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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】管状部材用のねじ接続部
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/04 20060101AFI20220329BHJP
【FI】
F16L15/04 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019532061
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2017053533
(87)【国際公開番号】W WO2018109371
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】1662669
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メンカリア,シャビエル
(72)【発明者】
【氏名】デュフレーヌ,コーリー
(72)【発明者】
【氏名】堂内 貞男
(72)【発明者】
【氏名】杉野 正明
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056222(WO,A1)
【文献】特表2010-520981(JP,A)
【文献】特表2006-526747(JP,A)
【文献】特表2013-512393(JP,A)
【文献】特開2000-240862(JP,A)
【文献】特許第4208192(JP,B2)
【文献】特開2000-081173(JP,A)
【文献】特開2012-149760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み込まれた第1の管状部材(C1)および第2の管状部材(C2)を備えるねじ接続部であって、
前記第1の管状部材(C1)は、第1の管(10)と、該第1の管の一方の端部に配置された雄型要素と、を備え、前記雄型要素は、その外周面にわたって、
・ 雄型遠位面(17)と、
・ 最小厚さEpiを有する内側リング部(11)を含む雄型内側リップ部と、
・ 雄ねじ領域(13)であって、該雄ねじ領域の一方の内側端部が前記雄型遠位面から非ゼロの軸方向距離(Li)に配置される雄ねじ領域(13)と、
・ 雄型外側凹部(34)と、
・ 雄型外側当接面を形成可能な外側肩部(37)と、
を順に備え、
前記第2の管状部材(C2)は、第2の管(20)と、該第2の管の一方の端部に配置された雌型要素と、を備え、前記雌型要素は、その内周面わたって、
・ 内側肩部(28)と、
・ 前記雄型内側リップ部に対向するように配置された雌型内側凹部(24)と、
・ 雌ねじ領域(23)と、
・ 最小厚さEpeを有する外側リング部(21)を含む雌型外側リップ部と、
・ 当接動作によって前記雄型外側当接面と協動可能且つ前記雌ねじ領域の一方の外側端部から非ゼロの軸方向距離(Le)に配置される雌型遠位面(42)と、
を順に備え、
前記第1の管状部材および前記第2の管状部材のいずれか一方が、対応する前記雄型要素および/または前記雌型要素からの距離で測定される管の呼び外径を有し、該管の呼び外径は、200mmより大きく、この場合、前記接続部は、前記接続部の組立位置において、
25%≦Epi/Li
を満たすように、前記雄型内側リング部と前記雌型内側凹部との間に半径方向の隙間が形成され、前記雌型外側リング部と前記雄型外側凹部との間に半径方向の隙間が形成され、前記雄型内側リップ部と前記雌型内側凹部との間に内側シール部(Ei)が局所的に形成される、
ねじ接続部。
【請求項2】
前記管の呼び径は250mmより大きことを特徴とする、
請求項1に記載のねじ接続部。
【請求項3】
前記接続部は、
Epi/Li≦80%
満たすことを特徴とする、
請求項1または2に記載のねじ接続部。
【請求項4】
前記接続部は、
Epe/Le≦80%
満たすことを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項5】
前記接続部は、
15mm≦Li≦25mm
を満たすことを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項6】
前記接続部は、
15mm≦Le≦25mm
を満たすことを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項7】
前記ねじ領域(13,23)は、幅が増加する雄ねじおよび雌ねじをそれぞれ備え、前記雄ねじおよび前記雌ねじは、負の角度を有するロードフランクと、正の角度を有するスタブフランクと、を備え、接続された状態において、前記雄ねじの山頂と前記雌ねじの谷底との間、および/または前記雌ねじの山頂と前記雄ねじの谷底との間に半径方向の隙間が形成され、前記接続された状態において、前記雄ねじおよび前記雌ねじのそれぞれの前記スタブフランクの間に軸方向の隙間が形成されることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項8】
前記雄型外側当接面(37)は、前記接続部の縦軸に垂直な線に対して正の角度αを有し、前記雌型外側当接面(42)は、同じ角度αを有し、前記角度αは、5度~45度の範囲にあることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項9】
前記接続された状態において、前記雄型端部の内側当接面(17)は、前記雌型端部の内側当接面(28)に接触しないことを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項10】
前記接続された状態において、前記雄型端部の外側当接面(37)は、前記雌型端部の外側当接面(42)に当接することを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項11】
前記内側シール部(Ei)は、前記雌型要素に設けられた対応する雌型内側シール面(26)に干渉・接触可能な雄型内側シール面(15)を備えることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項12】
前記雌型内側シール面(26)は、円筒状面、および/または2度~15度の範囲の円錐部の角度の半分の角度を有するテーパ面である、
請求項11に記載のねじ接続部。
【請求項13】
前記雄型内側シール面(15)は、10mm~80mmの範囲の半径を有する円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部の角度の半分の角度を有するテーパ面であり、前記雄型内側シール面に垂直な方向における最大厚さ(Esp)は、前記内側リング部の厚さ(Epi)より大きい、
請求項11または12に記載のねじ接続部。
【請求項14】
外側シール部をさらに備え、該外側シール部は、雄型外側シール面(36)と、前記雌型要素に設けられた対応する雌型外側シール面(44)と間の干渉によって得られることを特徴とする、
請求項1~13のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項15】
前記雄型外側シール面(36)は、10mm~150mmの範囲の半径を有する円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部の角度の半分の角度を有するテーパ面である、
請求項14に記載のねじ接続部。
【請求項16】
前記雌型外側シール面(44)は、円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部の角度の半分の角度を有するテーパ面であり、前記雌型外側シール面に垂直な方向における最大厚さ(Esb)は、前記外側リング部の厚さ(Epe)より大きい、
請求項14または15に記載のねじ接続部。
【請求項17】
検査機器または掘削用機器の挿入または取出しを容易にするために、前記内側当接部(17)の下部が、前記接続部の縦軸に対して負の角度βを含む面取り部(12)を有する、
請求項1~16のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項18】
前記負の角度βは、-20度~-30度の範囲にある、
請求項17に記載のねじ接続部。
【請求項19】
前記雌型要素の最大外径は、前記第2の管の呼び外径に対して100.2%~101%の範囲にある、
請求項1~18のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【請求項20】
前記雄型要素の最小内径は、前記第1の管の呼び内径より小さい、
請求項1~19のいずれか1項に記載のねじ接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に炭化水素井を掘削または稼働するのに用いられる管状部材同士のシール接続の分野に関する。掘削中または稼働中に、接続部は大きな圧縮負荷および引張負荷を受けるが、それによって接続部が分解されることを防ぐ必要がある。
【背景技術】
【0002】
これらの接続部は、軸方向の引張負荷または圧縮負荷、内外の流体圧力、屈曲または捻れ、または場合によってはこれらの組み合わせと、変動する強度とにさらされる。負荷や過酷な現場での使用条件に関係なく、気密性は確保されなければならない。そのため、ねじ接続部は、特に摩耗による性能低下を引き起こすことなく、組立および分解を複数回行うことができる必要がある。分解後の管状部材は、他の使用条件下で再利用することができる。
【0003】
引張下において、ジャンプアウトという飛び出し現象が生じて1つのねじから別のねじへ広がり、接続部の意図しない分離を促す可能性がある。この現象は、高い内部圧力によって促進される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに関して、仏国特許出願第2952993号には、第1および第2の管状部材を備えるねじ接続部が開示されている。第1の部材は、その外周面に、遠位面および雄ねじ領域を含む雄型端部を備える。第2の部材は、その内周面に、遠位面および雌ねじ領域を含む雌型端部を備える。雄ねじ領域は、雌ねじ領域内に組み込まれる。これらのねじ領域は、遠位面側から幅が増加するねじをそれぞれ備える。ねじは、その半径方向寸法の少なくとも一部にわたって負の角度を有するロードフランクと、スタブフランクとをそれぞれ備える。接続された状態において、雄ねじの山頂と雌ねじの谷底との間、および/または雌ねじの山頂と雄ねじの谷底との間に、半径方向の隙間が形成される。さらに、接続された状態において、雌ねじおよび雄ねじのそれぞれのスタブフランクの間に軸方向の隙間が形成される。このタイプの接続部において、雄型端部および/または雌型端部の遠位面は、対応する当接面に対して軸方向に当接する。この解決策は、引張強度を向上させるために用いることができるが、高い外部圧力と高い内部圧力に対抗するその構造的性能は、シールリップ部を大きく屈曲させるという結果をもたらす。高い外部圧力と高い内部圧力との間で負荷が変動する場合、気密性を向上させる必要がある。
【0005】
さらに、検査機器または掘削用機器を、上述した発明による管からなるストリング内に挿入するときまたはストリング内から取り出すときに、組み立てられた管の一方から他方へ機器が通過すると、様々な問題を引き起こす。
【0006】
本発明は、従来技術の解決策と比較して、曲げ応力における接続部の気密性を向上させるために用いられてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに組み込まれた第1および第2の管状部材を備えるねじ接続部に関する。第1の部材は、第1の管と、該第1の管の一方の端部に配置された雄型要素とを備え、雄型要素は、その外周面にわたって、
・ 雄型遠位面と、
・ 最小厚さEpiを有する内側リング部を含む雄型内側リップ部と、
・ 雄ねじ領域であって、該雄ねじ領域の一方の内側端部が雄型遠位面から非ゼロの軸方向距離Liに配置される雄ねじ領域と、
・ 雄型外側凹部と、
・ 雄型外側当接面を形成する外側肩部と、
を順に備える。第2の部材は、第2の管と、該第2の管の一方の端部に配置された雌型要素とを備え、雌型要素は、その内周面にわたって、
・ 内側肩部と、
・ 雄型内側リップ部に対向するように配置された雌型内側凹部と、
・ 雌ねじ領域と、
・ 最小厚さEpeを有する外側リング部を含む雌型外側リップ部と、
・ 当接動作によって雄型外側当接面と協動可能且つ雌ねじ領域の一方の外側端部から非ゼロの軸方向距離Leに配置される雌型遠位面と、
を順に備える。接続部の組立位置において、接続部が、
10%≦Epi/Li
を満たすように、雄型内側リング部と雌型内側凹部との間に半径方向の隙間が形成され、雌型外側リング部と雄型外側凹部との間に半径方向の隙間が形成され、雄型内側リップ部と雌型内側凹部との間に内側シール部が局所的に形成される。
【0008】
特に、Epi/Liの比は、第1の管の呼び外径の関数として微調整される。この呼び外径は、雄型要素からの距離で測定される。管の呼び外径は、200mmより大きく、好ましくは250mmより大きい。この場合、接続部は、
25%≦Epi/Li
を満たす。
【0009】
同様に、本発明による接続部は、例えば、雌型外側リップ部と雄型外側凹部との間に局所的に形成される外側シール部に関して最適化されてもよい。この場合、接続部は、
10%≦Epe/Le
を満たす。
【0010】
Epe/Leの比は、好ましくはその比が15%以上、より好ましくは20%以上となるように選択される。
【0011】
本発明をより明確に定義するために、Epi/Liの比は、最大80%であればよく、好ましくは60%以下、実質的に50%以下である。
【0012】
同様に、Epe/Leの比は、最大80%であればよく、好ましくは60%以下、実質的に50%以下である。
【0013】
特に、雄ねじ領域、すなわち雄ねじ領域の内側加工端と、雄型遠位面との間の距離Liは、15mm~25mmの範囲であればよい。距離Liは、雄型内側リップ部の軸方向長さを示す。同様に、雌型遠位面と、雌ねじ領域の外側加工端との間の距離Leは、15mm~25mmの範囲であればよい。距離Leは、雌型外側リップ部の軸方向長さを示す。軸方向の測定は、管の縦軸(長手方向の軸)に沿って行われる。接続部が組み立てられると、接続部の縦軸は、第1および第2の管の縦軸に統合される。
【0014】
好ましくは、ねじ領域は、幅が増加する雄ねじおよび雌ねじをそれぞれ備える。これらのねじは、負の角度を有するロードフランクと、正の角度を有するスタブフランクとを備える。接続された状態において、雄ねじの山頂と雌ねじの谷底との間、および/または雌ねじの山頂と雄ねじの谷底との間に半径方向の隙間が形成される。さらに、接続された状態において、雄ねじおよび雌ねじのそれぞれのスタブフランクの間に軸方向の隙間が形成される。
【0015】
好ましくは、雄型外側当接面は、接続部の縦軸に垂直な線に対して角度αを有する。これにより、雄型外側当接面とその次の雄型面との間に鋭角が形成される。相補的に、雌型遠位面は、同じ角度αを有してもよい。角度αは、5度~45度の範囲であればよい。
【0016】
好ましくは、ロードフランクは、-1度~-15度の範囲の角度を有する。
【0017】
好ましくは、スタブフランクは、1度~15度の範囲の角度を有する。
【0018】
慣例により、また本明細書における一般的な定義として、ねじの山頂側にあるフランクの一方の端部がねじの谷底にある該フランクの他方の端部を超えている場合、フランクの角度は負の記号で示され、逆の場合(超えていない場合)、正の記号で示される。
【0019】
好ましくは、接続された状態において、雄型遠位面は、雌型要素の内側肩部に接触しない。
【0020】
好ましくは、接続された状態において、雄型外側当接面は、雌型遠位面に当接する。
【0021】
好ましくは、内側シール部は、雄型内側シール面と、雌型要素の雌型内側凹部に設けられた対応する雌型内側シール面との間の半径方向の干渉によって得られる。特に、Epi/Liの比が小さすぎる場合、内側リング部の剛性が低すぎて内側シール部の安定性を低下させる。本発明によれば、Epi/Liの比を10%より大きくする必要がある。雄型内側シール面に損傷を与えることなくねじ部の機械加工を容易にするために、寸法Liは、特に15mmを超えるように選択されてもよい。
【0022】
好ましくは、雄型内側シール面は、円筒状面またはテーパ面であるか、テーパ部分に隣接する円筒部分から実質的に構成される。雄型内側シール面のテーパ部分の円錐部の角度の半分の角度(cone half-angle)(以下、「円錐部半角」ともいう)は、2度~15度の範囲であればよい。好ましくは、雌型内側シール面は、10mm~80mmの範囲の半径を有する円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部半角を有するテーパ面である。雄型内側シール面に垂直な方向における最大厚さEspは、内側リング部の厚さEpiより大きい。このタイプの構成は、雄型および雌型内側シール面の間のそれぞれの干渉領域における剛性を向上させる。
【0023】
例えば、Epi/Espの比は、1.05以上、より好ましくは1.1以上である。
【0024】
好ましくは、外側シール部は、雄型外側凹部の雄型外側シール面と、雌型要素の雌型外側リップ部に設けられた対応する雌型外側シール面との間の半径方向の干渉によって得られる。特に、Epe/Leの比が小さすぎる場合、外側リング部の剛性が低すぎて外側シール部の安定性を低下させる。本発明によれば、Epe/Leの比を10%より大きくする必要がある。雌型外側シール面に損傷を与えることなく雌ねじ部の機械加工を容易にするために、寸法Leは、特に15mmを超えるように選択されてもよい。
【0025】
好ましくは、雄型外側シール面は、10mm~150mmの範囲の半径を有する円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部半角を有するテーパ面である。
【0026】
好ましくは、雌型外側シール面は、円環状面、または2度~15度の範囲の円錐部半径を有するテーパ面であり、雌型外側シール面に垂直な方向における最大厚さEsbは、外側リング部の厚さEpeより大きい。
【0027】
例えば、Epe/Esbの比は、1.05以上、より好ましくは1.1以上である。
【0028】
このタイプの構成は、雄型および雌型外側シール面の間で干渉が生じる領域における剛性を向上させる。
【0029】
本発明によるEpe/LeおよびEpi/Liの比は、気密性の安定性を確保するために最適化されている。
【0030】
好ましくは、雄型要素は、その内周に、雄型遠位端部に繋がる面取り部を有する。検査機器または掘削用機器の挿入や取出しを容易にするために、面取り部は、接続部の縦軸に直交する平面に対して角度βを有すればよい。好ましくは、角度βは、20度~30度の範囲にある。
【0031】
好ましくは、雌型要素の最大外径は、第2の管の呼び外径に対して100%~103%(一部同一平面)、より好ましくは100.2%~101%(同一平面)の範囲にある。
【0032】
好ましくは、雄型要素の最小内径は、第1の管の呼び内径より小さい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】接続された第1のねじ接続部の全体の断面を示す原理図である。
図2図1の本発明によるねじ接続部の拡大詳細部Aを示す原理図である。
図3図1の本発明によるねじ接続部の拡大詳細部Bを示す原理図である。
図4】本発明による接続部を示す概略図である。
図5図4の詳細部A1を示す概略図である。
図6図4の詳細部B1を示す概略図である。
図7】本発明の第1の実施の形態による接続部の雄型要素を示す図である。
図8】本発明の第2の実施の形態による接続部の雄型要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1および図3の原理図は、本発明による接続部の雄型および雌型要素の領域における干渉していない状態を示す。これらの原理図において、干渉・接触するよう意図された部分は、部分的に重なり合っている。この場合、干渉する部分は、内側および外側シール面である。図示する重なり合う領域には、異なるハッチングを使用する。このハッチングによって、要素間の直径の差を認識することができる。このハッチング領域において、雄型要素の一部の外径は、雌型要素の対応する部分の内径より大きい。ハッチング領域における半径方向の厚さは、ミリメートル単位で測定され、シール面に垂直な方向における半径方向の干渉の値を示す。これらの原理図において、ねじ領域の詳細は図示しない。
【0035】
図1図3は、本発明による接続部を形成する雄型および雌型要素の設計によって相互貫入が生じた際の半径方向の高さをより概略的に理解できるよう提供される。
【0036】
実際、雄型および雌型要素の部材は、相互貫入するというより、金属-金属シールと呼ばれる密着した領域を局所的に形成することは明らかであろう。
【0037】
これに関して、図4は、最終的な組立位置における、本発明による接続部を示す概略図である。図4におけるグレーの濃淡は、最終的な組立位置における本発明による接続部において観察された負荷に関する有限要素解析の結果を示す。最も濃い領域は、負荷が最も大きかった領域である。
【0038】
図5は、接続部の最終的な組立位置における、図4の詳細部A1を示す概略図である。
【0039】
図6は、接続部の最終的な組立位置における、図4の詳細部B1を示す概略図である。
【0040】
図7は、雄型遠位端部の近傍に位置する、本発明の第1の実施の形態による接続部の雄型要素を示す図である。
【0041】
図8は、雄型遠位端部の近傍に位置する、本発明の第2の実施の形態による接続部の雄型要素を示す図である。
【0042】
添付の図面は、本発明を構成するのに役立つだけでなく、本発明の定義にも適宜使用することができる。図示する構成要素は管および接続部の軸に対して対照であるため、本願のすべての図面においてこれらを半平面で示す。
【0043】
接続部を改善するために、本出願人は、API規格に優るプレミアム接続として知られる高品質の接続部を開発した。これにより、部材の組立中に締付け接触される複数のシール面をねじ領域の近傍に設けることができる。特に、これらの面は、半径方向の干渉を生じさせることができるよう選択される。
【0044】
したがって、高圧下での流体(液体および気体)に対する気密性は、シール面の互いへの半径方向の締付けによる接触から生じる。半径方向の締付け強度は、雄ねじ領域と雌ねじ領域との相対的な軸方向の位置決めの関数である。この相対的な位置決めは、雄型および雌型要素に設けられたそれぞれの当接面を当接させることで決定され得る。
【0045】
好ましくは、雄型および雌型外側当接部のみが、本発明による接続部内で互いに接触する。
【0046】
本発明による接続部の内側と外側との間の流体(周囲圧力および大気圧における液体および気体)の流れを防止するために、シール面を用いることができる。
【0047】
図1は、雄ねじ要素1を有する管状部材C1と、雌ねじ要素2が設けられた管状部材C2との組立てによって形成された本発明による接続部を示す。接続部は、内側シール部Eiと、外側シール部Eeとを備える。
【0048】
管状部材C1およびC2は、それぞれ管10および20を備える。本発明による接続部を形成するよう意図された雌型要素および雄型要素が、これらの管の端部に配置される。雄ねじ要素1は、第1の管10の一方の端部に配置される。雌ねじ要素2は、第2の管20の一方の端部に配置される。管10および20は、数メートルの長さを有してもよく、例えば、10メートル~15メートル程度の長さを有してもよい。一方の端部に雄ねじ要素および他方の端部に雌ねじ要素を有する長い管が設けられてもよい。しかしながら、本発明は、両方の端部に雌ねじ要素を有する短い管を備える結合部を用いた接続部にも適用され得ることは言うまでもない。
【0049】
本発明による接続部は、炭化水素井用のケーシングストリング、チュービングストリング、改修ライザーまたはドリルストリングを構成するために用いられてもよい。
【0050】
管は、好ましくは鋼製である。実際、例えば機械的負荷のレベルや管の内側または外側の流体の腐食性等の使用条件に応じて、非合金、低合金または高合金などの異なるグレードの鋼や、鉄合金または非鉄合金鋼から製造されてもよく、熱処理または加工によって硬化されてもよい。また、例えば耐食合金または合成材料からなる保護皮膜で被覆された、低耐食性を有する鋼管を用いることもできる。
【0051】
図1において、雌ねじ要素2は、雌ねじ領域23を備える。雌ねじ領域23は、例えば0.5度~3度、好ましくは1度~3度の範囲の円錐部半角を有するテーパ領域である。雌ねじ領域23は、雌型要素2の内側に配置される。雄ねじ要素1は、雄型端部1の外面に配置された雄ねじ領域13を備える。雄ねじ領域13は、雌ねじ23と係合する。雄ねじ領域13は、雌ねじ領域23と実質的に同じ円錐角を有する。
【0052】
雄ねじ要素1
雄ねじ領域13は、雄型内側リップ部として自由遠位端部17に向けて延在する。雄型内側リップ部の外面の一方の側が、雄ねじ領域13の内側端部によって画定され、他方の側が、自由遠位端部17によって画定される。自由遠位端部17は、部材C1の縦軸に対して実質的に放射状に延在する。
【0053】
すなわち、雄型内側リップ部は、図2および図5に示すように、雄ねじ領域13から自由遠位端部17に向けて、
・ 雄ねじ領域13に隣接する第1の面11と、
・ 第1の面11に隣接する雄型の第1の終端部と、
を順に備える。また、雄型の第1の終端部は、
・ 自由遠位端部17に向けて増加する直径および5度~30度の範囲の円錐部半角を有する第1のテーパ面12と、
・ 0.4mm~1.4mmの範囲の凸状半径を有するフィレット部14と、
・ 雄型内側シール面15と、
・ 0.4mm~1mmの範囲の凸状半径を有し、自由遠位端部17に隣接する第2のフィレット部16と、
を順に備える。
【0054】
図5および図7において、雄型内側シール面15は、雄型自由端部に向けて減少する直径を有するテーパ面である。特に、テーパ状のシール面は、2度~15度、より好ましくは4度~8度の範囲の半角を有する。代替的に、雄型内側シール面15は、円筒状面、または10mm~80mmの範囲の凸状半径を有する実質的に円環状面であってもよい。
【0055】
変形例において、雄型内側シール面15は、図8に示すように複雑な形状を有してもよい。複雑な形状を有する雄型内側シール面15は、第1のフィレット部14に繋がる円筒部15aと、雄型自由端部17に向けて第2のフィレット部16まで減少する直径を有するテーパ部15bとから構成される。円筒部15aとテーパ部15bは、互いに隣接する。テーパ部15bの半角は、2度~15度、より好ましくは7.5度~10度の範囲にある。例えば、管の呼び外径が355.6mm(14インチ)未満である管状部材において、雄型シール面15は複雑な形状となる。
【0056】
雄型内側リップ部は、部材C1およびC2の縦軸に沿って軸方向に測定される長さLiを有する。長さLiは、雄ねじ領域13と雄型自由遠位面17の頂点との間で測定される最小距離である。雄ねじ領域13を形成するための螺旋形の機械加工は、図2図5図7および図8に示す進入部51から開始される。進入部51は、第1の面11の雄ねじ領域13を画定する。遠位面17の側方に位置する進入部51は、雄ねじ領域13の内側端部を構成する。リップ部の長さLiは、進入部51と遠位面17の頂点との間で測定される。
【0057】
第1の面11は、内側リング部を画定する。内側リング部は、円筒形であり得る。図示する一例において、第1の面11は、部材C1およびC2の軸ならびに接続部の縦軸に平行な母線を有する。
【0058】
したがって、第1の面11に垂直な方向における内側リング部の壁厚Epiは、第1の面11の全体に沿って一定である。これは、第1の面11を画定することができることを意味する。
【0059】
一定の厚さEpiを有する部分は、長さLiの少なくとも3分の1にわたって、より好ましくは長さLiの少なくとも45%にわたって、軸方向に距離Gliを画定する。
【0060】
代替的に、内側リング部が円筒形でない場合、本発明に従って考慮されるパラメータEpiは、ねじ領域13と雄型内側シール面15との間における最小壁厚となる。
【0061】
特に、厚さEpiは、雄型内側シール面15に垂直な方向における半径方向の厚さEspより小さい。
【0062】
任意選択的に、面取り部18は、雄型自由遠位面17に対して角度βを有する。角度βは、20度~30度の範囲にある。したがって、面取り部18は、自由遠位端部17に向けて、すなわち雄型当接面に向けて増加する直径を含むテーパ形状を有する。組み立て・接続された複数の管からなるストリング内に、本発明による管よりも小さいがそれに近い直径を有する検査機器または掘削用機器を挿入するために、面取り部18を用いることができる。挿入が容易になることで、接続部での引っ掛かりを回避することができる。また、機器の取出しも容易になる。
【0063】
直径の差と面取り部とを有するこの構成によって、耐屈曲性を向上させるのに用いられる「突起」とも呼ばれる余分な厚さによる管の一方の端部への引っ掛かりを回避して、検査機器または掘削用機器を管の内部に挿入することができる。
【0064】
さらに、図3および図6に示すように、雄ねじ要素1は、その外周に、管10の本体に向けて雄ねじ領域13から延在する部分において、雄型外側凹部を備える。雄型外側凹部は、第2の面34を備える。第2の面34は、雄ねじ領域13に直接隣接している場合がある。
【0065】
第2の面34は、外側の第2の終端部として管10の本体に向けて延在する。図3および図6に示すように、外側の第2の終端部は、
・ 第2の面34と第2のテーパ面35との間に位置し、凹状半径部を形成することができる第1のフィレット部38と、
・ 管10の本体に向けて増加する直径および5度~45の範囲の円錐部半角を有するテーパ面35と、
・ 1mm~8mmの範囲の凸状半径を有する第2のフィレット部39(半径は、なくても工具を取り出せる場合、省略できる)と、
・ 10mm~150mmの範囲の半径を有する円環状面、または外側当接部22に向けて増加する直径および2度~15度の範囲の円錐部半角を有するテーパ面である雄型外側シール面36と、
・ 凹状半径部を有し、外側当接面37に隣接する末端フィレット部40と、
を順に備える。
【0066】
外側当接面37は、接続部の縦軸に垂直な線に対して正の角度αを有する。正の角度は、三角法に基づく方向、すなわち時計回りの方向に向けられる。正の角度αは、5度~45度の範囲にある。末端フィレット部40は、雄型外側シール面36と雄型外側当接面37との間に鋭角が形成されるように、角張った円弧形状を有する。
【0067】
雌ねじ要素2
雌ねじ要素2は、その内周に、対応する雄ねじ要素13と組み立てられるよう意図されたねじ領域23を備え、ねじ領域23の両側には、以下に説明する構成が設けられる。
【0068】
図2において、雌ねじ要素は、雄型内側リップ部に対向する雌型内側凹部を備える。雌型内側凹部は、雌ねじ領域23から内側肩部28に向けて、
・ 雌型の第1の面24と、
・ 雌型の第1の終端部と、
を順に備える。雌型の第1の終端部は、
・ 0.8mm~10mmの範囲の凸状半径を有する、第1の面24に対するフィレット部25と、
・ 10mm~80mmの範囲の半径を有する円環状面、または内側当接部28に向けて減少する直径および2度~15度の範囲の円錐部半角を有するテーパ面であり、対応する雄型内側シール面15に干渉・接触することができ、雄型内側シール面15と同じ円錐角を有する場合がある雌型内側シール面26と、
・ 0.4mm~2mmの範囲の凹部半径を有し、雌型内側シール面26と内側肩部28とを繋ぐフィレット部27と、
を順に備える。
【0069】
本発明の好適な実施の形態において、雌型内側シール面26はテーパ面である。
【0070】
好ましくは、内側肩部28は、接続部の縦軸に対して放射状に延在する。
【0071】
しかしながら、図1および図2に示す実施の形態における接続された状態において、内側肩部28と雄型自由遠位面17との間に軸方向の隙間が形成される。したがって、接続された状態において、2つの面17および28は互いに接触しない。接続部が圧縮を受けると、面17および28に圧縮負荷が加わって、リップ部がより屈曲されるが、上記面は、この内側リップ部での当接を回避させる効果をもたらす。また、ねじに巻き込まれたグリースを収容するレリーフを形成するために、接続された状態において、第1の面11および24の間に半径方向の隙間が形成されることにも留意されたい。
【0072】
フィレット部25がなくても機械加工用の工具を取り出せる場合は、フィレット部25を省略してもよい。フィレット部25を省略することにより、組立性をさらに向上させることができる。
【0073】
図3に示すように、雌型端部は、その内周に、ねじ領域23から自由端部42に向けて延在する雌型外側リップ部をさらに備える。雌型外側リップ部は、第2の面21と、雌型の第2の面21から外側当接部42に向けて延在する第2の終端部とを含む。雌型の第2の終端部は、
・ 5mm~40mmの範囲の半径を有する凸状円環状面43と、
・ 雄型自由端部に向けて減少する直径を有し、変曲点45を介して下記雌型外側シール面46に繋がるテーパ部44と、
・ 凸状の円環状面、または雌型自由端部に向けて減少する直径を有するテーパ面である雌型外側シール面46であって、図示する実施例において、2度~15度の範囲の円錐部半角を有するテーパ面であり、対応する雄型外側シール面36に干渉・接触することができる雌型外側シール面46と、
・ 接続部の縦軸に垂直な線に対して正の角度αを有する当接面42と、
を順に備える。正の角度は、三角法に基づく方向、すなわち時計回りの方向に向けられる。正の角度αは、5度~45度の範囲にある。この当接面は、対応する雄型外側当接面37に接触することができる。接触圧を増加させて雄型当接面に対する雌型当接面42の当接状態を維持するために、正の角度を用いることができる。
【0074】
雌型外側リップ部は、部材C1およびC2の縦軸に沿って軸方向に測定される長さLeを有する。長さLeは、雌ねじ領域23と当接面42の遠位端部の頂点との間の最小距離である。雌ねじ領域23を形成するための螺旋形の機械加工は、図1図3および図6に示す進入部52から開始される。進入部52は、雌型の第2の面21の雌ねじ領域23を画定する。遠位当接面42の側方に位置する進入部52は、雌ねじ領域23の外側端部を構成する。リップ部の長さLiは、進入部52と雌型遠位当接面42の頂点との間で測定される。
【0075】
第2の面21は、外側リング部を画定する。外側リング部は、円筒形であり得る。図示する一例において、第2の面21は、部材C1およびC2の軸ならびに接続部の縦軸に平行な母線を有する。
【0076】
第2の面21に垂直な方向における外側リング部の厚さEpeは、第2の面21の全体に沿って一定である。これは、第2の面21を画定することができることを意味する。
【0077】
一定の厚さEpeを有する部分は、長さLeの少なくとも3分の1にわたって、より好ましくは長さLeの少なくとも45%にわたって、軸方向に距離Gleを画定する。
【0078】
代替的に、外側リング部が円筒形でない場合、本発明による厚さEpeは、雌ねじ部23と雌型外側シール面44との間における最小厚さとなる。
【0079】
特に、厚さEpeは、雌型外側シール面44に垂直な方向における半径方向の厚さEsbより小さい。
【0080】
図1および図3に示すような接続された状態において、外側当接部22で干渉・接触、すなわち部材の相互貫入が生じる場合がある。また、フィレット面36および43が半径方向に干渉・接触する場合がある。この場合、より良好な気密性を提供することができる。
【0081】
さらに、ねじに巻き込まれたグリースを収容するレリーフを形成するために、接続された状態において、第2の面21および34の間に半径方向の隙間が形成される。
【0082】
フィレット部は、任意に選択される。
【0083】
実施例
本出願人は、特に127mmより大きく、460mm、好ましくは406.4mm(16インチ)より小さい直径を有する大径ねじ接続部に関心を持っていた。このタイプの接続部は、引張力/圧縮力に加えて、高い内部圧力および高い外部圧力を受けやすい。その圧力レベルは、接続部の気密性を低下させる内側および外側リップ部の屈曲と大きな塑性変形とを生じさせる傾向がある。本発明による接続部において、引張強度も考慮された。
【0084】
実際、引張負荷が大きすぎると、飛び出し現象が発生してねじを互いから分離させ、結果的に接続部の2つの部材を分離させる場合がある。技術的観点およびコストの面からこの結果は特に望ましくない。ねじ切り部がテーパ状の母線を有すると、一方のねじの飛び出しが接続部全体の分離を引き起こす場合があり、これは特に望ましくない。
【0085】
したがって、本発明による接続部は、低い組立トルクを有し、ねじの位置に関係なく飛び出し現象の発生を減少させて、グリースのための適切な隙間を確保しながらシール面を正確に位置決めさせる。これらの隙間は、ねじ切り部の両側の面によって得ることができる。
【0086】
好ましくは、本発明による接続部において、内側シール部は「重錐体」のタイプであり、外側シール部も「重錐体」のタイプである。
【0087】
「重錐体」の接触は、様々な負荷を受けている間のシール面間の接触を安定させ、組立性を向上させるのに適した良好な構成を提供する。「重錐体」のシール面は、組立中の摩耗を低減させる。
【0088】
「円環・円錐体」のシール面が用いられてもよい。これは、内部圧力の負荷による内側リップ部の屈曲の影響を補うために用いることができる。雄ねじ要素のシール面はわずかに回転するが、雄型内側シール面15を構成する範囲が広いため、円環・円錐体の構成において接触状態を維持したまま、互換性のある雌型シール面に沿ってわずかに移動することができる。
【0089】
雌型端部の最大外径は、雄型端部の最大外径より大きい。内径に関しては、雌型端部の内径は、雄型端部の最大内径より大きいといえる。
【0090】
特に、本出願人らは、以下の結果を導き出した。
【0091】
【表1】
【0092】
特に、本出願人らは、公称断面積が200mmより大きい、または250mmより大きい管の外径に関して、Epi/Liの比を最適化して、このタイプの構成に対しては、Epi/Liの比が25%以上であるよう選択した。
【0093】
200mmを超える外径のパラメータと、10mm~25mmの範囲の管の壁厚(接続部からの距離)のパラメータとを組み合わせて、このタイプの構成に対してEpi/Liの比が25%以上であるよう選択することで、上記最適化を行うことができる。
【0094】
また、200mmを超える外径のパラメータ、10mm~25mmの範囲の管の壁厚(接続部からの距離)のパラメータ、および同一平面型の接続部のパラメータの3つのパラメータを組み合わせて、このタイプの構成に対してEpi/Liの比が25%以上であるよう選択することでも、上記最適化を行うことができる。
【0095】
特に、雄型内側リップ部は、次式を満たすよう構成される必要がある:
10%≦Epi(mm)/Li(mm)≦80%
【0096】
有利には、雌型外側リップ部は、次式を満たすよう構成される必要がある:
10%≦Epe(mm)/Le(mm)≦80%
【0097】
また、本発明は、接続部が受ける内部圧力および外部圧力に耐えることができるように、内側および外側リップ部の寸法決めを行う工程も含む。
【0098】
雌ねじ領域23は、山頂付近の軸方向長さが基部付近の軸方向長さより大きいねじを備える。雄ねじ領域13は、山頂付近の軸方向長さが基部付近の軸方向長さより大きいねじを備える。本発明によるねじ切り部のスタブフランクの傾斜角は、接続部の軸に垂直な半径方向平面に対して測定したときに、正の角度を有する。本発明によるねじのロードフランクの傾斜角は、接続部の軸に垂直な半径方向平面に対して測定したときに、負の角度を有する。好ましい実施の形態において、ねじはダブテールプロファイル(外形)を有する。代替的に、ロードフランクの傾斜角は、スタブフランクの傾斜角と異なる。別の実施例において、雌ねじ領域23のスタブフランクの傾斜角は、雄ねじ領域13のスタブフランクの傾斜角に等しい。雌ねじ領域23のロードフランクの傾斜角は、雄ねじ領域13のロードフランクの傾斜角に略等しい。
【0099】
本発明によるねじ切り部は、山頂と、谷底と、ロードフランクと、スタブフランクとを備える。フランクと山頂との間およびフランクと谷底との間に、フィレット半径部が設けられる。山頂および谷底の幅は、管の軸に沿った対応するねじの位置に従って変動する。この幅Lは、定数をLおよびA、軸に沿った位置をxとすると、L=L+Aによって求めることができる。幅は、本発明による接続部の軸に平行な方向で測定される。ねじ切り部がテーパ状であるために、山頂および谷底の直径は、管の軸に沿った対応するねじの位置に従って変動する。ねじの山頂および谷底は、ねじ接続部の軸に平行である。これにより、機械加工および組立時の係合が容易になる。
【0100】
雄ねじ領域13は、雄型端部の終端部に最も近い歯の幅に対応する値から、該終端部から最も遠い歯の幅に対応する値まで歯の幅が増加する始部を有してもよい。この場合、雌ねじ領域23の歯の幅は、雌型端部の終端部から最も遠い歯の幅に対応する値から、該終端部に最も近い歯の幅に対応する値まで減少する。これにより、組立中に、ねじ領域13および23は、それぞれのスタブフランクの間に軸方向の隙間を形成しながら協動することができる。
【0101】
雄型端部の終端部に最も近い歯の幅と、雌型端部の終端面から最も遠い歯の幅との比は、絶対値で0.1~0.8の範囲であればよい。
【0102】
本発明によるねじ切り部は、変動するねじ幅を有する。組立後の接続された状態において、それぞれのスタブフランクの間に軸方向の隙間が形成される。また、接続された状態において、ねじの谷底と山頂との間に半径方向の隙間が形成される。
【0103】
ねじのロードフランクは、本発明の説明におけるすべての角度に対しても用いられる三角法に基づいて、負の角度を有する。ねじのスタブフランクは、正の角度を有する。外側当接部は、シール面を正確に位置決めさせる。
【0104】
ねじ切り部は、ねじ切り部に沿って増加する歯幅を有する。実際、雄ねじの谷底は、管の内側に向けて増加する幅を有し、雄ねじの山頂は、その逆方向に延在する。雌型のねじ切り部において、その逆も同様である。
【0105】
接続された状態(組立後)において、雄ねじ領域13のねじ切り部の山頂と雌ねじ領域23のねじ切り部の谷底との間に半径方向の隙間が形成される。半径方向の隙間は、0.05mm~0.5mm程度である。接続された状態における半径方向の隙間の寸法は、所望のグリース量および機械加工公差に応じて選択されてもよい。機械加工が高品質である場合、0.15mm以下の隙間が望ましい。
【0106】
接続された状態(組立後)において、雄ねじ領域および雌ねじ領域のそれぞれのねじのスタブフランクの間に軸方向の隙間が形成される。軸方向の隙間は、0.002mm~1mm程度である。接続された状態における軸方向の隙間は、所望のグリース量、フランクの角度および機械加工公差に応じて選択されてもよい。機械加工が正確に制御され且つフランク角度が絶対値で5度以下である場合、0.05mm以下の隙間が望ましい。ロードフランクは、接続された状態において締付力を受ける。
【0107】
雌ねじ領域23のねじのロードフランクは、雄ねじ領域13のねじの対応する傾斜したロードフランクと干渉するように、半径方向平面に対して傾斜している。これは、特に引張負荷を受けている間に弾性変形される接続部の強度を、内部圧力の有無に関係なく向上させる。それぞれのねじ切り部の間の連結状態を維持するために、この位置における干渉は、半径方向の干渉である。ねじ切り部は、互いに半径方向の保持フックを形成する。雌型のフランクと同様に、雄型のロードフランクの傾斜角は、-1度~-15度の範囲にある。-1度を超えると、半径方向の保持効果が弱くなる。-15度を下回ると、圧縮強度に影響を与える場合がある。好ましい範囲は、-3度~-5度である。雄型および雌型のロードフランクの傾斜角の差は、±3度の範囲で許容され得る。
【0108】
雌ねじ領域23のねじのスタブフランクは、雄ねじ領域13のねじの対応する傾斜したスタブフランクと干渉するように、半径方向平面に対して傾斜している。これは、特に引張負荷を受けている間に弾性変形される接続部の強度を、内部圧力の有無に関係なく向上させる。それぞれのねじ切り部の間の連結状態を維持するために、該干渉は、半径方向の干渉である。ねじ切り部は、互いに半径方向の保持フックを形成する。雌型のフランクと同様に、雄型のロードフランクの傾斜角は、1度~15度の範囲にある。1度を下回ると、半径方向の保持効果が弱くなる。15度を超えると、圧縮強度に影響を与える場合がある。好ましい範囲は、3度~5度である。雄型および雌型のロードフランクの傾斜角の差は、±3度の範囲で許容され得る。
【0109】
雄型および雌型のスタブフランクの傾斜角は、雄型および雌型のロードフランクの傾斜角に等しくてもよく、例えば±3度の範囲で異なっていてもよい。
【0110】
フィレット部の半径は、0.005mm~3mmの範囲であればよい。丸みを帯びたフィレット半径部は、ロードフランクの底部での応力の集中を減少させて、本発明による接続部の疲労耐性を向上させる。
【0111】
雌ねじ領域23および雄ねじ領域23は、多条ねじ、好ましくは二条ねじから構成される。これにより、より早く組立を行うことができる。
【0112】
好ましくは、フランクはダブテールプロファイルを有する。ダブテールねじの幾何学的形状は、軸方向の幅がねじの基部から山頂に向けて規則的に減少するねじと比較して、組立時の半径方向の剛性を向上させる。
【0113】
フランクは、台形状のプロファイルを有してもよい。それぞれのスタブフランクの間の軸方向の隙間は、0.002mm~1mmの範囲であればよく、好ましくは0.05~0.5mmの範囲にある。
【0114】
半径方向の隙間は、第1の部材のねじの谷底および/または第1の部材のねじの山頂に形成されてもよい。半径方向の隙間は、0.05mm~0.5mmの範囲であればよく、好ましくは0.05mm~0.15mmの範囲にある。
【0115】
ロードフランクは、-1度~-15度の範囲の角度を有すればよく、好ましくは-3度~-5度の範囲の角度を有する。スタブフランクは、1度~15度の範囲の角度を有すればよく、好ましくは3度~5度の範囲の角度を有する。ロードフランクは、スタブフランクと異なる角度を有してもよい。
【0116】
本発明は、単に一例として上述した接続部および管の実施例に限定されず、当業者が添付の特許請求の範囲内であると想定することができるすべての変形例を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8