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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】地下換気口のための浸水防御
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20220329BHJP
   F24F 7/00 20210101ALI20220329BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20220329BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20220329BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
F24F13/06 Z
F24F7/00 C
F24F7/10 A
F24F13/068 A
F24F13/14 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019520957
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2017057629
(87)【国際公開番号】W WO2018075914
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】62/411,344
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514197968
【氏名又は名称】ウォーターズ,ルイス,エー,ジュニア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターズ,ルイス,エー,ジュニア
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/051352(WO,A1)
【文献】特表2016-539310(JP,A)
【文献】実開昭50-042544(JP,U)
【文献】特開平10-140592(JP,A)
【文献】特開昭53-135160(JP,A)
【文献】特表2011-510194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
F24F 7/00
F24F 7/10
F24F 13/068
F24F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下換気ダクトへの換気シャフトを通じて換気できるようにするとともに、洪水の恐れがある場合には地表水が前記地下換気ダクト内へと下方に流れ込むのを防止するよう動作可能な装置であって、前記地下換気ダクトは前記換気シャフトを通じて前記シャフトの大気開口と流体連通しており、当該装置は、
前記シャフト内に配置される支持体であって、該支持体は、該支持体を通じて前記換気ダクトが上方の前記大気開口と流体連通するために該支持体の上部開口と底部開口との間に通路を定義する、支持体と、
前記底部開口に近接して前記支持体内で前記支持体に接続されるとともに前記通路の妨げにならない1つ以上の止め具と
前記支持体内で枢動軸に取り付けられる1つ以上のパネルであって、該1つ以上のパネルは、各パネルが前記枢動軸の中心を越えて前記支持体内の内側に傾いた直立原位置に至るよう上昇させる人間の動作により上方に回転するよう構成されるとともに、各パネルを前記原位置から遠ざけるように前記枢動軸の中心点を越えて外方に動かす人間の動作により下方に回転して各該パネルが重力の推進によって下側通路閉鎖位置に回転して落下するように構成され、前記内側に傾いた直立原位置は前記通路の妨げにならず、前記下側通路閉鎖位置では前記1つ以上の止め具によりさらなる下方の回転が防止され、各前記パネルは、前記1つ以上のパネルが重力により回転されて前記通路閉鎖位置に至った場合に、2つ以上のパネルが前記通路を閉鎖するような形状を有する、1つ以上のパネルと、
を含む装置。
【請求項2】
パネルは前記通路の一方側に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記通路の対向する側に取り付けられる一対のパネルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
一対のパネルは、前記直立原位置から又は前記直立原位置へと互いに反対の方向にパネルが回転できるように前記通路の中心に取り付けられ、前記直立原位置から前記下側通路閉鎖位置に重力により回転して落下する際、前記通路の妨げにならない、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記支持体の内部の前記軸よりも高いところに取り付けられる可動部材をさらに含み、該可動部材は、前記1つ以上のパネルを前記枢動軸の中心を越えるように動かして前記1つ以上のパネルが重力により下方に回転して前記通路閉鎖位置に到るようにするために人間の動作により操作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記内側に傾いた直立原位置にある前記1つ以上のパネルは、前記支持体内で垂直部材に立てかけられる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記垂直部材は前記可動部材を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
妨げにならないように前記通路にわたって水平に架設されるとともに前記上部開口に近接して前記支持体の対向する側に接続される懸架部材を含み、前記可動部材は前記懸架部材の下で延在する、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記可動部材は、前記懸架部材の方に前記可動部材を引っ込めることにより前記1つ以上のパネルが押されて前記枢動軸の中心点を越えて、前記1つ以上のパネルが重力により下方に回転して前記通路閉鎖位置に至るようにするのに十分な横寸法を前記1つ以上のパネルの方向に有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記可動部材は、前記可動部材を水平に回転させることにより前記1つ以上のパネルが押されて前記枢動軸の中心点を越えて前記1つ以上のパネルが重力により下方に回転して前記通路閉鎖位置に至るようにするのに十分な横方向長さを有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記シャフトは垂直であり、前記大気開口は直線的であり、前記支持体は、前記換気ダクトと前記大気開口との間で前記シャフトの内部に嵌合する寸法の側壁を含む4面ボックスを含み、前記支持体は、前記支持体を前記シャフト内でつるすため前記シャフトの上部と重なるために前記側壁と直角なフランジをさらに含み、
任意で、前記側壁は、第1の曲率半径を有する丸い角部を有するベースを含み、前記パネルの遠位部は、前記側壁の角部の第1の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有する丸い角部を有し、それらは前記通路閉鎖位置に回転する場合にスイープし、
さらに任意で、前記パネルは前記通路閉鎖位置において前記通路を密閉するためのシールを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上のパネルは、前記支持体に支持されるとともに前記支持体内で水平に配置される少なくとも1つの前記枢動軸上でヒンジにより回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
固定部材と、可動部材と、該固定部材と該可動部材とを相互に接続するヒンジピンとを含む少なくとも1つのヒンジマウントを含み、該固定部材は前記支持体に接続され、前記1つ以上のパネルのそれぞれは近位部及び遠位部を有し、前記可動ヒンジ部材は前記1つ以上のパネルの近位部に取り付けられる、請求項4に記載の装置。
【請求項14】
妨げにならないように前記通路にわたって水平に架設されるとともに、前記底部開口に近接して前記支持体の対向する側の間で支持されるヒンジマウント取り付け部材と、妨げにならないように前記通路にわたって水平に架設されるとともに、前記上部開口に近接して前記支持体の対向する側の間に接続される懸架部材とを含み、該対向する側は、前記ヒンジマウント取り付け部材が間に架設される対向する側と同じであり、
任意で、前記ヒンジマウント取り付け部材を前記懸架部材に接続する複数のストラップを含み、
さらに任意で、前記パネルの少なくとも1つに開閉可能な排水管が設けられている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記パネルは、前記パネルを前記原位置に上昇させるために大気開口に面する面にハンドルを有する、請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2016年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/411344号の優先権を主張する。係る仮出願の開示は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当しない。
【0003】
本発明は、地下換気路に氾濫水が侵入するのを防止することに関する。
【背景技術】
【0004】
地下室又は地下トンネルを地表の空気に接続する換気ダクトを通じて地下トンネル及び地下室へと侵入し氾濫する地表の雨水は、限定されないが道路の車両、電車及び地下鉄のための地下輸送トンネルや、例えば、水力発電所などのために使用される接続トンネル及びシャフトの複合体と、あるいは、換気を必要とする、地下変圧室等の地下ユーティリティとに関連する地下室に影響を及ぼす。
【0005】
一般的な地下鉄の換気設備において、換気ダクト又はシャフトは、駅近くの地下鉄システムに組み込まれ、電車が駅に接近すると、淀んで押された空気を排出し、電車が駅を離れると、新鮮な外気を取り込む。また、移動する電車によってトンネルから高速で強制的に送られる空気の「ピストン効果」を低減させる。一般に、換気ダクトは、地下トンネルから連通するとともに、開口が地下鉄の格子によって覆われる歩道等の地上レベルにおける雰囲気に開かれた地上レベルの下の換気シャフト構造において終了する。
【0006】
地下鉄は、水に対処するためのシステムを有する。雨が降ると、階段の吹き抜けを流れて、プラットフォームに降下し、次いで線路へと流れ、一部は、地表の格子を通じて換気システムに入る。線路下の排水管は、地下鉄の線路の隣にあるポンプ室内の地下排水槽へと水をパイプで運ぶ。ポンプは、水を引き上げて路上の雰囲気へと開口する救済マンホール(relief manhole)を押圧し、そこから、重力下の排水が都市の雨水管へと流れ込む。問題は、豪雨の際、雨水管が圧倒され、水を道路へと流し戻し、道路が水で浸水すると歩道を水浸しにし、地下鉄の格子を介して、換気システム内、次いで、トンネルや線路にまで水が押し寄せてしまうことである。ポンプシステムは、浸水した道路に水を戻すことしかできず、そこから、換気システムへと流れ込む浸水プール(flood pool)に水が再度進入し、地下鉄の浸水を制御するポンプシステムを駄目にしてしまう。
【0007】
換気ダクトを通じて歩道の格子開口から地下システムに流れ落ちる水の侵入を低減させるための解決方法の1つとしては、2007年の豪雨による浸水以降、ニューヨーク市のマンハッタン、クィーンズ、ブルックリン等の一部の地域で行われたような、歩道レベルよりも上に地下鉄の換気格子を上げることであった。これは、導入するのに費用がかかるだけでなく、歩行者に利用可能の空いている歩道エリアの大部分を犠牲にしてしまう。高潮による洪水も問題である。低地にあるニューヨークやマンハッタン南端部等のような街では洪水の問題は特に深刻であり、高潮に対して脆弱で地上レベルの格子、吹き抜けの階段及び地下鉄内へと流れ込む水の入口の他のポイントが点在している。2013年のスーパーストームサンディ以前は、地下鉄の浸水の前兆となる大雨に加えて、高潮や満潮が予報されると、作業員らは土嚢に頼り、ベニヤ板を付けて地下鉄の換気格子を覆い、浸水を防ごうとした。サンディは、地下鉄の浸水危険性に対する証拠となり、地下の構造物に換気口がつけられた。サンディによる地下鉄の浸水から明らかになったことであるが、解決策として、ベニヤ板を付けて短時間で多くの換気口の格子を覆うことは、十分な作業ではなく、集約的な物資があまりに少なくて手遅れとなる可能性がある。歩道の換気口の格子を介した浸水を防ぐ、より簡単で、迅速で、低コストで、より効果的な方法が求められている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一対のパネルを用いる本発明のパネル装置の例示の実施形態の等角図であり、パネルが下降位置にある状態を示す。
図2図2は、パネルのための支持体に設置された本発明のパネル装置の例示の実施形態の等角図であり、パネルが下降換気路閉鎖位置に展開された状態を示す。
図3図3は、図2の支持体から取り外された本発明のパネル装置の例示の実施形態の側面図であり、上昇位置にある状態を示す。
図4図4は、図1図2及び図3のパネル装置が取り外された状態の図2の実施形態の等角図である。
図5A図5A図4の上面図である。
図5B図5B図4の側面図である。
図6図6は本発明のパネル装置の例示の実施形態の分解斜視図である。
図7図7は、図6の実施形態の断面図である。
図8図8は、本発明のパネルが1つの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によれば、格子状の開口部で覆われた換気シャフトを通じて地下トンネルの通常通りの換気を可能にしつつ、上陸が予測される沖合のハリケーン等の深刻な暴風事象又は悪名高い2013年のスーパーストームサンディの時のような上陸が予測される熱帯性暴風雨の事前警告がある(「洪水の脅威」)場合に、格子を通じて地表水が流れ込むことに起因する地下の洪水を防止するために、能動的な人間の介入により手動で操作可能な装置を提供する。本願に記載のそのような装置の例示的な実施形態で具現化された概念は、換気を必要とする地下室、トンネル又は他の地下構造のための換気ダクトと連通する大気開口部を有するが、該開口部を通じて豪雨によって又はハリケーン若しくは熱帯暴風雨によってもたらされる高潮によって又はその他のものによって生じる大量の水が進入し得る任意のシステムに適用される。
【0010】
以下の本発明の例示の実施形態の説明では添付の図面を参照する。添付の図面は本願の一部を構成するとともに、本発明が実施される特定の実施形態を一例として示す。図面は例示の実施形態の要素の構成を表すため本質的に概念を示すものであり、係る要素は必ずしも縮尺通りではない。本願で開示する特定の詳細は、全ての場合において本発明の概念が実施される具体的な方法を表す非限定の実施形態である。それは、それらの概念と一致する実質的に任意の適切で詳細なシステム、構造又は方法において本発明を用いることを当業者に教える役割を果たすものである。説明する特定の実施形態及びそれらの実施形態の詳細に様々な変更及び改変が本発明の範囲内で行われ得ることが分かる。何故なら、本願で説明する発明の概念の範囲内で且つ本願で詳述する特定の実施形態において多くの様々な異なる実施形態とすることができるため、本願における詳細な説明は限定的としてではなく例示として解釈すべきである。
【0011】
本願で説明する換気ダクトへの浸水を防ぐための概念の適用を説明するために、特定の換気環境を参照しながら実施概念を説明する。例示の用途は地下鉄システムのためのものである。一例として本願で説明する特定の実施形態において、洪水による水が進入する大気開口の形状は矩形であるものとする。地下鉄の換気システムのための歩道の格子状の平面開口に関しては、少なくともニューヨーク市において通常矩形である。特定の実施形態の説明は矩形に関し且つ特定の環境についてのものであるが、本発明は開口が矩形であること又は本発明の実施形態が矩形に合致すること又は大気開口がグレードレベルにある必要はない。本発明の要素は任意の換気シャフト開口の下方に垂直に突出する寸法内にフィットするように構成されている、矩形、円形、楕円形又は他の形状の地下トンネル、地下室、地下の根や又は他の地下構造の。
【0012】
実施態様の詳細な記載において使用される「上方(upper)」、「下方(lower)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、「横断(transverse)」、「直交(perpendicular)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「外向き」、「内向き」などのような様々な方向は、図面と共により容易な説明に関してのみ行われる。本発明の概念を具現化する本明細書中に詳細される例示的な実施態様と同じ機能を遂行し、かつ、同じ結果を達成しながら、構成要素を異なる方向に向けることができ、そのような用語は、実施態様が例示する概念を限定するものとして理解されてはならない。例えば、「直交(perpendicular)」という用語は、もし直角が、直交として記載された要素の配置及び機能に物質的に悪影響を及ぼさないというわけではない場合の程度を参照すると、実質的に直角にあることを意味する。用語「垂直(vertical)」及び「垂直に(vertically)」は、文字通りの垂直を含むが、これらに限定されず、垂直として記載された要素の機能に物質的な悪影響を及ぼさないというわけではない場合の程度に、地平線に対して上下に配向することを概略的に意味する。同様に、用語「水平(horizontal)」又は「水平な(horizontally)」は、文字通りの水平を含むがこれに限定されず、水平として記載される要素の機能に物質的な悪影響を及ぼす程度に、地平線に対するレベルを越えないことを概略的に意味する。
【0013】
本明細書中で使用されように、特許請求の範囲及び/又は明細書中の「含む(comprising)」(又は同義語の「有する(having)」若しくは「包含する(including)」)という用語と共に使用されるときの語「a」又は「an」の使用は、「1つ(one)」を意味することができるが、それは「1つより多く(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ又は1つよりも多く(one or more than one)」の意味とも一致する。また、本明細書中で使用されるように、表現「~に接続された(connected to)」は、直接的か、あるいは、中間構成要素を介して接合されるか、あるいは、連通して配置されることを意味する。
【0014】
本願で説明する例示の実施形態は、通常格子の下にある換気シャフト内に嵌合する組立体を含む。例示の実施形態において、支持体は換気シャフト内に配置され、支持体の上部開口及び底部開口の間に、支持体を通じて換気ダクトと上方のシャフトの大気開口との流体連通のための通路を定義する。1つ以上のパネルのそれぞれは、支持体における枢動軸に取り付けられ、(a)各パネルを枢動軸の中心点を越えるように上昇させて支持体における内側に傾いた直立原位置(upright inwardly leaning home position)にする人間の動作により各パネルは上方に回転される。原位置は支持体の上部開口と底部開口の間の通路の妨げにならず、通常時と同じように換気できる。洪水の脅威がある場合は、(b)各パネルを内側に傾いた直立原位置から遠ざかるよう枢動軸の中心点を越えて外方に動かす人間の動作により各パネルは下方に回転され、各パネルが重力の推進によって回転して下側通路閉鎖位置に落下する。下側通路閉鎖位置では支持体の底部開口に近接して支持体内にあり且つ支持体に接続される1つ以上の止め具によってさらなる下方への回転が防止される。各パネルは、各パネルが重力により回転して通路閉鎖位置に至った場合に、1つのパネルは単独で又は2つ以上のパネルは共同で通路を閉じて、地下トンネル又は地下室に至る換気ダクトに水が入るのを防止する形状を有する。本願では場合によって1つ以上のパネルの内側に傾いた直立原位置を「中央を越えた」位置(over-the-center position)とも呼ぶ。
【0015】
例示の実施形態では、1つのパネルがそのような通路の一方側の原位置に取り付けられ、通路全体にわたって単独で原位置から通路閉鎖位置に重力により落下して地下換気ダクトを洪水から守る。別の例示の実施形態では、一対のパネルが通路の対向する側に取り付けられ、原位置から互いの方に重力により落下して通路閉鎖位置に至り、組み合わされて通路を閉鎖する。さらに別の例示の実施形態では、一対のパネルは原位置から下側通路閉鎖位置へと互いに反対方向に回転するために通路内の中心に取り付けられる。一対のパネルの利点は、1つの背の高いパネルが閉じることができる通路よりも幅広の通路を閉鎖するのに用いられ得ることである。
【0016】
本発明の例示の実施形態が嵌合し得る通気シャフトは垂直でなくてもよく、そのため支持体の通路の向きは垂直でなく、パネルが自重の下により重力回転して支持体における底部開口を閉じる位置に至るよう水平に対してある程度傾斜し得る。ほとんどの場合、本発明の例示の実施形態の支持体が嵌合されるシャフトは垂直であるが、その場合、パネルの回転軸は水平である。
【0017】
本発明の例示の実施形態では、支持体は立体骨組(space frame)であり得る。立体骨組を用いる本発明の例示の実施形態では、立体骨組は、シャフト内で支持体を懸架するのためにシャフトの壁の上部を越えて延在するように構成されたフランジを含む。
【0018】
本発明の別の例示の実施形態では、支持体は、換気ダクトと大気開口の間でシャフトと内部的に並ぶサイズを有するライナ壁である。ライナ壁を用いる本発明の例示の実施形態では、ライナ壁はライナ壁に対して直角に(transverse to)シャフトの壁の上部の越えて延在するフランジを有するフレームからシャフト内で支持される。
【0019】
直線的な大気開口を有する垂直な換気シャフトに適用するための例示の実施形態において、装置の支持体は、換気ダクトと大気開口との間の垂直なシャフト内に嵌合するサイズの側壁を含む4面ボックス(four-sided box)を含み得る。そのような支持体は、側壁に対して直角であるとともに係るシャフト内で支持体ボックスを保持するため垂直なシャフトの上部に重ねるためのフランジを有する。例示のボックスの実施形態では、互いに隣接する側壁は第1の曲率半径を有する丸い角部を有するベースを含み、支持された回転可能なパネルの遠位部は側壁の角部の第1の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有する丸い角部を有し、それらは通路閉鎖位置に回転する場合にスイープ(sweep)する。例示の実施形態では、パネルは、パネルが通路閉鎖位置にある場合に通路を密封するためのシールを含む。
【0020】
例示の実施形態では、パネルは、支持体により支持されるとともに支持体内で水平に配置される少なくとも1つの軸に回転可能に取り付けられる1つ以上のヒンジマウントに取り付けられる。一実施形態では、マウントは、装置支持体に接続される固定部材と、可動部材と、固定部材と可動部材とを相互接続するヒンジピンとを含む少なくとも1つのヒンジ部材を含む。例示の実施形態では、支持体はヒンジマウント取り付け部材を含み得る。ヒンジマウント取り付け部材は、妨げにならないように(unobstructively)支持体通路にわたって水平に架設されて、底部開口に近接する対向する側に接続され、固定部材はヒンジ支持部材に接続され得る。各パネルは近位部及び遠位部を有し、各可動ヒンジ部材は各パネルの近位部に取り付けられる。妨げにならないようにとは、ヒンジ取り付け部材が通路を通る空気の動きをブロックしないことを意味する。
【0021】
例示の実施形態では、支持体通路にわたって梁が妨げにならないように水平に架設され、上部開口に近接する支持体の対向する側に接続される。妨げにならないようにとは、空気が通路を通るのを梁が妨げないことを意味する。一実施形態では、そのような対向する側は、ヒンジマウント取り付け部材が架設される側と同じであり、梁及びヒンジマウント取り付け部材は通路の中心にある。一実施形態では、複数のストラップはヒンジ取り付け部材を梁に接続する。
【0022】
前記通路にわたって梁が妨げにならないように水平に架設される上述の実施形態において、開口の上の格子により覆われる大気開口を通じて歩行者に偶然に見えることがないようにパネルの中央を越えた直立原位置は、パネルを梁の下に押し込む。パネルは梁から懸架される垂直部材に対して内側に傾き得る。各パネルが通路閉鎖位置へと下方に回転することは、各パネルを中央を越えた原位置から遠ざけて枢動軸の中心を過ぎた位置に動かし、重力の下でパネルを落下させるための人間の能動的な介入によるものである。中心を越えた原位置から遠ざかるパネルの動きは、パネルを押すか又は引くために格子を通じて工具を挿入することにより実現され得る。代替的な例示の実施形態では、可動部材は枢動軸よりも高いところで支持体の内部に取り付けられ、1つ以上のパネルが枢動軸の中心を越えるよう動かして1つ以上のパネルが重力により下方に回転して通路閉鎖位置に至るように人の動作により操作される。例示の一実施形態では、パネルが立てかけられる垂直部材は可動部材を含み得る。例示の実施形態では、可動部材は梁内で垂直に摺動可能であり、パネルの方向に横寸法を有する。横寸法の深さは、梁の方へと垂直に引っ込める際に、1つ以上のパネルが押されて枢動軸の中間点を越えて移動するのに十分な深さである。別の例示の実施形態では、可動部材は水平方向への回転のために梁内に取り付けられる。可動部材は、回転の際に1つ以上のパネルが押されて枢動軸の中心点を越えて移動し、1つ以上のパネルが重力により下方に回転して通路閉鎖位置に至るようにできる十分な横方向の長さを有する。
【0023】
以下の例示の実施形態の説明では、通路閉鎖位置は1つのパネル又は複数のパネルが水平になる位置である。本発明の概念はこの構成に限定されない。パネルが下がるのを止めるための止め具は、水平の上で下方への移動を止めるために配置され、依然として換気通路を閉鎖する。説明する実施形態は、本発明の概念が実施され得る例の説明に過ぎない。
【0024】
とりわけ図1図8を参照して、これらの図面は、換気シャフトを通じて該シャフトの直線的な大気開口と流体連通する地下換気ダクト内へと地表水が下方に流れ込むのを防止するための装置の例示の実施形態を示す。先ず、図1図5Bを参照して、例示の実施形態の装置は側壁224(224a、224b、224c、224d)を含む4面ボックスの形態で実施される支持体を含む。側壁224の最上方には、側壁224に対して直角なフランジ220(220a、220b、220c、220d)を有する。フランジ220は、換気シャフトの壁の上部の上を延在してボックス210を通じて換気ダクトが上部開口226にある大気開口と流体連通するためにボックス210の上部開口226と底部開口228との間に通路225を定義するためにシャフト内で垂直に懸架するためのものである。U字状の通路又はブラケット211a、211cは対向する側壁224a及び224cの上側にそれぞれ形成されている。図示の装置は、それを換気シャフト内へと下げてシャフトの壁に置くことにより雨水からベント通路を密封するためのドロップイン解決法(drop in solution)として好適である。定位置にある場合、格子(図1図7では図示せず)は上部開口226を覆う。通常の動作では、オペレータは格子を通じてボックス210の内部にアクセスする。
【0025】
本願で説明する例示の実施形態は4面ボックスの支持体を用いるが、一部の場所では、中空状の筒の形状の支持体を用いることができる。そのような支持体も支持体の底部開口に近接して止め具230を有し、この形態は本発明の範囲内で理解される。
【0026】
様々な形で図4図7で最も分かり易く示すように、ボックス210内のコーナーブレースの形の止め具230a、230b、230c及び230dは底部開口228に近接する側壁224内にあるとともに側壁224に接続され、通路225の妨げにならない。隣接する側壁は、止め具230a、230bの上に丸い角部227a、227dを有するベース227を含む。ベース227と、止め具230b、230cの上に丸い角部229b、229cを有するベース229とを含む。丸い角部227a、227d及び丸い角部229b、229cは丸い角部の曲率半径を有する。
【0027】
図1図3及び図6図8を色々と参照して、梁242は、妨げにならないように通路225にわたって水平に架設されるとともに上部開口226に近接するボックス210の対向する側壁224a、224cに接続される押し出しチューブを含む。梁242’はU字状ブラケット211a、211cに組み込まれ、梁折り畳みハンドル212a、212cを保持するオペレータによってブラケット211a、211c内へと便利に下げられる。下記のストラップ244及び梁242は、下記の器具のための懸架部材を含む。梁242及びそれに取り付けられる器具は、フランジ220に置かれた換気シャフト内にボックス210が設置された後で完全なユニット201として所定の場所に下げることができる。ユニット201はハンドル212a、212cを用いてブラケット211a、211cから梁242を引き抜く(withdraw)ことによりメンテナンスのためにボックス210から取り外すことができる。
【0028】
説明した実施形態は、下記の器具を支持するための梁242及びストラップ244を含む懸架部材を用いるが、本発明の範囲はそのような実施形態に限定されない。梁242及びストラップ244以外の懸架部材を用いてもよく、例えば、懸架部材は垂直で中実又は有窓(fenestrated)の板であり得る。説明した梁242及びストラップ244の実施形態の利点は軽量であり、中実の板よりもフランジ220に与える負荷が少ない点であるが、有窓の板はコストがより高くなる可能性があるものの負荷が少ないという利点をもたらし得る。
【0029】
図1図3及び図6図8をとりわけ参照して、ヒンジ取り付け部材245は複数のストラップ244a、244b、244c、244dにより梁142に接続された通路225にわたって妨げにならないように水平に架設される。梁242及び側壁224a、224cの間で架設されるヒンジ取り付け部材245はU字状のブラケット211a及び211cに組み込まれ、ボックス210の通路225の中心に位置するとともに、梁242がヒンジ取り付け部材245の上に直接位置する。
【0030】
ヒンジ取り付け部材245は複数のヒンジ部材243を取り付けるとともに支持する。各ヒンジ部材243は固定部材243bと、可動部材243aと、固定部材243bと可動部材243Aとを相互に接続するヒンジピン243cとを含む。固定部材243bはヒンジ取り付け部材245に接続される。
【0031】
一対の対向するパネル234、236はそれぞれ近位部234a、遠位部234b及び近位部236a、遠位部236bをそれぞれ有し、可動ヒンジ部材243aにより近位部234a、236aで固定ヒンジ部材243bに、ひいてはヒンジ取り付け部材245に接続され、ヒンジ取り付け部材245からストラップ244a、244b、244c、244dを通じて梁242に接続されている。ヒンジピン243c上でのパネル234、236の近位部234a、236aへの可動ヒンジ部材243aの接続は、パネル234、236の垂直回転のためにパネル234、236の枢動軸をそれぞれ形成する。パネル234、236は、梁234の下で直立原位置から又は直立原位置へと互いに反対方向に回転する。上方へのパネルの回転(一方は時計回りに、他方は反時計回りに回転)は、各パネルを上昇させる人間の動作により手動で実行される。そのため、パネル234、236が枢動軸の中心点の上を、本実施形態ではヒンジピン243cの中心点の上を通過して内側に傾き中央を越えた直立原位置に至る図1図3及び図6図8に図示の例示の実施形態において、パネルは、梁242を通じて通路内で垂直に摺動可能及び/又は横方向に回転可能に取り付けられたロッド246により懸架された可動ボックス240に立てかけられ、任意でカバー253により遮蔽されたTハンドル252内で梁242を終端する。図6は部分断面斜視図であり、断面は、ボックス240がストラップ244cの前にあるように見えるようにした観察者側のロッド246の断面である。可動ボックス240はパネルに対向する前後横寸法又は深さを有し得る。そのような寸法又は深さは、ボックス240を梁242の方に引っ込めるためにTハンドル252を持ち上げる際に、パネル234、236の遠位端234b、236bがパネル234、236のための各ヒンジの枢動軸243cの中心点を越えて外方に移動するように押してパネル234、236を重力により下方に回転させて止め具230に至らせて通路225を閉じるのに十分なものである。あるいは、可動ボックス240は横寸法又は長さを有し得る。横寸法又は長さは、パネル234、236の遠位端234b、236bがパネル234、236のための各ヒンジの枢動軸243cの中心点を越えて外方に移動するように押してパネル234、236を重力により下方に回転させて止め具230に至らせて通路225を閉じるのに十分なものである。あるいは、ボックス240、ロッド246及びTハンドル252がない状態では、パネル234、236の遠位端234b、236bがパネル234、236のための各ヒンジの枢動軸243cの中心点を越えて外方に動かすのに十分なようにパネルをストラップ244から十分離れるように押すか又は引くために梁にある開口を通じて上から工具が梁内に挿入され、重力によりパネル234、236を下方に回転させて止め具230に至らせて通路225を閉じる。
【0032】
各パネルは、パネルが重力により回転されて通路閉鎖位置に至った場合に通路を閉じる形状を有する。パネルの遠位部は丸い角部219を有する。丸い角部219は側壁の角部229a、229b、229c及び229dの曲率半径と実質的同じ曲率半径を有し、通路閉鎖位置に回転された場合にそれらはスイープする。パネルは、通路閉鎖位置で通路を密封するために周囲に遠位シール221及び側方シール222を含む。シール221a、222aはパネル234のためのものであり、シール221b、222bはパネル236のためのものである。ガスケットシール223(パネル234のためのシール223a、パネル236のためのシール223b)は、ピン243の下でパネル234、236の近位端にわたって架設され、パネルが通路閉鎖位置にある場合にパネル234、236の近位端で底部開口228を密封する。
【0033】
パネル234、236はパネルを手動で原位置213に上昇させるための構造を備える。各パネル234、236はヒンジ部材243のピン243cの枢動軸から離れた上側にハンドル259、259’を有し、パネル234、236の近位端が接続されるオペレータはフック工具等の工具を用いボックス210の上の格子を通じて挿入してハンドル259、259’を掴みパネル234、236を上昇させることができる。
【0034】
パネルのうちの少なくとも一方、例えば図7図8に示すようにパネル236は、パネルの近位端と遠位端との間の中間に排水管270が装着されている。
【0035】
図2図4A図5A及び図6に示すように、ボックス支持体210は、対向する側壁224a、224cに隣接する1つの側壁224dに1つの標識285を有し、対向する側壁224bに2つの標識286、287を有する。標識は標識の下に特定の構造が位置することを示すために表記されている。表記された標識285、286、287の目的は、標識のラベルにより示される構造を見つけて操作するために作業者に対して支持体210を覆う格子を通じてリーチツールをどこに挿入すべきかを伝えるためのものである。
【0036】
本発明の概念を包含する実施形態の例示的な例を説明してきたが、当業者であれば、これらの実施形態によって導かれて、これらの概念を利用することができるだろう。そして、当業者であれば、それでもなお、本明細書中に開示された概念を利用し、かつ、以下の特許請求の範囲に主張されるような本発明の範囲内にある、代替的な変更形を形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8