(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】NOの酸化、炭化水素の酸化、NH3の酸化およびNOxの選択触媒還元のための四機能性触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/76 20060101AFI20220329BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20220329BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20220329BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20220329BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20220329BHJP
【FI】
B01J29/76 A
B01J35/04 301L
B01J37/08 ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D53/94 280
B01D53/94 400
B01D53/94 241
F01N3/10 A
F01N3/08 B
F01N3/24 E
F01N3/24 C
F01N3/035 E
(21)【出願番号】P 2019527186
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2017081538
(87)【国際公開番号】W WO2018104310
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ドルナー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァイ,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ,アンスガール
(72)【発明者】
【氏名】ベアード,ケヴィン デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】フュンネケス,エドガー フィクトール
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-542847(JP,A)
【文献】特表2010-519039(JP,A)
【文献】特表2016-511684(JP,A)
【文献】特開平01-127044(JP,A)
【文献】特開平06-170235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/10
F01N 3/08
F01N 3/24
F01N 3/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の還元剤注入装置と、
NOxの選択触媒還元のための第1の触媒と、
1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む
第2の触媒であって、前記ウォッシュコートが基材上に配置されており、前記ウォッシュコートが、
(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、
(ii)Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数と
を含む、
第2の触媒
と、
触媒煤煙フィルタと、
第2の還元剤注入装置と、
NOxの選択触媒還元のための第3の触媒と、
NOxの選択触媒還元のためおよび/またはアンモニアの酸化のための第4の触媒と、を含む、ヘビーデューティーディーゼルエンジンと流体連通している排ガス処理システムであって、
ディーゼル酸化触媒を含まない、排ガス処理システム。
【請求項2】
前記第2の触媒の前記ウォッシュコートが、
(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、
(ii)CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料と
を含む、請求項1に記載の
排ガス処理システム。
【請求項3】
前記第2の触媒の前記白金族金属が、Pt、PdおよびRhの1種または複数、好ましくはPtおよびPdの1種または複数、より好ましくはPtであり、
前記金属酸化物担体材料が、好ましくはアルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア-チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、より好ましくはアルミナ、シリカ-アルミナおよびジルコニア-アルミナのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニア-アルミナである、請求項1または2に記載の
排ガス処理システム。
【請求項4】
前記第2の触媒の前記ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeのうちの1種または複数、好ましくはSiである4価元素Yを含み、かつ前記ゼオライト材料のフレームワーク構造が、好ましくはB、Al、GaおよびInのうちの1種または複数、好ましくはAlである3価元素Xを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項5】
前記第2の触媒の前記ゼオライト材料が、タイプAEI、GME、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFIまたはMORのフレームワーク構造、より好ましくはタイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAUまたはMORのフレームワーク構造、好ましくはタイプCHA、AEIまたはBEAのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項6】
前記第2の触媒の前記ゼオライト材料が、Cuを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項7】
前記第2の触媒の前記基材が、通路を境界付けて画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、前記基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向の全体長さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項8】
前記第2の触媒の前記ウォッシュコートが、1つの層からなる、請求項1から7のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項9】
前記第2の触媒の前記基材が、基材長さを有し、前記1つの層が、前記基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されている、請求項
1から8
のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項10】
前記第2の触媒の前記ウォッシュコートが、第1の層および第2の層を含み、
前記第1の層が、好ましくはVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1つまたは複数を含む前記ゼオライト材料のうちの1種または複数、好ましくはCuおよびFeの1つまたは複数を含む前記ゼオライト材料を含み、前記第2の層が、前記金属酸化物担体材料上に担持された前記白金族金属を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の
排ガス処理システム。
【請求項11】
前記第1の層が
前記第2の触媒の前記基材上に配置されており、前記第2の層が好ましくは少なくとも部分的に、好ましくは完全に前記第1の層上に配置されている、または前記第2の層が
前記第2の触媒の前記基材上に配置されており、前記第1の層が好ましくは少なくとも部分的に、好ましくは完全に前記第2の層上に配置されている、請求項10に記載の
排ガス処理システム。
【請求項12】
前記第2の触媒の前記ウォッシュコートが、第3の層をさらに含み、前記第3の層が、好ましくはVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数、好ましくはCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、請求項10または11に記載の
排ガス処理システム。
【請求項13】
前記第2の触媒が、前記触媒煤煙フィルタの上流に位置して
いる、請求項1から12のいずれか一項に記載の排ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化窒素(NO)の酸化、炭化水素(HC)の酸化、アンモニア(NH3)の酸化および窒素酸化物(NOx)の選択触媒還元のための四機能性触媒に関する。さらに、本発明は、四機能性触媒を含む、排ガスを処理するためのシステムに関し、該四機能性触媒は、好ましくは触媒煤煙フィルタの上流に位置する。それに加え、本発明は、四機能性触媒を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特に北米、日本およびEUにおけるすべてのヘビーデューティー排ガス処理システムには、規制要件に起因して、ディーゼル微粒子除去フィルタが備えられている。そのため、きわめてコスト効果のある解決策は、コスト最小化におけるプレッシャーに起因して、多大な経済的潜在性を有する。CO2排出量を削減することに駆り立てられて、エンジンアウトNOxレベルは、燃費を向上させるべく上がっており、このことが、法的排出量限界値を維持するための新しい技術的解決策への必要性を創出している。したがって、多くの、相手先商標による製品の生産者(OEM)は、増加しているエンジンアウトNOx排出量が、差し迫る規制に起因して、燃費を向上させつつそれらのCO2排出量を削減しようと努めるOEMの副産物であると見ている。これらのより高いエンジンアウトNOx排出量は、EU規格VI/EPA13システムにとって大きすぎる重荷でありうる。そのため、新しい厳しい規制に見合う新しいレイアウトが必要とされている。特に高いエンジンアウトNOxにおいてNOx削減量の増加した重荷を助けることができる選択触媒還元(SCR)のための近位連結触媒が、これらの可能性な新しいレイアウトの1つとなりうる。
【0003】
しかしながら、任意の新しい排ガス処理システムについて、閉鎖型ディーゼル微粒子除去フィルタへの必要性が依然として付与されうる。フィルタが目詰まりしないように、フィルタ内の回収された煤煙は、好適な方法を介してガス性物質(通常はCO2)へと転換されなければならない。この理由のために、通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)が、比較的多量の高価な白金族金属(PGM)を含有するフィルタの上流に取り付けられる。該DOCは、ディーゼル燃料を触媒的に燃焼させるために使用されうる。その結果、フィルタ再生成が開始するまたはスピードアップしてより効率的になる温度がもたらされる。しかしながら、触媒煤煙フィルタ(CSF)にわたって温度を生成するために燃料が注入されない間欠期の間、NO2は、CSF上の煤煙を酸化させるためのオキシダントとして、通常、機能する。この代替的解決策は、燃料燃焼DOCならびに上流のSCR触媒として作用できることがある。さらに、このアプローチは、エンジンアウトNOxをアンモニアと反応させることによって、材料のDeNOx作用と組み合わされうる。
【0004】
そのため、DOCがSCR触媒に置き換えられるこうしたアプローチの1つの主な欠点は、受動的煤煙再生成のための、CSFの上流のNO2生成の損失である。さらに、DeNOxのためのPGMに富むCSFの上流のアンモニア注入装置に起因して、N2Oへの選択性は増加しうる。
【0005】
WO2015/189680 A1は、卑金属触媒、排出処理システムおよび方法に関する。より特定すると、前記出願の実施形態は、微粒子除去フィルタおよび選択触媒還元(SCR)触媒から上流に位置した卑金属触媒を有する、触媒、システムおよび方法を対象とする。そこで炭化水素(例えば燃料)が卑金属触媒の上流に定期的に注入されるシステムにおいて、卑金属触媒は、300℃~650℃の範囲の温度にわたり発熱を生じて、煤煙を回収した下流の微粒子除去フィルタを再生成させる。詳細には、前記出願の触媒は、白金族金属を実質的に含まない。上に概説したように、前記文献はまた、希薄燃焼エンジン排ガス流れの処理のためのシステムにも関し、該システムは、具体的には、担体基材上に配置した卑金属触媒、ならびに卑金属触媒から下流に位置した微粒子除去フィルタおよび第1のSCR触媒を含む。さらに、該排ガス処理システムは、卑金属触媒から下流に、かつ微粒子除去フィルタから上流に、白金族金属(PGM)酸化触媒をさらに含むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特に、触媒およびフィルタ等の従来使用されている成分に基づくアプローチに関して上に概説した欠点を考慮し、従来使用されている排ガス処理システムにおけるDOCに対する必要性の軽減にアプローチする新規な概念を確立することが、本発明の目的であった。より特定すると、特にNO酸化、炭化水素酸化、NH3酸化およびNOxの選択触媒還元(DeNOx)と4つの機能に関して、多機能で実施することができる新規な触媒を提供することが、本発明の目的であった。詳細には、炭化水素の酸化によって、触媒の下流に位置する触媒煤煙フィルタを加熱しうる、好まれる温度が生成される(すなわち発熱)。さらに、本発明は、新規な後処理システムの設計を目的としている。詳細には、好ましくは四機能性触媒として、多機能性触媒を含む排ガス処理システムを提供することが、本発明の目的であった。より特定すれば、排ガス処理システムに関して、具体的には触媒煤煙フィルタ(CSF)の上流にあるディーゼル酸化触媒(DOC)の使用を不要とすることが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、驚くべきことに、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒であって、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、(ii)Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数とを含む触媒が、NOxの選択触媒還元において、アンモニアの酸化において、NOの酸化において、および炭化水素の酸化において機能できることが見出された。
【0009】
特に、驚くべきことに、本発明の触媒がNH3スリップとHCスリップとの両方を最小化することができ、同時に、還元剤が存在するときに、CSFの受動的再生成のためにNO2を生成することができ、NOxを削減することができることが見出された。さらに、驚くべきことに、本発明の触媒がNOxを減少できること、および特に燃料が供与されて(エンジンシリンダ中または排気管中で)触媒上で燃えるときに、CSF再生成のために好ましい温度を場合によって生成できること(すなわち発熱)が見出された。また、特にHCを酸化することができる本発明の触媒の上流に他の材料がない場合、この発熱は金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属上でのみ生じうる。本発明の触媒はまた、触媒に到達する前に、排ガス中に還元剤(例えばアンモニア、またはアンモニアを遊離させる代替物質)の好適な供与が適用されるときには、DeNOx触媒としても作用することができる。換言すれば、本発明の触媒は、NH3を酸化して、下流のフィルタ上での煤煙再生成のためのNO酸化触媒として同時に作用するアンモニアスリップ(例えば、下流に位置するCSF上への)を限定することができる。
【0010】
本発明の触媒は、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含んでよく、該ウォッシュコートは、好ましくは基材上に均一に配置される。排ガス処理システムの観点では、本発明の触媒は、非PGM含有燃料燃焼触媒、例えば上流のSCR触媒の後に置いて、可能性のあるNH3スリップを酸化させることができる。これは、驚くべきことに、CSFにわたるN2O生成の最小化をもたらし、さらには良好なHCスリップのクリーンアップももたらす。さらに、本発明の触媒中に含有されているPGMはまた、NOをNO2へと酸化させて、NH3が存在しないときに、CSFにわたる受動的再生成を助けるのに使用されうる。低NSRで投下するとき、PGMを含有する本発明の触媒上へのNH3スリップは無視してよく、そのため、本発明の触媒を使用して、CSF上の受動的再生成のためのNO2を生成することができる。
【0011】
したがって、本発明は、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒であって、該ウォッシュコートが基材上に配置されており、該ウォッシュコートが
(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、
(ii)Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数と
を含む、触媒に関する。
【0012】
そのため、該触媒が、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、NOの酸化および炭化水素の酸化のうちの1つまたは複数のために使用されることが好ましい。
【0013】
ウォッシュコートに関して、ウォッシュコートが含む層の数に関して特定の制限が存在する。ウォッシュコートが、1つの層、2つの層または3つの層を含むことが好ましい。
【0014】
金属酸化物に担持された白金族金属に関して、それが金属酸化物担体材料上に担持されうる限り、任意の好適な白金族金属が使用されうる。好ましくは、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属は、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPtのうちの1種または複数である。より好ましくは、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属は、Rh、PdおよびPtの1種または複数、より好ましくはPdおよびPtの1種または複数、より好ましくはPtである。
【0015】
金属酸化物担体材料に関して、それが白金族金属のための担持体として使用されうる限り、任意の好適な金属酸化物担体材料が使用されうる。好ましくは、金属酸化物担体材料は、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア-チタニアおよびセリアのうちの1種または複数である。より好ましくは、金属酸化物担体材料は、アルミナ、シリカ-アルミナおよびジルコニア-アルミナのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニア-アルミナである。
【0016】
したがって、本発明は、好ましくは1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒であって、該ウォッシュコートが基材上に配置されており、該ウォッシュコートが
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数と
を含む、触媒に関する。
【0017】
本発明の触媒中に含有されうるようなゼオライト材料に関して、本発明によれば、考えられる任意のゼオライト材料がその中に含有されうるように、制限は適用されない。しかしながら、本発明の触媒のウォッシュコートがゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0018】
本発明によれば、ゼオライト材料のフレームワーク構造が、4価元素を含むことが特に好ましい。ゼオライト材料がSi、Sn、Ti、ZrおよびGeのうちの1つまたは複数である4価元素Y、好ましくはSiである4価元素Yを含むことが、本発明によれば特に好ましい。さらに、ゼオライト材料のフレームワーク構造が、3価元素Xを含むことが好ましい。ゼオライト材料がB、Al、GaおよびInのうちの1つまたは複数、好ましくはAlを含むことが、本発明によれば特に好ましい。
【0019】
さらに、本発明の触媒中に含有されてよいゼオライト材料のフレームワーク構造に関して、ここでも、ゼオライト材料が任意のフレームワーク構造タイプを有しうるように、特定の制限は適用されない。一般に、ゼオライト材料のフレームワーク構造タイプが、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZONのうちの1つ、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合タイプであることが考えられる。本発明によれば、ゼオライト材料のフレームワーク構造タイプが、AEI、GME、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFIまたはMORのうちの1つである、より好ましくはAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAUまたはMORのうちの1つである、より好ましくはCHA、AEIまたはBEAのうちの1つである、より好ましくはCHAおよび/またはAEIの1つである、より好ましくはCHAであることが好ましい。
【0020】
したがって、本発明は、好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒であって、該ウォッシュコートが基材上に配置されており、該ウォッシュコートが、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプCHAを有し、かつCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料と
を含む、触媒に関する。
【0021】
ゼオライト材料に関して、それがそのか焼済みの状態にあることが好ましい。本発明によれば、ゼオライト材料は、それらの元素が上に定義したフレームワークタイプの1種または複数を確立することができる限り、任意のさらなる化学元素を含んでよい。しかしながら、ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Si、Al、OおよびHを含み、ゼオライト材料のフレームワーク構造の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、Si、Al、OおよびHからなることが好ましい。
【0022】
本発明の触媒のウォッシュコート中に含有されうるVの酸化化合物に関して、それがバナジウム原子に結合している酸素原子を含む限り、前記化合物の化学的性質に制限は適用されない。Vの酸化化合物が、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸鉄、五酸化バナジウム、および酸化第二鉄で安定化された五酸化バナジウムのうちの1種または複数であることが好ましい。本発明によれば、バナデートは、一般にその最も高い+5の酸化状態にあるバナジウムのオキソアニオンを含有する化合物であってよい。最も単純なバナデートは、VO4
3-アニオン(オルトバナデート)であってよく、これは、例えばオルトバナジン酸ナトリウム中に、かつ強塩基(pH>13)中のV2O5溶液中に存在する。他のバナデートは、V2O7
4-アニオンおよびV3O9
3-アニオンでありうる。
【0023】
本発明の触媒のウォッシュコート中に含有されうるWの酸化化合物に関して、それがタングステン原子に結合している酸素原子を含む限り、ここでも、前記化合物の化学的性質に制限は適用されない。Wの酸化化合物が、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウムおよび三酸化タングステンのうちの1種または複数であることが好ましい。本発明によれば、タングステートは、タングステンのオキソアニオンを含有する化合物であってよく、または混合済み酸化物含有タングステンである。最も単純なタングステン酸イオンは、WO4
2-アニオン(オルトタングステート)でありうる。
【0024】
さらに、Vの酸化化合物およびWの酸化化合物の1種または複数が、チタニアおよびジルコニア-チタニアの1種または複数の上に、好ましくはチタニア上に担持されていることが、本発明によれば好ましい。そのため、Vの酸化化合物がチタニア上に担持されていることが特に好ましい。
【0025】
ウォッシュコートがVの酸化化合物およびWの酸化化合物の1種または複数を含む場合、ウォッシュコート中に含有されうるVの酸化化合物およびWの酸化化合物の1種または複数の量について制限は適用されない。そのため、Vの酸化化合物およびWの酸化化合物の1種または複数の任意の好適な量が、ウォッシュコート中に含有されてよい。これに関して、Vの酸化化合物の量はV2O5として算出され、Wの酸化化合物の量はWO3として算出される。そのため、ウォッシュコートは、Vの酸化化合物を、V2O5として算出して、ウォッシュコートの総質量に対して、0.1~10質量%、好ましくは1~9質量%、より好ましくは2~8質量%、より好ましくは3~7質量%、より好ましくは3.5~6質量%、より好ましくは4~5質量%の範囲で含んでよい。
【0026】
さらに、ウォッシュコートは、Wの酸化化合物を、WO3として算出して、ウォッシュコートの総質量に対して、1~20質量%、好ましくは3~18質量%、より好ましくは5~16質量%、より好ましくは7~14質量%、より好ましくは9~13質量%の範囲で含んでよい。
【0027】
さらに、本発明の触媒のウォッシュコートが、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料に関して、CuおよびFeの1種または複数がゼオライト材料中にどのように含まれるかについて制限は適用されない。そのため、CuおよびFeの1種または複数は、ゼオライト材料中に、フレームワーク構造元素としてまたは非フレームワーク構造元素として含まれてよい。本発明によれば、CuおよびFeの1種または複数が、ゼオライト材料中に、非フレームワーク構造元素として含まれることが好ましい。
【0028】
上記のように、ウォッシュコートが、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。さらに、ウォッシュコートが、好ましくは非フレームワーク構造元素として、Cuを含むゼオライト材料を含むことが特に好ましい。
【0029】
したがって、本発明は、好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒に関し、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプCHAを有し、Cuを含むゼオライト材料と
を含む。
【0030】
さらに、ゼオライト材料のフレームワーク構造がSiおよびAlを含むこと、およびゼオライト材料がCuをさらに含むことが、本発明によれば好ましい。
【0031】
Cuを含むゼオライト材料がウォッシュコート中に含まれる場合、ゼオライト材料が、Si、Al、O、HおよびCuを考えられるそれらの任意の量で含むことがさらに好ましい。しかしながら、ゼオライト材料の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%がSi、Al、O、HおよびCuからなることが好ましい。
【0032】
ウォッシュコートが、Cuを含むゼオライト材料を含む場合、Cuの任意の好適な量が、ゼオライト材料中に含まれてよい。ゼオライト材料は、好ましくは、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含む。
【0033】
フレームワーク構造CHAを有し、Cuを含むゼオライト材料は、従来の方法に従って製造されうる。フレームワーク構造CHAを有し、Cuを含むゼオライト材料の直接的合成、および/またはイオン交換を介したゼオライト材料中へのCuの組み込みを含む製造方法の観点では、米国特許第9,272,272 B2号、米国特許第8,715,618 B2号、米国特許第8,293,199 B2号、米国特許第8,883,119 B2号、米国特許第8,961,914 B2号および米国特許第9,242,238 B2号を参照されたく、具体的には前記文献で開示されている実施例および好ましい製造方法を参照されたく、これらのすべては、それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
したがって、本発明は、好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒に関し、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプCHAを有し、Cuを含むゼオライト材料であって、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含む、ゼオライト材料と
を含む。
【0035】
したがって、本発明は、より好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒に関し、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプCHAを有し、Cuを含むゼオライト材料であって、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含み、少なくとも99.5質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%がSi、Al、O、HおよびCuからなる、ゼオライト材料と
を含む。
【0036】
ウォッシュコートが、Feを含むゼオライト材料を含む場合、ゼオライト材料がFeを非フレームワーク構造元素として含むことが好ましい。さらに好ましくは、ゼオライト材料のフレームワーク構造はSiおよびAlを含み、かつゼオライト材料はFeを含む。ゼオライト材料は、Si、Al、O、HおよびFeを、考えられる任意の量で含む。ゼオライト材料の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%がSi、Al、O、HおよびFeからなることが好ましい。ウォッシュコートが、Feを含むゼオライト材料を含む場合、任意の好適な量のFeが、ゼオライト材料の1種または複数の中に含まれうる。そのため、ゼオライト材料は、Feを、Fe2O3として算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含んでよい。
【0037】
ウォッシュコートが、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含む場合、好ましくは非フレームワーク構造元素として、ゼオライト材料中に含まれるCuおよびFeの1種または複数がどのようにその中に導入されたかについて特定の制限はない。そのため、非フレームワーク構造元素としてゼオライト材料中に含まれるCuおよびFeの1種または複数は、任意の好適な方法を使用してその中に導入されてよく、該導入は、好ましくは、ゼオライト材料を金属の塩で含浸させて、かつ/または金属イオンのイオン交換によって遂げられる。好ましくは非フレームワーク構造元素として、ゼオライト材料中に含まれるCuおよびFeの1種または複数が、イオン交換によってゼオライト材料中に導入されていることが特に好ましい。
【0038】
本発明によれば、ウォッシュコートは、バインダー材料、例えば金属酸化物バインダー材料を含んでよい。バインダー材料の量および化学的性質に関して特定の制限はない。ウォッシュコートが(iii)金属酸化物バインダー材料を追加で含むことが好ましい。
【0039】
したがって、本発明は、好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒に関し、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプCHAを有し、Cuを含むゼオライト材料であって、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含み、少なくとも99.5質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%がSi、Al、O、HおよびCuからなる、ゼオライト材料と、
(iii)金属酸化物バインダー材料と
を含む。
【0040】
金属酸化物バインダー材料に関して、それが酸素原子に結合している金属原子を含む限り、金属酸化物バインダー材料の化学的性質について制限は適用されない。しかしながら、金属酸化物バインダー材料が、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-ジルコニアおよびジルコニア-チタニアのうちの1種または複数、好ましくはジルコニアおよびジルコニア-チタニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアであることが、本発明によれば好ましい。
【0041】
したがって、本発明は、好ましくは、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含む触媒に関し、該ウォッシュコートは基材上に配置されており、該ウォッシュコートは、
(i)ジルコニア-アルミナ上に担持された白金と、
(ii)フレームワーク構造タイプのCHAを有し、Cuを含むゼオライト材料であって、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、0.1~5質量%、より好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含み、少なくとも99.5質量%、好ましくは少なくとも99.9質量%がSi、Al、O、HおよびCuからなる、ゼオライト材料と、
(iii)金属酸化物バインダー材料としてのジルコニアと
を含む。
【0042】
本発明の触媒中、その上へ、1つまたは複数の層を含むウォッシュコートが付与されている基材に関して、ウォッシュコートがその上へ配置されうる限り、任意の好適な基材がこの効果へ付与されうるように、特定の制限は適用されない。詳細には、本発明の触媒中に含有されうる基材のタイプは、その形態に関しても、それが構成される材料に関しても、制限されない。
【0043】
そのため、本発明の触媒中に含有される基材は、任意の好適な基材を含んでよく、該基材は、好ましくはセラミック物質および金属物質の1種または複数を含み、好ましくはセラミック物質を含む。好ましいセラミック物質の中で、基材が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、アルミノチタネート、シリコンカーバイド、コーディエライト、ムライト、ジルコニア、スピネル、マグネシアおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくはα-アルミナ、アルミノチタネート、シリコンカーバイドおよびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはAl2TiO5、SiCおよびコーディエライトの1種または複数を含むことが特に好ましく、より好ましくは該基材はコーディエライトを含み、より好ましくは該基材はコーディエライトからなる。それらから独立に、本発明の触媒中に含まれる基材の形状は、例を介して、顆粒、ペレット、メッシュ、リング、球形、円筒、中空円筒およびモノリスのうちの1種または複数であってよく、該基材は、好ましくはモノリス、より好ましくはハニカムモノリスであり、該ハニカムモノリスは、好ましくはウォールフローまたはフロースルーモノリス、好ましくはフロースルーモノリスである。
【0044】
さらに、基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、ならびに基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有することが、本発明によれば好ましい。
【0045】
上記のように、ウォッシュコートが含む層の数に関して特定の制限はない。
【0046】
本発明の第1の実施形態によれば、ウォッシュコートは、1つの層を含み、好ましくは1つの層からなる。好ましくは本明細書で定義した基材がある基材長さを有する条件下では、1つの層は、任意の長さにおいて基材上に配置されてよい。1つの層が、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されていることが好ましい。
【0047】
ウォッシュコートが1つの層からなる場合、白金族金属が1つの層中に含まれる本発明の触媒の特定のおよび好ましい実施形態によれば、原則として、白金族金属の担持量について特定の制限はない。好ましくは1つの層中に含まれる白金族金属の担持量は、1~15g/フィート3、より好ましくは3~10g/フィート3、より好ましくは4.5~8.5g/フィート3、より好ましくは5.5~8.5g/フィート3、より好ましくは7.5~8.5g/フィート3の範囲内である。
【0048】
ウォッシュコートが1つの層からなる場合、本発明の触媒の特定のおよび好ましい実施形態によれば、原則として、1つの層中のゼオライト材料の担持量について制限はない。好ましくは、1つの層中に含まれるゼオライト材料の担持量は、1.0~4.5g/インチ3、より好ましくは1.5~4.0g/インチ3、より好ましくは2.0~3.75g/インチ3、より好ましくは2.75~3.5g/インチ3の範囲内である。
【0049】
そのため、本発明によれば、本発明の触媒が、基材上に配置されたウォッシュコートからなり、該ウォッシュコートが1つの層からなることが特に好ましい。
【0050】
本発明の第2の実施形態によれば、ウォッシュコートは、2つの層、第1の層および第2の層を含み、好ましくはそれらからなる。
【0051】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、原則として、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、第1の層中に、または第2の層中に、または第1の層と第2の層との中に含有されているかどうかについて制限はない。Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、第1の層中に含有されていることが、本発明によれば好ましい。さらに、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、本明細書で定義したものであることが好ましい。そのため、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料は、好ましくは本明細書で上に定義したものである。
【0052】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、第1の層が、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。原則として、第1の層中に含有されるゼオライト材料の担持量について制限はない。好ましくは、ゼオライト材料は、第1の層中に、1.5~4.0g/インチ3、より好ましくは2.0~4.0g/インチ3、より好ましくは2.0~3.5g/インチ3、より好ましくは3.0~3.5g/インチ3の範囲の担持量で含有される。
【0053】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、第1の層は、バインダー材料、例えば金属酸化物バインダー材料をさらに含んでよい。さらに、バインダー材料が、本明細書で定義したものであることが好ましい。したがって、金属酸化物バインダー材料が、本明細書で定義したものであることが好ましい。第1の層が金属酸化物バインダー材料を含む本発明の触媒の特定のおよび好ましい実施形態によれば、原則として、金属酸化物バインダー材料の担持量について特定の制限はない。好ましくは、第1の層中に含有される金属酸化物バインダー材料の担持量は、0.02~0.25g/インチ3、より好ましくは0.07~0.25g/インチ3、より好ましくは0.1~0.25g/インチ3、より好ましくは0.2~0.25g/インチ3の範囲である。
【0054】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、第1の層が、Ptを実質的に含まないこと、好ましくはPdおよびPtの1種または複数を実質的に含まないこと、より好ましくは1種または複数の白金族金属を実質的に含まないことが特に好ましい。そのため、第1の層が、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含まないことが、本発明によれば好ましい。より好ましくは、第1の層は、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、好ましくは金属酸化物バインダー材料からなる。
【0055】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、原則として、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属に関しては、第1の層中に含有されていても、第2の層中に含有されていても、または第1の層と第2の層との中に含有されていても、制限はない。しかしながら、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属が第2の層中に含有されていることが、本発明によれば好ましい。さらに、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属が、本明細書で定義したものであることが好ましい。したがって、白金族金属および担体材料のうちの少なくとも1種が、それぞれ本明細書で定義したものであることが好ましい。本発明によれば、原則として、第2の層中に含有される白金族金属の担持量について制限はない。好ましくは、白金族金属は、第2の層中に、2~30g/フィート3、より好ましくは6~20g/フィート3、より好ましくは9.5~17g/フィート3、より好ましくは11~17g/フィート3の範囲の担持量で含有される。
【0056】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、第2の層がCuを実質的に含まないこと、好ましくはCuおよびFeの1種または複数を実質的に含まないこと、より好ましくはCu、Fe、VおよびWを実質的に含まないことが特に好ましい。そのため、第2の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含まないことが、本発明によれば好ましい。さらに、第2の層が、金属酸化物バインダー材料を実質的に含まないことが好ましく、該金属酸化物バインダー材料は、好ましくは本明細書で定義したものである。そのため、より好ましくは、第2の層は、金属酸化物バインダー材料を含まない。より好ましくは、第2の層は、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属からなる。
【0057】
ウォッシュコートが第1の層および第2の層からなる場合、原則として、そこで第1の層と第2の層とが基材上にかつ/または互いの上に配置される順序について制限は適用されない。そのため、第1の層または第2の層は、基材上に直接配置されてよい。第1の別法として、第1の層が基材上に配置され、第2の層が少なくとも部分的に第1の層上に配置される。さらに、第1の層が基材上に配置され、第2の層が完全に第1の層上に配置されることが好ましい。第2の別法として、第2の層が基材上に配置されて第1の層が少なくとも部分的に第2の層上に配置される。さらに、第2の層が基材上に配置され、第1の層が完全に第2の層上に配置されることが好ましい。
【0058】
第1の層が基材上に配置され、第2の層が少なくとも部分的に第1の層上に配置される上記の第1の別法に関して、ウォッシュコートが第1の層と第2の層とからなり、基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第1の層は、任意の長さにおいて基材上に配置されてよい。好ましくは、第1の層は、好ましくは基材の前端分からの、基材の全体長さの50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置される。さらに、第2の層は、任意の長さにおいて配置されてよい。そのため、第2の層は、少なくとも部分的に基材の上または第1の層の上のいずれかに配置されてよい。好ましくは、第2の層は、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置される。
【0059】
第2の層が基材上に配置されて第1の層が少なくとも部分的に第2の層上に配置される上記の第2の別法に関して、ウォッシュコートが第1の層と第2の層とからなり、基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第2の層は、任意の長さにおいて基材上に配置されてよい。好ましくは、第2の層は、好ましくは基材の前端分からの、基材の全体長さの50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置される。さらに、第1の層は、任意の長さにおいて配置されてよい。そのため、第1の層は、少なくとも部分的に基材の上または第2の層の上のいずれかに配置されてよい。好ましくは、第1の層は、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置される。
【0060】
本発明の第3の実施形態によれば、ウォッシュコートは、3つの層、第1の層、第2の層および第3の層を含み、好ましくはそれらからなる。
【0061】
好ましくは、第1の層および第2の層の少なくとも1つは、本明細書で上に定義したものである。原則として、第3の層は、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに/または金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属のうちの1種または複数を含んでよい。さらに、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属は、第3の層に含有されている場合、それぞれ、本明細書で定義したものであることが好ましい。したがって、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、白金族金属および金属酸化物担体材料のうちの少なくとも1種は、好ましくは、それぞれ、本明細書で定義したものである。
【0062】
ウォッシュコートが第1の層、第2の層および第3の層からなる場合、第3の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むことが好ましい。そのため、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、本明細書で定義したものであることが好ましい。したがって、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料は、それぞれ、本明細書で定義したものである。
【0063】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなる場合、第3の層が、Ptを実質的に含まないこと、好ましくはPdおよびPtの1種または複数を実質的に含まないこと、より好ましくは1種または複数の白金族金属を実質的に含まないことがさらに好ましい。そのため、第3の層が、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含まないことが、本発明によれば好ましい。より好ましくは、第3の層は、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに好ましくは金属酸化物バインダー材料のうちの1種または複数からなる。
【0064】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなる場合、第3の層が、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましく、該ゼオライト材料は、好ましくは本明細書で定義したものである。本発明によれば、原則として、第3の層中に含有されるゼオライト材料の担持量について制限はない。好ましくは、ゼオライト材料は、第3の層中に、0.2~0.8g/インチ3、より好ましくは0.3~0.7g/インチ3、より好ましくは0.4~0.6g/インチ3の範囲の担持量で含有される。
【0065】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなる場合、第3の層は、バインダー材料、例えば金属酸化物バインダー材料をさらに含んでよい。さらに、バインダー材料が、本明細書で定義したものであることが好ましい。したがって、金属酸化物バインダー材料が、本明細書で定義したものであることが好ましい。第3の層が金属酸化物バインダー材料を含む本発明の触媒の特定のおよび好ましい実施形態によれば、原則として、第3の層中の金属酸化物バインダー材料の担持量について特定の制限はない。好ましくは、第3の層中に含まれる金属酸化物バインダー材料の担持量は、0.02~0.14g/インチ3、より好ましくは0.05~0.11g/インチ3、より好ましくは0.07~0.09g/インチ3の範囲である。
【0066】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなる場合、原則として、そこで第1の層、第2の層および第3の層が基材上かつ/または互いの上に配置される順序について制限は適用されない。そのため、第1の層、第2の層または第3の層は、基材上に配置されてよい。さらに、第1の層が基材上に配置されて第2の層が少なくとも部分的に、好ましくは完全に、基材上に配置されることが特に好ましい。そのため、第1の層が基材上に配置されて第2の層が少なくとも部分的に基材上に配置されて第3の層が少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第2の層上に配置されることが、本発明によれば好ましい。
【0067】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなり、かつ、好ましくは本明細書で定義した基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第3の層が、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、より好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置されていることが好ましい。
【0068】
ウォッシュコートが、第1の層、第2の層および第3の層からなり、かつ、好ましくは本明細書で定義した基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第1の層が、基材の前端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、より好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置され、かつ第2の層が、基材の後端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、より好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置されていることが好ましく、第1の層と第2の層とは合計で基材の全体長さの100%の上に好ましくは配置される。さらに、第3の層は、第1の層上にかつ/または第2の層上に配置されてよい。第3の層が第2の層上に配置されていることが好ましい。そのため、第3の層の長さについて制限は適用されない。そのため、例を介して、第3の層は、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置されてよい。第3の層が第2の層と同じ長さを有していることが、本発明によれば好ましい。
【0069】
本発明の特定の実施形態によれば、ウォッシュコートが第1の層、第2の層および第3の層からなることが好ましく、第1の層、第2の層および第3の層の少なくとも1つは、好ましくは本明細書で上に定義したものである。第1、第2および第3の層が本明細書で定義したものであることがより好ましい。
【0070】
さらに、本発明の触媒が、2種以上の触媒の配列において、好ましくは2種の触媒の配列において、第2の触媒として含まれ、第1の触媒が前記配列中に含まれ、この第1の触媒は、排ガス処理システム中の、好ましくは本明細書で以下に記載する排ガス処理システム中の、前記第2の触媒の上流に好ましくは位置している。原則として、前記第1の触媒の基材の化学構造について制限はない。基材が、本明細書で上に定義したものであり、より好ましくは本明細書で定義した触媒の基材と同じ化学構造のものであり、より好ましくは本明細書で上に定義した触媒の基材と同一であることが好ましい。そのため、前記第2の触媒の基材が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むウォッシュコート層を含むことが好ましい。Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、好ましくは本明細書で定義したものであることが、特に好ましい。したがって、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの少なくとも1種は、好ましくは本明細書で定義したものである。
【0071】
好ましくは、VとWとTiとの和の観点での触媒の総担持量はまた、VWT総担持量とも称されてV2O5、WO3およびTiO2の総担持量として算出され、1~5g/インチ3の範囲であってよい。
【0072】
さらに、本発明で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる本発明の触媒が、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための四機能性触媒として、排ガス処理のための方法において使用されることが、本発明によれば好ましい。
【0073】
その上、本発明は、好ましくは排ガスの処理における、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための、本発明の触媒を使用する方法に関する。
【0074】
さらに、本発明は、排ガスの処理のための、好ましくは工業的または自動車の排ガスの処理のための、より好ましくは自動車の排ガスの処理のための、本発明の触媒を使用する方法に関する。そのため、自動車の排ガスが、内燃機関の、より好ましくはディーゼルエンジンの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンの排ガスであることが好ましい。
【0075】
その上、本発明は、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる触媒を使用した、好ましくは排ガスの処理における、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法に関する。
【0076】
さらに、本発明は、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる触媒を使用した、排ガスの処理のための、好ましくは工業的または自動車の排ガスの処理のための、より好ましくは自動車の排ガスの処理のための方法に関する。そのため、自動車の排ガスが、内燃機関の、好ましくはディーゼルエンジンの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンの排ガスであることが好ましい。
【0077】
本発明の特定の好ましい実施形態によれば、本明細書で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる触媒は、内燃機関と、好ましくはディーゼルエンジンと、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンと好ましくは流体連通している排ガス処理システム中に含まれる。
【0078】
その上、本発明は、好ましくは内燃機関と流体連通している、排ガス処理システムに関し、前記排ガスシステムは、本明細書で上記している、ならびに本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれか1つにおける触媒を含み、該内燃機関は、好ましくはディーゼルエンジン、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンである。本発明の排ガス処理システムに関して、その中に含まれうる任意のさらなる成分について特定の制限は適用されない。
【0079】
好ましくは、排ガス処理システムは、本明細書で上に記載した触媒に加え、1種または複数の成分を含む。より好ましくは、排ガス処理システムは、NOxの選択触媒還元のための触媒、および触媒煤煙フィルタの1種または複数を含む。任意に、排ガス処理システムは、アンモニアの酸化のための触媒を含む。好ましくは、排ガス処理システムは、1つまたは複数の還元剤注入装置、より好ましくは2つ以上の還元剤注入装置、より好ましくは2つの還元剤注入装置を含む。好ましくは、少なくとも1つの還元剤注入装置、好ましくはすべての還元剤注入装置が、尿素注入装置である。
【0080】
したがって、本発明はまた、
第1の還元剤注入装置と、
好ましくは本明細書で上に定義したものであり、詳細には本明細書の以下の実施形態55または56に記載の、NOxの選択触媒還元のための第1の触媒と、
本明細書で上に記載した触媒であり、以下の実施形態1~56に記載の触媒である、第2の触媒と、
触媒煤煙フィルタと、
第2の還元剤注入装置と、
NOxの選択触媒還元のための第3の触媒と、
NOxの選択触媒還元のためおよび/またはアンモニアの酸化のための第4の触媒と
を含む、上記の排ガス処理システムにも関する。
【0081】
排ガス処理システム中の前記成分の位置に関して、排ガス流れが特定の必要性によるもので処理されうる限り、特定の制限は存在しない。好ましくは、第1の触媒は第2の触媒の上流に位置し、第2の触媒は第3の触媒の上流に位置し、かつ第3の触媒は第4の触媒の上流に位置している。さらに、第1の還元剤注入装置が、第1の触媒の上流に位置していることが好ましい。なおもさらに、第2の還元剤注入装置が第3の触媒の上流に位置していることが好ましく、それが、触媒煤煙フィルタの下流に位置し、かつ第3の触媒の上流に位置していることがさらに好ましい。
【0082】
好ましくは、本発明の排ガス処理システムにおいて、ディーゼル酸化触媒は、第2の触媒の下流に位置しておらず、かつ触媒煤煙フィルタの上流に位置していない。より好ましくは、本発明の排ガス処理システムにおいて、ディーゼル酸化触媒は、触媒煤煙フィルタの上流に位置していない。より好ましくは、本発明の排ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒を含有しない。
【0083】
本発明によれば、排ガス処理システムが、本明細書で上に記載した触媒に加えてさらなる触媒を含有しないことが好ましい。したがって、触媒成分および還元剤注入装置に関して、本発明の排ガス処理システムが、
第1の還元剤注入装置と、
好ましくは本明細書で上に定義したものであり、詳細には本明細書の以下の実施形態55または56に記載の、NOxの選択触媒還元のための第1の触媒と、
本明細書で上に記載した触媒であり、本明細書で以下の実施形態1~56に記載の触媒である、第2の触媒と、
触媒煤煙フィルタと、
第2の還元剤注入装置と、
NOxの選択触媒還元のための第3の触媒と、
NOxの選択触媒還元のための、かつ/またはアンモニアの酸化のための第4の触媒と
からなることが好ましい。
【0084】
そのため、触媒成分および還元剤注入装置に関して、本発明の排ガスシステムが、
次のものの上流に位置する、第1の還元剤注入装置と、
次のものの上流に位置する、好ましくは本明細書で上に定義したものであり、詳細には本明細書の以下の実施形態55または56に記載の、NOxの選択触媒還元のための第1の触媒と、
次のものの上流に位置する、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒である第2の触媒と、
次のものの上流に位置する、触媒煤煙フィルタと、
次のものの上流に位置する、第2の還元剤注入装置と、
次のものの上流に位置する、NOxの選択触媒還元のための第3の触媒と、
NOxの選択触媒還元のための、かつ/またはアンモニアの酸化のための第4の触媒
からなることがより好ましい。
【0085】
一般に、排ガス処理システムが、
次のものの上流に位置する、還元剤注入装置、好ましくは尿素注入装置と、
次のものの上流に位置する、NOxの選択触媒還元のためのかつ/またはアンモニアの酸化のための、好ましくはNOxの選択触媒還元のためのかつアンモニアの酸化のための、触媒と、
次のものの上流に位置する、触媒煤煙フィルタと、
次のものの上流に位置する、還元剤注入装置、好ましくは尿素注入装置と、
次のものの上流に位置する、NOxの選択触媒還元のための触媒と、
NOxの選択触媒還元のためのかつ/またはアンモニアの酸化のための、好ましくはNOxの選択触媒還元のためのかつアンモニアの酸化のための触媒と
を含むこともまた、本発明によれば考えられ;
ここで、好ましくは、かつ触媒成分および還元剤注入装置に関して、該排気ガス処理システムは、
次のものの上流に位置する、還元剤注入装置、好ましくは尿素注入装置と、
次のものの上流に位置する、NOxの選択触媒還元のためのかつ/またはアンモニアの酸化のための、好ましくはNOxの選択触媒還元のためのかつアンモニアの酸化のための、触媒と、
次のものの上流に位置する、触媒煤煙フィルタと、
次のものの上流に位置する、還元剤注入装置、好ましくは尿素注入装置と、
次のものの上流に位置する、NOxの選択触媒還元のための触媒と、
NOxの選択触媒還元のためのかつ/またはアンモニアの酸化のための、好ましくはNOxの選択触媒還元のためのかつアンモニアの酸化のための、触媒と
からなり;
かつ、ここで、詳細には、ディーゼル酸化触媒は、触媒煤煙フィルタの上流に位置せず、かつ、ここで、詳細には、ディーゼル酸化触媒は、該排ガス処理システム中に含まれない。
【0086】
その上、本発明は、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1種または複数を含むガス流れを付与することと、
(2)(1)で付与されたガス流れを、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒と接触させることと
を含む、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法に関する。
【0087】
そのため、ガス流れが、内燃機関からの、好ましくはディーゼルエンジンからの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンからの排ガス流れであることが好ましい。本発明の方法によれば、本発明の触媒と接触させることによって処理されたガス流れが、NOxの選択触媒還元のための1種または複数の還元剤を含むことが好ましい。この効果のために、それらがNOxを窒素ガスへ還元しうる限り、任意の好適な還元剤、または還元剤の組み合わせを使用することができる。本発明の方法によれば、しかしながら、尿素および/またはアンモニアが、使用される還元剤中に含まれることが好ましく、より好ましくは、尿素および/またはアンモニア、好ましくはアンモニアが、本発明の方法における還元剤として使用される。したがって、ガス流れが、1種または複数の還元剤をさらに含み、該1種または複数の還元剤が、尿素および/またはアンモニア、好ましくはアンモニアを好ましくは含むことが、本発明の方法によれば好ましい。
【0088】
上記のように、上記の本発明の触媒が、排ガス処理システム中に含まれ、好ましくは上記の排ガス処理システム中に含まれることが好ましい。したがって、本発明はまた、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1種または複数を含むガス流れを付与することと、
(2)該ガス流れを、上記の排ガス処理システム中へ導入して、該ガス流れを該システム中に通すことと
を含む、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法にも関する。
【0089】
NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1種または複数を含むガス流れに関して、それが任意の考えられる源から生じうるように、前記ガス流れをどのように付与するかについて本発明による特定の制限はない。しかしながら、該ガス流れが、内燃機関からの、好ましくはディーゼルエンジンからの排ガス流れを含有するNOxを含むことが、本発明によれば好ましい。
【0090】
その上、本発明は、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造するための方法に関し、該方法は、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属、ならびにVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む1種または複数のスラリーを基材上に配置することを含み、スラリーを基材上に配置した後、スラリー処理済み基材を得て、これを乾燥させ、か焼する。
【0091】
さらに、1種または複数のスラリーが、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーのうちの1種または複数を含むことが好ましい。そのため、1種または複数のスラリーが、第1のスラリーを含むことが好ましい。
【0092】
したがって、本発明は、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造する方法に関し、該方法は、
(a)第1のスラリーを基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(b)(a)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(c)(b)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第1の層を有する基材を得ることと
を含む。
【0093】
本方法の好ましい実施形態によれば、第1のスラリーは、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属、ならびに/またはVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む。しかしながら、第1のスラリーが、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属、ならびにVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むことが特に好ましい。
【0094】
さらに、第1のスラリーが、配置補助剤をさらに含むことが好ましい。そのため、配置補助剤が、第1のスラリーを基材上に配置するのを助けるのに好適である限り、配置補助剤の化学的構造に関して制限はない。第1のスラリーが、酒石酸およびモノエタノールアミンの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンを含むこととが、本発明によれば特に好ましい。
【0095】
第1のスラリーが基材上に配置されている本発明の方法によれば、そこで第1のスラリーが基材上に配置される長さに関して制限はない。そのため、基材が、本明細書で定義したものであること、より好ましくは基材長さを有していることが好ましい。そのため、第1のスラリーは基材上に配置されてよく、基材は基材長さを、基材の長さに対する任意の長さで有する。そのため、例を介して、第1のスラリーは、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されうる。
【0096】
(b)における乾燥に関して、(a)から得られたスラリー処理済み基材がいくらかの程度まで乾燥される限り、乾燥が、任意の好適な方法において遂げられうるように、制限は適用されない。乾燥が、水分の85%から95%の間を除去するように遂げられることが好ましい。そのため、ガス雰囲気が、この効果への熱交換のために使用されることが、本発明によれば好ましい。(b)における乾燥のためのガス雰囲気に関して、ガスが、熱交換のために有用な温度にてガス雰囲気を付与するのに好適である限り、任意のガスが使用されうるように、特定の制限は適用されない。そのため、例を介して、ガス雰囲気は、窒素、酸素、不活性ガスおよび二酸化炭素のうちの1種または複数、好ましくは窒素を含んでよい。別法では、ガス雰囲気は、空気を含んでよい。
【0097】
(b)における乾燥のためのガス雰囲気の温度に関して、(a)で得たスラリー処理済み基材が一定の程度まで乾燥されて乾燥済みスラリー処理済み基材がもたらされうる限り、任意の好適な温度が選ばれうるように、特定の制限は適用されない。そのため、例を介して、(b)における乾燥が、90~170℃、好ましくは100~140℃、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気を使用して遂げられうる。
【0098】
(c)におけるか焼に関して、乾燥済みスラリー処理済み基材が一定の程度までか焼される限り、かつか焼が、その上に配置された第1の層を有する基材をもたらす限り、か焼が任意の好適な方法において遂げられうるように、制限は適用されない。しかしながら、ガス雰囲気が、この効果への熱交換のために使用されることが、本発明によれば好ましい。(c)におけるか焼のためのガス雰囲気に関して、原則として、ガスが、か焼に有用である温度にてガス雰囲気を付与するのに好適である限り、任意のガスが使用されうるように、乾燥のためのガス雰囲気と同じことが適用される。そのため、例を介して、ガス雰囲気は、窒素、酸素、不活性ガスおよび二酸化炭素のうちの1種または複数、好ましくは窒素を含んでよい。
【0099】
(c)におけるか焼のためのガス雰囲気の温度に関して、原則として、(b)の1つまたは複数から得た乾燥済みスラリー処理済み基材が効果的にか焼されうる限り、任意の好適な温度が選ばれてよい。そのため、例を介して、(c)におけるか焼は、350~550℃、好ましくは400~500℃、より好ましくは440~460℃の範囲の温度を有するガス雰囲気を使用して遂げられうる。
【0100】
本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造するための方法の観点において上記したように、1種または複数のスラリーが、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーのうちの1種または複数を含むことが好ましい。そのため、1種または複数のスラリーが、第1のスラリーおよび第2のスラリーを含むことが好ましい。
【0101】
したがって、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造するための方法は、
(d)第2のスラリーを、その上に配置された第1の層を有する基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(e)(d)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(f)(e)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第1の層および第2の層を有する基材を得ることと
をさらに含む。
【0102】
(a)~(f)を含む方法中の第1のスラリーに関して、好ましくは本明細書で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによれば、第1のスラリーは、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属のうちの1種または複数を含んでよい。(a)~(f)を含む方法中の第2のスラリーに関して、第2のスラリーは、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属のうちの1種または複数を含んでよい。
【0103】
第1の別法として、第1のスラリーは、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含み、第2のスラリーは、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含む。
【0104】
第2の別法として、第1のスラリーは、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含み、第2のスラリーは、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む。
【0105】
1種または複数のスラリーが第1および第2のスラリーを含む場合、第1のスラリーと第2のスラリーとが基材上に付与される限り、第1のスラリーと第2のスラリーとが基材上に配置される順序に関して制限はない。そのため、例を介して、第1のスラリーまたは第2のスラリーは、基材上に直接配置されてよく、第1のスラリーが基材上に直接配置されることが好ましい。そのため、第2のスラリーに関して、第2のスラリーが第1のスラリー上に、少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されることが特に好ましい。代替的に、第2のスラリーが基材上に配置される事例において、第1のスラリーは第2のスラリー上に配置されてよい。
【0106】
1種または複数のスラリーが第1および第2のスラリーを含み、第1および第2のスラリーを基材上に配置することに関して、基材が本明細書で定義したものであり、特に基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有する場合、第1のスラリーの配置は、基材の全体長さに対して任意の長さの上に達成されてよい。そのため、前端部または後端部のいずれかから、第1のスラリーの配置を遂げることが考えられる。そのため、例を介して、第1のスラリーの基材上への配置は、好ましくは基材の前端部からの、基材の全体長さの25~100%の上に、好ましくは50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは90~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に遂げられうる。特に好ましい実施形態によれば、第1のスラリーが基材上に直接配置されて第2のスラリーが完全に第1のスラリー上に配置され、第1のスラリーの配置は、好ましくは基材の前端部からの、基材の全体長さの25~100%の上に、好ましくは50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは90~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に遂げられる。
【0107】
1種または複数のスラリーが第1および第2のスラリーを含む場合、基材の全体長さに対して任意の長さの基材上に第2のスラリーの配置を遂げることが考えられる。そのため、基材が、本明細書で定義したものであり、そのため基材長さならびに前端部および後端部を有していることが好ましい。したがって、第2のスラリーの配置は、前端部または後端部のいずれかから遂げられてよい。そのため、例を介して、第2のスラリーは、好ましくは基材の後端部から、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置されうる。
【0108】
(e)における乾燥に関して、本明細書で定義した(b)における乾燥に関するのと同じことが適用される。(f)におけるか焼に関して、本明細書で定義した(c)におけるか焼に関するのと同じことが適用される。
【0109】
本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造するための方法の観点で上記したように、1種または複数スラリーが、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの1種または複数を含むことが好ましい。そのため、1種または複数のスラリーが、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーを含むことが好ましい。
【0110】
したがって、本出願で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかの触媒を製造するための方法は、
(g)第3のスラリーを、その上に配置された第1の層および第2の層を有する基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(h)(g)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(k)(h)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第3の層を有する基材を得ることと
をさらに含む。
【0111】
(a)~(k)を含む方法における第3のスラリーに関して、好ましくは、本明細書で明確にしている特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによれば、第3のスラリーは、本明細書で定義した、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属のうちの1種または複数を含んでよい。しかしながら、第3のスラリーが、本明細書で定義したVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むことが好ましい。
【0112】
1種または複数のスラリーが第1、第2および第3のスラリーを含む場合、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーが基材上に配置される順序について制限はない。そのため、例を介して、第1または第2のスラリーは、基材上に直接配置されてよく、第1のスラリーが基材上に直接配置されて第1の層となることが好ましい。そのため、第2のスラリーに関して、第2のスラリーが少なくとも部分的に、好ましくは完全に、基材上に配置されて同様に第2の層となることが特に好ましい。第3のスラリーに関して、第3のスラリーが少なくとも部分的に第1の層上にまたは第2の層上に配置されること、好ましくは少なくとも部分的に第2の層上に配置されることが考えられる。
【0113】
1種または複数のスラリーが第1、第2および第3のスラリーを含み、基材が好ましくは本明細書で定義したものであり、そのため、基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第1のスラリーの配置が、基材の前端部からの基材の全体長さの任意の長さの上に遂げられ、第2のスラリーの配置が、基材の後端部からの基材の全体長さの任意の長さの上に遂げられ、かつ第3のスラリーの配置が、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの任意の長さの上に遂げられることが好ましい。
【0114】
方法の特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによって、1種または複数のスラリーが、第1、第2および第3のスラリーを含み、かつ基材が好ましくは本明細書で定義したものであり、そのため、基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有するという条件下にある場合、第1のスラリーの配置は、基材の前端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に遂げられ、第2のスラリーの配置は、基材の後端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に遂げられ、第3のスラリーの配置は、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に遂げられる。
【0115】
1種または複数のスラリーが、第1、第2および第3のスラリーを含み、かつ(a)~(k)を含む方法の特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる場合、第3のスラリーが、好ましくは第2の層と同じ長さにわたり、第2の層上に配置されることが特に好ましい。
【0116】
本明細書で定義した方法の特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる方法における第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーに関して、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーが、液状成分をさらに含むことが好ましい。そのため、それが第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの1種または複数を均質化することができる限り、液状成分に関して制限はない。第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーが、液状成分として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸のうちの1種または複数、好ましくは水および酢酸の1種または複数、より好ましくは水をさらに含むことが好ましい。
【0117】
さらに、本明細書で定義した特定のおよび好ましい実施形態のいずれかによる方法における第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーに関して、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーが、ジルコニルアセテート、シリケート、シリカ、アルミネート、アルミナ、チタネートおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはジルコニルアセテートをさらに含むことが好ましい。
【0118】
(h)における乾燥に関して、本明細書で定義した(b)における乾燥に関するのと同じことが適用される。
【0119】
(k)におけるか焼に関して、本明細書で定義した(c)におけるか焼に関するのと同じことが適用される。
【0120】
第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの1種または複数を配置するための方法に関して、スラリー処理済み基材がそれにより得られる限り、任意の好適な方法がこの効果に適用されうるように、制限は適用されない。しかしながら、第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの1種または複数の配置が、湿式含浸または噴霧により、好ましくは湿式含浸により遂げられることが、本発明によれば好ましい。
【0121】
1立方インチ当たりのグラムで表される、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料の担持量の値、担持金属上に担持された白金族金属の担持量の値、および基材上の金属酸化物バインダー材料の担持量の値に関して、本発明の意味内では、グラムにおける質量は、金属を含有するゼオライト材料の質量を指し、立方インチで表される体積は基材の体積、好ましくはコーティングされていない基材の体積を指し、前記体積が、任意の孔、空洞、および基材形態中に存在しうるチャネルを含むことが留意されるべきである。詳細には、ハニカムモノリス基材が使用される特に好ましい事例において、体積は、その中に含有されているチャネルを含むハニカム基材の総体積を指す。
【0122】
本明細書で開示されている用語「実質的に含まない」は、そこで、それが、指定された物質、元素の周期表の元素または元素群の0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%未満、より好ましくは0.001質量%未満を含有している主題を特徴づける。
【0123】
本明細書で開示されている単位インチ(inと略す)および単位フィート(ftと略す)は、測定の、英国および米国の慣用のシステムにおける長さの単位を指す。1フィートは12インチである。1インチは2.54cmに等しい。
【発明を実施するための形態】
【0124】
本発明は、示している従属文献および参照文献からもたらされる、以下の一連の実施形態、および実施形態の組み合わせによってさらに例示される。詳細には、実施形態の範囲が挙げられている各事例において、例えば「実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法」等の用語の文脈では、この範囲内のすべての実施形態が当業者に明白に開示されていることを意味し、すなわちこの用語の言い回しは、「実施形態1、2、3および4のいずれか1つに記載の方法」と同義であると当業者に理解されることが留意されるべきである。
【0125】
実施形態1.1つまたは複数の層を含むウォッシュコートを含み、該ウォッシュコートが基材上に配置されており、該ウォッシュコートが、
(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、
(ii)Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数と
を含み、
該ウォッシュコートが、好ましくは、
(i)金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属と、
(ii)CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料と
を含む、
好ましくはNOxの選択触媒還元のための、アンモニアの酸化のための、NOの酸化のための、かつ炭化水素の酸化のための、触媒。
【0126】
実施形態2.白金族金属が、Pt、PdおよびRhの1種または複数、好ましくはPtおよびPdの1種または複数、より好ましくはPtである、実施形態1に記載の触媒。
【0127】
実施形態3.金属酸化物担体材料が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア-チタニアおよびセリアのうちの1種または複数である、好ましくはアルミナ、シリカ-アルミナおよびジルコニア-アルミナのうちの1種または複数である、より好ましくはジルコニア-アルミナである、実施形態1または2に記載の触媒。
【0128】
実施形態4.ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeのうちの1種または複数である4価元素Y、好ましくはSiである4価元素Yを含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の触媒。
【0129】
実施形態5.ゼオライト材料のフレームワーク構造が、B、Al、GaおよびInのうちの1種または複数である3価元素X、好ましくはAlである3価元素Xを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の触媒。
【0130】
実施形態6.ゼオライト材料が、タイプABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらの2つ以上の混合物、ならびにこれらの2つ以上の混合タイプのフレームワーク構造を有し、好ましくはタイプAEI、GME、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFIまたはMORのフレームワーク構造を有し、より好ましくはタイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAUまたはMORのフレームワーク構造を有し、より好ましくはタイプCHA、AEIまたはBEAのフレームワーク構造を有し、より好ましくはタイプCHAおよび/またはAEIのフレームワーク構造を有し、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、実施形態1から5のいずれか1つに記載の触媒。
【0131】
実施形態7.ゼオライト材料のフレームワーク構造が、Si、Al、OおよびHを含み、ゼオライト材料のフレームワーク構造の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、Si、Al、OおよびHからなる、実施形態1から6のいずれか1つに記載の触媒。
【0132】
実施形態8.Vの酸化化合物が、バナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸鉄、五酸化バナジウム、および酸化第二鉄で安定化された五酸化バナジウムのうちの1種または複数である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の触媒。
【0133】
実施形態9.Wの酸化化合物が、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウムおよび三酸化タングステンのうちの1種または複数である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の触媒。
【0134】
実施形態10.Vの酸化化合物およびWの酸化化合物の1種または複数が、チタニアおよびジルコニア-チタニアの1種または複数の上に、好ましくはチタニア上に担持されている、実施形態1から9のいずれか1つに記載の触媒。
【0135】
実施形態11.ゼオライト材料が、Cuを含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載の触媒。
【0136】
実施形態12.ゼオライト材料のフレームワーク構造が、SiおよびAlを含み、ゼオライト材料が、Cuを含む、実施形態1から11のいずれか1つに記載の触媒。
【0137】
実施形態13.ゼオライト材料が、Si、Al、O、HおよびCuを含み、ゼオライト材料のフレームワーク構造の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、Si、Al、O、HおよびCuからなる、実施形態1から12のいずれか1つに記載の触媒。
【0138】
実施形態14.ゼオライト材料が、Cuを、CuOとして算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、それぞれ、0.1~5質量%、好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含む、実施形態1から13のいずれか1つに記載の触媒。
【0139】
実施形態15.ゼオライト材料が、Feを含む、実施形態1から14のいずれか1つに記載の触媒。
【0140】
実施形態16.ゼオライト材料のフレームワーク構造が、SiおよびAlを含み、ゼオライト材料が、Feを含む、実施形態1から15のいずれか1つに記載の触媒。
【0141】
実施形態17.ゼオライト材料が、Si、Al、O、HおよびFeを含み、ゼオライト材料の少なくとも99.0質量%、好ましくは少なくとも99.5質量%、より好ましくは少なくとも99.9質量%が、Si、Al、O、HおよびFeからなる、実施形態1から16のいずれか1つに記載の触媒。
【0142】
実施形態18.ゼオライト材料が、Feを、Fe2O3として算出して、ゼオライト材料の総質量に対して、それぞれ、0.1~5質量%、好ましくは1.0~4.5質量%、より好ましくは2~4質量%、より好ましくは3~3.5質量%の範囲の量で含む、実施形態1から17のいずれか1つに記載の触媒。
【0143】
実施形態19.ウォッシュコートが、
(iii)金属酸化物バインダー材料
を追加で含む、実施形態1から18のいずれか1つに記載の触媒。
【0144】
実施形態20.金属酸化物バインダー材料が、ジルコニア、アルミナ、シリカ、チタニア、シリカ-ジルコニアおよびジルコニア-チタニアのうちの1種または複数、好ましくはジルコニアおよびジルコニア-チタニアの1種または複数、より好ましくはジルコニアである、実施形態19に記載の触媒。
【0145】
実施形態21.基材が、セラミック物質および/または金属物質、好ましくはセラミックの物質、より好ましくはアルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、アルミノチタネート、シリコンカーバイド、コーディエライト、ムライト、ジルコニア、スピネル、マグネシアおよびチタニアのうちの1種または複数であるセラミック物質、より好ましくはα-アルミナ、アルミノチタネート、シリコンカーバイドおよびコーディエライトのうちの1種または複数であるセラミック物質、より好ましくはAl2TiO5、SiCおよびコーディエライトのうちの1種または複数であるセラミック物質を含み、より好ましくは基材がコーディエライトを含み、最も好ましくは基材がコーディエライトからなる、実施形態1から20のいずれか1つに記載の触媒。
【0146】
実施形態22.基材が、顆粒、ペレット、メッシュ、リング、球形、円筒、中空円筒およびモノリスのうちの1種または複数であり、基材が、好ましくはモノリス、より好ましくはハニカムモノリスであり、ハニカムモノリスが、好ましくはウォールフローまたはフロースルーモノリス、好ましくはフロースルーモノリスである、実施形態1から21のいずれか1つに記載の触媒。
【0147】
実施形態23.基材が、通路と隣接し、これを画定する長手方向に延在する壁により形成された複数の長手方向に延在する通路を有し、基材の前端部と後端部との間に延在する長手方向のある全体長さを有する、実施形態1から22のいずれか1つに記載の触媒。
【0148】
実施形態24.ウォッシュコートが、1つの層からなる、実施形態1から23のいずれか1つに記載の触媒。
【0149】
実施形態25.基材が、基材長さを有し、1つの層が、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されている、実施形態24に記載の触媒。
【0150】
実施形態26.1つの層が、白金族金属を、1~15g/フィート3、好ましくは3~10g/フィート3、より好ましくは4.5~8.5g/フィート3、より好ましくは5.5~8.5g/フィート3、より好ましくは7.5~8.5g/フィート3の範囲の担持量で含む、請求項24または25に記載の触媒。
【0151】
実施形態27.1つの層が、ゼオライト材料を、1.0~4.5g/インチ3、好ましくは1.5~4.0g/インチ3、より好ましくは2.0~3.75g/インチ3、より好ましくは2.75~3.5g/インチ3の範囲の担持量で含む、実施形態24から26のいずれか1つに記載の触媒。
【0152】
実施形態28.基材上に配置されているウォッシュコートからなる、実施形態24から27のいずれか1つに記載の触媒。
【0153】
実施形態29.ウォッシュコートが、第1の層および第2の層を含む、実施形態1から23のいずれか1つに記載の触媒。
【0154】
実施形態30.第1の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む、実施形態29に記載の触媒。
【0155】
実施形態31.第1の層が、ゼオライト材料を、1.5~4.0g/インチ3、好ましくは2.0~4.0g/インチ3、より好ましくは2.0~3.5g/インチ3、より好ましくは3.0~3.5g/インチ3の範囲の担持量で含む、実施形態30に記載の触媒。
【0156】
実施形態32.第1の層が、実施形態19または20に記載の金属酸化物バインダー材料をさらに含む、実施形態30または31に記載の触媒。
【0157】
実施形態33.第1の層が、金属酸化物バインダー材料を、0.02~0.25g/インチ3、好ましくは0.07~0.25g/インチ3、より好ましくは0.1~0.25g/インチ3、より好ましくは0.2~0.25g/インチ3の範囲の担持量で含む、実施形態32に記載の触媒。
【0158】
実施形態34.第1の層が、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含まない、実施形態30から33のいずれか1つに記載の触媒。
【0159】
実施形態35.第1の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、ならびに好ましくは金属酸化物バインダー材料のうちの1種または複数からなる、実施形態30から34のいずれか1つに記載の触媒。
【0160】
実施形態36.第2の層が、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含む、実施形態29から35のいずれか1つに記載の触媒。
【0161】
実施形態37.第2の層が、白金族金属を、2~30g/フィート3、好ましくは6~20g/フィート3、より好ましくは9.5~17g/フィート3、より好ましくは11~17g/フィート3の範囲の担持量で含む、実施形態36に記載の触媒。
【0162】
実施形態38.第2の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料を含まない、実施形態36または37に記載の触媒。
【0163】
実施形態39.第2の層が、実施形態19または20に記載の金属酸化物バインダー材料を含まない、実施形態36から38のいずれか1つに記載の触媒。
【0164】
実施形態40.第2の層が、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属からなる、実施形態36から39のいずれか1つに記載の触媒。
【0165】
実施形態41.第1の層が基材上に配置されており、または第2の層が基材上に配置されている、実施形態29から40のいずれか1つに記載の触媒。
【0166】
実施形態42.第1の層が基材上に配置されていて第2の層が少なくとも部分的に第1の層上に配置されており、または第2の層が基材上に配置されていて第1の層が少なくとも部分的に第2の層上に配置されている、実施形態29から41のいずれか1つに記載の触媒。
【0167】
実施形態43.第1の層が基材上に配置されていて第2の層が完全に第1の層上に配置されており、または第2の層が基材上に配置されていて第1の層が完全に第2の層上に配置されている、実施形態29から42のいずれか1つに記載の触媒。
【0168】
実施形態44.基材が、実施形態23に記載のものであり、かつ
第1の層が、好ましくは基材の前端部からの、基材の全体長さの25~100%の上に、好ましくは50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは90~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されており、
または第2の層が、好ましくは基材の前端部からの、基材の全体長さの25~100%の上に、好ましくは50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは90~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されている、
実施形態29から43のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態41から43のいずれか1つに記載の、より好ましくは実施形態43に記載の、触媒。
【0169】
実施形態45.基材が、実施形態23に記載のものであり、かつ
第2の層が、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置されており、
または第1の層が、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置されている、
実施形態29から44のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態44に記載の、触媒。
【0170】
実施形態46.ウォッシュコートが、第1の層および第2の層からなる、実施形態29から45のいずれか1つに記載の触媒。
【0171】
実施形態47.ウォッシュコートが、第3の層をさらに含む、実施形態29から45のいずれか1つに記載の触媒。
【0172】
実施形態48.第3の層が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、実施形態47に記載の触媒。
【0173】
実施形態49.第3の層が、ゼオライト材料を、0.2~0.8g/インチ3、好ましくは0.3~0.7g/インチ3、より好ましくは0.4~0.6g/インチ3の範囲の担持量で含む、実施形態48に記載の触媒。
【0174】
実施形態50.基材が、実施形態23に記載のものであり、第3の層が、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置されている、実施形態47から49のいずれか1つに記載の触媒。
【0175】
実施形態51.第1の層が、基材の前端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置されており、かつ第2の層が、基材の後端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置されており、第1の層と第2の層とが合計で、好ましくは基材の全体長さの100%の上に配置されている、実施形態47から50のいずれか1つに記載の触媒。
【0176】
実施形態52.第3の層が、第2の層上に配置されている、実施形態51に記載の触媒。
【0177】
実施形態53.第3の層が、第2の層と同じ長さを有する、実施形態52に記載の触媒。
【0178】
実施形態54.ウォッシュコートが、第1、第2および第3の層からなる、実施形態47から53のいずれか1つに記載の触媒。
【0179】
実施形態55.2種以上の触媒の配列、好ましくは2種の触媒の配列にある第2の触媒として含まれており、第1の触媒が、該配列中に含まれており、第1の触媒の基材が、好ましくは実施形態18から20のいずれか1つに記載のものであり、より好ましくは第2の触媒の基材と同じ化学構造のものであり、より好ましくは第2の触媒の基材と同一であり、第1の触媒が、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むウォッシュコート層を含み、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数が、好ましくは実施形態8から17のいずれか1つに記載のものである、実施形態1から54のいずれか1つに記載の触媒。
【0180】
実施形態56.第1の触媒が、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料、好ましくはCuを含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含み、CuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料の1種または複数が、好ましくは実施形態8から17のいずれか1つに記載したものであり、より好ましくは第1の触媒が、NOxの選択触媒還元のための触媒を含む、より好ましくはNOxの選択触媒還元のための触媒である、実施形態55に記載の触媒。
【0181】
実施形態57.同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための四機能性触媒としての排ガス処理のための方法における使用のための、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒。
【0182】
実施形態58.好ましくは排ガスの処理における、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を使用する方法。
【0183】
実施形態59.排ガスの処理のための、好ましくは工業的または自動車の排ガスの処理のための、より好ましくは自動車の排ガスの処理のための、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を使用する方法。
【0184】
実施形態60.自動車の排ガスが、内燃機関の、好ましくはディーゼルエンジンの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンの排ガスである、実施形態59に記載の方法。
【0185】
実施形態61.好ましくは排ガスの処理における、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を使用する、同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法。
【0186】
実施形態62.実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を使用する、好ましくは工業的または自動車の排ガスの処理のための、より好ましくは自動車の排ガスの処理のための、排ガスの処理のための方法。
【0187】
実施形態63.自動車の排ガスが、内燃機関の、好ましくはディーゼルエンジンの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンの排ガスである、実施形態62に記載の方法。
【0188】
実施形態64.内燃機関、好ましくはディーゼルエンジン、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンと好ましくは流体連通している排ガス処理システムに含まれる、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒。
【0189】
実施形態65.好ましくは内燃機関と流体連通している排ガス処理システムであって、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を含み、内燃機関が、好ましくはディーゼルエンジンであり、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンである、排ガス処理システム。
【0190】
実施形態66.
第1の還元剤注入装置と、
好ましくは実施形態55または56に記載の、NOxの選択触媒還元のための第1の触媒と、
実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒である第2の触媒と、
触媒煤煙フィルタと、
第2の還元剤注入装置と、
NOxの選択触媒還元のための第3の触媒と、
NOxの選択触媒還元のための、かつ/またはアンモニアの酸化のための第4の触媒と
を含む、実施形態65に記載の排ガス処理システム。
【0191】
実施形態67.第1の触媒が第2の触媒の上流に位置しており、第2の触媒が第3の触媒の上流に位置しており、第3の触媒が第4の触媒の上流に位置している、実施形態66に記載の排ガス処理システム。
【0192】
実施形態68.第1の還元剤注入装置が、第1の触媒の上流に位置している、実施形態66または67に記載の排ガス処理システム。
【0193】
実施形態69.第2の還元剤注入装置が、触媒煤煙フィルタの下流に、かつ第3の触媒の上流に位置している、実施形態66から68のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0194】
実施形態70.第2の触媒の下流に位置する、かつ触媒煤煙フィルタの上流に位置するディーゼル酸化触媒を含有せず、好ましくは触媒煤煙フィルタの上流に位置するディーゼル酸化触媒を含有せず、より好ましくはディーゼル酸化触媒を含有しない、実施形態66から69のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0195】
実施形態71.さらなる触媒を含有せず、さらなる還元剤注入装置を含有しない、実施形態66から70のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0196】
実施形態72.第1の還元剤注入装置が、尿素注入装置である、実施形態66から71のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0197】
実施形態73.第2の還元剤注入装置が、尿素注入装置である、実施形態66から72のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0198】
実施形態74.第1の触媒が、内燃機関に対して近位連結され、好ましくは内燃機関の下流に直接位置している、実施形態66から73のいずれか1つに記載の排ガス処理システム。
【0199】
実施形態75.同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法であって、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1種または複数を含むガス流れを付与することと、
(2)(1)で付与されたガス流れを、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒と接触させることと
を含む、方法。
【0200】
実施形態76.ガス流れが、内燃機関からの、好ましくはディーゼルエンジンからの、より好ましくはヘビーデューティーディーゼルエンジンからの、排ガス流れである、実施形態75に記載の方法。
【0201】
実施形態77.(2)による実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒が、実施形態65から74のいずれか1つに記載の排ガス処理システムに含まれる、実施形態75または76に記載の方法。
【0202】
実施形態78.ガス流れを、(2)による実施形態1から56のいずれか1つの触媒と接触させるために、ガス流れが、実施形態65から74のいずれか1つによる排ガス処理システム中に導入される、実施形態75または76に記載の方法。
【0203】
実施形態79.同時に起こる、NOxの選択触媒還元、アンモニアの酸化、一酸化窒素の酸化および炭化水素の酸化のための方法であって、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1種または複数を含むガス流れを付与することと、
(2)該ガス流れを、実施形態65から74のいずれか1つに記載の排ガス処理システム中へ導入して、該ガス流れを該システムに通気させることと
を含む、方法。
【0204】
実施形態80.金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属、ならびにVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む1種または複数のスラリーを基材上に配置することを含み、スラリーを基材上に配置させた後で、スラリー処理済み基材を得て、これを乾燥させ、か焼することを含む、実施形態1から56のいずれか1つに記載の触媒を製造するための方法。
【0205】
実施形態81.
(a)第1のスラリーを基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(b)(a)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(c)(b)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第1の層を有する基材を得ることと
を含む、実施形態80に記載の方法。
【0206】
実施形態82.第1のスラリーが、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属、ならびにVの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含み、第1のスラリーが、配置補助剤、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンを好ましくはさらに含む、実施形態81に記載の方法。
【0207】
実施形態83.基材が、基材長さを有し、第1のスラリーを、基材の全体長さの50~100%の上に、好ましくは75~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置することを含む、実施形態82に記載の方法。
【0208】
実施形態84.
(d)第2のスラリーを、その上に配置された第1の層を有する基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(e)(d)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(f)(e)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第1の層および第2の層を有する基材を得ることと
をさらに含む、実施形態81に記載の方法。
【0209】
実施形態85.第1のスラリーが、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含み、かつ第2のスラリーが、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含み、
または第1のスラリーが、金属酸化物担体材料上に担持された白金族金属を含み、かつ第2のスラリーが、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む、
実施形態84に記載の方法。
【0210】
実施形態86.第1のスラリーを基材上に直接配置すること、および第2のスラリーを完全に第1の層上に配置することを含む、実施形態84または85に記載の方法。
【0211】
実施形態87.基材が、実施形態23に記載のものであり、第1のスラリーを、好ましくは基材の前端分からの、基材の全体長さの25~100%の上に、好ましくは50~100%の上に、より好ましくは75~100%の上に、より好ましくは90~100%の上に、より好ましくは95~100%の上に、より好ましくは100%の上に配置することを含む、実施形態84から86のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態76に記載の方法。
【0212】
実施形態88.基材が、実施形態23に記載のものであり、第2のスラリーを、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に、より好ましくは50%の上に配置することを含む、実施形態84から87のいずれか1つに記載の、好ましくは実施形態87に記載の方法。
【0213】
実施形態89.
(g)第3のスラリーを、その上に配置された第1の層および第2の層を有する基材上に配置して、スラリー処理済み基材を得ることと、
(h)(g)から得たスラリー処理済み基材を乾燥させることと、
(k)(h)から得た乾燥済みスラリー処理済み基材をか焼して、その上に配置された第3の層を有する基材を得ることと
をさらに含む、実施形態84から88のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態90.第3のスラリーが、Vの酸化化合物、Wの酸化化合物、ならびにCuおよびFeの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む、実施形態89に記載の方法。
【0215】
実施形態91.基材が、実施形態23に記載のものであり、第1のスラリーを、基材の前端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置すること、第2のスラリーを、基材の後端部からの基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置すること、および第3のスラリーを、好ましくは基材の後端部からの、基材の全体長さの25~75%の上に、好ましくは35~65%の上に、より好ましくは45~55%の上に配置することをさらに含む、実施形態89または90に記載の方法。
【0216】
実施形態92.第3のスラリーを、好ましくは第2の層と同じ長さにわたって、第2の層上に配置することを含む、実施形態91に記載の方法。
【0217】
実施形態93.実施形態81の第1のスラリー、実施形態84の第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーのうちの1種または複数が、液状成分として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、ギ酸、酢酸およびプロピオン酸のうちの1種または複数、好ましくは水および酢酸の1種または複数、より好ましくは水をさらに含む、実施形態81から92のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
実施形態94.実施形態81の第1のスラリー、実施形態84の第1のスラリー、および第3のスラリーのうちの1種または複数が、ジルコニルアセテート、シリケート、シリカ、アルミネート、アルミナ、チタネートおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはジルコニルアセテートをさらに含む、実施形態81から93のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
実施形態95.(b)、(e)および(h)の1つまたは複数による乾燥が、90~170℃、好ましくは100~140℃、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気を用いて遂げられる、実施形態81から94のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態96.(c)、(f)および(k)の1つまたは複数によるか焼が、350~550℃、好ましくは400~500℃、より好ましくは440~460℃の範囲の温度を有するガス雰囲気を用いて遂げられる、実施形態81から95のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態97.第1のスラリー、第2のスラリーおよび第3のスラリーの1つまたは複数を、湿式注入または噴霧によって、好ましくは湿式注入によって配置することを含む、実施形態81から96のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
本発明は、さらに、以下の実施例および参照例によってさらに例示する。
【実施例】
【0223】
[参照例1]
D90値の決定
本発明の文脈での呼称であるD90粒径は、レーザ光回析を用いるSympatec Particle Size装置(0.1~8,750マイクロメートルの範囲の粒径分布の決定を可能にするSympatec’s HELOSシステム)で測定した。この方法によれば、粒径分布は、パラメータを含まないモデル独立型数学的アルゴリズムで評価し、反復方法のためのPhillips-Twomeyアルゴリズムの導入により成し遂げた。
【0224】
[参照例2]
CuCHAゼオライトの製造
Cuを含むフレームワーク構造タイプCHAを有する、本明細書の実施例中で使用するゼオライト材料を、米国特許第8,293,199 B2号の教示に従って製造した。米国特許第8,293,199 B2号の「本発明の実施例2」、段落15、26~52行を特に参照した。
【0225】
[実施例1]
1つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体(Pt含有率は10から20質量%の間)として白金を有する白金前駆体の溶液を、ジルコニア-アルミナ(20質量%ジルコニアでドープしたアルミナ、Puralox(商標登録)SBa-200 Zr20、Sasol)0.25g/インチ3中へ、一定の撹拌下で滴下添加し、それにより、インシピエントウェットネス含浸を実施した。添加する液体の量は、ジルコニア-アルミナの孔の体積を満たすのに好適であるように算出した。インシピエントウェットネス後の最終固形分含有量は、およそ75質量%であった。インシピエントウェットネス含浸後に得られた混合物を590℃にて4時間、予か焼して、任意の水分を除去し、白金を金属酸化物担体材料上に固定して、乾燥白金含有量5g/フィート3を得た。別に、29.5から30質量%の間の固形分を有するジルコニル-アセテート溶液0.08g/インチ3(ZrO2として算出)を水に添加して、およそ10質量%の固形分含有量を有する混合物を創製した。これに、本明細書の参照例2に従って製造したCuCHAゼオライト1.66g/インチ3を添加した。次いで、得られたスラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めた得られたD90粒径が3.5マイクロメートルから6マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。続いて、予か焼済みPt含浸済みジルコニア-アルミナをスラリーへと作製した。第1に、予か焼後に残留しているPtの量の5倍の比にある酒石酸を、モノエタノールアミンが酒石酸の量の1/10の比であるように水に添加した。第2に、Pt含浸済みジルコニア-アルミナをこの溶液に添加し、溶液中へ混合し、それによりスラリーを形成した。次いで、スラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めたD90粒径が9マイクロメートルから11マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。このスラリーへ、直接交換CuCHAゼオライトスラリーを添加して混合し、すぐに配置する最終スラリーを創製した。次いで、最終スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(1平方インチ当たり300セルおよび5milの壁厚を有する10.5’’×3’’の円筒形の基材)の全体長さにわたり配置した。この後、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで、450℃にてか焼した。か焼後の総乾燥増体量は、2.0g/インチ3であった。
【0226】
[実施例2]
1つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
ジルコニア-アルミナの代わりにチタニア0.25g/インチ3を使用したことを除き、実施例1による手順を繰り返した。か焼後の総乾燥増体量は、2.0g/インチ3であった。
【0227】
[実施例3]
1つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
ジルコニア-アルミナ(20質量%のジルコニアでドープしたアルミナ、Puralox(商標登録)SBa-200 Zr20、Sasol)0.25g/インチ3の代わりに1.0g/インチ3を使用したことを除き、実施例1による手順を繰り返した。か焼後の総乾燥増体量は、2.75g/インチ3であった。
【0228】
[実施例4]
2つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
第1の層(ボトム層)のために、29.5から30質量%の間の固形分を有するジルコニルアセテート溶液0.08g/インチ3を水に添加して、およそ10質量%の固形分含有量を有する混合物を創製した。これに、本明細書の参照例2に従って製造したCuCHAゼオライト1.66g/インチ3を添加した。次いで、得られたスラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めた得られたD90粒径が9マイクロメートルから12マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。次いで、スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(1平方インチ当たり300セルおよび5milの壁厚を有する10.5’’×3’’の円筒形の基材)の全体長さにわたって配置した。その後、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。か焼後の第1の層の総乾燥増体量は、1.75g/インチ3であった。
【0229】
第2の層(トップ層)のために、アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体として白金を有する白金前駆体の溶液を20%希釈し、次いでシリカ-アルミナ(1.5質量%のシリカでドープしたアルミナ、Siralox(商標登録)1.5/100、Sasol)0.5g/インチ3中へ、一定の撹拌下で滴下添加し、それにより、インシピエントウェットネス含浸を実施した。添加する液体の量は、シリカ-アルミナの孔の体積を満たすのに好適であるように算出した。このインシピエントウェットネス含浸混合物へ、トップコートの企図した総乾燥増体量の9質量%の量にある酢酸、および追加の水を添加した。インシピエントウェットネス含浸後の最終固形分含有量は、およそ70質量%であった。次いで水を、トップコートの企図した乾燥増体量の0.2%に基づくn-オクタノールと共に該混合物へ添加した。このステップ後の固形分含有量は、43から47質量%の間であった。次いで、スラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めたD90粒径が6マイクロメートルから9マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。次いで、スラリーをハニカムモノリス基材の後端部から基材の長さの50%まで配置してトップ層を形成して、相当する層のために10g/フィート3の乾燥白金含有量(基材の合計に対して5g/フィート3のPt含有量に相当する)を得た。次いで、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。か焼後の第2の層の総乾燥増体量は、0.51g/インチ3であった。
【0230】
[実施例5]
3つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
Ptベースの第2の層(ボトム層)のために、アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体として白金を有する白金前駆体の溶液を20%希釈し、次いでシリカ-アルミナ(1.5質量%シリカでドープしたアルミナ、Siralox(商標登録)1.5/100、Sasol)1.0g/インチ3中へ、一定の撹拌下で滴下添加し、それにより、インシピエントウェットネス含浸を実施した。添加する液体の量は、シリカ-アルミナの孔の体積を満たすのに好適であるように算出した。このインシピエントウェットネス含浸混合物へ、第2の層の企図した総乾燥増体量の9質量%の量にある酢酸、および追加の水を添加した。インシピエントウェットネス後の最終固形分含有量は、およそ70質量%であった。次いで水を、第2の層の企図した乾燥増体量の0.2%に基づくn-オクタノールと共に該混合物へ添加した。このステップ後の固形分含有量は、43から47質量%の間であった。次いで、スラリーを、参照例1に記載のように求めたD90粒径が6マイクロメートルから9マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。次いで、Pt含有第2の層のスラリーを、ハニカムコーディエライトモノリス基材(1平方インチ当たり300セルおよび5milの壁厚を有する10.5’’×3’’の円筒形の基材)の後端部から、基材の長さの50%まで配置して、相当する層のために10g/フィート3の乾燥白金含有量(基材の合計に対して5g/フィート3のPt含有量に相当する)を得た。次いで、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。
【0231】
その後、ゼオライトスラリーを生成した。29.5から30質量%の間の固形分を有するジルコニルアセテート溶液(ゼオライトの量の1/20(乾燥/乾燥ベース)として算出した量)を水に添加して、およそ10質量%の固形分含有量を有する混合物を創製した。これに、本明細書の参照例2に従って製造したCuCHAゼオライト1.66g/インチ3を添加した。次いで、得られたスラリーを、参照例1に記載のように求めたD90粒径が9マイクロメートルから12マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。第1の層を形成するために、ゼオライトスラリーを、そこに第2の層がすでに配置されているハニカムコーディエライトモノリス基材の、基材の前端部からの長さの50%の上に配置した。第1の層の乾燥増体量は、1.75g/インチ3であった。その後、基材を乾燥させて、水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。
【0232】
最後に、ゼオライトスラリーを、再度、第3の層(外側のトップコート)をコーティングするのに使用した。スラリーを、基材の後端部から、ハニカムモノリス基材の長さの50%の長さの上に配置した。第3の層の乾燥増体量は、0.5g/インチ3であった。その後、基材を乾燥させて、水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。
【0233】
か焼後の総乾燥増体量は、1.01g/インチ3であった。
【0234】
[実施例6]
1つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
ジルコニア-アルミナ0.25g/インチ3の代わりに0.5g/インチ3を使用したことを除き、実施例1による手順を繰り返した。か焼後の総乾燥増体量は、2.25g/インチ3であった。
【0235】
[実施例7]
2つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
第1の層(ボトム層)のために、アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体として白金を有する白金前駆体の溶液を20%希釈し、次いでシリカ-アルミナ(1.5質量%シリカでドープしたアルミナ、Siralox(商標登録)1.5/100、Sasol)0.5g/インチ3中へ、一定の撹拌下で滴下添加し、それにより、インシピエントウェットネス含浸を実施した。添加する液体の量は、シリカ-アルミナの孔の体積を満たすのに好適であるように算出した。このインシピエントウェットネス含浸混合物へ、ボトムコートの企図した総乾燥増体量の9質量%の量にある酢酸、および追加の水を添加した。インシピエントウェットネス含浸後の最終固形分含有量は、およそ70質量%であった。次いで水を、ボトムコートの企図した乾燥増体量の0.2%に基づくn-オクタノールと共に該混合物へ添加した。このステップ後の固形分含有量は、43から47質量%の間であった。次いで、スラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めたD90粒径が6マイクロメートルから9マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。次いで、スラリーを、ハニカムモノリス基材(1平方インチ当たり300セルおよび5milの壁厚を有する10.5’’×3’’の円筒形の基材)の後端部から、基材の長さの100%まで配置してボトム層を形成し、相当する層のために16g/フィート3の乾燥白金含有量(基材の合計に対して8g/フィート3のPt含有量に相当する)を得た。次いで、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。か焼後の第1の層の総乾燥増体量は、0.51g/インチ3であった。
【0236】
第2の層(トップ層)のために、29.5から30質量%の間の固形分を有するジルコニルアセテート溶液0.17g/インチ3を水に添加して、およそ10質量%の固形分含有量を有する混合物を創製した。これに、本明細書の参照例2に従って製造したCuCHAゼオライト3.33g/インチ3を添加した。次いで、得られたスラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めた得られたD90粒径が9マイクロメートルから12マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。次いで、スラリーを、ハニカムコーディエライトモノリス基材の全体長さ(すなわち基材の長さの100%)にわたり配置した。この後、基材を乾燥させて、水分の85から95%の間を除去し、次いで450℃にてか焼した。か焼後の第2の層の総乾燥増体量は、3.5g/インチ3であった。
【0237】
最終生成物の総乾燥増体量は、4.0g/インチ3であった。
【0238】
[実施例8]
1つのウォッシュコート層を含む触媒の製造
アミン安定化ヒドロキソPt(IV)錯体(Pt含有率は10から20質量%の間、BASFにより国内で製造されている)として白金を有する白金前駆体の溶液を、ジルコニア-アルミナ(20質量%ジルコニアでドープしたアルミナ、Puralox(商標登録)SBa-200 Zr20、Sasol)0.25g/インチ3中へ、一定の撹拌下で滴下添加し、それにより、インシピエントウェットネス含浸を実施した。添加する液体の量は、ジルコニア-アルミナの孔の体積を満たすのに好適であるように算出した。インシピエントウェットネス後の最終固形分含有量は、およそ75質量%とした。インシピエントウェットネス含浸後に得られた混合物を590℃にて4時間、予か焼して、任意の水分を除去し、白金を金属酸化物担体材料上に固定して、乾燥白金含有量8g/フィート3を得た。別に、29.5から30質量%の間の固形分を有するジルコニルアセテート溶液0.08g/インチ3(ZrO2として算出)を水に添加して、およそ10質量%の固形分含有量を有する混合物を創製した。これに、本明細書の参照例2に従って製造したCuCHAゼオライト3.33g/インチ3を添加した。次いで、得られたスラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めた得られたD90粒径が3.5マイクロメートルから6マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。続いて、予か焼Pt含浸済みジルコニア-アルミナをスラリーへと作製した。第1に、予か焼後に残留しているPtの量の5倍の比にある酒石酸を、モノエタノールアミンが酒石酸の量の1/10の比であるように、水に添加した。第2に、Pt含浸済みジルコニア-アルミナをこの溶液に添加し、溶液中へ混合し、スラリーを創製した。次いで、スラリーを、本明細書の参照例1に記載のように求めたD90粒径が9マイクロメートルから11マイクロメートルの間の直径になるまでミリングした。このスラリーへ、直接交換済みCuCHAゼオライトスラリーを添加して混合し、すぐに配置する最終スラリーを創製した。次いで、最終スラリーを、ハニカムコーディエライトモノリス基材(1平方インチ当たり400セルおよび4milの壁厚を有する10.5’’×3’’の円筒形の基材)の全体長さにわたり配置した。その後、基材を乾燥させて水分の85から95%の間を除去し、次いで、450℃にてか焼した。か焼後の総乾燥増体量は、3.75g/インチ3であった。
【0239】
[実施例9]
実施例1から6の触媒を使用する方法-NO2生成
触媒を、燃焼エンジンの下流の触媒によって経験された過渡変化に倣うことができるDiesel System Simulatorにおいて、試験した。該試験は、定常条件下で実施した。コアの寸法は、1’’(直径)×3’’(長さ)とした。すべてのガス組成の測定は、FTIR分光計において実施した。NO2生成を測定する試験は、NOxのみの条件下で実施し、これは、アンモニアを添加しなかったことを意味する。実施例1から6の触媒を、以下に示す含有量により特徴づけられるガスを使用して試験した。各試験ランのための空間速度を100,000h-1に設定した。本発明によれば、空間速度は、1時間ごとにそこを通る、コーティングされた触媒の体積に等しい排ガスの体積の数であると理解される。空間速度は、性能比較を行うときに触媒サイズの影響を排除するための手段である。空間速度は、触媒体積[m3]当たりのガス体積流[m3/h]によって算出し、したがって単位[1/h]で表す。そのため、NO2/NOx比は、ガスの温度に対して求め、それにより、NOxの量は、NOの量とNO2の量との和に等しい。得られた曲線は、ライトオフ曲線を表す。ライトオフ曲線は、実施例1から6の触媒のそれぞれについて150から450℃の間で測定し、それにより、10K/分の傾斜率(傾斜上昇と傾斜下降との両方についての)を設定した。最初に、熱が上がった(傾斜上昇した)ときにライトオフ曲線を測定した。次いで、温度を450℃に10分間保った。その後、熱が下がった(傾斜下降した)ときにライトオフ曲線を測定した。
【0240】
【0241】
ライトオフについての結果を
図1および
図2に示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図1は、傾斜上昇についてのライトオフ曲線を示す。
図1から分かるように、本発明による実施例1の触媒(試料1を参照)は250~425℃の範囲の温度において最も高いNO
2/NO
x比を示し、かつ実施例4の触媒(試料4を参照)は175~215℃の範囲の温度において最も高いNO
2/NOx比を示すことが見出された。
図2は、傾斜下降についてのライトオフ曲線を示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図2から分かるように、実施例4の触媒(試料4を参照)は290~450℃の範囲の温度において最も高いNO
2/NO
x比を示し、実施例5の触媒(試料5を参照)は240~265℃の範囲の温度において最も高いNO
2/NO
x比を示し、かつ実施例1の触媒(試料1を参照)は230℃未満で最も高いNO
2/NO
x比を示す。
【0242】
[実施例10]
実施例1から6の触媒を使用する方法-アンモニア酸化、N2O生成およびNOx生成
アンモニア酸化の効率を求めるために、N2O生成およびNOx生成、実施例1から6の触媒の生成、アンモニアスリップ、N2O生成、ならびにNOx生成を、それぞれ、定常点にて測定した。8つの定常点を、温度範囲と試験の便法とのバランスを取るように選んだ。200~450℃の温度範囲は、ヘビーデューティーディーゼル作動にとって最も妥当であると考えられる。ガスの濃度は、作動中のAMOxによって遭遇される潜在的な濃度を表すと考えられた。NOxは、NOのみを典型的に含有することがあり、上流に位置しているSCR触媒の効果に起因して、エンジンアウトよりもはるかに少ない。過量条件にて走る(すなわち、NOxよりも多い還元剤がガス流れ中にある)場合、NOxに比べ、AMOxに入るNH3が過剰量でありうる。O2濃度およびH2O濃度は、典型的なディーゼルエンジン作動と一貫していると考えられる。さらに、所与の空間速度は、典型的なEU VI AMOx体積に合うと考えられた。8つの定常点の特徴を下表1に示す。空間速度は、120,000h-1に設定した。
【0243】
【0244】
アンモニア酸化
アンモニアスリップ測定の結果を
図3に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図3は、1つごとの定常点に関するアンモニアスリップを示す。そのため、実施例1の触媒(試料1を参照)は、各定常点について、すべての実施例の中で最も低いアンモニアスリップを提示していることが見出された。
【0245】
N
2O生成
N
2O生成測定の結果を
図4に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図4は、1つごとの定常点に対するN
2O生成を示す。驚くべきことに、実施例2の触媒(試料2を参照)は、すべての触媒を平均した中で最も低いN
2O選択性を提示し、特に前記触媒は、定常点2~7において最も低いN
2O生成を提示している。定常点8では、実施例1の触媒(試料1を参照)が、最も低いN
2O生成を示している。
【0246】
NO
x生成
NO
x生成の結果を
図5に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図5は、1つごとの定常点に対するNO
x生成を示す。そのため、驚くべきことに、実施例2の触媒(試料2を参照)が、定常点1~6で最も低いNO
x生成を提示し、一方で、実施例1の触媒(試料1を参照)が、定常点7および8で最も低いNO
x生成を提示していることが見出された。
【0247】
[実施例11]
実施例1から6の触媒を使用する方法-DeNOx性能、NOxスリップ、NH3スリップ、NO2生成
DeNOx性能、NOxスリップ、アンモニアスリップおよびNO2生成を測定するために、還元済みNOxの相対量を、5つの異なる定常点で求めた。AMOx試験と同様に、5つの定常点を、SCRのために最も妥当な温度と試験の便法とのバランスを取るように選んだ。250から400℃の間で、これらの温度での測定がそれほど多くの情報を付与しないほど、ほぼすべてのSCR触媒が非常に活性である。
【0248】
175℃から250℃では、SCR触媒のNOのみの活性が大きくストレスを受け、その一方で400℃を超えると、NH3酸化の程度が観察され得、しかし、この反応が、さらに高い温度で(すなわち400℃超)より顕著となる。しかしながら、400℃超の温度は、典型的な作動において遭遇されることは稀である。低い温度であるほど、触媒のNH3吸着容量が高いこと、したがって平衡させて最大の転換に到達するのにより長くかかることが考えられる。したがって、より低い温度は、より高い温度よりも長い間、保たれる。ガス組成に関する限り、これらは、過剰量を伴う欧州自動車較正を表すことができる値である。(ここでのNO濃度は、それが、SCR転換の試験であり、NOまたはNH3の酸化の試験ではないために、AMOx試験についてよりもはるかに高いことに留意されたい。)
【0249】
各定常点での温度および期間を下表3に示し、ならびに使用したガスの特性も示す。空間速度は、62,000h-1に設定した。
【0250】
【0251】
DeNO
x性能
DeNO
x性能の結果を
図6に示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図6から分かるように、実施例1の触媒(試料1を参照)は、驚くべきことに、定常点1、2および3において最も優れたDeNO
x性能を示し、その一方で、実施例4の触媒(試料4を参照)は定常点4において最も優れたDeNO
x性能を示し、かつ実施例5の触媒(試料5を参照)は定常点5において最も優れたDeNO
x性能を示している。
【0252】
NO
xスリップ
さらに、NO
xスリップを求めた。それぞれの測定の結果を
図7に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図7は、1つごとの定常点に対するNO
xスリップを示す。
図7に見られるように、実施例1の触媒(試料1を参照)は、定常点1、2および3において最も低いNO
xスリップを提示し、その一方で実施例4の触媒(試料4を参照)は定常点4において最も低いNO
xスリップを提示し、かつ実施例5の触媒(試料5を参照)は定常点5において最も低いNO
xスリップを提示している。
【0253】
アンモニアスリップ
それに加えて、アンモニアスリップを求めた。結果を
図8に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図8は、1つごとの定常点に対するアンモニアスリップを示す。そこでは、実施例1の触媒(試料1を参照)が定常点1~4において最も低いアンモニアスリップを示し、一方で定常点5におけるアンモニアスリップが、すべての触媒についてほとんど同様であることが見られる。実施例1の触媒(試料1を参照)が、220℃にて約22ppmのアンモニアを酸化させ、225℃にて約55ppmのアンモニアを酸化させ、かつ250℃にて約90ppmのアンモニアを酸化させることが判明した。それに比べ、実施例5の触媒(試料5を参照)は、200℃にて約22ppmのアンモニアを酸化させ、225℃にて約30ppmのアンモニアを酸化させ、かつ250℃にて65ppmのアンモニアを酸化させる。
【0254】
NO
2生成
さらに、NO
2生成を求めた。それぞれの測定の結果を
図9に提示し、試料1~6は、それぞれ実施例1から6を指す。
図9は、1つごとの定常点に関するNO
2生成を示す。NO
2レベルが一般にきわめて低いことが見られる。さらに、実施例1の触媒(試料1を参照)が定常点4および5にて最も高いNO
2生成を示し、一方で、定常点1~3でのNO
2生成がすべての触媒についてほとんど同様であることが見られる。
【0255】
[実施例12]
NO2対NOxの比に影響を及ぼす実施例7および8の触媒を使用する方法
実施例7および8の触媒を、EU VI non-EGR 13Lディーゼル燃焼エンジンについて、試験セルにおいて試験した。該試験は、定常条件下で実施した。尿素投下装置をエンジンの下流に位置させ、続いてコーン配管セットアップ中で排ガス後処理を行った。7つの定常点を、温度範囲と試験の便法とのバランスを取るように選んだ。ロードポイントとして指定した7つの定常点(LP1~LP7)の特性を下表4に示す。
【0256】
【0257】
すべてのガス組成の測定を、FTIR分光計において実施した。NO2対NOxの比を評価するための試験は、アンモニア対窒素の比(NSR)が(1)NSRが0、および(2)NSRが0.5という点の、2つの異なる条件下で実施した。
【0258】
そのため、NO
2対NO
xの比を各定常点に対して求め、それによれば、NO
xの量は、NOの量とNO
2の量との和に等しい。測定の結果を
図10および
図11に示し、両方の図において、「層化AMOx設計8g/フィート
3」は実施例7を指し、「混合AMOx設計8g/フィート
3」は実施例8を指す。
図10からは、アンモニア対窒素の比(NSR)0を適用したときに、定常点LP1、LP2、LP3、LP5、LP6およびLP7について、実施例8の触媒(「混合AMOx8g/インチ
3」)が、実施例7(「層化AMOx8g/インチ
3」)と比べて高いNO
2対NO
xの比を示していることが分かる。定常点LP4では、実施例7の触媒は、より高いNO
2対NO
xの比を示している。さらに、
図11からは、アンモニア対窒素の比(NSR)0.5を適用したときに、定常点LP1、LP2、LP3、LP5、LP6およびLP7について、実施例8の触媒が、実施例7(「層化AMOx8g/インチ
3」)と比べてより高いNO
2対NO
xの比を示していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0259】
【
図1】試料の熱を上げたときの試料1~6のライトオフ曲線(傾斜上昇についてのライトオフ曲線)を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、温度を横座標に沿って示し、NO
2/NO
x比を縦座標に沿って示している。
【
図2】試料の熱を下げたときの試料1~6のライトオフ曲線(傾斜下降についてのライトオフ曲線)を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、温度を横座標に沿って示し、NO
2/NO
x比を縦座標に沿って示している。
【
図3】8つの定常点のそれぞれについての試料1~6のアンモニアスリップを示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す8つの定常点のそれぞれに対してアンモニアスリップを縦座標上に示している。
【
図4】8つの定常点のそれぞれについての試料1~6のN
2O生成を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す8つの定常点のそれぞれに対してN
2O生成を縦座標上に示している。
【
図5】8つの定常点のそれぞれについての試料1~6のNO
x生成を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す8つの定常点のそれぞれに対してNO
x生成を縦座標上に示している。
【
図6】5つの定常点のそれぞれについての試料1~6のDeNO
x性能を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す5つの定常点のそれぞれに対して還元済みNO
xの相対量を縦座標上に示している。
【
図7】5つの定常点のそれぞれについての試料1~6のNO
xスリップを示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す5つの定常点のそれぞれに対してNO
xスリップを縦座標上に示している。
【
図8】5つの定常点のそれぞれについての試料1~6のアンモニアスリップを示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す5つの定常点のそれぞれに対してアンモニアスリップを縦座標上に示している。
【
図9】5つの定常点のそれぞれについての試料1~6のNO
2生成を示す。試料1~6は、それぞれ実施例1から6の触媒を指す。図では、試料1~6について、横座標上に示す5つの定常点のそれぞれに対してNO
2生成を縦座標上に示している。
【
図10】7つの定常点のそれぞれについての、「層化AMOx設計8g/フィート
3」および「混合AMOx設計8g/フィート
3」の、アンモニア対窒素の比(正規化した化学量論比=NSR)0でのNO
2/NO
x比を示す。「層化AMOx設計8g/フィート
3」は実施例7を指し、「混合AMOx設計8g/フィート
3」は実施例8を指す。図では、「層化AMOx設計8g/フィート
3」および「混合AMOx設計8g/フィート
3」について、横座標上に示す7つの定常点のそれぞれに対してNO
2/NO
x比を縦座標上に示している。
【
図11】7つの定常点のそれぞれについての、「層化AMOx設計8g/フィート
3」および「混合AMOx設計8g/フィート
3」の、アンモニア対窒素の比(NSR)0.5でのNO
2/NO
x比を示す。「層化AMOx設計8g/フィート
3」は実施例7を指し、「混合AMOx設計8g/フィート
3」は実施例8を指す。図では、「層化AMOx設計8g/フィート
3」および「混合AMOx設計8g/フィート
3」について、横座標上に示す7つの定常点のそれぞれに対してNO
2/NO
x比を縦座標上に示している。