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特許7048531端末、通信システム、プログラム、及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】端末、通信システム、プログラム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20220329BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20220329BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20220329BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20220329BHJP
【FI】
H04W74/08
H04W28/04 110
H04W48/10
H04W4/70
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019052907
(22)【出願日】2019-03-20
(62)【分割の表示】P 2015099499の分割
【原出願日】2015-05-14
(65)【公開番号】P2019135861
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2019-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】北川 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 典征
(72)【発明者】
【氏名】末柄 恭宏
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/005701(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/181646(WO,A1)
【文献】NTT DOCOMO,PRACH repetition in Rel-13 low complexity UE,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #80bis R1-152059,2015年04月,https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152059.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御局と通信する端末であって、
前記制御局から受信した複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、カバレッジ拡張レベルに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定手段と、
前記特定手段において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信手段と、
を有し、
それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、
前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する
ことを特徴とする端末。
【請求項2】
前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータのそれぞれは、一定量のデータの通信を行う際に用いるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数に対応することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
制御局および前記制御局と通信する端末を含む通信システムであって、
前記制御局は、複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータを前記端末に送信する送信手段を有し、
前記端末は、
前記制御局から受信した前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、拡張カバレッジに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定手段と、
前記特定手段において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信手段と、
を有し、
それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、
前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項4】
制御局と通信する端末に備えられたコンピュータに、
前記制御局から受信した複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、カバレッジ拡張レベルに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定工程と、
前記特定工程において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信工程と、
を実行させるためのプログラムであって、
それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、
前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
制御局と通信する端末の制御方法であって、
前記制御局から受信した複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、カバレッジ拡張レベルに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定工程と、
前記特定工程において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信工程と、
を有し、
それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、
前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信におけるカバレッジ拡張技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セルラネットワークにおいて、少量のデータ通信のみを行うための低コストかつ低消費電力の端末に対応することが検討されている(非特許文献1)。このような端末は、例えば、自然現象に関する何らかの観測データの取得や、何らかの機器における状態のモニタリングなどに用いられることが考えられる。そして、そのような端末は、必ずしも人間が通常立ち入る範囲に存在するわけではないため、通常のセルラネットワークのカバレッジでは対応できない場合がある。
【0003】
非特許文献1では、そのような場合に備えてカバレッジを拡張することが検討されている。例えば、送信器が同一の信号を繰り返し送信することによって、カバレッジが拡張されうる。この場合、受信器は、1度の信号が送信されただけではその信号の受信に成功しなくても(すなわち、復調等による信号の内容の取得ができなくても)、その繰り返しによる利得によって、受信を成功させることができる。これにより、本来通信できない範囲に存在する端末が、基地局と通信することができるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TR36.888 V12.0.0、2013年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カバレッジを拡張する際には、何らかのリソースが冗長に用いられることとなる。すなわち、例えば信号の繰り返し送信が行われる場合、1つのデータの送信に、周波数と時間との少なくともいずれかのリソースを、1回の送信と比べて繰り返し送信の回数分だけ多く使用することとなる。ここで、通信装置が、他の装置と通信ができることを確実にするために、過剰な回数だけデータを繰り返し送信すると、リソースの浪費につながる一方で、その回数が不十分だと、結局通信ができないこととなる。したがって、このようなカバレッジの拡張技術においては、リソースを不必要に浪費せず、かつ、通信を行うことが可能となる、リソースの量を特定することが重要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る端末は、制御局と通信する端末であって、前記制御局から受信した複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、カバレッジ拡張レベルに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定手段と、前記特定手段において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信手段と、を有し、それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る通信システムは、制御局および通信する端末を含む通信システムであって、前記制御局は、複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータを前記端末に送信する送信手段を有し、前記端末は、前記制御局から受信した前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータから、カバレッジ拡張レベルに対応する1つのランダムアクセスプリアンブルのパラメータを特定する特定手段と、前記特定手段において特定された前記1つのランダムアクセスプリアンブルパラメータに基づいて1つのランダムアクセスプリアンブルを前記制御局へ送信する送信手段と、を有し、それぞれのカバレッジ拡張レベルは、前記端末から前記制御局への一定量のデータの通信を行う際に用いる、それぞれ異なるランダムアクセスプリアンブルおよび繰り返し送信回数の組み合わせに対応し、前記複数のランダムアクセスプリアンブルのパラメータは、前記端末から前記制御局への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルと、前記制御局から前記端末への通信を行う際に用いるカバレッジ拡張レベルとの組み合わせに対応する。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバレッジの拡張技術において、リソースを不必要に浪費せず、かつ、通信を行うことが可能となる、リソースの量を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図。
図2】無線制御局及び端末のハードウェア構成例を示す図。
図3】端末の機能構成例を示す図。
図4】無線制御局の機能構成例を示す図。
図5】繰り返し送信により利得を得る場合の、繰り返し送信回数と使用されるプリアンブルIDとの対応関係を示す概略図。
図6】繰り返し送信の再送時に送信電力を変化させる場合の、繰り返し送信回数および再送回数と使用されるプリアンブルIDとの対応関係を示す概略図。
図7】上りリンク通信におけるリソース量特定処理の流れの例を示す図。
図8】下りリンク通信におけるリソース量特定処理の流れの例を示す図。
図9】上り及び下りリンク通信におけるリソース量特定処理の流れの例を示す図。
図10】上り及び下りリンク通信におけるリソース量特定処理で用いられうるプリアンブルIDの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(無線通信システムの構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、それぞれが無線通信装置として動作する端末101と無線制御局102とを含む。なお、例示的に1つの端末101と1つの無線制御局102とが含まれるシステムを示しているが、これらの通信装置は複数存在し得る。無線制御局102は、例えば、基地局装置である。また、本無線通信システムは、例えばロングタームエボリューション(LTE)等のセルラ通信システムであるが、その後の世代のセルラ通信システムや、無線LANなどの無線通信システムであってもよい。すなわち、以下の技術は、2つの通信装置間において、通信可能範囲を拡張する何らかの技術を用いる場合に適用できるものであり、その対象は、必ずしもセルラ通信システム等の特定のシステムに限定されない。
【0012】
本無線通信システムでは、無線制御局102又は端末101が、同一のデータを複数回、繰り返して送信し、受信側装置は、同一のデータが複数回送信されることによって得られる利得によって、そのデータを受信することができる。なお、ここでの「同一のデータが複数回送信されること」は、必ずしも「同一の信号が複数回送信されること」を意味しない。すなわち、同一のデータが、同一の信号によって複数回送信されてもよいし、例えば、同一のデータに対して異なる符号化手法を施すことによって形成される複数の異なる信号によって複数回送信されてもよい。すなわち、「同一のデータ」は送信対象のデータを指し、その同一のデータを伝送するための信号自体及び信号で伝送される内容(例えば符号化後/復号化前のビット列)は、送信ごとに異なってもよい。ここで、上述のように、送信側装置が、必要以上に多くの回数にわたって同一のデータを送信すると、周波数と時間との少なくともいずれかのリソース(例えばリソースブロック)が浪費されることとなる。さらに、例えば、端末が信号を過剰な回数にわたって送信すると、電力消費量が多くなり、低消費電力の要求に応えられなくなってしまう。一方で、データ送信の繰り返し回数が少なすぎると、通信を行うことができなくなってしまう。また、このとき、通信の試行に用いられたリソースもやはり無駄となってしまう。
【0013】
このため、本無線通信システムには、無線制御局102と端末101との間での通信に用いる適切なリソースの量が特定するための手法が導入される。また、そのときに、通信の制御を行う無線制御局102が、その情報を知ることができるようにする。なお、ここで言う「適切なリソースの量」は、「一定量のデータの通信に関して」、通信が可能となり、かつ、リソースを過剰に浪費しない、リソースの量である。すなわち、一般に、送信されるデータ量が多い場合にはリソースの量も当然に増加するが、そのようなデータ量に左右されない量として、リソースの量が特定される。「一定量」は、例えば端末101と無線制御局102との間での定期的な通信において送信されるデータ量であってもよいし、例えば、LTEにおける1つのリソースブロック相当のデータ量であってもよい。
【0014】
リソースの量は、例えば、端末101が送信するランダムアクセスチャネルのプリアンブルを、無線制御局102が受信成功する(すなわち、どのようなプリアンブルが送信されたかを特定成功する)のに必要な最小の繰り返し送信回数として規定される。また、リソースの量は、端末101が送信するランダムアクセスチャネルのプリアンブルを、無線制御局102が受信成功するのに必要な最小の繰り返し送信回数と、送信電力との組み合わせとして規定されてもよい。なお、リソースの量は、繰り返し送信回数以外のもので規定されてもよい。例えば、リソースの量は、1つのデータの送信を拡散する場合の拡散率などで規定されてもよい。この場合、送信側装置は、例えば、送信する前にデータを拡散して、複数のリソースブロックを用いてその拡散後のデータを送ることができ、受信側装置では、拡散率が高いほど、多くの利得を得て、遠方から送信された信号を受信することができる。
【0015】
本実施形態では、データ通信時に用いるべきリソースの量を、端末101が送信するランダムアクセスチャネルのプリアンブル、又は、無線制御局102が送信する報知信号を、受信側装置において検出することによって、特定する。なお、これらの信号は一例であり、ランダムアクセスチャネルのプリアンブル及び報知信号以外の信号が、リソース量の特定のために用いられてもよい。例えば、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)において定義されている何らかのチャネルが用いられうる。また、端末101は、無線制御局102が送信した報知信号を検出して、下りリンクにおいて用いるべきリソースの量を特定し、その結果を、無線制御局102に通知する。端末101は、この通知の際に、ランダムアクセスチャネルのプリアンブルを用いることができる。
【0016】
以下、このような端末101及び無線制御局102の構成および実行される処理の流れの例について、図2図10を用いて説明する。
【0017】
(無線制御局および端末のハードウェア構成)
図2は、無線制御局102及び端末101のハードウェア構成例を示す図である。無線制御局102及び端末101は、一例において、図2に示すようなハードウェア構成を有し、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、外部記憶装置204、及び通信装置205を有する。無線制御局102及び端末101では、例えばROM202、RAM203及び外部記憶装置204のいずれかに記録された、無線制御局102及び端末101の各機能を実現するためのプログラムがCPU201により実行される。そして、無線制御局102及び端末101は、例えばCPU201により通信装置205を制御して、無線制御局102と他の無線制御局との間又は無線制御局102と端末101との間の通信を行う。
【0018】
なお、図2では、無線制御局102及び端末101は、1つの通信装置205を有するとしているが、例えば、無線制御局102は、無線制御局間の通信用の通信装置及び端末101との間の通信装置を有してもよい。また、端末101は、例えば、複数の周波数帯域のそれぞれに対応する複数の通信装置を有していてもよい。なお、端末101は、端末間の直接通信のために、例えば、上りリンクの信号を受信するための通信装置を有していてもよいし、下りリンクの信号を送信するための通信装置を有していてもよい。
【0019】
なお、無線制御局102及び端末101は、各機能を実行する専用のハードウェアを備えてもよいし、一部をハードウェアで実行し、プログラムを動作させるコンピュータでその他の部分を実行してもよい。また、無線制御局102及び端末101は、その全機能をコンピュータとプログラムにより実行させてもよい。
【0020】
(端末の機能構成)
図3は、端末101の機能構成例を示す図である。端末101は、その機能構成として、例えば、送信部301、受信部302、使用リソース量決定部303、及びプリアンブルID取得部304を有する。
【0021】
送信部301は、例えば、同じデータ信号を1回以上の回数だけ繰り返し送信することにより、無線制御局102に対して信号を伝送するための機能部である。なお、送信部301は、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在する場合は、通常、データ信号を1回送信し、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在せず、カバレッジ拡張が必要な場合には、データ信号を複数回送信する。なお、送信部301は、無線制御局102に対して、後述する使用リソース量決定部303において決定又は特定された、上りリンクまたは下りリンクでの通信に用いるべきリソース量に対応する所定のランダムアクセスチャネルのプリアンブルを送信する。この具体的な手法については後述する。
【0022】
受信部302は、例えば、無線制御局102から1回以上送信されたデータ信号を受信して、そのデータの内容を取得する機能部である。なお、受信部302は、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在する場合は、通常、データ信号を1回だけ受信することによって、その信号に含まれるデータを取得することができる。一方、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在せず、カバレッジ拡張が必要な場合には、受信部302は、データ信号を複数回受信して、データを取得する。
【0023】
使用リソース量決定部303は、端末101が信号を送信する際に用いるリソースの量を決定し、また、無線制御局102が送信した信号からデータを取得するのに要するリソースの量を特定する。
【0024】
使用リソース量決定部303は、端末101が信号を送信する際に用いるリソースの量を独自に決定することができる。使用リソース量決定部303は、例えば、リソースの量が信号の繰り返し送信回数である場合、初期的に、各データ信号を1回だけ送信することを決定する。その後、例えば信号送信後に無線制御局102からACKが送信されてこないなど、無線制御局102がそのデータ信号の受信に失敗したと判定すると、使用リソース量決定部303は、繰り返し送信回数を増やす。これにより、使用リソース量決定部303は、無線制御局102におけるデータ信号の受信成功確率を向上させる。すなわち、使用リソース量決定部303は、データ信号の送信回数を増やすことにより、無線制御局102のカバレッジを拡張する効果を得ようとする。一般に、使用するリソース量を徐々に増加させることで、無線制御局102がデータ信号を受信することができる確率を徐々に向上させることができる。なお、使用リソース量決定部303は、このときに、予め最低の信号送信回数が外部入力により得られている場合、無線制御局102からACKが送信されるかに関わらず、その信号送信回数分の繰り返し送信を行うようにしてもよい。すなわち、初期的な信号の繰り返し送信回数は1回である必要はなく、信号は、最初から(そして、場合によっては常に)複数回繰り返して送信されてもよい。
【0025】
なお、信号の繰り返し送信回数は、その繰り返し送信によって得られる利得(dB)と対応付けられうる。ここで、得るべき利得の値は離散値であってもよく、例えば、5dB刻みの値でありうる。この場合、使用リソース量決定部303は、例えば、当初は利得が0dBとなる1回のデータ送信を試行し、それに失敗した場合、5dBの利得が得られる回数のデータ送信を試行し、さらにその後、10dBの利得が得られる回数のデータ送信を試行し得る。
【0026】
なお、ここでは、利得を得る手法として繰り返し送信が用いられる場合について説明するが、繰り返し送信以外の手法が用いられる場合にも、得られる利得と送信方法とが関連付けられてもよい。利得を得る手法が、繰り返し送信以外のものであってもよいことは、後述の各説明においても同様である。
【0027】
また、使用リソース量決定部303は、無線制御局102が繰り返し送信した信号について、何度目の受信において、その信号の受信に成功した(すなわち、その信号に係るデータを取得できた)かを特定することができる。無線制御局102は、例えば、システム情報ブロック(SIB)などを含む報知信号を繰り返し送信し、端末101は、その報知信号を1回以上受信することにより、その報知信号の内容を取得することができる。そして、この場合、使用リソース量決定部303は、その報知信号の内容を、何回目の受信で取得することができたかを特定する。
【0028】
プリアンブルID取得部304は、例えば、無線制御局102から、使用リソース量にそれぞれが対応するランダムアクセスチャネルの複数のプリアンブルパターンを特定する情報(プリアンブルID)を取得する。ここで取得される情報の例を、図5(c)に示す。図5(c)の場合、繰り返し送信を行わない場合についてプリアンブルID:A、繰り返し送信回数3回に対してプリアンブルID:B、繰り返し送信回数5回に対してプリアンブルID:Cなどのように、繰り返し送信回数ごとに異なるIDが割り振られる。なお、図5(c)は一例に過ぎず、1回、3回、5回などの奇数回ごとにプリアンブルIDが割り当てられなければならないわけではなく、様々な繰り返し回数に対して、それぞれプリアンブルIDが割り当てられうる。
【0029】
プリアンブルID取得部304は、使用リソース量とプリアンブルIDとの対応関係の情報を、無線制御局102が送信した報知信号を受信することによって取得してもよいし、他の信号によって取得してもよい。また、使用リソース量とプリアンブルIDとの対応関係の情報は、時間変化しない場合、無線制御局102から端末101に一度だけ通知されてもよい。また、使用リソース量とプリアンブルIDとの対応関係の情報は、時間変化してもよく、端末101は無線制御局102から送信される信号を監視し、変化があった場合には、内部的に記憶しておいた対応関係を更新するようにしてもよい。
【0030】
なお、プリアンブルIDは、個別のプリアンブルIDによって指定されてもよいし、複数のプリアンブルの一群を指定するグループIDによって指定されてもよい。例えば、図5(c)の場合、繰り返し送信回数が1、3及び5回のそれぞれの場合のプリアンブルIDであるA、B及びCがそれぞれ通知されうる。また、繰り返し送信回数が1、3及び5回のそれぞれの場合に対するプリアンブルIDとしてA、B及びCを含むグループが事前に定義されている場合に、そのグループIDが通知されてもよい。また、繰り返し送信回数(利得)とプリアンブルIDとの関係の通知では、例えばその通知内のフィールドによって繰り返し送信回数が特定される場合は、繰り返し送信回数の情報を明示的に通知する必要はない。例えば、通知の先頭からWビットが、繰り返し送信回数が1回の場合のプリアンブルIDに対応する場合、プリアンブルID取得部304は、受信した通知の先頭からWビットを読み込むだけで繰り返し送信回数が1回の場合のプリアンブルIDを取得できる。また、通知のW+1ビット目から2Wビット目までが3回の繰り返し送信回数に対応する場合、プリアンブルID取得部304は、通知のW+1ビット目から2Wビット目までを読み込むことで、繰り返し送信回数が3回の時のプリアンブルIDを取得できる。これによれば、繰り返し送信回数に関する情報が送信されなくてもよくなるため、通知に係る情報量が削減されうる。なお、繰り返し送信回数を利得に関する他の値としても、同様の通知を構成することが可能である。
【0031】
送信部301は、使用リソース量決定部303が決定又は特定したリソースの量に応じて、プリアンブルID取得部304が取得した複数のプリアンブルIDに対応するプリアンブルのうちの1つを特定して送信する。例えば、図5(c)の対応関係が用いられる場合、送信部301は、使用リソース量決定部303が、無線制御局102へ送信する際の繰り返し送信回数を3回と決定した場合は、プリアンブルID:Bに対応するプリアンブルを、3回を一単位として送信する。また、送信部301は、使用リソース量決定部303が、無線制御局102へ送信する際の繰り返し送信回数を5回と決定した場合は、プリアンブルID:Cに対応するプリアンブルを、5回を一単位として送信する。ここで、ランダムアクセスチャネルのプリアンブルは、通常、送信電力を上げながら、受信側装置において受信されるまで再送を行う。しかしながら、繰り返し送信が要求される状況は、そもそも信号が受信側装置に1回届いただけでは復調できない程度のレベルでしか届かない状況である。したがって、送信部301は、図5(a)及び図5(b)のように、使用リソース量決定部303によって決定された同じプリアンブルを繰り返し送信する回数を一単位として、同じ電力で複数回の再送を行い得る。すなわち、送信部301は、使用リソース量決定部303が繰り返し送信回数を3回と決定した場合、再送時にも、プリアンブルID:Cに対応するプリアンブルを3回繰り返して送信する。この場合、送信部301は、初回送信と1回目の再送とを行うことにより、計6回、同じ信号を送信することとなる。
【0032】
また、送信部301は、上述の再送を、送信電力を増やしながら行ってもよい。このとき、送信部301は、再送回数に応じて、送信するプリアンブルを変更することもできる。例えば、送信部301は、図6(a)及び(c)に示すように、繰り返し送信回数が3回の場合、初回送信としてプリアンブルIDがBAのプリアンブルを送信する。そして、送信部301は、繰り返し送信回数が3回の場合の1回目の再送時(すなわち、2回目の送信時)には、プリアンブルIDがBBのプリアンブルを送信する。同様に、送信部301は、繰り返し送信回数が5回の場合、図6(b)及び(c)に示すように、初回送信時にはプリアンブルIDがCAのプリアンブルを送信する。また、送信部301は、1回目、2回目、3回目の再送時には、それぞれプリアンブルIDがCB、CC、CDのプリアンブルを、5回繰り返して送信する。なお、この場合、プリアンブルID取得部304は、再送回数ごとに異なるプリアンブルIDが対応する、繰り返し送信回数および再送回数と、プリアンブルIDとの対応関係の情報を取得することとなる。
【0033】
なお、図5(c)及び図6(c)には、繰り返し送信回数が1回の場合についてのプリアンブルIDを特定しているが、初回送信時のプリアンブルは、従来のランダムアクセスチャネルのプリアンブルと同様のものであってもよい。また、送信部301は、繰り返し送信回数が1回の場合にのみ再送時の送信電力を増加させながら、そして、繰り返し送信回数が複数回である場合は初回送信時及び再送時の両方において最大送信電力で、プリアンブルを送信してもよい。
【0034】
なお、繰り返し送信回数ではなく、0dBの利得に対してプリアンブルID:D、5dBの利得に対してプリアンブルID:E、10dBの利得に対してプリアンブルID:Cなどのように、得られる利得ごとにプリアンブルIDが定められてもよい。このときは、送信部301が、利得ごとに対応する信号送信方法を用いて、プリアンブルを送信する。例えば、送信部301は、5dBの利得を得るべき場合に、5dBの利得に対応する信号の所定送信回数を特定し、プリアンブルIDがEのプリアンブルをその特定した所定送信回数だけ繰り返して送信する。また、送信部301は、5dBの利得を得るべき場合に、5dBの利得に対応する拡散率を特定し、プリアンブルIDがEのプリアンブルをその拡散率で拡散して送信してもよい。
【0035】
無線制御局102は、プリアンブルの受信に成功すると、その時のプリアンブルIDに応じて、端末101が無線制御局102に信号を送信する際に用いるべきリソースの量(繰り返し回数)を特定することができる。このとき、無線制御局102は、端末101に対して特定したリソースの量を、例えば制御信号を通じて通知することができる。なお、リソースの量の通知は、プリアンブルIDによる通知、すなわち特定できたプリアンブルIDの通知であってもよい。なお、無線制御局102は、複数のプリアンブルIDのプリアンブルの受信に成功した場合、それらのプリアンブルIDに対応するリソースの量のうち、最少のものを選択するようにしてもよい。これにより、端末101が無線制御局102に信号を送信する際に、受信成功するのに必要で、かつ、不必要に多くない量のリソースを用いるようにすることが可能となる。
【0036】
送信部301は、無線制御局102から端末101への信号送信時に要する繰り返し送信回数(利得)を、無線制御局102に対して通知する際にも、上述の手法と同様のプリアンブルの特定及び送信を行うことができる。すなわち、使用リソース量決定部303は、無線制御局102から送信された信号の復調(信号に含まれるデータの取得)に何回の信号の受信を要したかを特定し、送信部301は、その回数に応じて1つのプリアンブルを特定して送信することができる。例えば、送信部301は、信号の復調に要する受信回数が1回の場合には、プリアンブルIDがXのプリアンブルを送信し、信号の復調に要する受信回数が2回の場合には、プリアンブルIDがYのプリアンブルを送信するようにすることができる。これによれば、無線制御局102は、どのプリアンブルを受信したかに応じて、端末101への信号の送信時にどの程度のカバレッジ拡張のための利得を得ることが要求されるかを知ることができる。したがって、無線制御局102は、端末101が受信成功する最低限の回数だけ信号を繰り返し送信することにより、通信ができる程度のリソース量を用いながら、かつ、リソースの浪費を防ぐことが可能となる。
【0037】
(無線制御局の構成)
図4は、無線制御局102の機能構成例を示す図である。無線制御局102は、その機能構成として、例えば、送信部401、受信部402、使用リソース量特定部403、使用リソース量通知部404及びプリアンブルID通知部405を有する。
【0038】
送信部401は、例えば、同じデータ信号を1回以上の回数だけ繰り返し送信することにより、端末101に対して信号を伝送するための機能部である。なお、送信部401は、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在する場合は、通常、データ信号を1回送信し、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在せず、カバレッジ拡張が必要な場合には、データ信号を複数回送信する。
【0039】
受信部402は、例えば、端末101から1回以上送信されたデータ信号又はプリアンブルを受信して、そのデータの内容又はプリアンブルIDを取得する機能部である。なお、受信部402は、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在する場合は、通常、データ信号を1回だけ受信することにより、信号に含まれるデータを取得することができる。一方、端末101が無線制御局102のカバレッジエリア内に存在せず、カバレッジ拡張が必要な場合には、受信部402は、データ信号を複数回受信することにより、データを取得することができる。
【0040】
使用リソース量特定部403は、端末101が上述のようにして送信したプリアンブルが、どのプリアンブルIDに対応するかに応じて、使用するリソースの量(繰り返し送信回数)を特定する。例えば、使用リソース量特定部403は、図5(a)~(c)の例では、プリアンブルIDがBの信号を無線制御局102が受信成功した場合、端末101から無線制御局102への信号伝送において3回の繰り返し信号送信が行われるべきことを特定する。なお、このとき、無線制御局102は、端末からのプリアンブルを受信成功するまでにプリアンブルを検出した回数を特定することによって、必要な繰り返し送信回数を得ることもできる。一方、繰り返し送信回数に応じて特定されるプリアンブルを用いると、無線制御局102が繰り返し送信されたプリアンブルのうちの1つ以上を検出できないことがあったとしても、無線制御局102は、必要最低限の繰り返し送信数を特定することが可能となる。すなわち、端末101が、例えば、プリアンブルを3回繰り返して送信している場合に、無線制御局102は、プリアンブルを2回検出して、その結果、プリアンブルを特定できたとする。この場合、プリアンブルと繰り返し送信回数とが対応していないと、無線制御局102は、繰り返し送信回数を2回と判定することとなるが、一方で、プリアンブルIDによる繰り返し送信回数の通知があると、繰り返し送信回数を3回と判定することができる。なお、使用リソース量特定部403は、例えば、プリアンブルIDから、得るべき利得を特定し、使用リソース量通知部404に入力する。
【0041】
また、使用リソース量特定部403は、端末101が上述のようにして送信したプリアンブルが、どのプリアンブルIDに対応するかに応じて、無線制御局102が端末101へ信号を送信する際に使用すべきリソースの量を特定することもできる。なお、使用リソース量特定部403は、例えば、プリアンブルIDから、得るべき利得を特定し、送信部401に、その利得を得ることができるような通信方法を用いるように指示を発出してもよい。
【0042】
使用リソース量通知部404は、使用リソース量特定部403が特定した、端末101が無線制御局102へ信号を送信する際に要するリソースの量を、送信部401を介して、端末101へ通知する。この通知は、例えば、使用リソース量特定部403が特定した、無線制御局102が端末101へ信号を送信する際に要する量のリソースを用いて行われうる。プリアンブルID通知部405は、使用するリソースの量ごとのプリアンブルIDを、送信部401を介して端末101へ通知する。この通知は、端末101におけるプリアンブルID取得部304の説明で説明したものであるため、詳細な説明については省略する。
【0043】
(処理の流れ)
続いて、上述のような端末101及び無線制御局102の間で行われる、リソース量特定処理の流れの例についていくつか説明する。
【0044】
<処理例1>
本処理例では、上りリンク(端末101から無線制御局102へ信号を送信するリンク)での、用いるべきリソースの量を特定する。この処理について、図7を用いて説明する。本処理例では、まず、無線制御局102が、端末101へ初期アクセスパラメータを通知する(S701)。ここで、初期アクセスパラメータは、例えば、上述の繰り返し送信回数(又は、使用リソース量若しくは得るべき利得)と、プリアンブルIDとの対応関係を示す情報を含みうる。また、初期アクセスパラメータは、プリアンブルの初期送信電力に関するパラメータ及び再送試行回数の少なくともいずれかを含みうる。
【0045】
続いて、端末101は、独自に信号の繰り返し送信回数を決定し(S702)、その回数に対応するプリアンブルIDのプリアンブルを特定して(S703)、特定したプリアンブルを、S702で決定した回数だけ繰り返し送信する(S704)。端末101は、例えば、最初は信号の繰り返し送信を行わずに、従来通りのランダムアクセスチャネルのプリアンブル送信を試行し得る。そして、無線制御局102において、そのプリアンブルが受信された場合には、無線制御局102から、端末101に対して、繰り返し送信が不要である旨の通知が行われる(S708)。この場合、端末101は、その後の通信においても繰り返し送信を行わない。
【0046】
一方、端末101は、無線制御局102が繰り返し送信なくしてプリアンブルの受信に成功しない場合は、繰り返し送信回数を増やし(S705)、カバレッジの拡張を試行する。そして、端末101は、繰り返し送信回数を変更したことに応じて、使用するプリアンブルを特定し(S706)、その特定したプリアンブルを、S705で決定した回数だけ、繰り返し送信する(S707)。
【0047】
なお、端末101は、S704において、プリアンブルの再送試行回数が初期パラメータで通知された値に達したにもかかわらずS708の通知が受信されない場合に、無線制御局102が繰り返し送信なくしてプリアンブルの受信に成功しないと判定しうる。なお、プリアンブルの再送は、例えば図5(a)及び(b)に示すように一定電力で行われてもよいし、図6(a)及び(b)に示すように徐々に電力を増加させながら行われてもよい。また、図6(c)に示すように、繰り返し送信単位ごとの再送回数に応じて異なるプリアンブルが送信されてもよいし、図5(c)に示すように再送回数によらず同じプリアンブルが送信されてもよい。なお、図5(a)及び(b)に示すように一定電力で再送を行いながら、図6(c)に示すように、繰り返し送信単位ごとの再送回数に応じて異なるプリアンブルが送信されてもよい。なお、再送回数に応じて異なるプリアンブルが送信される場合は、再送ごとに、送信されるプリアンブルが特定される。無線制御局102は、いずれかのプリアンブルの受信に成功すると、そのプリアンブルのプリアンブルIDから、繰り返し送信回数(必要な利得)を特定して、端末101へ通知する(S708)。
【0048】
なお、必要な利得のレベル(カバレッジ拡張レベル)が例えば所定数の段階で予め区切られていてもよく、この場合、端末101及び無線制御局102はその所定数の段階のうちのいずれに該当するかの判定を行うために図7の処理を行い得る。例えば、0dB、0~5dB、5~10dB、10~20dBの4段階の必要な利得のレベルが存在する場合、端末101は、それぞれのレベルにおいて、0dB、5dB、10dB、20dBの利得を得ることができるような信号送信方法を使用する。なお、この信号送信方法は、上述のように、例えば繰り返し送信回数の調整によるもの、拡散率の調整によるものなど、利得を得ることができるものであれば、どのようなものが用いられてもよい。また、この場合、無線制御局102は、4つの段階のそれぞれに対応するプリアンブルIDを端末101に通知し、端末101は例えば利得が小さい方のレベルから利得が大きい方のレベルに対応するプリアンブルを、順に無線制御局102へ送信する。これにより、無線制御局102は、どの程度のカバレッジ拡張が必要であるかを把握することができる。
【0049】
<処理例2>
本処理例では、下りリンク(無線制御局102から端末101へ信号を送信するリンク)での、用いるべきリソースの量を特定する。この処理について、図8を用いて説明する。本処理例では、まず、無線制御局102が、報知信号を定期的に送信する(S801)。このとき、端末101は、その報知信号の受信が成功するまでに何回の受信が必要であったか、すなわち、報知信号の復調が成功するまでに、何回報知信号を検出したかを判定する。なお、この報知信号は一例であり、複数回送信される信号であれば、どのような信号が用いられてもよい。
【0050】
続いて、端末101は、報知信号の復調が成功するまでの必要受信回数に応じて、使用するプリアンブルを特定する(S802)。なお、このときに使用されるプリアンブルを特定する情報は、S801の報知信号によって無線制御局102から端末101へ通知されてもよい。そして、端末101は、S802で特定したプリアンブルを、無線制御局102へ送信する(S803)。このとき、端末101は、例えば図7の処理によって特定された上りリンクにおける繰り返し送信回数分だけ、プリアンブルを送信するようにしてもよいし、無線制御局102から確認応答を受信するまで、送信を繰り返してもよい。なお、このときの送信されるプリアンブルは、必要受信回数そのものと関連付けられていてもよいし、特定された受信回数に応じて得られる利得と関連付けられていてもよい。例えば、必要な利得のレベル(カバレッジ拡張レベル)が例えば所定数の段階で予め区切られていてもよく、この場合、端末101は、受信回数がその所定数の段階のうちのいずれに該当するかを判定し得る。例えば、0dB、0~5dB、5~10dB、10~20dBの4段階の必要な利得のレベルが存在する場合、端末101は、必要受信回数がこれらの段階のうちのいずれかに該当するかを判定し、その判定結果に対応するプリアンブルを送信し得る。これによれば、プリアンブルの種類を4種類に限定することが可能となり、用意すべきプリアンブルの数を抑えることが可能となる。
【0051】
<処理例3>
本処理例では、上りリンクと下りリンクとの両方において、用いるべきリソースの量を特定する。この処理について、図9を用いて説明する。本処理例では、処理例2と同様に、まず、無線制御局102が、報知信号を定期的に送信する(S901)。このとき、端末101も、処理例2と同様に、その報知信号の受信が成功するまでに何回の受信が必要であったか、何回報知信号を検出したかを判定する。その後、端末101は、無線制御局102に対して、プリアンブルを繰り返し送信する回数を、例えば独自に、決定する(S902)。なお、この回数の初期値は、例えば無線制御局102によって通知されてもよいし、S901において特定された必要受信回数に応じて決定されてもよい。その後、端末101は、S901において特定した必要受信回数と、S902で決定したプリアンブル送信回数とから、送信するプリアンブルを特定し(S903)、そのプリアンブルを、決定した送信回数だけ繰り返して送信する(S904)。ここで特定されるプリアンブルは、報知信号を検出した回数と、プリアンブルを繰り返し送信する回数とに対応する。
【0052】
このとき用いられるプリアンブルIDと、上述の送信回数および受信回数との対応関係の例を、図10(a)に示す。図10(a)に示すように、例えば、無線制御局102によって送信された信号の受信成功までに要する受信回数が1回で、プリアンブルを繰り返し送信しない場合(送信回数が1回の場合)は、端末101は、プリアンブルID:AXのプリアンブルを送信する。同様に、無線制御局102によって送信された信号の受信成功までに要する受信回数が3回で、プリアンブルを5回繰り返し送信する場合は、端末101は、プリアンブルID:CZのプリアンブルを送信する。なお、プリアンブルは、図6(a)~(c)に示すように、繰り返し送信を一単位とした再送ごとに、異なるプリアンブルIDを用いてもよい。この場合、図10(b)に示すように、例えば、繰り返し送信回数、繰り返し受信回数、及び再送回数に対応して、1つのプリアンブルIDが特定されうる。例えば、端末101は、信号の受信成功に要する受信回数が2回で、繰り返し送信回数を5とした場合、その初回送信時にはプリアンブルID:CAYのプリアンブルを送信し、1回目の再送時にはプリアンブルID:CBYのプリアンブルを送信する。
【0053】
端末101は、例えば、S904においてプリアンブルを送信したにも関わらず、無線制御局102から通信に用いるべき繰り返し送信回数が通知されなかった場合、無線制御局102がプリアンブルの受信に成功していないと判定することができる。この場合、端末101は、プリアンブルの繰り返し送信回数を変更して、再度プリアンブルの送信を試行する。具体的には、端末101は、まず、繰り返し送信回数を再度決定する(S905)。このとき、再度決定される繰り返し送信回数は、例えばS902で決定された繰り返し送信回数より多い回数として決定されうる。その後、端末101は、繰り返し送信回数を増やした結果、送信すべきプリアンブルIDが変わるため、その繰り返し送信回数変更後のプリアンブルIDを特定し(S906)、その特定したプリアンブルIDのプリアンブルを送信する(S907)。その後、端末101は、無線制御局102から繰り返し送信回数の通知を受信する(S908)。なお、S907のプリアンブルによって下りリンク方向で用いるべき繰り返し送信回数(端末101にとっては繰り返し受信回数)が無線制御局102に通知されているため、無線制御局102は、S908の通知を、通知された送信回数だけ繰り返し送信しうる。そして、端末101は、S908の通知によって、上りリンクにおける適切な繰り返し送信回数を知ることができるようになる。
【0054】
なお、図10(b)のような対応関係を用いる場合は、端末101は、再送ごとにプリアンブルIDを変更しながら送信する。すなわち、端末101は、例えば、S902において決定した繰り返し回数のプリアンブルの初回送信後に、無線制御局102からの応答(繰り返し送信回数の通知)がない場合は、送信電力を増やして、プリアンブルを再送する。このとき、端末101は、初回送信時とは異なるIDのプリアンブルによって再送を行う。そして、再送回数が、例えば初期アクセスパラメータとして通知された再送回数に達しても、無線制御局102からの通知が受信されない場合は、端末101は、繰り返し送信回数を増加させ、初期送信電力でのプリアンブル送信を試行する。このときも、プリアンブルの繰り返し送信回数が変化するため、送信対象のプリアンブルも変化することとなる。その後、端末101は、同様に、無線制御局102からの応答が受信されるまで、同様の処理を繰り返す。
【0055】
以上により、無線制御局102は、端末101から送信されたプリアンブルを特定することによって、上りリンクと下りリンクとの両方における適切な繰り返し送信回数を一度に特定することが可能となる。なお、このときに特定される対象は、処理例1~2で述べたように、繰り返し送信回数でなくてもよく、例えば、カバレッジ拡張レベルが特定されてもよい。すなわち、無線制御局102は、端末101との通信を行うために、どの程度のカバレッジの拡張が必要であるか(又はどの程度の利得が要求されるか)を特定してもよい。そして、例えば、プリアンブルIDは、所定数の段階に区切られたカバレッジ拡張レベルごとに1つ割り当てられてもよい。この場合、例えば、端末101は、プリアンブル送信回数を特定せずに、カバレッジ拡張レベルを特定し、そのレベルに応じたプリアンブルを特定し、そのカバレッジ拡張レベルを得ることができる送信回数だけ、繰り返してそのプリアンブルを送信しうる。なお、あるカバレッジ拡張レベルを得るために、繰り返し送信以外の手法(例えば拡散)が用いられてもよい。
【0056】
なお、上述の手法は、端末から、無線制御局へ、所定のプリアンブルを送信することにより、カバレッジ拡張レベル(繰り返し送信回数)を通知するものとして説明したが、これに限られない。例えば、プリアンブルは、端末と無線制御局との間で既知の所定の信号であれば足り、ランダムアクセスチャネルのプリアンブルである必要はない。また、例えば、無線制御局は、端末へ、カバレッジ拡張レベルとプリアンブルIDとの対応関係を通知する際には、その少なくとも一部を通知するようにしてもよく、必ずしも全部を一度に通知しなくてもよい。このように、上述の実施形態は、例示の目的でなされたに過ぎず、本開示に係る発明は、上述の実施形態に限定されないことは明らかである。
図1
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図10