(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ギャップを充填する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20220329BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20220329BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220329BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220329BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/31 C
C23C16/455
C23C16/50
(21)【出願番号】P 2019504674
(86)(22)【出願日】2017-07-14
(86)【国際出願番号】 IB2017001015
(87)【国際公開番号】W WO2018020316
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-01
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516317045
【氏名又は名称】アーエスエム・イーぺー・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ポレ,ヴィリヤミ
(72)【発明者】
【氏名】クナプエン,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨングブルート,ベルト
(72)【発明者】
【氏名】ピエルー,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ファン・デル・シュタル,ギド
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊哉
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0243545(US,A1)
【文献】特開2011-082560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0041179(US,A1)
【文献】米国特許第07625820(US,B1)
【文献】米国特許第09355839(US,B2)
【文献】特開2013-135154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を反応チャンバー内に設けることにより、及び堆積方法を提供することにより、前記基材上に形体を製造する間に形成される一つ又は複数のギャップを充填するための方法であって、
第一の反応物質を、前記一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一のドーズ量で前記基材に導入すること、
第二の反応物質を、前記一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二のドーズ量で前記基材に導入すること、ここで前記第一及び前記第二の領域は、重なり合う領域において重なり合い、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない領域を残す、ならびに
第三の反応物質を第三のドーズ量で前記基材に導入すること、ここで前記第三の反応物質は、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない前記領域上に残留する前記第一又は第二の反応物質と反応する、
を含み、
前記堆積方法は、前記第二の反応物質の導入と前記第三の反応物質の導入との間に、前記第一の反応物質を前記基材へ再び導入することを含む、
上記方法。
【請求項2】
前記堆積方法を複数回繰り返して前記ギャップを充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの一つを飽和状態のドーズで導入し、前記第一及び第二の反応物質のうちの他方を亜飽和状態のドーズで導入する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの前記一つが、他方の反応物質に依存して潜在的成長をもたらす潜在的成長反応物質である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一及び第二の反応物質のうちの前記他方は、
前記ギャップの底部に比較して前記ギャップの上部で低い成長をもたらす低い成長反応物質を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第三の反応物質は、
前記ギャップの上部に比較して前記ギャップの底部で高い成長をもたらす高い成長反応物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記潜在的成長反応物質は、シリコンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記低い成長反応物質は、窒素を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第三の反応物質は、酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第三の反応物質は、プラズマにより活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第三の反応物質は、オゾン及び/又は過酸化水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記潜在的成長反応物質は、有機金属を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記第三の反応物質は、水、過酸化水素、又はヒドラジンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
半導体プロセス装置であって、
基材上に形体を製造する間に形成されるギャップを備える前記基材を収容するための一つ又は複数の反応チャンバー、
第一のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源、および
第二のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源、を備え、
前記装置は、
第三のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源と、
前記第一、第二、及び第三のバルブに動作可能に接続されている制御装置を含み、
前記制御装置は、
第一の反応物質を、前記ギャップの表面の第一の領域上に第一のドーズ量で前記基材に導入すること、
第二の反応物質を、前記ギャップの表面の第二の領域上に第二のドーズ量で前記基材に導入すること、ここで前記第一及び前記第二の領域は、重なり合う領域において重なり合い、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない領域を残す、ならびに
第三の反応物質を第三のドーズ量で前記基材に導入すること、ここで前記第三の反応物質は、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない前記領域上に残留する前記第一又は第二の反応物質と反応する、
前記第二の反応物質の導入と前記第三の反応物質の導入との間に、前記第一の反応物質を前記基材へ再び導入する、
を制御するように構成され、プログラムされている
上記半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、電子デバイスを製造するための方法及び装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、基材を反応チャンバー内に設けることにより、及び堆積方法を提供することにより、基材上に形体を製造する間に形成される一つ又は複数のギャップを充填するための方法及び装置に関し、方法は、
第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第一及び第二の反応物質が反応できるようにすることと、を含む。
【背景技術】
【0003】
基材上に集積回路を製造している間、基材上にギャップ、例えばトレンチが形成され得る。トレンチを充填することは、特定の用途に応じて様々な形態をとることができる。
【0004】
基本的なトレンチ充填プロセスには、再充填中にトレンチ内にボイドの形成を含む欠点がある。再充填材料を完全に充填する前に再充填材料がトレンチの上部付近に収縮部を形成する場合、ボイドが形成され得る。このようなボイドは、集積回路(IC)上でのデバイスのデバイス絶縁分離及びICの全体的な構造的完全性を損なう可能性がある。残念なことに、トレンチ充填中のボイドの形成を防止することは、しばしばトレンチのサイズを制約する可能性があり、それはデバイスのデバイス充填密度を制限する可能性がある。
【0005】
トレンチがデバイス絶縁分離のために充填される場合、デバイス絶縁分離の有効性を測定する際の重要なパラメータは電界閾値電圧、即ち隣接する絶縁デバイスを結ぶ寄生電流を生成するのに必要な電圧であることができる。電界閾値電圧は、多くの物理的及び材料特性、例えばトレンチ幅、トレンチ充填材料の誘電率、基材ドーピング、フィールドインプラントドーズ、及び基材バイアスにより影響を受ける可能性がある。
【0006】
トレンチの深さを減少させること、及び/又は開口部が底部よりも上部でより広くなるようにトレンチの側壁に傾斜をつけることにより、ボイド形成を軽減することができる。トレンチの深さを減少させることにおけるトレードオフは、デバイス絶縁分離の有効性を減少させる可能性があり、一方、傾斜をつけた側壁を有するトレンチのより大きな上部開口部は、他の集積回路の面積を使い果たす可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
例えば、改善された又は少なくとも代替的なギャップ充填方法を提供することが目的である。
【0008】
したがって、基材を反応チャンバー内に設けることにより、及び堆積方法を提供することにより、基材上に形体を製造する間に形成される一つ又は複数のギャップを充填するための方法が提供され、堆積方法は、
第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
第一及び第二の領域は、第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、第一及び第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
第三の反応物質を第三のドーズ量で前記基材に導入することであって、前記第三の反応物質は、前記初期未反応領域上に残留する前記第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を含む。
【0009】
反応物質がギャップの上部の重なり合う領域で反応物質が重なり合うように第一及び第二の反応物質をドーズすることにより、第一及び第二の反応物質はギャップの上部で反応し、ギャップの上部における更なる反応を阻止する。第一及び第二の反応物質が重なり合わないギャップの底部における初期未反応領域では、反応物質は更に第三の反応物質と反応し、それにより底部から上向きにギャップを充填することができる。
【0010】
更なる実施形態では、例えば、改善された又は少なくとも代替的なギャップ充填方法を提供するための半導体処理装置が提供される。装置は、
基材上に形体を製造する間に形成されるギャップを備える基材を収容するための一つ又は複数の反応チャンバーと、
第一のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源と、
第二のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源と、を備え、装置は、
第三のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源と、
第一、第二、及び第三のガスバルブに動作可能に接続され、かつ、
第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
第一及び第二の領域は、第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、第一及び第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
第三の反応物質を第三のドーズ量で基材に導入することであって、第三の反応物質は、初期未反応領域上に残留する第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を制御するように構成され、プログラムされる、制御装置と、を備える。
【0011】
従来の技術を超えて達成される本発明及び利点を要約するために、本発明のある目的及び利点について、本明細書において上に記載してきた。もちろん、そのような目的又は利点の全てが、本発明のあらゆる特定の実施形態に従って、必ずしも達成されなくてもよいことは理解されるべきである。
【0012】
それゆえ、例えば、本明細書に教授又は示唆する通り、一つの利点又は利点の一群を達成又は最適化する形式で、本明細書に教授又は示唆されてもよい、他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化又は実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0013】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらの及び他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書で開示される本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、いくつかの実施形態の図面を参照して以下に記載され、例示することを意図しており、本発明を限定するものではない。
【0015】
【
図1】
図1Aは、本発明の一実施形態で使用可能なギャップを充填するためのPEALD(プラズマ増強原子層堆積)装置の概略図である。
【0016】
図1Bは、本発明の実施形態において使用可能なフローパスシステム(FPS)を使用する前駆体供給システムの概略図を例示する。
【0017】
【
図2】第一の実施形態によるギャップを充填するための方法のフローチャートである。
【0018】
【
図3】第二の実施形態によるギャップを充填するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの実施形態及び実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態及び/又は用途、並びにその明白な変更及び均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。
【0020】
図2は、本発明の少なくとも第一の実施形態による方法のフローチャートであり、基材上に形体の製造中に形成される一つ又は複数のギャップを堆積方法100により充填することができる。ギャップは、40、又は更に20nm未満の幅とすることができる。ギャップは、40、100、200、又は更に400nmを超える深さとすることができる。
【0021】
基材を設けることができ、及び堆積方法100を提供することができ、堆積方法100は、
工程110において、第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
工程120において、第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
第一及び第二の領域は、第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、第一及び第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
工程130において、第三の反応物質を第三のドーズ量で基材に導入することであって、第三の反応物質は、初期未反応領域上に残留する第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を含む。
【0022】
反応物質がギャップの上部で重なり合うように、第一及び第二の反応物質をドーズすることにより、第一及び第二の反応物質が上部で反応して、ギャップの上部での更なる反応を阻止し得る。第一及び第二の反応物質が重なり合わなかったギャップの底部では、反応物質は更にギャップ底部を充填する第三の反応物質と反応し得る。
【0023】
第一及び第二の反応物質のうちの一方が全ギャップを覆うように、第一及び第二の反応物質のうちの一つのドーズは(例えば比較的高く及び/又は長く)飽和状態でなければならず、一方、第一及び第二の反応物質がギャップの上部でのみ重なり合うことを確実にするために、第一及び第二の反応物質のうちの他方のドーズは(例えば、比較的短く及び/又は低く)亜飽和状態でなければならない。
【0024】
第一、第二及び/又は第三の反応物質を導入した後に、過剰の反応物質及び副生成物を除去して、汚染を引き起こす反応物質間の直接反応を回避することができる。
【0025】
堆積方法100を、ループ140で示されるように、ギャップを充填するために複数回繰り返してもよい。反応を、ループ140を介して1~10,000回、好ましくは5~2,000回、最も好ましくは10~1,000回繰り返してもよい。
【0026】
例えばギャップの上部がまだ阻止されている場合、堆積方法100を、ループ150を介して部分的に繰り返してもよく、底部における反応のための反応物質を更に提供してもよい。ループ140を介した完全な繰り返しとループ150を介した部分的な繰り返しとの組み合わせも利用し得る。このようにして、ギャップ充填方法の速度を上げることができる。
【0027】
第一及び第二の反応物質のうちの一つは飽和状態(例えば比較的大量又は長時間ドーズ)で導入され、第一及び第二の反応物質のうちの他方は亜飽和状態(例えば比較的少量又は短時間ドーズ)で導入される。飽和状態のドーズで供給された反応物質は、ギャップ内に深く貫入してギャップの底部に達するが、一方、亜飽和状態のドーズで供給された反応物質はギャップ内に深く貫入せずに上部に留まる。したがって、第一の反応物質と第二の反応物質との間の反応は、ギャップの上部でのみ起こり、ギャップの上部での更なる反応を阻止することができる。
【0028】
第一及び第二の反応物質のうちの一つは潜在的成長反応物質であってもよく、一方、第一及び第二の反応物質のうちの他方は潜在的成長反応物質と組み合わせて比較的低い成長をもたらす低成長反応物質を含んでもよい。したがって、第一の反応物質と第二の反応物質との間の反応は、ギャップの底部が実質的に充填される前にギャップの上部が塞がれないように、ギャップの上部で比較的低い成長をもたらし得る。
【0029】
第一及び第二の反応物質のうちの一つを導入して、一つ又は複数のギャップの全表面を実質的に覆う第一及び第二の領域のうちの対応する一つを覆うことができる。第一及び第二の反応物質のうちの一つは、他方の反応物質に依存して潜在的成長をもたらす潜在的成長反応物質とすることができる。
【0030】
潜在的成長反応物質である第一及び第二の反応物質のうちの一つは、シリコンを含み得る。例えば、潜在的成長反応物質は、シランジアミン、例えばN,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミン、例えばALOHA(商標)SAM.24の名称でAir Liquide(Paris、France)により販売されている、を含み得る。
【0031】
実質的な低成長反応物質は、必要に応じてプラズマにより活性化されてもよい窒素を含んでもよい。潜在的成長反応物質、例えばシランジアミン、例えばN,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミンと組み合わせた窒素は、ギャップの上部において比較的低い成長をもたらすことができる。潜在的成長反応物質を提供する前に実質的な低成長反応物を提供することが有利である可能性がある。
【0032】
第三の反応物質は、潜在的成長反応物質と組み合わせて比較的高い成長をもたらす高成長反応物質を含むことができる。第三の反応物質がギャップの底部に到達することを確実にするために、第三の反応物を比較的高いドーズ量で導入して、第三の反応物質がギャップの底部の潜在的成長反応物と反応することができる。第一及び第二の反応物質はすでにギャップの上部で反応している可能性があるため、第三の反応物質に対するトレンチの上部での反応は阻止される。
【0033】
第三の反応物質は、プラズマにより活性化され得る酸素を含み得る。シランジアミン、例えばN,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミンと組み合わせた酸素は、ギャップの底部において比較的に高い成長をもたらすことができる。
【0034】
例えば、ギャップの底部を填塞するために、N,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミン、Nプラズマ、そしてOプラズマを周期的な繰り返し反応で供給してもよい。あるいは、ギャップの底部を填塞するために、Nプラズマ、N,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミン、そしてOプラズマを周期的な繰り返し反応で供給してもよい。
【0035】
図3は、本発明の少なくとも第二の実施形態による方法200のフローチャートであり、第三の反応物質の前に、第二の反応物質の導入と第三の反応物質の導入との間に、第一及び第二の反応物質のうちの一つを基材へ再び導入することは有益である可能性がある。
【0036】
基材を反応チャンバー内に設けることができ、及び堆積方法200を提供することができ、堆積方法200は、
工程210において、第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
工程220において、第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
工程230において、第一の反応物質を第一のドーズ量で再び基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
第一及び第二の領域は、第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、第一及び第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
工程240において、第三の反応物質を第三のドーズ量で基材に導入することであって、第三の反応物質は、初期未反応領域上に残留する第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を含む。
【0037】
例えば、ギャップの底部を填塞するために、N,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミン、Nプラズマ、Oプラズマ、そしてNプラズマを周期的な繰り返し反応で供給してもよい。反応を、1~10,000回、好ましくは5~2,000回、最も好ましくは10~1,000回繰り返してもよい。窒素プラズマ工程をこのシーケンスで二倍実行することにより、上部の反応物質が反応し、第三の反応物質Oプラズマが供給される前に不活性化されることがより確実になる。
【0038】
第三の反応物質は、オゾン、及び/又はシランジアミン、例えばN,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミンと組み合わせて高成長をもたらすことができる過酸化水素を含み得る。オゾン及び/又は過酸化水素は、比較的高い成長をもたらすためにシランジアミンと反応させるためにプラズマにより活性化される必要はなく、それはプラズマのエネルギーがギャップ内の深くでより低くなり得るので有益である。
【0039】
潜在的成長反応物質は有機金属、例えば有機アルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)を含んでいてもよい。
【0040】
潜在的成長反応物質は有機金属、例えば有機アルミニウム、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)を含んでいてもよく、実質的な低成長反応物質はオゾンを含んでいてもよい。トリメチルアルミニウムを組み合わせることによりオゾンは、ギャップの上部で低成長をもたらすことができる。
【0041】
第三の反応物質は過酸化水素を含んでいてもよく、トリメチルアルミニウムと組み合わせてギャップの底部での高い成長をもたらすことができる。
【0042】
第三の反応物質はヒドラジンを含んでいてもよく、トリメチルアルミニウムと組み合わせてギャップの底部で高い成長をもたらすことができる。
【0043】
第三の反応物質は水を含んでいてもよく、トリメチルアルミニウムと組み合わせてギャップの底部で高い成長をもたらすことができる。
【0044】
方法は、半導体プロセス装置内で実行されることができ、装置は、
基材上に形体を製造する間に形成されるギャップを備える基材を収容するための一つ又は複数の反応チャンバーと、
第一のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源と、
第二のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源と、を備え、装置は、
第三のバルブを介して反応チャンバーの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源と、
第一、第二、及び第三のガスバルブに動作可能に接続され、かつ、
第一の反応物質を第一のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で基材に導入することであって、それにより一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
第一及び第二の領域は、第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、第一及び第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
第三の反応物質を第三のドーズ量で基材に導入することであって、第三の反応物質は、初期未反応領域上に残留する第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を制御するように構成され、プログラムされる、制御装置と、を備える。
【0045】
必要に応じて、装置は、基材、第一、第二、及び第三の反応物のうちの一つ又は複数の温度を上昇させることにより反応を活性化するためのヒータを備えることができる。ALDプロセスを実施するために特に設計された例示的単一ウェーハ反応器が、ASM International NV(Almere、オランダ)からPulsar(登録商標)、Emerald(登録商標)、Dragon(登録商標)及びEagle(登録商標)の商品名で市販されている。ALDプロセスを実施するために特に設計された例示的なバッチALD反応器はまた、ASM International N.VからA400(商標)及びA412(商標)の商品名で市販されている。
【0046】
必要に応じて、装置は、第一、第二、又は第三の反応物質のプラズマを生成するように構成され、及び配置される制御装置と動作可能に接続する無線周波数源を備えることができる。プラズマ増強原子層堆積PEALDは、ASM International N.V、Almere、オランダから入手可能なEagle(登録商標)XP8 PEALD反応器内で実施されることができ、この装置は一つ又は複数の反応物質を活性化するためのプラズマ源を備える。
【0047】
プラズマを用いたプロセスサイクルを、例えば
図1Aに例示する装置を用いて実施することができる。
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態で使用可能な、本明細書に記載のシーケンスを実行するようにプログラムされた制御装置と望ましくは一体化したPEALD装置の概略図である。この図において、反応チャンバー3の内部11(反応領域)に一対の導電性平板電極4、2を互いに平行に対向させて設け、一方の側にHRF電力(13.56MHz又は27MHz)20を印加し、他方の側12を電気的に接地することにより、プラズマが電極間で励起される。
【0048】
下部ステージ2(下部電極)には温度調節器が設けられており、その上に配置された基材1の温度は所定の温度で一定に保持される。上部電極4はシャワープレートとしても機能し、反応物質ガス(及び希ガス)並びに前駆体ガスはそれぞれガスライン21及びガスライン22を通って、そしてシャワープレート4を通って反応チャンバー3に導入される。
【0049】
更に、反応チャンバー3内には、排気ライン7を有する円形ダクト13が設けられており、このダクト13を通して反応チャンバー3の内部11内のガスが排気される。更に、反応チャンバー3の下方に配置された搬送チャンバー5には、搬送チャンバー5の内部16(移送区域)を介して反応チャンバー3の内部11内にシールガスを導入するためのシールガスライン24が設けられている。反応区域と搬送区域とを分離するための分離プレート14が設けられている(ウェーハを搬送チャンバー5に搬入及び搬送チャンバー5から搬出するのに通過するゲートバルブはこの図から省略されている)。搬送チャンバーには排気ライン6も設けられている。いくつかの実施形態では、多元素膜の堆積及び表面処理は同じ反応空間内で行われるため、基材を空気又は他の酸素含有雰囲気に曝すことなく全ての工程を連続的に実施することができる。いくつかの実施形態では、ガスを励起するために遠隔プラズマ装置を使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図1Aに示す装置において、(前述の)
図1Bに例示する不活性ガスの流れと前駆体ガスの流れを切り替えるシステムを使用して、反応チャンバーの圧力を実質的に変動させることなく前駆体ガスをパルスで導入することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、デュアルチャンバー反応器(互いに近接して配置されたウェーハを処理するための二つの区域又は区画)を使用することができ、反応物質ガス及び希ガスを共有ラインを介して供給することができるのに対して、前駆体ガスは非共有ラインを介して供給される。
【0052】
当業者は、本装置が、本明細書の他の箇所に記載された堆積プロセス及び反応器洗浄プロセスを実行させるようにプログラムされた又はそうでなければ構成された一つ又は複数の制御装置(図示せず)を備えることを理解するであろう。当業者には理解されるように、制御装置は、様々な電源、加熱システム、ポンプ、ロボット、及びガスフロー制御装置又は反応器のバルブと通信している。
【0053】
本明細書に記載された構成及び/又は方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態又は実施例は、多くの変形が可能であるため、限定的な意味で考慮されるべきではないことを理解されたい。本明細書に記載の具体的なルーチン又は方法は、任意の数の処理方法のうちの一つ又は複数を表すことができる。したがって、例示された様々な作動は、例示されるシーケンスで、他のシーケンスで実施されてもよく、場合によっては省略されてもよい。
【0054】
本開示の主題は、本明細書で開示される様々なプロセス、システム、及び構成、並びに他の特徴、機能、動作及び/又は特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせ及び部分的組合せ、並びにその任意の及び全ての均等物を含む。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
基材を反応チャンバー内に設けることにより、及び堆積方法を提供することにより、前記基材上に形体を製造する間に形成される一つ又は複数のギャップを充填するための方法であって、
第一の反応物質を第一のドーズ量で前記基材に導入することであって、それにより前記一つ又は複数のギャップの表面の第一の領域上に前記第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で前記基材に導入することであって、それにより前記一つ又は複数のギャップの表面の第二の領域上に前記第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
前記第一及び前記第二の領域は、前記第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
第三の反応物質を第三のドーズ量で前記基材に導入することであって、前記第三の反応物質は、前記初期未反応領域上に残留する前記第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を含む。
[2]
前記方法は、第一、第二、及び/又は第三の反応物質を導入する各工程の後、過剰な反応物質及び副生成物を除去することを含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記堆積方法を複数回繰り返して前記ギャップを充填する、[1]に記載の方法。
[4]
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの一つを飽和状態のドーズで導入し、前記第一及び第二の反応物質のうちの他方を亜飽和状態のドーズで導入する、[1]に記載の方法。
[5]
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの前記一つが、他方の反応物質に依存して潜在的成長をもたらす潜在的成長反応物質である、[4]に記載の方法。
[6]
前記飽和状態のドーズは、前記第一及び第二の反応物質のうちの前記一つが前記ギャップの前記底部に達するのに十分に大きい、[4]に記載の方法。
[7]
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの前記一つを導入して前記一つ又は複数のギャップの全表面を覆う、[4]に記載の方法。
[8]
前記第一及び第二の反応物質のうちの前記他方は、前記潜在的成長反応物質と組み合わせて比較的低い成長をもたらす低成長反応物質を含む、[4]に記載の方法。
[9]
前記亜飽和状態のドーズは、前記第一の及び第二の反応物質のうちの前記他方が前記ギャップの前記底部に達しない程度に十分低い、[4]に記載の方法。
[10]
前記第一及び前記第二の反応物質のうちの前記他方を導入して、前記一つ又は複数のギャップの全表面より小さい前記第一及び第二の領域のうちの前記対応する一つを覆う、[4]に記載の方法。
[11]
前記第一及び第二の領域のうちの前記対応する一つは、前記重なり合う領域と実質的に同じであり、前記ギャップの前記上部を実質的に覆う、[10]に記載の方法。
[12]
前記第三の反応物質は、前記潜在的成長反応物質と組み合わせて比較的高い成長をもたらす高成長反応物質を含む、[1]に記載の方法。
[13]
前記第三の反応物質が前記ギャップの前記底部に達することを確実にするために、前記第三の反応物質を飽和状態のドーズで導入する、[12]に記載の方法。
[14]
前記潜在的成長反応物質は、シリコンを含む、[5]に記載の方法。
[15]
前記潜在的成長反応物質は、シランジアミンを含む、[14]に記載の方法。
[16]
前記シランジアミンは、N,N,N’,N’-テトラエチルシランジアミンを含む、[15]に記載の方法。
[17]
前記実質的に低い成長反応物質は、窒素を含む、[8]に記載の方法。
[18]
前記実質的に低い成長反応物質は、プラズマにより活性化される、[8]に記載の方法。
[19]
前記第三の反応物質は、酸素を含む、[1]に記載の方法。
[20]
前記第三の反応物質は、プラズマにより活性化される、[1]に記載の方法。
[21]
前記堆積方法は、前記第二の反応物質の導入と前記第三の反応物質の導入との間に、前記第一の反応物質を前記基材へ再び導入することを含む、[1]に記載の方法。
[22]
前記第三の反応物質は、オゾン及び/又は過酸化水素を含む、[1]に記載の方法。
[23]
前記実質的な成長反応物質は、有機金属を含む、[5]に記載の方法。
[24]
前記有機金属は、有機アルミニウムを含む、[23]に記載の方法。
[25]
前記有機アルミニウムは、トリメチルアルミニウム含む、[24]に記載の方法。
[26]
前記実質的に低い成長反応物質は、オゾンを含む、[25]に記載の方法。
[27]
前記第三の反応物質は、水、過酸化水素、又はヒドラジンを含む、[1]に記載の方法。
[28]
半導体プロセス装置であって、
基材上に形体を製造する間に形成されるギャップを備える前記基材を収容するための一つ又は複数の反応チャンバーと、
第一のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源と、
第二のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源と、を備え、前記装置は、
第三のバルブを介して前記反応チャンバーの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源と、
前記第一、第二、及び第三のガスバルブに動作可能に接続され、かつ、
第一の反応物質を第一のドーズ量で前記基材に導入することであって、それにより前記一つ又は複数のギャップの前記表面の第一の領域上に前記第一の反応物質により約一層以下の単層を形成する、導入することと、
第二の反応物質を第二のドーズ量で前記基材に導入することであって、それにより前記一つ又は複数のギャップの前記表面の第二の領域上に前記第二の反応物質により約一層以下の単層を形成し、
前記第一及び前記第二の領域は、前記第一及び第二の反応物質が反応する重なり合う領域において重なり合い、前記第一及び前記第二の領域が重なり合わない初期未反応領域を残す、導入することと、
第三の反応物質を第三のドーズ量で前記基材に導入することであって、前記第三の反応物質は、前記初期未反応領域上に残留する前記第一又は第二の反応物質と反応する、導入することと、を制御するように構成され、プログラムされる、制御装置と、を備える、半導体プロセス装置。