(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】ガソリンエンジン排出処理システムのための四元変換触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 37/02 20060101AFI20220329BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220329BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20220329BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/022 20060101ALI20220329BHJP
B01J 23/63 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B01J37/02 301D
B01D53/94 280
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 241
B01D46/00 302
B01D39/20 D
F01N3/035 A
F01N3/10 A
F01N3/022 C
B01J23/63 A ZAB
(21)【出願番号】P 2019506364
(86)(22)【出願日】2017-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2017068776
(87)【国際公開番号】W WO2018024547
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-22
(32)【優先日】2016-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】クラフィロン,ヤノーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジームント,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シアニ,アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ゼール,オリファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァッサーマン,クヌート
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530332(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145122(WO,A2)
【文献】特表2014-509244(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051459(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/060050(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
B01D 46/00
B01D 39/20
F01N 3/035
F01N 3/10
F01N 3/022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためのガソリン直噴エンジンの下流にある排出処理システムであって、前記排出処理システムは触媒微粒子フィルターを含み、前記触媒微粒子フィルターは、
微粒子フィルターの壁に浸透する三元変換(TWC)触媒材料を有し、
前記触媒微粒子フィルターは、前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有して
おり、
前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の75%と98%の間にあり、及び重なっているウォッシュコートの領域を除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、排出処理システム。
【請求項2】
前記被覆多孔度は前記TWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項3】
前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の80%と95%の間にある、請求項
1に記載の排出処理システム。
【請求項4】
60g/Lまでのウォッシュコート充填の場合、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項5】
前記微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミル
(152~356μm)の範囲の壁厚を有し、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項6】
前記微粒子フィルターは
、13μmか
ら25μmまでの範囲の平均細孔径を有する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項7】
前記微粒子フィルターは
、6ミル(152μm)か
ら14ミル(356μm)の範囲の壁厚および55%から70%の範囲の非被覆多孔度を有する、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項8】
前記TWC触媒材料は、前記微粒子フィルターの入口側、出口側、またはその両方に浸透する単一のウォッシュコート組成物から形成される、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項9】
第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の0~100%まで入口側に存在し、第2の単一ウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の0~100%まで出口側に存在し、前記第1および前記第2の単一ウォッシュコート層の少なくとも一方は0%より多い量で存在する、請求項
8に記載の排出処理システム。
【請求項10】
前記第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の50~100%まで入口側に存在し、前記第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の50~100%まで出口側に存在する、請求項
9に記載の排出処理システム。
【請求項11】
前記第1の単一のウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の50~55%まで入口側に存在し、前記第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の50~55%まで出口側に存在する、請求項
10に記載の排出処理システム。
【請求項12】
単一のウォッシュコート層が、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の100%まで入口側に存在し、出口側にはウォッシュコート層が存在しない、請求項
8に記載の排出処理システム。
【請求項13】
単一のウォッシュコート層が、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってそ
の100%まで出口側に存在し、入口側にはウォッシュコート層が存在しない、請求項
8に記載の排出処理システム。
【請求項14】
前記TWC触媒材料を
、1g/in
3か
ら5g/in
3
(61g/Lか
ら305g/L)の範囲の量で含む、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項15】
前記非被覆多孔度は、前記微粒子フィルターの体積に対する前記微粒子フィルターの細孔の体積の割合であり、前記非被覆多孔度が55%から70%の範囲にある、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項16】
前記TWC触媒材料は、ロジウム、パラジウム、セリアまたはセリア複合体、およびアルミナを含む、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項17】
前記微粒子フィルターは、コージエライト、アルミナ、シリコンカーバイト、チタン酸アルミニウム、またはムライトを含む、請求項1に記載の排出処理システム。
【請求項18】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためにガソリン直噴エンジンの下流の排出処理システム内に位置する触媒微粒子フィルターであって、
6ミル(152μm)から
14ミル(356μm)の範囲の壁厚および55%から70%の範囲の多孔度を有する微粒子フィルター、および
1.0g/in
3から
4g/in
3(
61g/Lから244g/L)の範囲の量の三元変換(TWC)触媒材料、を含み、
前記TWC触媒材料は、前記微粒子フィルターの壁に浸透して
おり、
前記触媒微粒子フィルターの被覆多孔度は非被覆多孔度の75%と98%の間にあり、及び重なっているウォッシュコートの領域を除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、触媒微粒子フィルター。
【請求項19】
炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気ガスを処理する方法であって、
請求項
18による触媒微粒子フィルターを得ること、および、
前記触媒微粒子フィルターをガソリン直噴エンジンの下流に位置付けること、を有し、
前記エンジンの運転時に前記ガソリン直噴エンジンからの排気ガスが前記触媒微粒子フィルターに接触する、方法。
【請求項20】
請求項18に記載の触媒微粒子フィルターを製造する方法であって、
微粒子フィルターを得ること、
2から7の範囲のpHを有する三元変換(TWC)触媒材料のスラリーを形成すること、および、
前記TWC触媒材料を前記微粒子フィルターの壁に浸透させて触媒微粒子フィルターを形成し、前記触媒微粒子フィルターが前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有するように形成
することを含み、
前記被覆多孔度は非被覆多孔度の75%と98%の間にあり、及び重なっているウォッシュコートの領域を除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、方法。
【請求項21】
前記スラリーは、20℃
で5mPa・sから40mPa・s未満の範囲の動的粘度、および固形体が0~25重量%の固形分を有する、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記pHは、3から5の範囲内である、請求項
20に記載の方法。
【請求項23】
前記被覆多孔度は前記TWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例する、請求項
20に記載の方法。
【請求項24】
前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の80%と95%の間にある、請求項
20に記載の方法。
【請求項25】
60g/Lまでのウォッシュコート充填の場合、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有する、請求項
20に記載の方法。
【請求項26】
前記微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミル
(152~356μm)の範囲の壁厚を有し、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有する、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、微粒子と併せて、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物を含有するガソリンエンジンのガス流を処理するために使用される触媒を有する排出処理システムに関する。より具体的には、本発明は、三元変換(TWC)触媒と微粒子フィルターとを含む四元変換器(FWC)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンの微粒子排出は、Euro6(2014)基準を含む規制の対象となっている。動作レジームが微細な微粒子の形成をもたらすある特定のガソリン直噴(GDI)エンジンが開発されている。ガソリンエンジンのための後処理システムは、微粒子物質基準を達成する必要がある。ディーゼル希薄燃焼エンジンによって生成される微粒子とは対照的に、GDIエンジン等のガソリンエンジンによって生成される微粒子は、より微細で、より少ない量である傾向にある。これは、ガソリンエンジンと比較して、ディーゼルエンジンの異なる燃焼条件に起因する。例えば、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンよりも高い温度で運転する。また、炭化水素成分が、ディーゼルエンジンと比較して、ガソリンエンジンの排出では異なる。
【0003】
未燃炭化水素、一酸化炭素および窒素酸化物汚染物質の排出は規制され続けている。三元変換(TWC)触媒を含む触媒コンバータはしたがって内燃エンジンの排気ガスラインに位置される。このような触媒は、未燃焼炭化水素および一酸化炭素の排気ガス流での酸素による酸化を促進し、ならびに窒素酸化物の窒素への還元を促進する。
【0004】
微粒子トラップ上または微粒子トラップ中に被覆されたTWC触媒を含む触媒微粒子トラップが、米国特許第8,173,087号(Wei)において提供されている。TWC触媒は、フィルターの入口側、出口側、またはその両方に被覆することができる。米国特許第8,173,087はGDIガソリンエンジンからの微粒子のいくつかは、フィルターが新しい場合にフィルターの壁を通って流れることによってフィルターによって捕捉されることを避けることができ、および初期濾過効率の問題を処理するために、触媒ウォッシュコートの薄層をフィルター壁上に被覆可能であることを確認している。微粒子フィルターを有するガソリンエンジン排出処理システムもまた米国特許第8,815,189号(Arnold)において提供されている。三元変換(TWC)触媒または米国特許第8,815,189号の酸化触媒は、非被覆多孔度と実質的に同じ被覆多孔度を有する微粒子フィルターの上および内部に被覆されている。
【0005】
排出技術は、排気システムの背圧と容積の制約によって制限されている。すなわち、いかなる新技術も、規定された背圧および容積内において、いずれにも影響を与えないよう最小限にしなければならない。
【0006】
背圧を過度に増大させることなく、効率的なフィルターと共に十分なTWCを提供し、規制されているHC、NOx、およびCO変換を達成し、微粒子物質排出を満たす、触媒フィルターを提供する継続する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第8,173,087号
【文献】米国特許第8,815,189号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
炭化水素、窒素酸化物、および一酸化炭素のようなガス排出を処理することに加えて、微粒子を捕捉するためにガソリンエンジンと共に使用するのに適した排気システムおよび構成要素を提供する。目的は、背圧への影響を最小限に抑えながら完全な三元変換(TWC)機能を提供するガソリンエンジン(GPFまたはPFG)のための、微粒子フィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の態様では、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためのガソリン直噴エンジンの下流にある排出処理システムが提供され、前記排出処理システムは触媒微粒子フィルターを含み、該触媒微粒子フィルターは、
微粒子フィルターの壁に浸透する三元変換(TWC)触媒材料を含み、
前記触媒微粒子フィルターは、前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有する。
【0010】
1つまたは複数の詳細な実施形態において、重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、微粒子フィルターの壁の表面に触媒材料の層は存在しない。被覆多孔度はTWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例し得る。被覆多孔度は非被覆多孔度の75%と98%の間であり得る。被覆多孔度は非被覆多孔度の80%と95%の間であり得る。被覆多孔度は非被覆多孔度の80%と93%未満の間であり得る。触媒微粒子フィルターの被覆背圧は一般にエンジンの性能にとって有害ではない。
【0011】
約60g/Lまでのウォッシュコート充填の場合、触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有し得る。
【0012】
一つの詳細な実施形態では、微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミルの範囲の壁厚を有し、触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有する。
【0013】
微粒子フィルターは、約13μmから約25μmまでの範囲の平均細孔径を有することができる。微粒子フィルターは、約6ミル(152μm)から約14ミル(356μm)までの範囲の壁厚および55%から70%までの範囲の非被覆多孔度を有することができる。
【0014】
TWC触媒材料は、粒子フィルターの入口側、出口側、またはそれらの両方に浸透する単一ウォッシュコート組成物から形成することができる。
【0015】
第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約0~100%まで入口側に存在してもよく、第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約0~100%まで出口側に存在してもよく、第1および第2の単一ウォッシュコート層の少なくとも一方は0%より多い量で存在する。
【0016】
第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~100%まで入口側に存在してもよく、第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~100%まで出口側に存在してもよい。第1の単一のウォッシュコート層は、上流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~55%まで入口側に存在してもよく、第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~55%まで出口側に存在してもよい。
【0017】
単一のウォッシュコート層は、上流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約100%まで入口側に存在してもよく、出口側にウォッシュコート層は存在しない。
【0018】
単一のウォッシュコート層は、下流端から微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約100%まで出口側に存在してもよく、入口側にウォッシュコート層は存在しない。
【0019】
TWC触媒材料は、約1から約5g/in3(約60から約300g/L)の範囲の量で存在できる。
【0020】
被覆多孔度は、55から70%の範囲であり得る。
【0021】
TWC触媒材料は、ロジウム、パラジウム、セリアまたはセリア複合体、およびアルミナを含むことができる。微粒子フィルターは、コージライト、アルミナ、シリコンカーバイト、チタン酸アルミニウム、またはムライトを含む。
【0022】
別の態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためにガソリン直噴エンジンの下流に、排出処理システム内に位置する触媒微粒子フィルターを提供し、該触媒微粒子フィルターは、
約6ミル(152μm)から約14ミル(356μm)の範囲の壁厚および55%から70%の範囲の多孔度を有する微粒子フィルター、および
約1.0g/in3から約4g/in3(120g/Lから244g/L)の範囲の量の三元変換(TWC)触媒材料を含み、
前記TWC触媒材料は微粒子フィルターの壁に浸透している。1つまたは複数の実施形態において、重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、微粒子フィルターの壁の表面に触媒材料の層は存在しない。1つまたは複数のさらなる実施形態において、触媒材料は微粒子フィルターの壁の細孔の外側に存在しない。
【0023】
別の態様は、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気ガスを処理する方法であり、該方法は、本明細書に開示されたいずれかの実施形態による触媒微粒子フィルターを得ること;および、前記触媒微粒子フィルターをガソリン直噴エンジンの下流に位置付けること;を有し、前記エンジンの運転時に前記ガソリン直噴エンジンからの排気ガスが前記触媒微粒子フィルターに接触する。
【0024】
さらなる態様は、触媒微粒子フィルターを製造する方法であって、該方法は、微粒子フィルターを得ること、2から7の範囲のpHを有する三元変換(TWC)触媒材料のスラリーを形成すること、前記TWC触媒材料を前記微粒子フィルターに浸透させて触媒微粒子フィルターを形成し、前記触媒微粒子フィルターが前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有するように形成すること、を含む。スラリーは、20℃で約5mPa・sから40mPa・s未満の範囲の動的粘度および固形体が0~25重量%の固形分を有し得る。pHは、3から5の範囲内であり得る。1つまたは複数の実施形態において、重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、微粒子フィルターの壁の表面に触媒材料の層は存在しない。詳細な実施形態では、触媒材料は微粒子フィルターの壁の細孔の外側に存在しない。被覆多孔度はTWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例し得る。被覆多孔度は非被覆多孔度の75%と98%の間、または非被覆多孔度の80%と95%の間、または80%と93%未満の間であり得る。触媒微粒子フィルターの被覆背圧は一般にエンジンの性能にとって有害ではない。ウォッシュコート充填が60g/Lの場合、触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有することができる。詳細な実施形態では、微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミルの範囲の壁厚を含み、触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有し得る。
【0025】
図面の簡単な説明
本開示は、添付の図面と関連して本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することでより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】詳細な実施形態による、エンジン排出処理システムを示す概略図である。
【
図2】ウォールフローフィルター基板の斜視図である。
【
図3】ウォールフローフィルター基板のセクションの切断図である。
【
図4】FWCコーティング設計を示す概略図である。
【
図5】FWCコーティング設計を示す概略図である。
【
図6】FWCコーティング設計を示す概略図である。
【
図7A】比較実施例1の触媒作用を受けた微粒子フィルターの入口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図7B】比較実施例1の触媒作用を受けた微粒子フィルターの中央片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図7C】比較実施例1の触媒作用を受けた微粒子フィルターの出口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図8A】比較実施例2の触媒作用を受けた微粒子フィルターの入口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図8B】比較実施例2の触媒作用を受けた微粒子フィルターの中央片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図8C】比較実施例2の触媒作用を受けた微粒子フィルターの出口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図9A】実施例3の触媒作用を受けた微粒子フィルターの入口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図9B】実施例3の触媒作用を受けた微粒子フィルターの中央片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図9C】実施例3の触媒作用を受けた微粒子フィルターの出口片の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真である。
【
図10】残存細孔容積(%)対ウォッシュコート充填(g/L)の要約グラフである。
【
図11】比較実施例1-2対未処理基板の背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
【
図12】実施例3対未処理基板の背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
【
図13】従来技術によって製造された60g/Lを有する被覆フィルター対未処理基板の背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
【
図14】改善された/発明技術によって製造された60g/Lを有する被覆フィルター対未処理基板の背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
【
図15】比較実施例1および実施例3のNEDC性能データを示す図である。
【
図16】比較実施例1および実施例3のNEDC性能データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
可能な限り低い背圧を有しながら、高い微粒子濾過効率とガス排出変換を達成するように設計されたガソリン直噴エンジン(GDI)のためのフィルターを提供する。フロースルー基板の典型的なTWCウォッシュコート充填は、いくつかの用途では約1g/in3(約60g/L)の充填が使用され得るが、約2g/in3と5g/in3(約120g/Lと約300g/L)の間の範囲にある。典型的なTWCウォッシュコートは、約45重量%の酸素吸蔵成分(OSC)を含むことができる。2g/in3と5g/in3(約120g/Lと約300g/L)の間の範囲のウォッシュコート充填は、典型的にはフロースルー基板上に2回または3回の被覆工程で適用される。ガソリン用途に成功裏に適用されるために、四元変換(FWC)触媒と呼ばれ得る有効な微粒子フィルターは、運転中の高温ストレスに耐えるために類似の量のTWCウォッシュコートを有し、リッチ相とリーン相のガス状排出変換を確実にするためのOSC物質を含み、背圧の増加を制限することでエンジン出力の損失を最小限に抑え、かつ、最小量の被覆工程で適用されるべきである。
【0028】
本明細書に開示されているのは、一定のウォッシュコート充填で背圧の低減を可能にするFWC触媒の製造のための、被覆工程数の減少をもたらす被覆方法である。さらに低い背圧を有するFWCはスラリー粘度を最適化することによって得られる。実際、FWC触媒の調製に使用されるセラミックウォールフロー基板は、一般的に高多孔質系(例えば、55~70%の多孔度)であり、これはそれらの被覆性およびスラリーとの相互作用に強く影響する。特に、低粘性スラリー、例えば20℃で約5mPa・sから40mPa・s未満の範囲の動的粘度の使用は、フィルターの長さに沿って均一なウォッシュコート分布を達成することが可能であり、一方、より高い粘度のスラリー、例えば、20℃以上で40mPa・sでは、基板の表面へのウォッシュコートの堆積をもたらす傾向がある。低粘度スラリーは、被覆前のスラリーのpH調整のための貴金属前駆体および促進剤の適切な選択によってスラリーのイオン強度を最小化することで得られる。背圧の低下に加えて、低粘性スラリーは、FWC触媒の被覆のためのより高い自由度を可能にする。フィルター基板のウォッシュコートの均一性が高いため、いくつかの異なるウォッシュコートプロファイルを有するFWC触媒を実現することができ、したがってこのような触媒のガス排出性能をさらに最適化する機会が与えられる。
【0029】
ウォールフローフィルターの設計は排気システムの背圧に影響を与える。ウォールフローフィルターは通常、平均細孔径、細孔径分布、多孔度、平方インチ当たりのセル数(cpsi)、および壁厚によって特徴付けられる。壁の厚さが減少するにつれて背圧は減少するが、機械的強度は低下する。米国特許出願2009/0049815号は、ディーゼル排気濾過のための薄壁多孔質セラミックウォールフローフィルターを開示している。
【0030】
歴史的に、ディーゼル微粒子フィルターの分野では、比較的小さい細孔および/またはより小さい多孔度が微粒子物質を捕獲すると考えられていた。しかしながら、FWCについては、微粒子の性質がディーゼルエンジンにおけるこれらよりも細かいにも拘わらず、ディーゼル微粒子のためのフィルターは、このようなフィルターは一般にHC、NOxおよびCO変換要求を満たすための十分な触媒充填を満たすことができない。
【0031】
本明細書に開示された本発明の触媒微粒子フィルターは、優れた背圧、多孔度、および均質性の特徴を提供する。すなわち、高い適用量のウォッシュコートをもってしても、背圧測定によって示されるように、背圧の増加は低いままである。さらに、走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真に示されるように、触媒質量は細孔のネットワーク内によく分配されており、フィルターの壁上に層が形成されない。また、多孔質フィルター基板の細孔は均一に充填される。被覆触媒の多孔度は、フィルターの壁上に層が形成されず、触媒質量全体が細孔ネットワーク内に適用されるため、水銀多孔度に示されるように、より多くの触媒量が適用されるにつれて、直線的に減少する(段階的に)。
【0032】
以下の定義が本明細書において使用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「浸透」という用語は、TWC触媒の微粒子フィルターの多孔性壁への分散を示すのに使用される場合には、特定の組成物が壁厚内の少なくとも中空領域の大部分に浸透し、壁厚全体にわたって内側面に堆積することを意味する。このようにして、前記材料はフィルターの壁全体に分散されるようになる。
【0034】
微粒子フィルターの多孔度は、フィルターの容積に対するフィルター孔の容積の割合である。多孔度を測定する1つの方法は水銀多孔度によるものである。フィルターを切断し、各セクションの多孔度を測定し、結果を平均する。例えば、フィルターは前/入口片、中央片、および後/出口片にセクション化することができ、各セクションの多孔度を測定し、そして結果を平均することができる。非被覆多孔度は、いかなる触媒材料も適用されていないフィルターの多孔度である。被覆多孔度は、触媒材料とフィルターの組み合わせである触媒フィルターの多孔度である。発明の触媒微粒子フィルターは、微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有し、これは、ウォッシュコートが壁の表面上ではなくフィルターの細孔内に存在することを示す。本明細書で使用される方法は、TWC触媒材料のウォッシュコート充填に対し直線的に比例する被覆多孔度をもたらす結果となり、これは、材料がフィルターの壁ではなく細孔内に存在するためである。被覆多孔度は、非被覆多孔度の75%と98%の間、または80%と95%の間、さらには80%と93%の間にあり得る。
【0035】
フィルターの背圧は、フィルターを通る流動抵抗の尺度であり、例えば、ミリバールの単位で表される。非被覆背圧は、触媒材料が適用されていないフィルターの背圧である。被覆背圧は、触媒材料とフィルターとの組み合わせである触媒フィルターの背圧である。発明の触媒微粒子フィルターは、エンジンの性能に悪影響を及ぼさない被覆背圧を有する。悪影響を及ぼさない圧力降下とは、エンジンが広範なエンジン作動モードで概ね同じ性能(例えば、燃料消費)を、被覆状態または非被覆状態のどちらかの状態のフィルター基板の存在下で、発揮することを意味する。
【0036】
「FWC」とは、次に定義される三元変換(TWC)機能に加えて、フィルタリング機能がある四元変換を指す。
【0037】
「TWC」とは、三元変換の機能であって、炭化水素、一酸化炭素、および窒素酸化物が実質的に同時に変換される機能を指す。ガソリンエンジンは典型的には、0.5Hzから2Hzの摂動周波数で、燃料リッチと燃料リーンの空気燃料混合比(A/F比)(λ=1±約0.01)の間でわずかに振動または摂動するほぼ理論空燃比の反応条件下で運転する。本明細書における「理論空燃比」の使用は、理論空燃比近くのA/F比の振動または摂動を説明するガソリンエンジンの条件を指す。TWC触媒は、様々な空気対燃料比の下で酸素を保持および放出させることができる多価状態を有するセリアなどの酸素吸蔵成分(OSCs)を含む。NOxが還元されているリッチ条件下においては、OSCは未反応のCOおよびHCを消費するために少量の酸素を供給する。同様に、COおよびHCが酸化されているリーン条件下においては、OSCは過剰の酸素および/またはNOxと反応する。結果として、燃料リッチと燃料リーンの空気燃料混合比の間で振動する雰囲気の存在下においても、HC、CO、およびNOxの変換はすべて同時に(または本質的にすべて同時に)行われる。典型的には、TWC触媒は、例えばパラジウムおよび/またはロジウム、任意選択可能な白金など、1種または複数種の白金族金属;酸素吸蔵成分;任意選択可能な促進剤および/または安定剤を含む。リッチ条件下では、TWC触媒はアンモニアを生成することができる。典型的なTWC触媒は、20~60%の範囲の量のガンマアルミナ、20~50%の範囲の量のセリア-ジルコニア複合体、10%までの量の1つまたは複数のランタナ、バリア、ジルコニア、およびストロンチウムの促進剤および/または安定剤、量は用途に特有であるが、例えば2g/ft3~50g/ft3の量の1つまたは複数のPGMを含む。
【0038】
「完全なTWC機能性」への言及は、規制機関および/または自動車製造業者の要求に従って、HCおよびCOの酸化およびNOxの還元が、達成可能であることを意味する。このようにして、変化するA/F(空気燃料)比の環境下において、適切なHC、NOx、およびCOの変換を確実にするため、HC、CO、およびNOxの変換を達成するために白金、パラジウム、およびロジウムなどの白金族金属成分が提供され、十分な酸素吸蔵容量を実現するために十分な酸素吸蔵成分(OSC)提供される。十分な酸素吸蔵容量とは、一般的には自動車製造業者によって定義される完全耐用年数の経時変化後に、触媒が最小量の酸素を吸蔵し、放出することができることを意味する。一例として、有用な酸素吸蔵容量は、酸素1リットルあたり100mgとすることができる。別例では、十分な酸素吸蔵容量は、80時間の1050℃での発熱経時変化後、酸素1リットルあたり200mgとすることができる。十分な酸素吸蔵容量は、オンボード診断(OBD)システムが、機能している触媒を確実に検出するために必要とされる。十分な酸素吸蔵容量が存在しない場合、OBDは、機能していない触媒の警報を引き起こす。高酸素吸蔵容量は、十分な量を上回り、触媒の作動ウインドウを広げ、および自動車製造業者に対してエンジン管理におけるより高い柔軟性を可能にする。
【0039】
酸素吸蔵成分(OSC)への言及は、多価状態を有し、酸素または窒素酸化物などの酸化体と酸化条件下で活発に反応することができるか、または一酸化炭素(CO)または水素などの還元体と還元条件下で反応することができる実体を指す。適切な酸素吸蔵成分の例は、セリアを含む。プラセオジミアもOSCとして含まれてよい。ウォッシュコート層へのOSCの送達は、例えば、混合酸化物の使用によって達成することができる。例えば、セリアは、セリウムとジルコニウムの混合酸化物、および/またはセリウムと、ジルコニウムと、ネオジムの混合酸化物によって送達することができる。例えば、プラセオジミアは、プラセオジムとジルコニウムの混合酸化物、および/またはプラセオジム、セリウム、ランタン、イットリウム、ジルコニウム、およびネオジムの混合酸化物によって送達することができる。
【0040】
良好な活性および長い寿命を示すTWC触媒は、高表面積の耐火性金属酸化物支持体、例えば、高表面積アルミナ被覆などに配置される1つまたは複数の白金族金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム、レニウム、およびイリジウム)を含む。支持体は、適切な担体または基板、例えば耐火性セラミックもしくは金属ハニカム構造を含むモノリス担体、または、例えば耐火性材料の球体もしくは短い突出したセグメントのような適切な耐火性微粒子などの上に担持される。耐火性金属酸化物支持体は、ジルコニア、チタニア、アルカリ土類金属酸化物、例えばバリア、カルシア、もしくはストロンチア、または最も一般的には希土類金属酸化物、例えばセリア、ランタナ、および2つ以上の希土類金属酸化物の混合物等の材料によって、熱分解に対して安定化されてよい。例えば、米国特許第4,171,288号(Keith)を参照。TWC触媒はまた、酸素吸蔵成分を含むように作成することもできる。
【0041】
触媒ウォッシュコート層における「支持体」への言及は、貴金属、安定剤、促進剤、結合剤などを会合、分散、含浸、または他の適切な方法によって受容する材料を指す。支持体の例としては、これらに限定されないが、高表面積耐火性金属酸化物および酸素吸蔵成分を含有する複合体とを含む。高表面積耐火性金属酸化物支持体は、20オングストロームより大きい細孔と広い細孔分布を有する支持粒子を指す。高表面積耐火性金属酸化物支持体、例えば、アルミナ支持体材料は、「ガンマアルミナ」または「活性アルミナ」とも呼ばれ、典型的には1グラムあたり60平方メートル(「m2/g」)を超え、しばしば最大約200m2/g以上のBET表面積を示す。このような活性アルミナは、通常、アルミナのガンマ相およびデルタ相の混合物であるが、かなりの量のエータ、カッパー、およびシータアルミナ相を含有してもよい。活性アルミナ以外の耐火性金属酸化物は、所与の触媒中の触媒成分のうちの少なくともいくつかに対する支持体として使用され得る。例えば、バルクセリア、ジルコニア、アルファアルミナ、および他の材料が、そのような使用で知られている。これらの材料の多くは、活性アルミナよりもかなり低いBET表面積を有するという欠点があるが、その欠点は、結果として生じる触媒のより長い耐久性によって相殺される傾向がある。「BET表面積」は、N2吸収によって表面積を判定するBrunauer、Emmett、Teller方法を指す通常の意味を有する。
【0042】
1つまたは複数の実施形態は、アルミナ、アルミナ-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリアランタナ-アルミナ、バリアランタナ-ネオジミアアルミナ、およびアルミナ-セリアから成る群から選択される、活性化合物を含む高表面積耐火性金属酸化物支持体を含む。酸素吸蔵成分を含有する複合体の例としては、これらに限定されないが、セリア-ジルコニアおよびセリア-ジルコニア-ランタナを含む。「セリア-ジルコニア複合体」への言及は、いずれの成分の量をも特定せずに、セリアおよびジルコニアを含む複合材料を意味する。適切なセリア-ジルコニア複合体は、これらに限定されないが、例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、またはさらに95%のセリア含有量を有する複合体を含む。ある特定の実施形態では、支持体が100%の名目セリア含有量(すなわち、>99%純度)を有するバルクセリアを含むことを提供する。
【0043】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されている構成または処理工程の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施または実行することが可能である。
【0044】
図1Aでは、排出処理システム2は、ライン7を経由して密結合(CC)位置にあるFWC触媒12へ排気を運ぶガソリンエンジン5を有している。FWC触媒から出るライン15は、さらなる処理構成要素に通じ、および/またはテール管に通じシステム外に出ることができる。FWC触媒12は、完全なTWC機能性を提供するTWC触媒充填を有し、それによって排出要求を満たす。
図1AのFWCは、高いウォッシュコート充填を含有してもよく、全体のウォッシュコート充填が1.5g/in
3以上、たとえば、1.5~3g/in
3、さらには2.5g/in
3である。
図1Bに示すように、
図1Aの排出処理システムは、エンジンとFWC触媒との間に(第1のCC位置、CC1に)TWC触媒を任意選択的にさらに含んでもよく、その場合該TWC触媒充填は、完全なTWC機能を合わせて提供するためにFWC触媒と(第2のCC位置、CC2において)協働して作動するように設計され、それによって排出要求を満たす。また、
図1BのFWCは、高いウォッシュコート充填を含有してもよく、全体のウォッシュコート充填が1.5g/in
3以上、例えば1.5~3g/in
3、または2.5g/in
3である。
【0045】
図1Cでは、排出処理システム3は、ライン7を経由して密結合(CC)位置にある第1のTWC触媒9へ排気を運ぶガソリンエンジン5を有している。ライン11を経由して排気流を受け取る下流TWC被覆微粒子フィルター13がアンダーフロア(UF)位置にある。ライン15は、さらなる処理構成要素に通じ、および/またはテール管に通じシステム外に出ることができる。前記TWC被覆微粒子フィルター(FWC)13は、TWCの全機能を合わせて提供し、それによって排出要求を満たすために、CC TWC触媒と協働して作動するように設計されたTWC触媒充填を含有する。
図1CのFWCは、低いウォッシュコート充填を含有してもよく、全体のウォッシュコート充填が1.5g/in
3未満、例えば0.25~1.5g/in
3未満、または0.5~1.0g/in
3である。
【0046】
微粒子フィルター
微粒子フィルターへの言及は、直噴ガソリンエンジン内の燃焼反応によって生成された微粒子を捕捉するようにサイズ設定され構成された基板を意味する。微粒子の捕捉は、例えば、微粒子(または煤)フィルターの使用により、微粒子の流れの方向の変化が微粒子を排気流から脱落させるような内部蛇行状経路を有するフロースルー基板の使用により、波形金属担体等の金属基板の使用により、または、当業者に既知の他の方法により、生じ得る。排気流から微粒子を落とすことができる粗面を有する管のような、他の濾過装置が適し得る。屈曲のある管もまた適切であり得る。
【0047】
フィルターに関して、
図2は、微粒子フィルターに適した例示的なウォールフローフィルター基板の斜視図を示す。TWCまたは酸化触媒組成物を支持するのに有用なウォールフロー基板は、複数の細い実質的に平行なガス流路であって基板の縦方向軸(または軸長さ)に沿って延在するガス流路を有する。典型的に、各流路は、基板本体の一端で塞がれ、交互に反対側の端面で塞がれた流路を有する。このようなモノリス担体は、断面1平方インチあたり約300までの流路(または「セル」)を含有してもよいが、それよりはるかに少ない数が使用されてもよい。例えば、担体は、約7から300、より一般的には約200から300の1平方インチあたりのセル数(「cpsi」)を有してよい。セルは、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、または他の多角形の断面を有することができる。FWC用のウォールフロー基板は典型的に、0.004インチと0.012インチの間(4-12ミルまたは102-306μm)の壁厚を有する。被覆がフィルターの軸長さに沿って提供されるように、軸方向ゾーニングが望ましいかもしれない。入口側において、上流端54から測定したときに、被覆は軸長さの50%まで(例えば、1%から49.9%、または10%から45%)、軸長さの50%から75%、またはさらには軸長さの100%まで延びてもよい。出口側において、下流端56から測定したときに、被覆は、軸長さの50%まで(例えば、1%から49.9%、または10%から45%)、軸長さの50%から75%、またはさらには軸長さの100%まで延びてもよい。
【0048】
図2および3は、複数の流路52を有するウォールフローフィルター基板50を示す。流路は、フィルター基板の内壁53によって管状に囲まれる。基板は、入口または上流端54と、出口または下流端56を有する。交互の流路は、入口端において入口プラグ58で、出口端において出口プラグ60で塞がれ、入口54および出口56で対向する市松模様を形成する。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64を通って上流端54に入り、出口プラグ60によって止められ、チャネル壁53(多孔性である)を通って出口側66へと拡散する。フィルターの入口側の被覆は、ガス流62が最初に入口被覆と接触するように、被覆が壁53上または内側に存在することを意味する。フィルターの出口側の被覆は、ガス流62が入口被覆の後に出口被覆と接触するように、被覆が壁53上または内側に存在することを意味する。ガスは入口プラグ58により、入口側に戻ることができない。
【0049】
図4において、第1のウォッシュコート102は入口側の50%~55%の長さで設けられ、第2のウォッシュコート104は出口側の50%~55%の長さで設けられている。
図4の実施形態は、全体的のウォッシュコート充填が1.5g/in
3以上、たとえば、1.5~3g/in
3、さらには2.5g/in
3である高いウォッシュコート充填に適し得る。
図5において、単一のウォッシュコート102が入口側の長さの100%まで(0%より大きく100%までおよびその間のすべての値を含む)設けられており、出口側にはウォッシュコートは設けられていない。
図5の実施形態は、全体的のウォッシュコート充填が1.5g/in
3未満、例えば0.25g/in
3から1.5g/in
3未満、さらには0.5~1.0g/in
3である低いウォッシュコート充填に適し得る。
図6の実施形態では、単一のウォッシュコート104が出口側の長さの100%まで(0%より大きく100%までおよびその間のすべての値を含む)設けられており、入り口側にはウォッシュコートは設けられていない。
図6の実施形態も、全体的のウォッシュコート充填が1.5g/in
3未満、例えば0.25g/in
3から1.5g/in
3未満、またさらには0.5~1.0g/in
3である低いウォッシュコート充填に適し得る。
図4-6において、ウォッシュコートは壁に浸透している。
【0050】
ウォールフローフィルター基板は、コージエライト、アルミナ、シリコンカーバイド、チタン酸アルミニウム、ムライトなどのセラミック様材料、または耐火性の金属から構成され得る。ウォールフロー基板はセラミック繊維複合材料から形成されてもよい。特定のウォールフロー基板は、コージエライト、シリコンカーバイド、およびチタン酸アルミニウムから形成される。そのような材料は環境、特に排気流を処理する際に遭遇する高温環境に耐えることができる。
【0051】
本発明のシステムで使用するためのウォールフロー基板は、流体流が物品全体にわたる圧力または背圧を大きく上昇させ過ぎることなく通過する薄い多孔質壁のハニカム(モノリス)を含むことができる。システムで使用されるセラミックウォールフロー基板は、少なくとも40%(例えば40%から70%、さらには55%から70%)の多孔度(非被覆多孔度とも呼ばれる)を有する材料で形成され得る。有用なウォールフロー基板は、10ミクロン以上、好ましくは13から25ミクロンの平均細孔径を有することができる。これらの多孔度およびこれらの平均細孔径を有する基板が以下に記載される技術で被覆される場合、適切なレベルのTWC組成物が基板に充填され、優れた炭化水素、CO、および/またはNOx変換効率を達成することができる。これらの基板は、触媒充填にもかかわらず、適切な排気流特性、すなわち許容可能な背圧を依然として保持することができる。
【0052】
本発明で使用される多孔質ウォールフローフィルターは、1または複数の触媒材料を構成要素の壁の上に有するかまたは壁の内部に含有するように触媒作用を受ける。触媒材料は、要素壁の入口側のみ、出口側のみ、入口側と出口側の両方に存在してもよく、または壁自体が、全部または一部が触媒材料から成るようにしてよい。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁に触媒材料の1つまたは複数のウォッシュコートを使用すること、および触媒材料の1つまたは複数のウォッシュコートの組み合わせを使用することを含む。
【0053】
金属基板に関して、有用な基板は、1つまたは複数の金属または金属合金から構成され得る。金属担体は、波形シートまたはモノリシック形態などの様々な形状で用いられ得る。具体的な金属支持体には、チタンおよびステンレス鋼などの耐熱性金属および金属合金、ならびに鉄が実質的または主成分である他の合金が含まれる。このような合金は、ニッケル、クロム、および/またはアルミニウムのうちの一つまたは複数を含有してもよく、これらの金属の総量は、有利に合金の少なくとも15重量%、例えば、10~25重量%のクロム、3~8重量%のアルミニウム、20重量%までのニッケルを、含み得る。前記合金は、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1つまたは複数の他の金属を少量または微量含有してもよい。金属担体の表面は、高温例えば1000℃以上で酸化され、担体の表面に酸化層を形成することによって合金の腐食に対する抵抗を高めることができる。そのような高温誘導酸化は、触媒材料の担体への付着を促し得る。
【0054】
被覆ウォールフローフィルター
従来の技術を使用してTWCまたは酸化触媒組成物でウォールフローフィルターをコーティングするために、金属塩を使用して成分混合物が調製され、該混合物は触媒スラリーを形成するため通常は有機および無機塩の混合物である。そのようなスラリーは、典型的には、固形体が25%から0%の範囲の固形分で、20℃以上で14から400mPa・sの動的粘度を有し得る。基板は、基板の頂部がスラリーの表面のちょうど上方に位置するように、触媒スラリーの一部に垂直に浸漬される。このようにして、スラリーは、各ハニカム壁の入口面に接触するが、各壁の出口面に接触することが防止される。試料は、スラリー中に約30~60秒間放置される。フィルターはスラリーから除去され、過剰なスラリーは、最初に流路から排出させ、次に圧縮空気を吹き付けることにより(スラリーの浸透方向の反対に)、ウォールフローフィルターから除去される。この従来の技術を使用することによって、触媒スラリーは、フィルターの壁に浸透するが、完成したフィルターで過度な背圧が形成される程度までには、細孔は閉塞されない。この従来の技術を使用することにより、フィルターの被覆多孔度はその非被覆多孔度と実質的に同じであると期待される。被覆フィルターは、典型的には約100℃で乾燥され、より高い温度(例えば、300℃から450℃および最大590℃)で焼成される。焼成後、触媒充填は、フィルターの被覆重量および非被覆重量の計算によって決定することができる。当業者には明らかなように、触媒、充填は、被覆スラリーの固形分を変化させることによって変更することができる。代替的に、被覆スラリー中にフィルターを繰り返し浸漬し、続いて、上記のように過剰なスラリーを除去することができる。
【0055】
本発明の改良された技術を使用してTWCまたは酸化触媒組成物でウォールフローフィルターをコーティングするために、従来の技術と比較して低い粘度を有する触媒スラリーを形成するために無機金属塩だけを使用して成分混合物が調製される。このようなスラリーは、典型的には、25%~0%の範囲の固形分で、20℃で約5から40mPa・s未満、または約5~30mPa・s未満の動的粘度を有し得る。スラリー粘度は、従来の技術より著しく少なくとも50%、さらには75~90%低い。処理工程ステップの数は、従来の技術と比較して少ない。基板は、塗布されるべきコートの目標長さに等しい基板の長さの分、触媒スラリーの一部に垂直に浸漬される。このようにして、スラリーは各ハニカム壁の入口面と接触し、浸漬の長さにわたって壁に完全に浸透する。試料はスラリー中に約1~6秒間放置される。フィルターはスラリーから除去され、過剰なスラリーは、最初に流路から排出させ、次に圧縮空気を吹き付けることにより(スラリーの浸透方向の反対に)、ウォールフローフィルターから除去される。この技術を使用することによって、触媒スラリーは、フィルターの壁に浸透するが、完成したフィルターで過度な背圧が形成される程度までには、細孔は閉塞されない。この改良された技術を使用することにより、ウォッシュコートは壁の表面上ではなくフィルターの細孔内に存在するため、フィルターの被覆多孔度はその非被覆多孔度よりも低いと期待される。さらに、従来の技術と比較して、低粘性スラリーの壁へのより効率的な浸透により、被覆長さに沿ってスラリー分布の改善された均一性が達成される。最後に、そのような技術を使用することにより、そして壁への改善されたスラリーの浸透性と均一性の結果として、上記の伝統的な技術の完成したフィルターと比較して、より低い背圧増大が達成される。被覆フィルターは、典型的には約100℃で乾燥され、より高い温度(例えば、300℃から450℃および最大590℃)で焼成される。焼成後、触媒充填は、フィルターの被覆重量および非被覆重量の計算によって決定することができる。当業者には明らかなように、触媒、充填は、被覆スラリーの固形分を変化させることによって変更することができる。代替的に、被覆スラリー中にフィルターを繰り返し浸漬し、続いて、上記のように過剰なスラリーを除去することができる。
【0056】
触媒複合体ウォッシュコートの調製
触媒複合体は、単一層または複数層で形成されてよい。いくつかの場合において、触媒材料の1つのスラリーを調製し、このスラリーを使用して担体上に複数層を形成することが適切であり得る。複合体は、従来技術で知られた方法により容易に調製することができる。代表的な方法が以下に記載されている。本明細書で使用するとき、用語「ウォッシュコート」は、処理されるガス流が通過するのを可能とするのに十分に多孔性の、例えばハニカム型の担体部材のような基板担体材料に適用される、触媒材料または他の材料の薄い粘着性の被覆という当該分野における通常の意味を有する。したがって、「ウォッシュコート層」は、支持体粒子からなる被覆として定義される。「触媒ウォッシュコート層」は、触媒成分で含浸された支持体粒子からなる被覆である。
【0057】
触媒複合体は、担体上に層状に容易に調製することができる。特定のウォッシュコートの第1層のため、ガンマアルミナ等の高表面積耐熱性金属酸化物の細かく割られた粒子が、適切な媒体中、例えば、水中でスラリー化される。貴金属(例えば、パラジウム、ロジウム、白金、および/またはそれらの組み合わせ)、安定剤、および/または促進剤等の成分を取り込むために、そのような成分は、水溶性または水分散性化合物の混合物または複合物としてスラリーに取り込まれてよい。典型的に、パラジウムが所望される場合、パラジウム成分は、耐熱性金属酸化物支持体、例えば、活性アルミナ上での成分の分散を達成するために、化合物または複合物の形態で利用される。用語「パラジウム成分」とは、焼成または使用の際に、触媒的に活性な形態、通常、金属または金属酸化物に分解またそうでなければ変換する何らかの化合物、複合物等を意味する。金属成分の水溶性化合物もしくは水分散性化合物または複合体は、金属成分を耐熱性金属酸化物支持体粒子上に含浸または堆積するために使用される液体媒体が、触媒組成物中に存在し得る金属もしくはその化合物もしくはその複合物または他の成分と不利に反応せず、加熱および/または真空を適用すると、揮発または分解によって金属成分から除去することが可能な限り、使用することができる。いくつかの場合において、触媒が使用され、運転時に遭遇する高温にさらされるまで、液体の除去の完了は起こらない。概して、経済および環境面の両方の観点から、貴金属の可溶性化合物または複合物の水溶液が利用される。例えば、適切な化合物は、硝酸パラジウムまたは硝酸ロジウムである。
【0058】
本発明の積層触媒複合体の任意の層を調製する適切な方法は、所望の貴金属化合物(例えば、パラジウム化合物)の溶液と、微粉化された高表面積耐熱性金属酸化物支持体、例えば後に水と組み合わされて被覆可能なスラリーを形成する湿潤固体を形成するように前記溶液を実質的に全て吸収する程度に十分に乾燥しているガンマアルミナなどの少なくとも1つの支持体、の混合物を調製することである。1つまたは複数の実施形態において、スラリーは、酸性であり、例えば、約2から約7未満、または好ましくは3~5の範囲のpHを有する。スラリーのpHは、適量の無機酸または有機酸のスラリーへの添加によって低下させることができる。酸および原材料の適合性が考慮される場合、両方の組み合わせを使用することができる。無機酸は、これに限定されないが硝酸を含む。有機酸は、これに限定されないが酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸等を含む。その後、所望される場合、例えばセリウム-ジルコニウム複合体などの酸素吸蔵成分の水溶性または水分散性化合物と、例えば酢酸バリウムなどの安定剤と、および、例えば硝酸ランタンなどの促進剤と、をスラリーに添加してもよい。
【0059】
一実施形態において、スラリーは、その後、実質的に全て固体が約30ミクロン未満の粒子サイズ、すなわち平均直径で約0.1~15ミクロンの粒径を有するように粉砕される。典型的なd90平均粒径第は、約2.5μmから約8μmの範囲である。粉砕は、ボールミル、サーキュラーミル、または他の同様の機器で達成されてよく、スラリーの固形分は、例えば、約20~60重量%、より具体的には、約30~40重量%であってよい。
【0060】
追加の層、すなわち、第2および第3の層は調製され、担体への第1の層の堆積のための上述した方法と同じ方法で第1の層上に堆積されてよい。
【0061】
実施形態
様々な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙される実施形態は本発明の範囲に従って全ての態様および他の実施形態と組み合わされ得ることは理解されるだろう。
【0062】
[実施形態1] 炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためのガソリン直噴エンジンの下流にある排出処理システムであって、前記排出処理システムは触媒微粒子フィルターを含み、前記触媒微粒子フィルターは、
微粒子フィルターの壁に浸透する三元変換(TWC)触媒材料を有し、
前記触媒微粒子フィルターは、前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有している、排出処理システム。
【0063】
[実施形態2] 重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、実施形態1に記載の排出処理システム。
【0064】
[実施形態3] 前記被覆多孔度は前記TWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例する、実施形態1または2に記載の排出処理システム。
【0065】
[実施形態4] 前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の75%と98%の間にある、実施形態1~3のいずれかに記載の排出処理システム。
【0066】
[実施形態5] 前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の80%と95%の間にある、実施形態4に記載の排出処理システム。
【0067】
[実施形態6] 前記触媒微粒子フィルターの被覆背圧は前記エンジンの性能に悪影響を及ぼさない、実施形態1~5のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0068】
[実施形態7] 約60g/Lまでのウォッシュコート充填の場合、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有する、実施形態1~6のいずれ1つかに記載の排出処理システム。
【0069】
[実施形態8] 前記微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミルの範囲の壁厚を有し、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0070】
[実施形態9] 前記微粒子フィルターは、約13μmから約25μmまでの範囲の平均細孔径を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0071】
[実施形態10] 前記微粒子フィルターは、約6ミル(152μm)から約14ミル(356μm)の範囲の壁厚および55%から70%の範囲の非被覆多孔度を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0072】
[実施形態11] 前記TWC触媒材料は、前記微粒子フィルターの入口側、出口側、またはその両方に浸透する単一のウォッシュコート組成物から形成される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0073】
[実施形態12] 第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約0~100%まで入口側に存在し、第2の単一ウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約0~100%まで出口側に存在し、前記第1および前記第2の単一ウォッシュコート層の少なくとも一方は0%より多い量で存在する、実施形態11に記載の排出処理システム。
【0074】
[実施形態13] 前記第1の単一ウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~100%まで入口側に存在し、前記第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~100%まで出口側に存在する、実施形態12に記載の排出処理システム。
【0075】
[実施形態14] 前記第1の単一のウォッシュコート層は、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~55%まで入口側に存在し、前記第2の単一のウォッシュコート層は、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約50~55%まで出口側に存在する、実施形態13に記載の排出処理システム。
【0076】
[実施形態15] 単一のウォッシュコート層が、上流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約100%まで入口側に存在し、出口側にはウォッシュコート層が存在しない、実施形態11に記載の排出処理システム。
【0077】
[実施形態16] 単一のウォッシュコート層が、下流端から前記微粒子フィルターの軸長さに沿ってその約100%まで出口側に存在し、入口側にはウォッシュコート層が存在しない、実施形態11に記載の排出処理システム。
【0078】
[実施形態17] 前記TWC触媒材料を、約1g/in3から約5g/in3(約60g/Lから約300g/L)の範囲の量で含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0079】
[実施形態18] 前記非被覆多孔度は55%から70%の範囲にある、実施形態1~17のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0080】
[実施形態18.5] 前記非被覆多孔度は、前記微粒子フィルターの体積に対する前記微粒子フィルターの細孔の体積の割合である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0081】
[実施形態19] 前記TWC触媒材料は、ロジウム、パラジウム、セリアまたはセリア複合体、およびアルミナを含む、実施形態1~18.5のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0082】
[実施形態20] 前記微粒子フィルターは、コージエライト、アルミナ、シリコンカーバイト、チタン酸アルミニウム、またはムライトを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の排出処理システム。
【0083】
[実施形態21] 炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気流の処理のためにガソリン直噴エンジンの下流の排出処理システム内に位置する触媒微粒子フィルターであって、
約6ミル(152μm)から約14ミル(356μm)の範囲の壁厚および55%から70%の範囲の多孔度を有する微粒子フィルター、および
約1.0g/in3から約4g/in3(120g/Lから244g/L)の範囲の量の三元変換(TWC)触媒材料、を含み、
前記TWC触媒材料は、前記微粒子フィルターの壁に浸透している、触媒微粒子フィルター。
【0084】
[実施形態21.1] 重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、実施形態21に記載の触媒微粒子フィルター。
【0085】
[実施形態21.3] 前記微粒子フィルターの壁の細孔の外側には触媒材料が存在しない、実施形態21または21.1に記載の触媒微粒子フィルター。
【0086】
[実施形態21.5] 前記多孔度は、前記微粒子フィルターの体積に対する前記微粒子フィルターの細孔の体積の割合である、実施形態21~21.3のいずれか1つに記載の触媒微粒子フィルター。
【0087】
[実施形態22] 炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、および微粒子を含む排気ガスを処理する方法であって、
実施形態1~21.5のいずれか1つによる触媒微粒子フィルターを得ること、および、
前記触媒微粒子フィルターをガソリン直噴エンジンの下流に位置付けること、を有し、
前記エンジンの運転時に前記ガソリン直噴エンジンからの排気ガスが前記触媒微粒子フィルターに接触する、方法。
【0088】
[実施形態23] 触媒微粒子フィルターを製造する方法であって、
微粒子フィルターを得ること、
2から7の範囲のpHを有する三元変換(TWC)触媒材料のスラリーを形成すること、および、
前記TWC触媒材料を前記微粒子フィルターの壁に浸透させて触媒微粒子フィルターを形成し、前記触媒微粒子フィルターが前記微粒子フィルターの非被覆多孔度よりも小さい被覆多孔度を有するように形成する、方法。
【0089】
[実施形態24] 前記スラリーは、20℃で約5mPa・sから40mPa・s未満の範囲の動的粘度、および固形体が0~25重量%の固形分を有する、実施形態23に記載の方法。
【0090】
[実施形態25] 前記pHは、3から5の範囲内である、実施形態23または24に記載の方法。
【0091】
[実施形態26] 重なっているウォッシュコートの領域を任意に除き、前記微粒子フィルターの壁の表面に前記触媒材料の層が存在しない、実施形態23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
[実施形態26.5] 前記微粒子フィルターの壁の細孔の外側には前記触媒材料が存在しない、実施形態23~26のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
[実施形態27] 前記被覆多孔度は前記TWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例する実施形態23~26.5のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
[実施形態28] 前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の75%と98%の間にある、実施形態23~27のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
[実施形態29] 前記被覆多孔度は前記非被覆多孔度の80%と95%の間にある、実施形態23~28のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
[実施形態30] 前記触媒微粒子フィルターの被覆背圧は前記エンジンの性能に悪影響を及ぼさない、実施形態23~29のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
[実施形態31] 約60g/Lまでのウォッシュコート充填の場合、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して15%±3%以下の増加の被覆背圧を有する、実施形態23~30のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
[実施形態32] 前記微粒子フィルターは、200~300セル/平方インチ(CPSI)および6~14ミルの範囲の壁厚を有し、前記触媒微粒子フィルターは、非被覆背圧と比較して50%以下の増加の被覆背圧を有する、実施形態23~31のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
[実施形態32.5] 非被覆多孔度は、前記微粒子フィルターの体積に対する前記微粒子フィルターの細孔の体積の割合である、実施形態23~31のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明の種々の実施形態を示すのに用いられる。各実施例において、担体はウォールフローコージライトである。各実施例において、担体はウォールフローコージライトである。各実施例において、多孔度は、微粒子フィルターの体積に対する微粒子フィルターの細孔の体積の割合である。
【0101】
実施例1
比較
三元変換(TWC)触媒が被覆された微粒子フィルターを、300セル/平方インチ(CPSI)および12ミルの壁の4.66×5インチのサイズのフィルター基板に2g/in3(120g/L)のウォッシュコート充填で調製した。未処理基板は、0.82mL/gの総侵入量および19.9μmの平均細孔径を有していた。
【0102】
TWC触媒ウォッシュコートを基板上に被覆する方法は、概して上述した従来技術によるものであった。具体的なステップは以下の通りであった。
【0103】
(1)高表面積ガンマアルミナに硝酸ロジウム(Rh(NO3)3)の溶液を含浸させる。該Rh含浸アルミナを焼成する。促進剤の前駆体である水酸化バリウム(Ba(OH)2)および硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)を添加する。
【0104】
(2)酸素吸蔵成分(OSC)に硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)の溶液を含浸させる。該Pd含浸アルミナを焼成する。促進剤の前駆体である酢酸バリウム(Ba(OAc)2)を添加する。得られた材料を粉砕する。
【0105】
(3)(1)と(2)の材料を組み合わせる。最終のスラリー/ウォッシュコートを形成するために粉砕する。
【0106】
(4)最終のスラリー/ウォッシュコートで基板を被覆する。
【0107】
比較実施例1の調製については、処理(浸漬)時間は、片面あたり40秒で合計80秒であった。遊離イオンの数が多いために、動的粘度は高く(例えば、20℃で約40mPa・sまで)、壁内被覆は不可能であった。
【0108】
比較実施例1は、入口側に名目上50%のウォッシュコートを、出口側に名目上50%のウォッシュコートを被覆することで、フィルターの中央部分でウォッシュコートを重ね合わせることができる。
図7A~Cは、比較実施例1の触媒微粒子フィルターの入口片、中央片、および出口片のSEMの顕微鏡写真を示す。明るい領域は、ウォッシュコートがある箇所を示す。かなりの量のウォッシュコートは、中央部分の壁の細孔内には存在しない。ウォッシュコートは壁の細孔全体に均一に分布していない。中央部分において、ウォッシュコートは壁の表面に層を形成した。
【0109】
実施例2
比較
三元変換(TWC)触媒が被覆された微粒子フィルターを、4.66×5インチのサイズの300/8フィルター基板に2g/in3(120g/L)のウォッシュコート充填で調製し、該微粒子フィルターの特性を以下の表1にまとめる。触媒および被覆方法は比較実施例1に従った。
【0110】
比較実施例2は、入口側にウォッシュコートの名目上50%を、出口側にウォッシュコートの名目上50%を被覆することで、フィルターの中央部分でウォッシュコートを重ね合わせることができる。
図8A~Cは、比較実施例2の触媒微粒子フィルターの入口片、中央片、および出口片のSEMの顕微鏡写真を示す。明るい領域は、ウォッシュコートがある箇所を示す。前部分、中央部分、および後部分において、かなりの量のウォッシュコートは、中央部分の壁の細孔内には存在しない。ウォッシュコートは壁の細孔全体に均一に分布していない。ウォッシュコートは壁の表面に層状領域を形成した。
【0111】
実施例3
基板壁に浸透する三元変換(TWC)触媒を有する微粒子フィルターを、4.66×5インチのサイズの300/8フィルター基板に2g/in3(120g/L)のウォッシュコート充填で調製し、該微粒子フィルターの特性を以下の表1にまとめる。
【0112】
TWC触媒ウォッシュコートを基板にコーティングする方法は、概して上述した改良された技術によるものであった。具体的なステップは以下の通りであった。
【0113】
(1)高表面積ガンマアルミナに硝酸ロジウム(Rh(NO3)3)の溶液を含浸させる。該Rh含浸アルミナを焼成する。水、オクタノール、酢酸を加える。促進剤の前駆体である酢酸バリウム(Ba(OA3)2)および硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)を添加する。得られた材料を粉砕する。
【0114】
(2)酸素吸蔵成分(OSC)に硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)の溶液を含浸させる。該Pd含浸アルミナを焼成する。水、オクタノール、酢酸を加える。促進剤の前駆体である、酢酸バリウム(Ba(OA3)2)および硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)を添加する。得られた材料を粉砕する。
【0115】
(3)(1)と(2)の材料を組み合わせて、最終のスラリー/ウォッシュコートを形成する。
【0116】
(4)最終のスラリー/ウォッシュコートで基板を被覆する。
【0117】
実施例3の調製では、処理(浸漬)時間は片側3秒で合計6秒であり、これは比較実施例1と比較してかなり減少している。遊離イオンが最小限であることにより、動的粘度は低く(例えば、20℃で~8mPa・s)、および壁内被覆/浸透が可能であった。実施例3のスラリー/ウォッシュコートの粘度は、比較例1のそれより80%低かった。
【0118】
実施例3は、入口側にウォッシュコートの名目上50%を、出口側にウォッシュコートの名目上50%を被覆することで、フィルターの中央部分でウォッシュコートを重ね合わせることができる。
図9A~Cは、実施例3の触媒微粒子フィルターの入口片、中央片、および出口片のSEMの顕微鏡写真を示す。明るい領域は、ウォッシュコートがある箇所を示す。前部分、中央部分、後部分において、ウォッシュコートは、前部分、中央部分、後部分の壁の細孔に完全に入っている。被覆過程の間に重なった中央部分のコーナー(
図9B)には少量のウォッシュコートがある。ウォッシュコートは壁の細孔全体に均一に分布していた。壁の表面にはウォッシュコートの目立った層はない。すなわち、ウォッシュコートが重なっていない領域では、壁の表面に触媒材料の層はない。重なっている部分の壁の表面には、少量の材料があることがある。
【0119】
実施例4
三元変換(TWC)触媒が被覆された微粒子フィルターを、300/8フィルター基板に1g/in3(60g/L)のウォッシュコート充填で調製し、該微粒子フィルターの特性を以下の表1にまとめる。被覆方法は実施例3に従った。実施例4はウォッシュコートの100%を入口側に被覆し、出口側にはウォッシュコートを被覆しなかった。
【0120】
実施例5
基板壁に浸透する三元変換(TWC)触媒を有する微粒子フィルターを、4.66×5インチのサイズの300/8フィルター基板に1.25g/in3(75g/L)のウォッシュコート充填で調製し、該微粒子フィルターの特性を以下の表1にまとめる。被覆方法は実施例3に従った。実施例5はウォッシュコートの100%を入口側に被覆し、出口側にはウォッシュコートを被覆しなかった。
【0121】
実施例6
データ
表1は、未処理および実施例に従って被覆された基板の特性をまとめている。
【0122】
【0123】
図10は、表1(残存細孔体積(%)対ウォッシュコート充填(g/L))のグラフの概要であり、本発明の被覆フィルターは、被覆多孔度がTWC触媒材料のウォッシュコート充填に線形的に比例するという特徴を有することを示している。比較実施例2のデータ点は、本発明の実施例のデータに対応する線上にない。
【0124】
図11は、比較実施例1~2(120g/L)と未処理基板を比較した、背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
図12は、実施例3(120g/L)と未処理基板を比較した、背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。実施例3の背圧増加は、比較実施例1の背圧増加よりも著しく低い。
【0125】
図13は、従来の技術に従って製造された60g/Lを有する被覆フィルターと未処理基板を比較した、背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。
図14は、改良/発明の技術に従って製造された60g/Lを有する実施例4-Aの被覆フィルターと未処理基板を比較した、背圧(mbar)対体積流量(m
3/h)のグラフである。改良/発明の技術の背圧増加は、従来の技術の背圧増加よりも著しく低い。
【0126】
表2は、1平方インチ当たり300セル(CPSI)および12ミルの壁で4.66×5インチのサイズのフィルター基板を使用して、伝統的な技術と改良/発明技術によって調整された様々な被覆フィルターの、未処理基板に対する平均背圧増加パーセントを示す。
【0127】
【0128】
表3~4は、変化する1平方インチ当たりのセル数(CPSI)および壁厚(mil)を有する4.66×5インチのサイズのフィルター基板を使用して、改良/発明の技術に従って製造された様々な被覆フィルターの平均背圧を示す。
【0129】
【0130】
【0131】
ウォッシュコート充填が低い場合、未処理基板にかかる背圧の増加は低く、未処理基板のCPSI/壁厚、すなわち壁内のウォッシュコートの有効な体積とは無関係である。ウォッシュコート充填が高い場合、背圧の増加はより大きくなり、かつ、壁の厚さに依存する。より薄い壁厚、すなわち300/8では、より高いDp増加%をもたらすウォッシュコートの体積がより少なくなる。Dp増加%は、600m3/hにおけるDpに基づいて計算されたが、これらは計算のために選択された体積流量とはほぼ独立である。
【0132】
図15-16は、比較実施例1および実施例3のNEDC性能データを示す図である。FWCsは密結合位置に配置されていた。発明/改良の技術により調製された被覆フィルターの排出性能は、減少された背圧増加と改良された製造効率の利点に関して先行技術/従来技術により製造されたものに匹敵する。
【0133】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して各所における、「1つまたは複数の実施形態において」、「ある特定の実施形態において」、「一実施形態において」、または「実施形態において」などの用語の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0134】
本発明は、上述した実施形態およびその変形を具体的に参照して記述された。本明細書を読み理解すると、さらなる変形および代替が第三者に生じ得る。全てのそのような変形および代替は、それらが本発明の範囲内にある限り含まれることが意図されている。