(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】筒形カットアウト
(51)【国際特許分類】
H01H 85/22 20060101AFI20220329BHJP
H01H 85/20 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H01H85/22
H01H85/20 B
(21)【出願番号】P 2019067004
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2018067993
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102636
【氏名又は名称】エナジーサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小寺 克昌
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕輔
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-163732(JP,A)
【文献】実公昭44-015795(JP,Y1)
【文献】特開2003-303537(JP,A)
【文献】特許第6018950(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/22
H01H 85/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、
前記上部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる上部カバーと、
前記下部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる下部カバーと、
前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、
前記接続部材の内側に設けられる筒状の消弧筒と、を備え、
前記接続部材は、前記上部カバー及び前記下部カバーよりも高い強度を有する材料からな
り、
前記下部カバーと前記消弧筒とは、一体に形成される
筒形カットアウト。
【請求項2】
上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、
前記上部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる上部カバーと、
前記下部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる下部カバーと、
前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、
前記接続部材の内側に設けられる筒状の消弧筒と、を備え、
前記接続部材は、前記上部カバー及び前記下部カバーよりも高い強度を有する材料からな
り、
前記上部カバーと前記消弧筒とは、一体に形成される
筒形カットアウト。
【請求項3】
前記上部カバー及び前記下部カバーの少なくとも一方は、フッ素系樹脂又はフッ素系材料を添加した絶縁材料からなる
請求項1
又は2に記載の筒形カットアウト。
【請求項4】
前記上部カバーの下端と前記下部カバーの上端とが接続されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の筒形カットアウト。
【請求項5】
前記上部カバーと上部モールドコーンとが一体に形成される
請求項1~4のいずれか一項に記載の筒形カットアウト。
【請求項6】
前記下部カバーと下部モールドコーンとが一体に形成される
請求項1~5のいずれか一項に記載の筒形カットアウト。
【請求項7】
前記上部カバーに設けられ、上部モールドコーンの外周に接触する部分よりも延出する上部延出部と、前記下部カバーに設けられ、下部モールドコーンの外周に接触する部分よりも延出する側壁延出部との少なくとも一方を備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の筒形カットアウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒形カットアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
過負荷電流や短絡電流、雷サージに対して変圧器を保護する筒形カットアウトが変圧器の一次側に設置されている(例えば、特許文献1参照)。
筒形カットアウトは、磁器製の円筒状の本体碍子内にヒューズ筒が収納されている。本体碍子の上端に上部電極が固定されるとともに、本体碍子の下部側面に下部電極が固定されている。ヒューズ筒は、上部電極と下部電極とを接続する。ヒューズ筒の上端には、管状の上部接触子を固定した絶縁筒が設けられる。絶縁筒には、環状の接触部を有する下部接触子が貫装される。絶縁筒の下端には、表示筒が固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような筒形カットアウトの質量は、磁器からなる本体碍子の質量がそのほとんどを占めている。筒形カットアウトは、電柱等に設置する際には、作業者が運ばなければならないため、筒形カットアウトの質量の低減が求められている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、質量を低減することのできる筒形カットアウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する筒形カットアウトは、上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、前記上部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる上部カバーと、前記下部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる下部カバーと、前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、を備え、前記接続部材は、前記上部カバー及び前記下部カバーよりも高い強度を有する材料からなる。
【0007】
上記構成によれば、絶縁材料からなる上部カバーに上部電極が取り付けられ、絶縁材料からなる下部カバーに下部電極が取り付けられている。このため、接続部材に上部電極及び下部電極を取り付ける部分が不要であり、接続部材の全長も短くすることができる。よって、筒形カットアウトの質量を低減することができる。
【0008】
上記筒形カットアウトについて、前記接続部材の内側に設けられる筒状の消弧筒を備え、前記下部カバーと前記消弧筒とは、一体に形成されることが好ましい。
上記構成によれば、負荷開放時のアークによって消弧ガスを発生する消弧筒が下部カバーと一体に形成されるため、消弧筒を保持する必要がなく、消弧筒を下部カバーとともに接続部材に組み付けることができる。
【0009】
上記筒形カットアウトについて、前記接続部材の内側に設けられる筒状の消弧筒を備え、前記上部カバーと前記消弧筒とは、一体に形成されることが好ましい。
上記構成によれば、負荷開放時のアークによって消弧ガスを発生する消弧筒が上部カバーと一体に形成されるため、消弧筒を保持する必要がなく、消弧筒を上部カバーとともに接続部材に組み付けることができる。
【0010】
上記筒形カットアウトについて、前記上部カバーの下端と前記下部カバーの上端とが接続されていることが好ましい。
上記構成によれば、上部カバーの下端と下部カバーの上端とが接続されるため、上部カバーと接続部材、下部カバーと接続部材との接続に加えて、上部カバーと下部カバーとの組み付けを強固にすることができる。
【0011】
上記筒形カットアウトについて、前記上部カバーと上部モールドコーンとが一体に形成されることが好ましい。
上記構成によれば、部品点数を減らすことができ、部品加工及び組立作業を簡素化することができる。
【0012】
上記筒形カットアウトについて、前記下部カバーと下部モールドコーンとが一体に形成されることが好ましい。
上記構成によれば、部品点数を減らすことができ、部品加工及び組立作業を簡素化することができる。
【0013】
上記筒形カットアウトについて、前記上部カバーに設けられ、上部モールドコーンの外周に接触する部分よりも延出する上部延出部と、前記下部カバーに設けられ、下部モールドコーンの外周に接触する部分よりも延出する側壁延出部との少なくとも一方を備えることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、上部モールドコーンに曲げ方向の荷重が発生したときに、上部モールドコーンが上部延出部の内面に接触することで、上部モールドコーンに設けられる引出線の曲げ半径の極小化が抑制され、引出線に掛かる応力を緩和することができる。又は、下部モールドコーンに曲げ方向の荷重が発生したときに、下部モールドコーンが下部延出部の内面に接触することで、下部モールドコーンに設けられる引出線の曲げ半径の極小化が抑制され、引出線に掛かる応力を緩和することができる。
【0015】
上記筒形カットアウトについて、前記上部カバー及び前記下部カバーの少なくとも一方は、フッ素系樹脂又はフッ素系材料を添加した絶縁材料からなることが好ましい。
上記構成によれば、絶縁性能が高まり、沿面距離を短くすることができる。ひいては、筒形カットアウトの質量を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、質量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】筒形カットアウトの第1の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図2】筒形カットアウトの第2の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図3】筒形カットアウトの第3の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図4】筒形カットアウトの第4の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図5】筒形カットアウトの第5の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図6】筒形カットアウトの第6の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図7】同実施形態の筒形カットアウトの概略構成を示す
図6の7-7断面図。
【
図8】筒形カットアウトの第7の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図9】筒形カットアウトの第8の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【
図10】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図11】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図12】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図13】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図14】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図15】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図16】同変形例の筒形カットアウトの概略構成を示す
図15の16-16断面図。
【
図17】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【
図18】筒形カットアウトの変形例の概略構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、
図1を参照して、筒形カットアウトの第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、筒形カットアウト1は、上部電極44が取り付けられる上部カバー20と、下部電極54が取り付けられる下部カバー30と、上部カバー20と下部カバー30とに接続される接続部材10とを備えている。筒形カットアウト1は、取付金具80によって電柱等の腕金に取り付けられる。取付金具80は、接続部材10の延出方向中央の外周に固定されている。
【0019】
接続部材10は、上部カバー20及び下部カバー30よりも高い強度を有する材料からなり、磁器製である。接続部材10は、円筒形状であって、上端から下端までの内径が同一であるとともに、上端から下端までの外径が同一である。磁器製の接続部材10の形状が単純であるため、製造時に襞を形成する筒の作業を省略することができ、製造コストを低減することができる。
【0020】
上部カバー20は、樹脂又はゴム等の絶縁材料からなる。上部カバー20は、有底円筒状の部材であって、接続部材10の上端11から上方に延出する上部延出部21を備えている。上部延出部21の底部には、円状の貫通孔21Aが形成されている。また、上部カバー20は、上部延出部21の底部から下方に延出する上部挿入部22を備えている。上部挿入部22は、円筒状であって、接続部材10の内側に位置している。
【0021】
上部カバー20は、襞23を備えている。襞23は、上部延出部21の外周面21Bに設けられている。襞23は、上部延出部21の外周面21Bから側方に立設して下方へ延出する第1襞23Aと、第1襞23Aの途中から下方へ延出する第2襞23Bとを備えている。
【0022】
上部延出部21の底部には、段差面21Cが形成されている。段差面21Cは、上部延出部21の外径よりも上部挿入部22の外径が短いことで形成されている。段差面21Cは、接続部材10の上端11と接触している。
【0023】
上部挿入部22の外周面には、シール部材22Aが取り付けられている。シール部材22Aは例えばOリングである。シール部材22Aは、接続部材10の内周面と接触している。シール部材22Aは、接続部材10の上端11において、接続部材10の内部と外部との間を密封する。上部挿入部22の下端の内周面には、雌螺子22Bが設けられている。なお、上部挿入部22の雌螺子22Bは、上部カバー20と下部カバー30との接続部分に相当し、下部挿入部33と係合する。
【0024】
上部カバー20の上部延出部21の内側には、円柱状の上部モールドコーン40が挿入されている。上部モールドコーン40には、上部引出線41が貫装されている。上部引出線41の基端には、螺子42が螺着されている。螺子42には、上部電極44が取り付けられ、螺子42と上部電極44とは、接続線43によって電気的に接続されている。上部モールドコーン40の上部引出線41には、配電線路の外部電線が接続される。上部モールドコーン40と取付金具80との絶縁距離は、襞23により確保されている。また、上部延出部21は、上部モールドコーン40との接触部よりも上部引出線41の延出方向へ延出している。このため、上部延出部21によって上部モールドコーン40の可動範囲を制限することができる。
【0025】
下部カバー30は、樹脂又はゴム等の絶縁材料からなる。下部カバー30は、円筒状の部材であって、接続部材10の下端12から下方へ延出する下部延出部31を備えている。下部延出部31の外径は、接続部材10の外径よりも長い。下部カバー30は、下部延出部31の側壁31Aから側方へ延出する側壁延出部32を備えている。側壁延出部32は、円筒状である。側壁延出部32の底部である側壁には、円状の貫通孔32Aが形成されている。
【0026】
下部カバー30は、下部延出部31の上端から上方に延出する下部挿入部33を備えている。下部挿入部33は、円筒状であって、接続部材10の内側に位置している。すなわち、下部カバー30と下部挿入部33とは、一体に形成されている。下部挿入部33は、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成されている。なお、下部カバー30も下部挿入部33とともに同じ絶縁材料から形成してもよいし、異なる絶縁材料から形成してもよい。
【0027】
下部カバー30は、襞35を備えている。襞35は、下部延出部31の側壁31Aのうち接続部材10寄りに複数設けられている。襞35は、下部延出部31の側壁31Aから側方へ延出して円板状に設けられている。
【0028】
下部延出部31の上端には、段差面31Cが形成されている。段差面31Cは、下部延出部31の外径よりも下部挿入部33の外径が短いことで形成されている。段差面31Cは、接続部材10の下端12と接触している。
【0029】
下部挿入部33の外周面には、シール部材33Aが取り付けられている。シール部材33Aは例えばOリングである。シール部材33Aは、接続部材10の内周面と接触している。シール部材33Aは、接続部材10の下端12において、接続部材10の内部と外部との間を密封する。下部挿入部33の上端の外周面には、雄螺子33Bが設けられている。下部挿入部33の雄螺子33Bは、上部挿入部22の雌螺子22Bと螺合する。なお、下部挿入部33の雄螺子33Bは、上部カバー20と下部カバー30との接続部分に相当し、上部挿入部22と係合する。
【0030】
下部カバー30の側面の側壁延出部32には、円柱状の下部モールドコーン50が挿入されている。下部モールドコーン50には、下部引出線51が貫装されている。下部引出線51の基端には、接続線52が接続されている。接続線52は、側壁31Aの貫通孔32Aに挿通されて、下部電極54に螺子止めされている。下部電極54は、円筒状の取付部材55に固定されている。下部カバー30の内壁には、係合溝31Bが形成されている。取付部材55は、係合溝31Bに係合して下部カバー30に取り付けられている。接続線52は、四角ナット53によって下部カバー30に固定されている。下部モールドコーン50の下部引出線51には、配電線路に設けられた変圧器等の機器が外部電線を介して接続される。下部モールドコーン50と取付金具80との絶縁距離は、襞35により確保されている。また、側壁延出部32は、下部モールドコーン50との接触部よりも下部引出線51の延出方向へ延出している。このため、側壁延出部32によって下部モールドコーン50の可動範囲を制限することができる。
【0031】
筒形カットアウト1は、接続部材10と下部カバー30との内部にヒューズ筒60が収納される。ヒューズ筒60は、上部電極44と下部電極54とを電気的に接続する。筒形カットアウト1は、ヒューズ筒60の着脱により開閉が行われる。
【0032】
ヒューズ筒60の上端には、管状の上部接触子61を固定した絶縁筒62が設けられている。絶縁筒62には、環状の接触部を有する下部接触子66が貫装されている。絶縁筒62の下端には、表示筒67が固着されている。下部接触子66と表示筒67との間にはばね68が介在されている。絶縁筒62内には、ヒューズ63が上部接触子61と下部接触子66との間にばね68によって張設されている。ヒューズ63は、ヒューズエレメント64とヒューズリード線65とが直列に接続されている。ヒューズリード線65の先端は、締付螺子69によって下部接触子66に締付固定されている。ヒューズ筒60の上部接触子61と下部接触子66とは、ヒューズエレメント64、ヒューズリード線65を介して電気的に接続されている。ヒューズエレメント64は、過電流等により規定値を越える電流が流れると溶断する。ヒューズ筒60の上部接触子61の先端には、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成される消弧棒70が収納されている。
【0033】
下部カバー30の下端開口部34には、下端開口部34を閉じる図示しない閉蓋部材が着脱可能に取り付けられる。閉蓋部材は、ヒューズ筒60のヒューズエレメント64が溶断した際に表示筒67が下方に突出することで押圧されて、下端開口部34から外れる。下部カバー30と閉蓋部材とは、紐によって接続されている。閉蓋部材が下端開口部34から外れたときには、閉蓋部材は紐によってぶら下がる。
【0034】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
筒形カットアウト1に過電流が流れると、ヒューズ63のヒューズエレメント64が溶断する。このとき、ヒューズリード線65の緊張状態が解除され、ヒューズ筒60の絶縁筒62がばね68の弾性力により下方に向かって移動する。ヒューズ筒60の絶縁筒62は、下部接触子66に係止される位置まで強制移動する。上部電極44から上部接触子61が外れるとともに、絶縁筒62が下部カバー30の下方へ突出する。このとき、表示筒67の押圧によって閉蓋部材が下端開口部34から外れ、表示筒67が下端開口部34から突出する。したがって、筒形カットアウト1のヒューズエレメント64が溶断したことが外部に報知される。作業者は、下部カバー30の下方へ突出した表示筒67にて過電流通過の旨を視認することができる。
【0035】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときには、下端開口部34から閉蓋部材を取り外す。そして、作業者が図示しない操作棒を下部カバー30内に挿入して、操作棒をヒューズ筒60の下部接触子66に嵌合させる。
【0036】
続いて、操作棒がヒューズ筒60と嵌合した状態で、操作棒を下方へ引っ張れば、下部電極54と下部接触子66との係合が外れるため、ヒューズ筒60を筒形カットアウト1から引き抜くことができる。このとき、上部電極44とヒューズ筒60の上部接触子61との間にアークが発生すると、消弧棒70及び下部挿入部33から消弧ガスが発生し、消弧棒70と下部挿入部33との細隙により消弧される。
【0037】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、上部電極44が取り付けられる上部カバー20と下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂又はゴム等の絶縁材料製であるため、上部カバー20及び下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、接続部材10を上端から下端まで同径の円筒形状としたため、従来の形状の製造に比べて接続部材10の製造に係る工数を低減することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)絶縁材料からなる上部カバー20に上部電極44が取り付けられ、絶縁材料からなる下部カバー30に下部電極54が取り付けられている。このため、接続部材10に上部電極44及び下部電極54を取り付ける部分が不要であり、接続部材10の全長も短くすることができる。よって、筒形カットアウト1の質量を低減することができる。
【0039】
(2)筒形状の接続部材10であるため、接続部材10の内部にヒューズ筒60を収納することができ、ヒューズ筒60の汚損を抑制することができる。
(3)負荷開放時のアークによって消弧ガスを発生する消弧筒に相当する下部挿入部33が下部カバー30と一体に形成されるため、下部挿入部33を保持する必要がなく、下部挿入部33を下部カバー30とともに接続部材10に組み付けることができる。
【0040】
(4)上部カバー20の下端と下部カバー30の上端とが接続されるため、上部カバー20と接続部材10との接続、及び下部カバー30と接続部材10との接続に加えて、上部カバー20と下部カバー30との組み付けを強固にすることができる。
【0041】
(5)上部カバー20の下端と下部カバー30の上端との接続部分が螺合するため、接続部材10に対する上部カバー20の脱落と、接続部材10に対する下部カバー30の脱落とをそれぞれ抑制することができる。
【0042】
(6)上部カバー20に襞23を設けるため、上部カバー20の沿面距離を長くすることができ、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
(7)下部カバー30に襞を設けるため、下部カバー30の沿面距離を長くすることができ、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
【0043】
(8)上部モールドコーン40に曲げ方向の荷重が発生したときに、上部モールドコーン40が上部延出部21の内面に接触することで、上部モールドコーン40に設けられる上部引出線41の曲げ半径の極小化が抑制され、上部引出線41に掛かる応力を緩和することができる。また、下部モールドコーン50に曲げ方向の荷重が発生したときに、下部モールドコーン50が下部延出部31の内面に接触することで、下部モールドコーン50に設けられる下部引出線51の曲げ半径の極小化が抑制され、下部引出線51に掛かる応力を緩和することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
以下、
図2を参照して、筒形カットアウトの第2の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、上部カバー20に襞23がない点、下部カバー30に襞35がない点、及び接続部材10に襞がある点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
図2に示すように、上部カバー20の上部延出部21の外周面21Bには、襞23が設けられていない。また、下部カバー30の下部延出部31の側壁31Aには、襞35が設けられていない。接続部材10の外周面10Aには、複数の襞13が設けられている。襞13は、接続部材10の外周面10Aから立設して接続部材の径方向に延出した円板状である。襞13は、接続部材10の上端11側に3個、接続部材10の下端12側に2個設けられている。なお、襞13の個数及び長さ等は所望の絶縁距離に合わせて変更可能である。
【0046】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、外形が従来の筒形カットアウトと類似しており、従来の筒形カットアウトと見比べたときに、違和感を覚えることを抑制することができる。また、接続部材10に設けた襞13による絶縁距離も従来の筒形カットアウトと類似しているため、従来と同等の絶縁性能を確保することができる。また、上部カバー20及び下部カバー30は樹脂又はゴム等の絶縁材料製であるため、襞がなければ、形成するときの型抜きが容易となる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)~(5)及び(8)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(9)接続部材10に複数の襞13を設けるため、接続部材10の沿面距離を長くすることができ、筒形カットアウト1の絶縁性能を確保することができる。
【0048】
(第3の実施形態)
以下、
図3を参照して、筒形カットアウトの第3の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、下部カバー30の下部挿入部33が分離している点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図3に示すように、下部カバー30には、下部挿入部33が設けられていない。接続部材10の内には、円筒状の消弧筒73が設置されている。消弧筒73の下端は、下部カバー30の上端に接触している。消弧筒73の上端部は、上部カバー20の上部挿入部22の内側に位置している。消弧筒73の上端部の外周面には、雄螺子73Bが設けられている。消弧筒73の雄螺子73Bは、上部挿入部22の雌螺子22Bと螺合する。
【0050】
上部カバー20の段差面21Cには、円環状の嵌合溝21Dが設けられている。接続部材10の上端11は、上部カバー20の嵌合溝21Dに嵌合している。接続部材10の上端11は、接着剤によって上部カバー20の嵌合溝21Dに接着されている。
【0051】
下部カバー30の上端面には、円環状の嵌合溝31Dが設けられている。接続部材10の下端12は、下部カバー30の嵌合溝31Dに嵌合している。接続部材10の下端12は、接着剤によって下部カバー30の嵌合溝31Dに接着されている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(6)~(8)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(10)上部カバー20の下端と消弧筒73の上端とが螺合されるため、上部カバー20と消弧筒73との組み付けを強固にすることができる。
【0053】
(11)上部カバー20の嵌合溝21Dに接続部材10の上端11が嵌合し、接着剤によって接着されるので、上部カバー20と接続部材10との組み付けを強固にすることができる。
【0054】
(12)下部カバー30の嵌合溝31Dに接続部材10の下端12が嵌合し、接着剤によって接着されるので、下部カバー30と接続部材10との組み付けを強固にすることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
以下、
図4を参照して、筒形カットアウトの第4の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、接続部材10が消弧筒の機能を兼ねる点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
図4に示すように、上部カバー20には、上部挿入部22が設けられていない。下部カバー30には、下部挿入部33が設けられていない。
接続部材10は、磁器製ではなく、消弧ガスを発生するメラミン樹脂等を含有した繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂で形成されている。なお、接続部材10の内側を消弧ガスが発生する樹脂で形成し、接続部材10の外側を繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂で形成してもよい。
【0057】
上部カバー20の段差面21Cには、円環状の嵌合溝21Dが設けられている。接続部材10の上端11は、上部カバー20の嵌合溝21Dに嵌合している。接続部材10の上端11は、接着剤によって上部カバー20の嵌合溝21Dに接着されている。
【0058】
下部カバー30の上端面には、円環状の嵌合溝31Dが設けられている。接続部材10の下端12は、下部カバー30の嵌合溝31Dに嵌合している。接続部材10の下端12は、接着剤によって下部カバー30の嵌合溝31Dに接着されている。
【0059】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときに、上部電極44とヒューズ筒60の上部接触子61との間にアークが発生すると、消弧棒70及び接続部材10から消弧ガスが発生し、消弧棒70と接続部材10との隙間により消弧される。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(6)~(8)の効果、第3の実施形態の(11)及び(12)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
【0061】
(13)接続部材10が消弧筒の機能を兼ねるため、第1の実施形態の下部挿入部33もしくは第3の実施形態の消弧筒73を省略することができ、筒形カットアウト1の部品点数を削減することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
以下、
図5を参照して、筒形カットアウトの第5の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、上部カバー20の上部挿入部22が消弧筒として機能する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0063】
図5に示すように、上部挿入部22は、接続部材10の延出方向の中央よりも下方まで延出し、ヒューズ筒60の上部接触子61を含む部分を覆っている。上部挿入部22の上部電極44よりも下方の内径は、縮径している。上部カバー20と上部挿入部22とは、一体に形成されている。上部挿入部22は、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成されている。なお、上部カバー20も上部挿入部22とともに同じ絶縁材料から形成してもよいし、異なる絶縁材料から形成してもよい。
【0064】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときに、上部電極44とヒューズ筒60の上部接触子61との間にアークが発生すると、消弧棒70及び上部挿入部22から消弧ガスが発生し、消弧棒70と上部挿入部22との隙間により消弧される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1),(2),(4)~(8)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(14)負荷開放時のアークによって消弧ガスを発生する消弧筒に相当する上部挿入部22が上部カバー20と一体に形成されるため、上部挿入部22を保持する必要がなく、上部挿入部22を上部カバー20とともに接続部材10に組み付けることができる。
【0066】
(第6の実施形態)
以下、
図6及び
図7を参照して、筒形カットアウトの第6の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、接続部材が筒ではない点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図6及び
図7に示すように、上部カバー20と下部カバー30とを接続する接続部材110は、複数の棒部材である。接続部材110の間隔をおいて円状に6本が配置されている。なお、接続部材110の本数は任意に変更可能である。取付金具80は、接続部材110の外面110Aに接触して取り付けられている。
【0068】
上部カバー20の段差面21Cには、円環状の嵌合溝21Dが設けられている。接続部材110の上端111は、上部カバー20の嵌合溝21Dに嵌合している。接続部材110の上端111は、接着剤によって上部カバー20の嵌合溝21Dに接着されている。
【0069】
下部カバー30の上端面には、円環状の嵌合溝31Dが設けられている。接続部材110の下端112は、下部カバー30の嵌合溝31Dに嵌合している。接続部材110の下端112は、接着剤によって下部カバー30の嵌合溝31Dに接着されている。
【0070】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときに発生する消弧ガスによる圧力を、上部カバー20の上部挿入部22と下部カバー30の下部挿入部33とによって耐える。このようにすることで、接続部材110の構成を簡易とすることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(3)~(8)の効果、第3の実施形態の(11)及び(12)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
【0072】
(15)接続部材110を上部カバー20と下部カバー30とを接続する機能のみとすることで、接続部材110を簡易な構成とすることができ、接続部材110の形状の自由度が高くなる。
【0073】
(第7の実施形態)
以下、
図8を参照して、筒形カットアウトの第7の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、上部挿入部22及び下部挿入部33が接続されていない点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0074】
図8に示すように、上部カバー20の上部挿入部22は、接続部材10に少し挿入されている。上部挿入部22と接続部材10とは接着剤によって接着されている。下部カバー30の下部挿入部33は、接続部材10に少し挿入されている。下部挿入部33と接続部材10とは接着剤によって接着されている。
【0075】
接続部材10の内には、円筒状の消弧筒73が設置されている。下部挿入部33の上端面には、円環状の嵌合溝33Cが設けられている。消弧筒73の下端73Aは、下部挿入部33の嵌合溝33Cに嵌合している。消弧筒73の下端73Aは、接着剤によって下部挿入部33の嵌合溝33Cに接着されている。なお、消弧筒73の下端73Aは、下部挿入部33の嵌合溝33Cに圧入してもよい。消弧筒73の上端部と上部挿入部22の下端部とは離間しており、消弧筒73の上端部と上部挿入部22の下端部とは接続されていない。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(8)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(16)下部挿入部33の嵌合溝33Cに消弧筒73の下端73Aが嵌合し、接着剤によって接着されるので、下部挿入部33と消弧筒73との組み付けを強固にすることができる。
【0077】
(17)上部挿入部22と消弧筒73との接続が不要であり、上部カバー20と下部カバー30とを接着剤によって接続部材10にそれぞれ接着することで組み付けられるため、上部カバー20及び下部カバー30の組み付けが容易である。
【0078】
(第8の実施形態)
以下、
図9を参照して、筒形カットアウトの第8の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、下部カバー30の上部が接続部材10の内側を覆っている点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0079】
図9に示すように、下部カバー30の上部には、接続部材10の内壁に沿って延出する円柱状の下部挿入部37が設けられている。下部挿入部37の上端は閉じており、上部電極44の螺子42が挿入される貫通孔が設けられている。下部挿入部37の上端は、上部カバー20の底面と接触している。下部挿入部37とヒューズ筒60との間には、消弧筒73が設置されている。なお、消弧筒73の構成を省略してもよい。
【0080】
下部挿入部37の上端は、上部カバー20の底面と上部電極44との間に位置し、螺子42によって上部カバー20に上部電極44を締結することで挟まれている。よって、上部カバー20と下部カバー30とは、螺子42により接続されている。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(4)、(5)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
【0082】
(18)上部カバー20と下部カバー30とを接続させる専用の構造を形成しないため、上部カバー20及び下部カバー30の部品加工を簡素化することができる。
【0083】
(19)上部カバー20と下部カバー30との螺合が不要であり、上部カバー20又は下部カバー30を回転させることなく、上部カバー20と下部カバー30とを接続することができる。よって、組立を簡素化することができる。
【0084】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1,2,5,6の実施形態では、上部カバー20の上部挿入部22の下端部に雌螺子22Bを設けるとともに、下部カバー30の下部挿入部33の上端部に雄螺子33Bを設けた。しかしながら、上部カバー20の上部挿入部22の下端部に雄螺子を設けるとともに、下部カバー30の下部挿入部33の上端部に雌螺子を設けてもよい。
【0085】
・上記第1,2,5,6の実施形態では、上部カバー20の下端部と下部カバー30の上端部とを螺合させたが、上部カバー20の下端部と下部カバー30の上端部とを係合する構成や嵌合する構成を設けてもよい。また、上部カバー20の下端部と下部カバー30の上端部とを接続させるだけでもよい。
【0086】
・上記第3の実施形態では、上部カバー20の上部挿入部22の下端部に雌螺子22Bを設けるとともに、下部カバー30とは別体である消弧筒73の上端部に雄螺子73Bを設けた。しかしながら、上部カバー20の上部挿入部22の下端部に雄螺子を設けるとともに、消弧筒73の上端部に雌螺子を設けてもよい。
【0087】
・上記第3の実施形態では、上部カバー20の上部挿入部22の下端部と消弧筒73の上端部とを螺合させたが、上部カバー20の下端部と消弧筒73の上端部とを係合する構成や嵌合する構成を設けてもよい。また、上部カバー20の下端部と消弧筒73の上端部とを接続させるだけでもよい。
【0088】
・上記第1,3,5,7,8の実施形態では、接続部材10を上端から下端までの内径及び上端から下端までの外径ともに同一の円筒としたが、上端から下端までの内径及び外径を異ならせてもよい。例えば、接続部材10の取付金具80を取り付ける部分の外径を縮小させてもよい。また、接続部材10の上端11にフランジを形成して上部カバー20との接触面積を拡大してもよい。同様に、接続部材10の下端12にフランジを形成して下部カバー30との接触面積を拡大してもよい。
【0089】
・上記第1~5,7,8の実施形態において、接続部材10の上端11と上部カバー20の段差面21Cとの間にシール部材としてのパッキンを設置してもよいし、接続部材10の上端11と上部カバー20の段差面21Cとの間を接着剤によって接着してもよい。このようにすれば、接続部材10と上部カバー20との密着性能が向上し、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
【0090】
・上記第1~5,7,8の実施形態において、接続部材10の下端12と下部カバー30の段差面31Cとの間にシール部材としてのパッキンを設置してもよいし、接続部材10の下端12と下部カバー30の段差面31Cとの間を接着剤によって接着してもよい。このようにすれば、接続部材10と下部カバー30との密着性能が向上し、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
【0091】
・上記第1~5,7,8の実施形態では、接続部材10を円筒としたが、接続部材10を多角形の筒としてもよい。
・上記第1~3,5,7,8の実施形態では、接続部材10を磁器製としたが、接続部材10を繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂で形成してもよい。また、接続部材10を鉄等の金属で形成してもよい。金属で形成すれば、加工が容易である。
【0092】
・上記構成において、上部カバー20、下部カバー30、上部モールドコーン40、及び下部モールドコーン50の少なくとも一つにフッ素樹脂又はフッ素系材料を添加した絶縁材料を用いてもよい。このようにすれば、絶縁性能が高まり、沿面距離を短くすることができる。ひいては、筒形カットアウト1の質量を低減することができる。
【0093】
・上記構成において、上部カバー20と上部モールドコーン40とを接着剤によって接着してもよい。
・上記構成において、下部カバー30と下部モールドコーン50とを接着剤によって接着してもよい。
【0094】
・上記各実施形態において、上部カバー20と上部モールドコーン40とを一体としてもよい。また、下部カバー30と下部モールドコーン50とを一体としてもよい。このような構成によれば、部品点数を減らすことができ、部品加工及び組立作業を簡素化することができる。
【0095】
例えば、
図10~
図18に示すように、筒形カットアウト1は、上部カバー20と上部モールドコーン40とを一体とした上部カバー120を備えている。上部カバー120には、上部引出線41が貫装された上部モールドコーン部140が含まれている。また、筒形カットアウト1は、下部カバー30と下部モールドコーン50とを一体とした下部カバー130を備えている。下部カバー130には、下部引出線51が貫装された下部モールドコーン部150が含まれている。
【0096】
・上記構成において、下部カバー30を、下部電極54を取り付ける部分を有する第1下部カバーと、側壁延出部32を有する第2下部カバーとの2部材としてもよい。このようにすれば、下部電極54が取り付けられる取付部材55の下部カバーへの取付作業が容易となる。また、アレスタを追加するときには、第2カバーをアレスタ付に交換することで製造することができ、筒形カットアウトの汎用性が高くなる。
【0097】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)前記接続部材は、筒形状である筒形カットアウト。
上記構成によれば、筒形状の接続部材であるため、接続部材の内部にヒューズ筒を収納することができ、ヒューズ筒の汚損を抑制することができる。
【0098】
(ロ)前記上部カバーの下端と前記下部カバーの上端との接続部分は係合している筒形カットアウト。
上記構成によれば、上部カバーの下端と下部カバーの上端との接続部分が係合するため、接続部材に対する上部カバーの脱落と、接続部材に対する下部カバーの脱落とをそれぞれ抑制することができる。
【0099】
(ハ)前記上部カバーは、襞を備える筒形カットアウト。
上記構成によれば、上部カバーに襞を設けるため、上部カバーの沿面距離を長くすることができ、筒形カットアウトの絶縁性能を高めることができる。
【0100】
(ニ)前記下部カバーは、襞を備える筒形カットアウト。
上記構成によれば、下部カバーに襞を設けるため、下部カバーの沿面距離を長くすることができ、筒形カットアウトの絶縁性能を高めることができる。
【0101】
(ホ)前記接続部材は、消弧筒を兼ねる筒形カットアウト。
上記構成によれば、負荷開放時のアークによって消弧ガスを発生する消弧筒を接続部材が兼ねるため、消弧筒そのものを設ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0102】
1…筒形カットアウト、10…接続部材、10A…外周面、11…上端、12…下端、13…襞、20…上部カバー、21…上部延出部、21A…貫通孔、21B…外周面、21C…段差面、21D…嵌合溝、22…上部挿入部、22A…シール部材、22B…雌螺子、23…襞、23A…第1襞、23B…第2襞、30…下部カバー、31…下部延出部、31A…側壁、31B…係合溝、31C…段差面、31D…嵌合溝、32…側壁延出部、32A…貫通孔、33,37…下部挿入部、33A…シール部材、33B…雄螺子、34…下端開口部、35…襞、40…上部モールドコーン、41…上部引出線、42…螺子、43…接続線、44…上部電極、50…下部モールドコーン、51…下部引出線、52…接続線、53…四角ナット、54…下部電極、55…取付部材、60…ヒューズ筒、61…上部接触子、62…絶縁筒、63…ヒューズ、64…ヒューズエレメント、65…ヒューズリード線、66…下部接触子、67…表示筒、68…ばね、69…締付螺子、70…消弧棒、73…消弧筒、80…取付金具、110…接続部材、120…上部カバー、130…下部カバー、140…上部モールドコーン部、150…下部モールドコーン部。