(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】煉瓦およびブロック構造用コンピュータ支援設計、ならびに建物を建築するための機械を制御するソフトウェア
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20220329BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20220329BHJP
E04B 2/02 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
E04B2/02 ESW
(21)【出願番号】P 2019523147
(86)(22)【出願日】2017-07-17
(86)【国際出願番号】 AU2017050738
(87)【国際公開番号】W WO2018009985
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-13
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519014855
【氏名又は名称】ファストブリック・アイピー・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ピバック,マーク
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/011734(WO,A1)
【文献】特表2009-521630(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02565003(EP,A1)
【文献】ZAKI,Tarek Mohamed,PARAMETRIC MODELING OF BLOCKWALL ASSEMBLIES FOR AUTOMATED GENERATION OF SHOPDRAWINGS AND DETAILED ESTIMATES USING BIM,THE AMERICAN UNIVERSITY IN CAIRO,SCOOL OF SCIENCES AND ENGINEERING,THE AMERICAN UNIVERSITY IN CAIRO,2016年05月31日,pp.1-3,40-47,53-68,82-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
E04B 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煉瓦構造を設計するためのコンピュータ支援設計ソフトウェアであって、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、ユーザが建築計画データを入力することを可能にするユーザ・インターフェースを有し、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記建築計画データから、所定の既知の壁長寸法を有する壁の縮尺平面図を表すデータを生成し、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記壁の高さに相応する長さの仮想押
出を生成し、
前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、原点に対する各煉瓦の三次元における位置および方位を識別し、壁交差における煉瓦の敷き詰めおよび煉瓦のネスティングを決定し、所定の最小切断煉瓦長を考慮して、壁長の要求寸法に合わせるために長さ調整される個々の煉瓦についての切断長データを決定することによって、前記壁に対して煉瓦毎の配置データを決定し、
前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、煉瓦配置データベースをコンパイルし、前記煉瓦配置データベースが、煉瓦の種類、各煉瓦の前記原点に対する三次元における位置および方位、ならびに長さ調整されると特定された煉瓦毎の切断長データを含
み、
前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、各煉瓦を敷く順序を決定するように構成され、前記煉瓦配置データベースにおいて、前記煉瓦敷設順序を識別するために、各煉瓦に割り当てられるインデックス番号を作成する、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項2】
請求項1記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアであって、1つ以上のユーザ選択可能な設定値を収容する第1表を有し、根幹煉瓦の種類およびサイズ・パラメータを格納し、壁に対して選択することを可能にする、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項3】
請求項1または2記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記建築計画データが、外壁および内壁の縮尺平面図を表す、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、フーティング・データおよび/またはコンクリート・パッド・データを生成し、前記データが、前記フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの原点に対する寸法、位置、および方位、前記外壁の底面と随意に内壁の底面との間における相対的高さオフセット、ならびに内壁の異なるセクション間における相対的高さオフセットを含み、随意に、前記パッドを形成するために必要とされるコンクリートの分量を決定する、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記押出における空隙および/または開口についての位置決めデータのユーザ入力および格納を可能にし、前記空隙および/または開口が、前記完成した建物に嵌め込まれるドアおよび窓の高さおよび幅に相応する寸法である、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記外壁および前記内壁における配管、電気およびICT(情報および通信技術)、音響および映像配線、ならびに接続点の内少なくとも1つについての施工位置決めデータのユーザ入力および格納を可能にし、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、施工を遂
行するための前記壁内における溝についての位置決めデータ、および前記壁における前記接続点のための陥凹についての位置決めデータを生成し、前記コンピュータ支援設計ソフトアウェアが、前記溝および陥凹の位置決めデータにしたがって個々の煉瓦に加工する陥凹および空洞の位置についての加工データを生成し、前記加工データを前記煉瓦配置データベースに格納する、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、各煉瓦上の基準位置が、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の全ての寸法の重心であり、刳り抜きされた切り欠きや陥凹を全く考慮しない、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項8】
請求項4から
7のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記外壁の底面と前記内壁の底面との間における相対的な高さのオフセットを、前記外側段および内側段の第1煉瓦段に対する異なる高さ値において反映することができる、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、隣接する煉瓦間における異なる間隔、および隣接する煉瓦間における接着剤またはモルタルの厚さが考慮され、隣接煉瓦間隔Aおよび煉瓦基礎間隔Bが煉瓦配置データベースに格納される、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、
a.切断煉瓦に対して、前記設計ソフトウェアが、前記切断の座標を前記データベースにエクスポートする、
b.刳り抜きされた煉瓦に対して、前記設計ソフトウェアが、刳り抜
きの座標を前記データベースにエクスポートする、
のうちの少なくとも一方である、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて、前記設計ソフトウェアの煉瓦配置データベースが、煉瓦毎に切り詰め値または切り詰め値アレイを格納する少なくとも1つの切り詰めデータ・フィールドを含む、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項12】
請求項6から
11のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアであって、1つ以上の建築計画に関連するデータを前記データ集合の形態で格納する第1ライブラリを有し、1つ以上の既定の部屋に関連するデータを格納する第2ライブラリをオプションとして有し、複数のドアおよび窓に関連するデータを格納する第3ライブラリであって、前記データが、選択されたドアまたは窓に基づいて前記位置データを決定するときに使用される根幹項目についてのデータに対応する、第3ライブラリを更にオプションとして有する、コンピュータ支援設計ソフトウェア。
【請求項13】
煉瓦構造の建物またはその他の構造体を建築するために煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアであって、前記制御ソフトウェアが、
請求項1から12のいずれか1項記載のコンピュータ支援設計ソフトウェアによってコンパイルされた煉瓦配置データベースにアクセスし、前記制御ソフトウェアが、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって、各前記煉瓦を切断し、更に随意に加工するように前記機械を制御し、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって各前記煉瓦を配置するように前記機械を制御する、制御ソフトウェア。
【請求項14】
請求項
13に記載の制御ソフトウェアにおいて、前記制御ソフトウェアが、各煉瓦を敷く順序を決定し、煉瓦敷設順を識別するために、各煉瓦に割り当てられるインデックス番号を作成し、前記インデックス番号を前記煉瓦配置データベースに入力する、制御ソフトウェア。
【請求項15】
構造物の建築方法であって、利用しようとする煉瓦のサイズを決定するステップと、所定の既知の壁長寸法を用いて、壁の縮尺平面図を作成するステップと、前記壁に対して、煉瓦毎の配置データを決定するステップであって、各煉瓦の三次元における位置および方位の識別と、壁長の要求寸法に合わせるために長さ調整される各々の煉瓦の三次元における位置および方位の識別とを含み、更に、各煉瓦を敷く順序を決定し、このデータを煉瓦配置データベースに格納するステップと、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定し、前記煉瓦配置データにしたがって各煉瓦が配置される少なくとも1つの位置について、フーティングの高さを記録し、煉瓦毎に少なくとも前記1つの位置に対して、煉瓦の少なくとも第1段に対して最低地点から最高地点までの前記フーティングの高さの差を決定し、前記煉瓦毎に前記少なくとも1つの位置に対する切り詰め値または切り詰め値アレイの形態で、最低地点からの差を切り詰めデータとして格納し、前記差が、少なくとも第1段が、敷かれたときに、その上面が平坦となるように、各煉瓦の水平面から加工する量と対応し、前記切り詰めデータが前記煉瓦配置データと共に格納される、ステップと、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を切断し、各前記煉瓦を1つずつ運送し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を配置するステップとを含む、構造物の建築方法。
【請求項16】
請求項
15に記載の方法において、前記建物または構造物が、要求高さに完成するまで、1段ずつ建築されてもよい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、建設工業に関し、特に、煉瓦およびブロック構造の建物の設計に関する。本発明は、建物を設計し、続いてソフトウェアによってコンパイルされたデータからそれらの建築を実行するコンピュータ・ソフトウェア・ソリューションを提供する。
【0002】
[0002] 本明細書全体を通じて、文脈上別段の解釈が必要でない限り、「備える」(comprise)という用語、または「三人称の備える」(comprises)または「備えている」(comprising)というような変形は、指定される整数(stated integer)または整数の一群の包含を暗示するが、任意の他の整数または整数の一群の除外を暗示するのではないと理解されるものとする。
【0003】
[0003] 本明細書において、「煉瓦」(brick)という用語は、煉瓦およびブロックのような、建物または壁等の建設の間に設置される(place)任意の建築要素を包含することを意図している。ブロックは、煉瓦工事に組み込まれるまぐさを形成することができるプレハブ梁(prefabricated beam)を包含することができる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明によれば、煉瓦構造を設計するためのコンピュータ支援設計ソフトウェアを提供する。前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、ユーザが建築計画データを入力することを可能にするユーザ・インターフェースを有し、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記建築計画データから、所定の既知の壁長寸法を有する壁の縮尺平面図を表すデータを生成し、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、前記壁の高さに相応する長さの仮想押出(extrusion)を生成する。
【0005】
前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、前記壁に対して、煉瓦毎の配置データを決定する。これは、原点に対する各煉瓦の三次元における位置および方位を識別すること、壁交差における煉瓦の敷き詰め(stepping)および煉瓦のネスティング(nesting)を決定すること、ならびに所定の最小切断煉瓦長を考慮して、壁長の要求寸法に合わせるために、長さ調整される(cut to length)個々の煉瓦についての切断長データを決定することを含む。
【0006】
前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、煉瓦配置データベースをコンパイルし、前記煉瓦配置データベースは、煉瓦の種類、各煉瓦の前記原点に対する三次元における位置および方位、ならびに長さ調整されるとして特定された煉瓦毎の切断長データを含む。
【0007】
[0005] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアが、根幹煉瓦(stock brick)の種類およびサイズ・パラメータを格納し、壁に対して選択することを可能にする、1つ以上のユーザ選択可能な設定値を収容する第1表を有する。これは、外壁および内壁についての根幹煉瓦の種類ならびにサイズ・パラメータを、これらが異なる場合には、含んでもよい。
【0008】
[0006] 好ましくは、前記建築計画データは、外壁および任意の内壁の縮尺平面図を表す。
[0007] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、フーティング・データおよび/またはコンクリート・パッド・データを生成し、前記データが、前記フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの原点に対する寸法、位置、および方位、前記外壁の底面と随意に内壁の底面との間における相対的高さオフセット、ならびに内壁の異なるセクション間における相対的高さオフセットを含む。随意に、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、パッドを形成するために必要とされるコンクリートの分量を決定する。
【0009】
[0008] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、前記押出における空隙および/または開口についての位置決めデータのユーザ入力および格納を可能にする。前記空隙および/または開口は、完成した建物に嵌め込まれるドアおよび窓の高さおよび幅に相応する寸法である。壁長の要求寸法に合わせるために、長さ調整される個々の煉瓦についての切断長データの決定のステップは、空隙および開口に隣接する壁セグメント長を含む。長さ調整されるとして識別された個々の煉瓦についての切断長データは、前記煉瓦配置データベースに格納される。
【0010】
[0009] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、前記外壁および前記内壁における配管、電気およびICT(情報および通信技術)、ならびに音響および映像配線、および接続点の内少なくとも1つについての施工位置決めデータ(services positioning data)のユーザ入力および格納を可能にする。前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、施工を遂行(carry)するための前記壁内における溝についての位置決めデータ、および前記壁における前記接続点のための陥凹についての位置決めデータを生成する。前記コンピュータ支援設計ソフトアウェアは、前記溝および陥凹の位置決めデータにしたがって個々の煉瓦に加工する陥凹および空洞の位置についての加工データを生成し、前記加工データを前記煉瓦配置データベースに格納する。
【0011】
[0010] 尚、傾斜屋根や天井、および/または床面高さもしくは天井の高さの変更に対応するために、壁の高さは建物全体にわたって変化してもよく、したがって内壁および外壁の壁の高さは均一である必要はないことは注記してしかるべきである。
【0012】
[0011] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、各煉瓦を敷く順序を決定し、前記煉瓦配置データベースにおいて、前記煉瓦敷設順序を識別するために、各煉瓦に割り当てられるインデックス番号を作成する。この順序は、フーティングおよび/またはパッド上の第1段において開始し、次いで、1段ずつ上に向かう。
【0013】
[0012] 全てのユーザ入力は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを経由してもよい。
[0013] 各煉瓦についての位置および方位データは、その最も簡単な形態では、各煉瓦内または上の位置を基準とする、前記原点に対するxおよびy水平方向寸法、z垂直方向寸法、ならびに磁気的北または他の方向に対する角度Φを含む。原点は、パッドの外周の外側、内側(in)、または内部の建物部位(building site)上の位置であってもよい。他の方位データは、煉瓦が平坦以外の方位で敷かれなければならない場合における、ピッチ角およびロール角を含んでもよい。各煉瓦上の基準位置は、好ましくは、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の重心または水平エリアの中心であるが、簡略化のために、刳り抜きされた(routed)切り欠きや陥凹を全く考慮しない。
【0014】
[0014] 最も好ましくは、各煉瓦上の基準位置は、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の全ての寸法の重心であるが、簡略化のために、刳り抜きされた切り欠きや陥凹を全く考慮しない。煉瓦が長さ調整される(短く切られる)場合、重心位置が変化するのは明らかである。
【0015】
[0015] 外壁の底面と内壁の底面との間の相対的高さオフセットは、外段(external course)および内段(internal course)の煉瓦の第1段に対する異なるz値において反映されることがある。外段および内段の煉瓦の第1段に対するz値の差は、フーティングおよび/またはコンクリート・パッド構成を決定する防湿層構造の種類によって生ずる。
【0016】
[0016] コンピュータ支援設計ソフトウェアは、隣接する煉瓦間の異なる間隔、および隣接する煉瓦間の接着剤またはモルタルの厚みを考慮し対処する(allow for)ことができる。これが発生する場合、隣接する煉瓦間隔Aおよび煉瓦基礎間隔(brick base spacing)Bに対する値を、煉瓦配置データベースに格納する。これらの間隔は、全域的設定値、または各煉瓦と共に格納される個々の設定値であってもよい。このように、要求煉瓦間隔Bが出せる(provide)ように、要求される分量の接着材またはモルタルを煉瓦の下面に分与し、更に要求隣接煉瓦間隔Aが出せるように煉瓦の側面または端面に分与する。A値に対する典型的な全域的設定値は、10mmまでとすることができるが、通例では、6mmであってもよく、B値に対しては0mmであってもよい。構造用接着材が使用される場合、B値は0になる。何故なら、構造用接着材は、煉瓦が配置されると圧縮されるからである。段において最初に敷かれるものを除いて、各煉瓦は、A値およびA位置データが考慮されている。A位置データは、A値を実際に得るためには、煉瓦上のどこに接着材を塗布すればよいか特定する。
【0017】
[0017] 本発明の方法では、各煉瓦には、空間内の位置(少なくともx、y、z、およびΦ値)に関する属性、更には各煉瓦が元の形状か、切断されたか、またはそれ以外で加工されたかに関する属性が割り当てられ、切断または加工された場合、前記煉瓦上の前記位置を基準として煉瓦から切除される材料の分量の位置を定める数式が割り当てられる。
【0018】
[0018] 煉瓦が切断または刳り抜き(rout)される場合、設計ソフトウェアは煉瓦の3Dモデル(通例では3D DXFファイルであるが、IGESまたはSTLあるいはその他の3Dファイルも可能である)をエクスポートし、次いで後に、3Dモデルを煉瓦の3Dスキャンと比較する品質管理システム(QCシステム)によって使用される。3Dモデルのファイル名は、煉瓦配置データベースにおいて参照することができる。煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアでは、加工された煉瓦の3Dスキャンを、それが加工された時点において、または後に煉瓦が敷かれる直前に、または双方において行うことができる。後に、変化百分率に基づいて、制御ソフトウェアにおいてQCシステムによって、実行または中止の判断を行うことができる。これによって、煉瓦が要求通りに処理され、加工(刳り抜きまたは切断)中に1つ以上の破片を飛び散らさなかったことを確認する。
【0019】
[0019] 切断または刳り抜きされた煉瓦について、設計ソフトウェアは切断または刳り抜きの座標をエクスポートする。ソフトウェアの他のルーチンが、これらの座標および処理型式を取り込み、その特定の切断のためにルータまたは鋸をプログラミングするGコード・データを作成する。Gコード・データは、その煉瓦についての煉瓦配置表データにおいて、煉瓦配置データベースにおけるGコード・データ・フィールドとして関連付けられる。
【0020】
[0020] モルタルまたは接着材の厚みに差がある場合、各煉瓦にはB値も割り当れられてもよく、殆どの煉瓦は1つのA値およびA位置データを有し、非常に小数の煉瓦が2つのA値と、各A値に対するA位置データを有する。
【0021】
[0021] 好ましくは、設計ソフトウェアの煉瓦配置データベースは、煉瓦毎に切り詰め値(trim value)または切り詰め値アレイを格納するために、少なくとも1つの切り詰めデータ・フィールドを含む。
【0022】
[0022] 切り詰めデータ・フィールドは、各煉瓦が前記煉瓦配置データベースにしたがって配置されることになっている、少なくとも1つの位置について表面の高さを表す値を、煉瓦毎に格納することができる。このデータから、各煉瓦の底面から加工される材料の量を決定することができる。この切り詰めデータは、測量位置に配置されたスキャナから受けることができ、スキャナは、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定する。
【0023】
[0023] このデータは、煉瓦が敷かれる表面の別個のスキャンに基づいて、設計段階において埋められ(fill)、その後制御ソフトウェアに伝達するために煉瓦配置データベースにインポートされてもよい。制御ソフトウェアは、煉瓦配置データベースにおいて具体化された計画にしたがって、煉瓦構造の建物またはその他の構造物を建築するように、煉瓦敷設機械を制御する。
【0024】
[0024] 代わりに、このデータは、煉瓦が敷かれる表面のスキャンに基づいて、建設段階の間に、煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアとインターフェースされている測量機器によって埋められてもよく、制御ソフトウェアは切り詰めデータ・フィールドを埋める。
【0025】
[0025] 切り詰めデータ・フィールドは、煉瓦が配置される基礎面が測量機器によってスキャンされることを可能にし、測量機器は、独立して動作させても、または自動化煉瓦敷設機械と関連付けてもよい。したがって、煉瓦配置データベースは命令型変数を含んでもよい。煉瓦の基礎エリアをスキャンする必要があり、基礎面に合わせる(suit)ために煉瓦を切り詰める(trim)必要があるかもしれないことを、自動化煉瓦敷設機械に通知する。次いで、自動化煉瓦敷設機械と関連付けられた測量機器は、基礎面をスキャンし、煉瓦が敷かれたときに、この煉瓦の上面が正しいZ高さにあり、平坦となるように、煉瓦から除去される材料の量を決定する。これは、コンクリート打ち込みおよび仕上げプロセスからの製造ばらつきを受ける可能性があるスラブまたはフーティングが基礎面となる煉瓦の第1段に対して行われてもよく、そして通常行われている。煉瓦高さ(Z寸法)の許容範囲が広いことが分かっている場合、特定の数の段が敷設された後に、基礎面をスキャンすることが必要になることもある。
【0026】
[0026] 煉瓦敷設プロセスの間または直前に機械によってスラブをスキャンする代案として、随意に、基礎面データまたはスラブ・データを、以前に取得したスラブのスキャンから得て、設計ソフトウェアにインポートすることもできる。これは、既存のスラブまたはフーティングのような、既存の測量データまたはスキャン・データを有することもある、既知の以前の表面上に壁が建てられようとする場合、あるいは橋梁上の壁または高速道路の防音壁のような高速道路上の壁というように、土木工事において壁が建てられようとする場合には、特に有用である。次いで、表型式ファイルにおいて、煉瓦の第1段の各々に対する切り詰め面または切り詰め値を各第1段煉瓦と関連付ける。切り詰め面は、随意に、切り詰め値または切り詰め値の格子アレイとして、あるいはSTLまたはIGESのような既知のCADデータ交換フォーマットによって、点群(point cloud)、ツールパス・ファイル(toolpath file)、例えば、Gコードとして定められてもよい。Gコード・ファイルは、煉瓦を切り詰めるために自動化煉瓦敷設機械(機械におけるルータまたは鋸)によって実行することができる。
【0027】
[0027] その結果、構造全体を煉瓦の種類およびデータ集合としての属性によって定めることができる。このデータ集合は、アクセス可能なデータベースとして、または表型式で供給されてもよく、煉瓦が敷かれる順序で煉瓦データを列挙する。データ集合は、切り詰め面ファイル、または加工作業(machining operation)のためのGコード・ファイルのような、参照用(by reference)追加ファイルを含んでもよい。
【0028】
[0028] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、1つ以上の建築計画に関連するデータを前記データ集合の形態で格納する第1ライブラリを有する。
[0029] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、1つ以上の既定の部屋に関連するデータを格納する第2ライブラリを有し、前記既定の部屋は、少なくとも1つの台所、少なくとも1つの浴室、および随意に他の部屋から選択され、各前記少なくとも1つの台所は、流し、調理器具、および冷蔵庫のために割り当てられた空間を含み、各前記少なくとも1つの浴室は、手洗い、ビデ、水洗便所、浴槽、シャワー、および洗面器(hand basin)、または装身具の内少なくとも1つのために割り当てられた空間を含み、前記GUIを使用して、前記規定の部屋を前記縮尺平面図と融合してもよい。
【0029】
[0030] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、複数のドアおよび窓に関連するデータを格納する第3ライブラリを有し、選択されたドアまたは窓に基づいて前記位置データを決定するときに使用される根幹項目(stock item)についてのデータに対応する。
【0030】
[0031] 好ましくは、前記コンピュータ支援設計ソフトウェアは、建築される構造の壁を、煉瓦積みの交差間に延びるセグメントとして扱い、各セグメントが、煉瓦済みの交差と窓およびドア開口縁との間に延びる段セグメント (course segment)を有し、任意の前記段セグメントが長さsを有し、ここで、
s=n×(b+A)+r+A+p×e+p×A+q×f+q×A-A
ここで、AはA値または間隙(gap)、
bは根幹煉瓦長、
eおよびfは煉瓦壁交差における終端重複であり、
pは、1(eが交差壁において煉瓦の幅に等しいことを示す)または0(隣接する)を取ることができ、
qは、1(fが交差壁において煉瓦の幅に等しいことを示す)または0(隣接する)を取ることができ、
rは、0または0.2b以上、好ましくは、0.25bになることができる残余であり、これが真である場合、1つの煉瓦が、段セグメントを埋める(complete)ために、長さrに切断され、
rが0.2b未満、好ましくは、0.25b未満である場合、
s=(n-1)×(b+A)+2r+2A+p×e+p×A+p×f+q×A-A
ここで、rは、n-1個の煉瓦を有する段セグメント内に収まり(locate within)、これを埋めるために、2つの煉瓦を切断する長さである。
【0031】
[0032] 好ましい敷き詰めを達成するために、好ましくは、前記段セグメントが長さrの2つの煉瓦を含む場合、直接上に位置する段セグメントが、長さrの2つの煉瓦間にある目地を中心に等しく延びる、長さrの1つの煉瓦を含み、2つの煉瓦がc=(b+r)/2の長さに切断され、前記目地の両側に配置され、根幹煉瓦長bの煉瓦が、cの長さに切断された前記2つの煉瓦の内少なくとも1つから離れるように連続する。段セグメント長は、以下の式、
s=(n-2)×(b+A)+r+A+2(c+A)+p×e+p×A+p×f+q×A-A
によって記述することができる。
【0032】
[0033] また、本発明によれば、煉瓦構造の建物またはその他の構造体を建築するために煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアを提供する。前記制御ソフトウェアは、前述のようなコンピュータ支援設計ソフトウェアによってコンパイルされた煉瓦配置データベースにアクセスし、前記制御ソフトウェアが、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって、各前記煉瓦を切断および随意に加工するように、前記機械を制御し、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、各前記煉瓦に接着材を塗布し、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって配置するように前記機械を制御する。
【0033】
[0034] また、本発明によれば、煉瓦構造の建物またはその他の構造体を建築するために煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアを提供する。前記制御ソフトウェアは、煉瓦配置データベースにアクセスする。前記煉瓦配置データベースは、煉瓦の種類と、各煉瓦の原点に対する三次元における位置および方位と、長さ調整されるとして特定された煉瓦毎の切断長データと、煉瓦毎の加工データとを含む。前記加工データは、煉瓦毎に切り詰め値または切り詰め値アレイを含み、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定するために測量位置に配置されたスキャナから受けるデータから得られる切り詰めデータである。前記制御ソフトウェアは、煉瓦の段毎に、最も低い地点から最も高い地点までの、煉瓦毎に表面範囲の高さの差を補正し、前記切り詰めデータから、煉瓦の各段が、敷かれたときに、その上面が平坦になるように、各煉瓦の水平面から加工する量を決定する。前記制御ソフトウェアは、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって、各前記煉瓦を切断および加工するように、前記機械を制御し、前記制御ソフトウェアは、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって各前記煉瓦を配置するように、前記機械を制御する。
【0034】
[0035] また、本発明によれば、煉瓦構造の建物またはその他の構造体を建築するために煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアを提供する。前記制御ソフトウェアは、煉瓦配置データベースにアクセスし、前記煉瓦配置データベースは、煉瓦の種類と、各煉瓦の原点に対する三次元における位置および方位と、長さ調整されるとして特定された煉瓦毎の切断長データと、煉瓦毎の加工データとを含む。前記制御ソフトウェアは、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定するために測量位置に配置されたスキャナからデータを受信するスキャナ・インターフェースを含み、煉瓦毎に、前記煉瓦配置データベースにしたがって各煉瓦が配置される少なくとも1つの位置について、前記表面の高さを格納する。前記制御ソフトウェアは、前記測量位置および前記原点の位置決めにおける差を補正し、煉瓦毎に前記少なくとも1つの位置に対して、煉瓦の段毎に最も低い地点から最も高い地点までの、表面の高さの差を判定し、前記煉瓦配置データベースに、前記差を、前記煉瓦毎の切り詰め値または切り詰め値アレイの形態で切り詰めデータとして格納する。前記差は、煉瓦の各段の上面が、敷かれたときに、平坦になるように、各煉瓦の水平面から加工される量に対応する。前記制御ソフトウェアは、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって各前記煉瓦を切断および加工するように、前記機械を制御し、前記制御ソフトウェアは、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データベースに格納されているデータにしたがって各前記煉瓦を配置するように、前記機械を制御する。
【0035】
[0036] 煉瓦が敷かれる表面範囲は、煉瓦で建物が建設されるフーティングおよび/またはコンクリート・パッド、あるいは煉瓦の段が敷かれる構造物の上面を含んでもよい。
[0037] 好ましくは、煉瓦配置データベースをコンパイルしたコンピュータ支援設計ソフトウェアがそうしたのではない場合、前記制御ソフトウェアは、各煉瓦が敷かれる順序を決定し、煉瓦敷設順序を識別するために、各煉瓦に割り当てられるインデックス番号を作成し、インデックス番号を煉瓦配置データベースに入力する。
【0036】
[0038] 好ましくは、前記制御ソフトウェアは、各々、前記煉瓦敷設機械内において一意の操作デバイスを識別する操作識別子のライブラリを含み、前記制御ソフトウェアは、個々の煉瓦を識別し、個々の煉瓦を特定の時点において特定の操作デバイスと関連付ける操作表を生成し、ときの経過と共に、個々の煉瓦が操作デバイスから操作デバイスに進むに連れて前記操作表を更新する。
【0037】
[0039] 操作デバイスは、一団の煉瓦からの煉瓦を、煉瓦敷設および接着材塗布ヘッドに搭載されている煉瓦敷設グリッパに運搬する、プログラマブル煉瓦操作装置を含むことができる。プログラマブル煉瓦操作装置は、個々の煉瓦の列(row)をパレットから取り出す搬出ロボット・ハンドラ(dehacking robotic handler)と、各々グリッパを有し、個々の煉瓦を搬出ロボット・ハンドラと煉瓦敷設グリッパとの間で、随意に、予めプログラミングされた少なくとも1つの煉瓦加工ツールによって操作する一連のデバイスとを含んでもよい。煉瓦が張り出し支柱(boom)に沿って搬出される(move out)場合、各々グリッパを有する複数のシャトルがあってもよく、個々の煉瓦はシャトル間で受け渡される。プログラマブル煉瓦操作装置間におけるこれらの転送は全て、操作表に記録されるので、操作表は、どの煉瓦がどこでそしていつ加工されるか(which brick is where and when)についての記録を提供する。
【0038】
[0040] その結果、何らかの理由で、煉瓦敷設機械を何らかの理由で一時停止しなければならない場合、それを再開させることができ、正しい煉瓦が正しい位置に敷かれる。
[0041] 更に、何らかの理由で、加工(切断または刳り抜き(routing))処理の間に煉瓦が破損した場合、加工ツールにおいてそれを廃棄することができ、供給チェーンにおいて破損煉瓦よりも前の煉瓦に煉瓦識別番号を割り当て直すことによって、操作表を更新することができる。
【0039】
[0042] 個々のレンガが煉瓦敷設グリッパにもっと近い位置に到達するまで損傷が判定されない場合、前記操作デバイスに沿って既に移動中の任意の前記煉瓦が、前記煉瓦配置データベースに加工データを含まない場合、供給チェーンにおいて破損煉瓦よりも前の煉瓦に煉瓦識別番号を割り当て直すことによって、前記操作表を更新することができる。
【0040】
[0043] しかしながら、個々のレンガが順に敷設されているために、前記操作デバイスに沿って既に移動中の任意の前記レンガが、前記煉瓦配置データベースに加工データを含む場合、制御ソフトウェアが煉瓦敷設機械を逆に運転して、前記操作デバイスに沿って移動中にある煉瓦の中に前記加工データが関連付けられたものがなくなるまで、煉瓦を積み上げ直して、それらの再積み上げ位置を格納することが必要となり、煉瓦がなくなった時点で、前記煉瓦配置データベースにしたがって、前記パレットから交換用煉瓦を取り出し処理する(process)ことができる。その後、任意の積み直した煉瓦を順に拾い上げ、次いで、予めプログラミングされた通りに、動作を継続する。
【0041】
[0044] 好ましくは、前記制御ソフトウェアは、 前記原点の位置と前記測量位置との差に基づいて、前記煉瓦配置データベースに記録されている各煉瓦について、前記原点に対する補正xyz位置および方位データを計算し、前記煉瓦敷設機械を制御するときに使用するために、前記測量位置に対する補正xyz位置および方位データを記録する。
【0042】
[0045] 制御ソフトウェアによってこのように制御され、煉瓦敷設機械は、建物または構造物を、1段ずつ、要求された高さに完成するまで、建築することができる。煉瓦の各段の第1段は、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの相対的高さを測定するスキャンからのデータにしたがって、敷かれた煉瓦の前記第1段の上面が平坦になるように、必要に応じてそれらの高さを減らすように加工することができる。その後、連続する段は、各段を平坦に保つために、加工によってそれらの高さを調節される必要はなくなるはずである。煉瓦の高さの許容範囲が広い場合、段の上面をスキャンしてもよく、煉瓦の後続段における煉瓦の底面を、煉瓦のその段の上面が平坦になるように、切り詰めてもよい。
【0043】
[0046] 好ましくは、局在化するフーティングまたはパッド高過剰を補償するために前記機械が前記煉瓦を加工することができるように、前記切り詰めデータは、前記煉瓦毎に、複数の位置についての切り詰め値アレイとして測定および格納される。フーティングまたはパッドの平坦性に対して一層の注意が払われる場合、前記煉瓦毎に4、3、2、または1つの位置についてでも切り詰め値を測定し格納すれば十分である。理想的な状況では、スラブまたはフーティングは十分に精度が高いので、全ての煉瓦についての切り詰めデータは0であり、加工は不要である。しかしながら、実際には、スラブまたはフーティングを敷設するときにより多くの費用を掛けたのでなないならば、スラブまたはフーティングの高さにばらつきが生ずるであろう。
【0044】
[0047] 煉瓦配置データベースは、煉瓦毎に位置および方位データを収容し、その最も簡単な形態では、各煉瓦内または上の位置を基準とする、前記原点に対するxおよびy水平方向寸法、z垂直方向寸法、ならびに磁気的北または他の方向に対する角度Φを含む。原点は、パッドの外周の外側、またはパッドの外周内部にある建物現場上の点であってもよい。他の方位データは、煉瓦が平坦以外の方位で敷かれる場合における、ピッチ角およびロール角を含んでもよい。各煉瓦上の基準位置は、好ましくは、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の重心または水平エリアの中心であるが、簡略化のために、刳り抜きされた切り欠きや陥凹を全く考慮しない。最も好ましくは、各煉瓦上の基準位置は、好ましくは、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の全ての寸法の重心であるが、簡略化のために、刳り抜きされた切り欠きや陥凹を全く考慮しない。煉瓦が長さ調整される(短く切られる)場合、重心は変化する。
【0045】
[0048] 外壁の底面と内壁の底面との間の相対的高さオフセットは、外段および内段の煉瓦の第1段に対する異なるz値において反映されることがある。外段および内段の煉瓦の第1段に対するz値の差は、コンクリート・パッド構成を決定する防湿層構造の種類によって生ずる。
【0046】
[0049] 切り詰めデータは、煉瓦毎に調節されたz値として表されてもよく、加工がフーティングまたはパッドにおいて局在化する波打ちを調節するためである場合、複合加工データを提供するために、煉瓦毎に別個のxおよびy値に結び付けられた複数のz値を含んでもよい。
【0047】
[0050] 制御ソフトウェアは、隣接する煉瓦間の異なる間隔、および隣接する煉瓦間の接着剤またはモルタルの厚みを考慮し対処する(allow for)ことができる。これが発生する場合、隣接する煉瓦間隔Aおよび煉瓦基礎間隔(brick base spacing)Bに対する値を、各煉瓦と共に、煉瓦配置データベースに格納する。制御ソフトウェアは、機械における接着材またはモルタル塗布装置とインターフェースして、要求煉瓦間隔Bが出せる(provide)ように、要求される分量の接着材またはモルタルを煉瓦の下面に分与し、更に要求隣接煉瓦間隔Aが出せるように煉瓦の側面または端面に分与するように、アプリケータを制御する。段において最初に敷かれるものを除いて、各煉瓦は、A値と、A値を実際に得るためには、煉瓦上のどこに接着材を塗布すればよいか特定するA位置データとを有する。
【0048】
[0051] 本発明の方法により、各ブロックには、空間内の位置(少なくともx、y、z、およびΦ値)に関する属性、更には各煉瓦が元の形状か、切断されたか、またはそれ以外で加工されたかに関する属性が割り当てられ、切断または加工された場合、前記煉瓦内または前記煉瓦上の前記位置を基準として煉瓦から切除される材料の分量の位置を定める数式が割り当てられる。モルタルまたは接着材の厚みに差がある場合、各煉瓦にはB値も割り当れられてもよく、殆どの煉瓦は1つのA値およびA位置データを有し、非常に小数の煉瓦が2つのA値と、各A値に対するA位置値とを有する。
【0049】
[0052] その結果、構造全体を煉瓦の種類およびデータ集合としての属性によって定めることができる。このデータ集合は、アクセス可能なデータベースの形態で、または表型式で供給されてもよく、煉瓦が敷かれる順序で煉瓦データを列挙する。
【0050】
[0053] 尚、この説明ではデータベースに言及したが、この機能は、1つ以上のデータ表によって実行されてもよく、このような表は、互いに相互参照する複数の表によって形成されてもよいことは注記してしかるべきである。
【0051】
[0054] また、本発明によれば、 煉瓦から構造物を建築する方法も提供する。この方法は、利用しようとする煉瓦のサイズを決定するステップと、所定の既知の壁長寸法を用いて、壁の縮尺平面図を作成するステップと、前記壁に対して、煉瓦毎の配置データを決定するステップであって、各煉瓦の三次元における位置および方位の識別と、壁長の要求寸法に合わせるために長さ調整される個々の煉瓦の三次元における位置および方位の識別とを含み、更に、各煉瓦を敷く順序を決定し、このデータを煉瓦配置データベースに格納するステップと、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定し、前記煉瓦配置データにしたがって各煉瓦が配置される少なくとも1つの位置について、フーティングの高さを記録し、煉瓦毎に少なくとも前記1つの位置に対して、煉瓦の少なくとも第1段に対して最低地点から最高地点までのフーティングの高さの差を決定し、前記煉瓦毎に前記少なくとも1つの位置に対する切り詰め値または切り詰め値アレイの形態で、最低地点からの差を切り詰めデータとして格納し、この差が、少なくとも第1段の上面が、敷かれたときに、平坦となるように、各煉瓦の水平面から加工する量と対応し、切り詰めデータが前記煉瓦配置データと共に格納される、ステップと、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を切断し、各前記煉瓦を1つずつ運送し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を配置するステップとを含む。
【0052】
[0055] また、本発明によれば、 建物またはその他の構造物の建築方法も提供する。この方法は、外壁に利用される煉瓦のサイズ、および内壁に利用される煉瓦のサイズを決定するステップと、所定の既知の壁長寸法を用いて、外壁および内壁の縮尺平面図を作成し、フーティングおよび/またはコンクリート・パッド・データを決定し、コンクリート・パッド・データが、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの寸法と、前記外壁の底面と前記内壁の底面との間、および内壁の異なるセクション間における相対的な高さオフセットとを含み、随意に、前記パッドを形成するために要するコンクリートの分量を決定するステップと、前記フーティングおよび/またはパッドから前記壁の上面までの、前記壁の構成を計画するステップであって、嵌め込まれるドアおよび窓の高さおよび幅と、前記外壁および前記内壁における配管、電気およびICT、ならびに音響および映像配線、更に接続点の施工のための溝および陥凹(チェージング)についての位置決めデータとに相応する寸法の空隙の位置決定を含む、ステップと、前記外壁および前記内壁について煉瓦毎の配置データを決定し、この決定が、前記フーティングおよび/またはコンクリート・パッドに対する各煉瓦の三次元における位置および方位の識別と、壁長、空隙サイズ、および開口サイズの要求寸法に合わせるために長さ調整される個々の煉瓦の三次元における位置の識別とを含み、前記溝および陥凹の位置決めデータにしたがって個々の煉瓦に加工される陥凹および空洞(cavities)の位置に対する加工データを生成し、各煉瓦を敷く順序を決定し、このデータを煉瓦配置データベースに格納するステップと、煉瓦が敷かれる表面範囲の相対的表面高さを測定し、前述のように煉瓦配置データにしたがって各煉瓦が配置される少なくとも1つの位置に対して、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの高さを記録し、煉瓦毎に前記少なくとも1つの位置に対して、煉瓦の少なくとも第1段に対する最低地点から最高地点までのパッドの高さの差を決定し、最低地点からの差を、切り詰めデータとして、切り詰め値または切り詰め値アレイの形態で、前記煉瓦毎に前記少なくとも1つの位置に対して格納し、この差が、少なくとも第1段の上面が、敷かれたときに、平坦となるように、各煉瓦の水平面から加工される量に対応し、切り詰めデータが前記煉瓦配置データと共に格納される、ステップと、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を切断および加工し、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、接着材を塗布し、前記煉瓦配置データにしたがって各前記煉瓦を配置するステップとを含む。
【0053】
[0056] 煉瓦が敷かれる表面範囲は、煉瓦で建物が建設されるフーティングおよび/またはコンクリート・パッド、あるいは煉瓦が敷かれる構造物の上面であってもよい。
[0057] 建物または構造物は、1段ずつ、要求された高さに完成するまで、建築することができる。煉瓦の各段の第1段は、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの相対的表面高さを測定するスキャンからのデータにしたがって、前記第1段の上面が平坦になるように、必要に応じてそれらの高さを減らすように加工される。その後、煉瓦サイズ許容範囲が非常に狭く、建設の間に完成した段の上面の再スキャンが必要になるのでなければ、連続する段は、各段を平坦に保つために、加工によってそれらの高さを調節される必要はなくなるはずである。
【0054】
[0058] 好ましくは、局在化するフーティングまたはパッド高の過剰を補償するために各前記煉瓦が加工されるように、前記切り詰めデータが、前記煉瓦毎に、複数の位置についての切り詰め値アレイとして測定および格納される。フーティングまたはパッドの平坦性に対して一層の注意が払われる場合、前記煉瓦毎に4、3、2、または1つの位置についてでも切り詰め値を測定し格納すれば十分である。
【0055】
[0059] 煉瓦毎の位置および方位データは、その最も簡単な形態では、各煉瓦上の位置を基準とする、基準点に対するxおよびy水平寸法、z垂直寸法、ならびに磁気的北または他の方向に対する角度Φを含む。基準点は、パッドの外周の外側、またはパッドの外周内部にある建物現場上の点であってもよい。他の方位データは、煉瓦が平坦以外の方位で敷かれる場合における、ピッチ角およびロール角を含んでもよい。各煉瓦上の基準位置は、最も好ましくは、長さ調整されたまたは完全体の、各煉瓦の全ての寸法の重心または水平エリアの中心であるが、簡略化のために、刳り抜きされた(routed)切り欠きや陥凹を全く考慮しない。
【0056】
[0060] 外壁の底面と内壁の底面との間の相対的高さオフセットは、外段(external course)および内段(internal course)の煉瓦の第1段に対する異なるz値において反映されることがある。外段および内段の煉瓦の第1段に対するz値の差は、コンクリート・パッド構成を決定する防湿層構造の種類によって生ずる。
【0057】
[0061] 本方法は、隣接する煉瓦間の異なる間隔、および隣接する煉瓦間の接着剤またはモルタルの厚みを考慮し対処する(allow for)ことができる。これが発生する場合、隣接する煉瓦間隔Aおよび煉瓦基礎間隔(brick base spacing)Bに対する値を、各煉瓦と共に格納するので、要求煉瓦間隔Bが出せる(provide)ように、要求される分量の接着材またはモルタルを煉瓦の下面に分与することができ、更に要求隣接煉瓦間隔Aが出せるように煉瓦の側面または端面に分与することができる。段において最初に敷かれるものを除いて、各煉瓦は、A値と、A値を実際に得るためには、煉瓦上のどこに接着材を塗布すればよいか特定するA位置データとを有する。
【0058】
[0062] 本発明の方法により、各煉瓦には、空間内の位置(少なくともx、y、z、およびΦ値)に関する属性、更には各煉瓦が元の形状か、切断されたか、またはそれ以外で加工されたかに関する属性が割り当てられ、切断または加工された場合、前記煉瓦上の前記位置を基準として煉瓦から切除される材料の分量の位置を定める数式が割り当てられる。モルタルまたは接着材の厚みに差がある場合、各煉瓦にはB値も割り当れられてもよく、殆どの煉瓦は1つのA値およびA位置データを有し、非常に小数の煉瓦が2つのA値と、各A値に対するA位置値とを有する。
【0059】
[0063] 結果として、構造全体をレンガの種類およびデータ集合としての属性によって定めることができる。データ集合は、表形式で提供することもでき、煉瓦が敷かれる順序で煉瓦データを列挙する。建設の間、コントローラはデータをデータ集合(データベース)に追加する。この追加されるデータは、機械における煉瓦の位置、ならびに写真およびスキャン・データ、更にはオフセット・データを含む。例えば、煉瓦が棒体クランプ(stick clamp)間を移動するに連れて、煉瓦の現在のクランプ位置が更新され符合化されることによって、データベースが更新される。煉瓦がQCスキャンされるとき、スキャン・データは一意のファイルに格納され、ファイル名がデータベースと関連付けられる。機械の種々の位置において、コンピュータ視野における煉瓦の写真が撮影され、次に煉瓦を操作するクランプにオフセットを適用できるようにその位置を決定し、煉瓦が正しい位置において掴まれるようにする。これらの写真の各々は、ファイルに格納され、ファイル名がデータベースに関連付けられる。これは、煉瓦が正しく敷かれないというような問題があった場合、障害の発見または機械の保守という目的のために、煉瓦が機械を通過した時の煉瓦の履歴を見直すことができるように、あるいは煉瓦が容認できる品質でないもしくは損傷または欠陥を有する場合に煉瓦製造業者または運送業者にフィードバックを与えるために、行われる。また、格納されたデータは、建築(build)についての品質保証記録の一部にもなる。
【0060】
[0064]
最も好ましい実施形態では、本発明は3つの態様を含み、第1の態様は、煉瓦構造の建物またはその他の構造体を設計するためのコンピュータ支援設計ソフトウェアである。CADソフトウェアに典型的な通常の三次元モデリングおよびレンダリングに加えて、各煉瓦の空間位置および方位を記述する表データを提供する。この表データは、どの煉瓦を長さ調整して短くするかに関する情報、各段に沿ってこれらがどこに配置されるか、更には施工または他の特殊取り付け(fitting)のためにどの煉瓦が加工、穿設、または刳り抜きされるかについての情報を含む。このデータは、データベースにエクスポートされ、制御ソフトウェアが煉瓦敷設機械を制御するためにアクセスすることができる。
【0061】
[0065] 第2の態様は、煉瓦から建物またはその他の構造物を建築するために煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアを含む。データベースは、建築計画にしたがって建造された(construct)フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの高さを測定するスキャナからデータを受け取り、第1段の煉瓦毎に、第1段が敷かれたとき、第1段の煉瓦の上面が同じ高さ(level)になるように、各煉瓦の底面から、材料をどれ位加工して切除するか決定することができる。この加工データは、煉瓦毎に、コンピュータ支援設計ソフトウェアによって生成された表型式のデータと共に格納されるので、制御ソフトウェアは、格納されたデータにしたがって各煉瓦を加工および切断し、フーティング、パッド、または既に敷かれている煉瓦の段の上において、記憶されている位置に各煉瓦を運搬し、煉瓦の位置決めに先立って接着材を塗布するように、煉瓦敷設機械を制御することができる。
【0062】
[0066] 本発明の第3の態様は、煉瓦構造の建物またはその他の構造物を建築する複合方法を含み、建物を設計するステップと、個々の煉瓦のサイズに切削(milling)および切断することを含む、煉瓦の位置を決定するステップと、高さのばらつきを調べるためにフーティングおよび/またはパッドをスキャンするステップと、切削データを調節するステップと、次いで、各煉瓦を配置する前に、必要に応じて各煉瓦に対して所定の切削および切断動作を実行するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0063】
[0067] これより、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。図面において、
【
図4】
図4は、根幹煉瓦パラメータ(stock brick parameter)を示す表データである。
【
図5】
図5は、煉瓦の第1外周段(external course)の一部の正投影である。
【
図6】
図6は、
図5の煉瓦の第1外周段の一部、および煉瓦の第2外周段の一部の正投影である。
【
図7】
図7は、外周煉瓦ネスティング構成(nesting configuration)の正投影である。
【
図8】
図8は、外周煉瓦ネスティング構成の正投影である。
【
図9】
図9は、外周煉瓦ネスティング構成の正投影である。
【
図10】
図10は、外周煉瓦ネスティング構成の正投影である。
【
図11】
図11は、
図3に示す家の外周壁、および追加された内壁(internal wall)の上平面図である。
【
図12】
図12は、南北または長手方向に延びる(running)、内壁の第1段の一部の分解等幅図である。
【
図13】
図13は、東西または横断方向に延びる内壁の第1段の一部の分解等幅図である。
【
図14】
図14は、煉瓦の長さの2倍までのベイの長さ(bay length)に対する内壁煉瓦の敷き詰め(stepping)を、関連する垂直間隙と共に示す等幅図である。
【
図15】
図15は、煉瓦の長さの2倍よりも長いべいの長さに対する内壁煉瓦の敷き詰めを、関連する垂直間隙と共に示す等幅図である。
【
図16】
図16は、1つの可能な角のネスティング構成を示す等幅図である。
【
図17】
図17は、1つの可能なT字型接合部のネスティング構成を示す等幅図である。
【
図18】
図18は、1つの可能な交差のネスティング構成を示す等幅図である。
【
図19】
図19は、1つの可能な終端敷き詰め構成(end stepping configuration)を示す等幅図である。
【
図20】
図20は、1つの可能なT字型接合部のネスティング構成を、下側の段の外煉瓦(external brick)に嵌め込まれた(routed into)さねはぎ(rebate)と共に示す等幅図である。
【
図21】
図21は、壁およびフーティング構成を示す、建物の壁およびスラブ(slab)の一部を通る垂直断面図である。
【
図22】
図22は、
図21に示すものに代わる壁およびフーティング構成を示す、建物の壁およびスラブの一部を通る垂直断面図である。
【
図23】
図23は、張り出し支柱および棒体構造物(boom and stick assembly)341が開かれた自動化煉瓦敷設機械202の図を、トラック支持基盤(truck base)201と共に示す。
【
図24】
図24は、公道上を運転するために張り出し支柱および棒体構造物341が折り畳まれて収納された自動化煉瓦敷設機械202の図を示す。
【
図25】
図25は、自動化煉瓦敷設機械202が構造物を建設するコンクリート・スラブ123の近くに据え付けられた自動化煉瓦敷設機械202の現場平面図を示す。
【
図26】
図26は、自動化煉瓦敷設機械202の平面図である。
【
図28】スキャニング機器が、電源取り出し陥凹356およびケーブル進入溝357の一部を形成する(produce)ためにルータ247において加工作業を受けることになっている煉瓦354をスキャンする図である。
【
図29A】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【
図29B】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【
図29C】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【
図29D】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【
図29E】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【
図29F】設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方がアクセスするデータベースである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
[0068] 実施形態によるコンピュータ支援設計ソフトウェアは、十分な機能を有するCADプログラムとして、またはSolidworksのような既存のCADプログラムのプラグインとして実装することができる。コンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて設計される建物を建設するように煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアは、コンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて生成される煉瓦配置データベースをインポートし、次いで、煉瓦敷設機械は、煉瓦配置データベースに収容されたデータにしたがって、建物の建設を実施する。建設フェーズの間、煉瓦配置データベースは、新たなデータを各煉瓦と関連付けるために、フィールド(コラム)をそれに追加させることもできる。
【0065】
[0069] 一旦外壁に利用される煉瓦のサイズ、および内壁に利用される煉瓦のサイズが決定したなら、コンピュータ支援設計ソフトウェアは、ユーザが、建設(build)をコミッショニングする人の要求にしたがってユーザによって決定され、既に分かっている壁の長さ寸法を用いて、外壁および内壁の縮尺(scale)上面図を作成することを可能にする。ユーザは、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの寸法を含むフーティングおよび/またはコンクリート・パッド・データ、ならびに外壁の底面と内壁の底面との間、更に内壁の異なるセクション間の相対的高さオフセット(height off-set)を決定する。
【0066】
[0070] コンピュータ支援設計ソフトウェアは、建設される構造物の負荷支持容量(load bearing capacity)を満たすために必要とされるコンクリートの厚さの入力によって、パッドを形成するために必要とされるコンクリートの分量(volume)を決定することができる。
【0067】
[0071] コンピュータ支援設計ソフトウェアは、フーティングおよび/またはパッドから壁の上端(top)まで、ユーザが壁の構成を計画するのに備えており、嵌め込まれるドアおよび窓の高さおよび幅に相応する寸法の空隙(void)の位置決定を含み、前記外壁および前記内壁における配管、電気およびICT、音響および映像配線、ならびに接続点の施工(service)のための溝および陥凹(チェージング)についての位置決めデータを提供する。
【0068】
[0072] 次いで、コンピュータ支援設計ソフトウェアは、外壁および内壁についての煉瓦個別配置データ(brick by brick placement data)を決定し、各煉瓦のフーティングおよび/またはコンクリート・パッドに対する各煉瓦の三次元における位置および方位を特定し(identify)、更に壁の長さ、空隙のサイズ、および開口のサイズに必要とされる寸法に合わせるために、長さ調整される個々の煉瓦の三次元における位置を特定する。
【0069】
[0073] コンピュータ支援設計ソフトウェアは、個々の煉瓦において加工される陥凹(recess)および空洞(cavity)の位置について加工データを、前記溝(channel)および陥凹の位置決めデータにしたがって生成する。
【0070】
[0074] 次いで、コンピュータ支援設計ソフトウェアは、交差を横切って延びるあらゆる煉瓦または最初に敷かれるべき角の頂点まで延びるあらゆる煉瓦に要求する規則に基づいて、各煉瓦を敷く順序を決定する。指定された煉瓦の前に敷かなければならない1組の煉瓦を識別するために、各煉瓦に関連付けられるblockdependencyデータ・フィールドを設けることができる。これは、敷設アーム(laying arm)の既に敷かれた煉瓦との衝突を回避するためである。
【0071】
[0075] 煉瓦配置データベースをコンパイルする。煉瓦配置データベースは、フーティングおよび/またはコンクリート・パッド上の位置に関係するデータ点に対する各煉瓦の三次元における位置および方位を特定するデータ、そして、煉瓦が長さ調整される(trimmed to length)場合には、切り詰められる長さ(trimmed length)、ならびに煉瓦が敷かれる順序を収容する。全ての位置および方位データは、長さ調整されるかまたは全体かに関係なく、各煉瓦における中心点を基準とする。また、次の煉瓦までの間隙も、煉瓦配置データベースにおいてA値として格納する。また、施工についての加工データ、または壁を相互接続するあらゆる特殊配置(special arrangement)も、各煉瓦と対比して、煉瓦配置データベースに格納する。Blockdependencyデータは、必要な場合に、煉瓦毎に含まれる。
【0072】
[0076] 刳り抜き(routing)または切断を必要とする各煉瓦の各側について、煉瓦配置データベース内にレコードを配置する。各レコードは、それが関連付けられた煉瓦へのリンクを設け、場合によって、実際の刳り抜きおよび切断情報を収容する追加の表に対して、刳り抜き工具または鋸(saw)によって読み出すことができる型式で収容する追加の表に相互参照する。
【0073】
[0077] また、各煉瓦と対比して、煉瓦配置データベース内に追加のフィールドも設けられ、設計段階において、フーティングおよび/またはスラブが注入され精査して表面高さのばらつきを調べるときに追加入力することができ、または建設フェーズの間、煉瓦敷設機械を制御するための制御ソフトウェアへの入力によって、追加入力することができる。これらの追加フィールドは、煉瓦毎の切り詰め値(trim value)アレイを収容する切り詰めデータを含む。切り詰め値は、煉瓦が全て敷かれたときに、段の上面が平坦になるように、各煉瓦の底面から加工しなければならない材料の量である。
【0074】
[0078] レーザ・スキャニング・デバイスは、煉瓦が敷かれる表面範囲(surface extent)の相対的表面高さを測定するように構成され、前述のように煉瓦配置データベースにしたがって各煉瓦を配置(locate)しようとする場所において、フーティングおよび/またはコンクリート・パッドの高さ、あるいは煉瓦の既存の段または他の表面の高さを記録し、煉瓦毎の位置全域にわたる表面の高さの違いを、煉瓦の第1段についての最低点から最高点まで判定し、最低点からの差を切り詰めデータとして、煉瓦毎に切り詰め値アレイの型式で格納する。このデータは、敷かれたときに各段の上面が平坦になるように各煉瓦の水平面から加工すべき量と対応し、切り詰めデータは前記煉瓦配置データと共に格納される。
【0075】
[0079] コンピュータ支援設計ソフトウェアにおける建築計画の実行に関して、切り詰めた煉瓦(trimmed brick)の位置および煉瓦のネスティングを含む特殊な考慮事項について、これより論ずる。
【0076】
[0080] 以下に続く論述から明らかになるであろうが、建物または構造物の各壁の各段は、始点および終点を有する。段毎の始点および終点間の段距離(course distance)は、わかっており、コンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて生成される縮尺上面図 (scale top-plan view)から決定される。これらの点は、煉瓦の段の終端、煉瓦の段の段付き終端(stepped end)に接着剤の厚さを加えた値、窓の縁およびドアの縁の内2つを含む。煉瓦の段の段付き終端は、交差する段の交差する煉瓦の壁の厚さだけ、段の長さに沿って内側に段が付けられ、通常、段に対して90度の角度をなして延びる壁の一部を形成する。最小煉瓦長は、煉瓦敷設機械のグリッパの長さによって決定され、本実施形態では120mmである。尚、煉瓦敷設機械が、そのグリッパよりも短い長さの煉瓦を扱うのは実用的でない。これは、グリッパが、既に配置されている煉瓦と衝突する事態に、必ず至るからである。
【0077】
[0081] 段(course)は、既知の長さの複数の根幹煉瓦(stock brick)で構成され、必要な場合には、長さ調整された1つ以上の煉瓦を含む。これを残余(remainder)と呼び、120mm未満にすることはできない。2つまたは3つ以上の切り詰め煉瓦(trimmed brick)が利用されるとき、切り詰め煉瓦の長さは、煉瓦の敷き詰め(stepping)が慣習に従うことを確保するように決定される。実施形態では、外壁煉瓦(external brick)は、高さ258mm、長さ500mm、そして奥行き240mmである。内壁煉瓦(internal brick)は、高さ258mm、長さ500mm、そして奥行き115mmである。
【0078】
[0082] 第1段は、壁の長さに分割された、長さ500mmの複数の根幹煉瓦で構成されている。残余は、125よりも大きく500よりも小さい距離から決定される。
[0083] これらの煉瓦を
図7から
図10まで、および
図12から
図24までに示し、反対側において光が見えるのを防止する遮光物(light blocker)として役立つように、それらの終端においてさねはぎ構造(tongue and groove configuration)が設けられている。
【0079】
[0084] コンピュータ支援設計ソフトウェアは、CAD操作員が建物、この例では、家の平面図をスケッチすることを可能にする。
図1を参照すると、CAD操作員は家の外壁13の外周11を、直線スケッチ・セグメント(sketch segment)15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57として引き、閉じた輪郭にするために、スケッチ・パターンを閉じる。壁を125mm刻みで位置決めするために、125mm格子システムを使用して、外周11を引く。この構成(arrangement)では、煉瓦の敷き詰めが慣例に従うことを確保するように残余間隙を埋めるために、煉瓦を125、250、375に切断することができる。
【0080】
[0085] ドアおよび窓のための外部開口(external opening)を閉じる。構造全体をコンクリート・パッド上に建てる場合、外周はコンクリート・パッドの寸法を表す。平坦なコンクリート・パッドに対して、パッドの高さ(elevation)は0のz値で与えられる。壁の最低の高さは、同じz値に設定されるはずである。代わりに、下がった(stepped down)防湿層建物構造に対して、外壁を下げて設定する(set down)こともできる。
図1における壁の平行線は、外壁の外側(exterior)59、および外壁の内側61を表す。各スケッチ・セグメント15~57は、終点から終点までの壁を表す。
【0081】
[0086] 次のステップは、125mm刻みで壁を位置決めするように125mm格子システムを維持しつつ、煉瓦の中心線をトレースする1本の線として、内壁63を引くことである。
図2を参照すると、この1本の線の両側にある破線65は内側煉瓦(interior brick)の表面を示す。内壁の最も低い高さは、0のy値に設定されなければならない。
【0082】
[0087]
図3を参照すると、周囲の外輪郭(outer contour)上の外壁の各スケッチ・セグメント15~57を収集し、プロジェクトの原点(projects origin)63に最も近いところから反時計回り方向に順番に並べる。各スケッチ・セグメントは、3Dxyz始点および3Dxyz終点を有する。セグメント15はその3Dxyz始点を原点63に有し、その3Dxyz終点を、セグメント17との接合点65に有する。
【0083】
[0088] スケッチ・セグメントは任意の方向に引くことができるが、本ソフトウェアはスケッチ・セグメントを収集し、そのスケッチ・セグメント上で始点および終点を交換し(反対方向を指している可能性もあるので、必要な場合に交換する)、各スケッチ・セグメント上でチェーン・パターンを開始から終了まで反時計回り方向に維持する。スケッチ・セグメント57は、戻って、その3Dxyzの終点を原点63に有する。
【0084】
[0089] 壁組立体(wall assembly)をプロジェクトに追加し、スケッチ・セグメントの始点に添付し、次いで、煉瓦データを収容するライブラリからの煉瓦コンポーネントを煉瓦壁組立体に挿入する。煉瓦データは、根幹外壁煉瓦奥行き(stock external wall brick depth)(厚さ)、長さおよび高さ、外側垂直煉瓦間隙(external vertical brick gap)、外壁水平煉瓦間隙、根幹内壁煉瓦奥行き(厚さ)、長さおよび高さ、内側垂直煉瓦間隙、ならびに内壁水平煉瓦間隙を含む。
図4はこれらの値に対する代表的データを示す。
【0085】
[0090] 全ての壁は、第1および第2段のパターンから柱頭(cap)まで作成される。
[0091]
図5を参照すると、煉瓦の第1(最下位)段66が示されている。一貫性を維持するために、各壁の第1煉瓦67を最下位段上で、第1煉瓦の奥行き分だけオフセットし(69)、次いで煉瓦の奥行き(brick depth)に、
図4における煉瓦データからの垂直間隙(vertical gap)(69において示す)を加算した値に基づいて、この地点から配置する。このオフセット69は、交差する段からの煉瓦を収容するための空間、更には接着剤が充填されなければならない垂直間隙を与える。最下位段のシーケンスにおける最初の煉瓦67および最後の煉瓦71は、切断されない完全体の煉瓦である。最初の煉瓦67から進んで、切断されない完全体の煉瓦73には、残余間隙75と呼ぶ空間まで、垂直間隙が割り当てられる。残余間隙75は、切断されない完全体の煉瓦1つの長さを超えるが、切断されない完全体の煉瓦2つの長さに3つの垂直間隙分の間隔を加算した値未満であり、段66に沿って到達する。等しい長さの2つの敷き詰め調節(stepping adjustment)煉瓦77が、残余間隙75に割り当てられる。煉瓦77の長さは、残余間隙から垂直間隙3つ分を減算し、その結果を2で除算した長さに等しい。最後の煉瓦71の終端には、右端調節域79がある。これは、最後の煉瓦71の終端が戸口または出隅にあたる場合にはゼロに設定され、最後の煉瓦71が内角を形成する場合には6mmに設定される(垂直間隔と同じ)。
【0086】
[0092] 外壁については、角から角まで、あるいはドアから角まで、またはその逆において、壁の長さは等しく125で分割可能である。
[0093] 第1(最下位)段は、第1の角の終端と面一で開始し、直立煉瓦奥行きの端部を除いて、残余間隙まで完全体の煉瓦で形成される(pattern)。直立煉瓦奥行きは右端調節域となる。残余は、125mm間隔の切断煉瓦、即ち、125、250、375を使用して、段階的に並べられる(stepped)。
【0087】
[0094] ドアは、角の入れ子(corner nest)と同様に扱われ、右端調節域における直立煉瓦は、各段に対するドアのいずれの側もそれぞれ250煉瓦に切断される。
[0095] 煉瓦67、73、75、および71は、外側煉瓦の外縁である外側59線上に配置され、スケッチ・セグメントと一列に並ぶ。
【0088】
[0096]
図6を参照すると、第2段81の煉瓦配置が、左端において完全体の煉瓦83で始まり、左端調節域はなく、右端には煉瓦の奥行き+垂直間隙調節域85がある。左端の完全体煉瓦83の右には2つの完全体煉瓦87、および3つの長さ調整敷き詰め調節煉瓦(cut to length stepping adjustment brick)89、91、および93がある。第2敷き詰め調節煉瓦91は、第1段66の敷き詰め調節煉瓦77の内1つと同じ長さである。第1敷き詰め調節煉瓦89の長さは、第1段66の敷き詰め調節煉瓦77の長さの半分を、煉瓦73の右側端と煉瓦87の右側端との間の距離を加算した値によって決定される。第3敷き詰め調節煉瓦93の長さは、第2敷き詰め調節煉瓦91の端部から煉瓦の奥行きを差し引き、垂直間隙調節85を加えることによって測定される。
【0089】
[0097] 煉瓦の交差、角、あるいは窓またはドアの縁の間に延びる煉瓦の段(course)はいずれも、段セグメント(course segment)であると考えることができる。各段セグメントには、設計ソフトウェアにおいて、端部調節域69から端部調節域79(ある場合)に及ぶ最大長煉瓦(full length brick)73の数が入力され、少なくとも1つの最大長煉瓦67、71が、それぞれ、各端部調節域69、79と隣接し、残余間隙75を残す。残余間隙75が最小許容残余の120mm(または125mm格子システムの下では125mm)未満である場合、計算された残余間隙75を根幹煉瓦の長さに加算し、更に各々のA値に加算し、その結果を2で除算することにより、
図5に示すように、残余間隙75を埋める2つの煉瓦77の長さが決定される。端部調節域は、適正なネスティング(nesting)を確保するため、特に、段セグメントの端部がドアまたは窓のための開口になる場合には、切断煉瓦を含むことができる。
【0090】
[0098] 残余が許容残余以上である場合、残余を埋めるために切り詰めた煉瓦長が、確定残余サイズとなる。これに関係する全てのデータは、煉瓦配置データベースに格納される。
【0091】
[0099]
図6を参照すると、1つの段において2つの残余煉瓦77が利用される場合、直接上に乗せられる段81は、煉瓦77の1つと同じ長さの切り詰め煉瓦(trimmed brick)91を含み、煉瓦91は2つの煉瓦77間にある目地を中心に等しく延びる(balance)(即ち、煉瓦91の半分が煉瓦77間の目地の両側にある)。2つの煉瓦89および93は、煉瓦91の長さに根幹煉瓦87を加え、その結果を2で除算した値に等しい長さに切除され、これらの切り詰め煉瓦89および93は、煉瓦91の両側に配置される。すると、標準的な根幹煉瓦87は、これらの切り詰め煉瓦から遠ざかるように延びる。
【0092】
[00100] 第2段は、直立煉瓦奥行きである、左端調節域から始まり、次いで、壁の外面と面一になっている端部において、完全体の煉瓦1つを差し引いた残余間隙が生ずるまで、完全体の煉瓦によって形成される。残余は、125mm以上でなければならず、2×375mm、2×125mm、1×125mmの切断煉瓦で構成することができ、以上で説明したような、敷き詰めのための第1段の残余を考慮することによって、段間で連続する垂直間隙ができないことを確保するために、垂直間隙の重複(overlap)が生ずることを確保する。
【0093】
[00101] 第2段における最後の煉瓦は、完全体の煉瓦であり、戻り壁(returning wall)の外面と面一となる。
[00102] 第2段81の上に配置される第3段は、第1段66の繰り返しであり、第3段の上に配置される第4段は、第2段81の繰り返しである。
【0094】
[00103] 第1および第2段(そしてその結果、その後に続く段)の各々において煉瓦を敷く順序は、まぐさ(lintel)があるドアおよび窓の小面(header)において、ネスティング構成から効率を得ることができるように、交換してもよい。
【0095】
[00104]
図7から
図10を参照すると、外部煉瓦接合箇所のための煉瓦の種々のネスティング構成が示されている。
図7は、外部煉瓦における典型的な出隅のためのネスティング構成を示す。煉瓦の溝端(channel end)101および舌端(tongue end)103が示されている。
図8は、外部煉瓦における典型的な内角のためのネスティング構成を示す。
図9は、外部舌端のためのネスティング構成を示し、
図10は、外部溝端のためのネスティング構成を示すが、双方共、端部における切断煉瓦105を特徴とする。これらは、通例、ドアおよび窓に使用される。
【0096】
[00105]
図16から
図20を参照すると、外部煉瓦接合箇所のための煉瓦の種々のネスティング構成が示されている。
図16は、内部煉瓦における典型的な内角のためのネスティング構成を示す。煉瓦の溝端および舌端が示されている。
図17は、内部煉瓦における内角のためのネスティング構成を示す。
図18は、内壁交差のための可能なネスティング構成を示す。
図19は、内部溝端のためのネスティング構成を示し、通例、ドアおよび窓に使用される。
図20は、2つの外壁、およびそれらの内壁との接合箇所の内部煉瓦接合ネスティングを示す。下側の段の内部煉瓦の一部を収容するための加工を、交差する外部煉瓦に見ることができる。
【0097】
[00106] 設計ソフトウェアに対する他の設計考慮事項は、煉瓦を敷く順序であり、煉瓦配置データベースに含まれる他のパラメータである。任意の段セグメント(course segment)が敷かれるとき、敷かれる最初の煉瓦は、煉瓦の目地を跨いで延びるもの、または煉瓦接合角(junction corner)の頂点まで延びるものである。これは、煉瓦敷設機械のグリッパが煉瓦を敷くために接近できるようにするためである。このような煉瓦に隣接する煉瓦が最初に敷かれるとすると、煉瓦敷設機械のグリッパは、煉瓦の目地を跨って延びる煉瓦を敷く、または煉瓦接合角の頂点まで延びる煉瓦を敷くことができるように接近することができない。
【0098】
[00107] 内壁の作成は、煉瓦がスケッチ・セグメントに対して中心に置かれるのであって、周囲スケッチ・セグメント上ではないことを除いて、外壁の作成と同様である。また、終端状態(1つの壁から他の壁への煉瓦のネスティング)が多くの可能性を有するという点で、煉瓦の敷き詰めも異なる。親指の規則(rule of thumb)が、左右端条件が適用される壁の方向に基づいて適用されている。この親指の規則は、角がいずれの状況においてもネスティングすることを可能にするために適用される。
【0099】
[00108]
図12に示すような北から南または南から北の方向に向かう壁では(
図11における平面図を検討するのであり、実際の建物現場における磁気即ち真の北ではない)、第1段の最初および最後の煉瓦は、角の煉瓦を越えて延び、第2段の煉瓦は、交差する煉瓦に対して面一になるために、内側に位置付けされている。
図13に示すような西から東または東から西の方向に向かう壁では、最初および最後の煉瓦は、2つの交差する段の内角のネスティングを可能にするために、北から南または南から北とは正反対になっている。
【0100】
[00109]
図2を参照して、末端点間の各線全体がスケッチ・セグメントであると見なす。点107および109間の線は、1つのこのようなスケッチ・セグメントである。内壁は、スケッチ点111において他の内壁によって交差され、別々のベイ113に分割されている。ベイ113毎の煉瓦の敷き詰めは、距離、ベイの長さの中に嵌め込むことができる(patterned into)完全体の煉瓦の個数、調節切断煉瓦(adjustment cut brick)、ならびに他の壁のネスティングに基づくベイ毎の左および右の調節に基づく。煉瓦の敷き詰めの決定のために、あらゆる左および右端調節オフセット長を除外したベイの長さを考慮する。左および右調節オフセットは、先の説明において外壁について論じたように、角ネスティング構成において交差する壁の煉瓦の厚さであるが、内部煉瓦の異なる125mm奥行きに合わせて寸法が調節されている。煉瓦の敷き詰めは、ベイの長さ(左および右端調節域の寸法を除外する)が最小煉瓦長から2つの煉瓦の長さに垂直煉瓦間隙を加えた値までか、またはベイの長さが2つの煉瓦の長さに垂直煉瓦間隙を加えた値を超過するか否かに依存して決定される。典型的な煉瓦の敷き詰めについて、ベイの長さが2つの完全体の煉瓦の長さに垂直間隙を加えた値までである場合の
図14、またはベイの長さが2つの煉瓦の長さに垂直煉瓦間隙を加えた値を超過する場合の
図15を参照のこと。
【0101】
[00110] 敷き詰め調節煉瓦77の調節長(adjusted length)、各煉瓦段における煉瓦毎の中心xyz座標、および原点63に対する各煉瓦の方位は、左端調節域69および右端調節域79と共に、煉瓦配置データベースに格納される。煉瓦配置データベースは、敷かれる煉瓦に対するパラメータを定める。煉瓦は一端に舌を有し、対向端に溝を有するので、更にこれらは、溝内に突出する舌と直線状に敷かれるので、各煉瓦の方位は、舌-溝連携を保持するために、0度から359度までの任意の値を取る(run)。加えて、スケッチ・セグメント毎の3Dxyz始点および3Dxyz終点も格納され、煉瓦毎の段の番号も、例えば、第1段に対して0、第2段に対して1等のように、格納される。煉瓦を敷く順序も格納され、通例、原点63からである。敷かれる最初の煉瓦は、その下面に接着材が塗布され、それに続く煉瓦は、下面および端部の双方に接着材が塗布され(または、角の場合、直前に敷かれた煉瓦に隣接する面の一部)、塗布された接着剤の位置が煉瓦配置データベースに格納される。
【0102】
[00111] 各煉瓦の3D地点(location point)、長さ、切断(cut)、刳り抜き(routing)、チェージング(chasing)、および回転データは、煉瓦配置データベースにおける設計ソフトウェアから、煉瓦敷設機械の制御ソフトウェアにエクスポートされる。各煉瓦の三次元座標は、長さx、奥行きまたは幅y、および高さzである。これらの値は、根幹煉瓦のサイズを収容する第1表に収容された煉瓦データからインポートされる。また、煉瓦が切り詰められる(trimmed)場合、設計ソフトウェアによって生成される、煉瓦に対する仮想バウンディング・ボックスから計算される。煉瓦の方位は、南-北方向に延びる(running)設計ソフトウェアの投影前面(project front plane)と対比して測定され、0度から359度までである。
【0103】
[00112] 煉瓦を短くしなければならない場合、使用される舌端を残すように、または溝端を残すように切断することができる。これは、切断動作のための煉瓦の扱いを決定する。使用される端部を予め決定しておき、そのデータを煉瓦配置データベースに格納する。切れ端長(off cut length)は、設計ソフトウェアによって計算され、切れ端は、計画におけるいずれの場所における使用にも利用可能な在庫(stock)として記録され、制御ソフトウェアは、記録された利用可能な在庫から、切れ端煉瓦部分を検索するようにプログラミングされ、これに関連するデータは煉瓦配置データベースに記録される。
【0104】
[00113]
図21から
図24は、フーティングの設置および仕上がった段を含む、壁建設の種々の構成を示す。
図21は、壁212およびスラブ123を通る断面図を示し、防湿層建築方法による最下位段125、および内側煉瓦を使用した最上位段127を示す。
【0105】
[00114]
図22の断面図を参照すると、これは、代替設計として、コンクリート・スラブ123上に重なって据えられた最下位段125を示す。一方、
図23に示す断面図を参照すると、最下位段125は、外壁のみに使用される、コンクリート・スラブの周囲に沿って防湿層突起(ledge)131を形成するスラブ123の表面129よりも低い1つの段である。
【0106】
[00115]
図24に示す断面図を参照すると、外壁121上の最上段127は、壁の内面133と面一に据えられた内側煉瓦127である。
[00116] 煉瓦敷設機械を制御する制御ソフトウェアが、煉瓦敷設機械202の動作を制御するために、制御キャビネット282内にある制御電子回路に組み込まれている。
【0107】
[00117]
図24を参照すると、トラック201が煉瓦敷設機械202を支持する。煉瓦敷設機械202は、トラック201のシャーシ(図示せず)上のフレーム203上に搭載されている。フレーム203は、典型的なトラック・シャーシによって提供される支持を超えて、煉瓦敷設機械202の構成部分(componentry)に対して追加の支持を提供する。フレーム203は、水平に外側に延びる脚部204および205を有し、各々、一旦作業のために定位置に駐車されたなら、煉瓦敷設機械を安定させるために、油圧作動型のつっぱり脚部(push down leg)206を有する。
【0108】
[00118] また、
図26を参照すると、フレーム203は煉瓦のパックまたはパレット252、253を支持する。これらは、折り畳みリア・デッキ(fold down rear deck)208に装填され、スクレーパ(scraper)257によってディハッカ・ベイ(dehacker bay)249および250上に移動されている。ディハッカ・ロボット(図示せず)は、数列(rows)の煉瓦をパレットから取り出し、これらをプラットフォーム251上に載せることができる。次いで、転送ロボット(図示せず)が個々の煉瓦を拾い上げ、それを鋸(saw)246、またはルータ(router)247、またはカルーセル(carousel)248のいずれかに、またはこれらの間で移動させる。カルーセル248は、タワー210の基礎(base)において、旋回輪211上でタワー210と同軸に配置されている。カルーセル248は、タワー210を上昇するシャトル上のグリッパに煉瓦を転送するために、回転してタワーと整列し、連結式(水平軸216を中心に折り曲がる)伸縮張り出し支柱への煉瓦の転送を可能にする。
【0109】
[00119] 伸縮張り出し支柱(telescoping boom)は、伸縮張り出し支柱エレメント212、214、および伸縮棒体エレメント(telescopic stick element)215、217、218、219、220を含む。折り畳み伸縮張り出し支柱の各エレメント212、214、215、217、218、219、220は、当該エレメントの長手方向範囲に沿って煉瓦を輸送するために、このエレメント内において長手方向に延びるトラック上で、内部に配置されたシャトルを有する。煉瓦は、直線移動するシャトルによって、折り畳み伸縮張り出し支柱の内側を抜けて移動させられる。シャトルには、煉瓦をシャトル間で受け渡すグリッパが装備されている。
図25および
図27に示すように、伸縮エレメント内のシャトルは、代わりに、張り出し支柱を伸ばして見たときに、1つのエレメントの上面に沿って、そして次のエレメントの底面に沿って配置される。シャトルは、先に論じたように煉瓦を掴むためにグリッパを有し、シャトルは直ぐ隣りの伸縮エレメントの逆側を走るので、シャトルが一致した(coincident)とき、双方のシャトルの双方の組のジョー(jaw)が煉瓦を掴むことができ、煉瓦をシャトル間で受け渡すことを可能にする。
【0110】
[00120] エレメント214および215内のシャトルは、これらのエレメントの上面に沿って走り、軸216を中心とする旋回グリッパが設けられているので、煉瓦はエレメント214におけるシャトル上のグリッパから、エレメント215におけるシャトル上のグリッパと整列するために回転することができる軸216上のグリッパに転送することができる。
【0111】
[00121] 軸213上にも旋回グリッパが設けられており、軸213を中心に、張り出しエレメント212がタワー210に搭載されるので、煉瓦は、タワー210上のシャトル上のグリッパから軸213上の旋回グリッパに、次いでエレメント212の底面に沿って走るシャトル上のグリッパに転送することができる。
【0112】
[00122] また、カルーセル248も旋回グリッパ274を有し、カルーセル248が回転し、旋回グリッパ274がその上で旋回してタワー210上のシャトル上のグリッパに煉瓦を渡す(present)前に、煉瓦が転送ロボットによって旋回グリッパ274内に入れられる。
【0113】
[00123] 張り出し支柱の端部には、煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232が嵌め込まれている。煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232は、ピン(図示せず)によって、水平方向に配置された軸233を中心として、棒体のエレメント220に搭載される。軸233を中心とする煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232の釣り合いは、二重作用油圧アーム(ram)235によって調節され、使用時には、トラッカ・コンポーネント330が煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232の最上位に配置されるように、設定される。グリッパが旋回軸233を中心として搭載され、棒体エレメント220の端部においてシャトルから煉瓦を受け取り、それをひっくり返し、それを煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232に渡す。煉瓦敷設および接着材塗布ヘッド232は接着材を煉瓦に塗布し、煉瓦を敷くグリッパ244を有するロボット236にそれを渡す。施工完了時のスラブ123、煉瓦の測定、ならびにプロセスの監視および調節、更には安全帯の監視を可能にするために、視覚およびレーザ・スキャニング/追跡システム334、335、333が設けられている。煉瓦の最初の段、または任意の段は、ルータ・モジュール247によって煉瓦を前加工させることができるので、先に論じたように、一旦敷設されると、段の上面は平坦となる。
【0114】
[00124] 転送ロボット、鋸246、およびルータ247は、各々、カルーセル248上のグリッパ、タワー210、旋回軸213、張り出しエレメント212におけるシャトル、張り出しエレメント214におけるシャトル、旋回軸216に搭載されたグリッパ、棒体エレメント215におけるシャトル、棒体エレメント217におけるシャトル、棒体エレメント218におけるシャトル、棒体エレメント219におけるシャトル、棒体エレメント220におけるシャトル、旋回軸233を中心として搭載されたグリッパ、および煉瓦敷設ロボット236が行うように、任意の時点において煉瓦を保持することができるグリッパを有する。煉瓦敷設機械の更に詳細な説明について、"Brick/Block Laying Machine Incorporated in a Vehicle"(車両に組み込まれた煉瓦/ブロック敷設機械)と題する特許出願を引用する。これは、国際特許出願PCT/AU2017/050731の主題であり、その内容は、ここで相互引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0115】
[00125] 煉瓦敷設機械の動作についてこれより論ずる。煉瓦配置データベースは、制御キャビネット282に内蔵されている制御ソフトウェアによってアクセスされる。スラブの水平方向変動(variance)を判定するためにスラブのスキャンが未だ実行されていない場合、これをこの時点で実行し、煉瓦毎の切り詰め値アレイを決定し、煉瓦配置データベースに切り詰めデータとしてロードする。
【0116】
[00126] 煉瓦は、煉瓦搬出列(dehacked row of bricks)から転送ロボットによって取り出され、煉瓦配置データベースにしたがって、建設の最初の煉瓦として、識別番号が割り当てられる。次いで、煉瓦配置データベースに具体化された命令にしたがって、煉瓦が処置される。最初の煉瓦であるので、加工や切断を必要とする可能性はないが、そうである場合、転送ロボットによってカルーセルに移動させられる。スラブ・スキャン分析によって、煉瓦が敷かれることになっている他の位置よりも、スラブが低い高さを有すると判定したことによって、煉瓦が加工を必要とする場合、煉瓦をルータ247に移動させ、その中でグリッパによって煉瓦を転送し、煉瓦配置データベースにおいて煉瓦と対比して格納されている切り詰め値アレイの切り詰めデータにしたがって、その底面から材料を加工させる。そうでない場合、転送ロボットは煉瓦をカルーセル247に転送する。加工作業の後、転送ロボットがこの煉瓦をルータ247からカルーセル248に転送する。この後、転送ロボットは、煉瓦搬出列に自由に戻り、煉瓦配置データベースによって決定されたシーケンスにおける次の煉瓦を選択する。
【0117】
[00127] カルーセル248は、グリッパ274が転送ロボットと整列するように回転し、カルーセル・グリッパ274は、煉瓦を掴み、続いて転送ロボットのグリッパが煉瓦を放す。カルーセル248は、タワー210上のシャトルおよびトラックの位置に回転する(尚、これは、水平軸209を中心として張り出し支柱とともに回転するタワーと共に滑ることを注記しておく)。タワー・シャトルはグリッパ274まで下降し、煉瓦はタワー・シャトル上のグリッパに転送される。次いで、タワー・シャトルはタワー210を登り、旋回軸に到達する。この段階において、カルーセルはいつでも回転して元に戻り、転送ロボットから次の煉瓦を受け取ることができる。
【0118】
[00128] このプロセスが続き、転送ロボットは、煉瓦配置データベースにおいて識別された各煉瓦と対比して割り当てられた前記煉瓦配置データにしたがって、各前記煉瓦を切断および加工するために、鋸246および/またはルータ247を介して、煉瓦を移動させる。
【0119】
[00129] 制御ソフトウェアは、煉瓦敷設機械のエレメントを制御して、各前記煉瓦を1つずつ運搬し、接着剤を塗布し、煉瓦配置データベースに収容された煉瓦毎の前記煉瓦配置データにしたがって、各前記煉瓦を建物の適所に配置する。
【0120】
[00130] これに加えて、制御ソフトウェアは、煉瓦毎に、煉瓦配置データベースにおける識別番号と等しくすることができる、その識別番号を識別する操作表(handling table)を構築し、煉瓦敷設機械に内蔵されたグリッパのシーケンスにおける異なるグリッパ間でステップ毎に、時間およびグリッパIDを識別する。
【0121】
[00131] プログラマブル煉瓦操作装置間におけるこれらの転送の全ては、操作表に記録されるので、操作表は、どの煉瓦がどこでそしていつ加工されるか(which brick is where and when)についての記録を提供する。
【0122】
[00132] その結果、何らかの理由で、作業日の終了時における運転停止のように、煉瓦敷設機械を何らかの理由で一時停止しなければならない場合、それを再開させることができ、再開が行われた後に、正しい煉瓦が正しい位置に敷かれる。
【0123】
[00133] 更に、何らかの理由で、加工(切断または刳り抜き)処理の間に煉瓦が破損した場合、加工ツールにおいてそれを廃棄することができ、供給チェーンにおいて破損煉瓦よりも前の煉瓦に、煉瓦識別番号を割り当て直すことによって、操作表を更新することができる。
【0124】
[00134] 個々のレンガが煉瓦敷設グリッパにもっと近い位置に到達するまで損傷が判定されない場合、前記操作デバイスに沿って既に移動中の任意の前記煉瓦が、前記煉瓦配置データベースに加工データを含まない場合、供給チェーンにおいて破損煉瓦よりも前の煉瓦に煉瓦識別番号を割り当て直すことによって、前記操作表を更新することができる。
【0125】
[00135] しかしながら、個々のレンガが順に敷設されているために、前記操作デバイスに沿って既に移動中の任意の前記煉瓦が、前記煉瓦配置データベースに加工データを含む場合、前記操作デバイスに沿って移動中にある煉瓦の中に前記加工データが関連付けられたものがなくなるまで、制御ソフトウェアが煉瓦敷設機械を逆に運転して、煉瓦を積み上げ直して、それらの再積み上げ位置を格納することが必要となり、前記加工データが関連付けられた煉瓦がなくなった時点で、前記煉瓦配置データベースにしたがって、前記パレットから交換用煉瓦を取り出し処理する(process)ことができる。その後、任意の積み直した煉瓦を順に拾い上げ、次いで、予めプログラミングされた通りに、動作を継続する。
【0126】
[00136]
図28を参照すると、カメラ350およびスキャニング・レーザ352を含むスキャニング機器が、電源取り出し陥凹356およびケーブル進入溝357の一部を形成する(produce)ためにルータ247において加工作業を受けることになっている煉瓦354をスキャンする。この例では、煉瓦354が割れており、破片358がこの煉瓦から外れている。制御ソフトウェアは、スキャン・ファイル画像360を生成し、煉瓦配置データベースに収容されている煉瓦に対するモデル・ファイル362と比較して、スキャン・ファイル画像360が、モデル・ファイル362とは十分に異なっており、煉瓦354を拒否すべきか否か判定する。
【0127】
[00137] 設計ソフトウェアおよび制御ソフトウェアの双方が、
図29Aから
図29Fに示すデータベースにアクセスする。このデータベースは、観念的に4つのセクションに分割することができる。即ち、家および現在の加工状態についての建築データ、機器およびブロック転送記録、視覚システム記録、ならびに軸/駆動および機材記録に分割することができる。煉瓦敷設機械の異なるエレメントが同じデータにアクセスすることもできる。
【0128】
[00138] このデータベースの建築データおよび加工状態セクションは、家の現在の状態を格納し、各ブロックの位置/状態、機械の各クランプの状態、搬出ベイ(he-hacking bay)の状態、およびスラブの詳細を含む。建築データは、コンピュータ支援設計ソフトウェアによって生成され、制御ソフトウェアが煉瓦敷設機械を運転し構造を建築するために必要とされる情報の全てを収容する。各家または構造について、以後簡潔にするために家と呼び、HOUSE表にレコードを追加する。これは、建築中の特定の家についての識別データであり、住所(street address)、実世界GPS座標におけるスラブの原点、スラブの方向(slab heading)、およびプロジェクト/顧客情報を含む。
【0129】
【0130】
[00139] 家は複数の種類のブロックで構成される。各種類はblocktype表に格納される。これは、名称、製造者、発注詳細、および物理的特性というような、ブロックの詳細を収容する。
【0131】
【0132】
[00140] 家は多くのブロックで構成され、各ブロックの詳細はblock表において突き止められる。各ブロック・レコードは、その種類だけでなく、それが属する家を参照する。スラブ上におけるブロックの位置および回転だけでなく、ブロック・レコードは、必要な切断長、および差し込み口(spigot)を除去すべきか否かを収容する。
【0133】
【0134】
[00141] ブロックは、理想的な敷設順を指定するBlockOrderを有するが、これは必須ではない。例えば、障害処理のために、ブロックを異なる順序で敷くことができる。しかしながら、例えば、敷設アーム・クランプが、既に配置されているブロックと衝突するのを防止するために、ブロック(a)を他のブロック(b)の前に敷かなければならない状況がある。blcokdependency表は、これらの状況を指定することを可能にする。
【0135】
【0136】
[00142] 刳り抜きを必要とする各ブロックの面毎に、side表にレコードを設ける。各レコードは、それが関連付けられたブロックへのリンクを有する。実際の刳り抜き情報は、追加の表に収容される。
【0137】
【0138】
[00143] bore表は、side表を参照し、ブロックの面に穿設される孔(hole)毎に1つのレコードを使用する。各孔は、指定された位置、幅、および深さを有する。位置は面の原点(face origin)に対して指定される。
【0139】
【0140】
[00144] channel表は、ブロックの表面に付けなければならない溝毎の詳細を収容する。これは、溝を加工すべき表面、ならびに溝の深さおよび幅を参照する(reference)。溝は、1つの直線である必要はなく、角を有することができる。溝通路(channel path)は、channelpoint表によって定められる。各点は、各チェーズ・レコード(chase record)を参照し、局所面座標で表される。各チェーズは、溝の通路を構成する2つ以上の点を有する。
【0141】
【0142】
【0143】
[00145] データ集合の一部は、煉瓦敷設機械上のルータのために、ブロック刳り抜きファイルを生成するために使用される。刳り抜きファイルは、刳り抜きを必要とするブロック毎に生成され、ブロック、面、穴、溝、およびchannelpoint表におけるデータを使用する。このファイルは、残りの建築データと共に、機械にコピーされる。
【0144】
[00146] 各ブロック種類は、機械が必要とする関連パレット(associated pallet)を有し、それを搬出(de-hack)できるように定められる。このデータは、palletdefinitionおよびpalletlayerという表に格納される。palletdefinition表は、単に、ブロック種類を収容し、一方palletlayer表はパレットにおけるレイヤ毎に1つのレコードを有する。各レイヤは、行および列の数を指定し、更に、行が左右に延びるか、または前後に延びるかについても指定する。前後は、フォークリフトのフォークと平行であると定められる。
【0145】
【0146】
【0147】
[00147] 構造を建築するために必要とされるデータと共に、データベースの機械状態データ・セクションは、新たな日の開始時、またはH109コントローラの予定にない停止に続いて、機械が建築し続けるために必要とされる情報を収容する。障害の後に煉瓦敷設機械を再起動するとき、このデータをコントローラに戻して読み込み、煉瓦敷設機械が、最小の操作員の補助で継続できるようにする。
【0148】
[00148] 煉瓦敷設機械がそのデータベース内に有する構造毎に、house表において家が開始したかまたは完了したか記録する。
[00149] surveyoint表が、スラブ内に作られた(built)点を記録するために使用され、ブロックの第1段が敷かれた後に、レーザ・トラッカをスラブと再整列するために使用することができる。各surveypointレコードは、それが関連付けられたhouse表を参照する。
【0149】
【0150】
[00150] 2つのディハッカ・ベイ249および250の各々について、loadingstate表に記録を保持する。この表は、パレット型式、現在の層および搬出される行、ならびにベイにおけるパレットの方位を記録する。また、この表は、ブロックの行が現在ディハッカ・クランプ内に保持されているか否かも記録する。主IDは、左および右ディハッカ・データを識別するために使用される。
【0151】
【0152】
[00151] ディハッカ・プラットフォームまたは鋸オフカット(saw offcut)のいずれかから煉瓦敷設機械に装填されたブロック毎に、blockstate表内にエントリを作る。このレコードは、ブロックを生成したdehackoperationまたはsawoperationを参照する。これは、物理ブロックは損傷する可能性があるので、家データのために使用されるブロック表とは別であり、第2blockstateレコードが、家におけるブロックの第2インスタンスのために生成される。また、鋸からのオフカットは、それが家に未だ割り当てられていなくても、blockstateエントリを必要とする。これらのレコードは、H109上におけるブロックの現在の位置を指定し、切断、刳り抜き、および差し込み口除去が完了したか否か、ブロックの現在の長さ、ならびに各端部から除去されたブロックの長さを記録する。このデータは、クランプ・データ(次の節で説明する)に加えて必要とされる。何故なら、これは、損傷を受け廃棄されたブロックと、家に敷かれたブロックとの間の差を追跡することができるからである。ブロックがQCレーザ・スキャンされるとき、実際のブロックの寸法が表に格納される。
【0153】
[00152] また、ヘッド・フリッパおよび敷設アーム・ログ(laying arm log)もblockstate表と関連付けられる。何故なら、これらはブロック毎に1回しか格納されないからである。これらは、各動作の開始時刻および動作時間を記録する。
【0154】
【0155】
[00153] blockstate表を補足するために、機械上の全てのクランプの状態を記録するlocationstate表がある。この表は、クランプがブロックを有するか否か、そしてそのIDは何かを記録する。ブロック転送中は、2つのクランプが同じブロックを保持している可能性があるので、ブロック状態データに加えて、これが必要とされる。このデータは、2つのクランプが双方共ブロックを保持しているときに、機械がこれらのクランプが離れるように移動させるのを防止するために使用される。何故なら、これは機械に損傷を与える原因になる可能性があるからである。
【0156】
【0157】
[00154] 機器記録を実行するために、機器の各品目はそれ自体のデータ構造型をPLC内に有する。機器構造型毎に別個のバッファが、煉瓦敷設機械全体に対する(across)ログのために使用される。テールが満足のいくように添付されない場合、警報を発生させる。
【0158】
[00155] 機械の機器(machine equipment)がブロックを移動させるまたは操作する毎に、詳細が記録される。通例、これはブロックID、機器が行なっていたこと、性能パラメータ、および視覚システムからの任意の適用された補正を含む。
【0159】
[00156] conveyeroperation表は、装填されたパレットの型式、および動作データを記録する。動作データは、動作時間、平均トルク、トルク標準偏差、ラグ・エラー平均(lag error mean)、およびラグ・エラー標準偏差から成る。動作データは、経時的な機器性能変化の検出に役立つ。コンベヤ動作記録は特定の家には添付されない。何故なら、1つのパレットからのブロックは、間で機械の位置調整(pack up)を行うことなく、隣接する家を建築するために使用される可能性があるからである。
【0160】
【0161】
[00157] パレットから除去された行(row)毎に、搬出動作がdehackoperation表に記録される。これは、視覚システムから戻された結果を含む。即ち、3つの検出された行の回転だけでなく、XおよびY位置も含む。3つの行は、2つの端の行と中央の行(centre most row)である。中央の行が必要とされるのは、ベイの外形のために、いくつかのパレットを中央行から搬出しなければならないからである。視覚データと共に、PLCはパレット層、および実際に選び出された行(戻された3つの内)はどれかを記録する。動作ログは格納されない。何故なら、ディハッカは3d動き制御CNC機器であり、このデータは、1組の統計値に容易に変換する(reduce)ことができないからである。これらのドライブの分析は、以下で説明する軸記録データ(axis logging data)に対して実行されなければならない。動作ログは、クランプ動作を含まない。何故なら、これは、以下で説明するクランプ交換表によって処理される(handle)からである。
【0162】
【0163】
[00158] 鋸が行う切断毎に、sawoperation表に鋸動作を記録する。動作記録はクランプ動作を含まない。何故なら、これは、以下で説明する、クランプ交換表によって操作される(handle)からである。動作ログは、表軸動作時間(table axis operation time)、平均トルク、トルク標準偏差、およびラグ・エラー標準偏差を保持する。また、これは鋸トルク標準偏差、および速度誤差標準偏差値も記録する。
【0164】
【0165】
[00159] ルータが切断するブロック毎に、routeroperation表にルータ動作が記録される。ルータは3d動き制御CNC機器であり、このデータは容易に1組の統計値に変換(reduce)することができないので、動作ログは格納されない。これらのドライブの分析は、以下で説明する軸記録データ(axis logging data)に対して実行されなければならない。ログは、クランプ動作を含まない。何故なら、これは、以下で説明するクランプ交換表によって操作されるからである。
【0166】
【0167】
[00160] 転送ロボットがブロックを1つの場所から他の場所に移動させる毎に、transferoperation表に転送動作ログが作られる。これは、始発(source)および宛先クランプ位置である。転送は、複数の種類のブロック転送を実行することができ、これらは異なるログを必要とする。ブロックが正確な選出を必要とする場合、ログは、視覚システムから戻された結果を含む。即ち、ブロックの回転だけでなく、XおよびY位置も含む。転送がカルーセルに向かう場合、転送はレーザ・スキャンを含む。レーザ・スキャンは、スキャンによって得られた正確なブロックが、期待していたブロックに一致するか否か記録する。転送は3d動き制御CNC機器であり、このデータは容易に1組の統計値に変換できないので、動作ログは格納されない。これらのドライブの分析は、以下で説明する、軸記録データに対して実行されなければならない。ログは、クランプ動作を含まない。何故なら、これは、以下で説明する、クランプ交換表によって操作されるからである。
【0168】
【0169】
[00161] クランプ(またはプラットフォーム)によってブロックが掴まれるまたは放出される毎に、clampoperationおよびclampexchange表にクランプ動作が記録される。これらは、常に対になっており(与える側および受ける側のクランプ/プラットフォーム)、clampexchange表によってリンクされている。これは、動作の種類(開く/閉じる)、クランプ側(個々に処理されるクランプの側について左/右)、クランプに対する動作ログを含む。動作データは、経時的な機器性能変化の検出に役立つ。動作データは、動作時間、平均トルク、およびトルク標準偏差で構成されている。クランプが位置(position)かまたはクランプ動作(clamp operation)かに応じて、速度誤差標準偏差またはラグ・エラー標準偏差の追加データも記録される。
【0170】
【0171】
【0172】
[00162] 視覚システム記録は、頻繁にデータベースを使用する。起動時に、視覚システムはあらゆる種類のブロックの詳細をデータベースから把握する。この情報は、ブロックの理想的な寸法、差し込み口の存在、およびブロック種類に対するパレットの積み重ねパターンというような、視覚システムに関連があるブロックのプロパティで構成されている。
【0173】
[00163] この情報は、一旦データベースから取り込まれると、全ての視覚モジュールにわたって頻繁に使用されるが、システムは再度それを問い合わせすることはなく、したがって包括的な情報フローはここには文書化されない。
【0174】
[00164] しかしながら、動作中には、ブロックについての更に具体的な情報を求めて、データベースに問い合わせる。この情報は、ブロックの現在の位置、その測定サイズ、そのブロック種類、およびその穴/溝の詳細というような、ブロックの状態に関係する。
【0175】
[00165] 各視覚分析の完了時に、結果をデータベースに記録する。この情報は、何らかの理由で要求されたときに、後の見直しのために保持され、任意の1つのブロックから、それが現れる全ての画像までトレースできる程に詳細に記されている(detailed)。
【0176】
[00166] 格納された情報は、次の章で説明するように、モジュール毎に分離される。
[00167] ディハッカ・モジュールは、他のモジュールと比較すると、データベースに関して、はるかに多くの記録すべき情報を有する。あらゆるディハッカ・プロセスは、それと関連付けられたdehackhalcon表を有する。他のモジュールと同様に、これらのレコードの1つは、PLCが行う要求毎に作成される。
【0177】
【0178】
[00168] 他のモジュールとは異なり、ディハッカは3つの結果の表、即ち、dehackrowshalcon、dehackrowhalcon、およびdehackblockhalconを収容する。試行されたあらゆる分析について、dehackrowshalconレコードが、ブロック行のリストと共に作成され、各々、1つのdehackrowhalconエントリによって表される。このエントリは、6DOFにおいて行の計算された有効中心を収容する。あらゆるブロック行について、多くのブロックが存在し、各ブロックは、dehackblockhalcon表におけるエントリによって表され、各々、ブロックの種類だけでなく、ブロックの6DOFも収容する。したがって、ディハッカ視覚モジュールに対するあらゆる試行は、多くのdehackrowhalconから成る1つのdehackrowshalconを収容し、一方、各dehackrowhalconは、多くのdehackblockhalconを有する。PLCリターンのために選択された3つの行は、dehackrowhalconレコードにおいて示される。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
[00169] あらゆる転送動作は、transferhalconと命名されたデータベースにおける1つの表にリンクされる。この表は、PLC動作と視覚システム分析との間のリンクを表す。これらの表の1つは、PLCが、基礎における1つの場所から他の場所にブロックを移動させるために転送動作を開始する毎に作成される。これらの転送の各々は、1つ以上のtransferblockhalcon表を収容する。
【0183】
[00170] transferblockhalcon表は、各分析の実際の結果を収容する表である。この表に格納される情報は、必要な場合に分析を再現するために必要とされる情報を有するだけでなく、ブロックの検出された位置も表す。したがって、この表は、ブロックの状態およびそれが格納されている位置だけでなく、分析の結果も収容する。分析の結果は、ブロックX、Y、およびR位置である。ブロックの状態は、分析の時点におけるブロックを、その左切断量および右切断量に関して、記述する。最後に、位置状態(location state)は、分析位置に対するオフセットX、Y、およびRで構成され、PLCによって供給されたオフセット、および機械設定/較正の間に定められたオフセットによって計算される。
【0184】
【0185】
【0186】
[00171] あらゆるQCレーザ・スキャナ動作は、laserscanhalconと命名された、データベースにおける1つの表にリンクされる。この表は、PLC動作と視覚システム分析との間のリンクを表す。これらの表の1つは、PLCがレーザ・スキャナに、カルーセルに宛てたブロックを渡す毎に作成され、1つ以上の結果の表が入力される。QCの結果は非常に簡単である。PLCは、合格または失格だけを、失格の場合には識別子も一緒に受け取る。以前と同様、laserscanhalconエントリ毎に、試行毎に1つずつ、多数の分析があっても良い。
【0187】
【0188】
【0189】
[00172] 敷設ヘッド視覚動作(lay head vision operation)毎に、headhalconと命名された1つの表が存在する。この表は、PLC動作と視覚システム分析との間のリンクを表す。これらの表の1つは、PLCが敷設ヘッド・モジュールに要求する要求毎に作成され、1つ以上の結果の表が入力される。
【0190】
[00173] headhalcon表毎に、少なくとも1つのheadblockhalconと命名された少なくとも1つの表が存在する。この表は、1つの視覚分析の実際の結果を収容する。実際の結果とはブロックの6DOF姿勢(poses)である。間欠的障害(intermittent fault)の場合、1つよりも多いこれらのheadblockhalcon表が、試行毎に1つずつある。
【0191】
【0192】
【0193】
[00174] 任意の視覚結果表の1つ1つのインスタンス毎に、視覚システムは、標準化された場所における分析の間に使用および作成された様々な画像も格納する。これらの画像は、撮像デバイスからの生画像、および分析中に生成された種々のその他の形態のデータを含む。ファイルのファイル名は、結果が得られた状況を記述する。
【0194】
[00175] 例えば、ファイル名「Logs/BI/TM/T8-I-FIP」は、以下のことを意味する。
[00176] 家1、転送マスタ(Transfer Master) 、転送位置8、PLC動作ID1、試行1の失敗、処理済み。
【0195】
[00177] ディハッカについて、生画像および処理済み画像が、dehackhalconエントリ毎に格納される。処理済み画像とは、グローバル座標に修正された後の画像であり、各ブロックおよび行の位置が印されている。
【0196】
[00178] ディハッカ・エントリには、識別子D#が格納される。ここで、#はディハッカのIDである。ファイルのプレフィックスは識別子と一致する。
[00179] 転送は、関連するカメラからの生画像、および世界座標系にマッピングされた後の処理済み画像を、検出されたブロックの概要(outlined)と共に格納する。
【0197】
[00180] これらのエントリには、識別子TMが格納され、個々のエントリにはT#が前に置かれる。ここで、#は位置IDである。
[00181] laserscanhalconエントリ毎に、レーザ・スキャナからの生画像が、画像内に表される点群、失った点の点群、および余分な点の点群と共に格納される。後の参照のために、点群におけるブロックの一致位置も格納されるが、動作には関連がない。
【0198】
[00182] QCエントリは、識別子QCを使用して格納される。ファイルには、QCが前につけられ、コンテンツ・タイプが後ろに付けられる。ここで、Mは逸失 (missing)を意味し、Eは余分(extra)を意味する。例:QC-2、QC-4-F2M、またはQC-6-F1E。理論的には、完全なブロックにはMファイルもEファイルもないはずである。
【0199】
[00183] layheadに対して、カメラ・アレイからの全ての生画像、およびこれらの画像から計算された点群が、headhalconエントリ毎に格納される。
[00184] layheadエントリは、識別子LHを使用して格納され、多数の画像にL1からL6が前に付けられる。
【0200】
[00185] 全ての軸および機材は、動作データの通常の記録(logging)を有する。ドライブが動作している間、以下のパラメータをチェックする。
・ドライブの設定点と実際の位置との間のラグ(PositionLag)、
・ドライブの速度、
・ドライブの加速度、
・ドライブのトルク、
・ドライブによって進んだ距離。
【0201】
これらのいずれかが相当な量だけ変化した場合(量は設定可能である)、データベース内にログを作成するイベントがトリガされる。記録に対するトリガに関係なく、以下の変数が格納される。
【0202】
【0203】
[00186] このデータは、特別に作られた「ドライブ・ログ」構造内に格納される。次いで、これは軸ログ構造(axis log structure)のバッファに、テールとして添付される。このバッファは、機械全体の全ての軸ログに使用される。テールが正しく添付されない場合、警報が発生する。
【0204】
[00187] DriveReferenceとして定められたドライブは、以上の変数、ならびにそれが参照しているペアレント(parent)に対する位置、速度、および加速度を格納する。このデータは、特別に作られた「DriveReference-ログ」構造内に格納される。バッファは、機械全体の全てのDriveReferenceログに使用される。テールが正しく添付されない場合、警報が発生する。
【0205】
【0206】
[00188] DriveClampとして定められたドライブは、DriveReferenceと同じ変数、およびクランプ装置自体が移動した総距離を格納する。また、これはクランプ動作状態(クランプが何をしているか)も記録する。このデータは、特別に作られた「DriveClamp-ログ」構造内に格納される。バッファは、機械全体の全てのDriveClampログに使用される。テールが正しく添付されない場合、警報が発生する。
【0207】
【0208】
[00189] 本発明の設計および制御ソフトウェアは、煉瓦敷設機械を使用して煉瓦およびブロックで建てることができるあらゆる構造の、設計から建築完了(completed build)までの、完全な解決手段を提供する。