(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】消化管の壁における神経アブレーションのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/24 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
A61B18/24
(21)【出願番号】P 2019529322
(86)(22)【出願日】2017-08-14
(86)【国際出願番号】 IL2017050898
(87)【国際公開番号】W WO2018033910
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-14
(32)【優先日】2016-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519049396
【氏名又は名称】ジグマ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シャマイ・ヨナタン
(72)【発明者】
【氏名】ベハー・ボーツ
(72)【発明者】
【氏名】ベン オレン・イラン
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536531(JP,A)
【文献】特表2014-508580(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02548606(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
十二指腸壁および/またはその中の感覚ニューロンの粘膜下層を選択的に切除するための装置であって、カテーテルを備え、カテ―テルは、
前記十二指腸壁を
径方向に引き伸ばし、前記カテーテルの中心と前記十二指腸壁との間に
一定の径方向距離を生成するように構成された拡張可能な部材を有し、前記拡張可能な部材は、半径12.5~25mmの半準拠または非準拠のバルーンを含
み、前記バルーンを膨張させることにより、前記カテーテルの中心と前記十二指腸壁との間に
一定の径方向距離を生成し
、十二指腸の内径が
、本質的に一定となるようにし
、
波長1550~1567nm、出力3~30W、スポット直径20~200μmのレーザビームを伝送するシングルモード光ファイバーを備えるレーザ伝送素子と、
レーザ発光素子と機能的に結合され、前記十二指腸壁の上および/または下の領域に前記レーザビームを向けるように構成された、回転可能な偏向光学素子とを備え、
前記カテーテルおよび/または前記回転可能な偏向光学素子は、回転可能であり、その回転が、レーザビームを伝送しながら、前記十二指腸壁の周辺切除をもたらすようになっている、装置。
【請求項2】
最初の波長が、1550nmである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記レーザ伝送素子が、第2の波長を有する第2のレーザビームを伝送するように構成され、第2のレーザビームは、第1のレーザビームの衝突に起因する十二指腸壁の領域の変化を検出するように構成されている請求項1に記載の装置。
【請求項4】
第1のレーザビームが第1のスポット直径を有し、第2のレーザビームが第2のスポット直径を有し、第2のスポット直径が第1のスポット直径より大きい請求項3に記載の装置。
【請求項5】
レーザ伝送素子が第2の光フィバーを有し、第2の光ファィバーが第2のレーザビームを伝送するように構成されている請求項3に記載の装置。
【請求項6】
第2のレーザビームは、第1のレーザビームから分離され、前記偏向光学素子が回転するときに、第1のレーザビームの衝突に遅れて、与えられた標的領域に衝突するように構成されている請求項3に記載の装置。
【請求項7】
レーザ発光素子が、二重クラッドファィバーを有し、第1のレーザビームが二重クラッドファィバーのコアを通して送られ、第2のレーザビームが、二重クラッドファィバーのクラッドを通して送られる請求項3に記載の装置。
【請求項8】
レーザ伝送素子は、第1のレーザビームおよび/または第2のレーザビームを選択的に屈折するように構成した分散素子を備えるため、前記偏向光学素子が回転するときに、第1のレーザビームと第2のレーザビームが、分離され、十二指腸壁の異なる標的領域に向かって伝送され、および/または第2のレーザビームが第1のレーザビームの衝突より遅れて与えられた標的領域に衝突する請求項3に記載の装置。
【請求項9】
第2の波長が、980nmである請求項3に記載の装置。
【請求項10】
第2のレーザビームは、スポット直径が400~1500μmである請求項3に記載の装置。
【請求項11】
第2のレーザビームは、スポット直径が500~1000μmである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
拡張可能な部材は、ノンコンプライアントバルーンである請求項1に記載の装置。
【請求項13】
バルーンは、複数のバルーンセグメントを含む請求項1に記載の装置。
【請求項14】
バルーンセグメントは、順次膨張するように構成される請求項13に記載の装置。
【請求項15】
バルーンが、パリレンコーティングを備える請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、消化管(GI)の壁における神経アブレーションにフィードバックを提供するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、特に遺伝的に2型糖尿病にかかりやすい人々において、その疾患の主な原因の1つであると考えられている。肥満は、体重を減らすために、肥満患者の消化管に肥満症手術処置(減量手術としても知られる)を行うことによって治療されることが多い。複数の臨床試験および報告は、減量に加えて、特定の肥満症手術処置が2型糖尿病の寛解または疾患管理の改善、ならびにインスリン抵抗性の低下に寄与し得ることを示している。これは、いずれも十二指腸を迂回することを目的とした、Roux-en-Y胃バイパス術(RYGB)、十二指腸-空腸バイパス術(DJB)手術および胃空腸バイパス術(GJB)手術など、消化(GI)管の近位部を迂回する特定の肥満症処置の場合に特に当てはまる。残念なことに、肥満症手術は高リスクおよび高コストに関連付けられ、世界中で数億と推定される大部分のT2Dの非肥満患者の管理のための最適な解決策ではない。その結果、肥満症手術は、通常、大部分のT2D患者にとって疾患管理ツールとは見なされていない。
【0003】
肥満症手術と同様の効果を得るための試みは、胃のサイズを小さくするためのステープラ、胃内バルーン、胃機能に介入する電気刺激装置の埋め込み(胃電気刺激)、十二指腸粘膜を標的とする非貫通電極を用いて、または幽門括約筋周りの領域のアブレーションによって器官の表面に適用される、十二指腸を迂回するスリーブ(例えば、EndoBarrier(登録商標)、GI Dynamics(商標)および高周波(RF)アブレーション)を含む、腔内に挿入されるものなどの低侵襲装置の使用を含む。しかし、これらの方法は、有害事象および不当な副作用(例えば、嘔吐、悪心、腹痛、粘膜裂傷、出血、遊走および閉塞)との関連、早期の装置除去の必要性、合併症、限られた、または欠如する場合もある効能などの特定の固有の制限を被る。
レーザアブレーションは、小腸、好ましくは対象者の十二指腸における神経活動の一部を選択的にブロックするための方法として提案されている。しかし、腸壁内に神経障害を生成することは難題である。その理由は、壁は非常に薄く、厚さは、ひだおよび分泌要素と同様に、患者間および患者内の高い変動性に左右されるためである。壁の損傷または穿孔は危険となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/118782号
【文献】国際公開第2015/159296号
【文献】国際公開第2014/118738号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、処置中のアブレーションプロセスの効能を監視、制御および/または評価するための手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、処置中のアブレーションプロセスの効率を監視、制御、および/または評価するための方法、装置およびシステムに関する。
【0007】
レーザアブレーションは、小腸、好ましくは対象者の十二指腸における神経活動を選択
的にブロックするための効率的な処置として提案されてきた。いかなる理論にも縛られないが、アブレーションは、食物が消化(GI)管を通過することによって引き起こされる神経ホルモンおよび/または他の信号、したがって対象者の満腹感に影響を及ぼすことができる。
【0008】
しかし、腸の壁内の神経障害は、壁が非常に薄く、折り畳まれており、患者間および患者内の高い変動性に左右されるため難題である。同時に、腸壁の損傷および/または穿孔は危険となり得る。
【0009】
有利には、本明細書に開示する装置、方法、およびシステムは、十二指腸壁に引き起こされる影響の程度をリアルタイムで監視および/または評価することができ、任意選択により、それに応じてアブレーションパラメータを調整することができる。
【0010】
装置は、有利には、十二指腸壁を引き伸ばすように構成されたノンコンプライアントバルーンなどの拡張可能な部材を含むことができ、それによって十二指腸の内径が、バルーンによって引き伸ばされ、および/または関連付けられたセクションに沿って本質的に一定となることを確実にする。これにより、有利には、十二指腸内に挿入されたカテーテルが、治療のために指定された領域において十二指腸の中心に配置され、それにより、円周方向アブレーションは、レーザの配向にかかわらず本質的に同じ線量のレーザエネルギーによることを確実にすることができる。腸などの「動く動的な」円形器官においてアブレーション要素を同心に保つための説明する機構は、レーザまたは超音波または電磁放射線などの任意の他の非直接エネルギー発光ラジエータを用いて行うことができる。そのような方法のほとんどは、角速度ではなく組織上でのそれらの線速度と直接相関付けられた効果を組織上に及ぼし、したがってレーザアブレーションに特に有益である。
【0011】
装置は、さらに、十二指腸壁の標的領域に第1のレーザ放射を伝送し、それによってそのアブレーションおよび/または変形を引き起こす第1のレーザ放射と、組織領域の走査を可能にし、こうして第1の切除レーザ放射が組織に衝突した結果として組織に引き起こされた影響の程度を示すフィードバックを得るように構成された第2のレーザ放射とを伝送するように構成されたレーザ伝送素子を含む。有利には、これにより、治療された組織における変形のリアルタイム評価が可能になる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、第2のレーザビームは、本質的に同じ標的領域に関して、第1のレーザビームより遅れ得る。これは、有利には、フィードバックビームによる監視の前に光熱および/または光化学プロセスが起こることを可能にする。
【0013】
加えて、いくつかの実施形態によれば、第1の切除放射のスポット直径は、第2の評価放射のスポット直径より小さくてよい。これは、有利には、直接切除されたのではなく、直接切除された組織に近接しているために影響を受けた組織に引き起こされる「付随的」効果を評価することを可能にする。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、十二指腸アブレーションをリアルタイムで評価するための装置であって、カテーテルを備え、カテーテルは、十二指腸壁を引き伸ばし、カテーテルの中心と十二指腸壁との間に固定された距離を生成するように構成された拡張可能な部材と、カテーテル本体に結合され、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを伝送するように構成されたレーザ伝送素子であって、第1のレーザビームは、第1の波長および第1のスポット直径を有し、十二指腸壁の領域内に、この領域に対するその衝突の結果として切除損傷を引き起こすように構成され、第2のレーザビームは、第2の波長および第2のスポット直径を有し、十二指腸壁の領域内で、この領域に対する第1のレーザビームの衝突の結果生じる変形を検出するように構成される、レーザ伝送素子と、レーザ発光
素子に機能的に結合され、十二指腸壁の上および/または下の領域にレーザビームを向けるように構成された偏向光学素子とを備える、装置が提供される。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、第1のレーザビームを伝送するように構成された第1の光ファイバと、第2のレーザビームを伝送するように構成された第2の光ファイバとを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、第1および第2のファイバは空間的にずれている。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、レーザ伝送素子は、第1のレーザビームを偏向させるように構成されたレンズをさらに含むことができ、それにより、第1および第2のレーザビームは、十二指腸壁の異なる標的領域に向かって伝送され、および/または偏向光学素子が回転されるとき、第2のレーザビームは所与の標的領域に、同じ領域に対する第1のレーザビームの衝突より遅れて衝突する。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、ダブルクラッドファイバを含むか、またはダブルクラッドファイバであってよい。いくつかの実施形態によれば、第1のレーザビームは、ダブルクラッドファイバのコアを通って送られ、第2のビームは、ダブルクラッドファイバのクラッドを通って送られる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、レーザ伝送素子は、第1および/または第2のレーザビームを選択的に屈折させるように構成された分散素子をさらに含むことができ、それにより、第1および第2のレーザビームは、十二指腸壁の異なる標的領域に向けて伝送され、および/または偏向光学素子が回転されるとき、第2のレーザビームは所与の標的領域に、その標的領域に対する第1のレーザビームの衝突より遅れて衝突する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、第1の波長は、1550nmまたは1567nmである。いくつかの実施形態によれば、第2の波長は、980nmである。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、第2のスポット直径は、第1のスポット直径より大きく、それによって第1のレーザビームによって直接的および間接的に影響を受ける組織に引き起こされる切除損傷の評価を可能にする。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、装置は、十二指腸壁の領域に対する影響の程度を、この領域内で検出された変形に基づいて評価するように構成された処理回路をさらに含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、十二指腸アブレーションをリアルタイムで評価するための方法であって、カテーテルを対象者の十二指腸に挿入することと、カテーテルによって送られた拡張可能な部材を展開することがであって、それによって十二指腸壁を引き伸ばし、カテーテルの中心と十二指腸壁との間に固定された距離を生成することと、カテーテルの長手方向軸に対して本質的に垂直の方向に、十二指腸壁に向かって第1のレーザビームを伝送することであって、第1のレーザビームは、第1の波長および第1のスポット直径を有し、十二指腸壁の領域内に、この領域に対するその衝突の結果として切除損傷を引き起こすように構成される、第1のレーザビームを伝送することと、カテーテルの長手方向軸に対して本質的に垂直に第2のレーザビームを伝送することであって、第2のレーザビームは、第2の波長および第2のスポット直径を有し、十二指腸壁の領域内で、この領域に対する第1のレーザビームの衝突の結果生じる変形を検出するように構成される、第2のレーザビームを伝送することと、十二指腸壁の領域に対する影響の程度を、この領域内の検出された変形に基づいて評価することとを含む、方法が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、第1の波長は、1450~1600nmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、第1の波長は、1550nmである。いくつかの実施形態によれば、第2の波長は、980nmである。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、第2のスポット直径は、第1のスポット直径より大きく、それによって第1のレーザビームによって直接的および間接的に影響を受ける組織に引き起こされる切除損傷の評価を可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、拡張可能な部材は、ノンコンプライアントバルーンを含むことができるか、またはそれであってよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、第2のレーザビームは十二指腸壁の領域に、その同じ領域への第1のレーザビームの伝送より遅れて伝送される。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、遅延は0.1~10秒の範囲内である。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、第1および第2のレーザビームは、十二指腸壁の異なる標的領域に向かって同時に伝送される。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第1および/または第2のレーザビームが十二指腸壁に向かって本質的に円周方向パターンで偏向されるように、偏向光学素子を回転させることをさらに含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、十二指腸壁の領域に対する影響の程度を評価することは、切除損傷の深さおよび/または幅を決定することを含むことができる。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、方法は、第2のレーザビームによって検出された十二指腸壁の領域に対する影響の程度の評価に基づいて、第1のレーザビームに関するパラメータを調整することをさらに含むことができる。
【0032】
本開示の特定の実施形態は、上記の利点のいくつか、すべてを含むことができ、または全く含まなくてもよい。本明細書に含まれる図、説明、および特許請求の範囲から、1つ以上の技術的利点が当業者に容易に明らかとなり得る。さらに、特定の利点が上に列挙されているが、様々な実施形態は、列挙された利点の全て、一部を含むことができ、または全く含まなくてもよい。
【0033】
上記で説明する例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図を参照することによって、および以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
実施形態を説明する例は、添付の図面を参照して以下に説明される。図において、2つ以上の図に現れる同一の構造、要素または部分は、それらが現れる全ての図において、通常同じ数字で標識されている。あるいは、2つ以上の図に現れる要素または部分は、それらが現れる異なる図において異なる数字で標識されてもよい。図に示す構成要素および特徴の寸法は、通常、便宜上および提示を明確にするために選択されており、必ずしも縮尺通りに示されていない。以下に図を挙げる。
【
図1】いくつかの実施形態による、リアルタイムのアブレーションフィードバックを用いた十二指腸組織のアブレーションのための光学システムの概略図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、切除ビームと、切除ビームの影響を評価するように構成されたフィードバックビームとの空間的分離のための2つの任意選択の光学概念を示す図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、十二指腸壁内の標的領域に対する横方向ビーム分離の一例を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、切除レーザビームおよび評価用レーザビームのスポット直径における差の概略図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、切除ビームおよびフィードバックビームを送るために2つの別々の光ファイバを利用する設定の概略図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、コンバイナ(例えば、ダブルクラッド光ファイバ)を利用する設定の概略図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、十二指腸を所定の直径または直径の範囲まで引き伸ばすおよび/または拡大するように構成されたバルーンの概略図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、複数のバルーンセグメントを有する、十二指腸を所定の直径または直径の範囲まで引き伸ばしおよび/または拡大するように構成されたバルーンの概略図である。
【
図8A】いくつかの実施形態による、折り畳まれた構成の、複数のバルーンセクションが十二指腸内腔内にあるバルーンの概略図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による、拡張/膨張した構成の、複数のバルーンセクションが十二指腸内腔内にあるバルーンの概略図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、十二指腸を所定の直径または直径の範囲に引き伸ばすおよび/または拡大するように構成されたバルーンの概略図であり、バルーンは、レーザ伝送素子をバルーンの中心内で安定させるように構成された支持部材を含む。
【
図10】
図5Aに示す光学設定を用いて、アブレーションパワーと検出されたフィードバック信号パワーとの間に得られる相関関係を示す図である。
【
図11A】フィードバックビームを発光するレーザを使用した十二指腸アブレーションのオフライン評価から得られた結果を示す図である。
【
図11B】目視観察を用いた十二指腸アブレーションのオフライン評価から得られた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明では、本開示の様々な態様が説明される。説明の目的で、本開示の様々な態様の徹底的な理解を提供するために、特定の構成および詳細が記載される。しかし、本明細書に具体的な詳細が示されていなくても本開示を実施できることも当業者には明らかであろう。さらに、本開示を曖昧にしないために、よく知られている特徴は省略または簡略化することがある。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、十二指腸アブレーション(またはGI管もしくは肺管内の他の内腔)をリアルタイムで評価するための装置であって、カテーテルを含み、このカテーテルは、十二指腸壁を引き伸ばし、カテーテルの中心と十二指腸壁との間に固定された距離を生成するように構成された拡張可能な部材と、カテーテル本体に結合され、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを伝送するように構成されたレーザ伝送素子とを含む、装置が提供される。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「十二指腸」は、胃と空腸との間に位置する脊椎動物の消化管の小腸の一部を指す。いくつかの実施形態によれば、十二指腸は胃の幽門を含む。十二指腸は、内腔と、内腔を囲む十二指腸壁とを含む。十二指腸壁は、内腔から外側に向かって以下の層を含む:粘膜絨毛層、粘膜下層(粘膜下神経叢、円形筋層、腸筋神経叢を含む)、縦筋層および腹膜/腸間膜層。円形筋層と縦方向筋層の組み合わせは、本明細書では、筋層と呼ばれることがある。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「粘膜下神経叢」および「マイスナー神経叢」は、交換可能に使用されてよく、十二指腸壁の粘膜下層に存在する神経叢を指す。いかなる理論にも縛られないが、粘膜下神経叢は、十二指腸内で神経信号を、迷走神経、十二指腸神経節、交感神経、および副交感神経などの十二指腸の外部の神経に伝送する。粘膜下神経叢は、十二指腸を通る食物の通過によって活性化される十二指腸内の化学的および/または機械的センサから得られる神経信号を伝送する感覚ニューロンを主に含む。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、標的領域は、感覚ニューロンを含む十二指腸壁内の領域である。いくつかの実施形態によれば、標的領域は、腸管神経叢、粘膜下神経叢、迷走神経の十二指腸枝、十二指腸壁を神経支配する交感神経、十二指腸壁を神経支配する副交感神経、十二指腸壁内のVANアレイ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される領域内のニューロンの少なくとも一部を含む。各可能性は、本開示の別々の実施形態を表す。
【0040】
本明細書で使用されるとき、用語「カテーテル」は、十二指腸の内腔に導入されるように構成されたカテーテルを指す。いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、対象者の口を通して十二指腸の内腔に導入されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、結腸を通して導入されるように構成される。いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、腔内十二指腸カテーテルを含む。いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、腔内十二指腸カテーテルである。いくつかの実施形態によれば、カテーテルは、レーザ発光カテーテルである。いくつかの実施形態によれば、レーザ素子は、カテーテル内に含まれ、場合によってはその中に配置される。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、第1のレーザビームは、切除レーザビーム、すなわちこれが衝突する組織を切除するように構成されたレーザビームであってよい。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、第2のレーザビームは、評価および/またはフィードバックのレーザビーム、すなわち切除レーザビームによって引き起こされた組織内の変形の検出を可能にするように構成されたレーザビームであってよい。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、第2のレーザビームは、任意選択により、異なるパワー密度で、アブレーション線をこれに対して垂直に走査することができる。いくつかの実施形態によれば、第2のレーザビームは、アブレーション線を前後に、場合によっては直線的におよび/またはらせん状に、走査することができる。いくつかの実施形態によれば、後方散乱された第2のレーザビームの量は、組織に対して引き起こされたアブレーションおよび/または変形の程度と、任意選択により直線的に相関付けられる。いくつかの実施形態によれば、レーザ伝送素子は、第1および/または第2のレーザビームの後方散乱された光を検出および/または吸収するように構成されたセンサを含む。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「アブレーション」は、気化、チッピング、切断、衝撃、除神経、変形、損傷、切り離しまたは他の侵食性プロセスまたはプロセスの組み合わせによる組織への影響を指し、あるいは別の形では標的領域内のニューロンの少なくとも一部の妨害を指すことができる。各可能性は別々の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、アブレーションは、レーザ放射を伝送することによって十二指腸組織および/または十二指腸組織内の感覚神経に損傷が引き起こされるプロセスを指すことができる。いくつかの実施形態によれば、アブレーションは、熱損傷を含む。いくつかの実施形態によれば、アブレーションは、機械的損傷を含む。いくつかの実施形態によれば、切除レーザ放射は、露出が非常に短い場合に標的領域を少なくとも45~75℃またはこれより著しく高い温度に加熱してより有意な損傷を誘発するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、アブレーションは、食物が消化(GI)管を通過することによって引き起
こされる神経ホルモンおよび/または他の信号に影響を及ぼし、したがって対象者の満腹感および/または空腹感および/またはホルモン分泌に影響を及ぼすことができる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、第1および/または第2のレーザ放射は、パルスレーザ放射であってよい。いくつかの実施形態によれば、第1の切除レーザ放射は、感覚ニューロンを含む標的領域に集束され得る。いくつかの実施形態によれば、標的領域を囲む組織は機能的なままである。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、第1および/または第2のレーザビームは、例えばプリズム、鏡、または他の適切な偏向素子を使用して、カテーテルの長手方向軸に対して本質的に垂直な方向に伝送されるように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子と機能的に結合された偏向素子は、十二指腸壁の上および/または下の領域にレーザビームを向けるように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、偏向素子(例えば、プリズムまたは鏡)は、円周方向アブレーションを引き起こすように回転可能であり得る。本明細書で使用されるとき、用語「円周方向アブレーション」または「円周方向軌道に沿ったアブレーション」は、交換可能に使用されてよく、十二指腸壁の周りに提供されるアブレーションを指すことができる。いくつかの実施形態によれば、円周方向アブレーションは、円形であってもよい。すなわち、カテーテルおよび/またはレーザ発光素子を動かさずにレーザビームが360度回転する場合であってよい。いくつかの実施形態によれば、円周方向アブレーションは、らせん状であってもよい。すなわち、カテーテルおよび/またはレーザ発光素子の前方(または後方)運動と同時にレーザビームが回転される場合であってよい。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、カテーテルの長手方向軸から90度の角度で第1および/または第2のレーザ放射を偏向させることができる。いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、カテーテル内の1つ以上の開口を通して第1および/または第2のレーザ放射を偏向させる。いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、カテーテルの遠位ヘッド内に配置され得る。いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、レーザ伝送素子に関連づけられてよく、またはその一体的部分であってよい。いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、回転可能であり得る。いくつかの実施形態によれば、偏向光学素子は、十二指腸壁内でまたは十二指腸壁と接触して、円形軌道に沿って複数の標的領域にレーザ放射を向けることができる。各可能性は、本開示の別々の実施形態を表す。いくつかの実施形態によれば、偏向素子は、プリズムであり、またはプリズムを含み、または任意的には回転可能プリズムであってよい。いくつかの実施形態によれば、偏向素子はビームスプリッタプリズムであってよく、またはこれを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、装置は、少なくとも1つのレンズ素子をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、レンズ素子は、収差を補正するように構成された補正レンズであるか、またはこれを含む。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、偏向光学/素子は、広角レンズ、鳩プリズム、反転または「K」プリズム、デルタまたはペカンプリズム、分散プリズム、反射プリズム、ビーム分割プリズム、偏向プリズム、三角プリズム、台形プリズム、グランテイラープリズムまたはグランレーザプリズム、高出力レーザ光直角プリズム、再帰反射体およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。各可能性は別々の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、プリズムは、低損失偏向プリズムである。いくつかの実施形態によれば、分散プリズムは、三角プリズム、Pellin-Brocaプリズム、アッベプリズム、または複合プリズムである。いくつかの実施形態によれば、光学素子は、fθ歪みまたはfsin(θ)歪みを補正することができる広角レンズシステムであってよい。いくつかの実施形態によれば、システムは、標的に焦点を合わせることを可能にするのに十分に長い焦点距離を有する、任意選択により回転可能な光学素子の前に配置された集束素子を
さらに含む。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、第1の切除レーザ放射は、非線形エネルギー吸収および組織との相互作用を開始するように構成されたパルスレーザ放射である。いかなる理論または機構にも束縛されることを望むものではないが、組織に向けられた短パルス集束レーザ放射の結果、組織との非線形の相互作用を生じさせることができ、それにより、プラズマ形成および/または光アブレーションは、組織内において、所与の領域におけるエネルギーピークが所定の閾値を超えるのに十分な高いエネルギーフラックスを有する部位でのみ起こる。いくつかの実施形態によれば、焦点領域における十分に高いピークパワーの存在下での光アブレーションは、隣接組織によるレーザビームのある程度の吸収を伴い得る。そのようなレーザ放射を生成するために使用され得るレーザの非限定的な例は、それだけに限定されないが、非常にコンパクトであり、かつ十分に集束されたときにアブレーション閾値をこえるビームを生成するKigreによって製造されたもの(MK-367)などのマイクロQスイッチ式Nd:YAGレーザである。または、(自己Qスイッチ式であるものを含む)標準フラッシュ励起Qスイッチ式レーザ、高繰り返し速度のソリッドステートダイオード励起Nd:YAGレーザ、小さいスポットを使用して、損傷を引き起こすのに十分な高さのピークパワーを得るファイバレーザ、または任意のそれらの組み合わせがある。各可能性は、別々の実施形態を表す。他の非限定的な例は、1550~1570nmの範囲のCWレーザなどのCW、準CWまたはQスイッチ式レーザを含む。適切なレーザは、例えば、532nmの二重YAG、または980nmもしくは808nmのレーザダイオード、1500nmの範囲のレーザ、または2ミクロンのホルミウム/ツリウムレーザとすることができる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、切除ビームは、1300~1400nm、1450~1600nm、1530~1590nm、1550~1570nm、980~1064nm、または1850~1950nmの範囲の波長を有することができる。非限定的な例として、切除ビームは、1550nmの波長を有することができる。別の非限定的な例として、切除ビームは、1064nmの波長を有することができる。別の非限定的な例として、切除ビームは、1067nmの波長を有することができる。別の非限定的な例として、切除ビームは、980nmの波長を有することができる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、切除ビームの波長と同じまたは異なる波長を有することができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、532nm、780nm、808nm、980nm、1310nm、635nm、1550~1570nmの波長を有することができ、CWまたは変調モードの緑色レーザ、または青色LEDを用いることができる。非限定的な例として、フィードバックビームは、CWモードで1ワット未満のパワーまたは21~990Hzの変調で980nmの波長を有することができる。切除ビームは、CWモードで0.1~30ワットまたは3~30ワットの範囲のパワーで、または5~100Hzの変調で1550~1567nmの波長を有することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックは、切除された組織からの光の後方反射および/または散乱に基づくことができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、回転する切除レーザビームによって生成されたアブレーション線上を走査することができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、アブレーション線の幅、アブレーション線のピークの振幅、アブレーション面積、またはそれらの任意の組み合わせを評価することを可能にする。各可能性は別々の実施形態である。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、同じレーザ、例えば上記に列挙された1550~1567nmのレーザが、アブレーションおよびフィードバックの両方に使用されてよい。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、アブレーションおよびフィードバックのそれぞれに異なるレーザが使用されてよい。いくつかの実施形態によれば、アブレーションは、シングルモードレーザ(SM)を使用して実行されてよく、その一方でフィードバックは、マルチモードレーザ(MM)を使用して実行されてよい。いくつかの実施形態によれば、アブレーションファイバはシングルモードであり、一方でフィードバックは、アブレーションのための高い焦点深度およびイメージング/フィードバックのための高い収集スループットを提供するように構成されたマルチモードファイバに基づく。いくつかの実施形態によれば、SMアブレーションファイバは、ビーム直径の制御された/限定された増加、すなわちビーム発散を減少させる約10ミクロンから50~200ミクロンのビーム直径の増加を有するコアファイバに結合され得る。いくつかの実施形態によれば、M二乗は、3~5倍以下だけ増加する。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、2つ以上の光ファイバを含むことができる。すなわち、第1の切除レーザビームを伝送するように構成された第1の光ファイバと、第2の評価レーザビームを伝送するように構成された第2の光ファイバとを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、ファイバの対は、撮像面内の必要とされる変位と相関付けて目標とする変位を得るように、例えばV溝内で組み立てるか、別々に組み立てるか、またはレンズに融着させることができ、これは、本明細書の以下でさらに説明される。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、第1のアブレーション放射を伝送するように構成されたファイバは、フィードバック放射に使用されるファイバより小さいコアを有することができ、それにより、組織上のフィードバック放射のスポット直径は、切除ビームのスポット直径より大きくなり、これは、本明細書でさらに詳述される。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、第1の切除放射および第2の評価放射の両方を伝送するように構成されたファイバは、フィードバック放射の読み取りまたは感知に使用されるファイバより小さいコアを有することができる。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、コアを通して第1の切除レーザビームを送り、クラッドを通して第2の評価レーザビームを送るように構成されたダブルクラッドファイバを含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、コアを通して第1の切除レーザビームおよび第2の評価ビームを送り、クラッドを通して評価レーザビームの散乱の後方反射を感知する/読み取るように構成されたダブルクラッドファイバを含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、切除放射を伝送するように構成されたファイバは、放射のフィードバックを読み取るために使用されるファイバより小さいコアを有することができる。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「リアルタイム評価」という用語は、アブレーション処置中に実行される切除放射の伝送の結果として十二指腸組織などの組織に引き起こされた影響を評価することを指す。いくつかの実施形態によれば、リアルタイム評価は、切除と同時に実行され、例えばアブレーション放射と評価レーザ放射を標的領域に向けて同時に伝送することによって実行され得る。いくつかの実施形態によれば、リアルタイム評価は、本明細書でさらに詳述されるように、順次的であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、リアルタイム評価は、アブレーションプロセスからの後
方散乱された光を感知することで実行され得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、十二指腸組織のアブレーションに関する少なくとも1つのパラメータを監視および/または識別することができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームは、2、3、4、5、10またはそれ以上のパラメータなど、十二指腸組織のアブレーションに関連する2つ以上のパラメータを監視および/または識別することができる。各可能性は別々の実施形態である。フィードバックビームによって評価、監視、および/または識別され得る適切なパラメータの非限定的な例としては、次のものを含む。アブレーションの効果、アブレーションプロセスにおける異常および/または機能不全(例えば、拡張可能な部材の不適切な拡張、レーザ治療の不適切な終了、ビームの回転障害など)、ビームの回転速度、拡張部分の直径(例えば、一度拡張した後の拡張可能な部材の直径を測定することによる)、例えば、反復的な介入のための拡張可能な部材の再配置を整列させるために、アブレーションを受けた前のセクションの識別、それだけに限定されないが乳頭などの望ましくない組織の識別、または任意の他の適切なパラメータまたはパラメータの組み合わせを含む。各可能性は別々の実施形態である。
【0064】
追加的にまたは代替的に、アブレーションの評価は、切除レーザビーム自体から生じる後方反射および/または散乱光の収集を含み、したがって追加のレーザおよび/または光ファイバの必要性を排除することができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックは、第1の切除モードでレーザ伝送素子を作動させることと、次に、後方反射放射および/または散乱放射を検出および/または収集するように構成された、第2の評価モードでレーザ伝送素子を作動させることとを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、フィードバックは、反射ビームの振幅および/または位相シフトおよび/または雑音スペクトルおよび/または予め設定された周波数範囲内の雑音、および/またはその反射/散乱に関連する予め設定された範囲からの偏差に基づくことができる。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、それだけに限定されないが、無線周波数(RF)アブレーション、マイクロ波アブレーション、超音波アブレーション、サーマルアブレーションなどの他の切除様式を使用して得られる影響に関してフィードバックを提供するためにレーザビームを使用することができる。各可能性は別々の実施形態である。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、第1の切除レーザビームは、第2の評価レーザビームと比較して、組織上に同じまたは異なるスポット直径を有することができる。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、第2の評価レーザビームのスポット直径は、第1の切除レーザビームのスポット直径より大きくてよい。例えば、第1のレーザビームは、10~500ミクロン、20~400ミクロン、100~400ミクロン、100~300ミクロン、20~200ミクロンの範囲内のスポット直径を有することができ、または10~500ミクロンの範囲内で任意の他の範囲のスポット直径を有することができる。各可能性は別々の実施形態である。他方で、第2のレーザビームは、例えば、400~1500ミクロン、500~1000ミクロン、500~750ミクロンの範囲のスポット直径を有することができ、または400~1500ミクロンの範囲で任意の他の範囲のスポット直径を有することができる。各可能性は別々の実施形態である。いくつかの実施形態によれば、第2の評価レーザビームは、第1の切除レーザビームのスポット直径より1.5~100倍大きく、1.5~50倍大きく、または2~25倍大きくてよい。各可能性は別々の実施形態である。スポットサイズのそのような相違は、本明細書では付随的に影響を受けた組織とも呼ばれる、アブレーションによって直接影響を受けた組織に隣接する組織の評価を可能にすることができる。以下にさらに論じるように、より大きいスポット直径を有するには、評価ビームがアブレーションビームに対して遅れることを必要とし得る。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、第2の評価レーザビームのスポット直径は、第1の切除レーザビームのスポット直径より小さくてよい。これは、評価レーザビームによって検出された信号が、損傷を受けていない組織によって、または光熱および/または光化学プロセスがまだ起きていない組織によって歪められたり、弱められたり、あるいは別の形で影響を受けないことを確実にする役割を果たすことができる。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、第2の評価レーザビームを遅れて伝送するように構成されてよい。この実施形態の目的は、フィードバックビームによる監視の前に光熱および/または光化学プロセスを行うことを可能にすることであり、これは、評価レーザビームが切除レーザビームより大きいスポットサイズを有する場合に特に重要なものであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、レーザ発光素子は、例えば0.1~1.0秒、0.1~0.5秒、0.25~0.75秒、0.5~1.0秒または0.1~100.0秒の範囲内の任意の他の適切な遅れで第2の評価レーザビームを伝送するように構成され得る。各可能性は別々の実施形態である。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、遅延は、第1および第2のレーザビームの伝送を一時的に分離することによって引き起こすことができ、例えば第2の評価レーザビームの伝送は、第1の切除レーザビームに対して0.1秒遅らせることができる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、遅延は、第1の(切除)レーザビームと第2の(フィードバック)レーザビームとを空間的に分離することによって引き起こすことができ、それにより、動作時、第1のビームは最初に組織にあたり、第2のビームは遅れてこれにあたる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、光ファイバは、ずらされたレーザビームを提供するように構成された2本の光ファイバを使用することによって横方向に分離され得る。いくつかの実施形態によれば、レーザ伝送素子は、それだけに限定されないが、例えば十二指腸壁に達したとき(カテーテルの中心から約10~25mm)、角度間隔を、例えば500~5000ミクロン、または700~3000ミクロン広げるように構成されたレンズなどの分離素子を含むことができる。本明細書でさらに説明するように、アブレーションスポットとフィードバックスポットとの間の距離は、レンズの焦点距離およびファイバのずれによって決定され得ることが理解される。いくつかの実施形態によれば、レンズは、それだけ限定されないが、コリメーションレンズおよび集束レンズなどのいくつかのレンズを含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、光ファイバは角度的に分離され得る。いくつかの実施形態によれば、第1の(切除)および第2の(フィードバック)レーザビームは、それだけ限定されないが、分散素子、回折光学素子、プリズム、または第1の(切除)レーザビームと第2の(フィードバック)レーザビームとを選択的に分離するように構成された他の適切な素子などの分離素子を使用して角度的に分離されたオーバーラップビームであってよい。いくつかの実施形態によれば、アブレーションスポットとフィードバックスポットとの間の距離は、使用される分離素子の種類によって決定され得る。いくつかの実施形態によれば、オーバーラップビームは、2つの別々の光ファイバによって伝送され得る。いくつかの実施形態によれば、オーバーラップビームは、ダブルクラッドファイバによって伝送され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、フィードバックビームのスポットサイズは、ダブルクラ
ッドファイバのコア直径を制御することによって、および/またはファイバから発光されるレーザ光の発散を制御することによって決定/設定され得る。いくつかの実施形態によれば、装置は、フィードバックビームに関連付けられたレンズを含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、装置は、アブレーション処置中に、カテーテルおよび/またはレーザ伝送素子またはその一部(例えば、偏向素子)を回転させるように構成された回転シャフトをさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、回転シャフトは、異なる可撓性を有する少なくとも2つの部分から作製され得る。いくつかの実施形態によれば、回転シャフトは旋回点を含むことができる。これは、十二指腸の遠位部分がより近位部分の治療の前に治療され、したがってカテーテル、バルーンおよび/またはレーザ伝送素子の後方移動を必要とする場合、レーザ伝送素子を含むシャフトの部分が、近位セグメントによってシャフトに加えられた力によって動かされないことを確実にする役割を果たす。すなわち、シャフトは、腸の動きによって引き起こされた内腔/シャフトの軸に対して垂直である力にもかかわらず、耐えるように、および/または安定したままであるように構成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、装置は、十二指腸壁の領域に対する影響の程度を、この領域の検出された変形に基づいて評価するように構成された処理回路を含むことができる。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、それだけ限定されないが、拡張可能な部材の不適切な拡張、レーザ治療の不適切な終了、および/またはビームの回転障害などのアブレーションプロセスにおける異常および/または機能不全を検出するように構成され得る。各可能性は別々の実施形態である。
【0079】
追加的または代替的に、処理回路は、組織上の切除ビームおよび/またはフィードバックビームの回転速度を決定および/または監視するように構成され得る。
【0080】
追加的または代替的に、処理回路は、フィードバックビームから得られた信号に基づいて、拡張可能な部材のサイズ、直径、および/または形状を決定するように構成され得る。
【0081】
追加的または代替的に、処理回路は、例えば一度拡張した後の拡張可能な部材の直径を測定することによって、拡張された部分の直径を決定および/または監視するように構成され得る。
【0082】
追加的または代替的に、処理回路は、以前に治療された部分を検出するように構成され得る。これは、治療を必要とする十二指腸の部分が拡張可能な部材の長さを延ばし、したがってその再配置を必要とするときに最も重要なものであり得る。
【0083】
追加的または代替的に、処理回路は、それだけに限定されないが、ファーター乳頭または任意の他の識別可能な解剖学的構造などの望ましくない組織の識別を可能にするように構成され得る。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、検出された十二指腸壁の領域に対する影響の程度に基づいて、アブレーションパラメータ(例えばアブレーションパワーまたはパルス周波数)を推奨するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、処理回路は、検出された十二指腸壁の領域に対する影響の程度に基づいて、アブレーションパラメータを調整するように構成され得る。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、検出された影響の程度を組織学的観察と相関付けるように構成され得る。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、処理回路は、フィードバックビームから得られた信号に基づいて、アブレーションが回避されるべきである、非標的領域(例えば、胆管または膵管)を識別するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、処理回路は、非標的領域のアブレーションが回避されるように、それらの識別に基づいて、カテーテルを方向付けるおよび/または配置するように構成され得る。追加的または代替的に、カテーテルおよび/またはレーザ伝送素子の位置決めおよび/または配向は、内視鏡検査による、または例えば解剖学的地図に基づくそれらの場所の推定による非標的領域の検出に基づくことができる。いくつかの実施形態によれば、処理回路は、レーザビームが非標的領域および/またはすでに治療された領域に到達したときにビームを停止するおよび/または休止するように構成され得る。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、拡張可能な部材はバルーンであってよい。いくつかの実施形態によれば、バルーンは、セミコンプライアントまたはノンコンプライアントであってよい。いくつかの実施形態によれば、バルーンは、長手方向軸に沿って十二指腸内腔の形状に適合しながら、十二指腸を所定の半径(ノンコンプライアントバルーンを使用して)または予め設定された範囲の直径(セミコンプライアントバルーンを使用して)まで拡張することができる。バルーンのコンプライアントの欠如は、十二指腸表面を横切る均一なアブレーションが得られるように、レーザビームの角度方向に関係なく所定の線量のレーザエネルギーが使用されることを確実にするために決定的に重要であり得る。これは、セミ/ノンコンプライアントバルーンが、回転ビームがバルーンの中心、したがって十二指腸の中心から導出されることを確実にするためである。均一なアブレーションを確実にすることは、ビームを回転させるために使用される内側シャフトが、作業領域の前後の十二指腸セクションによって加えられた半径方向の力を受けるという事実によって複雑になる。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、アブレーション線は、十二指腸が25~70mmの直径に拡張/引き伸ばされるときに作りだされる。いくつかの実施形態によれば、直径は、十二指腸を引き伸ばすノンコンプライアントバルーンによって決定される。いくつかの実施形態によれば、所望の線量がレーザ出力および/または回転速度の変調によって決定および/または調整され得ることを確実にするために、セミコンプライントまたはコンプライントバルーンが、直径を決定するための手段と共に使用され得る。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、十二指腸壁までのレーザ回転素子の距離、すなわちバルーン半径は、12.5~25mm、15~30mm、18~25mm、または12.5~35mmの範囲内の任意の他の適切な距離であってよい。各可能性は別々の実施形態である。非限定的な例として、距離は18mmであってよい。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、バルーン、または他の拡張可能な部材は、複数のセクションを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、バルーンのセクションは、その3次元形状を維持しながら十二指腸内腔の拡張を可能にするために、セクション間の屈曲(例えば120度屈曲)を可能にする連結によって相互連結され得る。いくつかの実施形態によれば、セグメントは、解剖学的構造に適合するように同じまたは異なる長さおよび/または直径であり得る。いくつかの実施形態によれば、セグメント間のバルーン壁の角度は、本明細書の以下に示すように、セグメント間の「デッドエリア」を減少させるために15度(±5度)に最小化され得る。いくつかの実施形態によれば、連結点(曲げ部位とも呼ばれる)は、回転シャフトの着地/支持領域または軸方向部位としての役割を果たすことができる。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、バルーンのセグメントは、同時にまたは順次に膨張させることができる。いくつかの実施形態によれば、遠位セグメントは、アブレーション標的(例えば、幽門接合部の後の十二指腸の始まり)に最も近いカテーテルの端部でプッシュ力の印可およびカテーテルの伸長を可能にするように最初に膨張するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、カテーテルおよび十二指腸を引き伸ばす/伸張させるために加えられる力は、内視鏡によって加えられる空気圧によるものであり得る。いくつかの実施形態によれば、内側シャフトを使用して、カテーテルの遠位部分にまたはその遠位部分に向かって押す力を加えることによってカテーテルを引き伸ばすことができる。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、バルーン遠位小面は、中心シャフトの軸を安定させるためのアンカーとして使用され、バルーンの圧力を使用して所定の場所に保たれる。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、バルーン(または任意選択的にそのセクション)は、パリレンでコーティングされて熱抵抗を増大させて、切除レーザビームに曝される組織に対する加熱効果に対処することができ、こうしてバルーンを損傷から保護する。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、バルーンは、第1および/または第2のレーザビームの回転速度および/またはバルーンの直径を決定することを可能にするように構成された長手方向線を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、切除ビームの角速度は、回転時にこれらの線から得られるフィードバックの変調周波数を測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態によれば、長手方向線は、バルーンの外面または内面に配置され得る。いくつかの実施形態によれば、長手方向線は、長手方向線がバルーンの直径の決定を可能にするのに必要な一定の幅を維持することを確実にするために、金属、染料、熱ベースのマークまたは膨張しない他の材料で作製され得る。これは、直径が増大するにつれて線速度が増大し、したがってその線を走査するのに必要とされる時間を短縮するため、角速度が知られているときにアブレーション線を横切るのにかかる時間を測定することによるものである。
【0095】
いくつかの実施形態によれば、バルーンの直径に関してより大きな可撓性を可能にするために、ノンコンプライアントまたはセミコンプライアントのバルーンの代わりにセミコンプライアントまたはコンプライアントのバルーンが使用され得る。これは、引き伸ばしが小さいバルーンは、圧縮されたとき、直径が30~50mmに拡張することができる大きなPETバルーンより小さい形状のカテーテル内に収容することができるため、より低い形状のカテーテルを使用することを可能にすることができる。したがって、所望のアブレーション量が適用されることを確実にするために、標的における拡張されたバルーンの直径を決定するための手段が必要とされる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、バルーンは、カテーテルおよび/またはレーザ伝送素子の線速度を決定するように構成された円周線(幅バンド)を含むことができる。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、長手方向線および/または円周方向線からの放射の後方反射から得られる信号の中断および/または発散は、回転障害、バルーン誤動作、誤動作の光学系、または任意の他の適切なパラメータまたはパラメータの組み合わせを検出するために使用され得る。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、長手方向線および/または円周方向線から後方反射された放射を使用して、アブレーションおよび/またはフィードバックに使用されるレーザビームの強度を較正することができる。いくつかの実施形態によれば、自由空間またはファイバビームスプリッタを使用することができる。そのような場合、サンプルに到達しない
チャンネルの1つを較正に使用することができる。いくつかの実施形態によれば、組織に向けられていないビームを投射するファイバスプリッタのアームを使用して、組織に向けられているレーザビームの強度を監視し、レーザ強度の変動/変化について正規化し、および/またはレーザ出力を制御することができる。
【0099】
追加的または代替的に、CMOSまたはCCDカメラなどの撮像素子を使用して、凍結ビデオ信号を検出することによってビームの妨害および/または回転停止を検出することができる。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、装置は、拡張可能な部材内(例えばバルーン内)でレーザ伝送素子を安定させるように構成された支持部材を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、支持部材は、それだけに限定されないが、ニチノールなどの形状記憶材料から作製され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、内側ワイヤをバルーン内に導入して以下を行う。(i)カテーテルを遠位端に引っ張り、引き戻されたときにモータによって張力をかける。モータは、シャフトを引っ張り、シャフトの先端部に連結されたワイヤ上に、これを中心に保つように張力を維持する。または(ii)最少の張力で維持された少なくとも1本であるが、好ましくは2本または3本のワイヤを有する。ワイヤは、この/これらの上を摺動するカテーテルの先端部のためのレールとして作用する。または(iii)遠位回転先端部に引っ張り力を加えるストリングであって、これがバルーンの中心にあり、かつ内腔軸に平行な配向にあることを保証するストリングを有する。引っ張り力は、例えばゴムまたは適当な金属コイルから得ることができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、主要十二指腸乳頭(十二指腸への膵管の開口部)の角度/方向を検出してこの領域内のレーザ発射を無効にするなどのために、十二指腸内でマルチバルーン構造のマクロ3D形状を検出するための手段が含まれて、他の幾何学的構造に対する位置および配向を検出することを可能にする。これは、有利には、乳頭の位置を検出し、この領域でのアブレーションを回避することを可能にし、したがって胆汁および膵臓分泌物の十二指腸への通過をブロックする危険性を軽減する。これは、次のような1つ以上の手段に基づくことができる。(i)位置を検出するためのフィードバック信号などの光学的手段の使用。(ii)引張ワイヤの位置の検出。この検出は、より小さな曲率(およびそれによって関連する巨視的配向)にしたがってその位置を得る。乳頭の位置を検出することは、胆管の解剖学的構造により、十二指腸の内側の曲率を決定することによって達成され得る。十二指腸の内側曲率を決定することは、バルーンの内側でワイヤを引き伸ばすことによって達成され得る。このワイヤは、当然のことながら、2つの屈曲点の間で内側の湾曲側をとる。このワイヤを識別することは、内視鏡またはバルーンの位置決めの任意の他の画像を使用することによって、または以下に説明するようにワイヤ角度を識別することができる、封入されたフィードバック機構によって達成され得る。
【0103】
次に、
図1を参照する。
図1は、いくつかの実施形態による、リアルタイムアブレーションフィードバックを用いて十二指腸組織(またはGIもしくは肺管内の他の内腔)を切除するための光学システム100の概要である。システム100は、第1のレーザビーム112を発光するように構成された第1のレーザ110を含み、第1のレーザビーム112は、これが衝突する組織のアブレーションを引き起こすように構成される。第1のレーザビーム112は、例えば、約1550nmの波長および10Wの出力を有することができる。システム100はまた、第2のレーザビーム122を発光するように構成された第2のレーザ120を含み、その後方散乱光は、アブレーションによって引き起こされた組織変形の評価を可能にする。第2のレーザビーム122は、例えば、約980nmの波長と、標的上の固定されたパワー密度とを有することができる。第1のレーザビーム112
および第2のレーザビーム122は、第1の光学素子、ここでは波長分割多重(WDM)システム130に向けられ、このシステム130は、多数の光搬送波信号を単一の光ファイバに多重化し、出口で分離する(これらを分割する)。WDM130は、双方向通信を可能にし、したがって、組織から後方反射された第2のレーザビーム122の一部を受け入れて、矢印124によって示すように、その強度を検出するように構成されたセンサ126に反射ビームを送ることを可能にする。WDMシステム130を出ると、第1のレーザビーム112および第2のレーザビーム122は、本明細書ではレーザ伝送素子140とも呼ばれる第2の光学素子に到達する。レーザ伝送素子140は、本明細書に以下で
図2においてさらに説明するように、第1のレーザビーム112と第2のレーザビーム122との間に空間的分離を生成するように構成され、こうして、切除の第1のレーザビーム112とフィードバックビーム122との間の遅延を可能にする。ビームはその後、第1のレーザビーム112および第2のレーザビーム122を本質的に90度の角度で偏向するように構成された第3の偏向光学素子150(それだけに限定されないが、鏡またはプリズムなど)を使用して偏向され、その後これらは、レンズ152によって、十二指腸壁内の標的領域(ボックス190によって示す)に集束される。重要なことに、最大直径1.8mmの光ファイバを満足させるために、そしてビーム間の空間的分離を最大にするために、レーザ伝送素子140は、好ましくは偏向素子150の前に配置されるべきである。
【0104】
偏向素子150は回転可能であってよく、それにより、第1のレーザビーム112および第2のレーザビーム122は十二指腸壁の周りで円周方向に偏向され、それによって第1のレーザビーム112は切除線154を生成する。切除線154は、未処理の組織とは異なる第2のレーザビーム122の後方散乱を引き起こす。センサ126によって検出されたレーザビーム122の後方反射部分のパワー強度は、引き起こされた切除損傷/変形の程度を評価するためにこうして使用され得る。
【0105】
次に
図2を参照する。
図2は、第1のレーザビーム112などの切除レーザビームと、第2のレーザビーム122などのフィードバックビームとの空間的分離のための(レーザ伝送素子140として使用に適した)2つの任意選択の光学概念を示している。
【0106】
第1の概念によれば、ビームの空間的分離は、レーザビームの横方向の分離によって達成され得る。すなわち、開始時にレーザビームは、例えば2本の別々の光ファイバを使用することによってずらされ得る。それらの初期のずれにより、ビームは、それだけに限定されないが、コリメートレンズなどの分離素子に異なる位置で衝突し、それによって例えば切除ビームをフィードバックビームに対して相対的に変位させおよび/または発散させる。この実施形態によれば、分離度は、レーザビームの初期ずれおよび/またはビームの焦点距離(発散度)によって決定され得ることが理解される。さらに、戻り許容角度を最大にするために、フィードバックビームは、好ましくは、ビームの中心に置かれるべきであることが理解される。
【0107】
第2の概念によれば、ビームの空間的分離は、レーザビームの角度分離によって達成され得る。すなわち、開始時、レーザビームは、例えばダブルクラッド光ファイバを使用することによって重なり合い、レンズを一緒に通過することができる。この場合、分散素子、DOE、プリズム、またはビームの波長識別屈折を可能にする他の光学素子の形態の分離素子を含むことができる。この素子は、フィードバックビームが発散されずに通過することを可能にしながら、例えば切除ビームを特異的に屈折させるおよび/または変位させることができる。この実施形態によれば、分離度は、利用される分散素子の種類によって決定され得ることが理解される。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、切除ビームとフィードバックビームとの衝突点の分離は
、レーザ放射が伝送されるカテーテルの中心と、十二指腸壁内の標的領域との間の距離によってさらに決定され、これはまた、
図3に例示的に示すように、拡張可能な部材の直径/半径(例えば16~23mm)に依存する。加えて、十二指腸壁上の特定の点における切除ビームとフィードバックビームとの間の遅延の大きさは、ビームの分離度および回転速度によって決定され得ることが理解される。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、切除ビームの衝突点に隣接する組織内で発生する光熱および/または光化学プロセスを評価するために、フィードバックビームは、
図4に示すように切除ビームのスポット直径より大きいスポット直径を有することができる。
図4は、スポット直径の差、ここでは400~2000ミクロンのフィードバック(プローブ)スポット直径420と、50~200ミクロンの切除スポット直径410を概略的に示す。スポット直径の差は、例えば、切除ビームと比較して、フィードバックビーム用により大きいコア直径を有する光ファイバを使用することによって達成され得る。あるいは、ダブルクラッドファイバを使用する場合、切除ビームは、ダブルクラッドファイバのコアを通って伝送され、一方でフィードバックビームは、クラッドを通って伝送(および収集)され得る。さらに別の代替策では、両方のレーザビームがコアファイバを通って伝送され、クラッドは、アブレーションスポットからの散乱光を集めるために使用される。いくつかの実施形態によれば、例えば700~3000ミクロンのスポット分離および1.5mm/sの走査速度によって得られるx0.1~0.5秒の遅延により、光熱および/または光化学プロセスを行うのに十分な時間が経過してから、フィードバックビームは衝突領域に到達する。加えて、フィードバックビームのより大きいスポット直径のために、レーザビームのそれまでの衝突によって引き起こされた衝突領域430などの、ほぼ全体の衝突領域を評価することができる。
【0110】
次に
図5Aおよび
図5Bを参照する。
図5Aおよび
図5Bは、切除ビームおよびフィードバックビームを送るために2つの別々の光ファイバを使用するときに適した設定500aと、コンバイナ(例えば、ダブルクラッド光ファイバ)を使用するときに適した設定500bとをそれぞれ示す。いくつかの実施形態によれば、切除ビームとフィードバックビームとの間のスポット直径の有意な差は、設定500bと比較した設定500aに示すように、別々の光ファイバを使用することでより容易に達成される。
【0111】
次に
図6を参照する。
図6は、いくつかの実施形態による、十二指腸を所定の直径または直径の範囲まで引き伸ばすおよび/または拡大するように構成された、拡張可能な部材、ここではバルーン600を概略的に示す。いくつかの実施形態によれば、バルーン600は、長手方向マーク610を含むことができる。長手方向マーク610は、第1および/または第2のレーザビームの回転速度および/またはバルーンの直径を決定することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、切除ビームの角速度は、回転時に線610から得られるフィードバックの変調周波数を測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態によれば、長手方向線610は、バルーンの外面または内面に配置され得る。いくつかの実施形態によれば、長手方向線は、長手方向線がバルーンの直径の決定を可能にするのに必要な一定の幅を維持することを確実にするために、金属、染料、熱ベースのマークまたは膨張しない他の材料で作製され得る。いくつかの実施形態によれば、バルーン600は、カテーテルおよび/またはレーザ伝送素子の線速度を決定するように構成された円周線(幅バンド)620をさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、バルーン600は、熱抵抗を増大させるために、切除レーザビームに曝される組織に対する加熱効果に対処するために、および/またはレーザビームを方向付けるために、パリレンでコーティングされ得る。
【0112】
次に
図7を参照する。
図7は、複数のバルーンセグメント710を有するバルーン700を概略的に示し、ここでは3つのバルーンセグメントを示す。いくつかの実施形態によ
れば、バルーンセグメント710は、その折り畳まれた構成およびその膨張された形態の両方で、その3D形状を維持しながら、十二指腸内腔の拡張を可能にするために、セグメント間での屈曲(例えば120度の屈曲)を可能にする連結点720によって相互連結することができ、これは
図8Aおよび
図8Bにそれぞれ示される。いくつかの実施形態によれば、バルーンセグメント710は、本明細書に示すように本質的に同じ長さおよび/または直径を有することができ、および/または解剖学的構造に従うために異なる長さおよび/または直径を有することができる。任意選択は図示しない。いくつかの実施形態によれば、バルーンセグメント710は、同時にまたは順次に膨張させることができる。いくつかの実施形態によれば、バルーンセグメント710の遠位は、アブレーション標的(例えば、幽門接合部の後の十二指腸の始まり)に最も近いカテーテルの端部で、カテーテルのプッシュ力の印加およびカテーテルの伸長を可能にするために、最初に膨張するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、各バルーンセグメント、またはいくつかのバルーンセグメント(例えば、最も遠位のバルーンセグメント)は、
図6に説明するように、長手方向および/または円周方向のマークを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、バルーンセグメント710は、熱抵抗を増大させるために、切除レーザビームに曝される組織に対する加熱効果に対処するために、および/またはレーザビームを方向付けるために、パリレンでコーティングされ得る。
【0113】
図9を参照する。
図9は、いくつかの実施形態による、十二指腸を所定の直径または直径の範囲まで引き伸ばすおよび/または拡大するように構成された、拡張可能な部材、ここではバルーン900を概略的に示す。バルーン900は、バルーン900内のレーザ伝送素子を安定させるように構成された支持部材910を含む。いくつかの実施形態によれば、支持部材は、それだけに限定されないが、ニチノールなどの形状記憶材料から作製され得る。
【0114】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していない。本明細書で使用されるとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用されるとき、用語「備える」または「備えている」は、記載された特徴、整数、ステップ、作動、要素、または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、作動、要素、構成要素、またはそれらのグループのその存在または追加を除外する、または排除するものではないことが、さらに理解されるであろう。いくつかの実施形態によれば、「備える」という用語は、「から本質的になる」または「からなる」という用語で置き換えられてもよい。
【0115】
いくつかの例示的な態様および実施形態が上記で論じられてきたが、当業者はそれらの特定の改変、追加および副組み合わせを認識するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲および以下に導入する特許請求の範囲は、それらの真の精神および範囲内にあるようなすべてのそのような改変、追加および副組み合わせを含むと解釈されるべきであることが意図される。
【0116】
実施例
【実施例1】
【0117】
切除パワーと検出されたフィードバック信号パワーとの間の相関
【0118】
本明細書に開示するシステムが切除影響を評価する能力は、
図10に示されている。
図10は、
図5Aに示す設定を使用して、アブレーションパワーと、フィードバックセンサによって検出される信号の強度との間の本質的に線形の相関関係を示している。これは、本明細書に開示するアブレーション/フィードバックシステムが、十二指腸組織に対する
切除ビームの影響の程度を評価するために利用可能であることを明確に示す。
【実施例2】
【0119】
十二指腸アブレーションの生体外オフライン分析
【0120】
本明細書に本質的に説明するように単一モードレーザビームを用いて切除された十二指腸組織セグメントに対して生体外分析を行った。本明細書に本質的に説明するように、アブレーションに続いて、第2のフィードバックビームを用いて一定速度でアブレーション線を垂直に走査した。
図11Aおよび
図11Bに見られるように、切除されていない組織対切除された組織について、異なるフィードバック強度が容易に検出可能であった。さらに、図を比較すると、アブレーション線Aなどの細いアブレーション線として視覚的に観察されるアブレーション線は、フィードバック曲線1などの狭いフィードバック曲線を提供することが実証された。同様に、アブレーション線Bなどのより広いアブレーション線として観察されたアブレーション線は、レーザによって走査されると、より広いアブレーション曲線2として現れた。これは、本明細書に開示する切除/フィードバックシステムが、組織に対する切除の影響の信頼性の高い定量的評価を提供することを明確に示している。
【実施例3】
【0121】
十二指腸アブレーションの生体内リアルタイム分析
【0122】
この例では、標準的なカテーテルを使用して、1550nm、10Wのレーザを使用してブタ十二指腸の生体内組織切除中に後方散乱/後方反射ビームを収集した。アブレーションと同時に(所定の遅れで)、十二指腸組織での切除の影響を、本質的に
図5Aに説明するように980nmの波長を有する第2のレーザを使用して、ビームを横方向に分離させて評価した。
【0123】
図12から分かるように、フィードバックビームのパワー強度の評価は、十二指腸組織の全体的に均質なアブレーションを明らかに示した。さらに、切除レーザビームが長期間にわたって同じ標的領域に向けられた1つの地点において、(水平線T2によって示される)上側アブレーション閾値レベルを超えるアブレーションを容易に特定した。この結果は、本明細書に開示する切除フィードバック評価のためのシステムおよび方法が過度のアブレーション事象の即時の識別を可能にし、したがって損傷(それだけに限定されないが、穿孔など)が組織に引き起こされる前に、切除手順を休止するおよび/または終了することを可能にすることを明確に実証する。
【0124】
上記で説明する実施例は非限定的な例であり、本開示の範囲を限定することを意図しない。説明する例は異なる特徴を含むことができ、それらのすべてが本開示のすべての実施形態において必要とされるわけではない。