動(質的および量的)のうちの1つ、2つ、または3つ全てが、治療の可能性として考えられる有効性を査定するために使用されてもよい。特定の実施形態では、これらのパラメータのうちの1つ、2つ、または3つ全てがまた、最適高周波数および最適低周波数電流のいずれかまたは両方を判定するために使用されてもよく、これは、後続治療において、選択および/または最大尿道流速を生成するために使用されてもよい。例えば、1つの特定の実施形態では、膀胱圧力および尿道流速の一方または両方が、特定の患者のための治療用低および/または高周波数電流、すなわち、続いて埋め込まれる、治療用デバイスによって使用され得る低または高周波数を事前に選択するために使用されることができる。別の実施形態では、尿道流速および尿道括約筋圧力の一方または両方が、そのような事前選択のために使用されることができる。このように、埋め込まれた治療用デバイスの選択および/または設定は、電極、ワイヤコントローラ等の任意の埋め込まれたデバイスをそれらが有する前に、最大尿道機能を各患者に提供するために最適化されることができる。
【0013】
本発明の他の実施形態では、少なくとも2つの電極が、カテーテル上に位置付けられ、電流を陰部神経に送達し得る。第1の電極は、低周波数電流を送達するように構成され、第2の電極は、高周波数電流を送達するように構成され得る。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態では、患者の尿道括約筋によって付与される収縮圧力が測定されることができる。典型的には、収縮圧力はカテーテル上の第2の圧力センサによって測定され、第2の圧力センサならびに第1および随意に第2の刺激電極は、通常、電極および圧力センサのそれぞれが、カテーテルが、遠位端が膀胱内にあって尿道内に存在するとき、尿道を取り囲む尿道括約筋に近接して、またはその中にあるように、カテーテル本体上に位置付けられる。さらに随意に、カテーテルは、バルーンまたは他のアンカが、膀胱頸部に対して、またはその中に着座するまで、カテーテルを後退させることによってカテーテルが位置付けられ得るように、フォーリーカテーテル上のバルーン等、バルーンまたは他のアンカ構造をその遠位端の近傍に含んでもよい。電極および第2の圧力センサを選択的に位置付けることによって、これらの要素は、カテーテルがその場にあるとき、尿道括約筋に対して適切に位置付けられる。
【0015】
第2の側面では、本発明は、陰部神経刺激治療に先立って、患者をスクリーニングする、すなわち、治療用陰部神経刺激デバイスの埋込に先立って、陰部神経刺激治療の有効性に関して患者をスクリーニングするためのカテーテルを提供する。カテーテルは、遠位端と、近位端と、流体を近位端から遠位端に送達するための管腔とを有する、カテーテル本体を含む。カテーテル本体は、典型的には、カテーテル本体の遠位端またはその近傍に位置付けられる、典型的には、カテーテルが尿道内の定位置にあるとき、膀胱内の圧力を測定するように位置付けられる、第1の圧力センサを含む。カテーテルはさらに、カテーテルの遠位端の近位の場所においてカテーテル本体上に位置付けられる、少なくとも1つの電極を含み得る。特に、この少なくとも1つの電極は、カテーテルが尿道内に適切に設置されると、尿道括約筋に近接して横たわるようにカテーテル上に位置付けられる。このように、カテーテルは、流体を、カテーテル管腔を通して膀胱に送達し、第1の圧力センサを使用して、膀胱内の圧力を測定し、電流を陰部神経に送達するように、典型的には、尿道括約筋の近傍に位置付けられる電極を通して、低周波数および/または高周波数電流を適切に印加することによって、膀胱を刺激し、尿道括約筋を収縮および/または開放させるために使用されることができる。
【0016】
スクリーニングカテーテルは、典型的には、高周波数および低周波数刺激信号の両方を同時またはほぼ同時に印加し、括約筋が弛緩され、同時に膀胱が収縮され、排尿を生じさせる、実際の治療用プロトコルを模倣し得る。代替実施形態では、高周波数電流が最初に送達されて括約筋を開放させ、選択された期間の後、低周波数電流が続き膀胱を収縮させてもよい。さらに他の代替実施形態では、低周波数電流が最初に送達されて膀胱を収縮させ、より完全な排泄のために、より大きな圧力を発生させ、選択された期間の後低周波数が続き、尿道括約筋を開放し排泄が開始することを可能にしてもよい。
【0017】
ある実施形態では、本発明のカテーテルはさらに、典型的にはカテーテル本体の遠位端から近位に離間される、第1の電極の近傍に位置する少なくとも第2の電極をカテーテル本体上に備え得る。これらの実施形態では、第1および第2の電極は、通常、膀胱を収縮させるための低周波数電流および尿道括約筋を開放するための高周波数電流を送達可能な異なる電流源に接続されるように構成され得る。膀胱収縮をもたらす好適な低周波数電流は、約15Hz~50Hzの範囲内であって、15mAを下回るアンペアおよび40V~60Vの電圧を伴い得る。また、1つまたはそれを上回る実施形態では、第1および第2の電極は、周囲組織に及ぼす影響を最小限にしながら、電流を選択された深度で組織の中に送達し、陰部神経を刺激するように、選択された距離だけ離間され得る、対の双極電極を備えてもよい。
【0018】
さらに他の実施形態では、本発明のカテーテルはさらに、カテーテル本体の遠位端の近位の場所において、カテーテル本体上に第2の圧力センサを備えてもよい。通常、第2の圧力センサは、カテーテルの遠位端が患者の膀胱内にあるとき、第1および第2の電極ならびに第2の圧力センサが、尿道括約筋に隣接して、またはその中にあるように位置付けられ得るように、第1および随意に第2の電極に近接して位置する、例えば、第1および第2の電極間に位置し得る。
【0019】
なおもさらなる実施形態では、本発明のカテーテルは、従来のフォーリーカテーテル上に見出されるものに類似するバルーン等の展開可能アンカを備えてもよく、カテーテル本体上に位置付けられる。アンカが膀胱の頸部に展開されると、少なくとも1つの電極、随意に、第2の電極および圧力センサが、陰部神経および尿道括約筋に隣接するように、アンカーがカテーテル本体上に位置付けられる。
【0020】
第3の側面では、本発明は、上記に説明されるようなカテーテルを、電極に動作可能に接続可能であって、患者の膀胱を収縮させるための低周波数電流および患者の尿道括約筋を開放させるための高周波数電流を送達する、コントローラと組み合わせて備える、システムを提供する。通常、コントローラは、低周波数電流を第1の電極に、高周波数電流を第2の電極に送達し得る。コントローラはさらに、膀胱圧力を示すための第1の圧力センサからのデータおよび/または括約筋圧縮圧力または力を示すための第2の圧力センサからのデータを提示するように構成される、1つまたはそれを上回るディスプレイまたは画面を備えるか、またはそれに接続してもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
患者における尿道機能不全を処置するための陰部神経治療のために、前記患者をスクリーニングするための方法であって、
カテーテルを前記患者の尿道を通して前記患者の膀胱の中に導入するステップであって、前記カテーテルは、少なくとも1つの電極と、少なくとも1つの管腔とを含む、ステップと、
前記カテーテル上の少なくとも1つの電極を前記尿道内の位置に位置付けるステップであって、電流を前記患者の陰部神経に送達するステップと、
流体を前記患者の膀胱の中に前記カテーテルを通して送達するステップと、
電流を前記少なくとも1つの電極を通して前記陰部神経に送達するステップであって、前記電流は、前記患者の膀胱を収縮させるための低周波数電流および前記患者の尿道括約筋を開放させるための高周波数電流のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記送達された電流に応答して生成された生理学的応答に関する情報を測定するステップと、
前記送達された電流に対する前記患者の応答を査定するために、前記生成された生理学的応答に関する情報を利用するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記少なくとも1つの電極は、電流を前記陰部神経に送達するように位置付けられる、第1および第2の電極を備える、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1の電極は、低周波数電流を送達し、前記第2の電極は、前記高周波数電流を送達する、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記カテーテルは、前記第1および第2の電極のそれぞれが前記尿道括約筋の近傍に位置付けられるように位置付けられる、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記カテーテルは、少なくとも2つの管腔を含み、第1の管腔は、前記膀胱を充填するであって、第2の管腔は、前記低周波数が前記膀胱を収縮させるために送達されると、前記膀胱からの流体の排泄のためである、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記膀胱は、標的圧力まで充填される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記標的圧力は、約10~45mmHgまたは約10~20mmHgの範囲内である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記膀胱は、標的体積まで充填される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記標的体積は、約50~200mlの範囲内である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記高および低周波数電流は、ほぼ同時に送達される、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記高周波数電流の送達は、前記低周波数電流の送達の前に開始される、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記低周波数電流は、約15Hz~50Hzの範囲内である、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記高周波数電流は、約4~10kHzの範囲内である、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記カテーテルは、前記膀胱が収縮されると、排泄された流体が実質的に前記カテーテル内の管腔を通して流動するように、前記患者の膀胱の開口部を遮断するように位置付けられる、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記カテーテルを流動する排泄された流体の流速を測定するステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記カテーテルは、前記患者の膀胱の開口部を遮断するための膨張可能バルーンまたは他の手段を含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記膀胱内外から前記カテーテルを通して流動する流体は、前記生成された生理学的応答に関する情報の測定に実質的に影響を及ぼさない、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記影響されない情報は、膀胱圧力、尿道括約筋圧力、または尿道流速のうちの少なくとも1つを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記カテーテルの管腔は、前記カテーテル内の流体の圧力からの力が、前記カテーテルの外側に実質的に伝達されないような、十分な半径方向剛性を有する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記生成された生理学的応答に関する情報は、前記高周波数または低周波数電流の特性を調節するために使用される、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記特性は、前記高周波数または低周波数電流の周波数、大きさ、または波形形状である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記調節は、前記高周波数または低周波数電流のうちの少なくとも1つの調整または微調整を含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記微調整は、約5パーセント未満の量だけの前記特性の調節を含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記調整は、約5~約25パーセントの範囲内の量における前記特性の調節を含む、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記高周波数または低周波数電流の特性は、前記患者の尿道機能を有効化または改善するために使用される、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記尿道機能不全は、排尿を自発的に制御する能力の低減である、項目1に記載の方法。
(項目27)
前記測定された情報は、膀胱圧力である、項目1に記載の方法。
(項目28)
前記膀胱圧力は、圧力センサを使用して測定される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記測定された情報はさらに、前記尿道括約筋の収縮圧力を含む、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記膀胱圧力および前記尿道括約筋収縮圧力は、同時に測定される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記膀胱圧力センサは、前記カテーテルまたは前記カテーテルの遠位端上に位置付けられる、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記カテーテルは、前記圧力センサを前記膀胱の内側に位置付けるように前進される、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記測定された情報は、前記尿道括約筋の収縮圧力である、項目1に記載の方法。
(項目34)
前記収縮圧力は、圧力センサを使用して測定される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記圧力センサは、前記尿道括約筋に隣接して位置付けられる、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記測定された情報は、尿道流速を含む、項目1に記載の方法。
(項目37)
前記高周波数または低周波数電流の特性は、標的尿道流速を達成するように調節される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記特性は、前記高周波数または低周波数電流の周波数もしくは大きさである、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記標的尿道流速は、男性患者に関しては約9~21ml/分および女性患者に関しては15~18ml/分の範囲内である、項目37に記載の方法。
(項目40)
陰部神経治療のために、患者をスクリーニングするためのカテーテルであって、
遠位端、近位端、流体を前記近位端から前記遠位端に送達するためのおよび第1の管腔を有する、カテーテル本体であって、前記管腔は、遠位開口部を有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端の近傍において前記カテーテル本体上に位置付けられ、前記患者膀胱圧力を測定する、第1の圧力センサと、
前記カテーテル本体の遠位端の近位の場所に位置付けられ、前記患者尿道括約筋圧力を測定する、第2の圧力センサと、
前記カテーテルの遠位端の近位の場所において前記カテーテル本体上に位置付けられ、電流を前記陰部神経に送達する、少なくとも1つの電極と、
を備え、
前記カテーテル本体は、前記患者の尿道を通して前進され、前記第1の圧力センサおよび前記管腔の遠位開口部を前記患者の膀胱内に位置付けるように構成され、
カテーテルがそのように位置付けられると、前記第1の管腔は、前記第1または第2の圧力センサによる前記患者の膀胱圧力もしくは尿道括約筋圧力の同時測定に顕著な影響を及ぼさずに、前記患者の膀胱の中への前記流体の流動を可能にするように構成される、
カテーテル。
(項目41)
前記第1の管腔は、十分な半径方向剛性またはフープ強度を有し、前記管腔の内側から前記カテーテル本体の外側への流体圧力からの力の伝達を最小限にする、項目40に記載のカテーテル。
(項目42)
前記第1の管腔は、前記管腔の内側から前記カテーテル本体の外側への流体圧力からの力の伝達を最小限にするように構成される、補強編組を含む、項目41に記載のカテーテル。
(項目43)
前記カテーテル本体は、前記膀胱から前記患者の身体の外側への前記流体の流動のための第2の管腔を含む、項目40に記載のカテーテル。
(項目44)
前記第1の管腔または第2の管腔の半径方向剛性は、約50~100N/mmの範囲内である、項目40または43のいずれかに記載のカテーテル。
(項目45)
前記カテーテルは、男性尿路内に位置付けられるように適合される、項目40に記載のカテーテル。
(項目46)
前記第2のセンサは、約2cmの長さを有し、前記カテーテルの遠位端から約2.5~3.5cmに位置付けられる、項目45に記載のカテーテル。
(項目47)
前記カテーテルは、女性尿路内に位置付けられるように適合される、項目40に記載のカテーテル。
(項目48)
前記第2のセンサは、約1.5cmの長さを有し、前記カテーテルの遠位端から約1.8~2.8cmに位置付けられる、項目47に記載のカテーテル。
(項目49)
前記カテーテル本体は、エラストマ、シリコーン、またはポリウレタン、PTFE、ポリエチレン、またはPETを含む、項目40に記載のカテーテル。
(項目50)
前記少なくとも1つの電極は、対の双極電極を備える、項目40に記載のカテーテル。
(項目51)
前記対の双極電極は、組織内に送達された電流の深度を前記陰部神経に標的化するように選択された距離に位置付けられる、項目50に記載のカテーテル。
(項目52)
前記遠位端の近位の場所に位置付けられる、前記カテーテル本体上の少なくとも第2の電極をさらに備え、前記第1および第2の電極は、異なる電流源に接続されるように構成される、項目40に記載のカテーテル。
(項目53)
前記第1および第2の電極のそれぞれならびに前記第2の圧力センサは、前記カテーテルの遠位端が前記患者の膀胱内にあるとき、前記患者の尿道括約筋内にあり得るように位置付けられる、項目52に記載のカテーテル。
(項目54)
前記カテーテル本体上に位置付けられる展開可能アンカをさらに備え、前記アンカが前記膀胱の頸部に展開されると、前記少なくとも1つの電極が前記陰部神経に隣接し得る、項目40に記載のカテーテル。
(項目55)
前記展開可能アンカは、前記カテーテル本体の遠位端の近傍に位置付けられる、項目54に記載のカテーテル。
(項目56)
前記展開可能アンカは、膨張可能バルーンを備える、項目54に記載のカテーテル。
(項目57)
患者における尿道機能不全を処置するための陰部神経治療のために、患者をスクリーニングするためのシステムであって、
項目52に記載のカテーテルと、
前記第1および第2の電極に接続可能であって、前記患者の膀胱を収縮させるための低周波数電流を前記第1の電極に、そして前記患者の尿道括約筋を開放させるための高周波数電流を前記第2の電極に送達する、コントローラと、
を備える、システム。
(項目58)
前記コントローラはさらに、前記第1の圧力または第2の圧力センサのうちの少なくとも1つに接続可能であって、膀胱圧力または尿道括約筋収縮圧力のうちの少なくとも1つを表示する、圧力ディスプレイを備える、項目57に記載のシステム。
(項目59)
前記コントローラはさらに、感覚異常阻止電流を送達し、低周波数または高周波数電流から生じる感覚異常を阻止または低減させるように構成される、項目57に記載のシステム。
(項目60)
前記カテーテル本体は、前記感覚異常阻止電流の送達のための第3の電極を含む、項目59に記載のシステム。
(項目61)
前記感覚異常阻止電流は、約3kHz~20kHzの範囲内の周波数を有する、項目59に記載のシステム。
【0021】
本発明のこれらおよび他の実施形態ならびに側面のさらなる詳細は、添付の図面を参照して以下により完全に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、米国特許公開第2014/0249595号(全開示が参照することによって本明細書の前述で組み込まれている)から得られた陰部神経を選択的に刺激し、排尿を制御するための先行技術システムを図示する。特に、
図1は、陰部神経またはその分岐を刺激するための3チャネルシステムを描写する。パルス発生器10は、3つの出力チャネルを有するように描写される。ワイヤ導線12および13が、電極14および15に取り付けられ、これら電極は、陰部神経20の周りに設置される。電極15は、電極14の遠位に示される。EUSおよび/または肛門括約筋を遮断し、膀胱ならびに/もしくは直腸における収縮を刺激または阻止するステップを含む、方法の状況では、電極14は、膀胱および/または直腸収縮を刺激もしくは阻止するために使用されるであろう一方、電極15は、EUSまたは肛門括約筋を遮断するために使用されるであろう。必要に応じて、ワイヤ導線16は、身体の他方の側の陰部神経の周りに設置され、反対側の陰部神経を遮断する別の電極(
図1には図示せず)に取り付けられる。パルス発生器10は、皮膚40の真下に埋め込まれて示される。パルス発生器10の出力パラメータは、有線インターフェースを介して制御されることができるが、好ましくは、無線周波数、IEEE802.11a/b/g、Bluetooth(登録商標)等の任意の好適な無線プロトコルを使用して搬送され得る、無線伝送によって制御される。したがって、外部コントローラ30は、パルス発生器10と通信するために描写されている。外部コントローラ30は、LCD、LED、またはOLEDディスプレイ等のディスプレイ32と、データを外部コントローラ30に打ち込むためのキーパッド34とを有するように描写される。外部コントローラは、無線伝送36をパルス発生器10に送信するように描写されているが、別の実施形態では、データは、外部通信機30からパルス発生器10におよびその逆の両方に転送され、限定ではないが、出力信号特性(例えば、上記に概略されるような周波数、振幅等)およびバッテリ強度を含む、パルス発生器10の1つまたはそれを上回るパラメータの監視を可能にすることができる。パルス発生器10および外部コントローラ30のアクティビティは、典型的には、マイクロプロセッサによって制御され、パルス発生器10および外部コントローラ30ハードウェア上にインストールされたソフトウェア/ファームウェアが、説明されるタスクを実装し、例えば、限定ではないが、システムの使用を促進する、ディスプレイ32のためのGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供するために使用されてもよい。パルス発生器10および外部コントローラ30は両方とも、任意の好適な電気および電子構成要素を備え、マイクロプロセッサ、メモリ(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等)、コネクタ、バッテリ、電力変圧器、増幅器等を含む、アクティビティを実装してもよい。
【
図2】
図2は、本発明の原理に従って構築された試験カテーテルの例示的実施形態を図示する。
【
図3】
図3は、本発明の方法による、患者の尿道内に設置され、試験プロトコルを行うための
図2の試験カテーテルを図示する。
【
図3a】
図3aは、
図3の拡大図であって、患者の陰部神経を刺激するための患者尿道括約筋内への試験カテーテル電極の位置付けを図示する。
【
図4a】
図4aおよび4bは、膀胱から患者の外側への流体の流動のための第2の管腔を有する、試験カテーテルの実施形態を図示する。
【
図4b】
図4aおよび4bは、膀胱から患者の外側への流体の流動のための第2の管腔を有する、試験カテーテルの実施形態を図示する。
【
図5】
図5は、試験カテーテルの実施形態と併用するための陰部神経刺激電極としての使用のための双極電極の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本発明の実施形態は、尿道機能の自発的制御が不可能であるか、そして/または低下した患者を試験し、試験された患者が、患者が膀胱の排泄を制御することを可能にするか、陰部神経刺激治療から利益を享受するであろうかどうかを確認するためのデバイス、システム、および方法を提供する。そのような患者は、脊髄傷害に起因して麻痺した患者および/または多発性硬化症もしくは他の運動ニューロン疾患を有する患者を含んでもよい。本発明の特定の実施形態は、米国特許出願公開第2014/0249595号(前述で参照することによって本明細書に組み込まれている)および2016年1月19日に出願された同時係属中の本出願人が所有する米国仮出願第62/280,639号(全開示が参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるもの等、膀胱制御を提供するためのある埋込可能デバイスによって提供されるものを模倣する、装置を提供し、そして本発明の方法は、膀胱刺激プロトコルの試験を可能にする。
【0024】
ここで
図2、3a、4a-4b、および5を参照すると、試験カテーテル200の実施形態は、遠位端204および近位端206を有する、カテーテル本体202と、陰部神経PNを刺激し、膀胱の収縮および尿道括約筋の弛緩等の排尿プロセスに関わる生理学的応答を誘起または別様に生成するための少なくとも2つの電極228および230とを備える。カテーテル本体は、例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、Pebax(登録商標)ポリマー、PTFE、シリコーン、ポリウレタン、またはカテーテル技術において公知の他のエラストマを含む、当技術分野において公知の種々の可撓性生体適合性ポリマーから製作されてもよい。ポート208をカテーテル本体202の遠位端に有する、管腔210は、カテーテルの近位ハブ224上のポート226を通して流体供給源212に流体によって接続可能である。
図4aおよび4bに示されるように、代替または付加的実施形態では、試験カテーテル200はまた、以下により詳細に説明されるように、患者の膀胱Bから身体の外側への流体の流動のための第2の管腔211を含み、排泄を促進し、尿流速の測定を可能にしてもよい。種々の実施形態では、流体供給源212は、本明細書に後述される
図3aに図示されるように、カテーテル200の遠位端204が膀胱B内に存在するとき、生理食塩水、水、または他の好適な加圧液体を、管腔210を通して患者の膀胱に送達することができる、圧力制御ポンプ、吊架式流体バッグ(例えば、事前混合された生理食塩水溶液のバッグ)、または任意の他の従来の流体供給源に対応してもよい。
【0025】
ここで
図3aおよび5を参照すると、電極228および230は、医療デバイスおよび電気生理学技術において公知の種々の生体適合性導電性金属および他の導電性材料を含んでいてもよい。種々の実施形態では、電極228および230は、種々のリング電極に対応してもよく、尿道括約筋組織を通して陰部神経までの所望の穿通深度を達成するように選択された選択可能幅、例えば、1~10mmを有してもよい。電極228と230との間の間隔Sは、望ましくは、
図3aに示されるように、これらの電極を尿道括約筋USの内側に位置付けるように選択される。
【0026】
図5に示されるように、代替または付加的実施形態では、陰部神経刺激電極228および230は、双極電極240の個々の対242に対応してもよい。双極電極の各対242は、第1および第2の電極243および244を含み、それらを通して、交流または他の電流が、その間に流動してもよい。双極対240の各個々の電極243と244との間の距離または間隙245は、それらの間の刺激電流流れの穿通深度を制御し、任意の周囲組織を回避しながら、陰部神経を選択的に標的にするように選択されてもよい。距離が長いほど、より深い穿通を生成する傾向にある一方、距離が短いほど、浅くなる。種々の実施形態では、間隙245は、約1~5mmの範囲であることができるが、より長いおよびより短い間隙も企図される。この間隙はまた、本明細書に説明されるように、電流が高周波数または低周波数電流であるかどうかに応じて選択されてもよい。
【0027】
1つまたはそれを上回る実施形態によると、カテーテル本体202および/または管腔210もしくは他の管腔211は、個々の管腔内の流体圧力がセンサセンサ214および232または別のセンサを使用したカテーテル200による膀胱圧力および/または尿道括約筋の収縮圧力の圧力測定に著しく影響を及ぼさないように防止するために、十分に剛性(例えば、半径方向剛性または堅度)であってもよく、および/または十分なフープ強度を有してもよい。「著しく」とは、約10%を下回る、より好ましくは、約5%を下回る、さらにより好ましくは、約1%を下回る圧力への影響を意味する。より具体的には、カテーテル200の1つまたはそれを上回る管腔(ここでは、管腔壁も同様に意味する)は、望ましくは、カテーテル200による測定に影響を及ぼし得る、管腔の内側の流体圧力からカテーテルの外側への力の伝達を最小限にまたは防止するように十分に剛性である。望ましくは、伝達される力は、0.2ポンド未満、より望ましくは、0.05ポンドを下回る、さらにより望ましくは、0.01ポンドの力を下回る。同様に、管腔210、211もまた、圧力測定に影響を及ぼし、そして/または隣接する管腔を狭窄させ、隣接する管腔を通る流速に著しく影響を及ぼし得る、管腔からその他への流体圧力の伝達を最小限にするように、十分に剛性である。言い換えると、これらの管腔は、1つの管腔から次の管腔への流体静力学的圧力クロストークを防止し、1つの管腔内の圧力が隣接する管腔を狭窄させないように防止するために十分に剛性である。それらはまた、隣接する管腔への力の付与から、またはカテーテル本体が患者の尿路内に位置付けられて曲がるとき、その形状を維持するために十分に剛性である。但し、好ましくは、カテーテル200およびカテーテル本体201は、全体として、臨床使用シナリオのために、意図される患者生体構造内およびそれを通して前進および操作されるように十分に伸展性のままであり得る。具体的実施形態では、カテーテル管腔210および211は、隣接する管腔内の圧力または圧力変化から生じる1つの管腔内の圧力または流速の任意の変化が、好ましくは、約5%を下回る、好ましくは、2%、さらにより好ましくは、1%を下回ったままであろうように、十分な堅度またはフープ応力を有する。種々の実施形態では、そのような堅度またはフープ強度は、以下の任意の1つまたはそれを上回るものによって、達成されることができる。(1)カテーテル材料の選択肢、(2)カテーテル/管腔寸法、(3)補強編組の使用(管腔の内外)、および/または(4)内部補強管腔。種々の実施形態では、カテーテル200の管腔210、211または他の管腔のうちの任意の1つの半径方向剛性(また、本明細書では、半径方向堅度とも説明される)は、約1~約100N/mmの範囲内、より好ましくは、約20~約100N/mmの範囲内、さらにより好ましくは、約50~約100N/mmの範囲内であることができ、具体的実施形態は、5、10、20、25、30、40、45、50、55、60、70、75、80、90、および95N/mmである一方、フープ強度は、約0.25~5ポンド、より好ましくは、約0.5~5ポンド、さらにより好ましくは、約1~10ポンドの範囲内であることができ、具体的実施形態は、0、5、1、2、2、5、3、4、5、6、7、8および9ポンドの力である。
【0028】
1つまたはそれを上回る実施形態では、カテーテル200は、典型的にはまた、カテーテル本体202の遠位端204またはその近傍に位置する、第1の圧力センサ214を備え得るが、圧力センサのためのカテーテル本体上の他の位置もまた、企図されることを理解されたい。第1の圧力センサ214は、典型的には、膀胱内の圧力を測定するために好適なソリッドステート圧力トランスデューサ(例えば、微小電気機械システムベースの歪みゲージを含む、当技術分野において公知の種々のソリッドステート歪みゲージ)であって、典型的には、0~50mmHgの範囲内であるが、他の範囲もまた、検討される。正常膀胱圧力は、0~10mmHg、または時として、0~20mmHgの範囲内であるが、本発明の方法は、正常膀胱圧力を上回る送達および測定圧力に依拠してもよい。トランスデューサ214によって読み取られる膀胱圧力は、コントローラ216上の読取情報218上に表示されてもよく、またはBluetooth(登録商標)もしくはBluetooth(登録商標)LEもしくは他の無線通信プロトコルおよび/または無線手段を使用して、外部ディスプレイに無線伝送されてもよい。読取情報218は、専用LCD、LED、または他の数値もしくはアナログ読取情報であってもよく、またはディスプレイ画面、随意に、タッチスクリーンディスプレイの一部であり得る。カテーテル200は、随意に、以下の
図3aに関してより詳細に説明されるように、カテーテル本体202を安定化させ、電極228および230を患者の尿道括約筋またはその近傍に適切に位置付けるために、患者の膀胱内に位置付け可能である、膨張可能バルーン220等の遠位アンカを含み得る。第2の圧力トランスデューサ232は、多くの場合、尿道括約筋の収縮圧力の測定を可能にするために、電極228および230の近傍に提供され得る。圧力センサ214および232ならびに電極228および230は、カテーテル本体を通過し、電子構成要素をコントローラ216に接続する、ワイヤまたはケーブル238によって、接続され得る。それらはまた、Bluetooth(登録商標)または他の無線プロトコルによってコントローラ216と通信するように構成される、無線デバイスであってもよい。バルーン220は、通常フォーリーカテーテルと併用されるタイプの従来の膨張源222によって膨張され得る。第2の圧力トランスデューサ232によって測定された括約筋圧力は、コントローラ216上の第2のディスプレイ要素234上に示されてもよく、またはコントローラ上の従来のタッチスクリーンまたは他のディスプレイ上にもまた示されてもよい。コントローラ216は、通常また、ユーザインターフェース236を含み得る。種々の実施形態によると、ユーザインターフェース236は、タッチスクリーン(全てのデータを表示するための同一タッチスクリーンであることができる)、キーボード、ジョイスティック、または任意の他の従来のユーザインターフェースであってもよく、これは、コントローラに直接または無線結合されてもよい。
【0029】
ここで
図3を参照すると、
図2のカテーテル200が、アンカバルーン220が、患者の膀胱B内に位置付けられ、膀胱頸部BNの上方またはその中に静置され得るように、患者の尿道Uを通して導入されてもよい。カテーテルのための寸法は、電極228および230ならびに第2の圧力センサ232が、概して、患者の尿道括約筋US内に位置付けられ、陰部神経PSを刺激し、
図3aに最良に示されるように、着座するように選択されてもよい。
【0030】
1つまたはそれを上回る実施形態では、カテーテル200およびその構成要素の長さならびに他の寸法の適応は、患者の性別に関して行われることができる。例えば、男性尿路のために適合されるカテーテル200の場合、尿道収縮圧力を測定するための第2のセンサ232は、カテーテルの遠位端204の近位約2.5cm~3.5cmにおいてカテーテル本体201上に位置付けられ、尿道長の約2.0cmに延在してもよい。カテーテルの女性バージョンでは、センサ232は、遠位カテーテル端部204の近位の約1.8~3cmに位置し、尿道長の約1.5cmに延在する。
【0031】
図3に示される位置では、カテーテル200は、最初に、膀胱を充填し、所望の標的レベル、典型的には、約10mmHg~約45mmHg、好ましい範囲約10~約20mmHgまで加圧するために、水または生理食塩水等の流体を膀胱Bの中に導入するために使用されてもよい。関連実施形態では、カテーテル200は、膀胱を、例えば、約50~200mlの範囲内の標的体積まで充填するために使用されてもよい。本明細書で使用されるとき、用語「約」は、パラメータ、測定、寸法、特性、物理的性質、および同等物に関して、述べられた値の±10%以内を意味する。いったん膀胱Bが、所望の圧力まで、および/または所望の体積の流体で充填されると、典型的には、周波数約15Hz~約50Hzを有する、低周波数膀胱収縮電流が、陰部神経PNを刺激し、膀胱の収縮を生じさせるように、第1の電極228を通して印加されてもよい。同時またはほぼ同時に(例えば、この場合、約0.2秒以内に)、高周波数尿道括約筋弛緩電流が、第2の電極230によって印加され、尿道括約筋の弛緩および開放を生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、高周波数電流は、低周波数電流から膀胱が収縮する前に、尿道括約筋が、弛緩し、完全に開放することを可能にし、膀胱収縮に対する尿道内の流体抵抗が、膀胱が収縮し始める前に最小限にされるように、低周波数電流の前の選択された時間において開始されてもよい(例えば、約0.2~2秒)。典型的には、高周波数電流は、4kHzを上回る周波数を有し、アンペアは、約15mAを下回り、電圧は、40V~60Vの範囲であって、高周波数電流のための具体的範囲は、4~10kHz、4~15kHz、および4~20kHzを含むことができるが、依然として、他の範囲も企図される。高および低周波数電流が、印加されると、膀胱の収縮および尿道括約筋の開放は、患者が、カテーテル200を取り囲む環状尿道空間を通して、排尿(本明細書では、排泄とも称される)することを可能にする。
【0032】
代替または付加的実施形態では、典型的には、1kHzを上回る、第2の高周波数電流が、電極228および230による陰部神経への電流送達によって生じる、任意の刺痛、灼熱感、しびれ、または関連感覚(感覚異常として知られる)を遮断または別様に減衰させるように、カテーテル200によって、陰部神経に送達されてもよい。感覚異常阻止電流として本明細書に説明される、本電流は、電極228または230のいずれかまたは両方によって送達されてもよく、またはカテーテル200上またはその外部の第3の電極(図示せず)によって送達されてもよい。望ましくは、感覚異常阻止電流は、第1の2つの電流(例えば、膀胱収縮および括約筋弛緩電流)を発生させるために使用されるものと異なる電流源によって発生される。種々の実施形態では、感覚異常阻止電流は、1.5kHz~100kHzの範囲内、より好ましくは、約3kHz~20kHzの範囲内の周波数を有してもよい。1つまたはそれを上回る実施形態では、感覚異常阻止電流の波形は、10μ秒~333マイクロ秒の範囲内、より好ましくは、約30~35μ秒の範囲内のパルス幅を有する、二相パルスに対応してもよい。振幅は、約1mA~約4mAに変動されることができ、公称値は、約2.5mAである。感覚異常阻止電流のこれらおよび他の特性は、膀胱を収縮させ、尿道括約筋を弛緩させるための電流の調節と類似方式において、知覚された感覚異常に関する患者からのフィードバック、および/または膀胱圧力、尿道括約筋収縮圧力、および尿道流速の測定のうちの1つまたはそれを上回るものに基づいて、調整もしくは微調整または別様に調節されることができる。このように、本発明の実施形態は、患者が、陰部神経刺激デバイスが標準的感覚異常阻止電流を用いて事前にプログラムされた場合より良好な転帰を有するように、陰部神経刺激デバイスが埋め込まれる前に、感覚異常阻止電流を最適化するために使用されることができる。
【0033】
ここで
図4aおよび4bを参照する。代替または付加的実施形態では、カテーテル200は、カテーテル200が患者の尿路内の所望の場所に位置付けられる間、付加的管腔または他のチャネル211を具備し、管腔211を通して排泄または排尿を促進することができる。管腔211は、膀胱からカテーテルの中への流体の流動のための1つまたはそれを上回る遠位開口部211oを含むことができる。望ましくは、開口部211oは、開口部211oが、膀胱頸部およびアンカデバイス220の若干上方にあって、カテーテルの中への流体の流動および膀胱の完全な排泄を促進するように、カテーテルの遠位端214の近位の選択された距離に位置付けられる。再び、本明細書で議論されるように、管腔211は、カテーテルが、屈曲され、そして/または管腔210からの流体圧力を受けるとき、その形状を維持するように、十分な半径方向堅度を有することができる(例えば、補強編組の使用を通して)。使用時、膀胱からの流体流動のための専用管腔211を有するカテーテルの実施形態は、陰部神経が電極230によって排尿を誘起するために刺激されている間、尿流動の全てがカテーテルを通して進み、流速または総体積が測定され得るにつれて、尿流速のより正確な測定を促進する。測定は、手動で(タイミングを図り、排泄された流体収集することによって)、またはカテーテルにわたって、もしくはカテーテルの近位端に位置付けられる、外部センサであり得る、流動センサを使用して、行われることができる。いくつかの実施形態によると、カテーテル200は、管腔211またはカテーテル本体20内もしくはその周囲に位置付けられ得る、その独自の流動センサ235を含んでもよい。流動センサ235はまた、コントローラ216に動作可能に結合され、コントローラまでの尿流動に関する情報を伝達してもよい。流動センサ235は、種々のソリッドステート流動センサを含む、当技術分野において公知の種々の電磁、光学、流速計(aneometric)、および音響流動センサに対応してもよい。さらに特定の実施形態では、測定された尿流速は、本明細書に説明されるように、例えば、振幅(電圧および/または電流のいずれか)、周波数、パルス幅を含む、高および低周波数電流の1つまたはそれを上回る特性を調節するために使用されてもよい。男性および女性に関する好適な標的尿流速は、表1に示される。種々の実施形態では、排尿の間のそれらの典型的ものに対応する流速および膀胱圧力における管腔211(個々のカテーテル210のためのものを含む)内の流体抵抗が、事前に測定され、カテーテルとともに出荷され、コントローラ216に動作可能に結合されるように構成される、メモリデバイス内に記憶されることができる。代替として、それらは、標準的直径管腔211に関して計算され、コントローラ216内に記憶されてもよい。そのような流体抵抗は、次いで、誘起された膀胱排泄から生じる管腔211を通る流体流速を患者尿路内に位置付けられないカテーテル200の場合に尿道を通して予期されるであろう速度に変換するために使用されることができる。
【0034】
本明細書に議論されるように、これらおよび関連実施形態では、第1の管腔210(管腔壁210wを含む)は、管腔210が膀胱を充填するための流体流動の間に種々の圧力を受けると、付加的管腔の直径の任意の顕著な半径方向変形を生じさせず、顕著な量(例えば、10%未満、より好ましくは、5%未満、さらにより好ましくは、1%未満)で第2の(尿流出)管腔を通る尿流速を低減させるように、十分な半径方向剛性を有するか、または別様に補強されることができる。加えて、第2の圧力トランスデューサ232は、望ましくは、括約筋が弛緩するにつれた尿道括約筋圧力の減少を測定するように構成される。尿の通過および随意に括約筋圧力の減少の観察/測定は、患者が陰部神経刺激に有利に働くように応答しており、完全埋込手技のための良好な候補であることを示す。送達された高および低周波数または他の電流に対する生理学的応答に関するこのおよび他の情報は、陰部治療の有効性を査定するための基準として使用されることができる。
【0035】
1つまたはそれを上回る実施形態では、陰部神経治療から生成された生理学的応答に関連する、カテーテル200または他の測定手段を使用して収集される種々の情報は、患者の尿道機能不全を処置する(例えば、排尿を開始および制御することが可能になる)際の治療の有効性を査定するための基準として使用されることができる。そのような情報はまた、特定の患者のための陰部神経治療を最適化するように、高および低周波数電流の1つまたはそれを上回る特性を調節するために使用されてもよい。種々の実施形態によると、そのような基準は、尿流速、尿道括約筋圧力の減少、および膀胱圧力の増加のうちの1つまたはそれを上回るものを含むことができる。尿流動の場合、表1に示される値の0~30%以内の最小限の流速が、使用されてもよい。尿道括約筋圧力の場合、約50、60、70、75、80、90、または95%(他の値もまた検討される)の圧力の低減が、使用されてもよい。さらに、膀胱圧力の場合、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、95%(他の値もまた検討される)の量の増加が、使用されてもよい。
【0036】
【0037】
特定の実施形態では、尿/排泄流速、尿道括約筋圧力の減少、および膀胱圧力の増加のうちの1つまたは3つ全てが、続いて埋め込まれる陰部治療デバイス内で使用されるべき高周波数および低周波数電流の両方を事前に選択するために使用されてもよい。特に、高および低周波数は、選択および/または最大尿流速ならびに/もしくは最短排尿持続時間をもたらす、それらの設定を識別するように、尿流速の変化を観察または追跡しながら、「調整」(大まかに調節される)または「微調整」(細かく調節される)されてもよい。具体的調節が、周波数、波の電流または電圧、ならびに波の形状を含む、高および低周波数電流の1つまたはそれを上回る特性において行われてもよい。特に、調節は、電流または電圧のピーク振幅ならびにRMS振幅において行われてもよい。また、例えば、正弦波、方形波、および鋸歯波を含む、異なる波形が、採用されてもよい。また、1つまたはそれを上回る実施形態では、波形は、選択可能パルス幅、例えば、1~100msを伴う、二相パルスの形態であってもよい。
【0038】
おおまかな調節は、約5~約25%の範囲内である変化を組み込んでもよい一方、細かい調節は、約5%未満であってもよい。例えば、1つの特定の実施形態では、膀胱圧力および尿流速のうちの1つまたはそれを上回るものが、低周波数電流を特定の患者に対して調整および微調整し、特定の患者のための選択および/または最適化された尿流速ならびに/もしくは最適化された排尿シーケンス(例えば、膀胱収縮および尿道括約筋弛緩のタイミング)を生成するために使用されることができる。別の実施形態では、尿流速および尿道括約筋圧力の一方または両方が、高周波数電流を調整および微調整し、特定の患者のための選択および/または最適化された尿流速ならびに/もしくは最適化された排尿シーケンス(例えば、膀胱収縮および尿道括約筋弛緩のタイミング)を生成するために使用されることができる。このように、尿道機能を有効化または改善するための陰部神経刺激治療のための候補が、選択され得るだけではなく、さらに、陰部神経刺激治療の実施形態によって達成される尿道機能も、電極、ワイヤ、コントローラ等の任意の埋め込まれたデバイスを有する前に、患者毎に最適化されることができる。これは、ひいては、陰部神経刺激治療のための候補患者の最終臨床転帰を改善し、また、陰部神経刺激システムの電極および他の構成要素を除去し、そして/または再埋込しなくてはならない必要性からの罹患率および死亡率のリスクを低減させる。
【0039】
本発明の種々の実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。これは、本発明を開示される精密な形態に限定することを意図するものではない。多くの修正、変形例、および精緻化が、当業者に明白である。例えば、デバイスの実施形態は、種々の小児科および種々の獣医学用途のために定寸および別様に適合されることができる。また、当業者は、日常的にすぎない実験を使用して、本明細書に説明される具体的デバイスおよび方法の多数の均等物を認識または確認可能である。そのような均等物は、本発明の範囲内にあると見なされ、以下の添付の請求項によって網羅される。
【0040】
一実施形態からの要素、特性、または作用は、他の実施形態からの1つまたはそれを上回る要素、特性、もしくは作用と容易に再組み合わせもしくは代用され、本発明の範囲内の多数の付加的実施形態を形成することができる。さらに、他の要素と組み合わせられるように図示または説明される要素は、種々の実施形態では、独立型要素として存在することができる。故に、本発明の範囲は、説明される実施形態の詳細に限定されず、代わりに、添付の請求項によってのみ限定される。