IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エレクトロニクス インコーポレイティドの特許一覧

特許7048581単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信
<>
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図1
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図2
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図3
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図4
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図5
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図6
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図7
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図8
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図9
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図10
  • 特許-単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブル送信
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20220329BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
H04W74/08
H04B7/06 950
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019510845
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2017009740
(87)【国際公開番号】W WO2018048182
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】62/393,098
(32)【優先日】2016-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サンヤン
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0376466(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0117374(US,A1)
【文献】特開2015-146645(JP,A)
【文献】Fujitsu,The impacts on RAR caused by preamble repetition[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #80bis R1-151565,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-151565.zip>,2015年04月10日
【文献】Intel Corporation,Impacts on random access procedure for Release-13 low complexity UEs and enhanced coverage[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #90 R2-152162,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_90/Docs/R2-152162.zip>,2015年05月16日
【文献】Ericsson,Random access for Rel-13 low complexity and enhanced coverage Ues[online],3GPP TSG-RAN WG2 #91 Tdoc R2-153717,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_91/Docs/R2-153717.zip>,2015年08月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 7/06
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末(UE)によって、ネットワークへのランダムアクセスを行う方法であって、
ランダムアクセスプロセスのための第1の複数のランダムアクセスプリアンブルを前記ネットワークに送信する段階;
複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウの各々の間に、前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルの各々に対応するランダムアクセス応答をモニタする段階;及び
前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断された時、前記ランダムアクセスプロセスのための第2の複数のランダムアクセスプリアンブルを前記ネットワークに送信する段階を含み、
前記複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウのうち、最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで前記ランダムアクセス応答のうちのいずれも成功的に受信されないと、前記ランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断され、
2つ以上のランダムアクセス応答が受信された場合、さらに前記ランダムアクセスプロセスの2つ以上の第3メッセージを前記ネットワークに送信する段階;及び
前記第3メッセージの各々に対して2つ以上の競争解決タイマーを開始する段階をさらに含む、ランダムアクセス実行方法。
【請求項2】
前記ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が前記最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで受信されると、前記UEは前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功したと判断して第3メッセージを前記ネットワークに送信する、請求項1に記載のランダムアクセス実行方法。
【請求項3】
前記ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が受信されると、前記UEはそれ以上、他のランダムアクセス応答をモニタしない、請求項2に記載のランダムアクセス実行方法。
【請求項4】
前記競争解決タイマーのうち、最後の競争解決タイマーが終了するまで前記2つ以上の第3メッセージの各々に対応する第4メッセージのうちのいずれも受信されないと、前記2つ以上の第3メッセージによる競争解決に成功しなかったと判断される、請求項に記載のランダムアクセス実行方法。
【請求項5】
ネットワークへのランダムアクセスを行う端末(UE)であって、
ランダムアクセスプロセスのための第1の複数のランダムアクセスプリアンブルを前記ネットワークに送信するように構成された送受信器;及び
複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウの各々の間に、前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルの各々に対応するランダムアクセス応答をモニタするように構成されたプロセッサを含み、
前記プロセッサは、前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断された時、前記ランダムアクセスプロセスのための第2の複数のランダムアクセスプリアンブルを前記ネットワークに送信するように前記送受信器を制御し、
前記複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウのうち、最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで前記ランダムアクセス応答のうちのいずれも成功的に受信されないと、前記プロセッサは前記ランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断し、
2つ以上のランダムアクセス応答が受信された場合、前記プロセッサは前記ランダムアクセスプロセスの2つ以上の第3メッセージを前記ネットワークに送信するように前記送受信器を制御し、
前記プロセッサは前記第3メッセージの各々に対して2つ以上の競争解決タイマーを開始する、端末。
【請求項6】
前記ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が前記最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで受信されると、前記プロセッサは前記第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功したと判断して第3メッセージを前記ネットワークに送信するように前記送受信器を制御する、請求項に記載の端末。
【請求項7】
前記ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が受信されると、前記プロセッサはそれ以上、他のランダムアクセス応答をモニタしない、請求項に記載の端末。
【請求項8】
前記競争解決タイマーのうち、最後の競争解決タイマーが終了するまで前記2つ以上の第3メッセージの各々に対応する第4メッセージのうちのいずれも受信されないと、前記プロセッサは、前記2つ以上の第3メッセージによる競争解決に成功しなかったと判断する、請求項に記載の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はランダムアクセスプロセスを支援する無線通信システムに関する。特に、本発明は単一のランダムアクセスプロセスのための複数のランダムアクセスプリアンブルを送信する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明が適用可能な移動通信システムの一例として、3GPP LTE(3rd Generation Partnership Project Long Term Evolution、以下 LTEという)通信システムについて簡単に説明する。
【0003】
図1はE-UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunication System)の網構造を示すブロック図である。E-UMTSはLTEシステムとも呼ばれる。通信網はIMS及びパケットデータを通じたVoIP(Voice over IP)のような様々な通信サービスを提供するために広く配置される。
【0004】
図1に示したように、E-UMTS網は、E-UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)、EPC(Evolved Packet Core)及び1つ以上の端末を含む。E-UTRANは1つのセルに位置できる1つ以上のeNB(evolved NodeB、20)及び複数の端末10を含む。1つ以上のE-UTRAN MME(Mobility Management Entity)/SAE(System Architecture Evolution)のゲートウェイ30は、ネットワークの終端に位置して外部ネットワークに転結される。
【0005】
本明細書において、「下りリンク(downlink)」は、eNB20から端末10への通信を称し、「上りリンク(uplink)」は、端末10からeNB20への通信を称する。端末10は、ユーザによって運搬される通信装備を称し、また、移動局(Mobile Station、MS)、ユーザ端末(User Terminal、UT)、加入者ステーション(Subscriber Station、SS)又は無線デバイスと称することもできる。
【0006】
図2は、一般的なE―UTRANとEPCの構造を示すブロック図である。
【0007】
図2に示したように、eNB20は、ユーザ平面及び制御平面のエンドポイント(end point)をUE10に提供する。MME/SAEゲートウェイ30は、セッション及び移動性管理機能のエンドポイントをUE10に提供する。eNB20及びMME/SAEゲートウェイ30は、S1インタフェースを介して接続することができる。
【0008】
eNB20は、一般にUE10と通信する固定局であって、基地局(BS)又はアクセスポイント(access point)と称することもある。一つのeNB20はセルごとに配置することができる。ユーザトラフィック又は制御トラフィックを送信するためのインタフェースをeNB20間で使用することができる。
【0009】
MMEは、eNB20に対するNASシグナリング、NASシグナリング保安、AS保安制御、3GPP接続ネットワーク間の移動性のためのインター(inter)CNノードシグナリング、(ページング再送信の制御及び実行を含む。)遊休モード(idle mode)UE接近性(Reachability)、(遊休モード及び活性モード(active mode)のUEのための)トラッキング領域リスト管理、PDN GW及びサービングGW選択、MME変化が伴うハンドオーバーのためのMME選択、2G又は3G 3GPP接続ネットワークへのハンドオーバーのためのSGSN選択、ローミング、認証、専用ベアラ設定を含むベアラ管理、(ETWS及びCMASを含む)PWSメッセージ送信のためのサポートを含む多様な機能を行う。SAEゲートウェイホストは、パー―ユーザ(Per―user)ベースのパケットフィルタリング(例えば、深層パケット検査を使用)、適法なインターセプション(Lawful Interception)、UE IPアドレス割り当て、下りリンクでの送信(Transport)レベルパケットマーキング、UL及びDLサービスレベル課金、ゲーティング及びレート強化、APN―AMBRに基づいたDLレート強化を含む多様な機能を提供する。MME/SAEゲートウェイ30は、明確性のために、本明細書で単純に「ゲートウェイ」と称する。しかし、MME/SAEゲートウェイ30は、MME及びSAEゲートウェイの両者を全て含む。
【0010】
複数のノードは、eNB20とゲートウェイ30との間でS1インタフェースを介して接続することができる。各eNB20は、X2インタフェースを介して相互接続することができ、各隣接eNBは、X2インタフェースを有するメッシュネットワーク構造(meshed network structure)を有することができる。
【0011】
図2に示したように、eNB20は、ゲートウェイ30に対する選択、無線リソース制御(Radio Resource Control、RRC)活性化の間、ゲートウェイに向かうルーティング、ページングメッセージのスケジューリング及び送信、ブロードキャストチャネル(BCCH)情報のスケジューリング及び送信、上りリンク及び下りリンクの全てにおける各UE10のための動的リソース割り当て、eNB測定の構成及び準備、無線ベアラ制御、無線承認制御(Radio Admission Control、RAC)、及びLTE_ACTIVE状態での接続移動性制御などの各機能を行うことができる。EPCにおいて、ゲートウェイ30は、ページング発信、LTE_IDLE状態管理、ユーザ平面暗号化、システム構造エボリューション(System Architecture Evolution、SAE)ベアラ制御、及び非―接続層(Non―Access Stratum、NAS)シグナリングの暗号化及び無欠性保護などの各機能を行うことができる。
【0012】
EPCは、移動性管理エンティティ(Mobility Management Entity、MME)、サービング―ゲートウェイ(serving―gateway、S―GW)、及びパケットデータネットワーク―ゲートウェイ(Packet Data Network―Gateway、PDN―GW)を含む。MMEは、主に各端末の移動性を管理する目的で用いられる接続及び可用性に対する情報を有する。S―GWは、E―UTRANを終端点として有するゲートウェイであり、PDN―GWは、パケットデータネットワーク(PDN)を終端点として有するゲートウェイである。
【0013】
図3は、3GPP無線接続網規格を基盤にした端末とE―UTRANとの間の無線インタフェースプロトコルの制御平面及びユーザ平面の構造を示す図である。制御平面は、端末(User Equipment;UE)とネットワークがコールを管理するために用いる各制御メッセージが送信される通路を意味する。ユーザ平面は、アプリケーション層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路を意味する。
【0014】
第1層である物理層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理層は、上位にある媒体接続制御(Medium Access Control)層とは送信チャネル(Transport Channel)を介して接続されている。前記送信チャネルを介して媒体接続制御層と物理層との間にデータが移動する。送信側と受信側の物理層間には、物理チャネルを介してデータが移動する。前記物理チャネルは、時間と周波数を無線リソースとして活用する。具体的に、物理チャネルは、下りリンクでOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクでSC―FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0015】
第2層の媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)層は、論理チャネル(Logical Channel)を介して上位層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)層にサービスを提供する。第2層のRLC層は、信頼性のあるデータ送信をサポートする。RLC層の機能は、MAC内部の機能ブロックで具現することもできる。第2層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、帯域幅の狭い無線インタフェースでIPバージョン4(IP version 4、IPv4)パケットやIPバージョン6(IPv6)パケットのようなIP(internet protocol)パケットを効率的に送信するために不必要な制御情報を減少させるヘッダー圧縮(Header Compression)機能を行う。
【0016】
第3層の最下部に位置した無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)層は、制御平面のみで定義される。RRC層は、各無線ベアラ(Radio Bearer;RB)の設定(Configuration)、再設定(Re―configuration)及び解除(Release)と関連して論理チャネル、送信チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。RBは、端末とネットワークとの間のデータ伝達のために第2層によって提供されるサービスを意味する。このために、端末とネットワークのRRC層は、互いにRRCメッセージを交換する。
【0017】
eNBの一つのセルは、1.25MHz、2.5MHz、5MHz、10MHz、15MHz及び20MHzなどの各帯域のうち一つで動作するように設定することができ、帯域で下りリンク又は上りリンク送信サービスを提供するように設定することができる。異なる各セルは、異なる各帯域を提供するように設定することもできる。
【0018】
E―UTRANから端末への送信のための下りリンク送信チャネル(Downlink transport Channel)は、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)、各ページングメッセージを送信するPCH(Paging Channel)、及びユーザトラフィック又は各制御メッセージを送信するための下りリンク共有チャネル(Shared Channel、SCH)を含む。下りリンクマルチキャスト又はブロードキャストサービスのトラフィック又は制御メッセージの場合、下りリンクSCHを介して送信することもでき、又は別途の下りリンクMCH(Multicast Channel)を介して送信することもできる。
【0019】
端末からネットワークにデータを送信する上りリンク送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)と、その他にユーザトラフィックや制御メッセージを送信する上りリンクSCH(Shared Channel)とがある。送信チャネルの上位にあり、送信チャネルにマップされる論理チャネルとしては、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、及びMTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
LTEシステムにおいて、UEは一時点で1つのランダムアクセス(RA)プロセスのみを行う。即ち、例えば、RAがPDCCHオーダーによりトリガーされ、MACによりRAがトリガーされることのように、ある理由により多数のRA手順が開始されると、UEは1つのRA手順を選択する。
【0021】
一時点で1つのRA手順のみに制限する理由は、互いに異なる目的で多数のRA手順を行っても大きな利得が得られず、これは1つのUEが同時に多数のRA手順を管理するというより複雑なUE/eNB動作を要求するためである。
【0022】
1つのRA手順を使用するとは、RAR受信失敗又は競争解決失敗の後にのみ他のランダムアクセスプロセス(RAP)が送信可能であることを意味する。即ち、UEは複数のランダムアクセスプリアンブル(RAP)を並列に送信しない。従って、1つのRAP送信に続いて、RAR受信及び競争解決のためには、一定の時間がかかる。従来技術では、1つのRA手順の総時間を減らすか又はRAR受信や競争解決に成功する機会を増やす方法がなかった。
【0023】
また、NR(New Radio Access Technology)に対する開発において、NRシステムは100GHzまでの周波数帯域が使用可能でなければならない。高周波数帯域の増加した経路損失を補償するために、ビーム形成に対する必要性が確認された。また、ビーム形成による狭いカーバリッジを補完するために、'ビームスイーピング'技術が導入された。ビームスイーピングの場合、NR BS/UEは全体範囲をカバーするために、予め決定された数の時間単位にかけて同じ信号を繰り返すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の目的及び他の長所を達成するために、この明細書で具体化して広範囲に説明したように、ネットワークへのランダムアクセスを行う端末(UE)のための方法について開示する。この方法は、ランダムアクセスプロセスのための第1の複数のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信する段階;複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウの各々の間に、第1の複数のランダムアクセスプリアンブルの各々に対応するランダムアクセス応答をモニタする段階;及び第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断された時、ランダムアクセスプロセスのための第2の複数のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信する段階を含み、複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウのうち、最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまでランダムアクセス応答のうちのいずれも成功的に受信されないと、ランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断する。
【0025】
ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで受信されると、UEは第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功したと判断して第3メッセージをネットワークに送信する。
【0026】
ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が受信されると、UEはそれ以上、他のランダムアクセス応答をモニタしない。
【0027】
この方法は、2つ以上のランダムアクセス応答が受信された場合、さらに、ランダムアクセスプロセスの2つ以上の第3メッセージをネットワークに送信する段階;及び第3メッセージの各々に対して2つ以上の競争解決タイマーを開始する段階を含む。
【0028】
競争解決タイマーのうち、最後の競争解決タイマーが終了するまで2つ以上の第3メッセージの各々に対応する第4メッセージのうちのいずれも受信されないと、2つ以上の第3メッセージによる競争解決に成功しなかったと判断される。
【0029】
本発明の他の態様において、ネットワークへのランダムアクセスを行う端末(UE)が提供される。UEは、ランダムアクセスプロセスのための第1の複数のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信するように構成された送受信器;及び複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウの各々の間に、第1の複数のランダムアクセスプリアンブルの各々に対応するランダムアクセス応答をモニタするように構成されたプロセッサを含み、プロセッサは、第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断された時、ランダムアクセスプロセスのための第2の複数のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信するように送受信器を制御し、複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウのうち、最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまでランダムアクセス応答のうちのいずれも成功的に受信されないと、プロセッサはランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断する。
【0030】
ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで受信されると、プロセッサは第1の複数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功したと判断して第3メッセージをネットワークに送信するように送受信器を制御する。
【0031】
ランダムアクセス応答のうち、少なくとも1つのランダムアクセス応答が受信されると、プロセッサはそれ以上、他のランダムアクセス応答をモニタしない。
【0032】
2つ以上のランダムアクセス応答が受信された場合、プロセッサはランダムアクセスプロセスの2つ以上の第3メッセージをネットワークに送信するように送受信器を制御し、プロセッサは第3メッセージの各々に対して2つ以上の競争解決タイマーを開始する。
【0033】
競争解決タイマーのうち、最後の競争解決タイマーが終了するまで2つ以上の第3メッセージの各々に対応する第4メッセージのうちのいずれも受信されないと、プロセッサは、2つ以上の第3メッセージによる競争解決に成功しなかったと判断する。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、RF手順にかかる総時間を短縮でき、及び/又はRAR受信及び競争解決の成功可能性が増加する。
【0035】
また、本発明によれば、NRシステムに対するビームスイーピング(sweeping)方式を効率的に支援することができる。
【0036】
本明細書に添付する図面は本発明に対する理解を提供するためのものであり、本発明の多様な実施形態を示し、本発明の説明とともに本発明の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】E-UMTS(Evolved Universal Mobile Telecommunication System)のネットワーク構造を示すブロック図である。
図2】典型的なE-UTRAN及び典型的なEPCの構造を示すブロック図である。
図3】3GPP無線アクセスネットワーク標準に基づくUEとE-UTRANの間の無線インターフェースプロトコルの制御平面及びユーザ平面を示す図である。
図4】非競争方式のランダムアクセスプロセスにおいて、端末と基地局の動作手順を示す図である。
図5】競争方式のランダムアクセスプロセスにおいて、端末と基地局の動作手順を示す図である。
図6】本発明の一実施例による多数のRAPに対する設定情報の例を示す図である。
図7】下りリンク共通チャネルに対して多数の狭幅ビームを使用することによりカーバリッジに対するより高い周波数効果及び経路損失の補償を示す図である。
図8】本発明の一側面によるビームスイーピングの概念を示す図である。
図9】本発明の一実施例によりUEが単一のRA手順のために多数のRAPを送信する例を示す図である。
図10】本発明の一実施例によりUEが単一のRA手順のために多数のRAPを送信する他の例を示す図である。
図11】本発明の一実施例による通信装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施例について詳しく説明する。以下では添付図面を参照して詳しく説明するが、これは本発明により具現される唯一な実施例ではなく、本発明の例示的な実施例である。
【0039】
以下の詳しい説明は、本発明に対する完全な理解を提供するための特定細部事項を含む。しかし、本発明がこのような特定細部事項なしにも実施できることが当業者にとって明らかであろう。一部の場合、本発明の概念を曖昧にしないために、構造及び装置の重要な特徴に焦点を合わせて、公知の構造及び装置は省略するか又はブロック図の形態で示すこともある。
【0040】
上述したように、以下の説明はランダムアクセスプロセス(RAP)を支援する無線通信システムに関する。まず、RAPの細部事項について説明する。
【0041】
図4は非競争方式のランダムアクセス過程において端末と基地局の動作手順を示す図である。
【0042】
(1)ランダムアクセスプリアンブルの割り当て
【0043】
非競争方式のランダムアクセスプロセスは、以下の2つの場合に行われる:(1)ハンドオーバー手順を行う場合、及び(2)基地局の命令により要求される場合。勿論、競争方式のランダムアクセスプロセスもこの2つの場合に行われることができる。
【0044】
まず、非競争方式のランダムアクセスプロセスにおいて、端末が基地局から競争可能性のない、指定されたランダムアクセスプリアンブルを受信することが重要である。ランダムアクセスプリアンブルを受信する方法としては、ハンドオーバー命令による方法とPDCCH命令による方法がある。ランダムアクセスプリアンブルは、ランダムアクセスプリアンブル受信方法により端末に割り当てられる(S401)。
【0045】
(2)第1メッセージの送信
【0046】
上述したように、端末のために指定されたランダムアクセスプリアンブルを受信した後、基地局にプリアンブルを送信する(S402)。
【0047】
(3)第2メッセージの受信
【0048】
端末はランダムアクセスプリアンブルを送信した後(S402)、基地局は、システム情報又はハンドオーバー命令により指示されたランダムアクセス応答の受信ウィンドウ内で自分のランダムアクセス応答の受信を試みる(S403)。より具体的には、ランダムアクセス応答はMACプロトコルデータユニット(MAC PDU)の形態で送信でき、MAC PDUは物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)を介して送信できる。また、端末はPDSCHで伝達される情報を適切に受信するために物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)をモニタすることが好ましい。即ち、PDCCHはPDSCHを受信すべき端末の情報、PDSCHの無線リソースの周波数及び時間情報、及びPDSCHの送信フォーマットを含むことが好ましい。端末は、自分に送信されたPDCCHを成功的に受信した場合、PDCCHの情報によってPDSCHに送信されるランダムアクセス応答を適切に受信する。ランダムアクセス応答はランダムアクセスプリアンブル識別子(例えば、ランダムアクセスプリアンブル識別子(RA-RNTI))、上りリンク無線リソースを指示する上りリンクグラント、臨時C-RNTI及タイミングアドバンス命令(TAC)値を含むことができる。
【0049】
上述したように、1つのランダムアクセス応答には1つ以上の端末に対するランダムアクセス応答情報が含まれることができるので、どの端末に上りリンクグラント、臨時C-RNTI及びTAC値が有効であるかを示すランダムアクセスプリアンブル識別子が、ランダムアクセス応答のために必要である。この場合、端末は段階S402で選択されたランダムアクセスプリアンブルに該当するランダムアクセスプリアンブル識別子を選択すると仮定する。
【0050】
非競争方式のランダムアクセスプロセスにおいて、端末はランダムアクセス応答情報を受信することによりランダムアクセスプロセスが正常に行われたと判断した後、該当ランダムアクセスプロセスを終了する。
【0051】
図5は競争方式のランダムアクセス過程において端末と基地局の動作手順を示す図である。
【0052】
(1)第1メッセージの送信
【0053】
まず、端末はシステム情報又はハンドオーバー命令により指示されたランダムアクセスプリアンブルのセットから任意に1つを選択し、選択されたランダムアクセスプリアンブルを送信可能な物理RACH(PRACH)リソースを選択する。
【0054】
(2)第2メッセージの受信
【0055】
ランダムアクセス応答情報を受信する方法は、上述した非競争基盤のランダムアクセスプロセスと同様である。即ち、端末がS402段階でランダムアクセスプリアンブルを送信した後、基地局はシステム情報又はハンドオーバー命令により指示されたランダムアクセス応答の受信ウィンドウ内でランダムアクセス応答の受信を試み、該当ランダムアクセス識別子情報によりPDSCHを受信する(S502)。この場合、基地局は上りリンクグラント、臨時C-RNTI及びタイミングアドバンス命令(TAC)値を受信することができる。
【0056】
(3)第3メッセージの送信
【0057】
端末が自分の有効なランダムアクセス応答を受信すると、端末はランダムアクセス応答に含まれた情報を各々処理する。即ち、端末はTACを適用し、臨時C-RNTIを貯蔵する。また、端末はULグラントを用いてデータ(即ち、第3メッセージ)を基地局に送信する(S503)。第3メッセージは端末識別子を含む。これは基地局が競争基盤のランダムアクセスプロセスを行う端末を識別することにより今後の競争を避けるために必要であるためである。
【0058】
第3メッセージに端末識別子を含める2つの方式が論議されている。第1方法では、端末がランダムアクセスプロセスの前に該当セルから予め割り当てられた有効セル識別子を有していると、ULグラントに対応する上りリンク送信信号により自分のセル識別子を送信する。反面、端末がンダムアクセスプロセスの前に該当セルから予め割り当てられた有効セル識別子を有していないと、端末は自分の固有識別子(例えば、S-TMSI又はランダムID)を含む自分のセル識別子を送信する。一般的に、固有識別子はセル識別子より長い。端末がULグラントに対応するデータを送信すると、端末は競争解決タイマーを開始する。
【0059】
(4)第4メッセージの受信
【0060】
ランダムアクセス応答に含まれたULグラントを通じて自分の識別子を含むデータを送信した後、端末は競争解決のために基地局の命令を待つ。即ち、端末はPDCCHを受信して特定メッセージを受信しようとする(504)。PDCCHを受信するための2つの方法が論議されている。上述したように、端末識別子を用いて第3メッセージが上りリンクグラントに対応して送信される時、端末は自分のセル識別子を用いてPDCCHを受信しようとする。もし端末識別子が端末の固有識別子であると、端末はランダムアクセス応答に含まれた臨時セル識別子を使用してPDCCHを受信する。その後、第1方法では、競争解決タイマーが満了する前に、端末が自分のセル識別子によりPDCCHを受信すると、端末はランダムアクセスプロセスが正常に行われたと判断して該当ランダムアクセスプロセスを終了する。第2の方法では、端末が競争解決タイマーが満了する前に、臨時セル識別子によりPDCCHを受信すると、端末はPDSCHから送信されたデータを識別する。端末の固有識別子が該当データに含まれていると、端末はランダムアクセスプロセスが正常に行われたと判断して該当ランダムアクセスプロセスを終了する。
【0061】
優先順位が指定された各イベントに対する多数のRAP送信
【0062】
上述したように、従来技術では、UEは一時点でただ1つのRA手順のみを行う。従って、1つのRA手順の総時間を減らすか、又はRAR受信や競争解決に成功する機会を増やす方法がなかった。
【0063】
初期RRC接続設定及び上りリンクデータ送信に対して競争方式のRA(CBRA)が使用されることを考慮すると、例えば、RA開始目的又は上りリンクデータの優先順位によって、RA手順に成功する機会を増やす方法が必要である。
【0064】
優先順位が付与されたイベントに対するRA手順の完了確率を高めるために、次のように提案される:UEがRAPを開始する時、UEが優先順位が付与されたイベントによってRAPをトリガーすると、UEは少なくとも2つのRAP(Random Access Preamble)を並列に送信できる。より一般的には、RAPの数は優先順位が付けられたイベントの各々に対してネットワークにより設定されることができる。
【0065】
図6は本発明の一実施例による多数のRAPに対する設定情報の例を示す図である。
【0066】
まず、UEはネットワークから図6に示したような設定情報を受信する。この設定情報はRRCシグナリングであることができる。
【0067】
図6に示したように、設定情報は優先順位が付けられたイベント(例えば、第1優先順位イベント、第2優先順位イベントなど)の各々を含む。優先順位が付与された各イベントに対して、RAPの数を決定する(例えば、第1優先順位イベントの場合にX個、第2優先順位イベントの場合にY個)。
【0068】
このような設定情報に基づいて、RA手順が第1優先順位が付与されたイベントによりトリガーされる時、UEはX個のRAPを送信できる。同様に、RA手順が第2優先順位イベントによりトリガーされる時、UEはY個のRAPを送信できる。
【0069】
ここで、第1優先順位イベントは、UEがネットワークへのRRC(Radio Resource Control)連結を設定しようとする第1タイプのイベントである。同様に、第2優先順位イベントは、上りリンクデータが予め決定された優先順位を有する論理チャネルで送信のために利用可能になる第2タイプのイベントである。
【0070】
要するに、UEが優先順位化されたイベントによって競争基盤のランダムアクセス(CBRA)プロセスをトリガーする時、UEは少なくとも2つのRAPを送信するようにネットワークにより設定される。優先順位が付与されたイベントには、以下のようなイベントが含まれる。
【0071】
(1)UEはRRC接続を設定する。即ち、(i)UEがRRC CONNECTEDにない間に、例えば、RRC IDLEにある間に、UEはCBRA手順を開始する;又は(ii)上りリンクデータがCCCH論理チャネルにおける送信に利用可能になった時、UEはCBRA手順を開始する。
【0072】
(2)上りリンクデータが所定の優先順位、例えば、論理チャネル優先順位を有する論理チャネルにおいて送信に利用可能になる。ここで、所定の優先順位はネットワークにより構成されるか、又は1又は2のように該当規格で予め定義される。
【0073】
UEが優先順位化されたイベントによってCBRAを開始する時、ネットワークはUEについて、UEがどのくらい多いRAPを送信するかを設定することもできる。即ち、UEはCBRA手順をトリガーする優先順位化されたイベントによって異なる数のRAPを送信するように設定される。例えば、UEがRRC連結を設定するためにCBRAを開始した時、UEは3つのRAPを送信するように設定される反面、UEが論理チャネル優先順位1を有する論理チャネルからの上りリンクデータに基づいてCBRAを開始する時には、UEは2つのRAPを送信するように設定される。
【0074】
ビームスイーピングのための多数のRAP送信
【0075】
上述したように、NRシステムは100GHzまでの周波数帯域が使用可能でなければならない。高周波帯域の増加した経路損失を補償するために、ビーム形成に対する必要性が確認された。
【0076】
図7は、下りリンク共通チャネルに対して多数の狭幅のビームを使用することによる、カーバリッジに対する高周波の効果及び経路損失の補償を示す図である。
【0077】
より低い周波数帯域(例えば、現在のLTE帯域<6GHz)において、要求されるセルカーバリッジは下りリンク共通チャネルを送信するための広いセクタービームを形成することにより提供される。しかし、より高い周波数帯域(>6GHz)において広いセクタービームを使用すると、同じアンテナ利得でセルカーバリッジが減らす。従って、より高い周波数帯域で必要なセルカーバリッジを提供するためには、増加した経路損失を補償するためにより高いアンテナ利得が必要である。広いセクタービームに対するアンテナ利得を増加させるために、より多いアンテナアレイ(数十から数百までのアンテナ素子の数)が高利得のビーム形成に使用される。
【0078】
結果として、高利得のビームは広いセクタービームに比べて幅が狭いので、必要なセル領域をカバーするためには、下りリンク共通チャネルを送信するための多数のビームが必要である。NR BSが形成可能な同時かつ高利得のビームの数は用いられるトランシーバーアーキテクチャの費用及び複雑性により制限される。実際に、より高い周波数で、同時かつ高利得のビームの数は該当セル領域をカバーするために必要なビームの総数より少ない。言い換えれば、NR BSは任意の与えられた時間にビームのサブセットを使用することによりセル領域の一部のみをカバーできる。
【0079】
図8は本発明の一側面によるビームスイーピングの概念を示す図である。
【0080】
図8に示したように、NR基地局は任意の与えられた時間に異なるビームセットを活性化することにより時間領域でセルカーバリッジ領域をスイーピング(Sweeping)する必要がある。従って、NRの場合、いわゆるスイーピングサブフレームはビーム形成と共に、周期的に共通制御チャネルシグナリングのためのカーバリッジを提供するために導入される。スイーピングサブフレームはスイーピングブロック(SB)で構成され、ここで単一のブロックが活性の高利得のビームセットを使用してセルの特定領域をカバーする。スイーピングブロック当たり活性ビームの数とセル領域をカバーするために必要なビームの総数によって、図8に示したように、多数のスイーピングブロックが必要である。
【0081】
図8の活性ビームは情報を送受信するために使用されるので、スイーピングサブフレームは下りリンク又は上りリンクのスイーピングサブフレームと定義される。また、NR UEによるランダムアクセスプロセスを適切に支援するために、NR UEは多数のRAPを繰り返して全体カーバリッジをカバーする。
【0082】
本発明の一例において、UEは多数の時間ドメインユニット(例えば、SB)にかけて単一のランダムアクセスプロセスのためにどのくらい多いRAPが繰り返されるかに関する設定情報をネットワークから受信する。かかる設定情報に基づいて、UEは同一のランダムアクセスプロセスに対して多数のRAPを送信できる。
【0083】
従って、ビームスイーピング方式を支援することは、多数のRAP送信のためのさらなる要件である。
【0084】
多数のRAP送信のための詳しい手順
【0085】
図9は本発明の一実施例によりUEが単一のRA手順のために多数のRAPを送信する例を示す図である。
【0086】
UEは単一のランダムアクセスプロセスのためのN個のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信できる(S710)。この例において、Nは2であると仮定する。即ち、UEがRRC IDLEにいる間、UEがCBRAをトリガーする時、即ち、UEがRRC連結を行う時、UEは2つのRAPを送信するように設定される。UEは2つの異なるRAP、即ち、RAP1及びRAP2をランダムに選択できる。UEは各々の選択されたRAPに対してRAリソース、例えば、PRACHを含む次の利用可能なサブフレームを選択できる。UEは選択されたRAPを対応するRAリソース上で送信する。
【0087】
要するに、UEが優先順位が付与されたイベントによってCBRAを開始する時、UEは以下のようにRAPを送信することができる:
【0088】
-UEはCBRA手順をトリガーするイベントによって特定の数の異なるRAPをランダムに選択する;
【0089】
-UEはCBRA手順に対してRAPグループ内の特定の数の異なるRAPを選択する;
【0090】
-UEは選択されたRAPを送信するために、PRACHリソースを含む次の利用可能なサブフレームを決定する;
【0091】
UEは選択されたRAPを選択されたサブフレーム上で送信するが、ここで各サブフレームは各々の選択されたRAPに対応する。
【0092】
その後、UEは多数のランダムアクセス応答受信ウィンドウの各々の間にX個のランダムアクセスプリアンブルの各々に対応するランダムアクセス応答をモニタすることができる(S720)。図9において、RARウィンドウ1はRAP1のためのものであり、RARウィンドウ2はRAP2のためのものである。
【0093】
即ち、端末が一定の数のRAPを送信すると、端末はRAR受信のためにRA-RNTIにアドレスされたPDCCHを以下のようにモニタする。
【0094】
-UEはRA-RNTIの特定の数を計算し、ここで各々のRA-RNTIは送信されたRAPの各々に連関する;
【0095】
-UEは特定の数のRARウィンドウを管理するが、ここで、各々のRARウィンドウは送信されたRAPの各々に対するものである;
【0096】
-各々のRARウィンドウ内において、UEは該当RARウィンドウに対するRAPに連関するRA-RNTIにアドレスされたPDCCHをモニタする。
【0097】
例えば、UEが図9のように2つのRAP(RAP1及びRAP2)を送信する時、UEは2つの個別RARウィンドウ(RARウィンドウ1、RARウィンドウ2)を管理する。また、UEはRAR Window2でのみRAP2に該当するRA-RNTI2にアドレスされたPDCCHをモニタする反面、UEはRAR Window1でのみRAP1に該当するRA-RNTI1にアドレスされたPDCCHをモニタする。RARウィンドウ1とウィンドウ2の間の重なる期間内に、UEはRA-RNTI1又はRA-RNTI2にアドレスされたPDCCHをモニタする。
【0098】
複数のランダムアクセス応答受信ウィンドウのうち、最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで、どのようなランダムアクセス応答も成功的に受信されないと、UEは第1多数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功しなかったと判断する。言い換えれば、少なくとも1つのランダムアクセス応答が最後のランダムアクセス応答受信ウィンドウが終了するまで受信されると、UEは第1多数のランダムアクセスプリアンブルのランダムアクセス応答受信に成功したと見なして第3メッセージをネットワークに送信する。
【0099】
特に、RARウィンドウ1が終了し、UEがRAR1又はRAR2を受信しなくても、UEはこの時点で他のRAPを送信しない。その代わりに、UEはRAR2ウィンドウ2でRARを続けてモニタする。
【0100】
即ち、RARウィンドウが終わる時、UEは以下のように他の特定の数のRAPを再度送信することを決定する:
【0101】
-RARウィンドウが最後のRARウィンドウである場合、
【0102】
-UEがRARウィンドウ内で任意のRARを受信しないか又はUEが送信されたRAPのうちの1つと一致するRAPを含む任意のRARを受信しないと、
【0103】
-UEは特定の数の異なるRAPを再度ランダムに選択して上記のように選択されたRAPを送信する;
【0104】
-そうではなく、RARウィンドウが最後のRARウィンドウではない場合は、
【0105】
-UEがRARウィンドウ内で任意のRARを受信しないか又はUEが送信されたRAPのうちの1つと一致するRAPを含む任意のRARを受信しないと、
【0106】
-UEはまだ終了していない残りのRARウィンドウに対するRARのモニタリングを続ける。
【0107】
-UEは他の特定の数の異なるRAPを選択しない;
【0108】
ランダムアクセス応答受信に成功しなかったと最終的に決定されると、UEはランダムアクセスプロセスのための第2多数のランダムアクセスプリアンブルをネットワークに送信する(S730)。即ち、RARウィンドウ2が終了し、UEがRAR2を受信できないと、UEはRAR受信に失敗したと見なして2つのRAPをランダムに選択して選択したRAP3とRAP4を送信する。
【0109】
UEはRARウィンドウ3及びウィンドウ4の間にS720でのようにランダムアクセス応答をモニタすることができる(S740)。
【0110】
図10は本発明の一実施例によってUEが単一のRA手順のために多数のRAPを送信する他の例を示す。
【0111】
図10において、UEがRRC IDLEにいる間、UEがCBRAをトリガーする時、即ち、UEがRRC連結を行う時、UEは2つのRAPを送信するように設定される。その後、UEは2つの異なるRAP、即ち、RAP1及びRAP2をランダムに選択して、選択された各々のRAPに対してRAリソース、例えば、PRACHを含む次の利用可能なサブフレームを選択し、選択したRAPを対応するRAリソース上で送信する(S1010)。
【0112】
そうすると、端末はRARウィンドウ1とRARウィンドウ2を開始してRAR1とRAR1のモニタリングを開始する(S1020)。この例において、UEはRAR1及びRAR2を受信するが、ここでRAR1はT-C-RNTI1を含み、RAR2はT-C-RNTI2を含む。
【0113】
即ち、RARウィンドウ内において、UEが自分が送信したRAPのうちの1つであるRAPに該当するRARを受信した場合、UEはかかるCBRA手順に対してRAR受信に成功したと判断する。
【0114】
この場合、RARで受信された上りリンクグラントを用いて、端末はMsg3を送信する。また、この場合、UEは送信されたRAPに対するRARウィンドウが終了されなくても、送信されたRAPのうちの1つに一致するRAPを含むさらなるRARをモニタしないことができる。即ち、eNBが他のRAPに応答してRARを送信する時、UEはRARを受信しないか無視することができる。
【0115】
その代わりに、UEは多数のRARに基づいて多数のMsg3を送信することもできる。
【0116】
図10において、RAR1で上りリンクグラントを使用して端末はMsg3_1を送信し、RAR2で上りリンクグラントを使用して端末はMsg3_2を送信する(S1030)。ここで、UEは各々Msg3_1及びMsg3_2を送信する時、UEはmac-ContentionResolutionTimer1(M-CRT1)及びmac-ContentionResolutionTimer2(M-CRT2)を開始する。
【0117】
図10において、UEはT-C-RNTI2にアドレスされたPDCCHを介してMsg4を受信し、このCBRA手順が成功的に完了したと判断する(S1040)。その後、UEはMsg3_1及びMsg3_2の送信に使用された全てのHARQバッファーをフラッシュする;UEはそのC-RNTIをT-C-RNTI2として設定する;UEはM-CRT1及びM-CRT2を中止し、さらなるMsg4のモニタリングを中止する;UEはT-C-RNTI1及びT-C-RNTI2を廃棄する。
【0118】
即ち、UEがMsg3を送信すると、UEはMsg3に対する応答としてMsg4を以下のように受信する:
【0119】
-UEは競争解決のための多数のタイマー、即ち、mac-ContentionResolutionTimerを管理する。ここで、各タイマーは、各Msg3に対応する。即ち、UEはMsg3を送信する時、mac-ContentionResolutionTimerを開始する。UEが多数のMsg3を送信すると、UEは各々のMsg3に対してmac-ContentionResolutionTimerを開始する。
【0120】
mac-ContentionResolutionTimerが実行される間:
【0121】
-UEがUEに対するMsg4を受信すると、UEはCBRA手順が成功的に完了したと判断し;
【0122】
-UEはかかるCBRA手順が成功的に完了したと判断する;
【0123】
-UEはMsg3の送信に使用された全てのHARQバッファーをフラッシュする;
【0124】
-UEは必要時に自分のC-RNTIを、Msg4を受信するようにするT-C-RNTIに設定する;
【0125】
-UEは全てのmac-ContentionResolutionTimerを中止し、さらなるMsg4のモニタリングを中止する;
【0126】
-UEは全ての臨時C-RNTIを廃棄する。
【0127】
mac-ContentionResolutionTimerが終了する時、UEは以下のように他の特定の数のRAPを再度送信すると決定する:
【0128】
-mac-ContentionResolutionTimerウィンドウが最後のmac-ContentionResolutionTimerである場合、
【0129】
-UEがUEに対する任意のMsg4を受信しないと、
【0130】
-UEは競争解決に失敗したと判断して;
【0131】
-UEは特定の数の異なるRAPを再度ランダムに選択して上記のように選択されたRAPを送信する;
【0132】
-そうではなく、mac-ContentionResolutionTimerウィンドウが最後のmac-ContentionResolutionTimerではない場合、
【0133】
-UEがUEに対する任意のMsg4を受信しないと、
【0134】
-UEはまだ終了していない残りのmac-ContentionResolutionTimersに対するMsg4のモニタリングを続ける。
【0135】
-UEは他の特定の数の異なるRAPを選択しない;
【0136】
UEは以下のようにしてUEに対するMsg4を受信したと判断する:
【0137】
-UEがC-RNTI MAC CEを含むMsg3を送信した場合、UEが自分のC-RNTIにアドレスされたPDCCH及び新しい送信のためのULグラントを受信すると;
【0138】
-UEがCCCH SDUを含むMsg3を送信した場合、UEが自分の臨時C-RNTIにアドレスされたPDCCH送信を受信すると;
【0139】
例えば、preambleTransMaxを使用してUEがRAP送信の回数をカウントする場合、UEは特定の回数のRAP送信に対してカウンタを1ずつ増加させることができる。即ち、UEは、並行する特定の回数のRAP送信を1つのRAP送信として判断する。
【0140】
図11は、本発明の実施例に係る通信装置のブロック図である。
【0141】
図11に示した装置は、メカニズムを実施するように適応された端末(UE)及び/又はeNBであるが、これは同様の動作を行うどの装置であってもよい。
【0142】
図11に示したように、装置はDSP/マイクロプロセッサ110とRFモジュール(トランシーバー)135を備える。DSP/マイクロプロセッサ110はトランシーバー135と電気的に転結されて送受信器135を制御する。装置は、設計者の選択によって、さらに電力管理モジュール150、バッテリー155、ディスプレイ115、キーパッド120、SIMカード125、メモリ装置130、スピーカー145及び入力装置150を含む。
【0143】
特に、図11は、ネットワークから信号を受信するように構成された受信器135とネットワークへ信号を送信するように構成された送信器135を備えるUEを示している。これらの受信器と送信器はトランシーバー135を構成する。UEはさらにトランシーバー(受信器と送信器)135に転結されたプロセッサ110を備える。
【0144】
また、図11はUEに信号を送信するように構成された送信器135とUEから信号を受信するように構成された受信器135を備えるネットワーク装置を示している。これらの送信器と受信器はトランシーバー135を構成する。ネットワークはさらに送信器と受信器に転結されたプロセッサ110を備える。
【0145】
当該技術分野における当業者であれば、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更することができる。従って、添付する特許請求の範囲及びその等価的範囲内での本発明の変更と変化は本発明の範囲に属する。
【0146】
以上説明した実施例は、本発明の構成要素及び特徴を所定の形態として結合したものである。各構成要素または特徴は、別途の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮しなければならない。各構成要素または特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態として実施することもできる。また、一部の構成要素及び/または特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部構成や特徴は、他の実施例に含まれることもでき、または、他の実施例の対応する構成または特徴に取って代わることもできる。特許請求の範囲で明示的な引用関係を有しない請求項を結合して実施例を構成したり、出願後の補正によって新しい請求項として含めることもできることは自明である。
【0147】
本発明の実施例において、基地局によって行われると説明された特定動作は、基地局の上位ノードにより行われることもできる。即ち、基地局を含む多数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークで端末との通信のために行われる種々の動作は、基地局または基地局以外の他のネットワークノードによって行われることができる。この時、‘基地局'は‘固定局(fixed station)’、‘Node B’、‘BS(Base Station)’、‘アクセスポイント(access point)’、‘gNB’などの用語に代替可能である。
【0148】
上述した本発明の実施例は多様な手段、例えば、ハードウェア、ファームウエア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの組合せなどによって具現できる。
【0149】
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサなどによって具現できる。
【0150】
ファームウエア又はソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例による方法は以上で説明した機能又は動作を行う装置、過程又は関数などの形態に具現できる。ソフトウェアコードはメモリユニットに記憶され、プロセッサによって駆動されることができる。メモリユニットはプロセッサの内部又は外部に位置し、既に知られた多様な手段によってプロセッサとデータを取り交わすことができる。
【0151】
本発明は、本発明の特徴を逸脱しない範囲で他の特定の形態で具体化できるのは当業者には自明である。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解釈してはならず、例示的なものとして考慮しなければならない。本発明の範囲は、添付の請求項の合理的な解釈によって決定しなければならず、本発明の等価的範囲内での全ての変更は本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
上述した方法は、3GPPシステムに適用された例を中心として説明したが、本発明の3GPPシステム以外にも多様な移動通信システム、例えばIEEEシステムにも適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11