(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】キャッピングMEMSデバイス用の垂直ストッパー
(51)【国際特許分類】
B81B 7/02 20060101AFI20220329BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20220329BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20220329BHJP
G01P 15/08 20060101ALI20220329BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B81B7/02
B81B3/00
G01P15/125 Z
G01P15/08 102D
G01P15/08 101A
H01L29/84 Z
(21)【出願番号】P 2019524369
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(86)【国際出願番号】 US2017061001
(87)【国際公開番号】W WO2018089733
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2019-07-02
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503062253
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジンボ・クァン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラヴ・ヴォーラ
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0089153(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0020693(US,A1)
【文献】特開2011-247812(JP,A)
【文献】特開2010-060336(JP,A)
【文献】特表2013-501941(JP,A)
【文献】特開2008-292451(JP,A)
【文献】米国特許第09206032(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 7/02
B81B 3/00
G01P 15/125
G01P 15/08
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の可動プルーフマスと、前記第1の可動プルーフマスと同じ平面の面内を動くように構成された第2の可動プルーフマスとを有し、ストッパーを含むキャップに密封された微小電気機械システム(MEMS)デバイスの動作方法であって、
モード形状を有する第1の面内のモードで、前記第1の可動プルーフマスと前記第2の可動プルーフマスとを振動させる
ことと、
前記ストッパーを使用して前記第1の可動プルーフマスの前記第1の面内のモードの動きを減衰させることと
を含
み、
前記第1の可動プルーフマスが、前記第2の可動プルーフマスの内側エッジに隣接した外側エッジを有し、前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスの前記外側エッジおよび前記第2の可動プルーフマスの前記内側エッジの上に重なっており、前記ストッパーの外辺部は、前記第2の可動プルーフマスの前記内側エッジと前記第2の可動プルーフマスの外側エッジとの間に位置する、
方法。
【請求項2】
前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスの面積の50%を超える面積を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の可動プルーフマスの前記動きを減衰させることが、前記第2の可動プルーフマスの面内の動きを減衰させることを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の可動プルーフマスが、前記第1の可動プルーフマスと同心であり、かつその外側にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の可動プルーフマスを、前記第1の可動プルーフマスと同一面内で、かつ前記第1の可動プルーフマスの振動と直交して動かすことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスと隣接した不連続な表面を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の可動プルーフマスと、前記第1の可動プルーフマスと同じ平面の面内を動くように構成された第2の可動プルーフマスとを有し、キャップ付き微小電気機械システム(MEMS)デバイスの減衰された動きを与える方法であって、
基材にばねで連結された前記第1の可動プルーフマス及び前記第2の可動プルーフマスを、前記基材に連結されたキャップのストッパーと平行に、かつその20マイクロメートル以内の運動平面内でモード形状にわたって振動させる
こと
を含
み、
前記第1の可動プルーフマスが、前記第2の可動プルーフマスの内側エッジに隣接した外側エッジを有し、前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスの前記外側エッジおよび前記第2の可動プルーフマスの前記内側エッジの上に重なっており、前記ストッパーの外辺部は、前記第2の可動プルーフマスの前記内側エッジと前記第2の可動プルーフマスの外側エッジとの間に位置する、
方法。
【請求項8】
前記第2の可動プルーフマスを、前記第1の可動プルーフマスと同一面内で、かつ前記第1の可動プルーフマスと直交して動かすことを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の可動プルーフマスが、前記ストッパーの下に重ならない周辺部を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の可動プルーフマスを、前記第1の可動プルーフマスと同一面内で、かつ前記第1の可動プルーフマスと直交して動かすことが、前記MEMSデバイスの回転に応じてなされる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
MEMSデバイスであって、
第1の可動プルーフマスと、
前記第1の可動プルーフマスと同じ平面の面内を動くように構成された第2の可動プルーフマスと、
前記第1の可動プルーフマス及び前記第2の可動プルーフマスをカバーするキャップと、
を含み、
前記キャップが、前記第1の可動プルーフマスの50%を超えて上に重なるストッパーを含み、
前記第1の可動プルーフマスが、前記第2の可動プルーフマスの内側の境界に隣接した外側の境界を有し、
前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスの前記外側の境界および前記第2の可動プルーフマスの前記内側の境界の上に重なっており、
前記ストッパーの外辺部は、前記第2の可動プルーフマスの前記内側の境界と前記第2の可動プルーフマスの外側の境界との間に位置する、
MEMSデバイス。
【請求項12】
前記ストッパーが前記第2の可動プルーフマスをカバーしない、請求項11に記載のMEMSデバイス。
【請求項13】
前記第1および第2の可動プルーフマスを互いに接続する要素を更に含む、請求項12に記載のMEMSデバイス。
【請求項14】
前記第2の可動プルーフマスが、前記第1の可動プルーフマスと同心であり、かつその外側にある、請求項13に記載のMEMSデバイス。
【請求項15】
前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスと隣接し、かつ前記第1の可動プルーフマスと実質的に平行である面を有し、前記ストッパーの面が、前記第1の可動プルーフマスに対応するモード形状の75%~125%の表面積を有する、請求項11に記載のMEMSデバイス。
【請求項16】
前記ストッパーが、前記第1の可動プルーフマスと隣接し、かつ前記第1の可動プルーフマスと実質的に平行である面を有し、前記面が不連続である、請求項11に記載のMEMSデバイス。
【請求項17】
第3の可動プルーフマスを更に含み、前記ストッパーが、前記第3の可動プルーフマスの50%を超えてカバーしている、請求項11に記載のMEMSデバイス。
【請求項18】
第4および第5の可動プルーフマスを更に含み、前記ストッパーが、前記第4および第5の可動プルーフマスの各々の50%を超えてカバーしている、請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月11日に代理人整理番号G0766.70133US00の下で出願された「Vertical Stopper For Capping MEMS Devices」と題する米国仮特許出願第62/420,893号の利益を、米国特許法第119条(e)の下で主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本出願は、2017年7月14日に代理人整理番号G0766.70133US01の下で出願された「Vertical Stopper For Capping MEMS Devices」と題する米国特許出願第15/650,822号の利益を、米国特許法第120条の下で主張する継続であり、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。米国特許出願第15/650,822号は、2016年11月11日に代理人整理番号G0766.70133US00の下で出願された「Vertical Stopper For Capping MEMS Devices」と題する米国仮特許出願第62/420,893号の利益を、米国特許法第119条(e)の下で主張し、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0003】
本出願は、キャッピング微小電気機械システム(MEMS)デバイスのためのキャッピング技術に関する。
【背景技術】
【0004】
一部の微小電気機械システム(MEMS)デバイスは、可動プルーフマスを含む。実施例としては、共振子、加速度計、およびジャイロスコープが挙げられる。プルーフマスは、1つの基材、またはMEMSウエハと呼ばれるウエハ上に形成してもよい。キャッピング構造は、プルーフマス周囲に密封されたエンクロージャを形成するため時にはMEMSウエハに結合される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
キャップ付き微小電気機械システム(MEMS)デバイスについて記載されている。場合によっては、MEMSデバイスは、1つ以上の動くマスを含む。キャップは、1つ以上の可動マスの動きを減衰させるストッパーを含み得る。場合によっては、ストッパーは、マスのうちの1つの動きを減衰させるが、別のマスは減衰させない。
【0006】
本出願の1つの態様によれば、ストッパーを含むキャップに密封された微小電気機械システム(MEMS)デバイスの動作方法が提供される。本方法は、モード形状を有する第1の面内のモードで、MEMSデバイスの可動プルーフマスを振動させることを含んでもよく、ストッパーは、モード形状の周辺部および/または可動プルーフマスの内部エッジ上に重なって成形され、ストッパーを使用して可動プルーフマスの第1のモードの動きを減衰させる。
【0007】
本出願の別の態様によれば、キャップ付き微小電気機械システム(MEMS)デバイスの減衰された動きを与える方法が提供される。本方法は、基材にばねで連結された可動プルーフマスを、基材に連結されたキャップのストッパーと平行に、かつその20マイクロメートル以内の運動平面内でモード形状にわたって振動させることを含んでもよい。可動プルーフマスは、ストッパーの下に重なった外側および/または内側エッジを有する。
【0008】
本出願の別の態様によれば、MEMSデバイスが提供される。MEMSデバイスは、第1の可動プルーフマス、および第1の可動プルーフマスをカバーするキャップを含み得、キャップは、第1の可動プルーフマスの50%を超えて重なるストッパーを含む。
【0009】
本出願の種々の態様および実施形態を、以下の図を参照して説明する。図は必ずしも一定の縮尺では描かれていないことを理解されたい。複数の図に現れるアイテムは、それらが現れるすべての図において同じ参照番号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】いくつかの非限定的な実施形態による、ストッパーを含むキャップに密封されたプルーフマスを含む微小電気機械システム(MEMS)デバイスを表す概要図である。
【
図1B】
図1AのMEMSデバイスの破線1Bに沿った断面図である。
【
図2】いくつかの非限定的な実施形態による、本明細書に記載されるMEMSデバイスの動作方法を示すフローチャートである。
【
図3A】いくつかの非限定的な実施形態による、プルーフマスの内部エッジ上に重なるストッパーを含むキャップに密封された、プルーフマスを含むMEMSデバイスを示す概要図である。
【
図3B】
図3AのMEMSデバイスの破線3Bに沿った断面図である。
【
図3C】ストッパーがそれ自体に孔を有する
図3Aに対する代替的案である。
【
図4】いくつかの非限定的な実施形態による、プルーフマスの大部分とは重なるが感知フィンガーとは重ならないストッパーを含むキャップに密封されたプルーフマスを含むMEMSデバイスを示す平面図である。
【
図5A】ストッパーを含むキャップに密封されたプルーフマスを含むMEMSデバイスを示す概要図である。
【
図5B】いくつかの非限定的な実施形態による、2つのプルーフマス各々のためのストッパーを含むキャップに密封されたMEMSデュアルマスジャイロスコープを示す概要図である。
【
図5C】いくつかの非限定的な実施形態による、両方のプルーフマスを覆う単一のストッパーを含んだキャップに密封されたMEMSデュアルマスジャイロスコープを示す概要図である。
【
図5D】いくつかの非限定的な実施形態による、4つの各々のプルーフマスを覆うストッパーを含むキャップに密封されたMEMS4連(クワッド)マスジャイロスコープを示す概要図である。
【
図5E】いくつかの非限定的な実施形態による、4つのプルーフマスを覆う単一のストッパーを含むキャップに密封されたMEMS4連(クワッド)マスジャイロスコープを示す概略図である。
【
図6】いくつかの非限定的な実施形態による、本明細書で記載されるタイプのMEMSデバイスを含むシステムを示すブロック図である。
【
図7】いくつかの非限定的な実施形態による、
図6のシステムを含む車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願の態様は、微小電気機械システム(MEMS)デバイスのためのキャッピング構造を提供し、そのキャッピング構造は、キャップ付きMEMS構成要素の動きを減衰させるように成形および配置されたストッパーまたは突起物を含む。いくつかの実施形態では、キャップのストッパーは、MEMSウエハがキャップされた面内のモードで振動するプルーフマスと協調する。ストッパーは、MEMS構成要素が動いたときにガスフローがそれを通り抜ける領域に重なり、したがって、そのようなガスフローを妨げ、方向転換させ、または障害となることにより減衰機能を提供するように成形および配置されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ストッパーは、可動プルーフマスのモード形状の周辺部および/または可動プルーフマスの内部エッジ上に重なっている。ストッパーは、プルーフマスと協調し、可動プルーフマスの50%を超える、可動プルーフマス面積の60%~130%、またはそれらの範囲内の任意の値の表面積を有してもよい。
【0012】
一部のMEMSデバイスは、ウエハ面上に懸架され、弾性ばねとして機能するビームにより保持された可動プルーフマスを含む。品質係数(Q)は、可動プルーフマスの振動の定性的挙動を記述するために定義することができ、MEMS構成要素の周波数帯域と、それ自体の中心周波数に対する比較で表すことができる。Qが高い程、可動プルーフマスの蓄積エネルギーに対してエネルギー損失率がより低いことを示している。特定のシステムや用途に応じて、異なる値のQが望ましいことがある。発明者らは、キャッピング構造の構成により、可動プルーフマスのQを制御できることを認識し評価した。
【0013】
本出願のひとつの態様によれば、MEMSデバイスは、ストッパーを備えたキャッピング構造により密封された可動プルーフマスを有する共振子であってもよい。ストッパーは、上に重なる可動プルーフマスに近接しているが、離間していてもよい。可動プルーフマスは、平面の外に配置されたストッパーと同一面内を動くように構成されてもよい。ストッパーは、密封したエンクロージャの容積を制限することにより、減衰機能を果たし、それによりプルーフマスが動いたときのエンクロージャ内のガスの潜在的な変位を制限する。したがって、共振子のQは、ストッパーの可動プルーフマスに対する配置および/または表面積、および/またはストッパーと可動プルーフマス間のギャップの距離によって調整することができる、減衰目標度合いを得るようにストッパーを設計することにより制御することができる。
【0014】
本出願の別の態様によれば、MEMSデバイスは、ストッパーを有するキャッピング構造により密封された共振子および1つ以上の感知フィンガーを有する加速度計であってもよい。共振子の可動プルーフマスから加わる力に対する感知フィンガーの応答に与える減衰の影響を少なくまたは最小にするように、ストッパーは、共振子の上に重なるが、感知フィンガーとは重ならないサイズにすることができる。加速度計は、ストッパーと協調し、その下に重なった少なくとも2つの共振子(例えば差動加速度計)を含んでもよい。
【0015】
本出願の別の態様によれば、MEMSデバイスは、ストッパーを有するキャッピング構造により密封された共振子および加速度計を有するジャイロスコープであってもよい。ストッパーは、共振子と重なってもよいが、加速度計とはある程度まで重ならなくてもよい。このような構成は、共振子の動きを加速度計のそれより減衰させることができ、この点において、選択的減衰を提供すると言うことができる。その結果、この構成により、共振子Qおよび加速度計Qの独立した制御が可能となる。共振子Qは、大きい圧力で密封したエンクロージャにより達成されるものと同等であり得るため、同じ共振子Qを保ちつつ高い加速度計のQを得るために低い圧力を使うことが可能となる。減衰ストッパーをシールドとして機能させることができるので、この構成により、更に共振子から加速度計の感知フィンガーへの電気的接続を減らすことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ジャイロスコープは、可動コリオリプルーフマス、およびストッパーを有するキャッピング構造により密封された少なくとも2つの共振子を含んでもよい。少なくとも2つの共振子の動きの不一致は、位相分散の原因となる可能性があり、オフセット、ジー感度(gee-sensitivity)およびジャイロスコープとパッケージングとの間のエネルギーカップリングを引き起こし得る。共振子の低いQは、このような影響を低減し得る。しかしながら、低いコリオリQは、高いジャイロスコープノイズの原因となる。このように、発明者らは、共振子およびコリオリプルーフマスを含む少なくともいくつかの実施形態において、共振子の低いQは望ましいが、プルーフマスでは望ましくない場合があることを認識した。したがって、ストッパーが設けられていない場合と比較して、コリオリQがせいぜいわずかに減少するが、共振子Qが実質的に低減されるように、ストッパーは、少なくとも2つの共振器に重なり、可動コリオリプルーフマスには重ならないようにすることができる。このような構成は、増加したコリオリQを提供しながら、減衰ストッパーなしで達成されるのと同じ共振子Qを得るために、低いキャッピング圧力の使用を容易にすることができる。この構成は、更に共振子からコリオリ電極への電気的接続を減らすこともできる。
【0017】
上記の態様および実施形態、ならびに追加の態様および実施形態が、以下で更に説明されている。これらの態様および/または実施形態は、個別に、すべて一緒に、または2つ以上の任意の組み合わせで、用途はこの点に限定されず使用されてもよい。
【0018】
図1Aは、本出願の非限定的な実施形態による、可動プルーフマスを覆う減衰ストッパーを有する微小電気機械システム(MEMS)デバイス100の複数の重なり合う平面の平面図を示す。
図1Bは、MEMSデバイス100の
図1Aの1B破線に沿った断面図を示す。
図1Aは、
図1Bの線122および123に沿った平面の重ね合わせを表しており、つまり、
図1Aは、MEMS基材を通る平面上に重ねられたキャップを通る平面を示している。
【0019】
MEMSデバイス100は、接合材114を用いてキャップ124により密封されているMEMS基材112を含む。MEMS基材112は、ばね110により空洞の上で保持される可動プルーフマス106を含み得る。キャップ124は、可動プルーフマス106の上になるように配置されたストッパー102を含み、図示した例では、ストッパーに近接しかつ平行なプルーフマスの表面より大きい表面積を有する。
【0020】
いくつかの実施形態ではウエハであり、または他の実施形態では代替的にさいの目に切ったチップであり得るMEMS基材112は、懸架されたプルーフマス106、およびプルーフマスをMEMS基材112に連結するばね(または「テザー」)110を含み得る。このようにしてプルーフマス106は、MEMS基材112内の空洞上で保持され得る。MEMS基材112は、シリコンもしくはより一般的な半導体材料、または他の任意の適切な材料により形成されてもよい。いくつかの非限定的な実施形態では、プルーフマス106およびばね110は、例えば、MEMS基材112からエッチングされて、同一材料により形成される。しかしながら、他の実施形態では、プルーフマスおよびばねは異なる材料、または少なくとも異なる材料の堆積で形成されてもよい。
【0021】
図1Aはプルーフマス106のアウトラインを破線で示している。プルーフマス106は、
図1Aに示される方向116に沿ってプルーフマスが動くような構成で、MEMS基材112からばね110によって懸架されている。例えば、プルーフマスは方向116に沿って駆動される共振子であってもよい。あるいは、プルーフマスは受けた加速度に応じて方向116に沿って移動することが可能な加速度計の一部であってもよい。用いられるプルーフマスのタイプに関係なく、プルーフマスの移動は、
図1Aにモード形状108として示されるモード形状で定義され得る。図示した例では、モード形状108は、プルーフマス106が均衡位置から正および負のX両方向に移動したことを意味するプルーフマス106よりX方向に大きい横範囲の平面エリアMを有し得る。他のモードの振動(またはより一般的には動き)も可能であり、図示したモード形状は非限定的な実施例である。更に、MEMSデバイスのタイプにより、プルーフマス106上の電極、電気的接続配線、または他の構造体のような追加の構造体が含まれていてもよい。これらの任意の構造体は、例示の単純化のために図から省略されている。
【0022】
半導体材料または他の任意の適切な材料であり得るキャップ124は、くぼみ104に取り囲まれたストッパー102を含んでもよい。ストッパーは、MEMS基材112に面する表面積Aからなる表面130を有してもよい。くぼみ104は、ストッパー102が突出部、平坦域、伸長、隆起、または同様な構造物を示し得るように、エッチングにより形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ストッパー102はキャップ124の中心領域に配置されてもよいが、他の実施形態では代替的な位置が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、キャップはシリコンウエハであってもよく、ストッパーはシリコンウエハをエッチングすることによって形成されてもよい。くぼみ104の深さは、非限定的な範囲内の任意の値(例えば80μm)を含む20μm~150μmであり得る。ストッパーの表面130は、プルーフマスの実質的に平行な上部表面128と距離d1の間隔により独立していてもよい。距離d1は、いくつかの実施例では、非限定的な範囲内の任意の範囲(例えば2μm~20μm、または3~10μm)を含み、20μmより小さくてもよい。
【0023】
前述の通り本出願の態様は、MEMSデバイスのためのキャップのダンパーとして機能するストッパーを提供する。少なくともいくつかの実施形態では、ストッパーは、プルーフマスの動きを減衰させること、およびプルーフマスが許容範囲を超えて延びる動きを止めることの2つの機能を実現する減衰ストッパーであってもよい。減衰機能を提供するために、1つ以上のストッパーの特徴が選択されてもよい。例えば、ストッパーは、プルーフマスのモード形状周辺部上に重なって配置されてもよい。
図1Aおよび1Bを一例として考慮すると、ストッパー102面内の外辺部は、モード形状108の周辺部上に重なっている。いくつかの実施形態では、表面130の外辺部は、モード形状108の周辺部を越えて延びていてもよい。例えば、表面130の表面積Aは、モード形状108のエリアMより大きくてもよい。プルーフマス106が動くと、それは周囲に存在する範囲で周辺のガスを押す。ストッパー102をモード形状108の周辺部上に重なるように配置することにより、このようなガスの流れを停止、方向転換、または別の方法で阻害し、少なくともいくつかの実施形態においては、プルーフマス106の動きを減衰する。
【0024】
いくつかの実施形態では、MEMSデバイス用キャップのストッパーの減衰機能は、ストッパーが下に重なったプルーフマス表面積のかなりのパーセンテージを占める表面積を持つように寸法出しすることにより実現されてもよい。
図1Aおよび1Bを参照すると、表面積Aは、例えば、表面積Sの50%より大きくなるようにプルーフマス106の表面積Sに実質的に対応して選択されてもよい。いくつかの実施形態では、表面積Aは、表面128の面積Sおよび/またはモード形状108の面積Mの、75%~125%であり得、この範囲の任意の値を含む。ストッパーがモード形状108の周辺部上に重なっているかどうかに関係なく、プルーフマスが配置されている密封エンクロージャの容積を制限すること、つまりプルーフマス106が動いているときのエンクロージャ内のガスの潜在的な変位を制限することによって、ストッパー102は、プルーフマス106の動きを減衰させることができる。例えば、ストッパー102が省略されるか、または異なる形/サイズを有する場合、一部の空気は、ストッパーにより空気が矢印120の方向に強制的に移動させられる代わりに、矢印118方向に動く。したがって、ストッパーの可動プルーフマスに対する配置および/または表面積、および/またはストッパーと可動プルーフマス間のギャップの距離によって、可動プルーフマスのQを調整することができる。したがって、すべての実施形態で、プルーフマスのモード形状周辺部上に重なったストッパーを採用するわけではない。
【0025】
間隔d1のサイズは更に、プルーフマス106の動きの減衰を促進するために使用してもよい。d1を小さくすることは、プルーフマス106が配置されている密封空洞の容積を制限するのに役立つ。そのようにすると前述のように、プルーフマス106の面内の動きを減衰させることに寄与する。d1の値は、上記の任意の値を取り得る。
【0026】
したがって、サイズ、プルーフマス106に対する配置、およびプルーフマスからの距離d1を含むストッパー102の特徴は、ストッパー102の減衰機能を促進するように選択される。一般に、ストッパー102の表面130は、長方形形状、リング形状、不連続な形状、または任意のその他の好適な形状を有してもよい。表面130は、プルーフマス106の面積Sに対応した上述の任意の寸法に応じて大きさを決めた面積Aを有してもよい。距離d1は、上述の任意の値であり得る。
【0027】
接合材114は、エポキシ、ガラスフリット、接着剤、共晶接合材料、または他の任意の適切な接合材であり得る。接合材の厚さは、2μm~20μmの範囲、例えば、3~10μmであり得、これらの範囲内の任意の値を含む。接合は気密封止を提供してもよい。
【0028】
MEMS基材112は、所望の圧力/ガス組成物を有する環境内にキャップ124により密封されてもよい。いくつかの実施形態では、
図1Aおよび1Bの構造により、減衰ストッパーがないキャップによる圧力よりも低い圧力で密封した場合でも、同じかまたはより高いデバイスQを達成することができる。例えばいくつかの実施形態では、同じQのMEMSデバイスを提供する場合でも、本明細書で記載されるタイプの減衰ストッパーを有するキャップを使ったとき、圧力は2~5倍低くてよい(例えば300ミリバールの代わりに100ミリバール)。他の減圧も可能である。
【0029】
図1Aおよび1Bは単一のプルーフマス106およびストッパー102を示しているが、本明細書で記載される種々の態様はこのように限定されるものではない。前述の通り、MEMS基材112は、いくつかの実施形態では、キャップ124と同じようにウエハとすることができる。したがって、複数のプルーフマス106がMEMS基材112上に形成され、それぞれに提供されたストッパー102と共に、ウエハからダイシングされたキャッピング構造でキャップされてもよい。
【0030】
動作中、プルーフマス106は、例えば振動により、平面122上を方向116に沿って動くことができる。この動きは、ストッパー102の存在によって上記の方法により減衰させることができる。更に、プルーフマスがz方向に面の外に動いた場合、ストッパー102はそのような動きを制限する可能性がある。
【0031】
したがって、本出願の態様によれば、可動マスを含むMEMSの動作方法が提供される。本方法は、可動マスが配置されている平面で可動マスを動かすことと、MEMSデバイスをキャッピングするキャップのダンパーまたは減衰ストッパーを使用して可動マスの動きを減衰させることとを含むことができる。
【0032】
図2は、いくつかの非限定的な実施形態による、本明細書に記載されるMEMSデバイスの動作方法を示している。手順200はステージ202から開始でき、そこではMEMSデバイスの可動プルーフマスがモード形状を有する面内のモードで振動することができ、MEMSデバイスは、ストッパーを含むキャップによりキャッピングされた空洞内に密封されていてもよい。ステージ204では、可動プルーフマスの動きは、モード形状および/または可動プルーフマスの内部エッジの周辺部上に重なるように成形成された、ダンパーまたは減衰ストッパーを使用して減衰することができる。ステージ204はステージ202のあとに続いているように示されているが、いくつかの実施形態では、この2つのステージは同時、または実質的に同じタイミングで起こり得ることを理解されたい。つまり、減衰は、可動プルーフマスが動く(例えば振動)ときに発生し得る。
図1Aおよび1Bは、ストッパー102が可動プルーフマスのモード形状の周辺部上に重なっている例を示しているが、他の実施形態では異なる構成を有する。前述の通り、MEMSキャップのストッパーは、下に重なった可動プルーフマスまたは可動プルーフマスのモード形状の外辺部上に重ねることにより減衰を提供することができる。しかしながら、いくつかの可動プルーフマスは内部エッジを有することがあり、プルーフマスが動いたときガスフローはそれらのエッジ付近で発生することがある。したがって、減衰ストッパーは、可動プルーフマスの内部エッジの上に重なることにより下に重なったプルーフマスの動きを減衰させることができる。
図3Aおよび3Bは非限定的な実施例を示す。
【0033】
MEMSデバイス300は、MEMS基材302、アンカー304、アンカー304からテザー308により懸架された可動プルーフマス306、およびストッパー312を含むキャップ310を含み得る。キャップ310は、MEMS基材302に接合材314により接合することができる。ストッパー312は、プルーフマス306の表面318に面しかつ接近した表面316を有することができる。
図3Aは、
図3Bの平面301aおよび301bに対応する複数の重なり合う平面の上面図であり、
図3Bは、
図3Aの直線3Bに沿ったデバイス300の断面図である。
【0034】
MEMS基材302は、前述のMEMS基材112と同じタイプ、または他の任意の適切なMEMS基材であってよい。アンカー304は、MEMS基材302からの突起であってもよい。テザー308は、真っ直ぐなビームまたは曲がった構造体のような前述のばね110と同じタイプであってもよい。
【0035】
プルーフマス306は任意の好適な寸法および形状とすることができる。図示されているように、プルーフマス306は外側の境界(または周囲)つまりエッジ320および内側の境界つまりエッジ322を有することができる。テザー308は、内側エッジに接触してもよい。プルーフマス306は、モード形状326を画定し、矢印324方向に沿い、xy平面内で動く(例えば揺れまたは振動)ように構成されてもよい。電極および電気的接続のような追加の構造体は、図の簡略化のために省略されている。
【0036】
キャップ310は、前述のキャップ124と同じタイプであってもよい。ストッパー312は、非限定的な実施例として20μm~150μmの高さH1を有してもよく、その範囲の任意の値を含む。ストッパー312の表面316は、プルーフマス306の表面318から、
図1Aおよび1Bにて既に記載された任意の値をとる距離d1により独立していてもよい。
【0037】
図3Aおよび3Bに見ることができるように、ストッパー312の外辺部は、プルーフマス306の内側の境界322の上に重なっており、かつそれより大きいが、外側の境界320までは延びていない。プルーフマス306が動くと、ガスは内側の境界322で押され、ストッパー312の位置決めがガスの流れを阻害(例えば方向転換)することができ、これによりプルーフマス306の動きを減衰させることができる。代替的な実施形態では、表面316は、内側の境界322と外側の境界320の両方の上に重なるのに十分に大きな面積を有してもよい。
【0038】
接合材314は、
図1Aおよび1Bの接合材114に関連して既に記載されたものと同じタイプであってもよい。
【0039】
MEMSデバイス300は、
図2の手順200のような方法で動作することができる。他の動作方法もまた可能である。
【0040】
いくつかの実施形態ではストッパー自体は、プルーフマスに隣接した連続的な平坦な表面を有しなくてもよい。つまり、
図3Bの表面316は連続的および/または平面でなくてもよい。代替案の一例が
図3Cに示されている。
【0041】
図3Cは、ストッパー自体が、そこに孔または開口部を有している
図3Aの代替案を示している。孔は破線328で表されている。つまり、プルーフマス306に隣接したストッパーの表面は、破線312と328との間にあってもよい。破線328の中側では、ストッパーは、例えば適切なエッチングによりくぼんでいてもよい。ストッパーのくぼみまたは孔は、任意の好適なサイズおよび/または位置を有してもよい。更に、単一の孔が図示されているが、複数の孔が、任意の好適な配置でストッパーに形成されてもよい。したがって、本出願の態様は、下に重なったプルーフマスに隣接した非平面を有する減衰ストッパーを提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、MEMSデバイス用キャップのストッパーの減衰機能は、1つ以上の駆動および/または感知構造体の上に重ならずに、下に重なった可動プルーフマスのモード形状の上に実質的に重なるように位置決めされてもよい。MEMS共振子、加速度計、およびジャイロスコープのような各種MEMSデバイスは、フィンガー状突起などの駆動および/または感知構造体を有することがある。例えば、容量型MEMS加速度計は、容量性櫛状構造を含むことができ、そこでは、プルーフマスの動きが、プルーフマスに連結されたフィンガーと、基材に連結された静止したフィンガー間のキャパシタンスに変換される。
図4は、このようなデバイスの一例の平面図を示す。
【0043】
MEMSデバイス400は、ばね406によりMEMS基材404に連結されたプルーフマス402を含む。プルーフマス402は、フィンガー408を含み、一方、2つの静止フィンガー410はMEMS基材404の基材に固定されている。例えば、静止フィンガー410は、プルーフマスのフィンガー408と同一面内になるように基材から上向きに突き出ていてもよい。
【0044】
プルーフマス402は、モード形状412を画定する方法で、XY平面を移動することができる。この動きにより、フィンガー408と近傍のフィンガー410間の距離が変化する。したがって、それらのフィンガー間のキャパシタンス値が変化する可能性があり、その変化は、例えばプルーフマス402の動きを確認するために検出され得る。
【0045】
MEMSデバイスをキャップするキャッピングの一部を形成する減衰ストッパー414は、プルーフマス402の上に重なって配置されてもよい。
図4の上面図で、ストッパーの外辺部は、プルーフマス402に重なり合っている。図示のように、ストッパー414は、プルーフマス402およびモード形状412の上に実質的に重なるように、寸法決めおよび配置されてもよい。しかしながら、ストッパー414は、フィンガー408または410の上には重ならない。
【0046】
いくつかの実施形態では、MEMSデバイス用キャップの減衰ストッパーは、2つ以上の可動マスを有するMEMSデバイス内に用いてもよく、マスの動きの選択的な減衰を提供してもよい。MEMSデバイスの一例はジャイロスコープであり、そのうちのいくつかは共鳴マスおよび加速マスを有する。ジャイロスコープの場合、共鳴マス(つまり、「共振子」)は、1つの方向に駆動されてもよく、加速マスはコリオリ力に応じて動いてもよい。共振マスのようなマスのうちの1つの動きを選択的に減衰するために、減衰ストッパーを設けることができる。非限定的な例が
図5A~5Cに示されている。
【0047】
図5Aは、ばね506によってフレーム504にばねで連結された共振マス502を含むMEMSデバイス500の平面図である。フレーム504は、ばね510によって基材508に連結されてもよい。感知フィンガー512は、フレーム504から延びてもよく、フィンガー514は基材508から延びてもよい。感知フィンガー512および514は、組み合わせて、基材508に対するフレーム504の動きに敏感なキャパシタンスを形成してもよい。
【0048】
動作中、共振マス502は、矢印516で示されるようにy方向に沿ってxy平面で振動するように駆動される。MEMSデバイス500のxy平面での回転により、フレーム504は、共振マス502の動きと直交する方向に動かされる。この動きにより、感知フィンガー512と514間の距離が変化し、それらのフィンガー間のキャパシタンスを変化させ、それにより動きを確認することができる。
【0049】
MEMSデバイス500をキャッピングしているキャップの減衰ストッパーは、共振マス502、および共振マス502とフレーム504との間のxy平面の空間上に重なるように配置されてもよい。例えば、ストッパー518は、図示したMEMS基材に重なった破線で図示された外辺部を有してもよい。このようにして、ストッパー518は、フレーム504の動きを実質的に減衰させることなく、共振マス502の動きを減衰させることができる。これにより、フレームのQを低くすることなく、共振マス502のQを低くすることが可能となる。このように、本出願の実施形態は、MEMSデバイスの複数のマスの中から1つ以上の可動マスの選択的減衰を提供する。
【0050】
図5Bは、MEMSデバイスのキャップに減衰ストッパーを備えた選択的減衰が実現可能な別の構成を示している。デバイス520は、
図5AのMEMSデバイス500と同じものを2組含むが、この図ではMEMSデバイスがxy平面で回転している。デバイス520は、デュアルマスジャイロスコープを表すことができる。
【0051】
図5Cは、デバイス521として表される
図5Bのデバイス520の変形例を示している。この構成において、2つのプルーフマスの上に重なるそれぞれのストッパー518の代わりに、ストッパーの共振マスのxy平面への重なりを表す破線で図示されているように、単一の減衰ストッパー522が、MEMSデバイス500の両方の共振マスに重なって設けられている。
【0052】
図5Dは、
図5Bのデバイス520の4連マスデバイスへの拡張を表すさらなる実施形態を示している。デバイス550は、
図5Aのデバイス500と同じものを4組含むが、それらがx-y平面で回転している。図示のように、それぞれのストッパーは、それぞれのプルーフマスの上に重なっている。
【0053】
図5Eは、さらなる構成を示している。この非限定的な実施形態では、4組のMEMSデバイス500を備えるMEMSデバイス560が提供される。減衰ストッパー552は、ストッパーの共振マスのxy平面への重なりを表す破線で図示されているように、MEMSデバイス560の4つの共振マスの上に重なるように設けられている。このようにいくつかの実施形態では、ジャイロスコープの共振マスの面内の動きを減衰させるように構成された減衰ストッパーを備えた4連マスジャイロスコープが提供される。
【0054】
図6は、本明細書で記載したタイプのMEMSデバイスを組み込んだ1つのタイプのシステムの一例を示している。システム600は、減衰ストッパーを有するキャップ付きMEMSデバイス602、読み出し(または、感知)回路606、入出力(I/O)インターフェイス608および電源ユニット604を含む。MEMSデバイス602は、本明細書で記載されているタイプのうちいずれでもよい。いくつかの実施形態では、読み出し回路606およびI/Oインターフェイス608は、制御機能を備える特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。
【0055】
読み出し回路606は、加速度信号または回転信号のようなMEMSデバイス602で感知した信号を提供するように構成されてもよい。生成された信号は、他の実施形態では差動式でありうるが、シングルエンドであってもよい。読み出し回路は、読み出し機能を行う任意の好適な構成要素だけでなく、フィルタリング、増幅、および復調のような信号処理機能のための回路を含んでもよい。読み出し回路は、いくつかの実施形態では、トランスインピーダンスアンプであってもよい。読み出し回路は、いくつかの実施形態では特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよく、更にいくつかの実施形態ではMEMSデバイスと異なる基材上に、または同じ基材上に形成されてもよい。
【0056】
図6のシステムでは、読み出し回路606は、それを通してシステム600がリモートコンピュータまたはサーバのような外部デバイスと通信する通信インターフェイスとして機能するI/Oインターフェイス608に接続されている。このように、I/Oインターフェイス608は、更なる処理および/または表示のために、感知した信号をシステム600の外部に送信することができる。更にまたは代替的に、I/Oインターフェイス608は、制御信号、無線充電信号、またはソフトウエアアップデートのような外部デバイスからの通信を受信してもてもよい。
【0057】
I/Oインターフェイス608は有線または無線であり得る。適切な有線接続は、いくつかある中で特にユニバーサルシリアルバス(USB)およびファイヤーワイヤー接続を含む。有線接続が使われているそれらの実施形態では、接続は差し込み式であってもよい。有線接続は、例えば、実質的に静止した対象物に固定されている場合、またはシステム600とそれが通信する外部デバイスとの距離が相対的に一定に保たれる場合のような、システム600が比較的固定されている設定で使用される。いくつかの実施形態では、しかしながら、I/Oインターフェイスは、例えばフレキシブルな無線周波数(RF)アンテナによる通信などのような無線であり得る。
【0058】
本出願の態様における別の設定が、自動車またはボートもしくは航空機のような他の車両へ実装されてもよい。
図7は、
図6のシステム600を含む自動車700を模式的に表している。システム600は、自動車700の任意の好適な場所内に配置されてもよい。システム600は、ロール、ピッチ、および/またはヨー角速度を感知するように構成されてもよい。システム600は、I/Oインターフェイス608を使用して感知した角速度を、自動車700内に配置されたコンピュータシステム、および/または自動車700外部の基地局に設けられたコンピュータシステムに提供するように構成することができる。
図7は一例を示しているが、本出願の様々な態様の他の使用法が可能である。
【0059】
用語「ほぼ」、「実質的に」、「および」、「約」は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内で、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内で、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内で、および更にいくつかの実施形態では目標値の±2%以内での意味で使用され得る。用語「ほぼ」および「約」は、目標値を含み得る。
【符号の説明】
【0060】
100 微小電気機械システム(MEMS)デバイス
102 ストッパー
104 くぼみ
106 可動プルーフマス
108 モード形状
110 ばね
112 MEMS基材
114 接合材
116 可動プルーフマス駆動方向
124 キャップ
128 可動プルーフマスの表面
130 ストッパーの表面
600 システム
602 MEMSデバイス
604 電源ユニット
606 感知回路
608 入出力(I/O)インターフェイス
700 自動車